説明

過給機用のコンプレッサハウジング

【課題】安価であり、生産性に優れ、寸法精度が高い過給機用のコンプレッサハウジングを提供すること。
【解決手段】コンプレッサハウジング1は、複数のブレード52を有するインペラ5に向けて空気A1を吸い込む吸気口11と、インペラ5から吐き出された空気A2を外部へ導くスクロール室12とを備えている。スクロール室12に対して、吸気口11が形成されている吸気側X1には、エアバイパスバルブ6を取り付けるためのエアバイパスバルブ取付部15が形成されている。エアバイパスバルブ取付部15は、スクロール室12に連通すると共に吸気側X1に開口している。エアバイパスバルブ取付部15と吸気口11との間には、コンプレッサハウジング1の内部において両者をつなぐバイパス部16が形成されている。コンプレッサハウジング1は、その一部を分割するように形成され、少なくともバイパス部16の吸気側X1を覆う分割ピース4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブレードを有するインペラを収容可能に構成された過給機用のコンプレッサハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のターボチャージャー等の過給機に用いられるコンプレッサ(圧縮機)は、そのコンプレッサの外殻を形成すると共に、内部にインペラを収容するコンプレッサハウジングを備えている。
コンプレッサハウジングには、コンプレッサとスロットルバルブとの間での吸気脈動を抑制するためのエアバイパスバルブを搭載する仕様のものがある(特許文献1等参照)。
【0003】
エアバイパスバルブを搭載する仕様のコンプレッサハウジング91は、例えば、図8、図9に示すごとく、複数のブレード952を有するインペラ95を収容可能に構成されていると共に、インペラ95に向けて空気A1を吸い込む吸気口911と、インペラ95の外周側において周方向に形成され、インペラ95から吐き出された空気A2を外部へ導くスクロール室912とを備えている。
【0004】
そして、スクロール室912に対して、吸気口911が形成されている吸気側X1には、エアバイパスバルブ96を取り付けるためのエアバイパスバルブ取付部915が形成されている。エアバイパスバルブ取付部915は、スクロール室912に連通すると共に吸気側X1に開口している。また、エアバイパスバルブ取付部915と吸気口911との間には、コンプレッサハウジング91の内部において両者をつなぐバイパス部916が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−61342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図8、図9に示したような構造を有するコンプレッサハウジング91を鋳造等により製造する場合、エアバイパスバルブ取付部915と吸気口911との間に形成されたバイパス部916が吸気側X1への型抜きが不可能な形状(アンダーカット)となる。そのため、生産性が良く、安価なダイキャストにより製造することが困難である。よって、従来は、ダイキャストに比べて生産性が低く、コストも高い重力鋳造によって製造していた。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、安価であり、生産性に優れ、寸法精度が高い過給機用のコンプレッサハウジングを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のブレードを有するインペラを収容可能に構成されていると共に、上記インペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、上記インペラの外周側において周方向に形成され、上記インペラから吐き出された空気を外部へ導くスクロール室とを備えた過給機用のコンプレッサハウジングにおいて、
上記スクロール室に対して、上記吸気口が形成されている吸気側には、エアバイパスバルブを取り付けるためのエアバイパスバルブ取付部が形成されており、
該エアバイパスバルブ取付部は、上記スクロール室に連通すると共に上記吸気側に開口しており、
上記エアバイパスバルブ取付部と上記吸気口との間には、上記コンプレッサハウジングの内部において両者をつなぐバイパス部が形成されており、
