説明

酸触媒を含まないハイパーブランチポリマーの製造方法

【課題】ポリマーの製造過程でポリマー中に含まれ得る酸触媒を低減した、シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーの簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、(A)シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを提供する工程;
(B)有機溶媒中で該ハイパーブランチポリマーを酸触媒に接触させ、酸分解性基の一部を酸基に変換し、酸触媒を含有する、シェル部に酸基と酸分解性基とを有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
(C)得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒に接触させ、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
を含む、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸触媒を含まないフォトレジスト用のコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。詳しくは、ATRP法(原子転移ラジカル重合)によるコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法において、シェル部の酸分解性基の脱保護時に用いられる酸触媒が存在しない精製コアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術として有望視されている光リソグラフィーでは、光源の短波長化によりデザインルールの微細化が進み、超LSIの高集積化を実現している。45nm以下のデザインルールでは、EUVリソグラフィーが有望視されている。
レジスト組成物には、各光源に対して透明な化学構造を持つベースポリマーの開発が進められている。例えば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)ではノボラック型ポリフェノールを基本骨格としたポリマー(特許文献1)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)ではポリ(メタ)アクリル酸エステル(特許文献2)、又はF2エキシマレーザー光(波長157nm)ではフッ素原子(パーフルオロ構造)を導入したポリマー(特許文献3)を含むレジスト組成物がそれぞれ提案されており、これらポリマーは線状構造を基本とするものである。
しかしながら、これら線状ポリマーを45nm以細の超微細パターン形成に適用した場
合、ラインエッジラフネスを指標とするパターン側壁の凹凸が問題となってきた。
非特許文献1には、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、及びPHS(ポリヒドロキシスチレン)を主とした従来のレジストに対して電子線や極端紫外光(EUV:13.5nm)露光を行って、極微細のパターンを形成するためには、表面平滑性をナノレベルで制御することが課題となることが指摘されている。
非特許文献2によれば、パターン側壁の凹凸はレジストを構成するポリマーの会合体(クラスター)によるものとされている。クラスターによるラインエッジラフネス低下は、低分子の単分散ポリマーを用いることにより、低減できると言われている(特許文献4)が、低分子量ポリマーを用いるとポリマーのTgが低下し、熱によるベークが困難になるため、実用性には欠ける。
【0003】
一方、線状分子に比べ、ラインエッジラフネスが向上する例として分岐型ポリマーが知られている(非特許文献3)。しかしながら、基板に対する密着性や感度の点で、デザインルールの微細化に伴う要求を満足するものは達成されていない。
このような観点から、近年、ハイパーブランチポリマーをレジスト材料として用いる試みがなされてきている。特許文献5によれば、高度なブランチ(分岐)構造をコア部とし、分子末端に酸基(例えばカルボン酸)、および酸分解性基(例えばカルボン酸エステル)を有するハイパーブランチポリマーは、線状ポリマーに見られる分子間での絡まりが小さく、主鎖を架橋する分子構造に比べて溶媒による膨潤も小さく、その結果、パターン側壁における表面ラフネスの原因となる大きな分子集合体の形成が抑制されると報告されている。また、ハイパーブランチポリマーは、通常、球状形態をとるが、球状ポリマー表面に酸分解性基が存在すると、光リソグラフィーにおいて、露光部分では光酸発生剤から発生する酸の作用によって分解反応が起こり親水基が生じる結果、ポリマー分子の外周に多数の親水基が存在する球状ミセル状の構造をとることができることが明らかとなったと報告されている。また、ハイパーブランチポリマーは、通常、球状形態をとるが、球状ポリマー表面に酸分解性基が存在すると、光リソグラフィーにおいて、露光部分では光酸発生剤から発生する酸の作用によって分解反応が起こり親水基が生じる結果、ポリマー分子の外周に多数の親水基が存在する球状ミセル状の構造をとることができることが明らかとなったと報告されている。その結果、該ポリマーはアルカリ水溶液に対し効率よく溶解し、アルカリ溶液と共に除去されるため、微細なパターンを形成することができ、レジスト材料のベース樹脂として好適に利用可能であることが判ったと報告されている。さらに、コア部とシェル部が特定の値で存在し、かつシェル部において、酸分解性基であるカルボン酸エステル基とカルボン酸基がある特定の比で共存とすることで、露光後のアルカリ溶解性の向上、すなわち感度の向上が達成されることが明らかとなっている。
【0004】
一般に、高度なブランチ(分岐)構造をコア部とし、分子末端に酸分解性基と酸基、例えばカルボン酸基とカルボン酸エステル基とを、それぞれ特定の比率で含むハイパーブランチポリマーは、ATRP(原子転移ラジカル重合)により、以下の工程を経て製造することができる。
(a) 金属触媒の存在下、ブランチ構造を有するコア部を合成し、コア部に対して、酸分解性基(カルボン酸エステル基)を導入する工程;及び
(b) 露光時に最適なアルカリ溶解性が得られるよう、カルボン酸エステル基の一部を分解(脱エステル化、あるいは脱保護とも言う)してカルボン酸基(酸基)を得る工程。
【0005】
ATRP法により得られた、高度に分岐したコア部を持つコアシェル型ポリマーは、同程度の分子量を持つ線状ポリマーと比較してTgが高く、熱によるベークにも強い。また、分子間の絡まりが小さく、大きな分子集合体の形成を抑制することもできる。これら、Tgの上昇や、分子間絡まりの抑制といった、レジストポリマーにおいて、不可欠な特徴は、コア部のハイパーブランチ構造に由来するものである。一方、シェル部は、露光後に効率よくアルカリに溶解するために不可欠な役割を果たしている。シェル部においては、酸分解性基であるカルボン酸エステル基とカルボン酸基がある特定の比で共存とすることで、露光後のアルカリ溶解性の向上、すなわち感度の向上が達成されており、従って、カルボン酸エステル基とカルボン酸基の双方をハイパーブランチポリマーの末端部分に配することが非常に重要である。
しかしながら、本発明者らによる検討の結果、塩化銅とビピリジルといった汎用触媒存在下、カルボン酸基を有するモノマーとカルボン酸エステル基を有するモノマーを用いるATRP法では、ハイパーブランチポリマーの末端に、カルボン酸エステル基とカルボン酸基を同時に導入することはできないことが明らかとなった。これは、カルボン酸を有するモノマーとビピリジルが塩を形成する、あるいは銅への配位が競争的に起こるためと考えられる。これを回避するために、水中で、カルボン酸のナトリウム塩を用いて行うATRP法(非特許文献4)が考案されているが、水不溶性モノマーから構成されるポリマーの合成には、使用することはできない。従って、汎用リガンドを用いる非水系ATRP法によって、水不溶性モノマーから構成されるハイパーブランチポリマーの末端へカルボン酸基を導入するには、コア部にカルボン酸エステル基を持つモノマーを重合してシェル部を合成した後、上述の(b)に示すように、必要量のエステル基を脱保護する必要がある。
他方、カルボン酸エステルの部分脱保護は、一般に、酸触媒によって行われ、酸触媒の除去は、アルカリによる中和及び水洗浄という工程により行われている(特許文献10,11)。
しかしながら、触媒量の酸にアルカリを当量分添加して中和することは、フォトレジストのような塩基性物質の混入を嫌う用途である場合、非常に困難であり、また水洗浄を多く繰り返すことは、廃水等のコストの面で現実的ではない。さらに、フォトレジストポリマーは、分子末端部にカルボン酸基を有しているため、水中でカルボン酸が解離して界面活性能が発現し、乳化が起こりやすいという問題がある。
酸触媒の残留は、たとえ微量であってもポリマーの安定性や色調に多大な影響を及ぼす。コアシェル型ハイパーブランチにおいては、残留した酸触媒により、カルボン酸エステル基の分解が進行してしまい、カルボン酸エステル基とカルボン酸基の比率が変動してしまうなど、性能に直結した問題につながる恐れがある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−231858号公報
【特許文献2】特開2004−359929号公報
【特許文献3】特開2005−91428号公報
