説明

遊技機

【課題】意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】筐体内に設置され、円筒形状を有し、周面に複数のシンボルが描かれ、前記周面の少なくとも一部が透明であり、前記周面にギア歯が形成されたリールと、出力軸にギアを有し、前記ギアが前記リールの前記ギア歯と噛合するように設置されたモータと、前記リールの周面と接触し、前記リールを回転可能に支持する支持部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、例えば、パチスロ遊技装置、パチンコ遊技装置、スロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機には、例えば、画像表示装置を備え、図柄を示す透明な画像を演出画像に重ね合わせて合成画像を生成し、合成画像を画像表示装置に表示する遊技機が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の遊技機によれば、図柄の表示領域を、演出画像の表示領域と別途設ける必要がないため、画像表示装置を大きくすることなく、演出画像を大きく表示することが可能になる。また、図柄を示す画像と、演出画像とが重なり合っているため、いずれか一方を見れば自然と他方も視界に入ることになる。従って、交互に視線を動かしながら両方を見る必要がなく、その両方に注目しながら遊技を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−117411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、合成画像は、画像表示装置に表示される平面的なものであり、立体的に両方を区別し得るものではないため、図柄を示す透明な画像を演出画像に重ね合わせると、演出画像そのものが、画像として変化してしまうため、演出の興趣が損なわれるという問題があった。
【0006】
遊技機は、サイズが規格で定められており、その中で行い得る演出の大きさも制約を受けてしまうため、遊技者にインパクトを与えるとともに他の遊技者の注意や関心を惹くためには、同時に行われる演出のボリュームは大きい方が望ましい。また、遊技機における遊技自体は、従来から広く知られているものであり、演出に目新しさがないと、遊技者の興味や関心を惹くことが困難であるため、演出は意外性のあるものであることが望ましい。そのような観点から、意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことが可能な遊技機が要求されていた。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 筐体内に設置され、円筒形状を有し、周面に複数のシンボルが描かれ、前記周面の少なくとも一部が透明であり、前記周面にギア歯が形成されたリールと、
出力軸にギアを有し、前記ギアが前記リールの前記ギア歯と噛合するように設置されたモータと、
前記リールの周面と接触し、前記リールを回転可能に支持する支持部材と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0010】
(1)の発明によれば、リールは、その周面が支持部材と接触し、支持部材によって回転可能に支持され、周面に形成されたギア歯を介してモータの動力が伝達されることにより回転する。従って、リールのシャフト及びスポークを省略することができ、リールの内側に中空部を確保することができる。また、リールの周面の少なくとも一部が透明であるため、その透明部を介して、リールの内側に存在する中空部が視認可能になる。
【0011】
このように、(1)の発明によれば、リールの内側に中空部を確保することができるとともに、その中空部を視認可能とすることができるため、その中空部を利用した演出を行うことができる。そのような演出としては、例えば、中空部に画像表示装置を設置し、リールの透明部を介して画像表示装置を視認可能とする演出や、中空部に、所定の動作を行うように構成されたキャラクタのフィギュアを設置し、リールの透明部を介してフィギュアを視認可能とする演出等を挙げることができる。このような演出を行うことにより、意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことができる。
【0012】
遊技機は、サイズが規格により定められているから、その中で行い得る演出の大きさには限度がある。また、遊技機と遊技者との間隔は遊技者の手の届く範囲内であるから、そのような位置関係で遊技機の前面における演出の面積を平面的に広げてしまうと、演出が見難くなり、圧迫感を与えてしまうおそれがある。そのため、演出の面積を平面的に広げることは困難であり、それによって演出の種類や態様が制約を受けていた。
