説明

配線・配管材支持具

【課題】 周辺物に近接あるいは接触した位置であっても、迅速に取り付けることができる、配線・配管材支持具を提供する。
【解決手段】 配線・配管材支持具3は、支持具本体6を備え、その支持具本体6は、支柱1に固定される固定部4と、配線・配管材2を支持する支持部5とを有する。そして、固定部4が、離れて並んで支柱1を互いに逆側から抱え込むフック4a、4aを備えて、固定部4を支柱1に対して交差させた状態で、フック4a、4a間の離間空間4bに支柱1を進入させ、支持具本体6を、支柱1に直交する回動軸X2回りに回動することで、フック4a、4aで支柱1を抱え込む。ここで、支持具本体6には、前記回動の過程で周辺物7に干渉しないように、その支持具本体6から突設されて、前記回動にあたって周辺物7に当接して、周辺物7に対するその支持具本体6の距離を所要の距離に保つ、位置決め部8が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱に固定されて配線・配管材を支持する配線・配管材支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば二重天井内の吊りボルトに取り付けられて、ケーブル等を支持する、支持具があった(例えば、特許文献1参照)。図20に示すように、この支持具21は、ケーブル22を支持する支持部23と、吊りボルト24の軸方向の適宜位置に固定される固定部25とからなっていた。ここで、固定部25は、基部26と二つのフック27、27とから構成された。これらフック27,27は、吊りボルト24の延びる方向に離れて並ぶように、そして、吊りボルト24を互いに逆側から抱え込むように、前記基部26から延設された。そこで、吊りボルト24への支持具21の取付けにあたっては、固定部25を吊りボルト24に対して交差させた状態で、フック27、27間の離間空間に吊りボルト24を進入させて、固定部25を吊りボルト24に沿うように回動することで、フック27、27が吊りボルト24を抱え込み、こうして、支持具21は、吊りボルト24に取り付けられた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−348739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の支持具21にあっては、支持具21を吊りボルト24に取り付けるにあたって、周辺物としての天井に近い位置に取り付ける場合に、支持具21を天井に近づけすぎると、支持具21を回動する途中で支持具21が天井と干渉して取り付けられなかった。そして、この場合には、もう一度始めからやり直す必要があり、その取付け作業が面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、周辺物に近接あるいは接触した位置であっても、迅速に取り付けることができる、配線・配管材支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材支持具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、支柱に固定される固定部と、配線・配管材を支持する支持部とを有する、支持具本体を備え、前記固定部が、離れて並んで前記支柱を互いに逆側から抱え込むフックを備えて、前記固定部を前記支柱に対して交差させた状態で、前記フック間の離間空間に前記支柱が進入するように前記固定部を前記支柱側に移動し、前記支柱に対して前記支持具本体を、前記支柱に直交する回動軸回りに回動することで、前記フックで前記支柱を抱え込む、配線・配管材支持具である。ここで、前記支持具本体には、その支持具本体が、前記回動の過程で前記支柱の周りの周辺物に干渉しないように、その支持具本体から突設されて、前記回動にあたって前記周辺物に当接して、前記周辺物に対するその支持具本体の距離を所要の距離に保つ、位置決め部が設けられる。
【0007】
これにより、この配線・配管材支持具を支柱に取り付けるには、始めに、固定部を支柱に対して交差させた状態で、フック間の離間空間に支柱を進入させる。このとき、位置決め部を周辺物に当接させる。そして、支持具本体、つまりは配線・配管材支持具を、支柱に対して前記回動軸回りに回動すると、フックが支柱を抱え込み、配線・配管材支持具は、固定部部分で、支柱に固定される。そして、このように、配線・配管材支持具を支柱に対して回動するにあたって、位置決め部を周辺物に当接させることで、周辺物に対する支持具本体の距離を所要の距離に保つことができ、その状態で、配線・配管材支持具を前記回動軸回りに回動することで、配線・配管材支持具を、周辺物に干渉することなく、その周辺物に近接あるいは接触した位置で支柱に取り付けることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1に記載の配線・配管材支持具において、前記支持具本体には、前記周辺物としての他の配線・配管材支持具と相互に連結するための、係止部と被係止部とが設けられる。