説明

酵素阻害のための化合物

ヘテロ原子を含有する3員環を含んでいるペプチドベースの化合物は、N末端求核剤(Ntn)ヒドロラーゼの特異的な活性を、効率的かつ選択的に阻害する。複数の活性を有するこのようなNtnの活性は、記載される化合物によって差別的に阻害され得る。例えば、20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性は、本発明の化合物を用いて選択的に阻害し得る。このペプチドベースの化合物は、少なくとも、3つのペプチド単位、エポキシドまたはアジリジン、およびN末端における官能化を有している。他の治療的効用の中でも、このペプチドベースの化合物は、抗炎症性の特性、および細胞増殖の阻害を示すと考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、酵素阻害のための化合物および方法に関する。特に、本発明は、酵素阻害に基づく治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
真核生物において、タンパク質分解は、主にユビキチン経路により媒介され、このユビキチン経路において、分解の標的となるタンパク質が、76アミノ酸のポリペプチドであるユビキチンに連結される。一旦標的にされると、次にユビキチン化されたタンパク質が、多触媒性プロテアーゼである26Sプロテアソームのための基質として作用し、この26Sプロテアソームが、その3つの主要なタンパク質分解活性の作用により、タンパク質を切断して短ペプチドにする。細胞内タンパク質代謝回転における一般機能を有する一方で、プロテアソーム媒介性分解はまた、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI提示、アポトーシス、細胞分裂、およびNF−κB活性化などといった多くのプロセスにおいて重要な役割を果たしている。
【0003】
20Sプロテアソームは、4つの環を構成する28個のサブユニットからなる700kDaの円筒形の多触媒性プロテアーゼ複合体であり、細胞増殖調節、主要組織適合性複合体クラスI提示、アポトーシス、抗原プロセシング、NF−κB活性化、および前炎症性シグナルの形質導入において重要な役割を果たしている。酵母菌などの真核生物においては、7種の異なるαサブユニットが外環を形成し、7種の異なるβサブユニットが内環を構成している。このαサブユニットは、19S(PA700)および11S(PA28)調節複合体のための結合部位として、かつ2つのβサブユニット環によって形成される内側タンパク質分解チャンバのための物理的障壁として作用する。したがって、インビトロにおいて、プロテアソームは、26S粒子(「26Sプロテアソーム」)として存在すると考えられている。インビトロにおける実験では、20S型プロテアソームの阻害は、26Sプロテアソームの阻害と容易に相関付けられ得ることを示した。粒子形成の間のβサブユニットのアミノ末端プロ配列の切断は、アミノ末端トレオニン残基を露出し、このトレオニン残基は触媒性求核剤として作用する。したがって、プロテアソームにおける触媒活性を担うサブユニットは、アミノ末端求核性残基を有し、これらのサブユニットは、N末端求核剤(Ntn)ヒドロラーゼのファミリーに属する(ここで、求核剤N末端残基は、例えば、Cys、Ser、Thrなどの求核剤部分である)。このファミリーには、例えば、ペニシリンGアシラーゼ(PGA)、ペニシリンVアシラーゼ(PVA)、グルタミンPRPPアミドトランスフェラーゼ(GAT)、および細菌グリコシルアスパラギナーゼが含まれる。偏在的に発現したβサブユニットに加えて、高等脊椎動物もまた、3つのγ−インターフェロン誘導βサブユニット(LMP7、LMP2、およびMECL1)を有し、これらは、正常なβサブユニットであるX、Y、Zと、それぞれ置換され、これにより、プロテアソームの触媒作用を改変する。異なるペプチド基質の使用を通して、3つの主要なタンパク質分解活性、すなわち大きな疎水性残基の後ろを切断するキモトリプシン様活性(CT−L)、塩基性残基の後ろを切断するトリプシン様活性(T−L)、および酸性残基の後ろを切断するペプチジルグルタミルペプチド加水分解活性(PGPH)が、真核生物20Sプロテアソームに対して定義されている。それほど明らかとなっていない別の2つの活性、すなわち分枝鎖アミノ酸の後ろを切断するBrAAP活性、および小さな中性アミノ酸の後ろを切断するSNAAP活性も、プロテアソームに帰せられている。主要なプロテアソームタンパク質分解活性は、異なる触媒部位によりもたらされるようである。というのも、インヒビター、βサブユニットにおける点突然変異、およびγインターフェロン誘導βサブユニットの交換が、様々な程度に、これらの活性を改変するためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロテアソーム活性を阻害するために使用されている低分子の例がいくつかある。しかし、これらの化合物は、一般に、細胞レベルおよび分子レベルでプロテアソームの役割を探究し、活用するために必要な特異性、安定性、または効力が欠けている。したがって、部位特異性を増大し、安定性および溶解性を向上させ、効力を高めた低分子インヒビターの合成が、細胞レベルおよび分子レベルにおけるプロテアソームの役割の探究を可能にするために必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、ペプチドα’,β’−エポキシドおよびペプチドα’,β’−アジリジンとして公知の分子クラスの類似体およびプロドラッグに関する。親分子は、N−末端求核剤(Ntn)ヒドロラーゼに効率的、不可逆的、かつ選択的に結合すると理解され、複合的な触媒活性を有する酵素の特定の活性を特異的に阻害し得る。
【0006】
プロテアソームは、かつては変性タンパク質およびミスフォールドタンパク質を単に処理するのみと考えられていたが、現在はタンパク質分解機構を構成すると認識されている。このタンパク質分解機構は、シグナル依存性様式でのそれらの分解により、種々の細胞内タンパク質のレベルを調節する。したがって、プロテアソームおよびその他のNtnヒドロラーゼの活性を特異的に乱し、それにより生物学的プロセスにおけるこれらの酵素の役割を研究するためのプローブとして使用され得る試薬を特定することに大いに関心がある。Ntnヒドロラーゼを標的にする化合物についての類似体およびプロドラッグが、本明細書において記載され、合成され、そして検討される。強力に、選択的に、かつ不可逆的に、特定のプロテアソーム活性を阻害し得るペプチドエポキシドおよびペプチドアジリジンが、開示され、特許請求される。
【0007】
いくつかの他のペプチドベースのインヒビターとは違い、本明細書中に記載されるペプチドエポキシドおよびペプチドアジリジンは、50μMまでの濃度において、非プロテアソームプロテアーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシン、カテプシンB、パパイン、およびカルパイン)を、実質的に阻害するとは考えられない。より高い濃度においては、阻害が観察され得るが、インヒビターが単に基質と競合するだけであれば、競合的であり、かつ不可逆的ではないと考えられよう。この新規のペプチドエポキシドおよびペプチドアジリジンはまた、NF−κBの活性化を阻害し、かつ細胞培養においてp53レベルを安定化させると考えられる。さらに、これらの化合物は、抗炎症活性を有するとも考えられる。したがって、これらの化合物は、正常な生物学的プロセスおよび病理学的プロセスにおけるNtn酵素機能を探究するための汎用性を有する、独特の分子プローブであり得る。
【0008】
一局面において、本発明は、ヘテロ原子含有3員環を含むインヒビター類似体およびプロドラッグを提供する。これらのインヒビターは、約50μM未満の濃度で存在するとき、N末端求核剤ヒドロラーゼ酵素(例えば、20Sプロテアソーム、または26Sプロテアソーム)の触媒活性を阻害し得る。20Sプロテアソームに関しては、特定のヒドロラーゼインヒビターは、約5μM未満の濃度で存在するとき、20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性を阻害し、約5μM未満の濃度で存在するとき、20Sプロテアソームのトリプシン様活性またはPGPH活性を阻害しない。このヒドロラーゼインヒビターは、例えば、ペプチドα’,β’−エポキシケトンまたはペプチドα’,β’−アジリジンケトンであり得、このペプチドはテトラペプチドであり得る。このテトラペプチドは、分枝または非分枝の側鎖(例えば、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリール、C1〜6アラルキル、C1〜6アルキルアミド、C1〜6アルキルアミン、C1〜6カルボン酸、C1〜6カルボキシルエステル、C1〜6アルキルチオール、またはC1〜6アルキルチオエーテル;例えば、イソブチル、1−ナフチル、フェニルメチル、および2−フェニルエチル)を含み得る。このα’,β’−エポキシケトンまたはα’,β’−アジリジンケトンのα’−炭素は、キラル炭素原子(例えば、本明細書において定義されるような(R)またはβ配置を有する炭素)であり得る。
【0009】
別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア、および薬学的有効量のヒドロラーゼインヒビター類似体またはプロドラッグを含む薬学的組成物を提供する。この薬学的剤組成物は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、筋消耗性疾患(muscle−wasting disease)、癌、慢性感染性疾患、熱病、筋廃用(muscle disuse)、脱神経、神経損傷、飢餓状態、および免疫関連状態などの影響を改善する。
【0010】
別の局面において、本発明は、抗炎症性の組成物を提供する。
【0011】
別の局面において、本発明は、以下を実現するための方法を提供する:被験体におけるHIV感染を阻害または低減すること;被験体におけるウィルス遺伝子発現レベルに影響を及ぼすこと;生物体におけるプロテアソームによって産生される種々の抗原ペプチドを改変すること;生物体における細胞の発達過程もしくは生理的過程、またはそれらの出力が、特定のNtnヒドロラーゼのタンパク質分解活性により調節されるかどうか判定すること;被験体におけるアルツハイマー病を処置すること;細胞における筋タンパク質分解の速度を低下させること;細胞における細胞内タンパク質分解の速度を低下させること;細胞におけるp53タンパク質分解の速度を低下させること;被験体におけるp53関連癌の増殖を阻害すること;細胞における抗原提示を阻害すること;被験体の免疫系を抑制すること;生物体におけるIκB−α分解を阻害すること;細胞、筋肉、臓器または被験体におけるNF−κBの含有量を減少させること;サイクリン依存性真核細胞周期に影響を及ぼすこと;被験体における増殖性疾患を処置すること;細胞における腫瘍タンパク質のプロテアソーム依存性調節に影響を及ぼすこと;被験体における癌増殖を処置すると;被験体におけるp53関連アポトーシスを処置すること;ならびに、細胞におけるN末端求核剤ヒドロラーゼによって処理されるタンパク質をスクリーニングすること。これらの方法はそれぞれ、本明細書において開示されるヒドイロラーゼインヒビターを含有する有効量の組成物を、被験体、細胞、組織、臓器もしくは生物体に投与する工程、または接触させる工程を含む。
【0012】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、酵素インヒビターとして有用な化合物を包含する。これらの化合物は、概して、N末端において求核剤を有する酵素を阻害するのに有用である。例えば、側鎖において求核剤をもつN末端アミノ酸(例えば、トレオニン、セリンまたはシステイン)を有する酵素または酵素サブユニットの活性は、本明細書中に記載される酵素インヒビターにより効果的に阻害され得る。N末端において非アミノ酸求核剤(例えば、保護基または炭水化物)を有する酵素または酵素サブユニットの活性もまた、本明細書中に記載される酵素インヒビターによって効果的に阻害され得る。
【0014】
特定の作用理論により拘束されてはいないが、このようなNtnのN末端求核剤が、本明細書中に記載される酵素インヒビターのエポキシド官能基と共有結合付加体を形成すると考えられている。例えば、20Sプロテアソームのβ5/Pre2サブユニットにおいて、N末端トレオニンは、以下に記載するようなペプチドエポキシドまたはペプチドアジリジンとの反応の際に、モルホリノ付加体またはピペラジノ付加体を不可逆的に形成すると考えられている。このような付加体の形成には、エポキシドまたはアジリジンの開環切断が関与する。
【0015】
こういったα’炭素に結合した基を含む実施形態において、α’炭素(エポキシドまたはアジリジン環の一部を形成する炭素)の立体化学は、(R)または(S)となり得る。本発明は、一部、本明細書で開示される構造機能情報に基づき、次の好ましい立体化学関係を示唆する。好ましい化合物は、表示される上下関係(もしくはβ−α関係であり、本明細書中に描かれるとき、βはページ平面より上にある)または(R)−(S)関係を有する多くの立体中心を有し得る(つまり、化合物中のすべての立体中心が、上記好ましい立体化学と一致する必要はない)ということに注意されたい。いくつかの好ましい実施形態において、α’炭素の立体化学は(R)であり、これはつまり、X原子がβである、すなわちX原子が分子平面より上にあるということである。
【0016】
立体化学に関しては、絶対立体化学を決定するためのカーン−インゴルド−プレローグの法則に従う。この法則は、例えば、FoxおよびWhitesell、「Organic Chemistry」、Jones and Bartlett Publishers(Boston,MA)、1994年、5−6節、pp.177−178に記載されており、この節は、本明細書中に参考として援用される。ペプチドは骨格単位から延びる側鎖を有する反復骨格構造を有し得る。側鎖が水素原子となることもあるが、一般的に、各骨格単位は、側鎖を付随させている。他の実施形態においては、必ずしもすべての骨格単位が付随する側鎖を有しているわけではない。ペプチドエポキシドまたはペプチドアジリジンにおいて有用なペプチドは、2つ以上の骨格単位を有する。プロテアソームのキモトリプシン様(CT−L)活性を阻害するために有用ないくつかの実施形態においては、4個と8個との間の骨格単位が存在し、CT−L阻害のためのいくつかの好ましい実施形態においては、4個と6個との間の骨格単位が存在する。
【0017】
骨格単位から延びる側鎖としては、天然の脂肪族アミノ酸側鎖または芳香族アミノ酸側鎖、例えば、水素(グリシン)、メチル(アラニン)、イソプロピル(バリン)、sec−ブチル(イソロイシン)、イソブチル(ロイシン)、フェニルメチル(フェニルアラニン)、およびアミノ酸プロリンを構成する側鎖が挙げられ得る。側鎖はまた、他の分枝もしくは非分枝の脂肪族基または芳香族基、例えば、エチル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびアリールで置換された誘導体(例えば、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、(1−ナフチル)メチル、(2−ナフチル)メチル、1−(1−ナフチル)エチル、1−(2−ナフチル)エチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチル)、および類似化合物であり得る。このアリール基は、分枝もしくは非分枝のC1〜6アルキル基または置換アルキル基(例えば、アセチルなど)、あるいはアリール基または置換アリール基(例えば、ベンゾイルなど)でさらに置換され得る。ヘテロアリール基はまた、側鎖置換基としても使用され得る。ヘテロアリール基には、窒素含有アリール基、酸素含有アリール基、および硫黄含有アリール基、例えば、チエニル、ベンゾチエニル、ナフトチエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル(chromenyl)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、インドリル、プリニル、キノリルなどが含まれる。
【0018】
いくつかの実施形態において、極性残基または荷電残基が、ペプチドエポキシドまたはペプチドアジリジンに導入され得る。例えば、ヒドロキシ含有アミノ酸(Thr、Tyr、Ser)または硫黄含有アミノ酸(Met、Cys)といった天然のアミノ酸、および非必須アミノ酸(例えば、タウリン、カルニチン、シトルリン、シスチン、オルニチン、ノルロイシンなど)が導入され得る。荷電部分あるいは極性部分を有する非天然の側鎖置換基には、例えば、1つ以上のヒドロキシ、短鎖アルコキシ基、スルフィド基、チオ基、カルボキシル基、エステル基、ホスホ基、アミド基もしくはアミノ基、または1つ以上のハロゲン原子で置換されたこれらの置換基を有する、C1〜6アルキル鎖あるいはC6〜12アリール基もまた含まれ得る。いくつかの好ましい実施形態において、ペプチド部分の1つの側鎖には、少なくとも1つのアリール基が存在する。
【0019】
いくつかの実施形態において、骨格単位はアミド単位[−NH−CHR−C(=O)−]であり、このアミド単位において、Rは側鎖である。この記号表示は、天然に存在するアミノ酸プロリン、または他の天然に存在しない環式第二級アミノ酸を排除しないということが、当業者に理解されよう。
【0020】
他の実施形態において、骨格単位は、N−アルキル化されたアミド単位(例えば、N−メチルなど)、オレフィン類似体(この類似体では、1つ以上のアミド結合がオレフィン結合に置換されている)、テトラゾール類似体(この類似体では、テトラゾール環により骨格がシス配置になっている)、またはこれらの骨格結合の組み合せである。さらに他の実施形態において、アミノ酸のα炭素は、αアルキル置換基、例えば、アミノイソ酪酸によって修飾される。いくつかのさらなる実施形態において、側鎖が局所的に、例えば、ΔもしくはΔのデヒドロ修飾(この修飾において、側鎖のα原子とβ原子との間に二重結合が存在する)、または、例えば、ΔもしくはΔのシクロプロピル修飾(この修飾において、側鎖のα原子とβ原子との間にシクロプロピル基が存在する)により修飾される。アミノ酸基を使用するなおさらなる実施形態において、D−アミノ酸が使用され得る。さらなる実施形態においては、側鎖−骨格環化、ジスルフィド結合形成、ラクタム形成、アゾ結合、およびRobert A.Meyers編、「Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference」、VCH Publishers、1995年、pp.658−664中の、HrubyおよびBotejuによる「Peptides and Mimics,Design of Conformationally Constrained」で検討された他の修飾が含まれ得、これらの文献は本明細書中に参考として援用される。
【0021】
特定の実施形態では、主題の化合物が、米国特許出願公開第09/569748号で開示された化合物の類似体またはプロドラッグである。米国特許出願公開第09/569748号の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。適切な酵素インヒビターの類似体またはプロドラッグは、式(I)の構造を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩であり得、
【0022】
【化5】

