配線基板の支持部材
【課題】作業性を向上することが可能であり、かつ、配線基板を確実に保持することが可能な配線基板の支持部材を提供する。
【解決手段】この配線基板50のスペーサ部材20(配線基板の支持部材)は、弾性変形により外径を小さくすることにより配線基板50の開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、柱状部21aの外周面から突出するとともに柱状部21aの軸方向に間隔L1を隔てて配置され、柱状部21aの外径が小さくされる際に配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えている。そして、配線基板50の開口部51を軸部本体21(柱状部21a)が貫通した状態で、柱状部21aの軸方向に隣り合う凸部21b間に配線基板50が配置されることにより、複数の配線基板50を柱状部21aの軸方向に沿って間隔L1を隔てて保持するように構成されている。
【解決手段】この配線基板50のスペーサ部材20(配線基板の支持部材)は、弾性変形により外径を小さくすることにより配線基板50の開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、柱状部21aの外周面から突出するとともに柱状部21aの軸方向に間隔L1を隔てて配置され、柱状部21aの外径が小さくされる際に配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えている。そして、配線基板50の開口部51を軸部本体21(柱状部21a)が貫通した状態で、柱状部21aの軸方向に隣り合う凸部21b間に配線基板50が配置されることにより、複数の配線基板50を柱状部21aの軸方向に沿って間隔L1を隔てて保持するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板の支持部材に関し、特に、複数の配線基板を所定の間隔を隔てて保持可能な配線基板の支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の配線基板を所定の間隔を隔てて保持可能な配線基板の支持部材などが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数のプリント基板(配線基板)を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成されたプリント基板用スペーサが開示されている。このプリント基板用スペーサは、スペーサ部材の軸部の一方側に突出する雄側係合部をプリント基板に設けられた開口(孔)部に挿入して嵌め込むことにより、プリント基板に組み付けられるように構成されている。また、スペーサ部材の軸部の他方側には内部に窪む雌側係合部が設けられているので、一つのスペーサ部材の雄側係合部を、他のスペーサ部材の雌側係合部に着脱可能に係合させることが可能に構成されている。これにより、スペーサ部材がプリント基板に取り付けられた状態で、スペーサ部材同志を軸方向(基板の積層方向)に連結することにより、複数のプリント基板をスペーサ部材を介して積み重ねて保持することが可能に構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、複数のプリント基板(配線基板)を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成された支柱サポート(スペーサ部材)を用いたプリント基板の積み重ね固定構造が開示されている。このプリント基板の積み重ね固定構造では、円柱状の支柱サポートの外周面に、支柱サポートの軸方向に沿ってプリント基板の厚みに相当する間隔を隔てて一対のサポート片(フランジ状の突出部)が形成されるとともに、この一対のサポート片が、所定の間隔を隔てて支柱サポートの軸方向に沿って複数組設けられている。これにより、支柱スペーサは、プリント基板に設けられた開口部に挿入された状態で一対のサポート片の間に1枚のプリント基板を挟み込むことが可能に構成されている。また、この状態で、所定の間隔を隔てて設けられた別な一対のサポート片の間に配線基板を挟み込むことにより、複数のプリント基板を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成されている。なお、プリント基板に設けられた開口部は、プリント基板の縁部を馬蹄形状に切り欠いて形成されるとともに、開口部の内径は、サポート片(フランジ)の外径よりも小さく形成されている。したがって、支柱サポートをプリント基板に固定する際、支柱サポートの一対のサポート片間の部分をプリント基板の面内方向に沿ってスライドさせながら開口部に挿入して、サポート片(フランジ)間にプリント基板を挟み込むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−76297号公報
【特許文献2】実開平1−143185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプリント基板用スペーサでは、複数の配線基板を積み重ねて保持する場合、1枚のプリント基板に取り付けられたスペーサ部材を、順次、軸方向に連結して積み上げていく必要があるため、その分、複数のスペーサ部材を連結する作業を繰り返す必要がある。また、プリント基板が積み重ねられた状態からプリント基板を1枚ずつ分離したい場合、連結されたスペーサ部材間の係合を順次解除していくことによりプリント基板を分離する必要があるため、その分、スペーサ部材の連結状態を解除する作業を繰り返す必要がある。このため、プリント基板(配線基板)を積み上げる際の組立作業や、積層されているプリント基板を互いに分離する際の作業において、スペーサ部材の係合(連結)や係合状態の解除を繰り返す手間を必要とする分、作業が煩雑になるという問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の支柱サポートを使用したプリント基板の積み重ね固定構造では、支柱サポートをプリント基板の縁部に設けられた開口部(馬蹄形状の切り欠き部)に対してプリント基板の面内方向にスライドさせて挿入するように構成されているため、プリント基板の開口部は、プリント基板の縁部近傍にしか設けることができないという制約がある。すなわち、支柱サポートは、プリント基板の縁部近傍においてしかプリント基板を支持することができないと考えられる。このため、たとえば、平面積の大きなプリント基板を積層したい場合、支柱サポートがプリント基板の縁部近傍においてしかプリント基板を支持できないため、プリント基板の中央部が確実に支えられない場合があると考えられる。したがって、支柱サポートがプリント基板(配線基板)を確実に保持できないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、作業性を向上することが可能であり、かつ、配線基板を確実に保持することが可能な配線基板の支持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面による配線基板の支持部材は、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部の外周面から突出するように設けられるとともに柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、配線基板の開口部を柱状部が貫通した状態で、柱状部の軸方向に隣り合う凸部間に配線基板が配置されることにより、複数の配線基板を柱状部の軸方向に沿って所定の間隔を隔てて保持するように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による配線基板の支持部材では、上記のように、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、配線基板の開口部を柱状部が貫通した状態で、柱状部の軸方向に隣り合う凸部間に配線基板が配置されることにより、複数の配線基板を柱状部の軸方向に沿って所定の間隔を隔てて保持するように構成することによって、複数の配線基板を上下方向に積み重ねて固定する際、作業者は、柱状部に配線基板の開口部を挿入していくだけで個々の配線基板を上下方向に積み重ねて固定することができる。また、作業者は、複数の配線基板を柱状部から引き抜いていくだけで、複数の配線基板を個々に分離することができる。すなわち、従来のように、1枚の基板に組み付けられるスペーサ部材を順次連結しながら延長させて複数の配線基板を積み重ねて固定する場合や、連結された複数のスペーサ部材を順次切り離しながら複数の配線基板を個々に分離する場合と異なり、作業者には、複数のスペーサ部材の連結作業や切り離し作業などを繰り返す手間がかからない。これにより、配線基板を積み重ねて固定する際の作業性を向上することができる。
【0011】
また、上記のように、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備えることによって、柱状部および柱状部に設けられた複数の凸部は、配線基板の厚み方向(基板を積み重ねる方向)に沿って基板の開口部を貫通することができる。すなわち、配線基板の面内方向の端辺近傍以外においても柱状部(凸部)が配線基板を保持することができるので、たとえば、平面積の大きな配線基板を積み重ねて固定したい場合、配線基板の縁部近傍で基板を保持することに加えて、配線基板の縁部近傍以外の領域(面内方向の中央領域など)においても柱状部(凸部)が配線基板を保持することができる。これにより、配線基板を支持部材によって確実に保持することができる。
【0012】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部の外周面に軸方向に沿って設けられ、柱状部の弾性変形を促進させるためのスリット部をさらに備える。このように構成すれば、柱状部は、スリット部が設けられた領域において容易に弾性変形を起こすことができる。
【0013】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、スリット部は、柱状部の外周面の所定の領域を、軸方向に沿って貫くように形成されており、柱状部は、凸部が形成された領域に対応するスリット部の幅が小さくなる方向に変形することにより、凸部が配線基板の開口部を通り抜けるように構成されている。このように構成すれば、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際、柱状部は、外周面に凸部が形成された領域において軸方向に外径を小さくすることができるので、配線基板の開口部に対して凸部を容易に貫通させることができる。
