説明

部品実装システム、部品実装方法、プログラム、記録媒体

【課題】、実装処理位置MPa〜MPcが有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置MPa〜MPcへの実装部品の分配を適切な状態に維持することを可能とする。
【解決手段】実際に基板Bに実装された部品の位置が測定され、この測定結果に基づいて、実装処理位置MPa〜MPcで実装された部品の実装目標位置に対する実装位置誤差が、部品毎に各実装処理位置MPa〜MPcと対応付けて求められる。実装位置誤差と実装目標位置に対する実装位置精度とを部品毎に比較した結果に基づいて、実装処理位置MPa〜MPcのうちから実装を行なう実装処理位置が部品毎に決定される。よって、実装処理位置MPa〜MPcが有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置MPa〜MPcへの実装部品の分配を適切な状態に維持することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する部品実装技術に関するものであり、特に、基板における部品の実装位置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、基板の搬送路に沿って複数の部品実装機を並べた部品実装システムが知られている。この部品実装システムでは、複数の部品実装機の間を順番に移動する1枚の基板に対して、各部品実装機が部品を実装する。つまり、この部品実装システムでは、基板に対して部品実装を実行可能な実装処理位置が複数設けられており、これら実装処理位置を順番に移動する1枚の基板に対して、各実装処理位置で分担して部品実装が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2004−319719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この際、各部品を実装する際に要求される実装目標位置に対する実装位置精度は決まっており、各実装処理位置ではこの実装位置精度を満たす範囲以内に部品を実装する必要がある。ただし、部品を実際に実装する際の実装目標位置に対する実装位置誤差は各実装処理位置で異なるため、例えば、実装位置精度が厳しく要求される部品を、実装位置誤差の大きい実装処理位置で実装することは適切ではない。そこで、実装処理位置が有する実装位置誤差に応じて、各実装処理位置が分担する実装部品を決定することで、各実装処理位置への実装部品の分配を最適化することが考えられる。
【0005】
しかしながら、実装処理位置の実装位置誤差は、温度変化等によって経時的に変化する場合がある。この場合は、このような実装位置誤差の経時変化の結果、各実装目標位置において各部品に要求される実装位置精度を満足できない不良基板が発生してまう問題があった。
【0006】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、実装処理位置が有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置への実装部品の分配を適切な状態に維持することで
各実装目標位置において各部品に要求される実装位置精度を満足する実装を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる部品実装システムは、複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら各実装処理位置で基板への部品の実装が可能な実装処理部を備え、実装処理部を用いて1枚の基板に複数の部品を実装する部品実装システムであって、上記目的を達成するために、実装処理部により基板に実装された部品の位置を測定する測定部と、測定部の測定結果に基づいて、実装処理位置で実装された部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、部品毎に各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得部と、部品を実装する際に要求される実装目標位置に対する実装位置精度を、部品毎に記憶する記憶部と、実装位置精度と実装位置誤差とを部品毎に比較した結果に基づいて、複数の実装処理位置のうちから実装を行なう実装処理位置を部品毎に決定する実装位置決定処理を行なう実装位置決定部とをさらに備え、複数の部品のそれぞれは、実装位置決定部が決定した実装処理位置で実装処理部により基板に実装されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明にかかる部品実装方法は、複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら各実装処理位置で基板への部品の実装が可能な実装処理部を用いて1枚の基板に複数の部品を実装する部品実装方法であって、上記目的を達成するために、実装処理部により基板に実装された部品の位置を測定する測定工程と、測定工程での測定結果に基づいて、実装処理位置で実装された部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、部品毎に各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得工程と、部品を実装する際に要求される実装目標位置に対する実装位置精度と実装位置誤差とを部品毎に比較した結果に基づいて、複数の実装処理位置のうちから実装を行なう実装処理位置を部品毎に決定する実装位置決定工程と、複数の部品のそれぞれを、実装位置決定工程で決定された実装処理位置で実装処理部により基板に実装する部品実装工程とを備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを用いて、複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら各実装処理位置で基板への部品の実装が可能な実装処理部に1枚の基板に対する複数の部品の実装を実行させるプログラムであって、上記目的を達成するために、実装処理部により基板に実装された部品の位置を、測定部に測定させる測定工程と、測定工程での測定結果に基づいて、実装処理位置で実装された部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、部品毎に各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得工程と、部品を実装する際に要求される実装目標位置に対する実装位置精度と実装位置誤差とを部品毎に比較した結果に基づいて、複数の実装処理位置のうちから実装を行なう実装処理位置を部品毎に決定する実装位置決定工程と、複数の部品のそれぞれを、実装位置決定工程で決定された実装処理位置で基板に実装する動作を実装処理部に実行させる部品実装工程とを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0010】
