説明

配車処理システム

【課題】多数の移動局から要求が出された場合でも、当該移動局に対して迅速に応答信号を返信することができる配車処理システムを提供する。
【解決手段】位置情報、動態情報を無線伝送する複数の移動局と、ポーリングにより各移動局からの送信情報を基地局を介して収集し、各移動局を管理する管理センタとにより配車処理システムを構成する。管理センタは、基地局を介して移動局に対するポーリングを行う際、ポーリングデータの後に設けられる信号無しの区間を応答信号返送区間41として設定し、ポーリング時に複数の移動局から開局要求R1、R2、…が応答信号返送区間41内に出された場合は直ちに開局ACK42a、42b、…を返信し、開局要求R1、R2、…が応答信号返送区間41以外で出された場合はバッファに開局ACKを蓄積しておき、応答信号返送区間41に切替わった時点で上記バッファに蓄積した開局ACKを返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システム等の配車処理システムに係り、特に多数の移動局からの要求信号に対する応答信号を効率的に返信することができる配車処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタクシー配車用AVMシステム等のタクシー無線システムでは、図6に示すように車両(タクシー)に搭載されている移動局1a、1b、…の現在位置をGPS(Global Positioning System:人工衛星を利用した測位システム)により移動局自身が検出して記憶している。そして、各移動局1a、1b、…は基地局2との間で位置情報及び動態情報を基地局2からの定期的なポーリング信号を基点とし、車両番号毎に割り当てられた専用の送信スロットで返送する。基地局2では移動局全車両に対して順にポーリングを行い、全ての移動局1a、1b、…の位置情報、動態情報を把握する。
【0003】
すなわち、基地局2は各移動局1a、1b、…にポーリング信号P1の送信を行い、各移動局1a、1b、…からのポーリング信号の返信P1a、P1b、P1cにより、各移動局1a、1b、…の位置情報、車両の現在の状況を示す例えば「実車」、「空車」、「迎車」、「降車」等の動態情報を収集する。
【0004】
そして、基地局2は、上記移動局1a、1b、…との間のポーリングにより収集した各移動局の位置情報、動態情報を移動局車両番号と共に管理センタ5へ送信する。
なお、基地局2は少なくとも1つあって、AVMシステム3及び上位装置4からなる管理センタ5に接続されており、管理センタ5ではタクシー顧客からの要求に従い、移動局1a、1b、…の位置情報及び動態情報から最適車両検索を行ってタクシー車両の配車を行う。
【0005】
タクシーの配車処理システムでは、管理センタ5で乗務員管理を行うために、タクシー車両の移動局1a、1b、…各々の開局又は閉局時に所定の端末操作を行い、管理センタ5に通知する必要がある(例えば、特許文献1参照。)。
タクシー乗務員が業務を開始するためには、移動局1a、1b、…を開局する必要がある。ここで、移動局の開局とは、タクシー乗務員が勤務する日に乗車する移動局の車両番号と乗務員のID番号を対応させて無線通信を可能にすることをいう。すなわち、タクシー会社では、乗務員の勤務時間が不規則であり、乗務員が勤務するときに空いている車両(移動局)に乗車することになる。従って、乗務員がいつどの車両(移動局)に乗車したかを前もって登録すること(移動局の開局)が必要である。
【0006】
また、タクシー乗務員が業務を終了するためには、移動局を閉局する必要がある。ここで、移動局の閉局とは、乗務員が乗車した車両の車両番号と、乗務員のID番号を対応させてその対応付けを終了し、無線通信を終了することをいう。
管理センタ5が基地局2を介して移動局1a、1b、…の開局/閉局処理や、位置情報及び動態情報を収集する場合など、図7に示す無線区間タイミングで移動局1a、1b、…に対するポーリングを行っている。
【0007】
上記従来の無線区間タイミングでは、ポーリングデータX,Y,Zの後にデータ無しの区間7を設けている。このデータ無しの区間7は、ポーリングを行った際に各移動局1a、1b、…からの要求信号や応答信号を受信するために設けたもので、その時間は数秒例えば4秒程度に設定される。
【0008】
図7(a)は移動局からの開局要求がない場合、同図(b)は1つの移動局から開局要求が出された場合、同図(c)は4つの移動局から開局要求が同時に出された場合の状態を示している。基地局2は、図7(b)に示すようにポーリングP1を行った際に移動局から開局要求R1が出されると、次のポーリングP2を実施する際、該当する移動局に対して開局を許可する場合にはポーリングデータに開局ACK(Acknowledgement了解信号)8aを複合し、開局を許可しない場合にはNAK(Negative Acknowledgment)を移動局に返信する。この場合、ポーリング信号長(データ長)は、約40msであり、1回のポーリングデータに複合できるデータ数は最大で3つである。
