説明

配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システム

【課題】コンテンツの不正な復号やコピー等を防ぎ、コンテンツの保護を行うことが出来る配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】配信サーバは、コンテンツを含むストリームデータ内にコンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報と、コンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報と、を含ませて、ストリームデータを配信する。クライアント端末は、ストリームデータを受信するストリームデータ受信部と、コンテンツを再生するコンテンツ再生部と、暗号化されたコンテンツを復号するコンテンツ復号部と、を備え、コンテンツ復号部は、コンテンツの選別手順に従いコンテンツ識別情報及びECM識別情報を取得して、ECM識別情報に対応するECMから得られるスクランブル鍵を用いて、コンテンツ選別情報に対応するコンテンツを復号する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータを配信する配信サーバ、ストリームデータを受信してコンテンツの再生を行うクライアント端末及びコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介してコンテンツの配信を行うサービスが広まっている。コンテンツは暗号化されて配信サーバから配信される。セットトップボックス(以下、STBという)やパーソナルコンピュータ(以下、PCという)等のクライアント端末は暗号化されたコンテンツを受信して、コンテンツの復号及び再生を行う。これら配信されるコンテンツの知的財産を保護するために、クライアント端末は、コンテンツを復号する権利の確認やコピー制御を行う機能をもつことが望まれている(非特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献2には、クライアント端末で暗号化されたコンテンツを復号するシステムについての記載がある。このシステムでは、付属するICカードに記憶されている情報に基づいてコンテンツを復号する権利があるかどうかの確認を行い、確認ができた場合にコンテンツの復号を行っている。また、配信サーバは、コンテンツを復号する権利やコピー制御の情報を配信することにより、クライアント端末でのコンテンツの復号やコピーの実行を制御することが出来る(非特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1には、クライアント端末が有するコンテンツを復号する権利の種類を確認して、その権利の種類に応じたビットレートのコンテンツを復号する許可を与えるシステムについての記載がある。高いビットレートのコンテンツを復号する権利を有するクライアント端末では、高いビットレートのコンテンツを復号することができる。低いビットレートのコンテンツを復号する権利のみを有するクライアント端末では、低いビットレートのコンテンツのみを復号することが出来る。
【非特許文献1】"Digital Transmission Content Protection Specification Volume 1"、 Digital Transmission Licensing Administrator、2005年2月28日
【非特許文献2】"Common Interface Specification for Conditional Access and other Digital Video Broadcasting Decoder Applications"、European telecommunications Standards Institute、1997年2月
【非特許文献3】"Specification for Service Information (SI) in DVB systems"、European telecommunications Standards Institute、1998年2月
【非特許文献4】"IEC/ISO 13818-1 Information Technology - Generic coding of moving pictures and associated audio information Systems"、International Organization for Standardization、2000年12月1日
【特許文献1】特開2004−312740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した如くシステムにおいては、クライアント端末が、配信サーバからのコンテンツを復号する権利やコピー制御の情報に従うことを前提としている。しかし、STBやPC等のクライアント端末には、よく知られたオペレーティングシステムが用いられているため、クライアント端末の改造を容易に行うことが出来る。それ故、クライアント端末が、配信サーバからのコンテンツを復号する権利やコピー制御の情報に従わないように改造される場合がある。
【0006】
クライアント端末が、配信サーバからのコンテンツを復号する権利やコピー制御の情報に従わないように改造された場合、コンテンツを復号する権利を有さないクライアント端末でもコンテンツを復号することが可能になってしまう。また、コピーが禁止されているコンテンツのコピーを行うことも可能になってしまう。それ故、コンテンツの不正な復号や不正にコピーされたコンテンツの流出等が発生し、コンテンツの保護を行うことが出来なくなってしまう。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、コンテンツの不正な復号や不正にコピーされたコンテンツの流出等を防ぎ、コンテンツの保護を行うことが出来る配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配信サーバは、ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータをクライアント端末に向けて配信する配信サーバであって、ストリームデータ内にコンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報と、コンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報と、を含ませることを特徴とする。