また、本発明にかかる記録媒体は、上記のプログラムを記録したことを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(部品実装システム、部品実装方法、プログラム、記録媒体)では、実装処理部により実際に基板に実装された部品の位置が測定され、この測定結果に基づいて、実装処理位置で実装された部品の実装位置誤差が、部品毎に各実装処理位置と対応付けて求められる。そして、この実装位置誤差と実装位置精度とを部品毎に比較した結果に基づいて、複数の実装処理位置のうちから実装を行なう実装処理位置が部品毎に決定される(実装位置決定処理)。つまり、各実装処理位置で実際に実装された部品の位置を測定して実装位置誤差を求めた結果が、実装位置決定処理にフィードバックされる。したがって、各実装処理位置での実装位置誤差が経時変化した場合であっても、変化後の実装位置誤差を実装位置決定処理に反映させることができる。よって、実装処理位置が有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置への実装部品の分配を適切な状態に維持して、各実装目標位置において各部品に要求される実装位置精度を満足する実装が可能となっている。
【0012】
このとき、実装位置決定処理は、実装位置精度と実装位置誤差とを部品毎に比較した結果、実装位置精度以下の実装位置誤差で当該部品が実装されたと判断される実装処理位置で当該部品の実装を行なうように決定する処理であるように、部品実装システムを構成しても良い。これによって、実装位置決定処理の実行後の部品実装においては、実装位置精度の範囲以内に部品を実装することが可能となり、好適である。
【0013】
また、実装位置決定部は、基板に実装された部品のうち、実装位置誤差が実装位置精度を超える実装不良部品が現れたと、測定部の測定結果から判断したときに、実装位置決定処理を行うように、部品実装システムを構成しても良い。これにより、実装位置誤差が実装位置精度を超える実装不良部品が現れたとしても、その後の部品実装においては、実装位置精度の範囲以内に部品を実装することが可能となり、好適である。
【発明の効果】
【0014】
実装処理位置が有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置への実装部品の分配を適切な状態に維持することで、各実装目標位置において各部品に要求される実装位置精度を満足する実装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる部品実装システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の部品実装システムが備える表面実装機の一例を示すレイアウト図である。
【図3】メモリに記憶される実装精度データの一例を表として示す図である。
【図4】表面実装機の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】検査機の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】サーバーの動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】サーバーのメモリに蓄積された実装誤差データの一例を表として示す図。
【図8】再分配後の実装データの一例を示す図である。
【図9】サーバーの動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明にかかる部品実装システムの構成の一例を示すブロック図である。図2は、図1の部品実装システムが備える表面実装機の一例を示すレイアウト図である。この部品実装システムMSは、複数(3箇所)の実装処理位置MPa〜MPc(図2)で基板Bに対する部品実装が可能な表面実装機1と、表面実装機1の下流側に配置され、表面実装機1での部品実装が完了した基板Bを検査する検査機91と、表面実装機1および検査機91の動作を統括的に制御するサーバー93とで構成されている。この部品実装システムMSには、表面実装機1と検査機91以外に表面実装機1の上流側に印刷機、基板搬入装置が、検査機91の下流側にリフロー炉等が配置される。以下では、図1および図2を用いながら、表面実装機1の構成・動作について説明した後に、検査機91およびサーバー93を含む部品実装システムMSの本発明に係る構成・動作について説明する。
【0017】
表面実装機1は、3箇所の実装処理位置MPa〜MPcの間で基板Bを移動させながら各実装処理位置MPa〜MPcで基板Bへの部品の実装が可能な構成を備えており、1枚の基板Bに対する複数の部品の実装を3箇所の実装処理位置MPa〜MPcで分担して実行する。また、表面実装機1には実装機コントローラ3が装備されており、この実装機コントローラ3が表面実装機1全体の動作を制御する。この実装機コントローラ3には、CPU(Central Processing Unit)等から構成される演算処理部31が内蔵されており、この演算処理部31が実装機コントローラ3全体の管理を担うとともに、必要に応じて、通信部CPを介した表面実装機1と外部との通信を制御する。さらに、実装機コントローラ3は、表面実装機1で実行される部品実装を制御する実装プログラムを記憶する実装プログラム記憶部32と、表面実装機1が備える各駆動系である基板搬送部21、および部品搬送部22を制御する駆動制御部33とを備える。
【0018】
表面実装機1では、図2に示すように、基板搬送部21(図1)のメイン搬送機構により基板Bが基板搬送経路TPの上流側(図2の右手側)から(+X)方向に搬送される。この実施形態では、基板搬送経路TP上の停止位置で基板Bを一時停止させることが可能となっており、メイン搬送機構は実装機1全体を制御する実装機コントローラ3の駆動制御部33からの動作指令に応じて作動して基板Bを各停止位置に停止させたり、停止位置から下流方向(+X)に搬送したりする。この実施形態では、後述するように搬入ステージ5a、3つの実装テーブル4a〜4cおよび搬出ステージ5bを設けたことに対応して5つの停止位置、つまり搬入位置SPin、第1〜第3待機位置SP1〜SP3および搬出位置SPoutを設定している。なお、図2中の白抜き矢印は基板Bの流れを示している。