【0013】
一方、リールは、遊技者の視認し易さを確保しなければならず、また所定数のシンボルを周面に描かなければならないため、通常、或る程度の径を有するものである。そのため、筐体内でリールが占める体積は比較的大きい。しかし、リール自体は、複雑な機構を要するものではないから、リールの内側には、シャフトやスポーク等が存在する程度であり、リールの内側の空間の有効利用はなされていなかった。
【0014】
そこで、(1)の発明は、リールの支持構造及び動力伝達構造によって、リールのシャフトやスポーク等の省略を可能としたものである。これにより、その内側に、演出に用いることができる大きな中空部を確保することができ、リールの内側の空間の有効利用を可能としたものである。リールは、遊技が行われているときに最も遊技者の注目を集める箇所の一つであるから、リール内の中空部における演出は、極めて効果的なものとなる。
【0015】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(2) 前記(1)の遊技機であって、
前記リールの内側に、前記リールと非接触で設けられた画像表示装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
(2)の発明によれば、遊技者は、リールの透明部を介して、画像表示装置に表示される画像を見ることができるため、リールの回転速度によって、画像の見え方が変化する。従って、画像の見え方にバリエーションを与えることができる。
【0017】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(3) 前記(1)又は(2)の遊技機であって、
前記リールの内側に、前記リールと非接触で設けられ、所定の動作を行うように構成された演出用部材を備えたことを特徴とする。
【0018】
(3)の発明によれば、遊技者は、リールの透明部を介して、所定の動作を行うように構成された演出用部材(例えばキャラクタのフィギュア)を見ることができる。また、リールの回転速度によって、演出用部材の見え方が変化するため、その見え方にバリエーションを与えることができる。
【0019】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれか1の遊技機であって、
前記リールの前方に設けられ、前記シンボルを透視可能な態様で画像を表示することが可能な透明画像表示装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
(4)の発明によれば、透明画像表示装置に表示される画像と、リールに描かれるシンボルと、その内側の空間に設置された画像表示装置に表示される画像や演出用部材による演出とを、遊技者に重ね合わせて見せることができる。その結果、意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことができる。
【0021】
さらに、本発明は、以下のようなものを提供する。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1の遊技機であって、
前記リールには、その周面に沿ってガイドレールが形成され、
前記支持部材は、前記ガイドレールと接触する位置に回転自在に設置されたガイドロールであることを特徴とする。
【0022】
(5)の発明によれば、リールにガイドレールが存在するため、リールの位置ズレを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の遊技機によれば、意外性があって、ボリュームの大きい演出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下においては、本発明の好適な実施形態として、本発明をパチスロ遊技装置に適用した場合について説明することとする。
【0025】
図1は、パチスロ遊技装置の一例を模式的に示す斜視図である。
パチスロ遊技装置1の全体を形成している筐体2の正面には、液晶表示装置5が設置されている。この液晶表示装置5は、透明液晶パネル34(図示せず)を備えており、この透明液晶パネル34は、その一部又は全部を透明/非透明の状態に切り替えることが可能であるとともに、遊技に関する演出画像を表示可能である。
【0026】
