説明

通話中に送話音量を調整できる通話端末装置および通話端末装置における送話音量増大方法

【課題】通話中の送話音量を変更可能とし、メモリの容量の増大を防ぐとともに送話音量設定処理を簡素化する。
【解決手段】通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キー29と、相手の電話番号を認識する相手電話番号認識手段201-1と、電話番号に対応させて送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブル203-2と、予め設定された複数段階の送話音量設定値と送話音量フラグを対応させて記述する送話音量設定テーブル203-1と、送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御手段201-3と、手段201-1が認識した相手電話番号によりテーブル203-2を参照して取得した送話音量フラグを用いてテーブル203-1から送話音量設定値を取得して手段201-3に通知する送話音量設定値取得手段201-5と、通話中にキー29の押下げがあったときにテーブル203-2の送話音量フラグを変更する送話音量変更監視手段204-1とを備えた通話端末装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話中に送話音量を調整できる通話端末装置および該通話端末装置を用いた通話中に送話音量を調整する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通話端末装置において、通話中の受話音量についてはユーザーが調整することが可能であった。しかしながら、送話音量については、ユーザーが容易に調整することができず、送話音量の調整は、保守者に依頼して回線制御装置に接続されたシステム管理端末装置から、送話音量のデータ設定を変更する。この場合、公衆網に接続される回線インタフェースの送話レベルを調整することで、その回線を利用した通話全ての送話レベルがあがる。また、保守者が直接通話端末装置の送話音量の設定をする方法が一般的であった。例えば、通話端末装置が電話機の場合、電話機の送話レベルを上げて設定することで、その電話機を利用した全ての通話に対する送話レベルが上がる。
【0003】
これらの方法による送話音量の設定方法では、通話中に再度送話音量を変更する必要が生じたときに、保守者または工事者に依頼しない限り、ユーザーが一度設定した送話音量を変更することができず、通話中に受話側のその時々の要望にあった送話音量を調整することができなかった。
【0004】
例えば、ディジタル電話機ユーザーおよびその通話相手に良好で適正な通話音量を安定して提供することを目的として、送話音量と予め定められた適正送話音量の参照値とを比較部でダイナミックに比較し、その比較値を送話音量調節手段としての乗算部に入力して送話音量を自動的かつダイナミックに調節することが提案されている(例えば、特許文献1の図2〜4およびその説明を参照)。
【0005】
また、ファンクションキーからの入力による発呼の際、受話音量のみでなく送話音量も自動的に適切なレベルに調節可能な電話機を得ることを目的として、送話音量を調節する送話音量調節回路と、ダイヤル番号ならびにこのダイヤル番号に対応する送話音量設定値を記憶するメモリと、このメモリに記憶されたダイヤル番号を発呼する際に該ダイヤル番号に対応する送話音量設定値に基づき送話音量調節回路を自動制御する音量制御回路と、通話中に送話音量調節回路によって音量調節が行われると、メモリの送話音量設定値を更新する記憶制御手段を備えることが、提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−013500号公報
【特許文献2】特開平07−312639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1に示された送話音量調節手段では、適正送話音量を予め設定することが必要であり、かつ、送話音量を基準値と比較している。つまり、この送話音量調節手段は、特定の基準値によって調整されるものであり、実際の通話中において、例えば、利用者の話し方や声の質などによって、基準値を満たしていても通話が聞き取りづらい場合に、通話相手の要請に応じて送話音量を調節することができないという問題を有している。
【0007】
また、特許文献2に記載された送話音量を調節する方式では、通話中に送話音量を調節する送話音量調節ボタンを備え、ダイヤル番号に対応する送話音量設定値をメモリに記憶し、発呼時または着呼時に取得したダイヤル番号に対応する送話音量設定値を読み出し、この送話音量設定値を用いて送話音量を調節しているので、ダイヤル番号に対応して送話音量設定値を設定しなければならず容量の大きなメモリが必要となり、かつ、ダイヤル番号毎に送話音量を具体的な設定値で調整しなければならないので送話音量設定処理が煩雑となるという問題を有している。
