説明

配向処理方法および配向処理装置

【課題】大型のフォトマスクを用いることなく精度よく配向処理を行うことができる配向処理方法および配向処理装置を提供する。
【解決手段】基板上に形成した配向膜に、フォトマスクを介して光エネルギを照射して前記配向膜表面に配向特性を与える配向処理方法であって、前記フォトマスクを、前記基板に形成された線状パターンに沿って相対的に移動させると共に、前記線状パターンと、前記フォトマスクに形成された基準パターンとの位置関係からズレ量を検出し、前記フォトマスクを、前記基板の移動方向と直交する方向に移動させてズレ量を補正させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向処理方法および配向処理装置に関し、詳しくは、基板とフォトマスクとを相対的に移動させながら配向処理を行う配向処理方法および配向処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルは、一対の基板が所定の間隔をおいて対向配置され、その間に液晶が充填されるという構成を有する。一方の基板には、液晶に電圧を印加する絵素電極、この絵素電極を駆動する薄膜トランジスタなどのスイッチング素子、ゲートバスラインやソースバスラインなどの各種配線、液晶にプレティルト角を与える配向膜などが積層状に形成される。また。他方の基板には、ブラックマトリックス、所定の色のカラーフィルタ層、対向電極や配向膜などが同様に積層状に形成される。
【0003】
各基板に形成される配向膜には、液晶を所定の向きに配向させるための配向処理が施される。従来はこの配向処理として繊維材料などによるラビングが用いられていたが、近年ではこれに代わる配向処理として光配向処理が用いられるようになってきている。光配向処理は、配向膜の表面に所定の照射角で光エネルギを照射する露光工程を経ることによって、配向膜の表面に所定の配向特性を与える処理である。
【0004】
スイッチング素子、各種配線、ブラックマトリックスやカラーフィルタ層などは、フォトリソグラフィ法を用いて形成される。例えば、カラーフィルタ層は、基板の表面に所定の色を有するフォトレジスト材料を塗布する工程と、フォトマスクを通じてこのフォトレジスト材料の所定のパターン領域に光エネルギを照射する露光工程と、フォトレジスト材料の不要な部分(たとえば、光エネルギが照射されなかった部分)を除去する工程とを経て形成される。
【0005】
尚、本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献1と特許文献2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−024649号公報
【特許文献2】特開平11−133429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように液晶表示パネルの製造においては、基板の表面の所定の領域に対して光エネルギを照射する露光工程が必ず含まれており、露光する位置や範囲にズレが生じると、液晶の配向や基板に形成される配線等が設計と相違し、本来の配向や特性を有さなくなるおそれがある。たとえば配向膜に光配向処理を施す露光工程において、光エネルギを照射する位置や範囲にズレが生じると、液晶に対して設計どおりにプレティルト角を与えられなくなる。
【0008】
また、フォトマスクを用いて基板の被照射面に光エネルギを照射する場合、光エネルギを照射する位置や範囲の精度は、フォトマスクに形成される遮光部と透光部のパターンの寸法精度に大きく影響を受けるため、フォトマスクは高価なものとなっている。特に、近年の基板サイズの大型化に伴ってフォトマスクサイズも大きくなってきており、マスクの更なる高価格化を招いている。
【0009】
更に、フォトマスクを大型化すると、撓みや熱膨張などによって、遮光部と透光部の大きさが変化したり、基板との位置合わせにズレが生じやすくなっていた。この対策として、基板やフォトマスクの温度管理を行ってサイズ変化を抑えたり、アライメント調整のための機構やその制御の精度を上げることなどが行われているが、プロセスの繁雑化やランニングコストの増加を招くことになっていた。そこで、本発明が解決しようとする課題は、大型のフォトマスクを用いることなく精度よく配向処理を行うことができる配向処理方法および配向処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、スリット状の開口部が形成された小形のフォトマスクを複数用いて基板表面の一部の領域に紫外線などを照射しつつ、基板を移動させるという方法で配向処理を行う。