説明

適応型オンツール質量流量コントローラ調整

【課題】非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する方法を提供すること。
【解決手段】質量流量コントローラは、50%超の設定点において動作させてもよい。データは、質量流量コントローラメモリに記録されてもよい。設定点は次いで、0%に変えられてもよい。記録されたデータは次いで、分析され、1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータが、計算されてもよい。1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータは、質量流量コントローラメモリに保存されてもよく、その後に非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、質量流量コントローラ(MFC)に関する。詳細には、限定するためではないが、本発明は、ガス種および動作条件にわたって質量流量コントローラ出力を最適化するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
質量流量コントローラの調整は典型的には、較正用ガス、典型的には窒素(N)でMFC製造業者によって行われる。そのような調整は、1つまたは複数のアルゴリズムパラメータ係数を開発するために行われることもある。これらのパラメータ係数は、データが、生のMFCデータと比べて、MFCでの実際の流動状態をより正確に反映するように、生のMFCデータに適用されるように構成される。しばしば、得られるパラメータ係数は、ガス依存性である。従って、MFCがN以外のガスで動作しているときには、その係数は、不正確なかつ/または遅延した結果を出力することもある。
【0003】
MFCが非調整ガスで動作しているような1つの場合には、MFCは、非ゼロ設定点の流量を提供した後、ゼロ設定点のためのコマンドを受け取ることもある。そのような場合には、弁は、そのようなコマンドを受け取ると実質的にすぐに閉じられ、MFCを通る正味のガス流がない結果になる。しかしながら、MFCそれ自体を通る正味のガス流はないけれども、熱流量センサは、センサ内部の熱再分配の性質、センサ構成部品の非ゼロ質量、その他に起因して、ガス流量の変化に対する応答が遅い。従って、MFC熱流量センサは、ゼロ設定点コマンドを受け取った後もなお流れがMFCに存在しているという不正確な出力を提供する。不正確な出力を補正するために、アルゴリズムパラメータ係数を含む1つまたは複数のデジタルフィルタが、実装される。これらのパラメータは、上で述べられたMFC調整ステップ中に計算されるので、出力は、Nガスについて適切に補正されるだけである。N以外のガスについては、補正出力は、ゼロ設定点を通り過ぎかつ/またはゼロ設定点に達しないこともある。その上、非製造調整ガスについては、熱流量センサは、ゼロ設定点値を受け取った後もかなりの時間にわたって出力を提供し続けることもあり、「ロングテール」を有する出力波形をもたらす。不正確なセンサ応答に起因して、同様の誤差は、他の設定点から設定点への流動遷移にも存在することになる。
【0004】
同様に、MFCの入り口圧力が変化すると、その圧力変化は、MFCに「寄生流動」を生成することもある。寄生流動は、MFCの内部にある、すなわちMFC入り口部分からバイパスとMFC弁との間に位置するMFC「死容積」へ流れる流動を含む。寄生流動に起因するどんな流量出力も補正するために、MFC圧力センサおよび熱流量センサからのデータは、1つまたは複数のデジタルフィルタを含むMFC補正アルゴリズムを得るために使用されることもある。補正アルゴリズムは、ガス圧力偏差によって引き起こされる寄生流動を推定し、MFCでの実際の流量を計算することもある。しかしながら、寄生流動補正アルゴリズムの初期設定パラメータは、製造業者の調整中にNを使用して得られる。従って、N以外のガスを使用するMFCプロセスでは、寄生流動補正アルゴリズムでのパラメータは、正確な流量読み出しを生成しないことになる。従って、そのような場合には、MFC圧力感度の増加がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第12/502,918号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面で示される本発明の例となる実施形態は、以下に要約される。これらのおよび他の実施形態は、「詳細な説明」の項でより完全に述べられる。しかしながら、本発明をこの「発明の要約」または「詳細な説明」で述べられる形態に限定する意図はないことを理解すべきである。当業者は、特許請求の範囲で表されるような本発明の精神および範囲内に入る多数の変更形態、等価物および代替構成があることを認識できる。
【0007】
本発明の一実施形態は、非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する方法を含む。一方法は、質量流量コントローラを50%超の設定点において非製造調整ガスで動作させること(ステップ)を含む。50%超の設定点から、設定点はその後に、0%の設定点に変えられる。質量流量コントローラからのデータは、質量流量コントローラメモリに記録される。この記録されたデータは、分析され、1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータ/係数が、補正アルゴリズムのために計算される。これらのガスパラメータは次いで、質量流量コントローラメモリに保存され、その後に非製造調整ガスについての正確な流量データを提供するために、非製造調整ガスを伴う将来の質量流量コントローラ動作において使用される。
