説明

配電機器

【課題】消弧性能及び絶縁性能が高められたパッファ装置を備える配電機器を提供する。
【解決手段】配電機器としての開閉器は、閉路時に可動電極の接触部24a,24bが固定電極に接触し、開路時に固定電極と可動電極との間に発生するアークをパッファ装置30により消弧する。パッファ装置30は、可動電極の回動に伴い伸縮する蛇腹部材50と、可動電極を覆うとともに、蛇腹部材50が固定される絶縁ケース32a,32bとを備える。蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流は、絶縁ケース32a,32bの導通部を通過して固定電極と可動電極の接触部24a,24bとの間を隔絶するように第1細隙41a,41b、第2細隙42a,42b、及び第3細隙43a,43bから噴出して、消弧する。可動電極は、絶縁ケース32a,32bによって覆われているため絶縁性能が高められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遮断器、開閉器等の配電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
配電機器としての遮断器、開閉器等では、固定電極と、同固定電極と接触することで通電する可動電極とを備えている。同可動電極は、回動可能に支持されており、投入方向への回動に伴い両電極を接触させ、開放方向への回動に伴い両電極を離間させる。これにより、配電機器は、電路の開閉を行う。そして、配電機器の可動電極が固定電極との接触状態から開放方向へ回動される際に、固定電極と可動電極との間にアークが発生するため、アークを消弧するためのパッファ装置が備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の配電機器は、可動電極に蛇腹状のパッファ装置が設けられている。パッファ装置の蛇腹本体は、可動電極に設けられたノズルと絶縁バリアの内壁との間に取り付けられ、可動電極の回動に伴って伸縮する。詳しくは、可動電極の投入方向への回動時には蛇腹本体は伸張され、内部に消弧性ガスを取り込む。可動電極の開放方向への回動時には蛇腹本体は縮小され、内部に取り込まれた消弧性ガスを可動電極に設けられたノズルから噴出する。
【0004】
ノズルは、可動電極の接触部の外側に蛇腹部材に連通されて配置され、絶縁部材としても機能している。ノズルの先端には、パッファ装置により発生される消弧性ガス噴流を噴出する3つの細隙(ノズル口)がそれぞれ形成されている。可動電極を開放方向へ回動させた時、すなわち開路時に固定電極と可動電極との間に発生するアークは、可動電極の開放方向への回動に伴いパッファ装置によりノズルの細隙から噴出された消弧性ガス噴流によって消弧される。
【特許文献1】特開2008‐71708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の配電機器では、可動電極の回動軸から最も離間した先端面が露出しているため、開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークが露出した先端面に移動する場合があった。このような場合には、ノズルの細隙から噴出される消弧性ガス噴流を的確にアークに吹き付けることができず、アークの引き延ばし等による消弧手段を待たねばならず、アークによって可動電極が損傷し耐久性が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
また、可動電極の固定電極との接触部の外側はノズルによって覆われているが、回動軸側の充電部分は露出しているため、開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークが回動軸側の充電部分へ移動するおそれがあった。そこで、アークが回動軸側の充電部分へ移動しないよう絶縁性を高める対策を必要としていた。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、消弧性能及び絶縁性能が高められたパッファ装置を備える配電機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、固定電極に対して回動可能な可動電極を有し、閉路時に前記可動電極の接触部が前記固定電極に接触し、開路時に同固定電極と同可動電極との間に発生するアークをパッファ装置により消弧する配電機器において、前記パッファ装置は、前記可動電極の回動に伴い伸縮する蛇腹部材と、前記可動電極の前記固定電極と接触する接触部のみが露出するように覆うとともに、同蛇腹部材が固定される絶縁部材とを備え、前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流は前記絶縁部材を通過して前記固定電極と前記可動電極の接触部との間を隔絶するように噴出することをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流が通過する絶縁部材が可動電極の接触部のみが露出するように覆うことにより、接触部以外の部位を露出させない。このため、可動電極の接触部以外の部位と固定電極との間には絶縁部材が位置することになり、開路時に可動電極と固定電極との間に発生したアークが可動電極の接触部から接触部以外の部位へ移動することを抑制することができる。よって、発生したアークを接触部に留めることができ、蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流によりアークを隔絶するように噴出して消弧することができる。