【0019】
これらの停止位置のうち搬入位置SPinは基板搬送経路TPの最上流側に設定されている。そして、部品実装システムMSによる部品実装処理を施す前の未処理基板Bが上流機(図示省略)から搬入位置SPinに搬入されてくる。この実施形態では、この搬入基板Bを表面実装機1に受け入れるための搬入ステージ5aが搬入位置SPinに対応して設けられている。この搬入ステージ5aは一対のコンベアレール51、51を有しており、基板搬送部21の一部を構成する搬入ステージ5a用のレール駆動機構によりレール51、51のコンベア幅を基板Bのサイズに応じて変更可能となっている。また、搬入ステージ5aは基板搬送部21のステージ駆動機構により搬入位置SPinと該搬入位置SPinから(+Y)方向側(同図の下側)に離れた退避位置との間で往復移動自在となっている。そして、ステージ駆動機構によって搬入ステージ5aが基板搬送時に搬入位置SPinに移動され、メイン搬送機構による基板Bの受け取りや送り出しが実行可能となっている。一方、基板搬送を終了した時点で搬入ステージ5aは退避位置に移動される。
【0020】
上記搬入位置SPinの下流側では、第1待機位置SP1が設定されている。この第1待機位置SP1の(+Y)方向側(同図の下側)には、第1実装テーブル4aが設けられている。この第1実装テーブル4a上では、搬入ステージ5aと同一構成の実装ステージ6aが配置されている。すなわち、実装ステージ6aには、一対のコンベアレール61、61が設けられており、基板搬送部21の一部を構成する実装ステージ6a用のレール駆動機構によりレール61、61のコンベア幅が基板Bのサイズに応じて変更可能となっている。また、実装ステージ6aは基板搬送部21の一部を構成する実装ステージ6a用のステージ駆動機構により第1待機位置SP1と第1待機位置SP1から(+Y)方向側(同図の下側)に離れた実装位置(図2の実線位置)との間で往復移動自在となっている。そして、実装ステージ6aが第1待機位置SP1で基板Bを受け取ると、適当なタイミングで実装ステージ6aは基板Bを保持したまま(+Y)方向側に移動して、実装処理位置MPaに基板Bを固定する。
【0021】
この第1実装テーブル4aでは、実装ステージ6a上の基板Bに電子部品を実装するため、複数の電子部品供給装置(たとえば、テープフィーダ)7aとヘッドユニット8aが設けられている。複数の電子部品供給装置7aは、実装処理位置MPaに対して基板搬送経路TPの反対側において、それぞれX方向に並べて配置されている。また、ヘッドユニット8aがX方向およびY方向に移動自在に設けられており、部品搬送部22の一部を構成するヘッドユニット8a用のヘッドユニット駆動機構により、ヘッドユニット8aがX方向およびY方向に駆動されて電子部品供給装置7aと実装処理位置MPaの間を往復移動し、ヘッドユニット8aに搭載の複数のヘッドに対応してヘッドユニット8aに設けられ、下端に設けられた吸着ノズルをZ軸方向に昇降駆動するZ軸サーボモータ、R軸方向に回動し位置決めするR軸サーボモータも稼動して電子部品供給装置7aから複数の電子部品を基板Bの所定位置に実装する(Z軸サーボモータ、およびR軸サーボモータも部品搬送部22の一部を構成する)。この実装処理が完了すると、上記と逆の手順で基板Bを第1待機位置SP1に戻し、さらに適当なタイミングで基板Bが下流側、つまり(+X)方向に搬送される。
【0022】
第1待機位置SP1の下流(+X方向)側では、第2待機位置SP2が設定されている。そして、この第2待機位置SP2の(−Y)方向側(図2の上側)には、第2実装テーブル4bが設けられるとともに、第2実装テーブル4bに対して実装ステージ6b、一対のコンベアレール61、61、複数の電子部品供給装置7bおよびヘッドユニット8bが設けられている。なお、これらの構成要素6b〜8bの配置は第1実装テーブル4aに設けられた構成要素6a〜8aの配置とY方向において反転しているが、基本的な構成および動作は同一である。つまり、実装ステージ6bは基板搬送部21の一部を構成する第2実装テーブル4b用のステージ駆動機構により第2待機位置SP2と第2待機位置SP2から(−Y)方向側(図2の上側)に離れた実装処理位置MPbとの間で往復移動自在となっている。そして、実装ステージ6bが第2待機位置SP2で基板Bを受け取ると、適当なタイミングで実装ステージ6bは(−Y)方向側に移動して、実装処理位置MPbに基板Bを固定する。また、第2実装テーブル4bでは、実装ステージ6b上の基板Bに電子部品を実装するため、複数の電子部品供給装置(たとえば、テープフィーダ)7bが実装位置に対して基板搬送経路TPの反対側において、それぞれX方向に並べて配置されている。また、ヘッドユニット8bがX方向およびY方向に移動自在に設けられており、部品搬送部22の一部を構成するヘッドユニット8b用のヘッドユニット駆動機構により、ヘッドユニット8bがX方向およびY方向に駆動されて電子部品供給装置7aと実装処理位置MPaの間を往復移動し、ヘッドユニット8bに搭載の複数のヘッドに対応してヘッドユニット8bに設けられ、下端に設けられた吸着ノズルをZ軸方向に昇降駆動するZ軸サーボモータ、R軸方向に回動し位置決めするR軸サーボモータも稼動して電子部品供給装置7bと実装処理位置MPbの間を往復移動して電子部品供給装置7bから複数の電子部品を基板Bの所定位置に実装する。この実装処理が完了すると、上記と逆の手順で基板Bを第2待機位置SP2に戻し、さらに適当なタイミングで基板Bが下流側、つまり(+X)方向に搬送される。
【0023】
また、第2待機位置SP2の下流(+X方向)側では、第3待機位置SP3が設定されている。そして、この第3待機位置SP3の(+Y)方向側(図2の下側)には、第1実装テーブル4aと同一構成(テープフィーダ7a、ヘッドユニット8a、及び実装ステージ6aに対応するテープフィーダ7c、ヘッドユニット8c、及び実装ステージ6c、さらに、ヘッドユニット駆動機構、複数のヘッド、Z軸サーボモータ、R軸サーボモータ、ステージ駆動機構、コンベアレール61、61、レール駆動機構等も同一構成)を有する第3実装テーブル4cが設けられており、第1実装テーブル4aと同様の動作によって、実装処理位置MPcで基板Bへの電子部品の実装を行う。そして、実装処理が完了すると、実装ステージ6cが(−Y)方向に移動して基板Bを第3待機位置SP3に戻し、さらに適当なタイミングで基板Bが下流側、つまり(+X)方向に搬送される。
【0024】