【0008】
上述のように、特許文献1の通話端末装置においては、通話中にユーザーが送話音量を調整することができず、送話音量をその時々の通話相手の要望にあった音量に調整ができないという問題がある。ことに、通話中に通話相手から送話音量が低く聴き取りにくいと言われた場合でも、その場で容易に調整することができないという問題があった。さらに、特許文献2の方法では、ダイヤル番号と送話音量を記述するメモリとして大容量のメモリを必要とするばかりでなく、送話音量設定処理が煩雑となるという問題を有している。さらに、ディーリング通話端末のようなハンドセットを複数備えた通話端末装置に対する考慮はされていない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、複数のハンドセットを備えた通話端末装置であっても、利用しているハンドセットが通話中に送話音量をユーザーが変更できるようするとともに、装置のメモリの容量の増大を防ぎ、かつ、送話音量設定処理を簡素化できる通話端末装置およびこの通話端末装置の送話音量増大方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、送話音量を所定の段階に増大させる送話音量変更キーを通話中に押下するワンタッチ操作により、送話音量を予め設定された複数段階の値に変更することを可能とし、通話相手から送話音量が聞き取りにくいと言われた場合でも、その場で容易に送話音量を調節できる通話端末装置および通話端末装置の送話音量増大方法を提供することを特徴とする。
【0011】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明は、通信回線を介して接続された他の通話端末装置との間で通話する通話端末装置であって、通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キーと、通話相手の電話番号を認識する相手電話番号認識手段と、電話番号に対応させて通話音量の変更段階を示す送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブルと、予め設定された基準送話音量および最大送話音量ならびに中間送話音量の少なくとも3段階の送話音量設定値とそれぞれの送話音量設定値に対応する前記送話音量フラグを記述する送話音量設定テーブルと、前記相手電話番号認識手段が認識した相手電話番号により前記電話番号−送話音量フラグテーブルを参照して取得した相手電話番号の送話音量フラグを用いて前記送話音量設定テーブルから前記送話音量設定値を取得して送話音量制御手段に通知する送話音量設定値取得手段と、前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御手段と、通話中に前記送話音量変更キーの押下があったときに前記電話番号−送話音量フラグテーブルの前記相手電話番号に対応した送話音量フラグを変更する送話音量変更監視手段とを備えた。
【0012】
本発明は、上記通話端末装置であって、前記送話音量設定値の段階を表示する送話音量表示手段とを備えた。また、本発明は、上記通話端末装置であって、前記送話音量制御手段が通話終了時に前記送話音量設定値を初期段階に戻す機能を有する。さらに、本発明は、上記通話端末装置であって、前記送話音量設定テーブルの複数段階の送話音量設定値が、当該通話端末装置の外部に設けたシステム管理端末装置から変更される。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、通話端末装置が通信回線を介して接続された他の通話端末装置との間の通話中の送話音量を増大させる通話端末装置の送話音量増大方法であって、前記通話端末装置が、通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キーと、通話相手の電話番号を認識する相手電話番号認識手段と、電話番号に対応させて通話音量の変更段階を示す送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブルと、予め設定された送話音量設定値とそれに対応する前記送話音量フラグを記述する送話音量設定テーブルと、前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御手段と、前記相手電話番号を用いて前記送話音量設定値を取得して送話音量制御手段に通知する送話音量設定値取得手段と、通話中に前記送話音量変更キーの押下を監視する送話音量変更監視手段と、を有しており、発信時または着信時に前記相手電話番号認識手段により相手電話番号を取得し、取得した相手電話番号を用いて前記電話番号―送話音量フラグテーブルを参照して相手電話番号に対応した送話音量フラグを取得し、前記取得した相手電話番号の送話音量フラグを用いて前記送話音量設定テーブルから前記送話音量設定値を取得し、前記取得した相手電話番号に対応した送話音量設定値を前記送話音量制御手段に通知し、前記送話音量制御手段が前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御するとともに、通話中に前記送話音量変更キーの押下があったときに前記電話番号−送話音量フラグテーブルの前記相手電話番号に対応した送話音量フラグを変更する。
