説明

運動案内装置及び運動案内装置用アタッチメント

【課題】グリース潤滑及び油潤滑の両方に対応できる潤滑経路を備える運動案内装置を提供する。
【解決手段】運動案内装置の蓋部材106又は蓋部材に組み込まれる潤滑部材に、転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝122が掘られると共に、第一の潤滑剤供給溝122内にさらに、第一の潤滑剤供給溝122よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝123が掘られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル等の移動体が直線又は曲線運動するのを案内するリニアガイド、スプライン等の運動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブル等の移動体の直線運動や曲線運動を案内するための機械要素として、案内部分にボール、ローラ等の転動体を介在させた運動案内装置は、軽快な動きが得られるので、ロボット、工作機械、半導体・液晶製造装置、医療機器等、様々な分野で利用されている。
【0003】
運動案内装置の一種であるリニアガイドは、ベースに取り付けられる軌道レールと、軌道レールに相対運動可能に組み付けられると共に移動体が取り付けられる移動ブロックと、を備える。軌道レールには、長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される。移動ブロックには、転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、転動体を循環させる転動体循環経路が設けられる。軌道レールのボール転走部と移動ブロックの負荷ボール転走溝との間には、転動体が介在される。軌道レールに対して移動ブロックが相対的に直線運動すると、軌道レールと移動ブロックとの間に介在された転動体が転がり運動し、また転動体循環経路を循環する。
【0004】
このような転がり型の運動案内装置を使用する際には、良好な潤滑、すなわち、転動体と転動面の間に油の膜を作り、金属と金属が直接接触するのを防ぐ必要がある。無給油のままで使用すると、転動体及び転走面の摩耗が増加し、早期寿命の原因となるからである。
【0005】
潤滑剤には、グリース(リチウム系グリース、ウレア系グリースなど)と潤滑油(摺動面油又はタービン油、ISOVG32〜68など)の二種類がある。グリースと潤滑油とは、運動案内装置の使用環境に応じて使い分けられている。例えば、工作機械などのクーラントが飛散する環境では、摺動面油が用いられ、それ以外の高速運動部、真空環境、クリーンルーム仕様ではグリースが用いられる。
【0006】
運動案内装置の潤滑方法には、グリースガン、手動ポンプなどによる手動給脂方法と、自動ポンプによる強制給油方法がある。例えば図41に示される手動給脂方法では、グリースガン165を使用して、ニップル166から運動案内装置に定期的にグリースを給脂する。移動ブロックの端面に取り付けられるエンドプレート164には、転動体循環経路に繋がる潤滑剤供給経路が形成される。ニップル166にグリースを給脂すると、潤滑剤供給経路を介してグリースが転動体に塗布される(例えば、特許文献1参照)。図42に示されるように、強制給油方法は、自動ポンプにより定期的に一定量の潤滑油を強制的に給油する給油方法であり、主に潤滑油による潤滑に用いられる。この強制給油方法でも、手動給脂方法と同様に、ニップル166及びエンドプレート164の潤滑剤供給経路を介して転動体に潤滑油が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−083500号公報
【特許文献2】特開2004−353698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、潤滑油とグリースとでは、潤滑剤供給経路を流れるときの流れ易さがかなり異なる。グリースはゲル状で粘性が高い。それゆえ、低い圧力でグリースを供給するためには、潤滑剤供給経路の抵抗を小さくする必要がある。抵抗を小さくするためには、潤滑剤供給経路の断面積を大きく、かつ潤滑剤供給経路の長さを短くすればよい。
【0009】
他方、潤滑油は液体状であり、粘性が低くて、さらさらと潤滑剤供給経路を流れる。それゆえ、間欠的に潤滑油を潤滑剤供給経路に給油した後、時間を空けると、潤滑油が重力によって潤滑剤供給経路から流れ出てしまい、次に潤滑油を供給するときには、空っぽの潤滑剤供給経路に潤滑油を流すことになる。運動案内装置はさまざまな姿勢で使用され、転動体循環経路は四条等の複数の条数設けられるので、重力に反して潤滑剤を上げる潤滑剤供給経路もある。しかも、近年、環境への影響を考慮して、潤滑油の供給量も少量になりつつある。
【0010】
少量の潤滑油をグリース用の体積の大きな潤滑剤供給経路に流すと、潤滑剤供給経路が潤滑油で充満されずに圧力がかからない現象が生ずるので、全ての転動体循環経路に潤滑油を供給するのが困難になる。転動体循環経路は互いに独立しているから、全ての転動体循環経路に潤滑剤を供給する必要がある。全ての転動体循環経路に潤滑油を供給するためには、潤滑剤供給経路の体積を小さくする必要がある。そのためには、潤滑剤供給経路の断面積を小さく、かつ潤滑剤供給経路の長さを短くすればよい。
【0011】
つまり、潤滑剤としてグリースを供給するときには、潤滑剤供給経路の断面積を大きく、かつ潤滑剤供給経路を短くすればよく、その一方、潤滑剤として潤滑油を供給するときには、潤滑剤供給経路の断面積を小さく、かつ潤滑剤供給経路を短くすればよい。潤滑剤供給経路の長さを等しくとれば、グリース供給のときには、潤滑剤供給経路の断面積を大きくし、潤滑油供給のときには、潤滑剤供給経路の断面積を小さくしてやればよい。このように、グリース供給のときと、潤滑油供給のときとでは、潤滑剤供給経路に相反する断面積が必要になる。従来の運動案内装置では、グリース潤滑及び油潤滑の両方に対応できる最適な広さの潤滑経路が設計されていた。しかし、環境への影響を考慮して潤滑剤の使用量が低減するにつれ、グリース潤滑及び油潤滑の両方に対応できる潤滑経路の設計が困難になってきた。
【0012】
そこで本発明は、グリースを供給するときと潤滑油を供給するときの両方に対応できる運動案内装置及び運動案内装置用アタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものでない。
【0014】
請求項1に記載の発明は、長手方向に沿って伸びる転動体転走部(101a,141b)が形成される軌道部材(101,141)と、前記転動体転走部(101a,141b)に対向する負荷転動体転走部(105c,145d)が形成されると共に、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と略平行に伸びる転動体戻り通路(105d,147)を有する移動ブロック(104,142)と、前記移動ブロック(104,142)の移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と前記転動体戻り通路(5d,47)を接続する方向転換路(116)を有する蓋部材(106,146)と、前記負荷転動体転走部(105c,145d)、前記転動体戻り通路(105d,147)及び前記方向転換路(116)で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体(103,143)と、を備える運動案内装置において、前記蓋部材(106)又は前記蓋部材(146)に組み込まれる潤滑部材(152)に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝(122,155)が掘られると共に、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝(123,156)が掘られることを特徴とする運動案内装置である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運動案内装置において、前記第二の潤滑剤供給溝(123,156)の両側に、前記第二の潤滑剤供給溝(123,156)に沿って伸びると共に、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)の底面(131,155a)から突出するリブ部(132,157)が設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の運動案内装置において、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)には、前記第二の潤滑剤供給溝(123,156)を塞ぐことなく、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)を塞ぐことができるアタッチメント(126,129,158)が埋め込まれることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の運動案内装置において、前記アタッチメント(126,129,158)が、シート状の材料を打ち抜くことで製造されることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の運動案内装置において、前記アタッチメント(126,129,158)が、前記アタッチメント(126,129,158)が埋め込まれる前記蓋部材(106)又は前記潤滑部材(152)よりも軟質の弾性体からなることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の運動案内装置において、潤滑剤としてグリースが使用されるときには、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)に前記アタッチメント(126,129,158)が埋め込まれない一方、潤滑剤として潤滑油が使用されるときには、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)に前記アタッチメント(126,129,158)が埋め込まれることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の運動案内装置において、前記蓋部材(106)に前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝(122,123)が掘られ、前記蓋部材(106)が接触する前記移動ブロック本体(105)の端面と、前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝(122,123)が掘られる前記蓋部材(106)との間に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成されることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の運動案内装置において、前記潤滑部材(152)に前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝(155,156)が掘られ、前記潤滑部材(152)が接触する蓋部材(146)と、前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝(155,156)が掘られる前記潤滑部材(152)との間に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成されることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、長手方向に沿って伸びる転動体転走部(101a,141b)が形成される軌道部材(101,141)と、前記転動体転走部(101a,141b)に対向する負荷転動体転走部(105c,145d)が形成されると共に、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と略平行に伸びる転動体戻り通路(105d,147)を有する移動ブロック(104,142)と、前記移動ブロック(104,142)の移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部(5c,45d)と前記転動体戻り通路(105d,147)を接続する方向転換路(116)を有する蓋部材(106,146)と、前記負荷転動体転走部(105c,145d)、前記転動体戻り通路(105d,147)及び前記方向転換路(116)で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体(103,143)と、を備える運動案内装置において、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路を構成する潤滑剤供給経路構成部材(106,152)に、前記潤滑剤供給経路として、第一の潤滑剤供給溝(122,155)が掘られると共に、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝(123,156)が掘られることを特徴とする運動案内装置である。ここで、潤滑剤供給経路構成部材は、潤滑剤供給経路を構成できる部材であればよく、蓋部材(106)や、蓋部材(146)の内部に組み込まれる潤滑部材(152)である他、蓋部材(106)の外部に装着される部材や、蓋部材(106)とは分離して移動ブロックに装着される部材であってもよい。
【0023】
請求項10に記載の発明は、長手方向に沿って伸びる転動体転走部(101a,141b)が形成される軌道部材(101,141)と、前記転動体転走部(101a,141b)に対向する負荷転動体転走部(105c,145d)が形成されると共に、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と略平行に伸びる転動体戻り通路(105d,147)を有する移動ブロック(104,142)と、前記移動ブロック(104,142)の移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と前記転動体戻り通路(105d,147)を接続する方向転換路(116)を有する蓋部材(106,146)と、前記負荷転動体転走部(105c,145d)、前記転動体戻り通路(105d,147)及び前記方向転換路(116)で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体(103,143)と、を備え、前記蓋部材(106)又は前記蓋部材(146)に組み込まれる潤滑部材(152)に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝(122,155)が掘られると共に、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝(123,156)が掘られる運動案内装置用のアタッチメント(126,129,158)であって、前記アタッチメント(126,129,158)は、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)に埋め込むことができるように、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)の平面形状に合わせた平面形状を有し、そして、前記アタッチメント(126,129,158)は、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)に埋め込まれたとき、前記第二の潤滑剤供給溝(123,156)を塞ぐことなく、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)を塞ぐことを特徴とする運動案内装置用のアタッチメントである。
【0024】
請求項11に記載の発明は、長手方向に沿って伸びる転動体転走部(101a,141b)が形成される軌道部材(101,141)と、前記転動体転走部(101a,141b)に対向する負荷転動体転走部(105c,145d)が形成されると共に、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と略平行に伸びる転動体戻り通路(105d,147)を有する移動ブロック(104,142)と、前記移動ブロック(104,142)の移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部(105c,145d)と前記転動体戻り通路(105d,147)を接続する方向転換路(116)を有する蓋部材(106,146)と、前記負荷転動体転走部(105c,145d)、前記転動体戻り通路(105d,147)及び前記方向転換路(116)で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体(103,143)と、を備える運動案内装置の製造方法において、前記蓋部材(106)、又は前記蓋部材(146)に組み込まれる潤滑部材(152)に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝(122,155)を掘ると共に、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝(122,155)よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝(123,156)を掘る蓋部材又は潤滑部材成型工程と、前記蓋部材(106)、又は前記蓋部材(146)に組み込まれた前記潤滑部材(152)を、移動ブロック本体(105,145)に装着する蓋部材又は潤滑部材装着工程と、を備えることを特徴とする運動案内装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝及び第二の潤滑剤供給溝の双方に潤滑剤を流すことで、潤滑剤供給経路の断面積を大きくすることができる。その一方、第一の潤滑剤供給溝をアタッチメントで埋めれば、潤滑剤供給経路の断面積が第二の潤滑剤供給溝だけになるので、潤滑経路の断面積を小さくすることができる。よって、グリースを供給するときと潤滑油を供給するときの両方に対応できる潤滑剤供給経路が得られる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝にアタッチメントを埋め込んだとき、アタッチメントにかかる圧力がリブ部に接触する部分に集中するので、アタッチメントによる密閉性を高めることができる。また、リブ部を設けることにより、アタッチメントが変形して第二の潤滑剤供給溝を塞ぐのを防止することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝へのアタッチメントの埋込みの有無により、潤滑剤供給経路の断面積を大きくしたり、小さくしたりすることができる。また、蓋部材又は潤滑部材に第一の潤滑剤供給溝よりも掘り下げて第二の潤滑剤供給溝が形成されるので、アタッチメントの表面に溝を形成する必要がなくなり、アタッチメントの表面を平面にすることができる。よって、アタッチメントを樹脂成型しなくても製造することができ、アタッチメントの製造が容易になる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、アタッチメントを容易に製造することができる。アタッチメントの表面に溝を形成せずに平面にすることができるので、打ち抜きによる製造が可能になる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、アタッチメントの密閉性を向上することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、グリースを供給するとき、潤滑剤供給経路の断面積を大きくすることができる一方、潤滑油を供給するとき、潤滑剤供給経路の断面積を小さくすることができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、蓋部材と移動ブロックの端面との間に潤滑剤供給経路を形成することができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、潤滑部材と蓋部材との間に潤滑剤供給経路を形成することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝及び第二の潤滑剤供給溝の双方に潤滑剤を流すことで、潤滑剤供給経路の断面積を大きくすることができる。その一方、第一の潤滑剤供給溝をアタッチメントで埋めれば、潤滑剤供給経路の断面積が第二の潤滑剤供給溝だけになるので、潤滑経路の断面積を小さくすることができる。よって、グリースを供給するときと潤滑油を供給するときの両方に対応できる潤滑剤供給経路が得られる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝へのアタッチメントの埋込みの有無により、潤滑剤供給経路の断面積を大きくしたり、小さくしたりすることができる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、第一の潤滑剤供給溝及び第二の潤滑剤供給溝の双方に潤滑剤を流すことで、潤滑剤供給経路の断面積を大きくすることができる。その一方、第一の潤滑剤供給溝をアタッチメントで埋めれば、潤滑剤供給経路の断面積が第二の潤滑剤供給溝だけになるので、潤滑経路の断面積を小さくすることができる。よって、グリースを供給するときと潤滑油を供給するときの両方に対応できる潤滑剤供給経路が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるリニアガイドを示す分解斜視図