さらに、第3待機位置SP3の下流(+X方向)側、つまり基板搬送経路TPの最下流側では、搬出位置SPoutが設定されている。この搬出位置SPoutの(−Y)方向側(図2の上側)には、搬入ステージ5aと同一構成の搬出ステージ5bが設けられている。この搬出ステージ5bは一対のコンベアレール51、51を有しており、基板搬送部21の一部を構成するレール駆動機構によりレール51、51のコンベア幅を基板Bのサイズに応じて変更可能となっている。また、搬出ステージ5bは基板搬送部21の一部を構成するステージ駆動機構により搬出位置SPoutと該搬出位置SPoutから(−Y)方向側(図2の上側)に離れた退避位置(図2の実線位置)との間で往復移動自在となっている。そして、ステージ駆動機構によって搬出ステージ5bが基板搬送時に搬出位置SPoutに移動され、メイン搬送機構による基板Bの受け取りが実行可能となっている。一方、基板搬送を終了した時点で搬出ステージ5bは退避位置に移動される。
【0025】
このように、表面実装機1は、1枚の基板Bに対する複数の部品のそれぞれに対応する実装目標位置への実装を複数の実装処理位置MPa〜MPcで分担して実行する。このとき、実装処理位置MPa〜MPcそれぞれが実装を分担する部品および対応する実装目標位置を示す情報は、「実装データ」として実装プログラム記憶部32に記憶されている。そして、この実施形態では、実装データは、表面実装機1により部品が実装された基板Bを検査機91で検査した結果に基づいて、サーバー93により求められる。かかる動作について、部品実装システムMSの全体構成の説明を通して詳述する。
【0026】
図1に示すように、部品実装システムMSでは、本発明に関わる構成は表面実装機1、検査機91およびサーバー93で構成される。これら表面実装機1、検査機91およびサーバー93は、それぞれが備える通信部CPを介してローカルエリアネットワークLANに接続されている。そして、表面実装機1、検査機91およびサーバー93の間では、各種データや情報などがローカルエリアネットワークLANを介して通信可能となっている。なお、この実施形態では、有線LANにより通信を行っているが、通信方式や態様はこれに限定されるものではない。
【0027】
上述のとおり、表面実装機1で部品が実装された基板Bは、検査機91による検査を受ける。この検査機91は、カメラ911と、検査機コントローラ912とを備える。カメラ911は、表面実装機1から検査機91に搬送されてきた基板Bの表面を撮影するものである。検査機コントローラ912は、CPU等から構成される演算処理部9121を備えており、この演算処理部9121を用いて検査機コントローラ912全体の管理を担うとともに、必要に応じて、通信部CPを介した検査機91と外部との通信を行なう。さらに、検査機コントローラ912は、検査機91で実行される検査を制御する検査プログラムを記憶する検査プログラム記憶部9122と、カメラ911の撮影結果に対して画像処理を行う画像処理部9123とを備える。
【0028】
そして、演算処理部9121は、サーバー93から受信して検査プログラム記憶部9122に記憶された検査プログラムに従って、カメラ911に撮影を実行させる。これにより、カメラ911は、表面実装機1により部品が実装された基板Bの表面の画像を撮影する。こうしてカメラ911により撮影された画像は画像処理部9123に出力される。一方、画像処理部9123は、受信した画像を解析して、基板Bにおける部品の実装位置を求める。この部品の実装位置は、基板Bに実装された部品毎に実装処理位置MPa〜MPcと対応付けて求められる。例を挙げれば、実装番号が1〜10までの10個の部品が基板Bに実装されている場合、基板Bにおける部品の実装位置と、実装処理位置MPa〜MPcのうち当該部品の実装を分担した実装処理位置とが、10個の部品それぞれについて求められる。
【0029】
続いて、演算処理部9121は、画像処理部9123が求めた実際の各部品の実装位置と、各部品がそれぞれ実装されるべき位置である実装目標位置データに基づいて、各部品の実装位置の実装目標位置に対する誤差を算出する。この実装位置誤差は、基板Bに実装された個々の部品毎(=実装目標位置毎)に実装処理位置MPa〜MPcと対応付けて求められる。つまり、実装番号が1〜10までの10個の部品が基板Bに実装されている場合、基板Bにおける部品の実装位置誤差と、実装処理位置MPa〜MPcのうち当該部品が実装された実装処理位置とが、10個の部品それぞれについて求められる。そして、実装処理位置MPa〜MPcと対応付けられて個々の各部品毎に求められた実装位置誤差は、「実装誤差データ」として検査機91からサーバー93へと送信される。
【0030】
サーバー93は、パーソナルコンピュータにより構成されており、通信部CPの他に、CPU等で構成された演算処理部931やメモリ932を備えている。さらに、サーバー93には、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクやUSB(Universal Serial Bus)メモリといった記録媒体に記録された情報を読出し可能なドライバ(図示省略)が設けられている。この記録媒体95には、表面実装機1および検査機91の制御動作をサーバー93に実行させる制御プログラム97が記録されている。したがって、サーバー93は制御プログラム97の内容に従って動作して、表面実装機1および検査機91の制御等を実行する。
【0031】
このように構成されたサーバー93は、上述の実装誤差データを検査機91から受信すると、実装誤差データをメモリ932に記憶・蓄積するとともに、この実装誤差データに基づいて、次の手順で実装データを作成する。まず、サーバー93は、部品を実装する際に要求される実装位置精度を部品毎(部品番号が同じ部品であっても実装目標位置が異なれば、別部品として扱う。すなわち、部品毎とは実装目標位置毎と言い替えることができる。)に示す実装精度データと、実装処理位置MPa〜MPcでの実装結果である実装誤差データとを比較する。なお、この精度データは、実装誤差データとともにメモリ932に記憶・蓄積しておくことができる。続いて、サーバー93は、実装処理位置MPa〜MPcのうちから、実装可能な実装処理位置を部品毎に求める。
【0032】
実装番号1〜10の10個の部品を基板Bに実装する場合について、具体例を挙げると次のとおりである。図3は、メモリに記憶される実装精度データの一例を表として示す図である。同図において、「部品番号」は、コンデンサーや抵抗といった部品の種類および部品の寸法の違いに応じて部品毎に付される識別番号であり、同じ部品番号を有する部品どうしは、種類および寸法において同じである一方、異なる部品番号を有する部品どうしは、種類あるいは寸法において異なる。同図に示すように、メモリ932では、実装番号1〜10それぞれの部品毎に、実装目標位置(実装目標座標X、実装目標座標Y)と要求精度(要求精度X、要求精度Y)とが関連付けられて記憶されている。ここで、実装目標座標XはX軸上での座標であり、実装目標座標YはY軸上での座標であり、要求精度XはX軸上での要求精度であり、要求精度YはY軸上での要求精度である。この図3の具体例では、同一部品番号を有する部品であっても、実装目標位置が異なれば、要求精度が異なっている。