上記コンプレッサハウジングは、その一部を分割するように形成され、少なくとも上記バイパス部の上記吸気側を覆う分割ピースを有することを特徴とする過給機用のコンプレッサハウジングにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記コンプレッサハウジングにおいて、エアバイパスバルブ取付部と吸気口との間には、両者をつなぐバイパス部が内部に形成されている。そして、コンプレッサハウジングは、その一部を分割するように形成され、少なくともバイパス部の吸気側を覆う分割ピースを有する。すなわち、バイパス部の吸気側は、コンプレッサハウジングの一部を分割してなる分割ピースによって覆われている。
【0010】
そのため、従来、コンプレッサハウジングにおいて型抜きが不可能な形状(アンダーカット)となっていたパイパス部を、該バイパス部の吸気側を覆う分割ピースとコンプレッサハウジングにおける他の部分とを組付けることによって形成することが可能となる。このような分割構造とすることにより、コンプレッサハウジングを構成する各部品をすべて型抜き可能な簡易な形状とし、生産性が良く、コストの安いダイキャストにより成形することができる。その結果、コストを低減しながら生産性を向上させることができる。
【0011】
また、上記コンプレッサハウジングをダイキャストにより成形することで、その成形品の表面粗さを小さくし、寸法精度を高めることができる。これにより、成形後における表面加工等の加工コストを低減することができる。特に、エアバイパスバルブを取り付けるエアバイパスバルブ取付部には、高い寸法精度が要求されるため、上記の効果をより有効に発揮することができる。また、ダイキャストにより成形することで、重力鋳造等の他の鋳造方法に比べて薄肉化が可能となり、コンプレッサハウジング全体の軽量化を図ることもできる。
【0012】
このように、本発明によれば、安価であり、生産性に優れ、寸法精度が高い過給機用のコンプレッサハウジングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例における、エアバイパスバルブを搭載した状態のコンプレッサハウジングを示す斜視図。
【図2】実施例における、エアバイパスバルブを搭載した状態のコンプレッサハウジングを示す平面図。
【図3】図2におけるA−A線矢視断面図。
【図4】実施例における、コンプレッサハウジングを示す断面説明図。
【図5】実施例における、コンプレッサハウジングから分割ピースを分割した状態を示す斜視図。
【図6】実施例における、コンプレッサハウジングを構成するスクロールピース、シュラウドピース及び分割ピースを示す断面説明図。
【図7】実施例における、分割ピースの別例を示す断面説明図。
【図8】従来における、エアバイパスバルブを搭載した状態のコンプレッサハウジングを示す断面説明図。
【図9】従来における、コンプレッサハウジングを示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記コンプレッサハウジングにおいて、上記分割ピースは、少なくともバイパス部の吸気側を覆うように、コンプレッサハウジングの一部を分割するように形成されている。すなわち、分割ピースは、少なくともバイパス部の吸気側を覆う部分を含むように形成されている。
【0015】
また、上記分割ピースの分割位置(分割面の位置)は、該分割ピースとコンプレッサハウジングにおける他の部分とを組付けることによってバイパス部を形成することができ、バイパス部を形成する部分が型抜き不可能な形状(アンダーカット)とならなければ、自由に設定することができる(後述する実施例の図3〜図6及び図7参照)。
【0016】
また、上記分割ピースは、上記吸気口及び上記エアバイパスバルブ取付部にそれぞれ連通する2つの開口部を有することが好ましい(請求項2)。
この場合には、例えば、吸気側に開口している吸気口及びエアバイパスバルブ取付部を含むコンプレッサハウジングの吸気側端部を分割し、これを分割ピースとすることができる。これにより、コンプレッサハウジングを簡易な構成とすることができ、分割ピースとコンプレッサハウジングにおける他の部分との組付けも容易となる。
