説明

遊技機

【課題】 従来より可動部分の動作による演出の趣向性が高い遊技機を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のパチンコ遊技機10によれば、駆動回転部材60に設けられて駆動回転支軸72を中心に一体回転可能な駆動歯車60A,60B,60C,60Dが、従動回転支軸73を中心に別々に回転可能な従動回転部材61,62,63,64の各従動歯車61G,62G,63G,64Gと噛合している。そして、駆動歯車60A,60B,60C,60Dの径が異なっているので、モータ59にて駆動回転部材60を回転すると、それに伴って従動回転部材61,62,63,64が互いに異なる回転速度で回転する。これにより、従動回転部材61,62,63,64全体の形状が連続的に変化していくという趣向性の高い演出を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の従動部材を1つの駆動手段で駆動して遊技の演出を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、例えば、第1〜第5の従動部材を同一の回転支軸に重ねて組み付け、扇子機構としたものが知られている。この扇子機構では、最も手前に位置した第1の従動部材のみがモータの出力軸にギヤ連結され、第2〜第4の従動部材には、手前隣の従動部材に係止可能な係止突部が備えられている。そして、通常は、モータによって第1の従動部材が回転支持軸から水平横方向に延びた水平姿勢に保持されかつ、第2〜第5の各従動部材が係止突部をそれぞれ手前隣の従動部材に係止させることで、全ての従動部材が重なり合って回転支持軸から水平横方向に延びた折畳状態になっている。この折畳状態からモータの駆動により第1の従動部材を下方に向けて回動すると、その回動角が所定角の倍数に達する度に、第5の従動部材、第4の従動部材、・・・と順次取り残されるように停止して、第1〜第5の従動部材が所定角ずつずれた展開状態になる。また、モータの駆動により第1の従動部材を上方に向けて回動すると、その回動角が所定角の倍数に達する度に、第2の従動部材、第3の従動部材、・・・と順次第1の従動部材と重なってから第1の従動部材と一体に回動して、折畳状態に戻る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−304953号公報(請求項1,4、図7〜13,18)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の遊技機では、複数の従動部材の回転速度は同一であり、複数の従動部材の間で単に回動の開始又は停止のタイミングがずらされるだけであるので、段階的な動作の演出しか行うことができなかった。即ち、従来の遊技機では、複数の従動部材が異なる速度で移動して連続的に可動部分の形状が変化していくような趣向性の高い演出を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より可動部分の動作による演出の趣向性が高い遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、ベース部材に対して第1回転軸を中心に回転可能な駆動回転部材と、1つの駆動回転部材に対して複数設けられ、第2回転軸を中心にベース部材に対して別々に回転可能に支持された複数の従動回転部材と、複数の従動回転部材に対応させて駆動回転部材に複数設けられ、径が大きい順又は小さい順に第1回転軸の軸方向に並べられて駆動回転部材と一体回転する複数の駆動歯車と、各従動回転部材と一体回転可能に設けられ、各従動回転部材に対応した各駆動歯車に噛合した複数の従動歯車と、遊技の進行状況に応じて駆動回転部材を回転駆動する駆動手段とを備え、1つの駆動手段で複数の従動回転部材を異なる回転速度で回転するように連動させて遊技の演出を行うところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遊技機において、複数の従動回転部材及びベース部材に形成されて、複数の従動回転部材をベース部材に対して原点位置に配置したときに、第1回転軸と平行な従動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の従動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の従動側位置決孔を備えたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、複数の従動回転部材においてそれぞれ隣り合った従動回転部材同士の間で相対移動可能な範囲を規制する相対移動規制ストッパ機構を設け、相対移動規制ストッパ機構が許容する相対移動可能な範囲内で各従動回転部材を回転させるように駆動手段を制御する駆動制御手段を備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の遊技機において、相対移動規制ストッパ機構は、隣り合った従動回転部材のうち互いに重なり合った部分の一方に形成された扇状のストッパ受容孔と、他方から形成されてストッパ受容孔に受容されたストッパ突部とからなるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機において、隣り合った従動回転部材同士が第2回転軸の軸方向で重なり合う重複面積が、駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って徐々に小さくなるように構成したところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の遊技機において、複数の従動回転部材で扇子機構を構成し、閉じた状態の扇子機構が駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って徐々に開かれるように構成したところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の遊技機において、ベース部に略四角形の演出表示窓を形成し、その演出表示窓を通して視認可能な表示画面を有した表示器を設けると共に、扇子機構を対にしてそれら扇子機構の要部分を演出表示窓における1対の対角部分に配置し、1対の扇子機構が閉じたときには、それら各扇子機構を構成する従動回転部材群が演出表示窓の1対の側辺部分に沿って延びた状態となり、1対の扇子機構が共に開かれると、それら扇子機構における各端部の従動回転部材の側縁部同士が接合されるように構成したところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の遊技機において、1対の扇子機構の間で接合される1対の従動回転部材に半円孔を形成し、それら1対の従動回転部材が接合されると、半円孔同士が合体して円形孔になるように構成したところに特徴を有する。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7又は8に記載の遊技機において、1対の扇子機構の間で互いに接合される1対の従動回転部材の側縁部にマグネットを設け、マグネットの磁力により1対の従動回転部材の側縁部同士が引き付けられるようにしたところに特徴を有する。
【0015】
請求項10の発明は、請求項1乃至9の何れか1の請求項に記載の遊技機において、遊技者が視認可能な表示画面に演出画像を表示可能な表示器を備え、従動回転部材の可動領域を、表示画面の前方に重ねて配置したところに特徴を有する。
【0016】
請求項11の発明は、請求項1乃至10の何れかに記載の遊技機において、第2回転軸を中心に有した固定支柱をベース部材から突出させる一方、その固定支柱が回転可能に挿通された回転軸孔を複数の従動回転部材にそれぞれ形成したところに特徴を有する。
【0017】
請求項12の発明は、請求項11に記載の遊技機において、固定支柱を筒形構造としかつその周方向の一部に開口した側面貫通孔を設けると共に、従動回転部材に電気部品を備え、その電気部品に通電するための配線を、側面貫通孔から固定支柱の内部に配して、ベース部材に組み付けられている電気回路に接続したところに特徴を有する。
【0018】
請求項13の発明は、請求項11又は12に記載の遊技機において、駆動回転部材は、ベース部材から固定支柱と同じ方向に突出して軸方向の一端部をベース部材に支持されると共に、複数の駆動歯車はベース部材側の一端部から他端部に向かって径が小さくなる順に並べられたところに特徴を有する。
【0019】
請求項14の発明は、請求項1乃至13の何れか1の請求項に記載の遊技機において、複数の従動回転部材に、第2回転軸の軸方向に重ねて配置する順番を付したところに特徴を有する。
【0020】
