説明

配線・配管材保護カバー、及び保護カバー装置

【課題】ビスにより固定した後に、全ビスを取り外すことなく、基台を再固定可能にした配線・配管材の出隅又は入隅の各配設部の保護カバーの提供である。
【解決手段】略直交する各壁面に沿って配管された給水湯管の2つの直線配管部を保護する2つの直線配管部保護カバーを略直交させて接続可能にするために両端部に形成された接続口と、給水湯管の出隅配管部を収容保護する収容空間とを備えた出隅配管部保護カバーであって、直交する2つの基台板部1,2が出隅部N1 を構成する各壁面W1 ,W2 にビスBによりそれぞれ固定されるL字形の基台V1 と、直線配管部保護カバーの各端部を覆った状態で前記基台V1 に対して分離可能に係止される同じくL字形の蓋体とから成り、基台を構成する各基台板部1,2に前記ビスBを挿通するために形成されたビス挿通孔15の少なくとも一方を配管方向に沿って長孔状にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を構成していて隣接する2つの壁面が直交する出隅部又は入隅部に配設された配線・配管材を保護する出隅及び入隅の各配設部の保護カバー、及び保護カバー装置に関し、更に詳しくは、壁面に対して基台が離れて固定された場合、或いは基台の固定後にスペーサを介在させる必要があることに気付いた場合に、螺入済のビスの全部又は一部を取り外すことなくそのままにして、同一のビス孔にビスを螺入して、基台の再固定が可能な配線・配管材の出隅及び入隅の各配設部を保護できる保護カバー、及び保護カバー装置に関するものである。なお、本明細書において「配線・配管材」とは、給水湯管やエアコン冷媒管、電線やケーブル等を言う。
【背景技術】
【0002】
例えば、出隅部又は入隅部を有する壁面に沿って給水湯管を配管する場合には、建物の出隅部、及び入隅部を含んで壁面に沿って配管される給水湯管のうち直線部は直状の直線配管部保護カバーによって保護され、前記給水湯管の出隅部、及び入隅部は、それぞれL字形をした専用の保護カバーで保護されている。給水湯管の出隅配管部、及び入隅配管部を保護する各保護カバーは、前記直線配管部保護カバーと接続可能な接続口が両端に形成されていて、いずれも壁面に固定される基台と、当該基台の全体、及び前記直線配管部保護カバーの端部に対して覆蓋されて内部空間が配管空間を形成すると共に、当該基台に対して解除可能に係止される蓋体とで構成される(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、出隅配管部を保護する保護カバーの基台は、L字形をなしていて、互いに直交して一体成形された2枚の基台板部で構成され、各基台板部における270°の交差角を形成する側の各面に左右一対の被係止部が形成され、基台全体としては、計二対の被係止部が形成されている。一方、出隅配管部を保護する保護カバーの蓋体は、基台と同様にL字形をなしていて、90°の交差角を形成する側が開口されて、側壁部の内側における当該開口に臨む部分に前記基台の被係止部と係止される計二対の係止部が形成されている。
【0004】
また、入隅配管部を保護する保護カバーに関しては、当該保護カバーを構成する基台及び蓋体がいずれもL字形をなしている点は、出隅配管部保護カバーと同様であるが、基台を構成する各基台板部に対する被係止部の形成面、及び基台に対して覆蓋可能にするために蓋体に形成される開口の形成位置が出隅配管部保護カバーと逆の関係にある構成が異なる。しかし、基台に対して蓋体が覆蓋されて内部に配管空間が形成される構成、及び基台に対して蓋体が解除可能に係止される構成に関しては、出隅配管部、及び入隅配管部の各保護カバーにおいて共通した構成である。
【0005】
ところで、出隅配管部、及び入隅配管部のいずれの保護カバーにおいても、出隅部、又は入隅部に基台の各基台板部を当てがって、ビスにより固定する場合において、電動工具によるビス螺入時(打込み時)の衝撃により、基台の各基台板部が壁面から離れたままで、壁面との間に隙間が形成された状態で固定される場合がある。この場合に、ビスを完全に取り外して、再度、基台を壁面に全面密着させてビスを壁面に螺入させると、前回のビス孔に近接する位置に別のビス孔が形成されてビスが螺入されるために、壁面のビス螺入部が崩れてしまい、ビスを用いて基台を壁面にしっかりと固定できない問題があった。
【0006】
また、基台の各基台板部を各壁面にビスにより固定した後に、少なくとも一方の壁面との間にスペーサを介在させる必要があると気付いた場合、即ち、少なくとも一方の壁面との間にスペーサを介在させることを忘れて基台を固定した場合においては、2本のビスをいずれも外して、少なくとも一方の壁面との間にスペーサを介在させた後に、再度2本のビスを各壁面に螺入させて、壁面との間にスペーサを介在させた状態で、基台を壁面に固定する必要があった。従って、全てのビスの螺入作業を2回ずつ行う必要があり、手間がかかっていた。