【特許文献4】特開平6−266099号公報
【特許文献5】国際公開第2005/061566号パンフレット
【特許文献6】特開2003−268057号公報
【特許文献7】国際公開第2005/061566号パンフレット
【特許文献8】特表平07−504762号公報
【特許文献9】特開平05−019463号公報
【特許文献10】特開昭55−94911号公報
【特許文献11】特開昭57−3802号公報
【非特許文献1】Franco Cerrina, Vac.Sci.Tech.B,19,2890(2001)
【非特許文献2】Toru Yamaguti, Jpn.J.Appl.Phys., 38,7114(1999)
【非特許文献3】Alexander R. Trimble,Proceedings of SPIE,3999,1198,(2000)
【非特許文献4】X,S.Wang, R.A.Jackson, S.P.Armes, Macromolecules.,33,255 (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、ポリマーの製造過程でポリマー中に含まれ得る酸触媒を低減した、シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーの簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討を重ね、コアシェル型ハイパーブランチポリマーを製造するにあたり、有機溶媒でポリマーを洗浄することにより酸触媒を低減できることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを提供する工程;
(B)有機溶媒中で該ハイパーブランチポリマーを酸触媒に接触させ、酸分解性基の一部を酸基に変換し、酸触媒を含有する、シェル部に酸基と酸分解性基とを有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
(C)得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒に接触させ、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
を含む、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリマーの製造過程でポリマー中に含まれ得る酸触媒を極度に低減させた、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーを簡便に製造することができる。本発明の方法によれば、シェル部の酸基と酸分解性基との比が、経時によって変化することなく、一定であるハイパーブランチポリマーを簡便に得ることができる。本発明の方法により得られるハイパーブランチポリマーはまた、紫外光源に対する感度はもちろん極紫外光源に対する感度も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
工程(A)
工程(A)において、シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマー(以下、「レジストポリマー中間体」と称することもある)を提供する。本工程において用いることのポリマーは、ATRP(原子転移ラジカル重合)法により、コア部形成モノマーと共に金属触媒を反応系内に投入し、ブランチ構造を有するコア部を形成し、引き続いて酸分解性基形成モノマーを投入してシェル部を形成することにより製造することができる。
<コア部>
本発明のハイパーブランチポリマーのコア部は、該ポリマー分子の核を構成し、リビングラジカル重合可能なモノマーを重合することにより製造することができる。好ましくは下記式(I)で表されるモノマーを使用する。
【0011】
【化1】

【0012】
式(I)中、Yは、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を含んでいてもよい炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を表し、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、アミレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等などや、これらが結合した基、或いはこれらに−O−、−CO−、−COO−が介在した基が挙げられる。このうち、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖アルキレン基がより好ましく、メチレン基、エチレン基、−OCH2−基、−OCH2CH2−基がさらに好ましい。
Zは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を示す。このうち、塩素原子、臭素原子が好ましい。
本発明において使用できる上記式(I)で表されるモノマーとしては、例えば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレン、ブロモ(4−ビニルフェニル)フェニルメタン、1−ブロモ−1−(4−ビニルフェニル)プロパン−2−オン、3−ブロモ−3−(4−ビニルフェニル)プロパノール、などが挙げられる。このうち、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン、p−(1−クロロエチル)スチレンが好ましい。
【0013】
本発明のハイパーブランチポリマーのコア部を形成するモノマーとしては、上記式(I)で表されるモノマーに加え他のモノマーを含むことができる。他のモノマーとしてはラジカル重合が可能なモノマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ラジカル重合が可能な他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸エステル類、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸エステル類、スチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物である。
【0014】
(メタ)アクリル酸エステル類の具体例としては、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。
【0015】
ビニル安息香酸エステル類の具体例としては、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。
【0016】
スチレン類の具体例としては、スチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。
アリル化合物の具体例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の具体例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなどが挙げられる。
【0017】
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなどが挙げられる。
このうち、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル類、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸エステル類、スチレン類が好ましく、中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、4−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸tert−ブチル、スチレン、ベンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレンが好ましい。
【0018】
本発明のハイパーブランチポリマーにおいて、全モノマーに対して、コア部を形成するモノマーは、10〜90モル%、好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは10〜60モル%の量で含まれるのが好適である。コア部を構成するモノマーの量がこのような範囲内にあると、現像液に対し適度な疎水性を有するために、未露光部分の溶解が抑制されるので好ましい。
本発明のハイパーブランチポリマーのコア部を形成する全モノマーに対して、上記式(1)で表わされるモノマーは、5〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%の量で含まれるのが好適である。このような範囲にあると、コア部は分子間の絡まり抑制に有利な球状形態をとるため好ましい。
本発明のハイパーブランチポリマーのコア部が、式(I)で表されるモノマーとその他のモノマーとの共重合物であるとき、コア部を構成する全モノマー中における上記式(I)の量は、10〜99モル%であるのが好ましく、20〜99モル%であるのがより好ましく、30〜99が好適である。このような量で、式(I)で表されるモノマーを含んでいると、コア部は分子間の絡まり抑制に有利な球状形態をとるので好ましい。
