説明

部品の収納方法と部品の取り出し方法と部品出し入れ用器具

【課題】部品工場でトレー8、8を通箱17内に収納する作業、並びに、組立工場で通箱17からトレー8、8を取り出す作業のうちの、少なくとも一方の作業を容易にできる方法及び器具を実現する。
【解決手段】部品工場では、上記通箱17を出し入れ補助治具18に載置し、各押し上げロッド25、25を突出させた状態で、上記各トレー8、8をこれら各押し上げロッド25、25の上端面に載置する。その後、上記通箱17を持ち上げて、上記各押し上げロッド25、25を引き抜くと同時に上記各トレー8、8を上記通箱17内に収納してから、この通箱17を組立工場に搬送する。この組立工場では、上記部品工場で行なうのと逆の作業を行なって、上記各トレー8、8を上記通箱17から取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエンジンの動弁機構を構成するカムフォロア及び複数本のニードルを、これらカムフォロア及びニードルの製造工場から、上記エンジンの組立工場に搬送する作業を容易にする方法及び器具に関する。具体的には、上記製造工場で上記カムフォロア及びニードルを通箱内に収納する作業、上記組立工場でこれらカムフォロア及びニードルを通箱から取り出す作業のうちの、少なくとも一方の作業を容易に行なえる方法及び器具を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
レシプロエンジン(往復ピストンエンジン)には、一部の2サイクルエンジンを除き、クランクシャフトの回転と同期して開閉する吸気弁及び排気弁を設けている。この様なレシプロエンジンでは、上記クランクシャフトの回転と同期して(4サイクルエンジンの場合には1/2の回転速度で)回転するカムシャフトの動きを、ロッカーアームにより、上記吸気弁又は排気弁である弁体に伝達し、これら弁体をそれぞれの軸方向に往復運動させる。この様なエンジンの動弁機構で、摩擦抵抗を小さく抑えてエンジンの性能(最大出力、燃費性能)を向上させる為に、上記カムシャフトに固定したカムの外周面と係合するロッカーアームの一部に円筒状のカムフォロアを、ラジアルニードル軸受により回転自在に支持する構造が、例えば特許文献1、2に記載される等により広く知られ、且つ、広く実施されている。
【0003】
図7は、このうちの特許文献1に記載された、ロッカーアーム装置の構造の1例を示している。このロッカーアーム装置は、ロッカーアーム1と、枢軸2と、ローラ3と、複数本のニードル4、4と、間座5とを備える。このうちのロッカーアーム1は、鋼板等の金属板にプレス加工を施す事により、或いは軽合金をダイキャスト成形する事により造られる。又、上記枢軸2は、軸受鋼等の硬質金属製で、上記ロッカーアーム装置を組み立てた状態で、両端部を上記ロッカーアーム1を構成する1対の支持壁部6、6に支持固定される。又、上記ローラ3は、軸受鋼等の硬質金属により全体を円筒状に造られたもので、上記各ニードル4、4を介して上記枢軸2の周囲に、回転自在に支持される。更に、上記間座5は、これら各ニードル4、4の軸方向両端面と、上記両支持壁部6、6の内側面との間に設けられる。尚、上記間座5は省略する場合も多い。
【0004】
上述の様なロッカーアーム装置の組立作業は、例えばエンジンの組立工場で行なうが、上記各部品1〜5は、それぞれ部品工場で造ったものをこの組立工場に搬送する。これら各部品1〜5は、何れも小型のものである為、同種の部品を多数、単一の容器中に収納した状態で、上記部品工場から上記組立工場に搬送する。この場合に、個々の部品の姿勢が一定である事が、上記組立工場での組立作業の能率化(組立ロボットによるハンドリングの容易化)を図る面から必要である。例えば、上記ローラ3と上記各ニードル4、4とは、部品工場で、ローラ3の内周面に所定数のニードル4、4を、グリースにより貼着した状態で、図7に示す様なユニット7とする。そして、この様なユニット7を複数個、各ユニット7同士の間で中心軸を平行にした状態で、図8〜10に略示する様な矩形のトレー8中に収納し、上記部品工場から上記組立工場に搬送する。尚、上記ユニット7の中心部には、必要に応じて、ゴム等の弾性材製で円柱状のスペーサを、軽い締り嵌めで挿入して、上記各ニードル4、4が上記ローラ3の内周面から不用意に脱落する事を、より確実に防止する。上記スペーサは、上記組立工場で、除去、回収する。
