説明

選択的エストロゲン受容体調節剤としてのアスコルビン酸バゼドキシフェン

本発明は、アスコルビン酸バゼドキシフェン、それを含有する組成物、その分散体、その製剤、及びその使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的エストロゲン受容体調節剤、1-[4-(2-アゼパン-1-イル-エトキシ)-ベンジル]-2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-3-メチル-1H-インドール-5-オール(バゼドキシフェン)のアスコルビン酸塩、並びにその組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に示す化学式:
【化1】

を有する、バゼドキシフェン(1-[4-(2-アゼパン-1-イル-エトキシ)-ベンジル]-2-(4-ヒドロキシ-フェニル)-3-メチル-1H-インドール-5-オール;又はバゼドキシフェン遊離塩基)は、典型的には選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)と称される薬剤のクラスに属する。その分類と一致して、バゼドキシフェン及びその塩はエストロゲン受容体(ER)に対して親和性を示すが、組織選択的エストロゲン様作用を示す。例えば酢酸バゼドキシフェンは、子宮刺激の前臨床モデルにおいて子宮応答の刺激をほとんど又は全く示さない。逆に、酢酸バゼドキシフェンは、骨減少症の卵巣摘出ラットモデルにおいて骨減少を予防し、コレステロールを低下させる上でエストロゲンアゴニスト様の作用を示す。MCF-7細胞系(ヒト乳癌細胞系)では、酢酸バゼドキシフェンはエストロゲンアンタゴニストとして働く。これらのデータは、バゼドキシフェンが骨及び心臓血管脂質パラメータにはエストロゲン様であり、子宮及び乳房組織に対しては抗エストロゲン様であって、それ故エストロゲン受容体が関与する多くの異なる疾患又は疾患様状態を治療するための潜在的可能性を有することを明らかにする。
【0003】
米国特許第5,998,402号及び同第6,479,535号は、バゼドキシフェン及びその塩の製造を報告する。バゼドキシフェン及びその塩の合成による製造は、一般文献でも公表されている。例えばMiller et al., J. Med. Chem, 2001, 44, 1654-1657参照。薬剤の生物活性のさらなる説明も、同様に一般文献において公表されている(例えば Miller, et al. Drugs of the Future, 2002, 27(2), 117-121)。
【0004】
例えば、改善された安定性、溶解度及び生物学的利用能(bioavailability)を示す医薬製剤が一貫して求められているので、既存薬剤分子の新しい形態への需要が現在も存在する。本明細書で述べるバゼドキシフェンのアスコルビン酸塩及びそれを含有する組成物は、これらの需要又は他の需要を満たすことに役立つものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バゼドキシフェンのアスコルビン酸塩及びそれを含有する組成物を提供する。
【0006】
本発明はさらに、バゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを混合することを含む、アスコルビン酸バゼドキシフェンを製造する方法を提供する。
【0007】
本発明はさらに、分散剤中に分散したアスコルビン酸バゼドキシフェンを含む固体分散体を提供する。
【0008】
本発明はさらに、a)アスコルビン酸バゼドキシフェンと分散剤とを溶液中で混合すること;及びb)固体分散体を生成するために溶媒を除去すること、を含む、アスコルビン酸バゼドキシフェンの固体分散体を製造する方法を提供する。
【0009】
本発明はさらに、a)液体混合物を形成するためにアスコルビン酸バゼドキシフェンを溶融分散剤と混合すること;及びb)固体分散体を形成するために液体混合物を凝固させること、を含む、アスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体を製造する方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、エストロゲン欠乏又はエストロゲンの過剰に関連する疾患又は症候群を有する哺乳動物を治療する方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、子宮内膜組織の増殖又は異常発達に関連する疾患又は障害を有する哺乳動物を治療する方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてコレステロールを低下させる方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において骨減少を抑制する方法を提供する。
【0014】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において乳癌を治療する方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの治療上有効量を閉経後女性に投与することを含む、1以上の血管運動障害に関して閉経後女性を治療する方法を提供する。
【0016】
本発明はさらに、治療における使用のためのアスコルビン酸バゼドキシフェンを提供する。
【0017】
本発明はさらに、薬剤の製造のためのアスコルビン酸バゼドキシフェンの使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、とりわけ、バゼドキシフェンのアスコルビン酸塩、並びに安定性、溶解度及び生物学的利用能等に関して改善された特性を有するその固体分散体及び組成物を提供する。例えばアスコルビン酸バゼドキシフェンは、分解(例えば酸化による)に抵抗し、貯蔵寿命を延長するのを助けるアスコルビン酸の抗酸化特性を備える。アスコルビン酸バゼドキシフェンはまた、他の形態のバゼドキシフェンと比べて、高い生物学的利用能とより低い用量とをもたらし得る改善された溶解度を示す。
