説明

重合体ポリオールの製造方法

【課題】 ポリオール中に分散している重合体粒子の粒子径が小さく、ポリウレタン樹脂に用いた場合の樹脂物性に優れた重合体ポリオールの製造方法を見出す。
【解決手段】
ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A1)を連続式重合方法で重合させて重合体ポリオール中間体(B1)を得る第1工程と、次いで(a)、(b)、(c)、(d)、および(B1)を含んでなるモノマー含有混合液(A2)を連続式重合方法にて重合させる第2工程からなる重合体ポリオールの製造方法であって、(A1)中の(b)の濃度(質量%)が10〜25であり、(A2)中の(b)の濃度(質量%)が26〜55であり、且つ得られる重合体ポリオール(I)中の重合体含有量(質量%)が35〜60である重合体ポリオール(I)の製造方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合体ポリオールの製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリウレタンフォーム及びポリウレタンエラストマーの原料として好適な重合体ポリオールの連続重合方法による製造方法、および当該方法で得られた重合体ポリオールを用いたポリウレタン樹脂の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体ポリオールは、例えばポリウレタンフォームの、圧縮硬さのアップ、耐久性向上といった物性向上を目的に用いられ、ポリオール中で重合開始剤の存在下、エチレン性不飽和モノマーを重合させて得られる。近年、切断伸度等の機械物性の更なるアップを目的に、平均粒子径の小さい重合体ポリオールが望まれている。粒子径を小さくするためには、使用するエチレン性不飽和モノマーの一部として使用するアクリロニトリルの比率を高めて使用する方法(特許文献1参照)があり、また、重合する際のモノマー濃度を限定することにより粒子径分布が狭く平均粒子径の小さい重合体ポリオールを得る方法が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−172462号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/7592号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の方法で得られた重合体ポリオールを用いると、スラブフォーム用途では重合体粒子中のアクリロニトリル比率が高いためにスコーチを起こしやすく、特許文献2の方法にて生産性の高い連続重合方法にて重合体ポリオールを製造した場合は、粒子径が十分に小さくならず、ポリウレタンフォームの切断伸度等の機械物性が不十分となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決し、生産性の高い連続重合方法にて重合体ポリオールを製造しても、平均粒子径が小さい重合体ポリオールの製造が可能で、スラブフォームの製造に用いてもスコーチを起こすことがない重合体ポリオールの製造方法、並びに切断伸度等の機械物性が高いポリウレタン樹脂ないしはそのフォームの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明の重合体ポリオールの製造方法は、次のものである。
[1] ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A1)を連続式重合方法にて重合させて重合体ポリオール中間体(B1)を得る第1工程と、次いでポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、分散剤(d)、および重合体ポリオール中間体(B1)を含んでなるモノマー含有混合液(A2)を連続式重合方法にて重合させる第2工程を含む重合体ポリオールを製造する方法であって、第1工程における重合開始前の(A1)中の(b)の濃度(質量%)が10〜25であり、第2工程における重合開始前の(A2)中の(b)の濃度(質量%)が26〜55であり、(B1)中の重合体含有量(質量%)が10〜25であり、各工程での(b)の重合体への転化率(質量%)が80以上であり、得られる重合体ポリオール(I)中の重合体含有量(質量%)が35〜60である重合体ポリオール(I)の製造方法。
また、本発明のポリウレタン樹脂の製法は、次のものである。
[2] ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、必要により触媒、発泡剤、および整泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤の存在下で反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として上記[1]の製造方法で得られた重合体ポリオール(I)を用いることからなるポリウレタン樹脂の製法。
【発明の効果】
【0005】
本発明の重合体ポリオールの製造方法によれば、モノマー中のアクリロニトリル含量が低い場合でも、粒子径が十分小さい重合体ポリオールを生産性が高く得られ、また、得られた重合体ポリオールを使用した本発明のポリウレタン樹脂は、切断伸度等の機械強度に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の重合体ポリオールの製造方法に用いる連続式重合方法とは、連続的にモノマー含有混合液を反応槽へ供給し、連続的に重合体ポリオールを得る方法であり、重合は半回分式重合方法で行っても、連続流通式の配管中で行っても良い。
本発明の製造方法における第1工程は、ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A1)を連続重合方法にて重合させる工程からなり、第2工程は、ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、分散剤(d)、および第1工程で得られる重合体ポリオール中間体(B1)を含んでなるモノマー含有混合液(A2)を連続重合方法にて重合させる工程からなる。
【0007】
本発明において、上記ポリオール(a)は、通常、重合体ポリオールの製造に用いられる公知のポリオールが使用できる。例えば、少なくとも2個(好ましくは2〜8個)の活性水素を含有する化合物(多価アルコール、多価フェノール、アミン類、ポリカルボン酸、リン酸等)にアルキレンオキサイドを付加した構造の化合物(a1)及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、多価アルコールにアルキレンオキサイドが付加された構造の化合物である。
【0008】
多価アルコールとしては、炭素数(以下、Cと略記する。)2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルキレングリコール;および脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルキレングリコール)、C3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどのアルカントリオール);C5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールなどの、アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物(例えば、アルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物);ならびにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシドなどの糖類及びその誘導体)が挙げられる。
【0009】
多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、およびビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)等が挙げられる。
【0010】
アミン類としては、アンモニア;脂肪族アミンとして、C2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びアミノエチルエタノールアミン)、C1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミン及びオクチルアミン)、C2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン)、ポリアルキレンポリアミン(アルキレン基のCが2〜6の、ジアルキレントリアミン、トリアルキレンテトラミン、テトラアルキレンペンタミン、ペンタアルキレンヘキサミン及びヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)が挙げられる。
また、C6〜20の芳香族モノもしくはポリアミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン);C4〜20の脂環式アミン(イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン);C4〜20の複素環式アミン(例えば、アミノエチルピペラジン)等が挙げられる。
【0011】
ポリカルボン酸としては、C4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、C8〜18の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)、およびこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0012】