【0009】
また、基地局2は、図7(c)に示すように複数の移動局にポーリングP1を行った際、4つの移動局から開局要求R1〜R4が出された場合、1回のポーリングで3つのデータしか複合できないので、先ず次のポーリングP2を行う際に3つの開局ACK8a、8b、8cを複合して3台の移動局に返信し、更に次のポーリングP3を行う際に1つの開局ACK8dを複合して該当する1台の移動局に返信する。
【0010】
次に、上記従来の配車処理システムにおける具体的な開局動作を図8に示すポーリングシーケンスに従って説明する。図8は1台の移動局1aが開局する場合の処理を示している。先ず、AVMシステム3から基地局2に対してポーリング指示を与え(ステップA1)、この指示に従って基地局2は移動局1aに対するポーリングを行う。このポーリング時に移動局1aは開局要求を送信する(ステップA3)。この開局要求は、基地局2及びAVMシステム3を経由して上位装置4へ送られる(ステップA4、A5)。上位装置4は、上記開局要求に対して開局を許可する場合には開局ACKをAVMシステム3へ出力する(ステップA6)。AVMシステム3は、次のポーリング時に開局ACKを基地局2を経由して移動局1aへ送信する。
【0011】
以上の処理により移動局1aが開局される。上記ポーリングの間隔は約4秒であるので、移動局1aが基地局2からステップA2でポーリングを受け、次にステップA8で開局ACKを受信するまで約4秒の時間が掛かる。
また、従来ポーリング方式において、基地局2及びAVMシステム3は、ステップA7、A8に示すように移動局1aからの要求に対するACK/NAKをポーリングデータの複合データとして返信している。このとき1回のポーリングデータに複合できるデータ数は最大3つである。
【0012】
また、図9はポーリングデータに複合できるデータ数3を超えるデータ数例えば4台の移動局から開局要求R1〜R4が出された場合の無線区間タイミングを示している。このようにポーリングデータに複合できる最大のデータ数3を超える4台の移動局から開局要求R1〜R4が出された場合には、4つ目の開局要求R4に対する開局ACKが返信されるのに時間が掛かることになる。
【0013】
図9は4台の移動局1a〜1dから開局要求が出された場合のポーリングシーケンスを示している。基地局2は、AVMシステム3からポーリング指示が与えられると(ステップA1)、移動局1a〜1dに対してポーリングを行う(ステップA2)。このポーリング時に移動局1a〜1dはそれぞれ開局要求を行う(ステップA3)。この4つの開局要求は、基地局2及びAVMシステム3を経由して上位装置4へ送られる(ステップA4、A5)。上位装置4は、上記4つの開局要求に対して4つの開局ACKをAVMシステム3へ返信する(ステップA6)。
【0014】
AVMシステム3は、1回のポーリングデータに複合できるデータ数は最大で3つであるので、移動局1a〜1dに対する次のポーリング時に3つの開局ACKを複合して基地局2へ返信し(ステップA7)、基地局2は移動局1a〜1cへのポーリング時にそれぞれ開局ACKを返信する(ステップA8)。このとき4台目の移動局1dに対してはポーリングのみ行われ、開局ACKは返信されない。
【0015】
そして、AVMシステム3は、移動局1a〜1dに対する次のポーリング時にポーリングデータに残りの1つの開局ACKを複合して基地局2へ送信し(ステップA9)、基地局2は移動局1a〜1dに対してポーリングを行うと共に移動局1dに対して開局ACKを送信する(ステップA10)。
【0016】
上記のように4台の移動局1a〜1dから開局要求が出された場合には、全ての移動局1a〜1dに開局ACKが返信されるのは、2回のポーリングが必要であるので、1回のポーリングに4秒、合計で8秒の時間が掛かる。
また、本発明に関連する公知技術として、自車両の車両番号を伝送する複数の移動局と、各移動局から送られてくる情報を受信して処理する管理センタからなる配車処理システムにおいて、同一配車内容の文字データを複数の移動局へ送信する場合に、一括して送信処理できるようにし、かつ移動局からの了解返送信号の同期を取り、衝突による欠落が無く受信できるようにし、同一配車内容の複数注文に対する配車処理を短時間で出来るようにした技術が知られている(例えば、特許文献2、3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2008−113619号公報
【特許文献1】特開2007−228165号公報
