説明

遠心分離装置およびそのためのローター

回転中心線(124)周りに高速回転して、エンジンの潤滑油のような圧送油から汚染物質を除去する遠心分離装置のための、遠心分離ローター(130、図1)は、回転軸から離れた位置に防水壁(134)を有した分離と封じ込みの容器(132)と、容器に流入されるのと同じ速さで排出を可能とする少なくとも容器の一端壁(138)に設けられた開口(142)とを備え、その結果、空間(140)が、従来の高速分離器内に満たされる全容量よりずっと少ない流体量を収容するように側壁(134)に隣接して形成される。低慣性力および低圧力勾配によって、従来のものに比べて軸からさらに距離をおくことが可能になり、高い分離効率を可能にする。液体は、流入領域(151)に供給され、流入領域は回転軸を囲むように設けられた傾斜した分離壁(152)と、浄化される液体が流入される1つの小径端部(1521)と、液体を分離領域(140)に遠心力で投げ出す1つまたはそれ以上の連通路(156)を有した大径端部(1522)で定義される。分離壁面(162)は、一組の直立したベーン(181i)によって仕切られている。そのベーンは、螺旋状に軸の周囲を軸に沿って伸びていて、回転ベーン間に流入した液体を連通路の方へ案内よるような収集ベーンとして、さらに、流入領域に沿って案内される前に、そのローターを回転駆動するために傾斜角度をもって衝突する1つまたはそれ以上の噴射を受け止める駆動ベーンとして機能するようピッチで伸びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、内燃機関の循環潤滑油のように、浄化のためにその装置を通過する液体から微粒子の汚染物質を分離するための遠心分離装置に関するものであり、特に、その装置内で用いられ汚染物質の分離と封じ込みを実際に行なうローターに関するものである。本発明は、特に、流体駆動分離装置とそのローターに関するものであり、ローターは液体自体のような流体から生じる限られた駆動力によって高速回転する収納容器を含む。さらに特に、詳細には以下に述べるようないわゆるオープン容器タイプのローターを有する分離装置に関するものである。
【0002】
内燃機関の潤滑油の濾過作用における遠心分離機の有利な点は、技術的に十分に証明されているが、現在の内燃機関は、点検間隔の間に、燃焼によって生成される微粒子(時にはすすといわれる)を効果的な除去をできるようにすることにより、点検間隔をより長くするよう要求されているが、これは、特に、浄化される液体のような限られたローター駆動力源から非常に高回転を要求するという点で、分離装置に対して、相反する制限を課することになる。
【0003】
経済的、物理的、そして機能的に、車両への装着装置において遠心力的に小さい微粒子を除去することの困難性および相入れない要求については、US−A−6013700、およびWO−A−02/055207に示されている。その後者は、いわゆるオープン容器遠心分離ローターのいくつかの実施例を提案している。その遠心分離ローターは、ローター内に長時間のオイルの存在を可能にするばかりではなく、ローター内に低オイル量での操作を可能とし、従来よりも回転軸から隔たった分離壁と、駆動力としての液体圧力によってより速い回転速度を可能とするものである。最も重要なことは、浄化されるオイルによって、また代わりのオイルによって、または他の流体によって、分離に必要な速度で回転できることである。
US−A−6013700に示されるような、ローターが、液体が漏れ出る割合を抑えることによって高い圧力の液体で満たされる一般的なシリンダ状の容器から成る従来の遠心分離機のタイプとは異なり、オープン容器遠心分離機は、液体で満たされ周囲の外壁に隣接した分離と封じ込みゾーンとを有し、過剰な供給に対して液を排出する排出通路手段の範囲まで径方向内側に形成され、液体の充満に代えて液体の“殻”を形成し、より速い、小動力消費回転を可能とする。
【0004】
WO−A−02/055207に示された1つの具体例において、自動車エンジンに適している配置を示している。分離装置は、オープン収容構造を有するローターのために実質的に垂直回転軸を備えるように配設され、浄化される液体が、流入手段の方向に噴流として噴射され、流入手段は回転軸に沿っておよび回転軸周りに延びる環状の流入領域を備え、流入領域は収容容器とともに回転し上方に延びる収集壁を有した分離壁によって容器の分離領域から分離されている。そして、流入領域から分離と封じ込みゾーンへ移動する前に容器の外側周壁の周速に近くまたはそれより小さい周速を摩擦抵抗によって確保し、従来の所謂遠心分離作用によって、外側周壁面に衝突する液体は、集められ、フィルムのように広がり、軸方向上方と半径方向外側へ移動する。そのローターを動かすための液体の衝突を受け止める反動タービン翼、またはバケツ状もしくはそのような表面に、液体または他の流体の噴射流が衝突するようにし、好ましくは、浄化される液体を使用し、使用済の液体は、前記したような収容容器の外周壁によって画成される環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーンへ導くための流入手段の収集面に導くことにより、全てのローターの回転エネルギーを得られる。
【0005】
オープン容器遠心分離装置は、車両の内燃機関に適用される以外にも一般的な用途を有しているが、自動車、トラックのような大量生産される輸送車両の内燃機関に使用される単純なオープン容器遠心分離機の設計は、種々の要因で拘束される。例えば、製造コスト、複雑性、サイズのようなものであり、これらは、実際上、要求される高速回転の達成において駆動源および場所の制約を受ける。そのため、ローターの回転のために入力される駆動力およびエネルギーが、最も効率よくしかも無駄なく使われることは重要なことである。
【特許文献1】US−A−6013700
【特許文献2】WO−A−02/055207
