説明

遊技機

【課題】 遊技盤の背面側に排出された遊技球の挙動や開閉役物などを駆動させるために遊技盤の背面側に設けられた連動機構などの機械的動作を視認でき、かつその動作を強調表示可能として遊技者の視線を引きつけ、遊技の新たな興趣を高めることができる遊技機を提供する。
【解決手段】 遊技球が開閉役物に入球した後、透明遊技盤の背面側に設けた排出路内で遊技球保持機構に保持された場合に、前記透明遊技盤の背後に設けた表示手段上で演出表示して、前記遊技球保持機構や当該遊技球保持機構と前記開放役物などを連動連結する連動機構の仕組み及びその動作を視覚的に強調表示して遊技の興趣を飛躍的に高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遊技機に関し、詳しくは、遊技盤上に遊技球を発射させ、遊技球の挙動によって利益を得ることができるようにした弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一つとして弾球遊技機があり、この弾球遊技機を代表するものとしてパチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機は、遊技球を遊技盤上に発射して所定の入賞口に入球させ、入賞に応じて払い出される入賞球をより多く獲得することを目的として遊技するものであるが、前記遊技盤上には、遊技球の流下方向を変化させる障害釘や風車などの遊技部材が設けられている。また、前記入賞口などには、初期状態を閉状態として前記遊技球が入球すると開動作するとともに、開状態において前記遊技球が入球すると閉動作する開閉役物(所謂「チューリップ式役物」)が適宜設けられている。
【0003】
また、上記開閉役物は、通常では左右の可動片が起立状態で平行に位置し、可動片間に遊技球略一個幅の通路を形成しているが、左右の可動片が開いた場合は両片が横に横臥状態となり、両片上に落下した遊技球を入賞通路に導くことができ、多くの遊技球を容易に入賞させることができる。なお、ここでは、両片が平行に起立している状態を閉じた状態あるいは閉止状態、両片が左右横に寝ている状態を開いた状態あるいは開放状態という。かかる開閉役物として、落下して入球した遊技球の運動エネルギにより機械的に前記可動片を開く機械式の構造のものや、落下して入球した遊技球を電気的に検知し、可動片を駆動するソレノイドを励磁して可動片を開放する電動式の構造のものが知られている。
【0004】
また、上記パチンコ遊技機では、前記遊技盤の略中央に液晶表示装置を配置し、この液晶表示装置上で、やはり遊技機の1つであるスロットマシンのように、図柄などからなる識別情報を変動表示するとともに、特定の組合せで停止表示されると、遊技者に有利な遊技状態に移行させる、所謂「可変表示ゲーム」を実行するものが一般的な遊技機形態となっている。
前記「可変表示ゲーム」は、遊技者が前記遊技盤上に発射した遊技球が始動口と呼ばれる前記入賞口の一つへ入賞すると、その入賞に基づき当選かはずれかを内部抽選し、抽選結果に応じて前記表示装置の表示領域内で前記識別情報を変動表示及び停止表示するもので、抽選結果が当選となって上記識別情報が予め定められた特定の賞態様で停止表示された場合、遊技者に有利な状態である所謂「大当たり遊技状態」に移行する。そして、前記始動口には前記開閉役物が付設されていることが多い(例えば特許文献1を参照。)。
かかるパチンコ遊技機では、開閉役物が開放状態であれば始動口への入球が容易となることから、遊技者は開閉役物の動作については敏感であり、その動作には関心が高く注目している。
【特許文献1】特開2001−300044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来の開閉役物を備えた遊技機では、開閉役物の駆動構造が遊技盤の背面側に配設されているため、遊技者には開閉役物がどのような仕組みで作動しているのかは分からず、また、遊技盤の背後に排出される遊技球の挙動についても遊技者は見ることができないので、排出球が遊技対象となるようなことも考えられることがなかった。
特に、前記駆動構造が、リンク機構などを用いた機械式のものであれば、その動きも遊技の楽しみの一つとなりうるが、そのような動作状況を見ることのできる遊技機は存在しない。
本発明は前記従来の課題を解決するためになされたもので、遊技盤の背面側に排出された遊技球の挙動や開閉役物などを駆動させるために遊技盤の背面側に設けられた連動機構などの機械的動作を視認でき、かつその動作を強調表示可能として遊技者の視線を引きつけ、遊技の新たな興趣を高めることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明では、発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし、一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、前記透明遊技盤上に設けられ、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、前記開閉役物に入球された遊技球を、前記透明遊技盤の裏面側に設けられた排出路内に一時的に保持する遊技球保持機構と、前記透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、少なくとも前記遊技球保持機構の背後に演出表示可能領域を形成する表示手段と、前記遊技球保持機構に保持された遊技球を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知信号に基づいて、前記遊技球が前記遊技球保持機構に保持されたことを前記表示手段の演出表示可能領域上で演出表示する演出表示制御手段とを備える遊技機とした。
【0007】
請求項2記載の本発明では、請求項1記載の遊技機において、前記遊技球保持機構による遊技球の保持動作と連動して、前記遊技球が入球した前記開閉役物とは異なる他の開閉役物を機械的に開動作させる連動機構を備え、前記演出表示制御手段は、前記連動機構及び他の開閉役物の開動作を演出表示することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の本発明では、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記開閉役物に入球した遊技球が前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構を備え、前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の本発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機において、前記開閉役物の入球口に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と、当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の本発明では、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記開閉役物に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構と、前記一般排出路の下流側に設けられ、前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構とを備え、前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開閉役物に入球した遊技球が遊技盤裏側で一時保留されるという斬新な遊技球の挙動が生じ、しかも、その保留状態を視認できるとともに、遊技球保持機構の背後では遊技球の保持状態を強調表示させることができるので、遊技の新たな興趣を高めることができ、かつ遊技における演出の多様性を拡大させることができる。特に、前記遊技球保持機構による遊技球の保持動作と連動して、前記遊技球が入球した前記開閉役物とは異なる他の開閉役物を機械的に開動作させる連動機構を備えるようにした場合、開閉役物を開閉駆動する連動機構の仕組み及びその動作を遊技者が視認できるという斬新な遊技機となる。