【特許文献1】特開2006−292011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、壁面に対して基台が離れて固定された場合、或いは基台の固定後にスペーサを介在させる必要があることに気付いた場合に、螺入済のビスの全部又は一部を取り外すことなくそのままにして、或いは前回のビス孔と同一のビス孔にビスを螺入可能にして、基台の再固定が可能な配線・配管材の出隅、及び入隅の各配設部を保護できる保護カバー、及び保護カバー装置の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、建物壁に沿って配設される配線・配管材のうち出隅部に配設される出隅配設部を保護すべく、略直交する各壁面に沿って配管された給水湯管の2つの直線配設部を保護する2つの直線配設部保護カバーを略直交させて接続可能にするために両端部に形成された接続口と、前記配線・配管材の出隅配設部を収容保護する収容空間とを備えた保護カバーであって、直交する2つの基台板部が前記出隅部を構成する各壁面にビスによりそれぞれ固定されるL字形の基台と、前記直線配設部保護カバーの各端部を覆った状態で前記基台に対して分離可能に係止される同じくL字形の蓋体とから成り、前記基台を構成する各基台板部に前記ビスを挿通するために形成された各ビス挿通孔の少なくとも一方は、配管方向に沿って長孔状になっていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、ビス螺入時(打込み時)の衝撃により、出隅部の壁面から離れて基台が固定された場合には、前記「離れ」が解消される方向に基台の屈曲部に衝撃力を作用させると、各基台板部に形成されたビス挿通孔の少なくとも一方が配管方向に沿って長孔状となっているために、ビスを全く或いは殆ど緩めることなく、そのままの螺入状態で、当該ビスに対して基台板部が前記「離れ」に対応する長さだけスライドされて、ビスによる基台板部の固定状態はそのまま維持される。従って、ビスを再螺入する(打ち直す)必要がなくなるため、壁面に対するビスの固定力が全く低下することなく、壁面に基台を固定できる。
【0010】
また、出隅部を構成する各壁面に基台を固定した後に、基台板部との間にスペーサを介装すべきことに気付いた場合には、当該スペーサを介装する側の基台板部を壁面に固定しているビスを取り外して、基台板部と壁面との間に必要厚さのスペーサを介装した後に、再度当該スペーサと基台板部とを一体にしてビスにより壁面に固定する場合、当該ビスは、元のビス孔に螺入されるため、ビス孔の崩れがなくなって、スペーサ及び基台板部をしっかりと壁面に固定できる。また、スペーサと一体に壁面に固定する側の基台板部とは異なる「他方の基台板部」は、スペーサの介装により壁面に対して当該スペーサの厚さ分だけスライドされるが、当該「他方の基台板部」に形成されたビス挿通孔は、配管方向に沿って長孔状になっているため、「他方の基台板部」を壁面に固定しているビスは、螺入したままで「他方の基台板部」をスライドさせられる。従って、基台と壁面との間にスペーサを介装させるのを忘れて基台を壁面に固定した後に、スペーサを介装させる修復作業が容易となる。なお、上記したように壁面と基台板部との間にスペーサを介装させる場合には、スペーサを介装させる側の基台板部きは異なる「他方の基台板部」に形成されたビス挿通孔が長孔状になっていることが必要である。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の配線・配管材保護カバーと、当該保護カバーの基台を構成する各基台板部と壁面との間に介装されて各基台板部を嵩上げするためのスペーサとから成り、前記各基台板部に形成された長孔状のビス挿通孔の長さは、前記スペーサの厚さよりも長くなっていることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、スペーサと一体に壁面に固定する側の基台板部とは異なる「他方の基台板部」は、スペーサの介装により壁面に対して当該スペーサの厚さ分だけスライドされるが、当該「他方の基台板部」に配管方向に沿って長孔状に形成されたビス挿通孔は、前記スペーサの厚さよりも長くなっているので、「他方の基台板部」を壁面に固定しているビスは、螺入したままで「他方の基台板部」をスライドさせられる。
【0013】
また、請求項3及び4の各発明は、請求項1及び2の各発明が出隅配設部を保護する保護カバーであったのに対して、入隅配設部を保護する保護カバーである点、即ち用途が異なるのみであって、特徴とする構成、及びその作用効果は、請求項1及び2の各発明と実質的に同一である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、壁面の出隅部又は入隅部において、ビス螺入時(打込み時)の衝撃により、壁面から離れて基台が固定されたのを、基台が壁面に全面密着するように修復する場合でも、ビスを再螺入する(打ち直す)必要がなくなるため、壁面に対するビスの固定力が全く低下することなく、壁面に基台を固定できる。また、基台と壁面との間にスペーサを介装させるのを忘れて基台を壁面に固定した後に、スペーサを介装させる場合でも、スペーサを介装させない側のビスは、取り外すことなく螺入状態(打込み状態)のままでよく、しかもスペーサを介装させる側のビスは、元のビス孔に再螺入できるので、壁面におけるビス螺入部が崩れることなく、壁面にビスをしっかりと再螺入(再打込み)できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、最良の実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
最初に、図1ないし図4を参照して、建物壁の出隅部N1 に配管された給水湯管Pの出隅配管部P1 を保護できる保護カバーC1 の構成について説明し、その後に、当該保護カバーC1 を使用して、給水湯管Pの出隅配管部P1 を保護するための施工方法について説明する。図1は、保護カバーC1 を構成して、建物壁の出隅部N1 に固定される基台V1 の斜視図であり、図2は、同じく蓋体L1 の斜視図であり、図3は、基台V1 の正面図であり、図4(a),(b)は、それぞれ図3のH1 −H1 線及びH2 −H2 線の各断面図である。
【0017】