ここで各Aは、C=O、C=S、およびSO(好ましくはC=O)から独立に選択されるか;または、Zが隣接して存在するとき、Aは必要に応じて共有結合であり;
Lは存在しないか、もしくはC=O、C=SおよびSOから選択され、好ましくは、Lが存在しないか、もしくはC=Oであり;
Mは存在しないか、もしくはC1〜12アルキルであって、好ましくは、C1〜8アルキルであり;
Qは存在しないか、もしくはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、好ましくは、Qが存在しないか、OもしくはNHであって、最も好ましくは、Qが存在しないか、もしくはOであり;
XはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、好ましくは、Oであり;
Yは存在しないか、もしくはO、NH、N−C1〜6アルキル、S、SO、SO、CHOR10およびCHCO10から選択され;
各Zは、O、S、NHおよびN−C1〜6アルキル(好ましくは、O)から独立に選択されるか、または、Aが隣接して存在するとき、Zは必要に応じて共有結合であり;
、R、RおよびRはそれぞれ、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリールおよびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはいずれも、アミド、アミン、カルボン酸(もしくはその塩)、エステル(C1〜5アルキルエステルおよびアリールエステルを含む)、チオール、またはチオエーテル置換基のうち、1つ以上の置換基と、必要に応じて置換され;
はN(R)LQRであり;
、R12、R13、およびR14は、水素、OH、C1〜6アルキル、および式IVの基から独立に選択され;好ましくは、Rは水素、OHおよびC1〜6アルキルから選択され、R12、R13、R14は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択され、好ましくは水素であり;
【0023】
【化6】

は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZAZ−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、RZAZ−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜12アルキル−、(R10−C1〜12アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHから選択され;好ましくは、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜8アルキル−、(R10−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHであって、ここで、ZおよびAの存在は、それぞれ独立に共有結合ではなく;あるいは、
およびRは一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ、もしくはC1〜6アルキル−Aであり、それにより環を形成しており;好ましくは、C1〜2アルキル−Y−C1〜2アルキル、C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキル、A−C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキル、A−C1〜3アルキル−A、もしくはC1〜4アルキル−Aであって、ここで、ZおよびAの存在は、それぞれ独立に共有結合ではなく;
およびRは、水素、金属カチオン、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから(好ましくは、水素、金属カチオンおよびC1〜6アルキルから)独立に選択されるか、または、RおよびRは一緒になってC1〜6アルキルであって、それにより環を形成しており;
各R10は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択され、好ましくはC1〜6アルキルであり;そして、
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択され、R15およびR16は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択されるか、またはR15およびR16は、一緒になって3員〜6員の炭素環式環または複素環式環を形成し;そして、R17およびR18は、水素、金属カチオン、C1〜6アルキル、およびC1〜6アラルキルから独立に選択されるか、またはR17およびR18が一緒になってC1〜6アルキルを表し、それにより環を形成しているが;
ただし、R、R12、R13およびR14が、HまたはCHであって、Qが存在しないとき、LRは水素、非置換C1〜6アルキルC=O、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)ではなく;あるいは、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールでなく;そして、
順列ZAZのいずれの存在においても、この順列の少なくとも一員が共有結合以外でなければならない。
【0024】
特定の実施形態において、RがHであって、LがC=Oであり、Qが存在しないとき、Rは水素、C1〜6アルキル、または置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリールではない。特定の実施形態において、RがHであってQが存在しないとき、RはGreene,T.W.およびWuts,P.G.M.、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1999年またはKocienski,P.J.、「Protecting Groups」、Georg Thieme Verlag、1994年に記載されるような保護基ではない。
【0025】
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRは、C1〜6アルキルまたはC1〜6アラルキルから選択される。好ましい実施形態において、RおよびRはC1〜6アルキルであり、RおよびRはC1〜6アラルキルである。最も好ましい実施形態において、RおよびRはイソブチルであり、Rは2−フェニルエチル、そしてRはフェニルメチルである。
【0026】
特定の実施形態において、LおよびQは存在せず、Rは、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから選択される。このような特定の実施形態において、RはC1〜6アルキルであり、Rはブチル、アリル、プロパルギル、フェニルメチル、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルから選択される。
【0027】
他の実施形態において、LはSOであり、Qが存在せず、RはC1〜6アルキルおよびアリールから選択される。このような特定の実施形態において、Rはメチルおよびフェニルから選択される。
【0028】
特定の実施形態において、LはC=Oであり、RはC1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜8アルキル−、(R10−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONH−から選択され、ここでZおよびAの存在は、それぞれ独立に共有結合以外である。特定の実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、RはHである。
【0029】
特定の実施形態において、RはC1〜6アルキルであって、RはC1〜6アルキルであり、Qは存在せず、Lは=Oである。このような特定の実施形態において、Rはエチル、イソプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、または2−(メチルスルホニル)エチルである。
【0030】
他の実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、RはC1〜6アラルキルである。このような特定の実施形態において、Rは2−フェニルエチル、フェニルメチル、(4−メトキシフェニル)メチル、(4−クロロフェニル)メチル、および(4−フルオロフェニル)メチルから選択される。
【0031】
他の実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、RはC1〜6アルキルであって、Rはアリールである。このような特定の実施形態において、Rは置換または非置換のフェニルである。
【0032】
特定の実施形態において、LはC=Oであって、Qは存在しないか、もしくはOであり、nは0または1であり、Rは−(CHカルボシクリルである。このような特定の実施形態において、Rはシクロプロピルまたはシクロヘキシルである。
【0033】
特定の実施形態において、LおよびAはC=Oであり、Qは存在せず、ZはOであり、nは1〜8(好ましくは1)の整数であり;そして、RはRZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、およびヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−から選択され、ここで、Aの存在は、それぞれ独立に共有結合以外である。このような特定の実施形態において、RはヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−であり、ここでヘテロシクリルは、置換もしくは非置換のオキソジオキソレニル、またはN(R12)(R13)であり、ここで、R12およびR13は一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキルであり、好ましくは、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルであり、それにより環を形成している。
【0034】
特定の好ましい実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、nは1〜8の整数であり、Rは(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜8アルキル、(R10(CH−、およびヘテロシクリル−M−から選択される。このような特定の実施形態において、Rは−C1〜8アルキルN(R10または−C1〜8アルキルN(R10であり、ここで、R10はC1〜6アルキルである。他のこのような特定の実施形態において、RはヘテロシクリルM−であり、ここで、ヘテロシクリルは、モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、およびピロリジノから選択される。
【0035】
特定の実施形態において、LはC=Oであり、RはC1〜6アルキルであり、QはOおよびNHから選択され、RはC1〜6アルキル、シクロアルキル−M、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから選択される。他の実施形態において、LはC=Oであって、RはC1〜6アルキルであり、QはOおよびNHから選択され、RはC1〜6アルキルであり、ここで、C1〜6アルキルはメチル、エチルおよびイソプロピルから選択される。さらなる実施形態において、LはC=Oであり、RはC1〜6アルキルであり、QはOおよびNHから選択され、RはC1〜6アラルキルであり、ここで、アラルキルはフェニルメチルである。他の実施形態において、LはC=Oであり、RはC1〜6アルキルであり、QはOおよびNHから選択され、RはC1〜6ヘテロアラルキルであり、ここで、ヘテロアラルキルは(4−ピリジル)メチルである。
【0036】
特定の実施形態において、Lは存在しないかC=Oであって、RおよびRが一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZA−C1〜6アルキル、またはC1〜6アルキル−Aであり、ここで、ZおよびAの存在が、それぞれ独立に共有結合以外であり、それにより環を形成している。特定の好ましい実施形態において、LはC=Oであり、QおよびYは存在せず、RおよびRが一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである。別の好ましい実施形態において、LおよびQは存在せず、RおよびRは一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである。別の好ましい実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、YはNHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、RおよびRは一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである。別の好ましい実施形態において、LはC=Oであり、Yは存在せず、RおよびRは一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである。別の好ましい実施形態において、LおよびAはC=Oであり、RおよびRが一緒になって、C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキルである。別の好ましい実施形態において、LおよびAはC=Oであり、RおよびRが一緒になって、C2〜3アルキル−Aである。
【0037】
特定の実施形態において、式Iの化合物は以下の立体化学を有する。
【0038】
【化7】

好ましい実施形態において、インヒビターは、式IIの構造を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0039】
【化8】

ここで、各AはC=O、C=SおよびSOから(好ましくは、C=O)独立に選択されるか、または、Zが隣接して存在するとき、Aは必要に応じて共有結合であり;
Lは存在しないか、もしくはC=O、C=SおよびSOから選択され、好ましくは、Lが存在しないか、もしくはC=Oであり;
Mは存在しないか、もしくはC1〜12アルキルであって、好ましくはC1〜8アルキルであり;
Qは存在しないか、もしくはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、好ましくは、Qが存在しないか、O、もしくはNHであり、最も好ましくは、Qが存在しないか、もしくはOであり;
XはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、好ましくは、Oであり;
Yは存在しないか、もしくはO、NH、N−C1〜6アルキル、S、SO、SO、CHOR10およびCHCO10から選択され;
各Zは、O、S、NHおよびN−C1〜6アルキル(好ましくはO)から独立に選択されるか、または、Aが隣接して存在するとき、Zは必要に応じて共有結合であり;
およびRはそれぞれ、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリールおよびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはいずれも、アミド、アミン、カルボン酸(もしくはその塩)、エステル(C1〜5アルキルエステルおよびアリールエステルを含む)、チオール、またはチオエーテル置換基のうち、1つ以上の置換基で、必要に応じて置換され;
はN(R)LQRであり;
は、水素、OH、およびC1〜6アルキルから選択され、好ましくは、C1〜6アルキルであり;
は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZAZ−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、RZAZ−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜12アルキル−、(R10−C1〜12アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHから選択され;好ましくは、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜8アルキル−、(R10−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHであって、ここで、ZおよびAの存在は、それぞれ独立に共有結合ではなく;あるいは、
およびRは一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ、もしくはC1〜6アルキル−Aであり、それにより環を形成しており;好ましくは、C1〜2アルキル−Y−C1〜2アルキル、C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキル、A−C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキル、A−C1〜3アルキル−A、もしくはC1〜4アルキル−Aであって、ここで、ZおよびAの存在は、それぞれ独立に共有結合ではなく;
およびRは、水素、金属カチオン、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから(好ましくは、水素、金属カチオンおよびC1〜6アルキルから)独立に選択されるか、または、RおよびRは一緒になってC1〜6アルキルであって、それにより環を形成しており;
各R10は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択され、好ましくはC1〜6アルキルであり;そして、
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択され、
ただし、Rが、HまたはCHであって、Qが存在しないとき、LRは水素、非置換C1〜6アルキルC=O、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)ではなく;あるいは、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールでなく;そして、
順列ZAZのいずれの存在においても、この順列の少なくとも一員が共有結合以外でなければならない。
【0040】
特定の実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、XはOであって、RはHであり、RおよびRはC1〜6アルキルおよびC1〜6アラルキルから選択される。好ましいこのような実施形態において、RおよびRはC1〜6アルキルである。最も好ましいこのような実施形態において、RおよびRはイソブチルである。
【0041】
特定の実施形態において、LはC=Oであり、Qは存在せず、XはOであって、RはH、RおよびRはイソブチル、RはヘテロシクリルM−であり、ここで複素環は、窒素を含有する複素環、例えば、ピペラジノ(N−(低級アルキル)ピペラジノを含む)、モルホリノ、およびピペリジノである。好ましいこのような実施形態において、MはCHである。
【0042】
特定の実施形態において、式IIの化合物は、以下の式から選択される。
【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
【化12】

【0047】
【化13】

【0048】
【化14】

【0049】
【化15】

特定の実施形態において、主題の化合物は、米国特許出願公開第09/569748号で開示された化合物のリン酸を含有するプロドラッグであり、この特許文献の内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される。Ntnのキモトリプシン様(CT−L)活性阻害のための酵素インヒビタープロドラッグは、式(III)の構造を有するか、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0050】
【化16】

ここで、XはO、NH、およびN−アルキルから選択され、好ましくはOであり;
、R、RおよびRは、水素および式IVの基から独立に選択されるが、ただし、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは式IVの基であり;
【0051】
【化17】

