説明

酢酸とメタノールの統合されたプロセス

メタノール、酢酸を製造する統合されたプロセス及び関連のプロセスでの生成物について開示する。合成ガス(120)は、天然ガス(102)を蒸気改質(109)及び自己熱改質(118)することによって生成され、天然ガスの一部(112)は蒸気改質器(109)をバイパスし、蒸気改質器の処理物と混合され、再循環のCO2と共に自己熱改質器(ATR)へ供給される。合成ガスの一部はCO2除去部(122)へ送られて、再循環CO2が得られる。また、コールドボックス(130)へ送られて、水素の流れ(131)及びCOの流れ(135)が得られる。残りの合成ガス、水素の流れ(131)及び関連プロセスからのCO2は、メタノール合成部(140)へ送られ、メタノールと、CO2除去装置へ供給されるパージガスの流れ(124)が生成される。メタノールは、CO(135)と共に酢酸装置(136)へ送られ、酢酸が生成される。酢酸は、VAM合成装置(148)へ供給される。ATRとVAMの両方の合成に用いられる酸素は、共通の空気分離装置(116)によって供給され、蒸気発生のユーティリティはさらにプロセスを統合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、メタノール、酢酸、及び酢酸ビニルモノマー(VAM)等の他の化学物質を、天然ガスから製造する方法の改良に関する。改良された方法は、メタノール製造のための最適な合成ガスを生成するために、一酸化炭素分離プラントとメタノール合成装置を統合するものである。
【背景技術】
【0002】
メタノールは、主な化学原材料である。メタノールの主な用途として、酢酸、ホルムアルデヒド及びメチル-t-ブチルエーテルの製造が含まれる。メタノールからガソリンへの転換(モービルのMTG法)、メタノールから軽オレフィンへの転換(UOP及びノルスクハイドロのMTO法)、メタノールの発電利用、メタノールの燃料電池への利用等のような新たな用途が商業化されており、これからの十年間で、メタノールの世界的需要の増加が予想される。これら用途が発展するかどうかは、メタノールの製造コストに関係することは明らかである。本発明は、高能率の単一トレインプラントの構築により、低コストで大量に、天然ガスをメタノールに転換できるようにしたものである。
【0003】
カルボニル化触媒を用いて、一酸化炭素及びメタノールから酢酸を製造することは、当該分野において広く知られている。この製造方法及びこれと同様な方法を開示した代表的な文献として、Carlinら(テネシープロダクツ)に付与された米国特許第1961736号、Paulikら(モンサント)に付与された米国特許第3769329号、Marstonら(ライリーインダストリーズ)に付与された米国特許第5155261号、Garlandら(BPケミカルズ)に付与された米国特許第5672743号、Joensenら(Haldor Topsoe)に付与された米国特許第5728871号、Denisら(アセテックスケミエ)に付与された米国特許第5773642号、Hinnenkampら(クォンタムケミカルコーポレイション)に付与された米国特許第5817869号、Ditzelら(BPケミカルズ)に付与された米国特許第5877347号及び第5877348号、Denisら(アセテックスケミエ)に付与された米国特許第5883289号、Sunleyら(BPケミカルズ)に付与された米国特許第5883295号を挙げることができ、これらの文献は引用を以て本願への記載加入とする。
【0004】
酢酸製造の主原料は、当然のことながら、一酸化炭素とメタノールである。代表的な酢酸プラントにおいて、メタノールは導入されるが、一酸化炭素は、輸送及び貯蔵が困難であるため、現場にて(in situ)、通常は、天然ガス又は他の炭化水素を蒸気(steam)及び/又は二酸化炭素で改質することによって生成される。このため、最近では、メタノールと酢酸の両方を生産する統合されたプラントの建設に注目が集められている。新たな酢酸製造能力を得るのに必要な出費の大部分は、一酸化炭素生成に必要な設備に対する資本コストである。この資本コストを大きく削減し、少なくとも有意に低減することは極めて好ましい。
【0005】
酢酸ビニルモノマーを製造するための主原料は、エチレン、酢酸及び酸素である。二酸化炭素は、その反応の中で好ましくない副生成物として生成され、再利用されるエチレンから除去せねばならない。
【0006】
合成ガス、メタノール、酢酸、及びVAM等の酢酸誘導体(derivatives)の新たな製造能力を確保するための出費の大部分は、必要設備の資本コストである。他の主たる出費として、原料コストを含む操業コストが含まれる。これらの資本コスト及び操業コストを低減することができれば、それは極めて好ましい。
【0007】
メタノールの製造において、大容量合成ガスプラントの場合、合成ガスをより経済的に製造することのできるプロセスとして、自己熱改質(autothermal reforming)を用いることが広く知られている。これは、大規模の主改質器又は複数の部分酸化改質器を構築する必要がないので、大資本コストを節約できるからである。しかしながら、全ての炭素分子を完全利用できない不都合があり、大量のCO2の通気が必要となり、好ましくない。実際、化学量論数(SN)=[H2−CO2)/(CO+CO2)]は2より小さく、通常は1.7〜1.9であるので、自己熱改質器の出口で合成ガスの調整を行なう必要がある。目標は最適な合成ガス比を得ることであり、メタノール合成の循環ループへのメイクアップ流れでは、2.0〜2.1の範囲にある。