このような量で、上記式(I)で表されるモノマーを使用すると、コア部の球状形態を保ちつつ、基板密着性やガラス転移温度の上昇等の機能が付与されるので好ましい。なお、コア部における式(I)で表されるモノマーとそれ以外のモノマーとの量は、目的に応じて重合時の仕込み量比により調節することができる。
【0019】
<シェル部>
本発明のハイパーブランチポリマーのシェル部は、該ポリマー分子の末端を構成し、例えば下記式(II)及び、又は(III)で表される繰り返し単位を有する。該繰り返し単位は、酢酸、マレイン酸、安息香酸等の有機酸或いは塩酸、硫酸又は硝酸等の無機酸の作用により、好ましくは光エネルギーによって酸を発生する光酸発生剤の作用、およびまたは熱により分解する酸分解性基を含む。酸分解性基は分解して親水基となることが好ましい。
【0020】
【化2】

【0021】
上記式(II)中、R1、及び、上記式(III)中、R4は、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。このうち、水素原子及びメチル基が好ましく、更に好ましくは水素原子である。
上記式(II)中、R2は水素原子;炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;又は炭素数6〜30、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10のアリール基を表わす。直鎖状、分岐状、環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。このうち、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましいが、水素原子が最も好ましい。
上記式(II)中、R3、及び、上記式(III)中、R5は、水素原子;炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基;トリアルキルシリル基(ここで、各アルキル基の炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である);オキソアルキル基(ここで、アルキル基の炭素数は4〜20、好ましくは4〜10である);又は下記式(i)で表される基(ただし、R6は水素原子;又は直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表し、R7、R8は互いに独立して水素原子;又は直鎖状、分岐鎖状もしくは環状の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を示すか、或いは互いに一緒になって環を形成しても良い)を表す。このうち、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜20の分岐状アルキル基がより好ましい。
【0022】
前記R3、及びR5において、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、tert−アミル基などが挙げられる。このうち、tert−ブチル基が特に好ましい。
前記R3、及びR5において、トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等の各アルキル基の炭素数が1〜6のものが挙げられる。オキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、などが挙げられる。
【0023】
【化3】

【0024】
(式(i)中、R6は直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R7、R8は互いに独立して水素原子、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜10のアルキル基を示すか、或いはR7とR8は互いに一緒になって環を形成してもよい。))
上記式(i)で示される基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−sec−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−tert−アミロキシエチル基、1−エトキシ−n−プロピル基、1−シクロヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、1−メトキシ−1−メチル−エチル基、1−エトキシ−1−メチル−エチル基等の直鎖状又は分岐状アセタール基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等の環状アセタール基、などが挙げられ、これらの中でも、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、エトキシプロピル基、テトラヒドロピラニル基が特に好適である。
【0025】
上記式(II)で表される繰り返し単位を与えるモノマーとしては、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸tert−ブチル、ビニル安息香酸2−メチルブチル、ビニル安息香酸2−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−エチルブチル、ビニル安息香酸3−メチルペンチル、ビニル安息香酸2−メチルヘキシル、ビニル安息香酸3−メチルヘキシル、ビニル安息香酸トリエチルカルビル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロペンチル、ビニル安息香酸1−メチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−エチル−1−シクロヘキシル、ビニル安息香酸1−メチルノルボニル、ビニル安息香酸1−エチルノルボニル、ビニル安息香酸2−メチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸2−エチル−2−アダマンチル、ビニル安息香酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、ビニル安息香酸テトラヒドロフラニル、ビニル安息香酸テトラヒドロピラニル、ビニル安息香酸1−メトキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシエチル、ビニル安息香酸1−n−プロポキシエチル、ビニル安息香酸1−イソプロポキシエチル、ビニル安息香酸n−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−イソブトキシエチル、ビニル安息香酸1−sec−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−ブトキシエチル、ビニル安息香酸1−tert−アミロキシエチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−n−プロピル、ビニル安息香酸1−シクロヘキシロキシエチル、ビニル安息香酸メトキシプロピル、ビニル安息香酸エトキシプロピル、ビニル安息香酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、ビニル安息香酸トリメチルシリル、ビニル安息香酸トリエチルシリル、ビニル安息香酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、ビニル安息香酸1−メチルシクロヘキシル、ビニル安息香酸アダマンチル、ビニル安息香酸2−(2−メチル)アダマンチル、ビニル安息香酸クロルエチル、ビニル安息香酸2−ヒドロキシエチル、ビニル安息香酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、ビニル安息香酸5−ヒドロキシペンチル、ビニル安息香酸トリメチロールプロパン、ビニル安息香酸グリシジル、ビニル安息香酸ベンジル、ビニル安息香酸フェニル、ビニル安息香酸ナフチルなどが挙げられる。このうち、4−ビニル安息香酸と4−ビニル安息香酸tert−ブチルの共重合体が好ましい。
【0026】
