説明

配線基板の製造方法

【課題】複数のグリーンシートを積層した母積層体から、追って多層セラミック配線基板となる積層体を切り出す際に、形状および寸法精度良く切り出せ、且つ生産効率の向上にも寄与し得る配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】表面2および裏面3において、配線基板4となる製品領域4aと、該製品領域4aの周囲を囲う耳部5とを有する複数のグリーンシートg1〜g3を積層した母積層体1から、該母積層体1の表面2に形成した切断マークM1に基づいて、上記製品領域4aを含む積層体10を切り出す切断工程を備える配線基板4の製造方法であって、上記切断マークM1は、平面視において、製品領域4aを囲み、且つその外側に所定の隙間sを持ちつつ上記製品領域4aの外形と相似形にして形成され、切断工程では、切断マークM1よりも内側の隙間sに刃物cが母積層体1の厚み方向に沿って挿入される、配線基板4の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のグリーンシートを積層した母積層体などから、追って多層セラミック配線基板となる積層体などを切り出す際に、形状および寸法精度良く切り出せ、且つ生産効率の向上にも寄与し得る配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層セラミック配線基板は、複数のグリーンシートを積層した積層体から、配線基板を切り出すに際し、該配線基板となる製品領域の外形に沿って、上記積層体を直線刃で複数回に分けて切り出す方法、あるいは、例えば、平面視が矩形の異形刃物で一度に打ち抜く切り出し方法が用いられている。
例えば、平面視で複数の半導体装置単位を縦横に併設し、これらの外側で且つ隣接する半導体装置単位の境界ごとの外側に平面視が凸形の目印(切断マーク)を形成し、対向する一対の目印の真上およびこれらの間に沿って、切断刃物を挿入することで、ダイシング精度に優れ、チップサイズの半導体装置単位の製造に適した半導体素子搭載用基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の前記半導体素子搭載用基板のように、複数の半導体装置単位の領域における外側に形成した一対の切断マークの中心間ごとに切断刃物を挿入して、複数の半導体装置単位に切断する切断工程による場合、切断刃物と上記半導体装置単位の領域との位置関係を直接監視することは困難であった。
更に、前記半導体素子搭載用基板を構成する各グリーンシートの歪みや変形によって、上記半導体装置単位の領域と各切断マークとの相対位置に不整合が生じる場合がある。かかる不整合に起因して、切断位置が本来の位置からズレた場合、切断不良の半導体装置単位は、該切断工程および焼成工程などの後で行われる検査工程で初めて検出され得るため、切断工程の調整作業が遅れることにより、歩留まりの低下に伴って生産効率を低下させてしまう、という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−77235号公報(第1〜3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、複数のグリーンシートを積層した母積層体などから、追って多層セラミック配線基板となる積層体などを切り出す際に、形状および寸法精度良く切り出せ、且つ生産効率の向上にも寄与し得る配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、最外側となるグリーンシートの表面における製品領域の外側に最小限の隙間を介して、切断マークを接近して形成し、前記隙間内に刃物を挿入して切断する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1の配線基板の製造方法(請求項1)は、表面および裏面において、配線基板となる製品領域と、該製品領域の周囲を囲う耳部とを有する複数のグリーンシートを積層した母積層体から、該母積層体の表面に形成した切断マークに基づいて、上記製品領域を含む積層体を切り出す切断工程を備える配線基板の製造方法であって、上記切断マークは、上記製品領域の外側に所定の隙間を持って配置されており、上記切断工程では、上記切断マークよりも内側の上記隙間に刃物が上記母積層体の厚み方向に沿って挿入される、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、前記製品領域の外側に隙間を置いて形成された切断マークは、該マークが形成されているグリーンシートが受ける歪みや変形を当該グリーンシートと同様に受けるため、相対的な位置が変わらない。そのため、製品領域と切断マークとの位置ズレが抑制されるので、切断時に前記隙間内で且つ該隙間に沿って刃物を容易に挿入できる。更に、該切断工程は、刃物と製品領域との位置関係を直接監視した状態で行える。従って、形状および寸法精度に優れた配線基板を確実に製造することが可能となる。
しかも、前記切断マークの位置によって、製品領域と刃物との位置関係を直に監視できるので、仮に切断不良の積層体が得られた場合でも、刃物の位置を調整するなどの矯正作業を切断工程直後の検査工程で行える。従って、切断不良に起因する歩留まりの低下を抑制でき、生産性の向上に寄与することも可能である。
【0008】
尚、前記母積層体は、製品領域と耳部とを有する複数のグリーンシートを積層したものである。
