説明

運転支援装置

【課題】LKA制御が中止したことをドライバーに警告音や表示により知らせていた従来の方法と比較し、LKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することのできる運転支援装置を提供する。
【解決手段】車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、車両のドライバーの運転を支援するために複数の制御を行う制御手段と、予め定められた時間、車両のドライバーが当該車両のハンドルから手を離したか否かを判断する判断手段と、判断手段が車両のドライバーは予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合、複数の制御のうち少なくとも2つ以上の制御を中止する中止手段とを備える。中止手段は、判断手段が車両のドライバーは予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に車線維持制御および当該車線維持制御と異なる制御を中止することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関し、より特定的には、車両に搭載されLKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することのできる運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたカメラなどにより、当該車両が走行している走行路面の区画線を検出し、当該検出結果に基づいてドライバーが行うハンドル操作を支援する装置が実用化されている。
【0003】
具体的には、車両に搭載されたカメラにより撮像されたから画像から右側区画線と左側区画線とを認識し、車両の走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)、つまり目標軌道を設定し、当該目標軌道に沿った走行ができるようにハンドル操作を支援する制御である(以下、LKA(Lane keep Assist)制御と称すことがある)。
【0004】
例えば、上記LKA制御の一例として特許文献1に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−25631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
具体的には、上記特許文献1には、電動パワーステアリングシステムの制御によって車両が走行レーン内を走行するように支援するレーン走行支援装置が開示されている。そして、上記特許文献1に開示されているレーン走行支援装置は、電動パワーステアリングシステムを介してステアリングホイールに伝達される操舵反力に応じた操舵信号を検出し、その検出信号に基づき、操舵反力に抗して運転者がステアリングホイールを保持するときの保舵力を推定する。
【0007】
なお、上記特許文献1に開示されているレーン走行支援装置は、車両が走行レーン内を走行するように電動パワーステアリングシステムによって修正操舵を行うときの修正操舵量と、そのときの保舵力との関係に基づき、操舵制御手段によるレーン走行支援制御に対する運転者の依存度を判定する。そして、依存度が過大であるときには、ドライバーに対して警報を行い、更には電動パワーステアリングシステムによる制御(上述したLKA制御に相当)を解除するものである。
【0008】
ところで、上述したLKA制御は、あくまでドライバーの行うバンドル操作を補助(ドライバーの運転操作をサポート)するものであり、例えば、車両が区画線から逸脱する場合、車線逸脱を自動的に防止し、修正するものではない。そのため、車両のドライバーは上述したLKA制御などに過度に依存せず、本来的には、自らのハンドル操作で進路を修正し、安全運転することが求められる。
【0009】
そこで、一般的には、上記LKA制御を行っている車両においては、ドライバーがハンドル(ステアリングホイール)から所定時間手を離した場合、当該LKA制御が停止するようになっている。
【0010】
ところが、上記のようなことでLKA制御が停止した後も、車両のドライバーはLKA制御が未だ継続していると感じていることも少なくはない。具体的には、車両のドライバーは、ハンドルから手を離しても、あたかも自動的に車両が走行レーン内を走行するものと感じていることも少なくない。
【0011】
つまり、LKA制御を行うことのできる車両であっても、本来的には、車両はドライバー自身が運転操作を行って運転するものであることを認識してもらう必要がある。そのため、上記LKA制御を行っている車両においては、上記特許文献1に開示されているように、LKA制御が停止したことを音で知らせる制御や、例えば、車両内に備わった表示装置により、当該LKA制御が停止したことをドライバーに知らせるといったことがなされている。
【0012】
しかしながら、LKA制御が停止したことを警告音で知らせる場合、例えば、オーディオの音量が大きい、窓を開けて走行しているといった条件下では、ドライバーは当該警告音に気付かないことがある。さらには、LKA制御が停止したことを音声ガイドで知らせることも考えられるが、上記のような条件下で走行している場合、ドライバーは音声ガイドに気付かないことも考えられる。
【0013】
また、車両内に備わった表示装置により、当該LKA制御が停止したことをドライバーに知らせる場合、例えば、文字表記にした場合、当該文字表記を車両の仕向地ごとの言語にする必要があり、コストアップにつながる。さらには、例えば、仕向地ごとの言語にした場合、当該仕向地以外の人(外国人)で、当該言語が読めないといった課題もある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、LKA制御が中止したことをドライバーに警告音や表示により知らせていた従来の方法と比較し、LKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することのできる運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明は、車両を制御し当該車両のドライバーの運転を支援する運転支援装置である。当該運転支援装置は、車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、車両のドライバーの運転を支援するために走行状況検出手段によって検出された情報に基づいて車両に対して複数の制御を行う制御手段と、予め定められた時間、車両のドライバーが当該車両のハンドルから手を離したか否かを判断する判断手段と、判断手段が車両のドライバーは予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合、制御手段が行う複数の制御のうち少なくとも2つ以上の制御を中止する中止手段とを備える。