説明

速度測定装置

【課題】 速度測定装置を低消費電力化する。
【解決手段】 速度検出部20により、マイクロ波を放射すると共に反射したマイクロ波を受波し、受波したマイクロ波から速度に対応する情報を検出する。道路情況推定部21により、速度検出部20の検出結果を参照し、測定対象道路の情況を推定する。道路情況推定手段21の推定結果を参照し、測定対象道路の情況に対応させて速度検出部20を間欠的に駆動する。速度検出部20を間欠的に駆動することにより、低消費電力化が可能となり、その間欠的な駆動を道路の情況に対応させることにより、速度測定が不完全になることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を利用して車両の移動速度を測定するマイクロ波速度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行する車両の速度を測定する装置には、所定の距離を車両が移動する時間を計測し、その計測結果から車両の速度を計算するものがあったが、このような装置では、前記移動時間を測定するために道路に所定の距離を有する領域を設定しなくてはならず、簡単に測定ができなかった。また、測定場所も自由に変更できなかった。
【0003】
これに対し、近年では、特許文献1の段落(0002)に示されるようなマイクロ波を用いた速度測定装置が開発され、測定が簡単になると共に、測定装置を移動するだけで、任意の場所での測定が可能になっている。
【特許文献1】特開2002−323554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロ波を用いる速度測定装置にバッテリを搭載し、バッテリで駆動するようにすると、速度測定装置の利便性が飛躍的に向上する。
しかしながら、バッテリを速度測定装置に搭載しても、バッテリの容量によって測定可能な時間が制限されるという問題があった。
バッテリを搭載せずに、商用電源で駆動する場合でも、長期間測定することにより、電力消費が嵩むという問題があった。
【0005】
本発明は、このような現状を鑑みてなされた発明であり、速度測定装置の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の観点に係る速度測定装置は、
測定対象道路を走行する車両の速度をマイクロ波を用いて測定する速度測定装置であって、
前記マイクロ波を放射すると共に前記車両から反射したマイクロ波を受波し、その受波したマイクロ波から前記速度に対応する情報を検出する速度検出手段と、
所定時間内での前記速度検出手段の検出結果を参照し、前記測定対象道路の情況を推定する道路情況推定手段と、
前記道路情況推定手段の推定結果を参照し、前記測定対象道路の情況に対応させて前記速度検出手段を間欠的に動作させる間欠駆動手段と、
を備えることを特徴する。
【0007】
このような構成を採用したことにより、速度検出手段の検出結果に基づいて測定対象道路の情況を推定し、その推定結果に対応させて速度検出手段を間欠的に動作させることができる。そのため、消費電力を低減できる。
【0008】
尚、前記速度検出手段を動作させる周期について設定した複数のパターンを記憶する記憶手段を有し、前記間欠駆動手段が前記複数のパターンから前記推定結果に基づいて1つのパターンを選択し、この選択したパターンに基づいて前記速度検出手段を間欠的に動作させてもよい。
【0009】
また、前記測定対象道路の情況として、前記道路情況推定手段が前記測定対象道路におけるその時点の単位時間当たりの交通量を推定してもよい。
また、前記測定対象道路に前記車両が進入する他の道路があるかないかを検出する他道路検出手段を備え、
前記道路情況推定手段の推定結果と前記他道路検出手段の検出結果とを参照して前記間欠駆動手段が前記速度検出手段を間欠的に動作させてもよい。
【0010】
この場合、所定時間内での前記速度検出手段の検出結果から、前記他道路検出手段が、他の道路があるかないかを検出してもよい。
【0011】
或いは、前記他道路検出手段は、地図情報を記憶する手段を有し、事前に入力された情報と該地図情報とから前記他の道路があるかないかを検出してもよい。
また、前記速度検出手段により前記車両が検出されたときに前記速度検出手段を前記間欠駆動手段による間欠動作から所定時間だけ常時動作に切り替える制御手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定対象道路の情況に応じた間欠的測定が可能となり、低消費電力な速度測定装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る速度測定装置の構成図である。
この速度測定装置は、測定対象道路R1を走行する車両1の速度を測定する装置であり、マイクロ波センサ(センサ)10とCPU(Central Processing Unit)11とを備えている。
【0014】
マイクロ波センサ10には、マイクロ波を送受波するアンテナ部12が具備され、マイクロ波センサ10は、マイクロ波を車両1に放射すると共に、受波した反射波からドップラー信号を取得する。