【0008】
非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する別の方法は、(i)質量流量コントローラをゼロ設定点に設定すること(ステップ)および(ii)質量流量コントローラが弁オーバーライド制御モードにある間は弁をゼロ位置に設定すること(ステップ)の1つを含む。これらのこと(ステップ)のどちらにおいても、質量流量コントローラ入力圧力が変動し、質量流量コントローラ内の寄生流動が生成されるときには、MFC流量および圧力データが、記録され、質量流量コントローラメモリに保存される。流量データおよび圧力データは次いで、分析され、MFCで使用されている非製造調整ガスについての寄生流動補正アルゴリズム内の1つまたは複数のパラメータのための1つまたは複数の係数が、計算される。これらのパラメータ係数は次いで、質量流量コントローラメモリに保存され、非製造調整ガスを伴う1つまたは複数の将来の質量流量コントローラ動作において使用される。
【0009】
これらのおよび他の実施形態は、本明細書でさらに詳細に述べられる。
【0010】
本発明のさまざまな目的および利点ならびにより完全な理解は、次に来る「詳細な説明」および添付の特許請求の範囲の参照が付随する「図面」と併せてなされるとき、明らかであり、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示的実施形態に従う質量流量コントローラの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する方法の図である。
【図3A】本発明の一実施形態による調整ガスから計算されたパラメータを含む補正アルゴリズムが実装された後の時間の関数としての質量流量コントローラ流量のグラフである。
【図3B】本発明の一実施形態によるガス特有のパラメータを含む補正アルゴリズムが実装された後の時間の関数としての質量流量コントローラ流量のグラフである。
【図4】本発明の一実施形態についての時間にわたる質量流量コントローラ設定点値のグラフである。
【図5】本発明の一実施形態による非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する方法の図である。
【図6A】本発明の一実施形態による調整ガスで計算されたパラメータを有する補正アルゴリズムを使用する、圧力の変化が0%設定点において生じた後の時間の関数としての質量流量コントローラ流量のグラフである。
【図6B】本発明の一実施形態による非製造調整ガスで計算されたパラメータを有する補正アルゴリズムを使用する、圧力の変化が0%設定点において生じた後の時間の関数としての質量流量コントローラ流量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
類似のまたは同様の要素が、適切な場合にはいくつかの図全体にわたって同一の参照数字で指定される図面を今から参照し、特に図1を参照すると、本発明の例示的実施形態に従う質量流量コントローラ(MFC)100の機能ブロック図が、示される。図2は、初期補正アルゴリズム係数を構築するために使用される調整流体以外のMFC100中の流体についての正確な流量を提供する方法の一実施形態である。補正アルゴリズム係数はまた、それが適切な場合にはデジタルフィルタと呼ばれてもよい。その趣旨でおよび同様に適切な他の場所で、2009年7月14日出願の米国特許出願第12/502,918号が、すべての正当な目的のために参照により本明細書に組み込まれる。初期補正アルゴリズム係数の構築はまた、本明細書および他の場所では調整ガスまたは他の同様に参照される流体を使用する製造業者による質量流量コントローラの「調整」と呼ばれてもよい。
【0013】
図2で見られるように、一方法は、202から始まり、212において質量流量コントローラ100を50%超の設定点において非製造調整ガスで動作させること(ステップ)を含む。例えば、図1で見られるように、MFC100の一実施形態は、入力信号105を受け取るように構成されてもよいデジタルコントローラ115を含んでもよい。入力信号105の一種は、50%超の設定点指標を含んでもよい。設定点指標を受け取ると、デジタルコントローラ115は、MFC100を通って流れる流体の速度が設定点指標に実質的に等しくなるように制御弁125を調節してもよい。一実施形態では、百分率設定点値は、MFC100がある種の流動状態について動作できる最大流量の百分率を含んでもよい。熱センサ145および圧力センサ155は、制御目的のために流量データおよび圧力データをデジタルコントローラ115に動作可能に提供する。流量データおよび圧力データは、1つまたは複数の増幅器165およびアナログ/デジタル変換器175を通じてデジタルコントローラ115に動作可能に提供されてもよい。222において、流量データおよび圧力データは、内部MFCメモリ185に保存され、そのデータは、循環方式で保存されてもよく、それによってもし0%設定点値が、50%以上の設定点値が達せられた後のある時間範囲内にまたはデータ点範囲内に(例えば2秒または2000データ点後に)受け取られないならば、古いデータは、上書きされる。ゼロ設定点が達せられるときには、データは、確保され、もはや上書きされなくてもよい。他の設定点値もまた、熟考される。