さらに、前記連動機構の動きや開閉役物の拡開動作が表示手段上で演出表示されることで遊技者に満足感を与えることができるとともに、その表示によって他の遊技者へも有利な遊技状態にあることを誇示して優越感に浸ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本実施形態に係る遊技機は、発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし、一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、前記透明遊技盤上に設けられ、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、前記開閉役物に入球された遊技球を、前記透明遊技盤の裏面側に設けられた排出路内に一時的に保持する遊技球保持機構と、前記透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、少なくとも前記遊技球保持機構の背後に演出表示可能領域を形成する表示手段と、前記遊技球保持機構に保持された遊技球を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知信号に基づいて、前記遊技球が前記遊技球保持機構に保持されたことを前記表示手段の演出表示可能領域上で演出表示する演出表示制御手段とを備える構成としたものである。
すなわち、開閉役物に入球した遊技球が遊技盤裏側で一時保留されるという新たな遊技球の挙動を視認させるとともに、前記遊技球保持機構の背後では遊技球の保持状態を演出して強調表示させるようにしたもので、遊技の新たな興趣を高めることができ、かつ遊技における演出の多様性を拡大させることができる。
このように、本実施形態では、遊技球が保持された遊技球保持機構の仕組み及びその動作を遊技者が視認できる斬新な機構の遊技機としているので、遊技者に新しい遊技の面白さを提供することができる。
【0013】
また、本実施形態に係る遊技機は、前記遊技球保持機構による遊技球の保持動作と連動して、前記遊技球が入球した前記開閉役物とは異なる他の開閉役物を機械的に開動作させる連動機構を備えるようにするとともに、前記演出表示制御手段は、前記連動機構及び他の開閉役物の開動作を演出表示するように構成することもできる。なお、連動機構は、流下する遊技球の運動エネルギにより作動する機械的構成としておくとよい。
上記した構成により、前記遊技球保持機構に遊技球が保持されると他の開閉役物が機械的に連動して開放状態となるので、その動きが興味深く、興趣も向上し、また他の開閉役物が開放されて遊技者に有利な状態となることから、遊技意欲も向上する。そして、遊技球が所定の開閉役物に入球するという一つの挙動から、遊技球の保持、他の開閉役物の開放など連続する一連の機械的な動きが遊技者から視認できるので、開閉役物を開閉駆動する連動機構の仕組み及びその動作が明瞭に分かり、遊技の楽しみが著しく増す。さらに、このときに前記連動機構の動きや開閉役物の拡開動作が表示手段上で演出表示されることで、より遊技の面白さが増すとともに、その表示によって、開閉役物が開放状態であるという有利な遊技状態にあることを、他の遊技者へも誇示して優越感に浸ることもできる。
【0014】
また、本実施形態に係る遊技機は、前記開閉役物に入球した遊技球が前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構を備え、前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示する構成とすることが好ましい。
例えば、所定の開閉役物に遊技球が入球してこれが前記遊技球保持機構に保持された状態で、引き続き他の遊技球が前記所定の開閉役物に入球すると、遊技球の保持が解除されて流下するようにし、その状況を前記表示手段で演出表示して遊技者に視認させる構成とするのである。
かかる構成により、前記遊技球保持機構の動作及びこの保持解除機構の動作による相互に関連した機械的な動きを遊技者は演出表示によって楽しむことができ、遊技機のメカニズムを、透明遊技盤を通して遊技者に視認させながら遊技に引き込むことができる興味性に優れた遊技機となすことができる。
【0015】
さらに、本実施形態に係る遊技機は、前記開閉役物の入球口に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と、当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構を備える構成とすることができる。
すなわち、前記開閉役物の入球口に連通する排出路を中途で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と一般排出路とに分岐させ、この分岐部の上流側に排出路切替機構を設け、この排出路切替機構の振分け動作により、開閉役物に入球した遊技球が保持されるか、保持されることなく通常通り流下するのかを決定するのである。一方、前述したように、本実施形態では、前記遊技球保持機構に遊技球が保持されると他の開閉役物が開放状態として有利な状態になるようにしているので、遊技者は遊技球が保持されるのかされないのかをハラハラしながら注視することになって興趣が向上する。しかも、この状況を前記表示手段上で演出表示することも可能なので、遊技の面白さがますます向上する。
【0016】
また、前記一般排出路の下流側に前記保持解除機構を設けるとよい。すなわち、前記開閉役物に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構と、前記一般排出路の下流側に設けられ、前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構とを備えた構成とし、前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示するものである。
保持解除機構は、これも遊技球の流下してくる運動エネルギにより作動する機械的構成とし、例えば前記遊技球保持機構と連動機構を介して連動連結しておくと、その動きが透明遊技盤を通して視認されることで、さらに面白さが増す。
【0017】
ところで、前記透明遊技盤は、その一部又は全部が無色透明のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂製の透明部材で構成され、その前側に配置されたガラス板などの透明保護板との間に遊技球が流下する遊技領域が形成されている。透明遊技盤の表面側には流下する遊技球の流下方向をランダムに変化させるための障害釘や、流下方向を規制する風車状に回転する部材や、その入球口を拡縮するように開閉動作する可動片を備えた開閉役物などが複数設けられている。なお、透明遊技盤の背面と表示手段との間には、前記入球口に入球した遊技球が通過する遊技球排出路を形成している。
【0018】
また、前記表示手段は、液晶パネルやCRT、プラズマディスプレイ、ELなどの表示装置からなり、透明遊技盤の背後に、前記遊技球排出路を設けることのできる所定間隔をあけて配設され、その演出表示可能領域内の所定位置に静止画像、あるいは動画像(アニメや実写を含む)を演出表示させることができる。また、先の背景技術で説明した可変表示ゲームを表示させることもできる。
この表示手段の演出表示可能領域に表示された画像は、前記透明遊技盤及びその前面に配置された透明保護板を通して遊技者から視認される。なお、演出表示可能領域の画像は、遊技機の全体の動作を制御する制御部のメモリ等に必要な画像データが格納されており、同じく制御部のメモリに格納された遊技プログラムによって、所定の画像データが選択されて所望するパターンで表示されるようになっている。また、前記表示手段は、複数の液晶パネルから構成してもよい。
【0019】
前記開閉役物は、本実施形態では遊技領域を流下する遊技球が入球すると内部に設けた回動機構によって左右に回動する可動片を備えた機械式(所謂「メカチュー」と呼ばれる)としており、入球すると前記可変表示ゲームが実行される始動口や、一般入賞口などに適宜設けられている。例えば、この開閉役物はその入球口に遊技球が入球することによって、その入球口の近傍に設けられた回動機構が回動し、その回動に連動して前記可動片が閉止状態から開放状態に移行するようにしている。