そして、前記係止部が、前記他の配線・配管材支持具の被係止部に係合するように、前記位置決め部が、前記回動にあたって前記他の配線・配管材支持具に当接して、前記他の配線・配管材支持具に対する前記支持具本体の距離を所要の距離に保つ。こうして、他の配線・配管材支持具に対する支持具本体の距離が保たれて、支持具本体、ひいては配線・配管材支持具を、他の配線・配管材支持具に干渉することなく、支柱に取り付けることができるとともに、係止部を他の配線・配管材支持具の被係止部に係合させて、他の配線・配管材支持具と連結することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1または2に記載の配線・配管材支持具において、前記位置決め部の先端面が、前記回動軸を中心とする円弧形状に形成される。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具において、前記位置決め部は、前記固定部の両フック内を貫く固定部中心軸と前記回動軸とを含む基準平面を挟む一方側で、前記基準平面から離れる方向に突設される。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具において、前記位置決め部として、前記固定部の両フック内を貫く固定部中心軸と前記回動軸とを含む基準平面を挟む各側で、前記基準平面から離れる方向に突設された、第1の位置決め部と第2の位置決め部とを備える。このように、第1の位置決め部と第2の位置決め部とを設けることで、支柱の延びる方向の一方側にある周辺物に対して配線・配管材支持具をその周辺物に近接あるいは接触した位置に取り付けることもでき、また、支柱の延びる方向のもう一方側にある周辺物に対して配線・配管材支持具をその周辺物に近接あるいは接触した位置に取り付けることもできる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具において、前記位置決め部は、互いに平行となって対向する二つの突片からなる。このように、位置決め部として、対向する二つの突片を設けることで、支持具本体、つまりは配線・配管材支持具の回動を、回動軸のぶれを抑えて安定して行うことができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材支持具は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具において、前記固定部には、前記回動軸がずれないように、前記回動の中心となるべき位置に、前記支柱に当接して前記回動軸を形成する突起が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る配線・配管材支持具によれば、支持具本体に、周辺物との距離を保つ位置決め部を設けることで、支柱の周りの周辺物に近接あるいは接触した位置であっても、配線・配管材支持具を支柱に迅速に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る配線・配管材支持具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図7は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、支柱、例えば、建物に配設された支柱である。2は、配線・配管材(配線材または配管材)である。3は、前記支柱1に固定されて前記配線・配管材2を支持する配線・配管材支持具である。
【0017】
この配線・配管材支持具3は、前記支柱1に固定される固定部4と、前記配線・配管材2を支持する支持部5とを有する、支持具本体6を備え、前記固定部4が、離れて並んで支柱1を互いに逆側から抱え込むフック4a、4aを備えて、固定部4を支柱1に対して交差させた状態で、フック4a、4a間の離間空間4bに支柱1が進入するように固定部4を支柱1側に移動し、支柱1に対して支持具本体6を、支柱1に直交する(詳細には、支柱1に直交するとともに、固定部4の両フック4a、4a内を貫く固定部中心軸X1に直交する)回動軸X2回りに回動することで、フック4a、4aで支柱1を抱え込む、配線・配管材支持具である。
【0018】
ここで、支持具本体6には、その支持具本体6が、前記回動の過程で支柱1の周りの周辺物7(特に、支柱1の延びる方向の一方側にある周辺物)に干渉しないように、その支持具本体6から突設されて、前記回動にあたって周辺物7に当接して、周辺物7に対するその支持具本体6の距離を所要の距離に保つ、位置決め部8が設けられる。そして、この位置決め部8の先端面8aは、前記回動軸X2を中心とする円弧形状に形成される。
【0019】