【0005】
上記トレー8は、アルミニウム合金を押し出し成形した素材を所定長さに切断すると共に所定の切削加工を施す事により造ったもので、平板状の底板部9と、それぞれがこの底板部9から上方に立上った、複数の立壁10a、10bとを有する。そして、幅方向(図8の矢印a方向)に隣り合う立壁10a、10b同士の間を、上記各ユニット7を収納する為の収納空間11、11としている。これら各ユニット7は、それぞれの中心軸の方向を上記トレー8の幅方向に一致させて上記各収納空間11、11内に、このトレー8の長さ方向(図8の矢印b方向)に、互いに直列に配置した状態で収納する。
【0006】
又、幅方向両端部の立壁10a、10aの長さ方向両端部の上部に形成した係止切り欠き12、12に1対の(図8には1個のみ図示)シャッタ部材13の両端部を、図9〜10に示す様に係止して、上記各収納空間11、11の両端部を塞ぎ、これら各収納空間11、11内に収納された上記各ユニット7が、これら各収納空間11、11の両端部開口から不用意に脱落する事を防止する。これら各収納空間11、11の両端部開口は、上記部品工場から上記組立工場への搬送中は、何れも上記両シャッタ部材13により塞いでおく。これに対して、組立工場で組み立てロボットにセットした状態では、一方のシャッタ部材13を取り外し、上記各収納空間11、11内に収納された上記ユニット7を1個ずつ取り出して、前記ロッカーアーム1及び前記枢軸2等の、別の物品に組み付ける。上記トレー8は、上記各ユニット7を総て取り出した後、上記組立工場から上記部品工場に送り返して、再利用する。
【0007】
実際に、上記トレー8を部品工場から組立工場に搬送する際には、図11の上段或いは下段に示す様に、複数のトレー8、8をビニール袋(図示省略)で包んだ状態で通箱14に収納する。又、これら各トレー8、8の上面は段ボール紙15で抑え付け、この通箱14をトラック等で部品工場から組立工場に搬送する。この通箱14の内寸(幅寸法×長さ寸法)は、上記各トレー8をがたつきなく、効率良く収納できる様にすべく、これら各トレー8の外寸(幅寸法×長さ寸法)よりも少しだけ大きくしている。この為、上記通箱14内にこれら各トレー8を出し入れする作業は面倒で、上記部品工場でも、上記組立工場でも、現場作業員から改良が望まれている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−112225号公報
【特許文献2】特開2004−100499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、部品工場でトレーを通箱内に収納する作業、並びに、組立工場で通箱からトレーを取り出す作業のうちの少なくとも一方の作業を容易にできる方法及び器具を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の部品の収納方法と部品の取り出し方法と部品出し入れ用器具のうち、請求項1に記載した部品の収納方法の発明は、先ず、部品工場で造られた複数個の部品をトレーの上面に収納し、更にこのトレーを、上方が開口した通箱内に、この通箱の上方開口を通じて収納する。
上述の様にしてトレーごと上記通箱内に収納した上記各部品は、その後、これらトレー及び通箱ごと、上記部品工場から、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場に搬送する。
そして、請求項2に記載した部品の取り出し方法の発明は、複数個の部品を上面に収納した状態で上方が開口した通箱内に収納されたトレーを、上記組立工場で、通箱の上方開口から取り出す。
【0011】
特に、本発明の部品の収納方法と部品の取り出し方法に於いては、上記通箱として、底板部の3箇所以上にこの底板部を上下に貫通する通孔を備えたものを使用する。
又、上記部品の収納方法の発明を実施する上記部品工場、或いは、上記部品の取り出し方法の発明を実施する上記組立工場に、基板の上面にそれぞれが上記各通孔に挿通可能な3本以上の押し上げロッドを、これら各通孔と同じ位置関係で上下方向に固定して成る部品出し入れ補助治具を用意しておく。