【0033】
実装誤差データと実装精度データを比較した結果、実装処理位置MPa、MPb、MPcにおける実装番号1の部品の実装位置誤差が「10」、「20」、「40」(単位μm)であった場合、実装番号1の部品の要求精度「30」(単位μm)以下の実装位置誤差を有する実装処理位置MPa、MPbが、実装番号1の部品の実装を分担する実装処理位置の候補に選定される(このような実装処理位置MPa、MPbを分配候補と称することとする)。同様にして、他の実装番号2〜10の部品それぞれに対しても、実装処理位置の候補(分配候補)が選定される。そして、実装処理位置MPa〜MPcそれぞれでの実装時間が平準化するように、分配候補の中から実際に実装を分担する実装処理位置が、部品毎に決定される。これにより、例えば、実装番号1の部品の実装を分担する実装処理位置は、分配候補MPa、MPbのいずれか一方に決まる。このようにして、実装を分担する部品が実装処理位置MPa、MPb、MPcの間で再分配される。
【0034】
こうして、サーバー93が再分配して新たに作成した実装データは、表面実装機1に送信されて、実装機コントローラ3の実装プログラム記憶部32に記憶される。そして、表面実装機1は、この実装データに従って、所定の部品の実装目標位置への実装を所定の実装処理位置MPa〜MPcで実行する。
【0035】
続いて、上述した、表面実装機1、検査機91およびサーバー93の動作の具体的な例を、フローチャート(図4〜図6)を用いて説明する。図4は、表面実装機の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、検査機の動作の一例を示すフローチャートである。図6は、サーバーの動作の一例を示すフローチャートである。なお、図4〜図6のフローチャートは、制御プログラム97に基づいたサーバー93の制御により実行される。
【0036】
図4に示すように、表面実装機1では、生産が開始されると(ステップS101)、表面実装機1での実装枚数を示すN(mnt)が「0」にセットされるとともに(ステップS102)、基板Bが搬入される(ステップS103)。続く、ステップS104では、実装データ変更通知をサーバー93より受信したか否かが確認される。この実装データ変更通知は、サーバー93が実装データの再分配を行った場合に、表面実装機1へ送信するものである。
【0037】
実装データ変更通知を受信した場合(ステップS104で「YES」の場合)は、ステップS105に進んで、サーバー93により再分配された実装データが実装プログラム記憶部32に記憶されて、実装データが再分配後のものに変更されるとともに(ステップS105)、この再分配後の実装データに基づいて、基板Bへの部品実装が実装処理位置MPaにおいて実行される(ステップS106)。一方、実装データ変更通知を受信していない場合(ステップS104で「NO」の場合)は、そのままステップS106に進んで、実装データを変更することなく、基板Bへの部品実装が実行される(ステップS106)。
【0038】
ステップS106での実装処理位置MPaにおける部品実装が完了すると、ステップS107に進んで、表面実装機1での実装枚数N(mnt)が「1」だけインクリメントされる。そして、実装枚数N(mnt)が生産計画枚数以下(ステップS108)であれば、新たな基板が搬入される(ステップS103)。
【0039】
なお、ステップS103では、この基板搬入に同期して、基板Bが実装処理位置MPaから実装処理位置MPbに搬送され、後に続くステップS106では、次の基板B1が実装処理位置MPaで実装されるとともに、これに並行して基板Bへの実装が実装処理位置MPbにて実施される。基板Bへのこの実装は、基板Bに対応する実装データに基づいて実施される。ステップS106での実装処理位置MPaにおける基板B1への部品実装が完了するとともに、実装処理位置MPbにおける基板Bへの部品実装が完了すると、ステップS107、S108が実施され、実装枚数N(mnt)が生産計画枚数以下(ステップS108)であれば、新たな基板(基板B2)が搬入される(ステップS103)。
【0040】
なお、ステップS103では、この基板搬入に同期して、基板B1が実装処理位置MPaから実装処理位置MPbに、基板Bが実装処理位置MPbから実装処理位置MPcにそれぞれ搬送され、後に続くステップS106では、次の基板B2が実装処理位置MPaで実装されるとともに、これに並行して基板Bへの実装が実装処理位置MPcにて基板Bに対応する実装データに基づいて実施され、基板B1への実装が実装処理位置MPbにて基板B1に対応する実装データに基づいて実施される。ステップS106での実装処理位置MPaにおける基板B2、実装処理位置MPbにおける基板B1、及び実装処理位置MPcにおける基板Bそれぞれへの部品実装が完了すると、ステップS107、S108が実施され、実装枚数N(mnt)が生産計画枚数以下(ステップS108)であれば、新たな基板(基板B3)が搬入されるとともに(ステップS103)、この基板搬入に同期して基板B2が実装処理位置MPaから実装処理位置MPbに、基板B1が実装処理位置MPbから実装処理位置MPcにそれぞれ搬送され、且つ、基板Bが実装処理位置MPcから下流機に搬出される。そして、それぞれの実装処理位置MPa〜MPcにて各基板B3〜B1に対応する実装データに基づき各基板B3〜B1への部品実装がされる。
【0041】
なお、ステップS108において、実装枚数N(mnt)が生産計画枚数以上となった時点で、新たな基板の搬入は中止されるが、実装処理位置MPaから実装処理位置MPb、実装処理位置MPbから実装処理位置MPc、実装処理位置MPcから下流機への各基板の搬送、搬出が同期して実施され、実装処理位置MPbと実装処理位置MPcでの各基板への実装、その後の実装処理位置MPbから実装処理位置MPc、実装処理位置MPcから下流機への各基板の搬送、搬出が同期して実施され、実装処理位置MPcでの基板実装と実装処理位置MPcから下流機への基板搬出が終了すると、生産終了(ステップS102)となる。以上が、表面実装機1の動作を示すフローチャートの説明である。
【0042】