【図2】リニアガイドの循環構造部を示す図
【図3】エンドプレート本体及び潤滑経路部品を示す斜視図
【図4】エンドプレート本体を示す正面図
【図5】潤滑経路部品を嵌めたエンドプレート本体の正面図
【図6】移動ブロックに接触した潤滑経路部品を示す断面図
【図7】油潤滑用部品を嵌めたエンドプレート本体の正面図
【図8】グリース潤滑用部品を嵌めたエンドプレート本体の正面図
【図9】移動ブロックに接触した油潤滑用部品及びグリース潤滑用部品を示す断面図
【図10】潤滑経路部品のさらに他の例を示す断面図
【図11】循環経路部品のさらに他の例を示す断面図
【図12】本発明の第二の実施形態における運動案内装置に組み込まれるエンドプレート本体を示す分解斜視図
【図13】潤滑経路部品の斜視図(標準型と幅広型の二種類)
【図14】潤滑経路部品が嵌められたエンドプレート本体の正面図(標準型)
【図15】潤滑経路部品が嵌められたエンドプレート本体の正面図(幅広型)
【図16】移動ブロックに接触した潤滑経路部品を示す断面図
【図17】エンドプレート及び潤滑経路部品の他の例を示す図
【図18】潤滑経路部品の断面図
【図19】潤滑経路部品の他の例の断面図
【図20】潤滑経路部品の他の例の断面図
【図21】本発明の第三の実施形態の運動案内装置の斜視図(一部断面図を含む)
【図22】運動案内装置の断面図(軌道レールと直交する方向の断面図)
【図23】ボール循環経路の断面図
【図24】エンドプレートの正面図
【図25】図24のIIXV部拡大図
【図26】アタッチメントの平面図
【図27】アタッチメントの平面図
【図28】アタッチメントが埋め込まれたエンドプレートの平面図
【図29】アタッチメントが埋め込まれたエンドプレートの斜視図
【図30】アタッチメントが埋め込まれたエンドプレートの断面図
【図31】図25のIIIXI-IIIXI線断面図
【図32】潤滑油用の潤滑剤供給経路を示す(移動ブロックの側面図)
【図33】潤滑油用の潤滑剤供給経路を示す(エンドプレートの平面図)
【図34】本発明の第四の実施形態における運動案内装置の斜視図(一部断面図を含む)
【図35】運動案内装置の正面図(一部断面図を含む)
【図36】潤滑プレートの平面図
【図37】図36のIIIXVII-IIIXVII線断面図
【図38】アタッチメントの平面図
【図39】潤滑プレートにアタッチメントを埋め込んだ状態の断面図
【図40】潤滑油用の潤滑剤供給経路を示す(移動ブロックの側面図)
【図41】従来のグリースガンを用いた潤滑方法を示す斜視図
【図42】従来の自動ポンプを用いた強制給油方法を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1及び図2は、本発明の一実施形態における運動案内装置としてリニアガイドを示す。図1はリニアガイドの分解斜視図を示し、図2はリニアガイドの循環構造を示す。
【0038】
リニアガイドは、軌道部材として直線状に延びる軌道レール1と、この軌道レール1に多数の転動体としてのローラ3を介して移動自在に設けられた移動ブロック2とを備えて、移動物体が直線運動するのを案内する。この実施形態では、高剛性を実現するために転動体に弾性変形の少ないローラ3を使用するが、勿論、転動体にはボールを使用してもよい。
【0039】
軌道レール1は、断面略四角形状で細長く直線状に延ばされる。軌道レール1の左右側面には、長手方向に沿って壁面1b及び底面1cを有する溝1aが形成される。上側の壁面1b及び下側の壁面1bそれぞれが、ローラ3が転走するローラ転走面とされる。軌道レール1の左右側面には、上下に二条ずつ合計四条の転動体転走部としてのローラ転走面1bが設けられる。これらのローラ転走面1bをローラ3が転走するので、ローラ転走面1bを焼き入れ後、研削加工するなど、ローラ転走面1bはその強度及び表面粗さを注意して製作される。
【0040】
移動ブロック2は、軌道レール1の上面に対向する中央部2aと、中央部2aの左右両側から下方に延びて軌道レール1の左右側面に対向する側壁部2bと、を備える。移動ブロック2の側壁部2bには、軌道レール1の側面に設けた溝1aに形状を合わせた突出部2cが形成される。この突出部2cには、ローラ転走面1bに対応する負荷転動体転走部としての負荷ローラ転走面2dが形成される。負荷ローラ転走面2dは、移動ブロック2の左右側壁部2bの上下に二条ずつ合計四条設けられる。この負荷ローラ転走面2dもローラ3が転走するので、負荷ローラ転走面2dを焼き入れ後、研削加工するなど、負荷ローラ転走面2dはその強度及び表面粗さを注意して製作される。
【0041】
軌道レール1のローラ転走面1bと移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dとの間には鋼製の複数のローラ3が介在される。複数のローラ3は保持器10に一連に回転・摺動自在に保持されている。
【0042】
移動ブロック2の側壁部2bには、上下二条の負荷ローラ転走面2dから所定間隔を隔てて平行に伸びる貫通孔14が形成される。この貫通孔14にローラ戻し通路8を構成するローラ戻し通路構成部材15が挿入される。ローラ戻し通路構成部材15は、細長のパイプ形状の部材を軸線方向に沿って二分割した一対のパイプ半体からなる。ローラ戻し通路構成部材15の内周には、ローラ戻し通路8が形成される。ローラ戻し通路構成部材15は、貫通孔14に挿入された後、その両端部がエンドプレート5に支持されて、移動ブロック2に固定される。
【0043】
移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dの両側縁には、長尺の樹脂製の保持部材11,12,13が取り付けられる。保持部材11,12,13には、軌道レール1から移動ブロック2を外した際に負荷ローラ転走面2dからローラ3が脱落するのを防止できるように、保持器10を案内する案内溝が形成されている。第1保持部材11は、下側の負荷ローラ転走面2dを移動する保持器10の下側を案内する。第2保持部材12は、下側の負荷ローラ転走面2dを移動する保持器10の上側を案内すると共に、上側の負荷ローラ転走面2dを移動する保持器10の下側を案内する。第3保持部材13は、上側の負荷ローラ転走面2dを移動する保持器10の上側を案内する。
【0044】
軌道レール1のローラ転走面1bと移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dから構成される負荷ローラ転走路7−1,7−2(図2参照)は、移動ブロック2の左右の側壁部2bそれぞれに二つずつ設けられる。ローラ戻し通路構成部材15から構成されるローラ戻し通路8−1,8−2(図2参照)も、移動ブロック2の左右の側壁部2bの上下に二条ずつ設けられる。エンドプレート5には、この負荷ローラ転走路7−1,7−2とローラ戻し通路8−1,8−2とを立体交差させる方向転換路6−1,6−2が設けられる。
【0045】
蓋部材としてのエンドプレート5は、移動ブロック2の移動方向の両端面に取付けられる。エンドプレート5は、移動ブロック2と断面形状を合わせていて、水平部5aと側壁部5bとを備える(図1参照)。図2に示されるように、側壁部5bの外側方向転換路6−1は、下側の負荷ローラ転走路7−1と上側のローラ戻し通路8−1を接続する。側壁部5bの内側方向転換路6−2は、上側の負荷ローラ転走路7−2と下側のローラ戻し通路8−1を接続する。すなわち外側方向転換路6−1及び内側方向転換路6−2は、負荷ローラ転走路7とローラ戻し通路8とを立体交差するように接続している。図1に示されるように、外側方向転換路6−1及び内側方向転換路6−2は、エンドプレート5、内外方向転換路構成部材24及び内側方向転換路構成部材30により構成される。なお、図2の左側の図では、エンドプレート5から内外方向転換路構成部材24及び内側方向転換路構成部材30を取り外している状態を示している。
【0046】
内外方向転換路構成部材24は、全体形状が略U字形状に形成される。内外方向転換路構成部材24の外周側には外側方向転換路6−1の内周側が形成され、内周側には内側方向転換路6−2の外周側が形成される。そして、内外方向転換路構成部材24をエンドプレート5に嵌め込むと、エンドプレート5に形成される外側方向転換路6−1の外周側と、内外方向転換路構成部材24の外周側とで外側方向転換路6−1が構成される。また、エンドプレート5に形成される内側方向転換路6−2の外周側と共に内側方向転換路6−2の外周側が構成される。
【0047】
内側方向転換路構成部材30は、円柱を半分に割ったような形状をなし、その外周面に内側方向転換路の内周側が形成される。エンドプレート5に内外方向転換路構成部材24を嵌め込んだ後、この内側方向転換路構成部材30をエンドプレート5に嵌め込むと、エンドプレート5と内側方向転換路構成部材30とにより内側方向転換路6−1が構成される。
【0048】
内外方向転換路構成部材24と内側方向転換路構成部材30との間には、保持器案内部材29が組み込まれる。エンドプレート5と内外方向転換路構成部材24で内側方向転換路の外周側を構成すると、エンドプレート5と内外方向転換路構成部材24の継ぎ目で段差が発生する。保持器案内部材29は、内側方向転換路6−2の外周側に発生するこの段差を回避するために設けられる。保持器案内部材29は全体がU字形状に形成され、内側方向転換路6−2の外周側の全長に亘って伸びる。
【0049】