上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−メチルブチル、アクリル酸2−メチルペンチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル酸3−メチルペンチル、アクリル酸2−メチルヘキシル、アクリル酸3−メチルヘキシル、アクリル酸トリエチルカルビル、アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、アクリル酸1−メチルノルボニル、アクリル酸1−エチルノルボニル、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸1−メトキシエチル、アクリル酸1−エトキシエチル、アクリル酸1−n−プロポキシエチル、アクリル酸1−イソプロポキシエチル、アクリル酸n−ブトキシエチル、アクリル酸1−イソブトキシエチル、アクリル酸1−sec−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−ブトキシエチル、アクリル酸1−tert−アミロキシエチル、アクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、アクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリエチルシリル、アクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(アクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、アクリル酸1−メチルシクロヘキシル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、アクリル酸クロルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、アクリル酸5−ヒドロキシペンチル、アクリル酸トリメチロールプロパン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−メチルブチル、メタクリル酸2−メチルペンチル、メタクリル酸2−エチルブチル、メタクリル酸3−メチルペンチル、メタクリル酸2−メチルヘキシル、メタクリル酸3−メチルヘキシル、メタクリル酸トリエチルカルビル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル、メタクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル、メタクリル酸1−メチルノルボニル、メタクリル酸1−エチルノルボニル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフラニル、メタクリル酸テトラヒドロピラニル、メタクリル酸1−メトキシエチル、メタクリル酸1−エトキシエチル、メタクリル酸1−n−プロポキシエチル、メタクリル酸1−イソプロポキシエチル、メタクリル酸n−ブトキシエチル、メタクリル酸1−イソブトキシエチル、メタクリル酸1−sec−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−ブトキシエチル、メタクリル酸1−tert−アミロキシエチル、メタクリル酸1−エトキシ−n−プロピル、メタクリル酸1−シクロヘキシロキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸1−メトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸1−エトキシ−1−メチル−エチル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリエチルシリル、メタクリル酸ジメチル−tert−ブチルシリル、α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−メチル−α−(4−ビニルベンゾイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−メチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−メチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−メチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、α−エチル−α−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、β−エチル−β−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、γ−エチル−γ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、δ−エチル−δ−(メタクロイル)オキシ−δ−バレロラクトン、メタクリル酸1−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸2−(2−メチル)アダマンチル、メタクリル酸クロルエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2,2−ジメチルヒドロキシプロピル、メタクリル酸5−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチル、などが挙げられる。このうち、アクリル酸とアクリル酸tert−ブチルの共重合体が好ましい。
なお、4−ビニル安息香酸、及び、又はアクリル酸、かつ、4−ビニル安息香酸tert−ブチル、及び、又はアクリル酸tert−ブチルとの共重合体も好ましい。
【0027】
上記式(II)、及び上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマー以外のモノマーも、ラジカル重合性の不飽和結合を有する構造であればシェル部を形成するモノマーとして使用することができる。
使用することができる共重合モノマーとしては、例えば、上記以外のスチレン類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、クロトン酸エステル類などから選ばれるラジカル重合性の不飽和結合を有する化合物等があげられる。
スチレン類の具体例としては、tert−ブトキシスチレン、α−メチル−tert−ブトキシスチレン、4−(1−メトキシエトキ)シスチレン、4−(1−エトキシエトキ)シスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、アダマンチルオキシスチレン、4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン、4−(1−メチルシクロヘキシルオキシ)スチレン、トリメチルシリルオキシスチレン、ジメチル−tert−ブチルシリルオキシスチレン、テトラヒドロピラニルオキシスチレン、ベンジルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられる。
【0028】
アリルエステル類の具体例としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル、アリルオキシエタノールなどが挙げられる。
ビニルエーテル類の具体例としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなどが挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエ
ート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなどが挙げられる。
クロトン酸エステル類の具体例としては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネート、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、ジメチルマレレート、ジブチルフマレート、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリルなどが挙げられる。
また、下記式なども挙げられる。
【0029】
【化4】

【0030】
このうち、スチレン類、クロトン酸エステル類が好ましく、中でもスチレン、ンジルスチレン、クロルスチレン、ビニルナフタレン、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、無水マレイン酸が好ましい。
本発明のハイパーブランチポリマーにおいて、上記式(II)、及び、又は上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーは、10〜90モル%、好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは30〜90モル%の範囲でポリマーに含まれるのが好適である。特に、シェル部において上記式(II)、及び、又は上記式(III)で表される繰り返し単位が50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%の範囲で含まれるのが好適である。このような範囲内にあると、現像工程において露光部が効率よくアルカリ溶液に溶解し除去されるので好ましい。
本発明のハイパーブランチポリマーのシェル部が、上記式(II)、及び、又は上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーとその他のモノマーとの共重合物であるとき、シェル部を構成する全モノマー中における上記式(II)及び、又は上記式(III)の量は、30〜90モル%であるのが好ましく、50〜70モル%であるのがより好ましい。このような範囲内にあると、露光部の効率的アルカリ溶解性を阻害せずに、エッチング耐性、ぬれ性、ガラス転移温度の上昇等の機能が付与されるので好ましい。
なお、シェル部における式(II)、及び、又は式(III)で表される繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位の量は、目的に応じてシェル部導入時のモル比の仕込み量比により調節することができる。
【0031】
<金属触媒>
