説明

遮光性銀インキ組成物及びこれを使用した包装容器

【課題】オフセット印刷並みの高速印刷が可能なグラビア印刷用銀インキであって、さらにその上に同じ速度でUVオフセット等による高速印刷が可能なグラビア印刷用銀インキ及び当該銀インキを用いた包装容器を提供する。
【解決手段】水酸基含有ポリエステル樹脂とノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料とを含有する遮光性銀インキ組成物であって、前記水酸基含有ポリエステル樹脂が、ガラス転移点−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Aとガラス転移点が40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとを含むことを特徴とする遮光性銀インキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料及びこれを使用した包装容器に遮光性を付与することができる印刷用の銀インキ組成物(以下「銀インキ」という。)並びに当該銀インキを使用した紙容器に関する。さらに詳しくは、光によってその内容物に変質等を来す飲料用紙製容器に印刷を施すことにより、遮光性を付与できるグラビア印刷に適した銀インキ及びこの銀インキを使用した包装用紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、牛乳、ジュース等の飲料は、コストの有利性及びその利便性から、板紙を主体とし、これに極薄い合成樹脂層を複数層積層した構造の包装材基材から作成された紙製包装容器(以下「紙パック容器」という。)が広く使用されている。例えば、牛乳、ジュース等は、いわゆる屋根型の紙パック容器(ゲーブルトップ型)で市場に供給され、広く普及している。
【0003】
これらの容器は、薄い板紙に極薄い合成樹脂層が積層された構造であるから、遮光機能が無く、光を透過する率が高い。前記の紙パック容器は、流通過程で日光、店舗内での室内照明、ショーケースの蛍光灯照明で、強い光に長時間晒される。その結果、内容物の性質によっては、強い光の影響を受け、品質の劣化又は変質等を惹起する場合が、少なからずある。
【0004】
この光透過による内容物の変質・劣化等を防止するため、遮光層を設けた紙パック容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
例えば、包装材の基材と最内層との間にカーボンブラック顔料を含むインキからなる遮光性印刷層と、前記遮光性印刷層の内側に位置する着色印刷層を設けた紙パック容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、アルミニウム箔を含まない包装材料で基材の紙層の外側に、外側からデザイン層、白色印刷層、遮光色印刷層を設け、最内層に熱可塑性樹脂層を配した構成の紙パック容器の包装材が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
さらに、包装材の表面にアルミペースト顔料、及びポリエチレンワックスを含有させたインキで遮光印刷層を設けた提案がある(特許文献3参照)。
これは、本発明の出願人の内の1人の提案に係るものであり、本発明はさらにこれを改良したものである。
【0008】
その他、低沸点エステル系溶剤/又は低沸点アルコール系溶剤に分散したノンリーフィングタイプのアルミニウムペースト、ポリエチレンワックス及びシリカを含有するインキで遮光印刷層を設けたものが提案されている(特許文献4参照)。
これは、本発明の出願人の内の1人の提案に係るものであり、本発明はさらにこれを改良したものである。
【0009】
特許文献1:特開平7−52328号公報
特許文献2:特開2002−255158号公報
特許文献3:特開2007−230200号公報
特許文献4:特開2009−51903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
紙パック容器に対する光による内容物の飲料等の変質・劣化の防止には、遮光性のあるアルミニウム箔を紙容器の内側へ貼り付けることで、ほぼ完全に解決できる。
然し乍ら、前記の構成のものは、遮光性において十分な効果が得られるものの、製造工程が増加し、結果コストが高くなる。また、これを焼却した場合、アルミの残渣が発生し、リサイクル上の難点があり、さらに検出感度の高い金属探知機を使用する場合には、反応感度を下げる必要等が生じ、検出作業に支障が生ずる場合もある。
【0011】
また、カーボンブラックを含む黒色系インキによる遮光性印刷(特許文献1参照)は、遮光性に優れた効果を発揮するが、下地の黒色が影響してこの層の上に重ねて施す印刷の意匠性が悪くなる(くすみ等が出てデザイン印刷が綺麗に仕上がらない)欠点がある。
【0012】
他方、完全な遮光性を求めず、収納する商品のシェルフライフ及び商品の特性に応じて、実用上、有効なレベルの遮光性を備え、且つコストの安い、紙製容器の需要もある。
【0013】
