説明

遊技機

【課題】特別遊技状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】パチンコ機10は、遊技を統括管理する主制御装置71を備えている。主制御装置71は、変動開始条件が成立すると、図柄表示装置41にて変動表示される図柄の変動表示時間や変動パターン、最終停止表示させる図柄の種別等を決定する。サブ制御装置65は、主制御装置71の決定結果に基づいて、最終停止表示させる各図柄列の図柄等の細かな表示内容を決定する。表示制御装置62は、サブ制御装置65の決定結果に基づいて、図柄の変動表示を開始させるべく図柄表示装置41を直接的に表示制御する。ここで、主制御装置71は、特定大当たりの場合に、最終停止表示させる図柄の種別を第1特定図柄ではなく第2特定図柄と決定することが可能な構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばパチンコ遊技機等の遊技機においては、表示画面に複数の絵柄を変動表示する絵柄表示装置を備えたものが知られている。かかる遊技機では、例えば遊技領域に設けられた作動口を遊技球が通過したことを契機として、当たり状態等の遊技者に有利な特別遊技状態に移行させるか否かの当たり抽選が行われると共に絵柄の変動表示が開始される。そして当たり抽選に当選した場合には、表示画面に特定絵柄の組み合わせ等が最終停止表示されると共に、遊技状態が特別遊技状態に移行する。そして、特別遊技状態への移行に伴い、例えば遊技領域に設けられた可変入球装置の開閉が開始され、多量の遊技球が払い出されるようになっている。
【0003】
また近年では、当たり抽選において、例えば特別遊技状態の終了後に高確率状態等の特定遊技状態に移行する特定当たりと、特別遊技状態の終了後に前記特定遊技状態に移行しない非特定当たりとの抽選を行う遊技機が提案されている。かかる遊技機では、当たり抽選の結果が特定当たりであれば第1特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させ、当たり抽選の結果が非特定当たりであれば第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させることが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−074175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、かかる構成の場合、一般的な遊技者は、特別遊技状態に移行することを期待しつつ、さらには特別遊技状態の終了後に特定遊技状態に移行することを期待しつつ遊技を行う。このため、本発明者らは、第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されて特別遊技状態に移行した場合、その後に特定遊技状態に移行しないことによって特別遊技状態下における満足感が減殺されてしまう可能性を懸念するに至った。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特別遊技状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.表示画面上にて絵柄を変動表示させる絵柄表示装置(図柄表示装置41)と、
所定の判定を行う判定手段(大当たり判別機能S701、大当たり種別判別機能S706等)と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記絵柄を最終停止表示させるまでの変動表示時間を決定する変動表示時間決定手段(変動時間導出処理機能S709)と、
前記判定手段の判定結果が第1結果(15ラウンドの特定大当たり)又は第2結果(非特定大当たり)であって、前記変動表示時間決定手段の決定した変動表示時間を経過した場合、遊技状態を通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態(大当たり状態)に移行させる特別遊技状態移行手段(遊技状態移行処理機能S505)と、
前記判定手段の判定結果が前記第1結果である場合、前記特別遊技状態の終了後に、前記判定手段の判定結果が前記第2結果である場合より遊技者に有利な特定遊技状態(高確率状態)に移行させる特定遊技状態移行手段(高確率状態移行処理機能S1014)と
を備えた遊技機において、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記表示画面上に最終停止表示させる絵柄種別を決定する絵柄種別決定手段(変動パターン設定処理機能S607)を備え、
前記絵柄種別決定手段は、
前記判定手段の判定結果が前記第1結果である場合、前記絵柄種別を第1絵柄(第1特定図柄の組み合わせ)又は第2絵柄(第2特定図柄の組み合わせ)と決定する第1決定手段(特定大当たり下における停止パターン取得処理及び変更処理機能S707,S708)と、
前記判定手段の判定結果が前記第2結果である場合、前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定する第2決定手段(非特定大当たり下における停止パターン取得処理機能S707)と
を備え、
前記第1決定手段は、遊技状態が前記特定遊技状態である場合、遊技状態が前記特定遊技状態でない場合と比して高い割合で前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定することを特徴とする遊技機。
【0009】
手段1によれば、判定手段の判定結果が第2結果の場合には、第2絵柄が最終停止表示される一方、判定手段の判定結果が第1結果の場合には、第1絵柄と第2絵柄のいずれかが最終停止表示される。かかる構成とすることにより、仮に第2絵柄が最終停止表示された場合であっても、特別遊技状態の終了後に特定遊技状態へ移行する余地を残すことが可能となり、特別遊技状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。
【0010】
また、判定手段の判定結果が第1結果の場合、そのときの遊技状態が特定遊技状態であれば、遊技状態が特定遊技状態でない場合と比して高い割合で第2絵柄が最終停止表示される。かかる構成とすることにより、特別遊技状態下における満足感が減殺されることをより好適に抑制することが可能となる。
【0011】
すなわち、特定遊技状態下において判定手段の判定結果が第1結果となった場合、特別遊技状態の終了後に再度特定遊技状態へ移行することとなるが、特定遊技状態下において判定手段の判定結果が第2結果となった場合、特別遊技状態の終了後に特定遊技状態へ移行しない。つまり、特定遊技状態下において判定手段の判定結果が第2結果となった場合、特別遊技状態には移行するものの特定遊技状態が終了してしまうこととなる。このため、特定遊技状態下において判定手段の判定結果が第2結果となった場合には、特定遊技状態でない遊技状態において判定手段の判定結果が第2結果となった場合と比して、特別遊技状態下における満足感がより減殺される可能性が懸念される。しかしながら、特定遊技状態下において判定手段の判定結果が第1結果となった場合に、遊技状態が特定遊技状態でない場合と比して高い割合で第2絵柄が最終停止表示される構成においては、仮に第2絵柄が最終停止表示された場合であっても、特別遊技状態の終了後に特定遊技状態へ再度移行する余地をより多く残すことができる。故に、特定遊技状態下で第2絵柄が最終停止表示された場合であっても、特定遊技状態に再度移行することを期待させつつ特別遊技状態下における遊技を行わせることが可能となり、特別遊技状態下における満足感が減殺されることを好適に抑制することが可能となる。
【0012】
手段2.上記手段1において、前記第1決定手段は、前記絵柄種別を前記第1絵柄と決定する第1絵柄決定手段(停止パターン取得処理機能S707)と、現在の遊技状態に基づいて前記絵柄種別を前記第1絵柄決定手段の決定結果から前記第2絵柄に変更し得る絵柄種別変更手段(停止パターン変更処理機能S708)とを備えることを特徴とする遊技機。
【0013】
手段2によれば、判定手段の判定結果が第1結果であって絵柄種別が第2絵柄と決定される場合には、先ず絵柄種別が第1絵柄と決定された後に第2絵柄に変更される。かかる構成とすることにより、判定手段の判定結果が第1結果である場合には第1絵柄が最終停止表示されるという前提を担保しつつ、第2絵柄が最終停止表示された場合であっても特定遊技状態に移行する余地を残すことが可能となる。
【0014】
手段3.上記手段2において、遊技状態が前記特定遊技状態である場合と前記特定遊技状態でない場合とに応じて異なる判定値(比較値)を記憶する判定値記憶手段(主制御装置71のROM102)を備え、前記絵柄種別変更手段は、前記判定値記憶手段の記憶する判定値と、作動条件が成立した場合に取得される種別情報(大当たり種別カウンタC2値)と、に基づいて前記絵柄種別を変更するか否かを決定することを特徴とする遊技機。
【0015】
手段3によれば、遊技状態が特定遊技状態である場合と特定遊技状態でない場合とに応じて異なる判定値が記憶されており、当該判定値と、作動条件が成立した場合に取得される種別情報と、に基づいて絵柄種別を変更するか否かが決定される。かかる構成とすることにより、遊技状態に応じて異なる判定値を記憶させておくことで各遊技状態における絵柄種別の変更される割合を変化させることが可能となり、処理構成の簡略化を図ることが可能となる。また、かかる構成においては、判定値記憶手段に記憶する判定値を変更することにより、絵柄種別の変更される割合が異なる他の遊技機を作成することができる。故に、仕様の異なる遊技機を設計する場合の設計工数を削減することが可能となる。
【0016】
手段4.上記手段3において、前記判定手段は、前記絵柄の変動表示を開始させる場合、前記作動条件が成立した場合に取得される特別遊技情報(大当たり乱数カウンタC1値)を用いて前記特別遊技状態に移行させるか否かを判定するとともに、前記種別情報を用いて前記特定遊技状態に移行させるか否かを判定することを特徴とする遊技機。
【0017】
手段4によれば、絵柄の変動表示を開始させる場合、作動条件が成立した場合に取得される特別遊技情報を用いて特別遊技状態に移行させるか否かの判定がなされ、種別情報を用いて特定遊技状態に移行させるか否かの判定がなされる。種別情報を用いて、特定遊技状態に移行させるか否かの判定と、絵柄種別を変更するか否かの決定と、を行うことにより、予め記憶させておくデータ量の増大化を抑制することが可能となる。
【0018】
手段5.上記手段3又は手段4において、所定範囲(0〜199)の数値を循環的にカウントするカウント手段(大当たり種別カウンタC2)と、作動条件が成立した場合に前記カウント手段の数値を前記種別情報として取得する種別情報取得手段(始動入賞処理機能S204)と、前記種別情報取得手段の取得し得る数値を前記所定範囲より狭い範囲(1〜125)の数値に変換するための変換数値情報群(大当たり停止テーブル)とを備え、前記絵柄種別変更手段は、前記判定値記憶手段の記憶する判定値と、前記種別情報を前記変換数値情報群により変換した数値と、を比較することにより前記絵柄種別を変更するか否かを決定することを特徴とする遊技機。
【0019】
手段5によれば、絵柄種別を変更するか否かの決定は、判定値記憶手段の記憶する判定値と、種別情報を変換数値情報群により変換した数値と、を比較することで行われる。かかる構成とすることにより、変換数値情報群を変更することで絵柄種別の変更される割合が異なる他の遊技機を作成することができる。故に、仕様の異なる遊技機を設計する場合の設計工数を削減することが可能となる。
【0020】
手段6.上記手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記判定手段の判定結果が前記第1結果であって前記第1決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合、次遊技回の変動表示が開始される前までに前記特定遊技状態に移行することを示唆する示唆手段(昇格報知処理機能S1709)を備えたことを特徴とする遊技機。
【0021】
手段6によれば、判定手段の判定結果が第1結果であって第2絵柄が最終停止表示された場合には、次遊技回の変動表示が開始される前までに特定遊技状態に移行することが示唆される。かかる構成とすることにより、特定遊技状態に移行することへの期待感を次遊技回の変動表示が開始されるまで持続させることが可能となり、特別遊技状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。また、遊技者が特定遊技状態に移行していないと誤解して遊技を終了してしまう不具合を回避することも可能となる。
【0022】
手段7.上記手段1乃至手段5のいずれかにおいて、前記判定手段の判定結果が前記第1結果であって前記第1決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合、特別遊技状態下で前記特定遊技状態に移行することを示唆する示唆手段(昇格報知処理機能S1709)を備えたことを特徴とする遊技機。
【0023】
手段7によれば、判定手段の判定結果が第1結果であって第2絵柄が最終停止表示された場合には、特別遊技状態下で特定遊技状態に移行することが示唆される。かかる構成とすることにより、仮に第2絵柄が最終停止表示された場合であっても、特別遊技状態下で特定遊技状態に移行することが示唆されることを期待させつつ特別遊技状態下における遊技を行わせることが可能となる。故に、特別遊技状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。また、遊技者が特別遊技状態の終了後に特定遊技状態へ移行しないと誤解して遊技を終了してしまう不具合を回避することも可能となる。
【0024】
手段8.上記手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技を統括管理するとともに、前記変動表示時間決定手段及び前記絵柄種別決定手段を有する主制御手段(主制御装置71)と、該主制御手段の配下で前記絵柄表示装置を表示制御する従制御手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62)とを備え、
前記主制御手段は、前記変動表示時間決定手段の決定結果を示す変動表示時間コマンド(変動パターンコマンド)を前記従制御手段に対して送信する変動表示時間コマンド送信手段(外部出力処理機能S501)と、前記絵柄種別決定手段の決定結果を示す絵柄種別コマンド(停止パターンコマンド)を前記従制御手段に対して送信する絵柄種別コマンド送信手段(外部出力処理機能S501)とを備え、該絵柄種別コマンド送信手段は、前記第1決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合と、前記第2決定手段が前記絵柄種別を決定した場合とで異なる絵柄種別コマンドを前記従制御手段に対して送信することを特徴とする遊技機。
【0025】
手段8によれば、主制御手段が絵柄の変動表示時間及び最終停止表示させる絵柄種別を決定し、従制御手段が主制御手段の決定結果に基づいて絵柄表示装置を表示制御する。かかる構成とすることにより、主制御手段の処理負荷を低減させることが可能となる。
【0026】
また、主制御手段は、絵柄種別決定手段の決定結果に応じた絵柄種別コマンドを従制御手段に対して送信するとともに、判定手段の判定結果が第1結果の状況下で絵柄種別を第2絵柄と決定した場合と、判定手段の判定結果が第2結果の状況下で絵柄種別を第2絵柄と決定した場合とで異なる絵柄種別コマンドを従制御手段に対して送信する。かかる構成とすることにより、従制御手段は、第2絵柄を最終停止表示させる場合であっても、受信した絵柄種別コマンドを通じて判定手段の判定結果を把握することができる。故に、主制御手段から判定手段の判定結果を示すコマンドを従制御装置に対して送信せずとも、従制御手段側で判定手段の判定結果を把握することが可能となり、コマンド構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0027】
手段9.上記手段8において、前記絵柄表示装置は、第1特定絵柄と第2特定絵柄がそれぞれ複数配された複数の絵柄群を変動表示させるものであって、
前記従制御装置は、
前記変動表示時間コマンドと、前記第1絵柄を最終停止表示させることを示す絵柄種別コマンドとを受信した場合、予め定められた複数の第1特定絵柄の組み合わせのうち所定の第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう各絵柄群の停止絵柄を決定する第1停止絵柄決定手段(リーチ演出時処理機能S1411)と、
前記変動表示時間コマンドと、前記第2絵柄を最終停止表示させることを示す絵柄種別コマンドとを受信した場合、予め定められた複数の第2特定絵柄の組み合わせのうち所定の第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう各絵柄群の停止絵柄を決定する第2停止絵柄決定手段(リーチ演出時処理機能S1411)と
を備えることを特徴とする遊技機。
【0028】
手段9によれば、主制御手段は、第1特定絵柄の組み合わせと第2特定絵柄の組み合わせのいずれを最終停止表示させるのかを決定し、従制御手段は、主制御手段の決定結果と対応する特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるよう各絵柄群の停止絵柄を決定する。かかる構成とすることにより、主制御手段側で各絵柄群の停止絵柄を決定する必要がなくなり、主制御手段の処理負荷を低減することが可能となる。また、主制御手段側において各絵柄群の停止絵柄を示す停止絵柄コマンドが不要となるため、コマンド構成の簡略化を図るとともに主制御手段に記憶させるデータ量の低減を図ることが可能となる。
【0029】
なお、「第1特定絵柄と第2特定絵柄がそれぞれ複数配された絵柄群」とは、第1特定絵柄と第2特定絵柄がそれぞれ複数配列されている様が表示画面上に実際に表示される絵柄群のみならず、所定の位置にて複数の第1特定絵柄と複数の第2特定絵柄が切替表示される絵柄群も含む。以下も同じである。
【0030】
手段10.上記手段8において、前記絵柄表示装置は、第1特定絵柄と第2特定絵柄がそれぞれ複数配された複数の絵柄群を変動表示させるとともに、前記第1絵柄又は前記第2絵柄を最終停止表示させることを示す絵柄種別コマンドを受信した場合、第1特定絵柄の組み合わせ又は第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させるものであって、
前記従制御手段は、前記第1特定絵柄又は前記第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させる場合、前記表示画面上に前記第1特定絵柄又は前記第2特定絵柄の組み合わせを構成する待機絵柄(リーチ図柄)が停止表示されるように1の規定絵柄群(中図柄列Z2)を除く他の絵柄群の変動表示を終了させ、前記待機絵柄の停止表示後に前記規定絵柄群の変動表示を終了させる待機変動表示(リーチ変動)を行わせるよう前記絵柄表示装置を表示制御する待機変動表示手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62のリーチ変動表示機能)を備え、前記待機変動表示手段は、前記待機絵柄を停止表示させた際に前記表示画面に表示させる前記規定絵柄群の絵柄と、前記待機絵柄の停止表示後に前記規定絵柄群を変動表示させる変動速度とが、最終停止表示される各絵柄群の停止絵柄に関わらず同一の所定待機変動(ノーマルリーチ変動)を行わせるよう前記絵柄表示装置を表示制御する所定待機変動表示手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62のノーマルリーチ変動表示機能)を有することを特徴とする遊技機。
【0031】
手段10によれば、第1特定絵柄又は第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に、待機絵柄を停止表示させた際に表示画面に表示される規定絵柄群の絵柄と、待機絵柄の停止表示後に規定絵柄群が変動表示される変動速度とが、最終停止表示される各絵柄群の停止絵柄に関わらず同一の所定待機変動が行われることがある。当該所定待機変動では、最終停止表示される規定絵柄群の停止絵柄によって変動表示時間が異なることとなる。かかる所定待機変動を行うためには、主制御手段の変動表示時間決定手段を、規定絵柄群の各絵柄と対応した変動表示時間を決定することが可能な構成とする必要があり、これに伴って各変動表示時間と対応する変動表示時間コマンドを主制御手段に記憶させる必要が生じる。このため、かかる構成においては、主制御手段の処理負荷や予め記憶させておくデータ量が懸念され得るが、上記手段8の構成を適用することにより、処理負荷の低減を図りつつ、予め記憶させておくデータ量の低減を図ることが可能となる。
【0032】
手段11.上記手段9において、前記従制御手段は、前記第1特定絵柄又は前記第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させる場合、前記表示画面上に前記第1特定絵柄又は前記第2特定絵柄の組み合わせを構成する待機絵柄(リーチ図柄)が停止表示されるように1の規定絵柄群(中図柄列Z2)を除く他の絵柄群の変動表示を終了させ、前記待機絵柄の停止表示後に前記規定絵柄群の変動表示を終了させる待機変動表示(リーチ変動)を行わせるよう前記絵柄表示装置を表示制御する待機変動表示手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62のリーチ変動表示機能)を備え、前記待機変動表示手段は、前記待機絵柄を停止表示させた際に前記表示画面に表示させる前記規定絵柄群の絵柄と、前記待機絵柄の停止表示後に前記規定絵柄群を変動表示させる変動速度とが、最終停止表示される各絵柄群の停止絵柄に関わらず同一の所定待機変動(ノーマルリーチ変動)を行わせるよう前記絵柄表示装置を表示制御する所定待機変動表示手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62のリーチ変動表示機能)を有することを特徴とする遊技機。
【0033】
手段11によれば、第1特定絵柄又は第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に、待機絵柄を停止表示させた際に表示画面に表示される規定絵柄群の絵柄と、待機絵柄の停止表示後に規定絵柄群が変動表示される変動速度とが、最終停止表示される各絵柄群の停止絵柄に関わらず同一の所定待機変動が行われることがある。当該所定待機変動では、最終停止表示される規定絵柄群の停止絵柄によって変動表示時間が異なることとなる。かかる所定待機変動を行うためには、主制御手段の変動表示時間決定手段を、規定絵柄群の各絵柄と対応した変動表示時間を決定することが可能な構成とする必要があり、これに伴って各変動表示時間と対応する変動表示時間コマンドを主制御手段に記憶させる必要が生じる。このため、かかる構成においては、主制御手段の処理負荷や予め記憶させておくデータ量が懸念され得るが、上記手段9の構成を適用することにより、処理負荷の低減を図りつつ、予め記憶させておくデータ量の低減を図ることが可能となる。
【0034】
手段12.上記手段10又は手段11において、前記待機変動表示手段は、前記所定待機変動を含む複数種の待機変動表示を行わせることが可能に前記絵柄表示装置を表示制御するものであって、前記変動表示時間決定手段は、前記待機変動表示毎に異なる変動表示時間を決定することを特徴とする遊技機。
【0035】
手段12によれば、主制御手段側にて待機変動表示毎に異なる変動表示時間が決定されるため、従制御手段は、受信した変動表示時間コマンドから行うべき待機変動の種別を把握することができる。故に、主制御手段側において待機変動の種別を示す待機変動種別コマンドが不要となり、コマンド構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0036】
手段13.上記手段10乃至手段12のいずれかにおいて、前記変動表示時間決定手段は、前記絵柄種別決定手段の決定結果に基づいて前記変動表示時間を決定するものであって、前記第1決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合、前記第2決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合に決定し得る変動表示時間と同じ変動表示時間を選択することを特徴とする遊技機。
【0037】
手段13によれば、第1決定手段が絵柄種別を第2絵柄と決定した場合には、第2決定手段が絵柄種別を第2絵柄と決定した場合に決定され得る変動表示時間と同じ変動表示時間が選択される。かかる構成とすることにより、変動表示時間の決定に関する処理構成を簡略化することが可能となる。また、第1決定手段が絵柄種別を第2絵柄と決定した場合のための変動表示時間や変動表示時間コマンドを新たに記憶させる必要がなくなるため、主制御手段に記憶させておくデータ量の増大化を抑制することも可能となる。
【0038】
手段14.上記手段13において、前記第2決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合に変動表示時間を決定するための変動表示時間情報群(非特定大当たり用変動表示テーブル)を備え、前記変動表示時間決定手段は、前記第1決定手段が前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合、前記変動表示時間情報群を用いて変動表示時間を決定することを特徴とする遊技機。
【0039】
手段14によれば、第1決定手段が絵柄種別を第2絵柄と決定した場合、第2決定手段が絵柄種別を前記第2絵柄と決定した場合と同じ変動表示時間情報群を用いて変動表示時間が決定される。かかる構成とすることにより、第1決定手段が絵柄種別を第2絵柄と決定した場合のための変動表示時間情報群や変動表示時間コマンドを新たに記憶させる必要がなくなるため、主制御手段に記憶させておくデータ量の増大化を抑制することが可能となる。
【0040】
手段15.上記手段1乃至手段14のいずれかにおいて、前記絵柄表示装置は、第1特定絵柄と第2特定絵柄がそれぞれ複数配された複数の絵柄群を変動表示させるとともに、前記絵柄種別決定手段が前記絵柄種別を前記第1絵柄又は前記第2絵柄と決定した場合、第1特定絵柄の組み合わせ又は第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示させるものであって、