具体的には、支柱1は、例えば二重天井等における吊りボルト等のボルト材からなる。そして、前記周辺物7は、例えば二重天井における上側の天井701である。
【0020】
配線・配管材支持具3は、前記支持具本体6と前記位置決め部8とが、合成樹脂材料により一体に形成されている。
【0021】
ここにおいて、支持具本体6における前記固定部4は、基部9と、その基部9から延設された前記フック4aとからなる。これによって、基部9とフック4aとで支柱1を挟み込みこむこととなり、この挟み込みにより、固定部4は、支柱1に固定される。詳細には、基部9は、支柱1の延びる方向に平板状に延びた長方形形状をしている。そして、この基部9に直交する方向が、前記回動軸X2の方向となる。フック4aは、支柱1を抱え込むように湾曲して形成されている。そして、このフック4aの先端と基部9との間が、開放部4dとなっている。このフック4aは、二つ設けられ、これらフック4a、4aは、支柱1の延びる方向に離れて並ぶように、そして、支柱1を互いに逆側から抱え込むように、基部9の対角線方向の各側から突出するようにして延設されている。すなわち、フック4aは、長方形形状をした基部9の各長辺9aにおいて、互いに離れた側の端部から突出している。図示実施の形態においては、基部9をフック4a側から見た向きで、一方のフック4aは、右上分から突出して左に向かって延び、もう一方のフック4aは、左下から突出して右に向かって延びている(図1、図3参照)。
【0022】
また、フック4aには、その内側に、支柱1がボルト材からなる場合にそのねじの谷と係合する爪4fが設けられており、固定部4が支柱1に固定された後に、その支柱1の延びる方向に安易に移動しないようになっている。そして、図示実施の形態においては、同様の趣旨で、基部9の両端部に、支柱1のねじの谷と係合する爪9bが設けられている。
【0023】
また、固定部4には、前記回動軸X2がずれないように、前記回動の中心となるべき位置に、支柱1に当接して前記回動軸X2を形成する突起9cが設けられている。この突起9cは、基部9に設けられ、詳細には、基部9の中央から、例えば円錐形状を形成するように突出している。そして、支柱1が、吊りボルトのようなボルト材からなると、そのボルトにおけるねじの谷に、前記突起9cが係合することとなる。
【0024】
支持具本体6における前記支持部5は、前記配線・配管材2を囲むようにしてその配線・配管材2を支持するものであり、前記基部9と第1片5aと第2片5bと開閉片5cとからなる。ここで、第1片5aは、基部9の長手方向(つまり、前記固定部中心軸X1の方向)の一方の端部(図示実施の形態においては下端部)から、前記回動軸X2の方向であってフック4aのある側とは反対側に、延設される。そして、第2片5bは、第1片5aと対向するように、基部9の長手方向(つまり、前記固定部中心軸X1の方向)の他方の端部(図示実施の形態においては上端部)から、前記回動軸X2の方向であってフック4aのある側とは反対側に、延設される。また、開閉片5cは、第1片5aと第2片5bとの先端間の開口部5dを開閉するものであり、図示実施の形態においては、第2片5bの先端とヒンジ5eで繋がっており、このヒンジ5eを中心に開閉片5cを回動することで、前記開口部5dを開閉することができる。そして、開閉片5cの先端部分には、係合部としての係合爪5fが設けられ、第1片5aの先端部分には、被係合部としての係合凹部5gが設けられている。そこで、開閉片5cにより開口部5dを閉じ、係合爪5fを係合凹部5gに係合させることで、この開口部5dを閉じた状態に維持することができる。そして、この開口部5dを閉じた状態で、支持部5は、略四角形状となる、帯状のループを形成する。
【0025】
位置決め部8は、図1に示すように、前記固定部中心軸X1と前記回動軸X2とを含む基準平面Yを挟む一方側で、その基準平面Yから離れる方向に突設される。図示実施の形態においては、基部9をフック4a側から見た向きで、位置決め部8は、基部9から左側に突設して形成されている(図3参照)。詳細には、位置決め部8は、基部9の一方の長辺9a(つまり、前記固定部中心軸X1に沿う辺であって、左側の長辺)から、前記回動軸X2に直交する面を形成するように板状に突設されている。そして、前述したように、位置決め部8の先端面8aは、前記回動軸X2を中心とする円弧形状に形成されている。ここにおいて、回動軸X2から、この先端面8aまでの距離Rは、前記回動によって支持具本体6が周辺物7と干渉する虞がある端面(図示実施の形態においては、基部9の角面E)までの距離Lとほぼ同じになっている(図5(b)参照)。もっとも、この距離Rは、距離Lより長くても構わない。また、この位置決め部8は、前記回動を安定させるために、支柱1に近い位置、つまり図示実施の形態のように、固定部4(詳細には、基部9)に設けられるのが好ましい。
【0026】