また、走行状況検出手段は、車両が走行している走行レーンに描かれた区画線を少なくとも検出する。制御手段は、走行状況検出手段によって検出された区画線に基づいて走行レーンに沿った走行ができるように車両を制御する車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を行う。中止手段は、判断手段が車両のドライバーは予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に車線維持制御および当該車線維持制御と異なる制御を中止することを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、走行状況検出手段は、車両の車速を検出する。制御手段は、車線維持制御と、走行状況検出手段によって検出された車速に基づき予め定められた速度で走行するように車両の車速を制御する車速制御を行う。中止手段は、判断手段が車両のドライバーが予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に車線維持制御および車速制御を中止することを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、上記第1の発明において、走行検出手段は、車両前方の他車両を検出する。制御手段は、車線維持制御と、走行状況検出手段によって検出された他車両との距離に基づき車両と他車両との距離が一定になるように当該車両を制御する車間距離制御を行う。中止手段は、判断手段が車両のドライバーが予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に車線維持制御および車間距離制御を中止することを特徴とする。
【0018】
第4の発明は、上記第1の発明において、判断手段は、予め定められた時間車両のドライバーは当該車両のハンドルから手を離したと判断した後、ドライバーが車両のハンドルを再び保持したか否かをさらに判断する。中止手段は、車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を中止した後、判断手段によってドライバーが車両のハンドルを再び保持したと判断した場合、中止されていた車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を再開することを特徴とする。
【0019】
第5の発明は、上記第1の発明において、判断手段は、予め定めたれた時間車両のドライバーは当該車両のハンドルから手を離したと判断した後に当該ドライバーが当該車両のハンドルを保持または手を離す動作が繰り返されているか否かをさらに判断する。中止手段は、車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を中止した後、判断手段によってドライバーが当該車両のハンドルを保持または手を離す動作が繰り返されていると判断した場合、予め定められた条件が満たされた場合にのみ、中止されていた車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を再開することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記第1の発明によれば、LKA制御が中止したことをドライバーに警告音や表示により知らせていた従来の方法と比較し、LKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することのできる運転支援装置を提供することができる。つまり、車線維持制御(LKA制御)が中止されると、ドライバーの運転を支援するための他の制御も中止されるので、ドライバーは違和感を抱く。そして、例えば、普段あまり注意して見ることのなかったLKA制御が中止されたことなどを示すインフォメーション表示する表示装置を見たり、オーナーズマニュアル(OM)を確認したり、コールセンターや販売店等に問い合せたりすることが期待され、結果として、LKA制御とはハンドルから手を離すと当該LKA制御は中止されるものであること、LKA制御中は勿論のこと、ドライバーは当該LKA制御が中止されたことを知った後は、さらに安全運転向上につとめなければならないことを認識させることができる。
【0021】
上記第2の発明によれば、車線維持制御(LKA制御)が中止されると、車速制御(例えば、ALS制御、CCS制御)も中止されるため、ALS(Adjustable Speed Limiter;可変スピードリミッタ)制御やCCS(Cruise Control System)制御は実行中であると思いこんでいるドライバーは、走行中に違和感を抱く。そして結果として、例えば、普段あまり注意して見ることのなかったLKA制御が中止されたことなどを示すインフォメーション表示する表示装置を見たり、オーナーズマニュアル(OM)を確認したり、コールセンターや販売店等に問い合せたりすることが期待され、結果として、LKA制御とはハンドルから手を離すと当該LKA制御は中止されるものであることを報知することができる。
【0022】
上記第3の発明によれば、車線維持制御(LKA制御)が中止されると、車間距離制御(例えば、ACC(Adaptive Cruise Control system;適応クルーズコントロールシステム)制御)も中止されるため、ACC制御は実行中であると思いこんでいるドライバーは、走行中に違和感を抱く。そして結果として、例えば、普段あまり注意して見ることのなかったLKA制御が中止されたことなどを示すインフォメーション表示する表示装置を見たり、オーナーズマニュアル(OM)を確認したり、コールセンターや販売店等に問い合せたりすることが期待され、結果として、LKA制御とはハンドルから手を離すと当該LKA制御は中止されるものであることを報知することができる。
【0023】
上記第4の発明によれば、ドライバーが再びハンドルを握るとLKA制御は再開される。そのため、例えば、ドライバーがハンドルから手を離したことによってLKA制御が中止された場合、各々のシステムのスイッチを再度操作しなくとも、すぐにLKA制御を行いたいという要求を満たすことができる。
【0024】
