説明

遊技機

【課題】移動体による移動演出を意外性のあるものにすることで、移動演出に対する注目度を向上させ、遊技者の興趣を効果的に高めさせることのできる遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機に、遊技者の操作によって遊技球が打ち込まれる遊技領域と、遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する第一始動口センサ216等と、第一始動口センサ216等による遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段640と、遊技領域とは異なる演出空間で無軌道の移動径路上を移動する移動体601と、移動体601を移動させ、遊技者に視認困難な状態で移動体601の内部に搭載された移動体動力源630と、抽選手段640の抽選結果に基づいて、移動体601が所定の移動パターンで移動するように移動体動力源630を遠隔制御する移動体制御手段610と、が具備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機(一般的に「パチンコ機」とも称する)や回胴式遊技機(一般的に「パチスロ機」とも称する)等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機等の遊技機において、遊技球等の遊技媒体が打ち込まれる遊技領域を有した遊技盤を備えている。この遊技盤の遊技領域内には、適宜箇所に障害釘、風車、及び入賞口が設けられていると共に、入賞口に入賞しなかった遊技媒体を遊技領域外へ排出するアウト口とが備えられており、入賞口に遊技媒体が入賞すると、所定数の遊技媒体が払出されるようになっている。
【0003】
また、遊技領域における遊技媒体の動きに加えて、所定の移動径路上を機械的に上下方向に移動する移動体を備えたり、左右方向に往復・回動運動をする移動体を備えたり(例えば、特許文献1)して、遊技媒体による演出だけでなく移動体の動きによる移動演出も行うことで、より遊技者の興趣が高められるようにしたものも提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−75230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の遊技機は、例えば特許文献1に示すように、移動体を往復移動させるための駆動機構が遊技者から視認されやすいものであった。従って、移動体の移動範囲が容易に知られてしまうので、移動演出に対する興味がすぐに薄れてしまい、移動演出を十分に楽しませられないことで遊技者の興趣が低下する虞があった。
【0006】
そこで、本発明は上記の実状に鑑み、移動体による移動演出を意外性のあるものにすることで、移動演出に対する注目度を向上させ、遊技者の興趣の低下を抑制できる遊技機の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手段1:遊技機において、
「遊技者の操作によって遊技媒体が打ち込まれる遊技領域と、該遊技領域内に配置され遊技媒体が入球可能な始動口と、該始動口に前記遊技媒体が入球したことを検出する入球状態検出手段と、前記遊技領域とは異なる演出空間に備えられた演出ステージと、前記遊技領域と前記演出ステージとを隔離する隔離板と、無軌道の移動面である前記演出ステージ上を移動する移動体と、
該移動体を移動させ、遊技者に視認困難な状態で前記移動体の内部に搭載された移動体動力源と、キャラクタ、図柄、及び背景の少なくとも一つからなる所定の演出態様を表示可能な表示手段と、少なくとも前記入球状態検出手段と前記抽選結果とに応じて所定のコマンドを送信可能なコマンド送信手段、前記入球状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段、及び、該抽選手段による抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段を少なくとも有する遊技制御手段と、該遊技制御手段から送信されるコマンドを受信可能なコマンド受信手段、及び、前記抽選手段の抽選結果に基づいて、前記移動体が所定の移動パターンで移動するように前記移動体動力源を遠隔制御する移動体制御手段を少なくとも有する演出制御手段と、を具備する」ものであることを特徴とする。
【0008】
ここで、「演出空間」とは、「遊技媒体が打ち込まれる遊技領域」とは異なる空間で、且つ遊技者に対して視認可能な位置であれば良く、「遊技媒体が打ち込まれる遊技領域」の前側、後側、上側、下側、等、その位置関係は特に限定されない。
【0009】
また、「無軌道の移動面」とは、移動体の通る道筋や移動可能範囲(軌道)が無い(または識別困難な)状態を示し、例えば、電車のレールのような、移動体をガイドするガイド部が露出した状態は除外する主旨である。但し、当該ガイド部に見せかけた擬似ガイド部を設ける状態は除外しない。「擬似ガイド部」を用いた演出の例としては、通常時には擬似ガイド部であるレール上を走行する移動体(電車を模した形態)が、ある特定条件下において、レール上から脱線しレール外の演出空間内を走行するような演出が例示できる。つまり、一見すると移動体がガイド部にガイドされて移動しているように見えるが、実はガイド部以外の場所も移動可能範囲とすることができるような状態は、本発明の主旨に含む。また、「移動する」形態としては、「演出空間内に配置されたステージ上を前後左右に移動する」形態でも良いし、「演出空間内に配置された壁状の部材を這い登る(上下方向に移動する)」形態でも良いし、「演出空間内を上下方向、左右方向、または前後方向の少なくとも何れか一つの方向に飛行する」形態でも良い。
【0010】
さらに、「移動体動力源」としては、入力されたエネルギーを物理的な運動へと変換する機構を有するもので、移動体の内部に内蔵可能なものであれば良く、例えば電気モータ、エンジン、油圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、等が例示できる。
【0011】
また、「所定の移動パターン」としては、例えば「所定の記憶手段に記憶された一つまたは複数の移動パターン」のように、予め定められたデータに基づいて再現されるものでも良いし、「所定の操作手段に加えられた遊技者の操作に基づく移動パターン」(例えば、遊技者が操作レバーを操作すると、操作レバーに加えられた入力に従動して移動体が移動する)のように、予め予測することが困難なデータに基づいて所定の移動パターンが再現されるものでも良く、また、それらを組み合わせたものでも良い。
【0012】
また、「移動体制御手段」は、「移動体」と一体的に備えられ(移動体に搭載され)ても良いし、「移動体」とは別体に設けられても良く、移動体に搭載された「第一移動体制御手段」と移動体とは別体に設けられた「第二移動体制御手段」との双方で移動体動力源を制御するものでも良い。また、「遠隔制御する」とは、例えば電波や光などの視認困難な伝達手段を用いて対象(移動体動力源)を制御する手法を示す。
【0013】
また、「有利遊技状態」とは、通常の遊技状態よりも遊技者に有利となる状態を意味するものであり、以下のように種々の状態を例示できる。
【0014】
(1)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される入賞口を、所定回数繰返し開閉させたり、所定時間、あるいは遊技球が所定個数入賞するまで継続して開放させて、遊技球が多量に入賞口に入賞し易くした状態(所謂「大当り状態」)。
【0015】
(2)パチンコ等の遊技機において、大当り状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
【0016】
(3)パチンコ機等の遊技機において、遊技球の入賞や通過により大当り状態を発生させるか否かの抽選を行う抽選用の入球装置を、通常よりも遊技球が入球し易い状態とし、大当りの抽選が通常よりも頻繁に行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」。
【0017】
(4)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲームの間、遊技媒体であるメダルの払出しを行う絵柄にてドラムが停止され易くした状態、所謂「ボーナスゲーム状態」。
【0018】
(5)パチスロ機等の遊技機において、次回以降のゲーム状態をボーナスゲーム状態にさせるための条件であるボーナス絵柄にてドラムを停止可能とした状態、所謂「ボーナス成立状態」。
【0019】
(6)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲーム数の間、役を成立させるためのドラムの停止順序や図柄を案内する等して、役の成立を手助けする状態、所謂「アシストゲーム状態」。
【0020】
(7)パチスロ機等の遊技機において、ボーナスゲーム状態、ボーナス成立状態、アシストゲーム状態等の特典状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
【0021】
また、「表示手段」としては、例えば、「液晶ディスプレイ(LCD)」、「CRT」、「有機ELディスプレイ(OELD、またはOLED)」、「無機ELディスプレイ」、「プラズマディスプレイ(PLP)」、「蛍光表示管パネル(VFDP)」、「フィールドエミッションディスプレイ」、「発光ダイオード(LED)」、「白熱ランプ」、等が挙げられる。
【0022】
また、「キャラクタ」とは、図柄や背景以外の画像を意味しており、小説・漫画・映画・演劇などの登場人物、動物、植物、または小道具類、もしくはこの遊技機のために作られた仮想上の人物、動物、植物、または小道具類が例示できる。
【0023】
手段1の構成によれば、遊技領域とは異なる演出空間に、移動体が移動演出を行う演出ステージが設けられている。移動体は、無軌道の移動面上である演出ステージ上で移動演出を行う。移動体には、遊技者に視認困難な状態で移動体動力源が内蔵されており、さらに、移動体動力源を制御する移動体制御手段が備えられている。また、遊技媒体が入球可能な始動口と、遊技媒体が入球したことを検出する入球状態検出手段と、遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段とがさらに備えられている。移動体制御手段は、抽選手段の抽選結果に基づいて、移動体が所定の移動パターンで演出空間内を移動するよう移動体動力源を遠隔制御している。さらに、所定の演出態様を表示する表示手段が設けられており、キャラクタや図柄などを表示して画像による演出態様を表現することができる。また、有利遊技状態発生手段によって有利遊技状態を発生させることができ、遊技を盛り上げることができる。
【0024】
従って、本手段では、遊技領域を流下する遊技媒体の動きに加え、画像による演出態様や有利遊技状態の発生によって遊技を盛り上げることができると同時に、さらに、移動体の移動演出によって遊技者の目を楽しませることができる。特に、本手段によれば、移動体動力源が移動体に内蔵されており、且つ、移動体は無軌道の移動径路上で移動演出を行う。従って、遊技者は、移動体がどうやって駆動しているのか、また、どのような移動範囲で移動するのかが容易には分かりにくくなるので、移動演出を意外性のあるものにでき、遊技者の興趣を効果的に高めることが期待できる。
【0025】
ところで、移動体動力源の存在を判り難くした状態で移動体を移動させる方法としては、移動体動力源を内蔵させる上記の方法に限らず、他の方法も考えられる。例えば、圧縮空気や圧縮液体を移動体に吹き付け、その圧力で移動体を移動させる方法や、または、移動体に適宜な磁性体を搭載し、移動体とは別体に設けられた電磁石等の磁石を用いて、当該磁性体を吸引・反発させ、その磁力で移動体を移動させる方法等がある。また、演出空間内に移動体を載せるステージを配置し、ステージを前後左右に傾斜させることで、ステージ上を移動体が滑ったり転がったりして動く方法等もある。
【0026】
但し、これらの方法には、夫々に欠点があった。具体的には、圧縮空気や圧縮液体を用いる方法では、移動体の移動量を正確にコントロールすることが困難であると予想される。また、磁石を用いる方法や、ステージを傾ける方法は、それらの装置が大掛かりになる傾向があり、その分、演出空間が狭くなる虞がある。そうすると、移動体の移動可能範囲が狭くなってしまうので、移動体の動きが小さくて迫力の無いものとなり、遊技者の興趣を十分に惹きつけられないことが懸念された。
【0027】
これに対し、手段1の構成では、電気モーターやエンジンのような公知のアクチュエータを動力源とするから、それほど大掛かりな装置を必要としない。また、移動体の内部のスペースを動力源の搭載に利用する構成だから、演出空間を狭くして動力源を設置する必要が無く、比較的広い演出空間を確保できる。従って、移動体の動きを大きく迫力のあるものとすることができ、遊技者の興趣を効果的に高められるものと期待できる。さらに、本発明の移動体は、抽選結果に基づいた移動パターンで移動するから、抽選に対する遊技者の興趣を盛り上げて遊技をより楽しませることができる。