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、液体駆動の遠心分離装置の提供と、これまで以上の高効率の液体駆動遠心分離装置のためのオープン容器ローターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、固体汚染物質を液体から分離する遠心分離装置のためのローターは、長手方向に伸びる回転軸とその回転軸の周りに回転軸から所定の距離を存して伸びる不浸透性の外側壁とその外側壁から回転軸方向に伸びる少なくとも1つの端壁と、を有する壁で囲まれた汚染物質の分離及び封じ込み容器と、外側壁よりも径方向内側に配設され、容器の外に液体を排出する排出通路手段と、外側壁から径方向内側に環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーンを規定する前記外側壁および端壁と、該ゾーンの径方向の境界を規定する前記排出通路手段と、浄化する流体を受け入れるように配置されそれを排出通路手段から排出できるより少ない割合で汚染物質の分離と封じ込みゾーンへ流す流入手段と、長手方向回転軸の周りに容器を回転するためにローターを支持する支持手段と、駆動噴流を受けるために配設され、長手方向回転軸の周りにローターを回転させるために駆動流体の衝突に反応する流体モータインペラ手段と、からなり、前記流入手段はさらに、排出通路手段と回転中心軸との径方向の間に配置される分離壁によって回転中心軸の周りおよびそれに沿って規定され、液体の流入端部を有する液体流入領域と、流入端部から離れて位置され、流入領域と汚染物質の分離と封じ込みゾーンとの間の液体の流れを許容する連通通路手段と、回転中心軸方向に面した上記分離壁の収集面とから成り、前記流入手段は、分離壁の収集面に流入領域内に直立し、回転中心軸周りにそして分離壁に沿って前記流入端から前記連通通路手段の方向にのびる螺旋通路を有する少なくとも1つの収集インペラ羽根を備えた収集インペラ手段を含み、流入領域に噴射された浄化する液体を、連通通路手段に向かってそのローターの流入手段の回転方向に伸びる螺旋通路に従わせるように構成されることを特徴とする。
【0008】
最も好ましいことは、液体を保持する複数の収集インペラ羽根があることである。
【0009】
モータインペラ手段は、複数の螺旋状のモータインペラ羽根から成ってもよく、それぞれの羽根の表面は流入手段の流入端部または近傍に配設され、また分離壁の収集面に対して直立している。モータインペラ羽根の少なくとも一部は、羽根によって偏向された駆動液体が流入領域に向けられるように配置されていてもよい。このようなモータインペラ羽根は、収集インペラ羽根に対して軸方向に機能が分離していてもまたは重なって配置されていてもよい。
【0010】
好ましい形態において、収集インペラ羽根が液体モータインペラ羽根から成り、その結果、駆動液体は浄化される液体であってもよく、単に回転エネルギーは流入端部近くの小さい領域への衝突の結果としてではなく、流入領域に沿う移動を通してローターに伝えられるように流入領域に沿って伸びるインペラ羽根へ衝突する。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、遠心分離装置のローターは、回転軸長手方向に伸びる壁を有する汚染物質の分離と封じ込み容器と、その回転軸の周りに回転軸から所定の距離を存して伸びる不浸透性の外側壁と、その外側壁から回転軸方向に伸び、外側壁よりも径方向内側に配設されて容器の外に液体を排出する排出通路手段を含む少なくとも1つの端壁と、外側壁から径方向内側に環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーンを規定する前記外側壁及び端壁と、そのゾーンの径方向の境界を規定する前記排出通路手段と、浄化する液体を受け入れ汚染物質の分離と封じ込みゾーンへ流す流入手段と、長手方向の回転軸の周りにローターを回転する流体モータインペラ手段とからなり、また、外側壁と少なくとも1つの端壁の排出通路手段との間に前記端壁から排出液体ガイドが伸び、排出通路手段を通ってローター容器から排出された液体が前記排出液体ガイドの径方向外側に位置するローター容器の外壁に流れることを防止するように構成されている。
【0012】
ローターは、流入手段が、さらに排出通路手段と回転中心軸との径方向の間に設けられる分離壁によって回転中心軸の周りおよび回転中心軸に沿って規定される液体流入領域と、収集インペラ手段とからなることに関する限りにおいて、前記2つの段落に記載のものと近いかもしれない。
排出液体ガイドは、チューブ状のスカートまたは回転中心軸周りに配置される同等の物であってもよく、端壁を貫通する複数の開口で形成される環状通路であってもよい、また、端壁の開口に対する複数のチューブ状のダクトからなってもよく、それが壁から回転中心軸に関して平行または傾斜して伸びていてもよい。
【0013】
本発明の第3の態様において、遠心分離装置は、液体の分離と封じ込み容器を有するローターと、回転軸の周りに回転する液体の分離と封じ込み容器を含むローターを支持する支持手段を有するハウジングと、ローターから離れる方向に容器内の液体を排出する排出手段と、モータインペラ羽根に作動液体を噴出する駆動液体ノズル手段を含む液体モータタービン手段と、ローター容器に浄化される液体を直接供給する容器供給手段とを備え、そのローターが前記6段落のうちのいずれ1つの段落の記載によって定義されるローターからなり、前記容器供給手段が液体流入手段の流入端部に噴流を指向する液体ノズル手段から成ることで特徴づけられる。
【0014】
好ましくは、この装置は回転中心軸を実質的に垂直に配置して、液体が流入領域を通って壁面方向に比較的強い遠心力、そして比較的弱い重力を回転軸において一様に受けるようにする。重力が遠心力に比較して弱いので、流入部と連通通路部とを逆にしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜3を参照すると、遠心分離器110の第1実施例は、内燃機関(図示せず)のエンジンブロックに取り付けられるベース114によって定義されるハウジング112と、取り外し可能なカバー116とから成る。そのベースは、入口ダクト手段118を含み、その入口ダクト手段によって、汚れた潤滑油が高圧で供給されて浄化され、さらに、エンジンの油溜めにハウジングから液体を排出する出口ダクト手段120を含む。
【0016】
回転中心線124を有したスピンドルまたはアクスル122は、ベースにその一端部122が支持され、そして、ハウジングを通って延びて、他端部122がカバー116に係合している。分離器は、実質的に垂直な中心線124を有して装着されるように設計されている。このことは、作用上は必須ではないが実用上好ましい。