また、液晶表示装置5の背面側には、透明な3個の回転リール3L、3C、3Rが設けられている。3個の回転リール3L、3C、3Rは、それぞれその外周面に複数の図柄等の識別情報(以下、シンボルともいう)が表示されており、回転可能に横一列に設けられている。また、回転リール3の前面には、図示しない横3本と斜め2本の計5本の入賞ラインL1、L2A、L2B、L3A、L3Bが設けられている。透明な3個の回転リール3の内側には、液晶表示装置90が設けられている。
【0027】
本発明において、回転リールの周面が透明であるとは、回転リールの周面を介して、その裏側が視認可能であることをいい、必ずしも、回転リールは、透明な材料により構成されている必要はない。回転リールは、例えば、その周面が網目状に構成されていてもよく、所定箇所に開口が形成されていてもよい。回転リールの裏面側が視認可能であることにより、回転リールの内側の中空部を、演出に有効利用することができる。
【0028】
液晶表示装置5の下方には、水平面を有する台座部10が形成されており、台座部10の右側には、メダル投入口22が設けられ、台座部10の左側には、1−BETスイッチ11及び最大BETスイッチ13が設けられている。
【0029】
ゲーム開始に先立って、遊技者がメダル投入口22から1枚のメダルを投入したときは、中央の横1本の入賞ラインL1が有効化される。また、2枚投入したときは、これに上下の横2本の入賞ラインL2A、L2Bが加わって横3本の入賞ラインが有効化される。また、3枚投入したときは、これに斜め2本の入賞ラインL3A、L3Bが加わって5本の入賞ラインの全てが有効化される。なお、以降、有効化された入賞ラインを有効化入賞ラインという。
【0030】
台座部10の前面部の左寄りには、遊技者が遊技で獲得したメダルのクレジット/払い出しを押し操作により切り替える貯留メダル精算スイッチ14が設けられている。
【0031】
この貯留メダル精算スイッチ14の切り替えにより「払い出し」が選択された場合には、正面下部のメダル払出口15からメダルが払い出され、払い出されたメダルはメダル受部16に溜められる。一方、「クレジット」が選択された場合には、パチスロ遊技装置1が備えるメモリ(例えば、後述するRAM43等)にメダル数がクレジットとして記憶される。
【0032】
貯留メダル精算スイッチ14の右側には、遊技者の操作により回転リール3L、3C、3Rを回転させるためのスタートレバー6が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。台座部10の前面部中央には、3個の回転リール3L、3R、3Cの回転をそれぞれ停止させるための3個の停止ボタン7L、7C、7Rが設けられている。
【0033】
台座部10の前面部の右寄りには、決定ボタン26及び取消ボタン27が設けられている。この決定ボタン26及び取消ボタン27を操作することにより、液晶表示装置5の表示画面の切替や指示の入力等を行うことができる。
【0034】
台座部10の前面部の右寄りには、さらに、ドア開閉及び打ち止め解除装置29が設けられており、所定の鍵をこのドア開閉及び打ち止め解除装置29の鍵穴に差し込み、右に回すことにより前面ドアの開閉を行い、左に回すことにより打ち止め解除を行う。
【0035】
筐体2の上方の左右には、スピーカ21L、21Rが設けられ、その2台のスピーカ21L、21Rの間には、入賞図柄の組合せ及びメダルの配当枚数等を示す配当表パネル23が設けられている。
【0036】
図2は、図1に示したパチスロ遊技装置が備える液晶表示装置近傍を示す拡大正面図である。
【0037】
図2に示すように、液晶表示装置5の背面側には、各々の外周面に複数の識別情報である図柄が描かれた透明な3個の回転リール3(3L、3C、3R)が回転可能に横一列に設けられている。回転リール3の内側には、液晶表示装置90が設けられている。
【0038】
液晶表示装置5は、正面パネル31と、正面パネル31の裏面に設けられた透明液晶パネル34(図示せず)とを備えている。正面パネル31は、透明な表示窓31aと、絵柄が描かれた絵柄形成領域31bとからなり、正面パネル31の裏面に設けられた透明液晶パネル34に表示される画面画像は、正面パネル31の表示窓31aを介して視認可能である。
【0039】
液晶表示装置5の左側の背面側には、遊技開始表示ランプ25、WINランプ17、メダル投入ランプ24、最大BETランプ9c、2−BETランプ9b及び1−BETランプ9aの各種ランプと、払出枚数表示部18、メダル貯留枚数表示部19及び役物作動回数表示部20の各種表示部とが設けられている。なお、正面パネル31の絵柄形成領域31bは、上述した各種ランプと各種表示部との前方部分が透明であり、各種ランプと各種表示部とを視認可能となっている。
【0040】
