説明

重合性単量体、高分子化合物、該高分子化合物を含有する電荷制御剤、該電荷制御剤を含有する現像剤担持体及びトナー

【課題】 優れた帯電付与特性を有する高分子化合物が得られる重合性単量体を提供する。
【解決手段】 サリチル酸或いはサリチル酸誘導体とスチレン或いはスチレン誘導体とが、連結基−A−NH−で連結された構造を有する重合性単量体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サリチル酸ユニットを有する新規な重合性単量体及び、これを重合して製造される高分子化合物に関する。又、本発明は、電子写真法等を利用した記録方法において用いられるトナーや現像剤担持体に含有される電荷制御剤に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真記録方法に代表される画像形成方法では、帯電した現像剤(以下、「トナー」という)が、感光体上の電位差に応じた静電気力によって感光体側に飛翔し、感光体上の静電潜像を現像するする。そのため、トナーの帯電性の制御が必要不可欠である。そして、現像剤に適切な帯電特性を付与するための方法として、現像剤担持体(以下、「現像ローラー」という)のバインダー樹脂に電荷制御剤を含有させる方法や、トナー中に正電荷又は負電荷を付与する電荷制御剤を添加し、トナーの帯電性を制御する方法が知られている。
【0003】
従来、負帯電性電荷制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯体、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ベンジル酸等の金属錯体等が使用されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献2では、上記の負帯電性電荷制御剤を現像ローラーのバインダー樹脂に含有させる事により、正帯電性現像剤に対して、摩擦帯電により十分な帯電量を付与できる事を提案されている。
【0005】
最近では安全性や環境への配慮、より安定した帯電特性の要求から、電荷制御機能を有する樹脂を電荷制御剤として用いることが提案されている。特許文献3には、スルホン酸基を有する樹脂を現像ローラーのバインダー樹脂に添加する事により、現像剤の摩擦帯電の均一性、耐久安定性を向上させるという提案がなされている。
【0006】
又、高分子電荷制御剤は、特許文献4に記載のように、スルホン酸基を有する単量体単位からなる高分子化合物をトナー中に添加する事により、トナーの帯電の安定性、結着樹脂との相溶性が向上する事が開示されている。
【0007】
一方、近年、出力画像のさらなる高画質化が望まれており、画像の余白部にトナーが現像される「かぶり」や、画像上に筋状の濃度むらが発生する等の画像不良が問題となっている。この現象の大きな要因であるのが、所望の帯電極性の逆極性に帯電したトナーの発生である。
【0008】
逆極性に帯電するトナーの低減、抑制を目的に、特許文献5にはサリチル酸金属錯体を電荷制御剤として使用した例が開示されており、特許文献6には、スルホン酸基を有する単量体単位からなる高分子化合物を電荷制御剤として使用した例が開示されている。更に、特許文献7には、サリチル酸ユニットを直接高分子主鎖に結合させた高分子化合物をトナーに使用した例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4004080号公報
【特許文献2】特開平10−186836号公報
【特許文献3】特開2005−157310号公報
【特許文献4】特開昭63−184762号公報
【特許文献5】特開平10−020560号公報
【特許文献6】特開2003−005445号公報
【特許文献7】特許第2694572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来用いられている上記の電荷制御剤では、近年の高速化や高画質化の要望を満たすような電荷付与特性を有しているとは言えず、さらなる改良や新規高分子化合物の開発が求められている。
【0011】
本発明は、上記した課題を解決する事を目的とする。即ち、本発明は、従来の電荷制御剤より帯電付与特性が良好な高分子化合物を得ることができる新規の重合性単量体、及び、それから得られる高分子化合物を提供する事である。又、該高分子化合物を含有する電荷制御剤を現像剤担持体用い、トナーに対する帯電の付与性に優れる現像剤担持体を提供する事である。更に、本発明は、帯電の立ち上がりや飽和帯電量といった帯電付与特性に優れ、所望の帯電極性とは逆極性に帯電した粒子(反転トナー)の割合が抑制されたトナーを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は下記式(1)で表わされる重合性単量体に関する。
【0013】
【化1】

【0014】
[式(1)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
Aは、−CO−又は−SO−を表し、
*部において、下記式(2)のa,b,c或いはdのいずれかの部位と結合している。]
【0015】
【化2】

【0016】
(式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所は、水素原子、又は、アルキル基、アルコキシ基、スルホン酸基からなるグループより選ばれる置換基を有する、或いは、隣り合う部位との間で環を形成する。]
又、本発明は、上記のユニットを含む高分子化合物を含有する事を特徴とする電荷制御剤、及び該電荷制御剤を含有する現像剤担持体或いはトナーに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、帯電付与特性が良好な高分子化合物を提供できる。又、現像剤の帯電特性、或いは、現像剤担持体の帯電付与性を適切に制御する事ができる電荷制御剤を提供する事ができる。又、上記電荷制御剤を現像剤担持体に用いる事により、トナーに対する帯電の帯電付与性に優れた現像剤担持体を提供する事ができる。上記の電荷制御剤を、トナー用電荷制御剤として使用する事で、帯電の立ち上がり、飽和帯電量等の帯電付与性能が良好なトナーが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】重合性単量体(8)のアセトン−d中、室温、400MHzにおけるH NMRスペクトルを表す図である。