前記表示画面上に前記第1特定絵柄又は前記第2特定絵柄の組み合わせを構成する待機絵柄(リーチ図柄)が停止表示されるように1の規定絵柄群(中図柄列Z2)を除く他の絵柄群の変動表示を終了させ、前記待機絵柄の停止表示後に前記規定絵柄群の変動表示を終了させる待機変動表示(リーチ変動)を行わせるよう前記絵柄表示装置を表示制御する待機変動表示手段(サブ制御装置65及び表示制御装置62のリーチ変動表示機能)を備え、
前記待機変動表示手段は、少なくとも遊技状態が前記特定遊技状態であって前記判定手段の判定結果が前記第1結果と前記第2結果のいずれでもない場合、前記第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第1待機変動表示より前記第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第2待機変動表示を高い割合で行うことを特徴とする遊技機。
【0041】
手段15によれば、少なくとも遊技状態が特定遊技状態であって判定手段の判定結果が第1結果と第2結果のいずれでもない場合、第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第1待機変動表示より第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第2待機変動表示が高い割合で行われる。判定手段の判定結果が第1結果の場合に第2特定絵柄の組み合わせを最終停止表示することが可能な構成においては、第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示される機会が低下することとなる。これは、第1特定絵柄の組み合わせを構成する待機絵柄が停止表示された段階で第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されることへの期待感が低下することに繋がり得る。また、特定遊技状態では、判定手段の判定結果が第1結果の場合に、特定遊技状態でない場合と比して高い割合で第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されるため、上記懸念がより顕著なものとなり得る。そこで、少なくとも遊技状態が特定遊技状態であって判定手段の判定結果が第1結果と第2結果のいずれでもない場合には、第1特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第1待機変動表示より第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示されない第2待機変動表示が高い割合で行われる構成とすることにより、上記懸念を好適に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【図2】前扉枠を閉じた状態を示すパチンコ機の斜視図である。
【図3】前扉枠を開いた状態を示すパチンコ機の斜視図である。
【図4】本体枠を開いた状態を示すパチンコ機の斜視図である。
【図5】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図6】遊技盤の構成を示す背面図である。
【図7】パチンコ機の構成を示す背面図である。
【図8】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図柄を個々に示す図である。
【図10】図柄表示装置の表示内容を示す説明図である。
【図11】遊技制御に用いる各種カウンタの概要を示す説明図である。
【図12】NMI割込み処理を示すフローチャートである。
【図13】タイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図14】始動入賞処理を示すフローチャートである。
【図15】主制御装置によるメイン処理を示すフローチャートである。
【図16】通常処理を示すフローチャートである。
【図17】表示制御処理を示すフローチャートである。
【図18】変動パターン設定処理を示すフローチャートである。
【図19】大当たり停止テーブルを示す図である。
【図20】(a)は大当たり種別テーブルを示す図であり、(b)は外れ停止テーブルを示す図である。
【図21】停止パターン変更処理を示すフローチャートである。
【図22】変動時間導出処理を示すフローチャートである。
【図23】遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
【図24】大入賞口開閉処理を示すフローチャートである。
【図25】表示モード変更処理を示すフローチャートである。
【図26】図柄表示処理を示すフローチャートである。
【図27】停止図柄決定処理を示すフローチャートである。
【図28】リーチ演出時処理を示すフローチャートである。
【図29】昇格演出処理を示すフローチャートである。
【図30】(a)はノーマルリーチ用図柄テーブルを示す図であり、(b)は第1特定図柄の組み合わせにより大当たり発生となる場合の一例を示す図である。
【図31】スーパーリーチ用図柄テーブルを示す図である。
【図32】大当たり表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前扉枠13を開いた状態の斜視図、図4はパチンコ機10の本体枠12を開いた状態の斜視図である。なお、図1〜図3では便宜上、パチンコ機10の遊技領域内の構成を空白としている。
【0044】
図1〜図4に示すように、パチンコ機10は、取付対象としての外枠11を備えており、該外枠11の一側部には、本体枠12が開閉可能に支持されている。その開閉軸線はパチンコ機10の正面からみて左側に上下へ延びるように設定されており、その開閉軸線を軸心にして本体枠12が前方に開放できるようになっている。なお、外枠11に代わる構成として設置枠体を遊技ホール側に予め設けておき、遊技ホールへのパチンコ機10の設置に際しては本体枠12を前記設置枠体に組み付ける構成とすることも可能である。
【0045】
本体枠12の前面側には、本体枠12を覆うようにして前面扉としての前扉枠13が設けられている。前扉枠13は、本体枠12に対して開閉可能に取り付けられており、本体枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方に開放できるようになっている。前扉枠13には、その中央部に略円形状の窓部14が形成されている。本体枠12には、窓部14と対応する位置に、遊技盤15が着脱可能に装着されている。そして、遊技盤15の前面部の略中央部分だけが前扉枠13の窓部14を通じて視認可能な状態となっている。本実施の形態では、これら本体枠12、前扉枠13、遊技盤15等により遊技機本体が構成されている。
【0046】
前扉枠13には、手前側へ膨出した第1膨出部16が窓部14の下方に設けられており、その第1膨出部16内側には、上方に開口した上皿17が設けられている。上皿17は、第1払出口18より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら下流側(本実施の形態では右側)へ導くための球受皿である。第1膨出部16には、上皿17の下流側に球抜きスイッチ19が設けられるとともに、上皿17の前方に貸球操作部20が配設されている。球抜きスイッチ19は、上皿17に貯留された遊技球を排出するために操作されるものである。貸球操作部20には、球貸しボタン21と、返却ボタン22と、度数表示部23とが設けられている。球貸しボタン21は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン22は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部23は、カード等の残額情報を表示するものである。また、第1膨出部16の前面側中央部には、遊技者により操作可能なプッシュ式の選択スイッチ24が設けられている。選択スイッチ24には図示しないランプが内蔵されており、選択操作が有効とされる状況下ではランプが点灯表示され、選択操作が無効とされる状況下ではランプが消灯表示されるようになっている。そして、当該ランプが点灯表示されている状況下で選択スイッチ24を操作された場合、後述する図柄表示装置41の表示モードが変更されるようになっている。
【0047】
前扉枠13の下部位置には、手前側へ膨出した第2膨出部25が設けられており、その第2膨出部25内側には、上方に開口した下皿26が設けられている。下皿26は、第2払出口27より払い出された遊技球を一旦貯留するための球受皿である。下皿26には、例えば球抜きレバー19を操作された場合、上皿17に貯留された遊技球が第2払出口27より排出されるようになっている。第2膨出部25前面側には、下皿26に貯留された遊技球を下方に排出するための球抜きレバー28が設けられている。また、第2膨出部25の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル29が設けられている。遊技球発射ハンドル29は、本体枠12の背面側に設けられた遊技球発射装置30(図4参照)に連結されており、上皿17に貯留された遊技球は、遊技者が遊技球発射ハンドル29を回転させることにより、遊技盤15に形成された遊技領域に向けて発射される。
【0048】
次に、遊技盤15の構成を図5に基づいて説明する。遊技盤15には、遊技球発射装置30より発射された遊技球を遊技盤15上部に案内する内レール31と外レール32が設けられている。内レール31は右上方の約1/2ほどを除いて略半円環状に形成され、外レール32は内レール31の上方開放領域を囲むようにかつ内レール31の左側部と並行するように略半円環状に形成されている。本実施の形態では、遊技盤15のうち内レール31と外レール32によって囲まれた領域が、遊技球の流下可能な遊技領域となっている。
【0049】
遊技盤15には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。遊技盤15の表面には、各開口部と対応する位置に、一般入賞口33、可変入賞装置34、作動口装置35、スルーゲート36及び可変表示ユニット37等がそれぞれ取り付けられている。本実施の形態では、可変表示ユニット37が遊技盤15の略中央に配置され、その下方に作動口装置35が配置され、さらにその下方に可変入賞装置34が配置されている。また、可変表示ユニット37の左右両側にスルーゲート36が配置され、遊技盤15の下部両側に一般入賞口33がそれぞれ複数配置されている。作動口装置35には、上側作動口35aと下側作動口35bとが設けられ、更に下側作動口35bには所定条件下で開放状態となる電動役物(図示略)が設けられている。電動役物は左右一対の可動片より構成されており、電動役物の閉鎖状態では遊技球が下側作動口35bに入賞できず、電動役物が開放状態となった場合に限って遊技球が下側作動口35bに入賞可能となる。前記一般入賞口33、可変入賞装置34及び作動口35a,35bに遊技球が入賞すると、遊技盤15の背面側に設けられた検出スイッチにより検出され、その検出結果に基づいて上皿17(場合によっては下皿26)に対し所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤15の最下部にはアウト口38が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口38を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。また、遊技盤15には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されていると共に、風車39等の各種部材(役物)が配設されている。
【0050】
可変表示ユニット37には、作動口35a,35bへの入賞をトリガとして図柄を変動表示する図柄表示装置41が設けられている。可変表示ユニット37には、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。センターフレーム42の左上部には、所定の識別情報を表示するための識別情報表示部43が設けられており、センターフレーム42の右上部には、役物ランプ部44が設けられている。また、センターフレーム42の左下部には、識別情報表示部43及び図柄表示装置41に対応した保留ランプ45が設けられている。遊技球が作動口35a,35bに入賞した個数は最大4個まで保留され、保留ランプ45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。センターフレーム43の右下部には、役物ランプ部44に対応した役物保留ランプ46が設けられている。遊技球がスルーゲート36を通過した回数は最大4回まで保留され、役物保留ランプ46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、保留ランプ45及び役物保留ランプ46を設けることなく、遊技球が作動口35a,35bに入賞した個数と、遊技球がスルーゲート36を通過した回数とを図柄表示装置41の一部でそれぞれ表示する構成としても良い。
【0051】
図柄表示装置41は液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置62により表示内容が制御される。図柄表示装置41には、例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示された場合には、大当たり発生としてそれ以降の遊技状態が特別遊技状態としての大当たり状態に移行する。この図柄の変動表示については、後に詳細に説明することとする。
【0052】
識別情報表示部43は、7セグメント表示器により構成されており、後述する主制御装置71により表示内容が制御される。7セグメント表示器では、作動口35a,35bへの入賞をトリガとして、識別情報の変動表示がそれぞれ行われるようになっている。そして、7セグメント表示器に最終的に停止表示された識別情報が特定の識別情報である場合には、大当たり発生としてそれ以降の遊技状態が大当たり状態に移行し、特定の識別情報でない場合には、大当たり発生とならず大当たり状態に移行しない。
【0053】
役物ランプ部44には、その内側に赤、緑の2色発光タイプのLEDが配設されている。この役物ランプ部44は、スルーゲート36の通過をトリガとして、所定の順序で発光色の切り替えが行われる。具体的には、遊技球がスルーゲート36を通過すると、赤色光の点灯と緑色光の点灯とが交互に行われる。これにより、役物ランプ部44には、赤色、緑色が交互に表示されることとなる。そして、赤色が停止表示された場合には、下側作動口35bに設けられた電動役物が開放状態に切り換えられるようになっている。電動役物は、予め定めた閉鎖条件が成立するまで開放状態が継続されるようになっている。
【0054】
可変入賞装置34は、通常状態において遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、大当たり状態に移行すると遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。より詳しくは、可変入賞装置34が開放状態となると、可変入賞装置34の大入賞口に遊技球が入賞し易い状態となる。そして、可変入賞装置34は、開放時間(例えば29.5秒)の経過又は所定数(例えば9個)の遊技球が入賞した場合に閉鎖状態に切り換えられる。大当たり状態は、可変入賞装置34が開閉されたことを1ラウンドとして、2ラウンド又は15ラウンドの開閉が行われるまで継続する。なお、可変入賞装置34の閉鎖状態を、遊技球が入賞できない状態ではなく遊技球が入賞し難い状態としてもよい。
【0055】
前扉枠13の説明に戻り、前扉枠13にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり状態下や所定のリーチ演出時等において点灯、点滅のように発光態様が変更制御されることにより、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部14の上部周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した電飾部51が設けられ、電飾部51の中央であってパチンコ機10の最上部にはLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部52が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部52が大当たりランプとして機能し、大当たり状態下で点灯や点滅を行うことにより大当たり状態に移行していることを報知する。また、第1膨出部16にも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部53が設けられている。さらに、前扉枠13には、電飾部51を挟むようにして左右一対のスピーカカバー部54が形成されており、当該スピーカカバー部54の後方に設置されたスピーカ55の出力音がスピーカカバー部54を通じて前方に発せられるようになっている。
【0056】
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6は遊技盤15の背面図、図7はパチンコ機10の背面図である。なお、理解を容易なものとするため、先ず遊技盤15の背面の構成を説明する。
【0057】
遊技盤15の背面側には、可変表示ユニット37及び図柄表示装置41を覆うようにして合成樹脂製のフレームカバー61が設けられており、そのフレームカバー61の後端(図6においては手前側)には、図柄表示装置41と前後に重なるようにして表示制御装置62が着脱可能に取り付けられている。また、フレームカバー61には、表示制御装置62を覆うようにしてサブ制御装置ユニット63が取り付けられている。サブ制御装置ユニット63は、取付台64を有し、該取付台64にサブ制御装置65が搭載されている。サブ制御装置65は、後述する主制御装置71からの指令に基づいて、表示制御装置62や電飾部51等の制御を行う。サブ制御装置ユニット63は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて遊技盤15の裏面に対して展開できる構成となっている。これは、サブ制御装置ユニット63によって覆われることとなる表示制御装置62等を容易に確認することを可能とするための工夫である。具体的に説明すると、サブ制御装置ユニット63には遊技盤15の背面から見て右端部に支軸部66が設けられ、その支軸部66による軸線を中心にサブ制御装置ユニット63が回動可能となっている。また、サブ制御装置ユニット63には、支軸部66の反対側となる開放端側に、ナイラッチ(登録商標)等よりなる締結部67が設けられており、この締結部67によってサブ制御装置ユニット63が遊技盤15(フレームカバー61)の裏面に沿った状態で保持されるようになっている。
【0058】
遊技盤15の裏面であって可変表示ユニット37の下方には、集合板ユニット68が設けられている。集合板ユニット68には、各種入賞口に入賞した遊技球やアウト口38を通過した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
【0059】
入賞検知機構について簡単に説明すると、集合板ユニット68には、遊技盤15表側の一般入賞口33と対応する位置に入賞口スイッチが設けられ、可変入賞装置34と対応する位置にカウントスイッチが設けられている。カウントスイッチは、可変入賞装置34に入賞した遊技球の数をカウントするスイッチである。また、作動口装置35の上側作動口35aと対応する位置には当該上側作動口35aへの遊技球の入賞を検知する上側作動口スイッチが設けられ、下側作動口35bと対応する位置には当該下側作動口35bへの遊技球の入賞を検知する下側作動口スイッチが設けられている。さらに、スルーゲート36と対応する位置にはスルーゲート36の遊技球の通過を検知するゲートスイッチが設けられている。入賞口スイッチ、ゲートスイッチ及びカウントスイッチは、図示しない中継基板を介して後述する主制御装置71に接続されており、上側作動口スイッチと下側作動口スイッチは、中継基板を介することなく直接主制御装置71に接続されている。
【0060】
上記入賞検知機構にて各々検出された検出結果は主制御装置71に取り込まれ、該主制御装置71よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置94に送信される。そして、払出制御装置94の出力により所定数の遊技球の払出が実行されるようになっている。
【0061】
集合板ユニット68の裏面には、主制御装置ユニット69が取り付けられている。主制御装置ユニット69は、主制御取付台70を有し、該主制御取付台70に主制御装置71が搭載されている。主制御装置71は、遊技に関わる主たる制御を行う。主制御装置ユニット69は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて遊技盤15の裏面に対して展開できる構成となっている。具体的に説明すると、主制御装置ユニット69には遊技盤15の背面から見て左端部に支軸部72が設けられ、その支軸部72による軸線を中心に主制御装置ユニット69が回動可能となっている。また、主制御装置ユニット69には、その右端部すなわち支軸部72の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部73が設けられており、この締結部73によって主制御装置ユニット69が遊技盤15(集合板ユニット68)の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
【0062】
本体枠12には、上述した遊技盤15が裏面側より設置され、本体枠12に設けられた複数の係止固定具によって後方へ脱落しないように固定されている。また、例えば図4等に示すように、本体枠12の開放端側には、施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、上下方向に延び本体枠12に固定された基枠76と、その基枠76に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆77とを備え、基枠76の下部にシリンダ錠78が一体化されている。当該施錠装置75は、シリンダ錠78だけが本体枠12の前方に突出するとともにパチンコ機10前面に露出するように、本体枠12に設けられている。シリンダ錠78は、本体枠12の施解錠と前扉枠13の施解錠とを共に賄う機能を有しており、鍵穴に差し込んだキーを一方に回すと外枠11に対する本体枠12の施錠が解除され、キーを他方に回すと本体枠12に対する前扉枠13の施錠が解除されるようになっている。本体枠12には、施錠装置75側の下部に、遊技球発射装置30が設けられている。
【0063】
本体枠12の背面側には、当該本体枠12を覆うようにして裏セット機構81が取り付けられている。裏セット機構81は、何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されるとともに、一部に支軸部を設けて本体枠12の裏面に対して展開できる構成となっている。具体的に説明すると、裏セット機構81には本体枠12の背面から見て右端部に支軸部82が設けられ、その支軸部82による軸線を中心に裏セット機構81が回動可能となっている。また、裏セット機構81には、支軸部82の反対側となる開放端側に、ナイラッチ等よりなる締結部83が設けられるとともに、本体枠12には、上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部が設けられており、これら締結部83及び係止部によって裏セット機構81が本体枠12の裏面に沿った状態に保持されるようになっている。
【0064】
裏セット機構81には、遊技盤16の背面側を覆うようにして、より具体的には、サブ制御装置ユニット63と主制御装置ユニット69の一部とを覆うようにして、透明樹脂材料にて成形された防護カバー84が設けられている。
【0065】
また、裏セット機構81には、防護カバー84を迂回するようにして払出機構部85が配設されている。すなわち、裏セット機構81の最上部には上方に開口した貯留タンク86が設けられており、貯留タンク86には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。貯留タンク86の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール87が連結され、タンクレール87の下流側には、上下方向に延びるケースレール88が連結されている。ケースレール88の下流側には、払出装置89が設けられている。払出装置89は、遊技球を下流側に払い出すための払出モータ、払出モータの回転を検出する払出回転センサ、払い出される遊技球数をカウントする払出カウントスイッチ等を有する。当該払出装置89は、払出制御装置94からの払出指令により払出モータを駆動し、必要個数の遊技球の払出を適宜行う。払出装置89より払い出された遊技球は、図示しない払出通路等を通じて上皿17又は下皿26に供給される。払出装置89の下方には、裏セット中継基板90が設けられている。裏セット中継基板90は、払出制御装置94から払出装置89への払出指令信号を中継する機能と、外部より例えば交流24ボルトの主電源を取り込む機能とを有する。裏セット中継基板90には電源スイッチ91が設けられており、当該電源スイッチ91を切替操作することで電源ONと電源OFFとを切り替えることができる。
【0066】
裏セット機構81には、防護カバー84の下方に電源・発射制御装置92が設けられている。電源・発射制御装置92は、裏セット機構81が本体枠12の裏面に沿った状態で保持された場合に、主制御装置71の下方に位置するように設けられている。電源・発射制御装置92は、各種制御装置等で要する所定の電源を生成して出力するとともに、遊技球発射ハンドル29が操作された場合に遊技球の打ち出しの制御を行う。また、電源・発射制御装置92には、RAM消去スイッチ93が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。しかしながら、RAM消去スイッチ93を押しながら電源を投入した場合には、RAMデータが初期化されるようになっている。電源・発射制御装置92の背面側には、当該電源・発射制御装置92と前後に重なるようにして払出制御装置94が設けられている。払出制御装置94は、賞球や貸出球を払い出す制御を行う。