【特許文献1】特開2008−102622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来のタクシー配車処理システムでは、AVMシステム3から基地局2を介して移動局1a、1b、…に対するポーリングを行い、移動局1a、1b、…からの要求信号に対してACK/NAKを返信する際、1回のポーリングデータに複合可能なデータ数である3つを超える移動局から同時に要求信号が出された場合には、複数回のポーリング処理が必要であり、ACK/NAKの返信タイミングが遅くなってしまうという問題がある。例えば50台の移動局から開局要求が同時に出された場合には、全ての開局ACKを返信するには最低17回のポーリングが必要であり、処理時間が非常に長くなってしまう。
【0019】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、多数の移動局から要求が出された場合でも、要求を行った全ての移動局に対して迅速に応答信号を出力することができる配車処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、自車両の車両番号と位置情報や動態情報を無線送信する移動局と、ポーリングにより前記移動局からの送信情報を収集すると共に配車情報を前記移動局に送信して配車処理する管理センタとにより構成される配車処理システムであって、前記管理センタは、前記移動局に対するポーリングを行う際、ポーリングデータ送信の後に応答信号返送区間を設定し、1回の前記ポーリング中に前記各移動局から送信される全ての要求信号に対し前記同一ポーリングにおける前記応答信号返送区間内において応答信号を返信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、多数の移動局から同時に要求信号が出された場合であっても、最短で1回のポーリングにより全ての移動局に対して応答信号を返信することが可能であり、通信が混み合っている時にも管理センタと多数の移動局との間の通信処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る配車処理システムの構成例を示す図である。
【図2】同実施例1における無線区間タイミングを示す図である。
【図3】同実施例1において、1台の移動局に対して開局を行う場合の処理動作を示すポーリングシーケンスである。
【図4】同実施例1において、4台の移動局の開局を同時に行う場合の処理動作を示すポーリングシーケンスである。
【図5】同実施例1において、多数の移動局の開局を同時に行う場合の無線区間タイミングを示す図である。
【図6】従来のタクシー無線システムの概念図である。
【図7】従来のタクシー無線システムにおける無線区間タイミングを示す図である。
【図8】従来のタクシー無線システムにおいて、1台の移動局に対して開局を行う場合の処理動作を示すポーリングシーケンスである。
【図9】従来のタクシー無線システムにおいて、4台の移動局の開局を同時に行う場合の処理動作を示すポーリングシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の実施例1に係る配車処理システムの全体の構成例を示したもので、GPSを利用したタクシー配車用AVMシステムに実施した場合の例を示している。
図1において、11、12、13、14は車両(タクシー)に搭載される移動局で、通常運用(業務)中であり、管理センタ20から基地局21を経由して送られてくる指示を受けて業務を遂行している状態を示している。
【0025】
上記移動局11、12、13、14は、GPS衛星26からの電波を受信し、現在位置情報を取得する。
また、21、22、23は配車処理システムの基地局である。一般的に基地局21、22、23は、電波を利用して移動局11、12、13、14と双方向の通信を行ったり、有限資源である電波の管理などを行う機能を備えている。この場合、電波の届く範囲は限定されるため、例えば基地局21においては電波が届く基地局カバーエリア25内で移動局11、12、13、14との通信が可能である。
【0026】
基地局21は、各移動局11、12、13、14に対してポーリング方式によりデータを収集する。すなわち、基地局21は、各移動局11、12、13、14にポーリング信号P1の送信を行い、基地局カバーエリア25内の各移動局11、12、13、14からのポーリング信号P11、P12、P13、P14の返信により、各移動局11、12、13、14の位置情報、車両の現在の状況を示す例えば「実車」、「空車」、「迎車」、「降車」等の動態情報を管理センタ20から指定された移動局車両番号によりデータを収集する。
【0027】
そして、基地局21は、上記移動局11、12、13、14との間のポーリングにより収集した各移動局の位置情報、動態情報を移動局車両番号と共に管理センタ20へ送信する。