【0009】
本発明のクライアント端末は、ネットワークを介してストリームデータを受信するストリームデータ受信部と、コンテンツを再生するコンテンツ再生部と、ストリームデータ受信部から暗号化されたコンテンツを受信して当該コンテンツを復号してコンテンツ再生部へ送出するコンテンツ復号部と、を備えるクライアント端末であって、コンテンツ復号部は、コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及び当該コンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得するコンテンツ選別手段と、コンテンツ選別手段が取得したECM識別情報に対応するECMをストリームデータから取得するECM取得手段と、ECM取得手段が取得したECMを復号してスクランブル鍵を得るECM復号手段と、コンテンツ選別手段が取得したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツをスクランブル鍵により復号するコンテンツ復号手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のコンテンツ配信システムは、ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータを受信するストリームデータ受信部とコンテンツを再生するコンテンツ再生部とストリームデータ受信部から暗号化されたコンテンツを受信して当該コンテンツを復号して前記コンテンツ再生部へ送出するコンテンツ復号部を備えるクライアント端末と、ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータをクライアント端末に向けて配信する配信サーバと、からなるコンテンツ配信システムであって、配信サーバは、ストリームデータ内にコンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報と、コンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報と、を含ませ、コンテンツ復号部は、コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及び当該コンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得するコンテンツ選別手段と、コンテンツ選別手段が取得したECM識別情報に対応するECMを前記ストリームデータから取得するECM取得手段と、ECM取得手段が取得したECMを復号してスクランブル鍵を得るECM復号手段と、コンテンツ選別手段が取得したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツをスクランブル鍵により復号するコンテンツ復号手段と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システムの実施例を示している。コンテンツ配信システムは、ネットワーク5を介してストリームデータを配信する配信サーバ1と、ネットワーク5を介してストリームデータを受信して、コンテンツを再生するクライアント端末2から構成されている。配信サーバ1は、ネットワーク5を介してストリームデータをクライアント端末2に向けて配信する。ストリームデータには、暗号化されたコンテンツ、ECM及びプログラムマップテーブル(以下、PMTという)が含まれる。PMTには、コンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報及びコンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報が含まれる。クライアント端末2は、ネットワーク5を介してストリームデータを受信して、ストリームデータに含まれるコンテンツの再生を行うものであり、STB3とコンテンツ復号部4から構成されている。尚、クライアント端末は、STBの代わりにPC等を用いて構成することも出来る。
【0013】
STB3は、ストリームデータを受信して、ストリームデータに含まれるコンテンツの再生を行うものである。ストリームデータ受信部31は、ネットワーク5を介して配信サーバ1から配信されるストリームデータを受信する。また、ストリームデータ受信部31は、受信したストリームデータをコンテンツ復号部4に向けて送出する。コンテンツ再生部32は、コンテンツ復号部4から送出される復号化されたコンテンツを受信して、受信したコンテンツの再生を行う。端末種別情報送出手段33は、クライアント端末2の種別を表す端末種別情報をコンテンツ復号部4に向けて送出する。
【0014】