【図2】重合性単量体(11)のアセトン−d中、室温、400MHzにおけるH NMRスペクトルを表す図である。
【図3】重合性単量体(16)のアセトン−d中、室温、400MHzにおけるH NMRスペクトルを表す図である。
【図4】高分子化合物(A)のCDCl中、室温、400MHzにおけるH NMRスペクトルを表す図である。
【図5】本発明の高分子化合物の帯電特性を評価するために用いられるカスケード式帯電量測定装置を表す図。
【図6】本発明のトナーの摩擦帯電量を測定するための装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、下記式(1)で表される重合性単量体を重合して製造され、少なくとも式(1)に由来する式(3)で表わされるユニットを1ユニット以上含む高分子化合物が良好な帯電特性を示す事を見出した。又、該高分子化合物を電荷制御剤として現像剤担持体に用いる事により、トナーに対する摩擦帯電付与能が高く、結果、画像濃度が高く、「かぶり」の少ない画像が得られる。また、該高分子化合物をトナーに含有させることにより、良好な帯電立ち上がり及び飽和帯電量を示すとともに、所望の帯電極性に対して、逆極性に帯電したトナーの発生を抑制できる事を見出し、本発明に至った。
【0020】
【化3】

【0021】
[一般式(1)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
Aは、−CO−又は−SO−を表し、
*部において、下記式(2)のa,b,c或いはdのいずれかの部位と結合している。
【0022】
【化4】

【0023】
(式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所は、水素原子、又は、アルキル基、アルコキシ基及びスルホン酸基からなるグループより選ばれる置換基を有する、或いは、隣り合う部位との間で環を形成する。)]
【0024】
【化5】

【0025】
[式(3)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
Aは、−CO−基又は−SO−基を表し、
*部において、上記式(2)のa,b,c或いはdのいずれかの部位と結合している。]
【0026】
及びRにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
【0027】
及びRは、重合性単量体の重合性の観点から、水素原子またはメチル基である場合が好ましい。
【0028】
連結基Aは、−CO−基又は−SO−基を表すが、Aの置換位置は式(1)中のビニル基(−CR=CH)、式(3)中の高分子主鎖に対し、o−位、m−位、p−位で結合する事ができ、好ましいのは、原料入手の容易性、製造容易性の点で、p−位で結合している場合である。
【0029】
上記式(1)、上記式(3)で表わされる部分は、*部において、上記式(2)中のa,b,c,dのいずれかの部位と結合している。
【0030】
上記式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所がアルキル基である場合、アルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
【0031】
上記式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所がアルコキシ基である場合、アルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が挙げられる。
【0032】
これらのアルキル基、或いは、アルコキシ基は、更に置換されていてもよく、重合性単量体の重合性を阻害したり、高分子化合物の帯電特性を著しく低下させたりするものでなければ特に制限されない。この場合の置換基としてはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基等のアミノ基、アセチル基等のアシル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0033】
又、上記式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所において、隣り合う部位との間で環を形成しても良い。例えば、炭素数3乃至8のアルキレン基で形成される環や、アルキレン基中に酸素原子、硫黄原子が存在するヘテロ環が挙げられる。
【0034】
上記高分子化合物は、上記式(3)で表されるユニットと、下記式(4)で表されるユニットとをそれぞれ一種類以上含む共重合体であっても良い。
【0035】
【化6】

【0036】
[式(4)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
は、フェニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基を表す。]
【0037】
におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
【0038】
は、重合性単量体の重合性の観点から水素原子、メチル基である場合が好ましい。
【0039】
におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、n−プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n−ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec−ブチルエステル基、tert−ブチルエステル基、ドデシルエステル基、2−エチルヘキシルエステル基、ステアリルエステル基、フェニルエステル基、2−ヒドロキシエチルエステル基等のエステル基が挙げられる。
【0040】
中のRにおけるカルボン酸アミド基としては、N−メチルアミド基、N,N−ジメチルアミド基、N,N−ジエチルアミド基、N−イソプロピルアミド基、N−tert−ブチルアミド基、N−フェニルアミド基等のアミド基が挙げられる。
【0041】
置換基Rは、更に置換されていてもよく、重合性単量体の重合性を阻害したり、高分子化合物の帯電特性を著しく低下させたりするものでなければ特に制限されない。この場合、置換しても良い置換基としてはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基等のアミノ基、アセチル基等のアシル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
