説明

造粒方法及び造粒装置

【課題】ペレットの製造コストを低減することができる造粒方法及び造粒装置を提供する。
【解決手段】ダイス106の孔から押出された被処理媒体を循環箱109に内在するカッタ刃により切断するとともに、切断されたペレットをペレット冷却輸送水(PCW)により冷却しつつ循環箱109から搬送するアンダーウォーターカット(UWC)装置107を用いた造粒方法であって、造粒を開始する前に、PCWを循環させるとともに、カッタ刃を回転させながらダイス106に押し当てた後にPCWの循環を停止し、PCWを排出して循環箱109に所定量のPCWを貯留させ、循環箱109に貯留したPCWを69℃以上の温度に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UWC装置(アンダーウォーターカット)により成形加工されたペレットを冷却しつつ搬送する造粒方法及び造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、プラスチック可塑化混練押出造粒機100の一例を示す側面図である。図5に示すプラスチック可塑化混練押出造粒機100は、プラスチック可塑化混練機101、ダイバータバルブ102、ギヤポンプ103、溶融プラスチック濾過装置104、ダイホルダ105、ダイス106、ペレット成形加工装置(アンダーウォーターカット(UWC)装置)107を備える。
【0003】
プラスチック可塑化混練機101は固体プラスチックを可塑化混練する装置である。ダイバータバルブ102は、プラスチック可塑化混練機101により可塑化混練された溶融プラスチックを排出する装置であり、溶融プラスチックの流路を系外排出側またはギヤポンプ103側に切り替えることができる。ギヤポンプ103は溶融プラスチックを輸送する装置で、輸送先の機器で発生する高い圧損に対し、高い昇圧能力を有する。
【0004】
溶融プラスチック濾過装置104は溶融プラスチック中に含まれる固体不純物を濾過する装置である。ダイホルダ105は溶融プラスチック濾過装置104とダイス106とを連結する部品であり、その内部には濾過された溶融プラスチックをダイス106に設けられた多数の孔に誘導する流路が形成されている。ダイス106は濾過された溶融プラスチックをスパゲティ状に成形する部品であり、多数の孔が円周状に配列されている。
【0005】
UWC装置107はダイス106に接続されており、後述する循環箱を備える。循環箱にはペレット冷却輸送水(PCW)が循環している。UWC装置107は、ダイス106の孔から連続的に押し出されたスパゲティ状の溶融プラスチックを循環箱内で回転しているカッタ刃により、細かい粒(ペレット)に成形加工する。
【0006】
次に、プラスチック可塑化混練押出造粒機100の動作について説明する。図5において、固体プラスチックはプラスチック可塑化混練機101に供給され、加熱冷却可能なバレルからの熱エネルギと、内蔵されているスクリュ101aがモータ及び減速機により回転することにより与えられるせん断エネルギを受けて可塑化溶融される。可塑化溶融したプラスチックは、プラスチック可塑化混練機101に内蔵されているスクリュ101aの搬送機能により下流装置であるダイバータバルブ102へ搬送される。搬送された溶融プラスチックは、ダイバータバルブ102を介して、ギヤポンプ103により溶融プラスチック濾過装置104、ダイホルダ105及び後述するダイス孔を経てUWC装置107へ搬送される。
【0007】
図6は、UWC装置107のペレット加工時における断面図(内面透視図)である。図6には、ダイホルダ105、ダイス孔108を備えるダイス106、UWC装置107、ペレット116、溶融プラスチック117、ペレット冷却輸送水(PCW)118が示されている。
【0008】
UWC装置107は、循環箱(水室)109、移動台車110、モータ(M)111、カッタ軸112、カップリング113、カッタホルダ114、カッタ刃115、前進圧制御器119、後退圧制御器120、隙間測定器121及び板122を備える。
【0009】
UWC装置107はモータ111の起動によりカッタ軸112が回転する。それと同時にカッタホルダ114を介してカッタ軸112に固定されているカッタ刃115が円周方向に回転運動を始める。カッタ刃115は、前進圧制御器119や後退圧制御器120が備える不図示の油圧ユニットや空気圧ユニットにより前進後退する。ダイス106とカッタ刃115との隙間は、カッタ軸112に間接的に固定された板122とハウジング122aに固定された隙間測定器121により確認することができる。
【0010】
ダイス孔108から押し出された溶融プラスチック117は、カッタ刃115によりペレット状に切断され、PCW118が循環している循環箱109内に成形加工される。また、ダイス106は加熱媒体(スチーム、熱油、電気ヒータ等)により加熱される。UWC装置107は図示しない油圧装置を有し、これにより循環箱109とダイス106とを締結することが出来る。
【0011】
図7は、従来の造粒装置200の一例を示す系統図である。造粒装置200は、ダイス106、UWC装置107、脱水スクリーン123、遠心脱水機124、PCWタンク125、PCWポンプ126、三方弁127、PCW流量検知器128、PCWタンク内温度検知器129、PCW温度検知器130、PCW圧力検知器131、手動開閉ドレインバルブ132を備える。
【0012】
PCW118はPCWポンプ126により造粒装置200内を循環する。UWC装置107で成形加工されたペレット116は、循環箱109内のPCW118で冷却されるとともに脱水スクリーン123に輸送され、脱水スクリーン123及び遠心脱水機124によりPCW118が分離されてペレット状の製品となる。
【0013】