【0014】
また、本発明は、上記通話端末装置における送話音量増大方法であって、前記送話音量設定テーブルに、予め設定された基準送話音量および最大送話音量ならびに中間送話音量の少なくとも3段階の送話音量設定値とそれぞれの送話音量設定値に対応する前記送話音量フラグが記述される。さらに、本発明は、上記の通話端末装置における送話音量増大方法であって、前記設定された送話音量を通話終了時に初期段階に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記、送話音量変更キーを備えた送話音量制御方法により、ユーザーは通話中に通話相手から声が聞きにくいと言われた場合でも、その場で容易に送話音量を調節することが可能となり、通話中に受話側のその時々の要望にあった送話音量に調節することが可能となる。これにより、ユーザーの発生する声自体が小さい、または通話相手の聴力自体が低いなどの理由で通話相手側の通信端末装置で受話音量を最大に調整しても十分な音量を得られない等の問題も、送話音量を大きく上げることにより解決できる。さらに、通話端末装置におけるメモリの容量の増大を防ぐとともに、送話音量変更処理を簡単かつ容易に実行することができる。さらに、通話中のハンドセットの送話音量を変更しても通話切断をしたときに送話音量の設定を基準送話音量に戻すことによって、次の通話に対しては、送話音量の再設定をしなくても基準送話音量で、次の通話相手との通話が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、通話端末装置に、送話音量を所定の値増大させる送話音量変更キーを設けるとともに、送話音量変更キーの情報として電話番号に対応させて複数段階の送話音量設定値を保持させておき、通話中に1ないし複数回送話音量変更キーを押下した際に、その情報を引き出し、送話音量変更キー押下回数に対応した送話音量の設定値とする。また、複数段階の送話音量設定は保守者が当該通話端末装置の外部に設けたシステム管理端末装置よって任意の値に容易に変更することができる。
【0017】
送話音量変更キーを押下した際に、複数段階のどの送話音量設定の情報を引き出すかは、前回の設定値に対応した送話音量フラグを電話番号に対応させて記憶しておき、この送話音量フラグを用いて送話音量フラグに対応した送話音量設定値を取出して設定する。この送話音量フラグをさらに変更する場合には、送話音量変更キーを押下するたびに送話音量フラグは高く設定され、送話音量フラグが最大時に送話音量変更キーを押下した時にのみ、送話音量フラグは初期段階に戻る。また、通話終了時には、通話時に設定された送話音量の設定は初期段階に戻される。さらに、送話音量設定の段階は、通話端末装置の盤面上に設けた、例えばLEDからなる送話音量表示手段にて可視表示することができる。
【0018】
本発明においては、相手電話番号に関連付けて送話音量の増大を複数段に設定し、送話音量フラグを登録する相手電話番号−送話音量設定テーブルが設けられる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかる通話端末装置を用いた電話交換システムの構成の1例を示す図である。図1において、電話交換システムを構成する回線制御装置1は、通話路スイッチ(SW)11と、通話端末装置との間の接続を制御する複数の専用内線回路(ディジタルライン:DLIN)12と、局線回線,ホットライン,支店回線を収容しそれらを接続制御するためのトランク(TRK)14と、電話交換システム全体を制御する中央制御装置(CC)15と、電話交換システムを制御するためのプログラム,局データ及び各種テーブルを記憶する記憶装置(MM)16を備えている。
【0020】
通話路スイッチ11は、音声信号及び呼制御信号を送受信する接続ケーブル13および専用内線回路12を介して通話端末装置2を収容している。通話端末装置2の画面ページに重要顧客等のオートダイヤルのためキーデータや回線名称データなどの設定値を投入したり修正するためのシステム管理端末装置3が、接続ケーブル13および専用内線回路12を介して通話路スイッチ11に接続されている。