【0042】
は、上記高分子化合物の結着樹脂への分散性、相溶性の点でフェニル基、カルボン酸エステル基である場合が好ましい。
【0043】
上記一般式(4)で表わされる単量体単位は、スチレン或いはスチレン誘導体に由来する単量体単位、又は、アクリル酸エステルに由来する単量体単位であることが好ましい。
【0044】
上記一般式(4)で表わされる単量体単位は、共重合体を構成する全単量体単位に対して0.01mol%乃至30mol%含有する事が好ましく、より好ましくは0.01mol%乃至10mol%含有する場合である。上記範囲内であれば、良好な帯電特性が得られることに加え、本高分子化合物の現像剤担持体表層の結着樹脂やトナーの結着樹脂への良好な分散性、相溶性が得られる。
【0045】
上記高分子化合物の分子量は重量平均分子量(Mw)で3000乃至10万の範囲である事が好ましく、より好ましくは5000乃至5万の範囲のでる場合である。上記の範囲内であれば、現像剤担持体やトナー表面中での分散が良好となり、また現像剤担持体やトナーからの脱落が良好に抑制される。
【0046】
次に上記重合性単量体の製造法について詳細に説明する。
【0047】
上記式(1)で表わされる重合性単量体は、公知の方法に従って合成する事ができる。以下に合成スキームの一例を示す。
【0048】
【化7】

【0049】
[式(5)乃至(6)中のR、Aは、上記式(1)と同意義を表す。式(6)中のXはハロゲン原子を表し、式(7)中のR乃至R12は式(2)中のa乃至dとそれぞれ同意義を表す。但しR乃至R12の少なくとも一つはアミノ基を表す。]
【0050】
上記に例示したスキームでは、式(5)で表されるスチレン誘導体をハロゲン化し、スチレン誘導体の酸ハロゲン化物である中間体(6)を合成する工程1、中間体(6)とアミノサリチル酸誘導体(7)をアミド化する工程2によって、上記重合性単量体(1)を合成する。
【0051】
先ず、工程1について説明する。工程1では公知の方法を利用できる[例えば、「新実験化学講座」、丸善(株)、第3版、第14−2巻、1111−1119頁]。具体的には、スチレン誘導体(5)を必要によって溶媒、触媒の存在下、ハロゲン化剤と反応させる事により、中間体(6)を合成する事ができる。
【0052】
上記スチレン誘導体(5)は多種市販されており、容易に入手可能である。又、公知の方法によって合成する事もできる。
【0053】
上記工程1において使用できるハロゲン化剤としては、例えば、塩化チオニル、臭化チオニル等のハロゲン化チオニル類、塩化ホスホリル、臭化ホスホリル等のハロゲン化ホスホリル類、五塩化リン、三塩化リン、五臭化リン、三臭化リン等のハロゲン化リン類、オキサリルクロリド等のオキサリルハライド類、フッ化シアヌル、ホスゲン、トリフェニルホスフィン−四塩化炭素、トリフェニルホスフィン−四臭化炭素等が挙げられる。
【0054】
該ハロゲン化剤の使用量は、スチレン誘導体(5)1モルに対してハロゲン化剤を1.0乃至30モル、好ましくは1.0乃至約20モル、更に好ましくは1.0乃至10モル用いられる。
【0055】
上記工程1は無溶剤でおこなう事もできるが、反応の温度制御が困難な場合や、副生成物が生成する場合には溶剤中で行う事もできる。溶剤としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の含ハロゲン炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物が挙げられる。上記溶剤の使用量は、任意に定める事ができるが、製造効率の観点から、スチレン酸誘導体(5)に対して、1.0乃至20質量倍の範囲が好ましい。
【0056】
上記工程1は適宜触媒を添加する事により反応が促進する場合がある。使用できる触媒としては、例えば、ピリジン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等を好適に用いる事ができる。
【0057】
上記工程1は、反応中におけるスチレン誘導体(5)の重合を抑制するため、重合禁止剤を用いる事ができる。重合禁止剤としては、例えば、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニルーp−ベンゾキノン等のキノン類、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等の多価フェノール類、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルパラクレゾール、α−ナフトール等のフェノール類が挙げられる。該重合禁止剤の添加量は、任意に定める事ができるが、通常スチレン誘導体(5)に対して、10乃至5000ppmの範囲で添加する場合が好ましい。
【0058】
上記工程1は、通常−50乃至約120℃の温度範囲でおこなわれるが、スチレン誘導体(5)の熱重合を防ぐため、−20℃乃至60℃の温度範囲でおこなう事が好ましい。又、本反応は通常24時間以内に完結する。
【0059】
上記工程1で得られた中間体(6)は、未反応のハロゲン化剤、溶媒等を除去した後、粗製のまま次工程に使用する事もできる。
【0060】
次に、工程2について説明する。工程2では公知の方法を利用できる。代表的な反応方法としては、Shotten−Baumann法[例えば、Norman O. V. Sonntag、「Chemical Reviews」、(米国)、American Chemical Society、1953年、第52巻、第2号、p.237−416]が挙げられる。具体的には、上記工程1で得られた中間体(6)を必要によって溶媒、塩基の存在下、アミノサリチル酸誘導体(7)と反応させる事により、上記重合性単量体(1)を合成する事ができる。
【0061】
上記アミノサリチル酸誘導体(7)は多種市販されており、容易に入手可能である。又、公知の方法によって合成する事もできる。
【0062】
本工程は無溶剤でおこなう事も可能であるが、反応の急激な進行を防ぐため、溶剤中でおこなう事が好ましい。溶剤としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、水や、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類等が挙げられる。又、上記溶剤は2種以上を混合して用いる事ができ、混合使用の際の混合比は任意に定める事ができる。上記溶剤の使用量は、基質の溶解性に応じて、任意に定める事ができるが、製造効率の観点から、中間体(6)に対し1.0乃至20質量倍の範囲が好ましい。
