説明

道路端検出装置

【課題】自車両が走行する道路の道路端を検出する道路端検出装置において、道路端を検出する際の精度を向上できるようにする。
【解決手段】認識システムでは、道路端位置認識処理にて、自車両の進行方向における道路端の候補となる複数の検出点、および自車両の挙動の検出結果を取得する(S110)。そして、自車両が各検出点の真横まで移動したと仮定したときにおける自車両の位置に対する各検出点の位置を表す通過位置を、自車両の挙動に基づいて検出点毎に演算し、演算された各通過位置を、自車両と各検出点との距離に応じて予め設定された単位距離毎に複数のグループに振り分けたヒストグラムを生成する(S120)。このヒストグラムにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定する(S130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が走行する道路における端部(道路端)の位置を検出する道路端検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路端を検出する技術として、自車両の挙動と道路端と推定される物標の位置とに基づいて、自車両が物標の真横を通過するときの自車両と物標との位置関係(通過位置)を推定し、この推定結果から道路端を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4100269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記道路端検出装置では、検出した物標が道路端を示すものでない場合、道路端を誤検出する虞がある。このため、物標が道路端を示すものであることを判定するための処理が必要となるが、物標が道路端であるか否かを確実に検出することは難しく、道路端を検出する際の精度が低いという問題点があった。
【0005】
そこで、このような問題点を鑑み、車両に搭載され、自車両が走行する道路の道路端を検出する道路端検出装置において、道路端を検出する際の精度を向上できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために成された道路端検出装置において、検出点取得手段は、自車両の進行方向における道路端の候補となる複数の検出点の検出結果を取得し、挙動取得手段は、自車両の挙動の検出結果を取得する。そして、演算手段は、自車両が各検出点の真横まで移動したと仮定したときにおける自車両の位置に対する各検出点の位置を表す通過位置を、自車両の挙動に基づいて検出点毎に演算し、道路端検出手段は、演算された複数の通過位置に基づいて道路端を検出する。
【0007】
このような道路端検出装置によれば、複数の通過位置に基づいて道路端を検出するので、1つのみの通過位置に基づいて道路端を検出する構成と比較して、道路端を検出する際の精度を向上させることができる。なお、本発明において道路端とは、自車両が走行する道路における左右何れか若しくは両方の端部を示す。
【0008】
ここで、道路端検出手段の具体的な構成としては、例えば、単に複数の通過位置の平均値を採用したり、複数の通過位置の最大値および最小値を除去した上で平均値を採用したり、中央値を採用したりすればよいが、演算された各通過位置を、自車両と各検出点との距離に応じて予め設定された単位距離毎に複数のグループに振り分ける振分手段と、最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定する端部特定手段と、を備えていてもよい(請求項2)。
【0009】
本発明の構成では、前方車両や建物等の道路端とは異なる検出点が検出された場合に、自車両がこれらの検出点の真横まで移動したと仮定したときには、自車両と各検出点との相対距離が異なる値になり易くなり、これらの検出点に基づく通過位置は、異なるグループに振り分けられ易くなる。このため、道路端とは異なる検出点は、「最も多くの通過位置が振り分けられたグループ」には振り分けられ難くなり、道路端を表すものから除外され易くなる。
【0010】
一方、道路端を示す検出点は、道路の形状に沿って検出され、自車両がこれらの検出点の真横まで移動したと仮定したときには、お互いに近い位置に集中する。このためこれらの検出点に基づく通過位置は、同じグループに振り分けられ易くなる。よって、このグループが道路端の位置を示すものとして特定される。
【0011】
従って、このような道路端検出装置によれば、道路端以外を示す検出点を含む場合であっても、道路端を検出する際の精度を向上させることができる。
さらに、上記道路端検出装置において端部特定手段は、自車両の左右それぞれにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定するようにしてもよい(請求項3)。
【0012】
このような道路端検出装置によれば、左右それぞれの道路端を検出することができるので、道路端を検出する際の精度をより向上させることができる。
また、上記道路端検出装置において検出点取得手段は、自車両の前方の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波を照射し、その反射波をそれぞれ受信することによって各検出点を検出した検出結果を取得するよう構成されており、電磁波が照射された各時刻から走査の終了後のある時刻までの間における自車両の移動量を自車両の挙動に基づいてそれぞれ演算し、各自車両の移動量分だけ取得した各検出点の位置を補正する位置補正手段を備えていてもよい。この場合、道路端検出手段は、補正後の各検出点の位置を利用して道路端を特定すればよい(請求項4)。
