説明

配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法

【課題】狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】主面に半導体素子が実装される配線基板100であって、絶縁性基材2と、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材2の主面に設けられた配線3と、外部と接続する外部接続端子として、配線3の一部領域に形成される外部接続端子部4、6と、少なくとも絶縁性基材2の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と外部接続端子部4、6の接続面とを露出した状態で絶縁性基材2の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂7とを備え、絶縁性基材2の主面の法線方向における外部接続端子部4、6の厚さは、配線3における絶縁性基材2の主面の法線方向の厚さよりも厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と、それを用いた半導体装置および半導体モジュールと、その製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の高機能化に伴い半導体素子のI/O(Input/Output)ピン数が増加傾向にある。そのような多ピンの半導体素子に対応した半導体装置では、パッケージ方式として、半導体装置の裏面に外部接続端子を有するBGA(Ball Grid Array)が多く使用されている。
【0003】
このような半導体装置は、配線が形成されている配線基板からなり、その配線基板には半導体素子を接合する部分と外部接続用の端子とが形成される。ここで、配線基板としてはガラスエポキシタイプやテープタイプの基板が一般的に使用される。また、配線基板上に形成される配線としては銅配線が抵抗値も低く一般的である。外部接続端子は、BGAでは半導体装置の裏面に形成される。また、このような半導体装置では、例えば引き出しリードをなくしてベアチップそのものを配線基板上に実装するFCB(Flip Chip Bonding)などの実装方法などにより、半導体素子が金属バンプを経由して配線基板の裏面に形成されている外部接続端子に接合されて配線基板に接続される。
【0004】
また、多ピンの半導体素子に対応した半導体装置では、POP(Package on Package)という複数の半導体装置を積層したパッケージすなわちBGAの半導体装置上に別のBGAの半導体装置を複数個実装してなる半導体モジュールが小面積多機能なデバイスを要求する商品で使用される。POPでは、例えば半導体装置が有する配線基板上の外部接続端子および別の半導体装置の外部接続端子、半導体素子および配線基板、並びに配線基板同士を接合する方法として、はんだを用いたはんだ接合が一般的に使用される。
【0005】
配線基板と他の配線基板を接合する方法としてはんだ接合が使用される形態の一例が下記特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載された配線基板について、図9を参照して説明する。
【0006】
図9は、従来の配線基板におけるはんだバンプ接続される接合部を示す断面図である。
【0007】
図9に示す従来の配線基板900は、絶縁基材902、配線903、樹脂層907、金属層921、およびはんだバンプ922を備える。
【0008】
配線基板900では、配線903に外部接続端子を形成し、外部接続端子にはんだバンプ922が形成されている。ベース部材の絶縁基材902には、ガラスエポキシまたはポリイミドテープが使用され、配線903には銅などが使用されている。また、金属層21にはニッケル材料を使用することが好ましいとある。
【0009】
図9に示すように、配線基板900では、配線903上の絶縁性の樹脂層907の一部を露出するようにして外部接続端子が形成されている。はんだによる配線への影響を防ぐことと強度を確保する点から絶縁性の樹脂層907の側面にも金属層921が形成されており、はんだバンプ922がその上に形成されている。これによりはんだバンプ922と配線903とを強固に接続、すなわち、はんだ接合部の強度を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004―327628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の配線基板900においては、はんだ接合部の強度の向上を目的として外部接続端子となる部分の配線903と樹脂層907と双方に金属層921を形成するために、スパッタ装置または複雑な無電解メッキの手法を用いなければならず、工程が複雑になる。
【0012】
また、上記従来の配線基板900において、金属層921を形成しない場合には、以下の問題が懸念される。配線基板900に実装される半導体チップのパッドは、縮小化が進み狭パッドピッチ化することが予測される。それに対応するために配線基板900の配線903のピッチも狭ピッチ化する必要があり、配線はエッチング法などにより形成されることが一般的である。そのため、エッチング法を用いて狭ピッチに対応するためには配線903となる銅箔の厚みを薄くしなければならない。しかしながら、銅箔を薄くすることで狭ピッチ化に対応可能となるものの、銅箔を薄くすることによりはんだ接合される外部接続端子となる部分の配線903も薄くなってしまう。そのため、上記従来の配線基板900において、金属層921を形成しない場合には、はんだ実装時の加熱により、配線903の導体とはんだとが相互拡散し、配線903がはんだに浸食される現象であるはんだ食われが生じることで、配線903が断線することが懸念される。
【0013】
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたもので、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る配線基板は、主面に半導体素子が実装される配線基板であって、絶縁性基材と、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、前記絶縁性基材の主面に設けられた配線と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に形成される外部接続端子部と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂とを備え、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記配線における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さよりも厚い。
【0015】
この構成により、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板を実現することができる。