【0063】
上記工程2は、−20℃乃至200℃の温度範囲で行う事ができるが、重合性単量体(1)及び中間体(6)の熱重合を防ぐため、−20℃乃至60℃の温度範囲で行う事が好ましい。又、本反応は通常24時間以内に完結する。
【0064】
上記工程2は、反応中における重合性単量体(1)及び中間体(6)の重合を抑制するため、重合禁止剤を用いる事ができる。重合禁止剤としてはp−ベンゾキノン、ナフトキノン、2,5−ジフェニルーp−ベンゾキノン等のキノン類、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等の多価フェノール類、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルパラクレゾール、α−ナフトール等のフェノール類が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、任意に定める事ができるが、通常、重合性単量体(1)又は中間体(6)に対して、10乃至5000ppmの範囲で添加する場合が好ましい。
【0065】
上記工程2は、反応中で生成する塩化水素を塩基により除去する事により、反応を促進する事ができる。塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ類、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。又、アミノサリチル酸誘導体(7)を過剰に使用しても良い。上記塩基は2種以上を混合して用いる事ができ、混合使用の際の混合比は任意に定める事ができる。上記塩基の使用量は、中間体(6)に対して等モル以上である場合が好ましく、反応溶剤としても使用する事ができる。
【0066】
上記重合性単量体(1)の製造方法は、上記例示した合成スキームに特に限定されものではなく、例えば、スチレン誘導体(5)を酸ハロゲン化物(6)とする代わりに酸無水物とし、上記例示スキームと同様にアミノサリチル酸誘導体(7)とアミド化する方法、スチレン誘導体(5)を縮合剤と共にアミノサリチル酸誘導体(7)と反応させ、直接該重合性単量体(1)を得る方法等を適用しても良い。
【0067】
上記工程で得られた式(1)及び(6)で表される化合物は、通常の有機化合物の単離、精製方法を用いる事ができる。単離、精製方法としては、例えば、再結晶法や再沈殿法、シリカゲル等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィー等が挙げられる。これらの方法を単独、又は2つ以上組み合わせて精製をおこなう事により、高純度で目的の化合物を得る事が可能である。
【0068】
上記工程で得られた上記式(1)及び(6)で表される化合物は、各種機器分析を用いて同定、定量する事ができる。例えば、H、13C 核磁気共鳴分光分析(NMR)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)等を単独、もしくは併用する事で化合物の同定、定量ができる。
【0069】
次に上記高分子化合物の製造法について詳細に説明する。
【0070】
上記高分子化合物は、上記方法で得られた重合性単量体(1)を上記一般式(4)で表される重合性単量体と共に共重合する事で製造する事ができる。
【0071】
上記高分子化合物の重合方法としては、ラジカル重合、イオン重合が挙げられ、又、分子量分布制御や構造制御を目的とするリビング重合を用いる事もできる。工業的にはラジカル重合を用いる事が好ましい。
【0072】
ラジカル重合は、ラジカル重合開始剤の使用、放射線、レーザー光等の光の照射、光重合開始剤と光の照射との併用、加熱等によりおこなう事ができる。
【0073】
ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生し、重合反応を開始させる事ができるものであれば良く、熱、光、放射線、酸化還元反応等の作用によってラジカルを発生する化合物から任意に選択できる。例えば、アゾ化合物、有機過酸化物、無機過酸化物、有機金属化合物、光重合開始剤等が挙げられる。より具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、過酸化水素−鉄(II)塩系、BPO−ジメチルアニリン系、セリウム(IV)塩−アルコール系等のレドックス開始剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ケタール系等が挙げられる。これらラジカル重合開始剤は、2種以上を併用しても良い。
【0074】
上記高分子化合物の重合温度は、用いる開始剤の種類により好ましい温度範囲は異なり、特に制限されるものではないが、−30乃至180℃の温度で重合する事が一般的であり、より好ましい温度範囲は40乃至150℃の場合である。
【0075】
この際に使用される重合開始剤の使用量は、重合性単量体の総量100質量部に対し0.1乃至20質量部の範囲で、目標とする分子量分布の高分子化合物が得られるように使用量を調節する事が好ましい。
【0076】
又、重合法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合、塊状重合等何れの方法を用いる事も可能であり、特に限定するものではない。
【0077】
上記高分子化合物の製造方法は、上記例示した製造方法に特に限定されものではなく、例えば、予め重合された上記式(5)で表されるスチレン誘導体と上記式(4)で表される重合性単量体の共重合体をハロゲン化し、アミノサリチル酸誘導体(7)とアミド化する方法、式(5)と式(4)の共重合体を縮合剤と共にアミノサリチル酸誘導体(7)と反応させ、直接該高分子化合物を得る方法等を適用しても良い。
【0078】
得られた高分子化合物は必要に応じて精製処理を行う事ができる。精製方法としては特に制限はなく、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等の方法を使用する事ができる。
【0079】
製造した高分子化合物の構造は各種機器分析を用いて同定する事ができる。例えば、H、13C 核磁気共鳴分光分析(NMR)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等を単独、もしくは併用する事で化合物の同定、定量ができる。
