説明

配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システム

【課題】 面倒な操作を必要とせずに、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データ及びメッセージデータを提供する。
【解決手段】 ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機10と、メッセージデータ格納手段16と、デジタル音楽データを再生する再生装置20と、楽曲IDデータを取得する楽曲ID取得手段12と、再生装置20に設定された業種選定種別を識別する接続再生装置識別手段13と、楽曲・メッセージ選定データテーブル15を参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別が設定された再生装置20がある場合には、当該再生装置20に対して当該デジタル音楽データを出力すると共に、所定曲数の再生が行われた場合に、当該業種選定種別に対応したメッセージデータを出力する再生制御手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリーム配信されるデジタル音楽データ及びメッセージデータを再生するためのシステムに関するものであり、例えば、種々の業種が入店しているテナントビルにおいて、各業種に好適に対応したデジタル音楽データを選択的に再生すると共に、曲間にメッセージデータを再生することが可能な配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の店舗、オフィス、クリニック等に設置された再生装置を利用して、BGM(background music)やBGV(background video)を提供するサービスが普及している。このようなサービスでは、例えば、配信するデジタル音楽データを、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンルに分類し、複数のチャンネルにそれぞれジャンル別のBGMデータやBGVデータを割り当てて、有線放送、衛星放送、地上放送等により配信するようになっている。そして、再生装置が設置された店舗等では、それぞれ好みのジャンルに該当するチャンネルを選択して、当該チャンネルに割り当てられた音楽や映像をBGMやBGVとして再生していた。また、BGMやBGVを提供する合間に、顧客の購買意欲を増進させたり、顧客にとって有益な情報を提供したりするためのメッセージを放映するシステムも存在する。
【0003】
このようなシステムとして、ユーザーが受信を所望する音楽放送データを予約して、サーバにおいて予約された音楽放送データを記録しておき、ユーザーは任意の時刻に記録された音楽放送データを視聴することができる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、カラオケ演奏装置において、曲間に広告などのサービス情報を画面表示する技術が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された技術は、カラオケ演奏装置において、前回のサービス情報が表示手段に表示されてから一定時間が経過した後に、初めて楽曲の演奏が終了したときに、次のサービス情報をサービス情報記憶手段から読み出して、表示手段に表示するようになっている。
【0005】
また、カラオケ演奏装置の利用状況、サブコンテンツ(例えば、セールス情報、コンサート情報、新譜情報、ゲーム)の内容や性格、カラオケ店経営者の意向などに合わせて、多彩なサブコンテンツ出力計画制御を簡単な設定操作にて実現することができる技術が開示されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載された技術は、所定時間当たりにサブコンテンツを出力すべき回数に相関した出力頻度計画値を設定する手段と、所定時間当たりに演奏されると予測される曲数に相関した演奏頻度推定値を過去の演奏実績に基づいて算出する手段と、出力頻度計画値と演奏頻度推定値とに基づいて、サブコンテンツの出力機会が時間的にほぼ均等に分布するように、各曲間においてサブコンテンツを出力するか否かを決定するとともに、出力する場合には1回の曲間でいくつのサブコンテンツを出力するのかを決定する手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−287193号公報
【特許文献2】特開平6−102892号公報
【特許文献3】特開2003−316370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、予めジャンルが設定されたチャンネルを選択することにより、当該チャンネルに割り当てられたジャンルの音楽や映像をBGMやBGVとして再生する技術では、おおまかには各店舗等の雰囲気に合った音楽を再生することができるが、元々、ジャンル別の分類は個々の業種に対応したものではないため、各店舗の雰囲気にそぐわない楽曲が含まれている場合もあった。すなわち、各業種ではそれぞれ好適なジャンルの音楽や映像があり、例えば、アパレル店では活気のある楽曲、クリニックでは患者の気持ちを鎮める楽曲、美容院では爽やかな印象を与える楽曲等が好まれる傾向にある。しかし、従来のチャンネル別のジャンル設定では、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンルにより配信する楽曲及び背景映像を区分しており、必ずしも各チャンネルに設定されたジャンルが各店舗の雰囲気に合致しているとは言えなかった。
