説明

部品供給管の仮止室および部品供給装置

【課題】 仮止室内に封入された空気を排出することができるとともに、部品に対する磁気的悪影響を除去できる部品供給管の仮止室およびそれを活用した部品供給装置を提供する。
【解決手段】 部品供給管15の端部のストッパ部材19と、これに受け止められた部品1を部品供給管15から送り出す出口開口20と、この出口開口20を開閉するゲート部材21によって仮止室16が形成されている。ゲート部材21は出口開口20をほぼ全閉でき、部品1の進入によって仮止室16内に封じ込められた空気の排気通路60,61,62,63が設けられており、ゲート部材21は磁性材料製とされ、磁力で部品1を引き出す部品供給管の仮止室およびそれを利用した部品供給装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品供給管の仮止室と、このような仮止室を活用した部品供給装置に関している。
【背景技術】
【0002】
部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものが知られている。
【特許文献1】特開平7−96409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている保持片(ゲート部材)は細長いバー状の部材であるため、保持片が出口開口を閉じているときであっても、出口開口は完全に閉鎖されていない状態である。すなわち、出口開口が全閉されていない状態である。したがって、部品の形状によっては出口開口の閉鎖されていない箇所から突き出たりして、部品の停止姿勢が正常なものとならない現象が発生する。このように部品の停止姿勢が異常であると、出口開口から送出されるときの部品姿勢が傾いたりするので、目的箇所に対して正常に到達しないという問題がある。
【0004】
他方、保持片(ゲート部材)の形状が出口開口を全閉するようなものであると、部品が仮止室内に進入してくるときに、空気が仮止室内に封じ込められた状態になるので、部品の停止姿勢が正常に設定されないという問題がある。
【0005】
さらに、部品を出口開口から送り出すときに部品を磁石で吸引するものにおいては、その磁力線が仮止室に入ってくる部品に作用して部品の滑動に支障が生じないようにする必要がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、仮止室内に封入された空気を排出することができるとともに、部品に対する磁気的悪影響を除去できる部品供給管の仮止室およびそれを活用した部品供給装置の提供を目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は前記出口開口をほぼ全閉できる形状とされ、部品の進入によって仮止室内に封じ込められた空気を排出する排気通路が設けられていることを特徴とする部品供給管の仮止室である。
【発明の効果】
【0008】
前記ゲート部材が出口開口を全閉しているときに仮止室がほぼ密封された状態で形成され、この状態のときに部品供給管内を部品が移送されてくる。部品が仮止室に入り始めると、部品の進行方向側に存在している空気が仮止室内に封じ込められるが、その空気は前記排気通路から外部へ押し出される。その結果、圧縮された空気が仮止室内に封入されることがなく、部品はストッパ部材に正しい姿勢で受け止められ、仮止室における部品の停止姿勢が正常に確保できる。このような正常な停止姿勢の状態から出口開口へ送り出されて行くので、供給ロッドの保持凹部のような目的箇所に対して正確に到達させることができ、信頼性の高い動作がえられる。
【0009】
さらに、出口開口がゲート部材によってほぼ全閉されるので、部品はゲート部材の内面に受け止められ、部品の停止姿勢が正常なものとなる。
【0010】
上述のように、部品供給管内を移動してきた部品を一旦停止させてから次の箇所へ送出することが、部品移送においては種々な形態で利用されている。上述のような部品供給管の仮止室であると、部品を所定の位置に正しく停止させてから送り出すことができるので、部品を相手方部材に組み付ける箇所や供給ロッドの保持凹部等の目的箇所に対して正確に移行させることが可能である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記排気通路はストッパ部材またはその近傍の部品供給管に設けられている請求項1記載の部品供給管の仮止室である。
【0012】
前記排気通路がストッパ部材またはその近傍の部品供給管に形成されているので、封じ込められた空気は仮止室の最も奥の箇所すなわち部品から最も遠い箇所から排出される。そのため、部品がストッパ部材に向かって移動することが円滑になされて、部品の停止位置が正確に設定できる。つまり、封じ込められた空気が完全に排出されるのと同時に部品がストッパ部材に受止められるので、部品とストッパ部材との間に空気が介在して部品の停止姿勢を狂わせることがない。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記排気通路はゲート部材に設けられている請求項1記載の部品供給管の仮止室である。
【0014】
このゲート部材に排気通路を形成することにより、ゲート部材の製作時に排気通路を同時に形成することができるので製作工程を簡素化することができる。そして、ストッパ部材に近い箇所のゲート部材に排気通路を設けることによって、封じ込められた空気は仮止室の最も奥の箇所すなわち部品から最も遠い箇所から排出される。そのため、部品がストッパ部材に向かって移動することが円滑になされて、部品の停止位置が正確に設定できる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記ストッパ部材のストッパ面に受け止められた部品の軸線が部品供給管の中心軸線に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線に対するストッパ面の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面から離隔した箇所の部品の軸線が出口開口側に接近するように設定されている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の部品供給管の仮止室である。