本発明において使用できる金属触媒としては、銅、鉄、ルテニウム、クロム等の遷移金属と未置換のおよびアルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、エステル基等により置換されたピリジン類およびビピリジン類、脂肪族ポリアミン類、脂肪族アミン類、あるいはアルキル、及びアリールホスフィン類等からなる配位子を組み合わせた触媒、例えば、塩化銅(I)、あるいは臭化銅(I)と配位子の組み合わせによる銅ビピリジル錯体、銅ペンタメチルジエチレントリアミン錯体、銅テトラメチルエチレンジアミン錯体、塩化鉄(II)と配位子の組み合わせによる鉄トリブチルホスフィン錯体、鉄トリフェニルホスフィン錯体、鉄トリブチルアミン錯体等を挙げることができる。このうち、銅ビピリジル錯体、銅ペンタメチルジエチレントリアミン錯体鉄トリブチルホスフィン錯体、鉄トリブチルアミン錯体が特に好ましい。
本発明の製造方法における金属触媒の使用量は、モノマーの全量に対して0.1〜70モル%となるように使用するのが好ましく、1〜60モル%となるように使用するのがより好ましい。このような量で触媒を使用すると、好適な分岐度を有するハイパーブランチポリマーコア部を得ることができる。
【0032】
<レジストポリマー中間体の製造>
シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーは、コア部形成モノマーと共に金属触媒を反応系内に投入し、ブランチ構造を有するコア部を形成し、引き続いて酸分解性基形成モノマーを投入してシェル部を形成することにより製造することができる。
コアシェル型ハイパーブランチポリマーのコア部は、通常、0〜200℃で、0.1〜30時間、クロロベンゼン等の溶媒中で原料モノマーをリビングラジカル重合反応させることにより、ハイパーブランチポリマーのコア部を製造することが出来る。
【0033】
コアシェル型ハイパーブランチポリマーのシェル部は、既述のようにして合成できるハイパーブランチポリマーのコア部と、酸分解性基を含有するモノマーとを反応させることにより、ポリマー末端に導入することができる。
<第一の方法>
前記ハイパーブランチポリマーのコア部合成工程で得られたコア部を単離した後、酸分解性基を含有するモノマーとして、例えば、上記式(II)、及び、又は、上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーを用い、式(II)、及び、又は(III)で表される酸分解性基を導入することができる方法である。
触媒として、ハイパーブランチポリマーのコア部の合成に用いた触媒と同様の遷移金属錯体触媒、例えば、銅(I価)ビピリジル錯体を用い、前記コア部の末端に多数存在するハロゲン化炭素を開始点として、上記式(II) 及び、又は、上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーを含んでなる少なくとも1種の化合物の二重結合とのリビングラジカル重合によって直鎖状に付加重合させるものである。具体的には、通常、0〜200℃で、0.1〜30時間、クロロベンゼン等の溶媒中で、コア部と上記式(II) 及び、又は、上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーを含んでなる少なくとも1種の化合物とを反応させることにより、本発明のハイパーブランチポリマーを製造することが出来る。反応終了後は、超純水、あるいはメタノールのような水酸基を持つ溶媒を反応系に添加して反応を停止し、水-有機溶媒による液々抽出により、銅触媒を除去する。有機層に、メタノールなどの貧溶媒を添加し、再沈操作に供することで、残存したモノマーや副生成物であるオリゴマーを除去する。
その後、レジストポリマー中間体含有溶液を、減圧蒸留などの操作により溶媒を除去し、固体状のレジストポリマーとする。
【0034】
<第二の方法>
前記ハイパーブランチポリマーのコア部合成工程を用い、コア部を形成した後、コア部を単離することなく、酸分解性基を含有する化合物として例えば、上記式(II) 及び、又は、上記式(III)で表される繰り返し単位を与えるモノマーを用いることにより、式(II)、及び、又は(III)で表される酸分解性基を導入することができる方法である。この場合、シェル部形成工程において投入する金属触媒は、コア部形成工程において使用した金属触媒と同種でも異種でもよい。反応終了後は、超純水、あるいはメタノールのような水酸基を持つ溶媒を反応系に添加して反応を停止し、水-有機溶媒による液々抽出により、銅触媒を除去する。有機層に、メタノールなどの貧溶媒を添加し、再沈操作に供することで、残存したモノマーや副生成物であるオリゴマーを除去する。
その後、レジストポリマー中間体含有溶液を、減圧蒸留などの操作により溶媒を除去し、固体状のレジストポリマーとする。
【0035】
得られたレジストポリマー中間体中には、使用する金属触媒の量に依存するが、通常0.1〜5質量%の範囲で金属が含まれる。レジストポリマーの金属量は、精製により、100ppb以下に抑えることが、半導体としての高性能を維持する上で不可欠である。金属触媒として銅(I価)ビピリジル錯体を使用したとき、レジストポリマー中間体中の銅の含量は50ppb以下であるのが好ましい。
本発明において、金属含量は、ICP質量分析装置を使用して測定することができる。
【0036】
工程(B)
工程(B)において、有機溶媒中でハイパーブランチポリマーを酸触媒に接触させ、酸分解性基の一部を酸基に変換し、シェル部に酸基と酸分解性基とを有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る。
<酸触媒>
本発明において、酸は、ハイパーブランチポリマーのシェル部に存在する酸分解性基を酸基に分解する触媒である。具体例には、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ギ酸等の有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。無機酸が好ましく、中でも、塩酸、硫酸及びこれらの混合物が好適である。酸は水溶液の形態でハイパーブランチポリマーと接触させることができる。この場合、添加される酸の水溶液濃度は、5質量%以上であることが望ましい。5質量%以上であると、酸分解性基の分解を効率よく行うことができる。
【0037】
<酸分解性基の分解>
酸分解性基の一部を上述の酸触媒により酸基に分解するには、工程(A)で得られた固体状のレジストポリマー中間体を、酸分解性基に対して、通常、0.001〜0.1当量の酸触媒を含有する該ハイパーブランチポリマーを溶解しうる有機溶媒に添加し、通常、50〜150℃の温度で10分〜20時間加熱攪拌することにより行うことができる。
反応に使用される有機溶媒は、該ハイパーブランチポリマーを溶解しうるものであり、かつ水に対しても相溶性のあるものであることが望ましく、好ましくは、入手のしやすさや、扱いの容易さから1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びこれらの混合物からなる群から選ばれるのが望ましい。使用される有機溶媒の量は、レジストポリマー中間体と酸触媒が溶解していれば、特に限定はされないが、ポリマーに対して5〜500質量倍、好ましくは、8〜200質量倍であることが好ましい。
得られたレジストポリマーの酸分解性基と酸基との比率は、レジストの組成により最適値が異なるが、導入した酸分解性基を含有するモノマー中の好ましくは5〜80モル%が脱保護されて酸基に変換されているのが好ましい。酸分解性基と酸基との比率がこのような範囲にあると、高感度と露光後の効率的なアルカリ溶解性が達成されるため好ましい。酸分解性基と酸基との比率は、酸触媒の量、温度、反応時間を適宜、選択することで、調節される。
【0038】
工程(C)
工程(C)において、工程(B)において得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒に接触させ、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る。
<有機溶媒>
本工程において使用する有機溶媒としては、ハイパーブランチポリマーを溶解できれば特に制限なく使用することができる。1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びこれらの混合物からなる群から選ばれるのが好ましい。このうち、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランがより好ましい。本工程において用いる有機溶媒は、工程(B)において有機溶媒を用いる場合、その有機溶媒と同じものを用いるのがより好ましい。工程(B)において得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒に接触させることにより、ポリマー中に存在する微量の酸触媒をポリマーから分離することができる。
有機溶媒の量は、ポリマーが溶解する量であれば特に限定はされないが、有機溶媒は、析出したポリマーに対して、5〜500質量倍、好ましくは8〜200質量倍加えることが好ましい。用いる有機溶媒の温度は5〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃である。このような温度の有機溶媒を使用すると酸触媒の除去率が高まるので好ましい。
【0039】
<純水>
本発明において使用する純水としては、25℃における全金属含有量が10ppb以下である純水が好ましい。25℃における比抵抗値が10MΩ・cm以上の純水を使用するのもまた好ましい。25℃における比抵抗値が18MΩ・cm以上の超純水を使用するのもまた好ましい。本工程で水由来の金属がレジストポリマー中間体に混入するのを防ぐために、用いる純水中の金属量は、極力低減させておくことが望ましい。