上記ポーリング方式によるデータ収集のための基地局21と移動局11、12、13、14間の業務用無線通信方式としては、例えばデジタルSCPC(Single Channel Per Carrier)無線システム(狭帯域デジタル通信方式標準規格ARIB STD−T61に準拠し、周波数分割により構成されたチャンネルにより通信を行うシステム)が使用される。
【0028】
管理センタ20は、AVMシステム31及び上位装置32からなり、基地局21、22、23に対して専用回線27などで接続されている。また、管理センタ20は、顧客からの電話注文をコンピュータで処理するCTI(Computer Telephony Integration)システムを備え、CTIシステムによってタクシー顧客からの要求に従い、AVMシステム31により例えば基地局21を介して収集する移動局11、12、13、14の位置情報及び動態情報から最適車両検索を行ってタクシー車両の配車を行う。また、管理センタ20は、配車情報を文字等で伝送することで運用の効率化を図っている。なお、管理センタ20は、基地局21と一体に構成することも可能である。
【0029】
図2は、本発明の実施例1に係る配車処理システムに係るポーリング方式での無線区間タイミングを示している。本実施例1においては、図2(a)に示すように基地局21がAVMシステム31の指示に従って移動局11、12、…に対してポーリングP1、P2、…を行う際、ポーリングデータX,Y,Zの後に設けられる信号無しの区間をACK/NAK等の応答信号返送区間41として設定している。この応答信号返送区間41は、数秒例えば4秒程度に設定される。
【0030】
そして、図2(b)、(c)に示すように移動局11、12、…から開局要求R1、R2、…等の要求が出された場合、上記応答信号返送区間41内であれば、管理センタ20側から要求を受信してから直ちに開局ACK42a、42b、…等の応答信号を送信するようにする。また、移動局11、12、…から要求が出されたとき、応答信号返送区間41でない場合は、管理センタ20側のバッファにデータを蓄積しておき、応答信号返送区間41に切替わった時点で、上記バッファに蓄積されたデータ(キュー(Queue):待ち行列)を送信するようにする。この開局ACK等の応答信号の送信時間は非常に短い時間であり、上記応答信号返送区間41内に多数の開局ACKを送信することができる。図2(b)は1つの移動局から開局要求R1があった場合、同図(c)は複数例えば4つの移動局から開局要求R1〜R4があった場合の無線区間タイミングを示している。
【0031】
次に本発明の実施例1に係る配車処理システムにおいて、移動局11に対してポーリングを行った際に該移動局11から開局要求が出された場合の処理動作を図3に示すポーリングシーケンスに従って説明する。
基地局21は、AVMシステム31からポーリング指示が与えられると(ステップB1)、移動局11に対してポーリングを行う(ステップB2)。このポーリング時に移動局11は開局要求を行う(ステップB3)。この開局要求は、基地局2及びAVMシステム31を経由して上位装置32へ送られる(ステップB4、B5)。上位装置32は、上記開局要求に対して開局ACKをAVMシステム31へ返信する(ステップB6)。
【0032】
AVMシステム3は、上記ポーリング中の応答信号返送区間41を利用して開局ACKを直ちに基地局21へ返信し(ステップB7)、基地局21は移動局11へ開局ACKを返信する(ステップB8)。
その後、AVMシステム31から基地局21に新たなポーリング指示が出され(ステップB9)、この指示に従って基地局21が移動局11に対するポーリングを行う(ステップB10)。
【0033】
上記のように移動局11は、基地局21によりポーリングされた際に開局要求を送信すると、基地局21はそのポーリング時における応答信号返送区間41を利用して開局ACKを返信する。従って、図3にも示すように1回のポーリング動作において開局要求に対する開局ACKが返信され、非常に短時間で開局要求が受付けられる。
【0034】
次に基地局21により移動局に対してポーリングが行われた際に4台の移動局11〜14から開局要求が出された場合の動作を図4に示すポーリングシーケンスに従って説明する。
基地局21は、AVMシステム31からポーリング指示が与えられると(ステップB1)、移動局11〜14に対してポーリングを行う(ステップB2)。このポーリング時に移動局11〜14が開局要求を行うと(ステップB3)、この4つの開局要求は、基地局21及びAVMシステム31を経由して上位装置32へ送られる(ステップB4、B5)。上位装置32は、上記4つの開局要求に対して4つの開局ACKをAVMシステム31へ返信する(ステップB6)。
【0035】