特許文献3及び4に開示されている銀インキは、アルミニウム顔料をインキ化したものであるが、包装材料及びこれを使用した包装容器、特に紙パック容器に印刷という極めて簡単な手段で優れた遮光性を付与でき、その内容物の光による品質劣化を抑制できるうえ、内容物へインキ臭を移香させることがなく、その印刷層は密着性及び耐摩擦性に優れ、輸送時等の擦れにも耐えるため、遮光性が保持されるといった優れた特徴を有する。
【0014】
これらの簡易で実用的な遮光性を備えた紙製容器の生産は、先ず、グラビア印刷で銀インキをベタ印刷して遮光性を付与し、次に、この印刷の上に重ねて、デザイン印刷(商品名、メーカー名、装飾用のデザイン等の印刷する)を行うという、2回の重ね印刷を必要とする。
【0015】
特許文献3及び4の銀インキはグラビア印刷に適しており、包装材料に遮光性を付与するためにはこの銀インキをベタで印刷する必要がある。
通常、銀インキをベタでグラビア印刷する場合、その印刷速度は毎分100〜150mとされている。
【0016】
特許文献3及び4に開示されている銀インキを用いて、毎分150mの印刷速度でグラビア印刷し、その上に同じ速度でデザイン印刷をグラビア印刷することは全く問題なく実施できたが、前記銀インキをベタ印刷した上に、デザイン印刷を同じ印刷速度でUVオフセット印刷すると密着性が不十分なため印刷時に印刷が剥がれたり、輸送時等における擦れによって印刷が剥がれたりする結果となった。
【0017】
また、UVオフセット印刷は、高速のものでは毎分250〜300mの印刷速度であるため、連続運転により最高の生産性を達成するには、グラビア印刷による銀インキの印刷速度を、UVオフセット印刷の最大印刷速度である毎分300mにまで向上させる必要がある。
【0018】
従って、本発明は、オフセット印刷並みの高速印刷が可能なグラビア印刷用銀インキであって、さらにその上に同じ速度でUVオフセット等による高速印刷が可能なグラビア印刷用銀インキ及び当該銀インキを用いた包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の事情に鑑み、発明者らは、前記諸課題を解決するため鋭意研究の結果、銀インキの改良により前記課題を解決し、本発明を完成した。即ち、下地印刷となるグラビア印刷用銀インキの密着性を高めること及び下地印刷の上に重ねるUVオフセット印刷との密着性が必要となる。
【0020】
そこで、本発明者らは、特許文献4記載の銀インキにおいてバインダーとして使用されている硝化綿とポリエステル樹脂との組合わせに替えて、ガラス転移点の異なる2種のポリエステル樹脂を組み合わせて用いることにより前記課題を解決した。
【0021】
本発明の銀インキは、毎分300mのグラビア印刷でも印刷濃度が不足したり、カスレが生じたりすることはなく、その上に同じ印刷速度でUVオフセット印刷(デザイン印刷)しても問題は生じなかった。すなわち、グラビア印刷とUVオフセット印刷との印刷速度が同じなので、両者の連続印刷が可能となり、かつ、その印刷速度がほぼ2倍になったので、大幅な生産性向上が可能となった。
【0022】
即ち、本発明は、
1)水酸基含有ポリエステル樹脂とノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料とを含有する遮光性銀インキ組成物であって、前記水酸基含有ポリエステル樹脂が、ガラス転移点−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Aとガラス転移点が40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとを含むことを特徴とする遮光性銀インキ組成物であり、
2)前記ガラス転移点−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Aと前記ガラス転移点40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとの混合割合が重量で1/1〜15/1であることを特徴とする1)記載の遮光性銀インキ組成物であり、
3)前記ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料の平均粒径が7〜20μmであることを特徴とする1)又は2)記載の遮光性銀インキ組成物であり、
4)前記遮光性銀インキ組成物に、ワックッスを添加したことを特徴とする1)から3)のいずれかに記載の遮光性銀インキ組成物である。
【0023】
5)前記遮光性銀インキ組成物に、ポリイソシアネートを添加したことを特徴とする1)から4)のいずれかに記載の遮光性銀インキ組成物であり、
6)前記水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記アルミニウム願料50〜100重量部、前記ワックス0〜20重量部及び前記ポリイソシアネート0〜60重量部を含有することを特徴とする1)から5)のいずれかに記載の遮光性銀インキ組成物であり、
7)前記遮光性銀インキ組成物が、炭素数3〜6のエステル系溶媒又は炭素数3〜6のケトン系溶媒を主成分とした溶媒中に溶解又は分散していることを特徴とする1)から6)のいずれかに記載の遮光性銀インキ組成物であり、
8)板紙基材の上面及び下面のそれぞれに合成樹脂の層を備えた積層包装材のその表側になる面に遮光性銀インキ組成物を用いて遮光性印刷層を設けると共に、前記遮光性印刷層の上にデザイン印刷層を設けたことを特徴とする1)から7)のいずれかに記載の遮光性包装材であり、