【0008】
Leeらに付与された米国特許第5180570号は、メタノールとアンモニア製造の統合されたプロセスにおいて、メタノール反応の循環ループにおける化学量論条件を得る技術を開示している。McShea IIIらに付与された米国特許第4927857号は、自己熱改質用の触媒並びに蒸気−炭素比及び酸素−炭素比を制御することにより、化学量論比の合成ガスを得る手段を開示している。Suppらに付与された米国特許第5310506号は、ATRの供給に高炭化水素ガスを加えることにより、ARTから出て行く合成ガスを、化学量論数1.97〜2.2のメタノールの合成に適したものにすることを開示している。Banquyに付与された米国特許第4888130号及び第4999133号は、メタノールの大量生産に適したプロセスを開示しており、一次蒸気改質器及び自己熱反応器を組み合わせて用いることにより、メタノールの製造に必要な化学量論組成にできるだけ近い合成ガスが作られる。
【0009】
ワールドメタノールコンフェレンス2000(デンマーク、コペンハーゲン、2000年11月8−10日)に記載された論文の中で、Strebは、大規模容量のメタノールプラントは、特別なプロセス設計が必要であることを記載している。この論文の中で、純粋な自己熱改質は、供給原料が軽質天然ガスのときは使用可能であることが示唆され、このとき、化学量論比は2より小さいことが強調され、CO2転換を抑える必要があることが提案されている。EP特許出願第1348685A1の中で、Grobysらは、メタノールの製造プロセスにおける合成ガス数(syngas number)の調節は、一酸化炭素の流れを引き出すことによって行われることを開示している。同一出願人によるWO03/097523A2には、メタノールと酢酸の両方を、実質的に化学量論状態で製造する統合されたプロセスを開示している。
【0010】
Searleに付与された米国特許第6495609号は、メタノールからエチレンと酸化エチレンの製造において、CO2をメタノール合成反応器へ再循環させることを開示している。Jandaに付与された米国特許第6444712号は、改質器又はメタノール合成の循環ループへCO2を再循環させて、SNを1.6〜2.1に制御することを開示している。Searle及びJandaの米国特許は、蒸気及び部分酸化改質器を用いてSNの操作を行なうことを開示している。一般的に、蒸気改質器は、SNが2.8よりも大きな合成ガスを生成し、一方、部分酸化改質器は、SNが1.4〜2.1の合成ガスを生成する。
【0011】
ガソリン及びディーゼル中の芳香族化合物及び硫黄の含有量規制が厳しくなるにつれて、精製所での水素に対する需要は高くなっている。このため、精製所でのピーク時と平常時の水素需要に対応できるように、大量の水素を導入することが必要である。
【発明の開示】
【0012】
<発明の要旨>
メタノールの製造において、自己熱改質器と伝統的な蒸気改質器を組み合わせた複合改質法は、メタノールのアドホックな流れ(ad hoc stream)をカルボニル化する際に一酸化炭素を消費する酢酸プラントを統合することにより、メタノールの製造により良好な結果をもたらすことを見出した。放出された水素は、メタノールの製造を増やすことができるように、例えばVAM近傍のプラントからCO2の流れを導入する(import)ことにより利用されるか、又は水素の過剰分を近傍の精製所へ送出する(export)ことにより利用される利点がある。
【0013】
本発明は、メタノール合成プロセスと酢酸プロセスを統合する(integrate)ものである。本発明は、メタノール反応器の上流にある一酸化炭素分離プラントを利用して、残留合成ガスの化学量数(stoichiometric number; SN)を、2.0〜2.1の範囲の値、より好ましくは2.05に近い値に調節するものである。一酸化炭素は、改質器の排出物の一部から分離され、CO2は改質器へ再循環して回収され、水素はメタノール合成のために戻される。改質器の排出物からCOが回収されるが、前記排出物の量は、メイクアップ合成ガスがメタノールの循環ループに対して所望のSNとなるように調節される。
【0014】
本発明は、メタノール、酢酸、及び選択的に酢酸ビニルモノマー等を製造する方法を提供するものである。大規模の製造に対する投資コストは、これら化合物の製造プロセスを1つのプロセスに統合することにより、投資コストは低減される。
【0015】
一実施例において、本発明は、メタノールと酢酸を製造するための統合された方法を提供する。本発明のプロセスは、炭化水素源を第1の炭化水素の流れと第2の炭化水素の流れに分離し、第1の炭化水素の流れを蒸気で改質して、改質された流れを生成し、改質された流れと第2の炭化水素の流れの混合物を酸素と二酸化炭素で自己熱による改質を行ない、合成ガスの流れを生成することを含んでいる。本発明のプロセスはまた、合成ガスの流れの一部を、二酸化炭素リッチの流れ(二酸化炭素富化流れ)、水素リッチの流れ(水素富化流れ)及び一酸化炭素リッチの流れ(一酸化炭素富化流れ)に分離し、二酸化炭素リッチの流れを自己熱改質工程に再循環し、合成ガスの流れの残部、水素リッチの流れの適当な一部及び二酸化炭素の流れを圧縮し、メイクアップ流れ(makeup stream)をメタノール合成の循環ループに供給してメタノール生成物を得ることを含んでいる。自由度が与えられるので、水素リッチの流れの過剰分の全てをコールドボックスから燃料ガスシステムへ送ることにより、メイクアップ合成ガスのSNを最適値2.05に調整できる利点がある。さらに、SNの調節は、CO2の流れを、メタノール合成のメイクアップ流れに導入してCO2量を増やすことにより、又は自己熱改質器上流のCO2の流れを再利用してCOの生成量を増やすことによって行なうことができる。CO2リッチの流れは、合成ガスの分離により、又は関連するプロセスから得られることができる。