上記第5の発明によれば、例えば、運転支援を再開(復帰)させるためには、例えば、一旦メインスイッチを切った後であったり、自車両の販売店のサービススタッフが行う操作であったり、ドライバーがコールセンターなどに電話して復帰操作を口頭にて説明してもらったりすることにより復帰できるようにすることができる。具体的には、ハンドルから所定時間手を離したことにより、LKA制御は一時中止されるが、それにも関わらず、未だLKA制御中であると感じ、しかも、ハンドルから手を離しても自車両は自動的に走行レーン内を走行するものであるとドライバーは感じていると仮に想定する。このような場合において、販売店のサービススタッフに聞いたり、ユーザーがコールセンターに電話したりすることにより運転支援は再開できないので、サービススタッフから注意喚起等をすることができ、ドライバーは、走行中にハンドルから所定時間手を離したことによりLKA制御が一時中止されたことを知ることができ、LKA制御はハンドルから手を離しても車両が自動的に走行レーン内を走行するものではことを知り、LKA制御であっても当該LKA制御に過度に依存することなく、車両はドライバー自身が運転操作を行って運転するものであることを注意喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を示す図
【図3】第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を示す図(前半)
【図4】第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を示す図(後半)
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、本発明に係る運転支援装置の概要について簡単に説明する。
【0027】
車両に搭載されたカメラなどにより、当該車両が走行している走行路面の区画線を検出したり、カメラやレーダ装置などにより車両周囲の物体(具体的には他車両)を検出したりして、当該検出結果に基づいて、ドライバーの運転をサポートするために車両を制御する装置がある。
【0028】
例えばその制御の一例として、車両に搭載されたカメラにより撮像されたから画像から右側区画線と左側区画線とを認識し、車両の走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)、つまり目標軌道を設定し、当該目標軌道に沿った走行ができるようにハンドル操作を支援する制御がある。なお、詳細は後述するが、この制御はLKA(Lane keep Assist)制御と称す。
【0029】
そして、ドライバーの運転をサポートするために車両を制御する、上記LKA制御をはじめとする各種制御は、ドライバーが通常行う運転操作を低減し、ドライバーの運転負担を軽減することにより、結果的に安全性を向上させるために行われるものである。そのため、これら各種制御を過度に依存することは好ましくなく、本来的には、車両はドライバー自身が運転操作を行って運転するものである。従って、これら制御中は勿論のこと、ドライバーは当該制御が中止されたことを知った後はさらに安全運転向上につとめなければならない。
【0030】
なお、一般的には、上記各種制御が中止された場合、音声や表示でドライバーに報知するが、当該報知にドライバーが気付かないことが想定される場面も多い。
【0031】
本発明に係る運転支援装置は、特にLKA制御中に当該LKA制御が中止されたことを、従来の方法とは異なる態様で報知、つまりLKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することで、例えば、LKA制御とはハンドルから手を離すと当該LKA制御は中止されるものであることを認識させる。そして結果として、LKA制御中は勿論のこと、ドライバーは当該LKA制御が中止されたことを知った後は、さらに安全運転向上につとめなければならないことを認識させるようにするものである。
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、これら実施の形態で説明した態様は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。よって、本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【0033】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置について説明する。なお、本実施形態では、当該運転支援装置が車両(具体的には、乗用車を想定し、以下、自車両と称す)に搭載される例について説明する。
【0034】
図1は、当該運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図1において、運転支援装置は、運転支援ECU(Electrical Control Unit)1を備えている。この運転支援ECU1には、カメラ2、レーダ装置3、車両情報取得装置4、電動パワーステアリング(Electric Power Steering、以下EPSと称す)5、エンジンECU(Electrical Control Unit)6、表示装置7、および音声出力装置8等が接続されている。
【0036】
カメラ2は、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラ等であり、自車両の前方を撮像する。そして、カメラ2は、例えば、所定時間間隔で自車両の前方を撮像し、当該撮像した画像を運転支援ECU1に出力する。
【0037】
なお、カメラ2が設置される位置は、自車両の前方を撮像するため、当該自車両の進行方向に向けられており、ドライバーの運転の妨げにならない、例えばバックミラー裏側等に設置されるのが好ましい。
【0038】
レーダ装置3は、自車両の所定の位置(例えば、前照灯や方向指示器などが搭載されている位置)に設置され、自車両の外側に向けて電磁波を照射し、自車両前方の周囲を監視している。具体的には、レーダ装置3は、自車両の前方の周囲に向けて電磁波を照射し、当該レーダ装置3の検出範囲内に存在するターゲット(具体的には他車両)を検出する。そして、レーダ装置3は、例えば、自車両の前方および側方周囲に存在するターゲットを検出し、当該ターゲットを検出した信号を、運転支援ECU1に出力する。
【0039】
なお、後述より明らかとなるが、運転支援ECU1は、カメラ2から得られた画像から自車両の走行している走行レーンに描かれた右側区画線と左側区画線とを認識し、自車両の走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)、つまり目標軌道を設定し、当該目標軌道に沿った走行ができるように(後述のEPS5を制御して)ハンドル操作を支援する。