また、絶縁部材に消弧性ガスの噴出機能に加え、アークが可動電極の接触部から接触部以外の部位への移動を抑制する絶縁機能を持たせることにより、別部材を増やすことなく、消弧性能及び絶縁性能を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配電機器において、前記可動電極は2枚の接触刃からなり、前記絶縁部材は、両前記接触刃の外側にそれぞれ固定され、前記可動電極の外側を覆うとともに、前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流を噴出する絶縁ケースと、両前記接触刃間に固定され、開路状態における同絶縁ケースの前記固定電極側となる面を覆うとともに、同可動電極を回動させるリンク装置が接続されるリンク部材とを備え、前記蛇腹部材は、前記絶縁ケースの開路状態における前記固定電極から離間する側となる面を覆うことをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、可動電極となる接触刃の外側に絶縁ケースがそれぞれ固定されるため、可動電極と固定電極との異相間方向における中心がずれて、接触刃が回動軸に対して傾いた場合に、絶縁部材も接触刃とともに傾くことになる。よって、接触刃の外側の絶縁が維持されるとともに、絶縁ケースに無理な力が加わることがないので、絶縁ケースの変形又は損傷することがない。また、開路状態における絶縁ケースの固定電極側の面と固定電極から離間する側の面とがリンク部材と蛇腹部材とによってそれぞれ覆われる。結果的に可動電極の接触部以外の部位が絶縁ケースとリンク部材と蛇腹部材とによって覆われることになる。よって、開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークが可動電極の接触部から充電部分へ移動することを抑制しつつ、蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流により消弧することができる。そして、これら絶縁ケース、リンク部材、及び蛇腹部材と、絶縁ケースから噴出される消弧性噴出ガスとによって閉鎖空間を形成するようにした。よって、閉鎖空間内の消弧性ガスがアークの熱により膨張及び加圧され、蛇腹部材内の圧力をさらに上昇させることができる。したがって、この蛇腹部材の内圧の上昇により噴出ガスの噴出圧力は上昇するので、電流零点でより高圧の噴出ガスがアークに吹き付けられ、このような熱パッファ効果により消弧することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配電機器において、前記絶縁ケースには、前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流を噴出する細隙が形成され、同細隙の一部の長さを前記可動電極の回動軸から最も離間する端面の長さより長くすることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、パッファ装置の蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流を絶縁ケースに形成された細隙から噴出させることによって、消弧性ガス噴流の噴出圧力が高くなり、消弧性能を向上させることができる。さらに、細隙の一部の長さを可動電極の回動軸から最も離間する端面、すなわち開路する際に固定電極との距離が最も近くなる部位が位置する端面の長さより長くする。このため、移動したアークは消弧性ガス噴流が吹き付けられることになり消弧することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の配電機器において、前記リンク部材の前記リンク装置が取り付けられるリンク軸は、同リンク軸と前記可動電極の接触部との距離が前記可動電極の回動軸と前記可動電極の接触部との距離よりも長くなる位置に設けられることをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、リンク部材のリンク装置が取り付けられるリンク軸と可動電極の接触部との距離が可動電極の回動軸と可動電極の接触部との距離よりも長くなる。よって、開路時に固定電極と可動電極との間に発生したアークはリンク軸へ移動することはない。したがって、可動電極の接触刃の先端側に発生したアークを消弧性ガス噴流により確実に消弧することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の配電機器において、前記蛇腹部材は、山折部と谷折部とが交互に連接される伸縮自在の筒状であって、前記可動電極の回動軸を中心とする円弧状に伸縮し、同蛇腹部材の前記可動電極の回動軸から離間する側の同山折部の山頂と同谷折部の谷底との距離は、同蛇腹部材の前記可動電極の回動軸から離間側の同山折部の山頂と同谷折部の谷底との距離よりも長く形成するとともに、同蛇腹部材の谷折部の伸縮方向に垂直となる断面の空洞部分の形状は、前記可動電極の回動軸から離間する側の辺の長さが前記可動電極の回動軸側の辺の長さよりも短い台形に形成することをその要旨としている。
【0017】
パッファ装置の蛇腹部材は可動電極の回動動作に伴い可動電極の回動軸を中心として円弧状に伸縮するため、蛇腹部材の可動電極の回動軸側と蛇腹部材の可動電極の回動軸から離間する側とでは伸縮量が異なり、蛇腹部材の可動電極の回動軸側を大きくする必要がある。同構成によれば、蛇腹部材の可動電極の回動軸から離間する側の山折部の山頂と谷折部の谷底との距離を蛇腹部材の可動電極の回動軸側の山折部の山頂と谷折部の谷底との距離よりも長く形成する。そして、蛇腹部材の谷折部の空洞部分の伸縮方向と垂直となる断面形状、すなわち谷折部の外周で切断した断面形状を可動電極の回動軸から離間する側の辺が反対側、すなわち可動電極の回動軸側の辺よりも短く形成する。すなわち、谷底の形状が台形となるように形成する。このため、蛇腹部材の可動電極の回動軸を中心とする伸縮に伴う伸縮量の違いを作り出し、容易に伸縮するようにしている。さらに、発生したアーク等の熱により蛇腹部材の内部の圧力が上昇したとしても、上記の伸縮により一部分に負荷が掛かることがなく、変形したり損傷したりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、消弧性能及び絶縁性能が高められたパッファ装置を備える配電機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を配電機器としての開閉器に具体化した一実施形態について図1〜図11を参照して説明する。
