説明

避難支援装置および避難支援方法

【課題】地震の主要動が到達する前に避難を支援することができる避難支援装置および避難支援方法を提供する。
【解決手段】ホームサーバ24は、地震管理センターから地震情報を受信し、避難が必要な場合、アラーム21にアラーム音を発生させる。そして、一定時間経過後に監視カメラ22により人体が検知された場合、振動装置23を駆動して、地震の主要動が到達する前に、避難支援装置20が設置されている建物内に残っている者に避難すべきことを認識させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震が発生した際、避難を支援する避難支援装置および避難支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震が発生したときの情報を利用者に提供する装置としては、地震計が地震が一定以上の強度に達したことを計測すると、映像入力端末が地震情報に関わる映像を撮影し、利用者は、直ちにその地震情報を映像で見ることができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、地震の主要動が到達する前に予測震度や予測時間をインターネット経由で音声により通知する「IT自動防災システム」の実証実験が進められている。「IT自動防災システム」は、地震の主要動が到達する前に予測震度や予測時間をインターネット経由で音声により通知するサービスを実現するためのものである。例えば、「○○地域、緊急地震予告! 震度○! あと○○秒後!」という音声で通知が行なわれる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
より詳細に説明すれば、IT自動防災システムは、気象庁から発信された緊急地震速報をサーバで受信し、受信したサーバは、地域毎に予測される震度や到達時間を独自に計算した上で各家庭の通信端末に配信する。
【特許文献1】特開平07−264572号公報
【非特許文献1】“「10秒後に震度7!」揺れる前にインターネット経由で家庭に地震を予告”、[online]、[平成17年9月22日検索]、インターネット(URL:http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/01/13/6047.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したIT自動防災システムでは、地震の主要動が到達する前に予報を速報することにより、建物内に居る者が予測震度や予測時間を認識して避難をすることができるが、寝込んでしまって予測震度や予測時間を認識することができない場合、避難をすることができないという課題が残されている。
【0006】
さらに、老人、子供、病人だけの住まい等の場合、予測震度や予測時間を認識することができても、避難をすることができないという問題が残されている。
【0007】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、地震の主要動が到達する前に避難を支援することができる避難支援装置および避難支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の避難支援装置は、建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、建物内に設置される可動手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するホームサーバとを備えている。
【0009】
この構成により、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するので、地震の主要動が到達する前に建物内に残っている者に避難すべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。例えば、寝込んでしまって気づかない者等に避難をすべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。
【0010】
また、本発明の避難支援装置は、建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するホームサーバとを備えている。
【0011】
この構成により、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するので、避難できない者が、建物内に残っていることを第三者に報知することができ、避難を支援することができる。例えば、老人、子供、病人だけの住まい等の場合であっても、第三者に建物内に残っていることを示す情報を報知することができ、避難を支援することができる。
【0012】
また、本発明の避難支援装置は、請求項1の構成に加え、前記ホームサーバは、前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するようになっている。
【0013】
この構成により、請求項1の作用効果に加え、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するので、避難できない者が、建物内に残っていることを第三者に報知することができ、避難を支援することができる。例えば、老人、子供、病人だけの住まい等の場合であっても、第三者に建物内に残っていることを示す情報を報知することができ、避難を支援することができる。
【0014】
また、本発明の避難支援方法は、建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、建物内に設置される可動手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するホームサーバとを備えた避難支援装置を用いた避難支援方法であって、前記ホームサーバが地震情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段が人体を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、前記ホームサーバが前記可動手段を駆動する駆動ステップとを有している。
【0015】
この方法により、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するので、地震の主要動が到達する前に建物内に残っている者に避難すべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。例えば、寝込んでしまって気づかない者等に避難をすべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。
【0016】
また、本発明の避難支援方法は、建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するホームサーバとを備えた避難支援装置を備えた避難支援方法であって、前記ホームサーバが地震情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段が人体を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、前記ホームサーバが建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知する報知ステップを有している。