【0040】
また、運転支援ECU1は、カメラ2から得られた画像から、自車両の周囲の物体(具体的には他車両)を検出し、当該他車両と自車両との距離などを算出する場合、上述したレーダ装置3は、運転支援装置の構成に含めなくともよい。
【0041】
車両情報取得装置4は、自車両の走行に関する情報を取得する。例えば、車両情報取得装置4の一例として、自車両が走行する際の車速を検出する車速検出装置、自車両のステアリングハンドル(以下、単にハンドルと称す)のステアリングロッドに取り付けられ当該ステアリングハンドルに与えられた操舵トルクを検出する操舵トルク検出装置等が挙げられる。
【0042】
なお、操舵トルク検出装置はドライバーがハンドル操作を行ったときの操舵力を検出するが、通常、自車両が直線を走行している場合は、大きなハンドル操作は必要としない。しかしながら、ドライバーはハンドルに手を添えて微調整を行っているのが一般的である。そのため、ドライバーがハンドル操作を行っていない場合(ハンドルに手を添えていない場合)、操舵力は検出されず、これによりドライバーはハンドルから手を離していることが分かる。また、ドライバーがハンドルから手を離したか否かは、操舵トルク検出装置によって検出する他、例えば、ハンドルにセンサ等を備え、当該センサ等によってドライバーがハンドルから手を離したか否を検出してもよい。
【0043】
さらに、車両情報取得装置4には、例えば、自車両のワイパーを駆動させるための装置や方向指示器を点灯させるための装置、自車両のブレーキ装置等も含まれる。つまり、例えば、自車両のドライバーが、ワイパーを駆動させたり、方向指示器を点灯させたり、ブレーキ操作、アクセル操作を行ったりした場合、ドライバーがそれぞれ駆動や操作等をしたことを示す情報を車両情報取得装置4は取得する。
【0044】
また、ドライバーの運転をサポートするために行われる各種制御(詳細は後述)を開始または停止させるためスイッチのON/OFFを示す情報も車両情報取得装置4は取得する。
【0045】
次に、EPS5は、運転支援ECU1からの指示に従って、ドライバーが行うハンドル操作を補助したり、自車両が走行レーンから逸脱する可能性が高い場合などに、例えば、自車両が走行レーン中央付近(右側区画線と左側区画線との間のエリアの中央付近)を走行するようにドライバーのハンドル操作を支援したりする。
【0046】
また、エンジンECU6は、自車両のエンジンを制御するための装置であり、運転支援ECU1からの指示に従って、自車両のエンジンのトルクを制御する。
【0047】
表示装置7は、自車両の運転席に着席した当該自車両を運転するドライバーから視認可能な位置(運転席前面の計器盤等の中等)に設けられる、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)、有機ELディスプレイなどの表示媒体である。
【0048】
また、表示装置7は、ハーフミラー(反射ガラス)を運転席前面のフロントガラスの一部に設け、当該ハーフミラーに情報等の虚像を蛍光表示するヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)等、他の表示装置であってもよい。これによって、自車両のドライバーは、運転席に着席し正面(走行方向)を向いたまま、表示装置7に表示された情報を確認することができる。
【0049】
音声出力装置8は、各種情報を音声で自車両のドライバーに提供するものである。具体的には、音声出力装置8は、運転支援ECU1からの指示に応じた警告や情報をドライバーに報知する。また、音声出力装置8は、具体的には、自車両に備わっているスピーカー等である。
【0050】
以上が第1の実施形態に係る運転支援装置の構成の一例である。なお、上記説明および図1には、本発明に係る第1の実施形態の説明のために必要な構成のみ説明および図示した。
【0051】
ここで、本実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1が、自車両に搭載された各種装置からの情報に基づいて、自車両のドライバーに対して行うことのできる動作、つまり運転支援ECU1が、ドライバーの運転をサポートするために行う各種制御の具体例を示す。
【0052】
なお、以下の具体例は本発明に係る第1の実施形態の説明のために必要な各種制御であり、以下の制御以外で、ドライバーの運転をサポートするために行う制御を行って良いことは言うまでもない。
【0053】
まず、運転支援ECU1は、カメラ2によって検出された走行路面のレーンマーカー(右側区画線および左側区画線)に基づいて、自車両に搭載されているEPS5を制御して、例えば、自車両が車線内(右側区画線と左側区画線との間のエリア)を走行するように運転支援、つまりドライバーの運転をサポートする。なお、カメラ2が撮像した画像に基づいて、運転支援ECU1が自車両が安全に走行レーン内を走行できるように然るべき措置を行う制御を、以下の説明においてLKA(レーンキーピングアシスト)制御と称す。
【0054】
また、運転支援ECU1は、カメラ2やレーダ装置3から得られる情報に基づいて、エンジンECU6やブレーキ装置(図示せず)等を制御し、自車両と当該自車両の前方を走行している他車両との間の距離(車間距離)や時間(車間時間)を一定に保つ制御をする。なお、このような制御をACC(Adaptive Cruise Control system;適応クルーズコントロールシステム)制御と称す。また、ACC制御において、運転支援ECU1は、ACC制御中に自車両と当該自車両前方を走行している速度の遅い他車両とが接近し、自車両と当該他車両とが接触する可能性があると判断した場合、自車両のドライバーに対して表示装置7および音声出力装置8を介して警告を行ったり、エンジンECU9に指示し自車両のスピードを減速させたりもする。
【0055】
さらに、運転支援ECU1は、車両情報検出装置4によって検出された自車両の走行速度に基づいて、自車両の走行速度が、予め設定された速度を超えそうな場合に、ドライバーに対して注意喚起を行ったり、エンジンECU6を指示して予め設定された速度を超えないように自車両の走行速度を制御したりする(以下、ASL(Adjustable Speed Limiter)制御と称す)。また、運転支援ECU1は、ドライバーがアクセルペダルを踏み続けなくても予め定めた車速で自車両を一定速度で走行させる(以下、CCS(Cruise Control System)制御と称す)。
【0056】