純水は、蒸留、活性炭吸着、イオン交換、ろ過、逆浸透等の方法を組み合わせ、例えば、アドバンテック東洋(株)製 CSR-200等の装置を使用して製造することができる。
洗浄に使用する純水としては、純水に蟻酸、シュウ酸、酢酸、塩酸、硫酸等を添加し、pHを例えば5以下に調整した酸性水溶液を用いることもできる。酸性水溶液を使用することにより、金属元素の水層への溶解分配比が向上するので好ましい。
純水の量は、ポリマーが析出する量であれば特に限定はされないが、工程(B)において得られる反応液に対して、容量で1〜100倍量であることが好ましい。用いる純水の温度は5〜50℃が好ましく、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃である。このような温度の純水を使用すると酸触媒の除去率が高まるので好ましい。
【0040】
本工程において、工程(B)において得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒とに接触させるが、有機溶媒に接触させる前に純水に接触させるのが好ましい。ハイパーブランチポリマーを純水に接触させた後、遠心分離、濾過等の分離手段に供し、次いで有機溶媒に接触させるのがより好ましい。純水に接触させるとポリマーが沈降するので、純水除去後、有機溶媒によるポリマーの洗浄が効率よく容易に行うことができるので好ましい。分離手段としては、収率及び生産性向上の点から遠心分離が好ましい。
ポリマー中に存在する酸触媒が除去されるまで、有機溶媒との接触、並びに必要により純水との接触、遠心分離等によるポリマーと有機溶媒ないし純水との分離を、必要に応じて繰り返すことが望ましい。回数は特に限定されないが、通常、1回〜5回である。純水に2回以上接触させるのが好ましい。
析出したポリマーは、末端部にカルボン酸基を有しているが、系内が酸性であるために、非解離の状態で沈降し、遠心分離や濾過により、容易に酸触媒から単離される。乳化した場合、遠心分離による単離が困難な場合には、沈降したポリマーを濾過によって取り除くことができる。
遠心分離時の遠心力は、1000×G以上であることが好ましく、5000×G以上がより好ましい。これより小さいと分離性が悪く、分離に多大な時間を要する。遠心分離に供する時間は、通常、1〜100分間、好ましくは1〜50分間である。
濾過手段としては、加圧濾過、減圧濾過等あげられるが、加圧濾過が好ましい。加圧濾過は、例えば孔径0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下のPTFEフィルターを用い、窒素で1.1×105Pa以上、好ましくは1.1×105Pa〜1.1×106Paに加圧することにより行うことができる。
工程(B)で得られた反応液に先ず純水を接触させ、次いで遠心分離を行い、続いて有機溶媒に接触させた後、再度純水に接触させ、その後遠心分離又は加圧濾過を行うのが最も好ましい。
本発明による生成物は、該ポリマーを有機溶媒に溶解して酸触媒と分離し、次いで純水を加えてポリマーを析出させた後の溶液のpHが7を示す。尚、pHは、ポリマーを析出させた直後の溶液のpHをpH電極(ガラス電極)を用い、25℃において測定される値をいう。
【0041】
ポリマー末端のカルボン酸は、触媒の酸の存在下では、非解離であるため、ポリマーは、水溶液中で乳化が起こりにくいが、触媒の酸が除去されるに従って、解離し、界面活性能を発現するため、乳化しやすくなる。ポリマーに含まれるカルボン酸基の割合やポリマーを構成するモノマーの種類により、乳化の度合いは異なる。
酸触媒を含有しないハイパーブランチポリマーは、遠心分離又は濾過等により単離し、乾燥することによりレジストポリマーとすることができる。
【0042】
前記ハイパーブランチポリマーにおけるコア部の分岐度(Br)は、0.1〜0.9であるのが好ましく、0.3〜0.7であるのがより好ましく、0.4〜0.5であるのがさらに好ましく、0.5であるのが最も好ましい。コア部の分岐度がこのような範囲にあると、ポリマー分子間での絡まりが小さく、パターン側壁における表面ラフネスが抑制されるので好ましい。
ここで、前記分岐度は、生成物の1H−NMRを測定し、以下のようにして求めることができる。即ち、4.6ppmに現われる−CH2Cl部位のプロトンの積分比H1°と、4.8ppmに現われるCHCl部位のプロトンの積分比H2°を用い、下記数式(A)により算出できる。なお、−CH2Cl部位とCHCl部位との両方で重合が進行し、分岐が高まると、Br値は0.5に近づく。







【0043】
【数1】

【0044】
本発明のハイパーブランチポリマーにおけるコア部の質量平均分子量は、300〜100,000であるのが好ましく、500〜80,000であるのもまた好ましく、1,000〜60,000であるのがより好ましく、1,000〜50,000であるのがさらに好ましく、1,000〜30,000であるのが最も好ましい。コア部の分子量がこのような範囲にあると、コア部は球状形態をとり、又酸分解性基導入反応において、反応溶媒への溶解性を確保できるので好ましい。さらに、成膜性に優れ、上記分子量範囲のコア部に酸分解性基を誘導したハイパーブランチポリマーおいて、未露光部の溶解抑止に有利となるので好ましい。
【0045】
本発明のハイパーブランチポリマーの質量平均分子量(M)は、500〜150,000が好ましく、2,000〜150,000がより好ましく、さらに好ましくは1,000〜100,000、さらに好ましくは2,000〜60,000、最も好ましくは3,000〜60,000である。ハイパーブランチポリマーの質量平均分子量(M)がこのような範囲にあると、該ハイパーブランチポリマーを含有するレジストは、成膜性が良好であり、リソグラフィー工程で形成された加工パターンの強度があるため形状を保つことができる。またドライエッチング耐性にも優れ、表面ラフネスも良好である。
ここで、コア部の質量平均分子量(Mw)は、0.05質量%のテトラヒドロフラン溶液を調製し、温度40℃でGPC測定を行って求めることができる。移動溶媒としてはテトラヒドロフランを用い、標準物質としてはスチレンを使用することができる。本発明のハイパーブランチポリマーの質量平均分子量(M)は、酸分解性基が導入されたポリマーの各繰り返し単位の導入比率(構成比)をH1NMRにより求め、前記ハイパーブランチポリマーのコア部分の質量平均分子量(Mw)をもとにして、各構成単位の導入比率及び、各構成単位の分子量を使って計算により求めることができる。
【実施例】
【0046】
下に、本発明を、実施例を用いて更に具体的に明らかにするが、本発明は、これらの例によって、何等限定的に解釈されるものではない。
<超純水>
超純水は、アドバンテック東洋(株)製GSR-200にて製造した、25℃における金属含有量が1ppb以下であり、比抵抗値18MΩ・cmの超純水を25℃において使用した。
<pH測定>
pHの測定は、ガラス電極((株)堀場製作所製D-51)を用い、25℃において測定した。
(実施例1)
<レジストポリマー中間体合成>
攪拌機及び、冷却管を取り付けた300mLの3つ口反応容器にアルゴンガス雰囲気下で、2.2’−ビピリジル2.3gと塩化銅(I) 0.74gを採り、反応溶媒のクロロベンゼン23mLを加え、クロロメチルスチレン 4.6gを5分間で滴下し、内部温度を125℃一定に保ちながら加熱攪拌して、コア部分を合成した。滴下時間を含めた反応時間は、25分とした。コア部分の質量平均分子量(Mw)、及び分岐度(Br)を前記に記す方法で測定したところ、MW=2000、Br=0.47であった。
【0047】
その後、クロロベンゼン150mL、4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステル17.1gをシリンジで注入し、125℃で4時間加熱攪拌して酸分解性基を導入した。
反応混合物を急冷却後、1Lの反応容器に移し、比抵抗値18MΩ・cmの超純水500mLを添加、30分間激しく攪拌した後、15分間、静置した。ポリマー中間体を含む有機層と水層に分かれたので、デカンテーションにより、水層を除去した。超純水500mLの添加から水層の分離までをこの後、さらに8回繰り返した。続いて、ミクロフィルターを用いて、流速4mL/分となるよう、加圧しながら濾過を行った。
次に、レジストポリマー中間体層にメタノール400mLを加え再沈し、上澄み液を除くことにより未反応モノマーと反応溶媒を除去した。沈殿物をメタノールで洗浄することで、淡黄色の固形状である洗浄したレジストポリマー中間体を得た。
【0048】
<酸分解性基の分解>
PTFE(四フッ化エチレン樹脂)製の空冷管(500mm)を付けたPFA(。四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合樹脂)製反応容器(250mL)に洗浄したレジストポリマー中間体2.5gを入れ、1,4−ジオキサン 125mL、30%塩酸水溶液3.75mLを加えて、90℃で60分加熱攪拌し、4−ビニル安息香酸−tertブチル部分の一部を4−ビニル安息香酸部分に分解した。
<酸触媒の除去>