【0016】
また、前記外部接続端子部の前記厚さは、前記絶縁性樹脂における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さより薄く、前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われていてもよい。
【0017】
また、前記外部接続端子部は、前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成されており、前記絶縁性樹脂は、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成されていてもよい。
【0018】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、主面に半導体素子が実装される配線基板であって、絶縁性基材と、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、前記絶縁性基材の主面に設けられた配線と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に形成される外部接続端子部と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂とを備え、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記配線における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さよりも厚い配線基板と、前記配線基板の前記実装領域に実装された半導体素子とを備える。
【0019】
この構成により、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0020】
また、前記外部接続端子部の前記厚さは、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く、さらに前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われていてもよい。
【0021】
また、前記外部接続端子部は、前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成されており、前記絶縁性樹脂は、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成されていてもよい。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る半導体モジュールは、主面に半導体素子が実装される配線基板であって、絶縁性基材と、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、前記絶縁性基材の主面に設けられた配線と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に形成される外部接続端子部と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂とを備え、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記配線における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さよりも厚い配線基板と、前記配線基板の前記実装領域に実装された半導体素子とを備える第1および第2の半導体装置を備え、前記第2の半導体装置は、前記第1の半導体装置の上に積層されており、前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部がはんだ接合されることで前記第2の半導体装置と接合されている。
【0023】
この構成により、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い半導体モジュールを実現することができる。
【0024】
また、前記第1および第2の半導体装置では、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く、前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われていてもよい。
【0025】
また、本発明に係る半導体モジュールは、主面に半導体素子が実装される配線基板であって、絶縁性基材と、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、前記絶縁性基材の主面に設けられた配線と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に形成される外部接続端子部と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂とを備え、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記配線における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さよりも厚い配線基板と、前記配線基板の前記実装領域に実装された半導体素子とを備えていてもよい。
【0026】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る配線基板の製造方法は、主面に半導体素子が実装される配線基板の製造方法であって、実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第3工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成する。
【0027】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置の製造方法は、実装されるべき半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第3工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成することにより、主面に半導体素子が実装されるべき配線基板を製造する配線基板製造工程と、超音波と加熱とを併用することにより前記配線基板の前記実装領域に前記半導体素子を実装する半導体素子実装工程とを含む。