PCW118の流量はPCW流量検知器128で検知され、不図示のPCW流量調整バルブにより調整される。また、PCWタンク125内のPCW118の温度は、PCWタンク内温度検知器129により検知され、不図示のPCW温度制御システムにより設定温度になるように調整管理される。循環しているPCW118の温度はPCW温度検知器130により検知される。ペレット成形加工時のPCW118の圧力はPCW圧力検知器131により検知される。
【0014】
このような造粒装置200において、ペレット成形加工を開始する場合、以下に示す手順が必要となる。
【0015】
(1)UWC装置107をダイス106から分離し、ダイス106を加熱媒体で十分加熱する。
(2)プラスチック可塑化混練機101を起動し、ダイバータバルブ102から溶融プラスチック117を系外に排出して、プラスチック可塑化混練機101内の掃除(パージ)をする。
(3)ギヤポンプ103を起動し、ダイバータバルブ102をギヤポンプ103側に切り替え、溶融プラスチック117がダイス孔108から均一に押し出されることを確認する。
(4)ダイバータバルブ102を系外排出側に切り替え、ギヤポンプ103を停止する(この状態では、ダイバータバルブ102から溶融プラスチック117が排出されている状態である)。
(5)ダイス孔108から溶融プラスチック117が排出されない状態になるまで待ち、ダイス106のカッティング面を素早く清掃し、UWC装置107をダイス106と接続する。
(6)UWC装置107のモータ111を起動し、カッタ刃115を回転させる。
(7)回転しているカッタ刃115をダイス106に接触させる。
(8)PCW118がPCWポンプ126によりバイパス側で循環させている状態から、三方弁127を切り替えてUWC装置107の循環箱109に供給するようにする。
(9)ギヤポンプ103を起動し、ダイバータバルブ102をギヤポンプ103側に切り替え、溶融プラスチック117をダイス孔108から押出し、ペレット116を成形加工する。
(10)成形加工されたペレット116を、PCW118により脱水スクリーン123や遠心脱水機124に輸送し、ペレット116に付着したPCW118が取り除かれる。
【0016】
前述の手順中の(7)、(8)及び(9)の操作において、PCW118がダイス106およびダイス孔108に存在する溶融プラスチック117を冷却して固化させてしまい、溶融プラスチック117が押出されない問題があった。また、溶融プラスチック117がダイス孔108から押出されたとしても、溶融プラスチック117がカッタ刃115に巻きつく問題があった。これらを回避するために、溶融プラスチック117がダイス孔108から押し出される前にカッタ刃115をダイス106に接触させるとともに、PCW118がダイス孔108に到達してダイス孔108を冷却する前に溶融プラスチック117を押出す手段が挙げられる。
【0017】
しかし、前述の造粒装置200では、1系列の装置の処理量は50t/h程度であった。このため、ダイス孔108が目詰まりなく良好な形状のペレット116を成形加工可能な処理量は、概ね25t/h程度で設計されている。25t/h未満になると、溶融プラスチック117からダイス孔108に伝達される熱エネルギが不足し、ダイス106表面からPCW118により奪われる熱エネルギによりダイス孔108の温度が低下し、ダイス孔108内で溶融プラスチック117が固化してしまう。
【0018】
このため、造粒開始時の処理量として25t/hで起動することが望ましいが、前記造粒開始手順の(4)及び(5)において、ダイバータバルブ102から多量の溶融プラスチック117が排出されるため、それを廃棄処理するのに多数の人員が必要となり、且つ多量のプラスチックが廃棄される状態であった。又、狭い場所に多勢の作業者が集中し、慌しく作業する状況になっていた。更に足下も多量の水、溶融プラスチック117で覆われているため足場が悪く、安全面からも好ましくない。
【0019】
近年では、1系列の装置の処理量が70t/h以上のニーズがあり、上記内容を考慮すると、造粒開始の処理量は35t/h以上となってしまい、廃棄処理が一層困難となるとともに廃棄される溶融プラスチック117の量も多量になる。また、多量の溶融プラスチック117をペレット成形加工するため、UWC装置107が大型化するとともに、循環箱109の直径も大きくなり、循環箱109の入り口(底面)から出口(天井面)までのPCW118が充満するまでの時間が延びてしまう。そのため、ダイス106から溶融プラスチック117を押し出すタイミングとPCW118がダイス106下部に到着するタイミングを調整することが困難となり、ペレット成形加工が困難となる。
【0020】
例えば、バイパスラインで60℃に加熱されたPCW118を用いてペレット成形加工する場合、PCW118が循環箱109の下部に到達するころには、冷えた配管で冷却されPCW118が60℃未満に低下する。そして、そのPCW118がダイス106の下部に位置するダイス孔108の下端部近傍に到達していない時点でダイス106から溶融プラスチック117を押し出すとダイス106上部から押し出された溶融プラスチック117がカッタ刃115に巻き付き、ペレット116を成形加工できないトラブルが発生する。
【0021】
一方、循環箱109がそのPCW118で満たされた時点でダイスから溶融プラスチック117を押し出すと、特にダイス106の下部が冷えているため、ダイス106下部のダイス孔108に存在する溶融プラスチック117が固化し目詰まりが発生してしまう。目詰まりが発生すると、ペレット116の形状が不揃いになり、ダイス106から押し出される溶融プラスチック117の押出しスピードが上がり、長いペレット116が形成され歩留まりが低下する。また、目詰まりの発生率が高まるとダイス106の圧損が増加し、設計圧力を超えてしまうため、所定の処理量で運転できないトラブルも発生する。
【0022】
そこで、このようなペレット成形加工時の問題を解消するため、循環箱109内のPCW118の温度を検出する検出部と、ダイス106により加熱される循環箱109内のPCW118が沸騰しないように、循環箱109内のPCW118の温度を制御する制御部とを備えた造粒装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0023】
