説明

配線基板および発光装置

【課題】耐熱性および耐酸化性に優れた配線基板を備え、放熱性が高く、耐熱性や耐久性に優れ発光効率が向上された発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の配線基板は、金属製のコア基板1と、このコア基板1の全面に形成された耐酸化性被覆層2と、耐酸化性被覆層2の上に形成された絶縁層3と、配線層4とを備える。耐酸化性被覆層2としては、絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する金属のメッキ層あるいはガラスを主成分とする層(例えばホーロー層)が設けられる。本発明の発光装置は、このような配線基板10と、配線基板10上に配設された発光素子、例えばLEDチップ5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップを用いた発光装置は、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、屋内外広告等、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。また、長寿命、低消費電力、耐衝撃性、高速応答性、高純度表示色、軽薄短小化の実現等の特徴を有することから、産業用のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このような発光装置を種々の用途に適用するには、白色光を得ることが重要となる。
【0003】
LEDチップを用いた発光装置で白色光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色光を発するLEDチップと黄色光等を発する蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線を発するLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体とを組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうちで、(2)の方式が広く実用化されている。
【0004】
上記した(2)および(3)の方式を適用した発光装置として、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内やリフレクタの枠内に蛍光体を混合した樹脂を流し込み固化させて、蛍光体を含有する樹脂層を凸状に形成した砲弾型構造が知られている。また、主面に配線パターンが形成された基板の上にLEDチップを実装し、さらにこの基板上に蛍光体含有樹脂による封止部を形成した構造(表面実装タイプあるいはモジュールタイプ)が知られている。
【0005】
近年、これらの発光装置では大光量化や高効率化が進行しており、それに伴い、高い放熱性を有する配線基板が求められている。また、発光装置の使用環境によっては、耐環境性や耐熱性も必要とされている。
【0006】
これらの要求に対応するため、金属基板の上に、樹脂系の有機材料からなる絶縁層を設け、その上に配線層を形成した配線基板が用いられている。また、金属をベースとし、無機系(ガラス等)の絶縁層を有する配線基板も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、有機材料からなる絶縁層を有する配線基板は、有機材料の耐熱性が低いため、駆動温度が制限されており、かつ熱伝導性が低いという問題があった。
【0008】
また、無機系の絶縁層を有する配線基板は、耐熱性に優れ熱伝導率も高いが、絶縁層を形成するための焼成工程で、金属基板の表面に酸化や変色、錆等が生じやすく、耐久性(耐環境性)が良くないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−344695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこれら問題を解決するためになされたもので、放熱性、耐熱性が高く、しかも絶縁層の焼成工程における耐酸化性および耐久性にも優れた配線基板を提供することを目的としている。