【0028】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る半導体モジュールの製造方法は、実装されるべき半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面と反対側の面に前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を形成する第3工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第4工程と、前記実装領域に前記半導体素子を実装する第5工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成することにより、第1および第2の半導体装置を製造する半導体装置製造工程と、前記第2の半導体装置を、前記第1の半導体装置の上に積層する積層工程とを含み、前記積層工程では、前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部がはんだ接合されることにより前記第2の半導体装置と接合される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1における配線基板の構造を示す図である。
【図2】実施の形態1における配線基板を使用した場合の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図3】実施の形態1における配線基板を製造する方法を説明するための図である。
【図4】実施の形態2における配線基板を使用した場合の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図5】実施の形態2における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの構造を示す断面図である。
【図6】実施の形態2における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの別の態様の構造を示す断面図である。
【図7】実施の形態3における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの構造を示す断面図である。
【図8】実施の形態4における半導体装置の構造を示す断面図である。
【図9】従来の配線基板におけるはんだバンプ接続される接合部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における配線基板の構造を示す図である。図1(a)は、実施の形態1における配線基板100の構造の断面図を示し、図1(b)はその平面図を示す。ここで、図1(a)は、図1(b)のA−A’における配線基板100の断面を示している。
【0033】
図1に示す配線基板100は、半導体素子が接合される領域である接合領域1を有し、絶縁性基板2と、絶縁性基板2上に形成された配線3と、第1の外部接続端子4と、半導体素子との接合用の突起電極5と、第2の外部接続端子6と、絶縁性樹脂7とを備える。
【0034】
絶縁性基板2は、例えばガラスエポキシタイプまたはテープタイプの絶縁性を有する基材からなる基板である。また、絶縁性基板2は、例えば後の工程で主面と裏面とを導通させるために用いられる貫通孔(スルーホール)を有している。
【0035】
配線3は、後に配線基板100に実装される半導体素子の引き回し配線として、絶縁性基板2上に設けられており、例えば、抵抗値の低い銅からなる導体である。なお、配線3の材料としては銅が一般的だが、導電性を有する導電材料であればそれ以外でもかまわない。また、配線3の厚みとしては、3〜15μmが好ましい。配線3の形成方法としてはエッチング法が一般的であるがセミアディティブ法でもかまわない。なお、微細配線向けの形成方法としてのセミアディティブ法は高価なプロセスとなっている。
【0036】
第1の外部接続端子4は、例えば他の配線基板と接続するためのパッドなどの接続端子であり、配線3上の一部領域に配線3の厚みよりも厚くなるよう形成される。第1の外部接続端子4の材料としては、配線3の材料と同じ銅が好ましいが、導電材料であればそれ以外でもかまわない。また、第1の外部接続端子4の厚みとしては厚い方が好ましいが、1〜10μm程度でかまわない。
【0037】
突起電極5は、実装される半導体素子と電気的に接続するための接合用電極として、接合領域1の配線3の一部に形成される電極である。突起電極5の材料としては、第1の外部接続端子4の材料と同じであるのが好ましい。
【0038】
第2の外部接続端子6は、例えば他の配線基板または半導体装置と接続するための接続端子であり、絶縁性基板2の裏面に形成される。第2の外部接続端子6は、絶縁性基板2に形成されている貫通孔(スルーホール)を介して配線3と導通している。また、第2の外部接続端子6の厚さは、配線3の厚みよりも厚くなるよう形成されるのが好ましい。
【0039】
絶縁性樹脂7は、第1の外部接続端子4の一部および接合領域1など所望の領域を露出して絶縁性基板2の主面を覆うように形成されている。絶縁性樹脂7は、第1の外部接続端子4の外周を覆うように、第1の外部接続端子4の厚さより厚く形成されている。これにより厚みの厚い部分である第1の外部接続端子4の一部を絶縁性樹脂7で押さえることができる効果を奏し、さらに、厚みの厚い部分である第1の外部接続端子4の一部のみを接合部として用いることができるのではんだ接合時のはんだの拡散の影響を軽減する効果を奏する。
【0040】
以上のようにして、配線基板100は構成される。
【0041】
ここで、配線基板100を備える半導体装置について説明する。
【0042】
図2は、実施の形態1における配線基板を使用した場合の半導体装置の構造を示す断面図である。 図1と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0043】
図2に示す半導体装置120は、絶縁性基板2と、絶縁性基板2上に形成された配線3と、第1の外部接続端子4と、半導体素子8との接合用の突起電極5と、第2の外部接続端子6と、絶縁性樹脂7とを有する配線基板100と、半導体素子8と、封止樹脂9と、はんだボール10とを備える。
【0044】
半導体素子8は、例えばCMOSの半導体素子であり、例えばアナログICまたはロジックIC等の機能を有する。半導体素子8は、突起電極5と半導体素子8のパッドとをFCBを用いて接合されることで接合領域1に実装される。
【0045】
封止樹脂9は、接合領域1に形成され、半導体素子8と半導体素子8と接合する突起電極5と、接合領域1として絶縁性樹脂7から露出している配線3とに形成される。
【0046】
はんだボール10は、第2の外部接続端子6に接合されている。はんだボール10は、第2の外部接続端子6に接合されることにより、半導体装置120を、マザー基板や他の半導体装置への実装を容易にさせる。また、その際に第1の外部接続端子4および第2の外部接続端子6の厚みが配線3よりも厚く形成されているので、はんだ接合時には、第1の外部接続端子4および第2の外部接続端子6により配線3のはんだ食われの影響を軽減することができるという効果を奏する。
【0047】
以上のようにして、半導体装置120は構成される。
【0048】
次に、配線基板100の製造方法について説明する。
【0049】
図3は、実施の形態1における配線基板を製造する方法を説明するための図である。
【0050】