【0013】
このような道路端検出装置によれば、例えばレーザレーダ等、自車両の前方の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波を照射し、その反射波をそれぞれ受信することによって各検出点を検出する装置を利用して検出点を得る構成を利用する場合であっても、この検出の際の検出遅れ時間を補正することができるので、道路端を検出する際の精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】認識システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】道路端位置認識処理を示すフローチャート(a)、および測距データ生成処理を示すフローチャート(b)である。
【図3】検出点の位置を補正する処理を示す模式図である。
【図4】ヒストグラム生成処理(a)および道路端位置認識処理(b)を示すフローチャートである。
【図5】各検出点の位置を予測し、ヒストグラムを生成する処理を示す模式図である。
【図6】検出点の位置を予測する際の演算例を示す説明図である。
【図7】本実施形態の概要および効果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は、本発明が適用された認識システム1の概略構成を示すブロック図である。認識システム1は、例えば乗用車等の車両に搭載され、この車両(以下、「自車両」ともいう。)が走行する道路の左右方向の端部を示す道路端を検出する機能を備えている。詳細には、認識システム1は、図1に示すように、道路端認識装置10(道路端検出装置)と、レーダ21と、センサ類22と、被制御装置30とを備えて構成されている。
【0016】
レーダ21は、自車両の進行方向(本実施形態では前方)の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波であるレーザ光を照射し、その反射波(反射光)をそれぞれ受信することによって、自車両前方の物標を各検出点として検出するレーザレーダとして構成されている。具体的には、レーダ21は、レーザ光を照射する領域として予め設定された所定領域の左上隅から右上隅に水平方向右側にレーザ光を照射させる範囲を変化させつつ間欠的に等間隔(等角度)でレーザ光を照射させ、レーザ光が右上隅に到達すると、左上隅よりも所定角度だけ下方の領域から水平方向右側にレーザ光を照射させる範囲を変化させつつ再びレーザ光を照射させる(図3(a)参照)。
【0017】
この作動を繰り返すことによってレーダ21は、所定領域の全域に順次レーザ光を照射させることになる。そしてレーダ21は、反射波を検出したタイミングとレーザ光を照射した方向とに基づいて、レーザ光を照射する度に物標(検出点)の位置を検出し、全領域の走査が終了すると検出点の位置のデータを道路端認識装置10に送信する。
【0018】
なお、レーダ21は、ガードレール、リフレクタ、壁面、樹木等の立体物を検出することができることはもちろんであるが、路上の白線、ペイント等の平面物も検出することができる。レーダ21によって平面物を検出する際には、反射波の反射強度に閾値を設定し、反射強度が閾値よりも強いものを選択するようにすればよい。
【0019】
また、本実施形態では、例えば、天空に向けてレーザ光を照射した場合等、反射波を受信できない方向においては、検出点の位置のデータを生成しないようにしている。後述する測距データ生成処理での処理負荷を軽減するためである。この構成では、所定領域への走査が終了したときに、反射波を受信できた検出点の数(後述する定数N)だけ検出点の位置の情報を含むデータが送信される。
【0020】
さらに、レーダ21は、周期的(例えば100ms毎)に検出点を検出する上記処理を実施するよう構成されている。
センサ類22は、例えば、自車両の挙動を検出するための検出結果を出力する周知のセンサ類として構成されている。センサ類22の具体例としては、自車両の走行速度を検出する車速センサ、自車両の旋回角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両に加わる加減速度を検出する加速度センサ等が挙げられる。センサ類22は、自車両の挙動の検出結果を道路端認識装置10に送信する。
【0021】
道路端認識装置10は、図示しないCPU,ROM,RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに格納されたプログラムや、RAMにロードされたプログラムに基づく各種処理を実施する。道路端認識装置10が実施する処理の1つとしては、後述する道路端位置認識処理が挙げられる。なお、道路端認識装置10は、各種処理を実施する際に、レーダ21やセンサ類22による検出結果を利用する。
【0022】
また、道路端認識装置10は、道路端を認識し、この道路端の情報を利用して、道路幅、道路端に対する自車両の位置、遠方における車道の位置(領域)等を認識することができる。そして、この情報を被制御装置30に対して出力する。
【0023】