この方法によれば、基板表面の特定の領域がストライプ状に露光される(すなわち紫外線などの照射を受ける)。そして、紫外線などを照射しつつ基板を移動させている間は、基板の表面に予め形成されている既存のパターン、例えばゲートバスライン、ソースバスラインやブラックマトリックスなどの線状パターンと、フォトマスクに設けられた基準マークを同時に撮影し、撮影された画像を用いて実際に照射している位置、つまり基板上の既存のパターンに対するフォトマスクの位置を監視する。このような露光方法により、基板サイズの大きさに関わらず高い位置決め精度で配向処理を行うことができる。
【0011】
そこで、本発明に係る配向処理方法は、基板上に形成した配向膜に、フォトマスクを介して光エネルギを照射して前記配向膜表面に配向特性を与える配向処理方法において、前記フォトマスクを、前記基板に形成された線状パターンに沿って相対的に移動させると共に、前記線状パターンと、前記フォトマスクに形成された基準パターンとの位置関係からズレ量を検出し、前記フォトマスクを、前記基板の移動方向と直交する方向に移動させてズレ量を補正させることを要旨とする。
【0012】
この場合、前記線状パターンは、ゲートバスライン、ソースバスラインまたはブラックマトリックスのいずれかであれば良い。
【0013】
また、前記光エネルギは、前記光配向膜に対して所定の角度で照射されると良い。また、前記光エネルギは紫外光であれば良い。
【0014】
そして、本発明に係る配向処理装置は、基板上に形成された配向膜に、光エネルギを照射して配向処理を行う配向処理装置であって、光源と、前記基板を載置して所定の方向に移動させるテーブルと、前記光源と前記テーブルとの間に位置するフォトマスクと、前記基板に予め形成された線状パターンと、前記フォトマスクに形成される基準マークとを撮影するカメラと、前記線状パターンと前記基準パターンとの位置関係から、前記線状パターンと前記基準パターンのズレ量を算出する照合手段と、前記ズレ量に応じて前記フォトマスクを前記所定の方向とは直交する方向に移動させるフォトマスク移動手段と、が備えられていることを要旨とする。
【0015】
この場合、前記光源および前記フォトマスクはそれぞれ複数備えられ、前記基板の移動方向に対して直交する方向に千鳥状に交互に配置されていると良い。
【0016】
また、前記フォトマスクは、スリット状の透光部が互いに略平行に形成され、前記透光部のピッチは前記線状パターンのピッチと等しく、かつ前記透光部の横幅寸法は前記ピッチの約半分であると良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い位置決め精度で配向処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に適用される露光装置の要部の構成を示した模式図であり、(a)は、露光装置を基板の被照射面の上方から見た図、(b)は、その側方から見た図である。
【図2】図1の露光装置に用いられるフォトマスクの構成を模式的に示した外観斜視図である。
【図3】図1の露光装置に用いられるカメラの二重焦点構造を模式的に示した図である。
【図4】本発明に係る光配向処理を模式的に示した図であり、(a)は、アレイ基板に対する光配向処理を、(b)は、カラーフィルタ基板に対する光配向処理を、(c)は、両基板を貼り合わせて構成される液晶パネルの各絵素内における液晶分子の配向方向を模式的に示した図である。
【図5】図4の光配向処理において用いるアレイ基板用フォトマスクと、アレイ基板に形成されるパターンとの寸法関係を示した図である。
【図6】図4の光配向処理において用いるカラーフィルタ基板用フォトマスクと、カラーフィルタ基板に形成されるパターンとの寸法関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に適用される露光装置の要部の構成を示した模式図であり、図1(a)は露光装置を基板の被照射面の上方から見た図、図1(b)はその側方から見た図である。
【0020】
図示される露光装置1は、基板3の被照射面に光エネルギを照射する複数の露光ユニット11と、基板3を載置して移動させるテーブル12とを備える。図中の矢印aは、テーブル12上の基板3の移動方向を示す。
【0021】