【0016】
上述のように、ストッパ面に正しく着座している部品の軸線の上部が、部品供給管の中心軸線に対して出口開口側に傾斜している。このような傾斜した部品の停止状態は、出口開口の外側に存在している目的箇所に対して、到達しやすいという利点がある。例えば、出口開口を出た部品を供給ロッドの保持凹部に保持するような場合には、部品の軸線と供給ロッド(保持凹部)の軸線を平行にしておくことによって、部品が確実に保持凹部に受止められるという動作が確実にえられる。
【0017】
請求項5記載の発明は、前記排気通路は出口開口に近い箇所のストッパ部材に設けられている請求項4記載の部品供給管の仮止室である。
【0018】
部品供給管の中心軸線に沿って移送されてきた部品によって仮止室内に空気が封じ込められるのであるが、部品とストッパ面との間の空間は、出口開口側の方が大きくなっている。このような空間状態において排気通路が出口開口に近い箇所のストッパ部材に設けられているため、大きな空間の側の方から先行して空気が排出される。したがって、ストッパ面に対する部品の相対位置が迅速に正常化され、ストッパ面に正しい姿勢で部品停止がなされる。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記排気通路はストッパ部材の出口開口側端部に設けられている請求項4記載の部品供給管の仮止室である。
【0020】
このようにストッパ部材の出口開口側端部に、例えば、ストッパ部材の端縁部を切欠くようにして排気通路が形成されているので、請求項5の場合と同様な作用効果がえられる。
【0021】
請求項7記載の発明は、磁石の吸引力を利用して仮止室の出口開口から部品を引き出す場合の問題を解決するために発案されたものであり、部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は磁性材料で製作されており、部品を出口開口から引き出す移行手段が磁石で構成され、この磁石の磁力線が閉鎖状態のゲート部材を通過するように磁石の配置位置が設定されていることを特徴とする部品供給管の仮止室である。
【0022】
前記ゲート部材が出口開口を閉じているときに、部品が部品供給管を移動して仮止室に入ってくる。ゲート部材が閉じているときには磁石の磁力線がゲート部材を通過するので、仮止室へ進入してきた部品を磁力線が通過することがない。したがって、部品はゲート部材に吸着されることがなく円滑に仮止室内に進入し、正しい姿勢でストッパ部材に受止められる。したがって、部品が迅速にしかも正確にストッパ部材に受け止められて、出口開口に対する一時係止姿勢が正常化され、目的箇所への部品の到達が良好になされる。
【0023】
それからゲート部材が出口開口を開くと、今度は磁力線が部品を通過するようになるので、部品は磁石の方に向かって引き出される。このような部品引き出しによって、部品は供給ロッドの保持凹部のような目的箇所に対して正確に到達する。
【0024】
請求項8記載の発明は、前述の仮止室を利用した部品供給装置であり、部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は前記出口開口をほぼ全閉できる形状とされ、部品の進入によって仮止室内に封じ込められた空気を排出する排気通路が設けられており、前記出口開口から出てきた部品を保持凹部に保持して目的箇所へ供給する進退動作式の供給ロッドが設けられていることを特徴としている。
【0025】
前記ゲート部材が出口開口を全閉しているときに仮止室がほぼ密封された状態で形成され、この状態のときに部品供給管内を部品が移送されてくる。部品が仮止室に入り始めると、部品の進行方向に存在している空気が仮止室内に封じ込められるが、その空気は前記排気通路から外部へ押し出される。その結果、圧縮された空気が仮止室内に封入されことがなく、部品はストッパ部材に正しい姿勢で受け止められ、仮止室における部品の停止姿勢が正常に確保できる。このような正常な停止姿勢の状態から出口開口へ送り出されて行くので、目的箇所である供給ロッドの保持凹部に対して正確に到達させることができ、信頼性の高い動作がえられる。仮止室に一時係止された部品を供給ロッドの保持凹部に到達させるに当たっては、一時係止されている位置が保持凹部に対して正しく設定されていなければならない。本発明においては、このような要請を確実に実現して、信頼性の高い部品供給装置がえられる。
【0026】
さらに、出口開口がゲート部材によってほぼ全閉されるので、部品はゲート部材の内面に受け止められ、部品の停止姿勢が正常なものとなる。
【0027】
請求項9記載の発明は、前記出口開口から保持凹部に部品を移行させる移行手段が設けられている請求項8記載の部品供給装置である。
【0028】
前記仮止室で正しい位置に一時係止された部品が、移行手段によって出口開口から引き出されて保持凹部に到達する。したがって、保持凹部の正しい位置に短時間で部品移行がなされ、部品供給装置としての動作信頼性が向上する。
【0029】
請求項10記載の発明は、前記供給ロッドの軸線と部品供給管の中心軸線の交差角は鋭角である請求項8または請求項9記載の部品供給装置である。
【0030】
このように、前記供給ロッドの軸線と部品供給管の中心軸線の交差角が鋭角であるから、部品供給管端部の仮止室に一時係止された部品は、その姿勢を大きく変更することなく供給ロッドの保持凹部へ移行することとなる。よって、部品の姿勢が異常な状態にならないで供給ロッド側に保持され、部品供給装置としての動作が安定したものとなる。
【0031】