図1及び図2に示されるように、開閉器は、本体ケース10の互いに対向する両側壁10a,10bに対し電源側ブッシング11及び負荷側ブッシング12が3相各相(1相分のみ図示する。)に互いに対向するように貫通支持されている。電源側ブッシング11の内端部(本体ケース10の内部側)には図示しない導電棒の先端に固定電極13が固定されている。固定電極13の先端上部には耐弧メタル14が固定されている。固定電極13の長手方向に沿う両側面は平面をなす通電接触面13a,13bとされている。負荷側ブッシング12の内端部(本体ケース10の内部側)には導電棒15が突出されており、導電棒15には軸(以下、回動軸17という。)を介して可動電極20が回動可能に支持されている。これら固定電極13及び可動電極20は、各相の電極部間、及び本体ケース10間の絶縁を確保するために下方が開口した箱状の絶縁バリア26に覆われている。
【0020】
図3及び図4に示されるように、可動電極20は平行平板状の一対の接触刃21a,21bからなり、回動軸17としての軸ピン22と連結軸18としての軸ピン23とによって連結固定されている。軸ピン22,23は、接触刃21a,21bに挿通されて、軸ピン22,23の頭部と接触刃21bとの間にばね28がそれぞれ介在され、その先端部にナット22a,23aが螺合される。これにより、接触刃21a,21b同士に適度な弾性力が付与されている。連結軸18としての軸ピン23の接触刃21a,21bの間には、スペーサ23cが介在されており、接触刃21a,21bの近接する方向への移動が規制されている。これにより、接触刃21a,21bは適度な幅に保持されている。接触刃21a,21bの軸ピン22,23の間には、絶縁性の樹脂材料からなるリンク部材60の固定部61が固定ピン64及び止め金具64a(図4及び図6(a)参照。)により固定されている。
【0021】
図4及び図6(a)に示されるように、接触刃21a,21bの対向する面の回動軸17の周囲には、半球面状の凸面部27a,27bが形成されている。また、導電棒15の接触刃21a,21bの凸面部27a,27bに対向する部位には、凹面部15a,15bが形成されている。接触刃21a,21bの凸面部27a,27bと導電棒15の凹面部15a,15bとは摺動可能に係合される。接触刃21a,21bの凸面部27a,27bと導電棒15の凹面部15a,15bとから位置調整機構16が構成されている。よって、可動電極20と固定電極13との異相間方向における中心がずれて、閉路時や開路時に接触刃21a,21bが傾いたとしても、接触刃21a,21bの凸面部27a,27bが導電棒15の凹面部15a,15bに対して摺動して、その傾きを許容し、接触刃21a,21bと導電棒15とに無理な力が加わることを防ぐことができる。したがって、絶縁ケース32a,32bの変形や損傷を防止することができる。
【0022】
図3に示されるように、接触刃21a,21bの先端部には、閉路時に固定電極13の通電接触面13a,13bと接触する接触部24a,24bがそれぞれ形成されている。接触刃21a,21bの接触部24a,24bには、接触刃21a,21bの高さ方向に延びるスリット29a,29bが形成されている。これにより、開路時に固定電極13と可動電極20の接触部24a,24bとの間に発生するアークをスリット29a,29bより先端部に留めることができる。すなわち、アークを接触刃21a,21bの先端に固定することができる。接触刃21a,21bの接触部24a,24b以外の回動軸17側には、平板部25a,25bが形成されている。
【0023】
図1及び図2に示されるように、本体ケース10内の下部には、複数のリンク等からなるリンク装置(図示略)を介して本体ケース10の外部の操作ハンドル(図示略)に作動連結された回動軸66が設けられている。回動軸66には絶縁性のレバー67が一体回動可能に固定されている。駆動リンク68の一端はレバー67の先端に回動可能に連結されており、駆動リンク68の他端は可動電極20に取り付けられたリンク部材60のリンク部63に回動可能に連結されている。従って、前記操作ハンドルが操作されると、可動電極20は前記リンク装置、回動軸66、レバー67及び駆動リンク68を介して回動軸17を中心に各相一斉に図1に示す閉路状態と図2に示す開路状態との間で切り替えられる。
【0024】
<パッファ装置>
図3に示されるように、可動電極20には消弧性ガス噴流を噴出するパッファ装置30が固定されている。パッファ装置30は、接触刃21a,21bの外側に固定される一対の絶縁ケース32a,32bと、これら絶縁ケース32a,32bの上部に固定される蛇腹部材50と、絶縁ケース32a,32bの下方に固定されるリンク部材60とを備えている。
【0025】
絶縁ケース32a,32bは、絶縁性の樹脂材料により形成され、可動電極20の接触刃21a,21bの対向する側と反対側である外側に2組の固定ピン64,64及び止め金具64a,64a(図4参照。)によって固定されている。リンク部材60は、絶縁性の樹脂材料により形成され、絶縁ケース32a,32bの下部を覆うように、接触刃21a,21bの間に2組の固定ピン64,64及び止め金具64a,64a(図4参照。)によって固定され、駆動リンク68が回動可能に軸支される。蛇腹部材50は、絶縁性のゴム材料により形成され、その基端が絶縁ケース32a,32bの上部に接続固定されるとともに、その先端が絶縁バリア26の負荷側ブッシング12側の上下方向に延びる側壁26a内面(図1及び図6(b)参照。)に固定されている。絶縁ケース32a,32b及びリンク部材60から絶縁部材が構成される。
【0026】