、R、RおよびRは、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリール、およびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはそれぞれ、アミド、アミン、カルボン酸またはその薬学的に受容可能な塩、カルボン酸エステル、チオールおよびチオエーテルから選択される基で必要に応じて置換され;
は、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、水素、C1〜6アシル、保護基、アリール、またはヘテロアリールであって、ここで置換基としては、ハロゲン、カルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、アリール、およびC1〜5アルキルが挙げられ得;
10およびR11は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択されるか、またはR10およびR11は一緒になって、3員〜6員の炭素環式環もしくは複素環式環を形成し;
12およびR13は、水素、金属カチオン、C1〜6アルキルおよびC1〜6アラルキルから独立に選択されるか、またはR12およびR13は一緒になってC1〜6アルキルを表し、それにより環を形成し;そして、
Lは存在しないか、または−COもしくは−C(=S)Oから選択される。
【0052】
ペプチド合成の当業者に公知である適切なN末端保護基としては、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、およびトリクロロエトキシカルボニル(Troc)などが挙げられる。種々のN−保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、またはt−ブチルオキシカルボニル基(Boc))、種々のカップリング試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)、N−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HATU)、カルボニルジイミダゾール、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールモノハイドレート(HOBT))、および種々の切断条件(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジオキサン中のHCl、有機溶媒(例えば、メタノールもしくは酢酸エチル)中のPd−Cによる水素化、ボロントリス(トリフルオロアセテート)およびブロモシアン)の使用、ならびに中間体の単離および精製を伴なう溶液中での反応は、ペプチド合成の技術分野で周知であり、主題の化合物の調製に同様に適用可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つが水素であり、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つが式IVの構造を有する。好ましい実施形態において、R、R、RおよびRのうちのいずれか3つが水素であり、R、R、RおよびRのうちのいずれか1つが式IVの構造を有する。最も好ましい実施形態において、Rは式IVの構造を有し、R、RおよびRは水素である。
【0054】
特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、C1〜6アルキルまたはC1〜6アラルキルである。好ましい実施形態において、RおよびRはC1〜6アルキルであり、RおよびRはC1〜6アラルキルである。最も好ましい実施形態において、RおよびRはイソブチルであって、Rは2−フェニルエチルであり、Rはフェニルメチルである。特定の実施形態において、Rは、水素、C1〜6アシルまたは保護基から選択される。好ましい実施形態において、Rは水素またはアセチルである。最も好ましい実施形態では、Rはアセチルである。
【0055】
特定の実施形態において、R10およびR11は、水素およびC1〜6アルキルから選択される。好ましい実施形態において、R10は水素であり、R11はC1〜6アルキルである。さらに好ましい実施形態において、R10は水素であり、R11はメチルである。別の好ましい実施形態において、R10およびR11はともに水素である。特定の実施形態において、R12およびR13はC1〜6アルキル、金属カチオンまたはC1〜6アラルキルである。特定の好ましい実施形態において、R12およびR13は、ベンジル、t−ブチルおよびナトリウムカチオンから選択される。より好ましい実施形態において、R12およびR13はともにベンジルまたはt−ブチルである。最も好ましい実施形態において、R12およびR13のうちの少なくとも一方がナトリウムカチオンである。
【0056】
特定の実施形態において、式IIIの化合物は次の立体化学を有する。
【0057】
【化18】

好ましい実施形態において、インヒビターは、式Vの構造か、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0058】
【化19】

ここで、XはO、NH、およびN−アルキルから選択され、好ましくはOであり;
、R、RおよびRは、水素および式IVの基から独立に選択されるが、ただし、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが式IVの基であり;
およびRは、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリール、およびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはそれぞれ、アミド、アミン、カルボン酸またはその薬学的に受容可能な塩、カルボン酸エステル、チオールおよびチオエーテルから選択される基で必要に応じて置換され;
は、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、水素、アシル、保護基、アリール、またはヘテロアリールであって、ここで置換基には、ハロゲン、カルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、アリール、およびC1〜5アルキルが含まれ得る。ペプチド合成の技術分野において公知である適切なN末端保護基としては、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、およびトリクロロエトキシカルボニル(Troc)などが挙げられ;そして、
いくつかの実施形態において、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つが水素であり、R、R、RおよびRのうちのいずれか2つが式IVの構造を有する。好ましい実施形態において、R、R、RおよびRのうちのいずれか3つが水素であり、R、R、RおよびRのうちのいずれか1つが式IVの構造を有する。最も好ましい実施形態において、Rは式IVの構造を有し、R、RおよびRは水素である。
【0059】
特定の実施形態において、RおよびRは、C1〜6アルキルまたはC1〜6アラルキルである。好ましい実施形態において、RおよびRはC1〜6アルキルである。最も好ましい実施形態において、RおよびRはイソブチルである。特定の実施形態において、Rは、水素、C1〜6アシルまたは保護基から選択される。好ましい実施形態において、Rは水素またはアセチルである。最も好ましい実施形態では、Rはアセチルである。
【0060】
特定の実施形態では、R10およびR11は、水素およびC1〜6アルキルから選択される。好ましい実施形態において、R10は水素であり、R11はC1〜6アルキルである。さらに好ましい実施形態において、R10は水素であり、R11はメチルである。別の好ましい実施形態において、R10およびR11はともに水素である。特定の実施形態において、R12およびR13はC1〜6アルキル、金属カチオンまたはC1〜6アラルキルである。特定の好ましい実施形態において、R12およびR13は、ベンジル、t−ブチルおよびナトリウムカチオンから選択される。より好ましい実施形態において、R12およびR13はともにベンジルまたはt−ブチルである。最も好ましい実施形態において、R12およびR13のうちの少なくとも一方がナトリウムカチオンである。
【0061】
特定の実施形態において、RおよびRはC1〜6アルキルである。好ましい実施形態において、RおよびRはイソブチルである。好ましい実施形態において、Rは水素またはアセチルである。最も好ましい実施形態において、Rはアセチルである。好ましい実施形態において、R10は水素であり、R11はメチルである。別の好ましい実施形態において、R10およびR11はともに水素である。特定の実施形態において、R12およびR13はC1〜6アルキル、金属カチオン、またはC1〜6アラルキルである。特定の好ましい実施形態において、R12およびR13は、ベンジル、t−ブチルおよびナトリウムカチオンから選択される。より好ましい実施形態において、R12およびR13は、ともにベンジルまたはt−ブチルである。最も好ましい実施形態において、R12およびR13は少なくとも一方がナトリウムカチオンである。
【0062】
特定の実施形態において、具体的に排除される化合物は、米国特許第6,831,099号で開示され、この特許文献の開示は、その全体が本明細書により参考として援用される。
【0063】
本発明の一局面は、式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターを含有する本明細書において開示する組成物を含む医療デバイスに関する。一実施形態において、この組成物は医療デバイス内に組み込まれる。特定の実施形態において、医療デバイスはポリマーマトリクスまたはセラミックマトリクス、およびインヒビターを含有するゲルである。このポリマーは天然に存在するか合成物のどちらかであり得る。別の実施形態において、このゲルは、薬剤貯留槽、接着剤、縫合糸、バリア、密封材として作用する。
【0064】
本発明の別の側面は、表面に、式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターが配置される基質を含有する医療デバイスに関する。一実施形態において、このインヒビターは医療デバイスに直接配置される。別の実施形態において、コーティングがそのように配置され、このコーティングは、式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターを含む、ポリマーマトリクスまたはセラミックマトリクスを含有し、そこで分散または溶解される。
一実施形態において、医療デバイスは、冠状動脈用、脈管用、末梢用、または胆管用のステントである。より具体的には、本発明のステントは、膨張可能なステントである。式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターを含有するマトリクスで被覆されるとき、このマトリクスは、そのような膨張可能なステントの圧縮状態および膨張状態を収容するための柔軟性がある。本発明の別の実施形態において、このステントは、少なくとも患者の体内に挿入可能もしくは移植可能な部分を有し、この部分は身体組織への曝露に対して適合する表面を有し、かつこの表面の少なくとも一部が、式I、式II、式IIIもしくは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターで被覆されるか、または式I、式II、式IIIもしくは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターが分散もしくは溶解されたマトリクス含むコーティングで被覆される。適切なステントの例は、米国特許第4,733,665号に開示されており、この特許文献は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0065】
別の実施形態において、本発明の医療デバイスは、外科手術用器具、例えば、血管インプラント、管腔内デバイス、外科手術用密封材または血管支持体(vascular support)である。より具体的には、本発明の医療デバイスは、カテーテル、移植可能血管アクセスポート、中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、代用血管、大動脈内バルーンポンプ、縫合糸、補助人工心臓ポンプ、薬剤溶出バリア(drug−eluting barrier)、接着剤、血管ラップ(vascular wrap)、脈管外/脈管周囲支持具、血液フィルタすなわち血管内に配置するように適合されたフィルタであり、これらは直接、または式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターを含有するマトリクスにより、式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターで被覆される。
【0066】
特定の実施形態において、管腔内医療デバイスは、式I、式II、式IIIもしくは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビター、または生物学的耐性があるマトリクスおよび式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有し、ポリマー内に分散されるインヒビターを含有するコーティングで被覆される。このデバイスは、内面、および外面を有しており、内面、外面、またはその両方の少なくとも一部にコーティングが適用される。
【0067】
特定の実施形態において、この医療デバイスは、血管形成後の再狭窄を予防するのに有用であり得る。この医療デバイスはまた、式I、式II、式IIIまたは式Vのうちのいずれか1つの構造を有するインヒビターの局所投与を実施することによる、種々の疾患および状態の処置に対して有用であり得る。このような疾患および状態には、再狭窄、炎症、関節リウマチ、炎症による組織損傷、過剰増殖性疾患、重症乾癬または関節炎性乾癬、筋消耗性疾患、慢性感染性疾患、異常免疫応答、易損性プラークが関与する状態、虚血性状態に関連する損傷、ウィルス感染、およびウィルス増殖が含まれる。本発明の薬剤で被覆された医療デバイスを含む処置に供する疾患および状態の例としては、アテローム硬化症、急性冠動脈症候群、アルツハイマー病、癌、熱病、筋廃用(萎縮)、脱神経、血管閉塞、発作、HIV感染、神経損傷、アシドーシスに関連する腎不全、および肝不全が挙げられる。例えば、Goldbergによる米国特許第5,340,736号を参照されたい。
【0068】
用語「Cx〜yアルキル」は、鎖にx個〜y個の炭素を含む直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基を含む置換もしくは非置換の飽和炭化水素基であるものをいい、例えば、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなどのハロアルキル基が挙げられる。Cアルキルは、この基が末端位置にあれば水素を意味し、内側にあれば結合を意味する。用語「C2〜yアルケニル」および「C2〜yアルキニル」は、長さが類似している置換もしくは非置換の脂肪族基であって、上記のアルキル類と置換可能であり、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含むものをいう。
【0069】
用語「アルコキシ」は、結合した酸素を有するアルキル基のことをいう。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、酸素と共有結合している2個の炭化水素である。したがって、アルキルをエーテルに変えるアルキルの置換基は、アルコキシであるか、またはアルコキシに類似している。
【0070】
用語「C1〜6アルコキシアルキル」は、アルコキシ基で置換され、それによりエーテルを形成しているC1〜6アルキル基のことをいう。
【0071】
用語「C1〜6アラルキル」は、本明細書において使用されるとき、アリール基で置換されたC1〜6アルキル基のことをいう。
【0072】
用語「アミン」および「アミノ」は、当該技術分野において認識されており、非置換および置換両方のアミン、ならびにその塩、例えば、一般式:
【0073】
【化20】

により表し得る部分のことをいう。
【0074】
ここで、R、R10およびR10’は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−Rを表し、また、RおよびR10は、それらが結合するN原子と一緒になって、環状構造に4個〜8個の原子を有する複素環を完成させ;Rはアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、またはポリシクリルを表す;そして、mは0、または1〜8の整数である。好ましい実施形態において、RおよびR10のうちの一方のみ、カルボニルであり得る。すなわち、R、R10および窒素が一緒になってイミドを形成することはない。さらにより好ましい実施形態において、RおよびR10(および必要に応じてR10’)は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH−Rを表す。特定の実施形態において、このアミノ基は塩基性であり、このことはアミノ基がpK≧7.00を有することを意味する。これらの官能基のプロトン化された形態は、7.00を超えるpKを有する。
【0075】
用語「アミド(amideおよびamido)」は、アミノで置換されたカルボニルとして当該技術分野において認識されており、一般式;
【0076】
【化21】

により示し得る部分を含む。ここで、RおよびR10は上記で定義したとおりである。アミドの好ましい実施形態はは、不安定であり得るイミドを含まない。
【0077】
用語「アリール」は、本明細書において使用されるとき、5員、6員および7員の置換または非置換の単環芳香族基を含み、この環の各原子は炭素である。用語「アリール」には、2つの隣接する環が2つ以上の炭素を共有し、少なくとも1つの環が芳香族である2つ以上の環式環を有する多環式環系を包含する。すなわち、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。アリール基には、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが含まれる。
【0078】
用語「炭素環」および「カルボシクリル」は、本明細書において使用されるとき、非芳香族の置換または非置換の環のことであり、この環中の各原子が炭素であるものをいう。用語「炭素環」および「カルボシクリル」はまた、2つの隣接する環が2つ以上の炭素を共有し、少なくとも1つの環が炭素環式である2つ以上の環式環を有する多環式環系を包含する。すなわち、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであり得る。
【0079】
用語「カルボニル」は、当該技術分野で認識されており、一般式:
【0080】
【化22】