リニアガイドの組立方法について説明する。まず移動ブロック2に、保持部材11,12,13、戻し通路構成部材15を組み込む。次に、エンドプレート5に内外方向転換路構成部材24、保持器案内部材29、内側方向転換路構成部材30を順次嵌め込み、移動ブロック2の端面の一方にエンドプレート5を取付ける。この状態で保持器10に一列に保持されたローラ3を内側及び外側の循環路に挿入する。最後に、移動ブロック2の反対側の端面に内側方向転換路構成部材30、保持器案内部材29、内外方向転換路構成部材24、エンドプレート5を順次取付ける。
【0050】
移動ブロック2を軌道レール1に対して相対的に移動させると、複数のローラ3は、軌道レール1のローラ転走面1bと移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dとの間の負荷ローラ転走路を転がり運動する。移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dの一端まで転がったローラ3は、図2に示されるように、エンドプレート5に設けられた掬上げ部5cで掬い上げられ、U字状の方向転換路6を経由した後、負荷ローラ転走路7と平行に伸びるローラ戻し通路8に入る。ローラ戻し通路8を通過したローラ3は、反対側の方向転換路を経由した後、再び負荷ローラ転走路7に入る。ローラ3は、これら負荷ローラ転走路7、方向転換路6及びローラ戻し通路8で構成されるサーキット状のローラ循環路を循環する。サーキット状の循環経路は内側と外側の二つがあるので、内側及び外側それぞれの循環経路をローラ3が循環する。
【0051】
このような転がり型の運動案内装置を使用する際には、ローラ3と、ローラ転走面1b,負荷ローラ転走面2dの間に油の膜を作り、金属と金属が直接接触するのを防ぐ必要がある。このためエンドプレート5には、ローラ3に潤滑剤を供給するための潤滑経路が設けられる。本実施形態では、図1に示されるように、潤滑経路を構成する潤滑経路部品39がエンドプレート5とは別体に設けられ、そしてエンドプレート5に着脱可能に嵌め込まれている。すなわち、図3に示されるように、エンドプレート5は、潤滑経路溝33が形成される潤滑経路部品39と、嵌合溝35が形成される蓋部材本体としてのエンドプレート本体32とで構成される。
【0052】
図4は、エンドプレート本体32の正面図を示す。エンドプレート本体32の中央には、エンドプレート本体32を表から裏に貫通する潤滑剤供給孔34が空けられる。この潤滑剤供給孔34の裏面側の端部に、グリースガンや給油ポンプで潤滑剤を供給するためのニップルが取付けられる。エンドプレート本体32の裏面側にニップルをつけるスペースが取れない場合、エンドプレート本体32の側面に、ニップルが取付けられる側面潤滑剤供給孔37が空けられる。この側面潤滑剤供給孔37は、エンドプレート本体32の表面に形成される嵌合溝35に繋がる。
【0053】
エンドプレート本体32の表面には、潤滑剤供給孔34に繋がると共に左右方向に伸びる嵌合溝35が形成される。嵌合溝35は、軌道レール1の軸線方向からみて左右対称に形成され、最終的には循環構造部36に到る。すなわち嵌合溝35は、潤滑剤供給孔34から左右方向に伸びる水平溝35aと、水平溝35aの両端部から循環構造部36に向かって下方向に折れ曲がる垂直溝35bとを有し、最終的には循環構造部36に達する。
【0054】
図3に示されるように、潤滑経路部品39は、軌道レール1の軸線方向からみて左右対称に二分割される。これにより、左側の嵌合溝35に嵌められる分割潤滑経路部品31を裏返して、右側の嵌合溝35に嵌めることができる。各分割潤滑経路部品31は、嵌合溝35の水平溝35aに形状を合わせた水平部31aと、垂直溝35bに形状を合わせた垂直部31bを有する。そして、各分割潤滑経路部品31には、表面にも裏面にも潤滑経路溝33が形成される。
【0055】
図6に示されるように、分割潤滑経路部品31を移動ブロック2の端面に接触させたときに、移動ブロック2と潤滑経路溝33との間に潤滑経路38が形成される。表面にも裏面にも潤滑経路溝33を形成したのは、エンドプレート5の左側の嵌合溝35に嵌められる分割潤滑経路部品31を裏返して右側の嵌合溝35に嵌めても、潤滑経路38を構成できるようにするためである。なお、この実施形態では、互いに接触させた分割潤滑経路部品31と移動ブロック2とにより潤滑経路を構成しているが、互いに接触させた分割潤滑経路部品31とエンドプレート本体32とにより潤滑経路を構成してもよい。さらに、表側の潤滑経路溝33の広さと、裏側の潤滑経路溝33の広さとを異ならせてもよい。この場合、グリース潤滑のときには、二つの分割潤滑経路部品31をエンドプレート5の左右対称の嵌合溝35の左側にも右側にも嵌め、広い方の潤滑経路溝33を移動ブロック2の端面に接触させる。一方、油潤滑のときには、二つの分割潤滑経路部品31を裏返してエンドプレート5の嵌合溝35の左側にも右側にも嵌め、狭い方の潤滑経路溝33を移動ブロック2の端面に接触させる。
【0056】
図5は、分割潤滑経路部品31を嵌めたエンドプレート本体32の正面図を示す。エンドプレート本体32を移動ブロック2の端面に取付けると、分割潤滑経路部品31がエンドプレート本体32と移動ブロック2との間に挟まれて固定される。このとき、上述したように、分割潤滑経路部品31が移動ブロック2の端面に接触して、分割潤滑経路部品31の潤滑経路溝33と移動ブロック2の端面との間に潤滑経路38が形成される。ニップルから潤滑剤を注入すると、潤滑剤はエンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34、潤滑経路部品39の潤滑経路38を経由して、循環構造部36に到る。循環構造部36では、ローラ3が方向転換しているので、ローラ3に潤滑剤が塗布される。潤滑剤が塗布されたローラ3は、軌道レール1のローラ転走面1b及び移動ブロック2の負荷ローラ転走面2dを転がるので、これらにも潤滑剤が塗布される。
【0057】
分割潤滑経路部品31をエンドプレート本体32の嵌合溝35に嵌めないときは、エンドプレート本体32を移動ブロック2に取付けると、エンドプレート本体32が移動ブロック2の端面に接触して、エンドプレート本体32と移動ブロック2により潤滑経路(嵌合溝35)が構成される。ニップルから潤滑剤を注入すると、潤滑剤はエンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34、エンドプレート本体32の嵌合溝35と移動ブロック2の端面との間の潤滑経路を経由して、循環構造部36に到る。
【0058】
運動案内装置の潤滑剤としては、グリース(例えば、リチウム系グリース、ウレア系グリース)と潤滑油(例えば、摺動面油又はタービン油、ISOVG32〜68)の二種類がある。これらは相反する特性を持つので、潤滑剤としてグリースを使用するときは潤滑経路が広く、潤滑剤として潤滑油を使用するときには潤滑経路が狭い方が望ましい。潤滑剤としてグリースを使用するグリース潤滑のときには、エンドプレート本体32の嵌合溝35に分割潤滑経路部品31を嵌めないで、エンドプレート本体32の嵌合溝35を潤滑経路として利用する。その一方、潤滑剤として潤滑油を使用する油潤滑のときには、エンドプレート本体32の嵌合溝35に分割潤滑経路部品31を嵌めて潤滑経路を狭くする。こうすることで、いずれの場合でも、容易に(低圧力且つ少量の潤滑剤供給量で)循環構造部36を潤滑することができる。
【0059】
油潤滑のときには潤滑経路を狭くし、グリース潤滑のときには潤滑経路を広くする方法には、潤滑経路部品39を嵌めたり、嵌めなかったりすること以外にも下記に記載するように様々なものがある。図7ないし図9は、潤滑経路部品39の他の例を示す。図7及び図8は潤滑経路部品41,42を嵌めたエンドプレート本体32を示す。いずれの潤滑経路部品41,42も嵌合溝35の形状に一致され、嵌合溝35に隙間なく嵌っている。そして、この例の潤滑経路部品41,42には、図7に示されるように、狭い油潤滑経路溝41aが形成された油潤滑用部品41と、図8に示されるように、油潤滑経路溝41aよりも広いグリース潤滑経路溝42aが形成されたグリース潤滑用部品42の少なくとも二種類がある。
【0060】
図7に示されるように、油潤滑用部品41は、エンドプレート本体32の嵌合溝35に形状を合わせて、左右に細長く伸びる。油潤滑用部品41の表側には、左右方向に細長く伸びる油潤滑経路溝41aが形成される。油潤滑用部品41の中央部には、エンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34(図4参照)に繋がる連絡孔41bが空けられる。この連絡孔41bは油潤滑経路溝41aとも繋がっている。油潤滑用部品41を嵌めたエンドプレート本体32を移動ブロック2の端面に取付けると、油潤滑用部品41がエンドプレート本体32と移動ブロック2との間に挟まれて固定される。このとき、図9に示されるように、油潤滑用部品41が移動ブロック2の端面に接触して、油潤滑用部品41の油潤滑経路溝41aと移動ブロック2の端面との間に潤滑経路43が形成される。ニップルから潤滑油を注入すると、潤滑油はエンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34、油潤滑用部品41の連絡孔41b、油潤滑用部品41の油潤滑経路溝41aを経由して、循環構造部に到る。
【0061】
図8に示されるように、グリース潤滑用部品42は、エンドプレート本体32の嵌合溝35に形状を合わせて、左右に細長く伸びる。グリース潤滑用部品42の表側には、左右方向に細長く伸びるグリース潤滑経路溝42aが形成される。このグリース潤滑経路溝42aは、油潤滑用部品41の油潤滑経路溝41aよりも断面積が広い(溝幅が大きく、溝深さが深い)。グリース潤滑用部品42の中央部には、エンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34(図4参照)に繋がる連絡孔42bが空けられる。この連絡孔42bはグリース潤滑経路溝とも繋がっている。
【0062】
油潤滑用部品41と同様に、グリース潤滑用部品42を嵌めたエンドプレート本体32を移動ブロック2の端面に取付けると、グリース潤滑用部品42がエンドプレート本体32と移動ブロック2との間に挟まれて固定される。このとき、図9に示されるように、グリース潤滑用部品42が移動ブロック2の端面に接触して、グリース潤滑用部品42のグリース潤滑経路溝42aと移動ブロック2の端面との間に潤滑経路44が形成される。ニップルからグリースを注入すると、グリースがエンドプレート本体32の潤滑剤供給孔34、グリース潤滑用部品42の連絡孔42b、グリース潤滑用部品42のグリース潤滑経路溝42aを経由して、循環構造部36に到る。