【0016】
メタノール合成の循環ループからのパージガスの流れは、分離工程へ供給されることが好ましい。分離工程は、好適には、合成ガスの流れの一部をメタン洗浄コールドボックスへ供給することを含んでいる。コールドボックスから出たフラッシュガスは、好適には、メタノール合成の循環ループへ再循環されることができる。コールドボックスからの排出ガス(tail gas)は、プロセスガスとして再循環されることができる。コールドボックスから出た水素リッチの流れのうち少量部分は、メタノール合成の循環ループへ再循環され、水素リッチの大部分は、関連プロセス又は近傍の精製所へ送出されることができる。統合された複合装置への二酸化炭素の放出(二酸化炭素の質量として測定)は、炭素総投入量の10%(質量率)より少ないことが好ましく、5%より少ないことがより好ましい。
【0017】
プロセスは、メタノール生成物及び一酸化炭素リッチの流れの少なくとも一部から酢酸を合成することをさらに含むことができる。どの関連プロセスも、好適には、酢酸を反応剤として使用し、メタノール生成物を反応剤として使用し、共通の空気分離ユニットから酸素を共同で使用し、共通のユーティリティ又はその組合せを共同で使用する。例えば、単一の空気分離ユニットを用いると、統合プラントに必要な資本コストが有意に低減される。本発明の方法は、導入された二酸化炭素の流れ及び/又は二酸化炭素の流れを、関連プロセスからメタノール合成の循環ループへ供給することを含むことができる。酢酸ビニルモノマー(VAM)生成のためのエチレンと酸素の反応に関連するプロセスにおいて、生成された酢酸の少なくとも一部は、VAM合成の循環ループへ供給されることができる。VAM合成の循環ループのCO2リッチの流れは、メタノール合成の循環ループへ導入されることができる。
【0018】
供給物の流れは、水素化による前処理を行なうことにより、自己熱改質器及び対応するプロセス設備にスート(煤)を生ずることなく、下流側の流れを、利用される炭素比に調整することができる。この方法では、水素リッチの流れは、重質炭化水素(炭素原子2以上)を含有するフィードガスの流れへ加えられ、得られた混合物は、水素化温度で水素化触媒と接触させられ、水素化された混合物は、蒸気及び酸素と共に自己熱改質器へ供給され、合成ガスが生成される。水素リッチの流れは、好適には、合成ガス又はその一部を受けるメタノール合成の循環ループからのパージガス又はその一部である。水素リッチの流れは、重質炭化水素(higher hydrocarbons)をメタンに水素化するために、少なくとも化学量論量の水素を供給する割合で加えられることが好ましい。水素化温度は、300℃〜550℃が好ましい。この実施例におけるプロセスの設備は、重質炭化水素を含むフィードガス供給物;重質炭化水素を転換して重質炭化水素リーン(lean)の流れを生成するための水素化触媒(触媒として、アルミニウム又はゼオライトに、プラチナ、パラジウム、コバルト、モリブデン、ニッケル又はタングステンのような主金属が支持されたものが一般的に用いられる)を有するプレ水素化反応器;重質炭化水素リーンの流れを蒸気及び酸素と反応させて合成ガスの流れを作る自己熱改質器;合成ガスの流れから得た水素及び一酸化炭素を反応させてメタノールを生成するメタノール合成の循環ループ;メタノール合成の循環ループからのパージガスの流れ;パージガスの流れの一部をプレ水素化反応器へ供給するライン、を含んでいる。
【0019】
反応は発熱反応であるので、水素化プロセスは、1又は複数の反応器の中で行われることができる。反応器は、必要に応じて、中間に冷却器が設けられる。この水素化工程は、供給物の中の蒸気−炭素の比が小さい自己熱改質器に適用することが特に好ましい。
【0020】
本発明の方法はまた、生成された酢酸の少なくとも一部を、関連プロセスのVAM合成の循環ループへ供給し、酢酸の一部を、エチレン源及び共通の空気分離装置からの酸素と合成し、VAMを生成することを含んでいる。CO2リッチの流れは、VAM合成の循環ループからメタノール合成の循環ループへ導入されることが好ましい。
【0021】
本発明のプロセスを実施するプラントは、新らしいプラントであるが、既存のメタノール、酢酸及び/又はVAMプラントを改造したものでもよい。
【0022】