また、そのような配線基板を備え、放熱性、耐熱性が高く、かつ耐酸化性等に優れ発光効率が向上された発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の配線基板は、金属からなるコア基板と;前記コア基板の一方の主面に配置された層であり、焼成により形成された絶縁層と;前記絶縁層の上に配設された配線層と;を具備する配線基板であって、前記コア基板の少なくとも前記絶縁層が配置される側の面に、前記絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する耐酸化性被覆層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の配線基板は、請求項1記載の配線基板において、前記耐酸化性被覆層が、前記絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する金属のメッキ層であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の配線基板は、請求項2記載の配線基板において、前記耐酸化性を有する金属が、前記コア基板の金属よりも高い熱伝導率を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発光装置は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の配線基板と;この配線基板上に配設された発光素子と;を具備することを特徴とする。
【0015】
上記した請求項1〜請求項4記載の発明において、用語の定義および技術的意味は、特に指定しない限り以下の通りである。
【0016】
金属からなるコア基板は、基板の芯をなす平板状の部材である。コア基板を構成する金属材料としては、鉄(鋼)、銅、黄銅(Cu−Zn合金)、洋白(Cu−Ni−Zn合金)、青銅(Cu−Sn合金)等を挙げることができる。これらの金属材料は、耐酸化性が十分でなく、無機系の絶縁層を形成するための高温焼成(例えば600℃以上)時に、酸化や錆等が生じやすいが、コア基板の少なくとも絶縁層で被覆される面好ましくは全面に、耐酸化性被覆層を形成することにより、酸化を防止することができる。
【0017】
なお、コア基板の全面は全周面を意味し、絶縁層で被覆される面だけでなく、反対側の面(裏面)および側周面の全体を指している。
【0018】
耐酸化性被覆層は、コア基板の少なくとも前記絶縁層で被覆される面、好ましくは全面を覆うことにより、絶縁層の焼成温度でのコア金属の酸化を防止する層である。耐酸化性被覆層としては、絶縁層の焼成温度で耐酸化性、防錆性の良好な金属のメッキ層、あるいはガラスを主成分とする層、例えばホーロー層を挙げることができる。これらの耐酸化性被覆層の厚さは、コア基板の酸化を防止するに必要かつ十分な厚さであり、薄くすることが好ましい。
【0019】
焼成により形成された絶縁層は、ガラスやセラミックス等の無機材料を主成分とする無機系の絶縁層である。この絶縁層は、例えば、ガラス粉末(ガラスフリット)を含む絶縁性ペーストを塗布し、焼成(焼き付け)して形成される。そして、十分に高い絶縁耐圧を有するような厚さを有している。焼成温度は600℃以上であることが好ましい。絶縁層の焼成温度を600℃以上とした場合には、耐熱性が向上し、製造工程であるいは使用中に絶縁層からガス放出等が生じることがない。
【0020】
配線層は、搭載される部品(例えば発光素子)を接続するとともに、部品間を電気的に接続するために、前記絶縁層上に所定のパターンで形成された導体層を指している。配線層としては、例えば、導電体を含むペーストの印刷により形成された層が挙げられる。配線層を印刷層とすることにより、所望の配線パターンを簡易に得ることができる。
【0021】
発光素子は、光を放射する素子である。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、青色発光タイプのLEDチップや紫外発光タイプのLEDチップなどが挙げられる。ただし、これらに限定されるものではなく、発光装置の用途や目的とする発光色などに応じて、種々の発光素子を使用することができる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の配線基板によれば、金属からなるコア基板の少なくとも絶縁層で被覆される面、好ましくは全面に、耐酸化性に優れた被覆層が形成されているので、高い放熱性を有するうえに、絶縁層の焼成の際のコア基板の酸化ならびに変色、錆が防止され、耐久性が向上する。
【0023】
請求項2記載の配線基板によれば、絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する耐酸化性被覆層として、耐酸化性金属のメッキ層が形成されているので、薄く耐酸化性に優れているうえに、形成が容易である。
【0024】
請求項3記載の配線基板によれば、耐酸化性被覆層が、コア基板の金属よりも高い熱伝導率を有する金属材料により構成されているので、さらに放熱性が向上している。
【0025】
