説明

配管

【課題】異種金属からなる配管を接続した場合に異種金属接触腐食を抑制できる配管を提供する。
【解決手段】配管10は、異種金属からなる第1配管部1と第2配管部2とが互いに溶接部3を介して接合された配管10であって、溶接部3が中央部に設けられ、かつ両端部に接続部7が設けられた本体部5と、絶縁材で構成されており、かつ溶接部3を覆うように、接続部7を除いて本体部5の内周面5aおよび外周面5bを覆う被覆部6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管に関し、特に、異種金属からなる第1配管部と第2配管部とが互いに溶接部を介して接合された配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、消火配管などの配管では、異種金属からなる管が接続されている。この異種金属からなる管は、異種金属接触腐食による配管の腐食を防止するため、絶縁継手を介して接続されている。たとえば、登録実用新案第3070399号公報(特許文献1)には、端部にフランジを有する2つの管が各フランジの間に電気絶縁性材料からなるガスケットを挟んで接続された絶縁継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3070399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載された絶縁継手では、例えば水を流す等の使用条件によっては2つの管に電位差がある場合には、異種金属接触腐食による配管の腐食が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、異種金属からなる配管を接続した場合に異種金属接触腐食を抑制できる配管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の配管は、異種金属からなる第1配管部と第2配管部とが互いに溶接部を介して接合された配管であって、溶接部が中央部に設けられ、かつ両端部に接続部が設けられた本体部と、絶縁材で構成されており、かつ溶接部を覆うように、接続部を除いて本体部の内周面および外周面を覆う被覆部とを備えている。
【0007】
本発明の配管によれば、被覆部が溶接部を覆っているため、溶接部での異種金属接触腐食を抑制することができる。そして、被覆部が接続部を除いて本体部の内周面および外周面を覆っているため、水を流した場合に配管が接続部以外で水に接触することが抑制される。
【0008】
上記の配管において好ましくは、接続部はねじ部を含んでいる。ねじ部への水の浸入量は少ないと考えられるので、第1配管部と第2配管部にガルバニック電流が流れることを抑制することができる。
【0009】
上記の配管において好ましくは、被覆部は、前記両端部の端面を覆うように設けられている。これにより、バルブなどにねじ部がねじ止めされた際に、両端部の端面からねじ部に水が浸入することが抑制される。そのため水を流した場合に配管が接続部以外で水に接触することがさらに抑制される。
【0010】
上記の配管において好ましくは、第1配管部は鉄で形成されており、第2配管部はステンレス鋼で形成されている。このように、互いのガルバニック電位が離れている鉄とステンレス鋼とが溶接部を介して接合された配管においても、異種金属接触腐食を抑制することができる。
【0011】
上記の配管において好ましくは、被覆部は、樹脂で形成されている。そのため、被覆部を容易に形成することができる。そして、被覆部で本体部を容易に覆うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の配管によれば、異種金属接触腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における配管の概略部分断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態における配管とバルブおよび継手との配置を示す概略部分端面図である。
【図3】本発明の一実施の形態における配管の変形例1を示す概略部分断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態における配管の変形例2を示す概略部分断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態における配管の変形例3を示す概略部分断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態における配管の変形例4を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態の配管の構成について説明する。
【0015】
本発明の一実施の形態の配管は、たとえば消火配管、連結送水管などに好適に用いられる。図1を参照して、配管10では、第1配管部1と第2配管部2とが溶接により接合されている。この溶接されている部分が溶接部3を構成している。第1配管部1と第2配管部2との境界の全てに溶接部3が設けられていなくてもよく、第1配管部1と第2配管部2との接触部4が設けられていてもよい。