また、前記積層体は、単数の配線基板、または複数の配線基板の集合体である所謂多数個取りの配線基板と実質的に同様のものである。これらは、焼成後に切断により形成された側面を更に所要公差の範囲で研磨されることで、単数の配線基板、あるいは多数個取りの配線基板としても良い。
更に、前記配線基板には、単一の多層セラミック配線基板のほか、同じ平面の縦横方向に併設された複数の多層セラミック配線基板も含まれる。
また、前記製品領域は、単数の配線基板となる形態のほか、複数の配線基板を縦横に併設した多数個取りの形態であっても良い。後者の形態では、最外側のグリーンシートの表面などには、前記切断マークとは別に、隣接する配線基板間や該配線基板と耳部とを区画する分割溝などが格子形状に形成されている。かかる分割溝は、焼成後に配線基板を個片ごとに分割する際に、容易に分割するために設ける溝である。
更に、前記切断マークは、最外側のグリーンシートの表面に、印刷により形成したメタライズ、あるいはセラミックペーストとしたり、あるいは、最外側のグリーンシートの表面に、開口する凹溝または貫通孔の開口部であっても良い。これらのうち、上記凹溝は、最外側のグリーンシートの1層ないし2層を貫通する貫通孔、あるいはこれらの表面側から□型を押し付けて形成した断面ほぼ矩形の凹みである。また、セラミックペーストからなる切断マークには、グリーンシートと異なる色彩の成分を含んでいたり、蛍光成分や発光成分などを含むものが挙げられる。
更に、前記隙間の幅は、例えば、最小限の許容公差などのような一定の値としても良いが、前製品領域の外形を構成する複数の辺ごとに異なる値としても良い。
加えて、前記刃物は、直線刃のほか、平面視が前記製品領域の外形と相似形である異形刃物でも良く、後者の場合、一度の打ち抜きによる切断工程となる。
【0009】
一方、本発明による第2の配線基板の製造方法(請求項2)は、表面および裏面において、配線基板となる製品領域、および該製品領域の周囲を囲う耳部を有する複数のグリーンシートと、該複数のグリーンシートを挟み且つ該グリーンシートの焼成温度では焼成しない一対の焼成収縮抑制シートと、を積層した母複合積層体から、該母複合積層体の表面に形成した切断マークに基づいて、上記製品領域を含む複合積層体を切り出す切断工程を備える配線基板の製造方法であって、上記切断マークは、最外側に位置する何れか一方の上記焼成収縮抑制シートの表面に、平面視した際の投影において、上記グリーンシートにおける製品領域の外側に所定の隙間を持って配置されていると共に、上記切断工程では、上記切断マークよりも内側の上記隙間に刃物が上記母複合積層体の厚み方向に沿って挿入される、ことを特徴とする。
【0010】
これによれば、平面視の投影において、前記製品領域の外側に隙間を置いて形成された切断マークは、該マークが形成されているグリーンシートが受ける歪みや変形を同様に受けるため、相対的な位置が変わらない。そのため、グリーンシート側の製品領域と、焼成収縮抑制シート側の切断マークとの位置ズレが抑制されるので、切断時に前記隙間内で且つ該隙間に沿って刃物を容易に挿入できる。従って、形状および寸法精度に優れた配線基板を確実に製造することが可能となる。
しかも、焼成収縮抑制シート側の切断マークの位置によって、グリーンシート側の製品領域と刃物との位置関係を間接的に監視できるので、仮に切断不良の複合積層体と得られた場合でも、刃物の位置を調整するなどの矯正作業を切断工程直後の検査工程で行える。従って、切断不良に起因する歩留まりの低下を抑制できるため、生産性の向上にも寄与し得る。
【0011】
尚、前記切断マークは、最外側の焼成収縮抑制シートの表面に、印刷によって形成したメタライズ、あるいはセラミックペーストとしたり、あるいは、最外側の焼成収縮抑制シートの表面に、開口する凹溝または貫通孔の開口部であっても良い。このうち、凹溝は、最外側の焼成収縮抑制シートのみを貫通する貫通孔、または該シートの表面側から□型を押し付けて形成した断面ほぼ矩形の凹みである。
また、切断工程により得られる複合積層体は、両面の焼成収縮抑制シートを除去されて、前記同様の積層体となり、検査工程を経て、切断により形成された側面を研磨されることで、単一の配線基板あるいは多数個取りの配線基板とされる。
更に、前記焼成収縮抑制シートの組成は、例えば、アルミナなどのセラミック成分を含み且つガラス成分を含まないか、あるいはガラス成分の含有量が前記グリーンシートにおけるガラス成分の含有量よりも例えば約50wt%以上少ない。
【0012】
更に、本発明には、前記切断マークは、平面視において、前記製品領域を囲み且つ該製品領域の外形と相似形である、配線基板の製造方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、切断マークの設計および形成を容易に行え、製品領域と刃物との位置関係を容易に監視できると共に、切断された積層体などが切断不良か否かの検査を正確且つ迅速に行うことができる。
【0013】
また、本発明には、前記切断マークは、平面視において、前記製品領域の外形を構成する複数の辺のうち、隣接する2つの辺が交差する角部ごとの外側に沿って、該2つの辺と平行に形成されている、配線基板の製造方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、切断マークの形成を比較的容易に行え、且つ製品領域と刃物との位置関係を比較的容易に監視できると共に、切断された積層体などが切断不良か否かの検査を正確且つ容易に行うことが可能である。