請求項4記載の発光装置によれば、配線基板の酸化が防止されるうえに、放熱性が高く搭載された発光素子の温度上昇が抑制されるので、耐久性が高く大光量で高効率の発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の配線基板の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の発光装置の一実施形態であるLEDモジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に参照する複数の図面において、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0028】
図1は、本発明の配線基板10の一実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の発光装置の一実施形態であるLEDモジュール20の一例を示す断面図である。
【0029】
図1に示す配線基板10は、金属製のコア基板1と、コア基板1上に形成された耐酸化性被覆層2と、焼成により形成された絶縁層3、および配線層4を有している。
【0030】
金属製のコア基板1は、0.5〜1.0mmの厚さを有し、平面形状が例えば長方形状をなしている。コア基板1を構成する金属としては、放熱性および強度に優れ、加工が可能な金属であれば特に限定されない。例えば、鉄(鋼)、銅、黄銅(Cu−Zn合金)、洋白(Cu−Ni−Zn合金)、青銅(Cu−Sn合金)等を挙げることができる。
【0031】
耐酸化性被覆層2は、絶縁層3の焼成温度で耐酸化性を有する層であり、このようなコア基板1の全面(全周面)に形成されている。耐酸化性被覆層2としては、耐酸化性、防錆性等の良好な金属のメッキ層、あるいはガラスを主成分とする層(ガラス層)、例えばホーロー層を挙げることができる。
【0032】
メッキ層を構成する金属としては、NiあるいはZn−Al−Mg合金のような、耐酸化性や耐食性の高い金属または合金を挙げることができる。絶縁層3が無機材料を主成分とする無機系のものであり、かつ焼成温度が600℃以上と高い場合には、Niメッキ層とすることが好ましい。焼成温度が300℃程度と比較的低い場合には、Zn−Al−Mg合金を用いることもできる。さらに、メッキ層を構成する金属の熱伝導率は、コア金属よりも高いことが好ましい。
【0033】
金属メッキ層の厚さは5〜10μmとすることが好ましい。メッキ層の厚さが5μm未満では、コア基板1の酸化や錆の発生を防止する効果を十分に上げることができない。また、メッキ層の厚さが10μmを超える場合には、コア基板1との熱膨張率の差によって界面で剥離が生じるおそれがあり、好ましくない。なお、メッキ層は、電解メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等の方法により形成することができる。
【0034】
耐酸化性被覆層2であるガラス層例えばホーロー層は、ガラス粉末(ガラスフリット)を塗布し焼成(焼き付け)して形成される。焼成温度は600℃以上とすることが好ましい。ガラス層の厚さは5〜30μmとすることが好ましい。
【0035】
絶縁層3は、コア基板1の一方の主面側において、耐酸化性被覆層2の上に形成されている。絶縁層3としては、ガラスやセラミックスのような無機材料を主成分として形成された無機系絶縁層を形成することが好ましい。無機系絶縁層としてはガラス層等が挙げられる。このような無機系絶縁層は、ガラス粉末(ガラスフリット)を含む絶縁性ペーストを塗布し焼成(焼き付け)して形成される。焼成温度は600℃以上とすることが好ましい。また、無機系絶縁層の層厚は、十分に高い絶縁耐圧を有するように、50〜60μmとすることが好ましい。
【0036】
配線層4は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)等の導体金属を主体とする層であり、絶縁層3上に形成されている。スクリーン印刷等の方法で形成された印刷層とすることが好ましい。配線層4を印刷により形成するには、Ag、Ag−Pd等の導電体微粒子を含むペースト(インク)を、絶縁層3上に所望のパターンで印刷(スクリーン印刷あるいはインクジェット印刷)した後、塗布層を乾燥・焼成する。
【0037】
図2に示すLEDモジュール20は、このような配線基板10と、その上に実装された発光素子としてのLEDチップ5と、枠部材6、および封止部材7を備えている。
【0038】
LEDチップ5は、例えば主波長が460nmの青色光を発するLEDチップである。このLEDチップ5は、サファイア等からなる絶縁性の素子基板5bの上に半導体発光層5aを積層し、さらにこの半導体発光層5aの上に1対の素子電極5cを設けて形成されている。
【0039】