1−BETランプ9a、2−BETランプ9b、最大BETランプ9cは、一のゲーム(遊技)を行うために賭けられたメダルの数(以下、BET数ともいう)に応じて点灯する。一のゲームは、全ての回転リールが停止したとき、又は、メダルの払い出しが行われる場合には、メダルが払い出されたときに終了する。
【0041】
WINランプ17は、BB又はRBの入賞が成立した場合にも点灯する。遊技メダル投入ランプ24は、メダルの投入が受け付け可能であるときに点滅する。遊技開始表示ランプ25は、少なくとも1本のラインが有効化されたときに点灯する。
【0042】
払出枚数表示部18は、入賞成立時のメダルの払出枚数を表示するものであり、メダル貯留枚数表示部19は、貯留されているメダルの枚数を表示するものであり、役物作動回数表示部20は、RBゲーム可能回数及びRBゲーム入賞可能回数等を表示する。これらの表示部は、7セグメント表示器からなるものである。
【0043】
図3は、図1に示したパチスロ遊技装置が備えるリールの近傍の構成を模式的に示す斜視図である。
【0044】
アクリル製の透明な回転リール3(3L、3C、3R)は、円筒形状を有し、周面に複数のシンボルが描かれている。3個の回転リール3は、横並びに設置されており、各リール3の外周面の両方の縁には、外周面に沿って、断面視三角形状に突出したガイドレール91が形成されている。
【0045】
各リール3に形成された1組のガイドレール91は、リール3の上側、前下側及び後下側に回転自在に設けられたガイドロール93と接触している。ガイドロール93は、シャフト94により筐体(図示せず)に回転可能に支持されたV字プーリであり、ガイドレール91に遊嵌している。すなわち、各リール3は、ガイドロール93によって回転可能に支持されている。ガイドレール93は、支持部材に相当するものである。
【0046】
3個の回転リール3の内側には、3個のステッピングモータ59(図示せず)の出力軸96が挿通されており、出力軸96の他端は、筐体(図示せず)の所定箇所に回転可能に固定されている。3本の出力軸96には、夫々、回転リール3L、3C、3Rの内側に形成されたギア部92と噛合するギア95が設けられている。ステッピングモータ59が作動してギア95が矢印B方向に回転することにより、回転リール3は、矢印A方向に回転し、これにより、回転リール3の周面に描かれたシンボルの変動表示が行われる。
【0047】
3個の回転リール3の内側には、回転リール3と非接触で液晶表示装置90が設けられている。液晶表示装置90は、固定部材90aによって筐体(図示せず)の所定箇所に固定されている。
【0048】
本実施形態では、回転リールの内周面にギア部が形成され、ガイドロールが回転リールの外周面と接触する場合について説明するが、本発明において、ギア部の形成位置と、ガイドロールの接触位置とは、この例に限定されるものではない。例えば、回転リールの外周面にギア部が形成され、ガイドロールが回転リールの内周面と接触するように構成されていてもよい。
【0049】
図4は、図1に示したパチスロ遊技装置が備える液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。図5は、図4に示した液晶表示装置の一部の構成の展開図である。なお、図4では、図3に示した回転リール3の支持・回転に係る構成、及び、液晶表示装置90を示していない。
【0050】
液晶表示装置5は、保護ガラス32と表示板33とからなる正面パネル31、透明液晶パネル34、導光板35、反射フィルム36、所謂白色光源である蛍光ランプ37a、37b、38a、38b、ランプホルダ39a〜39h、及び、透明液晶パネル駆動用のICを搭載したテーブルキャリアパッケージ(TCP)からなり、TCPは、透明液晶パネル34の端子部に接続したフレキシブル基板(図示せず)等により構成される。
【0051】
この液晶表示装置5は、回転リール3L、3C、3Rにより手前側に設けられている。また、この回転リール3L、3C、3Rと液晶表示装置5とは、所定の間隔をあけて設けられている。
【0052】
保護ガラス32及び表示板33は、透明な部材で構成されている。
表示板33には、BETランプ9a〜9cに対応する位置等に絵柄等が形成されている。すなわち、表示板33の絵柄等が形成されている領域が、正面パネル31における絵柄形成領域31bであり、表示板33の絵柄等が形成されていない領域が、正面パネル31における表示窓31aである(図4参照)。3なお、正面パネル31に絵柄形成領域31bを形成せず、正面パネル31の全面を表示窓31aとしてもよい。この場合、表示板33に絵柄を形成しないか、又は、表示板33を省略すればよい。