請求項15の発明に係る遊技機は、ベース部材に対して第1回転軸を中心に回転可能な駆動回転部材と、1つの駆動回転部材に対して複数設けられ、第1回転軸の軸方向に重ねて配置されて第1回転軸と直交する所定方向で別々に直動可能な複数の従動直動部材と、複数の従動直動部材に対応させて駆動回転部材に複数設けられ、第1回転軸を中心とした同心円状又は同心円弧状に配置されかつ径が大きい順に第1回転軸の軸方向に並べられて駆動回転部材と一体回転する複数の駆動歯車と、各従動直動部材に設けられ、各従動直動部材に対応した各駆動歯車に噛合した複数の従動ラックと、遊技の進行状況に応じて駆動回転部材を回転駆動する駆動手段とを備え、1つの駆動手段で複数の従動直動部材を異なる速度で直動するように連動させて遊技の演出を行うところに特徴を有する。
【0021】
請求項16の発明は、請求項15に記載の遊技機において、複数の従動直動部材及びベース部材に形成されて、複数の従動直動部材をベース部材に対して原点位置に配置したときに、第1回転軸と平行な従動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の従動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の従動側位置決孔を備えたところに特徴を有する。
【0022】
請求項17の発明は、請求項2又は16に記載の遊技機において、複数の駆動歯車の少なくとも1つは円弧状をなし、複数の駆動回転部材及びベース部材に形成されて、駆動回転部材をベース部材に対して原点位置に配置したときに、第1回転軸と平行な駆動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の駆動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の駆動側位置決孔を備えたところに特徴を有する。ここで、円弧状の駆動歯車とは、360度歯車が形成された円状の駆動歯車に対し、一部の円弧上に歯車が形成されたものを指す。
【0023】
請求項18の発明は、請求項1乃至17の何れか1の請求項に記載の遊技機において、駆動手段はモータであり、そのモータによって回転駆動されるウォームギヤと、駆動回転部材と一体に回転する又は連動して回転し、ウォームギヤが噛合したウォームホイールとを備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
[請求項1の発明]
請求項1の構成によれば、駆動回転部材に設けられて第1回転軸を中心に一体回転可能な複数の駆動歯車が、第2回転軸を中心に別々に回転可能な複数の従動回転部材の各従動歯車と噛合している。そして、複数の駆動歯車の径が異なっているので、駆動手段にて駆動回転部材を回転すると、それに伴って複数の従動回転部材が互いに異なる回転速度で回転する。これにより、複数の従動回転部材全体の形状が連続的に変化していくという趣向性の高い演出を行うことができる。また、本発明の構成によれば、複数の従動回転部材を駆動するための駆動手段は1つでよいのでコストも抑えられる。
【0025】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、複数の従動回転部材とベース部材のそれぞれに形成された従動側位置決孔の全てに従動側位置決ピンを挿入することで、複数の従動回転部材をベース部材に対する原点位置に位置合わせすることができる。即ち、従動側位置決ピンの挿入操作のみで、複数の従動回転部材を設計通りの相対位置に位置決めした状態に容易に組み付けることができる。
【0026】
なお、ベース部材の従動側位置決孔に従動側位置決ピンを挿入して起立させておき、その起立した従動側位置決ピンが従動回動部材の従動側位置決孔に挿入されるように複数の従動回動部材を順次組み付けていくことで組み付け作業の効率が上がる。
【0027】
[請求項3の発明]
請求項3の構成によれば、隣り合った従動回転部材同士の間で相対移動可能な範囲を規制する相対移動規制ストッパ機構を設けたので、万が一、何れかの駆動歯車と従動歯車との噛合が外れても従動回転部材同士の間が通常時に比べて大きく分裂することが防がれる。
【0028】
[請求項4の発明]
請求項4の構成のように、相対移動規制ストッパ機構を、隣り合った従動回転部材の重なり合った部分に形成した扇状のストッパ受容孔とストッパ突部とから構成することで、目立ないようにすることができる。
【0029】
[請求項5及び6の発明]
請求項5の構成によれば、駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って従動回転部材同士の重なり合う重複面積が徐々に小さくなる。これにより、折り畳まれた機構物が徐々に展開されていく動作の演出を行うことができる。具体的には、請求項6の構成のように、閉じた状態の扇子機構が駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って徐々に開かれる動作の演出を行うことができる。
【0030】
[請求項7の発明]
請求項7の構成では、扇子機構が対になり、それら扇子機構の要部分が演出表示窓における1対の対角部分に配置されている。これら1対の扇子機構が閉じたときには、それら各扇子機構を構成する従動回転部材群が演出表示窓の1対の側辺部分に沿って延びた状態となるので、演出表示窓を通して表示画面を視認することができ、扇子機構が開くと表示画面の少なくとも一部が隠される。このとき、本発明では、1対の扇子機構が開かれると、それぞれの扇子機構における端部の従動回転部材の側縁部同士が接合されるという斬新な動作の演出を行うことができる。
【0031】
[請求項8の発明]
請求項8の構成によれば、1対の扇子機構が開かれて1対の従動回転部材の側縁部同士が接合されたときに、それら互いに接合される各従動回転部材の半円孔同士が合体して円形孔になり、その円形孔を通して表示画面を見ることができるという斬新な演出を行うことができる。
【0032】
[請求項9の発明]
請求項9の構成によれば、1対の扇子機構の間で互いに接合される1対の従動回転部材の側縁部に設けたマグネットにより、1対の従動回転部材の側縁部同士が引き付けられ、接合状態が安定する。
【0033】
[請求項10の発明]
請求項10の構成によれば、表示画面に表示される演出画像と従動回転部材の動作とを融合させた演出を行うことができる。
【0034】
[請求項11の発明]
請求項11の構成によれば、ベース部材から突出した固定支柱に従動回転部材を1つずつ組み付けることができ、組み付け作業の簡素化が図られる。
【0035】
[請求項12の発明]
請求項12の構成では、従動回転部材に電気部品に通電するための配線を、筒形構造の固定支柱の周方向の側面貫通孔から固定支柱の内部に配して、ベース部材に組み付けられている電気回路に接続したので、配線が従動回転部材の周辺部品に引っ掛かることが防止される。
【0036】
[請求項13の発明]
請求項13の構成によれば、駆動回転部材をベース部材に組み付けた状態で、従動回転部材を1つずつ固定支柱に組み付けて、駆動歯車と従動歯車とを1組ずつ噛合させていくことができる。
【0037】
[請求項14の発明]
請求項14の構成によれば、複数の従動回転部材に第2回転軸の軸方向に重ねて配置する順番を付したので、従動回転部材の組み付け配置の確認作業が容易になる。
【0038】
[請求項15の発明]
請求項15の構成によれば、駆動回転部材に設けられて第1回転軸を中心に一体回転可能な複数の駆動歯車が、第1回転軸の軸方向に重ねて配置されて第1回転軸と直交する所定方向で別々に直動可能な複数の従動直動部材の各従動ラックと噛合している。そして、複数の駆動歯車の径が異なっているので、駆動手段にて駆動回転部材を回転すると、それに伴って複数の従動直動部材が互いに異なる速度で直動する。これにより、複数の従動直動部材全体の形状が連続的に変化していくという趣向性の高い演出を行うことができる。また、本発明の構成によれば、複数の従動直動部材を駆動するための駆動手段は1つでよいのでコストも抑えられる。
【0039】
[請求項16の発明]
請求項16の構成によれば、複数の従動直動部材とベース部材のそれぞれに形成された従動側位置決孔の全てに従動側位置決ピンを挿入することで、複数の従動直動部材をベース部材に対する原点位置に位置合わせすることができる。即ち、従動側位置決ピンの挿入操作のみで、複数の従動直動部材を設計通りの相対位置に位置決めした状態に容易に組み付けることができる。
【0040】
[請求項17の発明]
請求項17の構成によれば、複数の駆動歯車の少なくとも1つを円弧状としたことで、複数の駆動歯車の全てを円状にした場合より安価に製造することができる。また、駆動歯車が円弧状であっても、駆動回転部材と、複数の従動回転部材又は複数の従動直動部材とを共に原点位置に配置して組み付けることで、駆動歯車を従動歯車又は従動ラックと容易に噛合させることができる。
【0041】
[請求項18の発明]
請求項18の構成では、駆動手段であるモータの出力をウォームギヤとウォームホイールで減速して駆動回転部材に付与するので、小さなモータで複数の従動回転部材又は複数の従動直動部材とを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
【図2】表示機構枠の斜視図
【図3】扇子機構役物が閉じた状態における表示機構枠の正面図
【図4】扇子機構役物が開いた状態における表示機構枠の正面図
【図5】閉じた状態の扇子機構役物の斜視図