図1ないし図4に示されるように、出隅配管部P1 を保護する保護カバーC1 は、全体形状がL字形をした基台V1 と、直線配管部保護カバーC0 の端部に接続される接続口20が両端部にそれぞれ形成されて、前記基台V1 に覆蓋される蓋体L1 とで構成される。基台V1 は、図1、図3及び図4に示されるように、第1及び第2の各基台板部1,2が直交して一体に形成されていて、第1及び第2の各基台板部1,2の交差角が270°を形成する側の面に、蓋体L1 の係止片23及び係止突起25に対して解除可能に係止させるために必要な第1及び第2の各被係止凹部3,4が形成されている。第1及び第2の各基台板部1,2の交差角が270°を形成する側の各面には、第1及び第2の各基台板部1,2の屈曲線に対して対称に各部材が一体に形成されている。第1及び第2の各基台板部1,2の屈曲部における幅方向Rの両端部には、各基台板部1,2に対して垂直となって第1立壁部5が、配管方向(幅方向Rと直交する方向)Qに沿った両端から所定距離を除いた残りの部分に連続して形成され、前記第1立壁部5の長手方向の両端部の内側には、当該第1立壁部5の長さ方向に沿って第1被係止凹部3が形成され、前記第1立壁部5には、全長が当該第1立壁部5よりも短くて高さの高い第2立壁部6が一体に形成され、第1及び第2の各立壁部5,6の外側面は、当該第2立壁部6が外方に僅かに突出して段差状に形成されて、当該段差部が第2被係止凹部4(図1及び図4参照)となっている。即ち、第1被係止凹部3は、第1及び第2の各基台板部1,2に幅方向Rの中心線に対して対称位置に一対ずつ計二対形成され、第2被係止凹部4は、基台V1 に対して蓋体L1 をスライドさせて覆蓋させる際に、第1及び第2のいずれの基台板部1,2の側からも覆蓋可能なように、第1及び第2の各基台板部1,2に跨がった状態で幅方向Rの中心線に対して対称位置に一対形成されている。即ち、基台V1 は、計二対の第1被係止凹部3と一対の第2被係止凹部4を備えており、基台V1 に蓋体L1 を覆蓋されて両者V1 ,L1 を分離可能に連結させる際に、二対の第1被係止凹部3が主体となって、基台V1 と蓋体L1 とが組み付けられる。
【0018】
第1立壁部5の両端面は、第1及び第2の各基台板部1,2の板面に対して鈍角を形成するように傾斜していて、第1立壁部5の延長線上には、当該第1立壁部5の端面と所定間隔をおいて、基台V1 に対して蓋体L1 をスライドさせて覆蓋させる際に、当該蓋体L1 の係止片23が当接するスライド端規制部11が形成されている。第1立壁部5の両端面と前記スライド端規制部11の内端面との間には、蓋体L1 の内側面との間に所定間隔をおいて係止片23を一体に取付けている連結部24との干渉を回避するための干渉回避空間12が形成されている。また、前記干渉回避空間12の内側には、基台V1 の第1被係止凹部3と蓋体L1 の係止片23とが係止した状態において、当該係止片23が基台V1 の幅方向Rの内方に微動して、前記係止が解除されるのを防止するために、前記係止片23と僅かに当接する当接突条13が配管方向Qに沿って形成されている。
【0019】
また、第1及び第2の各基台板部1,2の幅方向Rの両端部であって、前記第1立壁部5の内側の部分には、配管方向Qの全長に亘って各基台板部1,2を補強するための一対の補強用リブ14が形成され、第1及び第2の各基台板部1,2には、幅方向Rに沿って異なる位置に配管方向Qに沿って長孔状をしたビス挿通孔15がそれぞれ形成されている。ビス挿通孔15の長手方向の中央部には、ビスBの頭部B1 を挿入するための円錐状の凹部15aが形成されている。ビス挿通孔15の長さ(J)は、基台V1 の各基台板部1,2を嵩上げさせるために壁面W1 ,W2 との間に介装されるスペーサS1 の予測最大厚さよりも長くしてある。このように、第1及び第2の各基台板部1,2に形成される各ビス挿通孔15の位置を幅方向Rにずらしてあるのは、各ビス挿通孔15に挿通されて、出隅部N1 を構成する各壁面W1 ,W2 に螺入された各ビスBの干渉を避けるためである。なお、図3及び図4において、16は、予め出隅部N1 を構成する壁面W1 ,W2 に固定されている基台V1 に対して直線配管部保護カバーC0 の基台V0 を各壁面W1 ,W2 に固定する際に、当該基台V0 の幅方向Rに沿った位置決めを行うための一対の位置決め板部を示し、17は、成形時において第1被係止凹部3を成形するための移動型(スライドコア)の抜孔を示し、7は、各基台板部1,2の幅方向Rの中央に配管方向Qに沿って形成された幅方向中心凹条を示す。
【0020】
次に、図2を参照して、前記基台V1 に対してスライドさせて覆蓋させるための蓋体L1 について説明する。蓋体L1 は、全体形状がL字形をなしていて、交差角が90°の側が開口されて、両端部に直線配管部保護カバーC0 の端部に接続される接続口20がそれぞれ形成され、所定間隔をおいて配置されたL字形の正面形状を有する一対の側板部21が、断面L字形をした天板部22で一体に連結された形状を有している。蓋体L1 の各側板部21の内側面における前記基台V1 の計二対の第1被係止凹部3に対応する位置には、当該蓋体L1 における基台V1 と対向する側の開口に臨んた状態で計二対の係止片23がそれぞれ一体に形成されている。係止片23は、ストレート状の弾性片であって、側板部21と所定間隔をおいて当該側板部21及び前記開口面の双方に対して平行に配置されて、即ち、配管方向Qに沿って配置されて、連結部24を介して長手方向における接続口20の側の端部が側板部21に一体に連結されている。従って、係止片23は、連結部24に対して片持ち状に形成されて、弾性変形可能となっている。また、L字形の側板部21を屈曲部で二分した一方の内側面には、前記開口面と平行となって所定長のストレート状の係止突起25が当該開口に臨んで一体に設けられている。
【0021】