【0020】
また、前記遊技球保持機構は、例えば、開閉役物の入球口に接続された排出路に遊技球保持部を形成し、この遊技球保持部には遊技球の流路を開閉する動きをするとともに、前記流路を閉鎖して入球した遊技球の排出を阻止することによって、一時的に遊技球を保持することが可能な係止片を用いている。なお、遊技球保持部で保持可能な遊技球の数としては、単数のみならず複数個を同時に保持できるようにすることも可能である。また、前記保持解除機構は、前記遊技球保持機構の係止片を駆動させて遊技球の保持状態を解除するものであり、この保持解除機構の具体的構成及びこの保持解除機構を動作させるトリガーとしては特に限定するものではないが、例えば連動機構を介して前記開閉役物と連動させることができる。
【0021】
また、前記検知手段は、前記遊技機保持機構の遊技球保持部やその通過路に設けられ、リミットスイッチを用いた機械接触式や、発光ダイオードなどを光源としてこれを受光素子で検知する光検知式、可動片の磁気を検知する磁気検知式などのものが適用できる。
【0022】
さらに、前記演出表示制御手段は、前記遊技球保持機構の背後位置における表示手段上で当該遊技球保持機構の動きを演出表示する機能を有し、遊技球が遊技球保持手段に保持されたことを検知した前記検知手段からの検知信号によって遊技球を保持した状態の遊技球保持機構や、当該遊技球保持機構の周囲すなわち遊技球保持機構に連動する部材に対してまでも演出表示可能領域上において所定の演出表示を行わせることができる。この演出表示制御手段は、遊技機の全体の動作を制御するコンピュータなどの制御部によりその機能が担われている。また、この演出表示制御手段は、例えば前記複数の開閉役物に前述の検知手段を配設することによって、いずれの開閉役物が動作したのかを演出により強調表示して遊技者に的確に報知することもできる。
【0023】
また、前記連動機構は、透明遊技盤に配置された各開閉役物や、開閉役物に連設された前記回動部材、あるいは前記排出路に設けられた前記遊技球保持機構、あるいは前記保持解除機構などの他の連動部材を、互いに固定回動軸や回転節点などを有したリンクやその他アクチュエータなどにより連結して構成した機械式のものとしており、遊技球の運動エネルギにより機械的に一の開閉役物や回動部材が作動されることによって、連結された他方の開閉役物などを開閉できるようにしたものである。
また、かかる連動機構の動作状態を監視する手段として、例えばリミットスイッチを用いた機械接触式のものや、発光ダイオードなどを光源としてこれを受光素子で検知する光検知式、可動片の磁気を検知する磁気検知式などの監視センサを設け、前記連動機構の動作を検知した検知信号をこの監視センサから前記制御部に出力し、この信号に応じて演出表示制御手段によって前記表示手段上に所定の演出画像などを表示させることができる。
【0024】
前記排出路切替機構は、開閉役物の入球口に入球した遊技球を所定の排出路に振り分けるための機構であり、入球口下流の排出路における前記分岐部に、例えば流路切替可動片を配設し、この流路切替可動片を回動させることによって遊技球を複数の分岐路に選択的に導入することができる。また、この排出路切替機構と前記分岐路の下流側に設けたトリガー部材、あるいは他の開閉役物などとを連動機構を介して連結しておくことができ、前記トリガー部材や他の開閉役物が動作されることによって前記流路切替可動片が連動して回動するように構成することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態に係る遊技機では、開閉役物に入球された遊技球を透明遊技盤の裏面に設けられた排出路内において、遊技球保持機構により一時的に保持して、前記遊技球保持機構やこれに保持されている遊技球、あるいはこの遊技球保持機構と連動する他の部材、さらに連動させるための連動機構の仕組み及びその動作を、これらの背後位置における表示手段上で演出表示することで視覚的に強調表示することが可能であり、その遊技の興趣を飛躍的に高めることができるとともに、遊技における演出の多様性を拡大させることができる。
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る遊技機を、図面を参照しながらより具体的に説明する。
(パチンコ遊技機の構成)
図1は本実施形態に係る遊技機であるパチンコ遊技機の正面図であり、図2は同パチンコ遊技機における透明遊技盤周りの分解斜視図であり、図3〜図8は同パチンコ遊技機の透明遊技盤に設けた開閉役物及び遊技球保持機構ならびにこれらを連動させる連動機構を示す模式図である。
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技場に設けられる図示しない遊技機設置基台(遊技島)に当該パチンコ遊技機10を固定するための外枠11と、同外枠11内に配設された本体枠12と、同本体枠12に着脱自在に取付けられた後述する透明遊技盤14及びその他図示しない各種部品と、本体枠12に一側が枢着されて開閉自在とした前枠16と、さらに前記透明遊技盤14を通して視認されるように当該透明遊技盤14の背面側に位置して本体枠12の裏側に着脱自在に取付けられた表示手段としての液晶表示装置32とを備えている。また、前記透明遊技盤14の前側部にはガラス板などからなる透明保護板14aが覆設され、この透明保護板14a及び前記透明遊技盤14を通して前記液晶表示装置32の演出表示可能領域Aが透視可能となっている。なお、この透明保護板14aと前記透明遊技盤14との間に遊技球が流下する遊技領域は形成される。
【0027】
また、前記本体枠12の上部にはスピーカ46R,46Lが取付けられるとともに、下部右側には発射ハンドル26が取付けられている。また、発射ハンドル26の裏側には、ソレノイドなどからなる弾球装置を備える発射装置130(図10を参照)が設けられ、さらに、この発射ハンドル26の周縁部には、タッチセンサ(図示せず)が設けられており、このタッチセンサが触接されたときに、発射ハンドル26が遊技者により握持されたと検知される。そして、発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射装置130に電力が供給されて遊技球が透明遊技盤14に順次発射される。なお、発射ハンドル26に設けられるタッチセンサは、遊技者が発射ハンドル26を握持したと判別できるものであればよく、光学的に検知するものや、熱により検知するもの等、センサの種類を問わない。
【0028】
図1及び図2において、21は本体枠12の前面下部に取付けられた受皿ユニットであり、上皿20及び下皿22が形成され、前記前枠16の下側に位置するように配設されている。前記上皿20に貯留された遊技球が前記発射装置130に供給されるようになっており、上皿20の容量を越えた遊技球が下皿22に供給されるようになっている。図1中、132は演出表示や報知などに用いられる各種ランプである。また、150はカードユニットであり、所定のカードを挿入して所定量の遊技球の供給を受けることができる。また、図2中、46'は前記スピーカ46R,46Lのカバーであり、前記前枠16の上部に形成されている。
【0029】
また、図1及び図2において、30a,30bは透明遊技盤14に設けたガイドレールであり、このガイドレール30a,30bに囲まれた内側を前記遊技領域中の遊技球可動域15aとし、その外側部分に遊技球非可動域15bを設定している。前記発射ハンドル26の操作により発射された遊技球は、ガイドレール30aにより案内されて遊技球可動域15a内を流下する。また、透明遊技盤14上には、複数の障害釘を打ち込んでおり、遊技球が遊技球可動域15aを上部から下部へ流下する際の流下方向を複雑に変化させるようにしている。なお、障害釘などの付加的構成については各図面で一部若しくは全体を省略している。
【0030】
また、透明遊技盤14には、それぞれ図示しない遊技球が入球すると入賞となる複数の一般入賞口5、後述する可変表示ゲームが開始される契機となる始動口6、及び可変表示ゲームで当選した際に実行される大当たり遊技において所定時間開放可能とした大入賞口8、さらには前記一般入賞口5、始動口6及び大入賞口8に入球しなかった遊技球が遊技球非可動域15bへ排出されるアウト口7が配設されている。3は第1遊技球誘導部材、4は第2遊技球誘導部材であり、ともに透明遊技盤14上に発射された遊技球を所定の方向へ誘導可能としている。40は前記大入賞口8に開閉自在に設けたシャッタであり、可変表示ゲームで大当たり遊技状態となると、所定条件の下で、遊技球を受け入れやすい開放状態を所定回数(所定ラウンド数)繰り返す。