【0008】
また、ユーザーが受信を所望する音楽放送データを予約してサーバに記録させるようにした技術では、ユーザー側で一々予約操作を行わなければならず、ユーザーの手間が増大するという問題があった。特に、楽曲再生の合間にコマーシャルメッセージやその他のメッセージを提供する場合には、メッセージの挿入箇所を手入力で設定しなければならず、さらにユーザーの手間が増大するという問題があった。
【0009】
また、テナントビルにおいて、一括してデジタル音楽データの受信設備を設置し、各店舗に設置された再生装置に音楽放送を配信することも考えられる。しかし、この場合にも、マニュアル操作により、受信したデジタル音楽データを各店舗の雰囲気に合致するように分類して抽出しなければならず、効率が悪く現実的ではない。
【0010】
さらに、業種に応じて楽曲を抽出するためのインデックスデータをデジタル音楽データに組み込むことも考えられるが、これではデジタル音楽データの作成に手間がかかる。また、各デジタル音楽データを異なる業種に適用することができなくなり、汎用性に欠けることになる。
【0011】
なお、特許文献2及び特許文献3に記載された技術は、カラオケ演奏装置において、曲間にコマーシャル等の情報を提供するための技術であり、ストリーム配信されるデジタル音楽データを選択的に記録するための技術に対してそのまま適用することはできない。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、面倒な操作を必要とせずに、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データを抽出して、適切なメッセージと共に提供するシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムは、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機と、これに接続されて当該デジタル音楽データを再生する少なくとも1つの再生装置と、メッセージデータを格納するメッセージデータ格納手段とを有し、デジタル音楽データ及びメッセージデータを所定の業種の種別に対応付けた選定条件に従い再生装置で再生させるための配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムであって、楽曲ID取得手段と、接続再生装置識別手段と、再生制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、楽曲ID取得手段は、ストリーム配信されるデジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得するための手段である。接続再生装置識別手段は、現に接続されている再生装置に予め設定された、再生楽曲及びメッセージデータを選定する業種選定種別を識別するための手段である。再生制御手段は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた所定の楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別が設定された再生装置がある場合には、当該再生装置に対してデジタル音楽データを出力すると共に、出力されたデジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積再生時間となった場合に、当該再生装置の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを、当該再生装置に対して出力するための手段である。
【0015】
このような構成からなる配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムでは、例えば、有線放送や無線放送によりデジタル音楽データがストリーム配信され、各店舗にそれぞれ設置された再生装置により、デジタル音楽データを再生するようになっている。また、デジタル放送受信機には、複数の業種にそれぞれ対応したメッセージデータが格納されており、各店舗にそれぞれ設置された再生装置により、当該店舗の業種に適切なメッセージデータを再生するようになっている。
【0016】
本発明では、テナントビルの管理室等にデジタル放送受信機を設置して、各店舗で再生するデジタル音楽データを一括して受信する。また、デジタル放送受信機には少なくとも1つの再生装置が接続されており、この再生装置によりデジタル音楽データ及びメッセージデータを再生することができる。再生装置には、再生する音楽データ及びメッセージデータの種別を選定するための業種選定種別データが設定されており、接続再生装置識別手段の機能により、当該再生装置に設定された業種選定種別が識別される。
【0017】