天然ガス(102)は、プラントの燃料(103)として、また合成用のフィードガスとして供給される。天然ガスは、公知の脱硫装置(104)へ供給され、第1の流れ(111)と第2の流れ(112)に分離される。流れ(111)(112)に含まれる天然ガスは、夫々、天然ガス合計の35〜65%である。第1の流れ(111)は、公知の加熱された蒸気改質器(109)に入る前に、断熱されているか又は断熱されていない触媒蒸気のプレ改質器(106)へ供給される。蒸気改質器(109)の操業条件は、700〜900℃、0.7〜3.5MPaである。蒸気改質器(109)で改質された処理物は、天然ガス(112)の第2の流れ、空気分離装置(air separation unit;ASU)で得られた酸素(114)及び再循環されたCO2リッチの流れ(110)と合成される。空気は、コンプレッサ(115)の中で圧縮され、ASU(116)へ供給され、該ASUにて公知の要領で処理され、酸素の流れ(114)が得られる。天然ガス、蒸気改質器の処理物及び二酸化炭素の混合物は、触媒改質用酸素と共に自己熱改質器(118)へ導入され、公知の自己熱改質装置及び触媒システムを用いて、合成ガスの流れ(120)が生成される。合成ガスの流れ(120)は、公知の如く、冷却され、乾燥される。
【0023】
合成ガス(120)の一部は、ライン(119)を通ってCO2除去装置(122)へ供給され、前述の如く、CO2再循環の流れ(110)が生成される。流れ(119)の中の合成ガスの量は、主として、酢酸の合成に必要なCOの量に依存するが、好適には流れ(120)の5%以上であり、より好適には20%以上であり、メタノールの取出しが無視できる程度で、酢酸の生成が最大である場合は、50%又はそれ以上である。メタノールと酢酸の生成は、H2、CO及び生成したCO2を最大利用して、好適には、メタノールが1日当たり1000〜20000メートルトン、酢酸が1日当たり300〜6000メートルトンとなるように調節される。メタノール生成と比べて、酢酸の生成量が多いほど、導入されるCO2との反応に利用可能な水素はより多くなり、SN及びメタノール製造が維持される。酢酸の生成量が少ないと、水素が不足し、SNは小さくなりすぎるので、メタノールの生成量は低下する。合成ガスの総生成量があまりに多すぎると、ASUの限界を超えることがあり、第2のASUの投資コストが過多となり、及び/又は、蒸気改質器のコストが過大になる。他方、総生成量があまりに低下することは、経済規模の損失であり、単位生産当たりの投資コストが増加する。
【0024】
CO2除去装置(122)は、CO2の除去、例えば溶媒を吸収及び除去するために、公知のCO2除去プロセス及び装置を用いることができる。メタノール合成の循環パージガスの流れ(124)、VAM合成プロセス又は他の関連するプロセス又はその組合せプロセスから導入されたCO2の全部又は一部は、所望により、ライン(119)を経てCO2除去装置へ供給されることができる。
【0025】
CO2除去装置は、CO2リッチの流れ(110)と、CO2を本質的に含まないCO/H2の混合物の流れ(128)を作る。CO2リッチの流れ(110)は、自己熱改質器(118)の上流の合成ガスの流れ(112)へ導入される。
【0026】
分離装置(130)は、好適には公知のコールドボックスであり、該装置は、流れ(128)を少なくともCOリッチの流れ(132)とH2リッチの流れ(131)に分離する。なお、少量の1又は複数の残留ガス又は排出ガスの流れを含むことができ、このガスの流れは、水素、メタン及びCOの混合物からなり、ライン(134)を経て、燃料として用いられるか、又は送出される。分離装置(130)は、例えば、2つのカラムを有する部分凝縮ボックスを挙げることができる。COリッチの流れ(132)は、ライン(135)を経て、酢酸合成装置(136)へ供給される。これについては、後で詳細に説明する。
【0027】
ライン(120)からの残留合成ガス、流れ(126)からのCO2、及び流れ(131)からの水素は、コンプレッサ(138)の中でメタノール合成圧力まで圧縮され、当該分野で広く知られたメタノール合成の循環ループ及び触媒メタノール合成反応器を用いて、メイクアップ流れ(123)としてメタノール合成装置(140)へ供給される。合成ガスのSNは、好ましくは2.0〜2.1であり、より好ましくは2.04〜2.06である。合成装置(140)からのパージガスの流れ(124)は、前述の如く、CO2除去装置(122)に再循環されることが好ましい。広く知られているように、パージガスの流れ(124)は、メタノール合成の循環ループにおいてアルゴン、窒素及びメタン等の不活性物の蓄積を防止するために必要である。CO2除去装置(122)及びコールドボックス(130)においてパージガスを処理することは、パージガス中のCO2、CO及び水素を再循環させる利点があり、不活性物は残留物の流れ(134)へ排出される。メタノール生成物は、蒸留装置(142)又は他の公知のプロセスによって精製されることができる。精製されたメタノールは、ライン(144)を経て、生成物として取り出されるか、又は一部はライン(145)を経て酢酸合成装置(136)へ供給されることができる。
【0028】