AVMシステム31は、上記ポーリング中における応答信号返送区間41を利用して4つの開局ACKを直ちに基地局21へ返信し(ステップB7)、基地局21は移動局11〜14へ4つの開局ACKを返信する(ステップB8)。すなわち、AVMシステム31は、移動局11〜14から応答信号返送区間41内に開局要求が出された場合には直ちに全ての移動局に開局ACKを送信し、応答信号返送区間41でないときに開局要求が出された場合にはバッファに開局ACKを蓄積しておき、応答信号返送区間41に切替わった時点で、上記バッファに蓄積された開局ACKを送信する。
【0036】
その後、AVMシステム31から基地局21に次のポーリング指示が出され(ステップB9)、この指示に従って基地局21は移動局11〜14に対するポーリングを行う(ステップB10)。
上記のように基地局21により4つの移動局11〜14がポーリングされた際、各移動局11〜14から開局要求が送信された場合でも、AVMシステム31及び基地局21はそのポーリング時における応答信号返送区間41を利用して各移動局11〜14に対する開局ACKを返信する。従って、1回のポーリングデータに複合可能なデータ数である3つを超える4台の移動局11〜14から開局要求が同時に出された場合であっても、1回のポーリングにて開局ACKを当該移動局11〜14に返信することができる。
【0037】
上記図4では、4台の移動局11〜14から同時に開局要求が出された場合について説明したが、更に多数の移動局から同時に開局要求が出された場合においても、開局要求が出される毎に応答信号返送区間41を利用して開局ACKが返信されるので、1回のポーリング動作によって全ての開局要求を受付けることができる。
【0038】
図5は基地局21が多数の移動局例えば50台の移動局11、12、…に対して配車処理を行う場合において、1回のポーリングP1中に全ての移動局11、12、…から開局要求R1〜R50が出された場合に、そのポーリングP1における応答信号返送区間41内に全ての移動局11、12、…に対して開局ACK42a〜42nを返信した状態を示している。
【0039】
上記応答信号返送区間41の設定時間に比較して開局ACKの送信時間が非常に短いので、ポーリングP1における応答信号返送区間41内において、多数例えば50回分の開局ACK42a〜42nを送信することが可能である。
また、50台以上の移動局11、12、…から同時に開局要求が出された場合であっても、1回のポーリングで応答信号返送区間41内に送信できる開局ACKの数だけ開局要求を受付けることが可能である。
【0040】
上記実施例1に示したようにポーリングデータの後に設けられる信号無しの区間をACK/NAK等の応答信号返送区間41として設定し、この応答信号返送区間41を利用して移動局からの要求信号に対する応答信号を返信することにより、多数の移動局から同時に開局要求等の要求信号が出された場合であっても、最短で1回のポーリングにより全ての移動局に対して応答信号を返信することが可能である。従って、管理センタと多数の移動局との間の通信処理を効率的に行うことができ、配車処理等を迅速に行うことができる。
【0041】
なお、上記実施例1では、移動局の開局を行う場合について示したが、閉局する場合も同様にして行うことができる。
また、移動局の開局/閉局時の処理に限らず、その他、例えば忙しい時間帯において待機登録と解除が多数行われる場合であっても、登録及び解除を円滑に行うことが可能である。
【0042】
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0043】
11〜14…移動局、20…管理センタ、21〜23…基地局、25…基地局カバーエリア、26…GPS衛星、27…専用回線、31…AVMシステム、32…上位装置、41…応答信号返送区間、42a.42b…開局ACK、42a、42b、…42n…開局ACK。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車両番号と位置情報や動態情報を無線送信する移動局と、ポーリングにより前記移動局からの送信情報を収集すると共に配車情報を前記移動局に送信して配車処理する管理センタとにより構成される配車処理システムであって、
前記管理センタは、前記移動局に対するポーリングを行う際、ポーリングデータ送信の後に応答信号返送区間を設定し、1回の前記ポーリング中に前記各移動局から送信される全ての要求信号に対し前記同一ポーリングにおける前記応答信号返送区間内において応答信号を返信することを特徴とする配車処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−244356(P2010−244356A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93267(P2009−93267)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】