まず、貫通孔(スルーホール)を有する絶縁性基板2(図3(a))において、半導体装置120の素子接合面となる絶縁性基板2の主面上に導体からなる配線3を形成する(図3(b))。ここで、配線3は、3〜15μmの厚みで形成されることが好ましい。また、図3(b)において、絶縁性基板2の貫通孔(スルーホール)にメッキ層を形成する。
【0051】
次に、配線3の厚みよりも厚くなるように第1の外部接続端子4を形成すべき配線3の位置に電解メッキや無電解メッキなどの方法によりさらにメッキ層を形成し、厚みの厚い第1の外部接続端子4を形成する(図3(c))。なお、図3(b)において、配線3を形成する際に、厚めの金属層を使用し、2段階にエッチングすることにより、配線3より厚みの厚い第1の外部接続端子4と配線3とを形成してもよい。ここで、第1の外部接続端子4は、配線3の材料と同じ銅が好ましいが、他の導電材料でもかまわない。第1の外部接続端子4の厚みとしては厚い方が好ましいが、配線3にさらに形成される厚さとして1〜10μm程度でもかまわない。
【0052】
また、図3(c)において、電解メッキや無電解メッキなどの方法により、半導体素子8との接合用として接合領域1の配線3の一部に突起電極5を形成し、絶縁性基板2の裏面に、第2の外部接続端子6を形成する。なお、突起電極5の材料は、第1の外部接続端子4の材料と同じが好ましい。これは、突起電極5の材料を第1の外部接続端子4の材料と同じ材料とすることで同時に形成することが可能となり、プロセスを簡略化できるからである。
【0053】
次に、絶縁性基板2の主面を覆うが、第1の外部接続端子4の一部および接合領域1などの所望の領域を露出するように絶縁性樹脂7を形成する(図3(c))。これにより厚みの厚い部分である第1の外部接続端子4の一部を絶縁性樹脂7で押さえることができ、厚みの厚い部分である第1の外部接続端子4の一部のみを半導体素子8との接合部として用いることができるので接合時のはんだの拡散の影響を軽減できる。
【0054】
以上のようにして、配線基板100を製造する。
【0055】
なお、配線基板100における接合領域1に半導体素子8を実装し、封止樹脂9を形成することにより半導体装置120を形成することができる。
【0056】
また、半導体素子8は、突起電極5と半導体素子8のパッドとをFCBを用いて接合される。封止樹脂9の形成は半導体素子8を接合する前でも後でもかまわない。
【0057】
また、配線基板100の第2の外部接続端子6にはんだボール10を接合してもよい。それによりマザー基板や他の半導体装置への実装が容易となる。また、第1の外部接続端子4および第2の外部接続端子6の厚みが配線3よりも厚く形成されているので、はんだ接合時には、第1の外部接続端子4および第2の外部接続端子6により配線3のはんだ食われの影響を軽減できる。
【0058】
以上の方法により、狭ピッチ配線および狭ピッチ半導体素子の接合をする場合にも第1の外部接続端子4におけるはんだ接合に安定性すなわち高い接続信頼性を確保することが可能となる。
【0059】
それにより、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法を実現することができる。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態1では、第1の外部接続端子4の一部を露出するが第1の外部接続端子4に覆うよう形成され、かつ、第1の外部接続端子4の厚さよりも厚く形成される絶縁性樹脂7について説明したが、それに限らない。第1の外部接続端子の方が、絶縁性樹脂7の厚さよりも厚くなるよう形成されていてもよい。その場合について、以下の実施の形態2で説明する。
【0061】
図4は、実施の形態2における配線基板を使用した場合の半導体装置の構造を示す断面図である。図1および図3と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0062】
図4に示す半導体装置220は、絶縁性基板2と、絶縁性基板2上に形成された配線3と、第1の外部接続端子14と、半導体素子8との接合用の突起電極5と、第2の外部接続端子6と、絶縁性樹脂7とを有する配線基板200と、半導体素子8と、封止樹脂9と、はんだボール10とを備える。
【0063】
図4に示す半導体装置220は、実施の形態1に係る半導体装置120に対して、第1の外部接続端子14の厚みが絶縁性樹脂7より厚いという点で構成が異なる。
【0064】
第1の外部接続端子14は、例えば他の配線基板と接続するための接続端子であり、配線3上に配線3の厚みよりも厚くなるように形成される。また、第1の外部接続端子14は、絶縁性樹脂7よりも厚く形成されており、絶縁性樹脂7から突出している。第1の外部接続端子14の材料としては、配線3の材料と同じ材料が好ましいが、導電材料であればそれ以外でもかまわない。また、第1の外部接続端子4の厚みとしては厚い方が好ましいが、10〜500μm程度でかまわない。
【0065】
第1の外部接続端子14は、例えば、配線3における第1の外部接続端子14となる部分にさらに電解メッキや無電解メッキなどの方法を用いてメッキ層を形成することにより形成される。また、第1の外部接続端子14の表面に金メッキ層が形成されてもよい。なお、配線3を形成する際に、厚めの金属層を形成し、2段階にエッチングすることにより、配線3より厚みの厚い第1の外部接続端子14と配線3とを形成するとしてもよい。
【0066】
絶縁性樹脂7は、第1の外部接続端子14の一部および接合領域1など所望の領域を露出して絶縁性基板2の主面を覆うように形成されている。絶縁性樹脂7は、第1の外部接続端子14よりも薄く形成され、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成される。
【0067】
なお、絶縁性樹脂7は、配線3および第1の外部接続端子14の形成後に形成されるのが好ましいが、配線3を形成した後に形成されるとしてもよい。その場合には、絶縁性樹脂7が形成された後に、露出した第1の外部接続端子14が形成されるべき配線3の領域にメッキ法などにより絶縁性樹脂7の厚さよりも厚い第1の外部接続端子14を形成すればよい。
【0068】
以上のようにして、配線基板200を備える半導体装置220は構成される。
【0069】
以上のようにして、配線基板200および配線基板200を備える半導体装置220では、狭ピッチ配線および狭ピッチ半導体素子の接合をする場合に、第1の外部接続端子14のはんだ接合に安定性すなわち高い接続信頼性を確保することが可能となる。
【0070】
それにより、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置およびその製造方法を実現することができる。
【0071】
次に、半導体装置220を使用したPOPパッケージ例として、半導体装置を複数個実装してなる半導体モジュールについて説明する。
【0072】
図5は、実施の形態2における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの構造を示す断面図である。なお、図4と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0073】