【図6】開いた状態の扇子機構役物の斜視図
【図7】扇子機構役物の分解斜視図
【図8】扇子機構役物の構成部品の斜視図
【図9】扇子機構役物の構成部品の背面斜視図
【図10】扇子機構役物の構成部品の拡大斜視図
【図11】扇子機構役物の組み付け概念図
【図12】従動回転部材の分解斜視図
【図13】変形例における従動直動部材と駆動回転部材の斜視図
【図14】(A)閉じた状態の従動直動部材と駆動回転部材の平面図(B)開いた状態の従動直動部材と駆動回転部材の平面図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を適用したパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図12に基づいて説明する。なお、下記の説明において「右側」とは、パチンコ遊技機10に前方から対峙した状態で向かって右側(丁度、図1の右側)を指し、「左側」とは、パチンコ遊技機10に前方から対峙した状態で向かって左側を指すものとする。
【0044】
図1に示した本実施形態のパチンコ遊技機10は、前面枠10Zの後面に遊技板11を重ねて備えている。前面枠10Zには略円形のガラス窓10Wが設けられると共に、そのガラス窓10Wに対応した略円形状の遊技領域R1が遊技板11の前面に設けられ、ガラス窓10Wを通して遊技領域R1が視認可能となっている。
【0045】
ガラス窓10Wの縁部には、枠飾りランプ33が備えられている。また、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより上側の両角位置には、それぞれスピーカ25S,25Sが設けられている。一方、前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿27A及び下皿27Bが上下2段にして設けられている。そして、ガラス窓10Wの下側縁部に備えた第1の遊技球排出ボタン29Aを押すことで、上皿27A内の遊技球を下皿27Bに移すことができる。また、下皿27Bの右側には、第2の遊技球排出ボタン29Bが備えられ、これを押すことで下皿27Bに収容されている遊技球が下方に排出される。さらに、第2の遊技球排出ボタン29Bの右側には、球貸し状態表示モニター27D及び球貸し操作ボタン27Eが設けられ、下皿27Bの左側には、操作ジョグ27Jが備えられている。
【0046】
前面枠10Zのうち右下角部には、操作ノブ28が設けられ、その操作ノブ28の回動操作により上皿27A内の遊技球が遊技領域R1内へと、順次、発射されて遊技領域R1内を流下する。より具体的には、遊技領域R1は、全体をガイドレール12で囲まれ、そのガイドレール12には、向かって左上端寄り位置に球進入口12Kが形成されている。そして、操作ノブ28の回動操作により、球進入口12Kから遊技領域R1の中央上端部に向けてガイドレール12の内面に沿って遊技球が順次打ち込まれて、遊技領域R1を流下する。また、操作ノブ28の回動量によって遊技球の発射強度を調整することができる。
【0047】
遊技領域R1のほぼ中央には本発明に係る「表示器」に相当するメイン表示器35が備えられている。メイン表示器35は、例えば、液晶表示器(TFT−LCDモジュール)であって、その表示画面36が遊技板11に固定された表示枠体40(所謂「センター役物」)で取り囲まれている。表示画面36は、表示枠体40の前面より奥側に配置されており、遊技者は、表示枠体40を通して表示画面36の演出表示を視認可能となっている。
【0048】
遊技領域R1のうちメイン表示器35の下方における左右方向の中央には、始動入賞口14A,14B、第1大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。始動入賞口14A,14Bの右側方には、第2大入賞口17が設けられ、始動入賞口14A,14Bの左側方には、一般入賞口20,21,22が設けられている。また、遊技領域R1のうち、メイン表示器35の左側方には始動ゲート18と風車19とが備えられている。さらに、遊技領域R1の遊技球が流下可能な部分全体に亘って複数の障害釘が設けられている。
【0049】
遊技領域R1に備えた役物についてさらに詳説する。なお、以下の説明において「入賞」と「入球」は同じ意味である。一般入賞口20,21,22は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20,21,22へ入賞すると、その遊技球は遊技板11の裏側に取り込まれ、代わりに所定数の賞球が上皿27Aに払い出される。
【0050】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は、その始動ゲート18に内蔵したゲートスイッチ(図示せず)によって検出される。遊技球が通過すると、普通図柄当否判定が行われ、表示画面36の一角に設けられた普通図柄表示部18Hにおいて図柄が変動表示される。具体的には、「0」〜「9」までの数字からなる数字図柄が所定期間に亘って変動表示された後、所定の数字図柄が停止表示される。普通図柄表示部18Hが変動表示の最中に始動ゲート18を遊技球が通過した場合、その通過球は最大で4個まで保留記憶される。そして、普通図柄表示部18Hの変動表示が終了すると、その保留記憶に基づいて再び普通図柄表示部18Hが変動表示される。
【0051】
上下の各始動入賞口14A,14Bは、所謂、ポケット構造をなして上方に向かって開口している。各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技板11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技板11の裏側に回収される。
【0052】
上側に配置された始動入賞口14Aの上面開口は遊技球を1つずつ受け入れる大きさになっている。一方、下側に配置された始動入賞口14Bは、始動入賞口14Aの真下に配置されており、その上面開口の左右両側には可動翼14C,14Cが備えられている。これら両可動翼14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼14C,14Cに挟まれた始動入賞口14Bの開口幅も、遊技球を1つずつ受け入れる大きさになっている。そして、下側の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、上側の始動入賞口14Aを構成する部材と起立状態の可動翼14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。
【0053】
これに対し、上述した普通図柄当否判定の結果、普通図柄表示部18Hで停止表示された数字図柄が奇数になると、下側の始動入賞口14Bが開放状態となる。即ち、遊技板11の裏に設けたソレノイド(図示せず)により、下側の始動入賞口14Bに備えた可動翼14C,14Cが所定期間(例えば、0.5秒間)に亘って左右に倒される。可動翼14C,14Cが左右に倒れると、その倒れた可動翼14C,14Cに案内されて遊技球が始動入賞口14Bに入賞可能となる。
【0054】
上下の始動入賞口14A,14Bの何れかに遊技球が入賞すると、各始動入賞口14A,14B内に設けたセンサがその遊技球を検出し、その検出信号に基づいて、所定数の賞球が上皿27Aに払い出される。また、各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、「大当たり遊技」を行うか否かを決定する当否判定の権利が発生し、パチンコ遊技機10に備えたCPU(図示せず)が当否判定用のプログラムを実行し、その当否判定結果がメイン表示器35によって遊技者に報知される。
【0055】
具体的には、メイン表示器35の表示画面36には、通常、3つの左、中、右の特別図柄(図示せず)が横並びに表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「9」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、両始動入賞口14A,14Bの何れかに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄が、変動表示(上下方向にスクロール表示)され、所定時間後に、例えば、左、中、右の順で各特別図柄が停止表示される。このとき、例えば、全ての特別図柄が同じ図柄、即ち、ゾロ目になった場合に、遊技が「通常遊技」から「大当たり遊技」に移行する。
【0056】
ここで、メイン表示器35にて特別図柄が変動表示している最中又は「大当たり遊技」の最中に各始動入賞口14A,14Bに入賞した遊技球の数は、所定の保留限度数(4個)まで保留記憶され、特別図柄が外れの図柄組み合わせで停止表示又は「大当たり遊技」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄の変動表示が開始される。
【0057】