絶縁ケース32a,32bは、接触刃21a,21bの外側に左右独立してそれぞれ固定され、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流を噴出する細隙40a,40bを有している。図4及び図5に示されるように、絶縁ケース32a,32bは、可動電極20の外側面に沿った直方体状で、消弧性ガスを噴出する細隙40a,40bが対称となるように平行に並べられている。図7に示されるように、絶縁ケース32a,32bの長手方向に延びる内側側壁33a,33bには、接触刃21a,21bをそれぞれ収納する収納凹部33c,33dが形成されている。内側側壁33a,33bの収納凹部33c,33dの下部には、消弧性ガスを誘導するとともに、接触刃21a,21bの下部の段差部21c,21dに係合して移動を規制する誘導部49a,49bが突出形成されている。図4及び図5に示されるように、接触刃21a,21bが絶縁ケース32a,32bの収納凹部33c,33dに収納されると、接触刃21a,21bの接触部24a,24bと異なる平板部25a,25bが一対の絶縁ケース32a,32bによって覆われる。これにより、接触刃21a,21bの先端側の閉路時に固定電極13の通電接触面13a,13bと接触する接触部24a,24bのみが露出することとなる。言い換えると、接触刃21a,21bの接触部24a,24b以外の平板部25a,25bは、絶縁ケース32a,32bによって覆われることとなる。
【0027】
図8に示されるように、各絶縁ケース32a,32bの内部には、蛇腹部材50により供給された消弧性ガス噴流を通過させる導通路44a,44bが形成されている。導通路44a,44bは、絶縁ケース32a,32bの上部に形成された上部開口部39a,39bに接続され、絶縁ケース32a,32bの先端側へ向かって形成されている。導通路44a,44bの形状は、消弧性ガスが円滑に通過するように滑らかな曲線で構成され、絶縁ケース32a,32bの先端側の端面48a,48bが膨出して曲線空間が形成されている。図9及び図10(a)に示されるように、絶縁ケース32a,32bの収納凹部33c,33dが形成される内側側壁33a,33bと反対側の外側側壁は、取り外しが可能な蓋板35a,35bにより構成されている。絶縁ケース32a,32bの外側の上部縁部には上部凹条36a,36bが形成され、絶縁ケース32a,32bの下部縁部には下部凹条37a,37bが形成されている。蓋板35a,35bは、絶縁ケース32a,32bの先端側から上部凹条36a,36bと下部凹条37a,37bと沿って挿入される。図9及び図10(b)に示されるように、蓋板35a,35bの先端部、すなわち絶縁ケース32a,32bの先端部に位置する部位には、絶縁ケース32a,32bの内部へ突出する係合凸部38a,38bが形成されている。蓋板35a,35bが絶縁ケース32a,32bの先端側から挿入されると、係合凸部38a,38bが絶縁ケース32a,32bの端面48a,48bの内面に係合し、蓋板35a,35bの絶縁ケース32a,32bの先端側への移動が制限される。また、図8に示されるように、下部凹条37a,37bには回動軸17側の端部が閉じた係止部37c,37dが形成されている。図9に示されるように、蓋板35a,35bが絶縁ケース32a,32bの先端側から挿入され、蓋板35a,35bの端部が係止部37c,37dに当接すると、蓋板35a,35bが係止部37c,37dより移動が規制されるようになっている。図4に示されるように、絶縁ケース32a,32bの内側には、接触刃21a,21bを固定する軸ピン22,23及びナット22a,23a、リンク部材60を固定する固定ピン64,64及び止め金具64a,64aが収容されている。すなわち、組立後には軸ピン22,23及びナット22a,23a、固定ピン64,64及び止め金具64a,64aは、絶縁ケース32a,32bにより露出することはない。このような構造としたため、接触刃21a,21bと絶縁ケース32a,32bとリンク部材60とを組み付ける際には蓋板35a,35bを外して組み付けられるために絶縁ケース32a,32bが邪魔にならず容易に組み付けることができる。
【0028】
図8に示されるように、細隙40a,40bは、接触刃21a,21bの先端側に、第1細隙41a,41b、第2細隙42a,42b、第3細隙43a,43bが連設して形成されている。第1細隙41a,41bは、絶縁ケース32a,32bの内側側壁33a,33bに回動軸17から最も離間する端面48a,48bに沿って直線状に形成されている。第1細隙41a,41bの長さL5は接触刃21a,21bの回動軸17から最も離間する端面48a,48bの長さL6よりも長く設定されている(L5>L6)。このため、従来のように発生したアークが先端縁部に移動したとしても消弧性ガス噴流をアークに吹き付けることができる。
【0029】
第1細隙41a,41bは、第1連絡導通路45a,45bによって絶縁ケース32a,32bの導通路44a,44bと連接され、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流が第1細隙41a,41bから噴出される。第2細隙42a,42bは、絶縁ケース32a,32bの内側側壁33a,33bの接触刃21a,21bの接触部24a,24bの下部に形成される。第2細隙42a,42bは、第2連絡導通路46a,46bによって絶縁ケース32a,32bの導通路44a,44bと連接され、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流が第2細隙42a,42bから噴出される。第3細隙43a,43bは、絶縁ケース32a,32bの内側側壁33a,33bに突出して形成される消弧性ガス噴流を誘導する誘導部49a,49bに接触刃21a,21bの長手方向且つ先端側へ開口して形成されている。第3細隙43a,43bは、第3連絡導通路47a,47bによって絶縁ケース32a,32bの導通路44a,44bと連接され、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流が第3細隙43a,43bから噴出される。すなわち、図11に示されるように、第1細隙41a,41b、第2細隙42a,42b、及び第3細隙43a,43bから噴出される消弧性ガス噴流により開路時に固定電極13と可動電極20との間に発生するアークが可動電極20の回動軸17側へ移動するのを抑制することができ、アークを隔絶することにより消弧することができる。