【0014】
MFCを50%超の設定点値で走らせ、流量および圧力データをメモリ185に記録した後、一方法では、282において、デジタルコントローラ115は、設定点を0%値に変える入力105を受け取ってもよい。流量および圧力データは、メモリが一杯になる、または記録されるデータ量が分析に十分となるまで内部メモリ185に記録され続ける。その時に、データ記録は、停止してもよい。50%超の設定点値から0%設定点値に変わると、図2の232および242において見られるように、記録されたデータは、分析され、適切な係数パラメータ値が、非製造調整ガスについての補正アルゴリズムのために計算される。252において、パラメータは、メモリ185に保存される。
【0015】
補正アルゴリズムは、先に参照された特許出願第12/502,918号の「デジタルフィルタ」部分で同様に述べられるように、特定のガスおよび/または流動状態についてのデータを不正確なデータから正確なデータに変えるために、圧力および流量データなどだが限定されない質量流量コントローラデータに適用される一組の変更子(modifiers)である。
【0016】
どのように不正確なデータが補正アルゴリズムによって変更されて、正確なデータになるのかの一例は、図3Aおよび3Bで見られる。図3Aは、補正アルゴリズムがデータに適用された後の流量データを示すが、その補正アルゴリズムは、調整ガスパラメータ係数を有する。図で見られるように、ガスXeおよびCFについては、補正アルゴリズムは、調整ガスパラメータでは不正確なデータを提供する。しかしながら、図3Bで見られるように、各非製造調整ガスについての流量および圧力データを使用して、補正アルゴリズムのための1つまたは複数のガス特有の係数パラメータを計算し、そのアルゴリズムを流量データに適用することで、正確なガス特有の流量データが、得られる。これらの1つまたは複数のパラメータは、オンボードMFCメモリであってもよい質量流量コントローラメモリ185に保存される。パラメータは次いで、図2のステップ262で見られるように、非製造調整ガスを伴う将来の質量流量コントローラ動作においてアクセスされ、使用されてもよい。
【0017】
一方法は、MFC100によって自動的に行われてもよい。例えば、流量および圧力データを取得し、記録する、ガス特有の係数パラメータを計算する、次いでその後に将来のMFC動作においてガス特有のパラメータを使用するプロセスはすべて、ユーザからのいかなる入力もなしに行われてもよい。例えば、一実施形態では、MFC100は、MFC調整ガス以外の新しいガスがMFC動作において使用されているという入力105を受け取ってもよい。MFC100は、非製造調整ガスが使用されていることを自動的に決定するように構成されてもよく、または新しいガスを示すユーザからの入力105が、与えられてもよい。どちらの方法でも、(i)質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録することと、(ii)記録されたデータを分析することと、(iii)1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算することと、(iv)1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを質量流量コントローラメモリに保存することと、および、(v)非製造調整ガスを伴う1つまたは複数の将来の質量流量コントローラ動作において1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを使用すること、の図2中の方法ステップはすべて、ユーザ入力を必要とせずに質量流量コントローラによって自動的に行われる。他の実施形態では、これらのステップの1つまたは複数は、ユーザによる入力を必要とすることもある。
【0018】
同様に、上記の(i)〜(v)の同じステップは、MFC100がそのステップを行っているというMFC100によるどんな表示もなく行われてもよく、従って、図3Bで見られる正確なデータと同様の正確なデータが、ユーザに見えるMFC100によって自動的に提供されてもよい。上記のステップ(i)〜(v)の各々はまた、MFC100が「アイドル」モードにある間に行われてもよい。例えば、図4で見られるように、1つの質量流量コントローラプロセスは、第1の動作期間404および第2の動作期間414を含む。各動作期間404、414は、MFC100が0%超の設定点により供給される時間帯である。例えば、第1の動作期間404は、25%の設定点を有し、第2の動作期間414は、75%の設定点を有する。第1の動作期間404と第2の動作期間414との間は、第1のアイドルモード424である。
【0019】