この装置では、循環箱109内にPCW118を貯留し、循環箱109内でPCW118を沸騰させないように加熱制御するとともに、ダイス106を均一に温めてダイス孔108に存在するプラスチックを溶融させている。ダイス106はプラスチックを溶融させるため、200〜250℃で加熱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平11−179724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかし、ダイス106表面では、PCW118の部分的な沸騰は避けられず、ダイス106から少なからずPCW118の蒸発潜熱により熱が奪われ、ダイス106の温度の均一化が困難である。また、循環箱109内では、ダイス106近傍付近とダイス106から離れた位置でPCW118の温度に差が生じ易く、PCW118を加熱している間はPCW118の温度差によるPCW118の流動作用のみでしか循環箱109内のPCW118を攪拌することができない。このため、PCW118の温度を上げてダイス106を均一に温めるには多くの時間を費やしていた。このため、ダイス106を短時間で均一に温めて作業効率を改善し、最終的な製造コストを抑える要望があった。
【0026】
また、循環箱109がPCW118で充満された後、PCW118の供給を止めて循環箱109内のPCW118を加熱しているが、加熱するPCW118の量を一定に保つことができずペレット成形加工の開始時間がばらついてしまう。このため、作業効率が悪化しコスト高を招いていた。
【0027】
また、ダイス106近傍に滞留しダイス106を均一に温める溶融プラスチック117が自重によりダイス106から排出してしまい、排出された溶融プラスチック117がカッタ刃115に巻き付いたり、カッタ刃115がダイス106と接触することを妨げたりするため、ペレット成形加工が困難であった。このため、カッタ刃115を成形加工が可能な状態に戻すための時間を費やし、ペレット116の製造コストが高騰することになっていた。
【0028】
また、前述の造粒装置200では、造粒を開始するまで溶融プラスチック117を排出せざるをえないため、溶融プラスチック117の廃棄処理に人員を要してしまうとともに、多量の溶融プラスチック117を廃棄しなければならず、安全上の問題及び製造コストが嵩む問題があった。
【0029】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ペレットの製造コストを低減することができる造粒方法及び造粒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述した課題を解決するため、本発明は、ダイスの孔から押出された被処理媒体を循環箱に内在するカッタ刃で切断することにより造粒するとともに、該切断されたペレットをペレット冷却輸送水(PCW)により冷却しつつ循環箱から搬送するアンダーウォーターカット(UWC)装置を用いた造粒方法であって、前記造粒を開始する前に、前記PCWを循環させるとともに、前記カッタ刃を回転させながら前記ダイスに押し当てた後に前記PCWの循環を停止し、前記PCWを排出して前記循環箱に所定量のPCWを貯留させ、前記循環箱に貯留した前記PCWを69℃以上の温度に加熱する。
【0031】
また、前記循環箱の上面と接続されている上部PCW配管に、少なくとも1個のPCW加熱温度検知器と、該PCW加熱温度検知器より上方に少なくとも2個のレベル検知器とを装備し、前記循環箱の底面に接続されている下部PCW配管に自動開閉ドレインバルブを装備するとともに、前記少なくとも2個のレベル検知器のうち、少なくとも1個のレベル検知器を他のレベル検知器より上方に配置し、前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記自動開閉ドレインバルブを開放し、前記少なくとも2個のレベル検知器によりPCWの水位を調整し、前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器によりPCWの温度を管理する。
【0032】
また、前記下部PCW配管にPCW圧力検知器を装備するとともに、前記カッタ刃を前後進させる前進圧制御器及び後退圧制御器とを装備し、前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃とダイスとの接触力を調整する。
【0033】
また、前記PCWを69℃以上の温度に加熱して前記PCWを循環させる際、前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃とダイスとの接触力を調整する。
【0034】
また、前記少なくとも2個のレベル検知器の間隔を1m以下にする。
【0035】
また、前記下部PCW配管の前記循環箱に近い側から、前記自動開閉ドレインバルブ、手動開閉ドレインバルブの順に、各々を直列に配置する。
【0036】
また、前記ペレットを循環箱から搬送した後、前記PCWの循環を継続して該PCWの温度を低下させる。
【0037】
また、前記ペレットを循環箱から搬送した後、前記ダイスを加熱している加熱媒体が前記ダイスに流れないようにして、前記ダイスを前記PCWで冷却し、前記UWC装置と前記ダイスとを切り離すことなく前記UWC装置を待機させる。
【0038】
また、本発明は、ダイスの孔から押出された被処理媒体を循環箱に内在するカッタ刃で切断することにより造粒するとともに、該造粒されたペレットをペレット冷却輸送水(PCW)により冷却しつつ循環箱から搬送するアンダーウォーターカット(UWC)装置を備えた造粒装置であって、前記造粒を開始する前に、前記PCWを循環させるとともに、前記カッタ刃を回転させながら前記ダイスに押し当てた後に前記PCWの循環をバイパス側に切り換えるための三方弁と、前記PCWを排出して所定量のPCWを貯留する前記循環箱と、前記循環箱に貯留した前記PCWを69℃以上の温度に加熱するダイスとを備える。