酢酸合成装置(136)は、公知の酢酸製造装置並びに当該分野で広く知られている方法及び/又は商業的に入手可能な方法を用いており、例えば、前述の1又は複数の酢酸製造プラントにおいて、流れ(135)からのCOと流れ(145)からのメタノールにより酢酸が生成される。用いられる方法として、例えば、公知のBP/Monsantoプロセス、BP-Cativa技術(イリジウム触媒)を用いて改良されたBP/Monsantoプロセス、セラニーズ(Celanese)の低水分(low water)技術(ロジウム−リチウム酢酸塩触媒)、ミレニウム(Millenium)の低水分技術(ロジウム−燐酸化物触媒)、及び/又はメタノールのカルボニル化−蟻酸メチル異性化の複合プロセスなどがある。反応は、一般的には、一酸化炭素、水、溶媒、並びにハロゲン化プロモータを少なくとも1種及びロジウム、イリジウム又はその組合せの化合物を少なくとも1種含む触媒系を含む反応混合物の存在下で、メタノール、蟻酸メチル又はその組合せを反応させることを含んでいる。反応混合物の水分含有量は、好ましくは、20重量%以下である。反応が単純なカルボニル化である場合、反応混合物中の含水量は、約14〜約15重量%であることが好ましい。反応が低水分のカルボニル化である場合、反応混合物中の含水量は、好ましくは、約2〜約8重量%である。反応が蟻酸メチルの異性化、又は異性化とメタノールのカルボニル化の組合せの場合、反応混合物は、ゼロを超えて2重量%以下の水分を含むことが好ましい。反応は、一般的には、連続的である。酢酸生成物は、ライン(146)を通じて得られる。
【0029】
所望により、ライン(146)を経て得られる酢酸の一部は、ライン(147)を経て、例えば公知の酢酸ビニルモノマー(VAM)合成装置(148)のように、CO2を副生成物として生成する関連プロセスへ供給される。酢酸は、ライン(150)から送られるエチレンと、空気分離装置(116)からの酸素(114)の少なくとも一部と反応が行われる。液体生成物の流れ(152)は、公知のVAM蒸留装置(156)の中で処理されて、本質的に純粋(商業的仕様)なVAMが生成され、ライン(158)を経て送られる。VAMの合成で副生成物として生じた二酸化炭素は、公知のCO2除去システム(154)にて反応器の排出ガスと分離され、ライン(126)を経て、メタノール合成の循環ループへ再循環される。ライン(114)の酸素は、例えば、公知の(好適には低温の)空気分離装置(116)を用いて得られ、VAM合成装置(148)及び自己熱改質器(118)の両方へ供給するのに必要な量の酸素が生成される。
【0030】
VAMは、主として、次の反応に基づくエチレンのアセトキシル化によって生成される。
C2H4 + AcOH + 1/2O2 → VAM + H2O
【0031】
主な副生成物は、次の反応に基づいて生成されるCO2である。
C2H4 + 3O2 → 2CO2 + 2H2O
【0032】
このプロセスを選択すると、約7〜8質量%のCO2を生ずる。100000メトリックトン/年(MTY)を生産するVAMプラントは、約35000MTYのエチレンを必要とし、9000〜10000MTYのCO2を生成する。
【0033】
ユーティリティ(160)は、一般的には、蒸気システム、冷却水、圧縮空気等を含んでおり、これらユーティリティは、統合されたシステムへ必要量が供給される。これにより、独立した個々の装置と比べて、統合プラント効果の大規模ユーティリティ供給システムにより、経済的利点はさらに高められる。蒸気は、蒸気改質器(109)及びATR(118)、メタノール合成装置(140)、酢酸合成装置(136)及び/又はVAM合成装置(148)その他関連する統合された装置での廃熱回収によって発生し、この蒸気を用いて、ボイラー供給水ポンプ、スイートウォーター冷却用ポンプ、海水冷却用ポンプ、天然ガスコンプレッサ、ASUコンプレッサ(115)、プレリフォーマ(106)、ATR(118)、CO2除去装置(122)、メイクアップ用コンプレッサ(138)、メタノール合成再循環コンプレッサ等、又はそれらの任意の組合せが駆動される。典型的な状況では、過剰の蒸気は蒸気改質によって生ずるのに対し、本発明の統合されたシステムでは、どんな蒸気も排出されないことが好ましい。必要に応じて、補助ボイラーから、追加の蒸気を供給することができる。
【実施例1】
【0034】
この例では、流量、組成及び他の特性は、特に指定しない限り、2つの有効数字に近似化される。特に指定しない限り、流量は、標準立方メートル/時間(Nm3/h)、組成はモルパーセントで表される。図1に示すMeOH/AcOH/VAMプロセスに対する本発明の実施例に係るプロセスでは、酢酸合成用として、5016メトリックトン/日(MTPD)のメタノール、19400Nm3/hのCOが生成されるプラント用として設計されている。天然ガス(102)は、プラントの燃料(103)(12000Nm3/h)及びプロセスのフィードガス(182000Nm3/h)として、194000Nm3/hで供給される。天然ガスは、およそ、メタン89.5%、エタン5.0%、プロパン1.0%、ブタン及び重質炭化水素0.5%、窒素4.0%の組成であり、脱硫装置(104)へ供給される。脱硫された天然ガス(127000Nm3/h)の第1の部分は、蒸気(246000Nm3/h)と共にライン(111)を経て、プレ改質部(106)と蒸気改質部(109)へ供給され、478000Nm3/hの処理物が得られる。処理物の組成は、CO2:5.9%、CO:4.5%、水素:35%、蒸気:35%、メタン:18%、窒素及びアルゴン:2.0%未満である。
【0035】
ライン(112)に残存する脱硫天然ガス(55000Nm3/h)は、蒸気改質器の処理物及びライン(110)を通じて送られる10000Nm3/hの再循環CO2(CO2が98%、CO、水素、水蒸気及びメタンの各々が1%未満)と共に、自己熱改質器(118)へ供給される。ATR(118)は、ライン(114)を通じて供給される115000kg/hの酸素の流れ(0.5%アルゴンを含む)を消費して、620000Nm3/hの乾燥処理物を生成する。該乾燥処理物の組成は、CO2:8.0%、CO:23%、水素:66%、メタン:1.8%、水蒸気、窒素及びアルゴン:1.2%未満である。