各露光ユニット11は、露光ヘッド111、光源112、フォトマスク2、カメラ113と、マスク移動手段114、記憶手段115、照合手段116を備える。このような露光ユニット11を、図示されるように基板3の移動方向aに対して直交する方向に千鳥状に交互に複数配置することで、基板3の全面に対して露光できるようになっている。
【0022】
露光ユニット11に用いられる光源112には、所定の波長帯域の光エネルギを発することができる公知の各種光源が適用でき、照射目的や被照射物の種類などに応じて適宜選択される。たとえば基板3の被照射面に紫外線を照射する場合には、紫外線光源が適用される。
【0023】
露光に用いられるフォトマスク2は、常態においてはその表面が基板3の被照射面に略平行となるように配置される。また、フォトマスク2は、露光ヘッド111下位置において、基板3の被照射面に平行な面内を、この場合、図示されるように基板3の移動方向aに対して直交するb方向に移動可能に支持される。
【0024】
フォトマスク2は石英ガラスなどからなる透明基板の表面に、所定のパターンに形成された遮光部と透光部を有する。図2は、フォトマスク2の構成の例を模式的に示した外観斜視図である。図中の矢印aは基板3の移動方向を示す。このフォトマスク2は、たとえば縦長スリット形状の透光部22が、基板の移動方向aの直角方向に沿って所定のピッチで並列して形成される構成を備える。図においては、ハッチングを施した領域が遮光部21を示し、施していない領域が透光部22を示す。
【0025】
フォトマスク2の基板3に対する移動開始側には、横長スリット形状の透光窓23が形成されている。そして、透光窓23には、フォトマスク2のアライメントマークとして基準マーク24が形成されている。
【0026】
カメラ113は、テーブル12上に載置された基板3の被照射面を撮影できる。このカメラ113には、たとえばCCDカメラなどの各種公知の撮像装置が適用できる。図示されるようにカメラ113は、各露光ヘッド111の基板3に対する移動方向の移動開始側に配設されている。
【0027】
カメラ113は、前述のフォトマスク2の透光窓23を介して、基板3に予め形成された既存パターン4、例えば、ゲートバスライン、ソースバスラインやブラックマトリクスを撮影する。この際、カメラ113は、基板3の移動方向aに平行に形成された図中縦に延びる既存パターン4の開始端から他方の終了端までを画像認識するための撮影を行う。従って、透光窓23下を帯状に流れるように移動する既存パターン4が、カメラ113の撮影により画像認識される。
【0028】
カメラ113が撮影している間、透光窓23下を移動している既存パターン4が、基板3の移動方向aに対して直角となる方向へずれていってしまう場合は、そのズレ量を算出し、そのズレ量に応じたフォトマスク2の位置合わせのための移動が行われる。このように、既存パターン4に追従したフォトマスク2の移動制御によってアライメント調整が行われるので、既存パターン4に沿った位置に正確に露光がなされる。
【0029】
また、カメラ113は、透光窓23下を移動する既存パターン4を撮影する同時に、同じく透光窓23に形成された基準マーク24も撮影する。カメラ113が撮影している間、上述したようなズレを補正するためのフォトマスク2の移動がなされれば、撮影している基準マーク24も移動する。このときの基準マーク24の移動量を算出し、フォトマスク2の位置合わせのための移動が的確になされた否かの判定を行う。判定結果により、例えば、フォトマスク2の移動がなされていなかったり、移動量が算出したズレ量と比べて大きすぎたりした場合は、露光処理を中止する等が行われる。
【0030】
このようなカメラ113は各フォトマスク2と対になって設けられている。また、各カメラ113は、フォトマスク2の移動に用いられる移動手段とは異なる図示しない移動手段によってそれぞれ独立して移動可能になっている。このカメラ113に設けられた移動手段は、露光開始前のフォトマスク2との位置合わせのためなどに用いられる。
【0031】
カメラ113は、図3に示すような焦点が二つある二重焦点カメラであり、基板3上の既存パターン4と基準マーク24のそれぞれに焦点を合わせることが可能になっており、双方を鮮明に撮影することができるようになっている。図示されるようにカメラ113の視野半分に光調整板113aを介在させ、焦点深度が異なる基板上の既存パターン4及びフォトマスクの基準マーク24に対して同時に焦点が合うようになっている。
【0032】
記憶手段115は、フォトマスク2の位置合わせに用いる基準画像が記憶されており、更にはカメラ113が撮影した既存パターン4の画像やフォトマスク2の基準マーク24の画像も記憶することができる。