により表され得るような部分を含んでいる。ここで、Xは結合であるか、または酸素もしくは硫黄を表し、R11は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH−Rまたは薬学的に受容可能な塩を表し、R11’は、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH−Rを表しており、ここで、mおよびRは上記で定義したとおりである。Xが酸素であって、R11またはR11’が水素ではない場合、この式は「エステル」を表す。Xが酸素であって、R11が水素である場合、この式は「カルボン酸」を表す。
【0081】
本明細書において使用されるとき、「酵素」は部分的、もしくは完全ななんらかのタンパク質分子であり得、このタンパク質分子は、触媒のように化学反応を行なう。このような酵素は、天然酵素、融合酵素、酵素原、アポ酵素、変性酵素、ファルネシル化酵素、ユビキチン化酵素、脂肪酸アシル化酵素、ゲランゲラニル化(gerangeranylated)酵素、GPI結合(GPI−linked)酵素、脂質結合(lipid−linked)酵素、プレニル化酵素、天然に存在する突然変異酵素、人工的に生じさせた突然変異酵素、側鎖または骨格が改変された酵素、リーダー配列を有する酵素、および非タンパク質性物質との複合体酵素(例えば、プロテオグリカン、プロテオリポソーム)であり得る。酵素は、自然発現、促進された発現、クローニング、種々の液体ベースおよび固体ベースのペプチド合成、ならびに、当業者に公知の類似した方法を含む任意の手段により生成され得る。
【0082】
用語「C1〜6ヘテロアラルキル」は、本明細書において使用されるとき、ヘテロアリール基と置換されたC1〜6アルキル基のことをいう。
【0083】
用語「ヘテロアリール」は、置換または非置換の芳香族5員〜7員環(より好ましくは、5員〜6員環)構造を包含し、この環構造には1個〜4個のヘテロ原子が含まれる。この用語「ヘテロアリール」はまた、2つの隣接する環が2つ以上の炭素を共有し、少なくとも1つの環が複素環式芳香族である2つ以上の環式環を有する多環式環系を包含する。すなわち、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/または、ヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが含まれる。
【0084】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書において使用されるとき、炭素または水素以外のあらゆる元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、窒素、酸素、リン、および硫黄である。
【0085】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式基」は、置換または非置換の非芳香族3員〜10員環構造、より好ましくは、3員〜7員環であって、この環構造に1個〜4個のヘテロ原子を含むものをいう。この用語「ヘテロシクリル」または「複素環式基」はまた、2つの隣接する環が2つ以上の炭素を共有し、少なくとも1つの環が複素環式である2つ以上の環式環を有する多環式環系を包含する。すなわち、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/または、ヘテロシクリルであり得る。複素環基には、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタムなどが含まれる。
【0086】
用語「C1〜6ヒドロキアルキル」は、ヒドロキシ基で置換されるC1〜6アルキル基のことをいう。
【0087】
本明細書において使用されるとき、用語「インヒビター」は、酵素の活性を妨げるか、または低下させる(例えば、suc−LLVY−AMC、Box−LLR−AMCおよびZ−LLE−AMCといった標準蛍光性ペプチド基質のタンパク質分解切断の阻害、20Sプロテアソームの種々の触媒活性の阻害)化合物について記載することを意図される。インヒビターは、競合的阻害、不競合的阻害(uncompetitive)、または非競合的阻害(noncompetitive)を有して作用し得る。インヒビターは、可逆的または不可逆的に結合し得、したがって、この用語には、酵素の自殺基質である化合物が含まれる。インヒビターは、酵素の活性部位において、またはその近くで1つ以上の部位を改変し得るか、または酵素の他の部分における配座変化を引き起こし得る。
【0088】
本明細書において使用されるとき、用語「ペプチド」は、以下で詳細に述べるように、標準的なα置換基との標準的なアミド結合を含むだけでなく、一般に使用されるペプチド模倣物、他の修飾された結合、天然に存在しない側鎖、および側鎖修飾も包含する。
【0089】
用語「ポリシクリル」または「多環式」は、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)であって、2つの隣接する環(すなわち、縮合環)が2つ以上の炭素を共有するものをいう。この多環のそれぞれの環は、置換または非置換であり得る。
【0090】
用語「予防する(preventing)」は、当該技術分野で認識されており、ある状態、例えば、局所再発(例えば、疼痛)、癌などの疾患、心不全などの複合症候群(syndrome complex)、または他の病状に関連して使用されるとき、当該技術分野では十分に理解されており、組成物を与えられていない被験体と比較し、被験体における医学的状態の症状の頻度を減少させるか、または症状の発現を遅延させる組成物の投与を包含する。したがって、癌の予防には、例えば、無処置の対照集団と比較して、予防的治療を受けている患者集団において検出可能な癌増殖数を減少させること、および/または、無処置の対照集団に対し、処置された集団における検出可能な癌の増殖出現を、例えば、統計的にかつ/または臨床的に有意な量、遅延させることを包含する。感染症の予防は、例えば、無処置の対照集団に対し、処置された集団における感染の診断数を減少させること、および/または、無処置の対照集団に対し、処置された集団において感染の症状の発症を遅延させることを包含する。疼痛の予防は、例えば、無処置の対照集団に対し、処置された集団の被験体が経験する痛覚の強度を軽減するか、あるいは遅延させることを包含する。
【0091】
用語「プロドラッグ」は、生理学的条件の下、治療的に活性な薬剤に改変される化合物を包含する。プロドラッグを生成するための共通法は、生理学的条件の下、加水分解により所望の分子を引き出す選択される部分を含むことである。他の実施形態において、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性によって変換される。
【0092】
用語「予防的(prophylactic)または治療的」処置は、当該技術分野で認識されており、1つ以上の主題の組成物を宿主に投与することを包含する。好ましくない状態(すなわち、宿主動物の疾患または他の好ましくない状態)の臨床的顕在化に先立って投与されれば、その処置は予防的であり(すなわち、その処置が好ましくない状態を発症することから宿主を保護する)、一方で、好ましくない状態の臨床的顕在化後に投与されれば、その処置は治療的である(すなわち、その処置が存在する好ましくない状態またはその副作用を減少させ、改善させ、安定させることが意図される)。
【0093】
用語「プロテアソーム」は、本明細書において使用されるとき、免疫プロテアソーム、および構成プロテアソームを含んでいることを意図される。
【0094】
用語「置換」は、骨格の1つ以上の炭素において、水素を置き換える置換基を有する部分のことをいう。「置換」または「〜で置換された」は、このような置換が、置換された原子と置換基との許容される原子価に従っており、この置換が安定した化合物をもたらす、すなわち、この安定した化合物は、例えば、転位、環化、脱離による転換を自発的に行わないという条件を内包していることを理解されたい。本明細書において使用されるとき、用語「置換」は、許容可能な置換基をすべて含むことを意図される。広範な局面において、許容可能な置換基には、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の有機化合物の置換基が含まれる。この許容可能な置換基は、1つ以上であり得、適切な有機化合物により同じもしくは異なり得る。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基、および/または、本明細書中に記載される許容可能なすべての有機化合物の置換基を有して、ヘテロ原子の原子価を満たし得る。置換基は、例えば、ハロゲン部分、ヒドロキシル部分、カルボニル部分(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル)、チオカルボニル部分(例えば、チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメート)、アルコキシル部分、ホスホリル部分、リン酸部分、ホスホン酸部分、次亜リン酸部分、アミノ部分、アミド部分、アミジン部分、イミン部分、シアノ部分、ニトロ部分、アジド部分、スルフヒドリル部分、アルキルチオ部分、硫酸部分、スルホネート部分、スルファモイル部分、スルホンアミド部分、スルホニル部分、ヘテロシクリル部分、アラルキル部分、または芳香族もしくは複素芳香族部分が含まれ得る。炭化水素鎖の置換された部分は、適切であれば、それ自体が置換され得るということを、当業者は理解されよう。
【0095】
主題の処置方法に関する化合物の「治療有効量」は、処置されるべき障害もしくは状態、あるいは美容目的の臨床学的に受容可能な標準に従って、すなわち、いずれの医療処置にも適用可能な妥当な利益対危険比で、(哺乳類、好ましくはヒトに)所望の投薬量レジメンの一部として投与されたとき、症状を緩和するか、状態を改善するか、または疾病状態の発現を遅らせる調製における化合物の量のことをいう。
【0096】
用語「チオエーテル」は、結合した硫黄部分を有する、上記で定義されるようなアルキル基のことをいう。好ましい実施形態において、「チオエーテル」は、S−アルキルにより表される。代表的なチオエーテル基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0097】
本明細書において使用されるとき、用語「処置する」または「処置」は、被験体の状態を改善または安定させるように、症状、臨床兆候、および状態の根本的な病理を、逆転、軽減、または阻止することを包含する。
【0098】
(20Sプロテアソームに対する選択性)
本明細書において開示される酵素インヒビター類似体およびプロドラッグが有用である理由は、1つには、それらが20Sプロテアソームの作用を阻害するためである。加えて、他の20Sプロテアソームインヒビターと異なり、本明細書において開示されるこの化合物は、他のプロテアーゼと比較して、20Sプロテアソームに対し、高度に選択的である。つまり、このまさに本発明の化合物は、他のプロテアーゼ、例えば、カテプシン、カルパイン、パパイン、キモトリプシン、トリプシン、トリペプチジルペプチダーゼIIに対してよりも、20Sプロテアソームに対する選択性を示す。20Sプロテアソームに対する酵素インヒビターの選択性は、約50μM未満の濃度において、この酵素インヒビターが20Sプロテアソームの触媒活性の阻害を示す一方で、他のプロテアーゼ(例えば、カテプシン、カルパイン、パパイン、キモトリプシン、トリプシン、トリペプチジルペプチダーゼII)の触媒活性の阻害を示さないというものである。好ましい実施形態において、この酵素インヒビターは、約10μM未満の濃度において、20Sプロテアソームの触媒活性の阻害を示す一方で、これらの濃度における他のプロテアーゼの触媒活性の阻害を示さない。さらにより好ましい実施形態において、この酵素インヒビターは、約1μM未満の濃度において、20Sプロテアソームの触媒活性の阻害を示す一方で、これらの濃度における他のプロテアーゼの触媒活性の阻害を示さない。酵素速度論アッセイは、米国特許出願公開第09/569748号の実施例2、およびSteinら、「Biochem」、1996年、35、pp.3899−3908に開示されている。
【0099】
(キモトリプシン様活性に対する選択性)
本明細書において開示される酵素を阻害する類似化合物およびプロドラッグ化合物の特定の実施形態がさらに有用であるという別の理由は、トリプシン様活性およびPGPH活性と比較すると、20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性を、効率的かつ選択的に阻害し得ることである。20Sプロテアソームのキモトリプシン様活性は、大きな疎水性残基のすぐ傍におけるペプチドの切断により特徴づけられる。特に、Ntnヒドロラーゼのキモトリプシン様活性は、標準基質の切断により判定し得る。このような基質の例は、当該分野において公知である。例えば、ロイシルロイシルバリニルチロシン(leucylleucylvalinyltyrosine)誘導体が、使用され得る。酵素速度論アッセイは、米国特許出願公開第09/569748号の実施例2、およびSteinら、「Biochem」、1996年、35、pp.3899−3908に開示されている。
【0100】
(酵素インヒビターの用途)
プロテアソーム阻害の生物学的影響は、数多くある。細胞レベルにおいて、ポリユビキチン化したタンパク質の蓄積、細胞形態学的変化、およびアポトーシスが種々のプロテアソームインヒビターを用いた細胞の処置に関して報告されている。プロテアソーム阻害はまた、実行可能な抗腫瘍の治療戦略としても提案されている。エポキソミシン(epoxomicin)が、抗腫瘍化合物についてのスクリーニングにおいて最初に同定されたという事実は、プロテアソームが抗腫瘍化学療法の標的であることを立証している。従って、これらの化合物は、癌を処置するのに有用である。プロテアソーム阻害はまた、NF−κB活性化の阻害、およびp53レベルの安定化と関連付けられている。つまり、本発明の化合物はまた、NF−κB活性化を阻害するため、および細胞培養におけるp53レベルを安定化させるためにも使用し得る。NF−κBは、炎症の重要な調節因子であるので、それは、抗炎症性治療介入のための魅力的な標的である。つまり、本発明の化合物は、COPD、乾癬、気管支炎、気腫、および嚢胞性線維症を含む(ただし、これらに限定されない)慢性炎症と関連づけられる状態の処置に対して有用であり得る。
【0101】
開示される化合物は、プロテアソームのタンパク質分解機能により直接的に媒介される状態(例えば、筋消耗)、またはNF−κBなどのプロテアソームによって処理されるタンパク質を介して間接的に媒介される状態を処置するために使用され得る。プロテアソームは、細胞調節(すなわち、細胞周期、遺伝子転写、および代謝経路)、細胞内連絡、および免疫応答(すなわち、抗原提示)に関連するタンパク質(すなわち、酵素)の迅速除去および翻訳後プロセシングに関与する。以下に検討される具体的な例には、β−アミロイドタンパク質および調節タンパク質(例えば、サイクリンおよび転写因子NF−κB)が含まれる。
【0102】
本発明の別の実施形態は、本明細書において開示される化合物の、神経変性疾患および状態(例えば、発作、神経系に対する虚血性損傷、神経外傷(例えば、衝撃性脳損傷、脊髄損傷、および神経系に対する外傷性損傷)、多発硬化症、および他の免疫媒介性ニューロパシー(例えば、ギラン・バレー症候群およびその改変体、急性運動軸策ニューロパシー、急性炎症脱髄性多発ニューロパシー、およびフィッシャー症候群)、HIV/AIDs認知症症候群、軸策障害、糖尿病ニューロパシー、パーキンソン疾患、ハンティングトン病、多発硬化症、細菌性髄膜炎、寄生虫性髄膜炎、真菌性髄膜炎、ウィルス性髄膜炎、脳炎、血管性認知症、多発脳梗塞性認知症、レヴィー小体認知症、前頭葉認知症(例えば、ピック症)、皮質下認知症(例えば、ハンティングトン病または進行性核上麻痺)、病巣皮質萎縮症候群(例えば、原発性失語症)、代謝性中毒性認知症(例えば、慢性甲状腺低下症、またはB12欠乏症)、および感染により引き起こされる認知症(例えば、梅毒または慢性髄膜炎)を含む(ただし、これらに限定されない))処置のための使用である。
【0103】
アルツハイマー病は、老人班および脳血管におけるβ−アミロイドタンパク質(β−AP)の細胞外沈着物によって特徴付けられる。β−APは、アミロイドタンパク質前駆体(APP)に由来する39個〜42個のアミノ酸のペプチドフラグメントである。APPの少なくとも3つのアイソフォーム(695、751、および770アミノ酸)が公知である。mRNAの可変スプライシングが、アイソフォームを生じさせる;通常プロセシングが、β−AP配列の部分に影響を及ぼし、それにより、β−APの発生を妨げている。プロテアソームによる異常なタンパク質プロセシングが、アルツハイマー病の脳中の大量のβ−APを生じさせていると考えられている。ラットにおける、APPプロセシング酵素は、約10種のサブユニット(22kDa−32kDa)を含有している。25kDaのサブユニットは、ヒトマクロペイン(human macropain)のβサブユニットと同一の、X−Gln−Asn−Pro−Met−X−Thr−Gly−Thr−SerのN末端配列を有する(Kojima,S.ら、「Fed.Eur.Biochem.Soc.」、1992年、304:pp.57−60)。このAPPプロセシング酵素は、Gln15−−Lys16結合で切断し;カルシウムイオンの存在で、この酵素はまた、Met−−Asp結合、およびAsp−−Ala結合でも切断し、β−APの細胞外ドメインを放出する。
【0104】
したがって、一実施形態は、本明細書において開示される化合物(例えば、薬学的組成物)の有効量を被験体に投与する工程を包含する、アルツハイマー病を処置する方法である。このような治療には、β−APプロセシング速度を低下させること、β−APプラーク形成速度を低下させること、β−AP生成速度を低下させること、およびアルツハイマー病の臨床兆候を軽減することが含まれる。
【0105】
本発明の他の実施形態は、悪液質および筋消耗性疾患に関する。プロテアソームは、網赤血球を成熟させるとき、および線維芽細胞を成長させるときに、多くのタンパク質を分解する。インシュリンまたは血清が奪われた細胞において、蛋白分解速度は、ほぼ2倍となる。プロテアソームを阻害することは、蛋白分解を減少させ、それにより、筋タンパク質の消失を減少させ、腎臓または肝臓への窒素性の負荷を軽減する。本発明のインヒビターは、癌、慢性感染性疾患、熱病、筋廃用(萎縮)、脱神経、神経損傷、飢餓、アシドーシスに関連する腎不全、糖尿病、および肝不全などといった状態を処置するために有用である。例えば、Goldbergによる米国特許第5,340,736号を参照されたい。したがって、本発明の実施形態は、以下の方法を包含する:細胞において筋タンパク質分解速度を低下させること;細胞内タンパク質分解速度を低下させること;細胞においてp53タンパク質の分解速度を低下させること;および、p53が関連する癌の増殖を阻害すること。これらの方法のそれぞれは、本明細書において開示される化合物(すなわち、薬学的組成物)の有効量に、細胞(インビボまたはインビトロ、例えば、被験体において筋肉)を接触させる工程を包含する。
【0106】
プロテアソームにより処理された別のタンパク質は、NF−κBであり、Relタンパク質ファミリーのメンバーである。転写活性化タンパク質のRelファミリーは、2つのグループに分けられ得る。第一のグループは、タンパク質分解プロセシングを必要とし、p50(NF−κB1、105kDa)およびp52(NF−κ2、100kDa)を含む。第2のグループは、タンパク質分解プロセシングを必要とせず、p65(RelA、Rel(c−Rel)およびRelB)を含む。ホモダイマーおよびヘテロダイマーの両方が、Relファミリーメンバーによって形成され得;例えば、NF−κBは、p50〜p65のヘテロダイマーである。IκBおよびp105のリン酸化およびユビキチン化後、この2つのタンパク質は、それぞれ分解および処理され、細胞質から核へ転位させる活性NF−κBを生成する。ユビキチン化したp105はまた、精製されたプロテアソームによっても処理される(Palombellaら、「Cell」、1994年、78:pp.773−785)。活性NF−κBは、他の転写活性化物質(例えば、HMGI(Y))と、立体特異的エンハンサー複合体を形成し、特定の遺伝子の選択的発現を誘発する。
【0107】
NF−κBは、免疫応答、炎症応答、および有糸分裂事象の発生に関与する遺伝子を調節する。例えば、NF−κBは、免疫グロブリン軽鎖κ遺伝子、IL−2レセプターα鎖遺伝子、クラスI主要組織適合複合体遺伝子、ならびに、例えば、IL−2、IL−6、顆粒球コロニー刺激因子、およびIFN−β(をコードする多数のサイトカイン遺伝子の発現のために必要とされるPalombellaら、「Cell」、1994年、78:pp.773−785)。本発明のいくつかの実施形態は、IL−2、MHC−I、IL−6、TNFα、IFN−β、または他の以前に言及されたいずれのタンパク質の発現レベルにも影響を及ぼす方法を包含し、各方法は、本明細書において開示される有効量の化合物を、被験体に投与する工程を包含する。p50を含む複合体は、急性炎症応答および免疫応答の迅速媒介物質である(Thanos,D.およびManiatis,T.、「Cell」、1995年、80:pp.529−532)。
【0108】
NF−κBはまた、E−セレクチン、P−セレクチン、ICAM、およびVCAM−1をコードする細胞接着遺伝子の発現に関与する(Collins,T.、「Lab.Invest.」、1993年、68:pp.499−508)。本発明の一実施形態は、細胞接着(すなわち、E−セレクチン、P−セレクチン、ICAM、またはVCAM−1により媒介される細胞接着)を阻害するための方法であり、本明細書において開示される有効量の化合物(または薬学的組成物)と、細胞を接触させる工程(または被験体に投与すること)を包含する。
【0109】
NF−κBはまた、HIV−エンハンサー/プロモータに、特異的に結合する。mac239のNefに比較し、pbj14のHIV調節タンパク質Nefは、タンパク質キナーゼ結合を制御する領域にある2つのアミノ酸だけ異なる。タンパク質キナーゼが、IκBのリン酸化のシグナルを伝達し、ユビキチン−プロテアソーム経路を通じてIκB分解を誘発すると考えられている。分解後、NF−κBは、核内に放出され、したがって、HIVの転写を向上させる(Cohen,J.、「Science」、1995年、267:pp.960)。本発明の2つの実施形態は、被験体におけるHIV感染を阻害するため、または減少させるための方法、およびウィルス遺伝子の発現レベルを低下させるための方法であり、それぞれの方法は、本明細書において開示される有効量の化合物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0110】
リポ多糖体(LPS)誘発性サイトカイン(例えば、TNFα)の過剰産生は、敗血症性ショックと関連付けられるプロセスの中心であると考えられている。LPSによる細胞の活性化における第一ステップは、LPSの特異な膜レセプターへの結合であるということが、一般に受け入れられている。20Sプロテアソーム複合体のαサブユニットおよびβサブユニットは、LPS結合タンパク質として同定されており、LPS誘導性シグナル伝達が、敗血病の処置または予防における重要な治療標的であり得ることを示唆している(Qureshi,N.ら、「J.Immun.」、2003年、171:pp.1515−1525)。したがって、特定の実施形態において、本発明の化合物は、敗血症性ショックを予防、および/または、処置するためのTNFαの阻害のために使用し得る。
【0111】
細胞内タンパク質分解は、Tリンパ球への提示のための小ペプチドを発生させ、MHCクラスI媒介性免疫応答を誘導する。免疫系は、ウィルスに感染しているか、または腫瘍形成転換を行なっている自己細胞についてスクリーニングしている。一実施形態は、細胞における抗原提示を阻害するための方法であり、本明細書において記載される化合物に細胞を曝露する工程を包含する。本発明の化合物は、免疫関連状態(例えば、アレルギー、喘息、臓器/組織拒絶(移植片対宿主疾患)、および自己免疫疾患)を処置するために使用し得、これらの状態としては、狼瘡、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、および炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、およびクローン病)が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。したがって、さならる実施形態は、被験体の免疫系を抑制する(すなわち、移植拒絶、アレルギー、および喘息を阻害する)ための方法であり、本明細書において記載される有効量の化合物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0112】
別のさらなる実施形態は、プロテアソームまたは多触媒性の活性を有する他のNtnにより産生される、抗原ペプチドのレパートリーを変更するための方法である。例えば、20SプロテアソームのPGPH活性は、選択的に阻害されるとき、いかなる酵素阻害も存在しないか、または、例えばプロテアソームのキモトリプシン様活性の選択的阻害が存在するかのいずれかの状況で産生および提示されるのとは異なるセットの抗原ペプチドが、プロテアソームにより産生され、細胞表面のMHCにおいて提示される。
【0113】
特定のプロテアソームインヒビターは、インビトロおよびインビボにおけるユビキチン化されたNF−κBの分解およびプロセシングの両方を妨げる。プロテアソームインヒビターはまた、IκB−α分解、およびNF−κB活性を妨げる(Palombellaら、「Cell」、1994年、78:pp773−785、およびTraencknerら、「EMBO J.」、1994年、13:pp.5433−5441)。本発明の一実施形態は、IκB−α分解を阻害するための方法であり、細胞を、本明細書において記載される化合物と接触させる工程を包含する。さらなる実施形態は、細胞、筋肉、臓器、または被験体において、NF−κBの細胞含量を減少させるための方法であり、細胞、筋肉、臓器、または被験体を、本明細書において記載される化合物と接触させることを包含する。
【0114】
タンパク質分解プロセシングを必要とする他の真核生物転写因子としては、基本転写因子TFIIA、単純疱疹ウィルスVP16アクセサリータンパク質(宿主細胞因子)、ウィルス誘発IFN調節因子2タンパク質、および膜結合型ステロール調節因子結合タンパク質1が挙げられる。
【0115】
本発明の他の実施形態は、サイクリン依存性真核細胞周期に影響を及ぼすための方法であり、(インビトロまたはインビボにおいて)細胞を、本明細書において開示される化合物に曝露する工程を包含する。サイクリンは細胞周期制御に関与するタンパク質である。プロテアソームは、サイクリンの分解に関与する。サイクリンの例としては、有糸分裂サイクリン、G1サイクリン、およびサイクリンBが挙げられる。サイクリンの分解により、細胞は、1つの細胞周期ステージ(すなわち、有糸分裂)を出ること、および別の細胞周期ステージ(すなわち、分裂)に入ることを可能となる。すべてのサイクリンが、p34.sup.cdc2タンパク質キナーゼ、またはその関連キナーゼと関連すると考えられている。タンパク質分解標的シグナルを、アミノ酸42−RAALGNISEN−50(分解ボックス(destruction box))に局在化させる。サイクリンがユビキチンリガーゼに易損性の形態に変換されるか、またはサイクリン特異的リガーゼが有糸分裂の間、活性化されるという証拠がある(Ciechanover,A.、「Cell」、1994年、79:pp.13−21)。プロテアソームの阻害は、サイクリン分解を阻害し、したがって、細胞増殖を、例えばサイクリン関連癌において阻害する(Kumatoriら、「Proc.Natl.Acad.Sci.」(USA)、1990年、87:pp.7071−7075)。本発明の一実施形態は、被験体において増殖性疾患(すなわち、癌、乾癬、または再狭窄)を処置するための方法であり、本明細書において開示される有効量の化合物を、被験体に投与する工程を包含する。本発明はまた、被験体におけるサイクリン関連炎症を処置するための方法を包含し、本明細書において記載される治療有効量の化合物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0116】
さらなる実施形態は、癌タンパク質のプロテアソーム依存性調節に影響を及ぼすための方法、および癌増殖を処置または阻害する方法であり、それぞれの方法は、本明細書において開示される化合物に、細胞を(インビボ、すなわち被験体において、またはインビトロにおいて)曝露する工程を包含する。HPV−16およびHPV−18誘導E6タンパク質は、粗網赤血球溶解産物において、p53のATPおよびユビキチン依存性複合ならびに分解を刺激する。劣性の癌遺伝子p53は、変異した易熱性E1とともに、細胞株において非許容温度で蓄積することが示された。高レベルのp53は、アポトーシスを引き起こし得る。ユビキチン系により分解される癌原タンパク質(proto−oncoprotein)の例としては、c−Mos、c−Fos、およびc−Junが挙げられる。一実施形態は、p53関連アポトーシスを処置するための方法であり、本明細書において開示される化合物の有効量を、被験体に投与する工程を包含する。
【0117】
別の実施形態において、開示される化合物は、寄生虫感染(例えば、原虫寄生生物に起因する感染)の処置に対して有用である。これらの寄生生物のプロテアソームは、主に細胞分化活性および細胞複製活性に関与すると考えられている(Paugamら、「Trends Parasitol.」、2003年、19(2):pp.55−59)。さらに、エントアメーバ種は、プロテアソームインヒビターに暴露されたとき、被嚢形成能力を喪失することが示されている(Gonzalesら、「Arch.Med.Res.」、1997年、28、Spec No:pp.139−140)。特定のこのような実施形態において、開示される化合物は、プラスモディウム(Plasmodium sps.)(マラリアの原因となる、P.falciparum、P.vivax、P.malariae、およびP.ovaleを含む)、トリパノソーマ(Trypanosoma sps.)(シャーガス病の原因となる、T.cruzi、およびアフリカ睡眠病の原因となる、T.bruceiを含む)、リーシュマニア(Leishmania sps.)(L.amazonensis、L.donovani、L.infantum、L.mexicanaなどを含む)、ニューモシスチス カリニ(Pneumocystis carinii)(AIDSなどにより免疫抑制された患者において、肺炎の原因となることが公知の原虫)、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、エントアメーバ・インバデンス(Entamoeba invadens)、およびランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)から選択される寄生原生動物に起因する、ヒトにおける寄生虫感染の処置に対して有用である。特定の実施形態において、開示される化合物は、プラスモディウムヘルマニ(Plasmodium hermani)、クリプトスポリジウム(Cryptoridium sps.)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、アイメリアテネラ(Eimeria tenella)、ザルコシスティスニューローナ(Sarcocystis neurona)、およびアカパンカビ(Neurospora crassa)から選択される原虫寄生生物に起因する、動物および家畜における寄生虫感染の処置に対して有用である。寄生虫疾患の処置におけるプロテアソームインヒビターとして有用な他の化合物は、国際公開第98/10779号パンフレットにおいて記載されており、この特許文献は、本明細書において、その全体が援用される。
【0118】
特定の実施形態において、開示される化合物は、寄生生物において不可逆的にプロテアソーム活性を阻害する。このような不可逆的な阻害は、赤血球および白血球において、酵素活性の回復することのない活動停止を誘発することが示されている。特定のこのような実施形態において、血球の長い半減期は、再発する寄生生物への曝露に対する治療法に関し、長期的な防護を提供し得る。特定の実施形態において、この血球の長い半減期は、将来の感染に対する化学的予防に関し、長期的な防護を提供し得る。
【0119】
20Sプロテアソームに結合するインヒビターが、骨器官培養において骨形成を刺激することもまた、実証されている。さらに、このようなインヒビターがマウスに対して全身的に投与されたとき、特定のプロテアソームインヒビターは、骨体積および骨形成速度を70%以上増大させた(Garrett,I.R.ら、「J.Clin.Invest.」2003年、111:pp.1771−1782)。これはつまり、ユビキチン−プロテアソーム機構が、骨芽細胞分化および骨形成を、調節することを示唆している。したがって、開示される化合物は、骨粗鬆症など、骨喪失と関連付けられる疾患の処置および/または予防において有用であり得る。
【0120】
骨組織は、骨細胞を刺激する能力を有する因子の優れた供給源である。したがって、ウシの骨組織の抽出物は、骨の構造的完全性の維持を担う構造タンパク質を含むだけでなく、骨細胞を刺激して増殖させ得る生物学活性な骨増殖因子も含んでいる。これらのうち後者の因子に含まれるのが、最近記載された骨形態形成タンパク質(BMP)と呼ばれるタンパク質のファミリーである。これらの増殖因子はすべて、骨細胞および他のタイプの細胞に影響を与える。Hardy,M.H.ら、「Trans Genet」、1992年、8:pp.55−61は骨形態形成タンパク質(BMP)が、分化の間毛包内に、差次的に発現するという証拠を記載している。Harris,S.E.ら、「J Bone Miner Res」、1994年、9:pp.855−863は、TGFβが、骨細胞内のBMP−2および他の物質の発現に与える影響について記載している。成熟した小胞におけるBMP−2の発現はまた、成熟分裂の段階、および細胞増殖期後にも起こる(Hardy,M.H.ら、(1992年、前出))。したがって、本発明の化合物はまた、毛包の増殖刺激のためにも有用であり得る。
【0121】
最後に、開示される化合物はまた、Ntnヒドロラーゼ(プロテアソームを含む)によって処理されるタンパク質(すなわち、酵素、転写因子)をスクリーニングするための、診断剤として(すなわち、診断用キットに含む診断剤、または臨床検査室において使用するための診断剤として)有用である。この開示される化合物はまた、X/MB1サブユニットまたはα鎖を特異的に結合させ、この結合に関連づけられるタンパク質分解活性を特異的に阻害するための研究試薬としても有用である。例えば、このプロテアソームの他のサブユニットの活性(および特異なインヒビター)を、判定し得る。
【0122】
ほとんどの細胞タンパク質は、成熟段階または活性化段階において、タンパク質分解プロセシングに曝される。本明細書において開示される酵素インヒビターが、細胞の分化過程もしくは生理的過程、または細胞出力が、特定のNtnヒドロラーゼのタンパク質分解活性により調節されるかどうか判定するために使用し得る。そのような方法の一つは、生物体、無傷の細胞調製物、または細胞抽出物を入手する工程;生物体、細胞調製物、または細胞抽出物を、本明細書において開示される化合物に曝露する工程;この化合物を曝露した生物体、細胞調製物、または細胞抽出物を、シグナルに曝露する工程、ならびに、そのプロセスと出力をモニタリングする工程を含む。本明細書において開示される化合物の高い選択性は、所与の細胞の分化過程もしくは生理的過程において、Ntn(例えば、20Sプロテアソーム)の迅速かつ正確な除去または関係が許容される。
【0123】
(投与)
本明細書中に記載の通りに調製される化合物は、当該分野で周知の通り、処置されるべき障害、ならびに患者の年齢、状態および体重に依存して、種々の形態で投与され得る。例えば、化合物が経口投与されるべき場合、これらは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤もしくはシロップ剤として処方され得る;または非経口投与については、これらは、(静脈内、筋肉内もしくは皮下)注射物、点滴注入調製物、または坐剤として処方され得る。眼粘膜経路による適用については、これらは、点眼剤または眼軟膏剤として処方され得る。これらの処方物は、従来の手段によって調製され得、そして所望の場合、活性成分は、任意の従来の添加剤または賦形剤(例えば、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、懸濁助剤、乳化剤、コーティング剤、シクロデキストリン、および/または緩衝剤)と混合され得る。投薬量は、患者の症状、年齢および体重、処置または予防されるべき障害の性質および重篤度、投与経路ならびに薬物の形態に依存して変化するが、一般に、この化合物の0.01mg〜2000mgの1日投薬量が成人患者に推奨され、これは、1回の用量でまたは分割用量で投与され得る。1投与形態を生成するためにキャリア材料と合わされ得る活性成分の量は一般に、治療効果を生じる化合物量である。
【0124】
所定の患者において処置効力に関して最も有効な結果を生じる、正確な投与時期および/または組成物量は、特定の化合物の活性、薬物動力学、およびバイオアベイラビリティー、患者の生理学的状態(年齢、性別、疾患の型および病期、全般的身体状態、所定の投薬量に対する応答性、および薬物適用の型を含む)、投与経路などに依存する。しかし、上記のガイドラインは、被験体をモニタリングすることならびに投薬量および/またはタイミングを調整することからなる、慣用実験にすぎないものを必要とする、処置を微調整するための(例えば、最適な投与時期および/または投与量を決定するための)基本として用いられ得る。
【0125】
語句「薬学的に受容可能な」は、本明細書中で、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/危険比と釣り合って、過度の毒性も、刺激も、アレルギー応答も、他の問題も合併症も伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触させる使用に適切である、リガンド、物質、組成物、および/または投与量形態を言及するために用いられる。
【0126】
語句「薬学的に受容可能なキャリア」は、本明細書中で用いられる場合、薬学的に受容可能な物質、組成物、またはビヒクル(例えば、液体または固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料)を意味する。各キャリアは、処方物の他のリガンド成分と適合し、そして患者に対して有害ではないという意味で「受容可能」でなければならない。薬学的に受容可能なキャリアとして役立ち得る物質のいくつかの例は以下を包含する:(1)糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);(2)デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ならびに置換シクロデキストリンおよび非置換βシクロデキストリン);(3)セルロース、およびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース);(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤(例えば、カカオ脂および坐剤ロウ);(9)油(例えば、落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)薬学的処方物に用いられる他の無毒性の適合性物質。特定の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、非発熱性である、すなわち、患者に投与した場合に有意な温度上昇を誘導しない。
【0127】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、インヒビターの、比較的無毒性の、無機酸付加塩および有機酸付加塩をいう。これらの塩は、インヒビターの最後の単離および精製の間にインサイチュで調製されてもよく、または遊離塩基形態の精製されたインヒビターと適切な有機酸または無機酸とを別々に反応させ、そしてこのように形成された塩を単離することにより調製されてもよい。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、およびアミノ酸塩などが挙げられる(例えば、Bergeら(1977)「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.66:1−19を参照のこと)。
【0128】
他の場合には、本発明の方法において有用なインヒビターは、1以上の酸性官能基を含み得、従って、薬学的に受容可能な塩基と薬学的に受容可能な塩を形成し得る。用語「薬学的に受容可能な塩」は、これらの例において、インヒビターの、比較的に無毒性の、無機塩基付加塩および有機塩基付加塩をいう。これらの塩は同様に、インヒビターの最終単離と精製との間にインサイチュで調製されてもよく、あるいは遊離酸形態の精製されたインヒビターと、適切な塩基(例えば、薬学的に受容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩)、アンモニア、または薬学的に受容可能な有機一級アミン、有機二級アミンもしくは有機三級アミンとを別々に反応させることにより調製されてもよい。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる(例えば、Bergeら,前出を参照のこと)。
【0129】
湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、矯味矯臭剤、および香料、保存剤ならびに抗酸化剤もまた、この組成物中に存在し得る。
【0130】
薬学的に受容可能な抗酸化剤の例としては以下が挙げられる:(1)水溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);(2)油溶性抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど);および(3)金属キレート化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)。
【0131】
経口投与に適切な処方物は、活性成分として所定量のインヒビターを各々含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味のある基剤(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)を用いる)、散剤、顆粒剤の形態であってもよく、または水性もしくは非水性の液体中の溶液もしくは懸濁液として存在してもよく、または水中油型もしくは油中水型の液体乳濁物として存在してもよく、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として存在してもよく、またはトローチ剤(不活性マトリクス(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、もしくはスクロースおよびアカシア)を用いる)として存在してもよく、そして/またはうがい薬として存在してもよい、などである。組成物はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与され得る。
【0132】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣丸、散剤、顆粒剤など)では、活性成分は、1以上の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)および/または以下のうちのいずれかと混合される:(1)フィラーもしくは増量剤(例えば、デンプン、シクロデキストリン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなど);(3)湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール);(4)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウム);(5)溶解遅延剤(例えば、パラフィン);(6)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);(7)湿潤剤(wetting agent)(例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど);(8)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土);(9)滑沢剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物);ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含み得る。類似の型の固体組成物はまた、ラクトースすなわち乳糖または高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質および硬質の充填ゼラチンカプセル剤において、フィラーとしても用いられ得る。
【0133】
錠剤は、必要に応じて1以上の補助成分を用いて、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製され得る。成形錠剤は、適切な機械において、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化インヒビターの混合物を成形することにより作製され得る。
【0134】
錠剤、および他の固体投与形態(例えば、糖衣丸、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤)は、必要に応じて、刻み目が付けられてもよく、またはコーティングおよびシェル(例えば、腸溶性コーティングおよび製薬処方分野で周知の他のコーティング)を用いて調製されてもよい。これらはまた、例えば、所望の放出プロフィールを提供する種々の比率でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソーム、および/またはマイクロスフェアを用いて、その中の活性成分の徐放または制御された放出を提供するように処方され得る。これらは、例えば、細菌保持フィルターを用いる濾過によって、または滅菌水もしくは他の何らかの注射可能な滅菌媒体中に使用直前に溶解され得る無菌固体組成物の形態で滅菌剤を含めることによって、滅菌され得る。これらの組成物はまた、不透明化剤を必要に応じて含み得、そして(必要に応じて遅延した様式で)胃腸管の特定の部分に活性成分のみを、または活性成分を優先的に放出する組成物であり得る。用いられ得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびロウが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合、上記の賦形剤のうちの1以上を用いた、マイクロカプセル化形態にあり得る。
【0135】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能な乳濁剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体投与形態は、当該分野で通常用いられる不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤、および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚種油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物)などを含み得る。
【0136】
不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、佐剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤)、甘味料、矯味矯臭剤、着色剤、香料、および保存剤を含み得る。
【0137】
懸濁液は、活性なインヒビターに加えて、懸濁剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物)を含み得る。
【0138】
直腸投与または膣投与のための処方物は、坐剤として与えられ得、その坐剤は、1以上のインヒビターを1以上の適切な非刺激性の賦形剤またはキャリアと混合することによって調製され得、その賦形剤またはキャリアは、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ロウまたはサリチル酸塩を含む。この坐剤は室温で固体であるが体温では液体であり、それゆえ直腸または膣腔内で融解し、活性剤を放出する。
【0139】
膣投与に適切な処方物としてはまた、当該分野で適切であることが公知であるようなキャリアを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤、またはスプレー処方物が挙げられる。
【0140】
インヒビターの局所投与または経皮投与のための投薬形態としては、散剤、スプレー剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション剤、ゲル、液剤、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性成分は、薬学的に受容可能なキャリア、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と、滅菌条件下で混合され得る。
【0141】
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、インヒビターに加えて、賦形剤(例えば、動物性脂肪および植物性脂肪、油状物、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、滑石、および酸化亜鉛、またはこれらの混合物)を含み得る。
【0142】
散剤およびスプレー剤は、インヒビターに加えて、賦形剤(例えば、ラクトース、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物)が挙げられる。スプレー剤は、慣習的な噴霧剤(例えば、クロロフルオロ炭化水素および揮発性の非置換炭化水素(例えば、ブタンおよびプロパン))をさらに含み得る。
【0143】
インヒビターは、代替的に、エアロゾルによって投与され得る。これは、組成物を含む水性エアロゾル、リポソーム調製物、または固形粒子を調製することによって達成され得る。非水性(例えば、フルオロカーボン噴霧剤)懸濁液が使用され得る。超音波噴霧器は、その薬剤が化合物の分解を生じ得る剪断に曝されるのを最小限にするので、超音波噴霧器が好ましい。
【0144】
通常は、水性エアロゾルは、薬剤の水溶液または水性懸濁液を従来の薬学的に受容可能なキャリアおよび安定剤と一緒に配合することによって作製される。そのキャリアおよび安定剤は、特定の組成物の要件によって変わるが、代表的に、非イオン性界面活性剤(Tween、Pluronic、ソルビタンエステル、レシチン、Cremophor)、薬学的に受容可能な共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、オレイン酸、アミノ酸(例えば、グリシン)、緩衝液、塩、糖、または糖アルコールが挙げられる。エアロゾルは、一般的に、等張性溶液から調製される。
【0145】
経皮パッチは、身体に対してインヒビターの制御送達を提供するという付加的な利点を有する。このような投薬形態は、薬剤を適切な媒体中に溶解または分散させることによって作製され得る。吸収エンハンサーもまた、皮膚にわたるインヒビターの流れを増加させるために使用され得る。このような流れの速度は、速度制御膜を提供するか、またはインヒビターをポリマーマトリクスもしくはゲル中に分散させるかのいずれかによって制御され得る。
【0146】
非経口投与に適切な本発明の薬学的組成物は、1以上のインヒビターを、1以上の薬学的に受容可能な滅菌した水性または非水系の溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、あるいは使用直前に滅菌した注射可能溶液もしくは分散液中に再構成される滅菌した散剤と組み合わせて含み、これらの組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、処方物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含み得る。
【0147】
本発明の薬学的組成物において使用され得る適切な水性キャリアおよび非水系キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびに注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エステル)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング剤(例えば、レシチン)の使用、分散剤の場合に必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0148】
これらの組成物はまた、佐剤(例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤)を含み得る。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)の封入によって確実にされ得る。張度調整剤(例えば、糖、塩化ナトリウムなど)を組成物中に含むこともまた望ましくあり得る。さらに、注射可能な薬学的形態の持続性吸収は、およそ吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の封入によってもたらされ得る。
【0149】
いくつかの場合において、薬物の効果を持続させるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。例えば、非経口投与された薬物形態の遅延吸収は、その薬物を油状ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。
【0150】
注入可能なデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中のインヒビターのマイクロカプセルマトリクスを形成することによって作製される。薬物 対 ポリマーの比、および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能処方物はまた、薬物を身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中にトラップすることによって調製される。
【0151】
薬剤の調製物は、経口的に、非経口的に、局所的に、または直腸に与えられ得る。これらの調製物は、当然のことながら、各々の投与経路に適切な形態で与えられる。例えば、これらの調製物は、注射、吸入、点眼薬、軟膏、坐剤、浸剤によって、錠剤の形態またはカプセル剤の形態で投与され;ローション剤または軟膏によって局所投与され;そして坐剤によって直腸投与される。経口投与が好ましい。
【0152】
句「非経口投与」および「非経口投与される」とは、本明細書中で使用される場合、経腸投与および局所投与以外の投与様式、通常は、注射による投与を意味し、静脈内注射、筋肉内注射、動脈内注射、髄腔内注射、嚢内注射、眼窩内注射、心臓内注射、皮内注射、腹腔内注射、経気管注射、皮下注射、表皮下注射、関節内注射、被膜下注射、クモ膜下注射、脊髄内注射および胸骨内注射、ならびに注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
本明細書中で使用される場合、句「全身投与」、「全身的に投与した」、「末梢投与」および「末梢的に投与した」とは、リガンド、薬物または他の物質の中枢神経系への直接的な投与以外の投与(例えば、皮下投与)を意味し、その結果、リガンド、薬物または他の物質は患者の系に入り、次いで代謝および他の同様のプロセスに供される。
【0154】
これらのインヒビターは、治療のためのヒトおよび他の動物に、任意の適切な投与経路によって投与され得、このような投与経路としては、経口投与、経鼻投与(例えば、噴霧による)、直腸投与、膣内投与、非経口投与、槽内投与および粉末、軟膏、またはドロップによる局所投与(口腔内投与および舌下投与を含んで)が挙げられる。
【0155】
選択される投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用され得る本発明の上記インヒビターおよび/または薬学的組成物は、当業者に公知の慣習的な方法によって薬学的に受容可能な投薬形態に処方される。
【0156】
本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物および投与の形式について、この患者に対し毒性になることなく、所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量を得るために変動し得る。
【0157】
薬学的に受容可能な混合物中の開示される化合物の濃度は、いくつかの要因に依存して変動し、このような要因としては、投与されるべき化合物の用量、利用される化合物の薬物動力学的な特徴、および投与経路が挙げられる。概して、本発明の組成物は、非経口投与のための、他の物質の中に、本明細書中に開示される化合物を約0.1%w/v〜10%w/vを含有する水溶液中に提供され得る。代表的な用量の範囲は、1〜4回に分割して与えられる用量で、約0.01mg/kg体重/日〜約50mg/kg体重/日である。各分割された用量は、同じか、または異なる本発明の化合物を含有し得る。この用量は、いくつかの要因に依存して有効量となり、このような要因としては、患者の全体的な健康、ならびに選択された化合物の処方および投与経路が挙げられる。
【0158】
本発明の別の局面は、併合療法(conjoint therapy)を提供し、ここで、1種以上の他の治療剤がプロテアーゼインヒビターと共に投与される。このような併合療法は、処置の個々の構成要素の同時投薬、連続投薬、または分離投薬によって達成され得る。
【0159】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、化学療法剤と共に併合投与される。適切な化学療法剤としては、ビンカアルカロイド類(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンオレルビン(vinorelbine))、パクリタキセル、エピジポドフィロトキシン類(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトザントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびミトマイシン)、酵素(全身的にL−アスパラギンを代謝し、自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を枯渇させる、L−アスパラギナーゼ);抗血小板剤、抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよびアナログ、メルファラン、クロラムブシル)エチレンイミンおよびメチルメラミン類(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル(ブスルファン)、ニトロソ尿素類(カルムスチン(BCNU)およびアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼン(trazene)類−デカルバジニン(DTIC);抗増殖/抗有糸分裂抗代謝剤(例えば、葉酸アナログ(メトトキサレート)、ピリミジンアナログ(フルオロウラシル、フロクスウリジン、およびシタラビン)、プリンアナログおよび関連するインヒビター(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン));アロマターゼインヒビター(アナストロゾール(anastrozole)、エキセメスタン(exemestane)およびレトロゾール);ならびに白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトーテン、アミノグルテチミド;ホルモン類(すなわち、エストロゲン)およびホルモンアゴニスト(例えば、黄体化(leutinizing)ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト(ゴセレリン、ロイプロリドおよびトリプトレリン(triptorelin))が挙げられ得る。他の化学療法剤としては、メクロレタミン、カンプトテシン、イホスファミド(ifosfamide)、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン(gemcitabine)、ナベルビン(navelbine)または前述のものの任意のアナログまたは誘導改変体が挙げられ得る。
【0160】
特定の実施形態において、本発明の化合物はステロイドと共に併合投与される。適切なステロイドとしては、21−アセトキシプレグネノロン(acetoxypregnenolone)、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド(budesonide)、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコート(deflazacort)、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート(difuprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオシノニド、フルコルチンブチル、フルコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド(flurandrenolide)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone)、ホルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン、リメキソロン(rimexolone)、チソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ならびにそれらの塩および/または誘導体が挙げられる。
【0161】
特定の実施形態において、本発明の化合物は、免疫治療剤と共に併合投与される。適切な免疫治療剤としては、シクロスポリン、サリドマイド、およびモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。このモノクローナル抗体は、裸の抗体であるか、または結合体化された抗体(例えば、リツキシマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ(alemtuzumab)、エプラツズマブ(epratuzumab)、イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan)、ゲムツヅマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、ベガシズマブ、セツキシマブ、エルロチニブ(erlotinib)およびトラスツズマブ(trastuzumab))のいずれかであり得る。
【実施例】
【0162】
(スキーム1:例1の合成)
【0163】
【化23】