なお、上記分割ピースは、上記吸気口又は上記エアバイパスバルブ取付部に連通する1つの開口部を有する構成とすることもできる。
【0017】
また、上記分割ピースには、上記エアバイパスバルブを固定するためのエアバイパスバルブ固定部が設けられており、該エアバイパスバルブ固定部は、上記分割ピースを上記コンプレッサハウジングにおける他の部分に固定するためにも用いられることが好ましい(請求項3)。
この場合には、エアバイパスバルブ固定部をエアバイパスバルブ及び分割ピースを固定するための固定部として共用することができる。これにより、部品点数の削減や部品組付け性の向上を図ることができる。
【0018】
また、上記分割ピースには、上記吸気口に接続される吸気管を固定するための吸気管固定部が設けられており、該吸気管固定部は、上記分割ピースを上記コンプレッサハウジングにおける他の部分に固定するためにも用いられることが好ましい(請求項4)。
この場合には、吸気管固定部を吸気管及び分割ピースを固定するための固定部として共用することができる。これにより、部品点数の削減や部品組付け性の向上を図ることができる。
【実施例】
【0019】
本発明の実施例にかかる過給機用のコンプレッサハウジングについて、図を用いて説明する。
本例のコンプレッサハウジング1は、図1〜図6に示すごとく、複数のブレード52を有するインペラ5を収容可能に構成されていると共に、インペラ5に向けて空気A1を吸い込む吸気口11と、インペラ5の外周側において周方向に形成され、インペラ5から吐き出された空気A2を外部へ導くスクロール室12とを備えている。
【0020】
また、スクロール室12に対して、吸気口11が形成されている吸気側X1には、エアバイパスバルブ6を取り付けるためのエアバイパスバルブ取付部15が形成されている。エアバイパスバルブ取付部15は、スクロール室12に連通すると共に吸気側X1に開口している。エアバイパスバルブ取付部15と吸気口11との間には、コンプレッサハウジング1の内部において両者をつなぐバイパス部16が形成されている。
【0021】
そして、コンプレッサハウジング1は、その一部を分割するように形成され、少なくともバイパス部16の吸気側X1を覆う分割ピース4を有する。
なお、本例では、インペラ5の軸方向を軸方向X、その軸方向Xにおいて吸気口11が形成されている側を吸気側X1、その反対側を吐出側X2、軸方向Xに直交する方向を径方向とする。
以下、これを詳説する。
【0022】
図1、図2に示すごとく、コンプレッサハウジング1は、自動車のターボチャージャー(過給機)に用いられるコンプレッサ(圧縮機)の外殻を形成するものであり、エアバイパスバルブ6を搭載する仕様のものである。
図3、図4に示すごとく、コンプレッサハウジング1は、スクロールピース2とシュラウドピース3と分割ピース4とを組み合わせて構成されている。スクロールピース2、シュラウドピース3及び分割ピース4は、すべてアルミニウム製のダイキャスト品により構成されている。
【0023】
図3、図4に示すごとく、スクロールピース2は、吸気口11を形成する筒状の吸気口形成部21と、後述するシュラウドピース3のシュラウド部32と共にスクロール室12を形成するスクロール室形成部22と、エアバイパスバルブ6を搭載するためのエアバイパスバルブ搭載部23とを有する。エアバイパスバルブ搭載部23は、吸気口11の外周側であって、スクロール室12の吸気側X1に設けられている。
【0024】
また、同図に示すごとく、エアバイパスバルブ搭載部23には、エアバイパスバルブ6を取り付けるためのエアバイパス取付部15が形成されている。エアバイパス取付部15は、スクロールピース2の吸気側端面201において開口するように凹状に形成されている。また、エアバイパス取付部15は、軸方向Xに形成されたバルブ連通部14を介してスクロール室12に連通している。
また、図5、図6に示すごとく、エアバイパスバルブ取付部15と吸気口11との間には、スクロールピース2の吸気側端面201において開口するように、バイパス凹部24が形成されている。
【0025】
図3、図4に示すごとく、シュラウドピース3は、スクロールピース2の吸気口形成部21内に圧入されると共に吸気口11と連通する吸気通路311を形成する筒状圧入部31と、インペラ5に対向するシュラウド面321及びそのシュラウド面321からスクロール室12に向かって延びるディフューザ面322を形成するシュラウド部32とを有する。シュラウド部32は、スクロールピース2のスクロース室形成部22と共にスクロール室12を形成している。