続いて、検査機91の動作を示すフローチャート(図5)の説明を行なう。図5に示すように、検査機91では、生産が開始されると(ステップS201)、検査機91での検査枚数を示すN(insp)が「0」にセットされるとともに(ステップS202)、基板Bが検査機91に搬入される(ステップS203)。続いて、上述した方法で、基板Bに実装された全実装部品の実装位置が測定されるとともに(ステップS204)、全実装部品の実装目標位置に対する実装位置誤差が算出される(ステップS205)。こうして、各部品毎の実装位置誤差を実装処理位置MPa〜MPcと対応付けて示す「実装誤差データ」が求められる。
【0043】
また、上述では特に説明しなかったが、この検査機91では実装誤差データに基づいて、基板の良否判定が行われる。具体的には、検査機91では、内蔵するメモリに、図3で示したのと同様の実装目標位置に対する実装精度データが記憶されている。そして、ステップS206において、基板Bに実装された全ての部品について実装位置誤差と実装位置精度とが比較されるとともに、ステップS207において、実装位置誤差が実装位置精度を超える部品が存在するか否かが判断される。そして、このような部品が存在する場合(ステップS207で「YES」の場合)は、ステップS208に進んで、基板良否判定が実行される。具体的には、検査機91がエラー信号を出力するとともに、このエラー信号を知覚した作業者が、目視により基板の良否判定を行なう。ちなみに、このエラー信号としては、ブザー等の音声信号や、検査機91に設けられたディスプレイ(図示省略)に表示される画像信号等を用いることができる。
【0044】
そして、ステップS208での基板良否判定が完了し、作業者が復帰スイッチを押すことでステップS209に進み、ステップS205で求めた実装誤差データがサーバー93に送信される。一方、ステップS207において、実装位置誤差が実装位置精度を超える部品が存在しないと判断される場合(ステップS207で「NO」の場合)は、基板良否判定を行なうこと無く、ステップS209に進んで、ステップS205で求めた実装誤差データがサーバー93に送信される。
【0045】
続いて、検査機91での検査枚数N(insp)が「1」だけインクリメントされるとともに(ステップS210)、基板Bが検査機91より搬出される(ステップS211)。そして、検査枚数N(insp)が生産計画枚数以上となるまで、ステップS203〜ステップS211が繰り返し実行される(ステップS212)。そして、検査枚数N(insp)が生産計画枚数以上となった時点で、生産が終了する(ステップS213)。以上が、検査機91の動作を示すフローチャートの説明である。
【0046】
続いて、サーバー93の動作を示すフローチャート(図6)の説明を行なう。図6に示すように、サーバー93は、生産が開始されると(ステップS301)、検査機91での検査枚数を示すN(insp)を「0」にセットするとともに(ステップS302)、検査機91から実装誤差データを検査結果として受信する(S303)。そして、この実装誤差データは、サーバー93に内蔵されたメモリ932に記憶・蓄積される(図7)。
【0047】
図7は、サーバーのメモリに蓄積された実装誤差データの一例を表として示す図である。同図では、基板Bに実装番号1〜10の10個の部品を実装する場合が例示されている。同図に示すように、メモリ932では、実装処理位置MPaで基板Bに実装された実装番号1〜10の各部品の「部品番号」と「実装位置誤差」とが関連付けられて記憶されている。そして、この実装位置誤差は、新たに測定される度にメモリ932に蓄積されていく。例えば、実装処理位置MPaで実装された実装番号1の部品の実装位置誤差は、1回目、2回目、…、N回目の測定値がそれぞれ「20」、「15」、…、「30」として記憶されている。さらに、これらの平均値も算出されて平均実装誤差としてメモリ932に記憶されている。そして、実装位置MPb、MPcについても同様にして、実装番号1〜10の各部品の「部品番号」と「実装位置誤差」とが関連付けられて記憶されている。
【0048】
実装誤差データのメモリ932への記憶(ステップS303)が完了すると、検査枚数N(insp)が1だけインクリメントされるとともに(ステップS304)、検査枚数N(insp)が生産計画枚数以上となったか否かが判断される(ステップS305)。そして、検査枚数N(insp)が生産計画枚数以上である場合(ステップS305で「YES」の場合)は、ステップS309に進んで生産が終了する一方、検査枚数N(insp)が生産計画枚数未満である場合(ステップS305で「NO」の場合)は、ステップS306に進む。
【0049】
ステップS306では、実装データ再分配が可能か否かが判断される。このステップS306は、実装データ再分配に必要な実装誤差データが揃っているか否かを判断するものである。このステップS306の役割について具体的に説明すると次のとおりである。
【0050】
つまり、図7に示す例では、3つの実装処理位置MPa〜MPcの全てについて、実装番号1〜10の全ての部品毎の実装位置誤差がメモリ932に記憶されていた。しかしながら、1枚の基板Bに対する10個の部品の実装は、実装処理位置MPa〜MPcで分担して行なわれる。したがって、例えば、実装処理位置MPaで3個の部品の実装を行う実装データにより部品実装を行ったとすると、1枚の基板Bを検査することで得られる実装処理位置MPaの実装位置誤差は、これら3個の部品についてのみである。そのため、残りの7個の部品に関する実装処理位置MPaの実装位置誤差については、別の実装データに基づいて部品実装が行なわれた基板Bを検査する必要がある。実際には、電子部品供給装置7a(テープフィーダ)等の変更に伴なって段取り作業が行なわれ、これに応じて実装データが変更された際等に、これら残りの7個の部品に関する実装処理位置MPaの実装位置誤差が測定されて、メモリ932に記憶されることとなる。
【0051】
このような事情から、3つの実装処理位置MPa〜MPcの全てについて、実装番号1〜10の全ての部品毎の実装位置誤差がメモリ932に記憶されているとは限らない。そこで、ステップS306では、再分配に必要な実装誤差データが揃っているかが判断される。具体的には、複数の実装処理位置での実装位置誤差がメモリ932に記憶されているか否かが、部品毎に判断される。ここで、全ての部品について、単一の実装処理位置での実装位置誤差のみがメモリ932に記憶されている場合は、再分配を行うことは不可能であるので、ステップS306からステップS303へと戻る。一方、少なくとも1つの部品について、複数の実装処理位置での実装位置誤差がメモリ932に記憶されていれば、この部品については、複数の実装処理位置を分配候補として選定することができるため、ステップS306で再分配可能と判断されて(「YES」と判断して)、ステップS307に進む。
【0052】