【0016】
第1配管部1の材料と第2配管部2の材料とは、互いに異種金属である。たとえば、第1配管部1の材料は鉄であり、第2配管部2の材料はステンレス鋼である。なお、第1配管部1の材料および第2配管部の材料はこれらに限定されない。第1配管部1の材料と第2配管部2の材料とは、それぞれ異なるガルバニック電位を有している。つまり、配管10では、異種金属からなる第1配管部1と第2配管部2とが互いに溶接部3を介して接合されている。
【0017】
配管10は、本体部5と、被覆部6とを主に有している。本体部5では、溶接部3が中央部に設けられている。溶接部3は、本体部5の周方向に全周に渡って設けられている。また、本体部5の両端部に接続部7が設けられている。ここで、中央部は配管10の軸線方向において本体部5の中央に位置する部分であり、両端部は軸線方向において中央部の両側に位置する部分である。中央部と両端部とは配管10の軸線方向において所定の間隔を有して位置している。
【0018】
接続部7はバルブおよび継手などと接続され得るように構成されている。接続部7はねじ部7aを含んでいる。ねじ部7aは、配管10の内周面5aまたは外周面5bにおいてねじが形成されている部分である。ねじ部7aは配管10の軸線方向にテーパ状に形成されている。ねじ部7aの形状はこれに限定されず、配管10の軸線方向に直線状に形成されていてもよい。
【0019】
被覆部6は、溶接部3を覆うように、本体部5の内周面5aおよび外周面5bを覆っている。また被覆部6は、接続部7を除いて本体部5の内周面5aおよび外周面5bを覆っている。被覆部6は、接続部7以外が被覆部6から露出しないように本体部5の内周面5aおよび外周面5bを覆っている。被覆部6は、絶縁材で構成されている。被覆部6は、たとえば樹脂や塗装で形成されている。樹脂の厚みはたとえば0.2mmから0.3mmである。被覆部6の材料としては、たとえばナイロン、ポリエチレン、塩化ビニルなどが用いられる。なお、接触部4が設けられている場合、接触部4付近の内周面5aの凹凸は、溶接部3の凹凸と比較して抑えられるので、接触部4付近の被覆部6の凹凸が抑えられる。そのため、被覆部6の劣化が抑制される。
【0020】
溶接部3は第1配管部1および第2配管部2のいずれかの側に位置していてもよい。たとえば配管10では、第1配管部1の長さが150mmであり、第2配管部2の長さが100mmであってもよい。この場合、たとえば第2配管部2に価格が高いステンレス鋼を用い、かつ第1配管部1に価格が低い鉄を用いることで配管全体の費用を低く抑えることができる。また配管の直径はたとえば60.5mm以上76.3mm以下であってもよい。なお、配管10は、JIS規格の管用テーパねじに合致する寸法などを有していることが好ましい。また、配管10は、直管に限られず、曲管であってもよい。
【0021】
次に、本発明の一実施の形態の配管とバルブおよび継手との接続について説明する。
図2を参照して、配管10は、バルブ11および継手21と接続される。なお、継手21には図示しない別の配管がさらに接続される。そして、配管10がバルブ11および継手21と接続された状態で配管10の内部(内側)に水が注入される。配管10のねじ部7aはおねじであり、バルブ11の内周面12に設けられためねじ13と螺合し、継手21の内周面22に設けられためねじ23と螺合する。
【0022】
バルブ11は鉄で形成されている。一方、継手21はステンレス鋼で形成されている。第1配管部1はバルブ11の材質で形成されており、第2配管部2は継手21(配管部材)の材質で形成されている。上述のように配管10では、第1配管部1が鉄で形成され、第2配管部2がステンレス鋼で形成されていてもよい。この場合、第1配管部1がバルブ11に接続され、第2配管部2が継手21に接続されることで、第1配管部1とバルブ11とは同じ材料同士で接続され、第2配管部2と継手21とも同じ材料同士で接続される。このため、配管内部の水に第1配管部1およびバルブ11が接触し、配管内部の水に第2配管部2および継手21が接触した場合でも、第1配管部1とバルブ11との間で異種金属接触腐食は発生せず、第2配管部2と継手21との間でも異種金属接触腐食は発生しない。
【0023】
そして、配管10は、後述のように第1配管部1と第2配管部2との間でも異種金属接触腐食を抑制することができる。このため、配管10は、配管全体で異種金属接触腐食を抑制することができる。
【0024】
また、図3を参照して、被覆部6は、配管10の両端部の端面を覆うように設けられていてもよい。本発明の一実施の形態の配管10の変形例1では、被覆部6は両端部の端面を覆うように設けられている。
【0025】
さらに、図4を参照して、被覆部6は、ねじ部7aの先端部を覆うように設けられていてもよい。本発明の一実施の形態の配管10の変形例2では、被覆部6はねじ部7aの先端部を覆うように設けられている。より具体的には、ねじ部7aの先端部に位置する2つのねじ山を覆うように被覆部6は設けられていてもよい。