【0026】
図5、図6に示すごとく、分割ピース4は、コンプレッサハウジング1の吸気側X1の端部全体を分割するように板状に形成されている。
また、図3、図4に示すごとく、分割ピース4がスクロールピース2の吸気側端面201を覆うことにより、分割ピース4とスクロールピース2のバイパス凹部24との間にバイパス部16が形成される。すなわち、分割ピース4は、その吐出側端面402がバイパス部16の吸気側X1の内壁面となる位置で、コンプレッサハウジング1を分割して形成されている。バイパス部16は、コンプレッサハウジング1の内部において、エアバイパスバルブ取付部15と吸気口11との間をつなぐように径方向に形成されている。
【0027】
また、図5、図6に示すごとく、分割ピース4は、吸気口11及びエアバイパスバルブ取付部15にそれぞれ連通する第1開口部411及び第2開口部415を有している。
本例では、図3、図4に示すごとく、分割ピース4がスクロールピース2の吸気側端面201を覆うことにより、第1開口部411が吸気口11の一部を形成し、第2開口部415がエアバイパスバルブ取付部15の一部を形成している。
【0028】
また、図4に示すごとく、コンプレッサハウジング1において、エアバイパスバルブ取付部15の外周側には、エアバイパスバルブ6をボルト152で締結固定するためのエアバイパスバルブ固定部151が形成されている。エアバイパスバルブ固定部151は、分割ピース4を貫通して形成されている。
【0029】
また、図3に示すごとく、エアバイパスバルブ6は、バルブ部61と、バルブ部61を覆う蓋部62と、蓋部62の外周部を覆う環状部材63とを有する。蓋部62及び環状部材63には、エアバイパスバルブ固定部151と同じ位置に貫通孔が形成されている。
また、図1〜図3に示すごとく、エアバイパスバルブ6は、バルブ部61をエアバイパスバルブ取付部15内に収容した状態で、エアバイパスバルブ固定部151においてボルト152にて締結固定される。これにより、分割ピース4も、スクロールピース2に対して締結固定される。
【0030】
また、図5に示すごとく、コンプレッサハウジング1において、吸気口11の外周側には、吸気口11に接続される吸気管(図示略)を固定するための吸気管固定部111が形成されている。吸気管固定部111は、分割ピース4を貫通して形成されている。
また、吸気管は、吸気口11と接続するように配置された状態で、吸気管固定部111においてボルト(図示略)にて締結固定される。これにより、分割ピース4も、スクロールピース2に対して締結固定される。
【0031】
図3に示すごとく、インペラ5は、シュラウドピース3のシュラウド部32の内周側に配置されており、回転軸50を中心に回転可能に取り付けられている。また、インペラ5は、ハブ51の外周面から周方向に並ぶ複数のブレード52を突出させている。複数のブレード52は、シュラウドピース3のシュラウド部32のシュラウド面321に対向して配置されている。
【0032】
また、同図に示すごとく、シュラウドピース3のシュラウド部32のディフューザ面322に対向する位置には、コンプレッサハウジング1の吐出側X2を覆うと共に回転軸50を軸支する軸受ハウジング等(図示略)が配設される。この軸受ハウジング等は、シュラウド部32のディフューザ面322との間に、インペラ5から吐き出された空気A2を昇圧させるディフューザ部13を形成する。
【0033】
そして、同図に示すごとく、上記構成のコンプレッサハウジング1を有するコンプレッサにおいては、インペラ5の回転により、吸気口11からシュラウドピース3の吸気通路311を介してインペラ5へと空気A1が吸い込まれる。インペラ5のブレード52によって加速され、インペラ5から吐き出された空気A2は、ディフューザ部13において昇圧され、スクロール室12に導入される。
【0034】
次に、本例のコンプレッサハウジング1における作用効果について説明する。