そして、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し、このデジタル音楽データに含まれる楽曲IDを楽曲ID取得手段により取得する。また、デジタル放送受信機は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた楽曲・メッセージ選定データテーブルを備えており、再生制御手段の機能により、楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別が設定された再生装置がある場合には、当該再生装置に対して当該デジタル音楽データを出力する。さらに、出力されたデジタル音楽データが所定の曲数となった場合、又は所定の累積再生時間となった場合に、当該再生装置の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該再生装置に対して出力する。
【0018】
また、上述した構成に加えて、再生装置は、さらに記憶制御手段を備えた構成とすることが可能である。ここで、記憶制御手段は、再生制御手段が出力したデジタル音楽データ及びメッセージデータを所定の記憶部に順次記憶すると共に、当該記憶部に記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータが順次再生される毎に、所定の記憶容量となるまで、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを順次消去するための機能を有している。
【0019】
このような構成からなる配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムでは、各再生装置に出力されるデジタル音楽データ及びメッセージデータが記憶部に一時的に記憶された後に順次再生される。そして、記憶制御手段の機能により、再生が終了したデジタル音楽データ及びメッセージデータは順次消去されるが、この際、記憶部に記憶されているデジタル音楽データ及びメッセージデータが所定の記憶容量以下とならないような制御が行われる。
【0020】
また、記憶制御手段による制御は、予め設定されたタイムスケジュールに従って行わせることもできる。この場合には、例えば、店舗の開店時間から閉店時間までの間はデジタル音楽データ及びメッセージデータの再生を行い、店舗の閉店時間から開店時間までの間はデジタル音楽データ及びメッセージデータの再生を行わずに、デジタル音楽データの記憶のみを行う。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムによれば、予め、各店舗に再生装置を設置し、各再生装置には、当該店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能な楽曲を提供すると共に、各店舗の利用者にとって有益なメッセージデータを提供するための業種選定種別を設定しておくだけで、当該再生装置に設定された業種選定種別に対応したデジタル楽曲データ及びメッセージデータが自動的に再生される。
【0022】
したがって、面倒な手間を要することなく、各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能なデジタル音楽データや、各店舗の利用者にとって有益なメッセージデータを再生することができるので、効率よく適切なデジタル音楽データ及びメッセージデータの配信を行うことが可能となる。
【0023】
また、各再生装置に配信されるデジタル音楽データ及び対応するメッセージデータを記憶部に記憶した後に順次再生すると共に、再生が終了したデジタル音楽データ及びメッセージデータが所定の記憶容量以下とならないように消去する制御を行う構成とした場合には、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生が途切れることがなくなり、安定して各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことが可能となる。
【0024】
また、店舗の閉店時間から開店時間までの間にデジタル音楽データ及びメッセージデータを記憶部に蓄積しておき、蓄積されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを開店時間から閉店時間までの間に再生すれば、さらに効率よく各店舗の業種に応じて適切な雰囲気を作り出すことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムの構成を示す機能ブロック図。
【図2】楽曲・メッセージ選定データテーブルの構成を示す説明図。
【図3】デジタル音楽データの構成を示す説明図。
【図4】デジタル音楽データ出力処理を示すフローチャート。
【図5】メッセージデータ出力処理を示すフローチャート。
【図6】データ記憶再生処理の一例を示すフローチャート。
【図7】データ記憶再生処理の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムの実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムの構成を示す機能ブロック図、図2は楽曲・メッセージ選定データテーブルの構成を示す説明図、図3はデジタル音楽データの構成を示す説明図、図4はデジタル音楽データ出力処理のフローチャート、図5はメッセージデータ出力処理を示すフローチャート、図6及び図7はデータ記憶再生処理のフローチャートである。