【0067】
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図8のブロック図に基づいて説明する。図8では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
【0068】
主制御装置71に設けられた主制御基板71aには、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU101が搭載されている。CPU101には、該CPU101により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM102と、そのROM102内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM103と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0069】
RAM103は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御装置92に設けられた電源・発射制御基板92aからデータ記憶保持用電源(データ記憶保持用電圧)が供給されてデータが保持される構成となっている。詳細には、電源・発射制御基板92aには、データ記憶保持用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからデータ記憶保持用電源が供給される。
【0070】
主制御基板71aのCPU101には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。主制御基板71aの入力側には、主制御装置71に設けられた電源監視基板71b、払出制御装置94に設けられた払出制御基板94a及びその他図示しないスイッチ群などが接続されている。この場合に、電源監視基板71bには電源・発射制御基板92aが接続されており、主制御基板71aには電源監視基板71bを介して電源が供給される。
【0071】
一方、主制御基板71aの出力側には、電源監視基板71b、払出制御基板94a及び中継端子板95が接続されている。払出制御基板94aには、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。かかる場合に、当該各種コマンドは、ハーネスを介して一方向通信によって出力される(すなわち、コマンドを入力した旨の情報が払出制御基板94aから主制御基板71aに対して出力されない)。また、中継端子板95を介して主制御基板71aからサブ制御装置65に設けられたサブ制御基板65aに対して各種コマンドなどが出力される。さらに、主制御基板71aの出力側には、識別情報表示部43や役物ランプ部44も接続されている。つまり、識別情報表示部43と役物ランプ部44は、主制御基板71aにより直接的に制御されている。
【0072】
電源監視基板71bは、主制御基板71aと電源・発射制御基板92aとを中継し、また電源・発射制御基板92aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。
【0073】
払出制御基板94aは、払出装置89を駆動させて賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU111は、そのCPU111により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM112と、ワークメモリ等として使用されるRAM113とを備えている。
【0074】
払出制御基板94aのRAM113は、主制御基板71aのRAM103と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源・発射制御基板92aからデータ記憶保持用電源が供給されてデータを保持できる構成となっている。また、RAM113における各種のカウンタ等が記憶される作業エリアには、コマンド入力フラグ格納エリアなどといった各種フラグ格納エリアと共に、主制御基板71aから出力されたコマンドが記憶されるコマンドバッファ113aが設けられている。
【0075】
コマンドバッファ113aは、主制御基板71aから出力されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファ113aにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
【0076】
払出制御基板94aのCPU111には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。払出制御基板94aの入力側には、主制御基板71a、電源・発射制御基板92a、及び裏セット中継基板90が接続されている。また、払出制御基板94aの出力側には、主制御基板71aと裏セット中継基板90が接続されている。この場合に、裏セット中継基板90を介して払出装置89などを含む払出機構部85が接続されている。
【0077】
電源・発射制御基板92aは、電源部と発射制御部とを備えている。電源部は、二重線矢印で示す経路を通じて、主制御基板71aや払出制御基板94a等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部は、裏セット中継基板90を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMのデータ記憶保持用電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びデータ記憶保持用電源を主制御基板71aや払出制御基板94a等に対して供給する。なお、データ記憶保持用電源を生成するとは、データ記憶保持用コンデンサの充電を行うことをいう。
【0078】
また、電源部には、RAM消去スイッチ回路が設けられている。電源部は、RAM消去スイッチ93のスイッチ信号を読み込み、当該スイッチ93の読み込み状態に応じて、主制御基板71aのRAM103に記憶されたデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する。すなわち、RAM消去スイッチ93が押された場合、RAM消去スイッチ回路は主制御基板71aに対してRAM消去信号を出力する。これにより、RAM消去スイッチ93が押された状態でパチンコ機10の電源が投入されると、主制御基板71aにおいてRAM103のデータがクリアされる。また、この際、主制御基板71aから払出制御基板94aに対して払出初期化コマンドが出力され、払出制御基板94aにおいてもRAM113のデータがクリアされる。
【0079】
発射制御部は、遊技者による遊技球発射ハンドル29の操作に伴って遊技球発射装置30の発射制御を担うものである。遊技球発射装置30に設けられ、遊技球を遊技領域に向けて発射させる発射ソレノイドは、所定の発射条件が成立している場合に駆動される。発射制御の概略を説明すると、発射制御部には、遊技球発射ハンドル29、より詳しくは遊技球発射ハンドル29に設けられた発射スイッチ、タッチセンサ及び止め打ちスイッチが接続されている。発射制御部は、発射スイッチとタッチセンサが共にオン、止め打ちスイッチがオフの状態となった場合に限り、発射許可信号を主制御基板71a(電源監視基板71bを介して)に出力する。主制御基板71aは、当該発射許可信号の入力に基づいて所定周期の発射制御信号を発射制御部(電源監視基板71bを介して)に出力する。これにより、発射制御部は、発射制御信号の入力周期に従って発射ソレノイドを駆動する。この場合に、遊技球発射ハンドル29にはハンドル操作量を判定するためのダイヤル可変抵抗器が設けられており、発射制御部はダイヤル可変抵抗器における抵抗値の変化に基づいて発射ソレノイドによる打ち出し速度を決定する。
【0080】
サブ制御基板65aは、表示制御装置62やスピーカ55、電飾部65の制御を行うものである。サブ制御基板65aは、CPU、ROM及びRAM等を備えており、CPUにはアドレスバス及びデータバスで構成されるバスラインを介して入出力ポートが接続されている。サブ制御基板65aの入力側には、中継端子板95を介して主制御基板71aが接続されるとともに、選択スイッチ24が接続されている。サブ制御基板65aは、主制御基板71aから出力される各種コマンドや遊技者による選択スイッチ24の操作に基づいて、表示制御装置62に対して各種コマンドを出力するとともに、スピーカ55、電飾部65の駆動制御を行う。表示制御装置62は、サブ制御基板65aから出力される各種コマンドに基づいて、図柄表示装置41における図柄の変動表示や大当たり状態下の大当たり表示を制御する。なお、サブ制御基板65aが表示制御装置62を介することなく図柄表示装置41を直接制御する構成としても良いし、主制御基板71aからの各種コマンドが表示制御装置62に直接入力される構成としても良い。或いは、サブ制御装置65及び表示制御装置62に代えて、前記サブ制御装置の機能と前記表示制御装置の機能とを有する制御装置を設ける構成としても良い。
【0081】
ここで、電源監視基板71bは、上述したように、電源・発射制御基板92aから出力される最大電源である直流安定24ボルトの電源を監視する。より詳しくは、電源監視基板71bは、電源が22ボルト未満になると停電(電源遮断)の発生と判断し、主制御基板71aのCPU101に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込端子)に停電信号SG1を出力する。停電信号SG1が入力された場合、主制御基板71aは、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて後述する停電時処理を実行する。なお、NMI端子とは、割込禁止設定をできない割込端子のことをいう。
【0082】
また、主制御基板71aは、停電時処理において、払出制御基板94aのCPU111に設けられたNMI端子(ノンマスカブル割込端子)へ停電信号SG2を出力する。停電信号SG2が入力された場合、払出制御基板94aは、停電の発生を認識してNMI割込み処理を即座に実行し、さらにこれに基づいて停電時処理を実行する。すなわち、本パチンコ機10の場合、払出制御基板94aは、電源監視基板71bから停電信号が直接入力されるのではなく、主制御基板71aを介して停電信号が入力される。さらにいうと、停電信号SG2は払出制御基板94aのNMI端子に入力される構成であるため、停電信号SG2を伝送するための信号線は、賞球コマンドなどといったコマンド信号を伝送するための信号線とは別個に設けられている。
【0083】
なお、電源・発射制御基板92aは、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。詳細には、電源及び発射制御基板92aには、上述したデータ記憶保持用コンデンサとは異なる停電時処理用コンデンサが設けられており、当該コンデンサからの放電により5ボルト電源が維持されるようになっている。このため、主制御基板71aと払出制御基板94aは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
【0084】
ここで、図柄表示装置41の表示内容について図9、図10に基づいて説明する。図9は図柄表示装置41にて変動表示される図柄を個々に示す図であり、図10は図柄表示装置41の表示画面Gを示す図である。
【0085】
図9(a)〜(j)に示すように、図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄の右側に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。この場合において、奇数番号(1,3,5,7,9)が付された主図柄は「第1特定図柄」に相当し、当該第1特定図柄で大当たりが発生した場合、遊技状態が大当たり状態に移行するとともに、さらにその後、特定遊技状態としての高確率状態に移行する。また、偶数番号(2,4,6,8)が付された主図柄は「第2特定図柄」に相当し、当該第2特定図柄で大当たりが発生した場合、大当たり状態には移行するものの、大当たり状態終了後は高確率状態に移行することなく通常状態に移行する。なお、高確率状態とは、大当たり状態の終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変状態のことをいい、通常状態(低確率状態)とはそのような高確率状態でない遊技状態をいう。また、識別情報表示部43においては、大当たり状態終了後に高確率状態に移行する特定大当たりの場合に第1特定識別情報が表示され、大当たり状態終了後に通常状態に移行する非特定大当たりの場合に第2特定識別情報が表示される。
【0086】
次に、図柄表示装置41の表示画面Gについて説明する。図10(a)に示すように、図柄表示装置41の表示画面Gには、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、上述した主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されるとともに、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。そして、表示画面Gでは、これら各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって右から左へとスクロールするように変動表示される。また、図10(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。
【0087】
また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに大当たり図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1〜Z3の変動表示が終了すれば、大当たり発生として大当たり動画が表示されるようになっている。本実施の形態では、大当たり図柄の組み合わせとして、同一主図柄の組み合わせの他に、上図柄列Z1の「3」の主図柄,中図柄列Z2の「4」の主図柄,下図柄列Z3の「1」の主図柄の組み合わせが設定されている。そして、上記「3,4,1」図柄の組み合わせで大当たりが発生した場合、第1特定図柄で大当たりが発生した場合と同様、遊技状態が大当たり状態に移行するとともに、さらにその後、特定遊技状態としての高確率状態に移行する。また、大当たりの前段階として、上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄がいずれかの有効ラインに停止表示されるとリーチとなり、その後にリーチ演出が行われる。但し、上記「3,4,1」の主図柄の組み合わせで大当たりが発生する場合には、リーチ演出が行われることなく大当たりが発生する。なお以下の説明では便宜上、各主図柄を各々に付された数字で記述することとし、具体的にはそれぞれ「1」図柄、「2」図柄、「3」図柄、・・・「9」図柄と記述する。また、リーチとなった場合の上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄をリーチ図柄と記述し、リーチ図柄が停止した有効ラインをリーチラインと記述する。
【0088】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
【0089】
本実施の形態では、主制御装置71内のCPU101は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、識別情報表示部43に最終的に停止表示させる識別情報の設定や、図柄表示装置41における図柄の変動パターンの設定などを行うこととしており、具体的には、図11に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄を外れ変動させる際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。
【0090】
これらカウンタC1〜C3,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM103の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM103には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、上側作動口35a又は下側作動口35bに遊技球が入賞した履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
【0091】
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタであり(値=0〜676)、タイマ割込み毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が上側作動口35a又は下側作動口35bに入賞したタイミングでRAM103の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、通常状態と高確率状態とで2種類設定されており、通常状態下で大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「337,673」であり、高確率状態下で大当たりとなる乱数の値の数は10で、その値は「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」である。
【0092】
大当たり種別カウンタC2は、0〜199の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり199)に達した後0に戻る構成となっている。詳細は後述するが、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2の値を用いて、大当たり状態の終了後に高確率状態に移行させるか否かを決定する。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が上側作動口35a又は下側作動口35bに入賞したタイミングでRAM103の保留球格納エリアに格納される。
【0093】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、最終停止図柄列(本実施の形態では中図柄列Z2)のその遊技回で大当たりとなり得る大当たり図柄(具体的にはリーチ図柄と同一の主図柄)がリーチラインから前に1つだけずれて停止する「前外れリーチ」と、最終停止図柄列の大当たり図柄がリーチラインから後ろに1つだけずれて停止する「後外れリーチ」と、最終停止図柄列の大当たり図柄がリーチラインの前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、上図柄列Z1と下図柄列Z3の同一主図柄が有効ラインに停止せずリーチとならない「完全外れ」とを抽選することとしている。つまり、本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって外れリーチを行うか否かを抽選することとしており、例えばC3=0が前外れリーチに該当し、C3=1が後外れリーチに該当し、C3=2〜21が前後外れ以外リーチに該当し、C3=22〜238が完全外れに該当する。なお、リーチの抽選は、遊技状態や変動開始時の作動保留球数等に応じて各々個別に設定されるものであっても良い。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、上側作動口35a又は下側作動口35bに入賞したタイミングでRAM103の保留球格納エリアに格納される。
【0094】
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSによって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ等のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
【0095】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、リーチ乱数カウンタC3、変動種別カウンタCSの大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。また、図示は省略するが、役物ランプ部44の抽選には役物乱数カウンタC4が用いられる。役物乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。役物乱数カウンタC4は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が左右いずれかのスルーゲート36を通過したことが検知された時に取得される。当選となる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
【0096】
次いで、主制御装置71内のCPU101により実行される各制御処理を図12〜図24のフローチャートを参照しながら説明する。かかるCPU101の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0097】
図12は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が電源監視基板71bからCPU101のNMI端子に出力され、CPU101は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM103に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグをセットし、本処理を終了する。詳細は後述するが、停電時処理は、通常処理にて停電フラグがセットされていることを確認した場合に実行される。
【0098】
図13は、タイマ割込み処理を示すフローチャートであり、本処理は主制御装置71のCPU101により例えば2msec毎に実行される。
【0099】
先ずステップS201では、各種入賞スイッチや払出制御装置94などからの信号を読み込む処理を実行する。すなわち、主制御装置71に接続されている各種スイッチの状態や払出制御装置94などからの信号を読み込むとともに、当該スイッチや信号の状態を判定して検出情報を保存する(但し、RAM消去スイッチ93の状態や停電信号SG1を除く)。例えば、払出機構部85に何らかの異常が発生したことなどを示す異常信号が払出制御装置94から入力されている場合には、払出異常フラグをセットする。また、入賞口スイッチ,カウントスイッチ,上側作動口スイッチ,下側作動口スイッチから入賞を示す検知信号が入力されている場合には、入賞を検知したスイッチと対応する入賞フラグをセットする。
【0100】
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM103の該当するバッファ領域に格納する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1を1インクリメントするとともに、大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値を前記大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込む。また、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1インクリメントするとともに、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、199,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM103の該当するバッファ領域に格納する。
【0101】
続くステップS204では、上側作動口35a又は下側作動口35bへの入賞に伴う始動入賞処理(抽選手段)を実行する。この始動入賞処理を図14のフローチャートにより説明すると、ステップS301では、遊技球が上側作動口35a又は下側作動口35bに入賞(始動入賞)したか否かを対応する各作動口スイッチの検出情報により判別する。遊技球がいずれかの作動口35a,35bに入賞したと判別すると、続くステップS302では、識別情報表示部43及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する。いずれかの作動口35a,35bへの入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1インクリメントする。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM103の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU101は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
【0102】
なお、遊技球がいずれかの作動口35a,35bに入賞(始動入賞)した場合、それに伴い識別情報と図柄の変動表示が開始されることとなるが、始動入賞後、識別情報と図柄が変動表示を開始してから終了するまでには所定時間(例えば5秒)が経過していなければならないという制約がある。そこで、上記始動入賞処理では、始動入賞を確認した場合、各カウンタ値の格納処理(ステップS304)の後に、始動入賞後の経過時間を計るためのタイマをセットすることとしている。具体的には、上記始動入賞処理は2msec周期で実行されるため、例えば5秒の経過時間を計測するにはタイマに数値「2500」をセットし、始動入賞処理の都度、タイマ値を1ずつ減算する。このタイマ値は、その時々の各カウンタC1〜C3の値とともに、RAM103の保留球格納エリアに格納され管理される。そして、後述する識別情報と図柄の変動パターンの設定に際しては、上記タイマ値が参照され、残り時間に応じて(所定時間経過後に識別情報と図柄の変動表示が停止されるよう)変動パターンが設定されるようになっている。
【0103】
図15は、主制御装置71内のCPU101により実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットに伴い起動される。