また、運転支援ECU1は、カメラ2やレーダ装置3から得られる情報に基づいて、自車両の隣接車線の他車両を検出する。そして、運転支援ECU1は、自車両の隣接車線の他車両の存在が確認された場合、表示装置7(例えば、サイドミラーに備わった表示装置)によってドライバーに他車両の存在を知らせる表示を行う。また、運転支援ECU1は、自車両の隣接車線に他車両の存在が確認された場合に、例えば、ドライバーがウィンカーを操作した場合に音声出力装置8を介して警報を発したり、隣接車線の他車両と自車両とが接近しそうな場合に警報をしたり、さらにはEPS8、ブレーキ装置(図示せず)を制御したりする。なお、このような制御を行うことのできるシステムはBSM(Blind Spot Monitor)システムを称されることがある。
【0057】
このように、運転支援ECU1は、上記LKA制御をはじめとする各種制御(ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSM(Blind Spot Monitor)システムによる表示等)を行うことにより、ドライバーの運転をサポートしている。なお、以下の説明において、LKA制御、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示などのドライバーの運転をサポートするために行う制御のことを総称して、運転支援と称す。
【0058】
次に、図2を参照しつつ、第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。なお、本実施形態に係る運転支援装置においては、運転支援ECU1は、少なくとも上記LKA制御を行うことができるものとする。
【0059】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を示す図である。
【0060】
なお、図2に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図2に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援装置が搭載された自車両の始動/停止スイッチがON)されることによって開始される。
【0061】
また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援装置が搭載された自車両の始動/停止スイッチがOFF)されることによって終了される。なお、以下の説明において、始動/停止スイッチは、以下SWと略す。
【0062】
まず、図2のステップS11において、運転支援ECU1は、SWがONであるか否かを判断する。そして、SWがONであると判断した場合(YES)、次のステップS12に処理を進める。一方、運転支援ECU1は、SWがONではない、つまりSWがOFFであると判断した場合(NO)、当該フローチャートでの処理を終了する。
【0063】
ステップS12において、運転支援ECU1は、車両情報取得装置4から自車両の車両情報を取得する。なお、当該ステップS12において、運転支援ECU1が、車両情報取得装置4から取得する車両情報とは、例えば、運転支援を行わせるためのスイッチが、ドライバーによって押下されていることを示す情報などである。そして、運転支援ECU1は、次のステップS13に処理を進める。
【0064】
ステップS13において、運転支援ECU1は、運転支援を行うか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、当該ステップS13での判断を肯定(YES)した場合、次のステップS14に処理を進め、判断を否定(NO)した場合、ステップS12に処理を戻す。
【0065】
なお、ステップS13においての処理で判断が肯定される場合とは、具体的には、運転支援ECU1が、上記ステップS12において取得した車両情報に基づいて、運転支援を行わせるためのスイッチがONにされている場合などである。そして、運転支援ECU1は、上記各種運転支援を実行する。
【0066】
ステップS14において、運転支援ECU1は、運転支援実行中であるか否か、つまり、自車両は上述した各種運転支援、具体的には、LKA制御、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示などが行われているか否かを判断する。そして、これら運転支援の少なくとの1つ以上が行われている場合、当該判断を肯定(YES)し、次のステップS15に処理を進める。なお、当該ステップS14での判断が否定(NO)される場合とは、例えば、上記各種運転支援中に運転支援を行わせるためのスイッチがOFFにされた場合等である。なお、当該ステップS14での判断が否定された後は、ステップS19に処理を進めるが、例えば、ドライバーが再度、運転支援を行わせるためのスイッチをONにした場合、ステップS19での判断は肯定(YES)され、運転支援は再開される(ステップS110)。
【0067】
ステップS15において、運転支援ECU1は、自車両はLKA制御中であるか否かを判断する。上述したように、本フローチャートにおいて、当該ステップS15に進むのは、LKA制御、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示などの各種運転支援のうち、少なくとも1つ以上が行われている場合である。ステップS15においては、上記各種運転支援のうち、特にLKA制御は行われているか否かを判断する。より具体的には、例えば、自車両においてLKA制御とACC制御とが行われている場合、当該ステップS15の判断は肯定(YES)されることになる。
【0068】
一方、自車両において、例えば、ASL制御のみしか行われていない場合、言い換えると少なくともLKA制御は行われていない場合、当該ステップS15の判断は否定(NO)される。
【0069】
なお、当該ステップS15の判断が否定される場合とは、自車両においてLKA制御が行われているけれども、LKA制御が一時的に中止する条件を満たした場合も当該ステップS15の判断は否定される。例えば、カメラ2が区画線を認識できない場合や、自車両の車速が所定の値未満になった場合や所定の値以上になった場合、方向指示器を点灯させた場合、ワイパーを駆動させ場合などによってもLKA制御が一時的に中止する。
【0070】
さらには、後述の処理においても行うが、当該ステップS15の判断においても自車両のドライバーのステアリング操作が一定時間以上行われなかった場合、つまり、ドライバーがハンドルから所定時間手を離した場合、LKA制御を一時的に中止してもよい。
【0071】
なお、当該ステップS15の判断が否定された場合(NO)、運転支援ECU1は、表示装置7や音声出力装置8等を介して、LKA制御が一時中止されたことをドライバーに報知してもよい。さらには、LKA制御が一時中止されたことをドライバーに報知する際に、例えば、カメラ2が区画線を認識できなくなったことによる中止か、ドライバーがハンドルから所定時間手を離したことによる中止かの違いが分かるように、表示や音声の態様を変化させてもよい。