【0027】
<配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムの概要>
本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムは、テナントビル等に入居している各種の店舗、オフィス、クリニック等に設置された再生装置を利用して、BGMやBGV等のデジタル音楽データ及びメッセージデータを提供するためのシステムであり、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し、予め設定された業種の種別に対応付けた選定基準に従い、受信したデジタル音楽データを抽出すると共に、曲間にメッセージデータを挿入し、再生装置にて再生することができるようになっている。
【0028】
<配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムの構成>
本発明の実施形態に係る配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムは、図1に示すように、テナントビルの管理室等に設置されたデジタル放送受信機10及び各店舗等に設置された再生装置20a〜20eにより構成されるシステムであり、デジタル放送受信機10は、受信手段11と、楽曲ID取得手段12と、接続再生装置識別手段13と、再生制御手段14と、楽曲・メッセージ選定データテーブル15と、メッセージデータ格納手段16と、を備えており、再生制御手段14はカウンタ17を含んでいる。なお、メッセージデータ格納手段16には、パーソナルコンピュータ等からメッセージデータが入力される。
【0029】
各手段は、CPU、ROM、RAM等の機能を有するコンピュータがプログラムに従って動作すると共に、周辺機器の動作を制御することにより、その機能を発揮するようになっている。なお、本実施形態においてプログラムとは、ソフトウエア又はこれと同等の機能を発揮する論理回路のことをいう。また、図示しないが、本実施形態で利用するデジタル放送受信機10は、上述した本発明に特有の機能手段の他に、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するための周知の機能を備えている。
【0030】
<受信手段>
受信手段11は、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するための手段であり、電子回路及びプログラムからなる。なお、デジタル音楽データのストリーム配信は、公衆電話回線、専用通信回線、インターネット回線、無線放送等、どのような方式で配信されるものであってもよい。この受信手段11で受信するデジタル音楽データは、図3に示すように、楽曲毎にヘッダ部及びペイロード部を主要なデータ要素とするものであり、ヘッダ部に楽曲IDデータや演奏時間データが含まれており、ペイロード部に楽曲演奏データが含まれている。ここで、楽曲演奏データとは、演奏音等を発生させるMIDI規格のデジタルデータであってもよいし、これに背景映像データや文字データを加えたものであってもよい。
【0031】
<楽曲ID取得手段>
楽曲ID取得手段12は、受信手段11で受信したデジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得するためのプログラムからなる。この楽曲ID取得手段12の機能により、ストリーム配信されるデジタル音楽データのヘッダ部に含まれる楽曲IDデータを取得する。取得した楽曲IDデータは、デジタル音楽データ及びメッセージデータの抽出に利用される。
【0032】
<接続再生装置識別手段>
接続再生装置識別手段13は、デジタル放送受信機10に接続された再生装置20a〜20eの業種選定種別を識別するためのプログラムからなる。本実施形態の再生装置20a〜20eには、当該再生装置20a〜20eを用いて音楽再生を行う店舗の業種に応じて、適切な雰囲気を作り出すと共に、利用者にとって有益なメッセージを提供することが可能な業種選定種別が記録されている。そして、接続再生装置識別手段13の機能により、再生装置20a〜20eに設定された業種選定種別が識別される。
【0033】
<再生装置>
再生装置20a〜20eは、デジタル音楽データ及びメッセージデータを再生するための装置であり、例えばステレオ再生装置やディスプレイ装置からなる。すなわち、受信したデジタル音楽データ及び選択したメッセージデータが音データだけの場合にはステレオ再生装置で音データを再生し、デジタル音楽データ及びメッセージデータが音データ及び映像データからなる場合にはステレオ再生装置で音データを再生すると共に、ディスプレイ装置により映像データを表示する。デジタル音楽データ及びメッセージデータを再生する部分に相当する機器は、一般に市販されているステレオ再生装置やディスプレイ装置を利用することができる。
【0034】