本例のコンプレッサハウジング1において、エアバイパスバルブ取付部15と吸気口11との間には、両者をつなぐバイパス部16が形成されている。そして、コンプレッサハウジング1は、その一部を分割するように形成され、少なくともバイパス部16の吸気側X1を覆う分割ピース4を有する。すなわち、バイパス部16の吸気側X1は、コンプレッサハウジング1の一部を分割してなる分割ピース4によって覆われている。
【0035】
そのため、従来、コンプレッサハウジング1において型抜きが不可能な形状(アンダーカット)となっていたパイパス部16を、そのバイパス部16の吸気側X1を覆う分割ピース4とコンプレッサハウジング1における他の部分(本例ではスクロールピース2)とを組付けることによって形成することが可能となる。
本例では、図5、図6に示すごとく、スクロールピース2の吸気側端面201にバイパス凹部24を形成している。そして、図3、図4に示すごとく、分割ピース4がスクロールピース2の吸気側端面201を覆うことにより、分割ピース4とスクロールピース2のバイパス凹部24との間にバイパス部16が形成される。
【0036】
コンプレッサハウジング1をこのような分割構造とすることにより、コンプレッサハウジング1を構成する各部品をすべて型抜き可能な簡易な形状とすることができる。
本例では、図6に示すごとく、スクロールピース2、シュラウドピース3及び分割ピース4は、軸方向Xの吸気側X1又は吐出側X2に型抜き可能な形状となっている。そして、従来、型抜きが不可能な形状(アンダーカット)となっていたパイパス部16を形成するバイパス凹部24は、吸気側X1に型抜き可能な形状となっている。なお、同図に示すごとく、スクロールピース2のスクロール室12における外部出口121(図1、図2、図5参照)付近は、吐出側X2に型抜きができないが、外部出口121の方向に型抜きが可能である。
【0037】
これにより、コンプレッサハウジング1を構成する各部品、すなわちスクロールピース2、シュラウドピース3及び分割ピース4を生産性が良く、コストの安いダイキャストにより成形することができる。その結果、コストを低減しながら生産性を向上させることができる。
【0038】
また、コンプレッサハウジング1をダイキャストにより成形することで、その成形品の表面粗さを小さくし、寸法精度を高めることができる。これにより、成形後における表面加工等の加工コストを低減することができる。特に、エアバイパスバルブ6を取り付けるエアバイパスバルブ取付部15には、高い寸法精度が要求されるため、上記の効果をより有効に発揮することができる。また、ダイキャストにより成形することで、重力鋳造等の他の鋳造方法に比べて薄肉化が可能となり、コンプレッサハウジング1全体の軽量化を図ることもできる。
【0039】
また、本例では、分割ピース4は、吸気口11及びエアバイパスバルブ取付部15にそれぞれ連通する2つの開口部(第1開口部411、第2開口部415)を有する。そのため、吸気側X1に開口している吸気口11及びエアバイパスバルブ取付部15を含むコンプレッサハウジング1の吸気側X1の端部を分割し、これを分割ピース4とすることができる。これにより、コンプレッサハウジング1を簡易な構成とすることができ、分割ピース4とコンプレッサハウジング1における他の部分(本例ではスクロールピース2)との組付けも容易となる。
【0040】
また、分割ピース4には、エアバイパスバルブ6を固定するためのエアバイパスバルブ固定部151が設けられており、エアバイパスバルブ固定部151は、分割ピース4をコンプレッサハウジング1における他の部分(本例ではスクロールピース2)に固定するためにも用いられる。そのため、エアバイパスバルブ固定部151をエアバイパスバルブ6及び分割ピース4を固定するための固定部として共用することができる。これにより、部品点数の削減や部品組付け性の向上を図ることができる。
【0041】
また、分割ピース4には、吸気口11に接続される吸気管(図示略)を固定するための吸気管固定部111が設けられており、その吸気管固定部111は、分割ピース4をコンプレッサハウジング1における他の部分(本例ではスクロールピース2)に固定するためにも用いられる。そのため、吸気管固定部111を吸気管及び分割ピース4を固定するための固定部として共用することができる。これにより、部品点数の削減や部品組付け性の向上を図ることができる。
【0042】