被制御装置30は、CPU,ROM,RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、道路端認識装置10からの情報を受けて、各種制御を行う。各種制御としては、例えば、自車両のアクセル、ブレーキ、ステアリング等を自動制御する自動走行を行ったり、運転者に対する警告や所定の操作を行うよう案内するなどの運転支援をしたりすることが挙げられる。
【0024】
[本実施形態の処理]
次に、道路端を検出する処理について図2以下の図面を用いて説明する。図2(a)は道路端認識装置10が実行する道路端位置認識処理を示すフローチャート、図2(b)は道路端位置認識処理のうちの測距データ生成処理を示すフローチャートである。
【0025】
道路端位置認識処理は、例えば、車両の電源が投入されると開始され、その後、周期的(例えば100ms毎)に繰り返し実行される処理である。詳細には、図2(a)に示すように、レーダ21による検出結果を取得し、走査による遅れを補正した新たな検出点とした測距データを生成する測距データ生成処理(S110)、各検出点が自車両の真横に移動したと仮定したときの位置に応じたヒストグラムを生成するヒストグラム生成処理(S120)、ヒストグラムに基づいて道路端位置を検出する道路端位置認識処理(S130:道路端検出手段)が順に実行される。
【0026】
測距データ生成処理では、図2(b)に示すように、まず、RAM内の測距データを初期化し(S210)、各種データを取得する(S220:検出点取得手段、挙動取得手段)。S220の処理にて取得されるデータとしては、レーダ21による検出点の検出結果データや、センサ類22による車両の挙動の検出結果が含まれる。
【0027】
続いて、レーダ21の走査による遅れを補正する処理を実施する(S230〜S270)。具体的には、まず、変数iをリセット(0にセット)し(S230)、変数iと定数Nとを比較する(S240)。ここで、定数Nは、レーダ21による1回の走査によって検出できた全検出点の数を示す。
【0028】
変数iが定数N以上であれば(S240:NO)、全ての検出点についての位置の補正が終了しているので、本処理を終了する。また、変数iが定数N未満であれば(S240:YES)、i番目の検出点を選択し、この検出点について位置を補正する処理を行う(S250:位置補正手段)。
【0029】
即ち、この処理では、レーザ光が照射された各時刻から走査の終了後のある時刻までの間における自車両の移動量を自車両の挙動に基づいてそれぞれ演算し、各自車両の移動量分だけ取得した各検出点の位置を補正する。この処理の詳細については図3を用いて説明する。図3は検出点の位置を補正する処理を示す模式図である。
【0030】
図3(a)に示すように、レーダ21がレーザ光を照射する全領域をレーザ光が照射される領域毎にマトリクス状に区切り、各領域に番号を付す。このとき、水平方向については左から順に番号を付し、この番号を方位番号と呼ぶ。また、鉛直方向については上から順に番号を付し、この番号をレイヤ番号と呼ぶ。
【0031】
この構成では、レーダ21がレーザ光を照射する各領域は、方位番号とレイヤ番号とによって特定することができる。なお、レーダ21は一定時間間隔でレーザ光を各領域に照射するものとする。この前提において、ある方位番号の領域にレーザ光が照射されてから隣接する方位番号(同じレイヤ番号)の領域にレーザ光が照射されるまでの時間差をTAZ、あるレイヤ番号の領域にレーザ光が照射されてから隣接するレイヤ番号(同じ方位番号)の領域にレーザ光が照射される際の時間差をTELとすると、任意の方位番号・レイヤ番号を有する領域にレーザ光が照射されてから走査終了位置(スキャン終了位置)にレーザ光が照射されるまでの時間差(時間遅れ)は、図3(a)に示す式(1)で表記できる。
【0032】
そして、図3(b)に示すように、補正前の検出点の位置を示す座標を(x,y)(直交座標)、補正後の検出点の位置を示す座標を(x’,y’)(直交座標)、自車両から見た補正前の検出点の位置を示す座標を(r,θ)(極座標)、自車両から見た補正後の検出点の位置を示す座標を(r’,θ’)(極座標)とすると、補正後の検出点の位置を示す座標(x’,y’)は、図3(b)に示す式(2)によって求めることができる。
【0033】
ただし、Δxs=x’−x、Δys=y’−y、Δθs=θ’−θを示す。なお、Δxs、Δys、Δθsについては、自車両の挙動(自車速およびヨーレート)から求めることができる。
【0034】
なお、本実施形態のレーダ21の分解能が比較的高いため、より精度を向上させるために検出点の位置を補正する処理を実施することが効果的である。つまり、レーダ21に換えて分解能が低い検出装置を利用する場合には、各検出点の位置を正確に検出することができなくなるため、上記補正処理による効果が得られ難くなる。
【0035】
このような処理が終了すると、i番目の検出点についての測距データ(補正後の各検出点のデータ)をRAM内の測距データを格納する領域に保存し(S260)、変数iをインクリメントして(S270)、S240の処理に戻る。
【0036】
次に、ヒストグラム生成処理について図4(a)に示すフローチャートを用いて説明する。ヒストグラム生成処理では、まず、処理対象領域を設定する(S310)。ここで、処理対象領域とは、自車両の正面から左右に所定角度の範囲内(約45度の範囲内)であって、この範囲内と範囲外との間の境界線から前方にL(例えば50m)の範囲内の領域を表す。ここで、この処理対象領域は、レーダ21による検出能力から考慮すると比較的近距離の領域内に設定されていると言えるが、このようにしているのは、遠距離の領域を含むと道路形状が曲線から直線、或いは直線から曲線に変化する可能性が高くなり、道路端の検出が難しくなるからである。