【0014】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、柱状部は、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際に小さくされた外径が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、柱状部の外周面を配線基板の開口部の内周面に押圧することにより、配線基板を柱状部の凸部間の部分に保持するように構成されている。このように構成すれば、柱状部が配線基板を保持する際、柱状部の外周面が配線基板の開口部の内周面を常に押圧した状態となるので、配線基板を柱状部の凸部間の部分で確実に保持することができる。
【0015】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、凸部は、柱状部の外周面に沿って周状に形成されている。このように構成すれば、柱状部が配線基板を保持する際、配線基板の開口部近傍の表面(上面および下面)に対して凸部が周状に対向するので、配線基板を柱状部の凸部間の部分で確実に保持することができる。
【0016】
上記凸部が周状に形成される構成において、好ましくは、凸部は、柱状部の軸方向の中心線から凸部の外表面までの距離が柱状部の軸方向に沿って増加するような外形形状を有しており、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際、柱状部の軸方向の中心線から凸部の外表面までの距離が増加する方向に沿って配線基板を柱状部に対して嵌め込むことにより、凸部の外径が弾性変形可能に小さくされた状態で柱状部が配線基板の開口部に挿入されるように構成されている。このように構成すれば、配線基板の開口部よりも外形形状が大きい凸部を配線基板の開口部に嵌め込む際、凸部の外形形状に沿って徐々に凸部の外径を小さくさせることができるので、柱状部を配線基板の開口部に対して容易に嵌め込むことができる。
【0017】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、柱状部は、中空の円筒形状を有するように形成されており、柱状部の中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、配線基板の開口部に柱状部が挿入された状態で、柱状部の外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材をさらに備える。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、柱状部の外径が小さくなる方向への変形が阻止されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0018】
上記ピン部材を備える構成において、好ましくは、柱状部は、柱状部の中空部分の内周面に形成された第1係合部を含み、ピン部材は、長手方向に延びる軸部の外周面に形成され、第1係合部と係合する第2係合部を含み、ピン部材が柱状部の内周面に挿入された際、ピン部材の第2係合部が柱状部の第1係合部と係合することにより、ピン部材が柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、ピン部材が柱状部に対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0019】
上記ピン部材を備える構成において、好ましくは、ピン部材は、長手方向の先端側に向かって軸部が先細りするテーパ形状を有するように構成されている。このように構成すれば、ピン部材は軸部が先端側に向かって先細りしているので、ピン部材を柱状部の内周面に沿って容易に挿入することができるとともに、ピン部材を柱状部から引き抜く際も、柱状部の内周面に対するピン部材の接触状態をピン部材の引き抜き動作とともに直ちに解除することができる。
【0020】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部の配線基板が保持される凸部間の部分の外周面と、凸部の外表面との間に段差部が形成されており、配線基板の開口部に柱状部が挿入された状態で、段差部に配線基板の表面が当接することにより、配線基板が柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、ピン部材が柱状部に対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0021】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部は、弾性変形可能な樹脂により形成されている。このように構成すれば、樹脂材料の弾性変形により柱状部は、容易に外径を小さくして配線基板の開口部を通り抜けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるスペーサ部材の構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材を用いて複数の配線基板を積み重ねて保持する様子を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材を用いて複数の配線基板を積み重ねて保持する様子を示した断面図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材によって保持される配線基板の構造を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図7】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図8】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図9】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図10】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が複数の配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図11】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材から配線基板を取り外す途中の状態を示した断面図である。
【図12】本発明の変形例による平面積の大きな配線基板を示した斜視図である。
【図13】図11に示した平面積の大きな配線基板をスペーサ部材によって保持する状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態によるスペーサ部材20およびこのスペーサ部材20を用いた配線基板50の支持構造について説明する。なお、スペーサ部材20は、本発明の「支持部材」の一例である。
【0025】
本発明の一実施形態によるスペーサ部材20は、図1に示すように、中空形状を有するポリプロピレンなどからなる樹脂製の軸部本体21と、軸部本体21にA方向に同軸状に挿入される金属製のピン部材22とを備えている。そして、このスペーサ部材20を用いた配線基板50の支持構造では、図2および図3に示すように、複数(本実施形態では3枚)の配線基板50が、4つのスペーサ部材20(図2参照)を用いて上下方向(A方向)に間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、スペーサ部材20を構成する軸部本体21は、図1に示すように、外径D1を有するとともに軸方向(A方向)に延びる柱状部21aと、軸方向に沿って間隔L2の周期で配置されるとともに柱状部21aの外周面から半径方向に突出する複数の凸部21b(本実施形態では4つ)とから構成されている。また、軸部本体21は、柱状部21aと複数の凸部21bとが樹脂成形により一体的に形成されている。
【0027】
また、軸部本体21の凸部21bは、柱状部21aの外周面に沿って周状に形成されており、外表面が軸方向の一方側(A1側)から他方側(A2側)に沿って外径を一定の割合で増加させる(図1に示す外径D2〜D3の範囲(D2<D3))形状に形成されている。また、凸部21bは、軸方向に沿った柱状部21aと凸部21bとの境界部分において、半径方向に突出するフランジ状の段差部21cおよび21dを有している。なお、柱状部21aを挟んで軸方向(A方向)に対向する一対の段差部21cおよび21d間の距離は、図2に示した配線基板50の厚みtと略等しい大きさを有している。
【0028】
また、本実施形態では、図1に示すように、軸部本体21には、一方端部(A1側)から他方端部(A2側)に向かって柱状部21aおよび凸部21bを直線状に貫く1つのスリット部23が設けられている。
【0029】
すなわち、軸部本体21は、半径方向の断面が略C字形状を有しているので、たとえば作業者が柱状部21aを指などで摘んでスリット部23の幅L3(図1参照)を狭めることにより、柱状部21aの外形および凸部21bの外形を弾性変形可能に小さくする(細める)ことが可能であるように構成されている。なお、スペーサ部材20の軸部本体21は、樹脂材料により構成されているので、一時的に小さくされた外形は、軸部本体21に外力が加わらない状態では、元の形状に戻るように構成されている。なお、図1には、柱状部21aなどに外力が加わらない状態の軸部本体21の自然な形状を示している。
【0030】
また、図4に示すように、スペーサ部材20の軸部本体21によって支持される配線基板50は、基板の縁部50aから所定の距離だけ内側に入った部分に、内径D4を有する略円形状の開口部51が形成されている。なお、軸部本体21(図1参照)が自然な状態では、柱状部21aの外径D1は、配線基板50の開口部51(図4参照)の内径D4よりも若干大きくなるように形成されている。
【0031】
したがって、本実施形態では、図5〜図8の順に示すように、軸部本体21は、弾性変形可能な柱状部21aの外径D1(図1参照)および凸部21bの外径(D2〜D3の範囲:図1参照)を、それぞれ、開口部51の内径D4よりも一時的に小さくすることにより、配線基板50の開口部51をA2側(基板下面50c側)からA1側(基板上面50b側)へ矢印P方向に通り抜けることが可能に構成されている。また、軸部本体21を開口部51に挿入する際、図5に示すように、軸部本体21は、一方端部(A1側の端部)から先に配線基板50の開口部51に挿入されるように構成されている。これにより、軸部本体21は、柱状部21aの外径D1および凸部21bの外径D2および外径D3をA1側からA2側に向かって順次小さく変形させながら、一方端部(A1側)から他方端部(A2側)に向かって開口部51を通り抜けるように構成されている(図5〜図7参照)。
【0032】
