説明

部材の結合構造、偏心揺動型歯車装置、部材の結合構造の形成方法及び偏心揺動型歯車装置の製造方法

【課題】2つの部材同士の組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それら両部材同士の位置決め精度及び連結強度を確保する。
【解決手段】部材の結合構造は、第1連結穴6bが設けられた第2フランジ6と、第1連結穴6bが延びる方向において第2フランジ6の一方側に配置され、第1連結穴6bと同方向に延びる第1螺子穴8a及びその第1螺子穴8aから第2フランジ6側に連続して延びる第2連結穴8bが設けられたシャフト部8とを結合するものであって、第1連結穴6b及び第2連結穴8bに挿通され、先端側の部分が第1螺子穴8aに螺合される螺子部10aを有するボルト10と、第1連結穴6bと第2連結穴8bに跨るように挿嵌され、ボルト10の螺子部10aの基端側の部分と螺合する第2螺子穴12aを有する位置決め部材12とを備え、位置決め部材12は、ボルト10が締め込まれることによって拡径するような肉厚を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の結合構造、偏心揺動型歯車装置、部材の結合構造の形成方法及び偏心揺動型歯車装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クランク軸の偏心部に取り付けられた外歯歯車を外筒の内面に設けられた内歯に噛み合わせながら揺動回転させることにより、クランク軸に入力される回転から減速した出力回転を得るようにした偏心揺動型歯車装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示された偏心揺動型歯車装置では、外筒内に第1支持フランジと第2支持フランジとが外筒に対して同軸に回転可能に設けられている。第1支持フランジと第2支持フランジとは、外筒の軸方向に互いに離間して配置されており、これら両フランジ間に外歯歯車が配設されている。第1支持フランジには、第2支持フランジ側へ延びる内ピンが一体的に形成されており、当該内ピンは第2支持フランジと結合されている。そして、内ピンは、外歯歯車に軸方向に貫通するように形成された挿通穴に挿通されている。外歯歯車の回転力は、内ピンに付与され、それによって第1支持フランジ、第2支持フランジ及び内ピンは、一体的に外筒に対して相対回転する。
【0004】
内ピンには、その第2支持フランジ側の端面から第1フランジ側へ延びる穴と、その穴から連続してさらに第1フランジ側へ延びる螺子穴とが形成されている。また、第2支持フランジには、内ピンの穴に対応する位置に外筒の軸方向に延びる貫通穴が形成されている。第2支持フランジの貫通穴と内ピンの穴には、それら両方の穴に跨るように円筒状のノックピンが打ち込まれている。そして、連結ボルトが第2支持フランジの貫通穴に挿通されるとともにノックピンを貫通して内ピンの螺子穴に螺合されている。内ピンと第2支持フランジとは、この連結ボルトによって締結されている。
【0005】
第2支持フランジの貫通穴と内ピンの穴に跨るように前記ノックピンが打ち込まれることにより、内ピンと第2支持フランジとの間の高精度な位置決めが可能となっているとともに、内ピンと第2支持フランジとの間に作用する外筒の軸回り方向への力に対する内ピンと第2支持フランジとの連結強度が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−46596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された歯車装置では、内ピンと第2支持フランジとを組み付ける際、第2支持フランジの貫通穴と内ピンの穴にノックピンを圧入すべく、それら両方の穴に跨るようにノックピンを打ち込む必要があるため、内ピンと第2支持フランジとの組み付け作業が煩雑になるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、2つの部材同士の組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それら両部材同士の位置決め精度及び連結強度を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による部材の結合構造は、特定方向に貫通する第1連結穴が設けられた第1部材と、前記第1連結穴が延びる方向において前記第1部材の一方側に配置され、前記第1連結穴と同方向に延びる第1螺子穴及びその第1螺子穴から前記第1部材側に連続して延びる第2連結穴が設けられた第2部材とを結合するための部材の結合構造であって、前記第1連結穴及び前記第2連結穴に挿通され、先端側の部分が前記第1螺子穴に螺合される螺子部を有するボルトと、前記第1連結穴と前記第2連結穴に跨るように挿嵌され、前記ボルトの螺子部の基端側の部分と螺合する第2螺子穴を有する位置決め部材とを備え、前記位置決め部材は、前記ボルトが締め込まれることによって拡径するような肉厚を有する。
【0010】
