説明

遊技機制御用マイクロコンピュータ、照合装置、遊技機および遊技機の不正発見方法

【課題】正規の遊技機制御用マイクロコンピュータが遊技の動作に関与しているか否かを確認することで、違法な装置による不正行為を発見する。
【解決手段】照合装置から遊技機制御用マイクロコンピュータに対して検査信号を出力し、遊技機制御用マイクロコンピュータの内部のレジスタ回路に検査フラグをセットし、この検査フラグがセットされると、遊技機制御用マイクロコンピュータ内部に格納された所定のユーザプログラムに基づき、図柄表示部の液晶画面に「検査済み」の表示をさせたり、検査済みである旨を音声やランプにより伝えたりすることで、正規の遊技機制御用マイクロコンピュータ遊技に関与しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合装置を利用した遊技機に対する不正発見の方法、およびその不正発見のために使用する遊技機制御用マイクロコンピュータや照合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、パチスロと呼ばれる遊技機は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の規制の下にあり、機械の製造・販売に際しても、第三者検査機関である(財)保安電子通信技術協会(以下、保通協という)の型式試験を受け、試験に適合した機種のみ、各県の公安委員会の検定を受けた上で、遊技場に設置可能になる。遊技機を制御するプログラムについても、保通協の型式試験の際に検査され、適合を受けた遊技機のプログラム以外は、遊技場に設置する遊技機に使用することはできないことになっている。
【0003】
遊技機を制御するプログラムは、遊技機制御用マイクロコンピュータ(以下チップという)のユーザROMと呼ばれる不揮発性メモリに格納され、このプログラムが、遊技機において、大当たりの抽選や、入賞時の出玉の制御、液晶画面やランプおよび音声などの遊技にともなう演出の制御をつかさどっている。
【0004】
遊技機に対する不正行為には、ユーザROM内の遊技機を制御するプログラムを書き換えて、出玉や大当たり回数などを不正に操作するということが過去に行われることがあった。その対策として、セキュリティチェック機能と呼ばれるユーザROM内のプログラムが改ざんされるとCPUの動作を停止する機能を有しているチップが開発され、正規チップのユーザROM内のプログラムを不正なプログラムに書き換えることは著しく困難になり、このチップが採用されて以降、同様の手口による不正行為は発生していない。
【0005】
不正を行う者は、正規チップと外見が酷似した偽造チップを製造し、主基板上の正規チップと交換する不正行為や、正規の主基板やチップはそのままにしつつ、遊技機内のどこか見つけにくい場所に違法な装置を取り付け、ハーネスを切断するなどして正規チップを遊技に関与させずに違法な装置による制御を行う不正行為を行うこともある。
【0006】
偽造チップによる不正に対しては、チップ内に固有のID番号を格納し、このID番号が正規の番号か否かにより、チップの正否を判別することが可能となっている。さらに、チップの真贋を判定する照合機と呼ばれる装置があり、この装置により前述のID番号の照合やプログラムの正否から真贋判定を行うことが可能となっている。なお、照合機はチップと固有の通信行うことでも照合判定を行っている。また、正規チップが遊技に関与しているか否かに対しては、現状存在する照合機においてはその行為を判定することが困難であるため、実際の現場においては遊技機内のハーネスを目視で確認するなどして、発見する方法がとられているが、特開2000−107425号のように遊技機外部の不正検出手段によって、外部出力端子からの信号を利用して電気的に発見する発明も公開されている。
【特許文献1】特開2000−107425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、従来の照合機ではチップが遊技への関与に係わっているか否か、すなわち正規チップ以外の違法部品による不正な制御が行われているか否かの判定が困難であるため、目視によるハーネスや基板の検査が必要な点である。
また、従来公開されている技術では特賞発生状態の監視を利用した場合、特賞状態に至る確率を考慮したとき短時間での検出が難しい点や、不正検出手段が比較に利用する外部出力端子からの信号と制御回路からの信号が機種ごとに信号を解析し不正検出手段を開発しなければならず、現実的ではない点がある。