【0037】
そこで、この処理においては、RAMに保存された測距データのうちの処理対象領域内に含まれるもののみを抽出する。
続いて、RAM内のヒストグラムを格納する領域を初期化し(S320)、変数iをリセットする(S330)。そして、変数iと定数Mとを比較する(S340)。ここで、定数Mとは、処理対象領域内に含まれる測距データの全数を表す。
【0038】
変数iが定数M以上であれば(S340:NO)、全ての検出点についてヒストグラムへの振り分けが終了しているので、本処理を終了する。また、変数iが定数M未満であれば(S340:YES)、i番目の検出点を選択し、この検出点について位置を予測する処理を行う(S350:演算手段)。
【0039】
この処理については、図5および図6を用いて説明する。図5は各検出点の位置を予測し、ヒストグラムを生成する処理を示す模式図、図6は検出点の位置を予測する際の演算例を示す説明図である。
【0040】
図5(a)に示すように、各検出点の位置を予測する際には、自車両がこの検出点の真横まで移動したと仮定したときにおける自車両の位置に対する各検出点の位置を表す通過位置を、自車両の挙動に基づいて演算する。詳細な演算は、例えば以下に示す手順により実施する。
【0041】
この演算の際には、図6に示すように、まず、道路端を検出しようとする道路の曲率半径を算出する。この道路の曲率半径をR、自車両の走行速度をV、ヨーレートをωとすると、図6に示す式(3)によって曲率半径Rを求めることができる。
【0042】
次に、この曲率半径Rを用いて、道路のカーブ中心位置を算出し、各検出点における曲率半径を演算する。この演算において、検出点の座標(直交座標)を(x1,y1)とし、カーブ中心位置の座標を(xc、yc)とすると、この検出点についての曲率半径は、図6に示す式(4)によって求めることができる。
【0043】
すると、自車両がこの検出点を通過する際の自車両から見た検出点の位置Xは、図6に示す式(5)によって求めることができる。なお、検出点の位置(通過位置)は、例えば、自車両の位置を基準として右側であれば正の値、左側であれば負の値になるように演算される。
【0044】
続いて、ヒストグラムを更新する(S360:道路端検出手段、振分手段)。ここで、ヒストグラムとは、自車両と、自車両が検出点の真横を通過するときの各検出点との距離に応じて、予め設定された単位距離(例えば1/10m〜1/4m)毎に各検出点を複数のグループに分類し、各グループには各グループと自車両との距離を表す代表値が設定されたものを示す。代表値としては、各グループに振り分けられる距離の中央値(例えば、0〜10cmまでの範囲内の検出点が振り分けられるグループでは、0と10cmとの真ん中の値である5cm)等、各グループに分類される距離の範囲内の値が設定される。
【0045】
そして、ヒストグラムを更新する処理では、この検出点についての通過位置(自車両がこの検出点の真横まで移動したと仮定したときの距離)が何れのグループに属するかを判断し、属するグループについてのカウンタ値をインクリメントする。
【0046】
続いて、変数iをインクリメントし(S370)、S340の処理に戻る。このようなヒストグラム生成処理では、各測距データ(各検出点)について属するグループについてのカウンタ値をインクリメントする処理(S360の処理)が実行されることによって、図5(b)に示すようなヒストグラム(横軸を各グループの代表値、縦軸を各グループについてのカウンタ値とする度数分布)が生成されることになる。
【0047】
次に、道路端位置認識処理について図4(b)に示すフローチャートを用いて説明する。道路端位置認識処理では、ヒストグラム生成処理で生成されたヒストグラムにおいて、自車両の左右それぞれにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を抽出し(S410:端部特定手段)、この代表値をそれぞれ自車両に対する道路端の位置として設定する(S420:端部特定手段)。この処理が終了すると、道路端位置認識処理を終了する。
【0048】
[本実施形態による効果]
以上のように詳述した認識システム1において道路端認識装置10は、道路端位置認識処理にて、自車両の進行方向における道路端の候補となる複数の検出点の検出結果を取得するとともに、自車両の挙動の検出結果を取得する。そうすると、例えば、図7に示すような道路端の位置に応じた検出点や、図7では図示しないその他の建物や他車両等の道路端以外の位置に応じた検出点が取得できる。
【0049】
そして、自車両が各検出点の真横まで移動したと仮定したときにおける自車両の位置に対する各検出点の位置を表す通過位置を、自車両の挙動に基づいて検出点毎に演算し、演算された複数の通過位置に基づいて道路端を検出する。この際、演算された各通過位置を、自車両と各検出点との距離に応じて予め設定された単位距離毎に複数のグループに振り分けたヒストグラムを生成し、このヒストグラムにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定する。
【0050】