【0033】
照合手段116は、カメラ113が撮影した基板3上の既存パターン4の画像と記憶手段115が記憶する基準画像とを比較し、基板3の被照射面に対して実際に光エネルギを照射している範囲と本来光エネルギを照射すべき範囲との位置、つまり既存パターン4に対するフォトマスク2の位置のズレ量を算出する。
【0034】
マスク移動手段114は、照合手段116が算出したズレ量に基づいて、フォトマスク2の位置を移動させて補正し、基板3の被照射面の光エネルギを照射すべき範囲に対して実際に光エネルギを照射できるようにする。
【0035】
更に、照合手段116は、マスク移動手段114によりフォトマスクの位置が補正される前にカメラ113が撮影したフォトマスク2の基準マーク24の画像と、補正された後にカメラ113が撮影したフォトマスク2の基準マーク24の画像とを比較して、移動補正の際のフォトマスク2の実際の移動量を算出し、フォトマスク2の位置補正が的確になされた否かを判定する。判定結果により、例えば、フォトマスク2の移動がなされていなかったり、フォトマスク2の移動量が算出したズレ量に対する大きすぎたりした場合は、露光処理を中止する等の処理が行われ、算出したズレ量に対するフォトマスク2の移動量が同じである場合は、露光処理が続行されるようになっている。
【0036】
上述したように基板3を移動させて光エネルギを照射しつつ、既存パターン4に追従したフォトマスク2のアライメント調整を行い、既存パターン4の開始端から終了端までフォトマスク2が移動すると露光処理が終了する。
【0037】
このようにカメラ113によって撮影された既存パターン4とフォトマスク2の基準マーク24のそれぞれの画像を用いて、それぞれの位置関係が露光中監視されるので、既存パターン4に対するフォトマスク2の位置合わせの精度を格段に向上させることができる。
【0038】
次に上記露光装置の適用例(本発明の一実施形態にかかる配向処理方法および配向処理装置)について説明する。ここで説明する実施例は、液晶表示パネルの各絵素内に、液晶の配向が互いに異なる複数の領域(以下、この領域を「ドメイン領域」と称する)を形成するために配向膜に施す光配向処理である。また、ここでは照射する光エネルギとして紫外線を用いるものとする。
【0039】
図4(a),(b)は、液晶表示パネルを構成する一対の基板、アレイ基板とカラーフィルタ基板のそれぞれに形成される絵素に対する光エネルギの照射形態を模式的に示した図である。それぞれ、図4(a)がアレイ基板に形成される絵素を、図4(b)がカラーフィルタ基板に形成される絵素を示す。また、図4(c)は、これら両基板を貼り合わせて構成される液晶表示パネルの各絵素内の液晶の配向を示した平面模式図である。
【0040】
図4(a)に示されるようにアレイ基板には、ソースバスライン312とゲートバスライン311に囲まれる領域に絵素電極313が形成され、ソースバスライン312とゲートバスライン311の交差点近傍にこの絵素電極313を駆動する薄膜トランジスタ314が形成されている。また、図示しないが、絵素31の表面にはポリイミドなどからなる配向膜が形成されている。
【0041】
また、図4(b)に示すようにカラーフィルタ基板は、ブラックマトリックス321により絵素32が画成され、各絵素32の内側にはカラーフィルタ層322が形成されている。また、図示しないが、各絵素32の表面には対向電極と配向膜が形成されている。
【0042】
これらアレイ基板やカラーフィルタ基板の構成および製造方法は、従来一般のものが適用できるから説明は省略する。
【0043】
アレイ基板の光配向処理は、図4(a)に示すように、まず各絵素31内にその両側のソースバスライン312の略中間で二分されて形成される二つの領域を想定する。図中の一点鎖線Aはこの領域の境界を示す。そしてそれぞれの領域の配向膜に対して、絵素31の面の法線に対して所定の角度θだけ傾斜した方向から紫外線を照射する。各領域に照射される紫外線の向きは、それぞれ照射される紫外線の光軸を絵素31の面に投影した場合に、投影した光軸がソースバスライン312に略平行でかつ互いに略180°異なる向きとする。
【0044】
カラーフィルタ基板の光配向処理では、ブラックマトリックス321の四辺のうち前記アレイ基板と貼り合わせた際にアレイ基板のゲートバスライン311に平行する二辺の略中間で二分されて形成される二つの領域を想定する。図中の一点鎖線Bはこの領域の境界を示す。そしてそれぞれの領域の配向膜に、絵素32の面の法線に対して所定の角度θだけ傾斜した方向から紫外線を照射する。各領域に対する紫外線の照射の向きは、それぞれ照射される紫外線の光軸を絵素32の面に投影した場合に、これらの投影した光軸がアレイ基板のゲート信号線311に略平行でかつ互いに略180°異なる向きとする。