((B)の合成)
500mLのDMF中のNBocロイシン(50.0mmol、11.56g)とフェニルアラニンメチルエステル(50.0mmol、10.78g)の溶液に、HOBT(10.81g、80.0mmol)およびDIEA(200.0mmol、25.85g、35mL)を加えた。この混合物を氷水浴中で0℃に冷却し、BOP(80.0mmol、35.38g)を5分間にわたり数回に分けて加えた。反応物をアルゴン雰囲気下に置き、一晩攪拌した。この反応物をブライン(1000mL)で希釈し、EtOAc(5×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、水(10×100mL)およびブライン(2×150mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。MgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(A)(18.17g)を得た。0℃に冷却した80%のTFA/DCMの溶液50mLに、BocNHLeuPheOMe(45.86mmol、18.0g)を加えた。この溶液を攪拌し、2時間かけて室温に温めた。揮発性物質を減圧下で除去することにより、油状物を得た。この油状物に、BocNHhPhe(45.86mmol、12.81g)、DMF(500mL)、HOBT(73.37mmol、9.91g)およびDIEA(183.44mmol、23.70g、32.0mL)を加えた。この混合物を氷水浴中で0℃に冷却し、BOP(73.37mmol、32.45g)を5分間にわたり数回にわけて加えた。反応物をアルゴン下に置き、一晩かけて室温に温めた。この反応物をHO(1500mL)で希釈し、DCM(5×300mL)で抽出した。有機層を合わせ、HO(6×300mL)およびブライン(1×300mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。MgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、黄色固体を得た。この黄色固体に、95%のEtOHを200mL加え、この混合物を65℃に加熱し、すべての固体を溶解させた。次いでこの溶液を1000mLの冷却したHOに加え、得られた沈殿物を回収することにより、(B)(21.59g)を得た。
【0164】
((C)の合成)
化合物(B)(1.47mmol、0.81g)をTFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して、混合物を濃縮し、高真空下で2時間置くことにより、トリペプチドアミン(Q)のTFA塩を得た。DMF(10mL)中のTFA塩(1.47mmol)の0℃溶液に、DIEA(4.4mmol、0.77mL)を加え、続いて、塩化ベンジルオキシアセチル(2.21mmol、0.343mL)を加えた。この反応物を窒素雰囲気下で2時間攪拌しながら、室温に温めた。この混合物をブライン(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、HO(2×15mL)、ブライン(1×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。このNaSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗物質をフラッシュクロマトグラフィにより精製し、(C)(0.83g)を得た。
【0165】
((D)の合成)
0℃に冷却した3:1のMeOH/HO 28mL中の(C)(1.38mmol、0.830g)のスラリーに、LiOH(13.8mmol、0.331g)を加えた。5℃で18時間後、反応物を20mLの飽和NHClでクエンチし、さらに150mLのHOで希釈した。この反応混合物のpHを、1N HClを用いて2に調整し、固体を濾過により回収して(D)(0.900g)を得た。
【0166】
((E)の合成)
化合物(D)(0.17mmol、0.10g)をMeOH(10mL)に溶解させ、Pd−C(5%、0.08g)を加え、反応混合物を1気圧のH下で室温にて2時間攪拌した。次いで、この混合物をアルゴンでパージし、セライトに通して濾過し、濃縮することにより、(E)を得た。
【0167】
(化合物1の合成)
DMF(2mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](0.164mmol)の攪拌溶液に、(E)(0.17mmol)、DIEA(0.652mmol、0.114mL)、およびHOBT(0.266mmol、0.036g)を加えた。この混合物を氷浴中で0℃に冷却し、BOP(0.262mmol、0.116g)を数回に分けて加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下で、5℃にて一晩攪拌した。反応物を、ブライン(15mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水、飽和NaHCO、およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去した。この粗物質を、分取用HPLCにより精製し、化合物1(IC5020S CT−L<50nM、IC50細胞ベースのCT−L<100nM)を得た。
【0168】
(スキーム2:例2の合成)
【0169】
【化24】