そして、上記部品工場で実施する、請求項1に記載した部品の収納方法の発明では、上記通箱の底板部をこの部品工場に備え付けた部品出し入れ補助治具の基板に載置し、この部品出し入れ補助治具に設けた各押し上げロッドを上記各通孔を通じてこの底板部の上面から突出させた状態で、上記各部品を収納したトレーを上記各押し上げロッドの上端面に載置する。その後、上記通箱を持ち上げて、これら各押し上げロッドを上記各通孔から引き抜くと同時に上記トレーを上記通箱内に収納する。
又、上記組立工場で実施する、請求項2に記載した部品の取り出し方法の発明に於いては、この組立工場に備え付けた部品出し入れ補助治具の基板に上記通箱の底板部を載せて、この部品出し入れ補助治具に設けた各押し上げロッドを上記各通孔を通じてこの底板部の上方に突出させる事により、上記通箱内に収納されていたトレーをこの底板部より上方に持ち上げる。そして、この状態で、このトレーをこの通箱から取り出す。
【0012】
更に、請求項3に記載した部品出し入れ用器具は、通箱と部品出し入れ補助治具とから成る。このうちの通箱は、上方が開口した直方体状で、底板部の3箇所以上にこの底板部を上下に貫通する通孔を備え、部品を収納した矩形板状のトレーを上方開口を通じて出し入れ可能としている。又、上記部品出し入れ補助治具は、基板の上面にそれぞれがこれら各通孔に挿通可能な3本以上の押し上げロッドを、これら各通孔と同じ位置関係で、上下方向に固定して成る。
【発明の効果】
【0013】
上述の様に構成する、本発明の部品の収納方法と部品の取り出し方法と部品出し入れ用器具によれば、部品工場でトレーを通箱内に収納する作業、或いは、組立工場で通箱からトレーを取り出す作業、又はこれら両作業を、何れも容易にできる。
即ち、部品工場で行なう収納作業にしろ、組立工場で行なう取り出し作業にしろ、通箱の上端開口付近に存在する、各押し上げロッドの上端面にトレーを積み降ろしする事で行なえる。この作業は、このトレーの底面でこれら各押し上げロッドから外れた部分に手を掛ける事で、容易に行なえる。収納作業或いは取り出し作業を行なう作業員は、従来の様に、僅かな隙間から通箱の底部近く迄手を差し込む等する必要はない。
この為、上記収納作業及び上記取り出し作業の能率化による各種機械装置のコスト低減に寄与できる。又、作業員が手指を負傷する事も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜6は、本発明の実施の形態の1例を示している。先ず、本発明の部品の収納方法及び取り出し方法の実施に使用する部品出し入れ用器具16の構造に就いて説明する。この部品出し入れ用器具16は、通箱17と部品出し入れ補助治具18とから成る。このうちの通箱17は、合成樹脂を射出成形する事により、図1〜5に示す様な、上方が開口した直方体状としている。即ち、矩形の底板部19と、この底板部19の四辺から上方に立ち上がった周壁部20とにより、ユニット7、7等の部品を収納した矩形板状のトレー8、8を、上方開口を通じて出し入れ可能としている。この様な上記通箱17の基本構成に関しては、従来から一般的に使用されていた通箱と同様である。特に、本例の通箱17の場合には、上記底板部19の四隅部に、それぞれこの底板部19を上下に貫通する通孔21、21を設けている。
【0015】
又、この底板部19の四隅部でこれら各通孔21、21の近傍部分に、それぞれ平面形状がL字形である支持立壁22、22を形成して、これら各支持立壁22、22と上記周壁部20の四隅部とにより、上記各通孔21、21の周囲を囲んでいる。又、図2〜4に示す様に、この周壁部20の内面隅部で、上記各支持立壁22、22の端部上方位置に、それぞれこの周壁部20の内面から突出する突条23、23を形成している。図1の(D)に示す様に、上記通箱17内に上記トレー8、8を収納した状態では、最も下段のトレー8の下面四隅部が、上記支持立壁22、22の上端縁に当接する。又、各トレー8、8の外周面四隅近傍部分が、上記突条23、23の先端縁に当接若しくは近接対向する。これにより、上記各トレー8、8を、上記通箱17内に、がたつきなく収納できる。