請求項11記載の発明は、前記ストッパ部材のストッパ面に受け止められた部品の軸線が部品供給管の中心軸線に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線に対するストッパ面の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面から離隔した箇所の部品の軸線が出口開口側に接近するように設定されている請求項8〜請求項10のいずれかに記載の部品供給装置である。
【0032】
上述のように、ストッパ面に正しく着座している部品の軸線の上部が、部品供給管の中心軸線に対して出口開口側に傾斜している。このような傾斜した部品の停止状態は、出口開口の外側に存在している目的箇所に対して、到達しやすいという利点がある。つまり、出口開口を出た部品を供給ロッドの保持凹部に保持するためには、部品の軸線と供給ロッド(保持凹部)の軸線を平行にしておくことによって、部品が確実に保持凹部に受止められるという動作が確実にえられる。上述のような傾斜によって、部品の軸線と供給ロッド(保持凹部)の軸線を平行に配置することができ、仮止室から保持凹部への部品移行が確実に達成される。
【0033】
請求項12記載の発明は、前記ストッパ部材に受け止められた部品の軸線が供給ロッドの軸線とほぼ平行である請求項8〜請求項11のいずれかに記載の部品供給装置である。
【0034】
上述のように、一時係止状態にある部品の軸線と供給ロッド(保持凹部)の軸線を平行に配置することができ、仮止室から保持凹部への部品移行が確実に達成される。
【0035】
請求項13記載の発明は、前記排気通路は出口開口に近い箇所のストッパ部材またはストッパ部材の出口開口側端部に設けられている請求項8〜請求項12のいずれかに記載の部品供給装置である。
【0036】
部品供給管の中心軸線に沿って移送されてきた部品によって仮止室内に空気が封じ込められるのであるが、部品とストッパ面との間の空間は、出口開口側の方が大きくなっている。このような空間状態において排気通路が出口開口に近い箇所のストッパ部材に設けられているため、大きな空間の側の方から先行して空気が排出される。したがって、ストッパ面に対する部品の相対位置が迅速に正常化され、ストッパ面に正しい姿勢で部品停止がなされ、供給ロッドへの部品移行が正確に達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
つぎに、本発明の部品供給管の仮止室および部品供給装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0038】
図1〜図6は実施例1を示す。
【0039】
まず、この実施例における部品について説明する。
【0040】
図6(A)および(B)は、中空部品1の一部を破断した側面図と平面図である。ここでの中空部品1は、六角形とされた鉄製のプロジェクションナット2に鋼板製のカップ状とされたカバー部材3が溶接されたものであり、一般に袋ナットと呼ばれている。プロジェクションナット2はその端部に円形のフランジ4が形成され、その端面に3個の溶着用突起5が同一円周上に120度間隔で形成されている。そして、プロジェクションナット2は中実の素材を成形したものであり、カバー部材3は鋼板をプレス加工したものである。このような作り方によってプロジェクションナット2の質量は、カバー部材3の質量よりも大きくなっている。
【0041】
前記カバー部材3は真っ直ぐな円筒型であり、その直径はプロジェクションナット2の外径よりも小さくなっている。このような径差によって中空部品1の外周部に環状の段部6が形成されている。また、フランジ4の上面も環状の段部7とされている。カバー部材3の端部は閉鎖部8とされ、その頂面9は平坦な面とされている。この頂面に小孔10が設けられ、電着塗装の塗料排出孔とされている。
【0042】
なお、以下の説明において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合もある。
【0043】
上述の中空部品1の各部寸法は、ナット2の外径(角部間寸法)が18mm、ねじ孔の内径が10mm、フランジ4の直径が20mm、ナット2の高さが11mm、カバー部材3の外径が11mm、中空部品1の高さが23mmである。そして、中空部11は、ねじ孔の空間とカバー部材3の内部空間によって形成されており、ねじ孔の開口端が中空部11の開口部12とされている。
【0044】
中空部品1は上述のようないわゆる袋ナット1ではなくて、図6(C)に示すようなものであってもよい。これは円筒型のものであり、2段型の孔によって中空部11が形成され、中空部11の奥に閉鎖部8が形成され、他端が開口部12とされている。
【0045】
本発明は、部品供給管の仮止室と、それを利用した部品供給装置であるが、実施例1においては、前記仮止室を含んだ部品供給装置を主体にして説明を行っている。
【0046】
部品供給装置全体について説明する。
【0047】
図1は、部品供給装置全体の断面図である。そこで扱われる部品は前述の袋ナット1である。パーツフィーダ13から供給ホース14を経て真っ直ぐな部品供給管15に移送されてきた袋ナット1は、部品供給管15の端部に配置された仮止室16で一時係止され、その後、供給ロッド17に移行される。袋ナット1を保持した供給ロッド17は進出して目的箇所である固定電極24のガイドピン18に供給する。なお、鋼板部品35が固定電極24上に載置されている。
【0048】
供給ロッド17は、部品供給管15と一体化されたガイド筒25内に進退可能な状態で収容され、ガイド筒25に結合したエアシリンダ36によって進退動作をするようになっている。そして、ガイド筒25が静止部材44に結合されることによって、部品供給装置全体が固定されている。
【0049】
つぎに、仮止室について説明する。
【0050】
仮止室16は、上述のように部品供給管15の端部に配置され、部品供給管15の端部に設けられたストッパ部材19によって端部が閉塞されている。仮止室16内の袋ナット1を送り出すための出口開口20が、図1(B)に示すように、部品供給管15の横側方に設けてある。この横側方とは、部品供給管15の直径方向すなわち部品供給管15の中心軸線26に直交した横方向を意味している。出口開口20を開閉するゲート部材21が設けてある。ゲート部材21には平坦な受け面22が形成され、その面積は出口開口20をほぼ全閉できる大きさとされている。