((G)の合成)
化合物(C)(1.0mmol、0.601g)をMeOH(25mL)に溶解させ、Pd−C(10%、600mg)を加え、この反応混合物を、1気圧のH下で室温にて48時間攪拌した。次いで、この混合物をアルゴンでパージし、セライトに通して濾過し、濃縮することにより、(G)(600mg)を得た。
【0170】
((H)の合成)
DCM(40mL)中の(G)(1.0mmol、0.511g)の0℃溶液に、DIEA(2.0mmol、0.348mL)および塩化ジベンジルホスホリル(2.0mmol、0.593g)を加え、この混合物を窒素雰囲気下で室温にて一晩攪拌した。次いで、反応物を真空下で濃縮し、この粗物質をフラッシュクロマトグラフィにより精製して(H)(0.181g)を得た。
【0171】
((I)の合成)
0℃に冷却した3:1のMeOH/HO 4mL中の(H)(0.11mmol、0.090g)のスラリーに、LiOH(1.6mmol、0.4mL、4M水溶液)を加えた。5℃で45分後、反応物を10mLの飽和NHClでクエンチした。この反応混合物のpHを、1N HClを用いて2に調整し、EtOAcで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(I)を得た。
【0172】
((J)の合成)
DMF(2mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](0.082mmol)の攪拌溶液に、(I)(0.082mmol、0.062g)、DIEA(0.328mmol、0.057mL)、およびHOBT(0.133mmol、0.018g)を加えた。この混合物を、氷浴中で0℃に冷却し、BOP(0.131mmol、0.058g)を数回に分けて加えた。次いで、この混合物をアルゴン雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した。反応物をHO(15mL)で希釈し、濾過により(J)(0.081g)を回収した。
【0173】
(化合物2の合成)
THF(1mL)中の(J)(0.005mmol、0.005g)の溶液に、4滴のHOおよび10%のPd/C(5mg)を加えた。この混合物を、H下で室温にて1時間攪拌し、セライトに通して濾過し、濾液をNaCO(3mLのHO中0.263g)で処理した。固体を濾過により回収し、高真空下に置くことにより、化合物2(0.004g)を得た。
【0174】
(スキーム3:例3の合成)
【0175】
【化25】