9)8)記載の遮光性包装材から作成された包装容器である。
【発明の効果】
【0024】
本発明ではカーボンブラック等の黒色系の顔料を含まないから、輝度の高い銀色の遮光性印刷層を形成でき、この上に重ねてデザイン印刷をしても、下地の印刷がデザイン印刷に影響せず、通常の印刷で自由な色彩のデザイン印刷が可能である。
【0025】
本発明の銀インキは、オフセット印刷で通常行われる印刷速度である毎分300mでグラビア印刷ができるので、銀インキでグラビア印刷した後、同じラインで連続してUVオフセットによるデザイン印刷が可能となる。
【0026】
即ち、本発明の銀インキを使用すれば、従来のグラビア印刷速度は毎分150m程度であったが、毎分300mでグラビア印刷とUVオフセット印刷とを連続して実施することが可能となり作業効率が著しく向上し、大幅なコスト低減の効果がある。
【0027】
また、本発明の銀インキは、高速でグラビア印刷しても、インキの濃度低下がなく、かつ印刷のカスレが発生しない。さらに、銀インキ印刷層の上に重ねてデザイン印刷してもそのデザイン印刷が銀インキ印刷層と強く密着して剥がれることがない。もちろん臭気が少ないため包装容器の内容物の味や臭いを変化させることもない。
また、この発明の容器を使用後に焼却する場合においても、環境へ与える負荷が少ない。
【0028】
本発明のインキは、オフセットUV(光硬化)インキへの密着性が著しく向上したので、次の重ね印刷までの養生時間を設ける必要がなくなり、例えば、オフセット印刷機の中に、グラビア印刷のユニットを収納する等ができ、印刷を一貫した流れ作業で行え、機器の設置面積を縮小でき、且つ作業性が著しく向上した。
さらに、光透過の阻止率は、従来のものと遜色のないものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
各図面は、サンプルの光透過率を比較測定したものである。
【図1】は、比較試験例に記載の包装材基材に実施例3記載の銀インキで、ベタ印刷をして、遮光性印刷層を設けたものである。
【図2】は、比較試験例に記載の包装材基材に、東京インキ(株)製LRC−NT910墨で黒色印刷したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、本発明の銀インキを用いて、紙パック容器等への印刷に際し、先ず、グラビア印刷で遮光性を付与する印刷を行い、次いでその上に重ねて、デザイン印刷を行うことで、その目的を達成できるものである。
【0031】
デザイン印刷としては、オフセット印刷、UVオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、UVフレキソ印刷、スクリーン印刷、UVスクリーン印刷等の方法を用いることができる。
【0032】
特に、UVオフセット印刷は高速印刷が可能で乾燥時間も短いが、一般に他のインキ印刷面との密着性が弱いため、UVオフセット印刷による高速印刷に適合する遮光性インキの開発が待たれていた。
【0033】
さらに、本発明の包装容器は、本発明の銀インキを板紙基材の内面及び外面に合成樹脂層を備えた積層包装材料(包装材基材)の遮光性を必要とする部分にベタ印刷し(遮光性付与印刷層)、その上に更にデザイン印刷層を設け、これを紙パック容器に成形して組み立てたものである。
【0034】
本願発明では、バインダーとしてガラス転移点Tgが−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂AとTgが40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとを併用する。
【0035】
Tgの低い水酸基含有ポリエステルAは、銀インキ印刷と基材との密着性及び銀インキ印刷面へのデザイン印刷の密着性の向上に効果があるが、これだけではブロッキングする。これにTgの高い水酸基含有ポリエステルBを混合することで密着性を犠牲にすることなくブロッキングしない銀インキとすることができた。
【0036】
ブロッキング現象は、印刷が完了し、印刷物が印刷機から順次排出され、これが受け部に積層されて行くが、この状態のときに、印刷物同士が接着してしまい、不良品となることを指す。ブロッキングが発生したものを無理に剥がすと、印刷面が損なわれる。従って、インキにおいては致命的な欠陥となる。
【0037】
AとBの混合割合は、1/1〜15/1が好ましい。この比率が1に満たないと基材及びデザイン印刷との密着性が不十分で、15を超えると、ブロッキングし易くなる。
なお、前記A、B2種の水酸基含有ポリエステル樹脂を選択するにあたっては、ブロッキング性、密着性の他に顔料の分散性、相溶性、最終的に製造されるインキ組成物の粘度等を考慮する必要がある。
【0038】
すなわち、数多くの水酸基含有ポリエステル樹脂から、相溶性があり、顔料をよく分散し、かつ十分な遮光性を発揮できるだけのアルミニウム顔料を混合しても適度な粘度を保持できるものを選択する必要がある。
【0039】
例えば、Tgが0℃のP2(バイロンGK570)とTgが47℃のP9(バイロン103)との組合せは、相溶性がないため使用できない。同様にTgが4℃のP3(バイロン500)とTgが79℃のP13(バイロン885)との組合せについても、相溶性がないため使用できなかった。