次に、反応物を比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させ、得られたスラリー状の流動物をPP製の500mLの遠沈管4つに分けて入れ、遠心分離機にかけ(10000×G、20分)ポリマー粗製物を沈殿固化させることで、塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液と分離し、その混合液をデカンテーションで廃棄した。廃棄した混合液のpHは0.9であった。
【0049】
500mLの遠沈管4つに、それぞれ1,4−ジオキサン31mLを加え、ポリマーの固形粗製物を再溶解することで、ポリマーの固形粗製物の中に残存している塩酸とポリマーとを分離し、この1,4−ジオキサン溶液を再び、比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させた。得られたスラリー状の流動物は乳化状態に近いため、PFAで内部コーティングした加圧濾過器(Advantec東洋社製:0.2μmPTFEフィルター、4×105Pa、N2加圧)で、微量の塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液とポリマー固形分とを濾別した。濾過時間は1時間5分、濾液のpHは7.0であった。
PTFEフィルター上のポリマー精製物を乾燥し(50℃、90分)、レジストポリマーを得た。収量2.05g。
1H−NMRにより、4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルと4−ビニル安息香酸との比を測定(4−ビニル安息香酸及び4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルのカルボン酸側のベンゼン環のプロトン由来のピーク(7.4〜8.3ppm)の積分値を1としたときの、tert−ブチル基由来のピーク(1.3〜1.6ppm)の積分値において、反応後の積分値は4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルの量比、反応前の積分値から反応後の積分値を引いた値は4−ビニル安息香酸の量比)したところ、50:50であった。
【0050】
<レジスト組成物の調製>
得られたレジストポリマー 4.0質量%、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを0.16質量%含有するプロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMEA)溶液を作製し、細孔径0.1μmのフィルターで濾過してレジスト組成物を調製した。
<紫外線照射感度測定>
得られたレジスト組成物をシリコンウエハ上にスピンコートし、ホットプレート上でプリベイク(90℃、1分)し、溶媒を蒸発させて、厚さ100nmの薄膜を作製した。
光源として、放電管式紫外線照射装置(アトー株式会社製、DF−245型ドナフィックス)を用いた。シリコンウエハ上に成膜した厚さ約100nmの試料薄膜に対し、縦10mm×横3mmの長方形の部分に、波長245nmの紫外線を、エネルギー量を0mJ/cm2から20mJ/cm2まで変化させて照射することにより露光した。
ホットプレート上でポストイクスポージャーベイク(100℃、4分)の後、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイト(TMAH)2.4質量%水溶液中に25℃にて2分間浸漬させて現像した。水洗、乾燥後の膜厚を、Filmetrics(株)製薄膜測定装置F20で測定し、膜厚がゼロになったときの最小エネルギー量を感度とした。結果を表1に記す。
<保存安定性測定>
また、レジストポリマーとレジスト組成物を25℃で保存し、レジストポリマーは1H−NMRにより4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルと4−ビニル安息香酸との比を測定し、レジスト組成物は紫外線照射感度測定を行い、30日後、180日後の安定性を調べた。その結果を表1に記す。
【0051】
(実施例2)
実施例1で得られたレジストポリマー中間体を以下の実験に供した。
<酸分解性基の分解>
PTFE(四フッ化エチレン樹脂)製の空冷管(500mm)を付けたPFA(。四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合樹脂)製反応容器(500mL)に洗浄したレジストポリマー中間体2.5gを入れ、1,4−ジオキサン 125mL、30%塩酸水溶液3.75mLを加えて、90℃で60分加熱攪拌し、4−ビニル安息香酸−tertブチル部分の一部を4−ビニル安息香酸部分に分解した。
<酸触媒の除去>
次に、反応物を比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させ、得られたスラリー状の流動物をPP製の500mLの遠沈管4つに分けて入れ、遠心分離機にかけ(10000×G、20分)ポリマー粗製物を沈殿固化させることで、塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液と分離し、その混合液をデカンテーションで廃棄した。廃棄した混合液のpHは0.9であった。
500mLの遠沈管4つに、それぞれテトラヒドロフラン31mLを加え、ポリマーの固形粗製物を再溶解することで、ポリマーの固形粗製物の中に残存している塩酸とポリマーとを分離し、このテトラヒドロフラン溶液を再び、比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させた。得られたスラリー状の流動物は直ぐに沈殿が始まったため、乳化状態ではないと判断し、この流動物を500mLの遠沈管4つに分けて入れ、遠心分離機にかけ(10000×G、40分)ポリマーを沈殿固化させた後、混合溶液をデカンテーションで廃棄した。得られたポリマーを乾燥させることにより、レジストポリマーを得た。濾液のpHは7.0であった。収量2.10g。
1H−NMRにより、4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルと4−ビニル安息香酸との比を測定(4−ビニル安息香酸及び4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルのカルボン酸側のベンゼン環のプロトン由来のピーク(7.4〜8.3ppm)の積分値を1としたときの、tert−ブチル基由来のピーク(1.3〜1.6ppm)の積分値において、反応後の積分値は4−ビニル安息香酸−tert−ブチルエステルの量比、反応前の積分値から反応後の積分値を引いた値は4−ビニル安息香酸の量比)したところ、50:50であった。
【0052】
<レジスト組成物の調製、及び、紫外線照射感度測定>
さらに実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、紫外光(254nm)露光実験の感度を測定した。結果を表1に記す。
<保存安定性測定>
また、レジストポリマーとレジスト組成物を25℃で保存し、レジストポリマーは1H−NMRによりアクリル酸−tert−ブチルエステルとアクリル酸との比を測定し、レジスト組成物は紫外線照射感度測定を行い、30日後、180日後の安定性を調べた。その結果を表1に記す。
【0053】
(実施例3)
<レジストポリマー中間体合成>
1L反応容器内に、反応モノマーとしてのクロロメチルスチレン420mmol、触媒としての2,2−ビピリジル262mmol、塩化銅(I)131mmol、及び溶媒としてのクロロベンゼン160mLを収容し、反応容器内をアルゴン置換した後、温度125℃で攪拌して30分重合反応させた。この反応液にクロロホルム1Lを加え、ポリマーを希釈溶解後、比抵抗値18MΩ・cmの超純水を添加、液々抽出により、触媒を除いた。ろ液を濃縮後、メタノール4Lを加え、ポリマーを沈殿させて、上澄み液を除くことにより未反応モノマーと反応溶媒を除去した。
次いで、沈降したポリマーをテトラヒドロフラン400mLに溶解させて、メタノール10Lを加え、再沈殿させる操作を2回繰り返しコア部分を合成した。コア部分の質量平均分子量(Mw)、及び分岐度(Br)を前記に記す方法で測定したところ、MW=2000、Br=0.48であった。
【0054】
次に、1L反応容器内に、原料ポリマーとしてのコア部分を20g、酸分解性基を含有する化合物としてのアクリル酸−tert−ブチルエステルを660mmol、触媒としての2,2−ビピリジル82mmol及び塩化銅(I)41mmol、溶媒としてのクロロベンゼン260mLを収容し、反応容器内をアルゴン置換後、温度125℃で攪拌し5時間重合させ、シェル部を導入し、レジストポリマー中間体含有溶液を得た。
この反応液にクロロベンゼン200mLを加え、4L容器に移した。25℃における金属含有量が1ppb以下の比抵抗値18MΩ・cmの超純水を2L添加し、30分間激しく攪拌した後、15分間、静置した。ポリマー中間体を含む有機層と水層に分かれたので、デカンテーションにより、水層を除去した。超純水2Lの添加から水層の分離までをこの後、さらに4回繰り返した。
次に、レジストポリマー中間体層にメタノール8Lを加え再沈し、固形分を分離した。沈殿物をテトラヒドロフラン/メタノールの混合溶液で洗浄することで、淡黄色の固体を得た。この固体を酢酸エチル600mL に溶解し、比抵抗値18MΩ・cmの超純水を添加し、30分間激しく攪拌した後、15分間、静置した。ポリマー中間体を含む有機層と水層に分かれたので、水層を除去した。超純水100mLの添加から水層の分離までをこの後、さらに2回繰り返した。続いて、ミクロフィルターを用いて、流速4mL/分となるよう、加圧しながら濾過を行った。