【0104】
メイン処理において、ステップS401では、電源投入に伴う初期設定処理を実行する。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、従側の制御装置(サブ制御装置65、払出制御装置94等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば1秒程度、ウェイト処理を実行する。続くステップS402では、RAM103のアクセスを許可する。
【0105】
ステップS403では、電源・発射制御装置92に設けられたRAM消去スイッチ93がオン操作されているか否かを判別し、続くステップS404では、RAM103の停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。また、ステップS405ではRAM判定値を算出し、続くステップS406では、そのRAM判定値が後述する停電時処理にて保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判別する。RAM判定値は、例えばRAM103の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM103の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
【0106】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時等において電源投入時にRAMデータを初期化する場合、RAM消去スイッチ93を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ93が押されていれば、ステップS409〜S411の処理に移行する。また、停電フラグがセットされていない場合や、RAM判定値により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS409〜S411の処理に移行する。
【0107】
ステップS409では、従側の払出制御装置94を初期化すべく初期化信号を出力するとともに、サブ制御装置65に対して初期化コマンドを出力する。サブ制御装置65は、前記初期化コマンドが入力された場合、主制御装置71及び払出制御装置94が初期化されたことを報知すべく図柄表示装置41や電飾部51等の駆動制御を行う。続くステップS410ではRAM103の使用領域を0にクリアし、ステップS411ではRAM103の初期化処理を実行する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。
【0108】
一方、RAM消去スイッチ93が押されていない場合には、停電フラグがセットされていること、及びRAM判定値が正常であることを条件に、ステップS407にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。続くステップS408では、サブ制御装置65等の従側の各制御装置を電源遮断前の状態に復帰させるべく、復電コマンドを出力する。その後、ステップS412にて割込み許可を設定し、通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰することとなる。
【0109】
次に、通常処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S509の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS510,S511のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0110】
通常処理において、ステップS501では、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データを従側の各制御装置に出力する。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置94に対して賞球数と対応する賞球払出コマンドを送信する。また、図柄表示装置41による図柄の変動表示に際しては、停止パターンコマンド、変動パターンコマンド、変動終了コマンド等の表示コマンドをサブ制御装置65に対して送信する。さらに、大当たり状態への移行に際しては状態移行コマンドを、可変入賞装置34の開閉に際しては開放コマンドや閉鎖コマンドをサブ制御装置65に対して送信する。
【0111】
次に、ステップS502では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値(本実施の形態では198)に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM103の該当するバッファ領域に格納する。
【0112】
その後、ステップS503では、コマンド設定処理を実行する。コマンド設定処理では、遊技球の払出や払出異常に関するコマンドを設定する処理を行う。具体的には、払出機構部85に何らかの異常が発生したことなどを示す払出異常フラグがセットされている場合、払出異常フラグをクリアすると共にエラーコマンドを設定する。当該エラーコマンドは、ステップS501の外部出力処理にてサブ制御装置65に対して出力され、サブ制御装置65は、エラーコマンドが入力された場合、所定の態様で電飾部51を発光させる制御を行う。また、一般入賞口33,可変入賞装置34,上側作動口35a,下側作動口35bのいずれかに遊技球が入賞したことを示す入賞フラグがセットされている場合には、入賞フラグをクリアすると共に、セットされている入賞フラグの種類と対応した賞球コマンドをセットする。賞球コマンドは、ステップS501の外部出力処理にて払出制御装置94に対して出力され、払出制御装置94は、賞球コマンドが入力された場合、対応する数の遊技球を払い出す制御を行う。
【0113】
続くステップS504では、識別情報表示部43における識別情報の変動表示を行うための表示制御処理を実行する。詳細は後述するが、表示制御処理では、識別情報の変動表示の他、大当たり判定や図柄表示装置41における図柄の変動パターンの設定も行う。ステップS505では、遊技状態を大当たり状態や高確率状態に移行させるための遊技状態移行処理を実行する。
【0114】
ステップS506では、役物ランプ部44に表示される色の切り替え処理を行うための役物ランプ部制御処理を実行する。簡単に説明すると、役物ランプ部制御処理では、遊技球がスルーゲート36を通過したことを条件に、その都度の役物乱数カウンタC4の値を取得するとともに役物ランプ部44に表示される色の切り替え処理を開始する。そして、役物乱数カウンタC4の値により役物ランプ部44の抽選を行い、当選であった場合には所定時間経過後に赤色を停止表示させるとともに、作動口装置35に付随する電動役物を所定時間開放する。
【0115】
ステップS507では、遊技球を発射させるための発射制御処理を実行する。発射制御処理では、電源・発射制御装置92から発射許可信号が入力されていることと、発射制御信号を出力してから所定時間(本実施の形態では0.6秒)が経過していることとを条件として、電源・発射制御装置92に対して発射制御信号を出力する。電源・発射制御装置92は、発射制御信号が入力された場合、1回入力される毎に遊技球発射装置30の発射ソレノイドを1回励磁し、遊技球を1個発射させる。
【0116】
発射制御処理を行った後、ステップS508では、RAM103に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグがセットされているか否かを判別する。停電フラグがセットされていない場合には、ステップS509にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判別する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINIと変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する(ステップS510,S511)。つまり、ステップS510では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントすると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM103の該当するバッファ領域に格納する。また、ステップS511では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントすると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198)に達した際0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM103の該当するバッファ領域に格納する。
【0117】
ここで、ステップS501〜S508の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
【0118】
一方、ステップS508にて停電フラグがセットされていると判別した場合は、停電により電源が遮断されたことを意味する。かかる場合には、ステップS512以降に示す停電時処理を実行する。すなわち、ステップS512では、各割込み処理の発生を禁止し、ステップS513では、電源が遮断されたことを示す停電信号を他の制御装置(サブ制御装置65や払出制御装置94等)に対して出力する。続くステップS514では、RAM判定値を算出し、RAM103に保存する。ステップS515では、RAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
【0119】
次に、前記ステップS505の表示制御処理を図17〜図22のフローチャートを参照して説明する。
【0120】
表示制御処理において、ステップS601では、今現在の遊技状態が大当たり状態であるか否かを判別し、大当たり状態である場合にはそのまま本処理を終了する。大当たり状態でない場合には、ステップS602に進み、識別情報表示部43において識別情報を変動表示中であるか否かを判別する。識別情報を変動表示中でない場合にはステップS603に進み、識別情報表示部43及び図柄表示装置41の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する。そして、作動保留球数Nが0である場合には、そのまま本処理を終了する。
【0121】
作動保留球数N>0であれば、ステップS604に進む。ステップS604では、作動保留球数Nを1減算する。ステップS605では、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理は、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。その後、ステップS606では、識別情報表示部43の7セグメント表示器にて識別情報の変動表示を開始させる変動開始処理を実行し、続くステップS607では、図柄表示装置41における図柄の変動表示を開始させるための変動パターン設定処理を実行し、本処理を終了する。
【0122】
ここで、変動パターン設定処理について図18のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0123】
変動パターン設定処理では、ステップS701において、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する。より具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値が、通常状態下で「337,673」のいずれかの場合に大当たりであると判別し、高確率状態下で「67,131,199,269,337,401,463,523,601,661」のいずれかの場合に大当たりであると判別する。
【0124】
大当たりであると判別した場合にはステップS702に進み、大当たり停止テーブルを参照する。ここで、大当たり停止テーブルとは、図19に示すように、大当たり種別カウンタC2の値と、大当たりコード及び識別情報表示部43に最終停止表示させる識別情報と、の対応関係が定められたテーブルである。本パチンコ機10では、図19に示す6種類の識別情報が特定識別情報に相当する。また、詳細は後述するが、大当たりコードは、大当たり種別や大当たり状態下で可変入賞装置34の大入賞口を開閉させる開閉回数を決定する際に用いる判定情報であり、1〜125の125個の値により構成されている。つまり、大当たり停止テーブルとは、識別情報表示部43に最終停止表示させる識別情報を決定するとともに、0〜199のいずれかである大当たり種別カウンタC2の値を1〜125のいずれかの値に変換するための情報群であると言える。ステップS703,S704では、前記大当たり停止テーブルに基づいて、大当たり種別カウンタC2の値と対応する最終停止識別情報を取得するとともに大当たりコードを取得する。
【0125】
続くステップS705では、大当たり種別テーブルを参照する。ここで、大当たり種別テーブルとは、大当たりコードと、大当たり種別,ラウンド数及び停止パターンと、の対応関係が定められたテーブルである。本実施の形態では、図20(a)に示すように、大当たりコードが1〜50のいずれかであれば15ラウンドの非特定大当たりが発生し、51〜75のいずれかであれば2ラウンドの特定大当たりが発生し、76〜125のいずれかであれば15ラウンドの特定大当たりが発生するように設定されている。つまり、大当たり種別テーブルには、5分の2で15ラウンドの非特定大当たりが発生し、5分の1で2ラウンドの特定大当たりが発生し、5分の2で15ラウンドの特定大当たりが発生するように設定されている。また、15ラウンドの非特定大当たりは停止パターン「3」と対応付けられており、2ラウンドの特定大当たりは停止パターン「4」と対応付けられており、15ラウンドの特定大当たりは停止パターン「5」と対応付けられている。ちなみに、図19に示す大当たりテーブルでは、C2=0〜74が0〜50の大当たりコードと対応付けられており、C2=75〜124が51〜75の大当たりコードと対応付けられており、C2=125〜199が76〜125の大当たりコードと対応付けられている。したがって、大当たり停止テーブルにおいても、5分の2で15ラウンドの非特定大当たりが発生し、5分の1で2ラウンドの特定大当たりが発生し、5分の2で15ラウンドの特定大当たりが発生するように設定されている。また、C2=0〜74と対応付けられた3種類の識別情報が第2特定識別情報に相当し、C2=75〜199と対応付けられた3種類の識別情報が第1特定識別情報に相当することとなる。
【0126】
ステップS706,S707では、前記大当たり種別テーブルに基づいて、大当たりコードと対応するフラグをセットするフラグ設定処理を行うとともに、停止パターンを取得する。例えば、大当たりコードが80の場合には、大当たりフラグ,特定フラグ及び15ラウンドフラグをセットするとともに、停止パターンとして「5」を取得する。続くステップS708では、取得した停止パターンを変更するための停止パターン変更処理を行う。
【0127】
停止パターン変更処理では、図21のフローチャートに示すように、ステップS801にて現在の遊技状態が高確率状態か否かを判別する。高確率状態でない場合には、ステップS802に進み、比較値として115をセットする。また、高確率状態である場合には、ステップS803に進み、比較値として95をセットする。比較値をセットした後、ステップS804では、大当たりコードが比較値より小さいか否かを判別する。大当たりコードが比較値と等しい又は比較値より大きい場合には、ステップS805にて現在の停止パターンの値に1を加算した後、本処理を終了する。一方、大当たりコードが比較値より小さい場合には、停止パターンを変更することなくそのまま本処理を終了する。すなわち、通常状態下では、大当たりコードが115〜125のいずれかの場合、ステップS805にて停止パターンの値に1が加算され、停止パターンの値が5から6に変更される。また、高確率状態下では、大当たりコードが95〜125のいずれかの場合、ステップS805にて停止パターンの値に1が加算され、停止パターンの値が5から6に変更される。このように、停止パターン変更処理では、停止パターンが5である場合、すなわち15ラウンドの特定大当たりが発生する場合に、通常状態下であれば50分の11の割合で停止パターンを6に変更し、高確率状態下であれば50分の31の割合で停止パターンを6に変更する。
【0128】
変動パターン設定処理の説明に戻り、ステップS708にて停止パターン変更処理を実行した後、ステップS709では識別情報及び図柄の変動表示時間を導出するための変動時間導出処理を行い、変動パターン設定処理を終了する。
【0129】
また、ステップS701にて大当たりでないと判別した場合には、ステップS710に進み、外れ停止テーブルを参照する。ここで、外れ停止テーブルとは、図20(b)に示すように、リーチ乱数カウンタC3の値と、停止パターン及び識別情報表示部43に最終停止表示させる識別情報と、の対応関係が定められたテーブルである。外れ停止テーブルには、識別情報表示部43に最終停止表示させる識別情報として、図19に示す6種類以外の識別情報がリーチ乱数カウンタC3の各値と対応付けられている。また、前外れリーチに該当するC3=0が停止パターン「1」と対応付けられており、後外れリーチに該当するC3=1が停止パターン「2」と対応付けられており、前後外れ以外リーチ又は完全外れに該当するC3=2〜238が停止パターン「0」と対応付けられている。ステップS711,S712では、前記外れ停止テーブルに基づいて、リーチ乱数カウンタC3の値と対応する最終停止識別情報を取得するとともに停止パターンを取得する。その後、ステップS709にて識別情報及び図柄の変動表示時間を導出するための変動時間導出処理を行い、本処理を終了する。
【0130】
変動時間導出処理を図22のフローチャートに基づいて説明すると、ステップS901では、各図柄列Z1〜Z3の図柄が変動表示を停止するまでの変動パターンを決定する。このとき、RAM103のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCSの値を確認し、その値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかなリーチ種別を決定する。なお、変動種別カウンタCSの値と変動パターンとの関係は、遊技状態,停止パターン及び大当たりフラグの有無毎に予め記憶された図示しないテーブルにより予め規定されている。そして、停止パターンが4の場合に用いられるテーブルには、変動種別カウンタCSの値に関わらず変動パターンが完全外れ変動となるように規定されている。
【0131】
ステップS902では、停止パターンが3より小さいか否か、すなわち停止パターンが外れを意味するものであるか否かを判別する。3より小さい場合には、ステップS903に進み、外れ用変動表示テーブルを参照する。外れ用変動表示テーブルとは、遊技状態,変動パターン及び変動開始時の作動保留球数N毎に予め変動表示時間が規定されたテーブルである。また、ノーマルリーチ変動の場合に参照される外れ用変動表示テーブルには、最終停止図柄列たる中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる図柄毎に異なる変動表示時間が規定されており、変動開始時の作動保留球数Nと対応したテーブル間で変動表示時間が重複しないように規定されている。さらに、各外れ用変動表示テーブルには、完全外れ変動の場合に参照される外れ用変動表示テーブルと、ノーマルリーチ変動の場合に参照される外れ用変動表示テーブルと、スーパーリーチ変動の場合に参照される外れ用変動表示テーブルと、の各テーブル間においても、変動表示時間が重複しないように規定されている。ステップS904では、外れ用変動表示テーブルに基づいて変動表示時間を取得し、識別情報の変動表示時間を計測するためのタイマに取得した変動表示時間をセットする。その後、ステップS905にて現在の停止パターンを示す停止パターンコマンドを設定するとともに、ステップS906にて図柄の変動パターン及び変動表示時間を示す変動パターンコマンドを設定し、本処理を終了する。
【0132】
ステップS902にて停止パターンが3又は3より大きいと判別した場合には、何らかの大当たりが発生することを意味する。かかる場合には、ステップS907に進み、停止パターンが4か否か、すなわち2ラウンドの特定大当たりが発生するか否かを判別する。停止パターンが4である場合には、上述したステップS903〜ステップS906の処理を行い、本処理を終了する。このとき、変動パターンとして完全外れ変動が決定されているため、完全外れ変動の場合に参照される外れ用変動表示テーブルに基づいて変動表示時間を取得する。
【0133】
ステップS907にて停止パターンが4でないと判別した場合には、ステップS908に進み、停止パターンが5か否か、すなわち15ラウンドの特定大当たりが発生するか否かを判別する。停止パターンが5である場合には、ステップS909に進み、特定大当たり用変動表示テーブルを参照する。特定大当たり用変動表示テーブルとは、遊技状態,変動パターン及び変動開始時の作動保留球数N毎に予め変動表示時間が規定されたテーブルである。また、ノーマルリーチ変動の場合に参照される特定大当たり用変動表示テーブルには、最終停止図柄列たる中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる図柄毎に異なる変動表示時間が規定されており、変動開始時の作動保留球数Nと対応したテーブル間で変動表示時間が重複しないように規定されている。さらに、各特定大当たり用変動表示テーブルには、ノーマルリーチ変動の場合に参照される特定大当たり用変動表示テーブルと、スーパーリーチ変動の場合に参照される特定大当たり用変動表示テーブルと、の間においても、変動表示時間が重複しないように規定されている。ステップS904では、特定大当たり用変動表示テーブルに基づいて変動表示時間を取得し、識別情報の変動表示時間を計測するためのタイマに取得した変動表示時間をセットする。その後、ステップS905にて現在の停止パターンを示す停止パターンコマンドを設定するとともに、ステップS906にて図柄の変動パターン及び変動表示時間を示す変動パターンコマンドを設定し、本処理を終了する。
【0134】
ステップS908にて停止パターンが5でないと判別した場合には、停止パターンが3又は6であることを意味する。かかる場合には、ステップS910に進み、非特定大当たり用変動表示テーブルを参照する。非特定大当たり用変動表示テーブルとは、遊技状態,変動パターン及び変動開始時の作動保留球数N毎に予め変動表示時間が規定されたテーブルである。また、ノーマルリーチ変動の場合に参照される非特定大当たり用変動表示テーブルには、最終停止図柄列たる中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる図柄毎に異なる変動表示時間が規定されており、変動開始時の作動保留球数Nと対応したテーブル間で変動表示時間が重複しないように規定されている。さらに、各非特定大当たり用変動表示テーブルには、ノーマルリーチ変動の場合に参照される非特定大当たり用変動表示テーブルと、スーパーリーチ変動の場合に参照される非特定大当たり用変動表示テーブルと、の間においても、変動表示時間が重複しないように規定されている。ステップS904では、非特定大当たり用変動表示テーブルに基づいて変動表示時間を取得し、識別情報の変動表示時間を計測するためのタイマに取得した変動表示時間をセットする。その後、ステップS905にて現在の停止パターンを示す停止パターンコマンドを設定するとともに、ステップS906にて図柄の変動パターン及び変動表示時間を示す変動パターンコマンドを設定し、本処理を終了する。ここで、停止パターン「3」とは、15ラウンドの非特定大当たりが発生することを意味する停止パターンである。一方、停止パターン「6」とは、停止パターン変更処理にて停止パターン「5」から変更されたものであるため、15ラウンドの特定大当たりが発生することを意味する停止パターンである。つまり、本実施の形態では、特定大当たりが発生する場合であっても、非特定大当たり用変動表示テーブルに基づいて変動表示時間を取得することがある。
【0135】
図17の説明に戻り、ステップS602がYESの場合、すなわち識別情報表示部43にて識別情報を変動表示中である場合にはステップS608に進み、先の変動パターン設定処理S607にてセットした変動表示時間を経過したか否かを判別する。変動表示時間を経過していないと判別した場合には、ステップS609に進み、識別情報表示部43における識別情報を変動表示させる変動表示処理を実行する。変動表示処理では、7セグメント表示器の各LEDを所定の周期でオンオフ制御する。
【0136】
ステップS608において変動表示時間を経過したと判別した場合には、ステップS610において変動終了処理を実行する。変動終了処理では、先の変動パターン設定処理にて取得した最終停止識別情報を識別情報表示部43に最終停止表示させるべく、7セグメント表示器の対応するLEDをオン制御すると共に他のLEDをオフ制御する。これにより、大当たりの抽選結果に応じた識別情報が識別情報表示部43に最終停止表示されることとなる。なお、ここで設定された最終停止識別情報は、次回の変動開始処理まで維持される。この変動終了処理を行った後、S611では変動表示時間が経過したことを示す変動終了コマンドを設定し、本処理を終了する。
【0137】
なお、この表示制御処理において設定された表示コマンド、具体的には、停止パターンコマンド,変動パターンコマンド,変動終了コマンドは、上述した図16の通常処理における外部出力処理S501においてサブ制御装置65に対して出力される。より詳しくは、図柄を変動表示させるにあたり、停止パターンコマンド→変動パターンコマンドの順で通常処理の都度1つずつ(すなわち、4msec毎に1つずつ)コマンドを出力し、変動表示時間を経過したタイミングで変動終了コマンドを出力するようになっている。また、サブ制御装置65は、これらのコマンドに基づいて、最終停止表示させる各図柄列Z1〜Z3の図柄やリーチ変動の際に表示する予告キャラクタやリーチキャラクタ等の細かな表示内容を決定し、決定結果を表示制御装置62に対して出力する。表示制御装置62は、サブ制御装置65の決定結果に基づいて、図柄表示装置41を直接的に表示制御する。これにより、図柄表示装置41の表示画面Gにおいて図柄の変動表示が行われる。