【0039】
また、前記循環箱の上面と接続されている上部PCW配管に設けられた、少なくとも1個のPCW加熱温度検知器及び少なくとも2個のレベル検知器と、前記循環箱の底面に接続されている下部PCW配管に接続された自動開閉ドレインバルブとを備え、前記少なくとも2個のレベル検知器が前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器の上方に配置されるとともに、少なくとも1個のレベル検知器が他のレベル検知器より上方に配置されており、前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記自動開閉ドレインバルブを開放し、前記少なくとも2個のレベル検知器によりPCWの水位を調整し、前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器によりPCWの温度を管理する第1の制御部とを備える。
【0040】
また、前記下部PCW配管に備えられたPCW圧力検知器と、前記カッタ刃を前後進させる前進圧制御器及び後退圧制御器と、前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃とダイスとの接触力を制御する第2の制御部とを備える。
【0041】
また、前記第2の制御部は、前記PCWを69℃以上の温度に加熱して前記PCWを循環させる際、前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃とダイスとの接触力を制御する。
【0042】
また、前記少なくとも2個のレベル検知器の間隔が1m以下である。
【0043】
また、前記下部PCW配管の前記循環箱に近い側から、前記自動開閉ドレインバルブ、手動開閉ドレインバルブの順に、各々が直列に配置されている。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、ペレットの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施の形態に係る造粒装置の一例を示す図である。
【図2】実施例1〜4、比較例1及び2の結果を示す表である。
【図3】実施例5、6、比較例3及び4の結果を示す表である。
【図4】ダイス孔開口率のPCW加熱温度依存性を示す図である。
【図5】プラスチック可塑化混練押出造粒機の一例を示す側面図である。
【図6】アンダーウォーターカット(UWC)装置のペレット加工時における断面図(内面透視図)である。
【図7】従来の造粒装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、前述の従来技術と同じ符号については説明を省略する。
【0047】
図1は、本実施の形態に係る造粒装置1の一例を示す系統図である。図1に示すように、造粒装置1は、PCW加熱温度検知器3、上部レベル検知器4、下部レベル検知器5、自動開閉ドレインバルブ6、制御システム(第1の制御部)7、制御システム(第2の制御部)8、ダイス106、UWC装置107、脱水スクリーン123、遠心脱水機124、PCWタンク125、PCWポンプ126、三方弁127、PCW流量検知器128、PCWタンク内温度検知器129、PCW温度検知器130、PCW圧力検知器131、手動開閉ドレインバルブ132を有する。
【0048】
PCW加熱温度検知器3、上部レベル検知器4及び下部レベル検知器5は、UWC装置107の上面と接続されている配管(以下、上部PCW配管と称する)に設けられている。これらの機器は、UWC装置107に近い側からPCW加熱温度検知器3、下部レベル検知器5、上部レベル検知器4の順に設けられている。
【0049】
PCW加熱温度検知器3は、ダイス106で加熱された循環箱109内のPCW118の温度を検知する。なお、ダイス106は、前述のように不図示の加熱媒体により200〜300℃に加熱されている。
【0050】
下部レベル検知器5は、循環箱109にPCW118を充満させる観点から、循環箱109の最上部より高い位置に設置されている。上部レベル検知器4は、自動開閉ドレインバルブ6及び手動開閉ドレインバルブ132のPCW排出速度に基づいて、PCW118の貯蔵量をほぼ一定に保つ観点から、下部レベル検知器5から1m以内の上部位置に設けることが好ましい。1mより高い位置に設置すると各々のレベル検知器4及び5の間隔が大きくPCW118の貯蔵量がばらつくため、一定時間でPCW118を温めることができない。
【0051】
自動開閉ドレインバルブ6は、循環箱109の底面と接続されている配管(以下、下部PCW配管と称する)と手動開閉ドレインバルブ132との間に設けられ、手動開閉ドレインバルブ132と直列に連結されている。自動開閉ドレインバルブ6は、制御システム7によりバルブの開閉が制御されている。尚、手動開閉ドレインバルブ132は、運転前の準備段階から運転終了までの間は常時開を基本としている。しかしながら、安全性をより重視する場合は、PCW排出作業時以外は閉めておくことが好ましい。但し、この場合、PCW排出作業時には必ず手動開閉ドレインバルブ132を開くことが必須である。
【0052】
制御システム7及び8は、不図示のCPU(Central Processing Unit)及び不図示のメモリを備える。制御システム7は、上部レベル検知器4、下部レベル検知器5及び自動開閉ドレインバルブ6と接続されており、各々のレベル検知器4及び5からの情報に基づいて自動開閉ドレインバルブ6の開閉を制御する。
【0053】
制御システム8は、PCW圧力検知器131、図6に示す前進圧制御器119及び後退圧制御器120、又は、前進圧制御器119及び後退圧制御器120のどちらか一方と接続されている。制御システム8は、PCW圧力検知器131から得られた圧力に基づいて前進圧制御器119及び後退圧制御器120、又は、前進圧制御器119及び後退圧制御器120のどちらか一方を制御し、図6に示すカッタ刃115とダイス106との接触力を調整する。