【0051】
ゲート部材21は後述のように、図1の紙面に対して垂直な方向に進退するようになっている。これを図1(A)の(2)−(2)断面図である図2で観察すると、ゲート部材21は同図の上下方向に進退する。そのためのエアシリンダ31が静止部材側に固定され、そのピストンロッド32がゲート部材21に結合されている。前記エアシリンダ31は、2点鎖線で示すように、ガイド筒25に固定したブラケット33を介して固定されている。
【0052】
上述のような関連部材の配置によって、前記部品供給管15、ストッパ部材19、出口開口20を閉じているときのゲート部材21によって、仮止室16が形成されている。また、部品供給管15、ストッパ部材19およびガイド筒25等は非磁性材料であるステンレス鋼で作られ、ゲート部材21は磁性材料である鉄鋼材料で作られている。
【0053】
後述の説明においては、仮止室16に空気が密封されるという表現をしているが、実際には、受け面22とストッパ部材19の端部との間にはストッパ部材19の進退に要する空隙が存在している。あるいは、出口開口20の周囲部分とゲート部材21との間にも動作上の空隙が存在している。したがって、このような通常の空隙等は空気の流路抵抗が大きいので、後述のように空気が密封された現象が発生する。換言すると、高速で袋ナット1が仮止室16内に進入してくると、仮止室16の奥に空気が実質的に封入された状態になって、空気の抜けが緩慢になるという意味である。
【0054】
つぎに、部品供給管と供給ロッドの位置関係を説明する。
【0055】
出口開口20から送り出された袋ナット1は、供給ロッド17の保持凹部23に保持されて目的箇所である電気抵抗溶接の固定電極24に供給される。この供給ロッド17はガイド筒25内に進退自在な状態で収容され、前記部品供給管15の中心軸線26と供給ロッド17の軸線27の交差角は鋭角とされている。この交差角は、15度である。部品供給管15とガイド筒25は溶接部28において一体化されている。
【0056】
前記ストッパ部材19の平坦なストッパ面29に受け止められた袋ナット1の軸線30が部品供給管15の中心軸線26に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線26に対するストッパ面29の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面29から離隔した箇所の袋ナット1の軸線30が出口開口20側に接近するように設定されている。この傾斜角はθで示されている。したがって、ストッパ面29も中心軸線26に垂直な仮想平面34に対して角度θだけ傾斜している(図1(B)参照)。この角度θを選択することによって、袋ナットの軸線30と供給ロッドの軸線27が平行になっている。ストッパ面29がこのように傾斜しているため、中心軸線26と同方向の断面で見た仮止室16の断面積は、出口開口20に近づくにしたがって次第に大きくなっている。
【0057】
つぎに、供給ロッドについて説明する。
【0058】
前述のように、ガイド筒25の端部にエアシリンダ36が固定され、そのピストンロッド37が供給ロッド17に結合され、供給ロッド17が進退する。
【0059】
図3は、供給ロッドの先端部の形状を示す立体図である。袋ナット1を供給ロッド17の先端部に保持するために、先端側に突き出た樋状の部材40に保持凹部23が形成されている。この保持凹部23に袋ナット1の円筒型をしたカバー部材3と、六角形のプロジェクションナット2を受け入れる。カバー部材3の直径はプロジェクションナット2の直径よりも小さいので、保持凹部23に段部38が形成されている。したがって、図1(B)に示すように、袋ナット1は保持凹部23にぴったりとはまり込んだ状態、すなわち段部6が段部38に合致した状態でで受け止められている。
【0060】
保持凹部23の開放側が出口開口20に対面している。保持凹部23に到達した袋ナット1が供給ロッド17の進出時に落下したり位置ずれを起こしたりしないようにするために、袋ナット1を保持凹部23内に吸引して保持する必要がある。そのために、電磁石を採用したり空気吸引を採用したりすることができる。ここでは、永久磁石39を用いた例である。この永久磁石39によって、保持凹部23の内面の一部を形成し、保持凹部23内の袋ナット1を吸引していることによって、袋ナット1の落下や位置ずれが防止されている。
【0061】
供給ロッド17が進出して袋ナット1がガイドピン18の直前で停止すると、永久磁石39を袋ナット1から離隔させて袋ナット1に対する吸引磁力を消滅させる。これにより袋ナット1は自重で円弧を描いて落下し、中空部11内にガイドピン18が相対的に進入する。なお、固定電極24に対する可動電極41には、その端面42の中央部に受入孔43が設けてあり、可動電極41の進出によってカバー部材3が受入孔43に入り込み、端面42が段部6を加圧し溶接電流が通電される。
【0062】
上述のように、永久磁石39を袋ナット1から遠ざけるための構造としては種々なものが採用できる。ここでは、供給ロッド17をインナとアウタの2重構造にし、インナに永久磁石39を取付けたものが採用されている。
【0063】
図4に示すように、軸状の部材で作られたインナ軸45がパイプ状の部材で作られた中空軸46内に摺動自在な状態で挿入されている。このインナ軸45の端部に永久磁石39が溶接や接着剤で固定されている。インナ軸45の上端近くに固定した規制ピン47が、中空軸46のストローク方向に開けた長孔48通過して供給ロッド17の外側に突出している。ガイド筒25の側面にエアシリンダ49が固定され、そのピストンロッド50に係合片51が結合されている。ガイド筒25に長手方向の長孔52が開けられ、この長孔52を前記係合片51が貫通してガイド筒25内に突出している。
【0064】