第1大入賞口15及び第2大入賞口17は、同じ構造で遊技板11の前面に開放して横長形状をなしており、常には、それぞれ可動扉15T,17Tにて閉塞されている。そして、上記したように特別図柄がゾロ目で停止表示した場合に、例えば、偶数のゾロ目であれば可動扉15Tが前側に倒れて第1大入賞口15が開放し、奇数のゾロ目であれば可動扉17Tが前側に倒れて第2大入賞口17が開放し、可動扉15T又は17Tをガイドにして第1大入賞口15又は第2大入賞口17の何れかに遊技球が入賞可能になる。
【0058】
ここで、可動扉15T又は17Tが開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉15T又は17Tの開放時間が30秒に達したか、又は、第1大入賞口15又は第2大入賞口17に遊技球が10個入賞したか、の何れかの終了条件が先に満たされた場合に終了する。また、「大当たり遊技」は、最大で、例えば15ラウンドまで継続される。
【0059】
第1大入賞口15及び第2大入賞口17の内部には、図示しないが継続入賞口と計数入賞口とが設けられている。可動扉15T,17Tが開いたときには、継続入賞口は開放しており、継続入賞口に入賞すると継続入賞口が閉鎖される一方、計数入賞口は開放されたままとなる。継続入賞口内に設けた特定領域センサ(図示せず)が遊技球の入賞を検出すると、前述した終了条件を満たしてラウンドが終了した後で、連続して次のラウンドが実行される。また、計数入賞口内に設けたカウントセンサ(図示せず)が遊技球の入賞を検出すると、継続入賞口への入賞球と合わせて、第1大入賞口15及び第2大入賞口17への入賞球がカウントされ、これらが前記したように計10個に達したか否かがチェックされる。なお、第1大入賞口15又は第2大入賞口17に遊技球が入賞すると、他の入賞口14A,14B,20,21,22への入賞時より多い所定数の遊技球が、上皿27Aに払い出される。
【0060】
次に、表示枠体40について詳説する。遊技板11の遊技領域R1には、表示枠体40を取り付けるための図示しない遊技板表示窓が貫通形成されている。表示枠体40は、遊技板11の前面における遊技板表示窓の開口縁にビス止めされた表示装飾枠41(図1参照)と、遊技板11の後面における遊技板表示窓の開口縁にビス止めされた表示機構枠50(図2参照)とからなる。
【0061】
表示装飾枠41は、遊技板表示窓の内部に嵌合された嵌合部41Aの前端から側方に前端壁部41Bを張り出してなり、遊技板11における遊技板表示窓の開口縁を覆って装飾すると共に、遊技板表示窓の内面も覆って装飾している。
【0062】
表示機構枠50は、本発明に係る「ベース部材」に相当し、図2に示すように、全体が前後方向に偏平で前面が開放した箱形をなし、後面に演出表示窓53を備えている。また、表示機構枠50の側壁52には、その前端部の所定複数箇所からビス止め板52Aが直角曲げされた状態に形成され、それらビス止め板52Aが遊技板11の後面に重ねられてビス止めされている。
【0063】
演出表示窓53は、横長矩形状をなし、表示機構枠50の後端壁51における上端寄り位置に配置されている。より具体的には、表示機構枠50は、下側部分が段付き状に若干幅狭になっていて、演出表示窓53は、表示機構枠50の上側幅広部分において、上下方向と左右方向の両方向の中央に配置されている。そして、後端壁51の後面にメイン表示器35が重ねられた状態に固定されて、そのメイン表示器35の表示画面36が演出表示窓53を通して表示機構枠50の前方に臨んでいる。
【0064】
表示機構枠50の下側幅狭部分における左右方向の両端部には、入球ダクト55,55が備えられている。そして、第2大入賞口17に入賞した遊技球が一方の入球ダクト55を通ってパチンコ遊技機10の下方に案内され、一般入賞口20,21,22に入賞した遊技球が他方の入球ダクト55を通ってパチンコ遊技機10の下方に案内されるようになっている。
【0065】
表示機構枠50の下側幅狭部分における左右方向の中央部と左側部分は前方に膨出している。そして、その膨出部分と演出表示窓53の下辺部との間に、下辺回転役物54が収容されている。下辺回転役物54は、図2に示すように、表示機構枠50の後端壁51に固定された箱体54Bの前面に、蓮の花形状の電飾回転体54Aを回転可能に備えている。また、箱体54B内には電飾回転体54Aを回転駆動するための図示しないモータが備えられ、電飾回転体54Aには図示しないLEDが内蔵されている。そして、遊技の進行状況に応じて電飾回転体54Aが発光した状態で回転駆動される。
【0066】
表示機構枠50のうち演出表示窓53の上辺部と表示機構枠50の上端部に位置した側壁52との間には、上辺回動役物56が収容されている。上辺回動役物56は、表示装飾枠41の後面に回動可能に取り付けられた装飾レバー56Aを有し、その装飾レバー56Aの回動中心は、後端壁51のうち演出表示窓53の右上角部に配置されている。そして、装飾レバー56Aは、通常、図2に示すように、回動中心から水平横方向に延びた水平姿勢になって表示装飾枠41の上辺部後方に退避して隠れ、所定の契機によって下方に回転駆動されて図1に示すように傾斜姿勢になる。また、装飾レバー56Aの長手方向の中間部には、1対の分岐回動レバー56B,56Bが回動可能に取り付けられている。分岐回動レバー56B,56Bは、回動中心から装飾レバー56Aの先端側に延び、装飾レバー56Aが水平姿勢になっているときには、それら分岐回動レバー56B,56Bが図示しないレバーガイド部材との当接により装飾レバー56Aと前後方向で重なった状態になっている。そして、装飾レバー56Aが傾斜姿勢になると、分岐回動レバー56B,56Bがレバーガイド部材から離間して、分岐回動レバー56B,56Bが開脚する。
【0067】
表示機構枠50のうち演出表示窓53の両側辺部と表示機構枠50の両側端部に位置した側壁52との間には、1対の扇子機構役物57,57が収容されている。1対の扇子機構役物57,57は、本発明に係る「扇子機構」に相当し、細部の形状の相違を除き、全体の機構が同じユニット構造をなして、表示機構枠50にビス止めされている。また、図5及び図6には、右側の扇子機構役物57のユニット全体が示され、図7〜12には、右側の扇子機構役物57の構成部品が示されている。
【0068】
以下、右側の扇子機構役物57を、適宜、単に扇子機構役物57と呼ぶこととして、その右側の扇子機構役物57の構成について説明する。図7に示すように、扇子機構役物57は、固定ケース58に本発明に係る「駆動手段」に相当するモータ59(例えば、ステッピングモータ)と、本発明に係る駆動回転部材60、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64、ウォームギヤ65及びウォームホイール66とを組み付けて備えている。
【0069】
図7に示すように、固定ケース58は、表示機構枠50の後端壁51の前面に重ねた状態でビス止めされる板状の支持ベース69と、その支持ベース69の前面を覆った状態に固定されるカバーベース68とからなる。
【0070】
図3に示すように、支持ベース69は、一端側が演出表示窓53の角部から下方に延び、他端側が演出表示窓53の角部から側方に延びた形状をなしている。支持ベース69の下端部に位置した外側縁からは、図7に示すように、モータ支持壁69Aが前方に突出している。これに対し、モータ59は、モータステータ59Sの端面に減速機59Gを一体に備え、その減速機59Gの端面がモータ支持壁69Aに押し付けられた状態で固定されている。また、減速機59Gの出力軸には、ウォームギヤ65が一体回転可能に備えられ、そのウォームギヤ65が、図3に示すように、支持ベース69の下端部前方で水平横方向に延びている。
【0071】
支持ベース69のうちウォームギヤ65の上方位置からは前方に向かって中継回転支軸71が突出し、さらに中継回転支軸71の上方位置からは前方に向かって駆動回転支軸72(本発明に係る「第1回転軸」に相当する)が突出し、さらには、駆動回転支軸72の斜め上方位置からは駆動回転支軸72と平行な従動回転支軸73(本発明に係る「第2回転軸」に相当する)が前方に向かって突出している。また、従動回転支軸73が演出表示窓53の右下角部の近傍に配置されている。より具体的には、従動回転支軸73の中心が演出表示窓53の対角線の延長線上に配置されている。
【0072】
中継回転支軸71は、支持ベース69に形成された図示しない有底孔に挿入された金属シャフトで構成され、その中継回転支軸71には、ウォームホイール66が回転可能に軸支されている。そして、ウォームホイール66にウォームギヤ65が噛合している。また、ウォームホイール66のうち前方を向いた端面には、中継歯車67が一体回転可能に備えられている(図10参照)。
【0073】
図10に示すように、駆動回転支軸72は、支持ベース69から突出した支持パイプ72Pに金属シャフト72Sを挿通させてなる。また、支持パイプ72Pは、中継歯車67の後面側で閉塞され、そこに金属シャフト72Sが突き当てられている。その駆動回転支軸72には、樹脂で構成された駆動回転部材60が回転可能に軸支されている。図9及び図10に示すように、駆動回転部材60は一端有底の筒体構造をなし、その筒体の端部壁60E(図10参照)における内面からは支持パイプ60P(図9参照)が突出している。そして、駆動回転部材60の開放端を中継歯車67に対向させた状態で、支持パイプ60Pが駆動回転支軸72の外側に挿通されかつ、支持パイプ60Pの端面と支持パイプ72Pの端面とを当接させた状態に組み付けられている。