【0030】
図7及び図9に示されるように、リンク部材60は、接触刃21a,21bの間に固定ピン64,64及び止め金具64a,64aによって挟着される直方体状の固定部61と、絶縁ケース32a,32bの下部を覆う板状の絶縁板62と、駆動リンク68がリンク軸68a(図1及び図2参照。)を介して回動可能に軸支されるリンク部63とを備えている。リンク部63の駆動リンク68が軸支されるリンク軸68a、正確にはリンク軸68aが挿通されるリンク軸孔63aと接触刃21a,21bの接触部24a,24bとの距離L7は、接触刃21a,21bの回動軸17と接触部24a,24bとの距離L8よりも長くなる位置に設定されている(L7>L8)。接触刃21a,21bは、絶縁ケース32a,32bと絶縁板62とによってその下部、すなわち開路状態における絶縁ケース32a,32bの固定電極13側となる下面が覆われている。
【0031】
図3、図6(a)、及び図6(b)に示されるように、蛇腹部材50は、山折部51と谷折部52とが交互に連接される伸縮自在の四角筒状に形成されている。蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17から離間する側(図中上側)の山折部51の山頂51aと谷折部52の谷底52aとの距離L1は、蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17側(図中下側)の山折部51の山頂と谷折部52の谷底との距離L2よりも長くなっている(L1>L2)。図6(c)に示されるように、蛇腹部材50の谷折部52の伸縮方向に垂直となる断面、すなわち谷折部52の谷底52aの外周で切断した断面の空洞部分の形状は、可動電極20の回動軸17から離間する側(図中上側)となる上辺の長さL3が可動電極20の回動軸17側(図中下側)となる下辺の長さL4よりも短くなっている(L3<L4)。すなわち、谷底52aの形状が台形となるように形成した。これにより、蛇腹部材50は、上記の形状により下部側に対して上部側の伸縮量が大きくなり、回動軸17を中心とする可動電極20の軌道に合わせた円弧状に円滑に伸縮することができる。また、蛇腹部材50の内圧が上昇した際に、円滑に伸張することによって、一部分に負荷が掛かることがなく、変形したり損傷したりすることを抑制することができる。
【0032】
図6(a)に示されるように、蛇腹部材50の基端部の底壁には、絶縁ケース32a,32bの上部に形成される上部開口部39a,39bに一致する一対の基端開口部53a,53bが形成されている。これら基端開口部53a,53bには絶縁ケース32a,32bの係合板部34a,34bが嵌入され、係合板部34a,34bがゴム材料の弾性力により蛇腹部材50の基端部に密着されている。このため、接触刃21a,21bは、絶縁ケース32a,32bと蛇腹部材50とによってその上部、すなわち開路状態における絶縁ケース32a,32bの固定電極13から離間する側となる上面が覆われている。
【0033】
図6(b)に示されるように、蛇腹部材50の先端部の底壁には、絶縁バリア26の側壁に設けられた開口部26bと一致する先端開口部54が形成されている。蛇腹部材50は先端部の先端開口部54と絶縁バリア26の開口部26bとを介して本体ケース10内の空間と連通されている。蛇腹部材50の先端部の底壁には、先端開口部54を開閉する逆止弁55が取り付けられた四角形状の蓋板56が嵌入され、蓋板56がゴムの弾性力により蛇腹部材50の先端部に密着されている。逆止弁55は、四角形状をなす弁板であって、その一端(上端)が蓋板56の周縁の一部に固定されている。
【0034】
逆止弁55は、開閉器の閉路時に蛇腹部材50の内圧が低下したときには、図6(b)の二点鎖線で示されるように他端(下端)側が蓋板56から離間することで開弁して開口部26bと先端開口部54とを介して本体ケース10の消弧性ガスを流入させる。一方、逆止弁55は、開閉器の開路時に蛇腹部材50の内圧が上昇したときには、図6(b)の実線で示されるように逆止弁55が蓋板56に密着することで閉弁して、本体ケース10内の消弧性ガスの流入を停止させる。なお、本実施形態では、本体ケース10内には消弧性ガスとしてCO2ガスが採用されている。
【0035】
図7に示されるように、絶縁ケース32a,32bの回動軸17側の下部内壁には、絶縁性ゴムからなる板状の舌片65の端部が固着されている。舌片65は、開閉器の開路時に固定電極13と可動電極20との間に発生したアークが接触刃21a,21bの接触部24a,24bからリンク部材60のリンク部63側へ短絡するのを抑制する。
【0036】
上記のように構成された開閉器の動作態様について説明する。
<閉路時>
図示しない操作ハンドルが閉路側へ操作されると、レバー67が閉路側へ回動され、駆動リンク68を介して可動電極20が固定電極13に対し開路状態から閉路状態へ切り替えられる。
【0037】
このとき、図1に示されるように、パッファ装置30の蛇腹部材50は伸張されて内容積が大きくなる。このため、蛇腹部材50の内圧が低下して逆止弁55が開弁されて、先端開口部54と絶縁バリア26の開口部26b、及び細隙40a,40bを介して、本体ケース10内の消弧性ガスが蛇腹部材50内に吸い込まれる。可動電極20が固定電極13に接触した閉路状態では、パッファ装置30の蛇腹部材50内には本体ケース10内の消弧性ガスが充満状態となっている。
【0038】
<開路時>
閉路状態において、図示しない操作ハンドルが開路側へ操作されると、レバー67が開路側へ回動され、駆動リンクを介して可動電極20が固定電極に対して閉路状態から開路状態へ切り替えられる。
【0039】