中空軸46内に挿入した圧縮コイルスプリング53の張力がインナ軸45に作用し、これによって規制ピン47が長孔48の下側に当たっており、この状態で永久磁石39の端面が保持凹部23の内面を形成し、図1(B)に示すように、袋ナット1を吸引保持している。中空軸46の先端部が前述のように樋状の部材40とされていて、そこに保持凹部23が設けてある。
【0065】
規制ピン47と係合片51との位置関係は、供給ロッド17が進出して袋ナット1がガイドピン18の直前で停止した位置において、規制ピン47が係合片51に接触するかまたはわずかな隙間が存在するように、設定されている。上記のような供給ロッド17の進出位置でエアシリンダ49によって係合片51が引き上げられると、圧縮コイルスプリング53は圧縮され、インナ軸45も引き上げられる。このような変位によって永久磁石39が袋ナット1から遠ざかり、袋ナット1に対する吸引磁力が実質的に消滅して、ガイドピン18に供給される。
【0066】
なお、図4には2点鎖線で部品供給管15が図示されているが、実際の構造としてはエアシリンダ49等との干渉を避けるために、エアシリンダ49等が90度変位した状態になっている。
【0067】
また、供給ロッド17を構成するインナ軸45、中空軸46は、ステンレス鋼のような非磁性材料でつくられている。こうすることによって、後述の磁力線の通過状態が良好なものとなる。
【0068】
つぎに、移行手段について説明する。
【0069】
仮止室16内に一時係止されている袋ナット1は、移行手段によって出口開口20から保持凹部23に移行する。この移行手段としては、空気噴射、空気吸引、押出しロッド等いろいろなものが採用できるが、ここでは永久磁石55のタイプである。永久磁石55は非磁性材料であるステンレス鋼製の容器56内に収容されており、この容器56がガイド筒25の端部に溶接してある。図1に示すように、仮止室16、出口開口20、保持凹部23、永久磁石55は、ほぼ一直線上に配置されている。永久磁石55の極性は、図1において供給ロッド17のストローク方向で見て、上側がN極、下側がS極である。
【0070】
永久磁石55はこのような極性配置とされているので、その磁力線57は図1(A)に示すように、ゲート部材21を供給ロッド17の長手方向に通過し、袋ナット1を通過することはない。これは、容器56、ガイド筒25、供給ロッド17、部品供給管15等が全て非磁性材料で作られているので、磁束は磁性体であるゲート部材21だけを通過した形態となる。したがって、ゲート部材21が閉じているときには、袋ナット1はゲート部材21の受け面22に吸引されることがなく、ストッパ面29に正しく停止している。
【0071】
エアシリンダ31の動作でゲート部材21が開くと、今度は、永久磁石55の磁力線が袋ナット1を通過するので、袋ナット1は永久磁石55の方へ引き出されて、保持凹部23内に収容される。
【0072】
図1における磁力線57は供給ロッド17のストローク方向に沿って周回しているが、図2の場合は磁力線58が供給ロッド17の直径方向に沿って周回している。そのために、ここでは永久磁石55の極性配置が供給ロッド17の直径方向に配置されている。この場合も図1と同様な作用がえられる。
【0073】
図3に示すように、樋状の部材40は符号L1で示された部分が切除されている。こうすることによって、図1(A)に示すように、袋ナット1と永久磁石55との距離が短縮されて、袋ナット1に対する吸引磁力を強く作用させることができるという効果がある。
【0074】
上述の移行手段は永久磁石を利用したものであるが、これに換えて押出し部材で袋ナット1を仮止室16から送り出すこともできる。図1(A)に2点鎖線で示すように、部品供給管15に固定したエアシリンダ64によってプッシュロッド65を進出させて袋ナット1を保持凹部23に到達させる。また、このようなプッシュロッド65を永久磁石55と併用することも可能である。
【0075】
つぎに、排気通路について説明する。
【0076】
図7にしたがって仮止室16に封じ込められた空気によって生じる問題点を説明する。2点鎖線図示のような姿勢で袋ナット1が圧縮空気による空気搬送や自重による落下等で搬送されてくる。仮止室16に接近すると、袋ナット1の進行方向側の空気の排出がなされていないので、仮止室16内に空気が封入された状態になり、それが抵抗になって袋ナット1の搬送速度が低下する。このような速度低下を来したところへ永久磁石55の吸引力が作用すると、袋ナット1は異常な姿勢で停止する。
【0077】
図7(A)の場合は、袋ナット1の速度低下によって袋ナット1がストッパ面29から大幅に離れた位置で、永久磁石55により受け面22に吸着した状態であり、このような位置から供給ロッド等の目的箇所へ正しく到達させることはできない。また、図7(B)の場合は、袋ナット1の一部はストッパ面29に接触しているが、永久磁石55によりフランジ4が受け面22に接触した状態で停止しており、同様にこのような位置から供給ロッド等の目的箇所へ正しく到達させることはできない。
【0078】
さらに、図7(A)に示すように、部品供給管15の中心軸線26に対して垂直になっている仮想平面34と、ストッパ面29との間に角度θが存在するときには、同図(B)に示すように、異常空間59はその出口開口20側が大きく空いた状態になりやすい。
【0079】
上述のように仮止室16内の空気の逃げが緩慢であるために、袋ナット1の停止姿勢が異常になる。そこで、空気の逃げを迅速に行わせるために、排気通路60が設けてある。この排気通路60は、ストッパ部材19の出口開口側端部に設けられている。そのような通路形成をするために、図1(C)に示すように、排気通路60はストッパ部材19の端部を円弧状に切欠いた形状とされている。
【0080】
図5は、排気通路の変形例を示す断面図である。排気通路61は前述の円弧状切欠きに換えて、ストッパ部材19の出口開口側端部の近くに貫通孔を開けたものである。同図の排気通路62は部品供給管15の端部に貫通孔を設けたものである。また、同図の排気通路63はゲート部材21に貫通孔を設けたものである。これらの排気通路60、61、62、63は単独で配置しても良いし、あるいは複数個を組み合わせて配置することが可能である。