図5に示す半導体モジュール250は、半導体装置220と半導体装置221とを接合してなる。
【0074】
半導体装置221は、半導体装置220と同じものであり同様の構成要素を有する。
【0075】
半導体装置221は、第1の外部接続端子14を介して、半導体装置220のはんだボール10と接合されることで、半導体装置220と接合されている。
【0076】
同様に、半導体装置220は、自身の第2の外部接続端子6に接合されたハンダボール12を介して、半導体装置221の第1の外部接続端子14と接合されることで、半導体装置221と接合される。
【0077】
以上のようにして、半導体モジュール250は構成される。
【0078】
このように、半導体モジュール250では、半導体装置220の第1の外部接続端子14と半導体装置220の第2の外部接続端子6とがはんだボール10とを介して接合される。そして、はんだボール10を加熱することで接合するはんだ接合方法により半導体装置220と半導体装置221とが接合される。この際、加熱により半導体装置220におけるはんだボール10のはんだが、半導体装置221の第1の外部接続端子14へ拡散する。しかしながら、半導体装置221の第1の外部接続端子14は、配線3より厚みがあり、絶縁性樹脂7から突出するように形成されているためにそのはんだ接合は安定となっている。
【0079】
また、図6は、実施の形態2における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの別の態様の構造を示す断面図である。なお、図4および図5と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0080】
図6に示す半導体モジュール260は、半導体装置230と半導体装置221とを接合してなる。
【0081】
図6に示す半導体モジュール260は、図5に示す半導体モジュール250に対して、半導体装置230に実装されている半導体素子8と相応した絶縁性基板2の裏面の位置にさらに第3の外部接続端子16を形成し、この第3の外部接続端子16と半導体装置221に実装されている半導体素子8とを接着層15で接続するという点で構成が異なる。
【0082】
半導体装置230は、半導体装置230に実装されている半導体素子8と相応した絶縁性基板2の裏面の位置にさらに第3の外部接続端子16が形成されている。
【0083】
半導体装置230は、自身の第2の外部接続端子6に接合されたハンダボール12を介して、半導体装置221の第1の外部接続端子14と接合されるだけでなく、第3の外部接続端子16と半導体装置221に実装されている半導体素子8とを接着層15で接続することで、半導体装置221と接合される。
【0084】
第3の外部接続端子16は、半導体装置230に実装されている半導体素子8と相応した絶縁性基板2の裏面の位置に形成される。第3の外部接続端子16の材料としては、配線3の材料と同じ銅が好ましいが、導電材料であればそれ以外でもかまわない。
【0085】
接着層15は、半導体装置221に実装されている半導体素子8の裏面(図中上面)に形成され、第3の外部接続端子16と半導体装置221に実装されている半導体素子8とを接続する。なお、接着層15は、第3の外部接続端子16に形成されるとしてもよい。接着層15は、導電性のはんだまたは樹脂やシートからなるのが好ましい。接着層15を導電性にすることにより配線3の電位をグランド電位などに固定することが可能となり、電位の安定化が可能となる。
【0086】
以上のように、半導体モジュール260は構成される。
【0087】
次に、この半導体モジュール260の製造方法について説明する。
【0088】
まず、半導体装置230に実装されている半導体素子8と相応した絶縁性基板2の裏面の位置に第3の外部接続端子16を形成し、半導体装置221に実装されている半導体素子8の裏面に接着層15を形成しておく。ここで接着層15は導電性のはんだや樹脂やシートが好ましい。導電性にすることにより配線3の電位をグランド電位などに固定することが可能となり、電位の安定化が可能となる。
【0089】
次に、半導体装置221の第1の外部接続端子14と半導体装置230の第2の外部接続端子6とをはんだボール10を介して接合する。ここでは、はんだボール10を加熱することにより接合するはんだ接合方法により半導体装置221の第1の外部接続端子14と半導体装置230の第2の外部接続端子6とが接合される。また、はんだ接合すると同時に接着層15により半導体装置221の半導体素子8と半導体装置230の第3の外部接続端子16とが接着される。
【0090】
このようにして、半導体装置220と半導体装置221とを接合する。これにより安定性もよく、電気的にも安定な接合信頼性の高い半導体モジュール260を形成することができる。
【0091】
(実施の形態3)
実施の形態2では、はんだボールを用いて複数の半導体装置を接合した例について説明したがそれに限らない。実施の形態3では、実施の形態2と違う態様について説明する。
【0092】
図7は、実施の形態3における半導体装置を2つ接合した半導体モジュールの構造を示す断面図である。なお、図4および図5と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0093】
図7に示す半導体モジュール350は、図5に示す半導体モジュール250に対して、第1の外部接続端子24と第2の外部接続端子26との構成が異なり、はんだボールを用いずに、半導体装置320と半導体装置321とを接合する。
【0094】
半導体装置320は、第1の外部接続端子24と第2の外部接続端子26とを備えるが、第2の外部接続端子26にははんだボール10が形成されない。一方、半導体装置320は、同様に、第1の外部接続端子24と第2の外部接続端子26とを備え、第2の外部接続端子26にははんだボール10が形成される。
【0095】
第1の外部接続端子24は、配線3上に配線3の厚みよりも厚くなるよう、かつ、絶縁性樹脂7よりも厚くなるように、絶縁性樹脂7から突出して形成されている。
【0096】
第2の外部接続端子26は、絶縁性基板2の裏面に形成され、絶縁性基板2に形成されている貫通孔(スルーホール)を介して配線3と導通している。また、第2の外部接続端子26の厚さは、配線3の厚みよりも厚くなるよう形成されている。
【0097】
ここで、第1の外部接続端子24の厚さと第2の外部接続端子26との厚さとを加算した値は、半導体素子8の厚さと突起電極5の厚さとを加算した値よりも大きい。それにより、はんだボール10を形成しなくても第1の外部接続端子24と第2の外部接続端子26とのみを用いて半導体装置320と半導体装置321とを接合することができる。なお、第1の外部接続端子24と第2の外部接続端子26とは、例えば超音波と加熱とを併用して金属接合する方法により接合される。
【0098】
以上のようにして、半導体モジュール350は構成される。