【0028】
また、手段1の構成では、遊技機における制御が、コンピュータを用いてなる遊技制御手段とコンピュータを用いてなる演出制御手段とで分担される。そして、遊技制御手段にて、夫々、遊技の実態において重要な部分である抽選手段、有利遊技状態発生手段、及びコマンド送信手段等の制御を行う一方、この遊技制御手段からのコマンドに基づいて、演出制御手段にて、移動体制御手段の制御が行われる。これにより、遊技制御手段の負担を大きくすることなく、上記の作用効果を奏する遊技機を実現することができる。
【0029】
手段2:手段1において
「前記移動体動力源は、電気をエネルギー源とするものであり、
前記移動体動力源に電力を供給し、遊技者に視認困難な状態で前記移動体の内部に搭載された電源装置、がさらに備えられている」ものとすることができる。
【0030】
ところで、移動体動力源としては、上述したように、化石燃料を利用するエンジンや油圧を利用する油圧アクチュエータなど各種のものが考えられる。しかし、これらのエネルギー源は、比較的大きな出力を得られる反面、騒音や排気などの問題が発生しやすいという欠点があった。これに対し、電気をエネルギー源とする動力源は、騒音や排気などの問題が起き難いという利点を有している。
【0031】
一方、電気をエネルギー源とする移動体動力源を採用した場合において、電源装置(エネルギー供給装置)を移動体の内部に搭載しない方法も考えられる。例えば、電気コイルを移動体の内部に搭載し、外部の(内蔵していない)電源装置から電気コイルに対して電磁波を照射する方法などが考え得る。電気コイルに電磁波を照射すると、電磁誘導の原理によってコイルに誘導起電力が発生するから、この発生した電力で移動体を移動させるという方法である。しかし、この方法では、電磁界を介してエネルギーをやりとりする方法であるため、比較的エネルギー効率が悪いという問題があった。特に、移動体と電源装置との距離が離れるに従って急速にエネルギー効率が低下するので、移動演出を行う移動体(それに搭載された移動体動力源)に対して、外部の電源装置から十分にエネルギーを供給することが難しいという問題があった。そうすると、大きな推進力を移動体に与えることが難しいので、移動体の動きが小さくて迫力の無いものになり、遊技者の興趣を十分に高められない虞があった。
【0032】
これに対し、本手段の構成によれば、電源装置を移動体の内部に搭載しているので、電源装置と移動体動力源との間の電力のやりとりを極めてエネルギー効率の良いものにすることができる。つまり、電源装置と移動体動力源との双方が移動体の内部に搭載されるから、これらの間の距離が短くなり、エネルギーロスを最小限に抑えることができる。これにより、大掛かりな電源装置を用いずとも十分な電力を移動体動力源に与えることができるので、移動体が大きな推進力を得ることが可能となり、迫力の有る移動演出を行って遊技者の興趣を効果的に高められる。
【0033】
手段3:手段2において
「前記電源装置は、供給された電力を蓄えることができる蓄電池であり、
前記演出空間には、前記蓄電池に電力を充電する充電装置が配置されている」ものとすることができる。
【0034】
本手段の構成によれば、移動体に内蔵された電源装置は蓄電池であり、さらに、蓄電池を充電する充電装置が演出空間に配置されている。蓄電池と充電装置とは、互いに接触して充電するものでも良いし、非接触状態で充電するものでも良い。但し、前述したように、接触状態でエネルギーをやりとりする(充電する)方が、エネルギーの伝達効率が良く好適である。
【0035】
従って、本手段によれば、充電装置によって蓄電池を充電することができるから、電力切れで移動体の移動演出が停止し、遊技者の興趣が削がれる事態を防止できる。また、蓄電池は繰り返し充電することができるから、電力の残量に縛られることなくパワフルな移動体動力源を選択することができる。これにより、ダイナミックに移動体を動かすことができ、より魅力的な移動演出を行える移動体を備えた遊技機を提供できる。
【0036】
手段4:手段3において
「前記充電装置は、前記演出空間の特定エリアに設置され、
前記移動体が前記特定エリアに移動することで前記蓄電池が充電される」ものとすることができる。
【0037】
ところで、移動体に搭載された蓄電池を充電する方法としては、充電装置に適宜な動力源を搭載し、所定の制御手段を用いて移動体のある場所まで充電装置が移動するよう当該動力源を制御する、という方法が考えられる。しかし、この方法では、移動体動力源を制御する移動体制御手段に加え、さらに、充電装置に搭載された動力源を制御する別途の制御手段が必要であり、迂遠であるという難点があった。もちろん、一つの制御手段で二つの動力源(移動体動力源と、充電装置に搭載された動力源)を制御しても良いが、そうすると、制御の方法が複雑になり、制御を担当する基板等の負担が増大するという問題が生じる場合があった。
【0038】
これに対し、本手段の構成では、充電装置は特定エリアに設置され、その特定エリアに移動体が移動することで蓄電池が充電される構成である。つまり、充電装置は移動する必要が無く、もともと動力源や移動制御手段を有している移動体のほうが移動する構成なので、別途の動力源や制御手段を備える場合よりも構成が簡略になる。
【0039】
特に、充電装置を遊技者が視認可能な状態に配置し、移動体の外観と関連付けられた装飾を施した場合は、移動体が特定エリアに移動して充電する動作が演出の一環であるかのような印象を与えることもでき、充電動作に伴う不自然さを払拭することができる。例えば、「自動車の外観を模した移動体と、ガソリンスタンドを模した装飾の充電装置」であれば、自動車がガソリンスタンドで給油する様を擬似的に現した移動演出を行いつつ、蓄電池を充電させることができる。また、「動物の外観を模した移動体と、巣穴を模した装飾の充電装置」であれば、動物が巣穴に帰っていく様を擬似的に現した移動演出を行いつつ、蓄電池を充電させることができる。このように、充電装置によって蓄電池を充電する行為を、移動演出の一環であるかのように見せかけることも可能である。
【0040】
手段5:手段1乃至手段4の何れか一つにおいて、
「前記移動体動力源は、電気モータを有している」ものとすることができる。
【0041】
従って、本手段の構成によれば、移動体動力源は電気モータを有している。電気モータは、適宜なエネルギー供給手段(例えば、電源装置等)から電力の供給を受けており、移動体制御手段によって制御されている。移動体制御手段による制御とは、具体的には、電気モータの回転数や回転角度、回転速度がコントロールされることであり、これによって移動体が所定の移動パターンで移動する。
【0042】
移動体動力源として電気モータを用いると、化石燃料を利用するエンジンや油圧を利用する油圧アクチュエータ等の動力源を用いる場合に比べて、騒音や排気などの問題が発生しにくい。また、精密な制御や小型化にも適しており、移動体の動力源として好適である。
【0043】
手段6:手段1乃至手段5の何れか一つにおいて、
「前記移動体は、車輪を有する自動車を模した外観をしており、
前記移動体動力源は、前記車輪を回転させることで前記移動体を移動させる」ものとすることができる。
【0044】
本手段の構成によれば、移動体は、自動車を模した外観をしており、車輪を有している。そして、車輪を接地させて移動する構成だから、移動体と、移動体に接触している接触面との間の摩擦を可及的に小さくすることができ、移動体をスムーズに移動させることができる。また、移動体の外観を食物や建築物のような静物を模したものにすると、現実には有り得ない動きを移動体にさせることになるので、現実との乖離感が強くなり、遊技者によってはシュールさを感じて興趣が削がれる虞がある。これに対し、本手段では、自動車という、現実世界でも移動する媒体を移動体の外観に採用しているから、現実との乖離感を感じさせず、むしろ親近感を感じるさせることが期待できる。すなわち、移動体の移動演出をリアルで不自然さの無いものにできるので、より注目度の高い遊技機を提供できる。
【0045】
なお、現実世界でも移動する媒体としては、他には、例えば動物や人間なども考え得るが、これらの媒体の移動手段は二本または四本の足(棒状の部材)なので、安定した移動が車輪よりも困難になる傾向がある。また、車輪を有する移動媒体としては、他には、例えば電車や2輪車などが考えられるが、電車はレール上を移動する車両であるため、四輪車に比べて機動力が劣る(若しくは、そういったイメージがある)という実態があるし、2輪車は、四輪車に比べて停止時の安定性に欠けるという問題がある。従って、機動力に優れたイメージを有し、且つ停止時の安定性にも優れる自動車(四輪車)の外観の方が、インパクトのあるダイナミックな移動演出により適している。
【0046】
手段7:手段1乃至手段6の何れか一つにおいて、
「前記移動体制御手段は、前記有利遊技状態発生手段によって前記有利遊技状態が発生したことに基づいて、前記抽選結果に対応する有利移動パターンで移動するように前記移動体動力源を制御する有利移動パターン制御手段をさらに有している」ものとすることができる。
【0047】
本手段の構成によれば、移動体制御手段は、有利移動パターン制御手段を有している。ここでいう有利移動パターン制御手段とは、有利遊技状態発生手段によって有利遊技状態が発生したことに基づいて、抽選結果に対応する有利移動パターンで移動するように移動体動力源を制御するものである。
【0048】
従って、始動口に遊技媒体が入球すると、入球状態検出手段によって入球状態が検出される。すると、抽選手段によって抽選が行われ、その抽選結果が所定の結果である場合には、有利遊技状態発生手段によって遊技者に有利な各種の遊技状態が発生する。移動体制御手段は、有利移動パターン制御手段を有しているから、有利遊技状態が発生すると、抽選結果に対応する所定の有利移動パターンで移動するよう移動体動力源を制御し、移動体が有利移動パターンで移動演出を行う。
【0049】
これにより、遊技者は、移動体の有利移動パターンによって、有利遊技状態が発生したことを明確に知ることができ、大当り状態等の有利な状態に対する期待感を高め、遊技に対する興趣を大幅に高めることが可能になる。特に、有利遊技状態が発生しない場合の通常の移動パターンと、有利移動パターンとの双方の移動演出を移動体にさせた場合は、遊技者の遊技状態に応じて(すなわち、遊技する度に異なるタイミングで)移動体の移動演出が変化するから、何度遊技しても遊技者を飽きさせない遊技機を提供できる。
【0050】
手段8:手段7において
「前記有利遊技状態発生手段によって前記有利遊技状態が発生したことに基づいて、前記有利移動パターンで移動する前記移動体の動きと連動した有利演出表示を前記表示手段に少なくとも表示させる演出表示制御手段をさらに有する」ものとすることができる。
【0051】
ところで、従来より遊技機に表示手段を備え、その表示手段にキャラクタ等を表示させることで、遊技者に所定の演出態様を楽しませるようなものが知られている。従来の遊技機では、始動口や入賞口等に遊技媒体が受入れられることを契機として、所定の演出態様を表示するようにしているので、遊技領域内における遊技媒体の動きとは関連しない演出態様が表示されている。そうすると、遊技媒体の遊技と、演出態様の演出表示とでその内容が乖離してしまい、遊技者の興趣を高めることが困難であった。また、表示手段による演出表示の内容と遊技媒体の動きとを単に関連付けただけでは、遊技者の興趣を十分には高められない場合も考えられた。なぜならば、通常の表示手段による演出表示は平面的なもののみであるため、遊技者によっては単調に感じて飽きてしまう場合が考えられた。
【0052】
これに対し、本手段の構成によれば、有利移動パターンで移動演出を行う移動体が備えられていることに加え、さらに、有利移動パターンと連動した有利演出表示を行う演出表示制御手段が備えられている。従って、従来の表示手段による平面的な演出表示とは異なる演出表現(移動演出)が展開されると共に、さらに当該移動演出に連動した有利演出表示が行われる。これにより、単なる平面的な演出表現では退屈さを感じる遊技者をも楽しませることができる。また、移動体と表示手段との双方を具備することにより、移動体による移動演出のみしか展開しない場合に比べ、有利遊技状態に関する演出表現の幅を広げることができるので、より面白味のある遊技機とすることができ、遊技者の興趣をより高められる効果を期待することができる。
【0053】
手段9:手段1乃至手段8の何れか一つにおいて、
「前記移動体制御手段は、前記所定の移動パターンに応じたパターン信号を、電磁波を用いて送信するパターン信号送信手段、を有し、
前記移動体動力源は、前記パターン信号送信手段によって送信された前記パターン信号を受信するパターン信号受信手段、を有している」ものとすることができる。
【0054】
ここで、「電磁波を用いて送信する」通信形態としては、「超長波(VLF)」、「長波(LF)」、「中波(MF)」、「短波(HF)」、「極超短波(UHF)」、「センチ波(SHF)」、「ミリ波(EHF)」、及び「マイクロ波」等の「電波通信」のみならず、「赤外線」等の「光」を用いた「光通信」の形態も含む。