本発明に係る出隅配管部P1 の保護カバーC1 は、基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋させる際に、当該蓋体L1 を出隅部N1 を構成する一方の壁面W1 (又はW2 )と平行となるように、当該壁面W1 (又はW2 )に沿ってスライドさせて行う構成であり、L字形の全体形状を有する蓋体L1 をスライドさせる方向D1 (図2及び図8参照)は、係止片23と係止突起25との双方が形成されている側に特定(限定)され、他方の方向では、基台V1 に対する蓋体L1 の覆蓋が難しくなる。このため、蓋体L1 の天板部22の裏面における接続口20に臨む部分に、スライド方向D1 を示す矢印26が表示されていると共に、天板部22における当該矢印26と反対の面(表面)には、前記蓋体L1 を屈曲部で二分した場合に前記スライド方向D1 の側であることを示す小突起27(図7参照)が形成されている。なお、図2において、28は、基台V1 と蓋体L1 との係止を解除する際に、各側板部21を内方に押圧させて弾性変形させる際に、内側に係止片23の配置位置を外側から分からしめるための係止片位置明示部を示す。
【0022】
次に、図5ないし図8を参照して、直交して隣接する各壁面W1 ,W2 に亘って配管された給水湯管Pの出隅配管部P1 を前記保護カバーC1 で保護する方法について説明する。図5は、出隅部N1 を構成する各壁面W1 ,W2 に基台V1 が全面密着しないで固定された状態の断面図(図1のU−U線断面図)であり、図6は、基台V1 の屈曲部19に衝撃力F1 を加えることにより各基台板部1,2を僅かにスライドさせて、基台V1 を壁面W1 ,W2 に全面密着させた状態の断面図(図1のU−U線断面図)であり、図7は、配管後において基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋させる前の状態の斜視図であり、図8は、配管後において基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋させた状態の断面図である。
【0023】
ここで、保護カバーC1 を構成する基台V1 は、全体が板状であるために、許容範囲内において僅かに曲げたり、捩ったりすることが可能である。このため、図5に示されるように、基台V1 を構成する第1及び第2の各基台板部1,2のビス挿通孔15に挿通したビスBを各壁面W1 ,W2 に螺入させると、ビスBの螺入時(打込み時)の衝撃により各基台板部1,2が壁面W1 ,W2 から離れ、壁面W1 ,W2 と第1及び第2の各基台板部1,2との間に隙間81が発生して、基台V1 が各壁面W1 ,W2 に全面密着しない場合がある。この例では、前記隙間81は、各壁面W1 ,W2 のいずれに対しても発生している。この場合には、以下のようにして修復して、基台V1 の第1及び第2の各基台板部1,2を各壁面W1 ,W2 に全面密着させる。前記隙間81をなくすために、図5で2点鎖線で示されるように、各ビスBの頭部B1 が凹部15aから出る程度に各ビスBを緩めておいて、基台V1 の屈曲部19に前記隙間81を解消可能な方向(この例では、各壁面W1 ,W2 のいずれに対してもほぼ135°の方向)から衝撃力F1 を加えて、第1及び第2の各基台板部1,2をそれぞれ壁面W1 ,W2 に対して僅かにスライドさせると、基台V1 は各壁面W1 ,W2 に全面密着する。その後に、各ビスBを壁面W1 ,W2 に対して再度僅かに螺入すると、各壁面W1 ,W2 に基台V1 が全面密着した状態で固定される。この結果、前記隙間81における壁面W2 と同W1 に対してそれぞれ垂直な方向に沿った長さをK1 ,K2 とすると、第1及び第2の各基台板部1,2のビス挿通孔15の凹部15aに頭部B1 が挿入されたビスBの中心と、当該ビスBを挿通しているビス挿通孔15の一方の形成端との長さ(M1 )は、それぞれ(M1 −K1 ),(M1 −K2 )に変化する。即ち、ビスBに対する第1及び第2の各基台板部1,2の位置が、それぞれスライド方向に沿って僅かに変化する。
【0024】
これにより、各ビスBを完全に外すことなく、僅かに緩めて基台V1 の第1及び第2の各基台板部1,2を僅かにスライドさせるのみで、基台V1 と各壁面W1 ,W2 との間に形成された隙間81を完全になくして、壁面W1 ,W2 に対して基台V1 を全面密着させられる。このように、ビスBを完全に取り外すことなく、壁面W1 ,W2 に対して基台V1 を再固定できるので、前記隙間81をなくすための修復作業が容易となる。
【0025】
その後に、出隅部N1 に固定された保護カバーC1 の基台V1 に対して直線配管部保護カバーC0 の基台V0 を接続した後に、当該基台V0 に設けられた2本の管保持部82(図7参照)にそれぞれ給水湯管Pの直線配管部P0 を保持させると共に、出隅部N1 においては各壁面W1 ,W2 に沿って配管された各直線配管部P0 をエルボE1 で連結し、その後に基台V0 に対して蓋体L0 を覆蓋させる。その後に、基台V1 に対して蓋体L1 をスライド方向D1 にスライドさせると、基台V1 の二対の第1被係止凹部3と蓋体L1 の二対の係止片23が係止すると共に、基台V1 の第2被係止凹部4と蓋体L1 の係止突起25とが係止して、基台V1 に対して蓋体L1 が組み付けられて、基台V1 と蓋体L1 とで形成される収容空間29にエルボE1 (出隅配管部P1 )が収容される(図8参照)。
【0026】