【0017】
ローター130は、ハウジング内で中心線124回りに回転するためスピンドルに装着され、壁で覆われた汚染物質の分離と封じ込み容器132(以下「容器」という)を含み、その容器は、端壁136と138との間を回転中心線124周りに、長手方向に伸びる不浸透性の外側壁134と、管状スリーブ139によって定義される内側壁とを有する。側壁134から半径方向内側が、環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーン140(以下「ゾーン」という)であり、破線141で示されるようにそのゾーンの半径方向の内側の境界線は、容器からハウジング内へ導くために端壁138に設けられた排出通路手段142の位置によって決まる。その排出通路手段142は、端壁138に設けられた、1つまたはそれ以上の開口143から構成され、周方向に伸びる長孔に形成されている。そして、端壁138は、150で示され以下に説明する流入手段に連結され、その流入手段は、半径方向内側からゾーン140へ汚染液体を運ぶように設けられている。排出通路手段142は、図示されるように、その容器の基礎部を形成する端壁に形成されているが必要ではなく、排出通路手段は、端壁と流入手段との間に環状隙間を形成することでもよい。
【0018】
ローター130は、またハブ144を含み、ハブ144によってスピンドル122にローター130が装着される。ハブ144は、スピンドルを囲い、そして軸方向に間隔をもって配置されたニードルローラーベアリング146、146、または同等の低摩擦ベアリングによって装着され、ナット148、または類似の支持クリップ、または支持装置によって固定される。容器の内壁スリーブ139は、ハブを囲んで装着され、ハブとともに容器を回転できように支持される。
【0019】
流入手段150は、液体流入領域151から成り、この液体流入領域は、分離壁152によって回転中心線周りにそして回転中心線に沿って定義され、または、回転中心線124周りにそして長手方向に沿って伸びており、同心状のスリーブとハブとの結合と、ゾーン140との間に配置される。分離壁152は、ハブと容器壁とに対して一定の関係で設けられている。液体流入領域は、液体流入端部を有し一般に154で示され、流入領域とゾーン140との間に液体を流すために、一般に156で示される連通通路手段から軸方向に流出される。
【0020】
分離壁152は傾斜状であり、その下端152から上端152への距離の関数として半径が増加し、容器の端壁136から離れて配置される上端部152に、環状の連通通路手段を備える。このように、連通通路端部では分離壁が、より大きな半径を有し、入口端よりも容器側壁134に近接している。
【0021】
流入手段150は、さらに、一般に161で示す収集手段を含み、回転中心側に面する分離壁の収集面162によって定義される。その収集手段は、液体流入領域151に噴射された液体を収容する機能と、噴射された液体の運動量と収集面の回転を用いて連通通路手段の方へ液体を流す機能とがある。
【0022】
浄化される汚染液体は、主にノズル164、164等から、自由噴流として流入手段の流入端部に接触するように噴射される。そして、連通通路手段に運ばれるまで、回転する分離壁の収集面によって封じ込められる。
【0023】
このような回転を効果的に達成するため、遠心分離器110は、一般に170で示す流体モータ手段を含む。ローターは、複数のモータインペラ羽根172、172、…、172、この例ではi=11を含み、回転中心線の周囲に配列され、分離壁とスリーブとの少なくとも1方から伸びるそれぞれの羽根は、流入領域の開口を横切るように他方に向かい、少なくとも回転中心線の方向に小距離の間、ベースに固定された1つまたはそれ以上のノズルからの駆動流体の自由噴射を受け止めるために設けられる。これによって、羽根は、駆動流体の衝突を受け、流体がそれによって偏向されるにつれてローターに回転を与え、そのエネルギーのいくらかを消耗する。
【0024】
必要性よりむしろ便宜上、この実施例においては、駆動流体は浄化される汚染液体(油)であり、ノズル164、164が、その汚染された液体を羽根172等に方向づけている。そして、羽根はその液体を偏向するような大きさと形状に作られ、流入領域内への噴流エネルギーと運動量のいくらかを維持し、分離壁の収集面との接触を可能にしている。
【0025】
モータインペラ羽根は、液体噴射を偏向するような大きさと形状に作られ、流入領域の流入端部152にまたは近接して、流入領域に沿って配置される。その結果、分離壁の収集面と接触することができる。このような点に関する限り、分離装置とローターの上述した構成部品は、前述のWO02/055207の開示と同一である。
【0026】
しかし、その配置において、それぞれ液体噴流は、流入領域の流入端部でインペラ羽根の比較的小さい部分に衝突を集中させていた、跳ね返りまたは偏向された液体が、収集面152だけで有効エネルギーとして使用されると考えられていた。本発明によれば、流入手段150は、一般に180で示される収集羽根手段を含んでいる。
【0027】
図2、図3に示されているように、収集インペラ羽根手段は、複数の収集羽根182〜182(i=11)からなり、それぞれは、流入領域151内に分離壁の収集面162に直立し、回転中心軸周りに、分離壁に沿って流入端部から螺旋状のまたはネジ状の通路に沿って連通通路手段の方に伸びている。
【0028】
本実施例においては、必ずしも必要ではないが8つの収集インペラ羽根はそれぞれが、分離壁の端部152を超えて伸びて螺旋通路を続けて形成している。その螺旋通路は、回転中心線に対して約60°以下のピッチ角を有し、明らかな理由によりピッチ角は45°±10°が好ましい。長手方向軸(回転)中心線周りのそれぞれの羽根の巻数は、容器の長さによるが、一般的に2巻以下である。182のようなそれぞれの収集インペラ羽根は、また、連通通路手段の方を指向する第1面182ip(傾斜しているが)と、流入端部の方向に一般に連通通路手段から離れる方を指向する第2面182isを有している。羽根は、それぞれ実質的に収集面に関して垂直に、放射状に、そして、等間隔に伸びている。