【0016】
又、上記部品出し入れ補助治具18は、図6の(A)に示す様に、基板24の上面四隅部に、それぞれが上下方向に配置された押し上げロッド25、25の基端部を固定して成る。これら各押し上げロッド25、25の固定位置は、上記通箱17の底板部19の四隅部に形成した、上記各通孔21、21と同じとしている。従って上記各押し上げロッド25、25は、これら各通孔21、21に同時に挿通自在である。又、本例の場合には、上記基板24の上面幅方向片側の両端部に1対の幅方向位置決め板26、26を、同じく長さ方向片側の一端部に長さ方向位置決め板31を、それぞれ上記各押し上げロッド25、25と平行に固定している。これら各位置決め板26、31の高さは、これら各押し上げロッド25、25の高さよりも高い。又、これら各位置決め板26、31は、上記通箱17の下端部外周面をこれら各位置決め板26、31の内側面に当接させた状態で、上記各通孔21、21と上記各押し上げロッド25、25とが整合する位置に設けている。尚、図示の例では、上記各位置決め板26、31の上部内側面を、上端に向かう程外側に向う方向に傾斜した、ガイド傾斜面としている。
【0017】
次に、上述の様な通箱17と部品出し入れ補助治具18とから成る部品出し入れ用器具16により、前記ユニット7、7等の部品を収納した矩形板状のトレー8、8を、部品工場から組立工場に搬送する際の作業手順に就いて説明する。
先ず、上記部品工場では、図1の(A)に示す様に、上記通箱17の底板部19をこの部品工場に備え付けた、上記部品出し入れ補助治具18の基板24に載置する。この作業は、作業員が上記通箱17を手で持ち、この通箱17の下端部外周面を上記各位置決め板26、31{図6の(A)参照}の内側面に当接させた状態からこの通箱17を下降させる事で、容易に行なえる。この様にして上記通箱17を上記基板24に載置した状態では、上記各押し上げロッド25、25の上端面が、この通箱17の開口部上縁よりも少しだけ下方に位置する。
【0018】
そこで、図1の(A)に示す様に、上述の様に上記通箱17を上記基板24に載置した状態のまま、上記ユニット7、7等の部品を収納した矩形板状のトレー8を、上記各押し上げロッド25、25の上端面に載置する。この際、このトレー8を、ガゼット袋と呼ばれるビニール袋27に入れておき、このビニール袋27ごと、上記各押し上げロッド25、25の上端面に載置する。このビニール袋27は、搬送中に上記ユニット7、7等の部品に、塵芥や雨水等の異物が付着するのを防止する為に使用する。搬送中に最下段となるトレー8を、上記ビニール袋27と共に上記各押し上げロッド25、25の上端面に載置した後、図1の(B)に示す様に、1個の通箱17に収納すべき個数(図示の例では2個)に応じて残りのトレー8を、上記ビニール袋27に収納しつつ、上記最下段のトレー8上に載置する。所定数のトレー8、8をこのビニール袋27内に積み重ねたならば、このビニール袋27を閉じ、粘着テープ(図示せず)により塞いでから、この閉じたビニール袋27の上に、段ボール紙製の蓋28を被せる。
【0019】
次いで、作業員が上記通箱17を持ち上げる。この結果、図1の(C)に示す様に、上記各押し上げロッド25、25がこの通箱17の底面側に引っ込み、上記所定数のトレー8、8が、上記ビニール袋27ごと、この通箱17内に入り込む(沈入する)。この状態で、最下段のトレー8の下面四隅部は、前記底板部19の上面四隅部の支持立壁22、22の上面に当接する。又、上記所定数のトレー8、8の外周面四隅部は、前記周壁部20の内周面四隅部の突条23、23に当接乃至は近接対向する。この結果上記所定数のトレー8、8は上記通箱17内に、上記各支持立壁22、22上に載置された状態で、ほぼがたつきなく支持される。尚、これら各支持立壁22、22の高さ寸法(上記底板部19の上面からの突出量)H22は、上記通箱17内に収納すべきトレー8、8の厚さ及び数(積み上げ高さ)と、この通箱17の周壁部20に要求される高さとの関係で規制する。図示の例では、この周壁部20の外面に、内容物を表す(ユニット7、7等の部品の仕様及び数等を表示する)為のラベルを貼着する必要上、上記積み上げ高さに比べて上記周壁部20の高さを十分に大きくする必要がある。そこで、上記各支持立壁22、22の高さ寸法H22を大きくしている。