【0015】
マイクロ波センサ10に、増幅回路13が接続され、増幅回路13にA/D変換回路14が接続されている。A/D変換回路14は、アナログ信号をデジタル信号に変化する。
【0016】
A/D変換回路14は、CPU11に接続されている。
CPU11には、メモリ15と、計時用のタイマカウンタ16と、パルスカウンタ17とが接続されると共に、マイクロ波センサ10に対して制御信号を送る構成になっている。
【0017】
図2は、図1の速度測定装置の概要を示す機能ブロック図である。
図1の速度測定装置は、機能を展開すると、図2のような速度検出部20と、道路情況推定部21と、他道路検出部22と、間欠駆動部23とを備えたことになる。
【0018】
速度検出部20は、マイクロ波を放射すると共に車両1から反射したマイクロ波を受波し、その受波したマイクロ波から車両1の速度に対応する情報を検出する手段である。
道路状況推定部21は、速度検出部20に接続され、所定時間内での速度検出部20の検出結果を参照し、測定対象道路R1の情況を推定する手段である。
【0019】
他道路検出部22は、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があるかないかを検出する手段である。
【0020】
間欠駆動部23は、道路情況検出部20及び他道路検出部22に接続され、これらの検出結果を参照し、測定対象道路R1の情況に対応させて速度検出部20を間欠的に動作させる手段である。
【0021】
次に、速度測定装置の動作を説明する。
速度測定装置は、アンテナ部12が測定対象道路R1の所望の位置を向くように設置され、電源が投入される。電源としては、例えばバッテリでもよいし、商用電力でもよい。
【0022】
電源が投入された速度測定装置では、CPU11が制御信号をマイクロ波センサ10に送り、マイクロ波センサ10を電源で駆動させる。
【0023】
図3は、制御信号のパターンを示す図である。
マイクロ波センサ10に与える制御信号には、例えばパターン1,パターン2,パターン3,パターン4,パターン5の複数のパターンがあり、メモリ15に記憶されている。これらのパターン1〜5では、制御信号に含まれるパルスの周期が異なる。CPU10は、電源投入時に例えばパルス幅の長いパターン1の制御信号をマイクロ波センサ10に与える。パルスの区間に、マイクロ波センサ10に電源からエネルギーが供給されて駆動される。
【0024】
駆動したマイクロ波センサ10は、アンテナ部12を介してマイクロ波を放射する。測定対象道路R1を車両1が走行していれば、車両1により、マイクロ波が反射され、反射波がアンテナ部12を介してマイクロ波センサ10に受波される。
【0025】
マイクロ波センサ10に受波された反射波は、走行中の車両1の速度に応じて周波数の変化したドップラー信号である。ドップラー信号は、増幅回路13で増幅され、A/D変換回路14で、デジタル信号に変換されてCPU11に入力される。CPU11は、デジタル信号に変換されたドップラー信号から車両1の速度を求める。
【0026】
以上の処理を所定時間継続し、車両1の速度の計測結果を蓄積する。
所定時間が経過したとき、CPU11は蓄積した計測結果を参照し、測定対象道路R1の情況を推定する。計測結果の蓄積から、測定対象道路R1の例えば単位時間当たり交通量が推定できる。
【0027】
CPU11は、また、蓄積した計測結果から、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があるかないかを検出する。
【0028】
CPU11は、推定した交通量及び他の道路があるかないかの検出結果を参照し、制御信号のパターンを選択する。交通量が多い場合には、例えばパルスの周期の短い制御信号を選択し、交通量が少ない場合には、パルスの周期の長い制御信号を選択する。ただし、交通量が少なくても、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があることが検出されている場合には、パルスの周期の短い制御信号を選択する。
【0029】
CPU11は、選択した制御信号をマイクロ波センサ10に与える。
制御信号が与えられたマイクロ波センサ10は、制御信号に含まれるパルスの期間に駆動される。即ち、間欠的に駆動され、間欠的にマイクロ波を放射する。CPU11は、設定された制御信号で間欠的にマイクロ波センサ10を駆動しているときに車両1を検出すると、マイクロ波センサ10を間欠的駆動から常時駆動に切り替えるようにしてもよい。これにより、車両1の速度の計測期間を十分に取り、計測精度を確保する。この場合、CPU11は、マイクロ波センサ10を常時駆動に切り替えた後の所定期間に車両1を検出しないと、マイクロ波センサ10を常時駆動から直前の制御信号による間欠的駆動に切り替える。これにより、消費電力を抑えつつ、車両1の速度を精度よく計測可能とする。ここでいう常時駆動への切替は、例えば、図3のパターン1に示す最もパルス幅の長い制御信号への切替により実現してもよい。
【0030】
CPU11は、選択した制御信号を所定時間継続してマイクロ波センサ10に与え、車両1の速度の計測結果を蓄積する。