【0138】
次に、前記ステップS505の遊技状態移行処理を図23のフローチャートを参照して説明する。
【0139】
先ず、ステップS1001では、現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合には、大当たり変動が終了したか否かを判別する。具体的には、ステップS1002にて識別情報の変動表示が終了したか否かを判別するとともに、ステップS1003にて大当たりフラグがセットされているか否かを判別する。識別情報の変動表示が終了していない場合又は大当たりフラグがセットされていない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、識別情報の変動表示が終了し、且つ大当たりフラグがセットされている場合には、ステップS1004〜ステップS1008に示す大当たり状態開始処理を行う。大当たり状態開始処理では、ステップS1004にて大当たり状態であることを示す大当たり状態フラグをセットし、続くステップS1005にて大当たりフラグをクリアする。なお、上記ステップS1001等においては、大当たり状態フラグの有無により、現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別している。ステップS1006では、RAM103に設けられたラウンドカウンタRCに、セットされているラウンドフラグと対応するラウンド数をセットする。すなわち、2ラウンドフラグがセットされている場合にはラウンドカウンタRCに2をセットし、15ラウンドフラグがセットされている場合にはラウンドカウンタRCに15をセットする。ラウンドカウンタRCは、大入賞口が開放された回数をカウントするためのカウンタである。その後、ステップS1007では大入賞口を開閉させる開閉タイミングを計るためのタイマに5000(すなわち10秒)をセットし、続くステップS1008では状態移行コマンドをセットして本処理を終了する。ここで、状態移行コマンドとはサブ制御装置65に対して送信されるものである。サブ制御装置65は、当該コマンドを受信することにより、大当たり状態に移行したことを認識するとともに、大当たり状態に移行したことを示すオープニング動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。なお、セットされたタイマ値は、タイマ割込み処理の都度、すなわち2msec周期で1ずつ減算される。
【0140】
一方、ステップS1001において遊技状態が大当たり状態であると判別した場合には、ステップS1009に進み、大入賞口を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を行う。
【0141】
大入賞口開閉処理では、図24のフローチャートに示す通り、先ずステップS1101にて大入賞口を開放中であるか否かを判別する。大入賞口を開放中でない場合には、ステップS1102にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別するとともに、ステップS1103にてタイマの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0である場合又はタイマの値が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRCの値が0でなく且つタイマの値が0である場合には、ステップS1104に進み、大入賞口を開放すべく可変入賞装置34を開放状態とする。続くステップS1105では、大入賞口に入賞した遊技球の数を記憶するための入賞カウンタPCに0をセットする。その後、ステップS1106ではタイマに14750(すなわち29.5秒)をセットするとともにステップS1107にて開放コマンドをセットし、本処理を終了する。この結果、大入賞口が最大29.5秒間開放されることとなる。ここで、開放コマンドとはサブ制御装置65に対して送信されるものである。サブ制御装置65は、当該コマンドを受信することにより、大入賞口が開放されたことを認識し、大入賞口が開放されている間に表示すべき動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。
【0142】
また、ステップS1101にて大入賞口が開放中であると判別した場合には、ステップS1108に進み、タイマの値が0か否かを判別する。タイマの値が0でない場合、ステップS1109にて大入賞口に遊技球が入賞したか否かを判別する。具体的には、カウントスイッチから遊技球入賞を意味する入賞検出信号が入力されたか否かを判別する。そして、入賞検出信号が入力されていない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、入賞検出信号が入力された場合には、ステップS1110にて入賞カウンタPCの値を1加算した後にステップS1111にて入賞カウンタPCの値が9か否かを判別し、9でない場合にはそのまま本処理を終了する。
【0143】
ステップS1108にてタイマの値が0の場合、又はステップS1111にて入賞カウンタPCの値が9の場合には、大入賞口閉鎖条件が成立したことを意味する。かかる場合にはステップS1112にて大入賞口を閉鎖すべく可変入賞装置34を閉鎖状態とする。続くステップS1113ではラウンドカウンタRCの値を1減算し、ステップS1114にてラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別する。ラウンドカウンタRCの値が0でない場合にはステップS1115にてタイマに1000(すなわち2秒)をセットし、ラウンドカウンタRCの値が0である場合にはステップS1116にてタイマに5000(すなわち10秒)をセットする。その後、ステップS1117にて閉鎖コマンドをセットし、本処理を終了する。ここで、閉鎖コマンドとはサブ制御装置65に対して送信されるものである。サブ制御装置65は、当該コマンドを受信することにより、1回のラウンドが終了したことを認識し、例えば次回のラウンド数等を教示する開放前動画や、大当たり状態が終了したことを示すエンディング動画を図柄表示装置41に表示させるべく表示制御を開始する。
【0144】
大入賞口開閉処理の後、ステップS1010ではラウンドカウンタRCの値が0か否かを判別すると共に、ステップS1011にてタイマの値が0か否かを判別する。そして、ラウンドカウンタRC又はタイマの値の少なくとも一方が0でない場合には、そのまま本処理を終了する。一方、ラウンドカウンタRC及びタイマの値が共に0である場合には、ステップS1012に進み、大当たり状態を終了させるべく大当たり状態フラグをクリアする。したがって、大当たり状態下では、ラウンドカウンタRCにセットされた回数(すなわち2回又は15回)の大入賞口の連続開放が許容される。大当たり状態フラグをクリアした後、ステップS1013では、特定フラグがセットされているか否かを判別する。特定フラグがセットされている場合には、特定大当たりが発生したことを意味するため、ステップS1014にてそれ以降の遊技状態を高確率状態とすべく高確率状態フラグをセットし、本処理を終了する。また、特定フラグがセットされていない場合には、非特定大当たりが発生したことを意味するため、高確率状態フラグをセットすることなくそのまま本処理を終了する。この結果、それ以降の遊技状態が通常状態に移行する。
【0145】
次に、サブ制御装置65内のCPUにより実行される図柄表示装置41の表示制御のうち、図柄の変動表示に関する図柄表示処理及び大当たり状態下における大当たり表示処理について説明する。
【0146】
本実施の形態では、表示画面に表示される背景画像や、リーチ変動の際に表示される予告キャラクタやリーチキャラクタ等が異なる表示モードを3種類備えており、遊技者が第1膨出部16前面側に設けられた選択スイッチ24を操作することによって表示モードを変更できる構成となっている。
【0147】
そこで、図柄表示処理の説明に先立ち、サブ制御装置65が行う表示モード変更処理について図25のフローチャートを用いて説明する。
【0148】
表示モード変更処理において、ステップS1201では現在の遊技状態が大当たり状態か否かを判別し、ステップS1202では図柄を変動表示中か否かを判別する。そして、現在の遊技状態が大当たり状態でなく、図柄を変動表示中でない場合(ステップS1201,ステップS1202が共にNOの場合)には、ステップS1203に進み、選択スイッチ24が操作されたか否かを判別する。選択スイッチ24が操作されていない場合にはそのまま本処理を終了し、選択スイッチ24が操作された場合にはステップS1204にて現在の表示モードを確認し、ステップS1205にてモードフラグを設定する処理を行う。具体的には、サブ制御装置65のRAMには、3種類の各表示モードと対応したモードフラグをセットするための領域が設けられている。そして、第1表示モードフラグがセットされている場合には、第1表示モードフラグをクリアすると共に第2表示モードフラグをセットし、第2表示モードフラグがセットされている場合には、第2表示モードフラグをクリアすると共に第3表示モードフラグをセットし、第3表示モードフラグがセットされている場合には、第3表示モードフラグをクリアすると共に第1表示モードフラグをセットする。つまり、図柄表示装置41の表示モードは、選択スイッチ24が操作される毎に第1表示モード→第2表示モード→第3モードの順に変更される。その後、ステップS1206では、セットしたモードフラグと対応する表示モードコマンドをセットし、本処理を終了する。ここで、表示モードコマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、表示モードが変更されたことを認識し、変更後の表示モードと対応する背景画像を表示画面に表示させる等の処理を実行する。
【0149】
一方、現在の遊技状態が大当たり状態である場合や図柄を変動表示中である場合(ステップS1201、S1202のいずれかがYESの場合)には、選択スイッチ24の操作を確認することなく、表示モードを変更することなくそのまま本処理を終了する。つまり、これら状況下においては選択スイッチ24の操作が無効とされる。なお、選択スイッチ24には図示しないランプが内蔵されており、サブ制御装置65は、大当たり状態や図柄を変動表示中の場合にはランプを消灯させ、大当たり状態でなく図柄を変動表示中でもない場合にはランプを点灯表示させる制御を実行する。
【0150】
ここで、図8に示した通り、選択スイッチ24は、サブ制御装置65にのみ接続されており、主制御装置71には接続されていない。また、主制御装置71の入力側にはサブ制御装置65が接続されていない。つまり、各表示モードの管理はサブ制御装置65が独自に行っており、主制御装置71は表示モードの管理に関与していない。このように、サブ制御装置65が独自に各表示モードの管理を行い、表示制御装置65との協働の下に図柄表示装置41の表示制御を行うことにより、主制御装置71の処理負荷を増大化させることなく図柄表示装置41における表示演出の多様化を図ることができ、遊技の単調化を抑制することが可能となる。
【0151】
次に、主制御装置71から送信された表示コマンドの受信に基づいて行われる図柄表示処理を、図26のフローチャートを参照しながら説明する。
【0152】
ステップS1301では、停止パターンコマンドを受信したか否かを判別する。停止パターンコマンドを受信した場合には、ステップS1302に進み、停止パターンコマンドの示す停止パターンをRAMに記憶する。続くステップS1303では、停止パターンが3より大きいか否かを判別する。停止パターンが3より大きい場合には、特定大当たりが発生することを意味するため、ステップS1304に進み、高確率フラグをセットする。その後、ステップS1305では、停止パターンが6か否かを判別する。停止パターンが6でない場合には、そのまま本処理を終了し、停止パターンが6である場合には、ステップS1306にて昇格フラグをセットした後に本処理を終了する。詳細は後述するが、本実施の形態では、特定大当たりの場合に第1特定図柄ではなく第2特定図柄の組み合わせを有効ラインに停止表示させ、大当たり状態下で特定大当たりであることを報知する昇格演出を行う場合がある。昇格フラグとは、前記昇格演出を行う場合にセットされるフラグである。このため、停止パターン「6」とは、昇格演出の行われる特定大当たりであることを意味し、さらに言うと、主制御装置71側では停止パターン変更処理にて昇格演出抽選を行っていると言える。
【0153】
図柄表示処理の説明に戻り、ステップS1303にて停止パターンが3又は3より小さいと判別した場合には、ステップS1307にて停止パターンが3か否かを判別する。停止パターンが3である場合には、15ラウンドの非特定大当たりが発生するとともに、大当たり状態の終了後に通常状態に移行することを意味する。そこで、かかる場合には、ステップS1308にて高確率フラグをクリアし、本処理を終了する。一方、停止パターンが3でない場合には、停止パターンは0〜2のいずれかであり、大当たりが発生しないことを意味するため、そのまま本処理を終了する。なお、停止パターンが3であって高確率フラグがセットされていない場合には、ステップS1308にて高確率フラグをクリアすることなく、そのまま本処理を終了する。
【0154】
ステップS1301にて停止パターンコマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS1309にて変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する。変動パターンコマンドを受信した場合には、ステップS1310に進み、図柄を最終停止表示させる際の各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する停止図柄決定処理を行い、本処理を終了する。
【0155】
ここで、停止図柄決定処理の説明に先立ち、本実施の形態における図柄の変動パターン及び各変動パターンにて行われる表示演出について説明する。先ず、変動開始時の作動保留球数Nが0の場合における表示演出を説明する。
【0156】
「完全外れ変動」とは、各図柄列Z1〜Z3の高速変動が一斉に開始され、5秒後に上図柄列Z1の変動表示が停止され、6秒後に下図柄列Z3の変動表示が停止され、7秒後に中図柄列Z2の変動表示が停止される変動パターンである。
【0157】
より具体的には、1秒経過後の各図柄列Z1〜Z3の変動速度が有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できない速度(本実施の形態では、0.05秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)となるように、各図柄列Z1〜Z3の変動表示が一斉に開始される。各図柄列Z1〜Z3の高速変動は変動表示が開始されてから4秒を経過するまで行われ、4秒を経過すると有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう上図柄列Z1の変動速度が徐々に低下し、5秒後に上図柄列Z1の変動表示が停止される。そして、上図柄列Z1の変動表示が停止される5秒経過のタイミングから、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう下図柄列Z3の変動速度が徐々に低下し、6秒後に下図柄列Z3の変動表示が停止される。さらに、下図柄列Z3の変動表示が停止される6秒経過のタイミングから、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できるよう中図柄列Z2の変動速度が徐々に低下し、7秒後に中図柄列Z2の変動表示が停止される。このとき、完全外れ変動では、いずれの有効ラインL1〜L5にも上図柄列Z1の図柄と下図柄列Z3の図柄とが同一主図柄で停止することはなく、各図柄列Z1〜Z3の変動表示に併せて予告キャラクタやリーチキャラクタが表示されることもない。
【0158】
「リーチ変動」とは、下図柄列Z3の変動表示が6秒後に停止されるまでは完全外れ変動と同様であるが、このときいずれかの有効ラインL1〜L5に同一主図柄が停止してリーチ発生となり、7秒経過後も中図柄列Z2の変動表示が継続される変動パターンである。リーチ変動には、「ノーマルリーチ変動」と「スーパーリーチ変動」がある。ノーマルリーチ変動の場合には、リーチ発生となった際に表示モードに応じた予告キャラクタが所定確率で表示され、スーパーリーチ変動の場合には、リーチ発生となった際に表示モードに応じた予告キャラクタが常に表示される。また、ノーマルリーチ変動の場合には、予告キャラクタが表示されることはあるもののその後にリーチキャラクタが表示されることはなく、スーパーリーチ変動の場合には、予告キャラクタが表示された後の所定タイミングで表示モードやリーチラインに応じたリーチキャラクタが表示される。さらに、ノーマルリーチ変動とスーパーリーチ変動では、リーチ発生後の中図柄列Z2の変動表示態様が異なっている。
【0159】
「ノーマルリーチ変動」の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過する(すなわち左ラインL1に到達する)ように変動表示され、その後は有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識可能な一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。そして、「1」図柄が再度中ラインL2に到達した以降のタイミングで予め設定した停止図柄が左ラインL1に到達すると、変動表示が停止される。
【0160】
「スーパーリーチ変動」の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過してから「7」図柄が中ラインL2を通過するまでの間、ノーマルリーチ変動と同じ速度で変動表示される。つまり、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識可能な一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。その後、「7」図柄が中ラインL2を通過したタイミングで表示モードやリーチラインに応じたリーチキャラクタが表示画面に登場表示されると共に、このタイミングで中図柄列Z2の速度が変更される。具体的には、有効ラインにいずれの図柄が到達しているのかを認識できない速度(本実施の形態では、0.05秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)に変更される。リーチキャラクタが登場表示された後は、再びリーチキャラクタが登場表示される前と同じ速度(すなわち、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で中図柄列Z2が変動表示される。そして、リーチキャラクタが登場表示された以降のタイミングで予め設定した停止図柄が左ラインL1に到達すると、変動表示が停止される。
【0161】
変動開始時の作動保留球数Nが1〜4のいずれかである場合の表示演出については、各図柄列Z1〜Z3の高速変動が一斉に開始されてから上図柄列Z1の変動表示が停止されるまでの時間が作動保留球数Nの増加に伴って短縮されることを除いて同じため、説明を省略する。
【0162】
さて、停止図柄決定処理では、図27のフローチャートに示すように、ステップS1401にて高速変動コマンドを設定する。ここで、高速変動コマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、各図柄列Z1〜Z3の高速変動を一斉に開始させる処理を実行する。続くステップS1402,S1403では、受信した変動パターンコマンドの示す変動表示時間と変動パターンを取得し、RAMに保存する。
【0163】
ステップS1404では、今回の変動パターンが完全外れ変動か否かを判別する。完全外れ変動である場合には、ステップS1405にて完全外れ変動コマンドを設定する。ここで、完全外れ変動コマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、今回の変動パターンが完全外れ変動であることを把握する。続くステップS1406では、今回の停止パターンが4か否かを判別する。停止パターンが4である場合、2ラウンドの特定大当たりが発生することを意味するため、ステップS1407に進み、上図柄列Z1の「3」図柄,中図柄列Z2の「4」図柄,下図柄列Z3の「1」図柄を最終停止表示させる有効ラインを決定する。その後、ステップS1408にて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定し、本処理を終了する。ここで、停止図柄コマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、表示画面に最終停止表示させる図柄を把握する。ちなみに、本実施の形態では、主図柄が昇順又は降順に配列された各図柄列Z1〜Z3がスクロールするように変動表示される。したがって、サブ制御装置65が左ラインL1に停止表示させる図柄を決定すると共に当該結果を表示制御装置62に送信すれば、表示制御装置62は、左ラインL1に加えて中ラインL2と右ラインL3に停止表示させる図柄も一義的に把握することができる。
【0164】
ステップS1406にて停止パターンが4でないと判別した場合には、ステップS1409に進み、完全外れとなる各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。完全外れ時の停止図柄決定について簡単に説明すると、サブ制御装置65は、上図柄列Z1、中図柄列Z2及び下図柄列Z3の各外れ図柄の設定に使用する上・中・下の各外れ図柄カウンタを備えており、各外れ図柄カウンタには、各図柄列Z1〜Z3において変動表示される図柄の数と同数のカウンタ値が用意されている。すなわち、上・外れ図柄カウンタと下・外れ図柄カウンタには18個(0〜17)のカウンタ値が用意されており、中・外れ図柄カウンタには20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。上・外れ図柄カウンタにより上図柄列Z1の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定され、中・外れ図柄カウンタにより中図柄列Z2の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定され、下・外れ図柄カウンタにより下図柄列Z3の左ラインL1に停止表示させる停止図柄が決定される。これら各外れ図柄カウンタは、CPUに内蔵のRレジスタの数値を用いることでランダムに更新される構成となっている。すなわち、各外れ図柄カウンタの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値(本実施の形態ではそれぞれ18,20,18)を超えた場合に最大値の分だけ減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタは更新時期が重ならないようにして更新され、これら外れ図柄カウンタの組み合わせが、完全外れの組み合わせとなった場合にRAMの完全外れ図柄バッファに格納される。そして、ステップS1409では、完全外れ図柄バッファに格納された外れ図柄カウンタの組み合わせを取得し、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。その後、ステップS1408にて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定し、本処理を終了する。
【0165】
ステップS1404にて完全外れ変動でないと判別した場合には、何らかのリーチ変動を行うことを意味する。かかる場合には、ステップS1410にて中図柄列調整コマンドを設定する。ここで、中図柄列調整コマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、中図柄列Z2の「1」図柄がリーチ発生のタイミング(すなわち下図柄列Z2の停止タイミング)で中ラインL2を通過するよう中図柄列Z2の図柄位置を調整し、本処理を終了する。かかる処理を行うことにより、リーチ発生時における中図柄列Z2の「1」図柄の位置をいかなるリーチ変動であっても同一とすることができる。故に、変動表示を終了させるまでの変動表示時間を、同一のリーチ変動であっても中図柄列Z2の停止図柄によって変化させることが可能となり、大当たり発生に対する期待感を高めることが可能となる。
【0166】
中図柄列調整コマンドを設定した後、ステップS1411ではリーチ演出時処理を実行する。リーチ演出時処理とは、リーチとなる有効ラインや各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定するための処理である。その後、ステップS1408にて左ラインL1に停止表示させる図柄を示す停止図柄コマンドを各図柄列Z1〜Z3についてそれぞれ設定し、本処理を終了する。
【0167】
リーチ演出時処理では、図28のフローチャートに示す通り、ステップS1501にてノーマルリーチ変動か否かを判別する。ノーマルリーチ変動である場合には、ステップS1502に進み、保存した変動表示時間から中図柄列Z2の停止図柄を導出する。上述した通り、変動開始時の作動保留球数Nが0の場合におけるノーマルリーチ変動では、上図柄列Z1と下図柄列Z3の変動表示が停止されるまでに6秒要し、下図柄列Z3の変動表示が停止してから中図柄列Z2の「1」図柄が再度中ラインL2に到達するまでに9.5(=0.5×19)秒要する。このため、例えば変動表示時間が17秒であった場合には、中図柄列Z2は「1」図柄が再度中ラインL2に到達してからさらに3(=(17−6−9.5)/0.5)図柄分だけ変動表示することとなり、左ラインL1に「2」図柄が停止すると導出することができる。なお、ROMに変動表示時間と中図柄列Z2の停止図柄との関係を規定したテーブルを予め記憶させておく構成としても良い。
【0168】