この部材の結合構造では、位置決め部材が第1連結穴と第2連結穴に跨るように挿嵌されているので、位置決め部材を両連結穴に挿入する際には大きな抵抗がなく、位置決め部材を両連結穴に容易に挿入することができる。このため、2つの部材を組み付ける際に両部材の穴にノックピンを圧入すべくノックピンを打ち込むような従来の構成と異なり、第1部材と第2部材の組み付け作業が煩雑になるのを防ぐことができる。そして、本構成では、位置決め部材を第1連結穴から第2連結穴に向かって両連結穴に跨るように挿嵌することができ、その後、第2部材の第1螺子穴と位置決め部材の第2螺子穴とにボルトを螺合させて締め込むことができる。ここで、本構成では、位置決め部材が、ボルトが締め込まれることによって拡径するような肉厚を有しているので、当該位置決め部材は、ボルトが締め込まれることによって拡径し、両連結穴の内面に押し付けられる。これにより、第2部材と位置決め部材と第1部材とは相互に位置決めされた状態で固定され、その結果、第1部材と第2部材との位置決め精度及び連結強度を確保することができる。従って、本構成では、第1部材と第2部材との組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それら両部材同士の位置決め精度及び連結強度を確保することができる。また、本構成では、第1部材と第2部材を締結するボルトが位置決め部材に内挿されるので、第1部材と第2部材においてボルトによる締結箇所から離れた箇所に位置決め部材を別途設ける場合に比べて、位置決め部材を設けるために必要となる第1部材及び第2部材中のスペースを小さくすることができる。このため、第1部材及び第2部材の小型化を図ることが可能となる。さらに、本構成では、前記ボルトを緩めて取り外せば、位置決め部材を前記両連結穴から容易に抜き出すことができる。このため、メンテナンス時に第1部材と第2部材を容易に分離させることができ、さらにそれら両部材の再組み付けも容易に行える。
【0011】
上記部材の結合構造において、前記第1連結穴の内面には、前記第2部材側の端部が径方向内側に突出するように段部が設けられており、前記位置決め部材には、前記段部に当接して、前記ボルトが締め込まれる際にそのボルトの頭部を受けるワッシャが設けられていることが好ましい。
【0012】
位置決め部材にワッシャが設けられておらず、ボルトが締め込まれる際にそのボルトの頭部が第1連結穴内の段部に押し付けられるような構成では、第1連結穴内の段部がボルトの頭部から受ける押し付け力によって陥没する虞がある。これに対して、本構成によれば、ボルトを締め込む際にそのボルトの頭部をワッシャで受けることができるため、前記段部の陥没を防ぐことができる。
【0013】
上記部材の結合構造において、前記第1連結穴と前記第2連結穴の内周面は、前記第1螺子穴側へ向かうにつれて縮径する連続したテーパー状の内周面を有し、前記位置決め部材は、前記テーパー状の内周面に嵌合するテーパー状の外周面を有していてもよい。
【0014】
このように構成すれば、ボルトを締め込むことによってボルトの頭部により位置決め部材が第1螺子穴側へ押圧され、それによって、位置決め部材のテーパー状の外周面が第1連結穴と第2連結穴のテーパー状の内周面に押し付けられる。この際、位置決め部材から第1部材に第2部材側へ押し付ける分力が作用するため、第1部材と第2部材の互いに接触する端面間に働く摩擦力を増加させることができる。その結果、例えば第1部材と第2部材が一体となって回転するような場合において、両部材間に作用する回転方向への力に対抗するための両部材の連結力をより強化することができる。
【0015】
また、本発明による偏心揺動型歯車装置は、上記いずれかの部材の結合構造が適用された偏心揺動型歯車装置であって、内面に複数の内歯が設けられた外筒と、前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク軸と、前記偏心部に取り付けられ、前記内歯に噛み合いながら前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転する外歯歯車とを備え、前記第1部材と前記第2部材は、前記ボルトにより互いに締結され、前記外歯歯車の回転力が伝達されることにより前記外筒に対してその軸回りに一体的に回転し、前記第1連結穴は、前記第1部材を前記外筒の軸方向に貫通し、前記第1螺子穴及び前記第2連結穴は、この第1連結穴と同方向に延びている。
【0016】
この偏心揺動型歯車装置では、上記部材の結合構造が適用されているため、外筒に対してその軸回りに一体的に回転する第1部材と第2部材との組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それら両部材同士の軸回りにおける位置決め精度及び連結強度を確保することができる。また、この歯車装置では、上記部材の結合構造が適用されているため、第1部材及び第2部材の小型化を図ることが可能であるとともに、メンテナンス時に第1部材と第2部材を容易に分離させること及びそれら両部材を再組み付けすることを共に容易に行うことができる。
【0017】
上記偏心揺動型歯車装置において、当該偏心揺動型歯車装置は、前記外筒内において当該外筒の軸回りに回転可能に設けられた第1フランジを備え、前記外歯歯車は、前記外筒の軸方向に貫通する挿通穴を有し、前記第1部材は、前記外筒の軸方向において前記第1フランジから離間して配置された第2フランジであり、前記第2部材は、前記第1フランジから前記第2フランジへ向かって延び、前記挿通穴に挿通されたシャフト部であってもよい。
【0018】