上記例は、各壁面W1 ,W2 の双方に対して隙間81が発生した例であるが、各壁面W1 ,W2 のいずれか一方にのみ隙間が発生した場合には、隙間が発生しない側のビスBは、螺入状態のままにして、隙間が発生した側のビスBの頭部B1 のみをビス挿通孔15の凹部15aから外して、当該ビスBの側の基台板部1(2)を僅かにスライドさせればよい。また、上記例では、ビス挿通孔15の長手方向の中央部に、ビスBの頭部B1 が基台板部1,2の表面から突出するのを防止するために、当該ビスBの頭部B1 を挿入可能な凹部15aが形成されているため、スライドさせる側の基台板部1,2を固定しているビスBの頭部B1 をビス挿通孔15の凹部15aから外す必要があるが、ビス挿通孔15の中央部に凹部15aが形成されていない場合には、ビスBの螺入状態のままで基台板部1,2をスライドさせられる。
【0027】
また、上記実施例は、2本のビスBを各壁面W1 ,W2 に螺入した(打ち込んだ)後に、保護カバーC1 の屈曲部19に衝撃力を加えて、各基台板部1,2が壁面W1 ,W2 に密着するように修正している。しかし、1本目(最初)のビスBにより一方の基台板部1(2)を壁面W1 (W2 )に固定した際に、他方の基台板部2(1)が壁面W2 (W1 )との間に隙間が発生した状態になっている場合でも、1本目(最初)のビスBが仮固定状態であるならば、他方の基台板部2(1)を壁面W2 (W1 )に固定(本固定)することにより、前記「一方の基台板部1(2)」を壁面W2 (W1 )の側にスライドさせて、前記「隙間」が解消されるため、後工程で保護カバーC1 に衝撃力を加えて強制的にスライドさせなくても、前記「隙間」は自然に解消される。
【0028】
次に、図9−1,図9−2及び図10を参照して、誤って基台V1 を固定してしまった後に、壁面W2 との間にスペーサS1 を介装させる順序について説明する。図9−1(a),(b)は、出隅部N1 に誤って基台V1 を固定した状態、及びスペーサS1 を介装させるために、一方のビスBを取り外して基台V1 をスライドさせた状態の断面図であり、図9−2(c),(d)は、基台V1 の第2基台板部2と壁面W2 との間にスペーサS1 を介装させた状態、及びスペーサS1 を介して基台V1 の第2基台板部2を壁面W2 にビスBにより固定した状態の断面図であり、図10(a)は、図9−2(d)のY−Y線断面図であり、同(b)は、スペーサS1 を2枚重ねに使用した場合における図9−2(d)のY−Y線断面図である。
【0029】
図9−1(a)に示されるように、スペーサS1 により嵩上げするのを忘れて、出隅部N1 に基台V1 を固定した後に、スペーサS1 による嵩上げの必要性に気付いた場合には、嵩上げする側のビスBを取り外すと共に、他方のビスBの頭部B1 をビス挿通孔15の凹部15aから抜け出る程度に当該ビスを外すことなく緩めた後に、図9−1(b)に示されるように、基台V1 を壁面W2 に垂直な方向にスペーサS1 の厚さを僅かに超える長さだけスライドさせて、壁面W2 と基台V1 の基台板部2との間に隙間83を形成する。次に、図9−2(c)に示されるように、前記隙間83に、スペーサS1 を挿入した後に、スペーサS1 と基台V1 の第2基台板部2、及び壁面W2 との間にいずれも隙間がなくなるように、基台V1 を前記したスペーサ方向と逆の方向に微動させ、その後に、図9−2(d)に示されるように、取り外したビスBを再度スペーサS1 を貫通させて壁面W2 に螺入させると共に、凹部15aから頭部B1 のみを出して大部分が螺入されている別のビスBを、残り分だけ螺入させる。これにより、基台V1 の第2基台板部2とスペーサS1 とが一体となって壁面W2 に固定されて、基台V1 の第2基台板部2の側がスペーサS1 の板厚(T)だけ嵩上げされる。このように、スペーサS1 により嵩上げするのを忘れて基台V1 を出隅部N1 に固定した後においても、当該基台V1 を各壁面W1 ,W2 に固定している2本のビスBのうち一方は取り外すことなく、基台V1 をスライドさせられ、しかも壁面W2 から取り外したビスBは、元の螺子孔84にそのまま再螺入されるため、螺子孔84の崩れがなくなって、第2基台板部2とスペーサS1 を一体にしてしっかりと壁面W2 に固定できる。よって、基台V1 の固定後にスペーサS1 を介装させる「やり直し作業」が容易となる。
【0030】
ここで、スペーサS1 は、図10(a)に示されるように、出隅配管部P1 及び入隅配管部P2 を保護する保護カバーC1 ,C2 の基台V1 ,V2 の専用のスペーサであって、スペーサ本体部61の上面に、基台V1 に補強用リブ14を形成することにより裏面側に形成された左右一対の溝部18に挿入される一対の嵌合突条62が形成され、スペーサ本体部61裏面に、別のスペーサS1 を重ね合わせて使用する場合に、当該別のスペーサS1 の嵌合突条62が嵌合される嵌合凹条63が形成された構成である。また、図10(b)に示されるように、2枚又は2枚を超える複数枚のスペーサS1 を重ね合わせることにより、嵩上げ高さの調整が可能であり、更に第1及び第2の各基台板部1,2の双方を嵩上げすることも可能である。基台V1 の基台板部1,2に形成したビス挿通孔15の長さ(J)は、スペーサS1 の厚さT(2T)よりも長いので、スペーサS1 を介装させない側の第1基台板部1のビスBを壁面W1 に螺入したままで、基台V1 のスライドが可能である。
【0031】
以後は、上記した場合と全く同様にして、配管を行って、出隅部N1 に配管された出隅配管部P1 を保護カバーC1 で保護する。なお、図9−2(d)において、S2 は、直線配管部保護カバーC0 の基台V0 を嵩上げするための別のスペーサを示す。
【実施例2】
【0032】