次に、以上の構成からなる配線・配管材支持具3の作用効果について説明する。この配線・配管材支持具3によると、配線・配管材支持具3を支柱1に取り付けるには、始めに、図5に示すように、固定部4を支柱1に対して交差させた状態で、固定部4を支柱1側に移動するようにして、フック4a、4a間の離間空間4bに支柱1を進入させる。このとき、位置決め部8(詳細には、先端面8a)を周辺物7としての天井701に当接させる。そして、図6および図7に示すように、支持具本体6、つまりは配線・配管材支持具3を、支柱1に対して前記回動軸X2回りに回動(図5(b)の状態から、反時計回り方向に回動)すると、フック4aが支柱1を抱え込む(図7参照)。すなわち、固定部4が支柱1に沿う方向を向くように、配線・配管材支持具3をひねって、支柱1を開放部4d、4dからフック4a、4a内(つまり、固定部4内)に進入させると、フック4a、4aが支柱1を抱え込み、基部9とフック4a、4aとで支柱1を挟み込む。こうして、配線・配管材支持具3は、固定部4部分で、支柱1に固定される。そして、このように、配線・配管材支持具3を支柱1に対して回動するにあたって、位置決め部8を天井701(周辺物7)に当接させることで、天井701(周辺物7)に対する支持具本体6の距離を所要の距離に保つことができ、その状態で、配線・配管材支持具3を前記回動軸X2回りに回動することで、配線・配管材支持具3を、天井701(周辺物7)に干渉することなく、その天井701(周辺物7)に近接あるいは接触した位置で支柱1に取り付けることができる。すなわち、この配線・配管材支持具3によれば、支持具本体6に、天井701(周辺物7)との距離を保つ位置決め部8を設けることで、天井701(周辺物7)に近接あるいは接触した位置であっても、配線・配管材支持具3を支柱1に迅速に取り付けることができる。
【0027】
反対に、配線・配管材支持具3を支柱1から取り外すには、配線・配管材支持具3を逆にひねるようにして、支柱1を開放部4d、4dから外に出し(図5参照)、その後、固定部4を支柱1から離すようにして、支柱1を離間空間4bから外に出す。
【0028】
また、位置決め部8の先端面8aは、前記回動軸X2を中心とする円弧形状に形成されており、配線・配管材支持具3の回動の過程で、位置決め部8が天井701(周辺物7)に当接している間、配線・配管材支持具3が支柱1に沿って天井701(周辺物7)側に動くことがない。
【0029】
また、固定部4(詳細には、基部9)には、支柱1に当接して回動軸X2を形成する突起9cが設けられている。したがって、支柱1がボルト材であって、そのねじ部分に突起9cが当接すると、その突起9cがねじの谷と係合する。これにより、配線・配管材支持具3の回動の際に、回動軸X2のずれを防いで、天井701(周辺物7)に対する、支持具本体6の距離を所要の距離に確実に保つことができる。
【0030】
図8〜図18は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、配線・配管材支持具3が、他の配線・配管材支持具702と連結するための構造を有し、周辺物7が、前記他の配線・配管材支持具702である点が異なるが、他はほぼ同様であり、同様の部位には同一の符号を付して、以下に異なる部分を主に説明する。
【0031】
この配線・配管材支持具3においては、支持具本体6に、周辺物7としての他の配線・配管材支持具702と相互に連結するための、係止部10と被係止部11とが設けられる。そして、係止部10が、前記他の配線・配管材支持具702の被係止部11に係合するように、位置決め部8が、支持具本体6(つまり、配線・配管材支持具3)の回動にあたって前記他の配線・配管材支持具702に当接して、前記他の配線・配管材支持具702に対する支持具本体6の距離を所要の距離に保つ。
【0032】
具体的には、配線・配管材支持具3は、前記支持具本体6と前記位置決め部8と前記係止部10および被係止部11とが、合成樹脂材料により一体に形成されている。
【0033】
支持具本体6は、固定部4と支持部5とが離れて設けられ、そのため、基部9が、固定部4側の第1の基部901と、支持部5側の第2の基部902とに別れて形成されている。そして、第1の基部901と第2の基部902とが、連結部12aで繋がっている。この連結部12aは、その連結部12aと第1および第2の基部901、902とで、固定部4の両フック4a、4a内を貫く固定部中心軸X1に直交する断面が、略U字状となるように設けられている。
【0034】
そして、第1および第2の基部901、902と連結部12aとが、支柱に固定される他の固定部12を構成する。すなわち、第1の基部901と第2の基部902との、連結部12aとは反対側の開口12bから支柱を進入させて、それら第1の基部901と第2の基部902とで支柱を挟み込むことで、他の固定部12は、支柱に固定され、こうして、この配線・配管材支持具3は、支柱に取り付けられる。図示実施の形態においては、他の固定部12は、前記固定部4が固定される支柱1よりも径小の支柱を対象としており、第1の基部901と第2の基部902との間が狭く形成されている。また、他の固定部12の内面には、支柱がボルト材からなる場合にそのねじの谷と係合する爪12cが設けられており、配線・配管材支持具3が、その支柱の延びる方向に安易に移動しないようになっている。