【0055】
従って、本手段の構成によれば、移動体制御手段は、電磁波を用いてパターン信号を送信するパターン信号送信手段を有している。さらに、移動体動力源は、パターン信号送信手段によって送信されたパターン信号を受信するパターン信号受信手段を有しており、パターン信号に応じた移動パターンで移動体を移動させる。
【0056】
これにより、移動体や移動体動力源とは遠隔な距離に移動体制御手段を配置して制御することが可能となるので、移動体制御手段の配置位置に関するバリエーションが増加する。例えば、遊技者に視認されにくい位置に移動体制御手段を配置できるので、移動体の移動が何によって制御されているのかを分かりにくくすることができ、移動体の移動演出をより謎めいた魅力的なものとすることができる。特に、電波や赤外線のようにそのままでは視認困難な電磁波を用いて無線通信した場合は、移動体制御手段と移動体(及び移動体動力源)との信号のやり取りが目に見えないため、これらの装置の関連性(移動体制御手段が移動体動力源を制御しているという関連性)を遊技者の目から隠蔽することができる。この場合は、譬え移動体制御手段を遊技者に視認可能な位置に配置したとしても、これらの装置の関連性を隠蔽できるため、本手段の移動演出の謎めいた魅力を損なわせることなく、且つ移動体制御手段の配置位置や配置方法のバリエーションを一層増加させることができる。
【0057】
手段10:遊技機において
「遊技者の操作によって遊技媒体が打ち込まれる遊技領域と、
該遊技領域とは異なる演出空間に備えられた演出ステージと、
該演出ステージ上にて遊技者に視認可能な状態で移動し、車輪を有する自動車を模した外観をした移動体と、
前記遊技領域と前記演出ステージとを隔離する隔離板と、
遊技者に視認困難な状態で前記移動体の内部に搭載された電気モータを有し、前記車輪を回転させることで前記移動体を移動させる移動体動力源と、
該移動体動力源に電力を供給し、遊技者に視認困難な状態で前記移動体の内部に搭載された蓄電池と、
前記演出空間内の特定エリアに配置され、前記蓄電池に電力を充電する充電装置と、
前記遊技領域内に配置され遊技媒体が入球可能な始動口と、
キャラクタ、図柄、及び背景の少なくとも一つからなる所定の演出態様を表示可能な表示手段と、
前記有利遊技状態発生手段によって前記有利遊技状態が発生したことに基づいて、前記有利移動パターンで移動する前記移動体の動きと連動した有利演出表示を前記表示手段に少なくとも表示させる演出表示制御手段と、
前記始動口に前記遊技媒体が入球したことを検出する入球状態検出手段と、
少なくとも前記入球状態検出手段と前記抽選結果とに応じて所定のコマンドを送信可能なコマンド送信手段、
前記入球状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段、
該抽選手段による抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段、
を少なくとも有する遊技制御手段と、
該遊技制御手段から送信されるコマンドを受信可能なコマンド受信手段、
及び、前記有利遊技状態発生手段によって前記有利遊技状態が発生したことに基づいて、前記抽選結果に対応する有利移動パターンで移動するように前記電気モータを制御する有利移動パターン制御手段、及び、前記有利移動パターンに応じたパターン信号を、赤外線を用いて送信するパターン信号送信手段、を有する移動体制御手段、
を少なくとも有する演出制御手段と
を有し、
前記移動体動力源は、前記パターン信号送信手段によって送信された前記パターン信号を受信するパターン信号受信手段、を具備している」ものであることを特徴とする。
【0058】
本手段の構成によれば、遊技者の操作によって遊技媒体が打ち込まれる遊技領域と、該遊技領域とは異なる演出空間に備えられた演出ステージと、該演出ステージ上にて遊技者に視認可能な状態で移動し、車輪を有する自動車を模した外観をした移動体とが備えられている。遊技領域と演出空間との間には隔離板が設けられており、夫々の空間を分断している。移動体の内部には、電気モータが搭載された移動体動力源が内蔵されており、前記車輪を回転させることで移動体をステージ上にて移動させている。移動体動力源は、移動体制御手段によって制御されており、有利遊技状態発生手段によって有利遊技状態が発生したことに基づいて、抽選結果に対応する有利移動パターンで移動体が移動するように制御されている。また、移動体制御手段には、移動パターンに対応するパターン信号を送信するパターン信号送信手段が搭載されており、移動体動力源に搭載されたパターン信号受信手段に対して赤外線を用いてパターン信号を送信する。さらに、本手段には、移動体に搭載された蓄電池を充電する充電装置が備えられている。蓄電池は、充電装置によって繰り返し充電されることで、移動演出に必要な電力を移動体動力源に供給している。充電装置は演出空間内の特定エリアに設置されており、移動体が特定エリアに移動することで蓄電池が充電される。また、本手段によれば、キャラクタ、図柄、及び背景の少なくとも一つからなる所定の演出態様を表示可能な表示手段がさらに具備されている。本手段の抽選手段と有利遊技状態発生手段、さらに、始動口に技媒体が入球したことを検出する入球状態検出手段、及び、抽選結果に応じて所定のコマンドを送信可能なコマンド送信手段は、遊技制御手段に搭載されている。一方、遊技制御手段から送信されるコマンドを受信可能なコマンド受信手段、有利移動パターンで移動する移動体の動きと連動した有利演出表示を表示手段に表示させる演出表示制御手段、及び前記移動体制御手段は、演出制御手段に搭載されている。
【0059】
従って、遊技領域を流下する遊技媒体の動きに加え、さらに移動体の移動演出によって遊技者の目を楽しませることができる。特に、本手段によれば、移動体動力源が移動体に内蔵されているから、遊技者は、移動体動力源の存在を視認することが困難となる。これにより、移動体がどうやって駆動しているのか、また、どのような移動範囲で移動するのかが容易には分かりにくくなるので、移動演出を意外性のあるものにでき、遊技者の興趣を効果的に高めることが期待できる。また、隔離板が備えられているから、遊技領域と演出空間とが隔離されている。これにより、遊技領域を流下する遊技媒体が移動体の移動演出を邪魔する懸念が払拭される。
【0060】
また、本手段によれば、移動体には、さらに電源装置が内蔵されている。これにより、電源装置と移動体動力源との間の電力のやりとりを極めてエネルギー効率の良いものにすることができ、移動体が大きな推進力を得ることが可能となり、迫力の有る移動演出を行って遊技者の興趣を効果的に高められる。
【0061】
また、本手段によれば、充電装置によって蓄電池を充電することができるから、電力切れで移動体の移動演出が停止し、遊技者の興趣が削がれる事態を防止できる。また、蓄電池は繰り返し充電することができるから、電力の残量に縛られることなくパワフルな移動体動力源を選択することができる。これにより、ダイナミックに移動体を動かすことができ、より魅力的な移動演出を行える移動体を備えた遊技機を提供できる。
【0062】
さらに、本手段によれば、充電装置は特定エリアに設置され、その特定エリアに移動体が移動することで蓄電池が充電される構成である。これにより、充電装置は移動する必要が無く、もともと動力源や移動制御手段を有している移動体のほうが移動する構成なので、別途の動力源や制御手段を備える場合よりも構成が簡略になる。
【0063】
また、本手段によれば、移動体動力源は電気モータを有している。従って、化石燃料を利用するエンジンや油圧を利用する油圧アクチュエータ等の動力源を用いる場合に比べて、騒音や排気などの問題が発生しにくい。また、精密な制御や小型化にも適しており、移動体の動力源として好適である。
【0064】
さらに、本手段によれば、移動体は、自動車を模した外観をしており、車輪を有している。そして、車輪を接地させて移動する構成だから、移動体と、移動体に接触している接触面との間の摩擦を可及的に小さくすることができ、移動体をスムーズに移動させることができる。また、電気モータの回転軸を車輪の車軸に接続すれば、電気モータの磁界の向き(回転子の回転方向)を逆転させることによって、比較的簡単に移動体の前進とバックを切り替えることができる。
【0065】
また、本手段によれば、移動体制御手段は、有利移動パターン制御手段を有しているから、有利遊技状態が発生すると、抽選結果に対応する所定の有利移動パターンで移動するよう移動体動力源を制御し、移動体が有利移動パターンで移動演出を行う。これにより、遊技者は、移動体の有利移動パターンによって、有利遊技状態が発生したことを明確に知ることができ、大当り状態等の有利な状態に対する期待感を高め、遊技に対する興趣を大幅に高めることが可能になる。
【0066】
さらに、本手段によれば、表示手段と、移動体の有利移動パターンと連動した有利演出表示を表示手段に表示させる演出表示制御手段がさらに備えられている。これにより、移動体による移動演出のみしか展開しない場合に比べ、有利遊技状態に関する演出表現の幅を広げることができるので、より面白味のある遊技機とすることができ、遊技者の興趣をより高められる効果を期待することができる。
【0067】
さらに、本手段によれば、移動体制御手段は、赤外線を用いてパターン信号を送信するパターン信号送信手段を有している。さらに、移動体動力源は、パターン信号送信手段によって送信されたパターン信号を受信するパターン信号受信手段を有しており、パターン信号に応じた移動パターンで移動体を移動させる。これにより、移動体や移動体動力源とは遠隔な距離に移動体制御手段を配置して制御することが可能となるので、移動体制御手段の配置位置に関するバリエーションが増加する。例えば、遊技者に視認されにくい位置に移動体制御手段を配置できるので、移動体の移動が何によって制御されているのかを分かりにくくすることができ、移動体の移動演出をより謎めいた魅力的なものとすることができる。また、本例のパターン信号送信手段は赤外線を用いるから、電波を用いる場合に比べて、他の遊技機や機器からの妨害を受け難くなる。つまり、赤外線は電波と異なり、壁を通過しにくい性質を有するので、他の機器が発する電波を受けて誤動作を起こす虞が無い。また、電波は壁を通過するから、仮に電波を用いた本発明の遊技機を一つの島に複数設置した場合、夫々が異なる周波数を用いるよう設定しなければならず、面倒である。しかし、本例の遊技機では、赤外線を用いるパターン信号送信手段を備えているから、本例の遊技機を一つの島に複数設置した場合でも、夫々の遊技機で簡単に個別の移動演出を行わせることができる。
【0068】
手段11:手段1から手段10までの何れか一つの遊技機において、
パチンコ機であることを特徴とする。
ここで、パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを具備するもの」である。
【0069】
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ機」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(遊技状態検出手段として捉えることもできる)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の図柄からなる図柄列を変動表示し、図柄列にて図柄を停止表示させたり、キャラクタや種々の物品等の表示物を描写し、表示物を動作させたりする等によって適宜の演出表示を行う演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ機」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ機」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
【0070】
手段11の構成によると、パチンコ機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
【0071】
手段12:手段1から手段10までの何れか一つの遊技機において、
パチスロ機であることを特徴とする。
ここで、パチスロ機とは、投入媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作によって、夫々複数の図柄が描かれた複数のリールを回転させる等して、各リール等によって構成された図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて各図柄列の変動表示を停止させる、といった遊技が遊技者によって行われるものである。換言すれば、停止操作機能付きのスロットマシーンとして捉えることができるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動表示を停止させるものであってもよい。そして、各図柄列の変動表示の停止時において、表示された単体の図柄が特定の図柄であったり、各図柄列にて表示された図柄の組合わせが特定の組合せであったりする等、特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができる遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