【0040】
水酸基含有ポリエステル樹脂1種だけでは本発明の効果は実現できない。例えば、中程度のTgであるP8(バイロンGK780、Tg36℃)のみでは基材及びUVインキとの密着性が十分でないだけでなく、高速印刷において遮光性が不十分となる(比較例17参照)。
【0041】
アルミニウム顔料は、ノンリーフィングタイプで、平均粒径7〜20μmのアルミニウム顔料が好ましい。添加量は水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部(固形分)に対し50〜100重量部である。
【0042】
アルミニウム顔料の平均粒径が7μmに満たないものは、密着性が低下し、層間剥離が起こりやすくなる。また、20μmを超えるものは、インキ中で沈降しやすく、印刷したとき抜けが多くなるため、遮光性が低下する。
【0043】
なお、ここでの平均粒径はレーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell製)による測定値である。
リーフィングタイプのアルミニウム顔料は、高輝度が実現しやすく隠蔽性にも優れているが、印刷したとき表面に浮かび上がるため、耐摩擦性及びインキ皮膜の密着性が悪い。一方、ノンリーフィングタイプは、インキ皮膜中にランダムに分散する性質があるため薄片のアルミニウム顔料間にインキ材料に用いる樹脂が入り込みやすくなる。その結果、インキ皮膜の密着性が向上し剥がれ落ちることがなく耐摩擦性も改善される。
【0044】
アルミニウム顔料の添加量が50重量部未満では、輝度が低下するため印刷物が意匠性に欠けたものとなり、印刷物の遮光性も不十分となるため好ましくない。また、100重量部を超えると版詰まり、ツーツー汚れ等が起きやすく、密着性も低下するため好ましくない。
【0045】
また、他の配合例として、アルミニウム顔料は極めて高価なものなので、コストダウンのためアルミニウム顔料の添加量を少なくして、代わりに炭酸カルシウム、硫酸バリウム等のいわゆる体質顔料を添加することができる。この場合、遮光性は略維持されるが輝度感は幾分低下する(実施例11、12)。
【0046】
特に、コストダウンを強く求めるユーザーや、また、充填する食品・飲料等の性質から、容器に高いレベル又は長期間の遮光性を求めず、実用的な適度な程度の遮光性で十分とされるものに使用できる。
【0047】
本発明の銀インキでは、耐摩擦性及び耐水摩擦性の向上のためにワックスを添加するのが好ましい。用いるワックスとしてポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリ(エチレン−プロピレン)共重合体ワックス、カルバナワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス、白ロウ等が挙げられるが、重量平均分子量1000〜5000のポリエチレンワックスが特に好ましく用いられ、その添加量は、水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部に対し2〜15重量部である。
【0048】
2に満たないときは、ワックス効果が得られず、15を超えるときは、過剰となり、所期の効果が得られないばかりでなくコストアップにつながる。
【0049】
銀インキによる遮光性印刷及びデザイン印刷の上に、オーバーコートすることによっても耐摩擦性及び耐水摩擦性が改善されるので、特に、銀インキにワックスを添加しない場合は、印刷面の上にオーバーコート層設けるのが好ましい。
【0050】
このオーバーコート層は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルアセテート系樹脂、エチレン−エチルアクリレート系樹脂、アセテートニトロセルロース系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ふっ素系樹脂等を主成分とする樹脂やこれらの樹脂に充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、撥水剤、撥油剤、消泡剤、硬化剤等の助剤を加えた樹脂組成物を印刷面に塗布することによって形成できる。
【0051】
本発明の銀インキに、さらにポリイソシアネートを配合すると密着性が向上するため、高速印刷により適したものとなる。この効果は、ポリイソシアネートとポリエステル樹脂の水酸基とが反応してウレタン結合をつくることによるものと推察される。
【0052】
このポリイソシアネートの添加量は、水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部に対し、1〜50重量部が好ましい。1に満たないものは、その添加効果が不十分であり、50を超えるものは、効果が飽和するうえコストアップにつながるため好ましくない。
【0053】
その種類は特に限定されるものではないが、無黄変タイプのポリイソシアネートが好適に用いられる。
【0054】
以上、本発明の銀インキを、溶媒を除いた組成物として説明してきたが、本発明の銀インキに用いる原材料は全て有機溶媒に溶解或は分散しているものを用いている。