このような道路端認識装置10によれば、複数の通過位置に基づいて道路端を検出するので、1つのみの通過位置に基づいて道路端を検出する構成と比較して、道路端を検出する際の精度を向上させることができる。
【0051】
さらに、このような道路端認識装置10によれば、道路端以外を示す検出点を含む場合であっても、道路端を検出する際の精度を向上させることができる。また、このように道路端を検出することによって、道路幅、道路端に対する自車両の位置、遠方における車道の位置(領域)を認識することができる。よって、これらの情報を利用して、自車両を自動制御したり、運転者に対する運転支援をしたりすることができる。
【0052】
さらに、道路端認識装置10は、自車両の左右それぞれにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定する。
このような道路端認識装置10によれば、左右それぞれの道路端を検出することができるので、道路端を検出する際の精度をより向上させることができる。
【0053】
また、レーダ21は、自車両の前方の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波を照射し、その反射波をそれぞれ受信することによって各検出点を検出した検出結果を取得するよう構成されており、道路端認識装置10は、電磁波が照射された各時刻から走査の終了後のある時刻までの間における自車両の移動量を自車両の挙動に基づいてそれぞれ演算し、各自車両の移動量分だけ取得した各検出点の位置を補正する。そして、道路端認識装置10は、補正後の各検出点の位置を利用して道路端を特定する。
【0054】
このような道路端認識装置10によれば、例えばレーザレーダ等、自車両の前方の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波を照射し、その反射波をそれぞれ受信することによって各検出点を検出する装置を利用して検出点を得る構成を利用する場合であっても、この検出の際の検出遅れ時間を補正することができるので、道路端を検出する際の精度を維持することができる。
【0055】
[その他の実施形態]
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0056】
例えば、上記実施形態においては、複数の通過位置から道路端を検出する際に、ヒストグラムを利用したが、この構成に限らず、単に複数の通過位置の平均値を採用したり、複数の通過位置の最大値および最小値を除去した上で平均値を採用したり、中央値を採用したりする構成でもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…認識システム、10…道路端認識装置、21…レーダ、22…センサ類、30…被制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、自車両が走行する道路の左右何れかの端部(以下、「道路端」という。)を検出する道路端検出装置であって、
自車両の進行方向における道路端の候補となる複数の検出点の検出結果を取得する検出点取得手段と、
自車両の挙動の検出結果を取得する挙動取得手段と、
自車両が前記各検出点の真横まで移動したと仮定したときにおける自車両の位置に対する各検出点の位置を表す通過位置を、自車両の挙動に基づいて検出点毎に演算する演算手段と、
前記演算された複数の通過位置に基づいて前記道路端を検出する道路端検出手段と、
を備えたことを特徴とする道路端検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の道路端検出装置において、
前記道路端検出手段は、
前記演算された各通過位置を、自車両と各検出点との距離に応じて予め設定された単位距離毎に複数のグループに振り分ける振分手段と、
最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定する端部特定手段と、
を備えたことを特徴とする道路端検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の道路端検出装置において、
前記端部特定手段は、自車両の左右それぞれにおいて最も多くの通過位置が振り分けられたグループの代表値を自車両に対する道路端の位置として設定すること
を特徴とする道路端検出装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の道路端検出装置において、
前記検出点取得手段は、自車両の前方の所定領域に対して、走査しつつ間欠的に電磁波を照射し、その反射波をそれぞれ受信することによって各検出点を検出した検出結果を取得するよう構成されており、
前記電磁波が照射された各時刻から前記走査の終了後のある時刻までの間における自車両の移動量を自車両の挙動に基づいてそれぞれ演算し、各自車両の移動量分だけ取得した各検出点の位置を補正する位置補正手段を備え、
前記道路端検出手段は、前記補正後の各検出点の位置を利用して前記道路端を特定すること
を特徴とする道路端検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−196699(P2011−196699A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60744(P2010−60744)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】