【0021】
中央制御装置15、記憶装置16は、制御系バス17を介して通話路スイッチ11と接続されている。
【0022】
以下、送話音量変更キーを用いた本発明にかかる通話端末装置の構成を、ディーリング通話端末装置を例にとって説明する。
【0023】
このディーリング通話端末装置2は、2回線と同時に通話可能とされた通話端末装置である。図2に示すように、ディーリング通話端末装置2は、盤面に、左右一対の通話用ハンドセット21L,21Rと、回線キー(回線ボタン)22と、プログラマブルファンクションキー23と、固定ファンクションキー24と、テンキー(ダイヤルキー)25と、LCD表示装置26と、スピーカ27と、スピーカ音声調節ボリューム28を有して構成される。さらに、本発明が適用されるディーリング通話端末装置2は、通話用ハンドセット21ごとに送話音量調整用の送話音量変更キー29と送話音量の段階を示す送話音量表示ランプ29Lを設けている。送話音量変更キー29は、固定ファンクションキー24の1つとして設定することができる。
【0024】
回線キー22は、例えば1行7列のキーが5行配列されており、内線、外線、ホットラインなどを登録し、押下することで発着信することができるオートダイヤルキーとして働く。各回線キーにはそれぞれランプが設けられており、着信や通話状態によって回線キーのランプ表示が切り替わり回線状態を確認することができる。表示ランプを有する例えば7個のプログラマブルファンクションキー23には、着信画面切替、話中画面切替などの機能キーが登録される。固定ファンクションキー24は、受話音量調整キー(△)24−1,(▽)24−2、ページ送りキー(NEXT)24−3,ページ戻しキー(BACK)24−4、通話切断キー(CLR)24−5などの機能が固定された機能キーである。テンキー25はダイヤル発信する際に使用するダイヤルボタンである。LCD表示装置26はダイヤル番号や相手先名称を表示する表示手段である。LCD26は、回線キー22のそれぞれに対応して、通話相手の名称や機能キーの内容を表示する。切断時に押下する固定ファンクションキー24の通話切断キー24−5のランプは通話中点灯し、通話切断キー24−5を押下し通話切断され待機状態になるとランプは滅火する。スピーカ27には着信音やハンズフリー通話時に相手先の音声が出力され、スピーカ音声調整ボリューム28にてハンズフリー通話の受話出力を調整できる。
【0025】
送話音量変更用の送話音量変更キー29は、通話用ハンドセット21L,21Rのいずれかのハンドセットで通話中に押下するたびに、システム管理端末装置3により予め設定された例えば3段階の送話音量設定値である基準送話音量、中間送話音量、最大送話音量に送話音量の設定値が切り替わり、最大送話音量時に押下すると送話音量設定は基準送話音量(初期段階)に戻るようになっている。また、送話音量設定の段階は送話音量表示ランプ29Lの輝度や色などを変化させること、もしくは送話音量表示ランプ29Lの点灯や点滅速度の変化によって、可視表示することができる。
【0026】
図3のハードウェア構成ブロック図を用いて、本発明が適用されるディーリング通話端末装置2のハードウェア構成を説明する。図3以降の説明では、ディーリング端末装置の2台の通話用ハンドセットは、同様のハードウェア構成であるため1つの通話用ハンドセットとして示されている。ディーリング通話端末装置2は、少なくとも、通話用ハンドセット21と、回線キー22、ページ送りキー24−3、ページ戻しキー24−4、通話切断キー24−5、送話音量変更キー29などのボタン操作部と、画面ディスプレイ(LCD表示装置)26と、呼制御プロセッサ(MPU)201と、固定記憶装置(ROM)202と、一時記憶装置(RAM)203と、制御バス204と、音声コーデック(CODEC)211と、呼制御メッセージ送受信バッファ205と、音声用のBチャネル212と、データ用のDチャネル207と、キースキャンインターフェース222と、ランプ制御部223と、LCD画面コントローラ261と、受信バッファ206−1と、送信バッファ206−2と、画面メモリ262と、送話音量表示ランプ29Lを有している。
【0027】
端末装置全体を制御する呼制御プロセッサ202は、通常の呼制御などのほかに、図6に示される送話音量設定処理などの本発明に特有の処理を行う。
【0028】
呼制御プロセッサ201には制御バス204を介して、重要顧客等の相手先オートダイヤル情報や回線名称等のデータを含む局データ、すなわち、納入局毎にことなるデータを格納する一時記憶装置203、呼制御プログラムや固定データを記憶する固定記憶装置204、ページ送りキー24−3と回線キー22とページ戻しキー24−4の個々のキーを走査してその開閉を検出するキースキャンインターフェース222、画面コントローラ261などが接続される。
【0029】