【0019】
アスコルビン酸バゼドキシフェンは、各々のバゼドキシフェン分子に対して少なくとも約1個のアスコルビン酸分子を含むバゼドキシフェンの酸付加塩と特徴付けることができる。例えばアスコルビン酸バゼドキシフェンは、バゼドキシフェン対アスコルビン酸(bazedoxifene to ascorbic acid)のモル比が約1:1であると特徴付けられる。一部の実施形態では、本発明のアスコルビン酸バゼドキシフェン塩は、無定形、結晶性、他の固体形態又はそれらの混合物であり得る。さらなる実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン塩は、無水、水和(例えば半水和、一水和、二水和等)、溶媒和又はそれらの2以上の混合物であり得る。
【0020】
アスコルビン酸バゼドキシフェンは、塩の形成を生じさせる任意の適切な方法によって製造することができる。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェンは、バゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを混合することによって形成される。例えばバゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを約等モル量で混合することができる。この混合は、場合により、酢酸バゼドキシフェンとアスコルビン酸の少なくとも1つが少なくともある程度の溶解度を有する溶媒中で実施することができる。例えばバゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを溶媒中に一緒に溶解し、その後、所望の塩を生成するために溶媒を除去することができる。本発明の塩を形成するための適切な溶媒は、有機溶媒、例えばアルコール、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、それらの混合物等を含む。一部の実施形態では、有機溶媒は、揮発性溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタン、アセトニトリル、それらの混合物等である。一部の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、それらの混合物等である。一部の実施形態では、有機溶媒はエタノールである。
【0021】
アスコルビン酸バゼドキシフェンはまた、バゼドキシフェンの異なる塩の陰イオンをアスコルビン酸塩と交換することによっても製造できる。例えば酢酸バゼドキシフェン又は他のバゼドキシフェン塩をアスコルビン酸又はアスコルビン酸塩で処理してアスコルビン酸バゼドキシフェンを形成することができる。この陰イオン置換反応は、場合により溶媒中で、例えば本明細書で述べる有機溶媒中で実施することができる。
【0022】
本発明はさらに、アスコルビン酸バゼドキシフェンの固体分散体を提供する。本発明の固体分散体は、例えばバゼドキシフェン遊離塩基、結晶性酢酸バゼドキシフェン及びバゼドキシフェンの他の塩形態と比較して、高い溶解度及び生物学的利用能を有する。固体分散体に関連する高い生物学的利用能は、より低用量の投与を可能にし、それによって有害副作用の可能性を低下させ、被験者の個体差を低減することを含む、数多くの利点を有する。
【0023】
本発明の組成物は、例えば分散剤中に分散したアスコルビン酸バゼドキシフェンを含有する。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤(bazedoxifene ascorbate to dispersing agent)の重量比は、約1:99〜約99:1である。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤の重量比は、約1:99〜約75:25、又は約1:99〜約60:40である。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤の重量比は、約1:99〜約15:85、約1:99〜約10:90、又は約1:99〜約5:95である。さらなる実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤の重量比は、約5:95である。さらなる実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤の重量比は、約25:75〜約75:25、約40:60〜約60:40、又は約1:1である。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェン対分散剤の重量比は約1:1である。
【0024】
本明細書で使用する「分散剤」は、アスコルビン酸バゼドキシフェンの分子/粒子のための分散媒質として働く任意の物質又は物質の混合物を指す。分散剤は、典型的には、アスコルビン酸バゼドキシフェンの医薬作用に実質的に干渉しない、製薬上許容し得る物質から成る。「製薬上許容し得る」という語句は、本明細書では、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、あるいは他の問題又は合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適し、妥当な利益/危険度比に相応する物質を指すために用いられる。一部の実施形態では、分散剤は室温(例えば約22℃)で固体である。さらなる実施形態では、分散剤は約30〜100℃の間の温度で融解する。さらなる実施形態では、分散剤は有機溶媒に可溶性である。
【0025】