【0031】
ここで、透明遊技盤14の構成についてさらに説明する。
図1に示すように、透明遊技盤14の遊技領域には複数の一般入賞口5が設けられており、本実施形態では、前記各一般入賞口5に、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する左右一対の可動片58からなる開閉役物Yを付設している。
そして、図3及び図4に示すように、前記左右一対の可動片58の間に遊技球通過口(図示せず)を形成し、この遊技球通過口の始端部分を入球口Pとし、また、この入球口Pに連通するとともに、他の入賞口などに連通して遊技球を流下案内するための排出路Rを透明遊技盤14の裏面に設けている。透明遊技盤14は、無色透明のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の合成樹脂製の透明部材を用いて前方から背後が視認可能に形成されており、前記排出路Rについても遊技者から視認可能となっている。
前記排出路Rのうち、本実施形態では、前記始動口6に付設した開閉役物Yに連通するものについては、その中途部を広げて拡大部R1を形成してあたかも胃袋のような形状とし、前記拡大部R1の中央部に仕切体Tを設け、下流側で再び合流する左右の分岐路を形成している。
この分岐路は、入球した遊技球を一時的に保持するための遊技球保持機構Eを備えた遊技球保持排出路U(左分岐路)と、前記遊技球保持機構Eを迂回してショートパスさせるようにした一般排出路U’(右分岐路)とからなり、これらの上流側に設けられた排出路切替機構Vにより、遊技球の流路が切替えられるようになっている。
【0032】
前記遊技球保持機構Eは、前記遊技球保持排出路Uの中途に形成した遊技球保持部Sに進退自在に配設した遊技球係止片Wを備えており、この遊技球係止片Wは、前記開閉役物Yに入球して流下してきた遊技球を係止するための係止部W1と、他の開閉役物Yb及び前記排出路切替機構Vと連結する連結部W2とにより略へ字状に形成され、枢支部W3を中心に回転自在に設けられている。
本実施形態では、遊技球係止片Wと前記他の開閉役物Yb及び排出路切替機構Vとを、連結ロッドK1、K2及びその回動軸Mで構成したリンク機構からなる連動機構Fを介して連結し、遊技球保持機構Eによる遊技球の保持動作と連動して、前記遊技球が入球した前記開閉役物Yとは異なる他の開閉役物Ybを機械的に開動作させるようにしている。
【0033】
また、前記排出路切替機構Vは、回転枢軸V1を中心として揺動自在とした駒体V2の中途に遊技球衝突片V3を突設した構成としており、左右へ揺動したときに前記駒体V2の上半部に形成した流路切替部V4若しくは前記遊技球衝突片V3のいずれかが前記遊技球保持部S内に進入するようにしている。
かかる構成により、前記駒体V2の遊技球衝突片V3が前記遊技球保持部S内に進入した状態で前記開閉役物Yに遊技球が入球すると(図3参照)、遊技球は前記駒体V2の遊技球衝突片V3に衝突するとともに、これを押して流下する。このとき、図4に示すように、駒体V2が揺動し、その上半部に形成された前記流路切替部V4が前記排出路R内に進入して遊技球保持排出路Uを塞ぐ。同時に、前記リンク機構からなる連動機構Fが作動して、前記遊技球係止片Wを揺動させて前記係止部W1を遊技球保持部S内に進入させ、前記駒体V2の遊技球衝突片V3を押して流下してきた遊技球を係止して保持するとともに、他の開閉役物Ybの可動片58を開動作させる。このように、連動機構Fを介することにより、前記駒体V2によって遊技球保持部Sへの流路を閉じる動作と、遊技球係止片Wで遊技球を係止させる動作とが同期するようにしている。したがって、このように遊技球が保持された状態では、前記排出路切替機構Vの駒体V2の流路切替部V4が遊技球保持部S内に進出して遊技球保持排出路Uが遮断され、一般排出路U’への流路が選択された状態となっているため、次に他の遊技球が開閉役物Yに入球すると、この他の遊技球は前記駒体V2の流路切替部V4に案内されて一般排出路U’を流下していく(図4参照)。
【0034】
また、本実施形態では、前記開閉役物Yに入球した遊技球が前記遊技球保持機構Eに保持された状態で前記他の開閉役物Ybに他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構を備えている。すなわち、図4に示すように、遊技球が保持された状態で、開状態となっている他の開閉役物Ybに他の遊技球が入球すると、この開閉役物Ybの内部に設けられた回動機構により可動片58が閉動作して図3に示す状態となる。そして、この閉動作にともなって前記連動機構Fが動作して前記遊技球係止片Wの係止部W1を下方へ揺動させ、遊技球の保持を解除して遊技球を流下させることになる。同時に、前記排出路切替機構Vの駒体V2の遊技球衝突片V3が遊技球保持部S内に進入する一方、上半部は退行する。すなわち、図3の状態に復帰することになる。上述してきたように、本実施形態では、遊技球係止片W自体が遊技球保持機構Eとなり、この保持機能を解除するトリガーとして、前記他の開閉役物Ybが保持解除機構として機能することになる。
【0035】
以上説明してきたように、本実施形態においては、遊技球係止片W及び駒体V2をリンク機構からなる連動機構Fによって機械的に連結し、この連動機構Fを介してそれぞれが連動するようになっている。このような連動機構Fを適宜用いることによって、遊技球の運動エネルギによって遊技球保持機構Eをはじめ他の開閉役物Ybなどを機械的に連動させる動作態様を多様化し、パチンコ遊技における意外性を付加することができる。
【0036】
図5〜図8は、本実施形態に係る保持解除機構の変形例を示す説明図であり、ここでは前記一般排出路U’の下流側に保持解除機構を構成する保持解除レバーZを配設している。
保持解除レバーZは、リンク機構からなる連動機構Fを介して前記遊技球保持機構E及び第3の開閉役物Ycと連動連結している。すなわち、前記遊技球保持機構Eの一部を構成する前記遊技球係止片Wと連結ロッドK1とを連結した連結軸M1に連結ロッドK3の一端を回動自在に連結し、この連結ロッドK3の他端に、中途を枢軸Z2に枢着した保持解除レバーZの基端を連結軸M2を介して回動自在に連結している。そして、この保持解除レバーZの遊技球との衝突片となる前端部Z1を、前記一般排出路U’の下流側で遊技球保持排出路Uと合流した排出路R内に臨設している。さらに、この保持解除レバーZを、前記連結軸M2を介して連結した連結ロッドK4により第3の開閉役物Ycと連動連結しているのである。
【0037】
前記保持解除レバーZの前端部Z1は、図5に示すように、前記遊技球保持機構Eの駒体V2から突設された遊技球衝突片V3が前記遊技球保持部S内に進入した状態においては遊技球の流下を邪魔することのないように位置している。この状態で遊技球が開閉役物Yから入球して流下し、前記駒体V2の遊技球衝突片V3に衝突してこれを押して流下すると、図6に示すように、遊技球が前記遊技球係止片Wの係止部W1に保持されるとともに、駒体V2の流路切替部V4が前記排出路R内に進入して遊技球保持排出路Uを塞ぐのは先の実施形態(図4参照)と同様であるが、このときに保持解除レバーZの前端部Z1は遊技球の流下を邪魔するように上方へ揺動する。
そして、図7に示すように、この状態で開閉役物Yに他の遊技球が入球すると、この遊技球は一般排出路U’を流下して行き、前記保持解除レバーZの前端部Z1と衝突する。そして、図8に示すように、この遊技球は保持解除レバーZを押し下げながらさらに流下して行くが、押し下げられた前記保持解除レバーZの動きに連動して、連動機構Fを介して連結された遊技球保持機構Eの遊技球係止片Wが下方へ揺動して遊技球の保持解除がなされ、先に保持していた遊技球は下方へ流下していくことになる。そして、このとき駒体V2も揺動し、図5に示す状態に復帰する。また同時に、前記保持解除レバーZに連動して第3の開閉役物Ycが開動作して開状態となる。