中図柄列Z2の停止図柄を導出した後、ステップS1503では停止パターンを参照する。そして、ステップS1504にてリーチラインを決定するとともに、ステップS1505にて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を決定する。例えば、中図柄列Z2の「2」図柄が左ラインL1に停止すると導出し、停止パターンが1である場合には、前外れリーチのため、リーチラインとして中ラインL2を決定するとともに、上図柄列Z1と下図柄列Z3の「2」図柄を中ラインL2に停止させると決定する。このように、停止パターンが0〜2のいずれかである場合には、停止パターンに即したリーチライン及びリーチ図柄を決定する。また、停止パターンが3である場合には、非特定大当たりが発生するため、第2特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及びリーチ図柄を決定し、停止パターンが5である場合には、特定大当たりが発生するため、第1特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及びリーチ図柄を決定する。一方、停止パターンが6である場合には、特定大当たりが発生するにも関わらず、第2特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及びリーチ図柄を決定する。これは、大当たり状態下で特定大当たりであることを報知する昇格演出を行うためである。換言すれば、停止パターンとは、外れも含めた大当たり種別を示すとともに、有効ラインに最終停止表示させる図柄種別を示すものであると言える。
【0169】
一方、ステップS1501にてノーマルリーチ変動でないと判別した場合には、スーパーリーチ変動であることを意味する。かかる場合には、ステップS1506に進み、停止パターンを参照する。その後、ステップS1507にてリーチラインを決定するとともに、ステップS1508にて全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。つまり、スーパーリーチ変動の場合には、変動表示時間から中図柄列Z2の停止図柄を導出することなくサブ制御装置65側で独自に全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。このときにおいても、停止パターンが0〜2のいずれかである場合には、停止パターンに即したリーチライン及び全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。また、停止パターンが3である場合には、非特定大当たりが発生するため、第2特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及び全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定し、停止パターンが5である場合には、特定大当たりが発生するため、第1特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及び全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。一方、停止パターンが6である場合には、特定大当たりが発生するにも関わらず、第2特定図柄の組み合わせが有効ラインに最終停止表示されるようにリーチライン及び全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する。なお、中図柄列Z2の停止図柄をサブ制御装置65側で決定する構成とした場合、主制御装置71の決定した変動表示時間内に図柄の変動表示が終了しない可能性が懸念されるが、上述した通りスーパーリーチ変動の場合にはリーチキャラクタの登場表示が行われる際に中図柄列Z2の速度を高速に変更するため、この高速変動中に中図柄列Z2の図柄を差し替えることで主制御装置71の決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができる。
【0170】
以上のようにして各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定した後、ステップS1509では、リーチ図柄が第1特定図柄か否かを判別する。リーチ図柄が第1特定図柄でない場合には、そのまま本処理を終了し、リーチ図柄が第1特定図柄である場合には、ステップS1510にて昇格演出処理を行った後、本処理を終了する。
【0171】
昇格演出処理では、図29のフローチャートに示すように、ステップS1601にて現在の表示モードが第1表示モードか否かを確認する。具体的には、RAMに第1表示モードフラグがセットされているかを確認する。現在の表示モードが第1表示モードである場合には、ステップS1602にて大当たり変動か否かを停止パターンに基づいて判別し、大当たり変動の場合にはそのまま本処理を終了する。つまり、第1表示モード下の大当たり発生となるリーチ変動では昇格演出処理を行わない。一方、現在の表示モードが第2表示モード又は第3表示モードである場合(ステップS1601がNOの場合)、又は第1表示モード下で外れリーチ変動を行う場合(ステップS1602がNOの場合)には、ステップS1603にて昇格演出抽選を行う。
【0172】
サブ制御装置65は、昇格演出抽選に使用する昇格演出カウンタを備えており、昇格演出抽選を行う際のカウンタ値に基づいて昇格演出抽選に当選したか否かを判別する。昇格演出カウンタは、例えば0〜149の範囲内で定期的に1ずつ更新され、最大値(つまり149)に達した後0に戻るループカウンタである。
【0173】
第1表示モードの場合、通常状態下では昇格演出カウンタの値が0〜32であれば当選と判別し、高確率状態下では昇格演出カウンタの値が0〜92であれば当選と判別する。すなわち、第1表示モード下で外れリーチ変動を行う場合に昇格演出抽選に当選する確率は、通常状態下では50分の11であり、高確率状態下では50分の31である。また、主制御装置71側では、停止パターン変更処理において、15ラウンドの特定大当たりのうち、通常状態下であれば50分の11の確率で停止パターンを6に変更し、高確率状態下であれば50分の31の確率で停止パターンを6に変更する。つまり、第1表示モードでは、第1特定図柄による外れリーチ変動を行うべく各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定した場合に、主制御装置71側と同じ当選確率で昇格演出抽選を行う。
【0174】
第2表示モードでは、大当たり変動の場合と外れリーチ変動の場合とで当選と判別する昇格演出カウンタの値が異なる。大当たり変動の場合には、昇格演出カウンタの値が0〜29であれば当選と判別する。また、外れリーチ変動の場合には、通常状態下では昇格演出カウンタの値が0〜56であれば当選と判別し、高確率状態下では昇格演出カウンタの値が0〜104であれば当選と判別する。第3モードについても同様に、大当たり変動の場合と外れリーチ変動の場合とで当選と判別する昇格演出カウンタの値が異なる。大当たり変動の場合には、昇格演出カウンタの値が0〜74であれば当選と判別する。また、外れリーチ変動の場合には、通常状態下では昇格演出カウンタの値が0〜92であれば当選と判別し、高確率状態下では昇格演出カウンタの値が0〜122であれば当選と判別する。
【0175】
このように、大当たり変動の場合にサブ制御装置65側の昇格演出抽選に当選する確率は、第1表示モードでは0であり、第2表示モードでは5分の1であり、第3表示モードでは2分の1である。つまり、本実施の形態では、表示モードに応じて昇格演出の行われる頻度が異なるようになっている。ちなみに、15ラウンドの特定大当たりが発生する状況下において、主制御装置71側で停止パターンが変更されることも含めた昇格演出の行われる割合は、通常状態下において、第1表示モードでは約4.5分の1、第2表示モードでは約2.6分の1、第3表示モードでは約1.6分の1であり、高確率状態下において、第1表示モードでは約1.6分の1、第2表示モードでは約1.4分の1、第3表示モードでは約1.2分の1である。また、外れリーチ変動の場合にサブ制御装置65側の昇格演出抽選に当選する割合は、通常状態下において、第1表示モードでは約4.5分の1、第2表示モードでは約2.6分の1、第3表示モードでは約1.6分の1であり、高確率状態下において、第1表示モードでは約1.6分の1、第2表示モードでは約1.4分の1、第3表示モードでは約1.2分の1である。つまり、外れリーチ変動では、第1特定図柄による外れリーチ変動を行うべく各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定した場合に、15ラウンドの特定大当たりが発生する状況下で昇格演出の行われる確率と同じ当選確率で昇格演出抽選を行う。
【0176】
ステップS1604では、昇格演出抽選に当選したか否かを判別し、当選していない場合にはそのまま本処理を終了する。また、昇格演出抽選に当選した場合にはステップS1605にて昇格フラグをRAMにセットし、ステップS1606〜S1613に示す停止図柄変更処理を行う。
【0177】
停止図柄変更処理において、ステップS1606では、今回の変動パターンがノーマルリーチ変動か否かを判別する。今回の変動パターンがノーマルリーチ変動である場合には、ステップS1607にてリーチラインが左ラインL1又は右ラインL3か否かを判別する。リーチラインが左ラインL1又は右ラインL3の場合にはステップS1608に進み、ノーマルリーチ用図柄テーブルを参照する。
【0178】
ここで、ノーマルリーチ用図柄テーブルとは、図30(a)に示すように、先のステップS1505にて決定したリーチ図柄と、実際に停止表示させるリーチ図柄との対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄と、実際に左ラインL1に停止させる上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。なお、「4a」図柄とは、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄との間に配された「4」図柄のことであり、「3」図柄と「5」図柄との間に配された「4」図柄との区別を容易なものとするため便宜上「4a」と記載している。
【0179】
上述した通り、ノーマルリーチ変動の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過する(すなわち左ラインL1に到達する)ように変動表示され、その後は一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。したがって、ノーマルリーチ変動の場合には、中図柄列Z2の左ラインL1に停止する図柄に応じて変動表示時間が異なることとなる。例えば、図30(b)に示すように、左ラインL1に各図柄列Z1〜Z3の「1」図柄を停止表示させる場合、上図柄列Z1と下図柄列Z3の変動表示が停止されるまでに6秒要し、下図柄列Z3の変動表示が停止してから中図柄列Z2の「1」図柄が再度中ラインL2に到達するまでに9.5(=0.5×19)秒要し、この「1」図柄が左ラインL1に到達するまでに0.5秒要するため、変動表示時間は16秒となる。ここで、仮にサブ制御装置65側で左ラインL1に各図柄列Z1〜Z3の「2」図柄が停止するように停止図柄を変更した場合、変動表示時間が17(=6+0.5×19+0.5×3)秒となり、主制御装置71の決定した変動表示時間内に変動表示を終了させることができない。ところが、中図柄列Z2の「1」図柄を左ラインL1に停止表示させる場合、右ラインL3には「2」図柄が停止表示されることとなる。このため、停止パターンが5であって、左ラインL1に中図柄列Z2の「1」図柄を停止させることを意味する変動表示時間が主制御装置71から送信された場合に、右ラインL3に「2」図柄の組み合わせを停止表示させるようサブ制御装置65側で上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更したとしても、「1」図柄の組み合わせを左ラインL1に停止表示させた場合と変動表示時間に差異がなく、主制御装置71の決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができないという問題が生じない。同様に、停止パターンが5であって、右ラインL3に中図柄列Z2の「1」図柄を停止させることを意味する変動表示時間が主制御装置71から送信された場合、中図柄列Z2の「4」図柄が左ラインL1に停止するため、左ラインL1に「4」図柄の組み合わせを停止させるようサブ制御装置65側で上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更したとしても、主制御装置71が決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができないという問題が生じない。
【0180】
そこで、ステップS1609では、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて、先のステップS1505にて決定した停止図柄を変更し、本処理を終了する。より具体的には、先のステップS1505にて決定したリーチ図柄が左ラインL1の「9」図柄の場合と右ラインL3の「1」図柄の場合とには上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更し、それ以外の場合には上図柄列Z1の停止図柄のみを変更する。これは、「1」〜「9」の主図柄が中図柄列Z2と下図柄列Z3には共に昇順に配されており、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄の間にのみ「4」図柄が配されているためである。換言すれば、昇格演出に当選し、且つ、左ラインL1又は右ラインL3にリーチ図柄として第1特定図柄が停止するノーマルリーチ変動を行う場合、右ラインL3又は左ラインL1にリーチ図柄として第2特定図柄が停止するノーマルリーチ変動を行うようリーチ図柄を変更するとも言える。なお、外れリーチ変動の場合であって、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、上記各図柄(リーチ図柄)を変更しない。例えば、各図柄列Z1〜Z3の左ラインL1に停止する停止図柄が上図柄列Z1から順に「3」図柄,「9」図柄,「3」図柄であった場合、ノーマルリーチ用図柄テーブルに基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の「4」図柄が右ラインL3に停止するよう停止図柄を変更すると、右ラインL3で「4」図柄,「4a」図柄,「4」図柄と第2特定図柄の組み合わせが停止表示されることとなる。したがって、このような場合には、上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更することなく本処理を終了する。換言すれば、ノーマルリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、リーチ図柄の変更を禁止しているとも言える。
【0181】
一方、リーチラインが左ラインL1、右ラインL3のいずれでもない場合(ステップS1607がNOの場合)には、昇格演出抽選に当選した場合であっても上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更することなく本処理を終了する。リーチラインが左ラインL1、右ラインL3のいずれでもない場合、リーチラインは中ラインL2,右下がりラインL4,右上がりラインL5のいずれかであることを意味する。かかる場合、大当たり変動ではいずれのリーチラインであっても中図柄列Z2の大当たり図柄が中ラインL2に停止することとなる。中図柄列Z2の大当たり図柄が中ラインL2に停止する場合、主図柄と副図柄が交互に配列された本実施の形態においては、他の有効ラインに中図柄列の主図柄が停止しない。つまり、リーチラインが左ラインL1でも右ラインL3でもない場合、第2特定図柄の組み合わせを有効ラインのいずれかに停止させるためには中図柄列Z2の停止図柄を変更する必要があり、ノーマルリーチ変動で中図柄列Z2の停止図柄を変更した場合には変動表示時間が変化することに繋がる。そこで、リーチラインが上記各ラインでない場合には、昇格演出抽選に当選した場合であってもリーチ図柄を変更することなく本処理を終了する。
【0182】
ステップS1606にて今回の変動パターンがノーマルリーチ変動でないと判別した場合、スーパーリーチ変動を行うことを意味する。かかる場合にはステップS1610に進み、スーパーリーチ用図柄テーブルを参照する。
【0183】
スーパーリーチ用図柄テーブルとは、図31に示すように、先のステップS1505にて決定したリーチ図柄と、実際に停止表示させるリーチ図柄との対応関係が定められたテーブルである。より詳しくは、上図柄列Z1と下図柄列Z3の左ラインL1に停止する停止図柄と、実際に左ラインL1に停止させる上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄との対応関係が定められたテーブルである。図31(a)はリーチラインが1ラインのみのいわゆるシングルリーチの場合のスーパーリーチ用図柄テーブルであり、(b)はリーチラインが2ラインある所謂ダブルリーチの場合のスーパーリーチ用図柄テーブルである。ここで、スーパーリーチ用図柄テーブルでは、ノーマルリーチ用図柄テーブルと異なり、リーチラインを変更することなくリーチ図柄を変更するように設定されている。つまり、大当たり変動の場合には中図柄列Z2の停止図柄をも変更する。かかる場合、主制御装置71の決定した変動表示時間内に図柄の変動表示が終了しない可能性が懸念されるが、上述したとおりスーパーリーチ変動の場合にはリーチキャラクタの登場表示が行われる際に中図柄列Z2の速度を高速に変更するため、この高速変動中に中図柄列Z2の図柄を差し替えることにより、主制御装置71の決定した変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができる。
【0184】
スーパーリーチ用図柄テーブルを参照した後、ステップS1611では、今回の変動が大当たり変動であるか否かを停止パターンに基づいて判別する。大当たり変動である場合にはステップS1612に進み、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて、全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更し、本処理を終了する。また、大当たり変動ではなく外れリーチ変動である場合にはステップS1613に進み、上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更し、本処理を終了する。なお、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、上記各図柄(リーチ図柄)を変更しない。換言すれば、スーパーリーチ用図柄テーブルの参照結果に基づいて上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄を変更すると大当たり図柄の組み合わせが形成されてしまう場合には、リーチ図柄の変更を禁止しているとも言える。
【0185】
図26の図柄表示処理の説明に戻り、ステップS1309にて変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS1311にて変動終了コマンドを受信したか否かを判別する。変動終了コマンドを受信していない場合には、そのまま本処理を終了し、変動終了コマンドを受信した場合には、ステップS1312にて最終停止コマンドを設定し、本処理を終了する。ここで、最終停止コマンドとは、表示制御装置62に対して送信されるコマンドである。表示制御装置62は、当該コマンドを受信することにより、図柄の変動表示を終了し、各図柄列Z1〜Z3の図柄を最終停止表示する。
【0186】
次に、遊技状態が大当たり状態に移行した後にサブ制御装置65が行う大当たり表示処理の具体的手順について概説する。図32は、サブ制御装置65のCPUにより実行される大当たり表示処理を示すフローチャートである。サブ制御装置65は、図32に示す手順に従って主制御装置71から送信される各種コマンドを処理しつつ、表示制御装置62に図柄表示装置41の表示制御を行わせるべく各種処理を実行する。
【0187】
先ず、ステップS1701では、遊技状態が大当たり状態か否かを判別する。大当たり状態でない場合、ステップS1702にて状態移行コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。ステップS1702にて状態移行コマンドを受信した場合、遊技状態が大当たり状態に移行したことを意味する。かかる場合には、ステップS1703にてRAMに設けられた表示ラウンドカウンタHRCに停止パターンと対応するラウンド数をセットするとともに、ステップS1704にてオープニング処理を行い、本処理を終了する。オープニング処理では、表示制御装置62に対して送信されるオープニングコマンドを設定する等の処理を行う。表示制御装置62は、オープニングコマンドを受信した場合、大当たり状態に移行したことや大入賞口の開閉回数等を教示するオープニング動画を図柄表示装置41に表示させる処理を開始する。
【0188】
ステップS1701にて遊技状態が大当たり状態であると判別した場合には、ステップS1705にて開放コマンドを受信したか否かを判別する。開放コマンドを受信した場合には、大入賞口が開放されたことを意味する。そこで、開放コマンドを受信した場合には、ステップS1706〜ステップS1709に示す開放時処理を行い、本処理を終了する。なお、開放時処理については後述することとする。
【0189】
ステップS1705にて開放コマンドを受信していないと判別した場合には、ステップS1710にて閉鎖コマンドを受信したか否かを判別し、受信していない場合にはそのまま本処理を終了する。一方、閉鎖コマンドを受信した場合には、開放状態にあった大入賞口が閉鎖状態に切り換えられた、すなわち1回のラウンドが終了したことを意味する。かかる場合には、ステップS1711にて表示ラウンドカウンタHRCの値を1減算し、ステップS1712では表示ラウンドカウンタHRCの値が0か否かを判別する。表示ラウンドカウンタHRCの値が0でない場合には、2回又は15回の大入賞口の開閉が終了していないことを意味するため、ステップS1713にて開放前処理を行い、本処理を終了する。開放前処理では、表示制御装置62に対して送信される開放前コマンドを設定する等の処理を行う。表示制御装置62は、開放前コマンドを受信した場合、次回のラウンド数等を遊技者に教示する開放前動画を図柄表示装置41に表示させる処理を開始する。また、表示ラウンドカウンタHRCの値が0である場合には2回又は15回の大入賞口の開閉が終了したことを意味するため、ステップS1714にてエンディング処理を行い、本処理を終了する。エンディング処理では、表示制御装置62に対して送信されるエンディングコマンドを設定する等の処理を行う。表示制御装置62は、エンディングコマンドを受信した場合、大当たり状態が終了することを教示するエンディング動画を図柄表示装置41に表示させる処理を開始する。
【0190】
大入賞口が開放されている状況下にて行う開放時処理では、先ずステップS1706において、昇格フラグがセットされているか否かを判別する。昇格フラグがセットされていない場合には、ステップS1708にて開放中処理を行い、本処理を終了する。開放中処理では、表示制御装置62に対して送信される開放中コマンドを設定する等の処理を行う。表示制御装置62は、開放中コマンドを受信した場合、現在のラウンド数やラウンド中に大入賞口に入賞した遊技球数等を図柄表示装置41に表示させる処理を開始する。一方、昇格フラグがセットされている場合には、主制御装置71又はサブ制御装置65の昇格演出抽選に当選し、特定大当たりの状況下で第2特定図柄の組み合わせを有効ラインに最終停止表示させたことを意味する。かかる場合には、ステップS1707にて表示ラウンドカウンタHRCの値が1か否かを判別し、1でない場合にはステップS1708にて開放中処理を行い、本処理を終了する。一方、表示ラウンドカウンタHRCの値が1の場合には、ステップS1709にて昇格報知処理を行い、本処理を終了する。昇格報知処理では、表示制御装置62に対して送信される昇格報知コマンドを設定する等の処理を行う。表示制御装置62は、昇格報知コマンドを受信した場合、特定大当たりであることを報知する昇格演出を図柄表示装置41に表示させる処理を開始する。
【0191】
つまり、本実施の形態では、昇格フラグがセットされていない場合、すなわち第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合と、非特定大当たりであって第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合とには、1ラウンドから15ラウンドまで図柄表示装置41の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に大入賞口に入賞した遊技球数等が表示される。一方、昇格フラグがセットされている場合、すなわち特定大当たりであって第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合には、1ラウンドから14ラウンドまで図柄表示装置41の表示画面に現在のラウンド数やラウンド中に大入賞口に入賞した遊技球数等が表示され、15ラウンドすなわち最終ラウンドで図柄表示装置41の表示画面に特定大当たりであることを報知する昇格演出が表示される。したがって、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となった場合であっても、15ラウンドに昇格演出が行われることを期待させながら大当たり状態下の遊技を行わせることが可能となり、大当たり状態下の遊技が単調化することを抑制することが可能となる。なお、大当たり変動の場合にセットされた昇格フラグは上述したエンディング処理S1714にてクリアされ、外れリーチ変動の場合にセットされた昇格フラグは変動終了時にクリアされる。
【0192】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0193】