なお、凸部21bは、外表面が軸方向の一方側(A1側)から他方側(A2側)に沿って外径を一定の割合で増加させる形状を有しているので、図6に示すように、凸部21bが開口部51を通過する際、開口部51のA2側(基板下面50c側)のエッジ部50dが、凸部21bの外表面上を滑りながらA2方向にスライドされるように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、図8に示すように、開口部51に挿入された軸部本体21において、A1側の凸部21bが開口部51を通り抜けた直後、それまで弾性変形していた部分(柱状部21aや凸部21b)の復元力によって、この凸部21bの外径が元の大きさに戻ろうとするので、配線基板50は、先に通り抜けた凸部21bと次に通り抜けようとする凸部21bとの間の柱状部21aの部分に保持されるように構成されている。また、この際、配線基板50を保持しようとする部分の柱状部21aの外径も元の大きさ(D1)に向かって戻ろうとするので、柱状部21aの外周面が配線基板50の開口部51の内周面を押圧した状態で、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間の部分に保持されるように構成されている。
【0034】
また、図8に示した状態から、再び軸部本体21の外径(D1、D2およびD3)が小さくされた場合、図9に示すように、配線基板50は、軸方向に沿ってA2側に設けられた凸部21b(2箇所)を次々と通り抜けるので、この配線基板50は、A2側の最下部の柱状部21aの部分で保持されるように構成されている。
【0035】
なお、図8や図9に示すように、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持される際、配線基板50は、開口部51のA2側のエッジ部50dが段差部21cに当接するとともに、開口部51のA1側のエッジ部50eが段差部21dに当接した状態で保持されるように構成されている。これにより、軸部本体21に対して外径(外径形状)を小さくするような外力が加えられない状態では、配線基板50は、柱状部21aの凸部21b間に保持された状態が維持されるように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、図9に示した状態において、別な配線基板50を軸部本体21の一方端部(A1側)から挿入することにより、図10に示すように、この配線基板50は、A1側から見て2番目の柱状部21aの部分で保持されるように構成されている。すなわち、2枚の配線基板50は、最初の配線基板50に対して間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0037】
なお、本実施形態では、作業者が、上述の方法により柱状部21aの凸部21b間に配線基板50を保持する作業を繰り返すことにより、図3に示すように、複数(本実施形態では3枚)の配線基板50が、スペーサ部材20を用いて上下方向(A方向)に間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0038】
また、本実施形態では、図3に示すように、軸部本体21を複数の配線基板50に挿入して保持した状態で、A1側からA2側に向かってピン部材22を軸部本体21の中空部分(柱状部21aの内周面)に嵌め込むことが可能に構成されている。なお、軸部本体21の最もA1寄りの凸部21bの内周面には、半径方向に窪むリング状の溝部21eが形成されているとともに、ピン部材22の軸部22aの根元部近傍に、軸部22aの外周面からリブ状に突出する突起部22bが形成されている。したがって、図3に示すように、軸部本体21にピン部材22が嵌め込まれた際、ピン部材22の突起部22bが軸部本体21の溝部21eに嵌まり込むように構成されている。これにより、嵌め込まれたピン部材22が、軸部本体21から抜け落ちるのが防止されるように構成されている。なお、溝部21eおよび突起部22bは、それぞれ、本発明の「第1係合部」および「第2係合部」の一例である。
【0039】
また、図1および図3に示すように、ピン部材22は、軸部22aの長手方向(A方向)に沿って軸部22aが先細りするテーパ形状を有するように構成されている。また、軸部本体21についても、ピン部材22の軸部22aのテーパ形状に略対応するように、柱状部21aの内周面がA1側からA2側に向かって内径が徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、図3において、ピン部材22の軸部22aの根元部(A1側)に対応する部分の柱状部21aの中空部分の内径よりも、ピン部材22の軸部22aの先端部(A2側)に対応する部分の柱状部21aの中空部分の内径が若干小さくなるように構成されている。これにより、ピン部材22は軸部22aがA2方向に先細りしているので、ピン部材22を柱状部21aの内周面に沿って容易に挿入することが可能とされている。
【0040】
なお、軸部本体21は、柱状部21aの内周面の形状(軸方向に沿ったテーパの勾配)をピン部材22(軸部22a)のテーパ形状に完全に対応させて形成してもよいし、柱状部21aの内周面の形状を、ピン部材22のテーパ形状(約1.5°)よりも緩い勾配(たとえば1°程度)を有するように形成してもよい。これにより、挿入されたピン部材22を柱状部21aから引き抜く際も、より容易にピン部材22を引き抜くことが可能となる。
【0041】
また、スペーサ部材20によって保持された配線基板50をスペーサ部材20から取り外す場合、図11に示すように、ピン部材22(図3参照)が引き抜かれた状態で、最もA2側(下側)に保持された配線基板50から順に軸部本体21から取り外すことが可能に構成されている。すなわち、上述の配線基板50を軸部本体21に挿入する場合(図5〜図8参照)と同様に、軸部本体21(柱状部21a)の外径D1および凸部21bの外径(D2〜D3の範囲)を、それぞれ、開口部51の内径D4よりも一時的に小さくすることにより、最下部の配線基板50は、A1側からA2側へ矢印Q方向に通り抜けることが可能に構成されている。また、最下部以外の2枚の配線基板50も、順次、軸部本体21をA1側からA2側へ通り抜けることにより、全ての配線基板50がスペーサ部材20から外されるように構成されている。
【0042】
本実施形態では、上記のように、配線基板50に設けられた開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、軸部本体21(柱状部21a)の軸方向(A方向)に間隔L1を隔てて配置され、配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えている。そして、配線基板50の開口部51を軸部本体21が貫通した状態で、柱状部21aの軸方向に隣り合う凸部21b間に配線基板50が配置されることにより、複数の配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)の軸方向(A方向)に沿って間隔L1を隔てて保持するように構成することによって、複数の配線基板50を上下方向(A方向)に積み重ねて固定する際、作業者は、軸部本体21(柱状部21a)に配線基板50の開口部51を挿入していくだけで個々の配線基板50を上下方向に積み重ねて固定することができる。また、作業者は、複数の配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)から引き抜いていくだけで、複数の配線基板50を個々に分離することができる。すなわち、たとえば、1枚の基板に組み付けられるスペーサ部材を順次連結しながら延長させて複数の配線基板50を積み重ねて固定する場合や、連結された複数のスペーサ部材を順次切り離しながら複数の配線基板50を個々に分離する場合と異なり、作業者には、複数のスペーサ部材の連結作業や切り離し作業などを繰り返す手間がかからない。これにより、配線基板50を積み重ねて固定する際の作業性を向上することができる。
【0043】
また、本実施形態では、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板50に設けられた開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、軸部本体21の柱状部21aが弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えることによって、柱状部21aおよび柱状部21aに設けられた複数の凸部21bは、配線基板50の厚み方向(基板を積み重ねるA方向)に沿って基板の開口部51を貫通することができる。すなわち、配線基板50の面内方向の縁部50aの近傍以外においても柱状部21a(凸部21b)が配線基板50を保持することができるので、たとえば、平面積の大きな配線基板50を積み重ねて固定したい場合、配線基板50の縁部近傍で基板を保持することに加えて、配線基板50の縁部50a近傍以外の領域(基板の面内方向の中央領域など)においても柱状部21a(凸部21b)が配線基板50を保持することができる。これにより、配線基板50をスペーサ部材20によって確実に保持することができる。
【0044】
また、本実施形態では、柱状部21aの外周面に軸方向(A方向)に沿って設けられ、柱状部21aの弾性変形を促進させるためのスリット部23を備えることによって、軸部本体21(柱状部21a)は、スリット部23が設けられた領域において容易に弾性変形を起こすことができる。
【0045】
また、本実施形態では、スリット部23を、軸部本体21(柱状部21a)の外周面の所定の領域を軸方向(A方向)に沿って貫くように形成するとともに、柱状部21aを、凸部21bが形成された領域に対応するスリット部23の幅が小さくなる方向に変形することにより、凸部21bが配線基板50の開口部51を通り抜けるように構成することによって、配線基板50の開口部51に軸部本体21(柱状部21a)が挿入される際、柱状部21aは、外周面に凸部21bが形成された領域において軸方向に外径D1を小さくすることができるので、配線基板50の開口部51に対して凸部21bを容易に貫通させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、柱状部21aを、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入される際に小さくされた外径(外径形状)が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、柱状部21aの外周面を配線基板50の開口部51の内周面に押圧することにより、配線基板50を柱状部21aの凸部21b間の部分に保持するように構成することによって、柱状部21aが配線基板50を保持する際、柱状部21aの外周面が配線基板50の開口部51の内周面を常に押圧した状態となるので、配線基板50を柱状部21aの凸部21b間の部分で確実に保持することができる。
【0047】
また、本実施形態では、凸部21bを、柱状部21aの外周面に沿って周状に形成することによって、柱状部21aが配線基板50を保持する際、配線基板50の開口部51近傍の表面(基板上面50bおよび基板下面50c)に対して凸部21bが周状に対向するので、配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)の凸部21b間の部分で確実に保持することができる。