【0099】
次に、この半導体モジュール350の製造方法について説明する。
【0100】
まず、絶縁性基板2上には接合領域1と、配線3と、上述したような厚さの第1の外部接続端子24と、突起電極5と、絶縁性樹脂7とを形成し、絶縁性基板2の裏面には第2の外部接続端子26を形成することで、配線基板200を形成する。
【0101】
次に、その配線基板200に半導体素子8を実装し、封止樹脂9を形成して半導体装置320を形成する。同様にして、半導体装置321を形成する。
【0102】
次に、半導体装置320と半導体装置321とを段積み状に実装して半導体モジュール350を作成する。すなわち、半導体装置321における第1の外部接続端子24と半導体装置320における第2の外部接続端子26とを接合することにより半導体モジュール350を作成する。ここで、接合方法としては、半導体装置321における第1の外部接続端子24と半導体装置320における第2の外部接続端子26とは、超音波と加熱とを併用することで金属接合される。すなわち、半導体装置321における第1の外部接続端子24と半導体装置320における第2の外部接続端子26の境界部分が超音波と加熱とを併用することで融解し金属接合部27を形成することで接合される。
【0103】
このように、はんだを使用しないで半導体装置320と半導体装置321とを接合するので、配線3、第1の外部接続端子24および第2の外部接続端子26では、はんだ食われもなく例えばはんだの膨れによる隣接半導体装置間の外部接続端子間のショートもない接合を可能にすることができる。
【0104】
また、半導体装置320と半導体装置321とは金属接合により接続されているので、接合が安定で微細ピッチ接合が可能となる。さらに超音波と加熱とを併用することにより低温で接合することができるので、接合応力の低い接合を実現することができる。
【0105】
なお、第1の外部接続端子24および第2の外部接続端子26の表面は金メッキなどが形成されていることが好ましい。金メッキの層を形成することで安定な超音波接合が可能となる。
【0106】
また、半導体装置321の第2の外部接続端子26にはんだボール10を形成してもかまわない。それによりマザー基板や半導体装置への実装が容易となる。
【0107】
(実施の形態4)
実施の形態4では、実施の形態2で説明した半導体装置とは別の態様について説明する。
【0108】
図8は、実施の形態4における半導体装置の構造を示す断面図である。なお、図4と同様の要素には同一の符号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0109】
図8に示す半導体装置420は、実施の形態2に係る半導体装置220に対して、第1の外部接続端子34と、接着層15と、ザグリ部30を有する金属板39との構成が異なる。
【0110】
図8に示す半導体装置420は、絶縁性基板2、絶縁性基板2上に形成された配線3、第1の外部接続端子34、突起電極5、第2の外部接続端子6および絶縁性樹脂7を有する配線基板200と、半導体素子8と、封止樹脂9と、はんだボール10と、接着層15と、ザグリ部30を有する金属板39とを備える。
【0111】
金属板39は、実装されている半導体素子8に相応した位置に凹んだ部分であるザグリ部30を有する金属板であり、第1の外部接続端子34と、実装されている半導体素子8と接合されている。金属板39は、第1の外部接続端子34とは金属接合しており、半導体素子8とは裏面に形成された接着層15を介して接続されている。
【0112】
以上のように、半導体装置420は構成されている。
【0113】
このように、第1の外部接続端子34は、はんだとではなく、金属板39と金属接合されているのではんだ食われのない接合が可能となる。また、超音波と加熱とを併用することで低温での接合も可能となる。なお、第1の外部接続端子34の表面は金メッキなどが形成されていることが好ましい。なぜなら、金メッキの層を形成することで安定な超音波による金属接合が可能となるからである。
【0114】
なお、半導体装置420において、金属板39のザグリ部30と半導体素子8とが相応する位置に放熱性の高い放熱樹脂または放熱シートの層を形成しておき、配線基板200と金属板39とを第1の外部接続端子34で金属接合する際に同時に接合するとしてもかまわない。その場合、放熱性の優れた半導体装置420を実現することができる。
【0115】
以上、実施の形態によれば、半導体装置の配線基板上の第1の外部接続端子となる部分に位置する配線の厚みを任意に厚くすることが可能となる。
【0116】
また、配線基板において配線の狭ピッチを実現しながら、複数の半導体装置を多段に積層するための接続用のパッドとなる第1の外部接続端子および第2の外部接続端子等の接合信頼性を確保することが可能となる。
【0117】
また、配線基板の配線上に突起電極を形成することだけでなく、放熱板を超音波接合などにより接合することも容易に可能となる。
【0118】
以上のように、本発明によれば、狭ピッチ配線化を可能にし、かつ、接合信頼性の高い配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法を実現することができる。
【0119】
以上、本発明の配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、配線基板、半導体装置、半導体モジュールおよびその製造方法に利用でき、特に、FCBまたはPOPなどに用いられる、狭ピッチ配線でありながらも高い接合信頼性を必要とする配線基板、半導体モジュールおよびその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 接合領域
2 絶縁性基板
3、903 配線
4、14、24、34 第1の外部接続端子
5 突起電極
6、26 第2の外部接続端子
7 絶縁性樹脂
8 半導体素子
9 封止樹脂
10 はんだボール
15 接着層
21 金属層
27 金属接合部
30 ザグリ部
39 金属板
100、200、900 配線基板
120、220、221、230、320、321、420 半導体装置
250、260、350 半導体モジュール
902 絶縁基材
907 樹脂層
921 金属層
922 はんだバンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に半導体素子が実装される配線基板であって、
絶縁性基材と、
実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、前記絶縁性基材の主面に設けられた配線と、
外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に形成される外部接続端子部と、
少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように形成された絶縁性樹脂とを備え、