上記活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとしてはC2〜8のものが好ましく、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する。)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する。)、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する。)、スチレンオキサイド(以下、SOと略記する。)等及びこれらの2種以上の併用(ブロック及び/又はランダム付加)が挙げられる。好ましくは、PO又はPOとEOとの併用(EO含量が25%以下)である。なお、上記及び以下において、%はとくに断りのない限り、質量%を意味する。
【0013】
上記ポリオ−ルの具体例としては、上記活性水素含有化合物にPOを付加したもの及びPOと他のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する。)、好ましくはEOを下記の様式で付加したもの、またはこれらの付加化合物とポリカルボン酸若しくはリン酸とのエステル化物等が挙げられる。
(1)PO−AOの順序でブロック付加したもの
(2)PO−AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの(バランスド)
(3)AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(4)PO−AO−POの順序でブロック付加したもの(活性セカンダリ−)
(5)PO及びAOを混合付加したランダム付加物
(6)米国特許第4226756号明細書記載の順序でランダム又はブロック付加したもの
また、(a1)の水酸基当量(測定はJIS K−1557−1970(ISO−14900−2001)に準じる。)は、好ましくは200〜4,000、さらに好ましくは400〜3,000である。2種以上の(a1)を併用して水酸基当量がこの範囲内としたものも好ましい。
【0014】
ポリオール(a)として、さらに、他のポリオール(a2)およびこれらの混合物が挙げられる。前記活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加した構造の化合物(a1)と共に他のポリオール(a2)を併用することもできる。この場合、(a1)/(a2)の使用比率(質量比)は、好ましくは、100/0〜80/20である。
(a2)としては、ポリエステルポリオール、ジエン系ポリオール等の高分子ポリオール並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
ポリエステルポリオールとしては、前記の多価アルコール及び/又はポリエーテルポリオール〔エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール又はこれらとグリセリン、トリメチロールプロパン等の3価又はそれ以上の多価アルコールとの混合物、並びにこれら多価アルコールのアルキレンオキサイド低モル(1〜10モル)付加物〕と、前記ポリカルボン酸もしくはその無水物、低級アルキル(アルキル基のC:1〜4)エステル等のエステル形成性誘導体(例えば、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テレフタル酸ジメチル等)との縮合反応物、または前記の多価アルコール及び/又はポリエーテルポリオールと、前記カルボン酸無水物及びアルキレンオキサイドとの縮合反応物;それら縮合反応物のアルキレンオキサイド(EO、PO等)付加反応物;ポリラクトンポリオール、例えば前記多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの;ポリカーボネートポリオール、例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物;等が挙げられる。
【0016】
さらには、ポリブタジエンポリオール等のジエン系ポリオール及びその水素添加物;アクリル系ポリオール等の水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油系ポリオール;天然油系ポリオールの変性物等が挙げられる。
これらのポリオール(a2)は、通常2〜8個、好ましくは3〜8個の水酸基と、通常500〜4,000、好ましくは700〜3,000の水酸基当量を有している。
ポリオール(a)の数平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による、とくに記さない限り以下の数平均分子量についても同じ〕は、通常1,500以上、好ましくは1,500〜15,000、特に好ましくは1,800〜12,000、最も好ましくは2,000〜9,000である。数平均分子量が1,500以上であるとポリウレタンフォームの発泡性の面で好ましく、15,000以下であると低粘度となり重合体ポリオールの取り扱い性の面で好ましい。また(a)の水酸基当量は、好ましくは500〜4,000、さらに好ましくは700〜3,000である。
【0017】
本発明でモノマー含有混合液(A)〔以下モノマー含有混合液(A1)又は(A2)をモノマー含有混合液(A)と記載する〕中に用いるエチレン性不飽和モノマー(b)としては、不飽和ニトリル(b1)、芳香環含有エチレン性不飽和モノマー(b2)、(メタ)アクリル酸エステル類(b3)、水酸基を有する不飽和化合物(C3〜24)のポリ又はモノオキシアルキレン(アルキレン基のC2〜8)エーテル(b4)、その他のエチレン性不飽和モノマー(b5)、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。尚、上記において「(メタ)アクリル・・・」は、「アクリル・・・」及び/又は「メタクリル・・・」を意味する。以下同様である。
(b1)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
(b2)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、クロルスチレンなどが挙げられる。
(b3)としては、C、H、およびO原子のみで構成されるものが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基のCが1〜24)などが挙げられる。尚、上記において「・・・(メタ)アクリレート」は、「・・・アクリレート」及び/又は「・・・メタクリレート」を意味する。以下同様である。
水酸基を有する不飽和化合物(C3〜24)のポリ又はモノオキシアルキレン(アルキレン基のC2〜8)エーテル(b4)としては、α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテル及び水酸基を有する不飽和エステルのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテルとしては、C3〜24の末端不飽和アルコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、末端不飽和アルコールとしては、アリルアルコール、1−ヘキセン−3−オールなどが挙げられる。好ましいのはアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物である。
水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物としては、C3〜24の水酸基を有する不飽和エステルのAO付加物が挙げられ、水酸基を有する不飽和化合物としては、ヒドロキシアルキル(C2〜12)(メタ)アクリレートが含まれ、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。好ましいのはヒドロキシアルキル(C2〜12)(メタ)アクリレートのAO付加物である。
エチレン性不飽和化合物との反応性及びポリマーポリオールの粘度の観点から、これらのうち好ましいのはアリルアルコールのAO付加物、ヒドロキシアルキル(C2〜12)(メタ)アクリレートのAO付加物である。ポリマーポリオールの粘度の観点から、AOの付加モル数は、好ましくは1〜9、特に好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜3である。
(b4)のオキシアルキレン単位の数は、通常1〜9、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。上記アルキレンオキサイドとしては、前述のポリオール(a)の項において、活性水素含有化合物に付加させるアルキレンオキサイドとして例示したものと同様のものが挙げられる。好ましくは、PO及び/又はEOである。
(b4)の数平均分子量は、下限は、好ましくは170、さらに好ましくは180、とくに好ましくは182、最も好ましくは185であり、上限は、好ましくは480、さらに好ましくは450、とくに好ましくは420、最も好ましくは400である。数平均分子量が160以上であると、重合体ポリオールの粘度が低粘度となり取り扱い性の面で好ましく、それから得られるポリウレタン樹脂の硬度も良好である。(b4)の数平均分子量が490以下であると、それを用いて得られるポリウレタン樹脂の硬度が良好である。
【0018】
(b4)のα−アルケニル基又は不飽和エステル基の数は、平均1個以上有すればよい。好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜2個、とくに好ましくは1個である。α−アルケニル基又は不飽和エステル基が平均1個未満であると、ポリオールに可溶の成分が多くなり得られる重合体ポリオールの粘度が増大するばかりでなく、これらを使用して製造されるポリウレタン樹脂の物性が著しく劣る。
【0019】
また、(b4)の溶解度パラメーター(以下、SP値と記載する。)は通常9.5〜13である。下限は好ましくは9.8、さらに好ましくは10.0である。上限は好ましくは12.5、さらに好ましくは12.2である。(b4)のSP値が9.5以上であると、これらを使用して製造される重合体ポリオールの粘度が低くなる。また、SP値が13以下である、重合体ポリオールを使用して得られるポリウレタン樹脂の圧縮硬さが向上する。