【0072】
図2のフローチャートの説明に戻って、ステップS16において、運転支援ECU1は、他の運転支援は実行中であるか否か、つまり、自車両において、LKA制御以外の運転支援は行われているか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、LKA制御以外の運転支援も行われていると判断した場合、当該ステップS16の判断を肯定(YES)する。そして、次のステップS17に処理を進める。
【0073】
なお、当該ステップS16の判断が否定される場合は、自車両においてLKA制御以外の運転支援も行われているけれども、LKA制御以外の運転支援が一時的に中止している場合も当該ステップS16の判断は否定(NO)される。例えば、LKA制御以外の運転支援としてASL制御を例に挙げる。ASL制御とは、自車両のドライバーがアクセルペダルを適当な強さで踏み込んでおけば予め定めた車速を超えない範囲で走り続けることができるものであるが、一般的にASL制御は、ドライバーが大きくアクセルペダルを踏み込んだ場合、当該制御は中止される。このような場合も当該ステップS16の判断は否定される。
【0074】
なお、ステップS16の判断が否定された場合(NO)、運転支援ECU1は、表示装置7や音声出力装置8等を介して、例えば、作動中の運転支援が一時中止されたことをドライバーに報知してもよい。
【0075】
ここで、上記ステップS14〜ステップS16までの処理の流れについて簡単に整理する。上記ステップS14〜ステップS16での判断が肯定(YES)され、以下から説明するステップS17に処理が進む具体的な場面とは、自車両においてLKA制御が行われており、かつLKA制御以外の運転支援、つまり、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示の少なくとも1つ以上が行われている場合である。
【0076】
図2のステップS17において、運転支援ECU1は、第1の判定が成立したか否かを判断する。ここで、当該ステップS17の処理について具体的に説明する。当該ステップS17における第1の判定とは、具体的には、自車両のドライバーのステアリング操作が一定時間以上行われなかった場合、つまり、ドライバーがハンドルから所定時間手を離したか否かを車両情報取得装置4から得られる情報に基づき運転支援ECU1が判断するものである。
【0077】
そして、当該ステップS17の判断が肯定された場合(YES)、つまりドライバーがハンドルから所定時間手を離した場合、次のステップS18に処理を進める。一方、当該ステップS17の判断が否定された場合は(NO)、ステップS14に処理を戻す。
【0078】
その後、運転支援ECU1は、次のステップS18において、自車両において行われている運転支援を一時中止する。具体的には、例えば、自車両において、LKA制御とACC制御が行われている場合、当該LKA制御およびACC制御を一時中止する。なお、例えば、LKA制御とともに、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示が行われている場合、これら全ての運転支援を一時中止してもよいし、LKA制御とともに、ACC制御、ASL制御、CCS制御、BSMシステムによる表示の少なくとも1つ以上の運転支援を一時中止してもよい。
【0079】
なお、上述した各種運転支援の他に、例えば、レーダ装置2から得られる情報に基づいて、物体(他車両や路側物など)と自車両とが衝突する危険があるか否かを判断し、当該物体との衝突の危険性が高い場合に警報等によりドライバーに対して警告を行ったり、自車両に備わったブレーキ装置(図示せず)を制御してドライバーが行うブレーキ操作をアシストしたりする制御(PCS(Pre-Clash Safety)制御と称すことがある)や、カメラ3によって検出された走行路面のレーンマーカー(右側区画線または左側区画線)に基づいて、自車両が当該自車両の走行すべき走行レーンから逸脱すると判断した場合、自車両のドライバーに対して警告を行う制御(LDW(Lane Departure Warning)制御と称すことがある)などが行われていたりする場合、これらの制御(例えば、PCS制御、LDW制御)は中止しなくともよい。
【0080】
このように、本実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1は、自車両において、運転支援が行われている場面で、ドライバーがハンドルから所定時間手を離すとLKA制御とともに、(PCS制御、LDW制御を除く)他の運転支援も一時的に中止される。
【0081】
ここで、例えば、自車両において、LKA制御とACC制御とが行われている場合を想定する。このとき、例えば、ドライバーがハンドルから所定時間手を離すと、LKA制御だけではなくACC制御も一時中止されるので、ドライバーは違和感を抱くこととなる。
【0082】
言い換えると、従来、LKA制御の一時中止を音声や表示で行っており、それらを聞き逃したり、見逃したりしたとしても、ACC制御が一時中止されるとACC制御は実行中であると思いこんでいるドライバーは、走行中に違和感を抱く。そして、例えば、普段あまり注意して見ることのなかったLKA制御が中止されたことなどを示すインフォメーション表示する表示装置を見たり、オーナーズマニュアル(OM)を確認したり、コールセンターや販売店等に問い合せたりすることが期待される。
【0083】
その結果、ドライバーは、走行中にハンドルから所定時間手を離したことによりLKA制御が一時中止されたことを知ることができる。さらには、例えば、オーナーズマニュアル(OM)を確認したり、コールセンターや販売店等に問い合せたりすることを通して、LKA制御はハンドルから手を離しても自動的に車両が走行レーン内を走行するものではことを知り、LKA制御に過度に依存することなく、車両はドライバー自身が運転操作を行って運転するものであることを改めて周知させることができる。
【0084】