【0054】
次に、本実施の形態におけるペレット116の製造方法について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、図5に示すプラスチック可塑化混練押出造粒機100及び図6に示すUWC装置107を構成する部材を用いることがある。
【0055】
まず、UWC装置107をダイス106から分離し、ダイス106を熱油等の加熱媒体で十分加熱する。次に、図5に示すプラスチック可塑化混練機101を起動し、ダイバータバルブ102から溶融プラスチック117を系外に排出し、プラスチック可塑化混練機101内の掃除(パージ)をする。
【0056】
図5に示すギヤポンプ103を起動し、ダイバータバルブ102をギヤポンプ103側に切り替え、溶融プラスチック117が図6に示すダイス孔108から均一に押し出されることを確認する。
【0057】
次に、図5に示すダイバータバルブ102を系外排出側に切り替え、プラスチック可塑化混練機101及びギヤポンプ103を停止する。なお、この状態では、ダイバータバルブ102から溶融プラスチック117が排出されていない状態である。そして、図6に示すダイス孔108から溶融プラスチック117が排出しない状態になるまで待ち、ダイス106のカッティング面を素早く清掃しUWC装置107を搭載する台車110をダイス106側に移動させ、循環箱109をダイス106に接続する。
【0058】
続いて、1.UWC装置107のモータ111を起動してカッタ刃115を回転させた後、2.回転しているカッタ刃115をダイス106に接触させる。PCW118が図1に示すPCWポンプ126によりバイパス側で循環させている状態から、3.三方弁127を切り替えてUWC装置107の循環箱109に供給する。尚、上記順序の3を最初に行い、続いて1、2の順に行ってもよい。
【0059】
PCW118が循環し始めた後、三方弁127をバイパス側に切り替えてPCW118の循環を停止する。そして、制御システム7は、上部レベル検知器4からPCW118が充満状態である検知結果を取得している間、自動開閉ドレインバルブ6を開放してPCW118を排出させる。
【0060】
制御システム7は、上部レベル検知器4からPCW118が空である検知結果を取得すると、自動開閉ドレインバルブ6を閉じPCW118の排出を停止させ、PCW118を循環箱109にほぼ一定量貯留させる。なお、制御システム7は、自動開閉ドレインバルブ6を閉じる際、下部レベル検知器5からPCW118が充満状態である検知結果を取得することが必要となる。これは、PCW118の水位が下部レベル検知器5より高く上部レベル検知器4より低い場合に、ほぼ一定量のPCW118が循環箱109に貯留されたことになるためである。
【0061】
その後、循環箱109内のPCW118がダイス106からの吸熱により69℃以上に加熱するまで待機する。ここで、手動開閉ドレインバルブ132を閉じておけば、万一自動開閉ドレインバルブ6に異常が発生して開放されたとしても、循環箱109内のPCW118の量をほぼ一定に保持することができるので、より一層安全である。また、待機している間、カッタ刃115は回転し続けている。このため、循環箱109内のPCW118はカッタ刃115により攪拌されて均一に温められる。本実施の形態ではダイス106の表面を均一に温めることができるため、PCW118が沸騰してもよい。又、カッタ刃115は常時ダイス106表面に当たった状態で連続回転しているので、時間の経過と共にダイス孔108からにじみ出た溶融プラスチック117がカッタ刃115にまとわり着くことも防ぐことができる。
【0062】
なお、PCW118を加熱している間、循環箱109内のPCW118の温度は、下部レベル検知器5より低い位置に設けられているPCW加熱温度検知器3により管理されている。
【0063】
また、PCW118を所定量にまで排出する際、UWC装置107の下部PCW配管に設置されているPCW圧力検知器131は、PCW118の水頭が上部レベル検知器4と下部レベル検知器5との間に在る箇所のPCW118の圧力を検知する。
【0064】
ここで、PCW118を排水すると造粒装置1内のPCW118の水位が低下し、循環箱109内の圧力が低下するので、カッタ刃115をダイス106表面から引き離そうとする力が減少する。その結果、ダイス106とカッタ刃115との接触力が高まり、カッタ刃115がダイス106との摩擦力により磨耗する速度が高まる。そこで、制御システム8は、この増加を抑制するためにPCW圧力検知器131から検知された圧力をフィードバックし、前進圧制御器119及び後退圧制御器120、又は、前進圧制御器119及び後退圧制御器120のどちらか一方を制御してダイス106とカッタ刃115との適正な接触力を自動調整する。又、この調整は圧力媒体以外にバネ力、或いは磁気力を用いることも可能である。以下では圧力媒体に依る調整のみの場合について記載する。
【0065】
自動調整の際、制御システム8は、従来技術と同様の方法により前進圧力を自動制御する場合に前進圧力を低下させ、後退圧力を自動制御する場合に後退圧力を増加させる。この調整により、ダイス106とカッタ刃115との接触力が低下し、カッタ刃115の過度な磨耗を抑制することができる。
【0066】
具体的には、図6に示すUWC装置107は、カッタ軸112の同軸上且つ回転自在に保持する不図示のスリーブと、カッタ軸112を内蔵するハウジング122aとを備える。また、スリーブとハウジング122aとの隙間には圧力媒体を供給するための不図示の空隙を備える。制御システム8は、図1に示すP2及びP3で各々の空隙の圧力を検知するとともに、前進圧制御器119や後退圧制御器120で空隙の圧力を制御することにより、カッタ刃115とダイス106との接触力を調整することができる。
【0067】