なお、表示板33の裏面側に配置される各種ランプ及び各種表示部を動作させる電気回路等は図示していない。
【0053】
透明液晶パネル34は、薄膜トランジスタ層が形成されたガラス板等の透明な基板と、これに対向する透明な基板との間隙部に液晶が封入されて形成されている。
この透明液晶パネル34の表示モードは、ノーマリーホワイトに設定されている。ノーマリーホワイトとは、液晶を駆動していない状態で白表示(表示面側に透過した光が外部より視認可能である)となる構成である。ノーマリーホワイトに構成された透明液晶パネル34を採用することにより、液晶を駆動することができない事態が生じた場合であっても、回転リール3L、3C、3Rに表示された図柄等の識別情報の可変表示及び停止表示を視認することができ、遊技を継続することができる。すなわち、そのような事態が発生した場合でも、回転リール3L、3C、3Rに表示された識別情報の変動表示態様及び停止表示態様を中心とした遊技を行うことができる。
【0054】
導光板35は、蛍光ランプ37a、37bからの光を透明液晶パネル34へ導き出す(透明液晶パネル34を照明する)ためのものであり、透明液晶パネル34の裏側に設けられ、例えば、2cm程度の厚さを有するアクリル系樹脂等の透明部材(導光機能を有する)で構成されている。
【0055】
反射フィルム36は、例えば、白色のポリエステルフィルムやアルミ薄膜に銀蒸着膜を形成したものが用いられ、導光板35に導入された光を導光板35の正面側へ向けて反射させる。この反射フィルム36は、反射領域36A及び非反射領域(透過領域)36Bにより構成されている。
【0056】
蛍光ランプ37a、37bは、導光板35の上端部及び下端部に沿って配置され、両端はランプホルダ39(図4参照)により支持されている。この蛍光ランプ37a、37bから照射される光は、反射フィルム36の反射領域36Aで反射して透明液晶パネル34を照明する。
【0057】
蛍光ランプ38a、38bは、反射フィルム36の裏側の上方位置及び下方位置に回転リール3L、3C、3Rに向かって配置されている。この蛍光ランプ38a、38bから出て回転リール3L、3C、3Rの表面で反射して非反射領域36Bへ入射した光は、透明液晶パネル34を照明する。
【0058】
このように、液晶表示装置5においては、蛍光ランプ37a、37bから照射され、反射フィルム36の反射領域36Aで反射した光と、蛍光ランプ38a、38bから照射され、回転リール3L、3C、3Rの表面で反射して非反射領域36Bへ入射した光とが、透明液晶パネル34を照明するのである。
【0059】
従って、反射フィルム36の非反射領域36Bに対応する液晶表示装置5の領域は、液晶を駆動しているか否かによって、透明/非透明の状態に切り替わる領域であり、反射フィルム36の反射領域36Aに対応する液晶表示装置の領域は、液晶を駆動しているか否かに拘わらず非透明状態となる。
【0060】
パチスロ遊技装置1では、液晶表示装置の一部の領域のみが、透明/非透明の状態に切り替わる領域であるが、本発明の遊技機において、液晶表示装置の表示画面は、その全領域が透明/非透明の状態に切り替わる領域であってもよい。この場合、パチスロ遊技装置1において、液晶表示装置5の全領域を透過状態又は非透過状態に切り替わる領域とする場合、反射フィルム36を全て非反射領域36Bとするか、反射フィルム36を省略すればよい。
【0061】
図6は、図1に示したパチスロ遊技装置の内部構成を示すブロック図である。
主制御回路81は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ40を主たる構成要素とするものである。マイクロコンピュータ40は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU41と、ROM42及びRAM43とを含む。CPU41には、基準クロックパルスを設定するクロックパルス発生回路144及び分周器145と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器146及びサンプリング回路147とが接続されている。なお、乱数サンプリングのための手段として、CPU41の動作プログラム上で乱数のサンプリングを実行するように構成してもよい。
【0062】
ROM42には、副制御回路82へ送信するための各種制御指令(コマンド)等が格納されている。副制御回路82へ送信するためのコマンドとしては、例えば、液晶表示装置5に対する表示制御に関するコマンドや、スピーカ21に対する音声制御に関するコマンド等を挙げることができる。また、RB、BBの設定又は解除に関するコマンドも、ROM42に格納されており、当該コマンドによってRB又はBBの設定又は解除が副制御回路82に通知される。