【0045】
このように光配向処理が施された配向膜を有するアレイ基板とカラーフィルタ基とを貼り合わせると、図4(c)に示すように、これらの基板の間に充填される液晶は、各基板の各領域に施された光配向処理の向き、すなわち紫外線の照射の向きにしたがって配向する。図中の各矢印は液晶の配向を模式的に示す。この結果各絵素内には、液晶の配向の向きが互いに異なる四つのドメイン領域が形成される。
【0046】
図5(a)は、本実施例においてアレイ基板の配向膜に光配向処理を施す際に使用されるフォトマスク(以下、「アレイ基板用フォトマスク」と称する)の構成を示す。また、図5(b)はこのアレイ基板用フォトマスクとアレイ基板に形成される絵素のパターンとの寸法および位置関係を示した平面模式図である。
【0047】
アレイ基板用フォトマスク2xは、図2に示したものと同様に石英ガラスなどからなる略長方形の板状の部材である。そして図5(a)に示すように紫外線が透過できる複数の透光部22xが所定のピッチで互いに略平行に形成される。この透光部22xのピッチPxは図5(b)に示すようにアレイ基板に形成されるソースバスライン312のピッチに等しく設定される。また透光部22xの横幅寸法は、前記ピッチPxの約1/2の寸法に設定される。そして、透光窓23xが設けられており、この透光窓23xには基準マーク24xが形成されている。なお、図中の矢印aはアレイ基板用フォトマスク2xに対するアレイ基板の移動方向を示す。
【0048】
そして、このようなアレイ基板用フォトマスク2xを用いて、まず前記ソースバスライン312の略中間で二分されて形成される二つの領域の一方に対し、所定の照射角で紫外線を照射する。次いで、二つの領域の他方に対して所定の照射角で紫外線を照射する。各領域に対する紫外線の照射角の関係は上述した通りである。アレイ基板用フォトマスク2xとアレイ基板の相対的な位置関係をアレイ基板の移動方向aの直角方向に前記透光部22xのピッチPxの1/2の寸法だけずらして用いれば、一枚のアレイ基板用フォトマスク2xで前記二つの領域のそれぞれに対して紫外線を照射できる。
【0049】
図6は、本実施例においてカラーフィルタ基板の表面に形成される配向膜に光配向処理を施す際に使用されるフォトマスク(以下、「カラーフィルタ基板用フォトマスク」と称する)と、カラーフィルタ基板に形成される絵素との寸法および位置関係を示した平面模式図である。
【0050】
カラーフィルタ基板用のフォトマスク2yの構成は、透光部22yの寸法形状を除いては前記アレイ基板用フォトマスク2xとほぼ同じである。図6に示すように、透光部22yのピッチPyは、ブラックマトリックス321の四辺のうちアレイ基板のゲートバスラインに平行な辺のピッチに等しく設定される。また透光部22yの横幅寸法は前記ピッチPyの約1/2に設定される。そして、図示しないが、このカラーフィルタ基板用フォトマスク2yにも、前記アレイ基板用フォトマスク2xの透光窓23xと同様の透光窓が設けられており、その透光窓には基準マークが形成されている。なお、図中の矢印aは、カラーフィルタ基板用フォトマスクに対するカラーフィルタ基板の移動方向を示す。
【0051】
そしてこのようなカラーフィルタ基板用フォトマスク2yを用いて、まずアレイ基板のゲートバスラインに平行な辺の略中間で二分して形成される二つの領域の一方に対して、所定の照射角で紫外線を照射する。次いで前記二つの領域の他方に対して所定の照射角で紫外線を照射する。各領域に対する紫外線の照射角の関係は前記の通りである。カラーフィルタ基板用フォトマスク2yとカラーフィルタ基板との相対的な位置関係をカラーフィルタ基板の移動方向aの直角方向に前記透光部22yのピッチPyの1/2の寸法だけずらして用いれば、一枚のカラーフィルタ基板用フォトマスク2yで前記二つの領域のそれぞれに対して紫外線を照射できる。
【0052】
上記構成では、スリット状の開口部が形成された小形のフォトマスクを複数用いて基板表面の一部の領域に紫外線などを照射しつつ、基板を移動させるという方法で露光を行う。この方法によれば、基板サイズの大きさに関わらず高い位置決め精度で露光を行うことができる。
【0053】