図2のフローチャートの説明に戻って、ステップS19において、運転支援ECU1は、上記ステップS18において一時中止していた運転支援を再開するか否かを判断する。一般的には、各種運転支援、具体的には、ACC制御やBSMによる表示は、一旦中止した後は再度メインスイッチ等を押下する必要がある。しかしながら、ドライバーがハンドルから手を離したことによってLKA制御が中止された場合、各々のシステムのスイッチを再度操作しなくとも、すぐにLKA制御を行いたいということもある。そのため、例えば、ドライバーが再びハンドルに手を添えた場合、運転支援ECU1は、当該ステップS19の判断を肯定(YES)して、続くステップS110において、運転支援を再開する。なお、当該ステップS19の判断が否定(NO)される場合とは、例えば、ACC制御が一時中止され、ACC制御は実行中であると思いこんでいるドライバーが走行中に違和感を抱き、メインスイッチをOFFにした場合等が考えられる。
【0085】
そして、ステップS111において、運転支援ECU1は、自車両のSWがOFFされたか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、SWがOFFであると判断した場合(YES)、当該フローチャートでの処理を終了する。一方、運転支援ECU1は、自車両のSWがOFFされていないと判断した場合(NO)、上記ステップS12に処理を戻す。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置について説明する。なお、本実施形態についても上述した第1の実施形態と同様に、当該運転支援装置が車両(具体的には、乗用車を想定し、以下、自車両と称す)に搭載される例について説明する。
【0087】
また、以下の第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、同様の動作については、その説明は省略し、同様の構成要素は同じ参照符号を付して、その説明は省略する。具体的には、第2の実施形態では、上述した第1の判定(図2のステップS17)の処理の後、さらに第2の判定を行い、その結果に応じて、LKA制御中に当該LKA制御が中止されたことを、従来の方法とは異なる態様で報知、つまりLKA制御が中止したことをドライバーに気づかせるものである。
【0088】
以下、図3および図4を参照しつつ、第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。なお、本実施形態に係る運転支援装置においても運転支援ECU1は、少なくとも上記LKA制御を行うことができるものとする。
【0089】
図3および図4は、本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を示す図である。
【0090】
なお、図2に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図3および図4に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援装置が搭載された自車両の始動/停止スイッチがON)されることによって開始される。
【0091】
また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援装置が搭載された自車両の始動/停止スイッチがOFF)されることによって終了される。なお、以下の説明において、始動/停止スイッチは、以下SWと略す。
【0092】
なお、図3および図4のフローチャートにおける処理のうち、図3のステップS21〜ステップS27までの処理は、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートにおけるステップS11〜ステップS17までの処理と同様の処理を行えばよいので、それら説明は省略する。
【0093】
従って、図3のステップS27の処理が肯定(YES)された場合の次の処理、つまり、運転支援ECU1が、ドライバーはハンドルから所定時間手を離したと判断(第1の判定)した場合の次の処理である図4のステップS28の処理から説明する。
【0094】
図4のステップS28において、運転支援ECU1は、第2の判定が成立したか否かを判断する。ここで、当該ステップS28の処理について具体的に説明する。当該ステップS28における第2の判定とは、具体的には、例えば、ドライバーはハンドルから所定時間手を離したと判断されてから、一例として10分間に6回以上ハンドルから手を離したか否かを判断するものである。
【0095】
ここで、ドライバーはハンドルから所定時間手を離したと判断されてから、一例として10分間に6回以上ハンドルから手を離すような場合について、より具体的な場面を想定して説明する。
【0096】
例えば、LKA制御中において、ハンドルから所定時間手を離してもLKA制御は継続するものであると仮にドライバーは感じているとする。しかしながら、後述より明らかとなるが、ハンドルから所定時間手を離したことにより、実際はLKA制御は一時中止される。それにも関わらず、未だLKA制御中であると感じ、しかも、ハンドルから手を離しても自車両は自動的に走行レーン内を走行するものであると感じ、自車両はLKA制御で走行レーン内を走行しているものと思いこんでいるものと仮に想定する。
【0097】
このような場合、ドライバーにとってハンドル操作とは、あくまで補助的に行うものであると考え、つまり、ドライバー自身の行うハンドル操作は自車両の走行には補助的な操作であると思っているため、おのずとハンドルを握っている時間は短いと考えられる。従って、ステップS28の第2の判定によって、例えば、過去10分間に6回以上ハンドルから手を離した場合、運転支援ECU1は当該ステップS28の判断を肯定し(YES)、次のステップS29において、運転支援を停止する。
【0098】
一方、ステップS28の判断が否定された場合(NO)は、つまり、ドライバーはハンドルから所定時間手を離したけれども、例えば、過去10分間に6回以上ハンドルから手を離すようなことはしていない場合、ステップS210に処理を進め、運転支援を一時中止する。その後、例えば、ドライバーが再びハンドルに手を添えた場合、運転支援は再開される(ステップS211でYESの後ステップS212の処理)。
【0099】
なお、ステップS29での処理で、運転支援を停止した場合、ドライバーが再びハンドルに手を添えても運転支援は再開しない。そのため、特にLKA制御中に当該LKA制御が中止されたことを、従来の方法とは異なる態様で報知、つまりLKA制御が中止したことをドライバーは、より気付きやすくなる。
【0100】
つまり、運転支援を再開(復帰)させるためには、例えば、一旦メインスイッチを切った後であったり、自車両の販売店のサービススタッフが行う操作であったり、ドライバーがコールセンターなどに電話して復帰操作を口頭にて説明してもらったりすることにより、復帰できるようにする。
【0101】