【0029】
収集インペラ羽根手段180は、モータインペラ羽根手段170と構造的に分離されてもよいが、本実施例においては、一体化されて、機能の一部としてモータインペラ羽根手段が割り当てられている。このために、二重機能の羽根を単に「インペラ羽根」と称することが適当である。
【0030】
本実施例において、以下に説明するように、このようなインペラ羽根の統合は、ローターのインペラ羽根として同数の収集インペラ羽根が存在し、これら羽根は機能的に整列されていることを意味するばかりでなく、モータインペラ羽根は、本質的に分離壁の収集面162に対して直立し、その機能的な長さのために、収集インペラ羽根と同様な螺旋ピッチと同様な第1面、第2面を有している。
【0031】
ノズル164等は、汚染液体の噴射をそれぞれのインペラ羽根の第1面によって占められる一定の場所に向かうように配置され、そして、衝突するように浅くまたは斜め角度でその羽根に液体の噴流を当てるようにし、羽根に駆動力を与え、駆動力は、羽根に沿うばかりでなく羽根の回転につれて時間的にも与えられる。収集面と羽根とによって流入領域に保持されている液体は、ローターの回転方向に螺旋通路に従って流され、次第に、エネルギーを羽根に与え、ノズル噴流の移動によって、インペラ羽根の第1面を介して回転力を伝える。
このようなエネルギーの連続的な変換は、液体から引き出すことができ、そして流入領域への汚染液体の噴射で損失なく高回転を達成することが可能になる(単純な衝突タービンの変換能力と損失、およびペルトン水車のバケット装置と同程度の高効率の液体噴射と比較して)。
しかし、ローターの回転速度は重要であり、流入領域に沿って運ばれた液体は、モータ機能のインペラ羽根にその“運ばれた”エネルギーが失われるばかりでなく、半径が大きくなる収集面162に対する作用力から回転エネルギーを得ることも重要であり、そして、直立して配列される収集インペラル羽根によって相対的なすべりを防止している。
回転方向に接する方向の瞬間的な液体速度は、連通通路手段の方向への移動とともに増加し、その結果流入手段から離れ、分離と封じ込みゾーンの側壁134へ飛ばされる。ゾーン140内における良好な状態を確保するために、どちらかというと汚染物質の分離条件が達成されるような小さい速度差がある。
【0032】
流入領域内でのインペラ羽根と液体との相互作用は、主にハブの管状スリーブ139よりもむしろ分離壁の収集面の周囲で起こるにもかかわらず、製造コストの制約から隣接した羽根間に形成される実質的に閉じた収集ダクトを円周状に設けるほうが都合がよい。
【0033】
図4は、好適な製造方法を説明するために、図1に示すローター容器、ハブおよび支軸の組み立て前の概略断面立面図を示す。ローター130は、基本的に、プラスチック材または複数のプラスチック材の一体モールド型によって成型された3つの構成要素から成る。通常の作動温度における内燃機関の潤滑油の浄化と、軽量化と、強度との組み合わせを提供するために、ガラス装填ナイロン材が、図4(a)に示すベアリング146、146を備える管状ハブ144に使用され、分離装置のハウジングから上方向に伸びる固定支軸122(創造線で示される)に確実に固定される。このハブは、支軸に対する装着位置を維持するため、ハブの外表面144'には、その長さ方向に沿って少なくとも一部にリブまたはスプラインが形成されている。
【0034】
ローター容器132は、図4(b)、図4(c)で示されるように2つの部品から形成されており、図4(b)の下部品132と図4(c)の上部品132からなる。上部品は、プラスチック材料の一体成成型であり、外側壁134の部分と、上端壁136の部分と、内側壁/管状スリーブ139の部分と、そのスリーブの外側から伸びるインペラ羽根182〜18211とから成っている。管状スリーブ139の内面139'は、ハブの外面144'と協働するように凹所またはスプライン付けされ、組み立て分解のために軸方向の相対変位はできるが相対回転はできないようになっている。さらに、インペラ羽根は、端壁136からの距離の関数として管状スリーブからの幅と距離を減少するような傾斜状になっており、また、側壁134は、型成形しやすいようにわずかに傾斜している。図5は、この上部品の斜視図を示しており、より明確にインペラ羽根の形状と配列を表している。
【0035】
図4(b)は、容器の下部品132に対応する一体成型品を示し、外側壁134の残りの部分、排出通路開口143を有する下端壁138、および分離壁152からなる。分離壁および外側壁は、端壁から距離の関数として、半径が増えるように傾斜している。
【0036】
容器は、上下の部品を組み立てて、外壁を接合することによって、容易に形成されることができる。このような組み立ては、内壁/スリーブ139とインペラ羽根を分離壁152の内部に位置決めすることを含む。それによって、流入手段150および分離と封じ込みゾーン140を定める。これら部品は、分離と封じ込みゾーンが汚染物でいっぱいなったときに廃棄して交換するように永久的に接続してもよく、または清掃および再利用ができるように分離可能でもよい。いずれの場合でも、容器はハブに着脱可能に取り付けられる。特に、汚染物質の除去を目的として、その容器がリサイクルできるプラスチック材だけからなる(おそらく不活性充填剤)限りにおいて、ハブを内部に残しベアリングを備えた容器が持ち運ばれて容易に廃棄できることのが良い。
【0037】
分離壁およびインペラ羽根は、組み立て前には異なる部品として製造されるが、これら部品は、従来の成形技術によって充分な精度によりモールドされ、インペラ羽根は、壁の収集面に接し直立した関係を達成できる。
【0038】
当然のことながら、要求に応じて他の構造とすることは可能であることはいうまでもない。例えば、外側壁134は、上部品または下部品にのみ形成され、他方の部品に端壁が形成されてもよい。そのインペラ羽根は、組み立て時に上部品の管状スリーブ139を収納する空間を残して、図4(b)の下部品の分離壁と一体に形成してもよい。そのような空間は、図1に対応するように上端方向に羽根の幅が増加するように径が形成されるか、または、その羽根は一定の幅を有し、羽根の端部が、連通通路端方向にスリーブ139から隔てられて分離壁に平行な位置にあるようにしてもよく、それによって内側壁139の周囲領域は開口されている。