特定大当たりの場合に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されることがある構成とすることにより、仮に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示された場合であっても、大当たり状態の終了後に高確率状態へ移行する余地を残すことが可能となり、大当たり状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。
【0194】
また、特定大当たりの場合、そのときの遊技状態が高確率状態であれば、通常状態と比して高い確率で昇格抽選に当選し、第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されるよりも第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示される確率の方が高くなる構成とした。かかる構成とすることにより、大当たり状態下における満足感が減殺されることをより好適に抑制することが可能となる。
【0195】
すなわち、高確率状態下において特定大当たりとなった場合、大当たり状態の終了後に再度高確率状態へ移行することとなるが、高確率状態下において非特定大当たりとなった場合、大当たり状態の終了後に高確率状態へ移行しない。つまり、高確率状態下において非特定大当たりとなった場合、大当たり状態には移行するものの高確率状態が終了してしまうこととなる。このため、高確率状態下において非特定大当たりとなった場合には、通常状態において非特定大当たりとなった場合と比して、大当たり状態下における満足感がより減殺される可能性が懸念される。通常状態において非特定大当たりとなった場合には、通常状態から大当たり状態に移行し、その後に通常状態へ再度移行することとなるため、実際には遊技者に不利な状況が発生していない一方、高確率状態において非特定大当たりとなった場合には、高確率状態から大当たり状態に移行し、その後に通常状態へ移行することとなるため、遊技者に不利な状況が発生するからである。しかしながら、高確率状態下において特定大当たりとなった場合に、通常状態と比して第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されるよりも第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示される確率の方が高くなる本構成においては、大当たり状態の終了後に高確率状態へ再度移行する余地をより多く残すことができる。故に、高確率状態下で第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示された場合であっても、高確率状態に再度移行することを期待させつつ大当たり状態下における遊技を行わせることが可能となり、大当たり状態下における満足感が減殺されることを好適に抑制することが可能となる。
【0196】
主制御装置71側では、大当たりや最終停止表示させる図柄種別と対応した停止パターンを決定し、サブ制御装置65側では、受信した停止パターンに基づいて各図柄列Z1〜Z3の具体的な停止図柄を決定する構成とした。かかる構成とすることにより、主制御装置71の処理負荷を低減させつつ、図柄の変動表示に関するサブ制御装置65の自由度を高めることが可能となる。この結果、表示画面に表示される表示演出の多様化を図ることによって遊技の単調化を抑制することが可能となる。
【0197】
停止パターンを決定する場合に、大当たりコードが76〜125のいずれかであれば停止パターンとして「5」を取得し、その後に大当たりコードを比較値と比較することで停止パターンを「6」とするか否かを判別する構成とした。すなわち、15ラウンドの特定大当たりの場合には、先ず図柄種別として第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示される決定をし、その後に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されるよう図柄種別を変更するか否かを判別する構成とした。かかる構成とすることにより、15ラウンドの特定大当たりの場合には第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されるという前提を担保しつつ、第2特定絵柄の組み合わせが最終停止表示された場合であっても高確率状態に移行する余地を残すことが可能となる。
【0198】
停止パターン変更処理において、通常状態下と高確率状態下で値の異なる比較値をセットし、当該比較値と大当たり種別カウンタC2の値を変換した大当たりコードとを比較することで停止パターンを変更するか否かを決定する構成とした。かかる構成とすることにより、遊技状態に応じて異なる比較値を記憶させておくことで各遊技状態における停止パターンの変更される割合、すなわち昇格抽選に当選する割合を変化させることが可能となり、処理構成の簡略化を図ることが可能となる。また、かかる構成においては、予め記憶させておく判定値を変更することにより、停止パターンの変更される割合が異なる他のパチンコ機を作成することができる。故に、仕様の異なる遊技機を設計する場合の設計工数を削減することが可能となる。
【0199】
確かに、大当たりコードの各値のうち停止パターンを変更する値を通常状態と高確率状態とで個別に記憶させておく構成とすることも可能である。しかしながら、かかる構成とした場合には、通常状態下で停止パターンを変更する値として115〜125の11個、高確率状態下で停止パターンを変更する値として95〜125の31個を記憶させておく必要が生じ、データ量の増大化が懸念されることとなる。また、取得した大当たりコードがいずれの値と一致するのかを判別する必要が生じるため、処理負荷の増大化も懸念されることとなる。一方、通常状態下と高確率状態下で値の異なる比較値を記憶させておき、当該比較値と大当たりコードとを比較する構成においては、上記各懸念を好適に解消することができる。
【0200】
大当たりか否かを判別する大当たり乱数カウンタC1と、特定大当たりか否かを判別する大当たり種別カウンタC2とを別個に設け、当該大当たり種別カウンタC2の値に基づいて停止パターンを変更するか否かを判別する構成としたため、予め記憶させておくデータ量の増大化を抑制することが可能となる。例えば、1のカウンタの値を用いて大当たりか否かと特定大当たりか否かとを共に判別し、他のカウンタの値を用いて停止パターンを変更するか否かを判別する構成とした場合、通常状態下で特定大当たりとなる前記1のカウンタの値と、高確率状態下で特定大当たりとなる前記1のカウンタの値とを個別に記憶させておく必要が生じ、予め記憶させておくデータ量が増大化するからである。
【0201】
大当たり種別カウンタC2として、0〜199の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタを設ける一方、大当たり種別カウンタC2の値と大当たりコードとの対応関係が定められた大当たり停止テーブルを設け、始動入賞時に取得された0〜199のいずれかの値を1〜125のいずれかの値に変換する構成とした。かかる構成とすることにより、大当たり停止テーブルを変更することで停止パターンの変更される割合が異なる他のパチンコ機を作成することができる。また、大当たり種別カウンタの数値範囲に捉われることなく、大当たりコードと比較値との関係により停止パターンの変更される割合を設定することができる。故に、仕様の異なるパチンコ機を設計する場合の設計工数を削減することが可能となる。
【0202】
主制御装置71は、停止パターン,変動パターン及び変動表示時間を決定し、サブ制御装置65と表示制御装置62は、主制御装置71の決定結果に基づいて各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定し、図柄表示装置41における図柄の変動表示を制御する構成とした。かかる構成とすることにより、主制御装置71の処理負荷を低減させつつ図柄表示装置41における図柄の変動表示の多様化を図ることが可能となる。
【0203】
ここで、リーチ図柄(すなわち上図柄列Z1と下図柄列Z3)を停止表示させた際に表示画面に表示される中図柄列Z2の図柄と、リーチ発生後に中図柄列Z2の変動表示される変動速度とが、中図柄列Z2の停止図柄に関わらず同一のノーマルリーチ変動を有する構成においては、中図柄列Z2の停止図柄によって変動表示時間が異なることとなる。かかるノーマルリーチ変動を行うためには、中図柄列Z2の副図柄を含めた各図柄が左ラインL1に停止した場合を想定した変動表示時間を主制御装置71にて決定可能な構成とする必要があり、これに伴って各変動表示時間と対応する変動パターンコマンドを主制御装置71に記憶させる必要が生じる。このため、かかる構成においては、主制御装置71の処理負荷や予め記憶させておくデータ量が懸念され得る。
【0204】
そこで、本実施の形態では、停止パターンを示す停止パターンコマンドと、変動パターン及び変動表示時間を示す変動パターンコマンドとを主制御装置71がサブ制御装置65に対して送信し、サブ制御装置65がこれらコマンドの示す情報に基づいて各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する構成とした。かかる構成とすることにより、主制御装置71では、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する処理が不要となるとともに、各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を示す停止図柄コマンドが不要となる。この結果、主制御装置71の処理負荷を低減させるとともに、予め記憶させるデータ量の低減を図りつつコマンド構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0205】
主制御装置71を、「3,4,1」図柄の組み合わせを最終停止表示させる(2ラウンドの特定大当たりが発生する)場合には停止パターン「4」を示す停止パターンコマンドを出力し、第1特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる(15ラウンドの特定大当たりが発生する)場合には停止パターン「5」を示す停止パターンコマンドを出力する構成とした。これに加えて、第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に、非特定大当たりであれば停止パターン「3」を示す停止パターンコマンドを出力し、特定大当たりであれば停止パターン「6」を示す停止パターンコマンドを出力する構成とした。このように、最終停止表示させる図柄の組み合わせに応じて異なるとともに、第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合には大当たり種別によって異なる停止パターンコマンドを出力する構成とすることにより、予め記憶させるデータ量の低減を図りつつコマンド構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0206】
確かに、第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に、大当たり種別に関わらず停止パターン「3」を示す停止パターンコマンドを出力する構成とすることも可能である。しかしながら、かかる構成においては、停止パターン「3」を示す停止パターンコマンドが出力された場合、サブ制御装置65側にて大当たり種別を把握することができない。このため、大当たり状態下で昇格演出を行ったり高確率状態と対応した表示演出を行ったりするためには、例えば主制御装置71側から大当たり種別を示す大当たり種別コマンド等の停止パターンコマンドと別個のコマンドを出力する必要が生じ、予め記憶させるデータ量の増大化が懸念される。一方、最終停止表示させる図柄の組み合わせに応じて異なるとともに、第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合には大当たり種別によって異なる停止パターンコマンドを出力する本構成においては、停止パターンコマンドを通じてサブ制御装置65側にて大当たり種別を把握することができ、上記懸念を解消することができる。
【0207】
外れ用変動表示テーブルと、特定大当たり用変動表示テーブルと、非特定大当たり用変動表示テーブルとの各変動表示テーブルにおいて、完全外れ変動の場合に参照される変動表示テーブルと、ノーマルリーチ変動の場合に参照される変動表示テーブルと、スーパーリーチ変動の場合に参照される変動表示テーブルと、の各テーブル間で変動表示時間が重複しないように変動表示時間を規定した。かかる構成とすることにより、サブ制御装置65は、変動パターンコマンドの示す変動表示時間を通じて行うべき変動パターンを把握することができる。つまり、サブ制御装置65は、変動表示時間を示すコマンドとは別の変動パターンを示すコマンドを受信せずとも変動パターンを把握することができる。故に、予め記憶させるデータ量の低減を図りつつコマンド構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0208】
停止パターンが「3」の場合と停止パターンが「6」の場合、すなわち非特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合と、特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合とにおいて、非特定大当たり用変動表示テーブルを参照して変動表示時間を決定する構成とした。かかる構成とすることにより、特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させると決定した場合のための変動表示テーブルや変動表示時間コマンドが不要となり、主制御装置71に記憶させておくデータ量の低減を図ることが可能となる。さらにいうと、かかる構成においては、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示される場合にいずれの特定大当たりであっても変動表示時間に差異が生じないため、遊技者が変動表示時間の長短を通じて大当たり種別を把握することができない。この結果、高確率状態に再度移行することを期待させつつ大当たり状態下における遊技を行わせることが可能となり、大当たり状態下における満足感が減殺されることを好適に抑制することが可能となる。
【0209】
主制御装置71から送信された停止パターンコマンドと変動パターンコマンドが、第1特定図柄の組み合わせを左ラインL1又は右ラインL3に最終停止表示させるノーマルリーチ変動を行うことを示すものであった場合に、サブ制御装置65が第2特定図柄の組み合わせを右ラインL3又は左ラインL1に最終停止表示させるようリーチ図柄を変更可能な構成とすることにより、変動表示時間の経過タイミングと各図柄列Z1〜Z3を最終停止表示させるタイミングとの調和が損なわれることを回避することができる。最終停止図柄列たる中図柄列Z2の停止図柄を変更しないため、各図柄列Z1〜Z3を最終停止表示させるまでに要する変動表示時間が変化しないからである。故に、主制御装置71が変動パターンや変動表示時間を決定する構成において、図柄の変動表示に関するサブ制御装置65の自由度を高めることが可能となり、表示画面に表示される表示演出の多様化を図ることによって遊技の単調化を抑制することが可能となる。
【0210】
このように、中図柄列Z2の停止図柄によって変動表示時間が変化する構成、すなわち、最後に変動表示が終了する最終停止図柄列の停止図柄と変動表示時間とが対応付けられている構成においては、最終停止図柄列の停止図柄をサブ制御装置65側で変更すると、変動表示時間の経過タイミングと各図柄列を最終停止表示させるタイミングとの調和が損なわれることとなる。確かに、図柄の変動速度を変更したり図柄の差し替えを行ったりすれば、変動表示時間の経過タイミングと各図柄列を最終停止表示させるタイミングとの調和が損なわれることを回避できる。しかしながら、例えばノーマルリーチ変動で図柄の変動速度を変更する構成とした場合、図柄の変動速度が変更されるノーマルリーチ変動と変更されないノーマルリーチ変動が混在することとなり、遊技者が違和感を抱く可能性が懸念される。また、図柄の変動速度が変更されれば昇格演出が行われるということを遊技者に察知されてしまう可能性も懸念される。一方、本実施の形態では、最終停止図柄列の第1特定図柄と第2特定図柄が共に表示画面に最終停止表示される機会が生じるよう図柄列毎に3個の図柄が停止表示される構成とし、その各停止位置を有効ラインとしたため、最終停止図柄列の停止図柄を変更することなく、最終停止表示させる大当たり図柄の組み合わせをサブ制御装置65側で変更することができる。故に、図柄の変動速度を変更したり図柄の差し替えを行ったりすることなく、変動表示時間の経過タイミングと各図柄列を最終停止表示させるタイミングとの調和が損なわれることを回避できる。以上の結果、最後に変動表示が終了する最終停止図柄列の停止図柄と変動表示時間とが対応付けられている構成においても、各図柄列の変動表示に関するサブ制御装置の自由度を高めることが可能となる。
【0211】
表示モードとして昇格演出抽選の当選確率が異なる3種類の表示モードを設定すると共に、第1膨出部16の前面側に選択スイッチ24を設けて遊技者が表示モードを変更可能な構成とすることにより、遊技者に好みの表示モードを選択させることが可能となる。すなわち、昇格演出よりも最終停止表示される図柄の組み合わせによって特定大当たりか否かを判別したい遊技者であれば第1表示モードを選択すればよく、昇格演出によって特定大当たりか否かを判別したい遊技者であれば第3表示モードを選択すればよく、いずれの遊技性も楽しみたい遊技者であれば第2表示モードを選択すればよいからである。故に、遊技の単調化を好適に抑制することが可能となる。
【0212】
選択スイッチ24をサブ制御装置65と電気的に接続すると共に主制御装置71と電気的に非接続とすることにより、サブ制御装置65が主制御装置71から独立して表示モードを管理することが可能となり、主制御装置71の処理負荷を増大化させることなく遊技の単調化を抑制することが可能となる。また、選択スイッチ24を主制御装置71と電気的に非接続とすることにより、主制御装置71に対して遊技機外部から不正な信号が入力されることを防止することも可能となる。
【0213】
本実施の形態では、主制御装置71側で停止パターンを変更するか否か、すなわち昇格演出を行うか否かを決定するのみならず、サブ制御装置65でも昇格演出を行うか否かを決定する構成としている。そして、15ラウンドの特定大当たりが発生する場合に昇格演出を行うと決定する割合は、通常状態下において、第1表示モードでは約4.5分の1、第2表示モードでは約2.6分の1、第3表示モードでは約1.6分の1であり、高確率状態下において、第1表示モードでは約1.6分の1、第2表示モードでは約1.4分の1、第3表示モードでは約1.2分の1である。このように、表示モードを複数設定すると共に表示モードの管理をサブ制御装置65が独自に行う構成とすることにより、主制御装置71の処理負荷を増大化させることなくサブ制御装置65側で昇格演出の行われる割合を変化させることができる。この結果、表示演出の多様化を図ることが可能となり、遊技の単調化を抑制することができる。
【0214】
ノーマルリーチ変動の場合、中図柄列Z2は、リーチ発生タイミングで「1」図柄が中ラインL2を通過するように変動表示され、その後は一定速度(本実施の形態では、0.5秒で1図柄分の変動表示が行われる速度)で変動表示される。したがって、ノーマルリーチ変動の場合には、中図柄列Z2の左ラインL1に停止する図柄に応じて変動表示時間が異なることとなる。ここで、仮にサブ制御装置65側で左ラインL1に最終停止表示させる各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更した場合、主制御装置71が決定した変動表示時間内に変動表示を終了させることができない、或いは、各図柄列Z1〜Z3の変動表示が既に終了しているにも関わらず変動表示時間を経過していないために次回の変動表示を開始させることができないといった不具合が生じ得る。例えば、主制御装置71が左ラインL1に「7」図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止パターンコマンドと変動表示時間コマンドを出力した場合、サブ制御装置65側で左ラインL1に「8」図柄の組み合わせを最終停止表示させるよう各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更すると、変動表示時間内に図柄の変動表示を終了させることができない。また、主制御装置71が左ラインL1に「7」図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止パターンコマンドと変動表示時間コマンドを出力した場合、サブ制御装置65側で左ラインL1に「6」図柄の組み合わせを最終停止表示させるよう各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更すると、変動表示時間の経過タイミングより1秒早く図柄の変動表示が終了することとなる。ところが、複数の有効ラインが設定されており、中図柄列Z2の第1特定図柄を左ラインL1(右ラインL3)に停止させた場合に右ラインL3(左ラインL1)に第2特定図柄が停止する本構成においては、リーチ図柄のみを変更すれば第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させることができ、変動表示時間の経過タイミングで各図柄列Z1〜Z3の変動表示を終了させることができる。故に、最終停止表示される各図柄列Z1〜Z3の停止図柄によって変動表示時間が変化するパチンコ機10において、変動表示時間の経過タイミングと各図柄列Z1〜Z3を最終停止表示させるタイミングとの調和が損なわれることを回避しつつ、各図柄列Z1〜Z3の変動表示に関するサブ制御装置65の自由度を高めることが可能となる。
【0215】
昇格演出抽選に当選した場合、サブ制御装置65では大当たり変動の場合のみならず外れリーチ変動の場合にもリーチ図柄を変更する構成とした。主制御装置71が左ラインL1(右ラインL3)に第1特定図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止パターンコマンドと変動表示時間コマンドを出力した場合にサブ制御装置65が右ラインL3(左ラインL1)に第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させるようリーチ図柄を変更することが可能な構成とした場合、左ラインL1(右ラインL3)に第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となる機会が低下することとなり、右ラインL3(左ラインL1)に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となる機会が増加することとなる。したがって、第1特定図柄による左ラインL1(右ラインL3)でのリーチと第2特定図柄による右ラインL3(左ラインL1)でのリーチとを同じ頻度で行った場合、第1特定図柄による左ラインL1(右ラインL3)でのリーチから大当たり発生となる割合が低下し、第2特定図柄による右ラインL3(左ラインL1)でのリーチから大当たり発生となる割合が増加することとなる。これは、リーチ発生となった際のリーチ図柄及びリーチラインによって大当たり発生となる期待値が変動することに繋がる。そこで、外れリーチ変動の場合にもリーチ図柄を変更する構成とすることにより、上述した期待値の変動を抑制することが可能となり、いずれの有効ラインでどの図柄によるリーチが発生した場合であっても大当たり発生への期待を抱かせることが可能となる。
【0216】
また、サブ制御装置65に加えて主制御装置71でも停止パターンを変更する本パチンコ機10においては、第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となる機会がより低下することとなり、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となる機会がより増加することとなる。したがって、サブ制御装置65では、大当たり変動の場合よりも外れリーチ変動の場合の方が昇格演出抽選に当選する割合が高くなる構成とするとともに、外れリーチ変動では通常状態より高確率状態の方が昇格演出抽選に当選する割合が高くなる構成とし、さらには、大当たり変動の場合において停止パターンが変更される割合も含めた昇格演出に当選する割合と、外れリーチ変動において昇格演出抽選に当選する割合とが等しくなる構成とした。これらの構成からも、上述した期待値の変動を抑制することが可能となり、いずれの有効ラインでどの図柄によるリーチが発生した場合であっても大当たり発生への期待を抱かせることが可能となる。
【0217】
大当たり発生の有無に関わらずノーマルリーチ用図柄テーブルを参照してリーチ図柄を変更する構成とすることにより、複数種類の第2特定図柄と第1特定図柄を変動表示させる構成において、所定の第2特定図柄によるリーチが他の第2特定図柄によるリーチと比して大当たり発生となる機会が増加したり、或いは低下したりすることを抑制することが可能となる。故に、いずれの有効ラインでどの図柄によるリーチが発生した場合であっても大当たり発生への期待を抱かせることが可能となる。
【0218】
主制御装置71において停止パターンの変更、すなわち昇格演出の抽選を行う構成としたため、いずれの有効ラインに第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示された場合であっても大当たり状態の終了後に高確率状態に移行することを期待させることが可能となり、遊技の単調化を好適に抑制することが可能となる。すなわち、主制御装置71が、停止パターン「5」を示す停止パターンコマンドを出力するとともに、中図柄列Z2の第1特定図柄が中ラインL2に最終停止表示されるノーマルリーチ変動を示す変動パターンコマンドを出力した場合、第1特定図柄の組み合わせを中ラインL2,右下がりラインL4,右上がりラインL5のいずれかに最終停止表示させることを意味し、サブ制御装置65側で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させるよう停止図柄を変更することができない。かかる状況下では中図柄列Z2の第2特定図柄がいずれの有効ラインにも停止表示されないため、リーチ図柄の変更のみならず中図柄列Z2の停止図柄も変更する必要があり、これは変動表示時間が変化することに繋がるからである。また、主制御装置71側で停止パターンの変更を行わない構成とした場合、ノーマルリーチ変動で上記各有効ラインL2,L4,L5に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されると高確率状態に移行する余地が残らないこととなる。そこで、主制御装置71側でも特定大当たりの場合に第2特定図柄の組み合わせがいずれかの有効ラインに最終停止表示されるよう停止パターンを変更可能な構成とすることにより、いずれの有効ラインに第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示された場合であっても大当たり状態の終了後に高確率状態に移行することを期待させることが可能となり、大当たり状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。