すなわち、2種の水酸基含有ポリエステル樹脂A、Bは酢酸エチルとメチルエチルケトンとの混合溶媒に30重量%程度溶解しているもの、ポリエチレンワックスはイソプロピルアルコール中に25重量%程度分散しているもの、アルミニウム顔料は酢酸n−プロピルに70重量%程度分散したペースト状のもの、ポリイソシアネートは酢酸エチルに75重量%程度溶解しているものである。
【0055】
これらの溶媒は、原料の入手先や溶解性に従って適宜選択され、その濃度も適宜決められるものであるが、残留溶媒による臭気の問題を避けるためエステル系溶媒及び/又はケトン系溶媒で、特に何れも炭素数で3〜6の低級のものが好ましく用いられる。低級のアルコール系の溶媒も少量であれば使用可能であるが、本発明で用いる水酸基含有ポリエステル樹脂が低級のアルコール系溶媒への溶解性が小さいため、多量に用いることはできない。
【0056】
なお、本発明の銀インキでは、その品質の保全・安定性を維持したり、印刷に適した粘度に調整したりするために濃度調整用の有機溶媒が用いられるが、これらの有機溶媒も上記と同様にエステル系溶媒及び/又はケトン系溶媒で、特に何れも炭素数で3〜6の低級のものが好ましく用いられる。
【0057】
本発明の銀インキは、上記で説明した原材料、すなわち、2種類の水酸基含有ポリエステル樹脂とアルミニウム顔料と、更に場合によっては、ワックスとポリイソシアネートとを混合し、その混合物に濃度調節用の溶媒を加えて製造される。
【0058】
さらに、本発明の銀インキには、必要に応じて印刷用インキに用いられる公知の助剤を使用してもよい。例えば、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤などを用いてもよい。
【0059】
前記の構成により、本発明の銀インキは、包装材基材及びUVオフセットインキとの密着性が向上し、銀インキの印刷とそれに連続して行われるオフセット印刷とを通常のオフセット印刷で用いられる速度である毎分300mで行ってもこれに耐えられる銀インキが得られた。
【0060】
なお、本発明の銀インキは、グラビア印刷に適し、且つ高速印刷適正を有する。
本発明の銀インキによる遮光印刷層の厚さは、1〜10μmが好ましい。1μm未満では、遮光性の付与効果が不十分であり、10μmを超えると実用上過剰量となるばかりでなく、コストアップとなる。
【0061】
さらに、本発明の銀インキで印刷した表面にUVオフセット印刷ができ、その印刷方法は、UVオフセット印刷の常法による。その使用にあたって、格別の設備は必要としない。
【0062】
商品としてのインキは、長期の保存安定性を考慮すると、ザーンカップ法#3で40秒前後の粘度にして置く必要があるが、印刷時にはその印刷法に適した粘度に調整して用いる。
【0063】
300m/分といった高速のグラビア印刷では、印刷時のインキ粘度は15〜20秒が適当であると言われている。これより低いと成分の沈降などの問題が発生し、これより高いと均一に印刷できなくなるため、発色性が悪くなり、同時に遮光性も低下する。
【0064】
インキの粘度が高い場合、その粘度を下げるために溶剤を添加すると、その結果としてインクの単位当たりのアルミニウム顔料の含有量が低下するため(いわゆるインキが薄くなる)、この場合も発色性が悪くなり、同時に当然のことであるが遮光性も低下する。
【0065】
本発明の銀インキは、商品として適度の粘度を有し、印刷時には溶剤で希釈することによって容易にグラビア印刷に適した粘度にすることができる。
【0066】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらに限定されるものではない。
なお、以下の記述で部とあるのは、それぞれ重量部を表わす。
【実施例】
【0067】
以下に実施例及び比較例に使用した材料を表1示す。
(1)水酸基含有ポリエステル樹脂
P1〜P13まで
(2)アルミニウム顔料
A1〜A5まで
(3)その他の材料
ポリエチレンワックス、ポリイソシアネート、体質顔料、1/16硝化綿、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、コロイダルシリカ、チタンキレート、溶剤
なお、表1に記載の原材料の各種物性は以下の方法により測定したものである。
【0068】
1.アルミニウム顔料の平均粒子径
レーザ式粒度分布測定機(MICROTRAC 9320−X100 Honeywell製)による測定値である。
2.ガラス転移点(水酸基含有ポリエステル樹脂)
示差走査熱量測定 DSCにより、サンプル5mg、測定温度−60〜120℃、昇温速度20℃/minの条件で測定された値である。
3.水酸基価(水酸基含有ポリエステル樹脂)
JIS K 1557−1に準じて測定した値である。
4.数平均分子量(水酸基含有ポリエステル樹脂)及び重量平均分子量(ポリエチレンワックス)
ゲル浸透クロマトグラフィー GPCにより、カラム温度30℃、移動層溶媒テトラヒドロフラン、流速1.0ml/minの条件で、ポリスチレンを標準品として求めた値である。
【0069】
【表1】

【0070】
次に、表2に実施例1〜16を示す。
表2の配合に従って、16種の銀インキを得た。
【0071】
【表2】

【0072】
比較例1〜4
実施例1と同様に、表3の配合に従って銀インキを得た。