【0035】
また、固定部4を構成する、基部9としての第1の基部901には、その第1の基部901を、固定部中心軸X1の方向の両側に分けるように、中央部分において端からスリット状に切り欠かれた切欠き9dが設けられている。
【0036】
支持部5は、第一の実施の形態と同様に、支持部5を構成する、基部9としての第2の基部902と、第1片5aと、第2片5bと、開閉片5cとからなる。ただし、第1片5aに比べて、第2片5bは、短く形成されており、また、開閉片5cは、第2片5bを補うようにL字状に形成されて、第1片5aの先端とヒンジ5eで繋がっており、このヒンジ5eを中心に開閉片5cを回動することで、第1片5aと第2片5bとの先端間の開口部5dを開閉することができる。そして、開閉片5cの先端部分には、係合部としての係合爪5fが設けられ、第2片5bの先端部分には、被係合部としての係合凹部5gが設けられている。そこで、開閉片5cにより開口部5dを閉じ、係合爪5fを係合凹部5gに係合させることで、この開口部5dは閉じた状態に維持される。そして、この開口部5dを閉じた状態で、支持部5は、略四角形状となる、帯状のループを形成する。
【0037】
位置決め部8は、図10および図11に示すように、前記固定部中心軸X1と回動軸X2とを含む基準平面Yを挟む一方側で、その基準平面Yから離れる方向に突設される。図示実施の形態においては、第1の基部901をフック4a側から見た向きで、位置決め部8は、第1および第2の基部901、902から右側に突設して形成されている。詳細には、位置決め部8は、第1および第2の基部901、902の一方の長辺9a、9a(つまり、前記固定部中心軸X1に沿う片であって、右側の長辺)から、回動軸X2に直交する面を形成するように板状に突設されている。こうして、位置決め部8、8は、互いに平行となって対向する二つの突片からなる。そして、位置決め部8、8の先端面8a、8aは、回動軸X2を中心とする円弧形状に形成されている。ここにおいて、回動軸X2から、この先端面8aまでの距離R(図14参照)は、回動軸X2から係止部10(詳細には、係止部10における前記固定部中心軸X1の方向において被係止部11と係合する面)までの距離L1(図16参照)と、他の配線・配管材支持具702における、前記先端面8aが当接する当接面W、すなわち基部901、902の端面(図14参照)から被係止部11(詳細には、被係止部11における前記固定部中心軸X1の方向において係止部10と係合する面)までの距離L2(図16参照)との和L3と、ほぼ同じになっている。また、この位置決め部8は、前記回動を安定させるために、支柱1に近い位置に設けられるのが好ましく、図示実施の形態においては、一方の位置決め部8が、固定部4(詳細には、第1の基部901)に設けられている。もう一方の位置決め部8は、固定部4寄りの支持部5(詳細には、第2の基部902)に設けられている。もっとも、これら位置決め部8、8のうち一方の位置決め部8は省略されてもよい。
【0038】
また、これら位置決め部8、8は、第1および第2の基部901、902から、他の固定部12の開口12bとは反対側に突設されている。このため、これら位置決め部8、8を、互いが接近するように撓ませるようにして摘むことで、前記開口12bが開き、他の固定部12内への支柱の進入を容易にする。
【0039】
次に、第二の実施の形態に示す配線・配管材支持具3の作用効果について説明する。この配線・配管材支持具3によると、配線・配管材支持具3を支柱1に取り付けるには、始めに、図14に示すように、固定部4を支柱1に対して交差させた状態で、固定部4を支柱1側に移動するようにして、フック4a、4a間の離間空間4bに支柱1を進入させる。このとき、位置決め部8(詳細には、先端面8a)を周辺物7としての他の配線・配管材支持具702(詳細には、前記当接面W)に当接させる。そして、図15に示すように、支持具本体6、つまりは配線・配管材支持3を、支柱1に対して前記回動軸X2回りに回動(図14の状態から反時計回り方向に回動)すると、フック4aが支柱1を抱え込む。すなわち、固定部4が支柱1に沿う方向を向くように、配線・配管材支持具3をひねって、支柱1を、フック4a、4aの先端と第1の基部901との間の開放部4d、4dからフック4a、4a内(つまり、固定部4内)に進入させると、フック4a、4aが支柱1を抱え込み、第1の基部901とフック4a、4aとで支柱1を挟み込む。こうして、配線・配管材支持具3は、固定部4部分で、支柱1に固定される。