【0080】
本発明の高分子化合物は、帯電付与特性に優れるため、現像剤担持体のバインダー樹脂に含有させる事で現像剤に対して適切な帯電量を付与する事が可能な電荷制御剤として機能する。また、高分子化合物を電荷制御剤としてトナーに含有させることで、トナーの帯電量を好適に制御できるようになる。
【0081】
本高分子化合物を現像剤担持体の電荷制御剤として用いる場合、一般式(3)で表されるユニットの種類を任意に選択する事により、現像剤担持体のバインダー樹脂に対する相溶性、分散性を制御する事が可能となる。
【0082】
以下に本発明の現像剤担持体について詳細に説明する。
【0083】
本発明の電荷制御剤を表層に含有する現像剤担持体は、現像剤に対してすばやく、適切な帯電量を付与する事が可能となり、画像濃度が高く、かぶりの少ない画像が得られる。
【0084】
本発明の電荷制御剤は、一成分現像、二成分現像、磁性現像剤或いは非磁性現像剤を用いる現像、正帯電性現像剤或いは負帯電性現像剤を用いる現像等の現像方式の種類を問わず、現像剤を担持させる現像ローラー又は現像スリーブの表層に含有させる事により効果を発揮する。中でも、正帯電性の現像剤を用いた非磁性一成分現像方式の現像ローラーに適応した場合に最も効果的に作用する。以下、上記現像ローラーを例に本発明の現像剤担持体を説明する。
【0085】
上記の現像方式では現像ローラーは感光ドラムに圧接し回転しながら表面に坦持した正帯電性の現像剤を感光ドラム上の静電潜像を現像・可視化するように配置されるため、現像ローラーは円柱状の軸上に弾性層を有し、且つその上に表面層を有するような構成が最も好ましい。
【0086】
上記帯電ローラーの軸は成型や実使用に耐え得る強度を有していれば良く、外径4乃至10mmの剛直で導電性の材料で構成させるものが好ましい。軸の材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、チタニウム、銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金や、カーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等が挙げられる。
【0087】
上記帯電ローラーの弾性層は公知のゴム材料で形成する事ができる。使用できる材料としては天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム等のゴム材料が挙げられる。
【0088】
上記弾性層は導電性である事が好ましく、導電性を付与する目的で、カーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、導電性ゴム等を添加しても良い。
【0089】
上記弾性層の層厚は2乃至10mmである事が好ましい。層厚が10mmを超える場合は抵抗値が高くなりすぎ、2mmより薄くなる場合は硬度が十分低くならず、感光体との密着性が低下する。
【0090】
上記現像ローラーの表面層は本発明の電荷制御剤、導電性付与剤、表面粗し粒子及びバインダー樹脂から構成される。
【0091】
本発明の現像ローラーの表面層への電荷制御剤の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して通常0.01乃至50質量部、好ましく0.05乃至30質量部である場合が好ましい。上記範囲内であれば、帯電付与能と電荷制御剤の脱離の抑制との両立が良好に達せられる。
【0092】
表面層に使用できる導電性付与剤としては、上記弾性層の導電性付与剤として挙げたカーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、導電性ゴム等が使用できる。
【0093】
上記表面層の粗し粒子としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム等のゴム粒子、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド系の熱可塑性エラストマー等のエラストマー粒子、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂等の樹脂粒子や、このような樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して炭素化及び/又は黒鉛化して得た低密度且つ良導電性の球状炭素粒子等が挙げられる。
【0094】
上記表面層粗し粒子は、表面層の10点平均粗さ(以下、「Rz」と記載する。)が、1乃至30μmの範囲になるように粒度分布、添加量を調整する場合が好ましい。
【0095】
バインダー樹脂としては上記弾性層の柔軟な変形に追従できる限り特に規定はないが、感光体との接触により感光体を汚染しない樹脂である事が好ましい。例えば、架橋密度が低く、柔軟なウレタン系樹脂、フッ素ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0096】
現像ローラーの表層の層厚は、5乃至500μm、好ましくは10乃至200μmである場合が好ましい。上記の範囲内であれば、ローラーとして適度な硬度を得られやすく、また十分な耐久性が得られやすい。
【0097】
本発明の現像ローラーは軸となる芯金上に弾性層を形成後、表面層組成物を塗工し、乾燥もしくは硬化させる事により製造される。
【0098】
表面層組成物は上記電荷制御剤、導電性付与剤、表面粗し粒子及び、バインダー樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたものである。使用できる溶剤は上記表面層組成物を十分に溶解もしくは分散できる溶剤であれば特に制限はないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の有機溶剤が使用できる。
【0099】
上記表面層組成物の調製にはボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の公知の分散機が使用可能であり、十分に溶解もしくは分散できるものであれば特に制限されない。
【0100】
上記表面層の塗工はスプレー塗工、ディッピング法等の塗工法が使用可能であり、表面層組成物の粘度や、目的の表面層の層厚に合わせて適宜選択できる。
【0101】
以下に本発明のトナーについて詳細に説明する。