また、制御システム8は、PCW加熱温度検知器3から取得した検知結果により69℃以上まで上昇したことを認識した後、不図示のシステムにその旨を通知する。不図示のシステムは、造粒開始条件が整ったという合図を発する。
【0068】
その後、図5に示すプラスチック可塑化混練機101を起動し、溶融プラスチック117を系外に排出させる。そして、三方弁127をパイパス側からUWC装置107側に切り替えPCW118をUWC装置107の循環箱109に供給する。
【0069】
ここで、PCW118が造粒装置1内での循環が開始されるとPCW118の水位が上昇して循環箱109内のPCW118の圧力が増加し、ダイス106とカッタ刃115との接触力が低下する。そこで、制御システム8は、PCW圧力検出器131により検知された循環箱109内のPCW118の圧力をフィードバックし、図6に示すカッタ刃115を前進圧制御器119及び後退圧制御器120、又は、前進圧制御器119及び後退圧制御器120のどちらか一方により自動調整する。
【0070】
自動調整の際、制御システム8は、前進圧力を自動制御する場合に前進圧力を増加させ、後退圧力を自動制御する場合に後退圧力を減少させる。この調整により、ダイス106とカッタ刃115との接触力が所定値に保持されるため、カッタ刃115が後退しペレット成形加工ができなくなるというトラブルを防止することができる。
【0071】
最後に、図5に示すギヤポンプ103を起動し、ダイバータバルブ102をギヤポンプ103側に切り替え、溶融プラスチック117を図6に示すダイス孔108から均一に押出し、カッタ刃115によりペレット成形加工を開始する。成形されたペレット116を循環するPCW118により脱水スクリーン123や遠心脱水機124に搬送し、PCW118とペレット116を分離してペレット116を製造する。
【0072】
このように、本実施の形態における造粒方法は、PCW118を循環箱109に貯留して温めている間、プラスチック可塑化混練機101を停止するため、溶融プラスチック117の廃棄量を大幅に低減して廃棄処理作業を短縮することができる。従って、ペレット116の製造コストを低減させることができる。
【0073】
また、ダイス106とUWC装置107とを接続した後、直ちにUWC装置107のカッタ刃115を回転させるため、ダイス106から少量の溶融プラスチック117が排出されていてもカッタ刃115によりダイス106表面の溶融プラスチック117の清掃除去が行われることになる。このため、ペレット成形加工時の溶融プラスチック117がカッタ刃115に巻き付いたり、カッタ刃115がダイス106と接触することを妨げたりすることがなく、ペレット成形加工を開始するまでの時間を短縮することができる。従って、製造時間が短縮しペレット116の製造コストを抑えることができる。
【0074】
また、循環箱109内に貯留されたPCW118がダイス106の表面から吸熱する際、カッタ刃115が回転することにより、ダイス106の表面で沸騰したPCW118を強制的に攪拌することができるため、短時間でダイス106表面を均一に温めることができる。従って、製造時間が短縮しペレット116の製造コストを抑えることができる。
【0075】
また、上部レベル検知器4及び下部レベル検知器5を利用して、循環箱109に貯留し加熱されるPCW118の量をほぼ一定量に保持することができるため、ペレット成形加工の開始時間を均一にすることができる。従って、作業効率が向上しコストの低下が可能になる。
【0076】
また、PCW118を造粒装置1から適正量だけ排出することにより、循環箱109内のPCW118の圧力が低下するため、ダイス孔108から溶融プラスチック117が均一に押出され易く、均一な長さのペレット116を成形加工することができる。従って、ペレット116の歩留まりが向上しペレット116の製造コストを抑えることができる。
【0077】
さらに、従来の造粒装置のように、循環箱109内のPCW118が沸騰しないように制御する制御部が不要であるため、簡単なシステムで造粒することが可能となる。また、少人数でペレット116の成形加工を行うことができるために間接費を低減し、ペレット116の製造コストを抑えることが可能となる。
【0078】
本実施の形態における造粒方法ではPCW118の循環とカッタ刃115による切断とを異なるタイミングで行っているが、これらの動作を同時に行ってもよい。また、図1では制御システム7や8を別々のシステムとして記載しているが、一つの制御システムでこれらの制御を行うような形態であってもよい。より簡単な工程及び装置で造粒を行うことができるためである。
【0079】
また、カッタ刃115の自動圧力制御は、PCW118の循環とともに徐々に上昇するPCW118の圧力を制御システム8に常にフィードバックをかけ調整してもよい。また、予めPCW118が循環している時のPCW118の圧力が分かっている場合には、三方弁127がUWC装置107側に切り替え、PCW118が循環箱109に供給されると同時に制御システム8で所定の圧力に調整し、カッタ刃115が後退しないようにしてもよい。
【0080】
また、造粒が終了しペレット成形加工を停止させる際、PCW118の循環を継続し、ダイス106を加熱している加熱媒体をダイス106に流れ込まないようにしてもよい。PCW118の循環によりダイス106が冷却するため、ダイス孔108に充満している溶融プラスチック117が冷却されて溶融プラスチック117の流出を抑制する。従って、UWC装置107をダイス106から分離することなく造粒を再開することができるため、UWC装置107をダイス106に接続する手間を省くことができる。
【0081】
また、本実施の形態ではレベル検知器を2個備える態様について説明したが、3個以上備えてもよい。また、本実施の形態ではPCW加熱温度検知器3を1個備える態様について説明したが、2個以上備えてもよい。PCW118の水位の変化や温度の変化を詳細に検知することができるため、循環箱109に貯留されるPCW118の状態をより安定させることが可能になる。