他の例として、管状体、分離壁、インペラ羽根を一体成型として形成し、その周囲に上部と下部の容器を組み合わせるようにしてもよい。
各羽根の幅、分離壁面162と内壁139との関係があるかもしれないが、羽根の縦方向のピッチ角は、垂直以外の半径方向に対する傾斜でもよい。
【0039】
ハブ144への容器の容易な装着と成型部品の互換性のために、そのハブの端部に止め溝185が設けられ、その溝の片側186、187はそれぞれ面取りされている。
容器の内側管状壁139は、その上端に向かって複数の弾性片188を縦軸周りに有し、ハブに管状壁を位置決めできるようにそれぞれは付勢されている。そして、弾性片の先端は、ハブの表面の186、187によってそれぞれ力を受けて、ハブに対して容器をしっかりと固定するように止め溝に係合される。ハブから容器を取り外すには、弾性片をずらし、さらに/または、カムのように作用する止め溝面187に縦軸方向の力を作用させるだけで、移動を可能にする。もし必要であれば、不注意による外れが、弾性片の周りをリングで覆うことで、あるいはハウジングカバー116で支持されることで防止される。
【0040】
プラスチック材料からローター、特に容器を製造することが、製造に都合がよいことや製造しやすいとしても、一部または全ての部品を他の材料、特に金属板材で製造してもよいことはいうまでもない。
【0041】
本実施例に示された発明では、流入手段は、液体を放出する前に液体の最大速度を達成するために連通通路手段方向に半径が増大するように直線的に傾斜した分離壁の収集面を有するにもかかわらず、その分離壁の収集面の傾斜は、流入領域に沿った直線以外であってもよく、広範囲にわたる螺旋状のインペラ羽根のために、分離壁が全く広がらなくてもよく、流入端部と連通通路手段との間を実質的に単一の径を維持した流入領域であってもよい。
【0042】
また、連通通路手段は、分離壁の上端部または縁以外に備えていても良いことは理解される。最大円周位置で連通を行なうにもかかわらず、その連通通路手段は、上述したWO02/055702にて説明したように、流入領域に沿って位置される分離壁を貫通する別個の開口から構成されるようにしてもよい。
【0043】
インペラ羽根が、流入液体から回転のためのエネルギーを引き出し、連通通路手段に近づくに従っての増速を収集面で液体に伝える限りにおいて、その羽根の形状は各々の機能を最適化するために流入領域に沿って変更できることはいうまでもない。
【0044】
各々の羽根のピッチ角は、流入手段の長さ方向に沿って変えてもよく、例えば、入口からの距離に応じて、連続的にまたは長さごとにステップ的に減少させるようにしてもよい。
【0045】
本実施例において、二重の機能または別々の機能を有する羽根の数については、図8までに示された例示のものを変えてもよい。
【0046】
少なくとも流入領域の全長に伸びることがインペラ羽根には都合がよいが、羽根を連通通路手段に達せずに止めてもよいことはいうまでもなく、さらに/または流入通路の一部に別のインペラ羽根を設けてもよいことはいうまでもない。羽根が有する二重機能の関係において、羽根の役割が流入領域の距離に応じて変化することはいうまでもない。
従って、たとえ表向き二重の機能を有するインペラ羽根が軸方向に異なって、または周方向にずれて、羽根の枚数および回転軸に対する傾斜についてのピッチ角度が異なる羽根を設けても、モータ機能と収集機能の一つが他の機能に優先して実行される。例えば、連通通路手段の方へ向かって、羽根の機能は、主に収集面で液体の回転を促進することが目的され、液体から駆動力を引き出すことは小さい。このインペラ羽根は、連通通路手段の方向に液体を積極的に送ろうとする流入端部に近いところの羽根とは異なる傾向があり、要するに、専用の収集インペラ羽根からなる。
【0047】
今までに、本発明は二重の機能を実行するインペラ羽根を有することを説明したが、噴射された汚染液体から回転力を得る機能と、噴射された液体を収集して連通通路手段の方へ推進する機能であり、これら機能は、分離されていても、特別に構成されたインペラ羽根またはそれらと等価物によって付加的に提供されてもよい。これは、特に分離または追加的なローターインペラ羽根に対していえる。
【0048】
図6は、概略的にベース、それに載置取付けられるローターの断面立面図を示し、遠心分離装置210の第2の実施例を示す。
【0049】
ローター230は、一組の追加的なモータインペラ羽根272−272の供給を除いては実質的には上記したローター110と同様であり、ここで、i=11または他の整数である。また、ローターは、上記した外側と内側の容器壁134、139および138、流入領域151の分離壁152、そして収集機能とモータ機能の二重機能のインペラ羽根182…182からなる。
【0050】
この追加的なモータインペラ羽根は、二重機能の羽根とはその枚数、円周上の配置において異なってもよい。図示されるように、それらはベースに設けられた1つまたはそれ以上のノズル264等によって供給される駆動液体263(汚染液体を含むどんなガスでも液体でもよい)の噴流を受け止めるように配置され、また流入領域から液体を離れたところへそらすように配置され、その液体はローターの回転にのみ使用される。
分離ノズル164(またはノズル等は)は、噴流として流入領域151の流入端部に浄化のために汚染流体を向ける。この汚染液体は、すでに説明したように螺旋状の収集インペラ羽根と接触し、その結果、液体は羽根に回転力を与えるとともに羽根は液体を分離壁の収集面で回転させて連通通路手段に運ぶ。
【0051】
この種の専用の追加的なローターインペラ羽根は、いかなる適切な形状、配置をとることもができ、周知のペルトン水車から成るバケット形式を含む。流入手段の流入端部に近接してこのような追加的なローターインペラ羽根を位置させることは都合が良いが、このことは必ずしも必要ではなく、ローターの一部に設けられてもよい。
【0052】
第2の実施例の変形例(図示せず)として、回転力に貢献するために流入領域内に噴射される液体に代えて、ノズル164からの液体噴射方向、および/または収集インペラ羽根182が、噴射液体に対してローターの回転に何も貢献せずに、程度の差はあっても回転する流入手段からエネルギーを引き出して最大回転速度で連通通路手段方向へ液体を送るためのこの回転力は別個のモータインペラ羽根に別の駆動液体の衝突だけから生成するようにしてもよい。