【0063】
図10は、潤滑経路部品のさらに他の例を示す。この例の潤滑経路部品45には、その表面45a側に狭い油潤滑経路溝46が形成され、その裏面45b側に油潤滑経路溝46よりも広いグリース潤滑経路溝47が形成される。そして、潤滑剤として潤滑油を使用する油潤滑のときには、図10(A)に示されるように、エンドプレート本体32に潤滑経路部品45を嵌め、油潤滑経路溝46の表面45aを移動ブロック2の端面に接触させて、潤滑経路部品45の油潤滑経路溝46を潤滑経路48として利用する。一方、潤滑剤としてグリースを使用するグリース潤滑のときには、図10(B)に示されるように、エンドプレート本体32に潤滑経路部品45を嵌め、油潤滑経路溝46の裏面45bを移動ブロック2の端面に接触させて、潤滑経路部品45のグリース潤滑経路溝47を潤滑経路48として利用する。
【0064】
この例の他にも、油潤滑のときには潤滑経路を狭くし、グリース潤滑のときには潤滑経路を広くする方法として、エンドプレート本体32の嵌合溝35に断面積が狭いものと、広いものの二種類を用意し、嵌合溝35をそのまま潤滑経路として利用してもよい。
【0065】
図11は、潤滑経路部品59のさらに他の例を示す。図3及び図6に示される潤滑経路部品39においては、潤滑経路部品39が移動ブロック2の端面に接触することで、潤滑経路部品39と移動ブロック2との間に潤滑経路38が形成される。これに対しこの例では、潤滑経路部品59がエンドプレート本体32に接触することで、潤滑経路部品59とエンドプレート本体32との間に潤滑経路38が形成される。潤滑経路部品59には、潤滑経路溝59aが掘られる。このように、潤滑経路38は、移動ブロック2と潤滑経路部品38との間に形成されてもよいし、エンドプレート本体32と潤滑経路部品59との間に形成されてもよい。
【0066】
図12乃至図16は、本発明の第二の実施形態における運動案内装置のエンドプレートを示す。エンドプレート以外の軌道レール1、移動ブロック2等の構成部品には、図1に示される第一の実施形態の運動案内装置と同一のものが使用されるから、エンドプレートのみについて説明する。
【0067】
エンドプレートは、潤滑経路を構成する潤滑経路溝が形成される潤滑経路部品52(図13参照)と、潤滑経路部品が嵌められる嵌合溝53が形成されるエンドプレート本体51と、を有する。図12に示されるように、エンドプレート本体51は、軌道レール1の左右側面に対向し、方向転換路6が設けられる一対の脚部部品51bと、軌道レール1の上面に対向し、一対の脚部部品51b間に介在される中央部部品51aと、に三分割されている。中央部部品51aには、標準型用中央部部品51a−2、及び標準型用中央部部品51a−2よりも横幅の広い幅広型用中央部部品51a−1の少なくとも二種類がある。一対の脚部部品51b間に標準型用中央部部品51a−2を挟むと、標準型のエンドプレート本体51が得られる。一方、一対の脚部部品51b間に幅広型用中央部部品51a−1を挟むと、幅広型のエンドプレート本体51が得られる。
【0068】
運動案内装置の型番によっては、エンドプレート本体51の循環構造が同じで、軌道レール1の軸線方向からみたときの横幅寸法のみが異なる標準型と幅広型とがある。エンドプレート5を軌道レール1の左右側面に対向し、方向転換路が設けられる一対の脚部部品51bと、軌道レール1の上面に対向し、一対の脚部部品51b間に介在される中央部部品51aとに三分割することで、標準型と幅広型の二種類のエンドプレート5で一対の脚部部品51bを共通化することができる。したがって、脚部部品51bの金型の共通化が可能になり、金型費を抑えることができる。ただし、標準型と幅広型とで中央部部品51aを二種類用意しなければならない。しかし、中央部部品51aは循環構造を有しないし、形状が単純なので、金型での製造が容易である。
【0069】
エンドプレート本体51には、潤滑剤供給孔34から左右方法に伸びる嵌合溝53が形成される。嵌合溝53の左右の端には、さらに左右方向に幅狭の潤滑経路溝54が形成される。潤滑経路溝54は途中から下方向に伸び、方向転換路6に達する。エンドプレート本体51は、嵌合溝53を切断する位置で三分割に分割されている。
【0070】
図13は、エンドプレート本体51の嵌合溝53に嵌められる潤滑経路部品52の斜視図を示す。潤滑経路部品52にも標準型52−1と標準型52−1よりも横に長い幅広型52−2の二種類が用意される。潤滑経路部品52の平面形状は、嵌合溝53の形状に合せて略矩形状である。潤滑経路部品52の表面には、左右方向に伸びる潤滑経路溝55が形成される。潤滑経路部品52の中央部には、エンドプレート本体51の潤滑剤供給孔34に繋がる連絡孔56が形成される。この連絡孔56は潤滑経路溝55にも繋がる。
【0071】
図14及び図15は、潤滑経路部品52が嵌められたエンドプレート本体51を示す。図14は標準型を示し、図15は幅広型を示す。嵌合溝53に嵌められた潤滑経路部品52は、分割されたエンドプレート本体51の合せ目51dを跨ぐ。潤滑経路部品52を嵌合溝53に嵌めると、潤滑経路部品52の連絡孔56がエンドプレート本体51の潤滑剤供給孔34に繋がり、潤滑経路部品52の両端部の潤滑経路溝55がエンドプレート本体51の潤滑経路溝54に繋がる。
【0072】
エンドプレートの製造方法について説明する。まず、潤滑経路溝55が形成される潤滑経路部品52と、潤滑経路部品52が嵌められる嵌合溝53が形成されると共に嵌合溝53を切断する位置で二分割以上に分割されたエンドプレート本体51a,51bを射出成形する。次に、分割されたエンドプレート本体51a,51bを接着、ボルト結合等の結合手段により結合する。次に、エンドプレート本体51a,51bの嵌合溝53に、分割されたエンドプレート本体51a,51bの合せ目51dを跨ぐように潤滑経路部品52を嵌める。最後に、エンドプレート本体51を移動ブロック2の端面に取付ける。
【0073】
潤滑経路部品52を嵌めたエンドプレート本体51を移動ブロック2の端面に取付けると、潤滑経路部品52がエンドプレート本体51と移動ブロック2との間に挟まれて固定される。このとき、図16に示されるように、潤滑経路部品52−1,52−2が移動ブロック2の端面に接触して、潤滑経路部品52−1,52−2の潤滑経路溝55と移動ブロック2の端面との間に潤滑経路58が形成される。ニップルから潤滑剤を注入すると、潤滑剤はエンドプレート本体51の潤滑剤供給孔34、潤滑経路部品52−1,52−2の連絡孔56、潤滑経路部品52−1,52−2の潤滑経路溝55を経由して、方向転換路6に到る。潤滑経路58は、潤滑経路部品52−1,52−2の潤滑経路溝55と移動ブロック2の端面との間に構成されるので、エンドプレート本体51を分割しても、潤滑経路58にエンドプレート本体51の合せ目51dが生じなくなり、合せ目51dから潤滑剤が漏れなくなる。
【0074】
図17は、エンドプレート及び潤滑経路部品の他の例を示す。上記第一の実施形態の運動案内装置においては、図1に示されるように、エンドプレート5に、立体交差する方向転換路を構成する方向転換路構成部材として、内外方向転換路構成部材24及び内側方向転換路構成部材30(以下、方向転換路構成部材30という)とが組み込まれている。図17の上側の図は、方向転換路構成部材30が組み込まれたエンドプレート本体5の正面図を示す。エンドプレート本体5は、ベース部72と、ベース部72に組み込まれる方向転換路構成部材33とに分割される。これにより、エンドプレート本体32の嵌合溝35も、ベース部72と方向転換路構成部材30の合せ目73で切断され、合せ目73においてすきまが生ずる。嵌合溝35には、合せ目73を跨ぐように潤滑経路部品71が嵌められる。薄板状の潤滑経路部品71は嵌合溝35と同じ平面形状である。
【0075】
図18の断面図に示されるように、潤滑経路部品71はその裏面が平面に形成され、表面に潤滑経路溝74が掘られる。潤滑経路部品71をエンドプレート本体の嵌合溝35に嵌め込むと、潤滑経路部品71の上面にすきまの無い面が形成される。潤滑経路部品71に掘られる潤滑経路溝74を潤滑経路として利用すると、潤滑経路には合せ目が生じなくなる。よって、潤滑剤が潤滑経路の合わせ目から漏れることもない。
【0076】
図19は、潤滑経路部品71の他の例を示す。潤滑経路部品71の断面形状を、底と側壁とから構成されるU字形状にすることで、嵌合溝35の底面だけでなく、側面も橋渡しすることができる。よって、すきまをよりなくすことができる。
【0077】
図20は、潤滑経路部品71の他の例を示す。この例では、軟質の二つの潤滑経路部品71a,71bを重ね、その間に潤滑経路を形成している。軟質の二つの潤滑経路部品71a,71bを重ねることで、潤滑経路の密封性を向上させることができる。なお、潤滑経路部品71が接触するのが移動ブロック2の端面だと、加工精度がよいので、一つの潤滑経路部品でも潤滑経路の密封性を向上することができる。潤滑経路部品71が接触するのが成型品だと、加工精度を期待できないので、この例のように二つの潤滑経路部品71a,71bを重ねるのが望ましい。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。例えば上記の実施形態では、互いに接触する潤滑経路部品の潤滑経路溝と移動ブロックの端面との間で潤滑経路を形成しているが、潤滑経路部品単独で、すなわち潤滑経路部品の内部に貫通孔からなる潤滑経路を形成してもよい。また、転動体としてはローラのみならずボールの適用も可能であり、移動ブロック、軌道レールの形状・構造は種々変更可能である。さらに上記実施の形態では、移動ブロックが直線的に運動するリニアガイドについて説明したが、本発明は曲線運動を案内する曲線運動案内装置に適用することもできる。さらに、本発明はボールスプライン、ローラスプライン等のスプラインにも適用することができる。
【0079】
図21及び図22は、本発明の第三の実施形態における運動案内装置を示す。図21は運動案内装置の斜視図を示し、図22は運動案内装置の断面図を示し、図23は運動案内装置のボール循環経路の断面図を示す。この実施形態の運動案内装置は、リニアガイドと呼ばれ、ベースに対してテーブル等の移動体が往復直線運動するのを案内する。案内部分には、転動体として複数のボールが介在される。
【0080】