この構成では、外歯歯車の回転力がシャフト部に付与されて、シャフト部、第1フランジ及び第2フランジが一体的に外筒の軸回りに回転する。そして、外歯歯車の回転力がシャフト部に付与される際、シャフト部と第2フランジとの間には外筒の軸回りの回転方向への力が作用する。本構成では、このような回転方向へ作用する力に対抗するためのシャフト部と第2フランジとの連結強度をボルト及び位置決め部材によって確保することができる。
【0019】
また、本発明による部材の結合構造の形成方法は、上記いずれかの部材の結合構造を形成するための方法であって、前記第1連結穴と前記第2連結穴とが重なるように前記第1部材と前記第2部材とを合わせる合わせ工程と、前記合わせ工程の後、前記位置決め部材を前記第1連結穴と前記第2連結穴とに跨るように前記第1連結穴から前記第2連結穴に向かって挿入する挿入工程と、前記挿入工程の後、前記ボルトを前記第2部材の前記第1螺子穴と前記位置決め部材の前記第2螺子穴とに螺合させて締め込むボルト締め工程とを備えている。
【0020】
この部材の結合構造の形成方法では、第1部材と第2部材とを合わせた状態で位置決め部材を第1連結穴から第2連結穴に向かって挿入し、その後、ボルトを第2部材の第1螺子穴と位置決め部材の第2螺子穴とに螺合させて締め込む。このため、位置決め部材を両連結穴に挿入する際には大きな抵抗を伴うことなく、位置決め部材を両連結穴に容易に挿入することができるとともに、両連結穴に挿入した位置決め部材により第1部材と第2部材とを相互に位置決めした上でボルトによる締結によって両部材を相互に固定することができる。
【0021】
また、本発明による偏心揺動型歯車装置の製造方法は、上記いずれかの偏心揺動型歯車装置を製造するための方法であって、前記第1連結穴と前記第2連結穴とが重なるように前記第1部材と前記第2部材とを合わせる合わせ工程と、前記合わせ工程の後、前記位置決め部材を前記第1連結穴と前記第2連結穴とに跨るように前記第1連結穴から前記第2連結穴に向かって挿入する挿入工程と、前記挿入工程の後、前記ボルトを前記第2部材の前記第1螺子穴と前記位置決め部材の前記第2螺子穴とに螺合させて締め込むボルト締め工程とを備えている。
【0022】
この偏心揺動型歯車装置の製造方法では、第1部材と第2部材とを合わせた状態で位置決め部材を第1連結穴から第2連結穴に向かって挿入し、その後、ボルトを第2部材の第1螺子穴と位置決め部材の第2螺子穴とに螺合させて締め込む。このため、位置決め部材を両連結穴に挿入する際には大きな抵抗を伴うことなく、位置決め部材を両連結穴に容易に挿入することができるとともに、両連結穴に挿入した位置決め部材により第1部材と第2部材とを相互に位置決めした上でボルトによる締結によって両部材を相互に固定することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、第1部材と第2部材の組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それら両部材同士の位置決め精度及び連結強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による偏心揺動型歯車装置の軸方向に沿った断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による偏心揺動型歯車装置の図1中のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1に示した偏心揺動型歯車装置のシャフト部と第2フランジとの締結部を部分的に拡大して示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の変形例による偏心揺動型歯車装置のシャフト部と第2フランジとの締結部を部分的に拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0026】
まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態による部材の結合構造が適用された偏心揺動型歯車装置の構成について説明する。
【0027】
本実施形態による部材の結合構造が適用された偏心揺動型歯車装置(以下、単に歯車装置という)は、例えばロボットの旋回胴や腕関節等の旋回部または各種工作機械の旋回部に減速機として適用されるものであり、クランク軸16の偏心部16a,16bに連動して外歯歯車22,24が内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転することによりクランク軸16に入力される回転から減速した出力回転が得られるように構成された、いわゆる外歯揺動型の歯車装置である。そして、本実施形態の歯車装置は、2つの相手側部材(図示せず)の間に接続され、それら2つの相手側部材のうち一方の相手側部材に前記出力回転を伝達してその一方の相手側部材を他方の相手側部材に対して相対回転させる。
【0028】
具体的には、本実施形態の歯車装置は、図1に示すように、外筒2と、内歯ピン3と、第1フランジ4と、第2フランジ6と、シャフト部8と、ボルト10と、位置決め部材12と、ワッシャ13と、第1主軸受14aと、第2主軸受14bと、クランク軸16と、第1クランク軸受18aと、第2クランク軸受18bと、伝達歯車20と、第1外歯歯車22と、第2外歯歯車24と、第1ころ軸受26aと、第2ころ軸受26bとを備えている。
【0029】