このとき、図2に示されるように、パッファ装置30の蛇腹部材50が収縮してその内容積が小さくなる。このため、蛇腹部材50の内圧が上昇して逆止弁55が閉弁されて、蛇腹部材50内の消弧性ガスが絶縁ケース32a,32bの細隙40a,40bから噴出される。
【0040】
詳しくは、図8に示されるように、蛇腹部材50の収縮に伴って蛇腹部材50の基端開口部53a,53bから絶縁ケース32a,32bの導通路44a,44bに消弧性ガスが供給されて、各第1連絡導通路45a,45bと第2連絡導通路46a,46bと第3連絡導通路47a,47bを通過する。そして、図11に示されるように、絶縁ケース32a,32bの第1細隙41a,41b、第2細隙42a,42b、第3細隙43a,43bから消弧性ガスがそれぞれ噴出される。第1細隙41aと第1細隙41bとは対向し、第2細隙42aと第2細隙42bとは対向しており、これらから噴出される消弧性ガスは開路時に固定電極13と可動電極20の接触部24a,24bとの間に発生したアークに対して垂直に吹き付けられる。また、第3細隙43aと第3細隙43bとは接触刃21a,21bの先端方向への同一方向を向き、これらから噴出される消弧性ガスは発生したアークを接触刃21a,21bから遠ざける方向へ吹き付けられる。よって、接触刃21a,21bの先端部分に集中的に消弧性ガスが噴出され、発生したアークの内部まで消弧性ガスが達して同アークが効率的に冷却され、冷却効果が持続されて電流零点で絶縁回復されて消弧される。また、このとき、接触刃21a,21bの接触部24a,24bは、絶縁ケース32a,32bとリンク部材60と蛇腹部材50と、細隙40a,40bから噴出される消弧性ガス噴流によって閉鎖空間Sが形成される。この閉鎖空間S内の消弧性ガスがアークの熱により膨張及び加圧され、細隙40a,40bからの噴出ガスが噴出しにくくなり、蛇腹部材50内の圧力がさらに上昇する。この蛇腹部材50の内圧の上昇により噴出ガスの噴出圧力は上昇するので、電流零点でより高圧の噴出ガスがアークに吹き付けられる。このような熱パッファ効果により消弧される。
【0041】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流が通過する絶縁ケース32a,32bが可動電極20の平板部25a,25bを覆うことにより、平板部25a,25bを露出させず、すなわち接触部24a,24bのみ露出するようにした。このため、可動電極20の平板部25a,25bと固定電極13との間には絶縁ケース32a,32bが位置することになり、開路時に可動電極20と固定電極13との間に発生したアークが可動電極20の接触部24a,24bから平板部25a,25bへ移動することを抑制することができる。よって、発生したアークを接触部24a,24bに留めることができ、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流によりアークを隔絶するように噴出して消弧することができる。また、絶縁ケース32a,32bを絶縁性の樹脂材料により形成し、消弧性ガス噴流を通過させる導通路44a,44b、及び消弧性ガスを噴出する細隙40a,40bを形成した。このため、消弧性ガスの噴出機能に加え、アークの移動を抑制する絶縁機能を持たせることにより、別部材を増やすことなく、消弧性能及び絶縁性能を向上させることができる。
【0042】
(2)可動電極20となる接触刃21a,21bの外側に絶縁ケース32a,32bが左右独立して固定されるため、可動電極20と固定電極13との異相間方向における中心がずれて、閉路時や開路時に接触刃21a,21bが傾いた場合に、絶縁ケース32a,32bも接触刃21a,21bとともに傾くことになる。よって、接触刃21a,21bの外側の絶縁が維持されるとともに、絶縁ケース32a,32bに無理な力が加わることがないので、絶縁ケース32a,32bの変形又は損傷することがない。また、開路状態における絶縁ケース32a,32bの固定電極13側となる下面と固定電極13から離間する側となる上面とは、リンク部材60と蛇腹部材50とによってそれぞれ覆われる。結果的に可動電極20の平板部25a,25bが絶縁ケース32a,32bとリンク部材60と蛇腹部材50とによって覆われることになる。よって、開路時に固定電極13と可動電極20との間に発生したアークが可動電極20の接触部24a,24bから平板部25a,25b等の充電部分へ移動することを抑制しつつ、蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流により消弧することができる。そして、これら絶縁ケース32a,32b、リンク部材60、及び蛇腹部材50と、絶縁ケース32a,32bから噴出される消弧性噴出ガスとによって閉鎖空間Sを形成するようにした。よって、閉鎖空間S内の消弧性ガスがアークの熱により膨張及び加圧され、蛇腹部材50内の圧力をさらに上昇させることができる。したがって、この蛇腹部材50の内圧の上昇により噴出ガスの噴出圧力は上昇するので、電流零点でより高圧の噴出ガスがアークに吹き付けられ、このような熱パッファ効果により消弧することができる。
【0043】
(3)パッファ装置30の蛇腹部材50により発生される消弧性ガス噴流を絶縁ケース32a,32bに形成された細隙40a,40bから噴出させることによって、消弧性ガス噴流の噴出圧力が高くなり、消弧性能を向上させることができる。さらに、細隙40a,40bの一部の長さL5を可動電極20の回動軸17から最も離間する端面48a,48b、すなわち開路する際に固定電極13との距離が最も近くなる部位が位置する端面48a,48bの長さL6よりも長くなる(L5>L6)ようにした。すなわち、第1細隙41a,41bの長さL5は接触刃21a,21bの回動軸17から最も離間する端面48a,48bの長さL6よりも長くなる(L5>L6)ようにした。このため、開路時に固定電極13と可動電極20との間に発生したアークが可動電極20の先端面上を移動したとしても、消弧性ガス噴流をアークに吹き付けることができ、確実に消弧することができる。