分散剤の非限定的な例は、ポリマー、例えばセルロース(例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);ヒアルロン酸塩;アルギン酸塩;多糖、ヘテロ多糖(ペクチン);ポロキサマー;ポロキサミン;エチレンビニルアセテート;ポリエチレングリコール;デキストラン;ポリビニルピロリドン;キトサン;ポリビニルアルコール;プロピレングリコール;ポリビニルアセテート;ホスファチジルコリン(レシチン);ミグリオール;ポリ乳酸;ポリヒドロキシ酪酸;それらの混合物、それらのコポリマー、それらの誘導体等を含む。分散剤のさらなる例は、コポリマー系、例えばポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)、ポリエチレングリコール-ポリヒドロキシ酪酸(PEG-PHB)、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアルコール(PVP-PVA)、及び誘導体化コポリマー、例えばN-ビニルプリン(又はピリミジン)誘導体とN-ビニルピロリドンのコポリマーを含む。
【0026】
一部の実施形態では、分散剤はポリビニルピロリドン(PVP)又はその誘導体を含む。PVPは、多様な物質と複合体を形成するポリアミドであり、化学的及び物理的に不活性とみなされる。適切なPVPの例は、約10,000から約50,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドンを含む。一部の実施形態では、ポリビニルピロリドンは約10,000から約20,000の平均分子量を有する。さらなる実施形態では、ポリビニルピロリドンは約15,000から約20,000の分子量を有する。適切なPVPの一例は、PVP K-17(PLASDONEポビドン、ISP Technologies, Ltd.)である。一部の実施形態では、分散剤は基本的にPVP又はその誘導体から成る。
【0027】
分散剤は、よくポロキサマーと称される、エチレンとプロピレングリコールのブロックコポリマーを含む。適切なポロキサマーの例は、ポロキサマー188(LUTROL F 68、BASF)、ポロキサマー407(LUTROL F 127、BASF)等を含む。一部の実施形態では、分散剤はポロキサマー188である。
【0028】
一部の実施形態では、分散剤はポリエチレングリコール(PEG)を含む。適切なPEGは、PEG200、300、400、600、1000、1450、3350、4000、6000、8000、10000、20000、それらの混合物等を含む。一部の実施形態では、分散剤はPEG1450である。
【0029】
本発明のアスコルビン酸バゼドキシフェン分散体は、例えば無定形アスコルビン酸バゼドキシフェンの固体分散体を生じさせる、数多くの方法のいずれかによって作製できる。一例方法では、アスコルビン酸バゼドキシフェン(いかなる形態でもよい、例えば結晶性、無定形等)と分散剤とを所望の重量比で分散溶媒に溶解することができ(一緒に又は別々に溶解してその後混合する)、その後、所望の固体分散体を生成するために分散溶媒を除去する。分散溶媒は、水性溶媒又は有機溶媒であり得る。適切な有機溶媒は、アルコール、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、それらの混合物等を含む。一部の実施形態では、有機溶媒は、揮発性溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタン、アセトニトリル、それらの混合物等である。一部の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、それらの混合物等である。一部の実施形態では、有機溶媒はエタノールである。
【0030】
もう1つの例では、アスコルビン酸バゼドキシフェン及び分散剤のいずれか又は両方が液体形態(例えば溶融物)であるときは、アスコルビン酸バゼドキシフェンと分散剤とを所望の重量比で混合することができる;そしてその後、液体混合物を凝固させて所望の固体分散体を形成する。そのような実施形態によれば、アスコルビン酸バゼドキシフェンと分散剤の少なくとも1つが融解しているときは、アスコルビン酸バゼドキシフェンと分散剤とを混合することができる。次に、生じた混合物を、混合物を凝固させるのに十分な温度に冷却することによって凝固させる。一部の実施形態では、混合物を約25℃以下に冷却する。一部の実施形態では、アスコルビン酸バゼドキシフェンを溶融分散剤と混合し、生じた混合物を混合物の融点以下の温度に冷却して固体分散体を形成する。さらなる実施形態では、分散剤を、分散剤の融点以上の温度である、約30から200℃の間、約30から150℃の間、又は約30から100℃の間の温度に加熱する。さらなる実施形態では、分散剤を約30℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、又は約90℃以上の温度に加熱する。これらの方法及び他の方法は、本発明のアスコルビン酸バゼドキシフェン分散体の製造に適する常套的手法である。
【0031】
用量及び製剤

本明細書で述べる塩形態及び固体分散体は、様々な方法のいずれかで患者に投与するために製剤化することができる。一部の実施形態では、塩形態及び固体分散体は単独で、すなわち賦形剤又は他の添加物を加えずに、投与することができる。例えば約95重量%以上、約98重量%以上又は約99重量%以上の、本明細書で述べる塩形態又は固体分散体を含有する固体投与形態(例えば錠剤、カプセル等)を、患者に直接投与することができる。
【0032】
一部の実施形態では、患者への投与のための医薬組成物を形成するために、塩形態又は固体分散体を1以上の製薬上許容し得る担体(賦形剤)と混合する。前記組成物は、いかなる量の塩形態又は固体分散体も含有し得る。一部の実施形態では、組成物は約1から約99重量%の塩形態又は固体分散体を含有する。さらなる実施形態では、組成物は約1から約50重量%の塩形態又は固体分散体を含有する。さらなる実施形態では、組成物は約1から約30重量%の塩形態又は固体分散体を含有する。さらなる実施形態では、組成物は約1から約20重量%の塩形態又は固体分散体を含有する。さらなる実施形態では、組成物は約1から約10重量%の塩形態又は固体分散体を含有する。