このように、本実施形態では、別途独立した保持解除機構としての保持解除レバーZを開閉役物Yに連通する排出路Rに設けたことで、開閉役物Yに入球した遊技球が前記遊技球保持機構Eに保持された状態で前記開閉役物Yに他の遊技球が引き続いて入球した場合、前記遊技球の保持を解除することができる。
【0038】
また、この実施形態では、開閉役物Yと他の開閉役物Yb及び第3の開閉役物Ycとも連動して開閉動作する。すなわち、閉じた開閉役物Yに遊技球が入球すると、この開閉役物Yが開き、入球した遊技球は排出路Rの中途で保持されるとともに、他の開閉役物Ybが開く。引き続き開閉役物Yに遊技球が入球すると、開閉役物Y及び他の開閉役物Ybは閉じ、第3の開閉役物Ycが開く。このように遊技球がいずれかの開閉役物に入球すると、これに他の開閉役物が影響されるので遊技が複雑で多様化し、より遊技欲をそそることが可能となる。
【0039】
また、さらに本実施形態において特徴となるのは、前記遊技球保持機構Eやこれに遊技球が保持された状態、あるいは保持解除された状態など開閉役物Yに関連した遊技状態を、前記遊技球保持機構Eの背面において、透明遊技盤14を通して視認可能な液晶表示装置32の演出表示可能領域A上で演出表示するようにしたことにある。そのために、前記連動機構F、他の開閉役物Ybに、これらの動作を検知するための検知手段を設ける図示しない連動機構監視センサ115(図10参照)が設けられており、この連動機構監視センサ115による検知信号を後述する制御部で取得するとともに、後述するように、演出表示制御手段によって、保持された遊技球及び前記遊技球保持機構Eを含むその周囲部を液晶表示装置32の演出表示可能領域A上で演出表示するようにしている。したがって、透明遊技盤14を通して前記遊技球保持機構Eや連動機構Fなどの動きを視認するだけでなく、これらの動作などが前記透明遊技盤14の背後に配置した液晶表示装置32において強調されるので、遊技者の興味をいよいよ引きつけることができ、遊技者により楽しく遊技を行わせることができる。
【0040】
表示手段となる前記液晶表示装置32は、透明遊技盤14の全部又は一部に背面側から重なるように配設されていればよいが、本実施形態では、図2に示すように、透明遊技盤14の略全体に重なるように配設している。すなわち、透明遊技盤14上に形成される遊技球可動域15aと遊技球非可動域15bとのいずれにも重なるように配設している。このように、液晶表示装置32を、透明遊技盤14の略全体に重なるように配設して透明遊技盤14から透視可能とすることにより、透明遊技盤14上の遊技球可動域15aと遊技球非可動域15bとを含む略矩形状の演出表示可能領域A全体を用いて所定の演出表示を行うことができるようになっている。
すなわち、パチンコ遊技機10の動作を制御する制御部により機能する演出表示制御手段を介して、前記開閉役物Y(Yb,Yc)や遊技球保持機構E及びこれらに連動する部材の背後における前記演出表示可能領域A上で、連動状態を強調する所定の演出表示を行わせることができる。
【0041】
図9に本実施形態のパチンコ遊技機10における演出表示の状態を示す模式図を示す。ここでは、遊技球保持部Sに入球する遊技球を感知する連動機構監視センサ115により、その検知信号を取得して制御部の保持機構演出表示制御手段を介して液晶表示装置32の演出表示可能領域Aの該当する遊技球を保持した遊技球保持部Sや連動機構Fを含む遊技球保持機構E全体、またその周囲に配置された開閉役物Y(Yb,Yc)などを、特有の色彩の演出画像Gで発光、点滅させて機械的に動作する連動機構のメカニズムを際立たせるような演出表示がなされる様子を示している。なお、図9においては、ここでは保持解除機構として上述した変形例を採用した例とし、また、略全体を透明部材で形成した透明遊技盤14を通して視認される液晶表示装置32の演出表示可能領域Aの一部を模式的に示している。また、上記演出表示をなすために、前記連動機構監視センサ115を、前記排出路切替機構Vの駒体V2の回転動作を検知する機械式センサとした。
【0042】
ここで、実際に遊技球が遊技球保持部Sに保持される状態が液晶表示装置32上に演出表示される様子について説明する。
透明遊技盤14上で、発射された遊技球が開閉役物Yに入球して前記駒体V2の遊技球衝突片V3を押し下げると、前記駒体V2が回動するのでこれを前記連動機構監視センサ115により検知する。そして、その検知信号を受けた制御部の後述する主制御回路60では、後述する副制御回路200に対して演出表示のコマンドを出力する。副制御回路200では、このコマンドに従って、所定の演出画像テーブルから所定の画像データを読み出して演出画像Gを生成し、これを液晶表示装置32上に表示する。すなわち、前記遊技球保持機構Eの遊技球保持部S及び開閉役物Y(Yb,Yc)を相互に連結する連動機構Fの周囲を他よりも明るく、あるいは所定の彩色で際立たせるようにした演出画像Gを演出可能領域Aに表示させる。したがって、ダイナミックに演出された遊技球の保持状態が、透明遊技盤14を通して効果的に強調表示されることになる。なお、前記演出画像Gとしては演出パターンがそれぞれ異なる多種類のものを用意して、遊技条件などに応じて表示する内容を変更することによって多様な演出表示を行えるようにしてパチンコ遊技の演出効果をより高めることができる。なお、前記制御部のメモリには、透明遊技盤14上の遊技球保持部Sや開閉役物Yや保持解除レバーZなどの配置パターンに応じた画像データが予め記憶されており、所定個所にそれぞれ配設された連動機構監視センサ115からの信号に基づいて、上述した遊技球の保持状態のみならず、保持が解除された状態なども適宜演出表示することが可能となっている。
【0043】
以上説明したようにパチンコ遊技機10は、透明部材により形成された透明遊技盤14と、この透明遊技盤14上に設けられ、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物Y,Yb,Ycと、開閉役物Yに入球した遊技球を、前記透明遊技盤14の裏面側に設けられた排出路R内に一時的に保持する遊技球保持機構Eと、前記透明遊技盤14を通して視認されるように当該透明遊技盤14の背面側に配設された液晶表示装置32と、少なくとも前記遊技球保持機構Eに保持された遊技球を検知可能とした連動機構監視センサ115と、この連動機構監視センサ115からの検知信号に基づいて、前記遊技球が前記遊技球保持機構Eに保持されたことを前記液晶表示装置32の演出表示可能領域A上で演出表示する演出表示制御手段とを備える遊技機としているため、遊技球を発射して入賞による賞球の獲得を目指すパチンコ遊技を従来通りに楽しみながら、開閉役物Yに入球した遊技球が透明遊技盤14の裏側で一時保留されるという斬新なパチンコ遊技機10となり、しかも、その保留状態を前記透明遊技盤14を通して視認できるとともに、遊技球保持機構Eの背後では液晶表示装置32上で遊技球の保持状態を強調表示させることができるので、遊技の新たな興趣を高めることができる。
さらに、遊技に応じた多彩な演出表示を透明遊技盤14のいたる個所で表示可能なので、演出効果が著しく高まる。
【0044】
ここで、前記した可変表示ゲームについて簡単に説明する。可変表示ゲームとは、遊技球が前記始動口6へ入賞すると、その入賞に基づき当選かはずれかを制御部内で内部抽選し、抽選結果に応じて前記液晶表示装置32の所定表示領域内で文字や図柄などからなる複数の識別情報を変動表示及び停止表示させ、抽選結果が当選となって上記複数の識別情報が予め定められた特定の賞態様で停止表示された場合、例えば全て同じ図柄で停止表示されると、「大当たり遊技状態」と呼ばれる遊技者に有利な状態に移行する。この大当たり遊技状態においては、前述したように前記大入賞口8のシャッタ40が所定時間開放するラウンド遊技を所定回数行うことができる。
以下、この可変表示ゲームや遊技球の保持状態の演出表示などパチンコ遊技にともなう演出表示をはじめ、パチンコ遊技機10全体の制御及びその電気的な構成について、制御部を中心に説明する。
【0045】
(パチンコ遊技機の電気的構成)
図10は本実施形態に係るパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。図示するように、パチンコ遊技を進める上で主なる制御を担う主制御回路60は、メインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。
【0046】