この表3の配合は、1/16硝化綿、ポリウレタン樹脂等が使われている特許文献4に記載の銀インキである。
【0073】
【表3】

【0074】
比較例5〜19
表4の配合は、実施例の効果を明確にする目的で、比較のために作成したものである。
【0075】
【表4】

【0076】
比較試験例
実施例1〜16及び比較例1〜4、5〜19の配合の銀インキを用いて下記の〔ベタ印刷包装材の作成〕及び〔UVオフセット印刷包装材の作成〕に従いそれぞれ35種のベタ印刷包装材サンプル及びUVオフセット印刷包装材サンプルを作成し、耐摩擦性、耐水摩擦性、密着性(基材)、密着性(UVインキ)、発色性(高速印刷時)、耐ブロッキング、の各項目について、比較試験を行いその評価を行った。
【0077】
〔ベタ印刷包装材の作成〕
包装材基材として、市販のフィンランド国ストラエンソ社製のロール紙(幅587mm×長さ4000mm×厚さ0.43mmのもので、上面に厚さ0.017mmの外面熱可塑性樹脂層、下面に厚さ0.027mmの内面熱可塑性樹脂層を設けたもの)を用意し、この包装材基材に夫々の構成の35種類のインキを用い、約3μmの厚さにベタで毎分300mの印刷速度でグラビア印刷をしてベタ印刷包装材を作成した。
【0078】
〔UVオフセット印刷包装材の作成〕
前記〔ベタ印刷包装材の作成〕で作成した35種のベタ印刷包装材の夫々に、UVオフセットインキ(FDカルトンACE 墨、東洋インキ製造(株)製)を毎分300mの印刷速度で印刷してUVオフセット印刷包装材を作成した。
【0079】
〔比較試験〕
(1)、(2)耐摩擦性及び耐水摩擦性試験
前記〔ベタ印刷包装材の作成〕で得られた35種のベタ印刷包装材に対し、学振式堅牢度試験機(染色堅ろう度摩擦試験機FR−II、スガ試験機(株)製)を用いて、JIS−P8136に準じて荷重500gで50往復の摩擦試験を行った。摩擦紙の汚れた状態を汚染用グレースケールと比較して、汚れのないものを5として、5段階評価した。なお、耐水摩擦性の試験では、綿布に水を含ませたものを用いた。
【0080】
(3)密着性試験(原反)
前記〔ベタ印刷包装材の作成〕で得られた35種のベタ印刷包装材に対し、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製 CT405AP−18)を銀インキの印刷面に押し付けた後、そのセロハン粘着テープを剥がしたとき、テープ側にインキがほとんど取られていない場合を5、一部取られた場合を4、半分取られた場合3、半分以上取られた場合を2、ほとんど取られた場合を1として評価した。
【0081】
(4)UVインキ密着性試験
前記〔UVオフセット印刷包装材の作成〕で得られた35種のUVオフセット印刷包装材に対し、セロハン粘着テープ(ニチバン(株)製 CT405AP−18)をUVインキの印刷面に押し付けた後、そのセロハン粘着テープを剥がしたとき、テープ側にインキがほとんど取られていない場合を5、一部取られた場合を4、半分取られた場合3、半分以上取られた場合を2、ほとんど取られた場合を1として評価した。
【0082】
(5)発色性(高速印刷時)試験
前記〔ベタ印刷包装材の作成〕で得られた35種のベタ印刷包装材に対し、(株)パーキンエルマージャパン製、LAMBDA950の分光光度計を用いて光透過率を測定し、可視光の透過率が最大となる波長において、その透過率が3%未満の場合を5、3〜4%の場合を4、4〜5%の場合を3、5〜7%の場合を2、7%以上の場合を1と評価した。
【0083】
(6)臭気
前記〔ベタ印刷包装材の作成〕で得られた35種のベタ印刷包装材に対し、パネラー3名がその臭いを嗅いで評価したが、実施例(実施例4と15を除く)及び比較例の全てにおいて、ほとんど臭気が感じられなかった。但し、評価表には、表示していない。
【0084】
(7)耐ブロッキング性試験
実施例及び比較法の各インキから作成したベタ印刷包装材の各々から30mm×30mmの試験片を切り取り、印刷面と印刷していない面とを重ねて、荷重500g/cm2、温度50℃、乾燥室内で24時間解放後、その重ねた試験片を手で剥がした時の剥離状態を以下の基準で判定した。
5:抵抗感無く剥がれ、接着の跡がない。
4:剥がすときに抵抗感はあるが、接着の跡がない。
3:接着の跡が所々に見られる。
2:接着の跡が面積の半分以上に見られる。
1:剥離困難なもので、被覆膜が剥がれる。
【0085】
なお、耐ブロッキング性が3以下のものは、印刷物を重ねたとき、印刷物同士が接着するために事実上使用できない(不良品となる)。
【0086】
表5に実施例、表6に比較例のその試験結果を纏めて記載したが、耐摩擦性、耐水摩擦性、密着性(基材)、密着性(UVインキ)、発色性(高速印刷時)及び耐ブロッキング性の試験は、ベタ印刷包装材を用い、UVインキ密着性はUVオフセット印刷包装材を用いて評価したものである。
【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
この試験結果を総括すると、本発明の実施例1〜16の銀インキを用いたものと、比較例1〜19の銀インキを用いたものとでは、耐摩擦性、耐水摩擦性についてはほぼ同等で、実施例4と15とを除いて臭気も殆ど感じられない。
【0090】