【0048】
また、本実施形態では、凸部21bを、柱状部21aの軸方向(A方向)の中心線から凸部21bの外表面までの距離が柱状部21aの軸方向に沿って増加するような外形形状を有するように構成するとともに、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入される際、柱状部21aの軸方向の中心線から凸部21bの外表面までの距離が増加する方向に沿って配線基板50を柱状部21aに対して嵌め込むことにより、凸部21bの外径D2およびD3が弾性変形可能に小さくされた状態で柱状部21aが配線基板50の開口部51に挿入されるように構成することによって、配線基板50の開口部51よりも外形形状が大きい凸部21bを配線基板50の開口部51に嵌め込む際、凸部21bの外形形状に沿って徐々に凸部21bの外径を小さくさせることができるので、柱状部21aを配線基板50の開口部51に対して容易に嵌め込むことができる。
【0049】
また、本実施形態では、柱状部21aの中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入された状態で、柱状部21aの外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材22を備えることによって、軸部本体21(柱状部21a)の内周面にピン部材22が挿入された状態では、柱状部21aの外径D1が小さくなる方向への変形が阻止されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ピン部材22が軸部本体21(柱状部21a)の内周面に挿入された際、ピン部材22の突起部22bが柱状部21aの溝部21eと係合することにより、ピン部材22が柱状部21aから抜け落ちるのが抑制されるように構成することによって、軸部本体21(柱状部21a)の内周面にピン部材22が挿入された状態では、ピン部材22が柱状部21aに対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ピン部材22を、長手方向(A方向)の先端側に向かって軸部22aが先細りするテーパ形状を有するように構成することによって、ピン部材22は軸部22aが先端側に向かって先細りしているので、ピン部材22を軸部本体21(柱状部21a)の内周面に沿って容易に挿入することができるとともに、ピン部材22を軸部本体21(柱状部21a)から引き抜く際も、柱状部21aの内周面に対するピン部材22の接触状態をピン部材22の引き抜き動作とともに直ちに解除することができる。
【0052】
また、本実施形態では、軸部本体21(柱状部21a)の配線基板50が保持される凸部21b間の部分の外周面と、凸部21bの外表面との間に段差部21c(21d)を形成するとともに、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入された状態で、段差部21c(21d)に配線基板50の表面(基板上面50bおよび基板下面50c)が当接することにより、配線基板50が柱状部21aから抜け落ちるのが抑制されるように構成することによって、柱状部21aの内周面にピン部材22が挿入された状態では、ピン部材22が柱状部21aに対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0053】
また、本実施形態では、柱状部21aを、弾性変形可能な樹脂により形成することによって、樹脂材料の弾性変形により軸部本体21(柱状部21a)は、容易に外径(外形)を小さくして配線基板50の開口部51を通り抜けることができる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、縁部50a近傍に開口部51が設けられた複数の配線基板50をスペーサ部材20を用いて保持する例について示したが、本発明はこれに限らず、図12および図13に示した変形例のように、配線基板50よりも大きな平面積を有する複数の配線基板55を積み重ねて固定する場合にも、このスペーサ部材20を用いることができる。すなわち、開口部51に加えて配線基板55の縁部近傍以外の領域(図11では面内方向の中央領域)に開口部56が設けられていても、スペーサ部材20を、配線基板55の表面に対して垂直な方向から開口部56に挿入することができるので、配線基板55は、開口部56が設けられた位置においてもスペーサ部材20によって間隔L1を維持した状態で保持されるように構成されている。これにより、平面積の大きな配線基板55を積み重ねて保持したい場合であっても、スペーサ部材20によって確実に複数の配線基板55を保持することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、スペーサ部材20が3枚の配線基板50を保持する例について示したが、本発明はこれに限らず、スペーサ部材20の軸方向の長さを伸ばすとともに凸部21bの数を増やすことにより、4枚以上の配線基板50を保持するように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ピン部材22の軸部22aに突起部22bを設けるとともに、軸部本体21の内周面に溝部21eを設けることにより、軸部本体21にピン部材22が挿入された状態で両者を係合させるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ピン部材22の軸部22aに溝部(凹部)を設けるとともに、軸部本体21の内周面に突起部(凸部)を設けて両者が係合するように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ピン部材22の軸部22aをテーパ形状を有するように構成するとともに、軸部本体21を、ピン部材22のテーパ形状に対応するような内径を有する内周面として構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ピン部材22の軸部および軸部本体21の内周面を、共に軸方向に沿って変化しない一様な径(外径および内径)を有するように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、軸部本体21(柱状部21aおよび凸部21b)をポリプロピレン樹脂により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、軸部本体21を弾性変形可能に形成することが可能であるならば、ポリプロピレン樹脂以外の、たとえばポリエチレン樹脂やゴム材料などを用いて軸部本体21を形成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、金属製のピン部材22を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、金属製以外のたとえば樹脂成形によるピン部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
21a 柱状部
21b 凸部
21c、21d 段差部
21e 溝部(第1係合部)
22 ピン部材
22a 軸部
22b 突起部(第2係合部)
23 スリット部
50 配線基板
51 開口部
【技術分野】
【0001】
この発明は、配線基板の支持部材に関し、特に、複数の配線基板を所定の間隔を隔てて保持可能な配線基板の支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の配線基板を所定の間隔を隔てて保持可能な配線基板の支持部材などが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数のプリント基板(配線基板)を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成されたプリント基板用スペーサが開示されている。このプリント基板用スペーサは、スペーサ部材の軸部の一方側に突出する雄側係合部をプリント基板に設けられた開口(孔)部に挿入して嵌め込むことにより、プリント基板に組み付けられるように構成されている。また、スペーサ部材の軸部の他方側には内部に窪む雌側係合部が設けられているので、一つのスペーサ部材の雄側係合部を、他のスペーサ部材の雌側係合部に着脱可能に係合させることが可能に構成されている。これにより、スペーサ部材がプリント基板に取り付けられた状態で、スペーサ部材同志を軸方向(基板の積層方向)に連結することにより、複数のプリント基板をスペーサ部材を介して積み重ねて保持することが可能に構成されている。
【0004】
また、上記特許文献2には、複数のプリント基板(配線基板)を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成された支柱サポート(スペーサ部材)を用いたプリント基板の積み重ね固定構造が開示されている。このプリント基板の積み重ね固定構造では、円柱状の支柱サポートの外周面に、支柱サポートの軸方向に沿ってプリント基板の厚みに相当する間隔を隔てて一対のサポート片(フランジ状の突出部)が形成されるとともに、この一対のサポート片が、所定の間隔を隔てて支柱サポートの軸方向に沿って複数組設けられている。これにより、支柱スペーサは、プリント基板に設けられた開口部に挿入された状態で一対のサポート片の間に1枚のプリント基板を挟み込むことが可能に構成されている。また、この状態で、所定の間隔を隔てて設けられた別な一対のサポート片の間に配線基板を挟み込むことにより、複数のプリント基板を所定の間隔を隔てて積み重ねて保持することが可能に構成されている。なお、プリント基板に設けられた開口部は、プリント基板の縁部を馬蹄形状に切り欠いて形成されるとともに、開口部の内径は、サポート片(フランジ)の外径よりも小さく形成されている。したがって、支柱サポートをプリント基板に固定する際、支柱サポートの一対のサポート片間の部分をプリント基板の面内方向に沿ってスライドさせながら開口部に挿入して、サポート片(フランジ)間にプリント基板を挟み込むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−76297号公報