【0074】
図10に示すように、駆動回転部材60の外側には、その開放端側から閉塞端に向かって、本発明に係る第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dが順番に設けられている。第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dは、共に駆動回転部材60の回転中心を中心とした平歯車であって、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dの順番で徐々に径が小さくなっている。また、第1駆動歯車60Aのみが駆動回転部材60の全周に亘って形成され、第2〜第4の駆動歯車60B,60C,60Dは、駆動回転部材60の回転中心に対して所定角の範囲(例えば、135度の範囲)にのみ形成されている。これにより、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dの全てを円状にした場合と比べて、駆動回転部材60の金型を安価に製造することができる。
【0075】
具体的には、第1駆動歯車60Aは、駆動回転部材60から張り出した円板の先端に複数の歯を備えた構造をなし、前記したウォームホイール66の中継歯車67に噛合している。また、駆動回転部材60のうち第1駆動歯車60Aを除いた部分には、駆動回転部材60の周方向の所定範囲に第1駆動歯車60Aから離れるに従って段付き状に径が小さくなった階段構造部60Kが形成されている。そして、その階段構造部60Kで最も第1駆動歯車60A側に位置した円弧状側面に複数の歯を形成して第2駆動歯車60Bが構成され、その次に第1駆動歯車60A側に位置した円弧状側面に複数の歯を形成して第3駆動歯車60Cが構成され、最も第1駆動歯車60Aから離れた側に位置した円弧状側面に複数の歯を形成して第4駆動歯車60Dが構成されている。
【0076】
また、駆動回転部材60のうち第2〜第4の駆動歯車60B,60C,60Dが形成されていない部分は、図10に示すように、軸方向が略均一径に円筒壁60Fになっていてその円筒壁60Fにおける周方向の中央には、駆動位置決ピン受容部60Gが形成されている。駆動位置決ピン受容部60Gは、駆動回転部材60の中心軸と平行に延びたパイプ状をなし(図9参照)、そのパイプを縦割りにした半分が円筒壁60Fの外面から膨出して(図10参照)、残りの半分が円筒壁60Fの内面から膨出した状態に形成されている。また、図9に示すように、駆動位置決ピン受容部60Gの一端部は、駆動回転部材60の中心側平坦部と一体になり、駆動回転部材60の内面において駆動位置決ピン受容部60Gの一端部が開放している。これに対し、支持ベース69には、ベース第1位置決孔69Vが貫通形成されていて、駆動回転部材60が原点位置としての所定の回転位置に配置されると駆動位置決ピン受容部60Gとベース第1位置決孔69Vとが同軸上に並ぶ。これにより、図11に示した駆動側位置決ピンP1を、駆動位置決ピン受容部60G及びベース第1位置決孔69Vに挿通することで、駆動回転部材60が原点位置に位置決めされる。なお、駆動位置決ピン受容部60G及びベース第1位置決孔69Vが、本発明に係る「駆動側位置決孔」に相当する。
【0077】
従動回転支軸73は、支持ベース69から突出した円筒状をなしている。また、図10に示すように、従動回転支軸73には、その周方向の一部を基端部から先端寄り位置まで切除して電線挿通孔73A(本発明に係る「側面貫通孔」に相当する)が形成されている。そして、この従動回転支軸73に、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が回転可能に軸支されている。第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64は、図8に示すように、何れも扇形状をなしかつ、それらの要部分にリング部80(本発明に係る「回転軸孔」に相当する)を備え、それらリング部80が従動回転支軸73の外側に挿入されている。また、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の扇形状の本体部(以下、「扇形本体部61H,62H,63H,64H」という)における両側辺間の角度は、全て同じ所定角(略3〜10度)になっている。また、各扇形本体部61H,62H,63H,64Hの一方の側辺はリング部80の外周面の接線上に配置される一方、他方の側辺はリング部80の中心点から延びた線上に配置されて、その他方の側辺からリング部80が側方に張り出している。
【0078】
そして、図8に示すように、第1従動回転部材61におけるリング部80の張り出し部分に第1従動歯車61Gが形成され、第2従動回転部材62におけるリング部80の張り出し部分に第2従動歯車62Gが形成され、第3従動回転部材63におけるリング部80の張り出し部分に第3従動歯車63Gが形成され、第4従動回転部材64におけるリング部80の張り出し部分に第4従動歯車64Gが形成されている。これら第1〜第4の従動歯車61G,62G,63G,64Gは、共にリング部80の中心に対して所定角の範囲にのみ配置されている。
【0079】
第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の各リング部80には、扇形本体部61H,62H,63H,64Hの反対側に従動位置決ピン受容部80Gが貫通形成されている。そして、図11に示すように、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の扇形本体部61H,62H,63H,64Hを完全に重ね合わせた状態で、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の複数の従動位置決ピン受容部80Gが同軸上に並ぶようになっている。また、従動位置決ピン受容部80Gに対し、支持ベース69には、ベース第2位置決孔69Wが貫通形成されていて、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が原点位置としての所定の回転位置に配置されると扇形本体部61H,62H,63H,64Hが完全に重なり、全ての従動位置決ピン受容部80Gとベース第2位置決孔69Wとが同軸上に並ぶ。これにより、図11に示した従動側位置決ピンP2を、従動位置決ピン受容部80G群とベース第2位置決孔69Wに挿通することで第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が原点位置に位置決めされる。なお、従動位置決ピン受容部80G及びベース第2位置決孔69Wが、本発明に係る「従動側位置決孔」に相当する。
【0080】
図11に示すように、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64は、従動回転支軸73に対し、第1従動回転部材61、樹脂ワッシャW、第2従動回転部材62、樹脂ワッシャW、第3従動回転部材63、樹脂ワッシャW、第4従動回転部材64の順番で挿入されて、図7に示すように、第1従動回転部材61の従動歯車61Gが第1駆動歯車60Aと噛合し、第2従動回転部材62の従動歯車62Gが第2駆動歯車60Bと噛合し、第3従動回転部材63の従動歯車63Gが第3駆動歯車60Cと噛合し、第4従動回転部材64の従動歯車64Gが第4駆動歯車60Dと噛合している。詳細には、支持ベース69のベース第1位置決孔69V及び駆動回転部材60の駆動位置決ピン受容部60Gに駆動側位置決ピンP1を嵌合して支持ベース69の原点位置に位置決めし、支持ベース69のベース第2位置決孔69Wから従動側位置決ピンP2を起立させた状態とし、第1従動回転部材61のリング部80を従動回転支軸73の外側に嵌合しつつ従動位置決ピン受容部80Gに従動側位置決ピンP2を挿入する。そして、樹脂ワッシャWを従動回転支軸73の外側に嵌合し、次いで、第2従動回転部材62のリング部80を従動回転支軸73の外側に嵌合しつつ従動位置決ピン受容部80Gに従動側位置決ピンP2を挿入する。これらと同様に、残りの第3従動回転部材63と第4従動回転部材64と樹脂ワッシャWとを支持ベース69に組み付ける。これにより、駆動回転部材60と第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64とが原点位置に位置決めされた状態で支持ベース69に効率良く組み付けられて、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dと従動歯車61G,62G,63G,64Gとが噛合する。なお、樹脂ワッシャWは、ドーナッツ状の円板における表裏の外縁部と内縁部にそれぞれ円環状の突条を備えた構造をなしている。
【0081】