【0026】
また、図5を参照して、ねじ部7aは外周面5bに形成されているが、これに限定されず、内周面5aに形成されていてもよい。つまり、ねじ部7aにはおねじが形成されていてもよく、また、めねじが形成されていてもよい。さらに、図5に示すように、両端部の一方側におねじが形成されており、他方側にめねじが形成されていてもよい。本発明の一実施の形態の配管10の変形例3では、両端部の一方側におねじが形成されており、他方側にめねじが形成されている。これにより、相手側がめねじの場合に限らず、おねじの場合にも本発明の一実施の形態の配管10を使用することができる。
【0027】
また、図6を参照して、接続部7は溶接部7bを含んでいてもよい。溶接部7bは相手方と溶接されるように構成されている。溶接部7bは相手側と溶接されることによって、溶接部7bに水が侵入しないように構成されている。これにより、相手側との接続に溶接が必要な場合にも本発明の一実施の形態の配管10を使用することができる。
【0028】
次に、本発明の一実施の形態の配管の作用効果について説明する。
本発明の一実施の形態の配管10によれば、被覆部6が溶接部3を覆っているため、溶接部3での異種金属接触腐食を抑制することができる。そして、被覆部6が接続部7を除いて本体部5の内周面5aおよび外周面5bを覆っているため、水を流した場合に配管10が接続部7以外で水に接触することが抑制される。
【0029】
また、溶接部3が中央部に設けられ、接続部7が両端部に設けられているため、溶接部3と接続部7との間隔が大きくなり、接続部間の間隔も大きくなる。第1配管部1と第2配管部2にガルバニック電流が流れた場合でも接続部間の配管10の電気抵抗が大きくなるため、ガルバニック電流を小さくすることができる。
【0030】
本発明の一実施の形態の配管10によれば、接続部7はねじ部7aを含んでいることが好ましい。ねじ部7aへの水の浸入量は少ないと考えられるので、第1配管部1と第2配管部2にガルバニック電流が流れることを抑制することができる。
【0031】
本発明の一実施の形態の配管10によれば、被覆部6は、両端部の端面を覆うように設けられていることが好ましい。これにより、バルブ11などにねじ部7aがねじ止めされた際に、両端部の端面からねじ部7aに水が浸入することが抑制される。そのため水を流した場合に配管10が接続部7以外で水に接触することがさらに抑制される。
【0032】
本発明の一実施の形態の配管10によれば、第1配管部1は鉄で形成されており、第2配管部2はステンレス鋼で形成されていることが好ましい。このように、互いのガルバニック電位が離れている鉄とステンレス鋼とが溶接部3を介して接合された配管10においても、異種金属接触腐食を抑制することができる。
【0033】
本発明の一実施の形態の配管10によれば、被覆部6は、樹脂で形成されていることが好ましい。そのため、被覆部6を容易に形成することができる。そして、被覆部6で本体部5を容易に覆うことができる。
【0034】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、異種金属からなる第1配管部と第2配管部とが互いに溶接部を介して接合された配管に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0036】
1 第1配管部、2 第2配管部、3 溶接部、4 接触部、5 本体部、5a 内周面、5b 外周面、6 被覆部、7 接続部、7a ねじ部、7b 溶接部、10 配管、11 バルブ、21 継手。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種金属からなる第1配管部と第2配管部とが互いに溶接部を介して接合された配管であって、
前記溶接部が中央部に設けられ、かつ両端部に接続部が設けられた本体部と、
絶縁材で構成されており、かつ前記溶接部を覆うように、前記接続部を除いて前記本体部の内周面および外周面を覆う被覆部とを備えた、配管。
【請求項2】
前記接続部はねじ部を含む、請求項1に記載の配管。
【請求項3】
前記被覆部は、前記両端部の端面を覆うように設けられている、請求項2に記載の配管。
【請求項4】
前記第1配管部は鉄で形成されており、
前記第2配管部はステンレス鋼で形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の配管。
【請求項5】
前記被覆部は、樹脂で形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の配管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−44423(P2013−44423A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185005(P2011−185005)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000148726)株式会社多久製作所 (8)
【Fターム(参考)】