外筒2は、歯車装置の外面を構成するケースとして機能するものであり、略円筒状に形成されている。この外筒2は、図略の前記他方の相手側部材に図略のボルトによって締結される。外筒2の内面には、多数のピン溝2bが形成されている。各ピン溝2bは、外筒2の軸方向に延びているとともに、外筒2の内面に周方向に等間隔で設けられている。
【0030】
内歯ピン3は、前記各ピン溝2bにそれぞれ嵌め込まれている。すなわち、複数の内歯ピン3が外筒2の内面に周方向に等間隔で設けられている。なお、この内歯ピン3は、本発明の内歯の概念に含まれるものである。
【0031】
第1フランジ4は、図略の前記一方の相手側部材に図略のボルトによって締結される。この第1フランジ4は、略円板状に形成されており、外筒2内において第1主軸受14aに支持されることにより外筒2の軸回りに回転可能に設けられている。第1フランジ4は、外筒2の軸方向の一端部近傍に配置されている。また、第1フランジ4には、クランク軸取付穴4a(以下、単に取付穴4aという)が設けられている。この取付穴4aは、図示していないが、第1フランジ4に3つ設けられており、当該3つの取付穴4aは、第1フランジ4の周方向に等間隔に配設されている。
【0032】
第2フランジ6は、略円板状に形成されており、外筒2内において第2主軸受14bに支持されることにより外筒2の軸回りに回転可能に設けられている。この第2フランジ6は、本発明の第1部材の概念に含まれるものである。第2フランジ6は、外筒2の軸方向において第1フランジ4から離間して配置されており、外筒2の軸方向の他端部近傍に配置されている。第2フランジ6には、外筒2の軸方向に貫通するクランク軸取付穴6a(以下、単に取付穴6aという)が設けられている。この取付穴6aは、図示していないが、第2フランジ6に3つ設けられており、各取付穴6aは、前記第1フランジ4の取付穴4aと対応する位置に配設されている。
【0033】
そして、第2フランジ6には、外筒2の軸方向に貫通する第1連結穴6bが設けられている。この第1連結穴6bは、周方向において第2フランジ6の各取付穴6aの間に位置する部位にそれぞれ設けられており、第2フランジ6に合計3つ設けられている。各第1連結穴6bの内面には、第1フランジ4側の端部が当該第1連結穴6bの径方向内側へ突出するように段部6cが設けられている。段部6cは、第1連結穴6bの周方向全体に亘って均一に突出している。すなわち、段部6cが設けられた部位における第1連結穴6bの内径は、第1連結穴6bのうち段部6cが設けられた部位以外の部位(第1フランジ4と反対側の部位)の内径よりも小さくなっている。また、段部6cの第1フランジ4と反対側の面は、外筒2の軸方向に対して垂直な平面となっている。
【0034】
シャフト部8は、第1フランジ4と第2フランジ6とを繋ぐ部分であり、このシャフト部8は、本発明の第2部材の概念に含まれるものである。そして、本発明の一実施形態による部材の結合構造は、このシャフト部8と第2フランジ6とを結合するためのものである。
【0035】
シャフト部8は、図2に示すように、外筒2内において外筒2の周方向に等間隔に3つ設けられている。各シャフト部8は、図1に示すように第1フランジ4に一体的に設けられており、外筒2の軸方向に沿って第1フランジ4から第2フランジ6へ向かって直線的に延びている。すなわち、各シャフト部8は、第2フランジ6に対して外筒2の軸方向(前記第1連結穴6bが延びる方向)における前記他端部側の位置に配置されている。そして、各シャフト部8は、外歯歯車22,24の後述する挿通穴22c,24cに遊びを持った状態で挿通されている。
【0036】
また、各シャフト部8には、図3に示すように、第1螺子穴8aと、第2連結穴8bとが設けられている。
【0037】
第1螺子穴8aは、ボルト10の後述する螺子部10aの先端側の部分と螺合する。第1螺子穴8aは、シャフト部8の長手方向に垂直な断面において略中央部に位置するように配設されている。第1螺子穴8aは、第2フランジ6の前記第1連結穴6bと同方向、すなわち外筒2の軸方向(シャフト部8の長手方向)に延びており、その内面に螺子溝8cが形成されている。
【0038】
第2連結穴8bは、第1螺子穴8aと同軸に配置されており、外筒2の軸方向に沿って第1螺子穴8aから第2フランジ6側に連続して延びている。この第2連結穴8bは、シャフト部8の先端面(第2フランジ6側の端面)において開口している。第2連結穴8bは、第1螺子穴8aよりも大きな内径を有しており、この第2連結穴8bの内径は、第1連結穴6bの段部6cが設けられた部位の内径と等しくなっている。そして、各シャフト部8の第2連結穴8bは、外筒2の周方向において第2フランジ6の各第1連結穴6bに対応する位置に配設されている。
【0039】
そして、各シャフト部8と第2フランジ6とを結合するための本実施形態による部材の結合構造は、ボルト10と、位置決め部材12とを有している。
【0040】
ボルト10は、シャフト部8と第2フランジ6とを締結するためのものであり、3つのシャフト部8を第2フランジ6に締結するために合計3つ設けられている。このボルト10によりシャフト部8と第2フランジ6とが締結されることによって、シャフト部8と両フランジ4,6とが一体となる。各ボルト10は、対応する第1連結穴6b及び第2連結穴8bに挿通される。また、各ボルト10は、螺子部10aと頭部10bとを有する。螺子部10aは、シャフト部8の第1螺子穴8a及び位置決め部材12の後述する第2螺子穴12aと螺合する。
【0041】