そして、ステップS307で、実装データの再分配が行なわれる(実装位置決定処理)。具体的には、メモリ932に記憶される実装位置誤差のうち、最新の(直近に測定された)実装位置誤差と実装位置精度とが部品毎に比較される。そして、上述と同様にして、実装処理位置MPa〜MPcから分配候補が選定されるとともに、実装処理位置MPa〜MPcそれぞれでの実装時間が平準化するように、分配候補の中から実際に実装を分担する実装処理位置が、部品毎に決定される。図8は、再分配後の実装データの一例を示す図である。同図の例では、実装処理位置MPaでは5つの部品の実装が分担され、実装処理位置MPbでは3つの部品の実装が分担され、実装処理位置MPcでは2つの部品の実装が分担されるように、実装データが再分配されている。そして、続くステップS308で、再分配後の実装データが表面実装機1に送信される。
【0053】
以上に説明したように、この実施形態では、表面実装機1により実際に基板Bに実装された部品の位置が測定され、この測定結果に基づいて、実装処理位置MPa〜MPcで実装された部品の実装位置誤差が、部品毎に各実装処理位置MPa〜MPcと対応付けて求められる。そして、この実装位置誤差と実装位置精度とを部品毎に比較した結果に基づいて、複数の実装処理位置MPa〜MPcのうちから実装を行なう実装処理位置が部品毎に決定される(実装データの再分配)。つまり、各実装処理位置MPa〜MPcで実際に実装された部品の位置を測定して実装位置誤差を求めた結果が、実装位置決定処理にフィードバックされる。したがって、各実装処理位置MPa〜MPcでの実装位置誤差が経時変化した場合であっても、変化後の実装位置誤差を実装位置決定処理に反映させることができる。よって、実装処理位置MPa〜MPcが有する実装位置誤差の経時変化によらず、各実装処理位置MPa〜MPcへの実装部品の分配を適切な状態に維持して、各実装目標位置において各部品に要求される実装位置精度を満足する実装が可能となっている。
【0054】
また、この実施形態における実装データの再分配では、実装位置精度と実装位置誤差とを部品毎に比較した結果、実装位置精度以下(実装位置精度に対して100%以下、実装のばらつきを考慮する場合には、例えば実装位置精度の80%以下、70%以下、あるいは60%以下等)の実装位置誤差で当該部品が実装されたと判断される実装処理位置で当該部品の実装を行なうように決定している。これによって、実装データの再分配実行後の部品実装においては、実装のばらつきがあっても常に実装位置精度の範囲以内に部品を実装することが可能となり、好適である。
【0055】
以上のように、この実施形態では、部品実装システムMSが本発明の「部品実装システム」に相当し、制御プログラム97が本発明の「プログラム」に相当し、記録媒体95が本発明の「記録媒体」に相当する。また、表面実装機1が本発明の「実装処理部」に相当し、実装処理位置MPa〜MPcが本発明の「実装処理位置」に相当し、検査機91が本発明の「測定部」「実装位置誤差取得部」に相当し、サーバー93のメモリ932が本発明の「記憶部」に相当し、サーバー93が本発明の「実装位置決定部」に相当する。また、ステップS204が本発明の「測定工程」に相当し、ステップS205が本発明の「実装誤差取得工程」に相当し、ステップS307が本発明の「実装位置決定工程」に相当し、ステップS106が本発明の「部品実装工程」に相当する。
【0056】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。例えば、上述の図6に代えて、図9に示すフローチャートに従ってサーバー93を動作させても良い。ここで、図9は、サーバーの動作の変形例を示すフローチャートである。図6のフローチャートと図9のフローチャートの違いは、ステップS305の次のステップ(図6でのステップS306、図9でのステップS310)のみであるので、ここではこの差異についてのみ説明し、共通部分については相当符号を付して説明を省略する。
【0057】
図9に示すフローチャートによると、サーバー93は、ステップS305に続いてステップS310を実行し、実装位置誤差が実装位置精度を超える実装部品が存在するか否かが判断する。具体的には、次のとおりである。サーバー93は、932メモリに記憶する実装精度データと実装誤差データとを比較する。そして、この比較結果から、ある部品の実装位置誤差が当該部品に求められる実装位置精度を超えている、あるいは実装位置精度の所定割合(0%より大きく100%未満の割合)を超えていると判明した場合には、サーバー93は、当該部品の実装を分担する実装処理位置を変更するように、実装データを修正する。
【0058】
具体例を挙げると、実装処理位置MPaで実装された実装番号1の部品の実装位置誤差が、当該部品に求められる実装位置精度を超えている場合や、実装のばらつきを考慮して実装位置誤差が実装位置精度に対して例えば実装位置精度の80%、70%、あるいは60%等の所定割合を超える場合には、には、実装番号1の部品の実装を分担する実装処理位置が実装処理位置MPbおよび実装処理位置MPcのいずれかに変更される。つまり、実装処理位置MPaに実装が分配されていた実装番号1の部品が、実装処理位置MPbあるいは実装処理位置MPcに実装が再分配され、これに応じて実装データが修正される。なお、何れの部品についても、実装位置誤差が実装位置精度の範囲以内にある場合や、実装のばらつきを考慮して実装位置誤差が実装位置精度に対して例えば80%以内、70%以内、あるいは60%等の所定割合以内にある場合には、サーバー93は実装データの修正を特に行なわない。このような構成では、実装位置誤差が実装位置精度、あるいは実装位置精度の所定割合を超える実装不良部品が現れたとしても、再分配後の部品実装においては、実装位置精度の範囲以内に部品を実装することが可能となり、好適である。
【0059】
また、上記実施形態では、3個の実装処理位置MPa〜MPcで基板Bへの部品実装が行なわれていた。しかしながら、実装処理位置の個数は3個に限られず、2以上であれば良い。
【0060】
また、上記実施形態では、部品実装システムMSが備える表面実装機1の個数は1個であった。しかしながら、部品実装システムMSが備える表面実装機1の個数はこれに限られず、複数個であっても良い。そこで、例えば、実装処理位置を1つのみ備える表面実装機1を複数並べて部品実装システムMSを構成して、部品実装システムMSに複数の実装処理位置を設けても良い。
【0061】
また、上記実施形態では、1枚の基板Bに実装される部品の個数は10個であったが、これは例示に過ぎず、1枚の基板Bに実装される部品の個数は10個に限られない。
【0062】
また、上記実施形態では、基板Bに実装される複数の部品全てについて、実装処理位置MPa〜MPcより分配候補を選定して、実装処理位置MPa〜MPcへの再分配を行なっていた。しかしながら、基板Bに実装される複数の部品の一部についてのみ、実装処理位置MPa〜MPcへの再分配を行なうように構成することもできる。