前記メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。
【0047】
前記メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の動作を制御するための遊技プログラムが記憶されており、その他には、乱数抽選によって大当たり判定をする際に参照される大当たり判定テーブルや、演出を選択する際に参照される演出条件選択テーブルなどの各種のテーブルが記憶されている。
【0048】
なお、本実施形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する媒体としてメインROM68を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードしてメインRAM70等に記録されるものでもよい。さらに、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。また、本実施形態においてはメインCPU66、メインROM68及びメインRAM70を別々に設けたが、これらが一体となっているワンチップマイコンを使用してもよい。
【0049】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。メインRAM70に記憶されるデータの具体例としては、例えば、制御状態フラグ、特定領域通過フラグ、高確率フラグ、大当たり判定用乱数カウンタ、大当たり図柄決定用乱数カウンタ、はずれ図柄決定用乱数カウンタ、演出条件選択用乱数カウンタ、大入賞口開放回数カウンタ、大入賞口入賞カウンタ、待ち時間タイマ、大入賞口開放時間タイマ、可変表示ゲームや普通図柄ゲームにおける保留個数を示すデータ等が存在する出力に関する変数、後述する副制御回路200にコマンドを供給するためのデータ、変数等がある。
【0050】
前記制御状態フラグは、可変表示ゲームの制御状態を示すものである。特定領域通過フラグは、遊技球が特定領域を通過したか否かを判断するためのものである。高確率フラグは、大当たり遊技状態に移行する確率を相対的に高めるか否かを示すものである。
大当たり判定用乱数カウンタは、可変表示ゲームの大当たりを判定するためのものである。大当たり図柄決定用乱数カウンタは、可変表示ゲームで大当たりを判定した場合に、停止表示される大当たりに係る前記識別情報としての図柄を決定するためのものである。はずれ図柄決定用乱数カウンタは、大当たりではない場合に停止表示する識別情報を決定するためのものである。演出条件選択用乱数カウンタは、識別情報の変動表示パターンを決定するためのものである。これらのカウンタは、メインCPU66により順次"1"増加するように記憶更新されており、所定のタイミングで各カウンタから乱数値を抽出することにより、メインCPU66の各種の機能を実行することとなる。
【0051】
なお、本実施形態においては、このような乱数カウンタを備え、プログラムに従って、メインCPU66が、乱数カウンタを"1"増加させるように記憶更新する構成としたが、これに限らず、別個に、乱数発生器のような装置を備えるように構成してもよい。また、はずれではあるが、リーチ(変動中である最後の識別情報の停止表示結果によっては大当たりとなる状態)とするか否かを判定するためのリーチ判定用カウンタなどを設けてもよい。
【0052】
大入賞口開放回数カウンタは、大当たり遊技状態における大入賞口8の開放回数、すなわちラウンド遊技数(所謂ラウンド数)を示すものである。また、大入賞口入賞カウンタは、1ラウンド中に大入賞口8に入賞した遊技球数を示すものであり、大入賞口8中のVカウントセンサ102又はカウントセンサ104を通過した遊技球の数で示す。
【0053】
待ち時間タイマは、主制御回路60と副制御回路200とにおいて実行される処理の同期を取るためのものである。また、大入賞口開放時間タイマは、シャッタ40を駆動させ、大入賞口8を開放する時間を計測するためのものである。なお、本実施形態におけるタイマは、メインRAM70において、所定の周期で、その所定の周期だけ減算されるように記憶更新されるが、これに限らず、CPU等自体がタイマを備えていてもよい。可変表示ゲームにおける保留個数を示すデータは、始動口6へ遊技球が入賞したが、識別情報の変動表示が実行できないときに、当該変動表示を保留するが、その保留されている識別情報の変動回数を示すものである。
【0054】
なお、本実施形態においては、メインCPU66の一時記憶領域としてメインRAM70を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0055】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。
【0056】
なお、このリセット用クロックパルス発生回路62は、メインCPU66がメイン処理を行っていてもこれを中断して行うシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。なお、このシリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
【0057】
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されており、例えば図10に示すように、Vカウントセンサ102、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106、連動機構監視センサ115、始動入賞球センサ116、大入賞口ソレノイド120、シーソーソレノイド122、バックアップクリアスイッチ124が接続されている。
【0058】
ここで、前記Vカウントセンサ102は、大入賞口8におけるVゾーン内に設けられており、前記Vゾーンを遊技球が通過することがラウンド遊技の継続条件となっている。このVカウントセンサ102は、大入賞口8におけるVゾーンを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0059】
カウントセンサ104は、大入賞口8におけるVゾーンとは異なる一般入球ゾーンに設けられており、このカウントセンサ104は、大入賞口8における一般入球ゾーンを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0060】
一般入賞球センサ106は、一般入賞口5に設けられている。この一般入賞球センサ106は、各一般入賞口5を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0061】
連動機構監視センサ115は、連動機構や開閉役物の動作状態を検知するための磁気センサや光学センサ、機械式センサなどであり、本実施形態ではこの機械式センサを用いており、機械的な変移を検出し、この変移を動作信号に変換して主制御回路60に送信して、副制御回路200を介して液晶表示装置32の演出表示可能領域Aに前記演出画像Gを所定の演出パターンで表示させる。
【0062】
始動入賞球センサ116は始動口6に設けられている。この始動入賞球センサ116は、始動口6に遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
【0063】
大入賞口ソレノイド120は、大入賞口8を開閉する前記シャッタ40に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口8を開放状態又は閉鎖状態とする。
【0064】
シーソーソレノイド122は、板形状でシャッタ40の内側に設けられている図示しないシーソーに接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シーソーを変位させ、そのシーソーの傾斜を変更する。このシーソーが傾斜された結果、遊技球が前記Vゾーンを通過しやすくなるように、又は前記一般入球ゾーンを通過しやすくなるように切替えることができる。
【0065】
バックアップクリアスイッチ124は、パチンコ遊技機10に内蔵されており、電断時等におけるバックアップデータを遊技場の管理者の操作に応じてクリアする機能を有するものである。また、主制御回路60には、払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、賞球となる遊技球の払出を行う払出装置128、遊技球の発射を行う発射装置130、カードユニット150が接続されている。