【0036】
ATR(118)での乾燥処理物のうち127000Nm3/hは、CO2除去装置(122)へ供給される。CO2リッチの流れ(110)は、前述のとおりであり、CO2リーンの流れは、116000Nm3/hのガスを含んでおり、該ガスの組成は、CO:25%、水素:71.6%、メタン:2%、窒素:1.3%、アルゴン:1%未満であり、コールドボックス(130)へ供給される。
【0037】
コールドボックス(130)は、19400Nm3/hの流れ(132)、65000Nm3/hの排出ガスの流れ(134)及び32000Nm3/hの流れ(131)を生成する。流れ(132)の組成は、CO98%、窒素1.7%、水素、アルゴン及びメタンの各々が1%未満であり、排出ガスの流れ(134)の組成は、CO11%、水素84%、窒素2.3%、メタン2.6%、アルゴン1%未満であり、流れ(131)の組成は、水素90%、CO8.5%、窒素、アルゴン及びメタンの各々が1%未満である。
【0038】
流れ(120)の残部は、流れ(131)と共に流れ(132)へ圧縮され、水素:68%、CO:22%、CO2:7.5%、メタン:1.7%、水蒸気、窒素及びアルゴンの各々が1%未満のメイクアップガス(R値が2.04の合成ガスを生成する)がメタノール合成装置(140)へ供給される。装置(140)は、前述したように、パージガスの流れ(124)と、260000kg/hの未精製(crude)メタノール(水:24%、CO2:1.9%、CO、水素、アルゴン及びメタンの各々が1%未満を含む)と、流れ(144)(145)の中に商業的に純粋な209000kg/hのメタノールを生成する。
【0039】
流れ(145)は、26000kg/hのメタノールを酢酸合成装置(136)へ供給し、流れ(135)からのCOと反応して、蒸留後、純度が99.85%よりも高い商業用氷酢酸47600kg/hが得られる。
【0040】
ライン(146)からの酢酸の一部は、22000kg/hの割合でVAM合成装置(148)へ供給され、ライン(150)から送られる重合グレードの10000Nm3/hエチレン(エチレンが99.9%より多く、不純物が0.1%より少ない)及び空気分離装置(116)から送られる6000Nm3/hの酸素と反応して、純度が99.9重量%よりも高い商業用VAM生成物31000kg/hが得られる。VAMの生成は、主として、エチレンのアセトキシル化によって達成される。CO2が98%よりも多いCO2の流れは1400Nm3/hで生成され、CO2除去システム(154)から回収される。
【0041】
この実施例では、VAMの合成で生成されるCO2の流れは、ライン(126)を経てメタノール合成の循環ループへ再循環されない。ライン(126)に必要な全てのCO2を供給するために、所望により、ライン(127)を通して、追加のCO2が二者択一的に又は追加として導入されることができる。
【0042】
この実施例において、蒸気のバランスをとるために、101バール及び500℃で155t/hの蒸気を生成する高圧蒸気の補助ボイラーを必要とする。酢酸合成(136)及びVAM合成(148)(VAM蒸留(156)及びCO2システム(154)を含む)を除く炭素効率は、約82%である。
【実施例2】
【0043】
この例では、流量、組成及び他の特性は、特に指定しない限り、2つの有効数字に近似化される。特に指定しない限り、流量は、標準立方メートル/時間(Nm3/h)、組成はモルパーセントで表される。図2に示すMeOH/AcOHプロセスに対する本発明の実施例に係るプロセスでは、酢酸合成用として4400メトリックトン/日(MTPD)のメタノール、49000Nm3/hのCO、近傍の精製所用として99000Nm3/hの水素を生成するプラント用に設計されている。図1及び図2に示される特徴が同一である場合、その特徴を特定するのに用いられる数は同じである。天然ガス(102)は、プロセスのフィードガスとして、182000Nm3/hが供給される。天然ガスは、およそメタン89.5%、エタン5.0%、プロパン1.0%、ブタン及び重質炭化水素0.5%、窒素4.0%の組成であり、脱硫装置(104)へ供給される。脱硫された天然ガス(127000Nm3/h)の第1の部分は、蒸気(108)(246000Nm3/h)と共にライン(111)を経て、プレ改質器(106)と蒸気改質部(109)へ供給され、478000Nm3/hの処理物が得られる。処理物の組成は、CO2:5.9%、CO:4.5%、水素:35%、蒸気:35%、メタン:18%、窒素及びアルゴンの各々が2.0%未満である。
【0044】
脱硫装置(104)での残存脱硫天然ガス(55000Nm3/h)は、ライン(112)を通じて排出され、蒸気改質器の処理物及び約22000Nm3/hの再循環CO2(CO2:98%、CO、水素、水蒸気及びメタンの各々が1%未満)と共に、ライン(110)を通じて、自己熱改質器(118)へ供給される。ATR(118)は、ライン(114)から供給される117000kg/hの酸素の流れ(0.5%アルゴンを含む)を消費して、630000Nm3/hの乾燥処理物を生成する。該乾燥処理物の組成は、CO2:9.0%、CO:24%、水素:64%、メタン:1.7%、水蒸気、窒素及びアルゴンが1.3%未満である。