固定記憶装置(ROM)202には、呼制御プログラムや固定データが記憶され、一時記憶装置(RAM)203には、回線名称等の局データが記憶される。呼制御プロセッサ201には、回線制御装置1との間で呼制御メッセージの送受信を行う呼制御メッセージ送受信バッファ205が接続され、呼制御プログラムにて制御される。呼制御メッセージ送受信バッファ205には、回線制御装置1に収容される回線の状態を示すメッセージを受信する受信バッファ206−1と、回線制御装置1にディーリング通話端末装置2の操作・状態を示したメッセージを送信する送信バッファ206−2が接続されている。音声は通話用ハンドセット21から音声コーデック211でディジタルに変換され、回線制御装置1のディジタルライン回路12を介して通話路スイッチ11に接続される。
【0030】
一時記憶装置203には、全ての通話における共通受話音量を設定する受話音量設定領域が設けられる。さらに、一時記憶装置203には、オートダイヤルキー群のデータエリアが設けられる。一時記憶装置203には、相手電話番号に関連付けて送話音量フラグを登録する電話番号−送話音量フラグテーブルが設けられる。この電話番号−送話音量フラグテーブルは、オートダイヤルキー群のデータエリアに設けてもよい。さらに、一時記憶装置203には、送話音量フラグに対応した送話音量設定値が登録されている。さらに、本発明においては、一時記憶装置203には、図4に示す送話音量設定テーブルが格納される。
【0031】
送話音量の設定状態を可視表示するためのランプを駆動するランプ制御部223は、制御バス204に接続され、送話音量設定を切り替える送話音量変更キー29と、通話切断および送話音量設定解除のための通話切断キー24−5もキースキャンインターフェース222を介して制御バス204に接続されている。
【0032】
回線制御装置1との間で呼制御メッセージの送受信を行うための呼制御メッセージ送受信バッファ205は、呼制御プログラムにより制御されている。呼制御メッセージ送受信バッファ205には、ISDN基本インタフェースの信号用チャネル(Dチャネル)207を介して、回線制御装置1に収容される回線の状態を示す呼制御メッセージを受信する受信バッファ206−1と回線制御装置に対して端末装置の操作内容などを示す呼制御メッセージを送信する送信バッファ206−2が接続されており、音声は通話用ハンドセット21から音声コーデック211でディジタル変換され、ISDN基本インタフェースの音声、またはデータ用のBチャネル212に接続され、さらに、回線制御装置1の専用内線回路(DLIN)12を介して通話路スイッチ11に接続される。
【0033】
画面ディスプレイ26のディスプレイ部の画面コントローラ261は、画面にグラフィック、あるいはキャラクタ文字(キー枠、回線名称等)を表示するための画面メモリ262と接続されており、画面メモリ262の内容は呼制御プロセッサ201が画面コントローラ261経由で書き込み、画面コントローラ261が画面ディスプレイ表示処理を行う。
【0034】
図4を用いて、ディジタル通話端末装置2に送話音量変更キー29の情報として保持される送話音量設定テーブルの構成の1例を説明する。送話音量設定テーブル203−1には、送話音量設定である標準送話音量(初期送話音量)203−11、中間送話量203−12、最大送話音量203−13が設定され、それぞれの情報には送話音量変更キー29を押下した際に、現在の送話音量設定の情報を判別し、情報を引き出すための送話音量フラグ(ステータス)が割り振られている。また、送話音量設定テーブル203−1は、保守者が当該通話端末装置の外部に設けたデータ管理端末装置3によって任意の値に容易に変更することが可能とされている。送話音量設定テーブル203−1の送話音量段階は3段階に限らず、基準送話音量、最大送話音量の2段階でもよく、中間送話音量の設定をさらに複数に分割して4段階や5段階などの多数段階とすることができる。
【0035】
図5を用いて、本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置の機能構成の1例を説明する。