また、本実施形態の各再生装置20a〜20eは、それぞれ記憶部21a〜21e及び記憶制御手段22a〜22eを備えた構成とすることが可能である。この場合には、各再生装置20a〜20eにて再生されるデジタル音楽データ及びメッセージデータは、記憶部21a〜21eに記憶された後に順次再生される。そして、記憶制御手段22a〜22eの機能により、再生が終了したデジタル音楽データ及びメッセージデータは順次消去されるが、この際、記憶部21a〜21eに記憶されたデジタル音楽データが所定の記憶容量以下とならないような制御が行われる。
【0035】
<記憶部/記憶制御手段>
記憶部21a〜21eは、例えばRAMやHDD等からなり、各再生装置20a〜20eにて再生されるデジタル音楽データ及びメッセージデータを記憶するバッファメモリとして機能する。記憶制御手段22a〜22eは、記憶部21a〜21eに記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータが順次再生される毎に、所定の記憶容量となるまで、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを順次消去するためのプログラムからなる。
【0036】
この記憶制御手段22a〜22eは、例えば、記憶部21a〜21eに記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータをFIFO処理する。すなわち、記憶部21a〜21eには、店舗の開店、閉店に関わらず、常に再生されるデジタル音楽データ及びメッセージデータが次々と記憶されるが、記憶時刻の古いものから再生が行われ、記憶制御手段22a〜22eの機能により、再生が終了したデジタル音楽データ及びメッセージデータは消去される。この際、記憶されるデジタル音楽データ及びメッセージデータの容量が、再生・消去されるデジタル音楽データ及びメッセージデータの容量よりも多い状態が続き、記憶部21a〜21eの記憶容量を超えた場合には、記憶時刻の古いデジタル音楽データ及びメッセージデータから順次消去して、新たに出力されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを記憶してもよいし、記憶部21a〜21eの記憶容量を超えた時点で、新たに出力されたデジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶を行わないようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、記憶部21a〜21eにデジタル音楽データ及びメッセージデータが記憶されておらず、再生するデジタル音楽データ及びメッセージデータがなくなることを防止するため、所定の記憶容量(例えば10曲分程度のデジタル音楽データが記憶された状態)となるまではデジタル音楽データ及びメッセージデータの消去を行い、記憶されるデジタル音楽データ及びメッセージデータの容量が、再生・消去されるデジタル音楽データ及びメッセージデータの容量よりも少ない状態が続き、所定の記憶容量となると、当該デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生が終了しても消去は行わないようにすることが好ましい。これにより、何らかの原因でデジタル音楽データ及びメッセージデータの出力が滞った場合であっても、再生が途切れることがない。
【0038】
さらに、予め設定されたタイムスケジュールに従い、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生を行ってもよい。このような機能を持たせた場合には、例えば、店舗の閉店時間から開店時間までの間にデジタル音楽データ及びメッセージデータを記憶部21a〜21eに蓄積しておき、蓄積されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを、開店時間から閉店時間までの間に再生することができる。
【0039】
<メッセージデータ格納手段>
メッセージデータ格納手段16は、メッセージデータを格納するための手段であり、例えば、HDDやRAM等により構成される。メッセージデータとは、コマーシャル、イベント情報、新製品情報、店舗情報等、各店舗が顧客に対して提供するためのデータであり、業種に応じて複数種類が用意されている。また、各メッセージデータは、固有のメッセージIDを有している。メッセージデータ格納手段16には、メッセージデータ入力手段からメッセージデータが入力される。このメッセージデータ入力手段は、パーソナルコンピュータ等からなる。
【0040】
なお、業種毎に異なるメッセージデータを用意してもよいが、例えば、テナントビルの休館情報やイベント情報のように複数の業種に共通のメッセージデータを用いてもよい。また、各業種に対応するメッセージデータは、それぞれ複数用意することが好ましい。メッセージデータの時間長は特に限定されるものではないが、曲間に挿入した場合に、利用者に不快感や焦燥感を与えない程度の時間長のメッセージであることが好ましい。また、複数種類の時間長からなる複数のメッセージデータを用意することにより、メッセージの提供にバリエーションを持たせることができる。さらに、複数種類のメッセージデータを用意した場合には、各メッセージデータについて提供優先順位を設定してもよく、この場合には、提供優先順位の高い順にメッセージデータを提供したり、提供優先順位の高いメッセージデータの挿入回数を増やしたりすることができる。