次に、図11ないし図14を参照して、建物壁の入隅部N2 に配管された給水湯管Pの入隅配管部P2 を保護できる保護カバーC2 の構成について説明し、その後に、当該保護カバーC2 を使用して、給水湯管Pの入隅配管部P2 を保護するための施工方法について説明する。図11は、保護カバーC2 を構成して、建物壁の入隅部N2 に固定される基台V2 の斜視図であり、図12は、同じく蓋体L2 の斜視図であり、図13は、基台V2 の正面図であり、図14(a),(b),(c)は、それぞれ図13のX1 −X1 線、X2 −X2 線及びX3 −X3 線の各断面図である。
【0033】
ここで、上記した出隅配管部保護カバーC1 と入隅配管部保護カバーC2 を構成する基台V1 (V2 )は、いずれもL字形をしていて、各部材を形成角が90°の側か、或いは270°の側に形成するかの相違のみであって、「長孔状のビス挿通孔に挿通されるビスを用いた基台の固定構造」及び「係止構造」の面から把握した場合には、前記相違を除けば実質的に同一である。全く同様に、各保護カバーC1 ,C2 を構成する蓋体L1 ,L2 に関しても、形成角が90°の側が開口しているか、形成角が270°の側が開口しているかの相違のみであって、「係止構造」の面から把握した場合には、前記開口形成位置の相違を除けば実質的に同一である。従って、入隅配管部保護カバーC2 の説明に関しては、出隅配管部保護カバーC1 の説明で使用した「符号」と関連する「関連符号(同一又は同等部分に関しては、符号の1桁目が同一となっている)」を使用し、同一又は実質的に同等の部分の重複説明を避けて、入隅配管部保護カバーC2 の特有の部分についてのみ説明する。
【0034】
また、入隅配管部保護カバーC2 を構成する基台V2 は、図11、図13及び図14に示されるように、全体形状がL字形をしていて、互いに直交して折り曲げられた形状の第1及び第2の各基台板部31,32の形成角が90°の側の面に必要な部材が一体に形成されていて、形成角が270°の側の面は、入隅部N2 を構成する壁面W2 ,W3 に密着されられる面であるため平面状に形成されている。そして、前記保護カバーC1 の基台V1 とは反対に、保護カバーC2 の基台V2 を構成する第1及び第2の各基台板部31,32の形成角が90°の側の面に、第1被係止凹部33、第2被係止凹部34、第1立壁部35、第2立壁部36、干渉回避空間42、当接突条43、補強用リブ44、位置決め板部46及び抜孔47が、保護カバーC1 の基台V1 に形成された各部分に相当する部分にそれぞれ同様に形成されている。
【0035】
ここで、長孔状をしたビス挿通孔45に関しては、出隅配管部P1 を保護する保護カバーC1 の基台V1 と異なって、各基台板部31,32を固定する2本のビスBが干渉することはないので、各基台板部31,32に配管方向Qに沿って形成されるビス挿通孔45は、幅方向中心凹条37上に形成されている。長孔状をしたビス挿通孔45の長手方向の中央部には、ビスBの頭部B1 を挿入する中空円錐状の凹部45aが形成されている構成も同様である。
【0036】
また、入隅配管部保護カバーC2 を構成する蓋体L2 は、図12に示されるように、全体形状がL字形をしていて、形成角(交差角)が270°の側が開口されていて、各側板部51が天板部52で連結されて、配管方向の両端部が接続口50となっている。各側板部51の内側面における前記開口に臨む部分には、前記保護カバーC1 の蓋体L1 と同様にして、計二対の係止片53と一対の係止突起55とが形成されている。係止片53は、側板部51の内側面と所定間隔をおいて配置されて連結部54により連結されている。基台V2 に対して蓋体L2 をスライドさせて覆蓋させる際において、蓋体L2 を屈曲部で二分した場合に一対の係止片53と一対の係止突起55とが形成されている側の側板部51の端面の長手方向がスライド方向D2 (図17参照)となる。なお、図12及び図17において、57は、蓋体L2 を屈曲部49で二分した場合にスライドさせる側の天板部52に形成された小突起であり、58は、側板部51における内側に係止片53が形成された部分に形成された係止片位置明示部を示す。
【0037】
ここで、図15に示されるように、保護カバーC2 の基台V2 の各ビス挿通孔45に挿通された各ビスBを、入隅部N2 を構成する各壁面W2 ,W3 に衝撃的に螺入して(打ち込んで)固定した場合に、各壁面W2 ,W3 との間に隙間91が発生した場合には、以下のようにして修復して、基台V2 を各壁面W2 ,W3 に全面密着させる。即ち、ビスBの頭部B1 を、第1及び第2の各基台板部31,32のビス挿通孔45の凹部45aから出る程度に緩めておいて、各基台板部31,32に対してほぼ45°で交差する方向から基台V2 の屈曲部49に衝撃力F2 を加えると、第1及び第2の各基台板部31,32は、それぞれ壁面W2 ,W3 に沿ってK21, K22だけスライドして、基台V2 の全面が壁面W2 ,W3 に密着する(図16参照)。このため、前記隙間91における壁面W3 と同W2 に対してそれぞれな方向に沿った長さをK21,K22とすると、第1及び第2の各基台板部31,32のビス挿通孔45の凹部45aに頭部B1 が挿入されたビスBの中心と、当該ビスBを挿通しているビス挿通孔45の一方の形成端との長さ(M2 )は、それぞれ(M2 −K21),(M2 −K22)に変化する。即ち、ビスBに対する第1及び第2の各基台板部31,32の位置が、それぞれスライド方向に沿って僅かに変化する。よって、ビスBを取り外すことなく、基台V2 の全面が各壁面W2 ,W3 に密着するように修復できる。
【0038】