このLEDチップ5の素子基板5bは、ダイボンド材8により配線基板10の所定の位置に接着されている。そして、LEDチップ5の素子電極5cと両側に近接配置された配線層4とが、金線のようなボンディングワイヤ9により接続されている。この接続により、複数のLEDチップ5は直列に接続されている。
【0040】
枠部材6は、例えば長方形の枠状をなしており、配線基板10の表面に取り付けられている。枠部材6は、配線基板10上の全てのLEDチップ5を包囲するように設けられている。
【0041】
そして、このような枠部材6の内側に封止部材7が充填されている。封止部材7は、熱硬化性の透明樹脂を主体として蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂層であり、配線基板10表面とその上に配置された各LEDチップ5およびボンディングワイヤ9を埋めるように充填され、これらを封止している。透明樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。液状のシリコーン樹脂の使用が好ましい。透明樹脂に含有された蛍光体の主波長は、特に限定されるものではなく、目的とするLEDモジュール20の発光色などに応じて適宜選択することができる。
【0042】
蛍光体としては、LEDチップ5からの青色光により励起され黄色光乃至橙色光を発する黄色系蛍光体を用いることができる。また、演色性等の向上を図るために、黄色系蛍光体に加えて赤色蛍光体を使用してもよい。黄色系蛍光体としては、例えばRE(Al,Ga)12:Ce蛍光体(REはY、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。以下同じ)等のYAG蛍光体、AESiO:Eu蛍光体(AEはSr、Ba、Ca等のアルカリ土類元素である。以下同じ)等のケイ酸塩蛍光体、サイアロン系蛍光体(例えば、CaSiAlON:Eu2+)等が用いられる。赤色蛍光体としては、例えばLaS:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体、窒化物系蛍光体(例えば、AESi:Eu2+やSrCaAlSiN:Eu2+やCaAlSiN:Eu2+)等が用いられる。
【0043】
このように構成される実施形態のLEDモジュール20では、印加された電気エネルギーが、LEDチップ5で主波長が例えば460nmの青色光に変換されて放射され、放射された青色光は、封止部材7である蛍光体含有樹脂層に含有された蛍光体で、より長波長の光に変換される。そして、LEDチップ5から放射される青色光と蛍光体の発光色との混色による白色光が放出される。
【0044】
この実施形態のLEDモジュール20においては、金属製のコア基板1の全面に、耐酸化性に優れた金属メッキ層のような耐酸化性被覆層2が形成されているので、放熱性が高く搭載されたLEDチップ5の温度上昇が抑制されるうえに、絶縁層3の焼成工程でのコア基板1の酸化や変色、錆等が防止され、耐久性が向上される。さらに、絶縁層3として、無機系絶縁層が設けられているので、耐熱性が向上しており、絶縁層3からのガス放出等が生じることがない。したがって、耐久性が高く、大光量で高効率の発光装置を実現することができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の具体的実施例およびその評価結果について記載する。
【0046】
実施例1
厚さ0.5mmの鉄板(コア基板)の全面に、耐酸化性被覆層としてニッケルメッキ層(厚さ10μm)を形成した。次いで、この基板の一方の主面(片面)に、ガラスフリットを主成分とするペーストを塗布し、600〜850℃の温度で焼成することによって無機絶縁層(厚さ50〜60μmのガラス層)を形成した後、高温焼成タイプの導電体ペースト(Agペースト)をスクリーン印刷し600〜850℃焼成することによって配線層を形成した。こうして配線基板を得た。
【0047】
実施例2
厚さ0.5mmの鉄板(コア基板)の全面に、ガラスフリットを主成分とするペーストを塗布し600〜850℃の温度で焼成することによって、耐酸化性被覆層であるガラス層(ホーロー層)(厚さ10μm)を形成した。次いで、この基板の片面に、ガラスフリットを主成分とするペーストを塗布し600〜850℃の温度で焼成することによって、無機絶縁層(厚さ50〜60μmのガラス層)を形成した後、高温焼成タイプの導体ペースト(Agペースト)をスクリーン印刷し600〜850℃で焼成することによって配線層を形成した。こうして配線基板を得た。
【0048】
比較例1