SP値とは、下記に示した様に凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表されるものである。
[SP値]=(△E/V)1/2
ここで△Eは凝集エネルギー密度を表す。Vは分子容を表し、その値は、ロバート エフ.フェドールス(Robert F.Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
【0020】
上記以外の、その他のエチレン性不飽和モノマー(b5)としては、(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸などのビニル基含有カルボン酸及びその誘導体;エチレン、プロピレンなどの脂肪族炭化水素系モノマー;パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレートなどのフッ素含有ビニル系モノマー;ジアミノエチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレートなどの上記以外の窒素含有ビニル系モノマー;ビニル変性シリコン;ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状オレフィン化合物;などが挙げられる。
【0021】
さらに(b)中に少量の上記以外の2官能以上の多官能モノマー(b6)を用いることにより、重合体ポリオールの分散安定性をさらに向上させることができる。多官能モノマーとは、例えば、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、国際公開WO01/009242号パンフレットに記載の、数平均分子量が500以上の不飽和カルボン酸とグリコール類のエステル及び不飽和アルコールとカルボン酸のエステルなどが挙げられる。
【0022】
本発明において、(b)中の(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)及び(b6)の質量比率は特に限定無く、本発明の製造方法によれば、モノマーの組成にかかわらず良好な重合体ポリオール(I)を得ることができるが、要求されるポリウレタンの物性等に応じて適宜変えることができる。
α−アルケニル基含有化合物のポリオキシアルキレンエーテル及び水酸基を有する不飽和エステルのアルキレンオキサイド付加物(b4)の含有量は、重合体ポリオール(I)の低粘度化の観点から、下限は好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは1%以上であり、得られるウレタン樹脂の物性(引張強度等)の観点から、上限は好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下である。
耐スコーチ性の点から、不飽和ニトリル(b1)(とくにアクリロニトリル)の含有量は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは15〜40%である。
また、芳香環含有モノマー(b2)(とくにスチレン)の含有量は、(I)中の重合体粒子の小粒子径化の観点から、好ましくは99.5%以下、さらに好ましくは20〜90%、特に好ましくは35〜80%である。
これら以外のモノマーの(b)中の含量は、(b3)は好ましくは0〜30%、さらに好ましくは0〜20%である。(b5)は好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%である。(b6)は好ましくは0.01〜0.7%、より好ましくは0.05〜0.4%である。
【0023】
次に、ラジカル重合開始剤(c)としては、遊離基を生成してエチレン性不飽和モノマー(b)の重合を開始させるものが使用でき、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等のアゾ化合物;ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及び過コハク酸等の有機過酸化物;過硫酸塩及び過ホウ酸塩等の無機過酸化物等が挙げられる。尚、これらは2種以上を併用することができる。
【0024】
(A)中のラジカル重合開始剤(c)の使用量は、(b)の質量に基づいて、好ましくは0.05〜20%、さらに好ましくは0.1〜5%、とくに好ましくは0.2〜1.5%である。(c)の使用量が0.05〜20%の範囲で重合体ポリオール中の(b)の重合率が十分高くなり、また、分子量も大きくなるため、ポリウレタンフォームを製造した際に十分なフォーム圧縮硬さや切断伸度が得られる面で優れている。
【0025】
本発明のラジカル重合開始剤(c)は、重合後の残存モノマー低減の観点から、下記関係式(1)を満たすアゾ化合物(c1)及び下記関係式(2)を満たす過酸化物(c2)を含んでなることが好ましい。重合後の残存モノマー低減の観点から、(c1)は、下記関係式(3)を満たすアゾ化合物がさらに好ましく、特に好ましくは下記関係式(4)を満たすアゾ化合物である。重合後の残存モノマー低減の観点から、(c2)は下記関係式(5)を満たす過酸化物がさらに好ましく、特に好ましくは下記関係式(6)を満たす過酸化物である。
(Tp−100)≦ Th ≦(Tp−55) (1)
(Tp−50)≦ Th ≦(Tp+20) (2)
(Tp−90)≦ Th ≦(Tp−55) (3)
(Tp−80)≦ Th ≦(Tp−55) (4)
(Tp−50)≦ Th ≦(Tp−5) (5)
(Tp−50)≦ Th ≦(Tp−20) (6)
[式中、Tpは重合温度(℃)を表し、Thはラジカル重合開始剤の10時間半減期温度(℃)を表す。]
【0026】
(c2)の水素引抜能は、ポリマーポリオールの粘度の観点から、0〜30%が好ましく、さらに好ましくは0〜28%、特に好ましくは0〜25%である。
なお、水素引抜能とは、(c2)の存在下でシクロヘキサン及びα−メチルスチレンダイマー(以下、MSDと略す。)を140℃で6時間反応させたときに生成するシクロヘキサン−MSD付加生成物(以下、CH−MSDと略す。)の量から求められる値であり、Polymer Journal 第29巻、No.4の366〜369頁に記載されている測定方法に準拠して測定される値であり、例えば以下の方法で測定される。
【0027】
<シクロヘキサンとMSDの反応方法>
100mlのSUSオートクレーブ中にMSD0.1モル(23.6g)、シクロヘキサン0.69モル(53.8g)、(c2)0.005モルを仕込み、あらかじめ140℃にした恒温槽(ヤマト科学(株)製、送風定温恒温器 形式:DNM400)内で24時間反応させる。反応終了後、25℃の室内にて放冷し、40℃以下で内容物を取りだす。
<シクロヘキサン−MSD付加生成物の定量方法>
生成したCH−MSDは、ガスクロマトグラフィー(以下GCと略記する。)で定量する。GCの条件を以下に示す。
<GC条件>
装置 :島津社製ガスクロマトグラフGC−2014
カラム :ZB−5 (長さ:30m、内径:0.32mm、膜厚:0.25μm)phenomenex社製
気化室温度 :200℃
ディテクタ温度:210℃
カラム初期温度:90℃
カラム昇温速度:10℃/分
カラム最終温度:280℃
試料濃度 :上記反応で得たサンプルを50wt%シクロヘキサン溶液とし、測定試料とする
【0028】
なお、CH−MSDのピーク位置(リテンションタイム)はあらかじめガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS)を用いて確認する。
<GCMS条件>
装置 :島津社製四重極型質量分析計(GCMS QP−5000)
<GC条件> :上記GC条件と同じ
<MS条件>
測定開始質量範囲:EI 33〜600
走査間隔(I) :1.0sec
しきい値(T) :1000
溶媒溶出時間 :0.05min
測定開始時間 :0.1min
測定終了時間 :40min
スキャンゲイン :1.4KV
【0029】
<水素引き抜き能の算出>
測定で得られたCH−MSDの量を用いて、以下の式により求める。
【0030】
【数1】

【0031】
(c1)及び(c2)としては、それぞれ複数のラジカル重合開始剤を含んでもよいが、粘度及び得られるウレタン樹脂の強度の観点から、それぞれ1〜4種を使用することが好ましく、さらに好ましくは1〜2種、最も好ましくは1種である。
【0032】
(c1)としては、特開2005−162791号公報、特開2004−018543号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のものが含まれ、その他に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]及び1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が含まれる。
【0033】
(c2)としては、特開2005−162791号公報、特開2004−018543号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のものが含まれ、その他に、パーオキシケタール{1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、アルキルパーオキサイド{2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、等}、ジアシルパーオキサイド{ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等}、パーオキシエステル{1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエイト等}等が含まれる。
【0034】