位置決め部材12は、第1連結穴6bと第2連結穴8bとに跨るようにそれら両連結穴6b,8bに挿嵌されている。位置決め部材12は、ボルト10によりシャフト部8と第2フランジ6とが締結される前に、前記両連結穴6b,8bに挿嵌されてシャフト部8と第2フランジ6の相互間の位置決めを行うものである。位置決め部材12は、略円管状に形成されており、その軸方向に延びる第2螺子穴12aを有する。第2螺子穴12aは、ボルト10の螺子部10aの基端側の部分と螺合する。すなわち、位置決め部材12は、ボルト10の締結力によってシャフト部8に保持される。第2螺子穴12aの内径は、第1螺子穴8aの内径と等しくなっている。そして、位置決め部材12は、その外周面が第1連結穴6bの内周面、詳細には段部6cが設けられた部位の内周面と、第2連結穴8bの内周面とに接触するとともに、それら両連結穴6b,8bに大きな抵抗を伴わずに挿入できるような外径を有している。すなわち、両連結穴6b,8bに対する位置決め部材12の嵌め合いは、両連結穴6b,8bに手の力で押して挿入できる程度の嵌め合いに設定されている。また、位置決め部材12は、金属製であり、第1螺子穴8a及び第2螺子穴12aに螺合されたボルト10が締め込まれることによって拡径するような肉厚を有する。
【0042】
ワッシャ13は、位置決め部材12のうち第1連結穴6b内に配置される端部に一体的に形成されている。このワッシャ13は、位置決め部材12の端部から径方向外側に突出する鍔状に形成されている。位置決め部材12の軸方向におけるワッシャ13の両面は、外筒2の軸方向に対して垂直な平面となっている。ワッシャ13は、位置決め部材12が第1連結穴6bから第2連結穴8bに向かって挿入される際に段部6cに当接する。そして、その状態で、ワッシャ13は、第1螺子穴8a及び第2螺子穴12aに螺合されたボルト10が締め込まれる際にそのボルト10の頭部10bを受ける。すなわち、このワッシャ13は、ボルト10の頭部10bと段部6cとの間に介在し、ボルト10が締め込まれる際に頭部10bが段部6cに当たるのを防ぐ。
【0043】
クランク軸16は、外筒2内に3つ設けられている(図2参照)。各クランク軸16は、第1フランジ4の対応する取付穴4aと第2フランジ6の対応する取付穴6aにそれぞれ取り付けられている。これにより、3つのクランク軸16は、外筒2内で周方向に等間隔に配置されている。
【0044】
具体的には、各クランク軸16の軸方向の一端部が、第1フランジ4の対応する取付穴4a内に第1クランク軸受18aを介して取り付けられている一方、各クランク軸16の軸方向の他端部から所定長さだけ軸方向内側寄りの部位が、第2フランジ6の対応する取付穴6a内に第2クランク軸受18bを介して取り付けられている。すなわち、各クランク軸16は、クランク軸受18a,18bにより両フランジ4,6に対して回転可能に支持されている。
【0045】
そして、各クランク軸16は、第1偏心部16aと第2偏心部16bとを有する。第1偏心部16aと第2偏心部16bは、クランク軸16のうち両クランク軸受18a,18bによってそれぞれ支持された部位の間の部位に設けられ、クランク軸16の軸方向に並んで配置されている。第1偏心部16aと第2偏心部16bは、それぞれクランク軸16の軸心から所定の偏心量で偏心した円柱状に形成されているとともに、相互間に所定角度の位相差を有するように配置されている。また、クランク軸16の前記他端部は、取付穴6aを通って第2フランジ6から第1フランジ4と反対側に突出しており、その突出した部分に伝達歯車20が設けられている。伝達歯車20には、図略の入力軸に設けられた入力歯車が噛み合っており、図略のモータから入力軸に伝達された回転力が入力歯車及び伝達歯車20を介して各クランク軸16に伝達されるようになっている。
【0046】
第1外歯歯車22と第2外歯歯車24は、外筒2内において第1フランジ4と第2フランジ6との間の空間に外筒2の軸方向に並ぶように配設されている。
【0047】
第1外歯歯車22には、図2に示すように周方向に等間隔に配置された3つの第1偏心部取付穴22aが設けられている。各第1偏心部取付穴22aには、第1ころ軸受26aを介して対応するクランク軸16の第1偏心部16aが挿嵌されている。すなわち、第1外歯歯車22は、各クランク軸16の第1偏心部16aに第1ころ軸受26aを介して取り付けられている。第1外歯歯車22は、外周部に前記内歯ピン3と噛み合う外歯22bを有している。第1外歯歯車22は、第1偏心部16aの偏心回転に連動してその外歯22bにおいて内歯ピン3と噛み合いながら揺動回転する。そして、第1外歯歯車22は、外筒2の軸方向に貫通する3つの挿通穴22cを有している。各挿通穴22cは、第1外歯歯車22の周方向において各第1偏心部取付穴22aの間の部位にそれぞれ配設されている。各挿通穴22cには、上記したように対応するシャフト部8が遊びを持った状態でそれぞれ挿通されている。
【0048】
第2外歯歯車24は、第1外歯歯車22と同様の構造を有している。具体的には、第2外歯歯車24は、各クランク軸16の第2偏心部16bに第2ころ軸受26bを介して取り付けられている。そして、第2外歯歯車24は、第2偏心部16bの偏心回転に連動してその外歯24bにおいて内歯ピン3と噛み合いながら揺動回転する。また、この第2外歯歯車24には、外筒2の軸方向に貫通する3つの挿通穴24cが設けられており、各挿通穴24cに対応するシャフト部8が遊びを持った状態でそれぞれ挿通されている。