【0081】
なお、上記各種のエアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。さらに上述の各永久磁石に換えて電磁石を採用することもできる。
【0082】
上述の動作を、制御装置またはシーケンス回路や、それからの動作信号で作動空気を送り出す空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等の一般的に使用されている制御手段によって確保することができる。
【0083】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0084】
前記ゲート部材21が出口開口20を全閉しているときに仮止室16がほぼ密封された状態で形成され、この状態のときに部品供給管15内を袋ナット1が移送されてくる。袋ナット1が仮止室16に入り始めると、袋ナット1の進行方向側に存在している空気が仮止室16内に封じ込められるが、その空気は前記排気通路60、61、62、63から外部へ押し出される。その結果、圧縮された空気が仮止室16内に封入されることがなく、袋ナット1はストッパ部材19に正しい姿勢で受け止められ、仮止室16における袋ナット1の停止姿勢が正常に確保できる。このような正常な停止姿勢の状態から出口開口20へ送り出されて行くので、目的箇所である供給ロッド17の保持凹部23に対して正確に到達させることができ、信頼性の高い動作がえられる。
【0085】
さらに、出口開口20がゲート部材21によってほぼ全閉されるので、袋ナット1はゲート部材21の受け面22に受け止められ、袋ナット1の停止姿勢が正常なものとなる。
【0086】
上述のように、部品供給管15内を移動してきた袋ナット1を一旦停止させてから次の箇所へ送出することが、部品移送においては種々な形態で利用されている。上述のような部品供給管15の仮止室16であると、袋ナット1を所定の位置に正しく停止させてから送り出すことができるので、袋ナット1を相手方部材に組み付ける箇所や供給ロッド17の保持凹部23等の目的箇所に対して正確に移行させることが可能である。
【0087】
前記排気通路60、61、62はストッパ部材19またはその近傍の部品供給管15に設けられている。
【0088】
前記排気通路60、61、62がストッパ部材19またはその近傍の部品供給管15に形成されているので、封じ込められた空気は仮止室16の最も奥の箇所すなわち袋ナット1から最も遠い箇所から排出される。そのため、袋ナット1がストッパ部材19に向かって移動することが円滑になされて、袋ナット1の停止位置が正確に設定できる。つまり、封じ込められた空気が完全に排出されるのと同時に袋ナット1がストッパ部材19に受止められるので、袋ナット1とストッパ部材19との間に空気が介在して袋ナット1の停止姿勢を狂わせることがない。
【0089】
前記排気通路63はゲート部材21に設けられている。
【0090】
このゲート部材21に排気通路63を形成することにより、ゲート部材21の製作時に排気通路63を同時に形成することができるので製作工程を簡素化することができる。そして、ストッパ部材19に近い箇所のゲート部材21に排気通路63を設けることによって、封じ込められた空気は仮止室16の最も奥の箇所すなわち袋ナット1から最も遠い箇所から排出される。そのため、袋ナット1がストッパ部材19に向かって移動することが円滑になされて、袋ナット1の停止位置が正確に設定できる。
【0091】
前記ストッパ部材19のストッパ面29に受け止められた袋ナット1の軸線30が部品供給管15の中心軸線26に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線26に対するストッパ面29の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面29から離隔した箇所の袋ナット1の軸線30が出口開口20側に接近するように設定されている。
【0092】
上述のように、ストッパ面29に正しく着座している袋ナット1の軸線30の上部が、部品供給管15の中心軸線26に対して出口開口20側に傾斜している。このような傾斜した袋ナット1の停止状態は、出口開口20の外側に存在している目的箇所に対して、到達しやすいという利点がある。例えば、出口開口20を出た袋ナット1を供給ロッド17の保持凹部23に保持するような場合には、袋ナット1の軸線30と供給ロッド17(保持凹部23)の軸線27を平行にしておくことによって、袋ナット1が確実に保持凹部23に受止められるという動作が確実にえられる。
【0093】
前記排気通路60は出口開口20に近い箇所のストッパ部材19に設けられている。
【0094】
部品供給管15の中心軸線26に沿って移送されてきた袋ナット1によって仮止室16内に空気が封じ込められるのであるが、袋ナット1とストッパ面29との間の空間は、出口開口20側の方が大きくなっている。このような空間状態において排気通路60が出口開口20に近い箇所のストッパ部材19に設けられているため、大きな空間の側の方から先行して空気が排出される。したがって、ストッパ面29に対する袋ナット1の相対位置が迅速に正常化され、ストッパ面29に正しい姿勢で袋ナット1の停止がなされる。
【0095】
前記排気通路60はストッパ部材19の出口開口側端部に設けられている。
【0096】
このようにストッパ部材19の出口開口側端部すなわちストッパ部材19の端縁部を円弧状に切り欠いて排気通路60が形成されているので、前述の場合と同様な作用効果がえられる。
【0097】
永久磁石55の吸引力を利用して仮止室16の出口開口20から袋ナット1を引き出す場合の問題を解決している。すなわち、部品供給管15の端部に設けられたストッパ部材19と、このストッパ部材19に受け止められた袋ナット1を部品供給管15の横側方に送り出す出口開口20と、この出口開口20を開閉するゲート部材21によって部品供給管15の端部に仮止室16が形成されたものにおいて、前記ゲート部材21は磁性材料で製作されており、袋ナット1を出口開口20から引き出す移行手段が永久磁石55で構成され、この永久磁石55の磁力線57,58が閉鎖状態のゲート部材21を通過するように永久磁石55の配置位置が設定されている。