基板として、厚さ0.5mmのAl板を用意した。そして、この基板の片面に、エポキシ樹脂系の絶縁層(厚さ80μm)および銅箔からなる配線層(配線パターン)をそれぞれ形成した。絶縁層および配線層の形成は、Al板の片面に銅箔(厚さ35μm)付きの樹脂フィルムを貼り付けた後、銅箔を所定のパターンにエッチングすることにより行なった。銅箔のパターンの上には、ニッケルメッキと銀メッキを順に施し、配線基板を得た。
【0049】
比較例2
基板として、耐酸化性被覆層が形成されていない厚さ0.5mmの鉄板を用意した。そして、その片面に、ガラスフリットを主成分とするペーストを塗布し600〜850℃の温度で焼成することによって、無機絶縁層(厚さ50〜60μmのガラス層)を形成した。次いで、無機絶縁層の上に、高温焼成タイプの導体ペースト(Ag−Pdペースト)をスクリーン印刷し600〜850℃で焼成することによって配線層を形成した。こうして配線基板を得た。
【0050】
次に、実施例1,2および比較例1,2でそれぞれ得られた配線基板について、以下に示すようにして、耐酸化性、耐久性(防錆性)および耐熱性(ガス放出の有無)をそれぞれ調べた。
【0051】
[耐酸化性]
無機絶縁層(ガラス層)の形成工程で600℃以上の温度で焼成した後の基板表面の酸化の程度を肉眼で調べた。樹脂系の絶縁層を有する比較例1の配線基板について、このような耐酸化性の測定・評価を行なうことは不可能であったので、無機絶縁層を有する実施例1,2および比較例2についてのみ、耐酸化性を調べた。そして、酸化が見られない場合を○とし、少しでも酸化・変色があった場合は×と判定・評価した。
【0052】
[耐久性(防錆性)]
塩水噴霧試験を行い、基板全面の錆の発生度合で判定・評価した。
【0053】
[耐熱性(ガス放出性)]
発光装置製造工程での加熱や使用中の温度環境を想定し、配線基板全体を150℃に加熱した際の放出ガスの有無を、四重極の質量分析計により測定した。そして、ガス放出がない場合を○とし、少しでもガス放出があった場合は×と判定・評価した。これらの測定・評価結果を、表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1から明らかなように、コア基板である鉄板の全面に、耐酸化性被覆層であるニッケルメッキ層あるいはガラス層(厚さ10μm)が形成され、その上に無機絶縁層(厚さ50〜60μmのガラス層)が形成された実施例1および実施例2の配線基板は、耐酸化性が向上しており、無機絶縁層を形成する工程で600℃以上の温度で焼成しても、基板表面に酸化が生じていない。また、耐久性(防錆性)および耐熱性(ガス放出性)も良好となっている。
【0056】
これに対して、鉄板上に直接(耐酸化性処理が施されることなく)無機絶縁層が形成された比較例2の配線基板は、鉄板の耐酸化性が低く、無機絶縁層を形成する工程で600℃以上の温度で焼成する際に、表面に酸化が生じた。また、Al板の片面に樹脂系の絶縁層が形成され、その上に銅箔からなる配線層が形成された比較例1の配線基板は、耐熱性が十分でなく、樹脂系の絶縁層からのガス放出が見られた。
【符号の説明】
【0057】
1…金属製のコア基板、2…耐酸化性被覆層、3…絶縁層、4…配線層、5…LEDチップ、6…枠部材、7…封止部材、9…ボンディングワイヤ、10…配線基板、20…LEDモジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなるコア基板と;
前記コア基板の一方の主面に配置された層であり、焼成により形成された絶縁層と;
前記絶縁層の上に配設された配線層と;
を具備する配線基板であって、
前記コア基板の少なくとも前記絶縁層が配置される側の面に、前記絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する耐酸化性被覆層が形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記耐酸化性被覆層が、前記絶縁層の焼成温度で耐酸化性を有する金属のメッキ層であることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記耐酸化性を有する金属が、前記コア基板の金属よりも高い熱伝導率を有することを特徴とする請求項2記載の配線基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の配線基板と;
この配線基板上に配設された発光素子と;
を具備することを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−245258(P2010−245258A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91948(P2009−91948)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】