さらに、従来技術ではチップと不正検出手段の間の通信の秘匿性が高いとは言えず、高度なセキュリティが要求される遊技機の不正検出に際して実現が難しい点も問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1では、遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、CPUと独立して動作し、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路を備える遊技機制御用マイクロコンピュータであって、外部装置から照合通信回路に指令が入力されたとき、検査フラグをセットまたはリセットするレジスタ回路に検査フラグがセットされているとき、ユーザプログラム内の検査済み状態を表示させるプログラムを実行することを特徴とするもので、請求項2では、検査済み状態を表示させるプログラムは、遊技機の図柄表示制御回路、ランプ点灯回路または音声回路の少なくともいずれかひとつに対して検査済みであることの表示または発音を行わせる検査済み信号を出力するプログラムであることを特徴とする。また、請求項3では検査済みであることの表示は、遊技機の図柄表示装置、遊技機のリールまたは補助図柄を特定の図柄表示、例えば液晶画面に「検査済み」の文字を実際に表示させたり、パチスロのリールを「777」等の特定の図柄にさせたりすることで表示することを特徴とする。
【0009】
請求項4では、遊技機制御用マイクロコンピュータと照合通信を行う照合通信回路と、照合通信回路の照合通信結果から、遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを照合する照合回路を備える照合装置であって、照合通信回路は、照合回路が遊技機制御用マイクロコンピュータを正規のものと判定したとき、遊技機制御用マイクロコンピュータのレジスタ回路に検査フラグをセットまたはリセットするための検査信号を出力することを特徴とする。
【0010】
請求項5では、遊技機制御用マイクロコンピュータと遊技機外部の装置と通信を行うために設けられた照合通信用コネクタを搭載する主基板と、大当たりや確率変動などの遊技の演出を行う図柄表示制御回路を搭載する図柄表示制御基板と、図柄表示制御基板からの制御信号により遊技演出の表示を行う図柄表示装置を備えた遊技機であって、遊技機制御用マイクロコンピュータは、遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路と、照合通信回路から検査信号が入力されたとき、検査フラグをセットするレジスタ回路を備え、図柄表示制御回路は、検査済み図柄記憶回路を備え、レジスタ回路に検査フラグがセットされたとき、図柄表示制御回路に検査済み信号を出力し、図柄表示制御回路に検査済み信号が入力されたとき、検査済み図柄記憶回路内に記憶される図柄を図柄表示装置に表示することを特徴とする。
【0011】
請求項6では、遊技機制御用マイクロコンピュータと遊技機外部の装置と通信を行うために設けられた照合通信用コネクタを搭載する主基板と、大当たりや確率変動などの遊技の演出にともなう音声を発する音声回路と、大当たりや確率変動などの遊技の演出にともなうランプを点灯するランプ点灯回路を備えた遊技機であって、遊技機制御用マイクロコンピュータは、遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、前記ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路と、照合通信回路から検査信号が入力されたとき、検査フラグをセットするレジスタ回路を備え、レジスタ回路に検査フラグがセットされたとき、ランプ点灯回路または音声回路に対して検査済み信号を出力し、ランプ点灯回路または音声回路は、検査済み信号が入力されると、検査済みを表す所定のパターンによりランプ点灯または発音を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7では、照合装置により遊技機に不正が行われているか否かを検査する遊技機の不正発見方法であって、遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを判定するために照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータが照合通信を行うステップと、照合通信により遊技機制御用マイクロコンピュータが正規と判定されたとき、照合装置が、検査信号を出力し、遊技機制御用マイクロコンピュータ内のレジスタに検査フラグをセットするステップと、遊技機制御用マイクロコンピュータが、検査フラグのセットを確認したとき、図柄表示制御回路に検査済み信号を出力するステップと、図柄表示制御回路が検査済み信号の入力を確認したとき、図柄表示装置に検査済み図柄を表示するステップとからなることを特徴とする。
【0013】