【0017】
この方法により、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するので、避難できない者が、建物内に残っていることを第三者に報知することができ、避難を支援することができる。例えば、老人、子供、病人だけの住まい等の場合であっても、第三者に建物内に残っていることを示す情報を報知することができ、避難を支援することができる。
【0018】
また、本発明の避難支援方法は、請求項4の処理に加え、前記ホームサーバが、前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知する報知ステップを有している。
【0019】
この方法により、請求項4の作用効果に加え、地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するので、避難できない者が、建物内に残っていることを第三者に報知することができ、避難を支援することができる。例えば、老人、子供、病人だけの住まい等の場合であっても、第三者に建物内に残っていることを示す情報を報知することができ、避難を支援することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明は、地震の主要動が到達する前に避難を支援することができる避難支援装置および避難支援方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る避難支援システムのシステム構成図である。
【0023】
図1に示した避難支援システム10は、建物に設けられた避難支援装置20、地震に関わる振動を検知したときに予測震度や予測時間等を算出する地震検知サーバ30、予測震度や予測時間を含む予測情報に基づいて地震情報を避難支援装置20に通報する地震管理サーバ40、および避難支援装置20から建物内に関する情報を示す内部情報を受信する外部端末50を備えている。
【0024】
地震検知サーバ30は、図1に1つのみ図示されているが、東海地区、東北地区等それぞれの予め決められた地区に設けられている。地震検知サーバ30は、地震に関わる振動を検知して地震の主要動が到達する前に予測震度や予測時間を含む予測情報を地震管理サーバ40に通報するようになっている。ここで、地震が発生すると、まず軽い揺れのP波が発生し、P波に遅れて主要動のS波の振動が起きるため、地震検知サーバ30は、P波が発生した時点の予測震度や予測時間を算出することができるようになっている。
【0025】
地震管理サーバ40は、地震検知サーバ30とネットワークを介して接続されており、図1に1つのみ図示されているが、各地域毎にそれぞれ設けられている。なお、地震管理サーバ40は、建物Aから建物Nの地域を管轄している。地震管理サーバ40は、地震検知サーバ30から予測情報を受信したとき、受信した予測情報に応じて建物Aから建物Nまでの耐震に関する度合いから建物毎に警報のレベルとなる注意または避難かを判定するようになっている。ここで、地震管理サーバ40は、建物Aに対応する警報レベルが「注意」であれば、建物Aに居る者に注意を促す注意情報を避難支援装置20Aに通報するようになっており、一方建物Nに対応する警報レベルが「避難」であれば建物Nに居る者に避難を促す避難情報を避難支援装置20Nに通報するようになっている。ここで、地震管理サーバ40には、予め建物の耐震に関する情報が図示しない入力部を介してハードディスク等に記録されている。なお、地震情報は、注意情報および避難情報によって構成されている。
【0026】
外部端末50は、建物Aから建物Nの地域に設置され、外部端末50には、例えば、堅牢な建物に設置されたホームサーバ50a、自治体に設置された通信端末50b、消防署に設置された通信端末50c、および防災センターに設置された通信端末50dを含んでいる。これらの、ホームサーバ50aおよび通信端末50bから50dは、例えば避難支援装置20Aからの内部情報に基づいて堅牢な建物内に居る者や自治体、消防署、防災センターに報知することができるようになっている。このため、避難できない老人、子供、病人だけの住まい等に対しても第三者に救助を促すことができる。ここで、内部情報には、ホームサーバが設置されている住所を示す住所情報、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報等を含んでいる。
【0027】
なお、本実施の形態においては、各建物に設置されたホームサーバが、住所情報と避難すべき者が残っていることを示す情報とを外部端末50に送信しているが、これに限らず、各建物に設置されたホームサーバが、当該ホームサーバの識別情報と避難すべき者が残っていることを示す情報とを送信してもよい。この場合には、外部端末50のそれぞれハードディスク等に各ホームサーバの識別情報と各住所情報を対応付けたデータを予め保存しておき、ホームサーバから送信された識別情報に基づいて住所情報を得るようにしてもよい。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態に係る避難支援装置の構成である。
【0029】
図2に示した避難支援装置20は、建物内に設けられ、避難情報を報知するアラーム21、建物内に設けられ、人体を検知する監視カメラ22、建物内に設置される振動装置23、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に監視カメラにより人体が検知された場合に、振動装置23を駆動するホームサーバ24を備えている。ここで、監視カメラ22は、検知手段を構成し、振動装置23は、可動手段を構成している。なお、本実施の形態においては、検知手段として監視カメラを用いたが、これに限定されるものではなく、検知手段として人感センサ等を用いてもよい。
【0030】
アラーム21は、避難が必要のない建物の場合には注意情報や、避難が必要な建物の場合には避難情報を音声や警告音等で建物内に居る者に報知するようになっている。注意情報や避難情報には、予測震度、予測時間、震源地、震源地の震度、および震源地での建物の損壊の状況等の情報が含まれるようにしてもよい。
【0031】
本実施の形態においては、注意情報や避難情報を利用者に報知する手段としてアラーム21を用いているが、これに限らずホームサーバ24の図示しない表示部により表示してもよい。
【0032】
振動装置23は、例えば偏心モータ等によって構成された装置であって、建物内の例えば枕、ベットソファ、椅子、家具等に取り付けることによって、これらを振動させることができるようになっている。
【0033】
ここで、本実施の形態においては、可動手段として振動装置23を用いているが、これに限定されず、可動手段として介護ベッド等の電動ベッドを用いてもよい。この場合には、上半身を立てることができることによって寝込んでいる者に避難すべきことを認識させることができるのに加えて、老人や病人等の自力で起き上がることができない者であっても容易に避難することができるので有用である。