前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記配線における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さよりも厚い
配線基板。
【請求項2】
前記外部接続端子部の前記厚さは、前記絶縁性樹脂における前記絶縁性基材の主面の法線方向の厚さより薄く、
前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われている
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記外部接続端子部は、前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成されており、
前記絶縁性樹脂は、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成されている
請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
主面に半導体素子が実装される配線基板の製造方法であって、
実装されるべき前記半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、
外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、
少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第3工程とを含み、
前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成する
配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2の工程において、前記外部接続端子部の前記厚さを、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く形成し、
さらに、
前記第3の工程において、前記絶縁性樹脂を、前記外部接続端子部の前記接続面の外周を覆うように形成する
請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2の工程において、前記外部接続端子部を前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成し、
前記第3の工程において、前記絶縁性樹脂を、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成する
請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
さらに、前記実装領域にある前記配線の一部領域に実装されるべき前記半導体素子と電気的に接続するための突起電極を形成する工程を含む
請求項4〜6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の配線基板と、
前記配線基板の前記実装領域に実装された半導体素子とを備える
半導体装置。
【請求項9】
前記外部接続端子部の前記厚さは、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く、
さらに前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われている
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記外部接続端子部は、前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成されており、
前記絶縁性樹脂は、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成されている
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記配線基板は、さらに、前記実装領域にある前記配線の一部領域に前記半導体素子と電気的に接続するための突起電極を有し、
前記突起電極は、前記外部接続端子部と同じ金属からなる
請求項8〜10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体装置は、さらに、
前記絶縁性基材の主面と反対側の面に形成される前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を有する
請求項8〜11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記裏面外部接続端子部の厚さは、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成されている
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体装置は、さらに、
金属板を備え、
前記金属板は、前記外部接続端子部の前記接続面で金属接合されている
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体装置は、さらに、
金属板を備え、
前記金属板は、前記外部接続端子部の前記接続面とはんだで接合されている
請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記外部接続端子部は、グランド電位に固定されている
請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
請求項8に記載の第1および第2の半導体装置を備え、
前記第2の半導体装置は、前記第1の半導体装置の上に積層されており、
前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部がはんだ接合されることで前記第2の半導体装置と接合されている
半導体モジュール。
【請求項18】
前記第1および第2の半導体装置では、
前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さは、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く、
前記外部接続端子部の前記接続面の外周は、前記絶縁性樹脂で覆われている
請求項17に記載の半導体モジュール。
【請求項19】
前記第1および第2の半導体装置では、
前記外部接続端子部は、前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成されており、
前記絶縁性樹脂は、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成されている
請求項17に記載の半導体モジュール。
【請求項20】
請求項8に記載の第1および第2の半導体装置を備え、
前記第2の半導体装置は、前記第1の半導体装置に積層されており、
前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部が金属接合されることで前記第2の半導体装置と接合されている