なお、実施例4及び15は、アルミニウム顔料の好ましい大きさを決定するための実施例で、ミネラルスピリットに分散したアルミニウム顔料を用いた。本来なら臭気の少ない酢酸n−プロピルに分散したアルミニウム顔料を用いるべきところであるが、ミネラルスピリットに分散したアルミニウム顔料しか入手できなかったのがその理由である。
【0091】
本発明の実施例1〜16の銀インキを用いたものは、比較例1〜19の銀インキに比べ、密着性(基材)、密着性(UVインキ)、発色性(高速印刷時)及び耐ブロッキング性が優れている。即ち、銀インキを毎分300mで高速印刷した場合でもカスレがなく、さらにその上にUVオフセット印刷したとき銀インキ印刷層と強く密着し、印刷物同士が接着することがないことが解る。
【0092】
〔評価結果の表5、表6〕中の総合評価欄の説明
本願発明の遮光性銀インキは、各評価のバランスが重要である。従って、評点3以下の評価が一つでもあるものは、実用に供せないとものとして不合格とした。
合格 ○:3以下の評価がないもの
不合格 ×:3以下の評価があるもの
但し、ワックスを使用しない場合(実施例16)は、耐摩擦性及び耐水摩擦性が3で、不合格のレベルにあるが、オーバーコートをすれば、この問題は回避できる。
【0093】
試験例1
下記のサンプルを作成し、それぞれに印刷した層の側から光を照射して、その光の透過率の比較試験を行った。
【0094】
〔光透過率用サンプルの作成〕
前記比較試験例で記載した包装材基材と同様のものを使用して、以下の試験用サンプルを作成した。
【0095】
(サンプルA)前記包装材基材に実施例3記載の銀インキを用い、前記〔ベタ印刷包装材の作成〕と同様に毎分300mの速度でベタ印刷をして、遮光性印刷層を設けたものである。
(サンプルB)前記包装材基材に、東京インキ(株)製LRC−NT910墨を用い、毎分150mの速度で厚さ約3μmに黒色ベタ印刷したものである。
【0096】
(1)光透過率
サンプルA及びBを、日本分光(株)製のV−670型紫外可視分光光度計を用いて、測定した。
光学系:シングルモノクロメータ
ツェルニターナマウント、ダブルビーム方式
光源:重水素ランプ(190〜350nm)、ハロゲンランプ(330〜2700nm)
波長範囲:190〜2700nm
(スペクトルバンド幅 5.0nm,紫外可視領域)
因みに、いわゆる可視光線は、400〜800nmの範囲とされているが、その範囲の前後を含めて測定した。
これによれば、高精度の測定ができ、スペックとしては190〜2700nmであるが、設定を230〜850nmに絞り測定を行ったので、測定波長範囲は230〜850nm、スペクトルバンド幅5.0nmである。
【0097】
次に、その測定結果を示す。
【0098】
〔図1〕、〔図2〕
【0099】
光の透過率が低いほど、サンプルの包装材としての遮光効果が高いことが示されている。
サンプルAは、黒色印刷したもの(サンプルB)と遜色のない遮光効果が得られていることが解る。実用に十分耐え得る効果と評価できる。
【0100】
試験例2
下記条件のサンプルを作り、これの官能検査を行い、その遮光効果の評価試験を行なった。
(サンプル1)前記実施例3記載の銀インキを用いて前記〔ベタ印刷包装材の作成〕に従い作成したベタ印刷包装材から、1リットル入りの紙パック容器(屋根型タイプ)を作成して、これに成分無調整牛乳を充填し密封した。
(サンプル2)市販されている標準的な1リットル入り紙パック容器(屋根型タイプ・遮光印刷のないもの)を作成して、これに成分無調整牛乳を充填し密封した。
何れのサンプルも、同時に同一条件で充填密封したものである。
【0101】
(試験条件)
この牛乳入り密閉容器を店頭のショーウィンドウ型冷蔵庫内に1週間保管し、その風味に変化が生じたかどうかを官能試験による評価をした。
保存中の冷蔵庫内の庫内温度は4〜8℃で、店内及びショーウィンドウの蛍光灯が連続して照射されている状態であった。
上記サンプルを室温に戻し、パネラー4名(味覚識別について特別なトレーニングを受けた専門家)により評価してもらった。
【0102】
(評価方法)
試験方法はSD法(semanteic differential method)によった。SD法は、セマンティック・デファレンシャル法の略語であるが、サンプルの特性やイメージを種々の角度から描写できる。例えば、上品な−下品な、女性的−男性的、濃い−薄い、等の反対語を両極に置いた5〜7段階の評価尺度を、10〜30項目を用いる。パネルには、各特性又はイメージ項目ごとに、夫々該当する尺度上の位置(調査シート)に印を付けさせる。数値として得られた評価の平均値を求め、尺度上にプロットして各サンプルのプロフィールを描くことができる。解析には、主成分分析や因子分析等の多変量解析がしばしば使われる。
【0103】
この試験では、以下(1)〜(8)の官能評価の質問項目について、評点3〜−3袁での範囲で評価点を付け、評価を求めた。
(1)総合的な好ましさ
(2)口当たり良し悪し
(3)口中香り良し悪し
(4)喉ごし良し悪し
(5)甘み強さ
(6)フレッシュ感の有無
(7)濃厚感の有無
(8)後味良し悪し
【0104】
前記評価点は、下記の尺度によるものである。
3 かなり好ましい
2 好ましい
1 やや好ましい
0 どちらともいえない
−1 やや好ましくない
−2 好ましくない
−3 かなり好ましくない