【特許文献2】実開平1−143185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプリント基板用スペーサでは、複数の配線基板を積み重ねて保持する場合、1枚のプリント基板に取り付けられたスペーサ部材を、順次、軸方向に連結して積み上げていく必要があるため、その分、複数のスペーサ部材を連結する作業を繰り返す必要がある。また、プリント基板が積み重ねられた状態からプリント基板を1枚ずつ分離したい場合、連結されたスペーサ部材間の係合を順次解除していくことによりプリント基板を分離する必要があるため、その分、スペーサ部材の連結状態を解除する作業を繰り返す必要がある。このため、プリント基板(配線基板)を積み上げる際の組立作業や、積層されているプリント基板を互いに分離する際の作業において、スペーサ部材の係合(連結)や係合状態の解除を繰り返す手間を必要とする分、作業が煩雑になるという問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の支柱サポートを使用したプリント基板の積み重ね固定構造では、支柱サポートをプリント基板の縁部に設けられた開口部(馬蹄形状の切り欠き部)に対してプリント基板の面内方向にスライドさせて挿入するように構成されているため、プリント基板の開口部は、プリント基板の縁部近傍にしか設けることができないという制約がある。すなわち、支柱サポートは、プリント基板の縁部近傍においてしかプリント基板を支持することができないと考えられる。このため、たとえば、平面積の大きなプリント基板を積層したい場合、支柱サポートがプリント基板の縁部近傍においてしかプリント基板を支持できないため、プリント基板の中央部が確実に支えられない場合があると考えられる。したがって、支柱サポートがプリント基板(配線基板)を確実に保持できないという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、作業性を向上することが可能であり、かつ、配線基板を確実に保持することが可能な配線基板の支持部材を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面による配線基板の支持部材は、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部の外周面から突出するように設けられるとともに柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、配線基板の開口部を柱状部が貫通した状態で、柱状部の軸方向に隣り合う凸部間に配線基板が配置されることにより、複数の配線基板を柱状部の軸方向に沿って所定の間隔を隔てて保持するように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による配線基板の支持部材では、上記のように、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、配線基板の開口部を柱状部が貫通した状態で、柱状部の軸方向に隣り合う凸部間に配線基板が配置されることにより、複数の配線基板を柱状部の軸方向に沿って所定の間隔を隔てて保持するように構成することによって、複数の配線基板を上下方向に積み重ねて固定する際、作業者は、柱状部に配線基板の開口部を挿入していくだけで個々の配線基板を上下方向に積み重ねて固定することができる。また、作業者は、複数の配線基板を柱状部から引き抜いていくだけで、複数の配線基板を個々に分離することができる。すなわち、従来のように、1枚の基板に組み付けられるスペーサ部材を順次連結しながら延長させて複数の配線基板を積み重ねて固定する場合や、連結された複数のスペーサ部材を順次切り離しながら複数の配線基板を個々に分離する場合と異なり、作業者には、複数のスペーサ部材の連結作業や切り離し作業などを繰り返す手間がかからない。これにより、配線基板を積み重ねて固定する際の作業性を向上することができる。
【0011】
また、上記のように、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備えることによって、柱状部および柱状部に設けられた複数の凸部は、配線基板の厚み方向(基板を積み重ねる方向)に沿って基板の開口部を貫通することができる。すなわち、配線基板の面内方向の端辺近傍以外においても柱状部(凸部)が配線基板を保持することができるので、たとえば、平面積の大きな配線基板を積み重ねて固定したい場合、配線基板の縁部近傍で基板を保持することに加えて、配線基板の縁部近傍以外の領域(面内方向の中央領域など)においても柱状部(凸部)が配線基板を保持することができる。これにより、配線基板を支持部材によって確実に保持することができる。
【0012】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部の外周面に軸方向に沿って設けられ、柱状部の弾性変形を促進させるためのスリット部をさらに備える。このように構成すれば、柱状部は、スリット部が設けられた領域において容易に弾性変形を起こすことができる。
【0013】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、スリット部は、柱状部の外周面の所定の領域を、軸方向に沿って貫くように形成されており、柱状部は、凸部が形成された領域に対応するスリット部の幅が小さくなる方向に変形することにより、凸部が配線基板の開口部を通り抜けるように構成されている。このように構成すれば、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際、柱状部は、外周面に凸部が形成された領域において軸方向に外径を小さくすることができるので、配線基板の開口部に対して凸部を容易に貫通させることができる。
【0014】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、柱状部は、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際に小さくされた外径が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、柱状部の外周面を配線基板の開口部の内周面に押圧することにより、配線基板を柱状部の凸部間の部分に保持するように構成されている。このように構成すれば、柱状部が配線基板を保持する際、柱状部の外周面が配線基板の開口部の内周面を常に押圧した状態となるので、配線基板を柱状部の凸部間の部分で確実に保持することができる。
【0015】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、凸部は、柱状部の外周面に沿って周状に形成されている。このように構成すれば、柱状部が配線基板を保持する際、配線基板の開口部近傍の表面(上面および下面)に対して凸部が周状に対向するので、配線基板を柱状部の凸部間の部分で確実に保持することができる。
【0016】
上記凸部が周状に形成される構成において、好ましくは、凸部は、柱状部の軸方向の中心線から凸部の外表面までの距離が柱状部の軸方向に沿って増加するような外形形状を有しており、配線基板の開口部に柱状部が挿入される際、柱状部の軸方向の中心線から凸部の外表面までの距離が増加する方向に沿って配線基板を柱状部に対して嵌め込むことにより、凸部の外径が弾性変形可能に小さくされた状態で柱状部が配線基板の開口部に挿入されるように構成されている。このように構成すれば、配線基板の開口部よりも外形形状が大きい凸部を配線基板の開口部に嵌め込む際、凸部の外形形状に沿って徐々に凸部の外径を小さくさせることができるので、柱状部を配線基板の開口部に対して容易に嵌め込むことができる。
【0017】
上記スリット部を備える構成において、好ましくは、柱状部は、中空の円筒形状を有するように形成されており、柱状部の中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、配線基板の開口部に柱状部が挿入された状態で、柱状部の外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材をさらに備える。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、柱状部の外径が小さくなる方向への変形が阻止されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0018】
上記ピン部材を備える構成において、好ましくは、柱状部は、柱状部の中空部分の内周面に形成された第1係合部を含み、ピン部材は、長手方向に延びる軸部の外周面に形成され、第1係合部と係合する第2係合部を含み、ピン部材が柱状部の内周面に挿入された際、ピン部材の第2係合部が柱状部の第1係合部と係合することにより、ピン部材が柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、ピン部材が柱状部に対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0019】
上記ピン部材を備える構成において、好ましくは、ピン部材は、長手方向の先端側に向かって軸部が先細りするテーパ形状を有するように構成されている。このように構成すれば、ピン部材は軸部が先端側に向かって先細りしているので、ピン部材を柱状部の内周面に沿って容易に挿入することができるとともに、ピン部材を柱状部から引き抜く際も、柱状部の内周面に対するピン部材の接触状態をピン部材の引き抜き動作とともに直ちに解除することができる。
【0020】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部の配線基板が保持される凸部間の部分の外周面と、凸部の外表面との間に段差部が形成されており、配線基板の開口部に柱状部が挿入された状態で、段差部に配線基板の表面が当接することにより、配線基板が柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている。このように構成すれば、柱状部の内周面にピン部材が挿入された状態では、ピン部材が柱状部に対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、柱状部に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板が柱状部の凸部間に保持された状態を維持することができる。
【0021】
上記一の局面による配線基板の支持部材において、好ましくは、柱状部は、弾性変形可能な樹脂により形成されている。このように構成すれば、樹脂材料の弾性変形により柱状部は、容易に外径を小さくして配線基板の開口部を通り抜けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるスペーサ部材の構成を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材を用いて複数の配線基板を積み重ねて保持する様子を示した斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材を用いて複数の配線基板を積み重ねて保持する様子を示した断面図である。
【図4】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材によって保持される配線基板の構造を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図6】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図7】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板の開口部に挿入される途中の状態を示した断面図である。