請求項8では、照合装置により遊技機に不正が行われているか否かを検査する遊技機の不正発見方法であって、遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを判定するために照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータが照合通信を行うステップと、照合通信により遊技機制御用マイクロコンピュータが正規と判定されたとき、照合装置が、検査信号を出力し、遊技機制御用マイクロコンピュータ内のレジスタに検査フラグをセットするステップと、遊技機制御用マイクロコンピュータが、検査フラグのセットを確認したとき、検査済みを表す所定のパターンによりランプ点灯または発音を行うステップからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、従来の照合機での判別が困難な不正行為において、正規のチップが遊技を行っているのか、違法な装置が遊技を行うために動作しているのかを判別することが可能になる。
遊技機メーカにおいてはユーザプログラムに「検査済み」であることを図柄表示画面やランプや音声などで伝える手順を追加するだけなので、遊技機メーカへの負担も比較的少なく、機種ごとに信号を解析して照合機を開発する必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
正規チップが遊技を行っているのか、違法な装置が遊技を行うために動作しているのかの判定を照合装置から検査信号を出力し、これを受けた遊技機が検査結果を表示や音声で出力することにより実現した。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の概要を表す図である。1はパチンコやパチスロといった遊技機であり、主基板2、図柄表示制御基板5、音声回路8、ランプ点灯回路9などで構成されている。主基板2は、遊技機1の主な制御をつかさどるメイン基板であり、遊技機を制御するためのユーザプログラムを格納する遊技機制御用マイクロコンピュータ3(以下チップ3という)を搭載するとともに、照合装置10との通信を行うための照合用コネクタ4が取り付けられている。
図柄表示制御基板5は、図柄表示制御回路6を搭載し、液晶画面などでできた図柄表示部7の制御を行うもので、音声回路8やランプ点灯回路9などと同じく、主基板2のチップ3からの制御信号に基づき、遊技の演出を行う。
照合装置10は、照合装置制御回路11を内蔵し、通信ケーブル12経由でコネクタ13を介して主基板2に接続し、照合を行う装置である。
【0017】
本発明は、照合装置10からチップ3に対して検査信号を出力し、チップ3の内部のレジスタ回路に検査フラグをセットし、この検査フラグがセットされると、チップ3内部に格納された所定のユーザプログラムに基づき、図柄表示部の液晶画面に「検査済み」の表示をさせたり、検査済みである旨を音声やランプにより伝えたりするものである。
なお、本実施例では、図柄表示に液晶画面を想定しているが、本発明において「検査済み」を表示する部分はこれに限定されるものではなく、パチスロにおいて当たり図柄を表示するリールや、予告図柄などを表示する補助図柄表示装置であってもよい。
【0018】
図2は、本発明の主基板2に搭載されるチップ3の構成を表すブロック図である。CPU31はチップ3の中央処理装置であり、各デバイスの制御や指令を行う。32はユーザモードと呼ばれる通常の遊技の演出を行うための記憶回路で、ユーザROM33は遊技機メーカが開発するユーザプログラムやユーザプログラムの正否を確認するためのセキュリティチェックコードなどが格納される不揮発性メモリであり、ユーザRAM34はユーザROMの作業領域として使用される一時記憶回路である。35は、電源立ち上げなどのブート時のチップ制御を行うための記憶回路で、ブートROM36にブートプログラムが格納され、ブートRAM37はその作業領域としての一時記憶回路として使用される。
【0019】
検査レジスタ38は、照合通信回路40経由で検査信号が入力されたとき、検査フラグをセットするための回路である。この検査レジスタ38に検査フラグがセットされたことをCPU31で動作するユーザプログラムが認識すると、ユーザプログラム内にあらかじめ格納されている「検査済み」を表す演出を行うためのプログラムを実行し、そのプログラムに従い、表示または音声の指示を図柄表示制御回路、音声回路、ランプ点灯回路等に出力する。照合通信回路40は、CPUとは独立して動作する回路で、照合装置10と通信を行う照合ブロックであり、その通信に際しては必要に応じて暗号回路39で暗号化/復号化して信号の送受信を行う。なお、暗号回路39は暗号化に必要な場合、乱数発生回路(図示せず)などを含むものとする。
【0020】
外部バスインターフェース41は、アドレスバス、データバス、コントロールバスといった各種バスの入出力回路である。パラレル入出力ポート42は、信号の入出力に使用するポートで、アドレスデコード回路43は、外部デバイス用のデコード用信号であるチップセレクト信号を制御する回路である。セキュリティチェック回路44は、ユーザROM33内のユーザプログラムが正規のプログラムであるか否かを検査する回路で、ユーザプログラムから所定の演算により得られたコードと、ユーザROM33内のセキュリティコードを比較することで、適合を受けたプログラムが改変されていないかを調べる回路である。乱数回路45は、高速カウンタやM系列乱数あるいは物理乱数発生回路などから乱数を発生させる回路で、発生した乱数は大当たりの抽選や図柄の選択などに使用する。