(c1)および(c2)の組合せとしては、例えば、Tpが110℃の場合、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Th:51℃)と1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(Th:87℃)、Tpが130℃の場合、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Th:67℃)とt−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(Th:95℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Th:67℃)とt−ブチルパーオキシラウレート(Th:98℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Th:67℃)とジ−t−ヘキシルパーオキサイド(Th:116℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Th:51℃)とジ−t−ヘキシルパーオキサイド(Th:116℃)などの組合せが挙げられる。
【0035】
(c1)の使用量(質量%)は、(b)の質量に基づいて、好ましくは0.04〜15、さらに好ましくは0.08〜3、とくに好ましくは0.15〜1.5である。
(c2)の使用量(質量%)は、(b)の質量に基づいて、好ましくは0.01〜5、さらに好ましくは0.02〜1、とくに好ましくは0.05〜0.5である。
(c1)と(c2)との使用量の比{(c1)の使用量(質量%)/(c2)の使用量(質量%)}は、0.04/1.5〜15/0.01が好ましく、さらに好ましくは0.08/1〜3/0.02、とくに好ましくは0.15/0.5〜2/0.05である。
【0036】
ラジカル重合開始剤(c)はそのまま使用してもよいし、ポリオール(a)、後述する分散剤(d)及び後述する希釈溶媒(f)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物に溶解(または分散)させたものを使用してもよい。
【0037】
本発明のラジカル重合開始剤(c)は、重合後の残存モノマー低減の観点から、少なくとも第1工程又は第2工程の(c)が、上記のアゾ化合物(c1)及び上記の過酸化物(c2)を含んでなることが好ましく、さらに好ましくは、第1工程及び第2工程の両方の(c)が、上記のアゾ化合物(c1)及び上記の過酸化物(c2)を含んでなることである。
【0038】
モノマー含有混合液(A)中に併用する分散剤(d)の種類としては、とくに限定されず、重合体ポリオールで使用されている通常の分散剤等を使用することができる。
例えば、〔1〕ポリオール(PL)の水酸基の少なくとも一部を、メチレンジハライド及び/又はエチレンジハライドと反応させて高分子量化し、該反応物にさらにエチレン性不飽和基含有化合物を反応させてなるエチレン性不飽和基含有変性ポリエーテルポリオール{特開平08−333508号公報、特開2004−002800号公報(対応米国特許出願:US2005/245724 A1)等に記載のもの}等のポリオールとエチレン性不飽和化合物を反応させたマクロマータイプの分散剤;〔2〕ポリオールとの溶解度パラメーターの差が1.0以下のポリオール親和性セグメント2個以上を側鎖とし、ビニル単量体からの重合体との溶解度パラメーターの差が2.0以下の重合体親和性セグメントを主鎖とするグラフト型重合体(例えば特開平05−059134号公報)等のポリオールとオリゴマーを結合させたグラフトタイプの分散剤;〔3〕ポリオールの水酸基の少なくとも一部をメチレンジハライド及び/又はエチレンジハライドと反応させて高分子量化した変性ポリオール(例えば特開平07−196749号公報)等の高分子量ポリオールタイプの分散剤;〔4〕重量平均分子量が1000〜30000であり、その少なくとも一部がポリオールに可溶性であるビニル系オリゴマー、およびこのオリゴマーと上記〔1〕のエチレン性不飽和基含有変性ポリエーテルポリオールを併用する分散剤(例えば特開平09−77968号公報)等のオリゴマータイプの分散剤;等が挙げられる。
これらの中で好ましいものは〔1〕及び〔4〕のタイプである。いずれの場合も数平均分子量が1,000〜10,000であることが好ましい。
また、これら通常の分散剤を用いる場合の使用量は、(b)の質量に基づいて、好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。
【0039】
分散剤(d)として、これらの通常の分散剤以外に、以下に述べるビニル系オリゴマー分散剤(d1)及び/又は反応性分散剤(d2){特開2002−308920号公報(対応米国特許第6756414号)に記載の反応性分散剤}を用いることができ、上記好ましい分散剤と同様に好ましい。
【0040】
(d1)はエチレン性不飽和化合物を重合して得られるビニル系オリゴマーである。(d1)を構成するエチレン性不飽和化合物は、前述したエチレン性不飽和モノマー(b)と同様のものが使用できる。
これらの内で、重合体ポリオール粒子の粒子径の観点から、(d1)を構成するエチレン性不飽和化合物の少なくとも一部が、重合体粒子を構成しているエチレン性不飽和モノマー(b)と同じであることが好ましく、さらに好ましくは(d1)を構成するエチレン性不飽和化合物の30質量%以上が(b)と同じであり、更により一層好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上が(b)と同じであることが好ましい。
【0041】
(d1)の重量平均分子量(以下、Mwと略す)は、重合体ポリオール粒子の粒子径の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略す)測定によるポリスチレン基準で、500,000〜800,000が好ましく、さらに好ましくは600,000〜750,000である。また、(d1)は、重合体ポリオール粒子の粒子径の観点から、ポリオール(a)に可溶性[(d1)と(a)の合計質量に基づき5質量%の(d1)を(a)に均一混合した混合物のレーザー光の透過率が10%以上]であることが望ましい。
【0042】
(d1)の製造は、重量平均分子量が500,000〜800,000となるよう重合度を調節する点を除いて、通常のエチレン性不飽和化合物の重合方法で行うことができる。例えば必要により溶媒中で、エチレン性不飽和モノマー(b)を前述のラジカル重合開始剤(c)の存在下に重合させる方法である。また、(d1)はポリオール(a)中で(b)を重合させて得られるものでもよく、この場合の重合濃度は1〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜20質量%である。重合で得られたものを精製処理することなくそのままポリマーポリオールの製造に使用してもよい。ラジカル重合開始剤は比較的多量に使用され、例えば全エチレン性不飽和化合物の質量に基づいて好ましくは2〜30%、さらに好ましくは5〜20%である。
【0043】
上記重合反応に必要により用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等が挙げられる。
これらの溶媒のうちで、粘度及び製造されるポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、好ましいのはトルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、n−ブタノールである。
【0044】
また、必要により連鎖移動剤、例えば、アルキルメルカプタン(ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等)、アルコール(イソプロピルアルコール、メタノール、2−ブタノール等)、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム等)、特開昭55−31880号公報記載のエノールエーテルの存在下に重合を行うことができる。重合はバッチ式でも連続式でも行うことができる。重合反応は、ラジカル重合開始剤の分解温度以上(通常50〜250℃、好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜180℃)で行うことができ、大気圧下または加圧下においても行うことができる。
【0045】
(d1)を用いる場合の(d1)の使用量(質量%)は、重合体ポリオール粒子の粒子径及び製造されるポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、(b)の質量に基づいて、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜80、特に好ましくは1〜60である。
【0046】
反応性分散剤(d2)は、実質的に飽和のポリオール(p)と、少なくとも1個の重合性不飽和基を有する単官能活性水素化合物(q)が、ポリイソシアネート(e)を介して結合されてなり、1分子中のNCO基に由来する含窒素結合の数に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4である含窒素結合含有不飽和ポリオールである。
ここで実質的に飽和とは、JIS K−1557(1970年版)(対応するISO:ISO-14900−2001)で規定された測定法で測定された不飽和度が0.2meq/g以下(好ましくは0.08meq/g以下)であることを意味する。
【0047】
反応性分散剤(d2)を構成する(p)としては、前記(a)として例示したものと同様のものが使用できる。(p)と(a)とは同一であっても異なっていてもよい。
(p)の1分子中の水酸基の数は、少なくとも2個、分散安定性の観点から、好ましくは2〜8個、さらに好ましくは3〜4個であり、(p)の水酸基当量は、分散安定性の観点から、好ましくは1,000〜3,000、さらに好ましくは1,500〜2,500である。
【0048】