ここで、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dの径をD1,D2,D3,D4、第1〜第4の従動歯車61G,62G,63G,64Gの径をD11,D12,D13,D14、第1の駆動歯車60Aと従動歯車61Gのギヤ比をG1、第2の駆動歯車60Bと従動歯車62Gのギヤ比をG2、第3の駆動歯車60Cと従動歯車63Gのギヤ比をG3、第4の駆動歯車60Dと従動歯車64Gのギヤ比をG4、駆動回転支軸72と従動回転支軸73の軸間ピッチをLとすると、以下の式が成立している。
【0082】
D1>D2>D3>D4
D11<D12<D13<D14
2・L=D1+D11=D2+D12=D3+D13=D4+D14
G1=D1/D11
G2=D2/D12
G3=D3/D13
G4=D4/D14
G1>G2>G3>G4
【0083】
これにより、モータ59にて駆動回転部材60を回転駆動すると、駆動回転部材60の回転速度にギヤ比G1を乗じた回転速度で第1従動回転部材61が従動回転し、駆動回転部材60の回転速度にギヤ比G2を乗じた回転速度で第2従動回転部材62が従動回転し、駆動回転部材60の回転速度にギヤ比G3を乗じた回転速度で第3従動回転部材63が従動回転し、駆動回転部材60の回転速度にギヤ比G4を乗じた回転速度で第4従動回転部材64が従動回転する。つまり、駆動回転部材60の回転に連動して第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が異なる速度で回転する。より詳細には、駆動回転部材60の回転に連動して、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の全てが回転すると共に、第4従動回転部材64より第3従動回転部材63が速く、第3従動回転部材63より第2従動回転部材62が速く、第2従動回転部材62より第1従動回転部材61が速く回転して、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64同士の相対位置が変化する。これにより、図5に示すように、原点位置で完全に重なり合っていた第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の扇形本体部61H,62H,63H,64Hが互いにずれて展開し、丁度、図6に示すように、閉じていた扇子が徐々に開くような動作の演出を行うことができる。
【0084】
第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64は、何れも透光樹脂で構成されている。第1従動回転部材61には、図8に示すように、扇形本体部61Hを、その左側の側縁部から右側の側縁部に向けて半円状に切除して半円孔61Vが形成されている。また、第1従動回転部材61の扇形本体部61Hには、半円孔61Vの縁部に沿って複数のレンズ部61Rが形成されている。
【0085】
第2従動回転部材62には、第1従動回転部材61の半円孔61Vに対応させて、扇形本体部62Hを、その左側の側縁部から右側の側縁部に向けて切除して湾曲部62Vが形成されている。その湾曲部62Vは、半円孔61Vより奥行きが狭くなっていて、その縁部は不規則な凹凸形状になっている。
【0086】
図9に示すように、第1と第3の従動回転部材61,63は、外縁部から後方に突出した側壁61S,63Sを有している。これに対し、第2と第4の従動回転部材62,64は平板状をなしている。第1と第3の従動回転部材61,63における側壁61S,63Sの内側には、図12に示した略扇形状の透光樹脂シート82と電飾基板81とが重ねて収容されている。透光樹脂シート82は、曇りガラスのように表面に微細な凹凸を有し、電飾基板81は、前面に複数のLED81Aを備えている。そして、それらLED81A群の光が透光樹脂シート82を通して分散し、さらに、第1と第3の従動回転部材61,63の扇形本体部61H,63Hを通過して遊技者に視認される。また、第1従動回転部材61においては、LED81Aの一部がレンズ部61Rの後方に位置し、レンズ部61Rを通った光が遊技者に視認される。また、第1従動回転部材61の側壁61Sの内側には、半円孔61Vの両側部分にマグネット61Nが収容されている(図9参照)。
【0087】
図9に示すように、第1と第3の従動回転部材61,63の各リング部80における内縁部からは、円筒壁80Sが後方に突出している。そして、図11に示すように、第1と第3の従動回転部材61,63には、円筒壁80Sからリング部80の内側縁部に亘る範囲に電線挿通孔61D,63Dが形成されている。そして、第1と第3の従動回転部材61,63の各電飾基板81に通電するための電線が、電線挿通孔61D,63Dから従動回転支軸73の電線挿通孔73Aを通して従動回転支軸73の内側に導入されて支持ベース69の後方に引き延ばされ、表示機構枠50の後面に備えた図示しない制御基板に接続されている。これにより、電線が他の第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の周辺部品に引っ掛かることが防止される。
【0088】
第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64のうち隣り合った従動回転部材の間、即ち、第1と第2の従動回転部材61,62との間、第2と第3の従動回転部材62,63との間、第3と第4の従動回転部材63,64との間には、それぞれ互いの相対位置を規制するための相対移動規制ストッパ機構が設けられている。具体的には、図8に示すように、第2従動回転部材62の扇形本体部62Hにおけるリング部80寄り位置にはストッパ受容孔62Zが貫通形成されている。ストッパ受容孔62Zは、リング部80と共通の中心を有した扇状をなしている。これに対し、第1従動回転部材61の扇形本体部61Hにおけるリング部80寄り位置からは、ストッパ受容孔62Z内に向けてストッパ突部61Tが突出形成されている。このストッパ突部61Tは突片状をなし、ストッパ受容孔62Z内を移動して62Zの両内側面に面当接可能となっている。そして、これらストッパ受容孔62Zとストッパ突部61Tとによって第1従動回転部材61と第2従動回転部材62との間の相対移動規制ストッパ機構が構成されている。
【0089】
これと同様に、第2従動回転部材62に形成されたストッパ突部62Tと第3従動回転部材63に形成されたストッパ受容孔63Z(図9参照)とによって第2従動回転部材62と第3従動回転部材63との間の相対移動規制ストッパ機構が構成され、第3従動回転部材63に形成されたストッパ突部63Tと第4従動回転部材64に形成されたストッパ受容孔64Zとによって第3従動回転部材63と第4従動回転部材64との間の相対移動規制ストッパ機構が構成されている。そして、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が原点位置からそれぞれ正規の角度まで回動する間では、ストッパ突部61T,62T,63Tが62Z,63Z,64Zの内側面に当接することはなく、例えば、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dと従動歯車61G,62G,63G,64Gとの何れかの噛合が外れたような不具合発生時に、ストッパ突部61T,62T,63Tが62Z,63Z,64Zの内側面に当接する。これにより、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64同士の間が大きく分裂する事態を防ぐことができる。また、本実施形態では、相対移動規制ストッパ機構が隣り合った従動回転部材61,62,63,64の重なり合った部分に配置されているので、遊技者に対して目立ないようにすることができる。
【0090】
第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64には、組付用マーカー61M,62M,63M,64Mが設けられている。第1従動回転部材61の組付用マーカー61Mは、扇形本体部61Hの一側縁部から側方に突出した突片に「R1」と刻印してなり、これと同様に、第2〜第4の従動回転部材62〜64の組付用マーカー62M〜64Mは、突片に「R2」,「R3」,「R4」と刻印してなる。そして、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64を原点位置に配置すると、組付用マーカー61M,62M,63M,64Mが順次従動回転支軸73から離れる側にずれた配置となって、各刻印を一目することができるようになっている(図3参照)。これにより、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64の組み付け配置の確認作業を容易に行うことができる。
【0091】
そして、図5〜7に示すように、従動回転部材61,62,63,64のリング部80、駆動回転部材60、ウォームホイール66及びウォームギヤ65が、透光樹脂で構成されたカバーベース68によって上部から覆われるように取り付けられ、従動回転支軸73、駆動回転支軸72、中継回転支軸71の軸部が上部より固定され、各回転部品における回転軸方向の移動を規制している。なお、カバーベース68には、各回転部品が回動して従動回転部材61,62,63,64が展開した際に、従動回転部材61,62,63,64と接触するストッパ部68Sが設けられている。