本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置2は、ディーリング通話端末装置の通常の機能構成201−1に加え、通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キー29と、通話相手の電話番号を認識する相手電話番号認識部201−2と、電話番号に対応させて通話音量の変更段階を示す送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブル203−2と、予め設定された基準送話音量および最大送話音量ならびに中間送話音量の少なくとも3段階の送話音量設定値とそれぞれの送話音量設定値に対応する前記送話音量フラグを記述する送話音量設定テーブル203−1と、前記相手電話番号認識手段が認識した相手電話番号により前記電話番号−送話音量フラグテーブル203−2を参照して取得した相手電話番号の送話音量フラグを用いて前記送話音量設定テーブル203−1から前記送話音量設定値を取得して送話音量制御手段201−3に通知する送話音量設定値取得部201−5と、前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御部201−3と、通話中に前記送話音量変更キー29の押下げがあったときに前記電話番号−送話音量フラグテーブル203−2の前記相手電話番号に対応した送話音量フラグを変更する送話音量変更監視部201−4と、前記送話音量設定値の段階を表示する送話音量表示手段29Lとを備えて構成される。
【0036】
上記構成において、前記通常の機能構成201−1と、相手電話番号認識部201−2と、送話音量制御手段201−3と、送話音量変更監視部201−4と、送話音量設定値取得部201−5は、呼制御プロセッサ201の機能によって達成される手段である。
【0037】
前記電話番号−送話音量フラグテーブル203−2と話音量設定テーブル203−1は、一時記憶装置203内に構成される。
【0038】
上記構成において、さらに、相手電話番号認識手段201−2および送話音量制御手段201―3は、ディーリング通話端末装置の通常の機能構成201に設けられる相手電話番号を認識する機能および送話音量を制御する機能を用いることができる。
【0039】
図6を用いて、ディーリング通話端末装置2の固定記憶装置202に記憶されているオンラインプログラムで本発明に関係する送話音量変更キー20の制御とそれに伴う送話音量表示ランプ29Lの制御のプログラムの概要を説明する。
【0040】
送話音量変更キー29の制御プログラムでは、割込制御プログラムS1により各種周期で起動される周期プログラムの一つであるキー制御プログラムが起動される(S2)。キー制御プログラムでは、キー監視を行いキー入力が行われたか否かを判断する(S3)。キー入力が無い場合は、そのまま処理を終了する。キー入力が有る場合は、入力されたキーが送話音量変更キー29か否かの判断を行う(S4)。ステップS4において入力されたキーが送話音量変更キー29と判断した場合には、送話音量変更キー押し処理起動要求を行い(S5)、処理を終了する。その後、実行管理プログラムS6により非周期プログラムの送話音量変更キー制御プログラムS7が起動される。
【0041】
ステップS4において、入力されたキーが送話音量変更キー29でないと判断した場合には、入力されたキーがクリアキー24−5であるか否かの判断を行う(S13)。ステップS13において入力されたキーがクリアキーであると判断した場合には、クリアキー押し処理起動要求を行い(S14)、処理を終了する。ステップS14のクリアキー押し処理起動要求により、実行管理プログラム(S6´)により非周期プログラムのクリアキー制御プログラムが起動される(S15)。
【0042】
キー入力が送話音量変更キーでもクリアキーでもなく、回線No.およびオートダイヤルの場合には、回線キーおよびオートダイヤルと判断しキー制御を行う(S17)。
【0043】
実行管理プログラムのステップS7における送話音量変更キー制御プログラムは、送話音量設定テーブル203−1を参照して現在の送話音量変更キーのステータス(状態)を抽出する(S8)。次いで、抽出した前回の送話音量設定値のステータスが“0”であるか否かを判断する(S9)。ステップS9において、前回のステータスが“O”であれば、今回はステータス“1”を設定し(S10)、コーデック制御により、図4に示す送話音量設定テーブルのステータス“1”から中間送話音量の情報を引き出し送話音量の設定値とする(S10)。次に、ランプ緑点灯のオーダを確保して(S12)、送話音量表示ランプ29Lの制御が実行される(S16)。すなわち、中間送話音量の設定は送話音量表示ランプ29Lが緑点灯で可視表示される(S12)。
【0044】
前回のステータスが“0”でなく、ステップS9´において前回のステータスが“1”であれば、今回はでステータス“2”を設定し(S10´)、コーデック制御により、図4に示す送話音量設定テーブルのステータス“2”から最大送話音量の情報を引き出し、送話音量の設定値とする(S11´)。次に、ランプ赤点灯のオーダを確保して(S12´)、送話音量変更キーランプ29Lの制御が実行される(S16)。すなわち、最大送話音量の設定は送話音量表示ランプ29Lが赤点灯で可視表示される。
【0045】