(d2)を得るのに用いる(q)は、1個の活性水素含有基と少なくとも1個の重合性不飽和基を有する化合物である。活性水素含有基としては、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、SH基などがあるが、粒子安定性の観点から、特に水酸基が好ましい。
【0049】
(q)の重合性不飽和基はポリマー組成に組み込まれやすい観点から、重合性二重結合が好ましく、また1分子中の重合性不飽和基の数は1〜3個、とくに1個が好ましい。即ち、(q)として好ましいものは、重合性二重結合を1個有する不飽和モノヒドロキシ化合物である。
上記不飽和モノヒドロキシ化合物としては、例えば、モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素、不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステル、不飽和2価アルコールとモノカルボン酸とのモノエステル、アルケニル側鎖基を有するフェノール、不飽和ポリエーテルモノオールなどが挙げられる。
【0050】
モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素としては、C3〜6のアルケノール、例えば(メタ)アリルアルコール、2−ブテン−1−オール、3−ブテン−2−オール、3−ブテン−1−オールなど;アルキノール、例えばプロパギルアルコールなどが挙げられる。尚、上記において「(メタ)アリル・・・」は、「アリル・・・」及び/又は「メタアリル・・・」を意味する。以下同様である。
不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のC3〜8の不飽和モノカルボン酸と、前記2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のC2〜12の2価アルコール)とのモノエステルが挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどが挙げられる。
【0051】
不飽和2価アルコールとモノカルボン酸のモノエステルとしては、例えば、ブテンジオールの酢酸モノエステルなどの、C3〜8の不飽和2価アルコールとC2〜12モノカルボン酸とのモノエステルが挙げられる。
アルケニル側鎖基を有するフェノールとしては、例えばオキシスチレン、ヒドロキシα−メチルスチレンなどのアルケニル基のCが2〜8のアルケニル側鎖基を有するフェノールが挙げられる。
不飽和ポリエーテルモノオールとしては、前記モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素もしくは前記アルケニル側鎖基を有するフェノールのアルキレンオキサイド(C2〜8)1〜50モル付加物〔例えばポリオキシエチレン(重合度2〜10)モノアリルエーテル〕などが挙げられる。
【0052】
不飽和モノヒドロキシ化合物以外の(q)の例としては、以下のものが挙げられる。
アミノ基、イミノ基を有する(q)としては、モノ−及びジ−(メタ)アリルアミン、アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート〔アミノエチル(メタ)アクリレートなど〕、モノアルキル(C1〜12)アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート〔モノメチルアミノエチル−メタクリレートなど〕;カルボキシル基を有する(q)としては、前記不飽和モノカルボン酸;SH基を有する(q)としては、前記不飽和モノヒドロキシ化合物に相当する(OHがSHに置き換わった)化合物が挙げられる。重合性不飽和基を2個以上有する(q)の例としては、前記3価、4〜8価又はそれ以上の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル又は前記不飽和カルボン酸とのポリエステル〔例えばトリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンジ(メタ)アクリレートなど〕が挙げられる。
【0053】
分散安定性の観点から、これらのうち好ましい化合物は、C3〜6のアルケノール、C3〜8の不飽和モノカルボン酸とC2〜12の2価アルコールとのモノエステル及びアルケニル側鎖基を有するフェノールであり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはブチレングリコールとのモノエステル;アリルアルコール;およびヒドロキシα−メチルスチレンであり、とくに好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、(q)の分子量は特に限定されないが、重合体ポリオールの粘度の観点から、1000以下が好ましく、特に好ましくは500以下である。
【0054】
ポリイソシアネート(e)は、少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であり、芳香族ポリイソシアネート(e1)、脂肪族ポリイソシアネート(e2)、脂環式ポリイソシアネート(e3)、芳香脂肪族ポリイソシアネート(e4)、これらのポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物など)(e5)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0055】
(e1)としては、C(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、C6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノジフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)との縮合生成物である主生成物のジアミノジフェニルメタンと副生成物の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物:例えばポリアリルポリイソシアネート(PAPI)など]、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
(e2)としては、C2〜18の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0056】
(e3)としては、C4〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
(e4)としては、C8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
(e5)のとしては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI及びひまし油変性MDIなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の物性の観点から、これらのうちで好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましくは2,4−及び/又は2,6−TDIである。
【0057】
反応性分散剤(d2)の含窒素結合は、イソシアネート基と活性水素含有基との反応によって生じるものであり、活性水素含有基が水酸基である場合、主にウレタン結合が生成し、アミノ基である場合、主に尿素結合が生成する。カルボキシル基の場合はアミド結合、SH基の場合はチオウレタン結合が生成する。これらの基以外に、他の結合、例えば、ビューレット結合、アロファネート結合などが生成していてもよい。
この含窒素結合は実質的に飽和のポリオール(p)の水酸基とポリイソシアネート(e)のイソシアネート基との反応で生じるものと、不飽和単官能活性水素化合物(q)の活性水素含有基と(e)のイソシアネート基との反応で生じるものとがある。
【0058】
(d2)は、下記式によって求められる、1分子中の(e)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値:Kが0.1〜0.4となるような割合で、(p)、(q)及び(e)を反応させたものである。
K=[(q)のモル数×(q)の不飽和基数]/[(e)のモル数×(e)のNCO基数]
Kの値は、さらに好ましくは0.1〜0.3であり、とくに好ましくは0.2〜0.3である。Kの値が上記範囲内であると、重合体ポリオールの分散安定性がとくに良好となる。
【0059】
(d2)を用いる場合の(d2)の使用量(質量%)は、分散性及び重合体ポリオールの粘度の観点から、(b)の質量に基づいて、好ましくは2〜20、さらに好ましくは4〜15、特に好ましくは6〜10である。
【0060】
モノマー含有混合液(A)中に、必要により希釈溶剤(f)を添加してもよい。(f)としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、ノルマルデカンなどのC5〜15の飽和脂肪族炭化水素系溶剤;などが挙げられるが、粒子の凝集防止の観点から、好ましいのは芳香族炭化水素系溶剤である。希釈溶剤(f)の使用量は、(b)の使用量に基づいて、粒子の凝集防止の観点から、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは1〜40質量%である。使用した(f)は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、重合反応後に減圧ストリッピング等により除去するのが好ましい。
【0061】
また(f)を、必要により本発明の方法により得られた重合体ポリオール(I)に添加して、さらに低粘度とすることもできる。(I)中に含有させる(f)としては、上記不飽和脂肪族炭化水素系溶剤;芳香族炭化水素系溶剤;および低粘度(100mPa・s/25℃以下)の難燃剤、例えばトリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート;などを挙げることができる。