((L)の合成)
THF(20mL)中の(K)(0.19mmol、0.10g)の溶液に、KI(0.038mmol、0.0063g)を加え、ジメチルアミン(0.456mmol、0.228mL、THF中2M)およびこの混合物を、窒素雰囲気下で一晩攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗物質をEtOAc(15mL)に溶解し、HO(2×10mL)およびブライン(2×10mL)で洗浄して、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(L)(0.100g)を得た。
【0176】
((M)の合成)
0℃に冷却した3:1のMeOH/HO 4mL中の(L)(0.186mmol、0.100g)のスラリーに、LiOH(1.86mmol、0.045g)を加えた。5℃で12時間後、反応物を20mLの飽和NHClでクエンチし、さらに10mLのHOで希釈した。この反応混合物のpHを、1N HClを用いて3に調整し、CHCl(3×15mL)で抽出し、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(M)を得た。
【0177】
(化合物3の合成)
DMF(1mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](0.082mmol)の攪拌溶液に、(M)(0.021mmol)、DIEA(0.28mmol、0.05mL)、およびHOBT(0.133mmol、0.018g)を加えた。この混合物を、氷浴中で0℃に冷却し、BOP(0.131mmol、0.058g)を数回に分けて加えた。この混合物を、アルゴン雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した。次いで、この反応物をブライン(15mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を、水、飽和NaHCO、およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、化合物3(IC5020S CT−L<100nM;細胞ベースのCT−L<100nM)を得た。
【0178】
(スキーム4:例4の合成)
【0179】
【化26】

((N)の合成)
化合物(B)(1.80mmol、1.0g)をTFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、トリペプチドアミンのTFA塩を得た。DMF(10mL)中のTFA塩(1.80mmol)の0℃溶液に、DIEA(3.6mmol、0.7mL)を加え、続いて、塩化クロロアセチル(2.7mmol、0.215mL)を加えた。反応物を、窒素雰囲気下で一晩攪拌しながら室温に温めた。次いで、この混合物をブライン(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、HO(2×15mL)およびブライン(2×15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。このNaSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗物質をEtOAc中で懸濁させ、濾過することにより、(N)(0.640g)を得た。
【0180】
((O)の合成)
THF(10mL)中の(N)(0.094mmol、0.050g)の溶液に、KI(0.019mmol、0.0032g)およびピペリジン(0.113mmol、0.0096g)を加え、この混合物を窒素雰囲気下で一晩攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、粗物質をEtOAc(15mL)に溶解し、HO(2×10mL)およびブライン(2×10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(O)を得た。
【0181】
((P)の合成)
0℃に冷却した3:1のMeOH/HO 4mL中の(O)(0.094mmol)のスラリーに、LiOH(0.94mmol、0.023g)を加えた。5℃で12時間後、この反応物を20mLの飽和NHClでクエンチし、さらに10mLのHOで希釈した。この反応混合物のpHを、1N HClを用いて3に調整し、DCM(3×15mL)で抽出し、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(P)を得た。
【0182】
(化合物4の合成)
DMF(2mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](0.082mmol)の攪拌溶液に、(P)(0.082mmol、0.046g)、DIEA(0.328mmol、0.057mL)およびHOBT(0.133mmol、0.018g)を加えた。この混合物を氷浴中で0℃に冷却し、BOP(0.131mmol、0.058g)を数回に分けて加えた。この混合物をアルゴン雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した。次いで、反応物をHO(15mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、化合物4(0.034g)(IC5020S CT−L<100nM、IC50細胞ベースのCT−L<100nM)を得た。
【0183】
(スキーム5:例5の合成)
【0184】
【化27】

((T)の合成)
化合物(T)は、本質的に(E)の1への変換についての手順に従い、(F)を(Q)、(E)をシクロプロピル酢酸と置き換えることにより得られる。
【0185】
((U)の合成)
化合物(U)は、本質的に(C)の(D)への変換についての手順に従い、(C)を(T)と置き換えることにより得られる。
【0186】
(化合物5の合成)
化合物5は、本質的に(E)の1への変換についての手順に従い、(E)を(U)と置き換えることにより得られる。
【0187】
(スキーム6 例6の合成)
【0188】
【化28】

((W)の合成)
化合物(V)(0.25g、0.39mmol)を12mLのTFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、トリペプチドアミンのTFA塩を得た。この粗アミン塩を6mLのDMFに溶解させ、2−モルホリノ酢酸(0.074g、0.507mmol)を加え、続いて、DIEA(0.504g、0.68mL、3.90mmol)を加えた。この混合物を、氷浴中で0℃に冷却し、PyBOP(0.32g、0.62mmol)を加え、一晩室温に温めながら、アルゴン雰囲気下で攪拌した。この混合物をブライン(50mL)で希釈し、EtOAc(5×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、飽和NaHCO(5×15mL)およびブライン(1×25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、中間体のエステル(0.195g)を得た。この中間体のエステル(0.150g、0.23mmol)に、10%のPd/C(0.05g)を加え、続いて、MeOHとEtOAcの1:1混合物 5mLを加え、この混合物を水素雰囲気下に置いた。2時間後、内容物をセライトの栓(plug)に通して濾過し、真空下で濃縮することにより、(W)(0.12g)を得た。
【0189】
(化合物6の合成)
MeCN(5mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](1.3当量、0.27mmol、0.083mg)の攪拌溶液に、(W)(1当量、0.17mmol、0.10g)、DIEA(10当量、1.73mmol、0.30mL)およびHOBT(1.6当量、0.27mmol、0.037mg)を加えた。この混合物を氷浴中で0℃に冷却し、PyBOP(1.6当量、0.27mmol、0.14g)を、数回に分けて加えた。この混合物を、アルゴン雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した後、反応物を飽和NaClで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させて、ペースト状まで濃縮した。粗物質を最少量のMeOHに溶解させ、迅速に攪拌した0℃に冷却した水(100mL)にゆっくりと加えた。次いで、化合物6(0.080g)を濾過により単離した。
【0190】
(スキーム7:例7の合成)
【0191】
【化29】

((X)の合成)
900mLのMeCN中のNBocロイシン(19.81g、85.67mmol、1.0当量)およびフェニルアラニンベンジルエステル(25.0g、85.67mmol、1.0当量)の溶液に、DIEA(44.29g、60mL、342.68mmol、4.0当量)を加え、この混合物を氷浴中で0℃に冷却した。この混合物に、HOBT(18.52g、137.08mmol、1.6当量)を加え、続いて、PyBOP(71.33g、137.08mmol、1.6当量)を5分間にわたり数回に分けて加えた。反応物をアルゴン雰囲気下に置き、一晩攪拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残った物質を500mLのEtOAcに溶解し、飽和NaHCO、HO、およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。このMgSOを濾過により除去し、揮発性物質を減圧下で除去することにより、(X)を得た。
【0192】
((Y)の合成)
0℃に冷却した70%のTFA/DCMの溶液(150mL)に、(X)(25.0g、53.35mmol、1.0当量)を加えた。この溶液を攪拌し、2時間かけて室温に温めて混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、ジペプチドアミンのTFA塩を得た。得られた油状物に、BocNHhPhe(14.68g、53.35mmol、1.0当量)、550mLのMeCNおよびDIEA(27.58g、37.2mL、213.4mmol、4.0当量)を加え、この混合物を氷浴中で0℃に冷却した。冷却混合物に、HOBT(11.53g、85.36mmol、1.6当量)を加え、続いて、PyBOP(44.42g、85.36mmol、1.6当量)を、5分間かけて数回に分けて加えた。反応物をアルゴン下に置き、一晩室温に温めると、白色沈殿物が形成された。この反応混合物を冷却し、固体を濾過により回収し、次いで、冷MeCNで洗浄することにより、(Y)(24.86g)を得た。
【0193】
((Z)の合成)
化合物(Y)(0.023mol、14.5g)をTFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、トリペプチドアミンのTFA塩を得た。MeCN(120mL)中のTFA塩(0.023mol、1当量)の溶液に、塩化4−クロロブチリル(1.2当量、0.028mol、0.32mL)、およびDIEA(4当量、0.092mol、16mL)を加えた。この混合物を室温で2時間攪拌し、次いで濃縮し、フラッシュクロマトグラフィにより精製して、(Z)(8g)を得た。
【0194】
((AA)の合成)
乾燥アセトン(8mL)中の(Z)(1当量、0.095mmol、60mg)の溶液に、NaI(5当量、0.47mmol、70.5mg)を加えた。この混合物を窒素雰囲気下で還流にて一晩攪拌した。次いで、この反応混合物を濃縮乾固し、その残渣をDCMに溶解した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮することにより、黄色固体(50mg)として(AA)を得た。
【0195】
((BB)の合成)
THF(2mL)中の(AA)(30mg、0.041mmol)の溶液に、ジメチルアミン(1.2当量、0.05mmol、THF中2M、25μL)およびDIEA(1当量、0.041mmol、7.2μL)を加えた。この混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮乾固した。その残渣を酢酸エチルに溶解し、水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮することにより、油状生成物を得た。この粗エステルをMeOH/EtOAc(1:1、10mL)に溶解させ、Pd−C(5%、20mg)を加え、この反応混合物を1気圧のH下で室温にて2時間攪拌した。次いで、この混合物をアルゴンでパージして、セライトに通して濾過し、濃縮することにより(BB)(21mg)を得た。
【0196】
(化合物7の合成)
DMF(3mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](1.2当量、0.054mmol)の攪拌溶液に、(BB)(1当量、0.045mmol、21mg)、DIEA(4当量、0.18mmol、31μL)、およびHOBT(1.6当量、0.072mmol、10mg)を加えた。混合物を、氷浴中で0℃に冷却し、PyBOP(1.6当量、0.072mmol、37mg)を数回に分けて加えた。次いで、この混合物を、窒素雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した。次いで、反応物を、飽和NaClで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して得た油状物を、フラッシュクロマトグラフィにより精製し、化合物7(16.7mg)(IC5020S CT−L<50nM、細胞ベースのCT−L<150nM)を得た。
【0197】
(スキーム8:例8の合成)
【0198】
【化30】