所定時間が経過した後、CPU11は蓄積した計測結果を参照し、測定対象道路R1の情況を推定し、その結果に基づいて次の制御信号のパターンを選択する。
【0031】
以上のように、本実施形態の速度測定装置では、マイクロ波センサ10を駆動して車両1の速度を計測する処理を所定時間継続し、その測定から測定対象道路R1の情況を推定し、情況に応じてマイクロ波センサ10を間欠駆動するので、測定対象道路R1の情況に適した測定をできると共に、低消費電力化を実現できる。マイクロ波センサ10を間欠駆動するために車両1の速度測定が不完全になることが防止される。
【0032】
また、制御信号を選択する際に、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があるかないかの検出結果を参照するので、他の道路から急に車両1が進入した場合でも、その車両1の速度も測定できる。
【0033】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の制御信号のパターンでは、パルスの周期を変化させたが、パルスの幅を変化させてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があるかないかの検出を速度測定の結果から求めているが、例えば地図情報をメモリ15に記憶させておき、事前に測定対象道路R1を決めてその情報入力することにより、地図情報から、測定対象道路R1に車両1が進入する他の道路があるかないかを検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る速度測定装置を示す構成図である。
【図2】図1の速度測定装置の機能ブロック図である。
【図3】制御信号のパターンを示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
10 マイクロ波センサ
11 CPU
12 アンテナ部
13 増幅回路
14 A/D変換回路
15 メモリ
16 タイマカウンタ
17 パルスカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象道路を走行する車両の速度をマイクロ波を用いて測定する速度測定装置であって、
前記マイクロ波を放射すると共に前記車両から反射したマイクロ波を受波し、その受波したマイクロ波から前記速度に対応する情報を検出する速度検出手段と、
所定時間内での前記速度検出手段の検出結果を参照し、前記測定対象道路の情況を推定する道路情況推定手段と、
前記道路情況推定手段の推定結果を参照し、前記測定対象道路の情況に対応させて前記速度検出手段を間欠的に動作させる間欠駆動手段と、
を備えることを特徴する速度測定装置。
【請求項2】
前記速度検出手段を動作させる周期について設定した複数のパターンを記憶する記憶手段を有し、前記間欠駆動手段が前記複数のパターンから前記推定結果に基づいて1つのパターンを選択し、この選択したパターンに基づいて前記速度検出手段を間欠的に動作させることを特徴とする請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項3】
前記測定対象道路の情況として、前記道路情況推定手段が前記測定対象道路におけるその時点の単位時間当たりの交通量を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の速度測定装置。
【請求項4】
前記測定対象道路に前記車両が進入する他の道路があるかないかを検出する他道路検出手段を備え、
前記道路情況推定手段の推定結果と前記他道路検出手段の検出結果とを参照して前記間欠駆動手段が前記速度検出手段を間欠的に動作させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の速度測定装置。
【請求項5】
所定時間内での前記速度検出手段の検出結果から、前記他道路検出手段が前記他の道路があるかないかを検出することを特徴とする請求項4に記載の速度測定装置。
【請求項6】
前記他道路検出手段には、地図情報を記憶する手段が設けられ、事前に入力された情報と該地図情報とから前記他の道路があるかないかを検出することを特徴とする請求項4に記載の速度測定装置。
【請求項7】
前記速度検出手段により前記車両が検出されたときに前記速度検出手段を前記間欠駆動手段による間欠的動作から所定時間だけ常時動作に切り替える制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の速度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−285447(P2006−285447A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102371(P2005−102371)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(396004981)セイコープレシジョン株式会社 (481)
【Fターム(参考)】