【0049】
次に、本実施形態による歯車装置の動作について説明する。
【0050】
まず、図略の駆動モータの駆動によって図略の入力軸が回転される。これにより、入力軸の歯車部から各伝達歯車20を介して各クランク軸16に回転力が入力される。
【0051】
そして、各クランク軸16が回転するのに伴って各クランク軸16の第1偏心部16a及び第2偏心部16bが偏心回転する。それにより、第1偏心部16aの偏心回転に連動して第1外歯歯車22が内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転するとともに、第2偏心部16bの偏心回転に連動して第2外歯歯車24が内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。第1外歯歯車22及び第2外歯歯車24の回転力は、各シャフト部8に付与される。すなわち、前記回転力は、各シャフト部8、第1フランジ4及び第2フランジ6に伝達され、それによって、各シャフト部8、第1フランジ4及び第2フランジ6が外筒2に対して当該外筒2の軸回りに前記入力回転から減速された回転数で一体的に回転する。
【0052】
次に、本実施形態による歯車装置の製造方法のうちシャフト部8と第2フランジ6とを結合させる際のプロセス、すなわち本実施形態による部材の結合構造の形成方法のプロセスについて説明する。
【0053】
シャフト部8と第2フランジ6とを結合させる際には、まず、外歯歯車22,24の各挿通穴22c,24cに対応するシャフト部8を挿通するとともにそれらの外歯歯車22,24を第1フランジ4と第2フランジ6との間に挟み、その状態で、各第1連結穴6bと対応する第2連結穴8bとが重なるようにシャフト部8と第2フランジ6とを合わせる(合わせ工程)。
【0054】
次に、位置決め部材12を各第1連結穴6bと対応する第2連結穴8bとに跨るように挿入する(挿入工程)。この際、位置決め部材12は、大きな抵抗を伴うことなく両連結穴6b,8bに挿入できる。なお、位置決め部材12は、第1連結穴6bから第2連結穴8bに向かってワッシャ13が段部6cに当たるまで挿入する。この位置決め部材12の両連結穴6b,8bへの挿嵌により、各シャフト部8と第2フランジ6との相互間の位置決めが行われる。
【0055】
次に、ボルト10を第1螺子穴8aと第2螺子穴12aとに螺合させて締め込む(ボルト締め工程)。この際、ボルト10を第2螺子穴12aから第1螺子穴8aに向かってねじ込んでいき、頭部10bがワッシャ13に接触した状態で最後にボルト10を締め込む。ここで、図3に示すように、ボルト10の締め込みに応じて、ボルト10の螺子部10aの螺子山10cが第2螺子穴12aの螺子溝12dに対してくさび作用を及ぼし、それによって螺子山10cから位置決め部材12に径方向外側へ向かう力が加えられる。この力によって位置決め部材12は、わずかに拡径し、当該位置決め部材12の外周面が第1連結穴6bの段部6cが設けられた部位の内周面と第2連結穴8bの内周面とに押し付けられる。このことによって、前記両内周面と位置決め部材12の外周面との間に結合力が働く。その結果、シャフト部8と第2フランジ6との間にボルト10による締結力に加えて位置決め部材12による連結力が働く。このようにして、シャフト部8と第2フランジ6との結合が行われる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、位置決め部材12が第1連結穴6bと第2連結穴8bに跨るように挿嵌されるので、位置決め部材12を両連結穴6b,8bに挿入する際には大きな抵抗がなく、位置決め部材12を両連結穴6b,8bに容易に挿入することができる。このため、一体的に回転する2つの部材を組み付ける際に両部材の穴にノックピンを圧入するために打ち込むような構成と異なり、シャフト部8と第2フランジ6の組み付け作業が煩雑になるのを防ぐことができる。そして、本実施形態では、位置決め部材12を第1連結穴6bから第2連結穴8bに向かって両連結穴6b,8bに跨るように挿嵌することができ、その後、シャフト部8の第1螺子穴8aと位置決め部材12の第2螺子穴12aとにボルト10を螺合させて締め込むことができる。ここで、本実施形態では、位置決め部材12が、ボルト10が締め込まれることによって拡径するような肉厚を有しているので、当該位置決め部材12は、ボルト10が締め込まれることによって拡径し、その外面が両連結穴6b,8bの内面に押し付けられる。これにより、シャフト部8と位置決め部材12と第2フランジ6とは相互に位置決めされた状態で固定され、その結果、シャフト部8と第2フランジ6との位置決め精度及び連結強度を確保することができる。従って、本実施形態では、歯車装置において、一体的に回転するシャフト部8と第2フランジ6との組み付け作業が煩雑になるのを防ぎつつ、それらシャフト部8と第2フランジ6との位置決め精度及び連結強度を確保することができる。
【0057】
また、本実施形態では、シャフト部8と第2フランジ6を締結するボルト10が位置決め部材12に内挿されるので、シャフト部8と第2フランジ6においてボルト10による締結箇所から離れた箇所に位置決め部材を別途設ける場合に比べて、位置決め部材12を設けるために必要となるシャフト部8及び第2フランジ6中のスペースを小さくすることができる。このため、シャフト部8及び第2フランジ6の小型化を図ることが可能となる。