半導体モジュール。
【請求項21】
前記半導体モジュールは、さらに、
前記第1の半導体装置の前記半導体素子と前記第2の半導体装置の前記配線基板の裏面との間に接着層を有し、
前記第1の半導体装置と前記第2の半導体装置とは、前記接着層を介して接着されている
請求項17〜20のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項22】
前記接着層は、導電性の材料からなる
請求項21に記載の半導体モジュール。
【請求項23】
実装されるべき半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第3工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成することにより、主面に半導体素子が実装されるべき配線基板を製造する配線基板製造工程と、
超音波と加熱とを併用することにより前記配線基板の前記実装領域に前記半導体素子を実装する半導体素子実装工程とを含む
半導体装置の製造方法。
【請求項24】
さらに、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面と反対側の面に前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を形成する工程と、
前記半導体素子実装工程後に、前記裏面外部接続端子部にはんだを形成する工程とを含み、
前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く形成し、
前記第3の工程において、前記絶縁性樹脂を、前記外部接続端子部の前記接続面の外周を覆うように形成する
請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記第2の工程において、前記外部接続端子部を前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成し、
前記第3の工程において、前記絶縁性樹脂を、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成する
請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
さらに、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面と反対側の面に前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を形成する工程と、
前記半導体素子実装工程後に、前記裏面外部接続端子部にはんだを形成する工程とを含む
請求項25に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
さらに、半導体素子実装工程後において、金属板を、前記外部接続端子部の前記接続面で金属接合することにより、前記金属板と前記半導体装置とを接合する工程を含む
請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
実装されるべき半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面と反対側の面に前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を形成する第3工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第4工程と、前記実装領域に前記半導体素子を実装する第5工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成することにより、第1および第2の半導体装置を製造する半導体装置製造工程と、
前記第2の半導体装置を、前記第1の半導体装置の上に積層する積層工程とを含み、
前記積層工程では、前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部がはんだ接合されることにより前記第2の半導体装置と接合される
半導体モジュールの製造方法。
【請求項29】
前記第3の工程において、前記第1および第2の半導体装置における前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記絶縁性樹脂の厚さより薄く形成し、
前記第4の工程において、前記第1および第2の半導体装置における前記絶縁性樹脂を、前記外部接続端子部の前記接続面の外周を覆うように形成する
請求項28に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項30】
前記第3の工程において、前記第1および第2の半導体装置における前記外部接続端子部を前記接続面が前記絶縁性樹脂の上面から突出した高さとなるよう形成し、
前記第4の工程において、前記第1および第2の半導体装置における前記絶縁性樹脂を、外部接続端子部の側面の一部に密着するよう形成する
請求項28に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項31】
実装されるべき半導体素子からの引き回し配線として、絶縁性基材の主面に導体からなる配線を設ける第1工程と、外部と接続する外部接続端子として、前記配線の一部領域に外部接続端子部を形成する第2工程と、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面と反対側の面に前記外部接続端子部とは異なる裏面外部接続端子部を形成する第3工程と、少なくとも前記絶縁性基材の主面における前記半導体素子が実装されるべき実装領域と前記外部接続端子部の接続面とを露出した状態で前記絶縁性基材の主面を覆うように絶縁性樹脂を形成する第4工程と、前記実装領域に前記半導体素子を実装する第5工程とを含み、前記第2の工程において、前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記外部接続端子部の厚さを前記絶縁性基材の主面の法線方向における前記配線の厚さよりも厚く形成することにより、第1および第2の半導体装置を製造する半導体装置製造工程と、
前記第2の半導体装置を、前記第1の半導体装置の上に積層する積層工程とを含み、
前記積層工程では、前記第1の半導体装置は、前記第1の半導体装置の前記外部接続端子部が超音波と加熱とを併用し金属接合されることで前記第2の半導体装置と接合される
半導体モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−251566(P2010−251566A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100203(P2009−100203)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】