【0041】
<カウンタ>
カウンタ17は、各再生装置20a〜20eにそれぞれ出力される楽曲数又は楽曲の累積再生時間をカウントするための電子回路又はプログラムで構成されている。楽曲数をカウントする場合には、各再生装置20a〜20eに楽曲が出力される毎に、当該再生装置20a〜20eに対応するカウンタ値に「1」を加算し、カウンタ値が所定値となってメッセージデータが出力されると、カウンタ値をリセットする。また、楽曲の累積再生時間をカウントする場合には、各再生装置20a〜20eに楽曲が出力される毎に、当該楽曲データに含まれる演奏時間を、当該再生装置20a〜20eに対応するカウンタ値に加算し、カウンタ値が所定値となってメッセージデータが出力されると、カウンタ値をリセットする。
【0042】
<業種選定種別>
再生装置20a〜20eに設定されている業種選定種別とは、従来のチャンネル別の楽曲選定で行われていたように、クラシック、ジャズ、演歌、JPOP等のジャンル別に区分したものではなく、例えば、アパレル店では活気のある楽曲の種別、クリニックでは患者の気持ちを鎮める楽曲の種別、美容院では爽やかな印象を与える楽曲の種別のことであり、本発明では、さらに各業種に適切なメッセージを選定するための基準となるものである。すなわち、本発明では、音楽ジャンルに拘ることなく、各業種の雰囲気にあった楽曲及び各業種に適切なメッセージを選定するために業種選定種別が設定されている。この業種選定種別に基づいて、楽曲・メッセージ選定データテーブル15が構築される。
【0043】
<楽曲・メッセージ選定データテーブル>
楽曲・メッセージ選定データテーブル15は、図2に示すように、業種選定種別と、複数の楽曲IDとを紐付けして構成したデータテーブルである。本実施形態では、A〜Gの7つの業種選定種別が設定されており、各業種選定種別は、それぞれ異なる業種に対応している。この楽曲・メッセージ選定データテーブル15は、デジタル放送受信機10を構成するRAMやHDD等に記憶されている。
【0044】
本実施形態では、図2に示すように、レストラン、アパレル、ホテル、銀行・証券、喫茶店、クリニック、雑貨店にそれぞれ対応して業種選定種別が設定されているが、業種選定種別はこれらに限られず、他の業種に対応するものであってもよいし、「海」、「山」、「虫」、「鳥」、「季節」等、どのようなテーマに対応したものであってもよい。この場合には、各店舗において、その業種にもっともふさわしいと思われるテーマの業種選定種別を選択し、再生装置20a〜20eに当該業種選定種別を設定すればよい。
【0045】
<再生制御手段>
再生制御手段14では、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた楽曲・メッセージ選定データテーブル15を参照し、受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別が設定された再生装置20a〜20eがある場合には、当該再生装置20a〜20eに対してデジタル音楽データを出力すると共に、再生されたデジタル音楽データが所定の曲数となった場合、所定の累積再生時間となった場合、又は所定の時刻となった場合に、当該再生装置20a〜20eの業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該再生装置20a〜20eに対して出力するためのプログラム及び電子回路からなる。この再生制御手段14は、カウンタ17の機能を含んでいる。なお、出力されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを再生装置20a〜20eによりリアルタイムで再生してもよいが、上述したように、記憶部21a〜21eに一旦記憶した後、再生装置20a〜20eにより順次再生してもよい。このように、再生装置20a〜20eに設定された業種選定種別に従って、各店舗に設置された再生装置20a〜20eにてデジタル音楽データ及びメッセージデータを再生することにより、各店舗の雰囲気にあった楽曲や映像及び各店舗の利用者にとって有用なメッセージが再生される。
【0046】
図1に示す例では、再生装置20aに設定された業種選定種別は「A」であるため、対応業種は「レストラン」であると識別され、楽曲・メッセージ選定データテーブル15を参照して対応楽曲及びメッセージデータが出力される。同様に、再生装置20bに設定された業種選定種別は「B」であるため、対応業種は「アパレル」であると識別され、再生装置20cに設定された業種選定種別は「C」であるため、対応業種は「ホテル」であると識別され、再生装置20dに設定された業種選定種別は「F」であるため、対応業種は「クリニック」であると識別され、再生装置20eに設定された業種選定種別は「A」であるため、対応業種は「レストラン」であると識別され、それぞれ楽曲・メッセージ選定データテーブル15を参照して対応楽曲及びメッセージデータが出力される。
【0047】
<制御処理>