【図8】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図9】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図10】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材が複数の配線基板を保持する状態を示した断面図である。
【図11】図1に示した一実施形態によるスペーサ部材から配線基板を取り外す途中の状態を示した断面図である。
【図12】本発明の変形例による平面積の大きな配線基板を示した斜視図である。
【図13】図11に示した平面積の大きな配線基板をスペーサ部材によって保持する状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態によるスペーサ部材20およびこのスペーサ部材20を用いた配線基板50の支持構造について説明する。なお、スペーサ部材20は、本発明の「支持部材」の一例である。
【0025】
本発明の一実施形態によるスペーサ部材20は、図1に示すように、中空形状を有するポリプロピレンなどからなる樹脂製の軸部本体21と、軸部本体21にA方向に同軸状に挿入される金属製のピン部材22とを備えている。そして、このスペーサ部材20を用いた配線基板50の支持構造では、図2および図3に示すように、複数(本実施形態では3枚)の配線基板50が、4つのスペーサ部材20(図2参照)を用いて上下方向(A方向)に間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0026】
ここで、本実施形態では、スペーサ部材20を構成する軸部本体21は、図1に示すように、外径D1を有するとともに軸方向(A方向)に延びる柱状部21aと、軸方向に沿って間隔L2の周期で配置されるとともに柱状部21aの外周面から半径方向に突出する複数の凸部21b(本実施形態では4つ)とから構成されている。また、軸部本体21は、柱状部21aと複数の凸部21bとが樹脂成形により一体的に形成されている。
【0027】
また、軸部本体21の凸部21bは、柱状部21aの外周面に沿って周状に形成されており、外表面が軸方向の一方側(A1側)から他方側(A2側)に沿って外径を一定の割合で増加させる(図1に示す外径D2〜D3の範囲(D2<D3))形状に形成されている。また、凸部21bは、軸方向に沿った柱状部21aと凸部21bとの境界部分において、半径方向に突出するフランジ状の段差部21cおよび21dを有している。なお、柱状部21aを挟んで軸方向(A方向)に対向する一対の段差部21cおよび21d間の距離は、図2に示した配線基板50の厚みtと略等しい大きさを有している。
【0028】
また、本実施形態では、図1に示すように、軸部本体21には、一方端部(A1側)から他方端部(A2側)に向かって柱状部21aおよび凸部21bを直線状に貫く1つのスリット部23が設けられている。
【0029】
すなわち、軸部本体21は、半径方向の断面が略C字形状を有しているので、たとえば作業者が柱状部21aを指などで摘んでスリット部23の幅L3(図1参照)を狭めることにより、柱状部21aの外形および凸部21bの外形を弾性変形可能に小さくする(細める)ことが可能であるように構成されている。なお、スペーサ部材20の軸部本体21は、樹脂材料により構成されているので、一時的に小さくされた外形は、軸部本体21に外力が加わらない状態では、元の形状に戻るように構成されている。なお、図1には、柱状部21aなどに外力が加わらない状態の軸部本体21の自然な形状を示している。
【0030】
また、図4に示すように、スペーサ部材20の軸部本体21によって支持される配線基板50は、基板の縁部50aから所定の距離だけ内側に入った部分に、内径D4を有する略円形状の開口部51が形成されている。なお、軸部本体21(図1参照)が自然な状態では、柱状部21aの外径D1は、配線基板50の開口部51(図4参照)の内径D4よりも若干大きくなるように形成されている。
【0031】
したがって、本実施形態では、図5〜図8の順に示すように、軸部本体21は、弾性変形可能な柱状部21aの外径D1(図1参照)および凸部21bの外径(D2〜D3の範囲:図1参照)を、それぞれ、開口部51の内径D4よりも一時的に小さくすることにより、配線基板50の開口部51をA2側(基板下面50c側)からA1側(基板上面50b側)へ矢印P方向に通り抜けることが可能に構成されている。また、軸部本体21を開口部51に挿入する際、図5に示すように、軸部本体21は、一方端部(A1側の端部)から先に配線基板50の開口部51に挿入されるように構成されている。これにより、軸部本体21は、柱状部21aの外径D1および凸部21bの外径D2および外径D3をA1側からA2側に向かって順次小さく変形させながら、一方端部(A1側)から他方端部(A2側)に向かって開口部51を通り抜けるように構成されている(図5〜図7参照)。
【0032】
なお、凸部21bは、外表面が軸方向の一方側(A1側)から他方側(A2側)に沿って外径を一定の割合で増加させる形状を有しているので、図6に示すように、凸部21bが開口部51を通過する際、開口部51のA2側(基板下面50c側)のエッジ部50dが、凸部21bの外表面上を滑りながらA2方向にスライドされるように構成されている。
【0033】
また、本実施形態では、図8に示すように、開口部51に挿入された軸部本体21において、A1側の凸部21bが開口部51を通り抜けた直後、それまで弾性変形していた部分(柱状部21aや凸部21b)の復元力によって、この凸部21bの外径が元の大きさに戻ろうとするので、配線基板50は、先に通り抜けた凸部21bと次に通り抜けようとする凸部21bとの間の柱状部21aの部分に保持されるように構成されている。また、この際、配線基板50を保持しようとする部分の柱状部21aの外径も元の大きさ(D1)に向かって戻ろうとするので、柱状部21aの外周面が配線基板50の開口部51の内周面を押圧した状態で、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間の部分に保持されるように構成されている。
【0034】
また、図8に示した状態から、再び軸部本体21の外径(D1、D2およびD3)が小さくされた場合、図9に示すように、配線基板50は、軸方向に沿ってA2側に設けられた凸部21b(2箇所)を次々と通り抜けるので、この配線基板50は、A2側の最下部の柱状部21aの部分で保持されるように構成されている。
【0035】
なお、図8や図9に示すように、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持される際、配線基板50は、開口部51のA2側のエッジ部50dが段差部21cに当接するとともに、開口部51のA1側のエッジ部50eが段差部21dに当接した状態で保持されるように構成されている。これにより、軸部本体21に対して外径(外径形状)を小さくするような外力が加えられない状態では、配線基板50は、柱状部21aの凸部21b間に保持された状態が維持されるように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、図9に示した状態において、別な配線基板50を軸部本体21の一方端部(A1側)から挿入することにより、図10に示すように、この配線基板50は、A1側から見て2番目の柱状部21aの部分で保持されるように構成されている。すなわち、2枚の配線基板50は、最初の配線基板50に対して間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0037】
なお、本実施形態では、作業者が、上述の方法により柱状部21aの凸部21b間に配線基板50を保持する作業を繰り返すことにより、図3に示すように、複数(本実施形態では3枚)の配線基板50が、スペーサ部材20を用いて上下方向(A方向)に間隔L1を隔てて積み重ねられた状態で保持されるように構成されている。
【0038】
また、本実施形態では、図3に示すように、軸部本体21を複数の配線基板50に挿入して保持した状態で、A1側からA2側に向かってピン部材22を軸部本体21の中空部分(柱状部21aの内周面)に嵌め込むことが可能に構成されている。なお、軸部本体21の最もA1寄りの凸部21bの内周面には、半径方向に窪むリング状の溝部21eが形成されているとともに、ピン部材22の軸部22aの根元部近傍に、軸部22aの外周面からリブ状に突出する突起部22bが形成されている。したがって、図3に示すように、軸部本体21にピン部材22が嵌め込まれた際、ピン部材22の突起部22bが軸部本体21の溝部21eに嵌まり込むように構成されている。これにより、嵌め込まれたピン部材22が、軸部本体21から抜け落ちるのが防止されるように構成されている。なお、溝部21eおよび突起部22bは、それぞれ、本発明の「第1係合部」および「第2係合部」の一例である。
【0039】
また、図1および図3に示すように、ピン部材22は、軸部22aの長手方向(A方向)に沿って軸部22aが先細りするテーパ形状を有するように構成されている。また、軸部本体21についても、ピン部材22の軸部22aのテーパ形状に略対応するように、柱状部21aの内周面がA1側からA2側に向かって内径が徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、図3において、ピン部材22の軸部22aの根元部(A1側)に対応する部分の柱状部21aの中空部分の内径よりも、ピン部材22の軸部22aの先端部(A2側)に対応する部分の柱状部21aの中空部分の内径が若干小さくなるように構成されている。これにより、ピン部材22は軸部22aがA2方向に先細りしているので、ピン部材22を柱状部21aの内周面に沿って容易に挿入することが可能とされている。
【0040】
なお、軸部本体21は、柱状部21aの内周面の形状(軸方向に沿ったテーパの勾配)をピン部材22(軸部22a)のテーパ形状に完全に対応させて形成してもよいし、柱状部21aの内周面の形状を、ピン部材22のテーパ形状(約1.5°)よりも緩い勾配(たとえば1°程度)を有するように形成してもよい。これにより、挿入されたピン部材22を柱状部21aから引き抜く際も、より容易にピン部材22を引き抜くことが可能となる。
【0041】
また、スペーサ部材20によって保持された配線基板50をスペーサ部材20から取り外す場合、図11に示すように、ピン部材22(図3参照)が引き抜かれた状態で、最もA2側(下側)に保持された配線基板50から順に軸部本体21から取り外すことが可能に構成されている。すなわち、上述の配線基板50を軸部本体21に挿入する場合(図5〜図8参照)と同様に、軸部本体21(柱状部21a)の外径D1および凸部21bの外径(D2〜D3の範囲)を、それぞれ、開口部51の内径D4よりも一時的に小さくすることにより、最下部の配線基板50は、A1側からA2側へ矢印Q方向に通り抜けることが可能に構成されている。また、最下部以外の2枚の配線基板50も、順次、軸部本体21をA1側からA2側へ通り抜けることにより、全ての配線基板50がスペーサ部材20から外されるように構成されている。