【0045】
ATR(118)での乾燥処理物のうち220000Nm3/hは、メタノール合成の循環ループ(124)からのパージガスの流れと共に、ライン(119)を通ってCO2除去装置(122)へ供給される。CO2リッチの流れ(110)は、前述のとおりであり、CO2リーンの流れは、235000Nm3/hのガスを含んでおり、該ガスの組成は、CO:23%、水素:68%、メタン:5%、窒素:3%、アルゴン:微量であり、コールドボックス(130)へ供給される。
【0046】
この実施例において、コールドボックス(130)は、3つの主コラムと小さな側部コラムを用いたメタノール洗浄プロセスに基づいており、窒素リッチの流れ(214)が回収される。流れ(214)は、窒素とCOを略同じ割合で含んでいる。この流れは、VSA(Vacuum Swing Absorber)分離プロセス(206)の中で処理され、有用な一酸化炭素リッチの流れ(210)が回収される。この流れは、コールドボックス(130)を出て行くCOリッチの流れ(132)に加えられ、流れ(135)が形成される。VSA(206)はまた、窒素の流れ(204)を生成する。コールドボックス(130)は、44000Nm3/hの流れ(132)、9200Nm3/hの排出ガスの流れ(202)及び8300Nm3/hのフラッシュガスの流れ(208)を生成する。流れ(132)の組成は、CO98%、窒素1.3%、水素、アルゴン及びメタンが1%未満であり、排出ガスの流れ(202)は、メタンを98%よりも多く含有し、不純物は2%より少なく、フラッシュガスの流れ(208)は、水素:59%、一酸化炭素:36%、メタン:3%、窒素:1%を含有している。144000Nm3/hの流れ(131)の組成は、水素98.5%、メタン:1%、窒素及びアルゴンの各々が0.5%未満である。排出ガスの流れ(202)は、天然ガス(102)と共にフィードガスとして供給される。水素リッチの流れ(131)の一部は、流れ(212)の中で分離され、精製所等の関連プロセスで利用される。
【0047】
流れ(120)の残部は、フラッシュガスの流れ(208)及び流れ(131)の一部と共に、流れ(123)へ圧縮され、460000Nm3/hのメイクアップガス(水素:68%、CO:22%、CO2:7.5%、メタン1.6%、水蒸気、窒素及びアルゴンの各々が1.2%未満の組成で、R=2.03)がメタノール合成装置(140)へ供給される。装置(140)は、前述したように、パージガスの流れ(124)と、水:24%、CO2:1.9%、CO、水素、アルゴン及びメタンの各々を1%未満含む228000kg/hの未精製メタノールと、流れ(144)(145)の中に商業的に純粋な183000kg/hのメタノールを生成する。
【0048】
流れ(145)は、65000kg/hのメタノールを酢酸合成装置(136)へ供給し、流れ(135)からのCOと反応して、蒸留後、純度が99.85重量%よりも高い商業用氷酢酸120000kg/hが得られる。
【0049】
生成した酢酸(146)の一部は、ライン(147)を通して、VAM合成装置(148)へ供給され、ライン(150)から送られる10000Nm3/hの重合グレードエチレン(エチレンが99.9%より多く、不純物が0.1%より少ない)及び空気分離装置(116)から送られる6000Nm3/hの酸素と反応し、純度が99.9重量%よりも高い31000kg/hの商業用VAM生成物の流れ(152)が得られる。VAMの生成は、主として、エチレンのアセトキシル化によって行われる。CO2が98%よりも多いCO2の流れの生成量は1400Nm3/hであり、CO2除去システム(154)から回収される。
【0050】
この実施例では、VAMの合成で生成されるCO2は、ライン(126)を経てメタノール合成の循環ループへ再循環されない。ライン(126)に必要なCO2全部を供給するために、所望により、ライン(127)を通して、追加のCO2を導入することができる。この実施例において、メタノールと酢酸の統合されたプラントは、近傍の精製所に対して、99000Nm3/hの水素を供給する。
【0051】
窒素含有量の多い天然ガスの主要部分は、少量のCOと共に、VSAの中でパージされる。燃焼中のプレヒータ及び改質器、並びに所定のボイラーに必要な追加の燃料ガスの要件は、もし水素が他で用いられない場合、過剰の水素によって達成される利点があり、統合された複合設備からのCO2の排出は非常に少ない(2500Nm3/hより少ないか、又は炭素投入量の10%よりも少ない)。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例に係るフローを簡略化したブロック図であって、合成ガスを製造するために蒸気及び自己熱改質器を使用し、メタノール、酢酸及び酢酸ビニルモノマーを製造するプロセスを示している。
【図2】図1と比べてCO2の排出が少ない実施例のフローを簡略化したブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノールと酢酸を製造する方法であって、
炭化水素源を第1の炭化水素の流れと第2の炭化水素の流れに分離する工程、