【0066】
前記払出・発射制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払い出させる。また、払出・発射制御回路126は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行う。また、前記発射装置130には、上述した発射用ソレノイド(あるいは発射用モータ)、タッチセンサ等の遊技球を発射させるための装置が備えられている。
【0067】
さらには、シリアル通信用IC72には副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御、各種ランプ132の制御等を行うものであり、前述した遊技球の保持状態や開閉役物Y(Yb,Yc)の開閉動作、及び連動機構Fの駆動動作などを演出表示可能領域Aにおいて表示する際の表示領域制御手段としても機能する。なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成しているが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成してもよい。
【0068】
かかる副制御回路200は、サブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、各種ランプ132の制御を行うランプ制御回路240から構成されており、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
【0069】
前記サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されており、サブCPU206は、前記プログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行っており、特に、液晶表示装置32に対する表示制御を行うとともに、前記演出表示制御手段をはじめ、後述する各種の制御手段として機能することとなる。
【0070】
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ遊技機10の遊技演出を制御するためのプログラムが記憶されており、演出表示に関する決定を行うための設定条件を規定した各種のテーブルデータも記憶されている。
【0071】
また、このプログラムROM208には、演出表示の進行に関する条件を規定する複数種類の演出パターンが記憶されている。この演出パターンで制御される副制御回路200による演出表示は、前記識別情報の変動表示及び停止表示を含む可変表示ゲームの進行に応じて実行される。
【0072】
なお、本実施形態に係る副制御回路200において、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段としてプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。もちろん、記憶手段としてメインROM68を用いてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、ワークRAM210等に記録されるものでもよい。更にまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。
【0073】
さらに、本実施形態において、メインCPU66及びメインROM68を含む主制御回路60と、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200とを別々に構成したが、メインCPU66及びメインROM68を含む主制御回路60のみで構成してもよく、この場合には、上述したプログラムROM208に記憶されているプログラムをメインROM68に記憶させ、メインCPU66により実行されるように構成してもよい。もちろん、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200のみで構成するようにしてもよく、この場合には、上述したメインROM68に記憶されているプログラムをプログラムROM208に記憶させ、サブCPU206により実行されるように構成してもよい。ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。なお、本実施形態においては、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
【0074】
前記表示制御回路250は、表示制御手段としての画像データプロセッサ(以下、VDPと称する。)212、各種の画像データを記憶する画像データROM216、画像データを画像信号として変換するD/Aコンバータ218、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路220から構成されている。上述したVDP212は、サブCPU206、画像データが記憶されている画像データROM216、画像データを画像信号に変換するD/Aコンバータ218、初期リセット回路220と接続されている。
【0075】
また、このVDP212は、いわゆるスプライト回路、スクリーン回路、及びパレット回路等の回路を含み、液晶表示装置32に画像を表示させるための種々の処理を行うことができる装置である。つまり、VDP212は、液晶表示装置32に対する表示制御を行う。また、VDP212には、液晶表示装置32の演出表示可能領域Aに画像を表示するためのバッファとしての記憶媒体(例えば、ビデオRAM)を備えている。
前記画像データROM216には、識別情報を示す識別情報画像データ、背景画像データ、前記演出画像Gなどの演出画像データ等の各種の画像データが別個に記憶されている。もちろん、関連画像を示す関連画像データも記憶されている。
【0076】
また、VDP212は、サブCPU206から供給される画像表示命令に応じて、画像データROM216から、識別情報を示す識別情報画像データ、背景画像データ、演出画像データ等、各種の画像データを読み出し、液晶表示装置32に表示させる画像データを生成する。特に、本実施形態では、例えば遊技球が遊技球保持機構Eに保持された状態を示す画像データ、開閉役物Y(Yb,Yc)の開閉を示す画像データ、連動機構Fの動作を示す画像データなどが、表示領域を示すコードとともに、前記連動機構監視センサ115からの検知信号に対して1対1に相対的に関連させた設定テーブルを備えており、遊技中においては、この設定テーブルを参照しながらサブCPU206から供給される画像表示命令に応じて所定位置に演出画像Gなどを表示して演出を行うようにしている。
【0077】
さらに、このVDP212は、生成した画像データを、後方に位置する画像データから順に重ね合わせてバッファに記憶し、所定のタイミングでD/Aコンバータ218に供給する。このD/Aコンバータ218は、画像データを画像信号として変換し、この画像信号を液晶表示装置32に供給することにより、液晶表示装置32の各表示領域に画像を表示させる。
【0078】
また、音声制御回路230は、音声に関する制御を行う音源IC232、各種の音声データを記憶する音声データROM234、音声信号を増幅するための増幅器236(以下、AMPと称する。)から構成されている。この音源IC232は、サブCPU206、初期リセット回路220、音声データROM234、AMP236と接続されている。この音源IC232は、スピーカ46R,46Lから発生させる音声の制御を行う。
【0079】
サブCPU206は、演出パターンを選択し、音声データROM234に記憶されている複数の音声データから一つの音声データを選択する。その後、サブCPU206は、選択された音声データを音声データROM234から読み出し、音源IC232に供給する。音声データを受け取った音源IC232は、その音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号をAMP236に供給する。AMP236は、音声信号を増幅させ、スピーカ46R,46Lから音声を発生させる。ランプ制御回路240は、ランプ制御信号を供給するためのドライブ回路242、複数種類のランプ装飾パターン等が記憶されている装飾データROM244から構成されている。