【0105】
【表7】


【0106】
(考察)
この味覚評価の結果、サンプル1は、他のサンプルに比べて(1)総合的な好ましさにおいて顕著な有意差が見られた。また(2)口当たり良し悪し、(3)口中香り良し悪し、(4)喉ごし良し悪し、(6)フレッシュ感の有無、(8)後味良し悪し、の各項目においても、サンプル1は高い評価が認められた。
【0107】
一方、(7)濃厚感の有無について、サンプル1の評価が低かったのは、「光劣化により牛乳成分が分離することによって、濃厚感が増して行く」と考えられるため、光劣化による成分分離を抑制する効果が確認されたものと考える。
【0108】
サンプル1とサンプル2との比較では、遮光印刷層を設けていないものは、全体に評価が低い(特に(6)フレッシュ感の有無、(8)後味良し悪しについての評価が低い)。つまり、遮光性印刷層を設けたサンプルの方が、明らかに高い評価であることが認められる。
従って、遮光性印刷層を設けたサンプルの方が光照射による風味劣化が少ないことを確認した。
【0109】
試験例3
金属探知機試験
前記実施例1〜16記載の銀インキを用いて夫々前記〔ベタ印刷包装材の作成〕に従い作成したベタ印刷包装材から組み立てた紙パック容器を用いて、飲料等の生産ラインに設置されている金属探知機による金属反応の確認試験を行った。
【0110】
その結果、何れのものも金属反応を示さなかった。これにより、本発明の包装容器は、包装容器自体が金属探知機に反応しないから、本来、金属探知機に反応すべき金属異物の検知に支障を及ぼさないことが確認でき、生産ラインでの使用ができる。
使用した金属探知機は、アンリツ(株)製のK112127である。
検出精度は、鉄球1.5Φ、SUS球3.0Φで行なった。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のインキを使用すると、遮光性を付与した紙パック容器が、低コストで生産ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有ポリエステル樹脂とノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料とを含有する遮光性銀インキ組成物であって、
前記水酸基含有ポリエステル樹脂が、ガラス転移点−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Aと
ガラス転移点が40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとを含むことを特徴とする遮光性銀インキ組成物。
【請求項2】
前記ガラス転移点−20〜20℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Aと前記ガラス転移点40〜100℃の水酸基含有ポリエステル樹脂Bとの混合割合が重量で1/1〜15/1であることを特徴とする請求項1記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項3】
前記ノンリーフィングタイプのアルミニウム顔料の平均粒径が7〜20μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項4】
前記遮光性銀インキ組成物に、ワックッスを添加したことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項5】
前記遮光性銀インキ組成物に、ポリイソシアネートを添加したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項6】
前記水酸基含有ポリエステル樹脂100重量部に対して、前記アルミニウム願料50〜100重量部、前記ワックス0〜20重量部及び前記ポリイソシアネート0〜60重量部を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項7】
前記遮光性銀インキ組成物が、炭素数3〜6のエステル系溶媒又は炭素数3〜6のケトン系溶媒を主成分とした溶媒中に溶解又は分散していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の遮光性銀インキ組成物。
【請求項8】
板紙基材の上面及び下面のそれぞれに合成樹脂の層を備えた積層包装材のその表側になる面に請求項1から7のいずれか1項に記載の遮光性銀インキ組成物を用いて遮光性印刷層を設けると共に、前記遮光性印刷層の上にデザイン印刷層を設けたことを特徴とする遮光性包装材。
【請求項9】
請求項8記載の遮光性包装材から作成された包装容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−122043(P2012−122043A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286606(P2010−286606)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(593074857)北越パッケージ株式会社 (8)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】