そして、出隅配管部P1 の保護カバーC1 と同様にして、基台V2 に直線配管部保護カバーC0 の基台V0 を接続して、各壁面W2 ,W3 に沿って配管された直線配管部P0 を入隅部N2 の部分でエルボE2 により接続して、直線配管部P0 の基台V0 に蓋体L0 を覆蓋させる。その後に、図17に示されるように、保護カバーC2 の蓋体L2 を壁面W2 に沿ったスライド方向D2 にスライドさせると、基台V2 の二対の第1被係止凹部33と蓋体L2 の二対の係止片53とが係止すると共に、基台V2 の第2被係止凹部34と蓋体L2 の係止突起55とが係止して、基台V2 に対して蓋体L2 が覆蓋状態で組み付けられる(図18参照)。なお、図18において、59は、保護カバーC2 の収容空間を示す。
【0039】
また、図19−1(a)に示されるように、スペーサS1 により嵩上げするのを忘れて入隅部N2 に基台V2 を固定した後に、前記嵩上げの必要性に気付いた場合には、保護カバーC1 の基台V1 の場合と同様にして行う。即ち、図19−1(b)に示されるように、嵩上げする側の第2基台板部32を壁面W3 に固定しているビスBを取り外すと共に、第1基台板部31を壁面W2 に固定しているビスBの頭部B1 がビス挿通孔45の凹部45aから抜け出る程度にビスBを緩めた後に、基台V2 を壁面W2 に沿ってスライドさせて、壁面W3 と第2基台板部32との間に隙間93を形成する〔図19−1(b)参照〕。
【0040】
次に、前記隙間93にスペーサS1 を挿入配置した〔図19−2(c)参照〕後に、再度基台V2 を上記と逆方向にスライドさせて、スペーサS1 を第2基台板部32及び壁面W3 の双方に対して密着させて、スペーサS1 と第2基台板部32とを一体にして、ビスBを元の螺子孔94に螺入することにより、スペーサS1 と第2基台板部32とを壁面W3 に固定する〔図19−2(d)参照〕。この場合においても、第1基台板部31の側のビスBは、取り外すことなく、第2基台板部32と壁面W3 との間にスペーサS1 を介装できる。なお、出隅配管部P1 と入隅配管部P2 を保護する保護カバーC1 ,C2 は対となって扱われるため、各保護カバーC1 ,C2 を構成する基台V1 ,V2 に形成された一対の補強用リブ14,44の間隔は同一であるので、共通のスペーサS1 の使用が可能である。
【0041】
また、実施例1,2では、第1及び第2の各基台板部に形成された各ビス挿通孔はいずれも長孔状にしてあるが、本発明においては、前記各ビス挿通孔のいずれか一方が長孔状になっていればよく、従って、一方のビス挿通孔のみが長孔状であってもよい。この場合には、長孔状のビス挿通孔を有する一方の基台板部を先に固定すると、仮に「他方の基台板部」と壁面との間に隙間が発生しても、当該「他方の基台板部」を壁面に固定する際に、前記「一方の基台板部」がスライドされて前記隙間が解消される。また、スペーサを使用する場合には、上記とは逆に、長孔状でないビス挿通孔を有する基台板部と壁面との間にスペーサを介装させて、当該基台板部の側を最初に固定すればよい。
【0042】
また、上記実施例1,2は、いずれも、施工上の不具合により直角に対して僅かに鈍角又は鋭角となった出隅部N1 又は入隅部N2 においても、基台V1(V2)に対して蓋体L1(L2)が外れることなく係止可能なように、基台V1(V2)に対して蓋体L1(L2)をスライドさせて組み付ける場合において、スライド方向に沿った側の基台V1(V2)に一対の第1被係止凹部3(33)と一対の第2被係止凹部4(34)との計二対の被係止部を形成すると共に、同様の側の蓋体L1(L2)に一対の係止片23(53)と一対の係止突起25(55)との計二対の係止部を形成して、蓋体L1(L2)のスライド方向と直交する側に形成された基台V1(V2)に一対の第1被係止凹部3(33)と蓋体L1(L2)の一対の係止片23(53)とが係止しない場合においても、基台V1(V2)に対して蓋体L1(L2)が外れない構成にしてあって、「係止構造」の面において特有の効果を奏する保護カバーC1(C2)に対して本発明を実施したものである。
【0043】
しかし、本発明は、基台と蓋体との「係止構造」に特徴を有するものではないので、基台と蓋体との「係止構造」は、上記した特有の利点を有する「係止構造」に限られず、基台側の係止段部(係止凹部)と蓋体側の係止爪による一般的な「係止構造」を有する出隅配管部、及び入隅配管部の保護カバーに対しても実施可能である。
【0044】
なお、上記実施例1,2は、本発明を給水湯管の保護カバーに対して実施した例であるが、本発明は、エアコン用冷媒管、配線・ケーブル等の配線・配管に使用される保護カバーに対しても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】保護カバーC1 を構成していて、建物壁の出隅部N1 に固定される基台V1 の斜視図である。
【図2】同じく蓋体L1 の斜視図である。
【図3】基台V1 の正面図である。
【図4】(a),(b)は、それぞれ図3のH1 −H1 線及びH2 −H2 線の各断面図である。
【図5】出隅部N1 を構成する各壁面W1 ,W2 に基台V1 が全面密着しないで固定された状態の断面図(図1のU−U線断面図)である。
【図6】基台V1 の屈曲部19に衝撃力F1 を加えることにより各基台板部1,2を僅かにスライドさせて、基台V1 を壁面W1 ,W2 に全面密着させた状態の断面図(図1のU−U線断面図)である。
【図7】配管後において基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋させる前の状態の斜視図である。
【図8】配管後において基台V1 に対して蓋体L1 を覆蓋させた状態の断面図である。
【図9−1】(a),(b)は、それぞれ出隅部N1 に誤って基台V1 を固定した状態、及びスペーサS1 を介装させるために、一方のビスBを取り外して基台V1 をスライドさせた状態の断面図である。