【0063】
この際、複数の実装処理位置MPa〜MPcの間で再分配される部品については、実装処理位置MPa〜MPcのいずれにおいても実装ができるように、実装処理位置MPa〜MPcの電子部品供給装置7a〜7cの全てに予めセットしておくと良い。
【0064】
また、上記実施形態では、サーバー93で再分配された実装データが、ローカルエリアネットワークLANを通じて、自動的に表面実装機1の実装プログラム記憶部32へと送信されていた。しかしながら、作業者が、サーバー93で再分配された実装データを確認して、これを表面実装機1の実装プログラム記憶部32へ記憶させても良い。この場合、作業者は、実装プログラム記憶部32へ再分配後の実装データを記憶させるのと同時に、実装処理位置MPa〜MPcの電子部品供給装置7a〜7cのセッティングを変えることができる。よって、実装処理位置MPa〜MPcの電子部品供給装置7a〜7cの全てに、再分配対象部品を予めセットしておく必要は無い。
【0065】
また、上記実施形態では、部品種が同じでも実装目標位置の違いにより要求される実装位置精度が異なる事例を示したが、部品種が同じであれば実装目標位置に違いがあっても要求される実装位置精度が同じで良い場合がある。この場合は、実装位置精度が小さい(すなわち、厳しい実装精度が要求される)部品種については、実装精度の高い実装処理位置に集中させ、実装位置精度が小さい(すなわち、実装精度があまり要求されない)部品種については、実装処理位置MPa〜MPcそれぞれでの実装時間が平準化するように、適宜、実装処理位置MPa〜MPcに再分配するようにすると良い。
【符号の説明】
【0066】
MS…部品実装システム
B…基板
1…表面実装機
3…実装機コントローラ
31…演算処理部
32…実装プログラム記憶部
MPa…実装処理位置
MPb…実装処理位置
MPc…実装処理位置
91…検査機
911…カメラ
912…検査機コントローラ
9121…演算処理部
9122…検査プログラム記憶部
93…サーバー
931…演算処理部
932…メモリ
95…記録媒体
97…制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら前記各実装処理位置で前記基板への部品の実装が可能な実装処理部を備え、前記実装処理部を用いて1枚の前記基板に複数の部品を実装する部品実装システムにおいて、
前記実装処理部により前記基板に実装された部品の位置を測定する測定部と、
前記測定部の測定結果に基づいて、前記実装処理位置で実装された前記部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、前記部品毎に前記各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得部と、
前記部品を実装する際に要求される前記実装目標位置に対する実装位置精度を、前記部品毎に記憶する記憶部と、
前記実装位置精度と前記実装位置誤差とを前記部品毎に比較した結果に基づいて、前記複数の実装処理位置のうちから実装を行なう前記実装処理位置を前記部品毎に決定する実装位置決定処理を行なう実装位置決定部と
をさらに備え、
前記複数の部品のそれぞれは、前記実装位置決定部が決定した前記実装処理位置で前記実装処理部により前記基板に実装されることを特徴とする部品実装システム。
【請求項2】
前記実装位置決定処理は、前記実装位置精度と前記実装位置誤差とを前記部品毎に比較した結果、前記実装位置精度以下の前記実装位置誤差で当該部品が実装されたと判断される前記実装処理位置で当該部品の実装を行なうように決定する処理である請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記実装位置決定部は、前記基板に実装された前記部品のうち、前記実装位置誤差が前記実装位置精度、あるいは前記実装位置精度の所定割合を超える実装不良部品が現れたと、前記測定部の測定結果から判断したときに、前記実装位置決定処理を行う請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら前記各実装処理位置で前記基板への部品の実装が可能な実装処理部を用いて1枚の前記基板に複数の部品を実装する部品実装方法において、
前記実装処理部により前記基板に実装された部品の位置を測定する測定工程と、
前記測定工程での測定結果に基づいて、前記実装処理位置で実装された前記部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、前記部品毎に前記各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得工程と、
前記部品を実装する際に要求される前記実装目標位置に対する実装位置精度と前記実装位置誤差とを前記部品毎に比較した結果に基づいて、前記複数の実装処理位置のうちから実装を行なう前記実装処理位置を前記部品毎に決定する実装位置決定工程と、
前記複数の部品のそれぞれを、前記実装位置決定工程で決定された前記実装処理位置で前記実装処理部により前記基板に実装する部品実装工程と
を備えたことを特徴とする部品実装方法。
【請求項5】
コンピュータを用いて、複数の実装処理位置の間で基板を移動させながら前記各実装処理位置で前記基板への部品の実装が可能な実装処理部に1枚の前記基板に対する複数の部品の実装を実行させるプログラムにおいて、
前記実装処理部により前記基板に実装された部品の位置を、測定部に測定させる測定工程と、
前記測定工程での測定結果に基づいて、前記実装処理位置で実装された前記部品の実装目標位置に対する実装位置誤差を、前記部品毎に前記各実装処理位置と対応付けて求める実装誤差取得工程と、
前記部品を実装する際に要求される前記実装目標位置に対する実装位置精度と前記実装位置誤差とを前記部品毎に比較した結果に基づいて、前記複数の実装処理位置のうちから実装を行なう前記実装処理位置を前記部品毎に決定する実装位置決定工程と、
前記複数の部品のそれぞれを、前記実装位置決定工程で決定された前記実装処理位置で前記基板に実装する動作を前記実装処理部に実行させる部品実装工程と
を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−238705(P2012−238705A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106376(P2011−106376)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】