【0072】
手段12の構成によると、パチスロ機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
【0073】
手段13:手段1から手段10までの何れか一つの遊技機において、
パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなることを特徴とする。
ここで、「パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機」とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動表示を停止させるものであってもよい。そして、各図柄列の変動表示の停止時において、表示された単体の図柄が特定の図柄であったり、各図柄列にて表示された図柄の組合わせが特定の組合せであったりする等、特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができる遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
【0074】
手段13の構成によると、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機において、上述した手段のいずれかの作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0075】
このように、本発明によれば、移動体動力源が移動体に内蔵されているから、遊技者は、移動体動力源の存在を視認することが困難となる。これにより、移動体がどうやって駆動しているのか、また、どのような移動範囲で移動するのかが容易には分かりにくくなるので、移動演出を意外性のあるものにでき、遊技者の興趣を効果的に高めることが期待できる。また、電源装置を移動体の内部にさらに搭載した場合には、電源装置と移動体動力源との間のエネルギーロスを最小限に抑えることができ、、移動体が大きな推進力を得ることが可能となり、迫力の有る移動演出を行って遊技者の興趣を効果的に高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
図1はパチンコ機の前側全体を示す正面図であり、図2はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれ、その本体枠の一側に更に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1及び図2においては遊技領域における装飾部材を省略して示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
【0077】
[本体枠の構成について] 図1及び図3に基づき説明する。
図3はパチンコ機の本体枠と遊技盤とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図2参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
【0078】
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
【0079】
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。また、上皿51の左側には、遊技者が操作可能なボタン59が設けられている。
【0080】
[施錠装置の構成について] 図2及び図3に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75とを備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
【0081】
[遊技盤装着枠の構成について] 図2乃至図4に基づき説明する。
図4はパチンコ機の後側全体を示す背面図である。
図2及び図3に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図9参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
【0082】
一方、図4に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えた基板ホルダ91が設けられている。この基板ホルダ91の後側には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板92が収納された副制御基板ボックス93が装着され、その副制御基板ボックス93の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板94が収納された主制御基板ボックス95が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対し基板ホルダ91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなく基板ホルダ91、副制御基板ボックス93及び主制御基板ボックス95が配置されている。
【0083】
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
図7はパチンコ機の本体枠に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図8は本体枠単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部111、レール装着部112、及び払出装置装着部113等がそれぞれ形成され、タンク装着部111には球タンク114が装着されている。球タンク114は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク114の遊技球の貯留状態が球タンク114の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク114の底板部115の後側隅部には遊技球を放出する放出口116が形成されるとともに、底板部115は放出口116に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
【0084】
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部111に下方に接近してレール装着部112が一体に形成され、そのレール装着部112にレール構成部材117が装着されることでタンクレール118が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部111は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール118の前壁部119とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図8に向かって左端)から他端(図8に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚120が形成されている。そして、レール棚120の横方向に延びる上向き面をレール受け部121としている。
【0085】
レール装着部112に装着されてタンクレール118を構成するレール構成部材117は、レール装着部112の前壁部119との間にレール通路を構成する後壁部122と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材117は、レール装着部112に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール118が構成されている。そして、球タンク114の放出口116から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール118の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材117は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材117の後壁部122を透して視認可能となっている。
【0086】
タンクレール118(レール装着部112)の前壁部119は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えば役物)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚120の後端と、タンクレール118の後壁部は、球タンク114の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク114の後壁部に対しタンクレール118の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール118が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール118の前壁部119との間に装備品(例えば役物)の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
【0087】
また、タンクレール118の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体123がその上部において軸124を中心として揺動可能に装着されている。この整流体123には、その中央部から下部において錘が設けられている。
【0088】
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図7及び図8に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)125に対応する縦長の払出装置装着部113が形成されている。払出装置装着部113は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部113の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置125の払出用モータ126(図3参照)が突出可能な開口部127が形成されている。
【0089】
払出装置装着部113の凹部に球払出装置125が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部113の周壁部後端、レール棚120の後端、球タンク114、タンクレール118及び球払出装置125のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
【0090】
球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置125は、払出装置装着部113の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
【0091】
また、図示しないが、球払出装置125は、タンクレール118におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
【0092】
[本体枠の後側下部の装備について] 図3及び図4に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ128等が取付基板129に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット130が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板131を収容する電源基板ボックス132が装着され、その電源基板ボックス132の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板133を収容する払出制御基板ボックス134が装着されている。払出制御基板133は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板94から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ126を作動制御するようになっている。
【0093】
[後カバー体の構成について] 図4及び図5に基づき説明する。
図5はパチンコ機の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス135(図6参照)及び主制御基板ボックス95の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部113の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体136がカバーヒンジ機構137によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