【0021】
図3は、本発明の照合装置10に内蔵される照合装置制御回路11である。CPU111は照合装置制御回路11の中央処理装置であり、ROM112のプログラムに基づき処理を行う。ROM112は、照合装置11を制御するためのプログラムの記憶回路で、RAM113は、ROM112内のプログラムに基づく処理の作業領域である。照合回路114は、チップ3が正規か否かを照合する回路である。照合制御回路115は、照合装置10に設けられた照合開始スイッチからの入力を監視し、照合装置の照合開始を制御する回路である。照合状態表示回路116は、照合の状態や照合結果をLCDやLEDに表示するための信号を出力する回路である。例えば「通信中」の表示をLCDに出力したり、照合結果により「OK」や「NG」を示すLEDを点灯させたりする。照合通信回路117は、チップ3と通信を行う回路で、必要に応じて暗号回路118で信号を暗号化/復号化しながら通信を行う回路で、通信が成立した後、検査フラグをセットまたはリセットの指示を出力する回路でもある。なお、暗号回路118は暗号化に必要な場合、乱数発生回路(図示せず)などを含むものとする。
【0022】
図4は、本発明のチップ3の動作をユーザプログラムのフローチャートから説明するもので、検査済みの場合に図柄表示部「検査済み」の表示を行う例を説明する。チップ3は、ブートプログラムでセキュリティチェックを行い、正規のプログラムの場合はユーザプログラムが起動されるが、このフローチャートはユーザプログラムが定周期で起動されている例である。S1では検査レジスタに検査済みを表すフラグがセットされているか否か、すなわち、照合装置によって検査が行われた状態であるか否かを判断している。検査レジスタにフラグがセットされていれば、S2で検査済み表示を図柄表示装置に行わせるための検査図柄表示設定を行い、S4でこの設定に基づき検査図柄を表示させるための制御コマンドを図柄表示制御回路に送信する。検査レジスタにフラグがセットされていなければ、S3で通常の遊技を行わせるための通常図柄表示設定を行い、S4でこの設定に基づき通常遊技の図柄を表示させるための制御コマンドを図柄表示制御回路に送信する。このフローチャートの例においては通常遊技の処理と検査済み表示の処理を分けているため、検査レジスタにフラグがセットされているときは、パチンコにおいては入賞口や始動口に玉が入っても無視され、パチスロにおいてはレバー操作等を何も行えない状態となる。
【0023】
図5は照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータ間の照合の通信プロトコルを示す。照合装置は遊技機制御用マイクロコンピュータに接続要求を送り、遊技機制御用マイクロコンピュータは接続要求を受け取ると接続応答を返す。照合装置は接続応答を受け取ると、乱数(R1)を発生させ暗号化して遊技機制御用マイクロコンピュータに送る。遊技機制御用マイクロコンピュータは暗号化された乱数(R1)を復号化して記憶した後、新たに乱数(R2)を発生し暗号化して照合装置に送信する。このとき受信した乱数(R1)と乱数(R2)を元に予め照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータで共通に規定した生成式によりセッション共通鍵Ksを算出する。照合装置は暗号化された乱数(R2)を受信後、復号化して記憶するとともに、既に遊技機制御用マイクロコンピュータに送られた乱数(R1)を元に規定による生成式によりセッション共通鍵Ksを算出する。この時点で照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータはセッション鍵Ksを共有する事になる。尚、R1、R2による共通鍵の生成方法はDH(Diffie−Hellman)法などが知られている。
【0024】
次に照合装置は照合データ(固定値、時刻データ、乱数等)を共通鍵Ks暗号化して送信する。遊技機制御用マイクロコンピュータは暗号化された照合データを受け取ると共通鍵Ksで復号化を行い、データの正当性を確認し正しければ照合応答データを共通鍵Ksで暗号化して照合装置へ送信する。このとき返信される照合応答データは照合装置より送られた照合データか更に新たな乱数値等を付加したデータとする。照合装置では受信した照合応答データを共通鍵Ksで復号化し、データの整合性と内容が送信した照合データと合っていれば遊技機制御用マイクロコンピュータの照合が正常に行われたと判断する。照合装置はチップの照合が正しく行われた時、検査済みフラグセット指示を共通鍵Ksで暗号化して遊技機制御用マイクロコンピュータへ送信する。データを受信した遊技機制御用マイクロコンピュータは受信データを共通鍵Ksで復号化し、検査済みフラグセット指示と認識した場合は検査レジスタ38へ検査済みフラグをセットする。同様に遊技機制御用マイクロコンピュータが検査済みフラグリセット指示を受信した場合は検査レジスタ38の検査済みフラグをリセットする。