【0053】
図6の代表的な実施例において、別の追加的なモータ(単独モータ)インペラ羽根は、駆動液体を流入領域から離れたところへ向けるように配置された羽根を示し、液体による駆動と汚染液体の収集との間をできる限り区別するように強調的に示しているが、このようなモータインペラ羽根は、汚染液体の供給源に混入されるように駆動液体を流入領域に向けるようにしてもよい。
【0054】
モータ機能から分離した収集インペラ羽根の機能が作用する場所では、収集インペラ羽根は、分離壁における円周方向の無制約な滑りを防ぐために液体をガイドする単一の収集インペラ羽根から構成されていてもよく、そのような構成は、回転軸周り360°を分離された一対の羽根相当と考えることができる。しかし、バランス良い運転のために、回転軸周りに配置される収集インペラ羽根は複数設けることが好ましい。
【0055】
さらなる分離装置の他の実施例(図示されず)は、図1のローター130を用いて、ベースが、上述したように流入領域内に汚染液体の噴流を向けるように配置されているが、また同様の軌跡(好ましくは中心軸周りの円周方向)に沿ってガス状の駆動液体を噴射してもよく、その結果、回転力を与え、流入領域そして分離と封じ込み容器を通るが、汚染液体からは分離されている。
【0056】
上記した実施例において、回転軸中心線124はさまざまな理由、すなわち従来の満液式遠心分離装置によって確立された理由により、垂直に設けられている。エンジンへの装着の容易さ、ローターがエンジンの操作を通して回転したり止まったりを交互に繰り返している限り、分離された汚染物はローターが停止したときに一方向に脱落させるよりもローター軸の周りに一様に保持していた方がよい。それによって、回転が再開されたときによりよいバランスがとれる。しかし、原則的に分離装置およびローターが垂直以外の回転軸を備えない機能的な理由はない。
【0057】
上記実施例は、従来の垂直に伸びる回転軸を採用するのみならず、浄化するための液体が下部から供給されて重力でその後排出されるが、脱着されるカバー116を備えるハウジング112を採用している。図1の配置は、実質的に同一手法で機能するため、極めて少ない変更で、反転することができることはいうまでもない。そのような配置は、カバー内における120に相当する排出通路によって充填と保守のために分離装置の下方からカバーとローターに供給をする。
作動速度で回転しないときに容器が液体で満たされないようにするために、出口通路142または壁136を設けることは好ましいことである。連通通路手段156が、端壁136に近接して設けられている限り、通常の排出通路手段として機能する端壁138の排出通路143は壁136のそのような通路とともに容器への不要な充満を防止するために好ましい。
さらに、実施例において、分離装置の固定軸122は、カバー116およびハブ144によって回転可能に装着されるローター130を支持している。もし必要であれば、固定軸122の代わりに、ハブ144にハウジングとカバー内に軸受の受口を備えて縦軸方向に突出した突出部を形成してもよく、その軸受にローターの回転軸が支持される。
【0058】
上述したように、ローターの分離と封じ込み容器132は、下端壁138を有し、そこには排出通路手段が回転中心線に垂直な平面内に実質的に設けられる。当然のことながら型成形及び/またはプレス成形の製造コストの範囲内で、外側壁134を排出通路手段の下方まで伸ばし、端壁を排出通路手段の方向へ上方向に傾斜し、または、外側壁134を排出通路手段よりも上方で終了し、端壁を出口通路手段の方向へ下方向に傾斜することができる。
これら後者の2つの案には、問題があるかもしれない、回転中に液体によって容器の外側壁に加わる力は、回転軸中心線に垂直でない端壁の曲げの原因になる傾向があり、出口通路手段方向に傾斜している端壁は、ローター内の汚染物質量を減少させるばかりでなく、排出液体によってゾーン140から分離された汚染物質が運び出されてしまうこと、および/または分離された汚染物質が衝撃力で除去されてしまうという望ましくないことが考えられる。しかし、液体噴射によって高速度で回転される遠心分離器は、限られた利用できる駆動力から回転を最大化する要請に関する限り、重要な要素は、自由回転を損なうことがないように摩擦を最小にすること、もしくは同様の効果を得ることである。当然のことながら、図1に示すような容器においては、端壁138の排出通路143で分離と封じ込み容器から液体を排出する。そして、液体が容器から放出されたときには、カバーまたは他のハウジング部材に当たるまでハウジング内を直線的に進み、排出された液体は、側壁方向に向かって螺旋円弧状に進む傾向がある。
液体が強制的に高圧で噴出される以外に溢れ出る結果として、排出通路手段から排出される限り、その液体は端壁への付着、または分離前の流れ、および/または容器に隣接して端壁と一致したハウジングからの飛散の可能性があり、いずれにしても、排出された液体が除去されるまで回転の抵抗となる。
【0059】
再度図3を参照し、分離ゾーンの最大回転速度を達成する目的に関して、外側壁134と端壁138の排出通路手段との間には排出液体ガイド190が端壁から軸方向に伸びて設けられている。そのガイドは、排出通路手段からの排出液体が、ガイドの半径方向外側に位置する容器132の外周面に流れるのを防止するように作用する。ガイドは、端壁と一体に形成され、排出通路手段の細長い孔143の周りに、回転中心と同心状に伸びてスカートを形成している。その管状のスカートは、好ましくは一定の径からなり、その孔の縁191から外に流れた液体が、その場所でハウジング影響を与えないように、すなわち、再度飛散して容器の抵抗とならないように容器の端壁から離れるように軸方向に伸びている。排出液体ガイドは、製造によって影響を受けるがその長さ方向において一定の径でなくてもよい。さらに、ガイドは、排出通路手段に近接している位置、おそらく排出通路手段の延長として構成することが最も効果的であるが、排出通路手段と外側壁134との間のどの位置であっても良い。排出液体ガイドは、端壁と一体に形成されなくてもよく、例えば、端壁に接着されまたは溶接される別の管状ガイド(図示せず)から成っていてもよい。また、そのようなガイドは、軸方向に伸びて直立し、排出通路手段の内部に伸びる突起を有し端壁に対して取り外せるように構成してもよい。