コンテンツ復号部4は、暗号化されたコンテンツを含むストリームデータを受信して、受信した暗号化されたコンテンツを復号するものである。端末種別情報受信手段41は、端末種別情報送出手段33から送出される端末種別情報を受信する。端末種別判断手段42は、端末種別情報受信手段41が受信した端末種別情報によって表されるクライアント端末の種別が、ストリームデータに含まれる種別指定情報で指定されている種別と一致するかどうかを判断する。コンテンツ選別手段43は、コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及びそのコンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得する。コンテンツ選別手段43は、端末種別判断手段42がクライアント端末の種別と種別指定情報で指定されている種別が一致すると判断した場合に、コンテンツ識別情報及ECM識別情報を取得する。コンテンツ選別手段43は、コンテンツ識別情報を取得すると、取得したコンテンツ識別情報をコンテンツ復号手段47に向けて送出する。また、コンテンツ選別手段43は、ECM識別情報を取得すると、取得したECM識別情報をECM取得手段44に向けて送出する。ECM取得手段44は、コンテンツ選別手段43から送出されるECM識別情報を受信して、受信したECM識別情報に対応するECMをストリームデータから取得する。そして、ECM取得手段44は、取得したECMをECM復号手段46に向けて送出する。ICカード45には、ECMを復号してスクランブル鍵を得るECM復号手段46が含まれている。スクランブル鍵は、暗号化されたコンテンツの復号に使用するものである。ECM復号手段46は、ECM取得手段44から送出されるECMを受信して、受信したECMの復号を行い、スクランブル鍵を取得する。そして、ECM復号手段46は、取得したスクランブル鍵をコンテンツ復号手段47に向けて送出する。コンテンツ復号手段47は、コンテンツ選別手段43から受信したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツを、ECM復号手段46から受信したスクランブル鍵を用いて復号する。そして、コンテンツ復号手段47は、復号したコンテンツをSTB3のコンテンツ再生部32に向けて送出する。
【0015】
図2に、PMTの例を示す。PMTには、種別指定情報やコンテンツ選別情報等が含まれる。PMTの「CA_descriptor」には、種別指定情報やコンテンツ選別情報等を含む情報が記述されている。PMTの「elementary_PID」には、コンテンツ識別情報が記述されている。
【0016】
図3に、PMTの「CA_descriptor」の内容を示す。「CA_PID」には、ECM識別情報が記述されている。「private_data_byte」には、種別指定情報及びコンテンツ選別情報が記述されている。
【0017】
図4に、「private_data_byte」の内容を示す。「private_data_byte」は、「Cont_selector」、「Host_type」及び「Host_function」の項目から構成されている。「Cont_selector」の項目には、コンテンツ選別情報が記述されている。「Host_type」には、クライアント端末の種別が記述されている。「Host_function」の項目には、クライアント端末が有する機能が記述されている。種別指定情報は、「Host_type」の項目及び「Host_function」の項目から構成される。
【0018】
図5に、コンテンツ選別情報が記述されている「Cont_selector」の内容を示す。「Cont_select_protocol」の項目には、コンテンツの選別手順が記述されている。「ES_pid」の項目には、コンテンツ識別情報が記述されている。「ECM_pid」の項目には、ECM識別情報が記述されている。
【0019】
図6に、「Host_type」の値とクライアント端末の種別の対応を表すテーブルを示す。「Host_type」の値「01」は、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)なしのSTBに対応している。「Host_type」の値「02」は、HDDありのSTBに対応している。「Host_type」の値「03」は、PCに対応している。「Host_type」の値「04」は、携帯情報端末に対応している。「Host_type」の値「05」は、携帯電話に対応している。「Host_type」の値「06」は、ゲートウェイに対応している。
【0020】
図7に、「Host_function」の値とクライアント端末が有する機能との対応を表すテーブルを示す。「Host_function」の1ビット目は、コピー保護機能に対応している。「Host_function」の2ビット目は、ストリーム蓄積時の暗号化機能に対応している。「Host_function」の3ビット目は、ファイル蓄積時の暗号化機能に対応している。「Host_function」の4ビット目は、ドメイン制御機能に対応している。「Host_function」の5ビット目は、Ethernet(登録商標)ポートに対応している。「Host_function」の6ビット目は、セキュリティプロセッサに対応している。
【0021】
図8は、クライアント端末2で、受信したストリームデータに含まれる暗号化されたコンテンツの復号及び再生を行う場合の動作を示した図である。
【0022】
STB3の端末種別情報送出手段33は、クライアント端末2の種別を表す端末種別情報をコンテンツ復号部4の端末種別情報受信手段41に向けて送出する(ステップS801)。このとき送出される端末種別情報の例を図9に示す。端末種別情報は、パスワード等の「認証情報」、クライアント端末の種別を表す「Host_type」、クライアント端末が有する機能を表す「Host_function」の項目から構成されている。端末種別情報受信手段41は、端末種別情報を受信すると、受信した端末種別情報を端末種別判断手段42に向けて送出する(ステップS802)。
【0023】
STB3のストリームデータ受信部31は、ストリームデータを受信すると、受信したストリームデータからPMTを取得してコンテンツ復号部4のコンテンツ選別手段43に向けて送出する(ステップS803)。また、受信したストリームデータをコンテンツ復号部4のECM取得手段44及びコンテンツ復号手段47に向けて送出する(ステップS804〜S805)。コンテンツ選別手段43は、PMTを受信すると、受信したPMTに基づきコンテンツ選別処理を行うかどうかを判断する。ここでは、コンテンツ選別処理を行うと判断されたとする。この場合、コンテンツ選別手段43は、PMTに含まれる種別指定情報で指定されている種別とクライアント端末2の種別が一致するかどうかを判断するように端末種別判断手段42へ端末種別判断指令を出す(ステップS806)。