【0219】
特定大当たりであって第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させた場合、大当たり状態下で特定大当たりであることを報知する昇格演出を行う構成とすることにより、仮に第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり状態に移行した場合であっても、昇格演出が行われることを期待させながら大当たり状態下における遊技を行わせることが可能となる。この結果、大当たり状態下における満足感が減殺されることを抑制することが可能となる。また、遊技者が大当たり状態の終了後に高確率状態へ移行しないと誤解して遊技を終了してしまう不具合を回避することも可能となる。
【0220】
上図柄列Z1には主図柄を降順に配列すると共に、中図柄列Z2と下図柄列Z3には主図柄を昇順に配列する構成とすることにより、複数の有効ラインを設定した本実施の形態において、いずれかの有効ラインに第1特定図柄の組み合わせが最終停止表示され、他の有効ラインに第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて遊技者が困惑する等の不具合が発生することを回避することが可能となる。また、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄の間に「4」図柄を配置することにより、中図柄列Z2を特定図柄と第2特定図柄が交互に等間隔に配列された図柄配列とすることができ、左ラインL1(右ラインL3)に第1特定図柄を停止表示させた際に右ラインL3(左ラインL1)に第2特定図柄を停止表示させることができる。故に、サブ制御装置65側でリーチ図柄を変更することができる機会を高めることが可能となり、各図柄列Z1〜Z3の変動表示に関するサブ制御装置65の自由度を高めることが可能となる。
【0221】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0222】
(1)上記実施の形態では、主制御装置71が停止パターンの変更すなわち昇格演出抽選を行うのみならず、サブ制御装置65も昇格演出抽選を行う構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、主制御装置71のみが昇格演出抽選を行う構成としても良い。また、サブ制御装置65のみが昇格演出抽選を行う構成としても良い。ちなみに、サブ制御装置65のみが昇格演出抽選を行う構成とした場合には、サブ制御装置65のリーチ演出時処理が絵柄種別決定手段に相当する。
【0223】
(2)上記実施の形態では、停止パターン変更処理において、通常状態下であれば50分の11の確率で停止パターンを変更し、高確率状態下であれば50分の31の確率で停止パターンを変更する構成としたが、通常状態下より高確率状態下の方が停止パターンの変更確率が高くなる構成であれば良く、その変更確率は任意である。したがって、通常状態下では停止パターンを変更せず、高確率状態下では50分の50の確率で停止パターンを変更する構成としても良い。
【0224】
(3)上記実施の形態における変動パターン設定処理では、大当たり種別テーブルを参照して先ず停止パターンを取得し、その後に大当たりコードと比較値を比較することで停止パターンを変更する構成とした。すなわち、15ラウンドの特定大当たりの場合には、第1特定図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止パターン「5」を先ず取得し、その後に第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させることを示す停止パターン「6」に変更するか否かを決定する構成とした。かかる構成を変更する。
【0225】
例えば、通常状態であれば、大当たりコードが1〜50の場合には停止パターン「3」を取得し、大当たりコードが51〜75の場合には停止パターン「4」を取得し、大当たりコードが76〜114の場合には停止パターン「5」を取得し、大当たりコードが115〜125の場合には停止パターン「6」を取得する構成とする。同様に、高確率状態であれば、大当たりコードが1〜50の場合には停止パターン「3」を取得し、大当たりコードが51〜75の場合には停止パターン「4」を取得し、大当たりコードが76〜94の場合には停止パターン「5」を取得し、大当たりコードが95〜125の場合には停止パターン「6」を取得する構成とする。
【0226】
或いは、大当たり種別カウンタC2と別個に停止パターンを決定するための停止パターン種別カウンタを設け、15ラウンドの特定大当たりが発生する場合には前記停止パターン種別カウンタの値を用いて停止パターン決定抽選を行う構成とする。
【0227】
以上の通り、停止パターンを「5」から「6」に変更するのではなく、大当たりコードと対応する停止パターンを直接取得する構成、換言すれば、第1特定図柄の組み合わせを最終停止表示させるという決定結果から第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させるという決定結果に変更するのではなく、大当たりコードと対応する特定図柄の組み合わせに決定する構成としても良い。
【0228】
(4)上記実施の形態における停止パターン変更処理では、大当たりコードが比較値より小さくないと判定した場合、停止パターンに1加算して停止パターンを変更する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、大当たり種別テーブルの対応関係を調整し、停止パターンから1減算して停止パターンを変更する構成としても良い。
【0229】
(5)上記実施の形態では、大当たり停止テーブルを用いて0〜199のいずれかである大当たり種別カウンタC2の値を1〜125のいずれかの値に変換し、この変換した値と比較値とを比較する構成としたが、大当たり種別カウンタC2の値と比較値とを直接比較する構成としても良いことは言うまでもない。
【0230】
(6)上記実施の形態では、2ラウンドの特定大当たりが発生する場合と、15ラウンドの特定大当たりが発生する場合とで異なる停止パターンを取得する構成としたが、同じ停止パターンを取得する構成としても良い。但し、かかる構成とした場合には、停止パターンコマンドを通じてサブ制御装置65側でいずれの特定大当たりが発生するのかを把握できないため、例えばいずれの特定大当たりが発生するのかを示す大当たり種別コマンド等を主制御装置71がサブ制御装置65に対して出力する必要が生じる。
【0231】
(7)上記実施の形態では、停止パターンによって最終停止表示させる図柄の種別を主制御装置71が決定し、サブ制御装置65が各図柄列Z1〜Z3の具体的な停止図柄を決定する構成としたが、主制御装置71が各図柄列Z1〜Z3の具体的な停止図柄を決定する構成としても良い。但し、かかる構成とした場合には、主制御装置71の処理負荷が増大化することや主制御装置71に予め記憶させるデータ量の増大化が懸念されることとなる。
【0232】
(8)上記実施の形態では、特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に、非特定大当たり用変動表示テーブルを参照して変動表示時間を取得する構成としたが、特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させる場合に用いる変動表示テーブルを新たに設け、当該変動表示テーブルを参照して変動表示時間を取得する構成としても良い。但し、かかる構成とした場合には、主制御装置71の処理負荷が増大化することや主制御装置71に予め記憶させるデータ量の増大化が懸念されることとなる。
【0233】
(9)上記実施の形態では、変動表示時間テーブルを参照して変動表示時間を取得する構成としたが、かかる構成を変更する。例えば、ノーマルリーチ変動を行うと決定した場合には主制御装置71側で少なくとも中図柄列Z2の停止図柄を決定する構成とし、当該決定結果から変動表示時間を導出する構成とする。かかる構成とした場合であっても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0234】
(10)完全外れ変動の場合に参照する変動表示テーブルと、スーパーリーチ変動の場合に参照する変動表示テーブルについては、停止パターンの値に関わらず同じ変動表示テーブルを参照する構成としても良い。これらの変動パターンにおいては中図柄列Z2の停止図柄と変動表示時間が一義的に対応していないため、かかる構成とした場合であっても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0235】
(11)上記実施の形態では、表示モードを3種類備えると共に表示モード毎に昇格演出抽選の当選確率が異なる構成について説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、表示モードを2種類備える構成としてもよいし、4種類以上の表示モードを有する構成としてもよい。或いは、表示モードを有さない、すなわち表示モードを変更することができない構成としてもよい。これら構成においても、サブ制御装置65がリーチ図柄を変更可能な構成とすれば上記実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
【0236】
(12)上記実施の形態では、選択スイッチ24を第1膨出部16の前面側に設けて遊技者により操作可能な構成としたが、例えば遊技盤15の背面側に設けて遊技場の管理者等が表示モードを選択可能な構成としてもよい。或いは、選択スイッチ24を設けずサブ制御装置65が独自にいずれかの表示モードを設定する構成としてもよい。サブ制御装置65が独自にいずれかの表示モードを設定する構成として、例えば所定回の遊技が行われる毎に表示モードを変更したり、大当たり状態の終了後に表示モードを変更したりする構成が考えられる。
【0237】
(13)上記実施の形態における昇格演出処理では、大当たり変動のみならず外れリーチ変動の場合にも昇格演出抽選に当選するとリーチ図柄を変更する構成としたが、外れリーチ変動の場合にはリーチ図柄を変更しない構成としてもよい。但し、かかる構成とした場合には、左ラインL1や右ラインL3で第1特定図柄によるリーチが発生した際に大当たり発生となる期待値が低下することとなり、逆にこれら有効ラインL1,L3で第2特定図柄によるリーチが発生した際に大当たり発生となる期待値が上昇することとなる。なお、外れリーチ変動の場合に限って昇格演出抽選を行う構成としても良いことは言うまでもない。
【0238】
(14)上記実施の形態における昇格演出処理では、大当たり変動の場合よりも外れリーチ変動の場合の方が昇格演出抽選に当選する割合が高くなる構成とするとともに、外れリーチ変動では通常状態より高確率状態の方が昇格演出抽選に当選する割合が高くなる構成とし、さらには、大当たり変動の場合において停止パターンが変更される割合も含めた昇格演出に当選する割合と、外れリーチ変動において昇格演出抽選に当選する割合とが等しくなる構成としたが、これら構成に限定されるものでないことは言うまでもない。したがって、外れリーチ変動では通常状態と高確率状態とで昇格演出抽選に当選する割合が等しい構成としても良い。また、大当たり変動の場合において停止パターンが変更される割合も含めた昇格演出に当選する割合と、外れリーチ変動において昇格演出抽選に当選する割合とが異なる構成としても良い。
【0239】
(15)上記実施の形態における昇格演出処理では、ノーマルリーチ変動の場合には上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄(リーチ図柄)を変更し、スーパーリーチ変動の場合には全図柄列Z1〜Z3の停止図柄を変更する構成としたが、リーチ発生となった以降に最終停止図柄列の速度を変更させない、すなわち最終停止図柄列の図柄の書き換えを行わないスーパーリーチ変動であれば、上図柄列Z1と下図柄列Z3の停止図柄(リーチ図柄)のみを変更すればよい。
【0240】
(16)上記実施の形態では、大当たり状態に移行すると大入賞口が合計2回又は15回開閉される構成について説明したが、必ず15回開閉される構成としても良いし、開閉される回数についても任意である。また、昇格演出を行うタイミングも最終ラウンドたる15ラウンド目に限定されるものではなく、1ラウンド目に行ってもよいし7ラウンド目に行ってもよい。また、複数のラウンドで昇格演出を行う構成としてもよいし、エンディング画面を表示するタイミングで昇格演出を行う構成としてもよい。さらには、大当たり状態が終了して図柄の変動表示が開始された際や所定回数(例えば4回)の遊技が行われた際に現在の遊技状態が高確率状態であることを報知する構成としてもよい。
【0241】
(17)上記実施の形態では、昇格フラグがセットされた場合にのみ昇格演出を行う構成としたが、かかる構成を変更する。すなわち、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示された場合には、特定大当たりであったか否かを報知する昇格チャレンジ演出を行う構成とする。昇格チャレンジ演出として、例えば大当たり発生となった際の第2特定図柄の組み合わせを大当たり状態下で表示画面に再度表示すると共に、この第2特定図柄の組み合わせを一斉に再変動させる。そして、特定大当たりである場合には第1特定図柄の組み合わせを停止表示させて特定大当たりであったことを報知し、非特定大当たりである場合には先に表示した第2特定図柄の組み合わせを再度停止表示させて特定大当たりでないことを報知する。かかる構成とすれば、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となった際に、昇格チャレンジ演出で第1特定図柄の組み合わせが停止表示されることを期待させながら大当たり状態下における遊技を行わせることが可能となり、遊技の単調化を好適に抑制することが可能となる。なお、大当たり発生となった遊技回の表示モードに応じて昇格チャレンジ演出を行う確率を変化させる構成としても良いことは言うまでもない。
【0242】
(18)上記実施の形態では、特定大当たり下で第2特定図柄の組み合わせを最終停止表示させた場合、大当たり状態下で特定大当たりであったことを報知する昇格演出を行う構成としたが、昇格演出を行わずともよい。つまり、昇格演出抽選に当選した場合、特定大当たりであったことを報知することなく大当たり状態の終了後に高確率状態に移行させる。かかる構成とすれば、第2特定図柄の組み合わせが最終停止表示されて大当たり発生となった場合に、大当たり状態終了後に高確率状態に移行していることを期待させながら遊技を行わせることが可能となる。
【0243】
(19)上記実施の形態では、特定大当たりであることを報知する昇格演出を行う構成としたが、大当たり状態の終了後に高確率状態に移行することを報知する昇格演出を行ってもよいことは言うまでもない。
【0244】
(20)上記実施の形態では、各図柄列Z1〜Z3の図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される構成について説明したが、上下方向にスクロールされるようにして変動表示される構成としてもよいことは言うまでもない。また、3つの図柄列が変動表示される構成に限らず、2つの図柄列が変動表示される構成や4つ以上の図柄列が変動表示される構成としてもよい。
【0245】
さらにいうと、5つの図柄列の図柄が所定方向にスクロールされるようにして変動表示されると共に、1つの図柄列あたり3個の図柄が表示画面に停止表示される構成とし、そのうち3つの図柄列の図柄によって特定の図柄の組み合わせが形成された場合に大当たり発生となる構成としてもよい。かかる構成においては、両端2つの図柄列の変動表示を先ず停止させ、その後に内側2つの図柄列の変動表示を停止させ、最後に中央の図柄列の変動表示を停止させるようにする。かかる場合、上記各実施の形態と同様な3×3の図柄列の変動表示が3パターン行われることとなり、中央の図柄列の停止図柄によって変動表示時間が変化することとなるため、中央の図柄列以外の停止図柄(リーチ図柄)を変更する構成とすれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0246】
(21)上記実施の形態では、上図柄列Z1の主図柄を降順に配列すると共に中図柄列Z2と下図柄列Z3の主図柄を昇順に配列する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、上図柄列Z1と下図柄列Z3の主図柄を降順に配列すると共に中図柄列Z2の主図柄を昇順に配列する構成としてもよい。つまり、少なくとも1つの図柄列における主図柄の配列が他の図柄列に対して逆順となる図柄配列であればよい。
【0247】
また、中図柄列Z2の「9」図柄と「1」図柄の間に「4」図柄を配さずともよいし、第1特定図柄と第2特定図柄が交互に配列された構成とせずともよい。さらには、第1特定図柄と第2特定図柄の間に副図柄が配されていない構成としてもよい。
【0248】
(22)上記実施の形態では、変動表示時間を経過したタイミングで主制御装置71がサブ制御装置65に対して変動終了コマンドを出力する構成としたが、変動終了コマンドを出力せずともよい。変動表示時間を示す変動パターンコマンドを出力する構成においてはサブ制御装置65が変動表示時間を把握することができるため、変動終了コマンドを出力せずとも主制御装置71が決定した変動表示時間の経過タイミングと図柄の変動表示終了タイミングとの調和を図ることができるからである。
【0249】
(23)上記実施の形態では、リーチ種別としてノーマルリーチ変動とスーパーリーチ変動の2種類を備える構成について説明したが、リーチ種別を1種類のみ備える、すなわちノーマルリーチ変動のみを備える構成に適用してもよい。また、上記実施の形態では、ノーマルリーチ変動において最終停止図柄列たる中図柄列Z2の停止図柄と変動表示時間が対応する構成としたが、これに代えて又は加えて、完全外れ変動において最終停止図柄列たる中図柄列Z2の停止図柄と変動表示時間が対応する構成としても良い。
【0250】
(24)上記実施の形態では、大当たり抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2とを個別に設けたが、大当たり種別カウンタC2を設けずともよい。すなわち、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて当たり外れの判定と特定大当たりか非特定大当たりかの判定を行う。
【0251】
例えば、上記実施の形態において、通常状態下で大当たりとなる乱数の値は「337,673」の2つである。そこで、先ず大当たり乱数カウンタC1の値が「337,673」のいずれかであれば当たりと判定し、その後に再度大当たり乱数カウンタC1の値を確認し、「337」であれば特定大当たりと判定し、「673」であれば非特定大当たりと判定する構成とする。
【0252】
または、「337」であれば特定大当たりと判定し、「673」であれば非特定大当たりと判定し、それ以外の値であれば外れと判定する構成とする。つまり、当たり外れの判定と当たり種別の判定とを1つの処理で行ってもよい。
【0253】
但し、これら構成においては、停止パターンを決定する際に用いるカウンタが新たに必要となる。
【0254】
(25)上記実施の形態では、図柄を変動表示させるにあたり、停止パターンコマンド→変動パターンコマンドの順で通常処理の都度1つずつコマンドを出力し、変動表示時間を経過したタイミングで変動終了コマンドを出力する構成としたが、変動パターンコマンド→停止パターンコマンドの順で通常処理の都度1つずつコマンドを出力する構成としても良い。
【0255】
(26)上記実施の形態では、特定大当たりが発生すると特別遊技状態としての大当たり状態に移行し、その後、特定遊技状態としての高確率状態に移行するパチンコ機について説明したが、特定遊技状態として高確率状態以外の遊技状態に移行する構成であってもよい。例えば、特別遊技状態として8ラウンドの大入賞口開閉が行われる大当たり状態に移行し、その後、特定遊技状態として7ラウンドの大入賞口開閉が行われる第2大当たり状態に移行する構成とする。つまり、特定大当たりと非特定大当たりとで大入賞口の開閉回数が異なるパチンコ機であってもよい。または、特定遊技状態として、大当たり確率はアップしないものの、役物ランプ部の切り替え表示時間が短縮されたり、作動口装置35に付随的に設けられた電動役物の開放時間や開放回数がアップされたりする役物高確率状態に移行する構成であってもよい。
【0256】
さらにいうと、特定遊技状態として、特定大当たりの場合と非特定大当たりの場合とで遊技者の有利度合いが異なる遊技状態に移行する構成としてもよい。例えば、特定大当たりの場合には高確率状態に移行し、非特定大当たりの場合には高確率状態に移行しないものの所定回数の変動表示が行われるまで役物高確率状態に移行する構成としてもよい。または、特定大当たりの場合には図柄の変動表示が100回行われるまで高確率状態に移行し、非特定大当たりの場合には図柄の変動表示が30回行われるまで高確率状態に移行する構成としてもよい。或いは、特定大当たりの場合には図柄の変動表示が100回行われるまで通常遊技状態より当選確率が10倍アップする高確率状態に移行し、非特定大当たりの場合には図柄の変動表示が100回行われるまで通常遊技状態より当選確率が2倍アップする高確率状態に移行する構成としてもよい。役物高確率状態が継続する遊技回数が特定大当たりと非特定大当たりで異なる構成としてもよいことは言うまでもなく、これらを組み合わせてもよいことも言うまでもない。
【0257】
以上のとおり、非特定当たりの場合には通常遊技状態より遊技者に有利な第1遊技状態に移行し、特定当たりの場合には非特定当たりの場合(第1遊技状態)より遊技者に有利な第2遊技状態に移行する構成であればよい。
【0258】
(27)上記実施の形態では、主制御装置71において、図柄の変動パターンと最終停止表示させる図柄の種別、変動表示時間を決定する構成としたが、これを変更しても良い。例えば、主制御装置71では変動表示時間のみを決定する構成とする。そして、サブ制御装置65が変動表示時間内で行うことが可能な変動パターンと各図柄列Z1〜Z3の停止図柄を決定する構成とする。
【0259】
(28)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等に適用しても良いことは言うまでもない。例えば、作動口を遊技球が通過したことを契機として第1抽選を行い、この第1抽選に当選すると特別装置が所定の開放状態となり、特別装置の特定領域に遊技球が入ると大当たり発生となるタイプのパチンコ機に適用しても良い。また、遊技者に払い出すべき賞球を仮想遊技媒体として貯留記憶する貯留記憶手段を備えたパチンコ機に適用しても良い。
【符号の説明】
【0260】
10…遊技機としてのパチンコ機、11…外枠、12…本体枠、13…前扉枠、15…遊技盤、34…可変入球装置としての可変入賞装置、35…作動口装置、37…可変表示ユニット、41…絵柄表示装置としての図柄表示装置、43…識別情報表示部、44…役物ランプ部、62…従制御手段としての表示制御装置、65…待機変動表示手段を備えるとともに従制御手段としてのサブ制御装置、71…判定手段,絵柄種別決定手段等を備える主制御装置、102…判定値記憶手段等を備えるROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上にて絵柄を変動表示させる絵柄表示装置と、
所定の判定を行う判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記絵柄を最終停止表示させるまでの変動表示時間を決定する変動表示時間決定手段と、
前記判定手段の判定結果が第1結果又は第2結果であって、前記変動表示時間決定手段の決定した変動表示時間を経過した場合、遊技状態を通常状態より遊技者に有利な特別遊技状態に移行させる特別遊技状態移行手段と、
前記判定手段の判定結果が前記第1結果である場合、前記特別遊技状態の終了後に、前記判定手段の判定結果が前記第2結果である場合より遊技者に有利な特定遊技状態に移行させる特定遊技状態移行手段と
を備えた遊技機において、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記表示画面上に最終停止表示させる絵柄種別を決定する絵柄種別決定手段を備え、
前記絵柄種別決定手段は、
前記判定手段の判定結果が前記第1結果である場合、前記絵柄種別を第1絵柄又は第2絵柄と決定する第1決定手段と、
前記判定手段の判定結果が前記第2結果である場合、前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定する第2決定手段と
を備え、
前記第1決定手段は、遊技状態が前記特定遊技状態である場合、遊技状態が前記特定遊技状態でない場合と比して高い割合で前記絵柄種別を前記第2絵柄と決定することを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−223613(P2012−223613A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161092(P2012−161092)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2007−90710(P2007−90710)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】