【0020】
何れにしても、上記所定数のトレー8、8を、上記ビニール袋27ごと上記通箱17内に入り込ませたならば、この通箱17を十分に持ち上げて、上記各押し上げロッド25、25を前記各通孔21、21から完全に引き抜く。そして、図1の(D)に示す様に上記通箱17を、別途用意したパレット29上に載置する。又、上記蓋28をこの通箱17の上端開口部に嵌め込み、粘着テープによりこの通箱17に固定する。そして、上記パレット29上に所定数の通箱17を積み上げる。これら一連の収納作業の間、作業員は上記通箱17の奥(底部)にまで手を差し込む必要はない。言い換えれば、作業員は、この通箱17の開口部分で作業を行なえば良い。この為、作業を容易に行なえるだけでなく、上記各トレー8、8の外周縁と上記周壁部20の内周面との間に手を挟んで負傷する等の危険性もなくなる。
【0021】
尚、図示の例では、図5に示す様に、上記蓋28の外周縁に設けた折り立て縁30を上記周壁部20の上端部内周面に向け、上側の通箱17の底部で押し付ける様にしている。この構成により、この上側の通箱17の底部の撓みを抑えると共に、上記蓋28の防塵効果を高める様にしている。この様にして、上記パレット29の上面に所定数の通箱17を載置したならば、これら各通箱17を、このパレット29ごと、前記部品工場から前記組立工場に搬送する。
【0022】
そして、この組立工場では、図6の(A)→(E)に示す様にして、上記通箱17から上記各トレー8、8を取り出す。尚、この図6の(A)→(E)に示した行程は、図1の(A)→(D)に示した行程と逆である。即ち、上記各トレー8、8を上記通箱17内に収納する作業は、図1の(A)→(D)或いは図6の(E)→(A)の順番で行ない、この通箱17から上記各トレー8、8を取り出す作業は、図1の(D)→(A)或いは図6の(A)→(E)の順番で行なう。
【0023】
上記組立工場では、上記蓋28を上記通箱17に貼着している粘着テープを剥し、この蓋28を取り外してからこの通箱17を、図6の(A)に示した部品出し入れ補助治具18に、この図6の(B)に示した様に載せる。即ち、上記通箱17の下端部外周面をこの部品出し入れ補助治具18の各位置決め板26、31の内側面に当接させ、前記各通孔21、21と前記各押し上げロッド25、25とを整合させてから、上記通箱17を下降させる。この結果、図6の(C)に示す様に、積み重ねられた状態で前記ビニール袋27に収納された、上記各トレー8、8が、上記通箱17の上端開口よりも上方に露出するか、少なくともこの上端開口の近傍に位置する状態に迄、上記押し上げロッド25、25により押し上げられる。そこで、この状態で、上記ビニール袋27の開口部を塞いでいる粘着テープを剥してから、図6の(D)に示す様にこのビニール袋27の開口部を開く。そして、図6の(E)に示す様に上記各トレー8、8を、作業員の手により、このビニール袋27から取り出す。これら一連の取り出し作業の間も、前述した収納作業の場合と同様、作業員は、上記通箱17の奥(底部)にまで手を差し込む必要はない為、作業の容易化と負傷の危険性をなくす効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上述の説明は、本発明を、ローラ3の内周面に複数本のニードル4、4を貼着したユニット7の搬送に利用した場合に就いて行なった。これに対して本発明は、この様なユニット7の搬送に限らず、同じ姿勢で部品工場から組立工場に搬送すべき、各種小型部品の搬送に利用できる。又、押し上げロッド及び通孔は、四隅部に設ける事が、安定性確保の面から好ましいが、トレーの剛性が十分であれば、一辺の両端部と反対側辺の中間部との3箇所位置に設けただけでも、実用上問題はない。
【0025】
又、本発明は、部品工場で行なう、通箱内への部品の収納作業と、組立工場で行なう通箱内からの部品の取り出し作業との両方で(請求項1に記載した発明と請求項2に記載した発明を同時に)実施する事が、最も大きな効果を得られる。但し、収納作業と取り出し作業との一方のみを部品出し入れ用器具を使用して行なうだけでも、当該作業の容易化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、通箱内にトレーを収納する作業を行程順に示す略断面図。