尚、前記切断マークにおいて、製品領域の一辺と平行なマーク部分の合計長さは、平行となる製品領域の上記一辺の長さの少なくとも40%、望ましくは50%以上である。
また、前記形態の切断マークは、最外側のグリーンシートあるいは焼成収縮抑制シートの表面に、開口する凹溝または貫通孔の開口部とすることも可能である。
【0014】
更に、本発明には、前記切断マークは、平面視において、前記製品領域の外形を構成する複数の辺に沿って、該辺と同数が直線状で且つ平行に形成されている、配線基板の製造方法(請求項5)も含まれる。
これによれば、切断マークの設計および形成を容易に行え、且つ製品領域と刃物との位置関係を比較的容易に監視できると共に、切断された積層体などが切断不良か否かの検査を正確且つ容易に行うことができる。
尚、前記製品領域の外形を構成する複数の辺に沿って同数の切断マークを直線状で且つ平行に形成する場合において、該切断マークの長さは、平行となる製品領域の一辺の長さの少なくとも50%、望ましくは60%以上である。
また、前記形態の切断マークは、最外側のグリーンシートあるいは焼成収縮抑制シートの表面に、開口する凹溝または貫通孔の開口部とすることも可能である。
【0015】
加えて、本発明には、前記切断工程の後に、前記母積層体または複合母積層体から切り出した積層体または複合積層体の表面おいて、前記切断マークの一部の有無を検査する検査工程が行われる、配線基板の製造方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、切断工程の直後において、切断不良の積層体または複合積層体である否かが即座に判定可能となる。従って、切断工程後の焼成工程や、焼成収縮抑制シートの除去工程などの後工程を行うことなく、切断不良の積層体などを確実に検出できるため、歩留まりの低下を防ぎ、生産性の向上に寄与することが可能となる。
尚、前記検査工程は、画像検査装置あるいは目視によって行われる。
また、前記切断工程および検査工程の後に、切り出された製品領域を含む積層体または複合積層体を加圧した後に焼成する焼成工程が行われ、更に、複合積層体には、前記焼成収縮抑制シートを除去する工程が行われる。
更に、製造すべき前記配線基板が電子部品検査用の配線基板(プローブカード)の場合、切り出された製品領域の表面および側面を研磨して、該表面を平坦化し且つ外形サイズを整えた後、該表面に薄膜形成技術によってプローブ用端子を形成する工程が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における一形態の母積層体を示す平面図。
【図2】図1中のX−Xの矢視に沿った断面図。
【図3】本発明による母積層体の切断工程を示す概略図。
【図4】良好に切断された積層体を示す平面図。
【図5】切断不良による切断マークの一部を含む積層体を示す平面図。
【図6】切断不良による異なる切断マークの一部を含む積層体を示す平面図。
【図7】異なる形態の切断マークを含む母積層体を示す平面図。
【図8】更に異なる形態の切断マークを含む母積層体を示す平面図。
【図9】別なる形態の切断マークを含む母積層体を示す平面図と部分断面図。
【図10】別異な形態の切断マークを含む母積層体を示す平面図と部分断面図。
【図11】前記母積層体を含む応用形態の母複合積層体を示す平面図。
【図12】上記母複合積層体の切断工程を示す概略図。
【図13】別個の形態の切断マークを含む母積層体を示す平面図。
【図14】上記母積層体が良好に切断された積層体を示す部分平面図。
【図15】切断不良による切断マークの一部を含む積層体を示す部分平面図。
【図16】上記切断マークを含む応用形態の母複合積層体を示す平面図。
【図17】異なる形態の製品領域を含む母積層体を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の対象となる一形態の母積層体1を示す平面図、図2は、図1中のX−Xの矢視に沿った垂直断面図である。
母積層体1は、図1,図2に示すように、平面視が正方形(矩形)の表面2および裏面3を有し、追って多層セラミック配線基板(以下、配線基板と称する)4となる製品領域4aと、該製品領域4aの周囲を囲む耳部5とを有する複数のグリーンシートg1〜g3を積層した後、圧着したものである。
尚、上記製品領域4aは、図1,図2中の破線の仮想線で示すように、平面視が正方形である設計上の仮想領域である。
上記グリーンシートg1〜g3は、アルミナ粉末、樹脂バインダ、ガラス成分、および溶剤などを所定量ずつ秤量したセラミックスラリをシート状にした成形体である。図1に示すように、グリーンシートg1〜g3の各コーナ付近には、母積層体1を形成する際に、各シートg1〜g3相互の位置決めを果たす貫通孔hが形成されている。
【0018】
また、図1に示すように、母積層体1において最上層のグリーンシートg1の表面2の耳部5には、上記製品領域4aの外側で、該製品領域4aを囲み、且つ一定幅wの隙間sを置いて、平面視において製品領域4aと相似形である正方形の切断マークM1が形成されている。
尚、上記切断マークM1は、W、Mo、またはAgなどの金属粉末を含む導電性ペーストを印刷・形成したメタライズで、その幅は、約1〜2mmである。また、上記隙間sは、例えば、後述するように、焼成時の収縮量を考慮にした最小限の研磨代に切断精度を加味したもので、該隙間sの幅wは、例えば、1.0mmである。