ベースには、軌道部材としての軌道レール101が取り付けられる。軌道レール101には、軌道レール101をボルト等の結合手段によりベースに固定するための取付け孔102が空けられる。軌道レール101は、断面略四角形状で細長く直線状に伸びる。軌道レール101の左右側面には、転動体転走部として、長手方向に沿って伸びる例えば二条のボール転走溝101aが形成される。ボール転走溝101aの断面形状は単一の円弧からなるサーキュラーアーチ溝形状であるか、二つの円弧からなるゴシックアーチ溝形状である。ボール転走溝101aの条数、ボール転走溝とボールとの接触角は、運動案内装置の負荷荷重に応じてさまざまに設定される。ボール103が転がり運動するので、ボール転走溝101aは表面粗さが小さくかつ強度が強くなるように加工される。
【0081】
図22に示されるように、軌道レール101には、移動ブロック104が複数のボール103を介して相対運動可能に組み付けられる。移動ブロック104は、金属製の移動ブロック本体105と、移動ブロック104の移動方向の両端部に設けられる樹脂製の一対のエンドプレート106とから構成される。移動ブロック本体105は、その全体が鞍形状に形成され、軌道レール101の上面に対向する中央部105aと、中央部105aの幅方向の両端部から下方に垂れさがり、軌道レール101の左右側面に対向する側壁部105bと、を有する。移動ブロック本体105の左右それぞれの側壁部105bの内面には、軌道レール101のボール転走溝101aに対向する負荷転動体転走溝として、上下に二条の負荷ボール転走溝105cが形成される。この負荷ボール転走溝105c上も複数のボール103が転がり運動するので、負荷ボール転走溝105cは表面粗さが小さくかつ強度が大きくなるように加工される。
【0082】
図21に示されるように、複数のボール103はボール循環経路ごとに、リテーナバンド108によって一連に連結される。複数のボール103間には円筒形状の複数のスペーサ108aが介在される。複数のスペーサ108aはその側面が一対の帯状の連結部108bによって連結される。帯状の連結部108b及び複数のスペーサ108aによって、リテーナバンド108には、ボール103を保持するためのポケットが形成される。図22に示されるように、ボール103の進行方向からみて連結部108bはボール103よりも外側にはみ出す。移動ブロック本体105の負荷ボール転走溝105cの両側には、このボール103よりもはみ出した連結部108bを案内するための案内溝110が加工される。案内溝110は、移動ブロック本体に一体に成型した樹脂成型体111に加工される。この案内溝110は、軌道レール101から移動ブロック104を外した際に移動ブロック104の負荷ボール転走溝105cからボール103が脱落するのを防止する。
【0083】
図22に示されるように、移動ブロック本体105の左右それぞれの側壁部105bには、転動体戻り通路として、負荷ボール転走溝105cと平行に伸びるボール戻り通路105dが設けられる。ボール戻り通路105dは負荷ボール転走溝105cと同じ数だけ設けられる。ボール戻り通路105dの直径はボール103の直径よりも大きいので、ボール戻り通路105dではボール103が荷重を受けることがない。ボール103は、後続のボール103に押されながら、又はリテーナバンド108を介して前方のボール103に引っ張られながら、ボール戻り通路105dを移動する。ボール戻り通路105dは、移動ブロック本体105に空けた貫通孔112内に樹脂成型体113を一体に成型することで形成される。ボール戻り通路105dにも、リテーナバンド108の連結部108bを案内するための案内溝114が加工される。
【0084】
移動ブロック本体105の移動方向の両端には、蓋部材として、エンドプレート106が装着される。図23に示されるように、エンドプレート106には、負荷ボール転走溝105cとボール戻り通路105dを接続するU字状の方向転換路116が形成される。より詳しくは、エンドプレート106には、方向転換路116の外周側が形成される。移動ブロック本体105の端面には、方向転換路116の内周側を構成するRピース部117が一体に射出成型される。エンドプレート106とRピース部117とを組み合わせて方向転換路116が形成される。
【0085】
直線状に伸びる負荷ボール転走溝105c、負荷ボール転走溝105cと平行に伸びるボール戻り通路105d、並びに負荷ボール転走溝105cとボール戻り通路105dとを接続するU字状の方向転換路116によって、サーキット状のボール循環経路が形成される。このボール循環経路にリテーナバンド108に保持された複数のボール103が配列・収容される。移動ブロック104を軌道レール101に対して相対的に移動させると、複数のボール103が、軌道レール101のボール転走溝101aと移動ブロック104の負荷ボール転走溝105cとの間の負荷ボール転走路を転がり運動する。移動ブロック104の負荷ボール転走溝105cの一端まで転がったボール103は、エンドプレート106に設けられた掬上げ部で掬い上げられ、U字状の方向転換路116を経由した後、ボール戻り通路105dに入る。ボール戻り通路105dを通過したボールは、反対側の方向転換路116を経由した後、再び負荷ボール転走路に入る。サーキット状のボール循環経路は合計で四つ独立して設けられる。
【0086】
図24はエンドプレート106の平面図を示し、図25は図24のIIXV部拡大図を示す。エンドプレート106には、エンドプレート106を移動ブロック104の移動方向に貫通する貫通孔121が空けられる。貫通孔121には、ニップルを取り付けるためのねじ孔が加工される(図21参照)。移動ブロック本体105の端面に接触するエンドプレート106の端面には、貫通孔121に繋がる第一の潤滑剤供給溝122が掘られる。第一の潤滑剤供給溝122は、エンドプレート106の中心線に対して対称であり、貫通孔121から左右方向に伸びる。そして、エンドプレート106の左右の側壁部106bに設けられる方向転換路116に向かって下方に伸び、上下二条の方向転換路116の中間部分で二股に分岐し、最終的には上下二条の方向転換路116に繋がる。移動ブロック本体105の端面と、第一の潤滑剤供給溝122が掘られるエンドプレート106との間に、方向転換路116に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成される。
【0087】
第一の潤滑剤供給溝122の底面には、第一の潤滑剤供給溝122よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝123が掘り下げられる。第二の潤滑剤供給溝123も第一の潤滑剤供給溝122と同様に、エンドプレート106の中心線に対して対称であり、貫通孔121から左右方向に伸びる。そして、エンドプレート106の左右の側壁部106bそれぞれに設けられる方向転換路116に向かって下方に伸び、上下二条の方向転換路116の中間部分で二股に分岐し、その端部が上下二条の方向転換路116に繋がる。第二の潤滑剤供給溝123の経路長さは、第一の潤滑剤供給溝122の経路長さに等しい。
【0088】
エンドプレート106には、方向転換路116が形成されている。エンドプレート106は形状が複雑であるため、従来から樹脂を射出成型することで製造されていた。第一及び第二の潤滑剤供給溝122,123は、もともと射出成型されるエンドプレート106に形成するので、その製造は容易である。図中符号125は、エンドプレート106を移動ブロック本体105に取り付けるための貫通孔である。
【0089】
図26は、第一の潤滑剤供給溝122に嵌められるアタッチメント126を示す。アタッチメント126は、エンドプレート106よりも軟質の、ゴム又は樹脂(望ましくは軟質プラスチック)製の弾性体からなる。このアタッチメント126はシート状の材料をプレスで打ち抜くか、又はウォータージェットカッタなどにより切断することで製造される。アタッチメント126の平面形状は、第一の潤滑剤供給溝122の平面形状と同じである。アタッチメント126の表面側及び裏面側はいずれも平面に形成される。
【0090】
図27は、第一の潤滑剤供給溝122にさらに嵌められるアタッチメント129を示す。図24に示されるように、この実施形態のエンドプレート106の端面、方向転換路が形成されている部分127には段差があり、他の部分128よりも一段下がっている(図29参照)。一段下がった部分の段差を埋めるために、アタッチメント129が設けられる。アタッチメント129の平面形状は、エンドプレート106の一段上がった部分128の第一の潤滑剤供給溝122の平面形状と同じである。アタッチメント129の表面側及び裏面側はいずれも平面に形成される。
【0091】
なお、エンドプレート106の端面に段差がない場合には、アタッチメント129は不要である。また、この実施形態においては、二種類の別体のアタッチメント126,129を重ねているが、二種類のアタッチメント126,129を一体にしてもよい。
【0092】
図28及び図29は、エンドプレート106の第一の潤滑剤供給溝122にアタッチメント126,129を着脱可能に埋め込んだ状態を示す。図28には、エンドプレート106の第一の潤滑剤供給溝122の右側のみにアタッチメントを埋め込んだ状態が示される。実際には第一の潤滑剤供給溝122の右側及び左側の両方にアタッチメント126,129が埋め込まれる。アタッチメントを第一の潤滑剤供給溝122に埋めると、第一の潤滑剤供給溝122の断面の全体が塞がれる。その一方、アタッチメントを第一の潤滑剤供給溝122に埋めても、第二の潤滑剤供給溝123は塞がれることはない。第一の潤滑剤供給溝122に埋め込まれたアタッチメント126,129は、第一の潤滑剤供給溝122の底面と移動ブロック本体105の端面との間に挟まれる。アタッチメント126,129には締め代があり、アタッチメント126,129の厚みは、第一の潤滑剤供給溝122の底面と移動ブロック本体105の端面との間のすきまよりも大きい。弾性体からなるアタッチメント126,129が、第一の潤滑剤供給溝122の底面131(図30参照)に密着し、第二の潤滑剤供給溝123が密封される。
【0093】
図29及び図30に示されるように、第二の潤滑剤供給溝123の両側に、第二の潤滑剤供給溝123に沿って伸びる二条のリブ部132を設けてもよい。リブ部132は、第一の潤滑剤供給溝122の底面131から突出する。このようにリブ部132を設けることにより、アタッチメント126に締め代を設けなくても、アタッチメント126を変形させることができる。アタッチメント126の変形量も大きくとれるので、第二の潤滑剤供給溝123の密封性をさらに向上することができる。また、リブ部132を設けないと、アタッチメント126が変形して、第二の潤滑剤供給溝123を埋めるおそれがある。リブ部132を設けることで、アタッチメント126が第二の潤滑剤供給溝123を狭めることを防止できる。よって、一定の断面積の第二の潤滑剤供給溝123が確実に得られる。