【0033】
本発明の塩形態及び/又は固体分散体を含有する製剤は、1日あたり、アスコルビン酸バゼドキシフェン0.1mgから1000mgの範囲で、その必要のある個人に投与することができる。好ましい用量範囲は、10mg/日から約600mg/日、より好ましくは10mg/日から約60mg/日である。用量は、1日当りの単回用量あるいは2回以上の分割用量であり得る。そのような用量は、経口的、移植による、非経口的、膣経路、直腸経路及び経皮的を含む、化合物の血流への侵入を促進する任意の方法で投与することができる。
【0034】
経皮投与は、体表面、並びに上皮及び粘膜組織を含む身体通路の内層を横切る全ての投与を含む。そのような投与は、ローション、クリーム、コロイド、泡、パッチ、懸濁液等の形態であり得る。
【0035】
本発明の塩形態又は固体分散体を含有する経口製剤は、錠剤、カプセル、口腔形態、トローチ、ロゼンジ及び経口液体、懸濁液等を含む、慣例的に使用される任意の経口形態を含み得る。また、本発明の固体分散体を含有するカプセル又は錠剤は、他の活性化合物又は不活性充填剤及び/又は希釈剤、例えば製薬上許容し得るデンプン(例えばトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、糖、人工甘味料、粉末セルロース、例えば結晶性及び微結晶性セルロース、小麦粉、ゼラチン、ゴム等の混合物と混合することができる。
【0036】
錠剤製剤は、従来の圧縮、湿式造粒又は乾式造粒法によって製造することができ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アラビアゴム、キサンタンゴム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、滑石、乾燥デンプン及び粉砂糖を含むが、これらに限定されない、製薬上許容し得る希釈剤(充填剤)、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、懸濁化剤又は安定剤を利用することができる。本明細書で使用する経口製剤は、標準的な遅延放出又は持続放出製剤又はスパンシュール(徐放剤、spansules)を使用し得る。坐薬製剤は、坐薬の融点を変化させるためのろう、及びグリシンを添加して又は添加せずに、ココアバターを含む従来の材料から製造し得る。水溶性坐薬基剤、例えば様々な分子量のポリエチレングリコールも使用し得る。
【0037】
本発明の製剤に関して有用なフィルムコーティングは当技術分野において公知であり、一般にポリマー(通常はセルロース系ポリマー)、着色料及び可塑剤から成る。フィルムコートにある種の特徴を与えるために、付加的な成分、例えば湿潤剤、糖、着香料、油及び潤滑剤をフィルムコーティング製剤に含めることができる。本明細書での組成物及び製剤はまた、固体として組み合わせて加工し、その後カプセル形態、例えばゼラチンカプセルに入れてもよい。
【0038】
充填剤又は希釈剤は、当技術分野で公知であり、固体経口製剤の製造のために有用な任意の物質も含み得る。製薬上許容し得る充填剤は、例えばラクトース、微結晶性セルロース、スクロース、マンニトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、粉末セルロース、マルトデキストリン、ソルビトール、デンプン、キシリトール等から選択することができる。
【0039】
本発明の製剤はまた、崩壊剤を含み得る。これらの崩壊剤は、プレゼラチン化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム等を含む、当技術分野で公知のものから選択できる。他の有用な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、粘土(例えばビーゴム(veegum)又はキサンタンゴム)、セルロースフロック、イオン交換樹脂、又は発泡系、例えば食品酸(例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、エリソルビン酸、グルタミン酸及びコハク酸)を利用するもの及び炭酸アルカリ成分(例えば重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム等)を含む。本明細書で有用な崩壊剤は、組成物の約4重量%から約40重量%、好ましくは約15重量%から約35重量%、より好ましくは約20重量%から約35重量%を構成し得る。
【0040】
一部の成分は、本発明の製剤において複数の機能を有することができ、例えば充填剤及び崩壊剤の両方として働き、特定製剤におけるその機能は、その性質が複数の機能性を許容し得る場合でも単一であり得る。
【0041】
よりでの医薬製剤及び賦形剤はまた、抗酸化剤又は抗酸化剤の混合物、例えばアスコルビン酸を含み得る。使用できる他の抗酸化剤は、場合により一定量のアスコルビン酸と混合した、アスコルビン酸ナトリウム及びパルミチン酸アスコルビルを含む。抗酸化剤についての例示的な範囲は、約0.05重量%から約15重量%、約0.5重量%から約15重量%又は約0.5重量%から約5重量%である。一部の実施形態では、医薬製剤は実質的に抗酸化剤を含まない。
【0042】
アスコルビン酸バゼドキシフェンの医薬組成物はまた、ステロイドエストロゲン、例えば抱合エストロゲン,USPで、製剤化することができる。この製剤において使用されるアスコルビン酸バゼドキシフェンの量は、使用する特定固体分散体、製剤中のステロイドエストロゲンの量及び種類並びに考慮される特定治療適応症に従って調節することができる。一般に、アスコルビン酸バゼドキシフェンは、特定エストロゲンの作用に所望のレベルまで拮抗するのに十分な量で使用できる。抱合エストロゲンの用量範囲は、約0.3mgから約2.5mg、約0.3mgから約1.25mg又は約0.3mgから約0.625mgであり得る。配合剤におけるアスコルビン酸バゼドキシフェンの量の例示的範囲は、約10mgから約40mgである。ステロイドエストロゲンメストラノールに関しては、1日の用量は約1μGから約150μGであり得、エチニルエストロゲンについては、約1μGから300μGの1日用量が使用できる。一部の実施形態では、1日の用量は約2μGから約150μGである。