次に、本実施形態における制御処理について説明する。本実施形態における制御処理は、デジタル音楽データ出力処理と、メッセージデータ出力処理とからなる。なお、図示しないが、デジタル音楽データ出力処理の前提として、再生装置20a〜20eの識別処理が行われる。この再生装置20a〜20eの識別処理では、接続再生装置識別手段13の機能により、再生装置20a〜20eに設定された業種選定種別が識別される。
【0048】
<デジタル音楽データ出力処理>
デジタル音楽データ出力処理では、図4に示すように、受信手段11の機能により、ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信し(S1)、楽曲ID取得手段12の機能により、受信したデジタル音楽データに含まれる楽曲IDを取得する(S2)。続いて、再生制御手段14の機能により、楽曲・メッセージ選定データテーブル15を参照して、取得した楽曲IDに対応する業種選定種別の再生装置(20a〜20eのいずれか)が存在するか否かを判断する(S3)。ここで、取得した楽曲IDに対応する業種選定種別の再生装置(20a〜20eのいずれか)が存在する場合には、当該再生装置(20a〜20eのいずれか)に対して、デジタル音楽データを出力する(S4)。
【0049】
<メッセージデータ出力処理>
メッセージデータ出力処理では、図5に示すように、各再生装置20a〜20eにおいて、再生されたデジタル音楽データの曲数をカウントし(S11)、再生曲数が所定曲数(例えば5曲)となったか否かを判断する(S12)。ここで、再生曲数が所定曲数(例えば5曲)となった場合には、当該再生装置(20a〜20eのいずれか)に対して対応するメッセージデータを出力して(S13)、出力曲数のカウンタをリセットする(S14)。なお、デジタル音楽データの累積再生時間に対応してメッセージデータの出力を行う場合には、再生したデジタル音楽データの累積再生時間をカウントし(S11)、累積再生時間が所定時間(例えば15分)となったか否かを判断する(S12)。ここで、累積再生時間が所定時間(例えば15分)となった場合には、当該再生装置(20a〜20eのいずれか)に対して対応するメッセージデータを出力し(S13)、累積再生時間のカウンタをリセットする(S14)。
【0050】
ここで、所定の累積再生時間に達した場合に、デジタル音楽データの出力を中止して直ちにメッセージデータを出力してもよいが、所定の累積再生時間となった際に出力しているデジタル音楽データの出力処理が終了した後にメッセージデータを出力してもよい。また、デジタル音楽データの出力を中止して直ちにメッセージデータを出力する際には、当該デジタル音楽データをフェードアウトしてメッセージデータの出力を開始し、メッセージデータの出力が終了したら、次のデジタル音楽データをフェードインして出力することにより、視聴者に対して違和感なくデジタル音楽及びメッセージを提供することができる。
【0051】
<データ記憶再生処理(1)>
各再生装置20a〜20eでは、出力されたデジタル音楽データ及びメッセージデータをリアルタイムで再生してもよいが、本実施形態では、一旦、デジタル音楽データ及びメッセージデータを各記憶部21a〜21eに記憶し、順次再生するようになっている。すなわち、図6に示すように、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域があるか否かを判断し(S21)、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域がある場合には、対応するデジタル音楽データ及びメッセージデータを対応する記憶部21a〜21eに記憶する(S22)。一方、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域がない場合には、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶は行わない。
【0052】
続いて、各再生装置20a〜20eでは、記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを順次再生する(S23)。そして、各記憶制御手段22a〜22eの機能により、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値以上か否かを判断し(S24)、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値以上であれば、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを消去する(S25)。一方、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値未満であれば、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを消去せずに、各記憶部21a〜21eに記憶したままにしておく。
【0053】
<データ記憶再生処理(2)>