図1,図2に示すように、未焼成の配線基板4は、グリーンシートg1〜g3の表面2および裏面3の少なくとも一方に形成されたパッド(外部接続端子)6、所定パターンの配線層7,8、および外部接続端子9と、これらの間を接続するためグリーンシートg1〜g3を貫通して形成されたビア導体v1〜v3を備えている。未焼成の上記パッド6,配線層7,8、外部接続端子9も、前記同様のメタライズからなる。
【0019】
図3は、前記母積層体1から、切断マークM1に基づいて前記製品領域4aを切り出す本発明における切断工程の一形態を示す垂直断面図である。
図3に示すように、切断マークM1の各辺よりも内側の隙間s内に直線刃(以下、刃物と称する)cを、母積層体1の厚み方向に沿って順次挿入した。
上記切断工程に引き続いて、前記切断マークM1の一部m1の有無を検査する検査工程を行った。該検査は、画像検査装置または目視により行った。
【0020】
その結果、刃物cの挿入部分が、四辺の隙間sエリア内であった場合には、図4に示すように、平面視で製品領域4aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、前記切断マークM1やその一部m1のない未焼成の積層体10が切り出された。
一方、前記製品領域4aの四辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図1で垂直方向(Y方向)にズレていた場合、図5に示すように、平面視で製品領域4aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、図示で上辺の隙間sの外縁部に沿って、前記切断マークM1の一部m1が直線状に残留した切断不良(形状不良および寸法不良)の積層体10nが得られた。
更に、製品領域4aの四辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図1で垂直方向と水平方向との双方(X−Y方向)でズレていた場合、図6に示すように、平面視で製品領域4aと周囲に位置する隙間sの残部とからなり、図示で上辺および右辺の隙間sの外縁部に沿って、前記切断マークM1の一部m1がほぼ逆L字形に残留した切断不良の積層体10nが得られた。
【0021】
前記図3で示した本発明における切断工程によれば、切断マークM1が、前記製品領域4aの各辺に極く接近した外側に、幅w:1mmの隙間sを置いて形成されており、該切断マークM1よりも内側の上記隙間s内に刃物cが順次挿入された。そのため、刃物cの挿入位置を容易且つ正確に設定でき、且つ該刃物cの挿入位置を確実に監視することができた。しかも、切断マークM1は、前記グリーンシートg1〜g3の歪みや変形を、製品領域4aと同様に受けて、製品領域4aとの相対的な位置が変わらないため、刃物cの挿入位置の精度が一層向上した。従って、前記図4に示したように、未焼成の配線基板4である製品領域4aと、該製品領域4aの四辺を囲む隙間sの残部とからなる未焼成の積層体10を、形状および寸法精度良く切り出すことができた。
更に、図5,図6のように、切断工程で切断不良の前記積層体10nとなった場合、該切断工程の直後に行う検査工程において、切断マークM1の一部m1の残留を容易且つ確実に検出できる。従って、前記刃物cの挿入位置を変更するなどの調整作業を直ちに行えるので、歩留まり(生産性)の向上にも寄与できる。
【0022】
尚、形状および寸法精度良く切り出された前記積層体10は、前記検査工程の後に、厚み方向に沿って加圧されつつ焼成される焼成工程を施され、更に、該焼成後に残留した前記隙間sの各側面を研磨され、所定サイズの外形にされることで、本発明の製造対象である配線基板4が得られた。また、前記積層体10は、焼成工程で行う上記加圧時に、メタライズである前記切断マークM1〜M3の一部m1などを有していないので、欠けや凹みなどの形状不良のない配線基板4を確実に提供することができた。
【0023】
図7は、異なる形態の切断マークM2を含む母積層体1を示す平面図である。該母積層体1も、前記同様の製品領域4aおよび耳部5を併有するグリーンシートg1〜g3を、前記同様に積層したものである。
図7に示すように、上記母積層体1において最上層のグリーンシートg1の表面2の耳部5には、平面において、上記製品領域4aの外形を構成する4つ(複数)の辺のうち、隣接する2つの辺が交差する角部ごとの外側に沿い、該2つの辺と一定幅wの隙間sを置き、且つ該2つの辺と個別に平行として、平面視がほぼL字形状である4つの切断マークM2が対称にして形成されている。該切断マークM2も、前記同様のメタライズからなる。
尚、上記4つの切断マークM2において、製品領域4aの一辺と平行な2つのマーク部分の合計長さは、平行となる製品領域4aの上記一辺の長さの少なくとも40%以上が望ましい。
【0024】
図8は、更に異なる形態の切断マークM3を含む母積層体1を示す平面図である。該母積層体1も、前記同様の製品領域4aおよび耳部5を併有するグリーンシートg1〜g3を、前記同様に積層したものである。
図8に示すように、上記母積層体1において最上層のグリーンシートg1の表面2の耳部5には、平面視において、上記製品領域4aの外形を構成する4つ(複数)の辺に沿って、前記同様隙間sを置いて、該辺ごとに平行な直線状である4つの切断マークM3が対称にして形成されている。該切断マークM3も、前記同様のメタライズからなる。尚、切断マークM3において、製品領域4aの一辺と平行なマーク部分の長さは、製品領域4aの一辺の長さの50%以上が望ましい。