【0044】
(4)リンク部材60のリンク装置が取り付けられるリンク軸68aと可動電極20の接触部24a,24bとの距離L7が可動電極20の回動軸17と可動電極20の接触部24a,24bとの距離L8よりも長くなる(L7>L8)ように形成した。よって、開路時に固定電極13と可動電極20との間に発生したアークはリンク軸68aへ移動することはない。したがって、可動電極20の接触刃21a,21bの先端側に発生したアークを消弧性ガス噴流により確実に消弧することができる。
【0045】
(5)パッファ装置30の蛇腹部材50は可動電極20の回動動作に伴い可動電極20の回動軸17を中心として円弧状に伸縮するため、蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17側と蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17から離間する側とでは伸縮量が異なり、蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17から離間する側を大きくする必要がある。そこで、蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17から離間する側の山折部51の山頂51aと谷折部52の谷底52aとの距離L1を蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17側の山折部51の山頂51aと谷折部52の谷底52aとの距離L2よりも長くなる(L1>L2)ように形成した。そして、蛇腹部材50の谷折部52の空洞部分の伸縮方向と垂直となる断面形状、すなわち谷折部52の外周で切断した断面形状を可動電極20の回動軸17から離間する側の辺の長さL3が反対側、すなわち可動電極20の回動軸17側の辺の長さL4よりも短くなる(L3<L4)ように形成した。すなわち、谷底52aの形状を台形となるように形成した。このため、蛇腹部材50の可動電極20の回動軸17を中心とする伸縮に伴う伸縮量の違いを作り出し、容易に伸縮するようにしている。さらに、発生したアーク等の熱により蛇腹部材50の内部の圧力が上昇したとしても、上記の伸縮により一部分に負荷が掛かることがなく、変形したり損傷したりすることを抑制することができる。
【0046】
(6)可動電極20の回動軸17に位置調整機構16として接触刃21a,21bの凸面部27a,27bと、導電棒15の凹面部15a,15bとを形成し、凸面部27a,27bと凹面部15a,15bとを摺動可能に係合した。このため、閉路時や開路時に固定電極13に対して可動電極20の位置がずれていたとしても、接触刃21a,21bの凸面部27a,27bが導電棒15の凹面部15a,15bに対して摺動して、そのずれを許容し、接触刃21a,21bと導電棒15とに無理な力が加わることを防ぐことができるとともに、絶縁ケース32a,32bの変形や損傷を防止することができる。そして、回動軸17の軸ピン22の頭部と接触刃21bとの間にはばね28が介在され、接触刃21a,21b同士に適度な弾性力が付与されている。そのため、接触刃21a,21bは常に同じ幅となるように保持されている。また、連結軸18の軸ピン23の頭部と接触刃21bとの間にはばね28が介在され、軸ピン23の接触刃21a,21bの間にはスペーサ23cが介在され、接触刃21a,21bの近接する方向の移動が規制されている。このため、接触刃21a,21bは2箇所によって適度な幅に保持されている。
【0047】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、消弧性ガスとしてCO2を用いたが、CO2に限らず環境負荷の低い他のガスを用いてよい。
【0048】
・上記実施形態では、平板状の接触刃21a,21bを用いたが、L字状等のその他の形状の接触刃を用いてもよい。
・上記実施形態では、可動電極20の回動軸17に位置調整機構16として凸面部27a,27bを接触刃21a,21bに形成し、凹面部15a,15bを導電棒15に形成したが、固定電極13に対する可動電極20の位置ずれが極力抑制されるならば、省略した構成を採用してもよい。
【0049】
・上記実施形態では、蛇腹部材50を可動電極20の回動軸17を中心として円滑に伸縮するように上側と下側とで山折部51と谷折部52とを異なる大きさとなる形状にしたが、耐久性に優れ、圧力負荷に耐えられるならば、上側と下側とで山折部51と谷折部52が同じ大きさとなる形状の蛇腹部材50を用いるようにしてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、リンク部材60のリンク軸68a(リンク軸孔63a)を可動電極20の接触部24a,24bとの距離L7が可動電極20の回動軸17と接触部24a,24bとの距離L8よりも長くなる(L7>L8)ように設定したが、細隙40a,40bや絶縁板62等によって開路時に発生するアークがリンク軸68a(リンク軸孔63a)へ移動するのを抑制することができるならば、距離L7を距離L8と同じか、短くなるようにしてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1細隙41a,41bの長さL5が接触刃21a,21bの先端面の長さL6よりも長くなるようにしたが、接触刃21a,21bの接触部24a,24bの形状によって開路時に発生するアークが接触刃21a,21bの端面上を移動することを抑制できれば、長さL5を長さL6と同じか、短くなるようにしてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、絶縁部材として絶縁ケース32a,32bを左右独立して形成し、接触刃21a,21bにそれぞれ固定するようにしたが、接触刃21a,21bの傾きが抑制されるならば、これら絶縁ケース32a,32bを一体形成してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、架空開閉器に具体化したが、多回路開閉器に具体化してもよい。