【0058】
さらに、本実施形態では、歯車装置のメンテナンス時にボルト10を緩めて取り外せば、位置決め部材12を前記両連結穴6b,8bから容易に抜き出すことができる。このため、メンテナンス時にシャフト部8と第2フランジ6とを容易に分離させることができ、さらにそれらシャフト部8と第2フランジ6との再組み付けも容易に行える。
【0059】
また、本実施形態では、位置決め部材12に、段部6cに当接し、ボルト10が締め込まれる際にそのボルト10の頭部10bを受けるワッシャ13が設けられているため、ボルト10の締め込み時に段部6cがボルト10の頭部10bから受ける押し付け力によって陥没するのを防ぐことができる。
【0060】
また、本実施形態では、外歯歯車22,24の回転力がシャフト部8に付与されて、シャフト部8、第1フランジ4及び第2フランジ6が一体的に外筒2の軸回りに回転する。そして、外歯歯車22,24の回転力がシャフト部8に付与される際、シャフト部8と第2フランジ6との間には外筒2の軸回りの回転方向への応力が作用する。本実施形態では、このような回転方向への応力に対抗するためのシャフト部8と第2フランジ6との連結強度を位置決め部材12によって確保することができる。
【0061】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0062】
例えば、位置決め部材12に設けた前記ワッシャ13は省略してもよい。あるいは、位置決め部材12は、鍔を具備せず、外径が一様な円筒状の部材とするとともに、当該位置決め部材とは別部材のワッシャを設けてもよい。
【0063】
また、図4に示す本発明の一実施形態の変形例のように、第2フランジ6の第1連結穴6bとシャフト部8の第2連結穴8bの内周面は、第1螺子穴8a側へ向かうにつれて縮径する連続したテーパー状の内周面を有し、位置決め部材12は、両連結穴6b,8bのテーパー状の内周面に嵌合するテーパー状の外周面を有していてもよい。
【0064】
具体的には、この変形例では、第1連結穴6bは、第2フランジ6を軸方向に貫通しており、その第1連結穴6bの内面のうちシャフト8側の端部から反対側の端部へ所定長さの範囲がシャフト8側へ向かうにつれて縮径するテーパー状に形成されている。また、第2連結穴8bの内周面は、全体が第1螺子穴8a側へ向かうにつれて縮径するテーパー状に形成されている。そして、この変形例では、位置決め部材12は、両連結穴6b,8bのテーパー状の部分に跨るように第1連結穴6bから第2連結穴8bに向かって挿嵌され、その両連結穴6b,8bのテーパー状の内周面にフィットするテーパー状の外周面を有する。すなわち、位置決め部材12は、両連結穴6b,8bのテーパー状の部分に嵌め込まれた状態で第1螺子穴8a側へ向かうにつれて外径が縮小する円錐台状の外形を有する。
【0065】
この変形例の構成では、ボルト10を締め込むことによってボルト10の頭部10bにより位置決め部材12が第1螺子穴8a側へ押圧され、それによって、位置決め部材12のテーパー状の外周面が両連結穴6b,8bのテーパー状の内周面に押し付けられる。この際、位置決め部材12から第2フランジ6にシャフト部8側へ押し付ける力が作用するため、第2フランジ6とシャフト部8の互いに接触する端面間に働く摩擦力を増加させることができる。その結果、第2フランジ6とシャフト部8が一体となって回転する際にそれら第2フランジ6とシャフト部8との間に作用する回転方向への力に対抗するための第2フランジ6とシャフト部8との連結力をより強化することができる。
【0066】
また、本発明による部材の結合構造及びその形成方法は、上記したシャフト部8と第2フランジ6との結合部以外にも適用することが可能である。
【0067】
例えば、前記一方の相手側部材と第1フランジ4との結合部や、前記他方の相手側部材と外筒2との結合部等に本発明による部材の結合構造及びその形成方法を適用してもよい。
【0068】
また、内歯歯車を備えるとともに、キャリアが外歯を有し、内歯歯車が揺動することによってその内歯と噛み合う外歯とともにキャリアが回転する、いわゆる内歯揺動型の偏心揺動型歯車装置に本発明による部材の結合構造及びその形成方法を適用してもよい。
【0069】
この内歯揺動型の歯車装置は、例えば特開2000−65158号公報に開示されている。すなわち、キャリアは、外筒の径方向内側に位置する部位を有するとともに外筒と同軸状に配置されている。外筒の径方向内側の位置において、キャリアの外周面には外歯が設けられている。そして、キャリアと外筒との間には、キャリアの外歯に噛み合う内歯を内周面に有する環状の歯車部材が配設されており、この歯車部材には、クランク軸の偏心部が嵌め込まれる貫通孔が形成されている。クランク軸は、入力軸から直接又はスパーギアを介して回転力を受けて回転する。クランク軸は、キャリアの周方向に複数設けられるとともに外筒に回転可能に支持されており、当該クランク軸の回転によって歯車部材が揺動するようになっている。これにより、歯車部材の内歯に噛み合う外歯を有するキャリアが回転する。このキャリアの回転に伴って、外筒に結合された第1アームに対して、キャリアに結合された第2アームが相対的に回転する。このような内歯揺動型の歯車装置において、外筒と一方の相手側部材である第1アームとの結合部や、キャリアと他方の相手側部材である第2アームとの結合部等に、本発明による部材の結合構造及びその形成方法を適用してもよい。