【0024】
端末種別判断手段42は、端末種別判断指令を受信すると、S802で受信した端末種別情報の「認証情報」の項目に記載されている内容が正しいことを確認する。正しいことが確認できたら、端末種別情報の「Host_type」及び「Host_function」の項目で表されるクライアント端末の種別と種別指定情報で指定されている種別が一致しているかどうかの判断を行う。そして、端末種別判断手段42は、判断結果をコンテンツ選別手段43に向けて送出する(ステップS807)。ここでは、クライアント端末の種別が種別指定情報に指定されている種別と一致すると判断されて、その判断結果がコンテンツ選別手段43へ送出されたとする。
【0025】
コンテンツ選別手段43は、種別が一致するとした判断結果を受信すると、コンテンツ選別処理を行う(ステップS808)。コンテンツ選別処理では、PMTに含まれるコンテンツ選別情報のコンテンツの選別手順に従い、再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及びそのコンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得する。コンテンツ選別手段43は、コンテンツ識別情報を取得すると、取得したコンテンツ識別情報をコンテンツ復号手段47に向けて送出する(ステップS809)。また、コンテンツ選別手段43は、ECM識別情報を取得すると、取得したECM識別情報をECM取得手段44に向けて送出する(ステップS810)。
【0026】
ECM取得手段44は、ECM識別情報を受信すると、受信したECM識別情報に対応するECMをストリームデータから取得する。そして、ECM取得手段44は、取得したECMをECM復号手段46に向けて送出する(ステップS811)。ECM復号手段46は、ECMを受信すると、受信したECMを復号してスクランブル鍵を取得する。そして、ECM復号手段46は、取得したスクランブル鍵をコンテンツ復号手段47に向けて送出する(ステップS812)。
【0027】
コンテンツ復号手段47は、コンテンツ識別情報及びスクランブル鍵を受信すると、コンテンツ復号処理を行う(ステップS813)。コンテンツ復号処理では、受信したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツを、受信したスクランブル鍵を用いて復号する。そして、コンテンツ復号手段47は、復号したコンテンツをSTB3のコンテンツ再生部32に向けて送出する(ステップS814)。
【0028】
STB3のコンテンツ再生部32は、復号したコンテンツを受信すると、受信したコンテンツの再生を行う(ステップS815)。
【0029】
図10に、コンテンツ復号部4のコンテンツ選別手段43で実行されるコンテンツ選別ルーチンの動作を示す。コンテンツ選別ルーチンは、コンテンツ選別手段43がPMTを受信すると実行される。
【0030】
コンテンツ選別手段43は、STB3のストリームデータ受信部31からPMTを受信する(ステップS1001)。PMTを受信した後、コンテンツ選別手段43は、コンテンツ選別が必要かどうかの判断を行う(ステップS1002)。コンテンツ選別が必要かどうかの判断は、コンテンツ選別情報が記述されている「Cont_selector」の値に基づいて行う。コンテンツ選別手段43は、PMTの中の「Cont_selector」の項目を読み出して、その値を確認する。「Cont_selector」の値が「0」の場合は、コンテンツ選別が必要でないと判断する。「Cont_selector」の値が「0」でない場合は、コンテンツ選別が必要であると判断する。
【0031】
コンテンツの選別が必要であると判断した場合、コンテンツ選別手段43は、端末種別判断指令を端末種別判断手段42へ出す(ステップS1003)。このとき、コンテンツ選別手段43は、PMTの「Host_type」及び「Host_function」の項目に記述されている種別指定情報を読み出して、その種別指定情報を端末種別判断指令に含ませて送出する。端末種別判断手段42は、コンテンツ選別手段43からの指令を受けると、端末種別送出手段33から送出された端末種別情報で表されるクライアント端末の種別と、種別指定情報で指定されている種別が一致するかどうかの判断を行う。そして、端末種別判断手段42は、判断結果をコンテンツ選別手段43へ送出する。
【0032】
コンテンツ選別手段43は、端末種別判断手段42から判断結果を受信すると、その判断結果から、クライアント端末の種別と種別指定情報で指定されている種別が一致するかどうかの判断を行う(ステップS1004)。端末の種別が一致することを表す判断結果を受信した場合は、端末の種別が一致すると判断する。端末の種別が一致しないことを表す判断結果を受信した場合は、端末の種別が一致しないと判断する。
【0033】
端末の種別が一致すると判断した場合、コンテンツ選別手段43は、PMTの「Cont_select_protocol」の項目を読み出す。そして、読み出した「Cont_select_protocol」に記述されているコンテンツの選別手順に従いコンテンツの選別を行い、コンテンツ識別情報及びECM識別情報を取得する処理を行う(ステップS1005)。
【0034】
図11に、「Cont_select_protocol」の値とコンテンツの選別手順の対応を表すテーブルを示す。
【0035】
「Cont_select_protocol」の1ビット目が「1」になっている場合は、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報を復号対象のコンテンツ識別情報とする。
【0036】
「Cont_select_protocol」の2ビット目が「1」になっている場合は、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報を取得対象のECM識別情報とする。
【0037】