【0060】
図7を参照し、この図は、図3と同様に分離ローターの一部分を示すが、そこには下端壁136に、余分な液体を排出するために形成した単純な貫通口143とは異なる排出通路手段142を示している。1つまたはそれ以上の開口143'が回転中心軸の周りに配設され、チューブ状の排出管が伸びて形成され、それによって端壁からの排出液体がローターやハウジングの望ましくないところから離れた位置に案内される。このような排出通路管は、回転中心線124に対して軸方向に伸び、そして、勿論排出液体は、回転力を発生せず接線方向または半径方向外側に排出されるが、好ましくは従来の反動式遠心分離器のローターと同様に回転軸に対して傾斜して設けられるとよい。
【0061】
図1〜6に示すような堰タイプの排出通路手段と排出通路管とを組合せて形成してもよく、基本的には液体排出ガイドを形成し、液体排出ガイドが外側壁134に近接して配置された場合には、遠心力によって昇圧されてそのガイドに保持された液体は、排出通路手段のこのようなダクトを通って容器から排出させられる。図8を参照し、この容器の(下)端壁138が、環状の空間192を間に形成する内側端壁138と外側端壁138からなる二重壁であってもよい。
【0062】
排出通路手段142は、内側端壁138に設けられた前述の一連の細長い孔143と外側端壁138の径方向内側端138’に形成された環状開口193によって構成される。さらに、外側端壁は、前記径方向内側端に軸方向に伸び、ガイド191に相当する排出された液体をガイドする管状のスカートを形成している。環状の空間には複数の半径方向に伸びる分割羽根を有し、さらに外側端壁から伸びて回転とは反対方向に開口する1つまたはそれ以上の排出通路管143"を有している。作用においては、最初の低速度では、排出液体は排出通路143と環状開口193から排出され、回転速度の増加に伴って液体は、内側端壁を通り環状の空間に流れ、ゾーン140と同様の手法によってそこに蓄積され、徐々に圧力が形成されて排出通路管143"から外側端壁に影響しない方向に排出される。もし、容器(ゾーン140)を通る液体の流れが増大して、環状の空間192に液体が満たされた場合には、周囲にスカートを備えた環状開口193が排出通路と排出液体ガイドとなる。外側端壁とそこの排出通路管は、前述の単一端壁136(図1に示すように)に設けられた分離機構ということができるかもしれない。
【0063】
図に示され説明された実施例は、容器の下端壁に排出通路手段が設けられているが、必ずしも必要ではなく、このような通路手段の代わりに、および/または追加して上端壁136に形成されていてもよい。このような場合において、この排出液体ガイド手段は、重力作用で回転を妨げるようにローターの方に排出される液体に対処するためさらに重要である。
【0064】
排出液体ガイドの機能は、流入手段とは独立であり、すなわち、螺旋状の収集インペラ羽根の有無にかかわらず、結果的には、前述のWO02/055207に記載されているようなオープン容器型の遠心分離機に使用されても良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。添付図面において、
【図1】本発明の遠心分離装置の第1実施例を示す断面正面図であり、浄化される汚染液体が供給されて、汚染物の分離および封じ込めを行なうローターと、汚染液体を供給源とする液体モータ駆動手段と、環状の分離壁によって形成される環状のローター液体流入手段と、回転のためのモータインペラ羽根でもある収集インペラ羽根と、を含んでいる。
【図2】図1の2−2方向の断面図であり、回転軸の周りに配列された収集インペラ羽根を示している。
【図3】図1に示す直立のスピンドルとそれに支持された分離装置のローターの半分を切除した斜視図であり、ローターを通る汚染された液体が流れる通路と、端壁に形成された液体排出ガイドとを示している。
【図4】(a)〜(c)は、図1のローターの分解した構成部品の正面断面図であり、予め組み立てられる関係の構造を示す。
【図5】図4(c)のローターの上端部の一部を切除した斜視図であり、流入領域の内壁を形成するスリーブに一体形成された収集インペラ羽根の詳細を示している。
【図6】図1と同様な遠心分離装置の第2実施例を、ローターの下部分のみを概略断面正面図に示し、収集インペラ羽根とモータインペラ羽根とを例示している。
【図7】他のローター形状の一部であり、大体は図3のその部分と同様であるが、液体排出ガイドの異なる構造を示している。
【図8】図7の部分のさらなる他のローター形状の一部であるが、液体排出ガイドの異なる構造を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体から固体汚染物質を分離する遠心分離装置のための遠心分離ローターであって、前記ローターは、
長手方向に伸びる回転軸とその回転軸の周りに回転軸から所定の距離を存して伸びる不浸透性の外側壁とその外側壁から回転軸方向に伸びる少なくとも1つの端壁と、を有する壁で囲まれた汚染物質の分離及び封じ込み容器と、
外側壁よりも径方向内側に配設され、容器の外に液体を排出する排出通路手段と、
外側壁から径方向内側に環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーンを規定する前記外側壁および端壁と、該ゾーンの径方向の境界を規定する前記排出通路手段と、
浄化する液体を受け入れ、排出通路手段から排出されるより少ない割合で前記分離と封じ込みゾーンへ流す流入手段と、
長手方向回転軸の周りに容器を回転するためにローターを支持する支持手段と、
駆動噴流を受けるために配設され、長手方向回転軸の周りにローターを回転させるために駆動流体の衝突に反応する流体モータインペラ手段と、
から成りさらに、前記流入手段は、
排出通路手段と回転中心軸との径方向の間に配置される分離壁によって回転中心軸周りおよびそれに沿って定義され、液体の流入端部を有する液体流入領域と、
流入端部から離れて位置され、流入領域と汚染物質の分離と封じ込みゾーンとの間の液体の流れを許容する連通通路手段と、
回転中心軸方向に面した上記分離壁の収集面とから成り、