【0025】
以上のような切断マークM2,M3を含む母積層体1に対しても、前記図3で示した切断工程を行うことで、前記図4で示した積層体10を、形状および寸法精度良く且つ確実に得ることができる。しかも、万一、図5,図6で示したと同様な切断マークM2,M3の一部(m2,m3)が残留した切断(形状および寸法)不良の積層体10nが得られた場合には、直後の検査工程において直ぐに検出でき、且つ刃物cの位置を是正する調整作業を直ちに行うこともできる。
尚、前記切断マークM1〜M3は、例えば、着色料あるいは蛍光塗料などを含むセラミックペーストを印刷により形成したものとしても良い。
【0026】
図9は、別なる形態の切断マークM4を含む母積層体1を示す平面図と部分断面図である。該母積層体1も、前記同様の製品領域4aおよび耳部5を併有するグリーンシートg1〜g3を、前記同様に積層したものである。
図9に示すように、上記母積層体1において最上層のグリーンシートg1の表面2の耳部5には、平面において、上記製品領域4aの外形を構成する4つの辺のうち、隣接する2つの辺が交差する角部ごとの外側に沿い、一定幅wの隙間sを置き、且つ上記2つの辺と個別に平行として、平面視がほぼL字形状である4つの切断マークM4が対称に形成されている。該切断マークM4は、図9中のY−Y線に沿った矢視の部分断面図で示すように、最上層のグリーンシートg1だけの四隅付近を、平面視でL字形状にして打ち抜き加工した後、該グリーンシートg1とグリーンシートg2,g3とを積層して得られた凹溝の開口部である。
そのため、前記図3の切断工程を行った際に、刃物cの挿入位置が隙間s内から外れていた場合、図9中の白抜き矢印の下方のように、切断マークM4の一部である段状部分m4が切断不良(形状ないし寸法不良)の積層体10nの側面に現れる。尚、上記切断マークM4は、次述する切断マークM5のような貫通孔の開口部としても良い。
【0027】
図10は、別異な形態の切断マークM5を含む母積層体1を示す平面図と部分断面図である。該母積層体1も、前記同様の製品領域4aおよび耳部5を併有するグリーンシートg1〜g3を、前記同様に積層したものである。
図10に示すように、上記母積層体1において最上層のグリーンシートg1の表面2の耳部5には、平面において、上記製品領域4aの外形を構成する4つの辺に沿って、隙間sを置いて、該辺ごとに平行な直線状である4つの切断マークM5が対称に形成されている。該切断マークM5は、図10中のZ−Z線に沿った矢視の部分断面図で示すように、グリーンシートg1〜g3を厚み方向に沿って貫通し、且つ平面視が直線状の貫通孔の開口部である。
そのため、前記図3の切断工程を行った際に、刃物cの挿入位置が隙間s内から外れていた場合、図10中の白抜き矢印の下方のように、切断マークM5の一部である段状部分m5が切断不良の積層体10nの側面に現れる。尚、上記切断マークM5は、前記切断マークM4のような凹溝の開口部としても良い。
【0028】
図11は、本発明の対象となる前記母積層体1の応用形態の母複合積層体11を示す平面図、図12は、図11中のP−P線の矢視に沿った垂直断面図である。
上記母複合積層体11は、図11,12に示すように、前記同様の製品領域4aおよび耳部5を併有するグリーンシートg1〜g3を積層した前記同様の母積層体1と、該母積層体1を挟むようにその両面に配置され、且つグリーンシートg1〜g3の焼成温度では焼成しない上下一対の焼成収縮抑制シートy1,y2と、を積層および圧着したものである。
上記記焼成収縮抑制シートy1,y2は、例えば、アルミナなどのセラミック成分を含み、且つガラス成分を含まない組成であり、その焼成温度は、グリーンシートg1〜g3の焼成温度では焼成しない温度であり、該グリーンシートg1〜g3の焼成温度に対し、少なくとも100℃以上高い。
【0029】
図11に示すように、母複合積層体11における最上層(最外層)の焼成収縮抑制シートy1の表面には、平面視した際の投影において、前記グリーンシートg1〜g3の製品領域4aの外側に、該製品領域4aを囲み、該製品領域4aとの間に幅w:1mmの隙間sを置いて、且つ該製品領域4aの外形と相似形の正方形である前記同様の切断マークM1が形成されている。
図12に示すように、上記母複合積層体11から、切断マークM1に基づいて前記製品領域4aを切り出す応用形態の切断工程を行った。即ち、図12中の矢印で示すように、切断マークM1の各辺よりも内側の隙間s内に刃物cを、母複合積層体11の厚み方向に沿って順次挿入した。
上記切断工程に引き続いて、前記切断マークM1の一部m1の有無を検査する検査工程を行った。該検査は、前記同様の画像検査装置あるいは目視により行った。
【0030】
その結果、刃物cの挿入部分が、四辺の隙間s内であった場合には、前記図4と同様に、平面視の投影において、製品領域4aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、焼成収縮抑制シートy1の表面に、前記切断マークM1やその一部のない未焼成の複合積層体(図示せず)が切り出された。