得られる重合体ポリオール(I)中の(f)の含有量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0062】
また、必要により連鎖移動剤(g)をモノマー含有混合液(A)中にに使用でき、例えば、ドデシルメルカプタン及びメルカプトエタノール等のアルキルメルカプタン類;等が挙げられる。(g)の使用量は、(b)の使用量に基づいて、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
【0063】
本発明の製造方法においては、第1工程で、上記ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A1)を重合させて、重合体ポリオール中間体(B1)を得る。次いで第2工程で、得られた(B1)と、ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A2)を重合させ、重合体ポリオール中間体(B2)を得、それを必要により脱モノマー及び/又は脱溶剤処理して重合体ポリオール(I)を得る。
【0064】
本発明の重合体ポリオールの製造方法において、第2工程において、第1工程で得られた重合体ポリオール中間体(B1)に、ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を添加したモノマー含有混合液(A2)を得て、それを重合させるのが、粒子径が小さくかつ粒度分布の狭い重合体ポリオールを得る観点から好ましい。ただし、(B1)中には(a)及び一部の(d)が含まれているため、(a)や(d)は必ずしも添加する必要はない。そのような場合も本発明に包含される。すなわち第1工程で得られた(B1)に、第2工程で必要な(a)や(d)の必要量が含有されている場合には、(a)や(d)は添加しなくてもよい。
また、第1及び第2工程に用いる(a)、(b)、(c)、および(d)の組成は、同一であっても異なっていてもよいが、生産安定性の観点から、同一である方が好ましい。
【0065】
本発明の重合体ポリオールの製造方法において、第1工程の重合開始前のモノマー含有混合液(A1)中のエチレン性不飽和モノマー(b)の濃度(質量%)は、生産性の観点から、下限は通常10以上、好ましくは11以上、さらに好ましくは12以上であり、重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の平均粒子径を小さくする観点から、上限は通常25以下、好ましくは24以下、さらに好ましくは23以下である。(b)の濃度が25を越えると、得られる重合体ポリオール中の重合体の粒子径が増大する。10未満であるとポリオール可溶のオリゴマー成分の含有量が増え粘度が増大する。
【0066】
本発明の重合体ポリオールの製造方法において、第1工程で得られる重合体ポリオール中間体(B1)中の重合体含有量(質量%)は、生産性の観点から、下限は通常10以上、好ましくは11以上、さらに好ましくは12以上であり、重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の平均粒子径を小さくする観点から、上限は通常25以下、好ましくは24以下、さらに好ましくは23以下である。(B1)中の重合体含有量が25を越えると、得られる重合体ポリオール中の重合体の粒子径が増大する。10未満であるとポリオール可溶のオリゴマー成分の含有量が増え粘度が増大する。
【0067】
第2工程の重合開始前のモノマー含有混合液(A2)中のエチレン性不飽和モノマー(b)の濃度(質量%)は、生産性の観点から、下限は26以上であり、好ましくは28%以上、さらに好ましくは31以上、特に好ましくは36以上である。重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の平均粒子径を小さくする観点から、上限は55以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは48以下、次にさらに好ましくは42以下、特に好ましくは41以下である。(b)の濃度が55を越えると、得られる重合体ポリオール中の重合体の粒子径が増大する。26未満であると重合体ポリオール(I)中の重合体粒子含量が低下し、ポリウレタンフォームを製造した場合に、フォームの圧縮硬さが低下する。
【0068】
本発明において、重合温度(℃)は、生産性の観点から、下限は好ましくは100以上、さらに好ましくは110以上、特に好ましくは120以上であり、ポリオールの分解防止の観点から、上限は好ましくは200以下、さらに好ましくは180以下、特に好ましくは160以下である。
【0069】
本発明の重合体ポリオールの製造方法において、各工程毎の(b)の重合体への転化率(質量%)は、生産性の観点から、下限は80以上であり、生産安定性の観点から、さらに好ましくは85以上、特に好ましくは88以上であり、特に第2工程の(b)の重合体への転化率(質量%)の下限は、最も好ましくは90以上である。
【0070】
本発明において、得られる重合体ポリオール(I)の重合体含有量(質量%)は、それから得られるポリウレタン樹脂、例えばポリウレタンフォームの切断伸度や圧縮硬さの観点から、下限は35以上であり、好ましくは40以上、さらに好ましくは42以上であり、モノマー含有混合液(A)のハンドリング上の観点から、上限は60以下であり、好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。
【0071】
本発明の重合体ポリオールの製造方法で得られる重合体ポリオール(I)中の、エチレン性不飽和モノマー(b)の重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−750;堀場製作所製、以下同じ)による、0.020〜2000μmの範囲を85分割した際の体積基準による粒度分布において、重合体粒子中に含まれる10μm以上の粒子の含有量は、それから得られるポリウレタン樹脂の物性(引裂強度等)の観点から、好ましくは1体積%以下、さらに好ましくは0.8体積%以下、特に好ましくは0である。
なお、重合体粒子は、実質的に0.020〜2000μmの範囲内の粒子径を有するものである。ここで実質的とは、99体積%以上がこの範囲の粒子径を有することを意味する。ポリウレタン樹脂の物性の観点から、重合体粒子の0.020〜2000μmの範囲内の粒子径を有するものが、100体積%であることが好ましく、この重合体粒子が上記重合体粒子中に含まれる10μm以上の粒子の含有量を満たすことが好ましい。
【0072】
また、重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は、好ましくは0.2〜1.5μm、さらに好ましくは0.3〜1.3μmである。体積平均粒子径が0.2〜1.5μmであると、それから得られるポリウレタンフォームのフォーム物性が良好である。
【0073】
本発明の製造方法により得られる重合体ポリオール(I)は、ポリウレタン樹脂を製造する場合に使用するポリオール成分の少なくとも一部として用いられる。すなわち(I)をポリオール成分の少なくとも一部として用いて、ポリイソシアネート成分と、必要により触媒、発泡剤、整泡剤等の1種以上の通常用いられる添加剤の存在下、通常の方法で反応させてポリウレタン樹脂を得るのに用いられる。ポリオール成分中には、(I)以外に、必要により前記ポリオール(a)を含有してもよい。
【0074】
ポリイソシアネート成分としては、従来からポリウレタン樹脂の製造に使用されている公知の有機ポリイソシアネートが使用できる。このようなポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネート(e)として例示したものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の物性の観点から、これらのうちで好ましいものは、2,4−及び2,6−TDI、これらの異性体の混合物、粗製TDI;4,4’−及び2,4’−MDI、これらの異性体の混合物、粗製MDI;およびこれらのポリイソシアネート類より誘導されるウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、またはイソシアヌレート基を含有する変性ポリイソシアネート類である。
【0075】
ポリウレタン樹脂の製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基の当量比)×100]は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、80〜140が好ましく、さらに好ましくは85〜120、とくに好ましくは95〜115である。またイソシアネート指数を上記範囲より大幅に高くして(たとえば300〜1000)ポリウレタン樹脂中にポリイソシアヌレート基を導入することもできる。
【0076】
ポリウレタン樹脂の製造に際しては反応を促進させるため、ポリウレタン反応に通常使用される触媒[たとえばアミン系触媒(トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリンなどの3級アミン)、錫系触媒(オクチル酸第1スズ、ジブチルチンジラウレートなど)、その他の金属触媒(オクチル酸鉛など)など]を使用することができる。触媒の量は、反応混合物の質量に基づいて0.001〜5%が好ましい。
また、本発明においては、ポリウレタン樹脂の製造に際し、発泡剤(たとえば水、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、メチレンクロライドなど)を使用し、ポリウレタンフォームとすることができる。発泡剤の使用量はポリウレタンフォームの所望の密度により変えることができる。
本発明のポリウレタン樹脂の製法において、必要により整泡剤を使用することができる。整泡剤としてはシリコーン界面活性剤(例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)が挙げられる。