このように、本例によれば、安価であり、生産性に優れ、寸法精度が高い過給機用のコンプレッサハウジング1を提供することができる。
【0043】
また、本例では、図6に示すごとく、分割ピース4は、その吐出側端面402がバイパス部16の吸気側X1の内壁面となる位置で、コンプレッサハウジング1を分割して形成されている。
そして、スクロールピース2の吸気側端面201にバイパス凹部24を形成し、スクロールピース2の吸気側端面201を覆うように分割ピース4を配置することにより、スクロールピース2のバイパス凹部24と分割ピース4との間にバイパス部16が形成される。
【0044】
例えば、図7(a)に示すごとく、分割ピース4は、バイパス部16を横切るような位置で、コンプレッサハウジング1を分割して形成されていてもよい。
この場合、スクロールピース2の吸気側端面201にバイパス凹部24を形成し、同じく分割ピース4の吐出側端面402にバイパス凹部44を形成する。そして、スクロールピース2の吸気側端面201を覆うように分割ピース4を配置することにより、分割ピース4のバイパス凹部44とスクロールピース2のバイパス凹部24とによってバイパス部16が形成される。
【0045】
また、図7(b)に示すごとく、分割ピース4は、スクロールピース2の吸気側端面201がバイパス部16の吐出側X2の内壁面となる位置で、コンプレッサハウジング1を分割して形成されていてもよい。
この場合、分割ピース4の吐出側端面402にバイパス凹部44を形成し、スクロールピース2の吸気側端面201を覆うように分割ピース4を配置することにより、スクロールピース2と分割ピース4のバイパス凹部44との間にバイパス部16が形成される。
【符号の説明】
【0046】
1 コンプレッサハウジング
11 吸気口
12 スクロール室
15 エアバイパスバルブ取付部
16 バイパス部
4 分割ピース
5 インペラ
52 ブレード
6 エアバイパスバルブ
A1、A2 空気
X1 吸気側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレードを有するインペラを収容可能に構成されていると共に、上記インペラに向けて空気を吸い込む吸気口と、上記インペラの外周側において周方向に形成され、上記インペラから吐き出された空気を外部へ導くスクロール室とを備えた過給機用のコンプレッサハウジングにおいて、
上記スクロール室に対して、上記吸気口が形成されている吸気側には、エアバイパスバルブを取り付けるためのエアバイパスバルブ取付部が形成されており、
該エアバイパスバルブ取付部は、上記スクロール室に連通すると共に上記吸気側に開口しており、
上記エアバイパスバルブ取付部と上記吸気口との間には、上記コンプレッサハウジングの内部において両者をつなぐバイパス部が形成されており、
上記コンプレッサハウジングは、その一部を分割するように形成され、少なくとも上記バイパス部の上記吸気側を覆う分割ピースを有することを特徴とする過給機用のコンプレッサハウジング。
【請求項2】
請求項1に記載のコンプレッサハウジングにおいて、上記分割ピースは、上記エアバイパスバルブ取付部及び上記吸気口にそれぞれ連通する2つの開口部を有することを特徴とする過給機用のコンプレッサハウジング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジングにおいて、上記分割ピースには、上記エアバイパスバルブを固定するためのエアバイパスバルブ固定部が設けられており、該エアバイパスバルブ固定部は、上記分割ピースを上記コンプレッサハウジングにおける他の部分に固定するためにも用いられることを特徴とする過給機用のコンプレッサハウジング。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンプレッサハウジングにおいて、上記分割ピースには、上記吸気口に接続される吸気管を固定するための吸気管固定部が設けられており、該吸気管固定部は、上記分割ピースを上記コンプレッサハウジングにおける他の部分に固定するためにも用いられることを特徴とする過給機用のコンプレッサハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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