そして、このように、配線・配管材支持具3を支柱1に対して回動するにあたって、位置決め部8を他の配線・配管材支持具702(周辺物7)に当接させることで、他の配線・配管材支持具702(周辺物7)に対する支持具本体6の距離を所要の距離に保つことができ、その状態で、配線・配管材支持具3を前記回動軸X2回りに回動することで、配線・配管材支持具3を、他の配線・配管材支持具702(周辺物7)に干渉することなく、他の配線・配管材支持具702(周辺物7)に近接あるいは接触した位置で支柱1に取り付けることができる。すなわち、この配線・配管材支持具3によれば、支持具本体6に、他の配線・配管材支持具702(周辺物7)との距離を保つ位置決め部8を設けることで、他の配線・配管材支持具702(周辺物7)に近接あるいは接触した位置であっても、配線・配管材支持具3を支柱1に迅速に取り付けることができる。
【0040】
図示実施の形態においては、係止部10が他の配線・配管材支持具702の被係止部11に係合するように、前記位置決め部8が、配線・配管材支持具3の回動にあたって、他の配線・配管材支持具702に対する支持具本体6の距離を所要の距離に保つ。こうして、他の配線・配管材支持具702に対する支持具本体6の距離が保たれて、支持具本体6、ひいては配線・配管材支持具3を、他の配線・配管材支持具702に干渉することなく、支柱1に取り付けることができるだけでなく、係止部10を他の配線・配管材支持具702の被係止部11に係合させて、他の配線・配管材支持具702と連結することができる。
【0041】
また、位置決め部8の先端面8aは、前記回動軸X2を中心とする円弧形状に形成されており、配線・配管材支持具3の回動の過程で、位置決め部8が他の配線・配管材支持具702に当接している間、配線・配管材支持具3が支柱1に沿って他の配線・配管材支持具702側に動くことがない。
【0042】
また、位置決め部8として、対向する二つの突片を設けることで、支持具本体6、つまりは配線・配管材支持具3の回動を、回動軸X2のぶれを抑えて安定して行うことができる。
【0043】
また、固定部4を構成する、基部9としての第1の基部901には、切欠き9dが設けられて、第1の基部901は、フック4aが設けられた、固定部中心軸X1の方向の各側で、独立して撓むことができる。このため、図18に示すように、支柱1が、途中で径が異なって形成されている場合(例えば、支柱1にねじが形成された部分と形成されていない部分とがある場合)であって、その径が異なる部分に跨って固定部4を固定する場合でも、その径が異なる境界部1aに、前記切欠き9dを合わせることで、各フック4aだけでなく、第1の基部901の各側が、それぞれ独立して、支柱1の異なる径に合わせて撓む。このため、支柱1へ固定した際に、固定部4、ひいては配線・配管材支持具3が傾くのを抑えることができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、支柱1は、二重天井内に配置される吊りボルト等でなくとも、OAフロア等の二重床において基礎床面に配置されて上側の床を支持する支持脚を構成する支柱であってもよく、その配置場所は限定されない。また、支柱1は、垂直に配置されなくとも、水平に配置されても、斜め方向に配置されるものであってもよい。また、支柱1は、ボルト材に限定されるものでもない。
【0045】
また、位置決め部8は、支持具本体6の、一方側にのみ設けられなくとも、図19に示すように、両側に設けられてもよい。すなわち、配線・配管材支持具3は、位置決め部8として、固定部4の両フック4a、4a内を貫く固定部中心軸X1と回動軸X2とを含む基準平面Yを挟む各側で、基準平面Yから離れる方向に突設された、第1の位置決め部801と第2の位置決め部802とを備えてもよい。このように、第1の位置決め部801と第2の位置決め部802とを設けることで、支柱1の延びる方向の一方側にある周辺物7に対して配線・配管材支持具3をその周辺物7に近接あるいは接触した位置に取り付けることもでき、また、支柱1の延びる方向のもう一方側にある周辺物7に対して配線・配管材支持具3をその周辺物7に近接あるいは接触した位置に取り付けることもできる。
【0046】
また、位置決め部8の先端面8aは、円弧形状に形成さているが、必ずしも円弧形状に形成されなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第一の実施の形態の、配線・配管材支持具の斜視図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】同じく、右側面図である。
【図4】同じく、配線・配管材支持具の開閉片を閉じた状態の正面図である。
【図5】同じく、配線・配管材支持具の、支柱への取付け始めを示し、(a)は、正面図、(b)は、右側面図である。
【図6】同じく、支柱への取付け途中を示し、(a)は、正面図、(b)は、右側面図である。