第1の炭化水素の流れを蒸気で蒸気改質して、改質された流れを生成する工程、
改質された流れと第2の炭化水素の流れの混合物を、酸素及び二酸化炭素で自己熱改質して合成ガスの流れを生成する工程、
合成ガスの少量部分を、二酸化炭素リッチの流れ、水素リッチの流れ及び一酸化炭素リッチの流れに分離する工程、
二酸化炭素リッチの流れを、自己熱改質工程へ再循環させる工程、
合成ガスの残部、水素リッチの流れの少なくとも一部を圧縮し、メイクアップ流れをメタノール合成の循環ループへ供給して、メタノール生成物を得る工程、
メタノール生成物の少なくとも一部及び一酸化炭素リッチの流れから酢酸を合成する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
メイクアップ流れは、SNが2.0〜2.1である請求項1の方法。
【請求項3】
パージガスの流れを、メタノール合成の循環ループから分離工程へ供給する工程をさらに有している請求項1又は2の方法。
【請求項4】
自己熱改質器は単一トレインの自己熱改質器である請求項1乃至3の何れかの方法。
【請求項5】
分離工程は、合成ガスの少量部分を、メタン洗浄用コールドボックス装置へ供給することを含んでいる請求項1乃至4の何れかの方法。
【請求項6】
分離工程からのフラッシュガスは、メタノール合成の循環ループへ再循環される請求項5の方法。
【請求項7】
コールドボックスからの排出ガスの流れは、フィードガスとして再循環される請求項5又は6の方法。
【請求項8】
二酸化炭素の排出は、総炭素入量の10%よりも少ない請求項1乃至7の何れかの方法。
【請求項9】
二酸化炭素の排出は、総炭素入量の5%よりも少ない請求項1乃至7の何れかの方法。
【請求項10】
炭素分離工程からの水素リッチの流れの第1の部分は、メタノール合成の循環ループへ再循環され、第2の部分は、関連プロセスへの供給物として送られる請求項1乃至9の何れかの方法。
【請求項11】
関連プロセスからの二酸化炭素の流れを、メイクアップ流れへ供給する工程をさらに有している請求項1乃至10の何れかの方法。
【請求項12】
関連プロセスは、酢酸を反応物質として使用し、メタノール生成物を反応物質として使用し、共通の空気分離装置からの酸素を共に使用し、共通のユーティリティを共に使用し、又は共通の前記空気分離装置及びユーティリティを共に使用する請求項10又は11の方法。
【請求項13】
生成した酢酸の少なくとも一部を、関連プロセスの酢酸ビニルモノマー合成の循環ループに供給する工程、
酢酸の一部をエチレン源及び酸素と合成して、酢酸ビニルモノマーを生成する工程、をさらに有している請求項10乃至12の何れかの方法。
【請求項14】
単一の空気分離装置は、関連プロセス及び自己熱改質器へ酸素を供給する請求項13の方法。
【請求項15】
合成ガスの流れの少なくとも10%は、分離工程へ供給される請求項1乃至14の何れかの方法。
【請求項16】
生成されるメタノールは、1日当たり1000〜30000トンである請求項1乃至15の何れかの方法。
【請求項17】
生成される酢酸は、1日当たり500〜60000メトリックトンである請求項1乃至16の何れかの方法。
【請求項18】
CO2リッチの流れをメタノール合成の循環ループへ導入することをさらに有している請求項1乃至17の何れかの方法。
【請求項19】
CO2リッチの流れを酢酸ビニルモノマー合成の循環ループからメタノール合成の循環ループへ導入することをさらに有している請求項13の方法。
【請求項20】
炭化水素源は、天然ガスを含んでおり、導入されたCO2の流れと炭化水素源の比は、天然ガス1Nm3につきCO2が0.05kg以上である請求項18又は19の方法。
【請求項21】
導入されたCO2と天然ガスの比は、天然ガス1Nm3につきCO2が0.2kg以上である請求項20の方法。
【請求項22】
導入されたCO2と天然ガスの比は、天然ガス1Nm3につきCO2が0.23kg以上である請求項19の方法。
【請求項23】
フィードガスの流れの35〜65%を第1の流れに移し、フィードガスの流れの35〜65%を第2の流れに移すことを含んでいる請求項1乃至22の何れかの方法。
【請求項24】
フィードガスの流れの45〜55%を第1の流れに移し、フィードガスの流れの45〜55%を第2の流れに移すことを含んでいる請求項1乃至23の何れかの方法。
【請求項25】
分離工程は、不活性成分中にエンリッチされた排出ガスの流れを生成する請求項1乃至24の何れかの方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−518745(P2007−518745A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549841(P2006−549841)
【出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際出願番号】PCT/CY2004/000002
【国際公開番号】WO2005/070855
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(506250527)アセテクス(キプロス)リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ACETEX(CYPRUS)LIMITED
【Fターム(参考)】