一方、前記製品領域4aの四辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図11で垂直方向にズレていた場合、前記図5と同様に、平面視の投影において、製品領域4aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、焼成収縮抑制シートy1の表面における上辺の隙間sに、前記切断マークM1の一部m1が直線状に残留した切断(形状および寸法)不良の複合積層体(図示せず)が得られた。
更に、製品領域4aの四辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図11で垂直方向と水平方向との双方でズレていた場合、前記図6と同様に、平面視の投影において、製品領域4aと周囲に位置する隙間sの残部とからなり、焼成収縮抑制シートy1の表面における上辺および右辺の隙間sの外縁部に沿って、前記切断マークM1の一部m1がほぼ逆L字形に残留した切断不良の複合積層体(図示せず)が得られた。
【0031】
そして、形状および寸法精度良く切り出された前記複合積層体は、前記検査工程の後に、例えば、厚み方向に沿って加圧されつつ焼成され、更に、該焼成後に高圧水などの噴射により両面の焼成収縮抑制シートy1,y2を除去された後、該焼成後に残留した前記隙間sの側面を研磨することで、製造対象の配線基板4が得られた。
前記図12で示した切断工程によれば、平面視の投影において、焼成収縮抑制シートy1の表面に形成された切断マークM1が、グリーンシートg1〜g3の前記製品領域4aの各辺に極く接近した外側に、幅w:1mmの隙間sを置いて形成されており、該切断マークM1よりも内側の上記隙間s内に刃物cが順次挿入された。そのため、刃物cの挿入位置を容易且つ正確に設定し、且つ容易に監視することができた。
更に、焼成収縮抑制シートy1の表面に形成された切断マークM1は、前記グリーンシートg1〜g3の歪みや変形を、製品領域4aとほぼ同様に受けており、製品領域4aとの相対的な位置が変わらないので、刃物cの挿入位置の精度が高く且つ安定していた。従って、前記図4と同様に、未焼成の配線基板4である製品領域4aと、該製品領域4aの四辺を囲む隙間sの残部とからなる未焼成の積層体10を、形状および寸法精度良くして切り出すことができた。
しかも、切断マークM1が焼成収縮抑制シートy1の表面に残留していないため、前記焼成時に行う加圧の際に、前記複合積層体に対し、厚み方向において均一な圧力分布とできるので、焼成に伴う収縮(率)の抑制を一層効果的に行えた。
【0032】
図13は、別個の形態の切断マークM6を含む母積層体12を示す平面図である。
上記母積層体12は、図13に示すように、前記同様のグリーンシートg1〜g3を積層および圧着したもので、該グリーンシートg1〜g3は、表面2および裏面3において、平面視が正八角形の配線基板14を含む製品領域14aと、その周囲を囲む耳部15と、を備えている。最上層のグリーンシートg1の表面2における製品領域14aには、前記同様のパッド16が複数個形成され、グリーンシートg1〜g3間には、前記同様の配線層が形成され、前記同様のビア導体がグリーンシートg1〜g3を貫通し、最下層のグリーンシートg3の裏面3には、前記同様の外部接続端子(何れも図示せず)が形成されている。
最上層のグリーンシートg1の表面には、製品領域14aを囲み、該製品領域14aの外形を構成する各辺との間に幅w:1mmの隙間sを置き、平面視で該製品領域14aの外形(正八角形)と相似形の切断マークM6が形成されている。
【0033】
前記母積層体12に対し、前記図3で示した形態と同様にして、切断マークM6の各辺よりも内側の隙間s内に直線刃cを、母積層体12の厚み方向に沿って順次挿入した。
上記切断工程に引き続いて、前記切断マークM6の一部m6の有無を検査する検査工程を行った。該検査は、前記同様の画像検査装置あるいは目視により行った。
その結果、刃物cの挿入部分が、八辺ごとの隙間s内であった場合には、図14の部分平面図に示すように、平面視で製品領域14aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、前記切断マークM6やその一部m6を有しない未焼成の積層体18が切り出された。
一方、前記製品領域14aの八辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図13で垂直方向(Y方向)にズレていた場合、図15の部分平面図に示すように、平面視で製品領域14aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、図示で上辺および左右一対の斜辺の隙間sの外縁部に沿って、前記切断マークM6の一部m6がほぼ山形状に残留した切断(形状および寸法)不良の積層体18nが得られた。
【0034】
前記切断工程によれば、切断マークM6が、前記製品領域14aの各辺に極く接近した外側に、幅w:1mmの隙間sを置いて形成されており、該切断マークM6よりも内側の上記隙間s内に刃物cが順次挿入される。そのため、刃物cの挿入位置を容易且つ正確に設定し、且つ監視することができた。しかも、切断マークM6は、前記グリーンシートg1〜g3の歪みや変形を、製品領域14aと同様に受け、該製品領域14aとの相対的な位置が変わらないので、刃物cの挿入位置の精度が高く、且つ安定した。従って、前記図14に示したように、未焼成の配線基板14である製品領域14aと、該製品領域14aの各辺を囲む隙間sの残部とからなる未焼成の積層体18を、形状および寸法精度良く切り出せた。