【図7】同じく、支柱への取付け完了を示し、(a)は、正面図、(b)は、右側面図である。
【図8】この発明の第二の実施の形態の、配線・配管材支持具の斜視図である。
【図9】同じく、正面図である。
【図10】同じく、平面図である。
【図11】同じく、右側面図である。
【図12】同じく、図9におけるA−A線による断面図である。
【図13】同じく、配線・配管材支持具の開閉片を閉じた状態の正面図である。
【図14】同じく、配線・配管材支持具を他の配線配管材支持具と並べて支柱へ取り付ける、取付け始めを示す、右側面図である。
【図15】同じく、取付け完了を示す、右側面図である。
【図16】同じく、取付け完了時の、配線・配管材支持具の係止部と、他の配線・配管材支持具の被係止部との、係合状態を示す、断面図である。
【図17】同じく、取付け完了後の、配線・配管材を支持した状態を示す、斜視図である。
【図18】同じく、配線・配管材支持具を、途中で径が異なる支柱に取り付けた状態を示す、縦断面図である。
【図19】この発明の他の実施の形態の、右側面図である。
【図20】従来の支持具を示す、一部を破断した正面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 支柱
2 配線・配管材
3 配線・配管材支持具
4 固定部
4a フック
4b 離間空間
5 支持部
6 支持具本体
7 周辺物
701 天井(周辺物)
702 他の配線・配管材支持具(周辺物)
8 位置決め部
8a 先端面
801 第1の位置決め部
802 第2の位置決め部
9c 突起
10 係止部
11 被係止部
X1 固定部中心軸
X2 回動軸
Y 基準平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に固定される固定部と、配線・配管材を支持する支持部とを有する、支持具本体を備え、前記固定部が、離れて並んで前記支柱を互いに逆側から抱え込むフックを備えて、前記固定部を前記支柱に対して交差させた状態で、前記フック間の離間空間に前記支柱が進入するように前記固定部を前記支柱側に移動し、前記支柱に対して前記支持具本体を、前記支柱に直交する回動軸回りに回動することで、前記フックで前記支柱を抱え込む、配線・配管材支持具であって、
前記支持具本体には、その支持具本体が、前記回動の過程で前記支柱の周りの周辺物に干渉しないように、その支持具本体から突設されて、前記回動にあたって前記周辺物に当接して、前記周辺物に対するその支持具本体の距離を所要の距離に保つ、位置決め部が設けられてなる、配線・配管材支持具。
【請求項2】
前記支持具本体には、前記周辺物としての他の配線・配管材支持具と相互に連結するための、係止部と被係止部とが設けられ、
前記係止部が、前記他の配線・配管材支持具の被係止部に係合するように、前記位置決め部が、前記回動にあたって前記他の配線・配管材支持具に当接して、前記他の配線・配管材支持具に対する前記支持具本体の距離を所要の距離に保つ、請求項1に記載の配線・配管材支持具。
【請求項3】
前記位置決め部の先端面は、前記回動軸を中心とする円弧形状に形成されてなる、請求項1または2に記載の配線・配管材支持具。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記固定部の両フック内を貫く固定部中心軸と前記回動軸とを含む基準平面を挟む一方側で、前記基準平面から離れる方向に突設される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具。
【請求項5】
前記位置決め部として、前記固定部の両フック内を貫く固定部中心軸と前記回動軸とを含む基準平面を挟む各側で、前記基準平面から離れる方向に突設された、第1の位置決め部と第2の位置決め部とを備える、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具。
【請求項6】
前記位置決め部は、互いに平行となって対向する二つの突片からなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具。
【請求項7】
前記固定部には、前記回動軸がずれないように、前記回動の中心となるべき位置に、前記支柱に当接して前記回動軸を形成する突起が設けられている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線・配管材支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−156421(P2010−156421A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335239(P2008−335239)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】