【0094】
上述のように、潤滑剤には、グリース(リチウム系グリース、ウレア系グリースなど)と潤滑油(摺動面油又はタービン油、ISOVG32〜68など)の二種類がある。これらは相反する特性を持つので、潤滑剤としてグリースを使用するときは潤滑剤供給経路の断面積を広くする一方、潤滑剤として潤滑油を使用するときには潤滑剤供給経路の断面積を狭くする必要がある。従来のエンドプレートには、広い断面積のグリース用の潤滑剤供給経路が設けられていた。狭い断面積の潤滑剤供給経路を設けるにあたり、エンドプレートの外側にチューブ状の配管を切り回したり、エンドプレートの端面にオイルタンクを積んだ潤滑剤供給装置を取り付けたりすることも考えられる。しかし、本実施形態では、あくまでエンドプレート106の中に、広い断面積のグリース用の潤滑剤供給経路と、狭い断面積の潤滑油用の潤滑剤供給経路の両方を設けている。
【0095】
グリース用の広い断面積の潤滑剤供給経路を設けるために、エンドプレート106には第一の潤滑剤供給溝122が掘られる。第一の潤滑剤供給溝122をグリース用の潤滑剤供給経路として使用するときには、第一の潤滑剤供給溝122にはアタッチメント126,129が埋め込まれない。第一の潤滑剤供給溝122には、第二の潤滑剤供給溝123が掘られているので、第二の潤滑剤供給溝123もグリース用の潤滑剤供給経路として利用される。
【0096】
潤滑剤として潤滑油を使用するときには、図31に示されるように、第一の潤滑剤供給溝122にアタッチメント126,129が埋め込まれる。アタッチメント126,129で第一の潤滑剤供給溝122を塞ぐと、潤滑剤供給経路として残るのは第二の潤滑剤供給溝123だけになる。潤滑油用の潤滑剤供給経路は、第二の潤滑剤供給溝123とアタッチメント126,129との間に形成される。潤滑油はポンプによって圧力をもって潤滑剤供給経路に供給されるので漏れ易い。アタッチメント126,129が潤滑剤供給経路の密封性を向上させるので、潤滑剤供給経路から潤滑油が漏れ出るのを防止することができる。
【0097】
図32及び図33は、潤滑油用の潤滑剤供給経路を示す。第一の潤滑剤供給溝122に埋め込まれたアタッチメント126,129は、エンドプレート106と移動ブロック本体105の端面との間に介在される。エンドプレート106の潤滑油供給用のニップルから供給される潤滑油は、エンドプレート106の貫通孔121を通過した後、アタッチメント126,129と第二の潤滑剤供給溝123との間に形成される潤滑剤供給経路33を通過する。最終的には潤滑油はエンドプレート106の方向転換路116に排出される。
【0098】
なお、第一の潤滑剤供給溝122に第二の潤滑剤供給溝123を掘る替わりに、アタッチメント126に第二の潤滑剤供給溝123を掘り、アタッチメント126を第一の潤滑剤供給溝122に埋め込んでも、潤滑油用の潤滑剤供給経路の断面積を狭くすることができる。しかし、この方法では、アタッチメント126に第二の潤滑剤供給溝123を掘る必要があるので、アタッチメント126の端面が平面にならない。樹脂成型するか又は機械加工しなければ、アタッチメントの第二の潤滑剤供給溝123を製造することはできない。樹脂成型する場合には、金型が必要になるし、機械加工で溝を掘る場合には、一工程増える。いずれにしてもアタッチメント126のコストアップを招いてしまう。
【0099】
図34ないし図40は、本発明の第四の実施形態における運動案内装置を示す。この実施形態の運動案内装置においては、転動体としてボールの替わりにローラが使用されている。また、エンドプレートに第一及び第二の潤滑剤供給溝が形成される替わりに、エンドに組み込まれる潤滑部材としての潤滑プレート152に、第一及び第二の潤滑剤供給溝が形成される。
【0100】
図34及び図35は、運動案内装置の全体図を示す。図34は斜視図を示し、図35は運動案内装置の正面図を示す。この実施形態の運動案内装置は、軌道レール141と、軌道レール141に相対移動可能に組み付けられる移動ブロック142と、を備える。軌道レール141と移動ブロック142との間には、転動体として複数のローラ143が介在される。
【0101】
軌道レール141は、断面略四角形状で細長く直線状に延ばされる。軌道レール141の左右側面には、長手方向に沿って溝141aが形成される。溝141aの上側の壁面141b及び下側の壁面141bそれぞれが、ローラ143が転走するローラ転走面とされる。軌道レール141の左右側面には、上下に二条ずつ合計四条の転動体転走部としてのローラ転走面41bが設けられる。
【0102】
移動ブロック142は、移動ブロック本体145と、移動ブロック本体145の移動方向の両端に取り付けられるエンドプレート146と、エンドプレート146に組み込まれる潤滑プレート152と、から構成される。移動ブロック本体145は、軌道レール141の上面に対向する中央部145aと、中央部145aの左右両側から下方に延びて軌道レール141の左右側面に対向する側壁部145bと、を備える。移動ブロック本体145の側壁部45bには、軌道レール141の側面に設けた溝141aに形状を合わせた突出部145cが形成される。この突出部145cには、ローラ転走面141bに対応する負荷転動体転走部としての負荷ローラ転走面145dが形成される。負荷ローラ転走面145dは、移動ブロック本体145の左右側壁部145bの上下に二条ずつ合計四条設けられる。
【0103】
図34に示されるように、軌道レール141のローラ転走面141bと移動ブロック本体145の負荷ローラ転走面145dとの間には鋼製の複数のローラ143が介在される。複数のローラ143はリテーナバンド148に一連に回転・摺動自在に保持されている。
【0104】
図35に示されるように、移動ブロック本体145の側壁部145bには、上下二条の負荷ローラ転走面145dから所定間隔を隔てて平行に伸びる貫通孔146が形成される。この貫通孔146にローラ戻り通路147を構成する戻り通路構成部材149が挿入される。ローラ戻り通路構成部材149は、細長のパイプ形状である。ローラ戻り通路構成部材149は、貫通孔146に挿入された後、その両端部がエンドプレート146内で支持される。
【0105】
移動ブロック本体145の負荷ローラ転走面145dの両側縁には、長尺の樹脂製の保持部材151が取り付けられる。保持部材151には、軌道レール141から移動ブロック142を外した際に負荷ローラ転走面145dからローラ143が脱落するのを防止できるように、リテーナバンド148を案内する案内溝が形成されている。
【0106】
軌道レール141のローラ転走面141bと移動ブロック本体145の負荷ローラ転走面145dから構成される負荷ローラ転走路は、移動ブロック本体145の左右の側壁部145bそれぞれに二条ずつ設けられる。ローラ戻り通路147も、移動ブロック本体145の左右の側壁部145bの上下に二条ずつ設けられる。エンドプレート146には、この負荷ローラ転走路とローラ戻り通路147とを立体交差させる方向転換路が設けられる。
【0107】
図36は、エンドプレート146に組み込まれる潤滑プレート152を示す。潤滑プレート152は、移動ブロック本体145の端面とエンドプレート146との間に介在される(図40参照)。潤滑プレート152はエンドプレート146よりも若干小さい平面形状を有し、エンドプレート146に覆われる。潤滑プレート152の側壁部152bには、ローラ戻り通路構成部材149が貫通する貫通孔153が空けられる。
【0108】
潤滑プレート152の、エンドプレート146と接触する側の面には、第一の潤滑剤供給溝155が掘られる。第一の潤滑剤供給溝155は、潤滑プレート152の中心線に対して対称であり、その中心から左右方向に伸びる。そして、潤滑プレート152の左右の側壁部152bを下方に伸び、上下二条の負荷ローラ転走面145dに相当する潤滑部分152d近傍で二股に分岐し、その端部が上下二条の潤滑部分152dに繋がる。この例においては、潤滑プレート152とエンドプレート146との間に、潤滑部分152dに潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成される。
【0109】
第一の潤滑剤供給溝155の底面155aには、第一の潤滑剤供給溝155よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝156が掘り下げられる。第二の潤滑剤供給溝156も、第一の潤滑剤供給溝155と同様にエンドプレート146の中心線に対して対称であり、その端部が上下二条の潤滑部分152dに繋がる。第二の潤滑剤供給溝156の経路長さは、第一の潤滑剤供給溝155の経路長さに等しい。
【0110】
図37に示されるように、第二の潤滑剤供給溝156の両側には、第二の潤滑剤供給溝156に沿って伸びると共に、第一の潤滑剤供給溝155の底面155aから突出するリブ部157が設けられる。このリブ部157によって第二の潤滑剤供給溝156の縁がかさ上げされている。
【0111】
図38は、第一の潤滑剤供給溝155に嵌められるアタッチメント158を示す。アタッチメント158の平面形状は、第一の潤滑剤供給溝155の平面形状と同じである。アタッチメント158の表面側及び裏面側はいずれも平面に形成される。この実施形態では、アタッチメント158に潤滑油が通過する貫通孔158aが空けられる。
【0112】
図39は、潤滑プレート152の第一の潤滑剤供給溝155にアタッチメント158を埋め込んだ状態を示す。アタッチメント158は、第一の潤滑剤供給溝155の底面155aとエンドプレート146の端面との間に挟まれる(図40参照)。アタッチメント158を第一の潤滑剤供給溝155に埋めると、第一の潤滑剤供給溝155が塞がれる。その一方、第二の潤滑剤供給溝156は塞がれない。
【0113】
図40は、潤滑油用の潤滑剤供給経路を示す。潤滑プレート152は移動ブロック本体145の端面とエンドプレート146との間に介在される。潤滑プレート152とエンドプレート146との間には、第一の潤滑剤供給溝155に埋め込まれたアタッチメント158が介在される。エンドプレート146の潤滑油供給用のニップルから供給される潤滑油は、エンドプレート146の貫通孔159を通過した後、アタッチメント158の貫通孔158aを通過し、アタッチメント158と第二の潤滑剤供給溝156との間に形成される潤滑剤供給経路160を通過する。そして、潤滑油は潤滑プレート152の潤滑部分152dに排出される。