【0092】
以上が、図2及び図3における右側の扇子機構役物57の構成に関する説明である。図2及び図3における左側の扇子機構役物57は、固定ケース58の形状が若干異なると共に、各組付用マーカー61M,62M,63M,64Mの刻印が「L1」,「L2」,「L3」,「L4」になっている点が異なる。
【0093】
さて、1対の扇子機構役物57,57は、図3に示すように扇子の要部分が演出表示窓53における1対の対角部分に配置され、扇子機構役物57,57が閉じたときには、それら扇子機構を構成する第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が完全に重なり合い、演出表示窓53の1対の側辺部分に沿って延びた状態となる。この状態で、扇子機構役物57,57全体が表示装飾枠41の後方に隠れる(図1に示す状態)。これにより、表示画面36を視認することができる。そして、扇子機構役物57,57が共に開くと、図4に示すように両扇子機構役物57,57の第1従動回転部材61,61の側縁部が互いに接合され、半円孔61V,61Vから円形孔61Yが構成されるようになっている。このとき、第1従動回転部材61,61のマグネット61N,61Nが互いに引き付け合って第1従動回転部材61,61の間の隙間が小さくなり、接合状態が安定する。これにより、円形孔61Yを通して表示画面36を見ることができるという斬新な動作の演出を行うことができ、表示画面36に表示される演出画像と従動回転部材61,62,63,64の動作とを融合させた演出を行うことができる。
【0094】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態の作用効果について説明する。遊技を開始するために操作ノブ28を回動操作すると遊技球が遊技領域R1に向かって、順次、打ち込まれ、遊技領域R1をランダムに流下する。そして、始動入賞口14A,14Bの何れかに遊技球が入球すると当否判定が行われ、表示画面36に当否判定の結果を表示するため画像が表示される。そして、例えば、特別図柄が奇数のゾロ目で停止表示した場合に、扇子機構役物57,57が起動する。
【0095】
ここで、扇子機構役物57,57は、通常は、折り畳まれた状態になっていて表示装飾枠41の後方に隠れている。そして、特別図柄が奇数のゾロ目で停止表示するなどの所定の条件が成立すると、両扇子機構役物57,57のモータ59,59に作動して、駆動回転部材60,60を回転駆動する。すると、駆動回転部材60に備えられた第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dが一体回転して、それら第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dに噛合した第1〜第4の従動歯車61G,62G,63G,64Gを有した第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64が従動回転される。ここで、第1〜第4の駆動歯車60A,60B,60C,60Dの径は互いに異なっていて、第1〜第4の順番で従動回転部材61,62,63,64が速く回転するようになっているので、駆動回転部材60の回転駆動に伴って、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64全体の形状が連続的に変化していくという趣向性の高い演出を行うことができる。
【0096】
さらに、例えば、特別図柄が「7 7 7」で停止表示するなど特定の条件が成立した場合には、扇子機構役物57,57が同時に駆動して点対称に動作して表示画面36の前方で合体する。そして、図4に示すように、表示画面36の前方で両扇子機構役物57,57の第1従動回転部材61,61の側縁部が互いに接合されて、半円孔61V,61Vから円形孔61Yが構成される。そして、円形孔61Yを通して表示画面36の一部を視認可能な状態になり、今までにはない斬新な演出を提供することができる。
【0097】
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、駆動回転部材60の回転駆動に伴って第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64全体の形状が連続的に変化していくという趣向性の高い演出を行うことができる。また、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64を駆動するための駆動手段(モータ59)は1つでよいのでコストも抑えられる。また、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64と支持ベース69のそれぞれに形成された従動位置決ピン受容部80G、ベース第2位置決孔69Wの全てに従動側位置決ピンP2を挿入することで、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64を支持ベース69に対する原点位置に位置合わせすることができる。即ち、従動側位置決ピンP2の挿入操作のみで、第1〜第4の従動回転部材61,62,63,64を設計通りの相対位置に位置決めした状態に容易に組み付けることができる。
【0098】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、パチンコ遊技機に本発明を適用していたが、遊技機であれば、コイン遊技機やスロットマシン等に適用してもよい。
【0099】
(2)前記実施形態では、従動回転部材61,62,63,64の本体部を扇形状で構成していたが、長方形状や、円盤状にしてもよいし、棒状にして先端にキャラクタの飾りをつけるなどしてもよい。
【0100】
(3)前記実施形態では、従動回転部材を4つで構成していたが、2つ或いは3つで構成してもよいし、5つ以上で構成してもよい。
【0101】
(4)前記実施形態では、1対の扇子機構役物57,57が共に開いて従動回転部材61,61の側縁部が互いに接合されたときに、円形孔61Yが構成されるようになっていたが、例えば3つの扇子機構役物によって円形孔を構成してもよいし、円形に限られず、ハート形状等が構成されるようにしてもよいし、従動回転部材全体でキャラクタ形状が構成されるようにしてもよい。
【0102】
(5)前記実施形態では、駆動歯車60A,60B,60C,60Dの噛合対象が歯車(従動歯車61G,62G,63G,64G)であったが、ラックであってもよい。具体的には、図13及び図14に示す本発明に係る構成では、駆動回転部材90に径の異なる円形の平歯車として駆動歯車90A,90B,90C,90Dを設け、平板状の棒の一端から縦長の板部材が垂れ下がった形状をした従動直動部材91,92,93,94の上部に歯切りをして従動ラック91G,92G,93G,94Gを備えている。そして、従動直動部材91の従動ラック91Gが第1駆動歯車60Aと噛合し、従動直動部材92の従動ラック92Gが第2駆動歯車60Bと噛合し、従動直動部材93の従動ラック93Gが第3駆動歯車60Cと噛合し、従動直動部材94の従動ラック94Gが第4駆動歯車60Dと噛合している。この構成によれば、駆動回転部材90が回転駆動すると、駆動歯車90A,90B,90C,90Dの径が互いに異なっているので、従動直動部材91,92,93,94の順番の速さで水平方向に移動し、従動直動部材91,92,93,94全体の形状が、カーテンが閉じるように連続的に変化していく(図14(A)から図14(B)に示す状態)という趣向性の高い演出を行うことができる。なお、駆動回転部材90には、駆動位置決ピン受容部60H及び支持孔90Pが形成され、従動直動部材91,92,93,94の角部側方には、図13及び図14(A)に示すように、従動直動部材91,92,93,94の縦長の板部材を完全に重ね合わせた状態で、同軸上に並ぶ位置に従動位置決ピン受容部80Hが貫通形形成されている。これにより、支持孔90Pに駆動回転支軸72が挿通され、駆動側位置決ピンP1を駆動位置決ピン受容部60Hに挿通することで、駆動回転部材90を設計通りの相対位置に位置決めした状態に容易に組み付けることができ、従動側位置決ピンP2を従動位置決ピン受容部80H群に挿通することで従動直動部材91,92,93,94を設計通りの相対位置に位置決めした状態に容易に組み付けることができる。
【符号の説明】
【0103】
10 パチンコ遊技機
11 遊技板
12 ガイドレール
35 メイン表示器(表示器)
36 表示画面
40 表示枠体
41 表示装飾枠
50 表示機構枠(ベース部材)
53 演出表示窓
57 扇子機構役物(扇子機構)
59 モータ(駆動手段)
60,90 駆動回転部材
60A,60B,60C,60D,90A,90B,90C,90D 駆動歯車
60G,60H 駆動位置決ピン受容部(駆動側位置決孔)
61,62,63,64 従動回転部材
61G,62G,63G,64G 従動歯車
61H,62H,63H,64H 扇形本体部