【0094】
後カバー体136は、略四角形状の後壁部138と、その後壁部138の外周縁から前方に向けて突出された周壁部139とから一体に構成されている。後カバー体136の周壁部139のうち、一側の壁部139aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン141を下向きに有するヒンジ体142が一体に形成されている。また、後カバー体136の周壁部139のうち、他側の壁部139bには、払出装置装着部113の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体143が一体に形成されている。
【0095】
すなわち、後カバー体136は、その上下及び中間のヒンジ体142の各ヒンジピン141が機構装着体13の側壁部のヒンジ体140のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン141を中心として後カバー体136が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体143を払出装置装着部113の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体136が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体136によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス135(図6参照)全体及び主制御基板ボックス95の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体136によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス95の上部に露出された主制御基板94の基板コネクタ(主として表示装置制御基板と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
【0096】
また、主制御基板ボックス95の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体136によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス95の下部には、その主制御基板94上に配置された検査用コネクタ144が露出されており、後カバー体136が閉じられた状態で主制御基板94上の検査用コネクタ144に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
【0097】
後カバー体136には、多数の放熱孔145、146、147、148が貫設されており、これら多数の放熱孔145、146、147、148から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体136には、その周壁部139から後壁部138に延びる多数のスリット状の放熱孔145が貫設され、後壁部138の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔146が貫設され、後壁部138の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔147と所定数の横長四角形状の放熱孔148が貫設されている。
【0098】
また、横長四角形状の放熱孔148は、主制御基板ボックス95の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部149の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の複数の並列状の封印部149が放熱孔148の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体136が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス95の封印部149の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体136を安価に製作することができる。
【0099】
後カバー体136の周壁部139のうち、上側壁部139cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体150が上方のタンクレール118の後壁面(レール構成部材117の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体150の先端部には、同コード保持体150を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
【0100】
電源コードは、その一端が分電基板151の基板コネクタ152に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体136にコード保持体150を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機1を運搬、保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
【0101】
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図1及び図6に基づき説明する。
図6は、図5に示すパチンコ機の斜視図から後カバー体及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体153が装着されている。この下皿用球誘導体153は、球払出装置125の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
【0102】
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体153の後壁外面には、インタフェース基板154を収納している基板ボックス155が装着されている。なお、インタフェース基板154は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板133との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板133との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
【0103】
[遊技盤の構成について] 図9に基づき説明する。
図9は主要な部材により構成された遊技盤を斜め前方から示す斜視図である。
【0104】
本例の遊技盤5には、上述した通り外レール76、及び内レール77からなる案内レール78が備えられており、この案内レール78の内側には、遊技領域37が区画形成されている。換言すると、前構成部材79の案内レール78によって遊技領域37の外周が区画形成されている。この遊技領域37には、その略中央部分に枠状の中央役物200が配設されていると共に、中央役物200の後方に中央役物200の枠内を通して前方(遊技者)から視認可能とされた演出表示手段としての演出表示装置202が備えられている。また、遊技領域37には、中央役物200の左側に、遊技球が通貨可能なゲート204が設けられており、このゲート204内には、ゲート204を通過した遊技球を検出するゲートセンサ206(図10参照)が設けられている。
【0105】
ここで、「演出表示装置202」が、本発明の「表示手段」に相当する。
【0106】
また、遊技領域37には、中央役物200の中央下方に、可変入賞装置210が配設されている。この可変入賞装置210は、上方に常時開口し遊技球が入賞可能な第一始動口212と、第一始動口212の下方に設けられた第二始動口214と、第一始動口212に入賞した遊技球を検出する第一始動口センサ216(図10参照)と、第二始動口214に入賞した遊技球を検出する第二始動口センサ218(図10参照)と、第二始動口214の両側に配置され始動口ソレノイド220(図10参照)により下部を支点として回動し第二始動口214を開閉可能な一対の可動片222とを備えている。ここで、第一始動口212及び第二始動口214が本発明の「始動口」に、第一始動口センサ216及び第二始動口センサ218が本発明の「入球状態検出手段」に相当する。
【0107】
この可変入賞装置210における第二始動口214は、通常、上方に位置する第一始動口212と、第二始動口214の両側に位置する可動片222により塞がれて遊技球が入賞不可能な閉塞状態となっており、始動口ソレノイド220の駆動によって一対の可動片222を拡開するように回動させ、遊技球が左右方向から入賞可能な開放状態に制御する。この可動片222の開閉制御は、ゲート204を遊技球が通過してゲートセンサ206によって検出されたことに基づいて、制御されるようになっている。なお、本例では、第一始動口212に遊技球が入賞し、第一始動口センサ216によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われ、第二始動口214に遊技球が入賞し、第二始動口センサ218によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、4個)の遊技球の払い出しが行われる。
【0108】
また、遊技領域37には、常時開口し遊技球が入賞可能な複数の一般入賞口224も設けられており、一般入賞口224に遊技球が入賞したことに基づいて所定数の遊技球の払い出しが行われる。なお、一般入賞口224に入賞した遊技球は一般入賞口センサ226(図10参照)によって検出され、一般入賞口224に遊技球が入賞し、一般入賞口センサ226によって検出されたことに基づいて所定数(例えば、10個)の遊技球の払い出しが行われる。また、遊技領域37には、その最下部に、流下していずれの入賞口や入賞装置にも入賞しなかった遊技球を「死球」として遊技領域37から排出するアウト口228が設けられている。
【0109】
また、本例の遊技盤5は、正面視における大きさが遊技領域37と略対応した大きさとされると共に前後方向に所定量の奥行きを有する枠状の装飾ユニット240と、装飾ユニット240の前側に配置され遊技領域37に配置される中央役物200、ゲート204、入賞口ユニット234とを更に備えている。また、中央役物200には、開口部268を閉鎖するように後側に取付けられる透明な板状の隔壁板300を更に備えており、この隔壁板300によって、ステージ294や下縁転動部298を転動する遊技球が、中央役物200の後側に流出するのを防止している。また、この隔壁板300によって、遊技領域37と中央役物200よりも後側の演出空間600とが分離区画されており、遊技球が移動体601(後述する)による移動演出を妨げることが無いように配慮されている。
【0110】
この装飾ユニット240の後側に、その枠内を通して遊技者から視認可能となるように演出表示装置202が取付けられるようになっており、装飾ユニット240の枠の内形と中央役物200の枠の内形が略同じ大きさとされている。
【0111】
演出表示装置202は、本例では、液晶を用いたLCDとされており、種々の演出画像を表示することができると共に、第一始動口212又は第二始動口214への遊技球の入賞を契機として、複数の装飾図柄が所定の順序で列設された三つの図柄列を変動表示させた上で夫々を停止表示させ、停止表示された装飾図柄の組合せによって、第一始動口212又は第二始動口214への始動入賞に係る抽選結果を表示できるようになっている。また、本例の演出表示装置202は、詳細は後述する移動体601の移動演出と連動した演出表示ができるようになっている。
【0112】
[移動演出に関わる構成について] 図9に基づいて説明する。
なお、一点鎖線円内は、移動体601を拡大して示している。
中央役物200よりも後側の演出空間600には、パトカーを模した外観の移動体601と、移動体601が走行して移動演出を行う演出ステージ602と、警察署を模した外観の充電ステーション603と、社員寮を模した外観の充電ステーション604と、信号機を模した外観の装飾ランプ605と、移動体制御手段610(図11参照)による移動パターン信号を送信する送信機611とが備えられている。
【0113】
移動体601は、車輪607を有する自動車(パトカー)を模した外観をしており、演出ステージ602の表面上を前後左右に自在に走行する移動演出を行うものである。内部には、電気モータ612を有する移動体動力源630と、移動体動力源630に電力を供給する蓄電池613が搭載されている。電気モータ612は、駆動用モータと操舵用モータとの二つのモータで構成されている。駆動用モータは、その回転軸が移動体601の後輪側の車輪607に接続されており、回転数を変化させることで移動体601を前進させたり、後進させたり、停止させたりしている。操舵用モータは、サーボホーンやサーボギアを介して前輪側の車輪607に接続されており、移動体601の走行方向を自在に変化させ、自由自在な移動演出が行えるよう構成されている。