【0063】
上述したような各種のコマンドは、所定条件の成立を契機としてCPU41によってROM42から呼び出されてRAM43にセットされる。そして、RAM43にセットされたコマンドは所定のタイミングで副制御回路82に供給される。副制御回路82は、供給されたコマンドに基づいて各種の処理を実行する。
【0064】
なお、副制御回路82が主制御回路81へコマンド等が入力されることはなく、主制御回路81から副制御回路82への一方向で通信が行われる。
【0065】
また、ROM42には、各種テーブル(例えば、図7〜図15参照)やシーケンスプログラム等を格納する記憶領域が設けられている。ROM42には、回転リール3L、3C、3Rの回転位置と回転リール外周面上に描かれた図柄とを対応付けるために、シンボル配置テーブルが格納されており、また、入賞となる図柄の組合せと、入賞のメダル配当枚数と、その入賞を表す入賞判定コードとが対応付けられた図示しない入賞シンボル組合せテーブルや、内部当籤役を決定する抽籤を行うために必要な内部抽籤テーブル等が格納される。RAM43には、上述したコマンド以外に、例えば、メダルの数に相当するクレジット数等、遊技進行に係る変数やフラグ等が格納される。
【0066】
また、ROM42には、周辺装置(アクチュエータ)の動作を制御する各回路に対して送信するための各種制御指令(コマンド)等が記憶されている。
【0067】
マイクロコンピュータ40からの制御信号により動作が制御される主要な周辺装置(アクチュエータ)としては、各種ランプ(1−BETランプ9a、2−BETランプ9b、最大BETランプ9c、WINランプ17、遊技メダル投入ランプ24、遊技開始表示ランプ25)と、各種表示部(払出枚数表示部18、メダル貯留枚数表示部19、役物作動回数表示部20)と、メダルを収納し、ホッパー駆動回路51の命令により所定枚数のメダルの払い出しを行うホッパー(払い出しのための駆動部を含む)50と、回転リール3L、3C、3Rを回転駆動するステッピングモータ59L、59C、59Rとがある。
【0068】
さらに、ステッピングモータ59L、59C、59Rを駆動制御するモータ駆動回路49、ホッパー50を駆動制御するホッパー駆動回路51、各種ランプを駆動制御するランプ駆動回路55、及び、各種表示部を駆動制御する表示部駆動回路58が、I/Oポート48を介してCPU41の出力部に接続されている。これらの駆動回路は、それぞれCPU41から出力される駆動指令等の制御信号を受けて、各アクチュエータの動作を制御する。
【0069】
また、マイクロコンピュータ40が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生させる主な入力信号発生装置としては、遊技開始指令手段としてのスタートスイッチ6S、1−BETスイッチ11、最大BETスイッチ13、貯留メダル精算スイッチ14、投入メダルセンサ22S、リセットスイッチ62、設定用鍵型スイッチ63、リール停止信号回路56、リール位置検出回路60、払い出し完了信号回路61がある。これらもI/Oポート48を介してCPU41に接続されている。
【0070】
スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6の操作を検出する。投入メダルセンサ22Sは、メダル投入口22に投入されたメダルを検出する。停止指令手段としてのリール停止信号回路56は、各停止ボタン7L、7C、7Rの操作に応じて停止指令信号を発生する。決定ボタン26及び取消ボタン27は、これらの操作により、液晶表示装置5の表示画面の切替や指示の入力等を行うことができる。
【0071】
リール位置検出回路60は、リール回転センサからのパルス信号を受けて各回転リール3L、3C、3Rの位置を検出するための信号をCPU41に送信する。
払出完了信号回路61は、メダル検出部50Sの計数値(ホッパー50から払い出されたメダルの枚数)が指定された枚数に達したとき、メダル払出完了信号を発生する。CPU41がこのメダル払出完了信号を受信すると、ホッパー駆動回路51を介してホッパー50の駆動を停止し、メダルの払出を完了させる。このメダル検出部50Sは、ホッパー50から払い出されるメダルを検出するための物理センサ等からなるメダルセンサを備えており、このメダルセンサにより払い出されるメダルの枚数の計数を行うことができる。
【0072】