【0080】
(保持機構演出表示制御ルーチンの説明)
以上のように構成されたパチンコ遊技機10は、液晶表示装置32や払出装置128などを制御する主制御回路60のメインROM68に格納された遊技プログラムによりその全体が管理されて駆動される。そして、この遊技プログラムから呼び出されて前記副制御回路200実行される遊技球保持機構Eの動きを強調演出する(図9を参照)保持機構演出表示制御ルーチンについて、図11に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
【0081】
保持機構演出表示制御ルーチンは、開閉役物Yへ入球した遊技球を連動機構監視センサ115により検知して、透明遊技盤14の裏面側に配設された遊技球保持部Sへ至り保持された状況を、遊技球保持機構E及びこれに連動する他の部材(他の開閉役物Yb、第3の開閉役物Yc、排出路切替機構Vなど)の動きを、その背後位置における液晶表示装置32の演出表示可能領域A上で強調して演出表示させる画像処理のルーチンである。
【0082】
すなわち、開閉役物Y(Yb,Yc)などを相互に連結する連動機構Fの動きを前記連動機構監視センサ115により検知して、液晶表示装置32の演出表示可能領域A上に、図9に示すように演出画像Gを表示させ、これを透明遊技盤14を通して遊技者に視認させて遊技球保持部Sの動きなどを効果的に演出表示させるようにしたものである。なお、保持機構演出表示制御ルーチンのプログラムは、副制御回路200のプログラムROM208などに記憶されており、演出表示可能領域A上における表示位置などの表示パターンのデータ部分を、必要に応じて書き換えて実行させることができる。
【0083】
図11に示すように、保持機構演出表示制御ルーチンにおける最初のステップS1では、パチンコ遊技機10の透明遊技盤14の遊技球保持部Sに設けられた連動機構監視センサ115からのセンサ信号を取得したか否かを判定する。センサ信号を取得した場合は、保持状態となると判定してステップS2へ移行し、信号取得していない場合はステップS3に移行して通常の演出表示処理を実行する。遊技球の保持状態に対応するステップS2では、前記センサ信号に対応する開閉役物を含め演出表示可能領域A内のどの領域で表示するかを前記設定テーブルに基づいて確定して、演出表示可能領域A上において強調画像などを表示する表示領域及び演出パターンを設定する。
【0084】
ステップS2に続く次のステップS4では、前記設定された表示領域に所定の静止演出画像や動画像などの演出画像G(図9を参照)を表示して強調演出する表示領域演出処理がなされ、その後、メインプログラムのルーチンにリターンされる。なお、前記ステップS1に続くステップS3では、遊技の進行に応じた通常の演出表示処理がなされる。
【0085】
本実施形態における強調表示は、図9に示すように、遊技球保持機構Eの遊技球保持部S及び開閉役物Y,Yb,Ycを相互に連結する連動機構Fの周囲部分を発光状態で目立つような演出画像Gとしている。
こうして、遊技球保持部Sへの遊技球の保持状態に対応してこれを強調させる演出画像Gを表示手段上で表示したり、遊技球保持機構Eや開閉役物Y,Yb,Ycが機械的に連動して動作する様子などを視覚的にアピールしたりすることにより、遊技の新たな面白さを提供することができる。
【0086】
本実施の形態のパチンコ遊技機10は以上のように構成されており、開閉役物Yに入球された遊技球を透明遊技盤14の裏面に設けられた排出路R内の遊技球保持部Sに一時的に保持して、その遊技球保持機構Eや連動機構Fの仕組み及びその動作をその背後位置における液晶表示装置32の演出表示可能領域A上で視覚的に強調表示して、その遊技の興趣を飛躍的に高めることができるとともに、遊技における演出の多様性を拡大させることができる。
【0087】
なお、上述した本発明の実施形態は具体例を例示したに過ぎず、これによって本発明を限定するものではない。すなわち、透明遊技盤14や液晶表示装置32などの具体的構成や識別図柄などを含む画像などは、適用される遊技機の形態に応じて適宜変更することができる。例えば、本実施の形態では透明遊技盤14上に配置される開閉役物Y(Yb,Yc)をそれぞれリンク機構で連結された一系列のものとしたが複数系列としてもよい。また、連動機構Fや開閉役物Y(Yb,Yc)の具体的な形態及びその配置、開閉役物Y(Yb,Yc)の作動時における演出パターンなどについても特に限定されるものではなく、異なるパターンに適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本実施形態に係る遊技機の一例であるパチンコ遊技機の正面図である。
【図2】同パチンコ遊技機における遊技盤周りの分解斜視図である。
【図3】遊技球保持機構などを具備する透明遊技盤の構成を示す模式図である。
【図4】遊技球保持機構などを具備する透明遊技盤の構成を示す模式図である。
【図5】保持解除機構の変形例を示す模式図である。
【図6】保持解除機構の変形例を示す模式図である。
【図7】保持解除機構の変形例を示す模式図である。
【図8】保持解除機構の変形例を示す模式図である。
【図9】同パチンコ遊技機における演出表示の状態を示す模式図である。
【図10】同パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】同パチンコ遊技機の保持機構演出表示制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10 パチンコ遊技機
14 透明遊技盤
32 液晶表示装置(表示手段)
115 連動機構監視センサ
A 演出表示可能領域
E 遊技球保持機構
G 演出画像
Y、Yb、Yc 開閉役物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された遊技球を上部側から下部側へ流下案内可能とし、一部又は全部が透明部材により形成されて背後が透視可能な透明遊技盤と、
前記透明遊技盤上に設けられ、遊技球が入球し難い閉状態と遊技球が入球しやすい開状態とに可動する複数の開閉役物と、
前記開閉役物に入球された遊技球を、前記透明遊技盤の裏面側に設けられた排出路内に一時的に保持する遊技球保持機構と、
前記透明遊技盤を通して視認されるように当該透明遊技盤の背面側に配設され、少なくとも前記遊技球保持機構の背後に演出表示可能領域を形成する表示手段と、
前記遊技球保持機構に保持された遊技球を検知する検知手段と、
前記検知手段からの検知信号に基づいて、前記遊技球が前記遊技球保持機構に保持されたことを前記表示手段の演出表示可能領域上で演出表示する演出表示制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技球保持機構による遊技球の保持動作と連動して、前記遊技球が入球した前記開閉役物とは異なる他の開閉役物を機械的に開動作させる連動機構を備え、前記演出表示制御手段は、前記連動機構及び他の開閉役物の開動作を演出表示することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記開閉役物に入球した遊技球が前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構を備え、前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記開閉役物の入球口に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記開閉役物に入球した遊技球を、前記排出路内で前記遊技球保持機構を備えた遊技球保持排出路と当該遊技球保持機構を迂回する一般排出路とに振り分ける排出路切替機構と、前記一般排出路の下流側に設けられ、前記遊技球保持機構に保持された状態で前記開閉役物に他の遊技球が入球した場合、前記遊技球の保持を解除する保持解除機構とを備え、
前記演出表示制御手段は、前記保持解除機構の動作を演出表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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