【0098】
前記ゲート部材21が出口開口20を閉じているときに、袋ナット1が部品供給管15を移動して仮止室16に入ってくる。ゲート部材21が閉じているときには永久磁石55の磁力線57,58がゲート部材21を通過するので、仮止室16へ進入してきた袋ナット1を磁力線が通過することがない。したがって、袋ナット1はゲート部材21に吸着されることがなく円滑に仮止室16内に進入し、正しい姿勢でストッパ部材19に受止められる。したがって、袋ナット1が迅速にしかも正確にストッパ部材19に受け止められて、出口開口20に対する一時係止姿勢が正常化され、目的箇所への袋ナット1の到達が良好になされる。
【0099】
それからゲート部材21が出口開口20を開くと、今度は、磁力線57,58が袋ナット1を通過するようになるので、袋ナット1は永久磁石55の方に向かって引き出される。このような部品引き出しによって、袋ナット1は供給ロッド17の保持凹部23のような目的箇所に対して正確に到達する。
【0100】
前述の仮止室16を利用して部品供給装置が構成されている。すなわち、部品供給管15の端部に設けられたストッパ部材19と、このストッパ部材19に受け止められた袋ナット1を部品供給管15の横側方に送り出す出口開口20と、この出口開口20を開閉するゲート部材21によって部品供給管15の端部に仮止室16が形成されたものにおいて、前記ゲート部材21は前記出口開口20をほぼ全閉できる形状とされ、袋ナット1の進入によって仮止室16内に封じ込められた空気を排出する排気通路60、61、62、63が設けられており、前記出口開口20から出てきた袋ナット1を保持凹部23に保持して目的箇所へ供給する進退動作式の供給ロッド17が設けられている。
【0101】
前記ゲート部材21が出口開口20を全閉しているときに仮止室16がほぼ密封された状態で形成され、この状態のときに部品供給管15内を袋ナット1が移送されてくる。袋ナット1が仮止室16に入り始めると、袋ナット1の進行方向に存在している空気が仮止室16内に封じ込められるが、その空気は前記排気通路60、61、62、63から外部へ押し出される。その結果、圧縮された空気が仮止室16内に封入されことがなく、袋ナット1はストッパ部材19に正しい姿勢で受け止められ、仮止室16における袋ナット1の停止姿勢が正常に確保できる。このような正常な停止姿勢の状態から出口開口20へ送り出されて行くので、目的箇所である供給ロッド17の保持凹部23に対して正確に到達させることができ、信頼性の高い動作がえられる。仮止室16に一時係止された袋ナット1を供給ロッド17の保持凹部23に到達させるに当たっては、一時係止されている位置が保持凹部23に対して正しく設定されていなければならない。本実施例においては、このような要請を確実に実現して、信頼性の高い部品供給装置がえられる。
【0102】
さらに、出口開口20がゲート部材19によってほぼ全閉されるので、袋ナット1はゲート部材21の受け面22に受け止められ、袋ナット1の停止姿勢が正常なものとなる。
【0103】
前記出口開口20から保持凹部23に袋ナット1を移行させる移行手段が永久磁石55の形態で設けられている。
【0104】
前記仮止室16で正しい位置に一時係止された袋ナット1が、移行手段である永久磁石55によって出口開口20から引き出されて保持凹部23に到達する。したがって、保持凹部23の正しい位置に短時間で部品移行がなされ、部品供給装置としての動作信頼性が向上する。
【0105】
前記供給ロッド17の軸線27と部品供給管15の中心軸線26の交差角は鋭角である。
【0106】
このように、前記供給ロッド17の軸線27と部品供給管15の中心軸線26の交差角が鋭角であるから、部品供給管端部の仮止室16に一時係止された袋ナット1は、その姿勢を大きく変更することなく供給ロッド17の保持凹部23へ移行することとなる。よって、袋ナット1の姿勢が異常な状態にならないで供給ロッド17側に保持され、部品供給装置としての動作が安定したものとなる。
【0107】
前記ストッパ部材19のストッパ面29に受け止められた袋ナット1の軸線30が部品供給管15の中心軸線26に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線26に対するストッパ面29の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面29から離隔した箇所の袋ナット1の軸線30が出口開口20側に接近するように設定されている。
【0108】
上述のように、ストッパ面29に正しく着座している袋ナット1の軸線30の上部が、部品供給管15の中心軸線26に対して出口開口20側に傾斜している。このような傾斜した袋ナット1の停止状態は、出口開口20の外側に存在している保持凹部23に対して、到達しやすいという利点がある。つまり、出口開口20を出た袋ナット1を供給ロッド17の保持凹部23に保持するためには、袋ナット1の軸線30と供給ロッド17(保持凹部23)の軸線27を平行にしておくことによって、袋ナット1が確実に保持凹部23に受止められるという動作が確実にえられる。上述のような傾斜によって、袋ナット1の軸線30と供給ロッド17(保持凹部23)の軸線27を平行に配置することができ、仮止室16から保持凹部23への部品移行が確実に達成される。
【0109】
前記ストッパ部材19に受け止められた袋ナット1の軸線30が供給ロッド17の軸線27とほぼ平行である。
【0110】
上述のように、一時係止状態にある袋ナット1の軸線30と供給ロッド17(保持凹部23)の軸線27を平行に配置することができ、仮止室16から保持凹部23への部品移行が確実に達成される。
【0111】