次いで、溶液を減圧下、溶媒除去することで、淡黄色の固体である洗浄したレジストポリマー中間体を得た。
【0055】
<酸分解性基の分解>
PTFE製の空冷管(500mm)を付けたPFA製反応容器(500mL)に洗浄した
レジストポリマー中間体5gを入れ、1,4−ジオキサン250mL、30%塩酸水溶液8.5mLを加えて、90℃で55分加熱攪拌し、アクリル酸−tert−ブチル部分の一部をアクリル酸部分に分解した。
<酸触媒の除去>
次に、反応物を比抵抗値18MΩ・cmの超純水2.5Lに注ぎ、ポリマーを析出させ、得られたスラリー状の流動物をPP製の500mLの遠沈管6つに分けて入れ、遠心分離機にかけ(10000×G、20分)ポリマー粗製物を沈殿固化させることで、塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液と分離し、その混合液をデカンテーションで廃棄した。廃棄した混合液のpHは0.7であった。
500mLの遠沈管6つに、それぞれ1,4−ジオキサン41mLを加え、ポリマーの固形粗製物を再溶解することで、ポリマーの固形粗製物の中に残存している塩酸とポリマーとを分離し、この1,4−ジオキサン溶液を再び、比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させた。得られたスラリー状の流動物は乳化状態に近いため、PFAで内部コーティングした加圧濾過器(0.2μmPTFEフィルター、4×105Pa、N2加圧)で、微量の塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液とポリマー固形分とを濾別した。濾過時間は3時間30分、濾液のpHは7.0であった。
PTFEフィルター上のポリマー精製物を乾燥し(50℃、90分)、レジストポリマーを得た。収量4.25g。
【0056】
1H−NMRにより、アクリル酸−tert−ブチルエステルとアクリル酸との比を測定(クロロベンゼンのベンゼン環のプロトン由来のピーク(6.5〜7.5ppm)の積分値を1としたときの、tert−ブチル基由来のピーク(1.1〜1.6ppm)の積分値において、反応後の積分値はアクリル酸−tert−ブチルエステルの量比、反応前の積分値から反応後の積分値を引いた値はアクリル酸の量比)したところ、70:30であった。
<レジスト組成物の調製、及び、紫外線照射感度測定>
さらに実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製し、紫外光(254nm)露光実験の感度を測定した。結果を表1に記す。
<保存安定性測定>
また、レジストポリマーとレジスト組成物を25℃で保存し、レジストポリマーは1H−NMRによりアクリル酸−tert−ブチルエステルとアクリル酸との比を測定し、レジスト組成物は紫外線照射感度測定を行い、30日後、180日後の安定性を調べた。その結果を表1に記す。
【0057】
(実施例4)
<レジストポリマー中間体合成、及び、洗浄処理>
実施例3で得られたレジストポリマー中間体を以下の実験に供した。
<酸分解性基の分解>
PTFE製の空冷管(500mm)を付けたPFA製反応容器(500mL)に洗浄した
レジストポリマー中間体5gを入れ、テトラヒドロフラン 250mL、30%硫酸水溶液10mLを加えて、65℃で120分加熱攪拌し、アクリル酸−tert−ブチル部分の一部をアクリル酸部分に分解した。
<酸触媒の除去>
次に、反応物を比抵抗値18MΩ・cmの超純水2.5Lに注ぎ、ポリマーを析出させ、得られたスラリー状の流動物をPP製の500mLの遠沈管6つに分けて入れ、遠心分離機にかけ(10000×G、20分)ポリマー粗製物を沈殿固化させることで、硫酸、水、テトラヒドロフランの混合液と分離し、その混合液をデカンテーションで廃棄した。廃棄した混合液のpHは0.3であった。
【0058】
500mLの遠沈管6つに、それぞれテトラヒドロフラン41mLを加え、ポリマーの固形粗製物を再溶解することで、ポリマーの固形粗製物の中に残存している硫酸とポリマーとを分離し、このテトラヒドロフラン溶液を再び、比抵抗値18MΩ・cmの超純水1.25Lに注ぎ、ポリマーを析出させた。得られたスラリー状の流動物は乳化状態に近いため、PFAで内部コーティングした加圧濾過器(0.2μmPTFEフィルター、4×105Pa、N2加圧)で、微量の硫酸、水、テトラヒドロフランの混合液とポリマーとを濾別した。濾過時間は2時間50分、濾液のpHは7.0であった。
PTFEフィルター上のポリマー精製物を乾燥し(50℃、90分)、レジストポリマーを得た。収量3.95g。
実施例2と同様に、1H−NMRにより、アクリル酸−tert−ブチルエステルとアクリル酸との比を測定したところ、70:30であった。
<レジスト組成物の調製、紫外線照射感度測定、及び、保存安定性測定>
さらに実施例2と同様にしてレジスト組成物を調製し、紫外光(254nm)露光実験の感度を測定し、保存安定性測定も行った。結果を表1に記す。
【0059】
(比較例1)
<レジストポリマー中間体合成、及び、洗浄処理>
実施例3で得られたレジストポリマー中間体を以下の実験に供した。
<酸分解性基の分解>
PTFE製の空冷管(500mm)を付けたPFA製反応容器(500mL)に洗浄した
レジストポリマー中間体5gを入れ、1,4−ジオキサン250mL、30%塩酸水溶液8.5mLを加えて、90℃で55分加熱攪拌し、アクリル酸−tert−ブチル部分の一部をアクリル酸部分に分解した。
<酸触媒の除去>
次に、反応物を比抵抗値18MΩ・cmの超純水2.5Lに注ぎ、ポリマーを析出させ、得られたスラリー状の流動物をPFAで内部コーティングした加圧濾過器(0.2μmPTFEフィルター、4×105Pa、N2加圧)で、塩酸、水、1,4−ジオキサンの混合液とポリマー固形分とを濾別した。濾過時間は3時間10分、濾液のpHは0.7であった。
PTFEフィルター上のポリマー精製物を乾燥し(50℃、90分)、レジストポリマーを得た。収量4.45g。
実施例2と同様に、1H−NMRにより、アクリル酸−tert−ブチルエステルとアクリル酸との比を測定)したところ、70:30であった。
<レジスト組成物の調製、紫外線照射感度測定、及び、保存安定性測定>
さらに実施例2と同様にしてレジスト組成物を調製し、紫外光(254nm)露光実験の感度を測定し、保存安定性測定も行った。結果を表1に記す。
【0060】
【表1】

【0061】
表1の結果より、遠心分離、あるいは必要に応じて加圧濾過を行った実施例1〜4は、レジストポリマー(固体)では、180日後でも酸分解性基の分解は起きておらず、レジスト組成物中でも、酸分解性基の酸分解の進み具合は、感度の変化から許容範囲で、未露光部溶解となる程の酸分解性基の分解は起きなかった。これは、ポリマー精製物に酸触媒が残存していないためと言える。
一方、比較例1は、レジストポリマー(固体)では、30日後から酸分解性基の分解は起きており、レジスト組成物中でも、酸分解性基の酸分解の進行が著しく、未露光部が溶解する程進行している。これは、ポリマー粗製物に残存している酸触媒の影響と考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シェル部に酸分解性基を有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを提供する工程;
(B)有機溶媒中で該ハイパーブランチポリマーを酸触媒に接触させ、酸分解性基の一部を酸基に変換し、酸触媒を含有する、シェル部に酸基と酸分解性基とを有するコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
(C)得られたハイパーブランチポリマーを有機溶媒に接触させ、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーを得る工程;
を含む、酸触媒を含まないコアシェル型ハイパーブランチポリマーの製造方法。
【請求項2】
工程(B)で用いる有機溶媒が、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程(C)において、有機溶媒に接触させる前に、ハイパーブランチポリマーを純水に接触させることを含む請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
工程(C)において、ハイパーブランチポリマーを純水に接触させた後、遠心分離に供し、次いで有機溶媒に接触させることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
工程(C)において、有機溶媒に接触させた後に、ハイパーブランチポリマーを更に純水に接触させることを含む請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
工程(B)で用いる酸触媒が、塩酸、硫酸及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−211049(P2007−211049A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29687(P2006−29687)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】