更に、図15のように、切断工程で形状不良の前記積層体18nとなった場合、該切断工程の直後に行う検査工程において、切断マークM6の一部m6の残留を容易且つ確実に検出できる。従って、前記刃物cの挿入位置を変更するなどの調整作業を直ちに行えるので、歩留まり(生産性)の向上にも寄与できる。
【0035】
図16は、前記切断マークM6を含む応用形態の母複合積層体20を示す平面図である。
上記母複合積層体20は、図16に示すように、前記母積層体12の両面に、前記同様の焼成収縮抑制シートy1,y2を積層および圧着したものである。図16に示すように、母複合積層体20における最上層(最外層)の焼成収縮抑制シートy1の表面には、平面視した際の投影において、前記グリーンシートg1〜g3の製品領域14aの外側に、該製品領域14aを囲み、該製品領域4aとの間に幅w:1mmの隙間sを置いて、且つ該製品領域4aの外形と相似形の正八角形である前記同様の切断マークM6が形成されている。
前記同様に、上記母複合積層体20から、切断マークM6に基づいて前記製品領域14aを切り出す応用形態の切断工程を行った。即ち、切断マークM6の各辺よりも内側の隙間s内に前記刃物cを、母複合積層体20の厚み方向に沿って順次挿入した。
【0036】
上記切断工程に引き続いて、前記切断マークM6の一部m6の有無を検査する検査工程を行った。該検査は、前記同様の画像検査装置あるいは目視により行った。
その結果、刃物cの挿入部分が、八辺の隙間s内であった場合には、前記図14と同様に、平面視の投影において、製品領域14aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、焼成収縮抑制シートy1の表面に、前記切断マークM6やその一部がない未焼成の複合積層体(図示せず)が切り出された。
一方、前記製品領域14aの八辺ごとにおける刃物cの挿入部分が、前記図16で垂直方向にズレていた場合、前記図15と同様に、平面視の投影において、製品領域14aとその周囲に位置する隙間sの残部とからなり、焼成収縮抑制シートy1の表面における上辺と左右一対の斜辺の隙間sに、前記切断マークM6の一部m6がほぼ山形状に残留した切断(形状および寸法)不良の複合積層体(図示せず)が得られた。
【0037】
そして、形状および寸法精度良く切り出された前記複合積層体は、前記検査工程の後、前記同様に厚み方向に沿って加圧されつつ焼成され、更に、該焼成後に両面の焼成収縮抑制シートy1,y2を除去された後、残留した前記隙間sの各側面を研磨することで、製造対象である配線基板14が得られた。
前記切断工程においても、平面視の投影において、焼成収縮抑制シートy1の表面に形成された切断マークM6が、グリーンシートg1〜g3の前記製品領域14aの各辺に極く接近した外側に、前記隙間sを置いて形成され、該切断マークM6よりも内側の上記隙間s内に刃物cが順次挿入された。そのため、刃物cの挿入位置を容易且つ正確に設定し、且つ容易に監視することができた。
【0038】
しかも、焼成収縮抑制シートy1の表面に形成された切断マークM6は、前記同様に製品領域14aとの相対的な位置が変わらないので、刃物cの挿入位置の精度が高く、且つ安定した。従って、未焼成の配線基板14である製品領域14aと、該製品領域14aの八辺を囲む隙間sの残部とからなる未焼成の複合積層体を、形状および寸法精度良く切り出すことができた。
尚、平面視が正八角形の前記切断マークM6は、前記メタライズからなるもののほか、前記同様のセラミックペーストからなるとしても良い。あるいは、製品領域14aの各辺と平行な8個の直線状とした形態や、製品領域14aの外形を構成する8つの辺のうち、隣接する2つの辺が交差する角部ごとの外側に沿って、該2つの辺と平行で且つ平面視がヘ形状であり且つ全体が8個からなる形態としても良い。これら8個の各形態の場合、前記凹溝や貫通孔の開口部としても良い。
【0039】
図17は、複数の製品領域24aを有する母積層体21を示す平面図である。
該母積層体21は、図17に示すように、表・裏面2,3において、縦横に3個ずつ合計9個(複数)の配線基板24となる9個(複数)の製品領域24aと、その周囲を囲う耳部25とを併有する前記同様のグリーンシートg1〜g3を、前記同様に積層し且つ圧着したものである。個々の製品領域24aには、グリーンシートg1の表面2に形成された前記同様のパッド26、グリーンシートg1〜g3間に形成された前記同様の配線層、グリーンシートg1〜g3を貫通する前記同様のビア導体、およびグリーンシートg3の裏面3に形成された外部接続端子が形成されている。また、隣接する製品領域24a,24a間は、図17中の破線で示す分割溝、あるいは仮想の切断予定面27によって区画されている。
図17に示すように、縦横に3個ずつ合計9個の製品領域24a全体は、平面視で正方形を呈し、該複数の製品領域24aの外側には、該複数の製品領域24aを囲み、該複数の製品領域24aとの間に幅w:1mmの隙間sを置いて、且つ該複数の製品領域24aの外形と相似形の正方形である前記同様の切断マークM1が形成されている。
以上のような母積層体21に対しても、前記図3で示した切断工程を施すことによって、前記図4で示したと同様な切断マークM1の一部m1がなく、縦横3個ずつの配線基板24、およびこれらの周囲を囲む前記隙間sの残部からなり、形状および寸法精度に優れた多数個取り用の積層体が得られる。