【0114】
充電ステーション603,604は、警察署や社員寮といったパトカーに関連する外観をしており、電源基板(図示しない)に接続されており、接触端子608,609を介して移動体601の蓄電池613(図11参照)に電力を供給する。移動体601は、そのボディに図略の接触端子を備えており、警察署や社員寮に立ち寄るかのような移動演出を行いつつ、図略の接触端子を充電ステーション603、604の接触端子608,609に接触させて蓄電池613を充電する。このように、充電ステーション603,604の外観が移動体601の外観に関連付けられていることにより、移動体601が充電する行為を移動演出の一環として自然なものに見せかけることができる。そうすると、いつ、どのようにして充電しているかを遊技者に対して判り難くできるので、移動体601の移動演出をより謎めいた魅力的なものにできる効果が期待できる。
【0115】
なお、充電ステーション603には、誘導手段650が具備されている。誘導手段650は、図略の赤外線LEDを具備しており、移動演出が終了した移動体601を充電ステーション603の設置位置まで誘導するものであるが、詳細は後述する。
【0116】
ここで、「充電ステーション603」及び「充電ステーション604」が本発明の「充電装置」に相当し、「蓄電池613」が本発明の「電源装置」に相当する。
【0117】
装飾ランプ605は、青、黄、赤の三色のLEDが発光演出を行う装飾体であり、信号機を模した外観をしている。本例では、三色のLEDが順に点灯と消滅を繰り返すだけのものであるが、例えば移動体601が充電している時は赤のLEDを光らせ、走行演出をしている時は青のLEDを光らせるよう発光演出を行っても良い。このように、発光ランプ605が具備されていることによって、演出空間600内を華やかに彩ることができることに加え、LEDの発光を移動演出に対応させた場合は、移動演出のバリエーションを増やしてより面白みのあるものとすることができる。
【0118】
送信機611は、後述する移動体制御手段610から発信された移動パターン信号を移動体601へと送信する装置である。公知の赤外線LEDが搭載されており、移動体制御手段610から発信された移動パターン信号を赤外線を用いて移動体601へと送信する。本例では、演出空間600内の遊技者に視認可能な位置に配置された箱状の送信機611を例示したが、演出空間611の外に配置したり、移動体601に関連付けられた装飾体(例えば、白バイや警察犬等)を付与し、送信機611の存在を遊技者に視認困難な状態に配置しても良い。
【0119】
[遊技制御手段及び演出制御手段の機能的な構成について] 図10に基づいて説明する。
図10は、パチンコ機の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【0120】
パチンコ機1の制御は、大きく分けて遊技制御手段500のグループと演出制御手段502のグループとで分担されており、このうち遊技制御手段500のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、演出制御手段502のグループが演出動作(移動演出や音響出力、液晶表示等)を制御している。
【0121】
遊技制御手段500は、主制御基板94および払出制御基板133により構成されている。主制御基板500は、図示するように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU504と、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート506と、を備えている。主制御MPU504には、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するための機能も内蔵されている。
【0122】
主制御I/Oポート506を介して、カウントセンサ278、第一始動口センサ216、第二始動口センサ218、ゲートセンサ206、各一般入賞口センサ226、全入賞口入賞数計数センサ508、磁気検知センサ510、球排出センサ248等からの検出信号がそれぞれ入力されるようになっている。
【0123】
なお、全入賞口入賞数計数センサ508は、具体的な配置位置については省略するが、遊技領域37に設けられた複数種類の入賞口(この例では、一般入賞口224、第一始動口212、第二始動口214等)に入賞した全ての遊技球を検出するセンサであり、この全入賞口入賞数計数センサ508によって遊技球が検出されたことに基づいて入賞球数を、主制御MPU504によって計数するようになっている。また、磁気検知センサ510は、遊技盤5の後面側であって、遊技領域37における第一始動口212及び第二始動口214の近傍に設けられ、磁気変化を検出するものである。すなわち、磁気検知センサ510は、磁石等を用いて遊技球を第一始動口212及び第二始動口214に不正に入賞させる不正行為がなされたことを検出するセンサであり、この磁気検知センサ510によって磁気が変化したことを検出すると、主制御MPU504によって不正がなされたことを報知する処理を行うようになっている。
【0124】
また、主制御MPU504は、上記した検出信号にもとづき、主制御I/Oポート506を介して始動口ソレノイド220、アタッカソレノイド276、特別図柄表示器302、特別図柄保留表示器304、状態表示器306、普通図柄表示器332、普通図柄保留表示器324、を駆動する駆動信号を出力する。
【0125】
主制御基板94と払出制御基板133との基板間では、互いに、つまり双方向に各種コマンドがやり取りされ、主制御基板94と周辺制御基板92との基板間では、主制御基板94から周辺制御基板92へ、つまり一方向に各種コマンドが出力されている。
【0126】
払出制御基板133は、図示するように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU512と、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート514と、を備えている。払出制御MPU512には、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵されている。また、不正を防止するため機能も内蔵されている。
【0127】
主制御基板94から出力された球払出装置125(払出用モータ126)を駆動するコマンドは払出制御I/Oポート514を介して入力され、払出制御MPU512は、このコマンドにもとづき、払出制御I/Oポート514を介して球払出装置125の払出用モータ126を駆動する駆動信号を出力する。これにより、球払出装置125は、所定数の賞球を払い出す。なお、払出制御MPU512は、図示しないプリペイドカードユニットから貸球要求信号が入力されると、貸球を払い出す。また、払出制御MPU512は、主制御基板94から出力された異常発生時(例えば、磁気検知センサ510により磁気変化を検出した)のコマンドが払出制御I/Oポート514を介して入力されると、このコマンドにもとづいて発射装置ユニット130における発射モータ128の駆動を停止する駆動停止信号を、払出制御I/Oポート514を介して出力する。これにより、発射モータ128は、異常発生時にその駆動が停止されるようになっている。
【0128】
演出制御手段502は、周辺制御基板92により構成されており、この周辺制御基板92は、図示するように、マイクロプロセッサとしてのサブ統合MPU520と、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するサブ統合ROM522と、高音質の演奏を行う音源IC524と、この音源IC524が参照する音楽および効果音等の音情報が記憶されている音源ROM526、を備えている。
【0129】
サブ統合MPU520は、主制御基板94からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて表示演出に関する表示コマンドを作成し、演出表示制御基板528に出力する。演出表示制御基板528は、サブ統合MPU520から出力された表示コマンドに応じてLCDからなる演出表示装置202を制御して装飾図柄の変動表示、キャラクタ等の画像表示等を行う。
【0130】
また、サブ統合MPU520は、パラレル入出力ポートやシリアル入出力ポート等を内蔵しており、主制御基板94からコマンドを受け取ると、このコマンドにもとづいて、演出に関する演出コマンドを作成し、この演出コマンドを、パラレル入出力ポートから音源IC524に出力する。音源IC524は、サブ統合MPU520から出力された演出コマンドに応じて、音源ROM526から音情報を読み込み、上述したスピーカ18,57から各種演出に合わせた音楽および効果音等が出るような制御を行う。また、サブ統合MPU520は、演出コマンドに合わせて、前面枠4に配置されたサイド装飾装置52等の装飾ランプ530を駆動する駆動データを出力すると共に、移動体601を駆動するパターン信号を出力する。
【0131】
また、サブ統合MPU520は、演出コマンドに合わせて、シリアル入出力ポートからランプ駆動基板532に、遊技盤5に配置された各種発光手段314に搭載されるLEDを点灯/消灯(ON/OFF)するON/OFFデータと、振分モータ350を駆動する駆動データと、を出力する。
【0132】
また、振分モータ350の回転位置を検出する回転位置検出センサ384、進入検出センサ382、誘導排出検出センサ466、第一受入検出センサ442、第二受入検出センサ444、等からの検出信号は、ランプ駆動基板532を介して周辺制御基板92に入力される。サブ統合MPU520は、回転位置検出センサ384、進入検出センサ382、誘導排出検出センサ466、第一受入検出センサ442、第二受入検出センサ444からの検出信号が入力されると、振分モータ350、液晶制御基板528等に制御信号を出力する。
【0133】
なお、本例の主制御MPU504によって本発明の抽選手段、及び有利遊技状態発生手段が構築されると共に、本例のサブ統合MPU520によって本例の移動体制御手段610が構築されるようになっている。
【0134】
[遊技内容について]
次に、上述したパチンコ機1によって実現される遊技内容について詳細に説明する。図2及び図9等に示すように、遊技者が操作ハンドル32を操作することによりパチンコ機1の裏面側に設けられる発射装置ユニット130によって遊技球が打ち出される。発射装置ユニット130(図4参照)から打ち出された遊技球は、発射レール19及び案内レール78の外レール76と内レール77とによって囲まれる領域を通って遊技領域37の上部に放出され、遊技領域37を障害釘等に衝突しながらアウト口228に向かって流下する。そして、遊技領域37を流下する遊技球がゲート204を通過し、ゲートセンサ206によって検出されると、普通図柄表示器332で普通図柄の変動表示が開始される。
【0135】
なお、ゲートセンサ206により遊技球が検出されると、所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そして、普通図柄表示器332にて普通図柄の変動表示を開始するときに、普通図柄当り判定乱数にもとづいて当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様でLEDを停止表示する。具体的には、当りと判定された場合には、普通図柄表示器332の上側のLEDを点灯した状態で普通図柄の変動表示を停止させ、はずれと判定された場合には、普通図柄表示器332の下側のLEDを点灯した状態で普通図柄の変動表示を停止させる。
【0136】
また、普通図柄表示器332にて普通図柄の変動表示を実行中、および、普通図柄表示器332の表示結果が当りとなったことにもとづいて可変入賞球装置210を開閉制御しているときに遊技球がゲート204を通過し、ゲートセンサ206により遊技球が検出されたことにもとづいて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(この実施の形態では、4個)まで記憶可能とされ、記憶される普通図柄当り判定乱数の個数(普図保留記憶数)は普通図柄保留表示器324によって表示される。上述したように、普通図柄保留表示器324は、2個のLEDによって構成される。この例では、上側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が1であることを示し、上下2個のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が2であることを示し、上側のLEDを点滅させて下側のLEDを点灯させることにより普図保留記憶数が3であることを示し、上下2つのLEDを点滅させることにより普図保留記憶数が4であることを示す。