61M,62M,63M,64M 組付用マーカー
61N マグネット
61T,62T,63T ストッパ突部
61V 半円孔
61Y 円形孔
62Z.63Z,64Z ストッパ受容孔
65 ウォームギヤ
66 ウォームホイール
68 カバーベース
69 支持ベース
69V ベース第1位置決孔(駆動側位置決孔)
69W ベース第2位置決孔(従動側位置決孔)
71 中継回転支軸
72 駆動回転支軸(第1回転軸)
73 従動回転支軸(第2回転軸,固定支柱)
73A 電線挿通孔(側面貫通孔)
80 リング部(回転軸孔)
80G,80H 従動位置決ピン受容部(従動側位置決孔)
91,92,93,94 従動直動部材
91G,92G,93G,94G 従動ラック
P1 駆動側位置決ピン
P2 従動側位置決ピン
R1 遊技領域
W 樹脂ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に対して第1回転軸を中心に回転可能な駆動回転部材と、
1つの前記駆動回転部材に対して複数設けられ、第2回転軸を中心に前記ベース部材に対して別々に回転可能に支持された複数の従動回転部材と、
前記複数の従動回転部材に対応させて前記駆動回転部材に複数設けられ、径が大きい順又は小さい順に前記第1回転軸の軸方向に並べられて前記駆動回転部材と一体回転する複数の駆動歯車と、
各前記従動回転部材と一体回転可能に設けられ、各前記従動回転部材に対応した各前記駆動歯車に噛合した複数の従動歯車と、
遊技の進行状況に応じて前記駆動回転部材を回転駆動する駆動手段とを備え、
1つの前記駆動手段で前記複数の従動回転部材を異なる回転速度で回転するように連動させて遊技の演出を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数の従動回転部材及び前記ベース部材に形成されて、前記複数の従動回転部材を前記ベース部材に対して原点位置に配置したときに、前記第1回転軸と平行な従動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の従動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の従動側位置決孔を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記複数の従動回転部材においてそれぞれ隣り合った前記従動回転部材同士の間で相対移動可能な範囲を規制する相対移動規制ストッパ機構を設け、前記相対移動規制ストッパ機構が許容する相対移動可能な範囲内で各前記従動回転部材を回転させるように前記駆動手段を制御する駆動制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記相対移動規制ストッパ機構は、隣り合った前記従動回転部材のうち互いに重なり合った部分の一方に形成された扇状のストッパ受容孔と、他方から形成されて前記ストッパ受容孔に受容されたストッパ突部とからなることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
隣り合った前記従動回転部材同士が前記第2回転軸の軸方向で重なり合う重複面積が、前記駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って徐々に小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記複数の従動回転部材で扇子機構を構成し、閉じた状態の前記扇子機構が前記駆動回転部材が回動可能範囲の一端位置から他端位置に回動するに従って徐々に開かれるように構成したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記ベース部に略四角形の演出表示窓を形成し、その演出表示窓を通して視認可能な表示画面を有した表示器を設けると共に、前記扇子機構を対にしてそれら扇子機構の要部分を前記演出表示窓における1対の対角部分に配置し、
1対の前記扇子機構が閉じたときには、それら各扇子機構を構成する前記従動回転部材群が前記演出表示窓の1対の側辺部分に沿って延びた状態となり、1対の前記扇子機構が共に開かれると、それら扇子機構における各端部の前記従動回転部材の側縁部同士が接合されるように構成したことを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記1対の扇子機構の間で接合される1対の前記従動回転部材に半円孔を形成し、それら1対の従動回転部材が接合されると、前記半円孔同士が合体して円形孔になるように構成したことを特徴とする請求項7に記載の遊技機。
【請求項9】
前記1対の扇子機構の間で互いに接合される1対の前記従動回転部材の側縁部にマグネットを設け、前記マグネットの磁力により1対の前記従動回転部材の側縁部同士が引き付けられるようにしたことを特徴とする請求項7又は8に記載の遊技機。
【請求項10】
遊技者が視認可能な表示画面に演出画像を表示可能な表示器を備え、
前記従動回転部材の可動領域を、前記表示画面の前方に重ねて配置したことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項11】
前記第2回転軸を中心に有した固定支柱を前記ベース部材から突出させる一方、その固定支柱が回転可能に挿通された回転軸孔を前記複数の従動回転部材にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の遊技機。
【請求項12】
前記固定支柱を筒形構造としかつその周方向の一部に開口した側面貫通孔を設けると共に、前記従動回転部材に電気部品を備え、その電気部品に通電するための配線を、前記側面貫通孔から前記固定支柱の内部に配して、前記ベース部材に組み付けられている電気回路に接続したことを特徴とする請求項11に記載の遊技機。
【請求項13】
前記駆動回転部材は、前記ベース部材から前記固定支柱と同じ方向に突出して軸方向の一端部を前記ベース部材に支持されると共に、前記複数の駆動歯車は前記ベース部材側の一端部から他端部に向かって径が小さくなる順に並べられたことを特徴とする請求項11又は12に記載の遊技機。
【請求項14】
前記複数の従動回転部材に、前記第2回転軸の軸方向に重ねて配置する順番を付したことを特徴とする請求項1乃至13の何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項15】
ベース部材に対して第1回転軸を中心に回転可能な駆動回転部材と、
1つの前記駆動回転部材に対して複数設けられ、前記第1回転軸の軸方向に重ねて配置されて前記第1回転軸と直交する所定方向で別々に直動可能な複数の従動直動部材と、
前記複数の従動直動部材に対応させて前記駆動回転部材に複数設けられ、前記第1回転軸を中心とした同心円状又は同心円弧状に配置されかつ径が大きい順に前記第1回転軸の軸方向に並べられて前記駆動回転部材と一体回転する複数の駆動歯車と、
各前記従動直動部材に設けられ、各前記従動直動部材に対応した各前記駆動歯車に噛合した複数の従動ラックと、
遊技の進行状況に応じて前記駆動回転部材を回転駆動する駆動手段とを備え、
1つの前記駆動手段で前記複数の従動直動部材を異なる速度で直動するように連動させて遊技の演出を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項16】
前記複数の従動直動部材及び前記ベース部材に形成されて、前記複数の従動直動部材を前記ベース部材に対して原点位置に配置したときに、前記第1回転軸と平行な従動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の従動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の従動側位置決孔を備えたことを特徴とする請求項15に記載の遊技機。
【請求項17】
前記複数の駆動歯車の少なくとも1つは円弧状をなし、
前記複数の駆動回転部材及び前記ベース部材に形成されて、前記駆動回転部材を前記ベース部材に対して原点位置に配置したときに、前記第1回転軸と平行な駆動側ピン挿入軸に沿って同軸上に並び、位置合わせ用の駆動側位置決ピンを共通して挿入可能な複数の駆動側位置決孔を備えたことを特徴とする請求項2又は16に記載の遊技機。
【請求項18】
前記駆動手段はモータであり、そのモータによって回転駆動されるウォームギヤと、前記駆動回転部材と一体に回転する又は連動して回転し、前記ウォームギヤが噛合したウォームホイールとを備えたことを特徴とする請求項1乃至17の何れか1の請求項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−24234(P2012−24234A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164689(P2010−164689)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(599104196)株式会社サンセイアールアンドディ (597)
【Fターム(参考)】