【0042】
本実施形態では、上記のように、配線基板50に設けられた開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、軸部本体21(柱状部21a)の軸方向(A方向)に間隔L1を隔てて配置され、配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えている。そして、配線基板50の開口部51を軸部本体21が貫通した状態で、柱状部21aの軸方向に隣り合う凸部21b間に配線基板50が配置されることにより、複数の配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)の軸方向(A方向)に沿って間隔L1を隔てて保持するように構成することによって、複数の配線基板50を上下方向(A方向)に積み重ねて固定する際、作業者は、軸部本体21(柱状部21a)に配線基板50の開口部51を挿入していくだけで個々の配線基板50を上下方向に積み重ねて固定することができる。また、作業者は、複数の配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)から引き抜いていくだけで、複数の配線基板50を個々に分離することができる。すなわち、たとえば、1枚の基板に組み付けられるスペーサ部材を順次連結しながら延長させて複数の配線基板50を積み重ねて固定する場合や、連結された複数のスペーサ部材を順次切り離しながら複数の配線基板50を個々に分離する場合と異なり、作業者には、複数のスペーサ部材の連結作業や切り離し作業などを繰り返す手間がかからない。これにより、配線基板50を積み重ねて固定する際の作業性を向上することができる。
【0043】
また、本実施形態では、弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板50に設けられた開口部51を貫通可能な軸部本体21(柱状部21a)と、軸部本体21の柱状部21aが弾性変形されて外径が小さくされる際に配線基板50の開口部51を貫通する複数の凸部21bとを備えることによって、柱状部21aおよび柱状部21aに設けられた複数の凸部21bは、配線基板50の厚み方向(基板を積み重ねるA方向)に沿って基板の開口部51を貫通することができる。すなわち、配線基板50の面内方向の縁部50aの近傍以外においても柱状部21a(凸部21b)が配線基板50を保持することができるので、たとえば、平面積の大きな配線基板50を積み重ねて固定したい場合、配線基板50の縁部近傍で基板を保持することに加えて、配線基板50の縁部50a近傍以外の領域(基板の面内方向の中央領域など)においても柱状部21a(凸部21b)が配線基板50を保持することができる。これにより、配線基板50をスペーサ部材20によって確実に保持することができる。
【0044】
また、本実施形態では、柱状部21aの外周面に軸方向(A方向)に沿って設けられ、柱状部21aの弾性変形を促進させるためのスリット部23を備えることによって、軸部本体21(柱状部21a)は、スリット部23が設けられた領域において容易に弾性変形を起こすことができる。
【0045】
また、本実施形態では、スリット部23を、軸部本体21(柱状部21a)の外周面の所定の領域を軸方向(A方向)に沿って貫くように形成するとともに、柱状部21aを、凸部21bが形成された領域に対応するスリット部23の幅が小さくなる方向に変形することにより、凸部21bが配線基板50の開口部51を通り抜けるように構成することによって、配線基板50の開口部51に軸部本体21(柱状部21a)が挿入される際、柱状部21aは、外周面に凸部21bが形成された領域において軸方向に外径D1を小さくすることができるので、配線基板50の開口部51に対して凸部21bを容易に貫通させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、柱状部21aを、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入される際に小さくされた外径(外径形状)が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、柱状部21aの外周面を配線基板50の開口部51の内周面に押圧することにより、配線基板50を柱状部21aの凸部21b間の部分に保持するように構成することによって、柱状部21aが配線基板50を保持する際、柱状部21aの外周面が配線基板50の開口部51の内周面を常に押圧した状態となるので、配線基板50を柱状部21aの凸部21b間の部分で確実に保持することができる。
【0047】
また、本実施形態では、凸部21bを、柱状部21aの外周面に沿って周状に形成することによって、柱状部21aが配線基板50を保持する際、配線基板50の開口部51近傍の表面(基板上面50bおよび基板下面50c)に対して凸部21bが周状に対向するので、配線基板50を軸部本体21(柱状部21a)の凸部21b間の部分で確実に保持することができる。
【0048】
また、本実施形態では、凸部21bを、柱状部21aの軸方向(A方向)の中心線から凸部21bの外表面までの距離が柱状部21aの軸方向に沿って増加するような外形形状を有するように構成するとともに、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入される際、柱状部21aの軸方向の中心線から凸部21bの外表面までの距離が増加する方向に沿って配線基板50を柱状部21aに対して嵌め込むことにより、凸部21bの外径D2およびD3が弾性変形可能に小さくされた状態で柱状部21aが配線基板50の開口部51に挿入されるように構成することによって、配線基板50の開口部51よりも外形形状が大きい凸部21bを配線基板50の開口部51に嵌め込む際、凸部21bの外形形状に沿って徐々に凸部21bの外径を小さくさせることができるので、柱状部21aを配線基板50の開口部51に対して容易に嵌め込むことができる。
【0049】
また、本実施形態では、柱状部21aの中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入された状態で、柱状部21aの外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材22を備えることによって、軸部本体21(柱状部21a)の内周面にピン部材22が挿入された状態では、柱状部21aの外径D1が小さくなる方向への変形が阻止されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ピン部材22が軸部本体21(柱状部21a)の内周面に挿入された際、ピン部材22の突起部22bが柱状部21aの溝部21eと係合することにより、ピン部材22が柱状部21aから抜け落ちるのが抑制されるように構成することによって、軸部本体21(柱状部21a)の内周面にピン部材22が挿入された状態では、ピン部材22が柱状部21aに対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ピン部材22を、長手方向(A方向)の先端側に向かって軸部22aが先細りするテーパ形状を有するように構成することによって、ピン部材22は軸部22aが先端側に向かって先細りしているので、ピン部材22を軸部本体21(柱状部21a)の内周面に沿って容易に挿入することができるとともに、ピン部材22を軸部本体21(柱状部21a)から引き抜く際も、柱状部21aの内周面に対するピン部材22の接触状態をピン部材22の引き抜き動作とともに直ちに解除することができる。
【0052】
また、本実施形態では、軸部本体21(柱状部21a)の配線基板50が保持される凸部21b間の部分の外周面と、凸部21bの外表面との間に段差部21c(21d)を形成するとともに、配線基板50の開口部51に柱状部21aが挿入された状態で、段差部21c(21d)に配線基板50の表面(基板上面50bおよび基板下面50c)が当接することにより、配線基板50が柱状部21aから抜け落ちるのが抑制されるように構成することによって、柱状部21aの内周面にピン部材22が挿入された状態では、ピン部材22が柱状部21aに対して容易に抜け落ちることなく固定されるので、軸部本体21(柱状部21a)に不意な衝撃などが加えられた場合であっても、配線基板50が柱状部21aの凸部21b間に保持された状態を維持することができる。
【0053】
また、本実施形態では、柱状部21aを、弾性変形可能な樹脂により形成することによって、樹脂材料の弾性変形により軸部本体21(柱状部21a)は、容易に外径(外形)を小さくして配線基板50の開口部51を通り抜けることができる。
【0054】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、縁部50a近傍に開口部51が設けられた複数の配線基板50をスペーサ部材20を用いて保持する例について示したが、本発明はこれに限らず、図12および図13に示した変形例のように、配線基板50よりも大きな平面積を有する複数の配線基板55を積み重ねて固定する場合にも、このスペーサ部材20を用いることができる。すなわち、開口部51に加えて配線基板55の縁部近傍以外の領域(図11では面内方向の中央領域)に開口部56が設けられていても、スペーサ部材20を、配線基板55の表面に対して垂直な方向から開口部56に挿入することができるので、配線基板55は、開口部56が設けられた位置においてもスペーサ部材20によって間隔L1を維持した状態で保持されるように構成されている。これにより、平面積の大きな配線基板55を積み重ねて保持したい場合であっても、スペーサ部材20によって確実に複数の配線基板55を保持することができる。
【0056】