【0137】
また、普通図柄表示器332における普通図柄の変動表示は、所定期間経過後に停止し、停止時の普通図柄の表示結果が「当り」となったときに可変入賞球装置210を所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御する。一方、普通図柄表示器332の表示結果が「はずれ」となった場合には、可変入賞球装置210を開放状態に制御することなく第二始動口214に遊技球を受け入れ不可能な閉塞状態を維持するが、第一始動口212は遊技球を受け入れ可能な状態となっている。
【0138】
すなわち、第二始動口214は、普通図柄表示器332に当りとなる表示結果が停止表示されたときに所定時間(例えば、0.5秒)開放状態に制御される。具体的には、普通図柄表示器332に当りとなる表示結果が停止表示されたことにもとづいて始動口ソレノイド220を可動して可動片222を回動し、可変入賞球装置210を開放状態に制御する。そして、所定期間経過したときに再び始動口ソレノイド220を可動して可動片222を回動し、可変入賞球装置210を閉塞状態に制御する。可変入賞球装置210を開放状態に制御することにより第二始動口214に遊技球を受け入れ可能な状態になり、可変入賞球装置210を閉塞状態に制御することにより遊技球を受け入れ不可能な状態になる。
【0139】
また、遊技領域37を流下する遊技球が第一始動口212、又は、第二始動口214に入賞すると、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態、および、特別図柄および装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始するとともに、演出表示装置202にて所定の装飾図柄の変動表示を開始し、所定期間経過後に特別図柄表示器302における特別図柄の変動表示、および、演出表示装置202における装飾図柄の変動表示を停止して表示結果を導出する。
【0140】
なお、本実施形態では、特別図柄の変動表示が許可される入賞口として、可変入賞球装置210に設けられる第一始動口212及び第二始動口214の2つの始動口が設けられているが、可変入賞球装置210に設けられる始動口の設置個数はこれらに限られず、例えば、第一始動口212又は第二始動口214の何れか一方のみ設ける構成であってもよい。また、第一始動口212に遊技球が入賞して第一始動口センサ216によって検出されたこと、及び、第二始動口214に遊技球が入賞して第二始動口センサ218によって検出されたことにもとづいて所定数(例えば、3個)の遊技球の払い出しが行われる。
【0141】
また、第一始動口212に遊技球が入賞し、第一始動口センサ216によって遊技球が検出されたときと、第二始動口214に遊技球が入賞し、第二始動口センサ218によって遊技球が検出された時と、で異なる個数の遊技球を払い出すようにしてもよい。例えば、第一始動口212に遊技球が入賞し、第一始動口センサ216によって遊技球が検出された時に3個の遊技球を払い出し、第二始動口214に遊技球が入賞し、第二始動口センサ218によって遊技球が検出された時に4個の遊技球を払い出すようにしてもよい。
【0142】
また、第一始動口センサ216及び第二始動口センサ218により遊技球が検出されると、所定範囲の大当り判定乱数を更新するカウンタから大当り判定乱数を抽出する。また、特別図柄表示器302にて特別図柄の変動表示を開始するとき(及び、演出表示装置202にて装飾図柄の変動表示を開始するとき)に、大当り判定乱数に基づいて大当りとするか否かの判定を行い、変動表示の結果、判定結果に応じた態様で特別図柄表示器302のLEDを点灯制御するとともに、演出表示装置202に装飾図柄を導出表示する。具体的には、大当りとする判定がなされた場合には、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様(大当り図柄)で点灯表示するとともに、演出表示装置202に装飾図柄の特定表示結果(大当り図柄:同一の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出表示し、はずれと判定された場合には、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様とは異なる態様(はずれ図柄)で点灯表示するとともに、画像表示装置42に特定表示結果とは異なるはずれ状態となる表示結果(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、この実施の形態では、少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)を導出表示する。このように、特別図柄表示器302における特別図柄の表示結果と、演出表示装置202における装飾図柄の表示結果とは対応している。
【0143】
また、演出表示装置202にて変動表示される装飾図柄は特別図柄表示器302にて変動表示される特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄表示器302にて行われる変動表示の内容を、演出用の装飾図柄を用いてより演出効果を高めて遊技者に表示するものである。つまり、特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態(15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態)に移行制御するが、万が一、演出表示装置202にて装飾図柄の表示結果が特定表示結果となっても特別図柄表示器302の4個のLEDを特定の態様とは異なる態様で点灯表示した場合には大当り遊技状態に移行制御されないようになっている。
【0144】
ところで、本実施形態では、第一始動口212及び第二始動口214の2つの始動口が設けられているが、これらに遊技媒体が入賞したことに基づいて抽選を行う抽選手段640がさらに備えられている(図11参照)。さらに、当該抽選結果に基づいて、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段641と、抽選結果に応じたコマンドを演出制御手段502に送信するコマンド送信手段642も具備されている。抽選手段640は、第一始動口212及び第二始動口214に夫々設けられた第一始動口センサ216及び第二始動口センサ218によって、遊技媒体が検出されると、抽選手段によって、(前述したような)所定範囲の大当り判定乱数を更新するカウンタから大当り判定乱数が抽出される。そして、大当り判定乱数に基づいて大当りとするか否かの判定を行われ、大当りとする判定がなされた場合には、有利遊技状態発生手段641によって有利遊技状態が発生する。コマンド送信手段642は、抽選結果に応じたコマンド信号を演出制御手段502に送信する。
【0145】
[移動体制御手段の機能的な構成について] 図11に基づいて説明する。
図11は主に移動体制御手段の機能的な構成を示すブロック図である。
【0146】
移動体601の移動演出に関する制御は、演出制御手段502に搭載された移動体制御手段610によって主に行われている。移動体制御手段610には、移動体601の様々な移動パターンが記憶された記憶手段614と、通常の(有利遊技状態が発生していない)遊技状態に応じた移動パターンで移動体601を移動させる通常移動パターン制御手段620と、有利遊技状態に応じた有利移動パターンで移動体601を移動させる有利移動パターン制御手段621と、通常移動パターン制御手段620や有利移動パターン制御手段621によって生成された移動パターン信号を送信するパターン信号送信手段622と、が備えられている。
【0147】
送信されたパターン信号は、送信機611を介して移動体601に送信される。移動演出を行う移動体601には、移動体601の動力源である移動体動力源630と、移動体動力源630に電力を供給する蓄電池613とが備えられている。移動体動力源630は、電気モータ612と、パターン信号送信手段622から送信されたパターン信号を受信するパターン信号受信手段615と、が具備されている。
【0148】
記憶手段614には、通常の遊技状態に応じた複数の通常移動パターンと、有利遊技状態に応じた複数の有利移動パターンとが記憶されている。大当り等の有利遊技状態が発生していない通常の遊技状態では、通常移動パターン制御手段620によって、通常遊技パターンが記憶手段614より選択される。そして、通常移動パターン制御手段620は、選択した通常移動パターンに基づいた移動パターン信号を生成し、パターン信号送信手段622を通じて移動パターン信号を送信する。
【0149】
一方、演出制御手段502には、コマンド受信手段623が備えられており、コマンド送信手段によって送信されたコマンドが受信される。有利遊技状態が発生した旨のコマンドがコマンド受信手段623によって受信されると、有利移動パターン制御手段621は、受信したコマンドに応じた有利移動パターンを記憶手段614より選択する。そして、選択した有利移動パターンに応じた移動パターン信号を生成し、パターン信号送信手段622を通じて移動パターン信号を送信する。
【0150】
パターン信号送信手段622によって遊技状態に応じた移動パターン信号が送信されると、当該移動パターン信号は、送信機611を介してパターン信号受信手段615に受信される。そうすると、電気モータ612によって車輪607が駆動され、左右方向に自在に操舵される。これにより、移動体601は、走行するスピードや進行方向を変化させ、受信された移動パターンに基づいた移動演出を行う。移動体動力源630は、蓄電池613より電力を供給されて移動演出を行う。
【0151】
また、本例のパチンコ機1には、さらに誘導手段650が備えられている。誘導手段650は、図略の赤外線LEDを用いて、充電ステーション603の配置位置を位置信号として移動体601に送信している。移動体動力源630は、通常移動パターンや有利移動パターンに基づく移動演出が終了すると、誘導手段650によって送信された位置信号に基づいて充電ステーション603の配置位置へと移動する。そして、移動体601が充電ステーション603,604に到着すると、接触端子608,609を介して蓄電池613が充電される。このように、本例では、所定の移動パターン(通常移動パターンや有利移動パターン)が終了するごとに移動体601が充電ステーション603に回収される。そして、通常移動パターン制御手段620や有利移動パターン制御手段621によって所定の移動パターンが選択されると、選択された移動パターンに基づいて移動体601が出動し、演出ステージ602上で移動演出(走行)を行う。また、通常移動パターンや有利移動パターンに充電ステーション603,604への接近・接触を組み込むことで、移動演出を行っている間に(誘導手段650によって回収される以外のタイミングで)蓄電池613を充電することも可能である。
【0152】
なお、前述した「通常移動パターン」及び「有利移動パターン」としては、以下のような演出パターンが例示できる。例えば、「有利移動パターン」になると、「通常移動パターン」時よりも明らかに速いスピードで走行したり、スピンやバックなどの特殊移動パターンを展開する演出や、「通常移動パターン」では、警察署を模した外観の充電ステーション603のみで充電行為を行い、「有利移動パターン」になると、社員寮を模した外観の充電ステーション604で充電行為を行う演出、また、「通常移動パターン」では、装飾ランプ605の赤色LEDが点灯して移動を停止する移動体601が、「有利移動パターン」になると、赤色LEDが点灯しても移動を停止せず速度をあげる演出、また、「通常移動パターン」では、演出ステージ602内の路上部分しか走行しない移動体601が、「有利移動パターン」になると、路上を飛び出して特定のエリアに走行する演出等、が挙げられる。
【0153】
また、本実施形態の演出表示基板528には、有利移動パターンで移動する移動体601の動きと連動した表示を演出表示装置202に表示させる演出表示制御手段650がさらに備えられている。パターン信号送信手段622によって有利移動パターンが送信されると、演出表示制御手段650は、移動体601の有利移動パターンに応じた有利演出表示を演出表示装置202に表示させる。このように、演出表示装置202による有利演出表示と移動体601による有利移動パターンとの双方で有利遊技状態を盛り上げることにより、遊技者の興趣を強く惹きつけることのできるパチンコ機1を提供できる。
【0154】
このように、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体動力源630が移動体601に内蔵されているから、遊技者は、移動体動力源630の存在を視認することが困難となる。これにより、移動体601がどうやって駆動しているのか、また、どのような移動範囲で移動するのかが容易には分かりにくくなるので、移動演出を意外性のあるものにでき、遊技者の興趣を効果的に高めることが期待できる。また、隔離板300が備えられているから、遊技領域37と演出空間600とが隔離されている。これにより、遊技領域37を流下する遊技球が移動体601の移動演出を邪魔する懸念が払拭される。