図6に示した回路において、乱数発生器146は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路147は、スタートレバー6が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数及びROM42内に格納されている内部抽籤テーブルに基づいて、内部当籤役が決定される。
【0073】
リール3L、3C、3Rの回転が開始された後、ステッピングモータ59L、59C、59Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM43の所定エリアに書き込まれる。リール3L、3C、3Rからは一回転毎にリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路60を介してCPU41に入力される。こうして得られたリセットパルスにより、RAM43で計数されている駆動パルスの計数値が"0"にクリアされる。これにより、RAM43内には、各リール3L、3C、3Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
【0074】
上記のようなリール3L、3C、3Rの回転位置とリール外周面上に描かれた図柄とを対応づけるために、シンボル配置テーブルが、ROM42内に格納されている。このシンボル配置テーブルでは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リール3L、3C、3Rの一定の回転ピッチ毎に順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバー毎に対応して設けられた図柄を示す図柄コードとが対応づけられている。
【0075】
上記乱数サンプリングに基づく抽籤処理(内部抽籤処理)により内部当籤した場合には、CPU41は、遊技者が停止ボタン7L、7C、7Rを操作したタイミングでリール停止信号回路56から送られる操作信号、及び、停止テーブルに基づいて、リール3L、3C、3Rを停止制御する信号をモータ駆動回路49に送る。
【0076】
内部当籤した役の入賞成立を示す停止態様となった場合、貯留メダル精算スイッチ14の切り替えにより「払い出し」が選択されているときには、CPU41は、払い出し指令信号をホッパー駆動回路51に供給してホッパー50から所定個数のメダルの払い出しを行う。その際、メダル検出部50Sは、ホッパー50から払い出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達したときに、メダル払い出し完了信号がCPU41に入力される。これにより、CPU41は、ホッパー駆動回路51を介してホッパー50の駆動を停止し、「メダルの払い出し処理」を終了する。
【0077】
一方、貯留メダル精算スイッチ14の切り替えにより「クレジット」が選択されているときには、払い出されるべきメダルの数がクレジットとしてRAM43に記憶されることになる。
【0078】
CPU41を備えた主制御回路81には、副制御回路82が接続されている。
副制御回路82は、主制御回路81からの制御指令(コマンド)に基づいて、液晶表示装置5、90の表示制御及びスピーカ21L、21Rからの音の出力制御を行う。
【0079】
以上、パチスロ遊技装置1によれば、回転リール3は、その周面がガイドロール93と接触し、ガイドロール93によって回転可能に支持され、周面に形成されたギア部92を介してステッピングモータ59の動力が伝達されることにより回転する。従って、回転リール3は、シャフト及びスポークが省略されており、回転リール3の内側には、中空部が確保されている。また、回転リール3は、透明であるため、回転リール3を介して、内側の中空部が視認可能である。
【0080】
従って、図1に示すように、回転リール3内に液晶表示装置90を設置し、中空部を利用した意外性があってボリュームの大きい演出を行うことができる。回転リール3は、遊技が行われているときに最も遊技者の注目を集める箇所の一つであるから、リール内の中空部における演出は、極めて効果的である。
【0081】
本発明において、回転リール3内の中空部を利用した演出は、液晶表示装置に限定されず、例えば、演出用部材を用いたものであってもよい。
【0082】
図7は、本発明に係る他のパチスロ遊技装置が備えるリールの近傍の構成を模式的に示す斜視図である。図7では、上述した図3に示した構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付した。
【0083】
図7に示す回転リール3の内側には、支持軸97に支持された人型のフィギュア98が設けられている。支持軸97は、筐体内に設置されたモータ等からの動力を伝達可能であり、フィギュア98は、複数の可動部を有していて、可能部は、伝達される動力によって、所定の動作を行うように構成されている。