【図9−2】(c),(d)は、それぞれ基台V1 の第2基台板部2と壁面W2 との間にスペーサS1 を介装させた状態、及びスペーサS1 を介して基台V1 の第2基台板部2を壁面W2 にビスBにより固定した状態の断面図である。
【図10】(a)は、図9−2(d)のY−Y線断面図であり、(b)は、スペーサS1 を2枚重ねに使用した場合における図9−2(d)のY−Y線断面図である。
【図11】保護カバーC2 を構成していて、建物壁の入隅部N2 に固定される基台V2 の斜視図である。
【図12】同じく蓋体L2 の斜視図である。
【図13】基台V2 の正面図である。
【図14】(a),(b),(c)は、それぞれ図13のX1 −X1 線、X2 −X2 線及びX3 −X3 線の各断面図である。
【図15】入隅部N2 を構成する各壁面W2 ,W3 に基台V2 が全面密着しないで固定された状態の断面図である。
【図16】基台V2 の屈曲部49に衝撃力F2 を加えることにより各基台板部31,32を僅かにスライドさせて、基台V2 を壁面W2 ,W3 に全面密着させた状態の断面図である。
【図17】配管後において保護カバーC2 の基台V2 に対して蓋体L2 を覆蓋させる前の状態の斜視図である。
【図18】配管後において基台V2 に対して蓋体L2 を覆蓋させた状態の断面図である。
【図19−1】(a),(b)は、それぞれ入隅部N2 に誤って基台V2 を固定した状態、及びスペーサS1 を介装させるために、一方のビスBを取り外して基台V2 をスライドさせた状態の断面図である。
【図19−2】(c),(d)は、それぞれ基台V2 の第2基台板部32と壁面W3 との間にスペーサS1 を介装させた状態、及びスペーサS1 を介して基台V2 の第2基台板32を壁面W2 にビスBにより固定した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
0 :直線配管部保護カバー(直線配設部保護カバー)
1 :出隅配管部保護カバー(出隅配設部保護カバー)
2 :入隅配管部保護カバー(入隅配設部保護カバー)
1 :エルボ(出隅配管部)
2 :エルボ(入隅配管部)
1,L2 :蓋体
1 :出隅部
2 :入隅部
P:給水湯管(配線・配管材)
0 :直線配管部
1 :出隅配管部
2 :入隅配管部
1,V2 :基台
1,W2,W3 :壁面
15,45:ビス挿通孔
20,50:蓋体の接続口
29,59:収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物壁に沿って配設される配線・配管材のうち出隅部に配線・配管される出隅配設部を保護すべく、略直交する各壁面に沿って配管された給水湯管の2つの直線配設部を保護する2つの直線配設部保護カバーを略直交させて接続可能にするために両端部に形成された接続口と、前記配線・配管材の出隅配設部を収容保護する収容空間とを備えた保護カバーであって、
直交する2つの基台板部が前記出隅部を構成する各壁面にビスによりそれぞれ固定されるL字形の基台と、前記直線配設部保護カバーの各端部を覆った状態で前記基台に対して分離可能に係止される同じくL字形の蓋体とから成り、
前記基台を構成する各基台板部に前記ビスを挿通するために形成された各ビス挿通孔の少なくとも一方は、配管方向に沿って長孔状になっていることを特徴とする配線・配管材保護カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の給水湯管の配線・配管材保護カバーと、当該保護カバーの基台を構成する各基台板部と壁面との間に介装されて各基台板部を嵩上げするためのスペーサとから成り、
前記各基台板部に形成された長孔状のビス挿通孔の長さは、前記スペーサの厚さよりも長くなっていることを特徴とする配線・配管材保護カバー装置。
【請求項3】
建物壁に沿って配管される配線・配管材のうち入隅部に配設される入隅配設部を保護すべく、略直交する各壁面に沿って配管された2つの直線配設部を保護する2つの直線配設部保護カバーを略直交させて接続可能にするために両端部に形成された接続口と、前記配線・配管材の入隅配設部を収容保護する収容空間とを備えた保護カバーであって、
直交する2つの基台板部が前記入隅部を構成する各壁面にビスによりそれぞれ固定されるL字形の基台と、前記直線配設部保護カバーの各端部を覆った状態で前記基台に対して分離可能に係止される同じくL字形の蓋体とから成り、
前記基台を構成する各基台板部に前記ビスを挿通するためにそれぞれ形成された各ビス挿通孔の少なくとも一方は、配管方向に沿って長孔状になっていることを特徴とする配線・配管材保護カバー。
【請求項4】
請求項3に記載の配線・配管材保護カバーと、当該保護カバーの基台を構成する各基台板部と壁面との間に介装されて各基台板部を嵩上げするためのスペーサとから成り、
前記各基台板部に形成された長孔状のビス挿通孔の長さは、前記スペーサの厚さよりも長くなっていることを特徴とする配線・配管材保護カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−1】
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【図19−2】
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【公開番号】特開2009−133391(P2009−133391A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309586(P2007−309586)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】