図4で見られるように、アイドルモードは、MFC100が0%設定点に設定される時間帯であってもよい。第2の動作期間は、50%を超える設定点を含み、その後に0%設定点が続くので、(i)質量流量および圧力データをメモリに記録すること、(ii)記録されたデータを補正アルゴリズムで分析すること、(iii)1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算すること、及び、(iv)1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること、のこれらのステップは、第2のアイドルモード434中に行われてもよい。データはまた、第2の動作期間414中に収集されてもよいと理解すべきである。第2の動作期間414データは、先に収集されたデータを上書きすることによってメモリ185に確保されてもよい。
【0020】
デジタルコントローラ115は、ハードウェアおよびファームウェアの1つまたは複数を含んでもよい。一実施形態では、デジタルコントローラは、ファームウェアを含んでもよく、(i)記録されたデータを分析すること、及び、(ii)1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算すること、のステップを行うように構成されてもよい。その上、流量および圧力データは、圧力および流量の変化の最も正確な表現を得るために設定時間帯について最大数のデータ点を得るのに可能な最速データ記録速度を含む記録速度で収集されてもよい。例えば、一実施形態では、最速データ記録速度は、質量流量コントローラファームウェアのループサイクルごとに少なくとも1つのデータ点を記録することを含む。一実施形態では、非製造調整ガスパラメータは、流量および圧力の少なくとも1つについて少なくとも100データ点(サンプル)を記録することで得られてもよい。非製造調整ガスを含んでもよい流体/ガスの一種は、キセノンおよび四フッ化炭素の1つである。
【0021】
加えて、本発明の一実施形態は、収集されたデータを使用して、MFCについて不具合修理または故障検出を行うことを含んでもよい。例えば、データは、オンボードメモリ185にセーブ(格納)されてもよくかつ/または先に記録されたデータもしくは同様の流動状態についてメモリ185に確保された他のデータに対して比較されてもよい。もし例えば新しいデータが、メモリのデータから許容範囲の外側にあるならば、MFCが適切に動作していないと決定することで故障状態が、ユーザに表示されてもよい。
【0022】
図5で見られるように、503において、非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラ流量データを提供する別の方法は、質量流量コントローラをゼロ設定点に設定すること、および、質量流量コントローラが弁オーバーライド制御モードにある間は弁をゼロ位置に設定すること、の1つを含む。例えば、一方法では、質量流量コントローラは、ゼロ設定点に設定されて、図4で見られる第1または第2のアイドルモード424、434を開始する。この点において、図5の要素513で見られるように、一方法は、入り口圧力を変えることを含む。例えば、入り口圧力は、図1で見られるように、バイパス195の主流動ライン135上流の圧力を含んでもよい。523において、その方法は、質量流量コントローラ100内に寄生流動を生成することを含む。例えば、寄生流動の一種は、質量流量コントローラ死容積からまたはそこへ流れるガスであってもよい。死容積は、バイパス195と制御弁125との間の主流動ライン135の一部分を含んでもよい。一実施形態では、入り口での圧力の変化は、ガスが熱センサ145を通り過ぎて死容積へまたはそれから流れる原因となり、それによって熱センサ145での流動読み出しを生じさせる。しかしながら、制御弁125は閉じているので、流動読み出しは、ガスがMFC100から決して離れないので誤った読み出しである。
【0023】
533におけるのは、質量流量コントローラ流量データおよび圧力データを測定する方法ステップである。一方法では、流量測定結果は、熱センサ145からデジタルコントローラ115に動作可能に提供される。入り口圧力は、図1で見られる圧力センサ155によって提供されてもよい。圧力データはまた、図5の要素番号543で見られるように、圧力データがデジタルコントローラ115に提供され、オンボードMFCメモリ185に保存される前に、増幅器165およびアナログ/デジタル変換器175に提供されてもよい。図5の要素553および542で見られるように、流量データおよび圧力データは次いで、分析されてもよく、1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータが、補正アルゴリズムとともに使用するために計算されてもよい。
【0024】
図6Aで見られるのは、3つのガス種について、調整ガスNで計算された補正アルゴリズムを適用した後の、弁が閉じた状態での圧力の変化についてMFC100により測定されるような流量である。1つまたは複数のガス特有の係数を含む補正アルゴリズムを適用すると、図6Bの流量グラフが、得られる。図で見られるように、1つまたは複数のガス特有の係数を使用することで、より正確なMFC出力が、提供される。図6Bのグラフを得るために使用される補正アルゴリズムは、上で述べられた図3Bのグラフを得るために同様の流動状態について使用されたのとは異なるデジタルフィルタ/パラメータ係数を使用してもよい。図6Bに使用される1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータは、図5の要素552および562で見られるように、質量流量コントローラメモリ185に保存され、それから取り出され、非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において使用される。