また、紫外線などを照射しつつ基板を移動させている間は、基板の表面に予め形成されている既存のパターン、例えばゲートバスライン、ソースバスラインやブラックマトリックスなどの線状パターンと、フォトマスクに設けられた基準マークを同時に撮影し、撮影された画像を用いて実際に照射している位置、つまり基板上の既存のパターンに対するフォトマスクの位置を監視する。これにより、上記露光方法を高い精度で行うことができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態ついて詳細に説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0055】
例えば、液晶表示パネルの配向膜の光配向処理に適用する構成について示したが、適用対象は配向膜の光配向処理に限定されるものではない。カラーフィルタ層、ブラックマトリックス、その他の所定の要素をフォトリソグラフィ法を用いて形成する際の露光にも適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 露光装置
11 露光ユニット
111 露光ヘッド
112 光源
113 カメラ
113a 光路調整板
114 マスク移動手段
115 記憶手段
116 照合手段
2 フォトマスク
21 遮光部
22 透光部
23 透光窓
24 基準マーク
3 基板
31 アレイ基板
311 ゲートバスライン
312 ソースバスライン
313 絵素電極
314 薄膜トランジスタ
32 カラーフィルタ基板
321 ブラックマトリクス
322 カラーフィルタ層
4 既存パターン
a 基板の移動方向
b マスクの移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成した配向膜に、フォトマスクを介して光エネルギを照射して前記配向膜表面に配向特性を与える配向処理方法において、
前記フォトマスクを、前記基板に形成された線状パターンに沿って相対的に移動させると共に、
前記線状パターンと、前記フォトマスクに形成された基準パターンとの位置関係からズレ量を検出し、
前記フォトマスクを、前記基板の移動方向と直交する方向に移動させてズレ量を補正させることを特徴とする配向処理方法。
【請求項2】
前記線状パターンは、ゲートバスライン、ソースバスラインまたはブラックマトリックスのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の配向処理方法。
【請求項3】
前記光エネルギは、前記光配向膜に対して所定の角度で照射されることを特徴とする請求項1または2に記載の配向処理方法。
【請求項4】
前記光エネルギは紫外光であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の配向処理方法。
【請求項5】
基板上に形成された配向膜に、光エネルギを照射して配向処理を行う配向処理装置であって、
光源と、
前記基板を載置して所定の方向に移動させるテーブルと、
前記光源と前記テーブルとの間に位置するフォトマスクと、
前記基板に予め形成された線状パターンと、前記フォトマスクに形成される基準マークとを撮影するカメラと、
前記線状パターンと前記基準パターンとの位置関係から、前記線状パターンと前記基準パターンのズレ量を算出する照合手段と、
前記ズレ量に応じて前記フォトマスクを前記所定の方向とは直交する方向に移動させるフォトマスク移動手段と、
を備えることを特徴とする配向処理装置。
【請求項6】
前記光源および前記フォトマスクはそれぞれ複数備えられ、前記基板の移動方向に対して直交する方向に千鳥状に交互に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の配向処理装置。
【請求項7】
前記フォトマスクは、スリット状の透光部が互いに略平行に形成され、前記透光部のピッチは前記線状パターンのピッチと等しく、かつ前記透光部の横幅寸法は前記ピッチの約半分であることを特徴とする請求項5または6に記載の配向処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−164639(P2011−164639A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81361(P2011−81361)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【分割の表示】特願2008−508452(P2008−508452)の分割
【原出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】