【0043】
例示的経口製剤は、本発明の塩形態又は固体分散体及び以下の賦形剤系:
a)合わせて、総製剤の約1重量%〜約99重量%、好ましくは製剤の約20重量%〜約85重量%、又は総製剤の約4重量%〜約45重量%を構成する充填剤及び崩壊剤;並びに
b)潤滑剤がステアリン酸マグネシウム又は他の金属ステアリン酸塩(例えばステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛)、脂肪酸エステル(例えばフマル酸ステアリルナトリウム)、脂肪酸(例えばステアリン酸)、脂肪アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱物油、パラフィン、硬化植物油、ロイシン、ポリエチレングリコール、金属ラウリル硫酸塩又は塩化ナトリウムである場合、組成物の約0.2重量%〜約15重量%を構成する潤滑剤
を含む。
【0044】
充填剤、崩壊剤及び潤滑剤に関して上記に列挙したパーセンテージは最終医薬組成物に基づく。最終組成物の残りの部分は、塩形態又は固体分散体、及び本明細書で述べる製薬上許容し得る表面被膜、例えばコーティング又はカプセルから成る。本発明の一部の実施形態では、塩形態又は固体分散体は、最終組成物の約1重量%〜約99重量%、約10重量%〜約95重量%、又は約20重量%〜約90重量%を構成し、コーティング又はカプセルは製剤の約8重量%までを構成する。
【0045】
本発明の塩形態に関連する使用に適した付加的な数多くの多様な賦形剤、投与形態、分散剤等が当技術分野において公知であり、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985 に述べられている。
【0046】
方法

米国特許第5,998,402号に述べられているように、バゼドキシフェン及びその塩は、エストロゲン受容体に親和性を有する選択的エストロゲンアゴニストである。他のタイプのエストロゲンアゴニストと異なり、バゼドキシフェン及びその塩は子宮において抗エストロゲン性であり、子宮組織でのエストロゲンアゴニストの栄養作用に拮抗することができる。従って、本発明の塩形態及び固体分散体、及びそれらを含有する組成物は、エストロゲン欠乏又はエストロゲンの過剰に関連する疾患状態若しくは症候群を治療する又は予防することに関して多くの用途を見出し得る。それらはまた、子宮内膜若しくは子宮内膜様組織の、増殖又は異常な発達、作用又は成長から生じる、疾患又は障害のための治療方法においても使用し得る。
【0047】
アスコルビン酸バゼドキシフェンは、コレステロールを低下させること及び骨減少を予防することにより、エストロゲンアゴニストのように働く能力を有する。従って、本発明の塩形態又は固体分散体は、エストロゲン作用及びエストロゲン過剰又は欠乏から生じる多くの疾病、例えば骨粗しょう症、前立腺肥大、男性型禿頭症、膣及び皮膚萎縮、ざ瘡、機能不全性不正子宮出血、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、子宮平滑筋腫、腺筋症、卵巣癌、不妊症、乳癌、子宮内膜症、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、心臓血管疾患、避妊、アルツハイマー病、認知低下及び他のCNS障害、並びに、中でも特に、黒色腫、前立腺癌、結腸癌、CNS癌を含むある種の癌、を治療するために有用である。加えて、固体分散体は、閉経前女性における避妊、並びに閉経後女性における(例えば顔面潮紅などの血管運動障害を治療するため)又はエストロゲン補充が有益である他のエストロゲン欠乏状態におけるホルモン補充療法のために使用することができる。また、無月経が好都合である疾患状態、例えば白血病、子宮内膜剥離、慢性腎又は肝疾患又は血液凝固疾患又は障害においても使用できる。
【0048】
本発明の塩形態及び固体分散体はまた、個体の新しい骨組織の形成とより古い組織の吸収の不均衡から生じることがあり、骨の正味の減少を導く、骨減少の治療及び予防法においても使用できる。そのような骨減少は、ある種の個人、特に閉経後女性、両側の卵巣摘出術を受けた女性、長期間コルチコステロイド治療を受けた又は受けている個体、性器発育異常を経験している個体、及びクッシング症候群に罹患している個体において生じる。歯及び口腔骨を含む、骨補充の特殊な必要性も、骨折、不完全骨構造を有する個体、及び骨関連手術及び/又は人工器官の移植を受けた個体において固体分散体を使用して対処することができる。上述した問題に加えて、固体分散体は、変形性関節症、低カルシウム血症、高カルシウム血症、パジェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫、及び骨組織への有害作用を有する他の形態の癌の治療において使用できる。
【0049】
本明細書で列挙する疾患及び症候群を治療する方法は、そのような治療を必要する個体に本発明の塩形態又は固体分散体、又はそれらを含有する組成物の治療上有効量を投与することを含むことは了解される。本明細書で使用する、疾患に関連した「治療する」という用語は、疾患を予防すること、抑制すること及び/又は改善することを指すことが意図されている。
【0050】
本明細書で使用する、交換可能に用いられる「個体」又は「患者」という用語は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ又は霊長類、最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を指す。
【0051】
本明細書で使用する、「治療上有効量」という語句は、以下:
(1)疾患を予防すること;例えば疾患、状態又は障害に罹患しやすいと考えられるが、疾患の病理又は徴候をまだ経験していない又は示していない個体において疾患、状態又は障害を予防すること;