流入手段は、分離壁の収集面に流入領域内に直立し、回転中心軸周りにそして分離壁に沿って前記流入端から前記連通通路手段の方向にのびる螺旋通路を有する少なくとも1つの収集インペラ羽根を備えた収集インペラ手段を含み、流入領域に噴射された浄化する液体を、連通通路手段に向かってそのローターの流入手段の回転方向に伸びる螺旋通路に従わせるように構成されることを特徴とする遠心分離ローター。
【請求項2】
前記流体モータインペラ手段は、流入手段の流入端部にまたはその近傍に配設された複数のモータインペラ羽根からなり、それぞれが上記分離壁の収集面に直立して設けられる請求項1に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項3】
前記モーターインペラ羽根は、回転中心軸周りに、そして分離壁に沿って前記流入端部から収集インペラ羽根と同様の方向性をもって前記連通通路方向に伸びる請求項2に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項4】
前記モータインペラ羽根は、夫々が連通通路手段の方向に面する第1面を有し、流入領域内に噴射された駆動流体を前記第1面で受けるように配置され、そして連通通路手段の方向へ向けて前記収集インペラ羽根間にその流体を偏向させる請求項3に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項5】
それぞれの収集インペラ羽根の螺旋ピッチ角は、35〜55°である請求項1から4のいずれか1項に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項6】
それぞれの収集インペラ羽根の螺旋ピッチ角は、45°である請求項1から5のいずれか1項に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項7】
前記ローターは、樹脂材料からなる3つの一体成型品を組み合わせて構成され、第1の成型品は1つの端壁と内側壁と少なくとも1つの収集インペラ羽根とからなり、第2の成型品は端壁と分離壁とからなり、分離壁は分離壁の収集面と接触して少なくともインペラ羽根の一部を収納するような形状とされ、前記第1の成型品と第2の成型品の少なくとも1方には外側壁の少なくとも一部を有し、そして第3の成型品はその周囲で内側壁を支える形状のハブからなる請求項1から6のいずれか1項に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項8】
外側の周壁から回転軸方向に伸び、排出通路手段を有する少なくとも1つの端壁を備え、外側の周壁と少なくとも1つの端壁の排出通路手段との間に前記端壁から排出液体ガイドが伸び、排出通路手段を通ってローター容器から排出された液体が前記排出液体ガイドの径方向外側に位置するローター容器の外壁に流れることを防止するように構成される請求項1から7のいずれか1項に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項9】
液体から固体汚染物質を分離する遠心分離装置のための遠心分離ローターであって、
回転軸長手方向に伸びる壁を有する汚染物質の分離と封じ込み容器と、その回転軸の周りに回転軸から所定の距離を存して伸びる不浸透性の外側壁と、その外側壁から回転軸方向に伸び、外側壁よりも径方向内側に配設されて容器の外に液体を排出する排出通路手段を含む少なくとも1つの端壁と、
外側壁から径方向内側に環状の汚染物質の分離と封じ込みゾーンを規定する前記外側壁および端壁と、該ゾーンの径方向の境界を規定する前記排出通路手段と、
浄化する液体を受け入れ汚染物質の分離と封じ込みゾーンへ流す流入手段と、
前記長手方向の回転軸の周りにローターを回転する流体モータインペラ手段と、
から成りそして、
前記端壁から長手方向に排出液体ガイドが伸び、排出通路手段を通ってローター容器から排出された液体が前記排出液体ガイドの径方向外側に位置するローター容器の外壁に流れることを防止するように構成したことを特徴とする遠心分離ローター。
【請求項10】
前記排出液体ガイドが、排出通路手段の周りにスカート状に形成されている請求項8または9に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項11】
前記液体排出ガイドのスカートが排出通路手段と一致し、排出通路手段を延長して構成される請求項10に記載の遠心分離装置のローター。
【請求項12】
回転軸の周りに回転する液体の分離と封じ込み容器を含むローターを支持する支持手段を有するハウジングと、ローターから離れる方向に容器内の液体を排出する排出手段と、モータインペラ羽根に作動液体を噴出する駆動液体ノズル手段を含む液体モータタービン手段と、ローター容器に浄化する液体を供給する容器供給手段とを備え、
そのローターが請求項1乃至11のいずれか1項に記載のローターからなり、前記容器供給手段が液体流入手段の流入端部に噴流を指向する液体ノズル手段から成ることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項13】
前記液体ノズル手段は、前記液体の噴流を流入手段の流入端部に指向するように配置され、収集インペラ羽根がモータインペラ羽根としても機能するように前記収集インペラ羽根のそれぞれの第1面に直接又は間接的に噴射する請求項12に記載の遠心分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−500594(P2007−500594A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530172(P2006−530172)
【出願日】平成16年5月3日(2004.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050677
【国際公開番号】WO2004/101159
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505229863)マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (86)
【Fターム(参考)】