本発明において、必要により難燃剤を使用できる。難燃剤としてはメラミン類、リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類、ホスファゼン誘導体類などが挙げられる。
その他、本発明の製法において使用できる添加剤としては、例えば反応遅延剤、着色剤、内部離型剤、老化防止剤、抗酸化剤、可塑剤、殺菌剤、カーボンブラック及びその他の充填剤等公知の添加剤が挙げられる。
【0077】
ポリウレタン樹脂の製造は通常の方法で行うことができ、ワンショット法、セミプレポリマー法、プレポリマー法等の公知の方法により行うことができる。
ポリウレタン製造には通常用いられている製造装置を用いることができる。無溶媒の場合はたとえばニーダーやエクストルーダーのような装置を用いることができる。閉鎖モールドあるいは開放モールド内で各種の非発泡あるいは発泡のポリウレタン樹脂の製造を行うことができる。ポリウレタンの製造は普通低圧あるいは高圧の機械装置を用いて原料を混合反応させることにより行われる。さらには、原料混合前後(とくに原料混合前)、原料中の溶存空気あるいは混合時に混入した空気などのガスを真空法により除去することによりポリウレタン樹脂の製造を行うこともできる。
【0078】
本発明の製造方法により得られた重合体ポリオール(I)は、軟質モールドフォーム及びスラブフォーム等のポリウレタンフォームの製造に特に有用である。またRIM(反応射出成形)法による成形にも好適に使用できる。
【実施例】
【0079】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、部、および比は、特に断りのない限り、それぞれ、質量部、および質量比を示す。また特に断りのない限り、%は質量%を示す。
【0080】
実施例及び比較例に使用した原料の組成、記号等は次の通りである。
(1)ポリオール(a1)
ポリオール(a1−1):グリセリンにPO−EO−POの順に付加させた、水酸基価=56、内部EO単位含量=5%、末端PO単位含量=5%のポリオール。
ポリオール(a1−2):グリセリンにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=37.5、末端EO単位含量=14%のポリオール
ポリオール(a1−3):ペンタエリスリトールにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=37、末端EO単位含量=17.5%のポリオール
ポリオール(a1−4):ペンタエリスリトールにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=32、末端EO単位含量=14%のポリオール
ポリオール(a1−5):グリセリンにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=33、末端EO単位含量=14%のポリオール
(2)ラジカル重合開始剤(c)
c1−1:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
c1−2:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
c1−3:1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)
c2−1:t−ブチルパーオキシラウレート
(3)分散剤(d)
d1−1:ACN(アクリロロニトリル)とSt(スチレン)との重合比がACN:St=70:30であるMwが600,000のACN―St共重合体オリゴマー型非反応性分散剤[このオリゴマー型分散剤を含有量が10%となるようにポリオール(a1−5)に混合して使用した。この混合物の水酸基価=29]
d1−2:ACNとStとの重合比がACN:St=30:70であるMwが600,000のACN―St共重合体オリゴマー型非反応性分散剤[このオリゴマー型分散剤を含有量が10%となるようにポリオール(a1−1)に混合して使用した。この混合物の水酸基価=50]
d2−1 :ポリオール(a1−4)0.14モルと2−ヒドロキシメタクリレート0.07モルをTDI0.16モルでジョイントして得られる水酸基価=20、不飽和基数/含窒素基数=0.22の反応性分散剤〔特開2002−308920号公報参照〕
(4)ポリイソシアネート(e)
TDI−80:“コロネートT−80”〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(5)触媒
触媒A:“DABCO”(トリエチレンジアミン)〔日本乳化剤(株)製〕
触媒B:“ネオスタンU−28”(オクチル酸第1スズ)〔日東化成(株)製〕
(6)製泡剤
“SRX−280A”(ポリエーテルシロキサン重合体)〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
【0081】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
得られた重合体ポリオールを、レーザー光の透過率が70〜90%となるように、それに用いたポリオールで希釈し、下記の粒度分布測定装置にて10μm以上の粒子の含有量(体積%)及び体積平均粒子径(μm)を測定した。

装置 :堀場製作所製 LA−750
測定原理 :Mie散乱理論
測定範囲 :0.04μm〜262μm
溶液注入量:He−Neレーザー
測定時間 :20秒
【0082】
<体積平均粒子径>
以下の式による。
体積平均粒子径(μm) = Σ〔q(J)×X(J)〕/Σ〔q(J)〕
J :粒子径分割番号(1〜85)
q(J):頻度分布値(体積%)
X(J):粒子径分割番号J番目の粒子径(μm)
【0083】
<重合体含有量>
重合体ポリオール/メタノール=1/3(比)になるように重合体ポリオールをメタノールで希釈する。冷却遠心分離機(18000rpm×60min.20℃)にてポリマーを分離し、上澄み液を除去する。これを3回繰り返した後、ポリマーを減圧乾燥し(60℃×1hr)質量を測定し、重合体ポリオールに対する割合を求める。
<粘度>
BL型粘度計(東京計器製)を用いて、3号ローター、12rpm、25℃の条件にて求めた。
【0084】
<転化率>
(b)の重合体への転化率(これを単に“転化率”と略称する)は、仕込みモノマー量に対する各モノマーの残存モノマー含量から算出し、その質量平均から求めた。残存モノマー含量は、ガスクロマトグラフ法により、内部標準物質に対する面積比から算出した。具体的な分析方法はスチレンを例に以下に示す。
転化率〔質量%〕
=100−100×[(残存スチレン含量〔%〕/(原料中のスチレン仕込量〔%〕]
残存スチレン含量〔%〕=L/M ×(内部標準物質に対するファクター)
L=(残存スチレンのピーク面積)/(重合体ポリオールの質量〔g〕)
M=(内部標準物質のピーク面積)/(内部標準物質の質量〔g〕)

内部標準物質に対するファクターは、同質量における各モノマーのピーク面積を内部標準物質のピーク面積で除したものである。
ガスクロマトグラフ :“GC−14B”(島津製作所製)
カラム :内径4mmφ、長さ1.6m、ガラス製
カラム充填剤 :ポリエチレングリコール20M〔信和化工(株)製〕
内部標準物質 :ブロモベンゼン〔ナカライテスク(株)社製〕
希釈溶媒 :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 1級〔和光純
薬(株)製〕(50%溶液とする。)
インジェクション温度:200℃
カラム初期温度 :110℃
昇温速度 :5℃/min.
カラムファイナル温度:200℃
試料注入量 :1μl
【0085】
実施例1 [重合体ポリオール(I−1)の製造]
〔第1工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2.2LのSUS製耐圧反応容器)を用意し、反応容器にあらかじめ、ポリオール(a1−1)2300部を充液し、130℃に昇温した。ついで、(a1−1)〜(a1−3)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c1−1)〜(c1−3)及び(c2−1)、並びに分散剤(d1−1)、(d1−2)及び(d2−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G1)をスタティックミキサーを用いてラインブレンド(仕込みライン中で混合)した後、62.3部/分の速度で後述するオーバーフロー反応液の一部(Z1)と合流させ反応容器へ連続的に送液した。一方重合槽からは、反応液を750部/分でオーバーフローさせ、オーバーフローさせた反応液の一部(Z1)は、130℃に冷却し重合槽へ入る直前の混合液(G1)に750部/分の速度で合流させて重合槽へ送液した。また、オーバーフローさせた重合体ポリオールを含む反応液の残りは、SUS製の中間体貯槽に貯蔵した。この操作を連続的に行い、130℃にて重合させ重合体ポリオール中間体(B1)を得た。
〔第2工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2.5LのSUS製耐圧反応容器)を用意し、反応容器にあらかじめ、第1工程にて得た重合体ポリオール中間体(B1)2500部を充液し、130℃に昇温した。ついで、(a1−1)〜(a1−3)、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルアルコールPO2.2モル付加物、キシレン、ラジカル重合開始剤(c1−1)〜(c1−3)及び(c2−1)、並びに分散剤(d1−1)、(d1−2)及び(d2−1)を表1に示す部数で混合した原料混合液(G2)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、73.4部/分の速度で後述するオーバーフロー反応液の一部(Z2)と合流させ反応容器へ連続的に送液した。一方重合槽からは、反応液を750部/分でオーバーフローさせ、オーバーフローさせた反応液の一部(Z2)は、130℃に冷却し重合槽へ入る直前の混合液(G2)に750部/分の速度で合流させて重合槽へ送液した。また、オーバーフローさせた重合体ポリオールを含む反応液の残りは、SUS製の中間体貯槽に貯蔵した。この操作を連続的に行い、130℃にて重合させ重合体ポリオール中間体(B2)を得た。(B2)から未反応モノマーとキシレンを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、減圧下ストリッピングして、重合体ポリオール(I−1)を得た。前記の測定、評価方法で(I−1)を評価した。結果を表2に示す。