【0025】
前述の照合装置による遊技機制御用マイクロコンピュータの照合処理と検査済みフラグの操作が終了したら、照合装置は遊技機制御用マイクロコンピュータに接続終了要求を送信し、接続終了応答を受信したら一連の検査処理を終了する。前記一連の処理で遊技機制御用マイクロコンピュータの検査レジスタ38の検査済みフラグのリセットは照合装置からの接続終了要求や一定時間のタイムアウトでリセットされても良いし、遊技機制御用マイクロコンピュータ自体のリセット処理でもリセットされる。
【0026】
図6は照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータ間の通信に使用される、データフォーマットを示す。伝送文(平文)のブロックチェックコードBCC1(チェックサム、CRC等)と伝送文とBCC1を暗号化したブロックを含む部分を暗号化して暗号文のBCC2を付加する構造となっている。上記、データ通信では各送信電文の受信側で整合性をチェックするために暗号化データのブロックチェックコードBCC2や復号化した後の平文の送信ブロックチェックコードBCC1を付加してチェックしているがチェックがNGの場合はそのつどNAC等否定応答を出力して、再送待ちを行うが、規定回数または規定時間以内に正しい電文が受信されなければタイムアウトで通信プロトコルを中断する。
【0027】
本発明および本実施例において、「検査済みであることの表示」は、前述の通り照合装置とチップとが照合通信を行った結果、検査レジスタにフラグが設定されたか否かによりなされるものである。したがって、照合装置が他の検査を継続している場合、あるいは照合通信自体は終了しているが検査を行う者にとっては検査の最中であるという認識の場合等において、必ずしも「検査済み」の文字にこだわる必要はない。そのような場合「検査中」という文字を使用してもよいし、文字を使用しない特定の図柄や音声等で検査を行う者が認識できるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
チップ内部の状態から動作の確認ができ、遊技機の不正行為発見に有効に利用できる。また、遊技機以外の分野においても正規の制御回路を迂回して、不正な制御回路を動作させるような行為があれば、それを発見する技術として応用的に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例を表す概念図
【図2】本発明の遊技機制御用マイクロコンピュータのブロック図
【図3】本発明の照合装置のブロック図
【図4】本発明のユーザプログラムのフローチャート
【図5】本発明のチップと照合装置間の通信プロトコル
【図6】本発明の通信の伝文のフォーマット
【符号の説明】
【0030】
1 遊技機
2 主基板
3 遊技機制御用マイクロコンピュータ
4 照合用コネクタ(主基板側)
5 図柄表示制御基板
6 図柄表示制御回路
7 図柄表示装置
8 音声回路
9 ランプ点灯回路
10 照合装置
11 照合装置制御回路
12 照合用通信ケーブル
13 照合用コネクタ(照合装置側)
31 CPU(遊技機制御用マイクロコンピュータ内)
32 記憶回路(ユーザモード)
33 ユーザROM
34 ユーザRAM
35 記憶回路(ブート時)
36 ブートROM
37 ブートRAM
38 検査レジスタ
39 暗号回路(遊技機制御用マイクロコンピュータ内)
40 照合通信回路(チップ側)
41 外部バスインターフェース
42 パラレル入出力ポート
43 アドレスデコード回路
44 セキュリティチェック回路
45 乱数回路
46 内部バス(遊技機制御用マイクロコンピュータ内)
111 CPU(照合装置制御回路内)
112 ROM
113 RAM
114 照合回路
115 照合制御回路
116 照合状態表示回路
117 照合通信回路(照合装置側)
118 暗号回路(照合装置制御回路内)
119 内部バス(照合装置制御回路内)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、前記ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、該CPUと独立して動作し、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路を備える遊技機制御用マイクロコンピュータであって、
該遊技機制御用マイクロコンピュータは、外部装置から前記照合通信回路に指令が入力されたとき、検査フラグをセットまたはリセットするレジスタ回路を有し、
該レジスタ回路に検査フラグがセットされているとき、ユーザプログラム内の検査済み状態を表示させるプログラムを実行することを特徴とする遊技機制御用マイクロコンピュータ。
【請求項2】
検査済み状態を表示させるプログラムは、遊技機の図柄表示制御回路、遊技機のリール、ランプ点灯回路または音声回路の少なくともいずれかひとつに対して検査済みであることの表示または発音を行わせる検査済み信号を出力するプログラムであることを特徴とする請求項1記載の遊技機制御用マイクロコンピュータ。