尚、上記母積層体21において、製品領域24aの総数および全体の配置は、適宜変更しても良い。
【0040】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記グリーンシートは、アルミナに替えて、ムライトや窒化アルミニウムなどのセラミック成分を含むものや、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるものとしても良い。
また、前記母積層体および積層体を構成するグリーンシートの層数は、2層以上であれば、任意である。
更に、前記配線基板およびこれを含む製品領域は、平面視において長方形、五角形以上の正多角形、あるいは五角形以上の変形多角形を呈するものでも良い。これらの形状に応じて、切断マークの形状も上記形状の何れかとの相似形、製品領域における角部の外側に2つの辺と平行なほぼL字形状やへ字形状、あるいは、製品領域の外形を構成する各辺と平行な複数の直線状とされる。
また、前記配線基板は、最外層に開口するキャビティを有する形態や、電子部品の電気的特性を検査するための所謂プローブカードなどであっても良い。
更に、切断工程に用いる前記刃物は、平面視が正方形、長方形、五角形以上の正多角形あるいは変形多角形を呈する枠形状の異形刃物であっても良い。
加えて、前記隙間は、製品領域の外形を構成する各辺ごととの間で、相互に異なる幅にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、複数のグリーンシートを積層した母積層体などから追って多層セラミック配線基板となる積層体などを切り出す際に、形状および寸法精度良く切り出せると共に、上記配線基板の生産効率の向上にも寄与することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1,12,21…………母積層体
2…………………………表面
3…………………………裏面
4,14,24…………配線基板
4a,14a,24a…製品領域
5,15,25…………耳部
10,18………………積層体
11,20………………母複合積層体
g1〜g3………………グリーンシート
y1,y2………………焼成収縮抑制シート
M1〜M6………………切断マーク
m1,m4〜m6………切断マークの一部
s…………………………隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面において、配線基板となる製品領域と、該製品領域の周囲を囲う耳部とを有する複数のグリーンシートを積層した母積層体から、該母積層体の表面に形成した切断マークに基づいて、上記製品領域を含む積層体を切り出す切断工程を備える配線基板の製造方法であって、
上記切断マークは、上記製品領域の外側に所定の隙間を持って配置されており、
上記切断工程では、上記切断マークよりも内側の上記隙間に刃物が上記母積層体の厚み方向に沿って挿入される、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
表面および裏面において、配線基板となる製品領域、および該製品領域の周囲を囲う耳部を有する複数のグリーンシートと、該複数のグリーンシートを挟み且つ該グリーンシートの焼成温度では焼成しない一対の焼成収縮抑制シートと、を積層した母複合積層体から、該複合母積層体の表面に形成した切断マークに基づいて、上記製品領域を含む複合積層体を切り出す切断工程を備える配線基板の製造方法であって、
上記切断マークは、最外側に位置する何れか一方の上記焼成収縮抑制シートの表面に、平面視した際の投影において、上記グリーンシートにおける製品領域の外側に所定の隙間を持って配置されていると共に、
上記切断工程では、上記切断マークよりも内側の上記隙間に刃物が上記母複合積層体の厚み方向に沿って挿入される、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記切断マークは、平面視において、前記製品領域を囲み且つ該製品領域の外形と相似形である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記切断マークは、平面視において、前記製品領域の外形を構成する複数の辺のうち、隣接する2つの辺が交差する角部ごとの外側に沿って、該2つの辺と平行に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記切断マークは、平面視において、前記製品領域の外形を構成する複数の辺に沿って、該辺と同数が直線状で且つ平行に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記切断工程の後に、前記母積層体または複合母積層体から切り出した積層体または複合積層体の表面おいて、前記切断マークの一部の有無を検査する検査工程が行われる、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−187756(P2011−187756A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52471(P2010−52471)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】