前回のステータスが“0”および“1”でなく、ステータスが“2”であれば(S9´´)、今回はステータス“0”を設定し(S10´´)、コーデック制御により、図4に示す送話音量設定テーブルのステータス“0”から初期(標準)送話音量の情報を引き出し送話音量の設定値とする(S11´´)。次に、ランプ滅火のオーダを確保して(S12´´)、送話音量表示ランプ29Lの制御が実行される(S16)。すなわち、初期(標準)送話音量の設定は送話音量表示ランプ29Lが滅火で可視表示される。
【0046】
ステップS15のクリアキー制御プログラムでは、前回のステータスに関係なく、ステータス“0”を設定し(S10´´)、コーデック制御により、図4に示す送話音量設定テーブルのステータス“0”から初期(標準)送話音量の情報を引き出し、送話音量の設定値とする(S11´´)。その後、ランプ滅火のオーダを確保して(S12´´)、送話音量表示ランプ29Lが滅火で可視表示される(S16)。また、図5には記載していないが、この時同時に通話は切断される。
【0047】
この制御により、ユーザーが送話音量変更キー29を押下するたびに、送話音量は予め設定された中間送話音量、最大送話音量、初期(標準)送話音量に切り替わり、送話音量の段階はそれに伴ってランプ緑点灯、ランプ赤点灯、ランプ点滅で可視表示される。また、通話終了時のクリアキー押下時は、送話音量設定が初期(標準)送話音量に解除され、ランプは滅火する。
【0048】
上記の本発明の実施例では、ディーリング通話端末装置の左右のハンドセットを限定せずに説明したが、それぞれのハンドセットを利用して通話している場合に制御されるものであり、両方のハンドセットを利用して同時に2つの通話を行っている場合には、両方のハンドセットの送話音量を変更する。また、通話用ハンドセット21L,21Rはそれぞれ音声ミュートスイッチ(図示せず)を備えており、音声ミュートスイッチがONの場合には、ハンドセットからの送話を停止し、通話相手の音声の受話のみを行う。この状態を利用して、音声ミュートスイッチがONされていないハンドセット(音声ミュートスイッチがOFF)の送話音量を調整するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明にかかる通話端末装置を用いた電話交換システムの構成の1例を示す図。
【図2】本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置の盤面構造を説明する図。
【図3】本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置のハードウェア構成を説明するブロック図。
【図4】本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置の送話音量設定テーブルの構成の例を説明する図。
【図5】本発明の実施例にかかるディーリング通話端末装置の機能構成を説明する機能ブロック図。
【図6】送話音量変更キー制御とそれに伴う送話音量表示ランプを制御するプログラムの概略を説明するフロチャート。
【符号の説明】
【0050】
1…回線制御装置、2…通話端末装置(ディーリング通話端末装置)、3…システム管理端末装置、11…通話路スイッチ、12…専用内線回路(ディジタルライン)、13…接続ケーブル、14…トランク、15…中央制御装置(CC)、16…記憶装置(MM)、17…制御系バス、21…通話用ハンドセット、22…回線キー、23…プログラマブルファンクションキー、24…固定ファンクションキー、24−1,24−2…受話音量調整キー、24−3…ページ送りキー、24−4…ページ戻しキー、24−5…通話切断キー“CLRKEY”、25…テンキー(ダイヤルキー)、26…LCD表示装置、27…スピーカ、28…スピーカ音量調節ボリューム、29…送話音量変更キー、29L…送話音量表示ランプ、201…呼制御プロセッサ、201−1…ディーリング通話端末装置の通常機能構成、201−2…相手電話番号認識部、201−3…送話音量制御部、201−4…送話音量変更監視部、201−5…送話音量設定値取得部、202…固定記憶装置、203…一時記憶装置、203−1…送話音量設定テーブル、203−11…基準送話音量設定値(初期送話音量設定値)、203−12…中間送話音量設定値、203−13…最大送話音量設定値、203−2…電話番号−送話音量フラグテーブル、204…制御バス、205…呼制御メッセージ送受信バッファ、206−1…受信バッファ、206−2…送信バッファ、207…Dチャンネル、211…音声コーデック、212…Bチャンネル、222…キースキャンインターフェース、223…ランプ制御部、261…LCDコントローラ、262…画面メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して接続された他の通話端末装置との間で通話する通話端末装置であって、