【請求項3】
検査済みであることの表示は、遊技機の図柄表示装置、遊技機のリールまたは補助図柄を特定の図柄表示にすることで表示することを特徴とする請求項2記載の遊技機制御用マイクロコンピュータ。
【請求項4】
遊技機制御用マイクロコンピュータと照合通信を行う照合通信回路と、前記照合通信回路の照合通信結果から、遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを照合する照合回路とを有する照合装置制御回路を備える照合装置であって、
前記照合通信回路は、前記照合回路が遊技機制御用マイクロコンピュータを正規のものと判定したとき、遊技機制御用マイクロコンピュータのレジスタ回路に検査フラグをセットまたはリセットするための検査信号を出力することを特徴とする照合装置。
【請求項5】
遊技機の制御を行う遊技機制御用マイクロコンピュータと該遊技機制御用マイクロコンピュータが遊技機外部の装置と通信を行うために設けられた照合通信用コネクタを搭載する主基板と、大当たりや確率変動などの遊技の演出を行う図柄表示制御回路を搭載する図柄表示制御基板と、前記図柄表示制御基板からの制御信号により遊技演出の表示を行う図柄表示装置を備えた遊技機であって、
前記遊技機制御用マイクロコンピュータは、遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、前記ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路と、前記照合通信回路から検査信号が入力されたとき、検査フラグをセットするレジスタ回路を備え、
前記図柄表示制御回路は、検査済み図柄記憶回路を備え、
前記レジスタ回路に検査フラグがセットされたとき、前記図柄表示制御回路に検査済み信号を出力し、前記図柄表示制御回路に検査済み信号が入力されたとき、前記検査済み図柄記憶回路内に記憶される図柄を図柄表示装置に表示することを特徴とする遊技機。
【請求項6】
遊技機の制御を行う遊技機制御用マイクロコンピュータと該遊技機制御用マイクロコンピュータが遊技機外部の装置と通信を行うために設けられた照合通信用コネクタを搭載する主基板と、大当たりや確率変動などの遊技の演出にともなう音声を発する音声回路と、大当たりや確率変動などの遊技の演出にともなうランプを点灯するランプ点灯回路を備えた遊技機であって、
前記遊技機制御用マイクロコンピュータは、遊技機を制御するユーザプログラムを格納するユーザROMと、前記ユーザプログラムに従い処理を実行するCPUと、照合装置などの外部装置と通信を行う照合通信回路と、前記照合通信回路から検査信号が入力されたとき、検査フラグをセットするレジスタ回路を備え、
前記レジスタ回路に検査フラグがセットされたとき、ランプ点灯回路または音声回路に対して検査済み信号を出力し、ランプ点灯回路または音声回路は、検査済み信号が入力されると、検査済みを表す所定のパターンによりランプ点灯または発音を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項7】
照合装置により遊技機に不正が行われているか否かを検査する遊技機の不正発見方法であって、
遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを判定するために照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータが照合通信を行うステップと、照合通信により遊技機制御用マイクロコンピュータが正規と判定されたとき、前記照合装置が、検査信号を出力し、前記遊技機制御用マイクロコンピュータ内のレジスタに検査フラグをセットするステップと、前記遊技機制御用マイクロコンピュータが、検査フラグのセットを確認したとき、図柄表示制御回路に検査済み信号を出力するステップと、前記図柄表示制御回路が検査済み信号の入力を確認したとき、図柄表示装置に検査済み図柄を表示するステップとからなる遊技機の不正発見方法。
【請求項8】
照合装置により遊技機に不正が行われているか否かを検査する遊技機の不正発見方法であって、
遊技機制御用マイクロコンピュータが正規か否かを判定するために照合装置と遊技機制御用マイクロコンピュータが照合通信を行うステップと、照合通信により遊技機制御用マイクロコンピュータが正規と判定されたとき、前記照合装置が、検査信号を出力し、前記遊技機制御用マイクロコンピュータ内のレジスタに検査フラグをセットするステップと、前記遊技機制御用マイクロコンピュータが、検査フラグのセットを確認したとき、検査済みを表す所定のパターンによりランプ点灯または発音を行うステップからなる遊技機の不正発見方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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