【図2】通箱の斜視図。
【図3】同じく略平面図。
【図4】図2のA部拡大斜視図。
【図5】通箱を積み重ねた状態を示す略断面図。
【図6】通箱からトレーを取り出す作業を行程順に示す斜視図。
【図7】ロッカーアーム装置の1例を示す分解斜視図。
【図8】ローラ及びニードルから成るユニットを搬送する為に従来から使用されているトレーを示す略斜視図。
【図9】このトレーにユニットを収納した状態を一端側から見た状態で示す部分斜視図。
【図10】同じく他端側から見た状態で示す部分斜視図。
【図11】従来行なっていた搬送方法を示す略断面図。
【符号の説明】
【0027】
1 ロッカーアーム
2 枢軸
3 ローラ
4 ニードル
5 間座
6 支持壁部
7 ユニット
8 トレー
9 底板部
10a、10b 立壁
11 収納空間
12 係止切り欠き
13 シャッタ部材
14 通箱
15 段ボール紙
16 部品出し入れ用器具
17 通箱
18 部品出し入れ補助治具
19 底板部
20 周壁部
21 通孔
22 支持立壁
23 突条
24 基板
25 押し上げロッド
26 幅方向位置決め板
27 ビニール袋
28 蓋
29 パレット
30 折り立て縁
31 長さ方向位置決め板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品工場で造られた複数個の部品をトレーの上面に収納し、更にこのトレーを、上方が開口した通箱内に、この通箱の上方開口を通じて収納する部品の収納方法に於いて、
上記通箱として、底板部の3箇所以上にこの底板部を上下に貫通する通孔を備えたものを使用すると共に、
上記部品工場に、基板の上面にそれぞれが上記各通孔に挿通可能な3本以上の押し上げロッドを、これら各通孔と同じ位置関係で上下方向に固定して成る部品出し入れ補助治具を用意しておき、
上記部品工場では、上記通箱の底板部を上記部品出し入れ補助治具の基板に載置し、この部品出し入れ補助治具に設けた各押し上げロッドを上記各通孔を通じてこの底板部の上面から突出させた状態で、上記各部品を収納したトレーを上記各押し上げロッドの上端面に載置してから、上記通箱を持ち上げて、これら各押し上げロッドを上記各通孔から引き抜くと同時に上記トレーを上記通箱内に収納する事を特徴とする
部品の収納方法。
【請求項2】
複数個の部品を上面に収納した状態で上方が開口した通箱内に収納されたトレーを、これら各部品を他の物品に対し組み付ける組立工場で、通箱の上方開口から取り出す、部品の取り出し方法に於いて、
上記通箱として、底板部の3箇所以上にこの底板部を上下に貫通する通孔を備えたものを使用すると共に、
上記組立工場に、基板の上面にそれぞれが上記各通孔に挿通可能な3本以上の押し上げロッドを、これら各通孔と同じ位置関係で上下方向に固定して成る部品出し入れ補助治具を用意しておき、
上記組立工場では、上記部品出し入れ補助治具の基板に上記通箱の底板部を載せ、この部品出し入れ補助治具に設けた各押し上げロッドを上記各通孔を通じてこの底板部の上方に突出させる事により、上記通箱内に収納されていたトレーをこの底板部より上方に持ち上げた状態で、このトレーをこの通箱から取り出す事を特徴とする
部品の取り出し方法。
【請求項3】
上方が開口した直方体状で、底板部の3箇所以上にこの底板部を上下に貫通する通孔を備え、部品を収納した矩形板状のトレーを上方開口を通じて出し入れ可能とした通箱と、基板の上面にそれぞれがこれら各通孔に挿通可能な3本以上の押し上げロッドを、これら各通孔と同じ位置関係で、上下方向に固定して成る部品出し入れ補助治具とから成る、部品出し入れ用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−308176(P2007−308176A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139792(P2006−139792)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】