【0102】
本発明のトナーは、電荷制御剤として少なくとも上記高分子化合物を含有するトナーである。この高分子化合物を用いる事により帯電の立ち上がり速度が速く、高い飽和帯電量が得られるとともに、逆極性トナーの割合が低いトナーが得られる。本発明のトナーを構成するトナー母粒子には、更に、結着樹脂、着色剤、ワックス等トナー構成成分を含有する。
【0103】
本発明のトナーは上記の高分子化合物の添加量によって、現像システムに応じた最適のトナー摩擦帯電量の制御が可能となる。本発明のトナーにおける上記高分子化合物の添加量は、結着樹脂の総量に対し、通常0.01乃至50質量%、好ましくは0.03乃至30質量%、更に好ましくは0.05乃至10質量%である。
【0104】
又、重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、上記式(1)で表される重合性単量体をトナー結着樹脂となる重合性単量体と共に、トナー製造工程に添加しても良い。その場合の添加量は結着樹脂の総量に対し、通常0.001乃至5質量%、好ましくは0.003乃至3質量%、更に好ましくは0.005乃至1質量%である。
【0105】
本発明のトナーは、上記高分子化合物を単独で含有させる事で十分な帯電特性を発揮するが、本発明のトナーが用いられる現像システムに応じて、帯電特性を調節する目的で既存の電荷制御剤と併用しても良い。併用する事ができる電荷制御剤としては、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0106】
負帯電性の電荷制御剤としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基又は、スルホン酸エステル基を有する高分子化合物、サリチル酸誘導体及び、その金属錯体、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族オキシカルボン酸類、芳香族モノ及びポリカルボン酸類や、その金属塩、酸無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類、尿素誘導体、ホウ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。
【0107】
又、正帯電性の電荷制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン類、イミダゾール類、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類等が挙げられる。
【0108】
以下に本発明のトナーの構成成分について詳細に説明する。
【0109】
本発明のトナーに用いる事ができる結着樹脂としては公知のものが使用可能であり、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、或いはそれらを結合させたハイブリッド樹脂等が使用可能である。
【0110】
又、重合法により直接トナー粒子を得る方法においては、それらを形成するための単量体が用いられる。具体的にはスチレン、o−(m−、p−)メチルスチレン、o−(m−、p−)エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸アミド等のアクリレート系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリロニトリル、メタクリル酸アミド等のメタクリレート系単量体、ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン等のオレフィン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独又は、一般的にはJ. Brandrup、E.H.Immergut編、「ポリマーハンドブック」、(米国)、第3版、John Wiley&Sons、1989年、p.209−277に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が、40乃至75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方、75℃を超える場合はトナーのフルカラー画像形成の場合において、画像の透明性が低下する。
【0111】
本発明のトナーにおける結着樹脂は、ポリスチレン等の非極性樹脂にポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の極性樹脂を併用して用いる事で、着色剤や電荷制御剤、ワックス等の添加剤のトナー内分布を制御する事ができる。例えば、懸濁重合法等により直接トナー粒子を製造する場合には、分散工程から重合工程に至る重合反応時に該極性樹脂を添加する。該極性樹脂は、トナー粒子となる重合性単量体組成物と水系媒体の極性のバランスに応じて添加する。その結果、該極性樹脂がトナー粒子の表面に薄層を形成したり、トナー粒子表面から中心に向け傾斜性をもって存在したりするように制御する事ができる。この時、着色剤や上記一般式(1)からなる高分子化合物と相互作用を有するような極性樹脂を用いる事によって、トナー粒子中への上記着色剤の存在状態を望ましい形態にする事が可能である。
【0112】
更に、本発明においては、トナー粒子の機械的強度を高めると共に、結着樹脂の分子量を制御するために、結着樹脂の合成時に架橋剤を用いる事もできる。
【0113】
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、二官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0114】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0115】
これらの架橋剤は、トナーの定着性、耐オフセット性の点で、上記単量体100質量部に対して、好ましくは0.05乃至10質量部、より好ましくは0.1乃至5質量部用いる場合である。
【0116】
本発明のトナーは、磁性トナー又は非磁性トナーどちらでも良い。磁性トナーとして用いる場合には、以下に挙げられる磁性材料が好ましく用いられる。即ち、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、又は他の金属酸化物を含む酸化鉄、Fe、Co、Ni等の金属、或いは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、V等の金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0117】