【0114】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変更可能である。例えば移動ブロック、軌道レールの形状・構造は種々変更可能である。また、エンドプレートや潤滑プレート以外の潤滑剤供給経路構成部材(例えばエンドプレートとは分離して移動ブロックに装着される部材や、エンドプレートの外部に装着される部材)に、第一及び第二の潤滑剤供給溝を掘ってもよい。さらに上記実施形態では、運動案内装置として、リニアガイドを使用した例について説明したが、本発明は曲線運動を案内する曲線運動案内装置に適用することができるほか、ボールスプライン、ローラスプラインにも適用できる。
【0115】
本明細書は、2005年12月26日出願の特願2005−373459、2006年9月29日出願の特願2006−269537および2006年9月29日出願の特願2006−269540に基づく。これらの内容はすべてここに含めておく。
【符号の説明】
【0116】
1…軌道レール
1b…ローラ転走面(転動体転走部)
2…移動ブロック
2d…負荷ローラ転走面(負荷転動体転走部)
3…ローラ(転動体)
5…エンドプレート(蓋部材)
6…方向転換路
7…負荷ローラ転走路(負荷転動体転走路)
8…ローラ戻し通路(転動体戻し通路)
30…内側方向転換路構成部材(方向転換路構成部材)
31…分割潤滑経路部品
32…エンドプレート本体(蓋部材本体)
33…潤滑経路溝
35…嵌合溝
38…潤滑経路
39…潤滑経路部品
41…油潤滑用部品
41a…油潤滑経路溝
42…グリース潤滑用部品
42a…グリース潤滑経路溝
43,44…潤滑経路
45…潤滑経路部品
46…油潤滑経路溝
47…グリース潤滑経路溝
51…エンドプレート本体
51a…中央部部品
51b…脚部部品
51a−1…幅広型用中央部部品
51a−2…標準型用中央部部品
51d…合せ目
52…潤滑経路部品
52−1…標準型の潤滑経路部品
52−2…幅広型の潤滑経路部品
53…嵌合溝
55…潤滑経路溝
58…潤滑経路
59…潤滑経路部品
59a…潤滑経路溝
71…潤滑経路部品
72…ベース部
73…合わせ目
101…軌道レール(軌道部材)
101a…ボール転走溝(転動体転走部)
103…ボール(転動体)
104…移動ブロック
105…移動ブロック本体
105c…負荷ボール転走溝(負荷転動体転走部)
105d…ボール戻り通路(転動体戻り通路)
106…エンドプレート(蓋部材、潤滑剤供給経路構成部材)
116…方向転換路
122…第一の潤滑剤供給溝
123…第二の潤滑剤供給溝
126,129…アタッチメント
131…底面
132…リブ部
141…軌道レール(軌道部材)
141b…ローラ転走面(転動体転走部)
142…移動ブロック
143…ローラ(転動体)
145…移動ブロック本体
145d…負荷ローラ転走面(負荷転動体転走部)
146…エンドプレート
147…ローラ戻り通路(転動体戻り通路)
152…潤滑プレート(潤滑部材、潤滑剤供給経路構成部材)
155…第一の潤滑剤供給溝
155a…底面
156…第二の潤滑剤供給溝
157…リブ部
158…アタッチメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻り通路を有する移動ブロックと、前記移動ブロックの移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部と前記転動体戻り通路を接続する方向転換路を有する蓋部材と、前記負荷転動体転走部、前記転動体戻り通路及び前記方向転換路で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、
前記蓋部材又は前記蓋部材に組み込まれる潤滑部材に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝が掘られると共に、
前記第一の潤滑剤供給溝内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝が掘られることを特徴とする運動案内装置。
【請求項2】
前記第二の潤滑剤供給溝の両側に、前記第二の潤滑剤供給溝に沿って伸びると共に、前記第一の潤滑剤供給溝の底面から突出するリブ部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項3】
前記第一の潤滑剤供給溝には、前記第二の潤滑剤供給溝を塞ぐことなく、前記第一の潤滑剤供給溝を塞ぐことができるアタッチメントが埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項4】
前記アタッチメントが、シート状の材料を打ち抜くことで製造されることを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
【請求項5】
前記アタッチメントが、前記アタッチメントが埋め込まれる前記蓋部材又は前記潤滑部材よりも軟質の弾性体からなることを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
【請求項6】
潤滑剤としてグリースが使用されるときには、前記第一の潤滑剤供給溝に前記アタッチメントが埋め込まれない一方、
潤滑剤として潤滑油が使用されるときには、前記第一の潤滑剤供給溝に前記アタッチメントが埋め込まれることを特徴とする請求項3に記載の運動案内装置。
【請求項7】
前記蓋部材に前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝が掘られ、
前記蓋部材が接触する前記移動ブロック本体の端面と、前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝が掘られる前記蓋部材との間に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項8】
前記潤滑部材に前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝が掘られ、
前記潤滑部材が接触する蓋部材と、前記第一及び前記第二の潤滑剤供給溝が掘られる前記潤滑部材との間に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の運動案内装置。
【請求項9】
長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻り通路を有する移動ブロックと、前記移動ブロックの移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部と前記転動体戻り通路を接続する方向転換路を有する蓋部材と、前記負荷転動体転走部、前記転動体戻り通路及び前記方向転換路で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置において、
前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給経路を構成する潤滑剤供給経路構成部材に、前記潤滑剤供給経路として、第一の潤滑剤供給溝が掘られると共に、
前記第一の潤滑剤供給溝内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝が掘られることを特徴とする運動案内装置。
【請求項10】
長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻り通路を有する移動ブロックと、前記移動ブロックの移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部と前記転動体戻り通路を接続する方向転換路を有する蓋部材と、前記負荷転動体転走部、前記転動体戻り通路及び前記方向転換路で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備え、前記蓋部材又は前記蓋部材に組み込まれる潤滑部材に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝が掘られると共に、前記第一の潤滑剤供給溝内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝が掘られる運動案内装置用のアタッチメントであって、
前記アタッチメントは、前記第一の潤滑剤供給溝に埋め込むことができるように、前記第一の潤滑剤供給溝の平面形状に合わせた平面形状を有し、
そして、前記アタッチメントは、前記第一の潤滑剤供給溝に埋め込まれたとき、前記第二の潤滑剤供給溝を塞ぐことなく、前記第一の潤滑剤供給溝を塞ぐことを特徴とする運動案内装置用のアタッチメント。
【請求項11】
長手方向に沿って伸びる転動体転走部が形成される軌道部材と、前記転動体転走部に対向する負荷転動体転走部が形成されると共に、前記負荷転動体転走部と略平行に伸びる転動体戻り通路を有する移動ブロックと、前記移動ブロックの移動方向の端部に設けられ、前記負荷転動体転走部と前記転動体戻り通路を接続する方向転換路を有する蓋部材と、前記負荷転動体転走部、前記転動体戻り通路及び前記方向転換路で構成される転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備える運動案内装置の製造方法において、
前記蓋部材、又は前記蓋部材に組み込まれる潤滑部材に、前記転動体循環経路に潤滑剤を供給するための第一の潤滑剤供給溝を掘ると共に、前記第一の潤滑剤供給溝内にさらに、前記第一の潤滑剤供給溝よりも断面積の小さい第二の潤滑剤供給溝を掘る蓋部材又は潤滑部材成型工程と、
前記蓋部材、又は前記蓋部材に組み込まれた前記潤滑部材を、移動ブロック本体に装着する蓋部材又は潤滑部材装着工程と、を備えることを特徴とする運動案内装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2012−229814(P2012−229814A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163289(P2012−163289)
【出願日】平成24年7月24日(2012.7.24)
【分割の表示】特願2007−551947(P2007−551947)の分割
【原出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】