(2)疾患を抑制すること;例えば疾患、状態又は障害の病理又は徴候を経験している又は示している個体において疾患、状態又は障害を抑制すること(すなわち病理及び/又は徴候のさらなる発現を停止させる又は緩慢化すること;及び
(3)疾患を改善すること;例えば疾患、状態又は障害の病理又は徴候を経験している又は示している個体において疾患、状態又は障害を改善すること(すなわち病理及び/又は徴候を逆転させること)
の1以上を含む、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって追及される組織、システム、動物、個体又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を惹起する活性化合物又は薬剤の量を指す。
【0052】
本発明を特定実施例によってより詳細に説明する。以下の実施例は例示のために提供するものであり、いかなる意味においても本発明を限定することを意図しない。当業者は、本質的に同じ結果を生じるように変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識する。

実施例
【実施例1】
【0053】
アスコルビン酸バゼドキシフェンの製造

合成1
水浴で70℃に加熱し、その後約40℃に冷却したエタノール3mL中のアスコルビン酸(結晶性粉末)0.0713gの溶液に、バゼドキシフェン遊離塩基0.2001gを混合しながら添加した。生じた懸濁液を約50℃に10分間加熱して、無色溶液を形成し、それを室温に冷却した。微黄色液層が反応バイアルの底部に形成された。
【0054】
無水エーテル2mLを冷却した混合物に添加して、微黄色沈殿物を形成した。上清液体をデカンタし、糊状沈殿物をエーテル(2×1mL)で粉砕して、アスコルビン酸バゼドキシフェン約0.1628gのクリーム状粉末を形成した。粉末を暗所で保存し、密閉容器において窒素で洗った。
【0055】
合成2
エタノール32mL中のアスコルビン酸(結晶性粉末)0.7494g(0.0042499モル)の溶液を、攪拌しながら(磁気攪拌器)全ての固体が溶解するまで70℃に加熱した。溶液を50℃に冷却した。冷却した溶液に、バゼドキシフェン遊離塩基2.04g(0.0042499モル)を一挙に添加して、攪拌し、60℃で3時間加熱して、透明な黄褐色溶液を形成した。バゼドキシフェンに関しては220nm及びアスコルビン酸については245nmと265nmでの紫外吸収検出を伴うHPLCによって反応を観測した。
【0056】
生じた透明溶液を冷却し、減圧下で溶媒を蒸発乾固して、黄褐色個体を得た。HPLCによる観測は、60℃で1時間目の反応進行が60℃で3時間目のものと実質的に同じであることを示した。黄色固体を乳鉢と乳棒で摩砕し、アスコルビン酸バゼドキシフェン2.84gを得た。
【0057】
精製1
アスコルビン酸バゼドキシフェン82mgを、多少熱を加えて、エタノール/水 1mLに溶解した。溶液をジエチルエーテルで沈殿させ、黄色無定形粉末を得た。
【0058】
精製2
アスコルビン酸バゼドキシフェン数mgに、イソプロピルアルコール、次いでアセトン数滴を添加した。生じた混合物を3〜5分間50℃に加熱して、透明な黄色溶液を形成した。次にその溶液を約4℃に冷却して、黄褐色沈殿物(非結晶性)を形成した。
【0059】
精製3
アスコルビン酸バゼドキシフェン約1gを三角フラスコに入れ、アセトン約25mLを混合しながら添加した。水数滴(5滴)を混合しながら添加して、赤みがかった褐色溶液を得た。エーテルを添加して(約15mL)塩を沈殿させ、混濁した褐色ゴム状沈殿物を形成した。エーテルで粉砕して褐色沈殿物(約0.95g)を得た。この褐色微細固体をデシケーターにおいて真空下に室温で保存した。
【実施例2】
【0060】
アスコルビン酸バゼドキシフェンの特性決定

プロトン核磁気共鳴(H−NMR)
ジュウテリウム化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)中の、実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェンのプロトンNMRスペクトルは、アスコルビン酸バゼドキシフェンの構造と一致した。
【0061】
質量スペクトル
実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェンは、バゼドキシフェンに関してはM+H:471.3(重量平均分子量=470.3);アスコルビン酸に関しては2M+H:941.6;M’+H:177.1を生じた。
【0062】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェンを、以下の条件下でHPLCによって分析した:
カラム:Prodigy ODS-2、150cm×4.6mmの5μm
検出器:220nmでの紫外吸収(UV)
カラム温度:30℃
流速:1.5mL/分
移動相:リン酸二水素カリウム6.8gを含む水2L(リン酸でpH3.0に調整);及びアセトニトリル320mL、の680mL
【0063】
バゼドキシフェン及びアスコルビン酸についての保持時間は構造と一致した。
【0064】
粉末X線回折(XRPD)
Cu K α線を用いてScintag X2 X線粉末回折計でXRPD分析を実施した。管出力及びアンペア数はそれぞれ45kV及び40mAに設定した。発散スリット及び散乱スリットは1°に設定し、受信スリット(receiving slit)は0.2mmに設定した。3から40°2θの3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)でのθ−2θ連続スキャンを使用した。試料を石英試料ホルダーに充填した。
【0065】
実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェンの粉末X線回折は無定形物質を示した。
【0066】
示差走査熱量計(DSC)