((CC)の合成)
化合物(Y)(1.55g、0.0023mol)を、MeOH/EtOAc(1:1、40mL)に溶解させ、Pd−C(5%、500mg)を加えた。この混合物を、水素下で室温にて2時間攪拌し、次いで、セライトに通して濾過し、濃縮することにより、カルボン酸の中間体を得た。DMF(50mL)中の(F)[参照:Bioorg.Med.Chem.Letter 1999,9,2283−88](1.2当量、2.55mmol、436mg)の攪拌溶液に、カルボン酸の中間体(1当量、2.12mmol、1.24g)、DIEA(4当量、8.48mmol、1.5mL)およびHOBT(1.6当量、3.39mmol、458mg)を加えた。この混合物を、氷浴中で0℃に冷却し、PyBOP(1.6当量、3.39mmol、1.76g)を数回に分けて加えた。この混合物を、窒素雰囲気下で5℃にて一晩攪拌した。反応物を、飽和NaClで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して得た油状物を、フラッシュクロマトグラフィにより精製し、(CC)(356mg)を得た。
【0199】
(化合物8の合成)
化合物(CC)(23.6mg、0.034mmol)をTFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、テトラペプチドアミンのTFA塩を得た。TFA塩のDCM溶液に、塩化1,3,5−トリメチル−1−H−ピラゾール−4−スルホニル(1.2当量、0.041mmol、8.5mg)およびTEA(4当量、0.136mmol、26μL)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。粗混合物を濃縮乾固し、その残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して得た油状物を、フラッシュクロマトグラフィにより精製し、化合物8(2mg)(IC5020S CT−L<100nM、細胞ベースのCT−L<100nM)を得た。
【0200】
(スキーム9:例9の合成)
【0201】
【化31】

(化合物9の合成)
化合物(CC)(63.7mg、0.092mmol)を、TFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置くことにより、テトラペプチドアミンのTFA塩を得た。TFA塩のDCM溶液に、フェニルイソシアナート(1.5当量、0.14mmol、15μL)およびDIEA(3当量、0.276mmol、50μL)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。この粗混合物を濃縮乾固し、その残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して得た油状物を、フラッシュクロマトグラフィにより精製し、化合物9(2.8mg)を得た。
【0202】
(スキーム10:例10の合成)
【0203】
【化32】

(化合物10の合成)
化合物(CC)(48.5mg、0.07mmol)を、TFA/DCM(80%)と混合し、室温で1時間攪拌して混合物を濃縮し、高真空下に2時間置いて、テトラペプチドアミンのTFA塩を得た。このTFA塩のDCM溶液に、フェニルイソチオシアナート(1.5当量、0.105mmol、20μL)およびDIEA(3当量、0.21mmol、40μL)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌した。この粗混合物を濃縮乾固し、その残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水およびブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して得た油状物を、フラッシュクロマトグラフィにより精製して、化合物10(1mg)を得た。
【0204】
(等価物)
当業者は、本明細書に記載される化合物の多くの等価物およびそれらの使用方法を、ごく普通の実験法のみを使用して認識または確認できる。こうした等価物は本発明の範囲内と考えられ、添付の特許請求の範囲により網羅される。
【0205】
上記の引用文献および引用刊行物はすべて、本明細書において参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の構造を有する化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
各Aは、C=O、C=SおよびSOから独立に選択されるか、または、Zが隣接して存在するとき、Aは必要に応じて共有結合であり;
Lは存在しないか、もしくはC=O、C=SおよびSOから選択され、好ましくは、Lが存在しないか、もしくはC=Oであり;
Mは存在しないか、もしくはC1〜12アルキルであり;
Qは存在しないか、もしくはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され;
XはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され;
Yは存在しないか、もしくはO、NH、N−C1〜6アルキル、S、SO、SO、CHOR10およびCHCO10から選択され;
各Zは、O、S、NHおよびN−C1〜6アルキルから独立に選択されるか、または、Aが隣接して存在するとき、Zは必要に応じて共有結合であり;
、R、RおよびRはそれぞれ、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリールおよびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはいずれも、アミド、アミン、カルボン酸(もしくはその塩)、エステル、チオール、またはチオエーテルのうちの1つ以上の置換基で、必要に応じて置換され;
はN(R)LQRであり;
は水素、OHおよびC1〜6アルキルから選択され;
は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZAZ−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、RZAZ−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−(好ましくは、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−)、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜12アルキル−、(R10−C1〜12アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHから選択されるか、または、
およびRは一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ、もしくはC1〜6アルキル−Aであって、それにより環を形成しており;
およびRは、水素、金属カチオン、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、C1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択され、好ましくは、水素、金属カチオンおよびC1〜6アルキルから選択されるか、または、該RおよびRは一緒になってC1〜6アルキルであって、それにより環を形成しており;
各R10は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択され、好ましくはC1〜6アルキルであり;そして
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択されるが、ただし、
がHまたはCHであり、かつQが存在せず、LRは水素、非置換C1〜6アルキルC=O、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールでなく;そして
順列ZAZのいずれの存在においても、該順列の少なくとも一員が共有結合以外でなければならない
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項2】
、R、RおよびRが、C1〜6アルキルおよびC1〜6アラルキルから独立に選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが一緒になってC1〜6アラルキルであり、かつRおよびRが一緒になってC1〜6アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
XがOであって、Rが2−フェニルエチルであり、Rがイソブチルであり、Rがフェニルメチルであり、かつRがイソブチルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
LおよびQが存在せず、かつRがC1〜6アルキルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
がC1〜6アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がブチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
がC1〜6アルケニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
がアリルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がC1〜6アルキニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
がプロパルギルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がC1〜6アラルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項14】
がフェニルメチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
がC1〜6ヘテロアラルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項16】
が2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Qが存在せず、かつ前記LがSOである、請求項4に記載の化合物。
【請求項18】
がC1〜6アルキルおよびC1〜6アラルキルから選択される、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がC1〜6アルキルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
がメチルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
がC1〜6アラルキルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
がフェニルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
LがC=Oである、請求項4に記載の化合物。
【請求項24】
が水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜8アルキル−、(R10−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHから選択されるか;または、
およびRが一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZA−C1〜6アルキル、A−C1〜6アルキル−ZA−C1〜6アルキル、A−C1〜6アルキル−A、もしくはC1〜6アルキル−Aであって、それにより環を形成しており;そして
ZおよびAのそれぞれの存在が、独立に共有結合以外である、
請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Qが存在しない、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
およびRがC1〜6アルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がエチル、イソプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、および2−(メチルスルホニル)エチルから選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
がC1〜6アラルキルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
が2−フェニルエチル、フェニルメチル、(4−メトキシフェニル)メチル、(4−クロロフェニル)メチル、および(4−フルオロフェニル)メチルから選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
がC1〜6アルキルであって、前記Rがアリールである、請求項25に記載の化合物。
【請求項31】
が置換または非置換フェニルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Qが存在しないかまたはOであり、かつ前記RがカルボシクリルM−である、請求項24に記載の化合物。
【請求項33】
前記カルボシクリルが、シクロプロピルまたはシクロヘキシルである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
がRZA−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−Z−C1〜8アルキル−、RZA−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−から選択され、AがC=Oであって、かつZがOまたはNHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項35】
ZがOである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
が、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−であって、該ヘテロシクリルが、オキソジオキソレニルまたはN(R12)(R13)であり、ここで、R12およびR13が一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキルであって、それにより環を形成している、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
が(R10N−C1〜8アルキル−および(R10(CH−から選択され、R10がC1〜6アルキルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
がヘテロシクリルM−であって、該ヘテロシクリル(hetercyclyl)がモルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノおよびピロリジノから選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項39】
QがOまたはNHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項40】
がC1〜6アルキルであって、RがC1〜6アルキル、C1〜6アラルキルおよびC1〜6ヘテロアラルキルから選択される、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
がメチル、エチル、イソプロピル、フェニルメチルおよび(4−ピリジル)メチルから選択される、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
およびRが一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZA−C1〜6アルキルまたはC1〜6アルキル−Aであって、それにより環が形成される、請求項24に記載の化合物。
【請求項43】
LがC=Oであって、QおよびYが存在せず、RおよびRが一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
LおよびQが存在せず、かつ前記RおよびRが一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
LがC=Oであって、Qが存在せず、前記YがNHおよびN−C1〜6アルキルから選択され、かつ前記RおよびRが一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項46】
LがC=Oであって、Yが存在せず、かつRおよびRが一緒になって、C1〜3アルキル−Y−C1〜3アルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項47】
LおよびAがC=Oであって、かつRおよびRが一緒になって、C1〜2アルキル−ZA−C1〜2アルキルである、請求項42に記載の化合物。
【請求項48】
LおよびAがC=Oであって、かつRおよびRが一緒になってC2〜3アルキル−Aである、請求項42に記載の化合物。
【請求項49】
式II:
【化2】

の構造を有する化合物、もしくはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
各Aは、C=O、C=SおよびSOから独立に選択されるか、または、Zに隣接して存在するとき、Aは必要に応じて共有結合であり;
Lは存在しないか、もしくはC=O、C=SおよびSOから選択され;
Mは存在しないか、もしくはC1〜12アルキルであり;
Qは存在しないか、もしくはO、NHおよびN−C1〜6アルキルから選択され;
XはO、NH、およびN−C1〜6アルキルから選択され;
Yは存在しないか、もしくはO、NH、N−C1〜6アルキル、S、SO、SO、CHOR10およびCHCO10から選択され;
各Zは、O、S、NHおよびN−C1〜6アルキルから独立に選択されるか、または、Aが隣接して存在するとき、Zは必要に応じて共有結合であり;
およびRはそれぞれ、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリールおよびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはいずれも、アミド、アミン、カルボン酸(もしくはその塩)、エステル、チオール、またはチオエーテルのうちの1つ以上の置換基で、必要に応じて置換され;
はN(R)LQRであり;
は水素、OHおよびC1〜6アルキルから選択され;
は水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、C1〜6アラルキル、ヘテロアリール、C1〜6ヘテロアラルキル、RZAZ−C1〜8アルキル−、R11Z−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、RZAZ−C1〜8アルキル−ZAZ−C1〜8アルキル−、ヘテロシクリルMZAZ−C1〜8アルキル−、(RO)(RO)P(=O)O−C1〜8アルキル−、(R10N−C1〜12アルキル−、(R10−C1〜12アルキル−、ヘテロシクリルM−、カルボシクリルM−、R11SO1〜8アルキル−、およびR11SONHから選択されるか;または、
およびRは一緒になって、C1〜6アルキル−Y−C1〜6アルキル、C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ−C1〜6アルキル、ZAZ−C1〜6アルキル−ZAZ、もしくはC1〜6アルキル−Aであって;
およびRは、水素、金属カチオン、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキルおよびC1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択され、好ましくは、水素、金属カチオンおよびC1〜6アルキルから選択されるか、または、RおよびRは一緒になってC1〜6アルキルであって、それにより環を形成しており;
各R10は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択され、好ましくはC1〜6アルキルであり;そして
11は、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルケニル、C1〜6アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1〜6アラルキル、およびC1〜6ヘテロアラルキルから独立に選択されるが、ただし、
がHまたはCHであり、かつQは存在しないとき、LRは水素、非置換C1〜6アルキルC=O、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、t−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンゾイル(Bz)、フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリフェニルメチル(トリチル)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールでなく;そして
順列ZAZのいずれの存在においても、該順列の少なくとも一員が共有結合以外でなければならない、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項50】
式(III):
【化3】

の構造を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩であって、ここで、
XはO、NHまたはN−アルキルであって、好ましくはOであり;
、R、RおよびRは、水素および式IV:
【化4】

の基から独立に選択されるが、ただし、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは式IVの基であり;
、R、RおよびRは、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6アルコキシアルキル、アリール、およびC1〜6アラルキルから独立に選択され、これらはそれぞれ、アミド、アミン、カルボン酸またはその薬学的に受容可能な塩、カルボン酸エステル、チオールおよびチオエーテルから選択される基で必要に応じて置換され;
は、鎖状アミノ酸のさらなる鎖、水素、C1〜6アシル、保護基、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであって、ここで置換基には、ハロゲン、カルボニル、ニトロ、ヒドロキシ、アリール、およびC1〜5アルキルが含まれ;
10およびR11は、水素およびC1〜6アルキルから独立に選択されるか、またはR10およびR11は一緒になって、3〜6員の炭素環式環もしくは複素環式環を形成し;
12およびR13は、水素、金属カチオン、C1〜6アルキルおよびC1〜6アラルキルから選択されるか、またはR12およびR13は一緒になってC1〜6アルキルを示し、それにより環を形成し;そして
Lは存在しないか、または−COもしくは−C(=S)Oから選択される、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項51】
請求項1または請求項50の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【請求項52】
N末端求核剤ヒドロラーゼを阻害する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項53】
炎症の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項54】
HIV感染を阻害または軽減するための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項55】
神経変性疾患の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項56】
筋消耗性疾患の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項57】
癌の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項58】
慢性感染性疾患の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項59】
熱病の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項60】
免疫関連の状態の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項61】
脱神経または神経損傷の処置のための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項62】
被験体におけるウィルス遺伝子発現レベルに影響を及ぼす方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項63】
生物体において、プロテアソームにより産生される、種々の抗原性のペプチドを改変するための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2008−501637(P2008−501637A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508543(P2007−508543)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/012740
【国際公開番号】WO2005/105827
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506343520)プロテオリックス, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】