前記排気通路60,61は出口開口20に近い箇所のストッパ部材19またはストッパ部材19の出口開口側端部に設けられている。
【0112】
部品供給管15の中心軸線26に沿って移送されてきた袋ナット1によって仮止室16内に空気が封じ込められるのであるが、袋ナット1とストッパ面29との間の空間は、出口開口20側の方が大きくなっている。このような空間状態において排気通路60,61が出口開口20に近い箇所のストッパ部材19に設けられているため、大きな空間の側の方から先行して空気が排出される。したがって、ストッパ面29に対する袋ナット1の相対位置が迅速に正常化され、ストッパ面29に正しい姿勢で部品停止がなされ、供給ロッド17への部品移行が正確に達成される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
上述のように、本発明によれば、仮止室内に封入された空気を排出することができるとともに、部品に対する磁気的悪影響を除去できる部品供給管の仮止室およびそれを活用した部品供給装置がえられるので、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】仮止室および部品供給装置全体を示す断面図である。
【図2】図1(A)の(2)−(2)断面図である。
【図3】供給ロッド先端部の立体図である。
【図4】供給ロッドの断面構造を示す側面図である。
【図5】排気通路の変形例を示す断面図である。
【図6】部品形状を示す断面図である。
【図7】仮止室における部品の異常停止状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0115】
1 袋ナット、中空部品
15 部品供給管
16 仮止室
17 供給ロッド
19 ストッパ部材
20 出口開口
21 ゲート部材
22 受け面
23 保持凹部
26 部品供給管の中心軸線
27 供給ロッドの軸線
29 ストッパ面
30 袋ナットの軸線
55 永久磁石、移行手段
57 磁力線
58 磁力線
60 排気通路
61 排気通路
62 排気通路
63 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は前記出口開口をほぼ全閉できる形状とされ、部品の進入によって仮止室内に封じ込められた空気を排出する排気通路が設けられていることを特徴とする部品供給管の仮止室。
【請求項2】
前記排気通路はストッパ部材またはその近傍の部品供給管に設けられている請求項1記載の部品供給管の仮止室。
【請求項3】
前記排気通路はゲート部材に設けられている請求項1記載の部品供給管の仮止室。
【請求項4】
前記ストッパ部材のストッパ面に受け止められた部品の軸線が部品供給管の中心軸線に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線に対するストッパ面の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面から離隔した箇所の部品の軸線が出口開口側に接近するように設定されている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の部品供給管の仮止室。
【請求項5】
前記排気通路は出口開口に近い箇所のストッパ部材に設けられている請求項4記載の部品供給管の仮止室。
【請求項6】
前記排気通路はストッパ部材の出口開口側端部に設けられている請求項4記載の部品供給管の仮止室。
【請求項7】
部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は磁性材料で製作されており、部品を出口開口から引き出す移行手段が磁石で構成され、この磁石の磁力線が閉鎖状態のゲート部材を通過するように磁石の配置位置が設定されていることを特徴とする部品供給管の仮止室。
【請求項8】
部品供給管の端部に設けられたストッパ部材と、このストッパ部材に受け止められた部品を部品供給管の横側方に送り出す出口開口と、この出口開口を開閉するゲート部材によって部品供給管の端部に仮止室が形成されたものにおいて、前記ゲート部材は前記出口開口をほぼ全閉できる形状とされ、部品の進入によって仮止室内に封じ込められた空気を排出する排気通路が設けられており、前記出口開口から出てきた部品を保持凹部に保持して目的箇所へ供給する進退動作式の供給ロッドが設けられていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項9】
前記出口開口から保持凹部に部品を移行させる移行手段が設けられている請求項8記載の部品供給装置。
【請求項10】
前記供給ロッドの軸線と部品供給管の中心軸線の交差角は鋭角である請求項8または請求項9記載の部品供給装置。
【請求項11】
前記ストッパ部材のストッパ面に受け止められた部品の軸線が部品供給管の中心軸線に対して傾斜した状態となるように前記中心軸線に対するストッパ面の傾斜が設定され、その傾斜方向はストッパ面から離隔した箇所の部品の軸線が出口開口側に接近するように設定されている請求項8〜請求項10のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項12】
前記ストッパ部材に受け止められた部品の軸線が供給ロッドの軸線とほぼ平行である請求項8〜請求項11のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項13】
前記排気通路は出口開口に近い箇所のストッパ部材またはストッパ部材の出口開口側端部に設けられている請求項8〜請求項12のいずれかに記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−84044(P2009−84044A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279603(P2007−279603)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】