【0082】
また、本実施の形態では被処理媒体として溶融プラスチック117を用いた造粒方法について説明したが、合成ゴム等の造粒に適用することもできる。
【実施例】
【0083】
1.種々の造粒方法を用い、流動性(MFR:melt flow rate)の異なる種々の樹脂を造粒し、ダイス孔開口率を調査した。
(実施例1)
本実施の形態の造粒方法により本実施の形態の造粒装置を用いてダイス孔の開口率を測定した。溶融プラスチックの原料、UWC装置、ダイス、ダイス加熱温度、カッタ刃数、初期PCW温度、処理量、カッタ刃回転速度及びダイス直前上流側樹脂温度を以下に示す条件で評価を行った。
【0084】
溶融プラスチックの原料:ポリプロピレン
(MFR=0.25(230℃、2.16kg荷重))
UWC装置:株式会社日本製鋼所製 ADC−10型
ダイス:ヒートチャンネルダイス(孔径:φ2.5mm、孔数:24個)
ダイス加熱温度:300℃(オイル加熱、熱媒加熱装置の設定値)
カッタ刃数:6枚
初期PCW温度:60℃
処理量:380kg/h
カッタ刃回転数:2200rpm
ダイス直前上流側樹脂温度:213℃
【0085】
PCW温度が60℃から85℃まで上昇した後に造粒を開始した。なお、本実施例におけるダイス孔開口率は以下に示す式を用いて算出した。
【0086】
【数1】

【0087】
上記式中、ペレット重量については、成形加工したペレットを無作為に50粒採取し、その重量を測定して、ペレット1粒あたりの平均重量を計算する。そして、この測定を2度実施し、1度目と2度目との計算結果の平均値をペレット重量とした。この結果を図2に示す。なお、図2中、造粒方法Aは、本実施の形態に係る造粒方法を示す。
【0088】
(実施例2〜4)
ポリプロピレンのMFR値及びダイス直前上流側樹脂温度を図2に示す条件とした他は実施例1と同様の条件で造粒を行い、ダイス孔開口率を評価した。なお、実施例3では、実施例2の評価終了後UWC装置をダイスから分離せずにポリプロピレンの押出しを停止し、PCWを規定値まで排出して再度実施例2と同じ条件でペレットを評価した。これらの結果を図2に示す。
【0089】
(比較例1及び2)
PCWを循環箱で加熱することなく、60℃のPCWを10m3/hの流量で造粒装置内に循環させた状態で図2に示す条件とした他は、実施例1と同様の条件で造粒を行い、ダイス孔開口率を評価した。これらの結果を図2に示す。なお、図2中、造粒方法Bは、前述の条件における従来の造粒方法を示す。
【0090】
図2より、本発明に係る造粒方法を用いることにより、MFR=0.25〜8までのポリプロピレンにおいて、ダイス孔が目詰まりすることなく開口率100%で造粒することができた。さらに、実施例1と比較例1とを比較すると、MFRが低い樹脂を用いてダイス直前上流側樹脂温度を低くした条件下においても、ダイス孔開口率が100%で造粒することができた。
【0091】
2.造粒開始直前の循環箱中のPCW温度とダイス孔開口率との関係を調査した。
(実施例5)
溶融プラスチックの原料、UWC装置、ダイス、ダイス加熱温度、カッタ刃数、初期PCW温度、PCW加熱温度、処理量、カッタ刃回転数及びダイス直前上流側樹脂温度を以下に示す条件に設定した他は、実施例1と同様の方法で造粒してダイス孔の開口率を測定した。この結果を図3に示す。
【0092】
溶融プラスチックの原料:ポリプロピレン(MFR=5(230℃、2.16kg荷重))
UWC装置:株式会社日本製鋼所製 ADC−10型
ダイス:ヒートチャンネルダイス(孔径:φ2.5mm、孔数:56個)
ダイス加熱温度:300℃(オイル加熱、熱媒加熱装置の設定値)
カッタ刃数:4枚
初期PCW温度:60℃
PCW加熱温度:69℃
処理量:570kg/h
カッタ刃回転数:2100rpm
ダイス直前上流側樹脂温度:194℃
【0093】
(実施例6、比較例3及び4)
PCW加熱温度を図3に示す値に設定した他は実施例5と同様の条件で造粒を行い、ダイス孔開口率を評価した。これらの結果を図3及び4に示す。
【0094】
図3及び4より、PCW加熱温度を69℃以上に加熱することにより、ダイス孔開口率は89%以上まで上昇した。ここで、通常、機械は要求能力に対し10%程度の許容を持った設計をしているため、ダイス孔開口率が概ね90%以上であれば、要求能力を達成することができる。従って、MFRが5を示すポリプロピレンの場合、機械能力はPCW加熱温度を69℃以上にすることで達成される。
【符号の説明】
【0095】
1 造粒装置、3 PCW加熱温度検知器、4 上部レベル検知器、5 下部レベル検知器、6 自動開閉ドレインバルブ、7 制御システム(第1の制御部)、8 制御システム(第2の制御部)、106 ダイス、107 アンダーウォーターカット(UWC)装置、108 ダイス孔、109 循環箱、115 カッタ刃、119 前進圧制御器、120 後退圧制御器、131 PCW圧力検知器、132 手動開閉ドレインバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイスの孔から押出された被処理媒体を循環箱に内在するカッタ刃で切断することにより造粒するとともに、該切断されたペレットをペレット冷却輸送水(PCW)により冷却しつつ循環箱から搬送するアンダーウォーターカット(UWC)装置を用いた造粒方法であって、
前記造粒を開始する前に、
前記PCWを循環させるとともに、前記カッタ刃を回転させながら前記ダイスに押し当てた後に前記PCWの循環を停止し、
前記PCWを排出して前記循環箱に所定量のPCWを貯留させ、
前記循環箱に貯留した前記PCWを69℃以上の温度に加熱する
ことを特徴とする造粒方法。
【請求項2】
前記循環箱の上面と接続されている上部PCW配管に、少なくとも1個のPCW加熱温度検知器と、該PCW加熱温度検知器より上方に少なくとも2個のレベル検知器とを装備し、前記循環箱の底面に接続されている下部PCW配管に自動開閉ドレインバルブを装備するとともに、前記少なくとも2個のレベル検知器のうち、少なくとも1個のレベル検知器を他のレベル検知器より上方に配置し、