上記磁性材料としては、例えば、四三酸化鉄(Fe)、γ−三二酸化鉄(γ−Fe)、酸化鉄亜鉛(ZnFe)、酸化鉄イットリウム(YFe12)、酸化鉄カドミウム(CdFe)、酸化鉄ガドリニウム(GdFe12)、酸化鉄銅(CuFe)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe)、酸化鉄ネオジウム(NdFe)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe)、酸化鉄マンガン(MnFe)、酸化鉄ランタン(LaFeO)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用する。本発明の目的に特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0118】
これらの磁性体は平均粒径が0.1乃至2μm(好ましくは0.1乃至0.3μm)で、795.8kA/m印加での磁気特性が保磁力は1.6乃至12kA/m、飽和磁化は5乃至200Am/kg(好ましくは50乃至100Am/kg)、残留磁化は2乃至20Am/kgである場合がトナーの現像性の点で好ましい。
【0119】
これら磁性材料の添加量は結着樹脂100質量部に対して、磁性体10乃至200質量部、好ましくは20乃至150質量部使用する場合である。
【0120】
一方、非磁性トナーとして用いる場合の着色剤としては、従来知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤が用いる事ができる。
【0121】
マゼンタ用着色剤としては、例えば、C.I.Pigment Red 1、C.I.Pigment Red 2、C.I.Pigment Red 3、C.I.Pigment Red 4、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 6、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 8、C.I.Pigment Red 9、C.I.Pigment Red 10、C.I.Pigment Red 11、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 13、C.I.Pigment Red 14、C.I.Pigment Red 15、C.I.Pigment Red 16、C.I.Pigment Red 17、C.I.Pigment Red 18、C.I.Pigment Red 19、C.I.Pigment Red 21、C.I.Pigment Red 22、C.I.Pigment Red 23、C.I.Pigment Red 30、C.I.Pigment Red 31、C.I.Pigment Red 32、C.I.Pigment Red 37、C.I.Pigment Red 38、C.I.Pigment Red 39、C.I.Pigment Red 40、C.I.Pigment Red 41、C.I.Pigment Red 48、C.I.Pigment Red 49、C.I.Pigment Red 50、C.I.Pigment Red 51、C.I.Pigment Red 52、C.I.Pigment Red 53、C.I.Pigment Red 54、C.I.Pigment Red 55、C.I.Pigment Red 57、C.I.Pigment Red 58、C.I.Pigment Red 60、C.I.Pigment Red 63、C.I.Pigment Red 64、C.I.Pigment Red 68、C.I.Pigment Red 81、C.I.Pigment Red 83、C.I.Pigment Red 87、C.I.Pigment Red 88、C.I.Pigment Red 89、C.I.Pigment Red 90、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 114、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 163、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 206、C.I.Pigment Red 207、C.I.Pigment Red 209、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Vat Red 1、C.I.Vat Red 2、C.I.Vat Red 10、C.I.Vat Red 13、C.I.Vat Red 15、C.I.Vat Red 23、C.I.Vat Red 29、C.I.Vat Red 35等が挙げられる。
【0122】
シアン用着色剤としては、例えばC.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15:1、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 17、C.I.Pigment Blue 25、C.I.Pigment Blue 26、C.I.Vat Blue 6、C.I.Acid Blue 45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0123】