【0086】
実施例2〜10 [重合体ポリオール(I−2)〜(I−10)の製造]
実施例1において、第1工程及び第2工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(I−2)〜(I−10)を得た。(I−2)〜(I−10)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0087】
比較例1〜4 [比較の重合体ポリオール(R−1)〜(R−4)の製造]
実施例1において、第1工程及び第2工程で、表1に示す部数で混合した原料混合液を使用する以外は実施例1と同様にして、重合体ポリオール(R−1)〜(R−4)を得た。(R−1)〜(R−4)について、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
表2の結果から実施例1〜5及び7〜9は、比較例2及び3に比べて、体積平均粒子径が小さくかつ粘度が低いことがわかる。また、実施例1〜9は、比較例1に比べ重合体含量がはるかに高いことがわかる。実施例6は、比較例1〜3に比べ重合体含有量が高く、重合体含有量がより低い比較例3よりも低粘度であることがわかる。実施例10は、比較例4に比べ体積平均粒子径が小さくかつ粘度が低いことがわかる。
なお、比較例1は第2工程のモノマー濃度が小さく、比較例2は第1工程のモノマー濃度が大きい。比較例3及び4は、第1工程のモノマー濃度が大きく、第2工程のモノマー濃度が小さい。本発明のモノマー濃度の要件を満たさない、それぞれの比較例は、上記の通り、本発明の実施例に比べて劣る結果となっている。
【0091】
<実施例〔1〕〜〔9〕及び比較例〔1〕〜〔3〕>ポリウレタンフォームの製造
実施例1〜9及び比較例1〜3から得られた重合体ポリオール(I−1)〜(I−9)及び比較の重合体ポリオール(R−1)〜(R−3)を使用し、表3記載の配合比で、以下に示す発泡条件によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォーム物性測定結果を表3に示す。発泡処方は以下の通りである。
(1) 重合体ポリオール、ポリオール(a1−1)の混合物、及びポリイソシアネートをそれぞれ25±2℃に温調する。
(2) 重合体ポリオール、ポリオール(a1−1)、整泡剤、水、触媒の順で容量1リットルの紙コップに入れて、室温(25℃±2℃)で撹拌混合し、直ちにポリイソシアネートを加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、撹拌条件:2000rpm×8秒〕を用いて、撹拌して発泡を行った。
(3) 撹拌停止後、25×25×10cmの木箱(25℃±2℃)に内容物を投入して、ポリウレタンフォームを得た。
【0092】
【表3】

【0093】
表3におけるフォーム物性の評価方法は以下の通りである。
密度(kg/m3):JIS K6400−1997〔項目5〕に準拠
25%ILD(硬度)(kgf/314cm2
:JIS K6382−1995〔項目5.3〕に準拠
引張強度(kgf/cm2):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
引裂強度(kgf/cm) :JIS K6301−1995〔項目9〕に準拠
切断伸度(%) :JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
圧縮永久歪(%) :JIS K6382−1995〔項目5.5〕に準拠
白色度:JIS 8715−1999に準拠。
なお通常ポリウレタンフォームの物性として、密度は15〜50の範囲が好ましく、25%ILD、引張強度、引裂強度、切断伸度は数値が大きいほど好ましい。また、圧縮永久歪は数値が小さいほど好ましい。
【0094】
表3の結果から、実施例〔1〕、〔4〕〜〔11〕は、比較例〔1〕〜〔3〕と原料組成がほぼ同一であるが、比較例1と比べると、25%ILD(硬度)、引張強度が良好であり、比較例[2]と比べると、25%ILD(硬度)、引裂強度、切断伸度が良好であり、比較例[3]と比べると、25%ILD(硬度)、引張強度、切断伸度、白色度が良好であることがわかる。また、同程度の硬度同士で比較すると、実施例の方が比較例よりも切断伸度が良好である。
また、実施例〔2〕、〔3〕は、比較例に対して、切断伸度は劣っているが、その他の物性については上記と同様に優れている。
比較例で使用した比較の重合体ポリオールは、前述のとおり体積平均粒子径が大きく、重合体含量が低い。したがって得られたポリウレタンの物性が低いものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の重合体ポリオールの製造方法により得られた重合体ポリオールを用いて製造された本発明のポリウレタン樹脂は、通常ポリウレタン樹脂が用いられる各種用途に使用されるが、特にポリウレタンフォームとして、家具の室内調度等の用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、および分散剤(d)を含んでなるモノマー含有混合液(A1)を連続式重合方法にて重合させて重合体ポリオール中間体(B1)を得る第1工程と、次いでポリオール(a)、エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合開始剤(c)、分散剤(d)、および重合体ポリオール中間体(B1)を含んでなるモノマー含有混合液(A2)を連続式重合方法にて重合させる第2工程を含む重合体ポリオールを製造する方法であって、第1工程における重合開始前の(A1)中の(b)の濃度(質量%)が10〜25であり、第2工程における重合開始前の(A2)中の(b)の濃度(質量%)が26〜55であり、(B1)中の重合体含有量(質量%)が10〜25であり、各工程での(b)の重合体への転化率(質量%)が80以上であり、得られる重合体ポリオール(I)中の重合体含有量(質量%)が35〜60である重合体ポリオール(I)の製造方法。
【請求項2】
エチレン性不飽和モノマー(b)中のスチレン含有量(質量%)が20以上である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
分散剤(d)が下記(d1)及び/又は(d2)である請求項1又は2に記載の製造方法。
(d1)重量平均分子量が500,000〜800,000のビニルオリゴマー。
(d2)飽和のポリオール(p)と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素含有化合物(q)が、ポリイソシアネート(e)を介して結合されてなり、1分子中のNCO基に由来する含窒素結合の数に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4である含窒素結合含有不飽和ポリオール。
【請求項4】
重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による、0.020〜2000μmの範囲を85分割した際の体積基準による粒度分布において、重合体粒子中に含まれる10μm以上の粒子の含有量(体積%)が1以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
重合体ポリオール(I)中の重合体粒子の体積平均粒子径が0.2〜1.5μmである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
第1工程及び/又は第2工程で使用するラジカル重合開始剤(c)が下記関係式(1)を満たすアゾ化合物(c1)及び下記関係式(2)を満たし水素引抜能が0〜30%である過酸化物(c2)を含んでなるラジカル重合開始剤である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
(Tp−100)≦ Th ≦(Tp−55) (1)
(Tp−50)≦ Th ≦(Tp+20) (2)
[式中、Tpは重合温度(℃)、Thはラジカル重合開始剤の10時間半減期温度(℃)を表す。]
【請求項7】
エチレン性不飽和モノマー(b)のうち、0.01〜10質量% が、水酸基を有する不飽和化合物(炭素数3〜24)のポリ又はモノオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜8)エーテルである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
モノマー含有混合液(A1)及び/又はモノマー含有混合液(A2)が、さらに希釈溶媒(f)を含有し、(f)が芳香族炭化水素系溶剤及び/又は炭素数5〜15の飽和脂肪族炭化水素系溶剤である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、必要により触媒、発泡剤、および整泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤の存在下で反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られた重合体ポリオール(I)を用いることからなるポリウレタン樹脂の製法。

【公開番号】特開2009−7555(P2009−7555A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126699(P2008−126699)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】