【0155】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体601には、さらに蓄電池613が内蔵されている。これにより、蓄電池613と電気モータ612との間の電力のやりとりをエネルギー効率の良いものにすることができ、移動体601が大きな推進力を得ることが可能となり、迫力の有る移動演出を行って遊技者の興趣を効果的に高められる。
【0156】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、充電ステーション603,604によって蓄電池613を充電することができるから、電力切れで移動体601の移動演出が停止し、遊技者の興趣が削がれる事態を防止できる。また、蓄電池613は繰り返し充電することができるから、電力の残量に縛られることなくパワフルな電気モータ612を選択することができる。これにより、ダイナミックに移動体601を動かすことができ、より魅力的な移動演出を行える移動体を備えたパチンコ機1を提供できる。
【0157】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、充電ステーション603,604は演出空間600内の特定エリアに設置され、その特定エリアに移動体601が移動することで蓄電池613が充電される構成である。これにより、充電ステーション603,604は移動する必要が無く、移動演出のための移動機構(電気モータ612や車輪607等)を有する移動体601が移動する構成なので、別途の動力源や制御手段を備える場合よりも構成がシンプルになる。
【0158】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、車輪607は電気モータ612で駆動されている。従って、化石燃料を利用するエンジンや油圧を利用する油圧アクチュエータ等の動力源を用いる場合に比べて、騒音や排気などの問題が発生しにくい。また、精密な制御や小型化にも適しており、移動体601の動力源として好適である。
【0159】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体601は、自動車を模した外観をしており、車輪607を有している。そして、車輪607を接地させて移動する構成だから、移動体601と、移動体601に接触している接触面との間の摩擦を可及的に小さくすることができ、移動体601をスムーズに移動させることができる。また、電気モータ612の回転軸を車輪607の車軸に接続すれば、電気モータ612の磁界の向き(回転子の回転方向)を逆転させることによって、比較的簡単に移動体601の前進とバックとを切り替えることができる。
【0160】
また、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体制御手段610は、有利移動パターン制御手段621を有しているから、有利遊技状態が発生すると、抽選結果に対応する所定の有利移動パターンで移動するよう移動体動力源630を制御する。これにより、移動体601が有利移動パターンで移動演出を行う。従って、遊技者は、移動体601の有利移動パターンによって、有利遊技状態が発生したことを明確に知ることができ、大当り状態等の有利な状態に対する期待感を高め、遊技に対する興趣を大幅に高めさせることが可能になる。
【0161】
さらに、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体601の有利移動パターンと連動した有利演出表示を演出表示装置202に表示させる演出表示制御手段650がさらに備えられている。これにより、移動体601による移動演出のみしか展開しない場合に比べ、有利遊技状態に関する演出表現の幅を広げることができるので、より面白味のあるパチンコ機1とすることができ、遊技者の興趣をより高められる効果を期待することができる。
【0162】
さらに、本実施形態のパチンコ機1によると、移動体制御手段610は、赤外線を用いてパターン信号を送信するパターン信号送信手段622を有している。さらに、移動体動力源630は、パターン信号送信手段622によって送信されたパターン信号を送信機611を介して受信するパターン信号受信手段615を有しており、パターン信号に応じた移動パターンで移動体601を移動させる。これにより、移動体601や移動体動力源630とは遠隔な距離に移動体制御手段610を配置して制御することが可能となるので、移動体制御手段610の配置位置に関するバリエーションが増加する。例えば、遊技者に視認されにくい演出制御手段502内に移動体制御手段610を配置できるので、移動体601の移動が何によって制御されているのかを分かりにくくすることができ、移動体601の移動演出をより謎めいた魅力的なものとすることができる。
【0163】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0164】
すなわち、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1に適用したものを示したが、これに限定するものではなく、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機に、適用しても良く、この場合でも、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0165】
また、上記実施形態では、大当り状態に応じて有利移動パターンを展開する移動体制御手段610を例示したが、この構成には限定されない。例えば、確率変動状態や時間短縮状態等の有利遊技状態に応じて有利移動パターンを展開する移動体制御手段610でも良い。
【0166】
また、上記実施形態では、遊技球が侵入しない演出空間600を例示したが、この構成には限定されず、演出空間600の上方や側方から遊技球を導入させ、遊技球の動きと移動体601の移動演出とを関連付けても良い。例えば、遊技球と移動体601とが衝突すると、移動体601の走行が一定時間停止するような演出を行っても良いし、移動体601が遊技球を回収し(磁石などで吸着させて)、所定のアウト口まで遊技球を運ぶような演出を行っても良い。このように構成することで、遊技球というどのように動くのかが不確定な要素を移動演出に取り込み、より面白みの有る移動演出を行うことが可能となる。
【0167】
また、上記実施形態では、演出空間600と遊技領域37とが隔離されている場合を例示したが、二つの空間が一体になっていても良い。つまり、遊技領域37内で移動体601に移動演出させても良い。例えば、ステージ294や下縁転動部298上を移動体601に走行させても良く、中央役物200の開口部268内を飛行する移動体601としても良い。但し、本例のように、演出空間600と遊技領域37とが隔離されている方が、遊技球による遊技状態と移動体601による移動演出とが互いに妨害されずにスムーズに進行するので好適である。
【0168】
また、上記実施形態では、自動車を模した外観の移動体601を例示したが、この構成には限定されない。例えば、バイクや船舶などを模した外観であっても良いし、演出ステージ602の外観も、それに応じた外観、例えばサーキットや海面を模した外観にすると、より好適である。但し、その場合であっても、安定性の良い移動手段(本例では、4つの車輪607)を用いるほうが、安定した移動演出ができる。例えば、船舶を模した外観の中に、接地する4つの車輪を内蔵させたり(外観からは車輪が見えない)、車輪を3つ有する3輪バイクの外観を適用する等の方法が例示できる。また、車輪に限らず、キャタピラで移動する戦車でも良い。
【0169】
また、上記実施形態では、通常移動パターン制御手段620や有利移動パターン制御手段621によって移動パターンが選択される移動体601を例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、前枠体11前面に適宜な操作ボタンを設け、当該操作ボタンに加えられた遊技者の操作に基づいて移動パターンが選択される移動体601としても良い。遊技者が操作ボタンを押すと、移動体601の移動スピードが上昇したり、スピンや発光を伴う特定の移動パターンで移動演出を行わせても良い。また、通常移動パターン制御手段620や有利移動パターン制御手段621と、当該操作ボタンとを組み合わせて移動演出を行わせても良い。
【0170】
また、上記実施形態では、通常移動パターンや有利移動パターンで移動する移動体601を例示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば「装飾図柄列」での変動表示と連動する移動体601でも良い。ここで、「装飾図柄列」とは、内部的に決められた抽選結果を遊技者に演出的に知らせるもので、複数の装飾図柄から構成されたものを示す。装飾図柄列を変動させる際に、夫々の変動表示においてメリハリをつけるため、抽選結果への期待値に応じた予告演出が表示される場合があるが、この予告演出を移動体601の移動演出によって行うと、より面白味のあるパチンコ機1が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】パチンコ機の前側全体を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれ、その本体枠の一側に更に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の本体枠と遊技盤とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
【図4】パチンコ機の後側全体を示す背面図である。
【図5】パチンコ機の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
【図6】図5に示すパチンコ機の斜視図から後カバー体及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】パチンコ機の本体枠に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図である。
【図8】本体枠単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
【図9】主要な部材により構成された遊技盤を斜め前方から示す斜視図である。
【図10】パチンコ機の制御構成を概略的に示すブロック図である。
【図11】主に移動体制御手段の機能的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0172】
1 パチンコ機
37 遊技領域
202 演出表示装置(表示装置)
500 遊技制御手段
502 演出制御手段
600 演出空間
601 移動体
602 演出ステージ
603,640 充電ステーション(充電装置)
607 車輪
610 移動体制御手段
612 電気モータ
613 蓄電池(電源装置)
615 パターン信号受信手段
621 有利移動パターン制御手段
622 パターン信号送信手段
630 移動体動力源
640 抽選手段
641 有利遊技状態発生手段
642 コマンド送信手段
650 演出表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者の操作によって遊技媒体が打ち込まれる遊技領域と、
該遊技領域内に配置され遊技媒体が入球可能な始動口と、
該始動口に前記遊技媒体が入球したことを検出する入球状態検出手段と、
前記遊技領域とは異なる演出空間に備えられた演出ステージと、
前記遊技領域と前記演出ステージとを隔離する隔離板と、
無軌道の移動面である前記演出ステージ上を移動する移動体と、
該移動体を移動させ、遊技者に視認困難な状態で前記移動体の内部に搭載された移動体動力源と、
キャラクタ、図柄、及び背景の少なくとも一つからなる所定の演出態様を表示可能な表示手段と、
少なくとも前記入球状態検出手段と前記抽選結果とに応じて所定のコマンドを送信可能なコマンド送信手段、
前記入球状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段、
及び、該抽選手段による抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段
を少なくとも有する遊技制御手段と、
該遊技制御手段から送信されるコマンドを受信可能なコマンド受信手段、
及び、前記抽選手段の抽選結果に基づいて、前記移動体が所定の移動パターンで移動するように前記移動体動力源を遠隔制御する移動体制御手段
を少なくとも有する演出制御手段と
を具備することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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