通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キーと、
通話相手の電話番号を認識する相手電話番号認識手段と、
電話番号に対応させて通話音量の変更段階を示す送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブルと、
予め設定された基準送話音量および最大送話音量ならびに中間送話音量の少なくとも3段階の送話音量設定値とそれぞれの送話音量設定値に対応する前記送話音量フラグを記述する送話音量設定テーブルと、
前記相手電話番号認識手段が認識した相手電話番号により前記電話番号−送話音量フラグテーブルを参照して取得した相手電話番号の送話音量フラグを用いて前記送話音量設定テーブルから前記送話音量設定値を取得して送話音量制御手段に通知する送話音量設定値取得手段と、
前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御手段と、
通話中に前記送話音量変更キーの押下があったときに前記電話番号−送話音量フラグテーブルの前記相手電話番号に対応した送話音量フラグを変更する送話音量変更監視手段と、
を備えたことを特徴とする通話端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の通話端末装置であって、
前記送話音量設定値の段階を表示する送話音量表示手段と
を備えたことを特徴とする通話端末装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通話端末装置であって、
前記送話音量制御手段が通話終了時に前記送話音量設定値を初期段階に戻す機能を有する
ことを特徴とする通話端末装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の通話端末装置であって、
前記送話音量設定テーブルの複数段階の送話音量設定値が、当該通話端末装置の外部に設けたシステム管理端末装置から変更される
ことを特徴とする通話端末装置。
【請求項5】
通話端末装置が通信回線を介して接続された他の通話端末装置との間の通話中の送話音量を増大させる通話端末装置の送話音量増大方法であって、
前記通話端末装置が、
通話中の送話音量の変更を指示する送話音量変更キーと、
通話相手の電話番号を認識する相手電話番号認識手段と、
電話番号に対応させて通話音量の変更段階を示す送話音量フラグを記述する電話番号−送話音量フラグテーブルと、
予め設定された送話音量設定値とそれに対応する前記送話音量フラグを記述する送話音量設定テーブルと、
前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御する送話音量制御手段と、
前記相手電話番号を用いて前記送話音量設定値を取得して送話音量制御手段に通知する送話音量設定値取得手段と、
通話中に前記送話音量変更キーの押下を監視する送話音量変更監視手段と、
を有しており、
発信時または着信時に前記相手電話番号認識手段により相手電話番号を取得し、
取得した相手電話番号を用いて前記電話番号―送話音量フラグテーブルを参照して相手電話番号に対応した送話音量フラグを取得し、
前記取得した相手電話番号の送話音量フラグを用いて前記送話音量設定テーブルから前記送話音量設定値を取得し、
前記取得した相手電話番号に対応した送話音量設定値を前記送話音量制御手段に通知し、
前記送話音量制御手段が前記送話音量設定値に基づいて送話音量を制御するとともに、
通話中に前記送話音量変更キーの押下があったときに前記電話番号−送話音量フラグテーブルの前記相手電話番号に対応した送話音量フラグを変更する
ことを特徴とする通話端末装置における送話音量増大方法。
【請求項6】
請求項5に記載の通話端末装置における送話音量増大方法であって、
前記送話音量設定テーブルに、予め設定された基準送話音量および最大送話音量ならびに中間送話音量の少なくとも3段階の送話音量設定値とそれぞれの送話音量設定値に対応する前記送話音量フラグが記述される
ことを特徴とする通話端末装置における送話音量増大方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の通話端末装置における送話音量増大方法であって、
前記設定された送話音量を通話終了時に初期段階に戻す
ことを特徴とする通話端末装置における送話音量増大方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−141806(P2010−141806A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318450(P2008−318450)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】