【0084】
本発明において、回転リール内に設置された演出用部材は、図7に示すような可動部を有するフィギュアに限定されるものではない。例えば、ランプ、LED等の照明手段を、回転リールと非接触で、回転リール内に設置し、演出を行ってもよい。また、演出用部材は、板状体に絵柄等が描かれたものであってもよい。これらの演出は、1種のみが単独で行われるように構成されていてもよく、複数種類の演出が組み合わされて行われることとしてもよい。そのような組合せとしては、例えば、回転リール内に、液晶表示装置を設置するとともに、その液晶表示装置の前方に、可動部を有するフィギュアを設置し、液晶表示装置に背景画像を表示するとともに、フィギュアに所定の動作を行わせるように構成されていてもよい。さらに、筐体内に、複数種類の演出用部材を移動可能に設置しておき、遊技状況(例えば、当籤役等)に応じた演出部材を、回転リール内に移動させるように構成されていてもよい。
【0085】
本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、各手段等の具体的構成は、適宜設計変更可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るパチスロ遊技装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示したパチスロ遊技装置が備える液晶表示装置近傍を示す拡大正面図である。
【図3】図1に示したパチスロ遊技装置が備えるリールの近傍の構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】図1に示したパチスロ遊技装置が備える液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示した液晶表示装置の一部の構成の展開図である。
【図6】図1に示したパチスロ遊技装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る他のパチスロ遊技装置が備えるリールの近傍の構成を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
1 パチスロ遊技装置
2 筐体
3(3L、3C、3R) 回転リール
5 液晶表示装置
6 スタートレバー
6S スタートスイッチ
7(7L、7C、7R) 停止ボタン
34 透明液晶パネル
41 CPU
42 ROM
43 RAM
82 副制御回路
90 液晶表示装置
91 ガイドレール
92 ギア部
93 ガイドロール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設置され、円筒形状を有し、周面に複数のシンボルが描かれ、前記周面の少なくとも一部が透明であり、前記周面にギア歯が形成されたリールと、
出力軸にギアを有し、前記ギアが前記リールの前記ギア歯と噛合するように設置されたモータと、
前記リールの周面と接触し、前記リールを回転可能に支持する支持部材と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記リールの内側に、前記リールと非接触で設けられた画像表示装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記リールの内側に、前記リールと非接触で設けられ、所定の動作を行うように構成された演出用部材を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記リールの前方に設けられ、前記シンボルを透視可能な態様で画像を表示することが可能な透明画像表示装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記リールには、その周面に沿ってガイドレールが形成され、
前記支持部材は、前記ガイドレールと接触する位置に回転自在に設置されたガイドロールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の遊技機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−272106(P2008−272106A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117459(P2007−117459)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】