【0034】
ホームサーバ24は、例えば、プログラムを実行するCPU等からなる制御部、ROMやRAM等からなるメモリ、ハードディスク、ネットワークを介して地震情報や内部情報を送受信するネットワークインターフェイス、キーボードやマウス等からなる入力部、地震情報等を表示する表示部およびアラーム21や監視カメラ22や振動装置23を接続するインターフェイスを備えている。
【0035】
そして、このホームサーバ24は、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に監視カメラ22により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末50に報知するようになっている。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態に係る避難支援装置の動作および避難支援方法を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ホームサーバ24は、ネットワークを介して地震管理サーバ40から地震情報を受信し(S1)、地震情報に基づいて設置されている建物が避難が必要か否かを判断し(S2)、避難が必要な場合には、アラーム21にアラーム音を発生させる(S3)。
【0038】
次に、地震情報を受信した後、一定時間経過しているか否かを判断し(S4)、一定時間経過した場合には、監視カメラ22に監視させて建物内に人が残っているか否かを判断する(S5)。
【0039】
そして、S5において人が建物内に残っていると判断した場合には、外部端末50に建物内に人が残っていることを示す情報を報知し(S6)、さらに、アラーム21のアラーム音をS3において発生させたアラーム音より大音量で発生させると同時に、振動装置23を駆動する(S7)。なお、可動手段として振動装置23に代えて電動ベッドを用いた場合には、この電動ベッドを駆動することとなる。
【0040】
このような本実施の形態においては、地震情報が受信され、一定時間経過後に監視カメラ22により人体が検知された場合に、振動装置23を駆動するので、地震の主要動が到達する前に建物内に残っている者に避難すべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。例えば、寝込んでしまって気づかない者等に避難すべきことを認識させることができ、避難を支援することができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、地震情報が受信され、一定時間経過後に監視カメラ22により人体が検知された場合に、建物内に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末50に報知するので、避難できない者が、建物内に残っていることを第三者に報知することができ、避難を支援することができる。例えば、老人、子供、病人だけの住まい等の場合であっても、第三者に建物内に残っていることを示す情報を報知することができ、避難を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る避難支援システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る避難支援装置の構成である。
【図3】本発明の実施の形態に係る避難支援装置の動作および避難支援方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
10 避難支援システム
20 避難支援装置
21 アラーム
22 監視カメラ
23 振動装置
24 ホームサーバ
30 地震検知サーバ
40 地震管理サーバ
50 外部端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、
建物内に設置される可動手段と、
ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するホームサーバとを備えたことを特徴とする避難支援装置。
【請求項2】
建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、
ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するホームサーバとを備えたことを特徴とする避難支援装置。
【請求項3】
前記ホームサーバは、前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知することを特徴とする請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項4】
建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、建物内に設置される可動手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、前記可動手段を駆動するホームサーバとを備えた避難支援装置を用いた避難支援方法であって、
前記ホームサーバが地震情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段が人体を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、前記ホームサーバが前記可動手段を駆動する駆動ステップとを有することを特徴とする避難支援方法。
【請求項5】
建物内に設けられ、人体を検知する検知手段と、ネットワークを介して地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段により人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知するホームサーバとを備えた避難支援装置を備えた避難支援方法であって、
前記ホームサーバが地震情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて地震情報が受信され、一定時間経過後に前記検知手段が人体を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、前記ホームサーバが建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知する報知ステップを有することを特徴とする避難支援方法。
【請求項6】
前記ホームサーバが、前記検知ステップにおいて人体が検知された場合に、建物に避難すべき者が残っていることを示す情報を外部端末に報知する報知ステップを有することを特徴とする請求項4に記載の避難支援方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−148797(P2007−148797A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342483(P2005−342483)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】