また、上記実施形態では、スペーサ部材20が3枚の配線基板50を保持する例について示したが、本発明はこれに限らず、スペーサ部材20の軸方向の長さを伸ばすとともに凸部21bの数を増やすことにより、4枚以上の配線基板50を保持するように構成してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ピン部材22の軸部22aに突起部22bを設けるとともに、軸部本体21の内周面に溝部21eを設けることにより、軸部本体21にピン部材22が挿入された状態で両者を係合させるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ピン部材22の軸部22aに溝部(凹部)を設けるとともに、軸部本体21の内周面に突起部(凸部)を設けて両者が係合するように構成してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ピン部材22の軸部22aをテーパ形状を有するように構成するとともに、軸部本体21を、ピン部材22のテーパ形状に対応するような内径を有する内周面として構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ピン部材22の軸部および軸部本体21の内周面を、共に軸方向に沿って変化しない一様な径(外径および内径)を有するように構成してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、軸部本体21(柱状部21aおよび凸部21b)をポリプロピレン樹脂により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、軸部本体21を弾性変形可能に形成することが可能であるならば、ポリプロピレン樹脂以外の、たとえばポリエチレン樹脂やゴム材料などを用いて軸部本体21を形成してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、金属製のピン部材22を用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、金属製以外のたとえば樹脂成形によるピン部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
21a 柱状部
21b 凸部
21c、21d 段差部
21e 溝部(第1係合部)
22 ピン部材
22a 軸部
22b 突起部(第2係合部)
23 スリット部
50 配線基板
51 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、
前記柱状部の外周面から突出するように設けられるとともに前記柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に前記配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、
前記配線基板の開口部を前記柱状部が貫通した状態で、前記柱状部の軸方向に隣り合う前記凸部間に前記配線基板が配置されることにより、複数の前記配線基板を前記柱状部の軸方向に沿って前記所定の間隔を隔てて保持するように構成されている、配線基板の支持部材。
【請求項2】
前記柱状部の外周面に前記軸方向に沿って設けられ、前記柱状部の弾性変形を促進させるためのスリット部をさらに備える、請求項1に記載の配線基板の支持部材。
【請求項3】
前記スリット部は、前記柱状部の外周面の所定の領域を、前記軸方向に沿って貫くように形成されており、
前記柱状部は、前記凸部が形成された領域に対応する前記スリット部の幅が小さくなる方向に変形することにより、前記凸部が前記配線基板の開口部を通り抜けるように構成されている、請求項2に記載の配線基板の支持部材。
【請求項4】
前記柱状部は、前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入される際に小さくされた前記外径が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、前記柱状部の外周面を前記配線基板の開口部の内周面に押圧することにより、前記配線基板を前記柱状部の前記凸部間の部分に保持するように構成されている、請求項2または3に記載の配線基板の支持部材。
【請求項5】
前記凸部は、前記柱状部の外周面に沿って周状に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項6】
前記凸部は、前記柱状部の軸方向の中心線から前記凸部の外表面までの距離が前記柱状部の軸方向に沿って増加するような外形形状を有しており、
前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入される際、前記柱状部の軸方向の中心線から前記凸部の外表面までの距離が増加する方向に沿って前記配線基板を前記柱状部に対して嵌め込むことにより、前記凸部の外径が弾性変形可能に小さくされた状態で前記柱状部が前記配線基板の開口部に挿入されるように構成されている、請求項5に記載の配線基板の支持部材。
【請求項7】
前記柱状部は、中空の円筒形状を有するように形成されており、
前記柱状部の中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入された状態で、前記柱状部の外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材をさらに備える、請求項2〜6のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項8】
前記柱状部は、前記柱状部の中空部分の前記内周面に形成された第1係合部を含み、
前記ピン部材は、前記長手方向に延びる前記軸部の外周面に形成され、前記第1係合部と係合する第2係合部を含み、
前記ピン部材が前記柱状部の前記内周面に挿入された際、前記ピン部材の前記第2係合部が前記柱状部の前記第1係合部と係合することにより、前記ピン部材が前記柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている、請求項7に記載の配線基板の支持部材。
【請求項9】
前記ピン部材は、前記長手方向の先端側に向かって前記軸部が先細りするテーパ形状を有するように構成されている、請求項7または8に記載の配線基板の支持部材。
【請求項10】
前記柱状部の前記配線基板が保持される前記凸部間の部分の外周面と、前記凸部の外表面との間に段差部が形成されており、
前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入された状態で、前記段差部に前記配線基板の表面が当接することにより、前記配線基板が前記柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項11】
前記柱状部は、弾性変形可能な樹脂により形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項1】
弾性変形により外径を小さくすることが可能であり、配線基板に設けられた開口部を貫通可能な柱状部と、
前記柱状部の外周面から突出するように設けられるとともに前記柱状部の軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、前記柱状部が弾性変形されて外径が小さくされる際に前記配線基板の開口部を貫通する複数の凸部とを備え、
前記配線基板の開口部を前記柱状部が貫通した状態で、前記柱状部の軸方向に隣り合う前記凸部間に前記配線基板が配置されることにより、複数の前記配線基板を前記柱状部の軸方向に沿って前記所定の間隔を隔てて保持するように構成されている、配線基板の支持部材。
【請求項2】
前記柱状部の外周面に前記軸方向に沿って設けられ、前記柱状部の弾性変形を促進させるためのスリット部をさらに備える、請求項1に記載の配線基板の支持部材。
【請求項3】
前記スリット部は、前記柱状部の外周面の所定の領域を、前記軸方向に沿って貫くように形成されており、
前記柱状部は、前記凸部が形成された領域に対応する前記スリット部の幅が小さくなる方向に変形することにより、前記凸部が前記配線基板の開口部を通り抜けるように構成されている、請求項2に記載の配線基板の支持部材。
【請求項4】
前記柱状部は、前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入される際に小さくされた前記外径が弾性変形によって元の大きさに戻る際の復元力を用いて、前記柱状部の外周面を前記配線基板の開口部の内周面に押圧することにより、前記配線基板を前記柱状部の前記凸部間の部分に保持するように構成されている、請求項2または3に記載の配線基板の支持部材。
【請求項5】
前記凸部は、前記柱状部の外周面に沿って周状に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項6】
前記凸部は、前記柱状部の軸方向の中心線から前記凸部の外表面までの距離が前記柱状部の軸方向に沿って増加するような外形形状を有しており、
前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入される際、前記柱状部の軸方向の中心線から前記凸部の外表面までの距離が増加する方向に沿って前記配線基板を前記柱状部に対して嵌め込むことにより、前記凸部の外径が弾性変形可能に小さくされた状態で前記柱状部が前記配線基板の開口部に挿入されるように構成されている、請求項5に記載の配線基板の支持部材。
【請求項7】
前記柱状部は、中空の円筒形状を有するように形成されており、
前記柱状部の中空部分の内周面に沿って挿入されることにより、前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入された状態で、前記柱状部の外径が小さくなる方向に変形するのを抑制するピン部材をさらに備える、請求項2〜6のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項8】
前記柱状部は、前記柱状部の中空部分の前記内周面に形成された第1係合部を含み、
前記ピン部材は、前記長手方向に延びる前記軸部の外周面に形成され、前記第1係合部と係合する第2係合部を含み、
前記ピン部材が前記柱状部の前記内周面に挿入された際、前記ピン部材の前記第2係合部が前記柱状部の前記第1係合部と係合することにより、前記ピン部材が前記柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている、請求項7に記載の配線基板の支持部材。
【請求項9】
前記ピン部材は、前記長手方向の先端側に向かって前記軸部が先細りするテーパ形状を有するように構成されている、請求項7または8に記載の配線基板の支持部材。
【請求項10】
前記柱状部の前記配線基板が保持される前記凸部間の部分の外周面と、前記凸部の外表面との間に段差部が形成されており、
前記配線基板の開口部に前記柱状部が挿入された状態で、前記段差部に前記配線基板の表面が当接することにより、前記配線基板が前記柱状部から抜け落ちるのが抑制されるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【請求項11】
前記柱状部は、弾性変形可能な樹脂により形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の配線基板の支持部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−267893(P2010−267893A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119416(P2009−119416)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]