・上記実施形態では、開閉器に具体化したが、配電機器として遮断器に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】閉路状態における配電機器の全体図。
【図2】開路状態における配電機器の全体図。
【図3】可動電極及びパッファ装置の斜視図。
【図4】蛇腹部材を除いた可動電極及びパッファ装置の上面図。
【図5】可動電極及びパッファ装置の正面図。
【図6】(a)可動電極及びパッファ装置の背面図、(b)蛇腹部材が絶縁バリアに取り付けられた状態でのA‐A断面図、(c)蛇腹部材の谷折部における断面図。
【図7】可動電極及びパッファ装置のB‐B断面図。
【図8】絶縁ケース内の消弧性ガス噴流の流れを示す図。
【図9】可動電極及びパッファ装置の側面図。
【図10】(a)絶縁部材のC‐C断面図、(b)絶縁部材のD‐D断面図。
【図11】絶縁ケースから噴出される消弧性ガス噴流を示す図。
【符号の説明】
【0055】
10…本体ケース、10a,10b…側壁、11…電源側ブッシング、12…負荷側ブッシング、13…固定電極、14…耐弧メタル、15…導電棒、16…位置調整機構、17…回動軸、20…可動電極、21a,21b…接触刃、22,23…軸ピン、22a,23a…ナット、23c…スペーサ、24a,24b…接触部、25a,25b…平板部、26…絶縁バリア、26a…側壁、26b…開口部、27a,27b…凸面部、28…ばね、29a,29b…スリット、30…バッファ装置、32a,32b…絶縁ケース、33a,33b…内側側壁、33c,33d…収納凹部、34a,34b…係合板部、35a,35b…蓋板、36a,36b…上部凹条、37a,37b…下部凹条、37c,37d…係止部、38a,38b…係合凸部、39a,39b…上部開口部、40a,40b…細隙、41a,41b…第1細隙、42a,42b…第2細隙、43a,43b…第3細隙、44a,44b…導通路、45a,45b…第1連絡導通路、46a,46b…第2連絡導通路、47a,47b…第3連絡導通路、48a,48b…端面、49a,49b…誘導部、50…蛇腹部材、51…山折部、51a…山頂、52…谷折部、52a…谷底、53a,53b…基端開口部、54…先端開口部、55…逆止弁、56…蓋板、60…リンク部材、61…固定部、62…絶縁板、63…リンク部、63a…リンク軸孔、64…固定ピン、64a…止め金具、65…舌片、66…回動軸、67…レバー、68…駆動リンク、68a…リンク軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定電極に対して回動可能な可動電極を有し、閉路時に前記可動電極の接触部が前記固定電極に接触し、開路時に同固定電極と同可動電極との間に発生するアークをパッファ装置により消弧する配電機器において、
前記パッファ装置は、前記可動電極の回動に伴い伸縮する蛇腹部材と、前記可動電極の前記固定電極と接触する接触部のみが露出するように覆うとともに、同蛇腹部材が固定される絶縁部材とを備え、
前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流は前記絶縁部材を通過して前記固定電極と前記可動電極の接触部との間を隔絶するように噴出する
ことを特徴とする配電機器。
【請求項2】
請求項1に記載の配電機器において、
前記可動電極は2枚の接触刃からなり、
前記絶縁部材は、両前記接触刃の外側にそれぞれ固定され、前記可動電極の外側を覆うとともに、前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流を噴出する絶縁ケースと、両前記接触刃間に固定され、開路状態における同絶縁ケースの前記固定電極側となる面を覆うとともに、同可動電極を回動させるリンク装置が接続されるリンク部材とを備え、
前記蛇腹部材は、前記絶縁ケースの開路状態における前記固定電極から離間する側となる面を覆う
ことを特徴とする配電機器。
【請求項3】
請求項2に記載の配電機器において、
前記絶縁ケースには、前記蛇腹部材により発生される消弧性ガス噴流を噴出する細隙が形成され、
同細隙の一部の長さを前記可動電極の回動軸から最も離間する端面の長さより長くする
ことを特徴とする配電機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の配電機器において、
前記リンク部材の前記リンク装置が取り付けられるリンク軸は、同リンク軸と前記可動電極の接触部との距離が前記可動電極の回動軸と前記可動電極の接触部との距離よりも長くなる位置に設けられる
ことを特徴とする配電機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の配電機器において、
前記蛇腹部材は、山折部と谷折部とが交互に連接される伸縮自在の筒状であって、前記可動電極の回動軸を中心とする円弧状に伸縮し、
同蛇腹部材の前記可動電極の回動軸から離間する側の同山折部の山頂と同谷折部の谷底との距離は、同蛇腹部材の前記可動電極の回動軸から離間側の同山折部の山頂と同谷折部の谷底との距離よりも長く形成するとともに、
同蛇腹部材の谷折部の伸縮方向に垂直となる断面の空洞部分の形状は、前記可動電極の回動軸から離間する側の辺の長さが前記可動電極の回動軸側の辺の長さよりも短い台形に形成する
ことを特徴とする配電機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−67446(P2010−67446A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232285(P2008−232285)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000102636)エナジーサポート株式会社 (51)
【Fターム(参考)】