「Cont_select_protocol」の3ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報及び「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報に対応するコンテンツを多重化することを表す情報を復号対象のコンテンツ識別情報とする。
【0038】
「Cont_select_protocol」の4ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報に、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報を加算した値を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報に、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報を加算した値を取得対象のECM識別情報とする。
【0039】
「Cont_select_protocol」の5ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報に、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報を乗算した値を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報に、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報を乗算した値を取得対象のECM識別情報とする。
【0040】
「Cont_select_protocol」の6ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報と、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報とで排他的論理和を計算した結果を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報と、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報とで排他的論理和を計算した結果を取得対象のECM識別情報とする。
【0041】
「Cont_select_protocol」の7ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報と、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報とで論理積を計算した結果を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報と、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報とで論理積を計算した結果を取得対象のECM識別情報とする。
【0042】
「Cont_select_protocol」の8ビット目が「1」になっている場合は、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報と、「Cont_selector」の「ES_pid」の項目に記述されているコンテンツ識別情報とで論理和を計算した結果を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報と、「Cont_selector」の「ECM_pid」の項目に記述されているECM識別情報とで論理和を計算した結果を取得対象のECM識別情報とする。
【0043】
コンテンツの選別手順に従いコンテンツの選別を行った後、コンテンツ選別手段43は、復号対象のコンテンツ識別情報としたコンテンツ識別情報をコンテンツ復号手段47に向けて送出する(ステップS1006)。また、コンテンツ選別手段43は、取得対象のECM識別情報としたECM識別情報をECM取得手段44に向けて送出する(ステップS1007)。
【0044】
S1002の処理でコンテンツの選別が必要でないと判断した場合及びS1004の処理で端末の種別が一致しないと判断した場合、コンテンツ選別手段43は、コンテンツの選別を行わずに、復号対象のコンテンツ識別情報及び取得対象のECM識別情報を設定する処理を行う(ステップS1008)。この処理では、PMTの「elementary_PID」に記述されているコンテンツ識別情報を復号対象のコンテンツ識別情報とする。また、「CA_descriptor」の「CA_PID」に記述されているECM識別情報を取得対象のECM識別情報とする。
【0045】
そして、コンテンツ選別手段43は、復号対象のコンテンツ識別情報としたコンテンツ識別情報をコンテンツ復号手段47に向けて送出する(ステップS1006)。また、コンテンツ選別手段43は、取得対象のECM識別情報としたECM識別情報をECM取得手段44に向けて送出する(ステップS1007)。
【0046】
このように、クライアント端末2の種別とPMTの種別指定情報で指定されている種別が一致した場合に、コンテンツの選別を行っているので、種別が一致した場合と一致しない場合とで、復号対象となるコンテンツを違うものにすることが出来る。例えば、クライアント端末2の種別とPMTの種別指定情報で指定されている種別が一致した場合には、高いビットレートのコンテンツの復号を許可し、一致しない場合には、低いビットレートのコンテンツしか復号を許可しないようにすることが出来る。
【0047】
上記説明したように、本発明の配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システムでは、配信サーバから配信されるストリームデータに含まれるコンテンツ識別情報に従い、コンテンツ復号部でコンテンツの選別を行って、選別されたコンテンツを復号している。コンテンツ復号部は、STBやPC等のようによく知られたオペレーティングシステムを使用する必要がないため、改造が困難である。それ故、コンテンツの不正な復号や不正にコピーされたコンテンツの流出等を防ぎ、コンテンツの保護を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例である配信サーバ、クライアント端末及びコンテンツ配信システムを示すブロック図である。