前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、
前記自動開閉ドレインバルブを開放し、
前記少なくとも2個のレベル検知器によりPCWの水位を調整し、
前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器によりPCWの温度を管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の造粒方法。
【請求項3】
前記下部PCW配管にPCW圧力検知器を装備するとともに、前記カッタ刃を前後進させる前進圧制御器及び後退圧制御器とを装備し、
前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、
前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃がダイスと接触している力を調整することを特徴とする請求項2に記載の造粒方法。
【請求項4】
前記PCWを69℃以上の温度に加熱して前記PCWを循環させる際、
前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃がダイスと接触している力を調整することを特徴とする請求項3に記載の造粒方法。
【請求項5】
前記少なくとも2個のレベル検知器の間隔を1m以下にすることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の造粒方法。
【請求項6】
前記下部PCW配管の前記循環箱に近い側から、前記自動開閉ドレインバルブ、手動開閉ドレインバルブの順に、各々を直列に配置することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の造粒方法。
【請求項7】
前記ペレットを循環箱から搬送した後、
前記PCWの循環を継続して該PCWの温度を低下させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の造粒方法。
【請求項8】
前記ペレットを循環箱から搬送した後、
前記ダイスを加熱している加熱媒体が前記ダイスに流れないようにして、前記ダイスを前記PCWで冷却し、
前記UWC装置と前記ダイスとを切り離すことなく前記UWC装置を待機させることを特徴とする請求項7に記載の造粒方法。
【請求項9】
ダイスの孔から押出された被処理媒体を循環箱に内在するカッタ刃で切断することにより造粒するとともに、該造粒されたペレットをペレット冷却輸送水(PCW)により冷却しつつ循環箱から搬送するアンダーウォーターカット(UWC)装置を備えた造粒装置であって、
前記造粒を開始する前に、前記PCWを循環させるとともに、前記カッタ刃を回転させながら前記ダイスに押し当てた後に前記PCWの循環をバイパス側に切り換えるための三方弁と、
前記PCWを排出して所定量のPCWを貯留する前記循環箱と、
前記循環箱に貯留した前記PCWを69℃以上の温度に加熱するダイスと
を備えることを特徴とする造粒装置。
【請求項10】
前記循環箱の上面と接続されている上部PCW配管に設けられた、少なくとも1個のPCW加熱温度検知器及び少なくとも2個のレベル検知器と、
前記循環箱の底面に接続されている下部PCW配管に接続された自動開閉ドレインバルブとを備え、
前記少なくとも2個のレベル検知器が前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器の上方に配置されるとともに、少なくとも1個のレベル検知器が他のレベル検知器より上方に配置されており、
前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記自動開閉ドレインバルブを開放し、前記少なくとも2個のレベル検知器によりPCWの水位を調整し、前記少なくとも1個のPCW加熱温度検知器によりPCWの温度を管理する第1の制御部と
を備えることを特徴とする請求項9に記載の造粒装置。
【請求項11】
前記下部PCW配管に備えられたPCW圧力検知器と、
前記カッタ刃を前後進させる前進圧制御器及び後退圧制御器と、
前記循環箱に所定量のPCWを貯留させる際、前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃がダイスと接触している力を制御する第2の制御部と
を備えることを特徴とする請求項10に記載の造粒装置。
【請求項12】
前記第2の制御部は、
前記PCWを69℃以上の温度に加熱して前記PCWを循環させる際、
前記PCW圧力検知器により検知された圧力に基づいて、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器、又は、前記前進圧制御器及び前記後退圧制御器のどちらか一方により前記カッタ刃がダイスと接触している力を制御する
ことを特徴とする請求項11に記載の造粒装置。
【請求項13】
前記少なくとも2個のレベル検知器の間隔が1m以下であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の造粒装置。
【請求項14】
前記下部PCW配管の前記循環箱に近い側から、前記自動開閉ドレインバルブ、手動開閉ドレインバルブの順に、各々が直列に配置されていることを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の造粒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−240494(P2011−240494A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111657(P2010−111657)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】