【0070】
また、シャフト部8が第2フランジ6と一体的に形成されている一方、シャフト部8と第1フランジ4とが別体に形成されているような構成において、このシャフト部8と第1フランジ4との結合部に本発明の部材の結合構造及びその形成方法を適用してもよい。
【0071】
また、第1フランジ4と第2フランジ6との間に設けられる外歯歯車は、1枚もしくは3枚以上であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
2 外筒
3 内歯ピン(内歯)
4 第1フランジ
6 第2フランジ(第1部材)
6b 第1連結穴
6c 段部
8 シャフト部(第2部材)
8a 第1螺子穴
8b 第2連結穴
10 ボルト
10a 螺子部
10b 頭部
12 位置決め部材
12a 第2螺子穴
13 ワッシャ
16 クランク軸
16a 第1偏心部(偏心部)
16b 第2偏心部(偏心部)
22 第1外歯歯車(外歯歯車)
22c 挿通穴
24 第2外歯歯車(外歯歯車)
24c 挿通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定方向に貫通する第1連結穴が設けられた第1部材と、前記第1連結穴が延びる方向において前記第1部材の一方側に配置され、前記第1連結穴と同方向に延びる第1螺子穴及びその第1螺子穴から前記第1部材側に連続して延びる第2連結穴が設けられた第2部材とを結合するための部材の結合構造であって、
前記第1連結穴及び前記第2連結穴に挿通され、先端側の部分が前記第1螺子穴に螺合される螺子部を有するボルトと、
前記第1連結穴と前記第2連結穴に跨るように挿嵌され、前記ボルトの螺子部の基端側の部分と螺合する第2螺子穴を有する位置決め部材とを備え、
前記位置決め部材は、前記ボルトが締め込まれることによって拡径するような肉厚を有する、部材の結合構造。
【請求項2】
前記第1連結穴の内面には、前記第2部材側の端部が径方向内側に突出するように段部が設けられており、
前記位置決め部材には、前記段部に当接して、前記ボルトが締め込まれる際にそのボルトの頭部を受けるワッシャが設けられている、請求項1に記載の部材の結合構造。
【請求項3】
前記第1連結穴と前記第2連結穴の内周面は、前記第1螺子穴側へ向かうにつれて縮径する連続したテーパー状の内周面を有し、
前記位置決め部材は、前記テーパー状の内周面に嵌合するテーパー状の外周面を有する、請求項1に記載の部材の結合構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部材の結合構造が適用された偏心揺動型歯車装置であって、
内面に複数の内歯が設けられた外筒と、
前記外筒内において回転自在に設けられ、偏心部を有するクランク軸と、
前記偏心部に取り付けられ、前記内歯に噛み合いながら前記偏心部の偏心回転に連動して揺動回転する外歯歯車とを備え、
前記第1部材と前記第2部材は、前記ボルトにより互いに締結され、前記外歯歯車の回転力が伝達されることにより前記外筒に対してその軸回りに一体的に回転し、
前記第1連結穴は、前記第1部材を前記外筒の軸方向に貫通し、前記第1螺子穴及び前記第2連結穴は、この第1連結穴と同方向に延びている、偏心揺動型歯車装置。
【請求項5】
前記外筒内において当該外筒の軸回りに回転可能に設けられた第1フランジを備え、
前記外歯歯車は、前記外筒の軸方向に貫通する挿通穴を有し、
前記第1部材は、前記外筒の軸方向において前記第1フランジから離間して配置された第2フランジであり、
前記第2部材は、前記第1フランジから前記第2フランジへ向かって延び、前記挿通穴に挿通されたシャフト部である、請求項4に記載の偏心揺動型歯車装置。
【請求項6】
請求項1に記載の部材の結合構造の形成方法であって、
前記第1連結穴と前記第2連結穴とが重なるように前記第1部材と前記第2部材とを合わせる合わせ工程と、
前記合わせ工程の後、前記位置決め部材を前記第1連結穴と前記第2連結穴とに跨るように前記第1連結穴から前記第2連結穴に向かって挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後、前記ボルトを前記第2部材の前記第1螺子穴と前記位置決め部材の前記第2螺子穴とに螺合させて締め込むボルト締め工程とを備えた、部材の結合構造の形成方法。
【請求項7】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の偏心揺動型歯車装置の製造方法であって、
前記第1連結穴と前記第2連結穴とが重なるように前記第1部材と前記第2部材とを合わせる合わせ工程と、
前記合わせ工程の後、前記位置決め部材を前記第1連結穴と前記第2連結穴とに跨るように前記第1連結穴から前記第2連結穴に向かって挿入する挿入工程と、
前記挿入工程の後、前記ボルトを前記第2部材の前記第1螺子穴と前記位置決め部材の前記第2螺子穴とに螺合させて締め込むボルト締め工程とを備えた、偏心揺動型歯車装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−64219(P2011−64219A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213318(P2009−213318)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【Fターム(参考)】