【0025】
一実施形態では、寄生流動は、コントローラのフルスケール流量の少なくとも5%を有する流動を含む。加えて、一方法は、圧力スパイクおよび圧力変化の少なくとも1つを通じて入力圧力を変えることを含む。圧力スパイクは、圧力の一時的な増加または減少を含んでもよく、一方圧力変化は、図6Aおよび6Bで見られる圧力の変化と同様の圧力の非一時的な変化を含んでもよい。その上、図3Aおよび3Bに関して上で述べられた方法と同様に、データは、圧力変化より前に記録される。もしアイドル期間424、434中に圧力変化が生じないならば、メモリに記録されたデータは、その後のアイドル期間424、434に生じるデータで、同じアイドル期間の後に生じるデータで、またはその後の動作期間からのデータで上書きされてもよい。例えば、もし2秒のアイドル時間後または100データサンプル後に圧力変化が生じないならば、メモリ185のデータは、上書きされてもよい。一実施形態では、圧力は、変化してもよいが、その圧力は、許容範囲内である流量の変化を提供するだけである。例えば、もし許容範囲が+/−0.15%設定点であり、圧力の変化が0.1%の設定点流量変化を生成するだけであるならば、補正アルゴリズムのための新しい係数は、計算されなくてもよい。そのような場合には、収集されたデータは、その後のデータで上書きされてもよい。
【0026】
他の方法では、圧力変化が、指定流量範囲の外側である調節された流量をもたらすと決定されてもよい。一実施形態では、調節された流量は、調整ガス係数パラメータを使用する補正アルゴリズムによって計算されるような流量を含んでもよい。調節された流量が許容範囲の外側であるような場合には、1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータは、圧力データおよび流量データを使用して計算される。または、製造調整ガスについて開発されたパラメータは、そのパラメータが非製造調整ガスについての正確な流量データを提供するように、圧力データおよび流量データを使用して調節されてもよい。新しいパラメータまたは調整ガスパラメータの調節は、圧力が、流量読み出ししきい値の外側の測定可能な流量読み出しを生じさせるように構成される量によって変化させられるときに行われてもよい。
【符号の説明】
【0027】
100 質量流量コントローラ
105 入力信号
115 デジタルコントローラ
125 制御弁
135 主流動ライン
145 熱センサ
155 圧力センサ
165 増幅器
175 アナログ/デジタル変換器
185 質量流量コントローラメモリ
195 バイパス
202 開始
212 質量流量コントローラを50%超の設定点において非製造調整ガスで動作させること(ステップ)
222 質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録すること(ステップ)
232 記録されたデータを補正アルゴリズムで分析すること(ステップ)
242 1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算すること(ステップ)
252 1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)
262 非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを使用すること(ステップ)
272 終了
282 設定点を0%に変えること(ステップ)
404 第1の動作期間
414 第2の動作期間
424 第1のアイドルモード
434 第2のアイドルモード
502 開始
503 質量流量コントローラをゼロ設定点に設定すること(ステップ)および質量流量コントローラが弁オーバーライド制御モードにある間は弁をゼロ位置に設定すること(ステップ)の1つ
513 入り口圧力を変えること(ステップ)
523 質量流量コントローラ内に寄生流動を生成すること(ステップ)
533 質量流量コントローラ流量データおよび圧力データを測定すること(ステップ)
542 1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算すること(ステップ)
543 質量流量コントローラ流量データおよび圧力データを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)
552 1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)
553 流量データおよび圧力データを補正アルゴリズムで分析すること(ステップ)
562 非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを使用すること(ステップ)
572 終了

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非製造調整ガスについての質量流量コントローラの流量データを提供する方法であって、