また、各再生装置20a〜20eにおける記憶再生処理の他の実施形態として、予め設定されたタイムスケジュールに従い、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生及び消去を行ってもよい。すなわち、図7に示すように、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域があるか否かを判断し(S31)、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域がある場合には、対応するデジタル音楽データ及びメッセージデータを対応する記憶部21a〜21eに記憶する(S32)。一方、各記憶部21a〜21eに空き記憶領域がない場合には、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶は行わない。
【0054】
続いて、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生及び消去を行う期間か否かを判断し(S33)、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生及び消去を行う期間であれば、記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータを順次再生させる(S34)。そして、各記憶制御手段22a〜22eの機能により、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値以上か否かを判断し(S35)、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値以上であれば、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを消去する(S36)。一方、デジタル音楽データ及びメッセージデータの記憶容量が所定値未満であれば、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを消去せずに、各記憶部21a〜21eに記憶したままにしておく。また、デジタル音楽データ及びメッセージデータの再生及び消去を行わない期間であれば、上述したデジタル音楽及びメッセージデータの再生処理以降の処理(S34〜S36)は行わない。
【符号の説明】
【0055】
10 デジタル放送受信機
11 受信手段
12 楽曲ID取得手段
13 接続再生装置識別手段
14 再生制御手段
15 楽曲・メッセージ選定データテーブル
16 メッセージデータ格納手段
17a〜17e カウンタ
20a〜20e 再生装置
21a〜21e 記憶部
22a〜22e 記憶制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリーム配信されるデジタル音楽データを受信するデジタル放送受信機と、これに接続されて当該デジタル音楽データを再生する少なくとも1つの再生装置と、メッセージデータを格納するメッセージデータ格納手段とを有し、前記デジタル音楽データ及び前記メッセージデータを所定の業種の種別に対応付けた選定条件に従い再生装置で再生させるための配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システムであって、楽曲ID取得手段と、接続再生装置識別手段と、再生制御手段と、を備え、
前記楽曲ID取得手段は、ストリーム配信されるデジタル音楽データに含まれる楽曲IDデータを取得し、
前記接続再生装置識別手段は、現に接続されている前記再生装置に予め設定された、再生楽曲及びメッセージデータを選定するための業種選定種別を識別し、
前記再生制御手段は、業種選定種別と楽曲ID及びメッセージIDとが紐付けされた所定の楽曲・メッセージ選定データテーブルを参照し、前記受信したデジタル音楽データの楽曲IDに対応する業種選定種別が設定された再生装置がある場合には、当該再生装置に対して前記デジタル音楽データを出力すると共に、出力された前記デジタル音楽データが所定の曲数又は所定の累積再生時間となった場合に、当該再生装置の業種選定種別に対応したメッセージIDを有するメッセージデータを当該再生装置に対して出力する、
ことを特徴とする配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システム。
【請求項2】
前記再生装置は、さらに記憶制御手段を備え、
前記記憶制御手段は、前記再生制御手段が出力したデジタル音楽データ及びメッセージデータを所定の記憶部に順次記憶すると共に、当該記憶部に記憶されたデジタル音楽データ及びメッセージデータが順次再生される毎に、所定の記憶容量となるまで、再生したデジタル音楽データ及びメッセージデータを順次消去する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配信デジタル音楽データ及びメッセージデータ再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−53225(P2012−53225A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195003(P2010−195003)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】