第2の判定条件が成立する場合とは、LKA制御中においては、ハンドルから手を離しても自車両は走行レーン内を自動的に走行するものと思い込み、ハンドル操作はあくまで補助的に行うものであると考えている傾向が強いドライバーであると考えることができる。
【0102】
そのため、走行中にハンドルから所定時間手を離すことによりLKA制御が一時中止されること、さらには、LKA制御はハンドルから手を離しても車両が自動的に走行レーン内を走行するものではないことを、注意喚起する必要がある。本実施形態に係る運転支援装置によれば、ドライバーが自車両の販売店のサービススタッフに聞いたり、ユーザーがコールセンターに電話したりすることにより、走行中にハンドルから所定時間手を離したことによりLKA制御が一時中止されたことを知ることができ、LKA制御はハンドルから手を離しても車両が自動的に走行レーン内を走行するものではことを知り、LKA制御であっても当該LKA制御に過度に依存することなく、車両はドライバー自身が運転操作を行って運転するものであることを注意喚起することができる。
【0103】
図4のフローチャートの説明に戻って、ステップS213において、運転支援ECU1は、自車両のSWがOFFされたか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、SWがOFFであると判断した場合(YES)、当該フローチャートでの処理を終了する。一方、運転支援ECU1は、自車両のSWがOFFされていないと判断した場合(NO)、上記ステップS22に処理を戻す。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る運転支援装置は、車両に搭載され、LKA制御が中止したことをドライバーにより気付きやすい方法で報知することのできる運転支援装置、運転支援システム等として有用である。
【符号の説明】
【0105】
1…逸脱防止支援ECU
2…カメラ
3…レーダ装置
4…車両情報取得装置
5…EPS
6…エンジンECU
7…表示装置
8…音声出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御し当該車両のドライバーの運転を支援する運転支援装置であって、
前記車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
前記車両のドライバーの運転を支援するために前記走行状況検出手段によって検出された情報に基づいて前記車両に対して複数の制御を行う制御手段と、
予め定められた時間前記車両のドライバーは当該車両のハンドルから手を離したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記車両のドライバーは予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合、前記制御手段が行う前記複数の制御のうち少なくとも2つ以上の制御を中止する中止手段とを備え、
前記走行状況検出手段は、前記車両が走行している走行レーンに描かれた区画線を少なくとも検出し、
前記制御手段は、前記走行状況検出手段によって検出された前記区画線に基づいて走行レーンに沿った走行ができるように前記車両を制御する車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を行い、
前記中止手段は、前記判断手段が前記車両のドライバーが予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に前記車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を中止することを特徴とする、運転支援装置。
【請求項2】
前記走行状況検出手段は、前記車両の車速を検出し、
前記制御手段は、前記車線維持制御と前記走行状況検出手段によって検出された前記車速に基づき予め定められた速度で走行するように前記車両の車速を制御する車速制御を行い、
前記中止手段は、前記判断手段が前記車両のドライバーが予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に前記車線維持制御および前記車速制御を中止することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記走行検出手段は、前記車両前方の他車両を検出し、
前記制御手段は、前記車線維持制御と前記走行状況検出手段によって検出された前記他車両との距離に基づき前記車両と前記他車両との距離が一定になるように当該車両を制御する車間距離制御を行い、
前記中止手段は、前記判断手段が前記車両のドライバーが予め定められた時間ハンドルから手を離したと判断した場合に前記車線維持制御および前記車間距離制御を中止することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記判断手段は、予め定められた時間前記車両のドライバーは当該車両のハンドルから手を離したと判断した後、前記ドライバーが前記車両のハンドルを再び保持したか否かをさらに判断し、
前記中止手段は、前記車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を中止した後、前記判断手段によって前記ドライバーが前記車両のハンドルを再び保持したと判断した場合、中止されていた前記車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を再開することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記判断手段は、予め定めたれた時間前記車両のドライバーは当該車両のハンドルから手を離したと判断した後に当該ドライバーが当該車両のハンドルを保持または手を離す動作が繰り返されているか否かをさらに判断し、
前記中止手段は、前記車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を中止した後、前記判断手段によって前記ドライバーが当該車両のハンドルを保持または手を離す動作が繰り返されていると判断した場合、予め定められた条件が満たされた場合にのみ、中止されていた前記車線維持制御、および当該車線維持制御と異なる制御を再開することを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−131466(P2012−131466A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287628(P2010−287628)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】