前記質量流量コントローラを50%超の設定点において前記非製造調整ガスで動作させること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録すること(ステップ)と、
前記設定点を0%に変えること(ステップ)と、
前記記録されたデータを分析すること(ステップ)と、
1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)と、
前記非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを使用すること(ステップ)とを含む方法。
【請求項2】
前記質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録する前記ステップと、前記記録されたデータを分析する前記ステップと、1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算する前記ステップと、前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを質量流量コントローラメモリに保存する前記ステップと、前記非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを使用する前記ステップとは、前記質量流量コントローラによって自動的に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録する前記ステップと、前記記録されたデータを分析する前記ステップと、1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算する前記ステップと、前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを質量流量コントローラメモリに保存する前記ステップと、前記非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを使用する前記ステップとは、質量流量コントローラユーザに見える前記質量流量コントローラによって行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記質量流量コントローラからのデータを質量流量コントローラメモリに記録する前記ステップと、前記記録されたデータを分析する前記ステップと、1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算する前記ステップと、前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを質量流量コントローラメモリに保存する前記ステップとは、前記質量流量コントローラがアイドルモードにある間に前記質量流量コントローラによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記記録されたデータを分析する前記ステップおよび1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算する前記ステップは、質量流量コントローラファームウェアによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データは、前記質量流量コントローラによって許容される最速データ記録速度で記録される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記質量流量コントローラによって許容される前記最速データ記録速度は、質量流量コントローラファームウェアのループサイクルごとに少なくとも1つのデータ点を記録することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記記録されたデータは、少なくとも100データサンプルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記記録されたデータを分析するステップは、
前記記録されたデータを別個のデータセットと比較し、前記質量流量コントローラが適切に動作していないと決定すること(ステップ)と、
新しく計算されたガス特有の補正アルゴリズムパラメータを先に計算されたガス特有の補正アルゴリズムパラメータと比較し、前記2つのパラメータ値間の差がある指定しきい値を越えるかどうかを決定すること(ステップ)との少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラの流量データを提供する方法であって、
前記質量流量コントローラをゼロ設定点に設定すること(ステップ)および前記質量流量コントローラが弁オーバーライド制御モードにある間は弁をゼロ位置に設定すること(ステップ)の1つと、
入力圧力を変えること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラ内に寄生流動を生成すること(ステップ)と、
質量流量コントローラ流量データおよび圧力データを測定すること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラ流量データおよび圧力データを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)と、