実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェン3.542mgを、オートサンプラーを備えたPERKIN ELMER Pyris 1 DSCに入れ、5℃/分の速度で25℃から150℃に加熱した。出力を密封アルミニウム皿で測定した。
【0067】
物質は、50.02℃でガラス転移(Tg)を有する無定形であると思われた。
【0068】
実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェン1.377mgを、窒素で洗った開放試料皿を備えたPERKIN ELMER Pyris 1 TGAに入れた。試料を25℃から300℃まで5℃/分の速度で走査した。
【0069】
アスコルビン酸バゼドキシフェン試料は、100℃までに約11%を損失し(水約1モルに相当する)、その後105℃から160℃の間で別の重量損失が起こった。
【実施例3】
【0070】
37℃での0.0005M 酢酸中のアスコルビン酸バゼドキシフェンの平衡溶解度

実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェン各々10.1、10.0及び9.8mgを0.0005M 酢酸3mL中に入れ、37℃の水浴中に置いた。試料を50回転/分で18時間回転させた。全ての試料を0.2μm(Nylon Acrodisc)フィルターでろ過した。試料をHPLCによって分析した。
【0071】
アスコルビン酸バゼドキシフェンの平衡溶解度は1.66mg/mLと測定された。
【実施例4】
【0072】
バルク安定性

実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェンのバッチを、アルミニウム箔で覆った作業台上のバイアル中で一定期間保存した。1ヶ月目と75日目に、数mgをHPLCによって分析した。1ヶ月目の時点で、HPLCは99.86%の回収率を示した。75日目の時点では、HPLCは95.3%の回収率を示した。
【実施例5】
【0073】
PVP(1:1w/w)を伴うアスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体

製造
PVP K17(PLASDONE C-15「ポビドンUSP」;ISP Technologies, Inc.)0.5128gをエタノール10mLに溶解した。次に実施例1により製造したアスコルビン酸バゼドキシフェン0.5032gをマグネティックスターラーで攪拌しながら添加した。フラスコを窒素ガスで洗い、70℃の水浴に10分間入れた。混合物は透明な褐色溶液になり、加熱せずに30分間水浴中に放置した。溶媒を減圧下で6時間蒸発させた。
【0074】
生じた固体-ガラス状褐色物質を乳鉢と乳棒で摩砕して、一晩凝固しない非常に良好な流動性を有する褐色-灰褐色の微細粉末を得た。
【0075】
HPLC保持時間及び紫外吸収スペクトルは分散体の組成物と一致した。XRPDは、分散体が無定形であることを示した。TGAは、約100℃まで、水の1分子の喪失によると考えられる2.7%の重量損失を明らかにした。
【実施例6】
【0076】
37℃での0.0005M 酢酸中のPVP(1:1w/w)を伴うアスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体の溶解度

実施例5のアスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体の試料(各々約20mg)をバイアルに入れ、0.0005M 酢酸1mLを添加した。混合物を手動で10秒間振とうし、その後50回転/分で37℃の水浴中に18時間置いた。次に試料をシリンジディスクフィルター(0.2μmナイロンの13mm(Whatman))を通してろ過した。結果:12.364mg/mL。
【実施例7】
【0077】
固体分散体のバルク安定性

実施例5のPVP(1:1w/w)を伴うアスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体のバルク安定性を以下の手順に従って1ヶ月目と3ヶ月目に評価した。箔で包んだバイアル中のアスコルビン酸バゼドキシフェン固体分散体5〜6gの試料を1ヶ月間又は3ヶ月間室温で作業台上に置いた。その後試料をHPLCによって分析し、以下の結果を得た:
初期 44.79%(評価値での使用(use at value);
室温で1ヶ月目:43.14%(評価値での使用);
室温で3ヶ月目:44.44%(評価値での使用)
【0078】
本発明の様々な変更が、本明細書で述べるものに加えて、上記の説明から当業者には明白である。そのような修正も付属の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本出願において引用した、著作及び特許を含む出版物及び参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バゼドキシフェンのアスコルビン酸塩。
【請求項2】
請求項1記載の塩と製薬上許容し得る担体とを含有する組成物。
【請求項3】
バゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを混合することを含む、請求項1記載の塩を製造する方法。
【請求項4】
約等モル量のバゼドキシフェン遊離塩基とアスコルビン酸とを混合する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記混合を溶媒中で実施する、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒がアルコールを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記アルコールがエタノールを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法により製造される塩。
【請求項9】
請求項1記載の塩と分散剤とを含む固体分散体。
【請求項10】