【図2】図1の実施例のプログラムマップテーブルの例を示す図である。
【図3】図1の実施例のCA_descriptorの例を示す図である。
【図4】図1の実施例のprivate_data_byteの例を示す図である。
【図5】図1の実施例のCont_selectorの例を示す図である。
【図6】図1の実施例のHost_typeとクライアント端末の種別の対応を表すテーブルの例を示す図である。
【図7】図1の実施例のHost_functionとクライアント端末が有する機能の対応を表すテーブルの例を示す図である。
【図8】図1の実施例のコンテンツの復号及び再生の動作を示すシーケンス図である。
【図9】図1の実施例の端末種別情報の例を示す図である。
【図10】図1の実施例のコンテンツ選別ルーチンの動作を示すフローチャートである。
【図11】図1の実施例のCont_select_protocolとコンテンツの選別手順の対応を表すテーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 配信サーバ
2 クライアント端末
3 セットトップボックス
31 ストリームデータ受信部
32 コンテンツ再生部
33 端末種別情報送出手段
4 コンテンツ復号部
41 端末種別情報受信手段
42 端末種別判断手段
43 コンテンツ選別手段
44 ECM取得手段
46 ECM復号手段
47 コンテンツ復号手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータをクライアント端末に向けて配信する配信サーバであって、
前記ストリームデータ内に前記コンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報と、コンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報と、を含ませることを特徴とする配信サーバ。
【請求項2】
前記ネットワークを介して前記ストリームデータを受信するストリームデータ受信部と、前記コンテンツを再生するコンテンツ再生部と、前記ストリームデータ受信部から暗号化されたコンテンツを受信して当該コンテンツを復号して前記コンテンツ再生部へ送出するコンテンツ復号部と、を備えるクライアント端末であって、
前記コンテンツ復号部は、前記コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及び当該コンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得するコンテンツ選別手段と、前記コンテンツ選別手段が取得したECM識別情報に対応するECMを前記ストリームデータから取得するECM取得手段と、前記ECM取得手段が取得したECMを復号してスクランブル鍵を得るECM復号手段と、前記コンテンツ選別手段が取得したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツを前記スクランブル鍵により復号するコンテンツ復号手段と、を有することを特徴とするクライアント端末。
【請求項3】
前記クライアント端末は、自身の種別を表す端末種別情報を前記コンテンツ復号部へ送出する端末種別情報送出手段を有し、
前記コンテンツ復号部は、前記端末種別情報を受信する端末種別情報受信手段と、前記端末種別情報受信手段が受信した端末種別情報によって表されるクライアント端末の種別が前記ストリームデータに含まれる種別指定情報で指定されている種別と一致するかどうかを判断する端末種別判断手段と、を有し、
前記コンテンツ選別手段は、前記端末種別判断手段が一致すると判断した場合に、前記コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及び当該コンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得することを特徴とする請求項2記載のクライアント端末。
【請求項4】
ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータを受信するストリームデータ受信部と前記コンテンツを再生するコンテンツ再生部と前記ストリームデータ受信部から暗号化されたコンテンツを受信して当該コンテンツを復号して前記コンテンツ再生部へ送出するコンテンツ復号部を備えるクライアント端末と、ネットワークを介してコンテンツを含むストリームデータを前記クライアント端末に向けて配信する配信サーバと、からなるコンテンツ配信システムであって、
前記配信サーバは、前記ストリームデータ内に前記コンテンツ毎の再生対象クライアント端末の種別を指定する種別指定情報と、コンテンツの選別手順を記述したコンテンツ選別情報と、を含ませ、
前記コンテンツ復号部は、前記コンテンツ選別情報に記述されているコンテンツの選別手順に従い再生が許可されたコンテンツを表すコンテンツ識別情報及び当該コンテンツに対応するECMを表すECM識別情報を取得するコンテンツ選別手段と、前記コンテンツ選別手段が取得したECM識別情報に対応するECMを前記ストリームデータから取得するECM取得手段と、前記ECM取得手段が取得したECMを復号してスクランブル鍵を得るECM復号手段と、前記コンテンツ選別手段が取得したコンテンツ識別情報に対応するコンテンツを前記スクランブル鍵により復号するコンテンツ復号手段と、を有することを特徴とするコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−205586(P2008−205586A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36502(P2007−36502)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】