前記流量データおよび前記圧力データを分析すること(ステップ)と、
1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)と、
前記非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを使用すること(ステップ)とを含む方法。
【請求項11】
前記寄生流動は、コントローラフルスケール流量の少なくとも5%を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力圧力は、圧力スパイクおよび非一時的圧力変化の少なくとも1つを通じて変えられる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力データおよび流量データの少なくとも1つは、もし入力圧力変化が指定範囲内で検出されないならば、その後の圧力データおよび流量データの少なくとも1つで上書きされる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力データおよび流量データの少なくとも1つは、もし調節された流量が指定流量範囲の外側でないならば、その後の圧力データおよび流量データの少なくとも1つで上書きされる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
調節された流量が指定流量範囲の外側であることを決定すること(ステップ)をさらに含み、
前記1つまたは複数の非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算するステップは、前記圧力データおよび流量データを使用して、
新しい非製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを計算すること(ステップ)と、
現在の製造調整ガス補正アルゴリズムパラメータを調節すること(ステップ)との1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記圧力は、流量読み出ししきい値の外側の測定可能な流量読み出しを生じさせるように構成される量だけ変えられる、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
非製造調整ガスについての正確な質量流量コントローラの流量データを提供する方法であって、
前記質量流量コントローラを50%超の設定点において前記非製造調整ガスで動作させること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラからの流量データを質量流量コントローラメモリに記録すること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラからの圧力データを質量流量コントローラメモリに記録すること(ステップ)と、
前記設定点を0%に変えること(ステップ)と、
入力圧力を変えること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラ内に寄生流動を生成すること(ステップ)と、
前記記録されたデータを補正アルゴリズムで分析すること(ステップ)と、
1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを計算すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを質量流量コントローラメモリに保存すること(ステップ)と、
前記非製造調整ガスを伴う少なくとも1つの将来の質量流量コントローラ動作において前記1つまたは複数の非製造調整ガスパラメータを使用すること(ステップ)とを含む方法。
【請求項18】
補正アルゴリズムパラメータを決定するために使用される流体以外の流体を受け入れるように構成される質量流量コントローラであって、
主流動ラインと、
前記主流動ラインに動作可能に結合される熱センサと、
前記主流動ラインに動作可能に結合される圧力センサと、
前記主流動ラインに動作可能に結合される制御弁と、
メモリデバイスと、
前記メモリデバイスに電気的に結合され、前記制御弁に動作可能に結合されるデジタルコントローラであって、
前記圧力センサから圧力データを受け取り、
前記熱センサから流量データを受け取り、
前記圧力データおよび流量データを分析し、
前記流量データに適用されるように構成されるアルゴリズムのために1つまたは複数のガス特有のパラメータを、
流量設定点が、50%超から0%に変えられる、および
質量流量コントローラ圧力が、前記設定点が0%を含むときに変動する、
の少なくとも1つのときに計算するように構成される、デジタルコントローラとを含む質量流量コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−258200(P2011−258200A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123025(P2011−123025)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】