前記分散剤が、セルロース、ヒアルロン酸塩、アルギン酸塩、多糖、ヘテロ多糖、ポロキサマー、ポロキサミン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリビニルピロリドン、キトサン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ポリビニルアセテート、ホスファチジルコリン、ミグリオール、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、それらの2以上の混合物、又はそれらのコポリマーを含む、請求項9記載の固体分散体。
【請求項11】
前記分散剤がポリビニルピロリドンを含む、請求項9記載の固体分散体。
【請求項12】
前記塩対前記分散剤の重量比が約1:99〜約99:1である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項13】
前記塩対前記分散剤の重量比が約1:99〜約60:40である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項14】
前記塩対前記分散剤の重量比が約1:99〜約10:90である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項15】
前記塩対前記分散剤の重量比が約5:95である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項16】
前記塩対前記分散剤の重量比が約40:60〜約60:40である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項17】
前記塩対前記分散剤の重量比が約1:1である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項18】
a)前記塩と前記分散剤とを、溶媒を含む溶液中で混合すること;及び
b)前記固体分散体を生成するために前記溶媒を除去すること
を含む、請求項9〜17のいずれか1項に記載の固体分散体を製造する方法。
【請求項19】
前記溶媒が有機溶媒である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記有機溶媒がアルコールを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記アルコールがエタノールを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法により製造される固体分散体。
【請求項23】
a)液体混合物を形成するために前記塩を溶融分散剤と混合すること;及び
b)前記固体分散体を形成するために前記液体混合物を凝固させること
を含む、請求項9〜17のいずれか1項に記載の固体分散体を製造する方法。
【請求項24】
前記分散剤を約30℃以上の温度に加熱することにより前記溶融分散剤を製造する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記凝固が、前記液体混合物を約25℃以下の温度に冷却することを含む、請求項23記載の方法。
【請求項26】
請求項23の方法により製造される固体分散体。
【請求項27】
請求項9〜17のいずれか1項に記載の固体分散体と製薬上許容し得る担体とを含有する組成物。
【請求項28】
請求項1記載の塩の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、エストロゲン欠乏又はエストロゲンの過剰に関連する疾患又は症候群を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項29】
請求項1記載の塩の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、子宮内膜組織の増殖又は異常発達に関連する疾患又は障害を有する哺乳動物を治療する方法。
【請求項30】
請求項1記載の塩の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてコレステロールを低下させる方法。
【請求項31】
請求項1記載の塩の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において骨量減少を抑制する方法。
【請求項32】
請求項1記載の塩の治療上有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物において乳癌を治療する方法。
【請求項33】
請求項1記載の塩の治療上有効量を閉経後女性に投与することを含む、1以上の血管運動障害に関して閉経後女性を治療する方法。
【請求項34】
前記血管運動障害が顔面潮紅である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
エストロゲン欠乏若しくはエストロゲンの過剰に関連する疾患又は症候群を有する哺乳動物を治療する;又は
子宮内膜組織の増殖又は異常発達に関連する疾患又は障害を有する哺乳動物を治療する;又は
哺乳動物においてコレステロールを低下させる;又は
哺乳動物において骨量減少を抑制する;又は
哺乳動物において乳癌を治療する;又は
1以上の血管運動障害に関して閉経後女性を治療する
ための薬剤の製造における、請求項1記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−532556(P2007−532556A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507473(P2007−507473)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/011663
【国際公開番号】WO2005/100315
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】