イエロー用着色剤としては、例えばC.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 4、C.I.Pigment Yellow 5、C.I.Pigment Yellow 6、C.I.Pigment Yellow 7、C.I.Pigment Yellow 10、C.I.Pigment Yellow 11、C.I.Pigment Yellow 12、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 15、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 23、C.I.Pigment Yellow 65、C.I.Pigment Yellow 73、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Solvent Yellow 9、C.I.Solvent Yellow 17、C.I.Solvent Yellow 24、C.I.Solvent Yellow 31、C.I.Solvent Yellow 35、C.I.Solvent Yellow 58、C.I.Solvent Yellow 93、C.I.Solvent Yellow 100、C.I.Solvent Yellow 102、C.I.Solvent Yellow 103、C.I.Solvent Yellow 105、C.I.Solvent Yellow 112、C.I.Solvent Yellow 162、C.I.Solvent Yellow 163、C.I.Vat Yellow 1、C.I.Vat Yellow 3、C.I.Vat Yellow 20等が挙げられる。
【0124】
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
【0125】
これらの着色剤の使用量は、着色剤の種類によって異なるが、結着樹脂100質量部に対して総量で0.1乃至60質量部、好ましくは0.5乃至50質量部が適当である。
【0126】
本発明において使用し得るワックス成分としては、具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャー・トロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス及びそれらの誘導体等が挙げられ、誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。又、高級脂肪族アルコール等のアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはそれらの化合物の酸アミドやエステル、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックス等が挙げられる。これらは単独、もしくは併せて用いる事ができる。
【0127】
ワックス成分の添加量としては、結着樹脂100質量部に対する含有量が総量で2.5乃至15.0質量部である事が好ましく、更には3.0乃至10.0質量部である事がより好ましい。
【0128】
本発明のトナーは、流動化剤として無機微粉体が外部添加されていても良い。無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ又はそれらの複酸化物や、これらを表面処理したもの等の微粉体が使用できる。
【0129】
本発明において、トナーの重量平均粒径(D4)は、帯電の安定性及び高画質な画像を得るという観点から、3.0乃至15.0μmであることが好ましく、より好ましくは4.0乃至12.0μmである。
【0130】
又、トナーの重量平均粒径D4と個数平均粒径D1の比(以下、重量平均粒径D4/個数平均粒径D1又はD4/D1ともいう)は1.35以下、好ましく1.30以下が良い。
【0131】
尚、本発明のトナーの重量平均粒径D4と個数平均粒径D1は、トナー粒子の製造方法によってその調整方法は異なる。例えば、懸濁重合法の場合は、水系分散媒体調製時に使用する分散剤濃度や反応撹拌速度、又は反応撹拌時間等をコントロールする事によって調整する事ができる。
【0132】
本発明のトナー粒子は、どのような手法を用いて製造されても構わないが、懸濁重合法、懸濁造粒法等、水系媒体中で造粒する製造法によって得る事が好ましい。一般的な粉砕法のトナーの場合、ワックス成分を大量にトナー粒子に添加する事は、現像性の面で非常に技術的難易度が高い。水系媒体中でトナー粒子を造粒する事で、ワックス成分を大量に使用しても、トナー表面へのワックス成分の露出を抑制する事ができる。
【0133】
懸濁重合法はワックス成分のトナー中への内包化による長期現像安定性、及び、溶剤を使用しないといった製造コスト面から最も好ましい製造方法の一つである。更に、トナーの粒子形状を精密に制御する事により、各トナー粒子に同一含有量の着色剤が内包化されるため、着色剤による帯電特性の影響も均一なものになり、これによって、現像性と転写性とがバランスよく改善される。
【0134】
一方、懸濁造粒法は、製造工程において、加熱工程を有さないため、低融点ワックスを用いた場合に起こる樹脂とワックス成分の相溶化を抑制し、相溶化に起因するトナーのガラス転移温度の低下を防止する事ができる。又、結着樹脂となるトナー材料の選択肢が広く、一般的に定着性に有利とされるポリエステル樹脂を主成分にする事が容易である。そのため、懸濁重合法を適用できない樹脂組成のトナーを製造する場合に有利な製造方法である。
【0135】
懸濁重合法によりトナーを製造する場合は、上記高分子化合物(又は上記重合性単量体)、上記結着樹脂となる重合性単量体、着色剤、ワックス成分、及び重合開始剤等を混合して重合性単量体組成物を調製し、重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して重合性単量体組成物の粒子を造粒後、水系媒体中で重合性単量体組成物の粒子中の重合性単量体を重合させる事によりトナー粒子が得られる。この際に、上記重合性単量体組成物は、着色剤を第1の重合性単量体(或いは一部の重合性単量体)に分散させた分散液を、少なくとも第2の重合性単量体(或いは残りの重合性単量体)と混合して調製されたものである事が好ましい。即ち、着色剤を第1の重合性単量体に十分に分散させた状態にした後に、他のトナー材料と共に第2の重合性単量体と混合する事により、着色剤がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できるものとなる。
【0136】
上記懸濁重合法に用いられる重合開始剤としては、公知の重合開始剤を挙げる事ができ、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物類、無機過酸化物類、有機金属化合物、光重合開始剤等が挙げられる。より具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−へキシルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物系重合開始剤、過酸化水素−第1鉄系、BPO−ジメチルアニリン系、セリウム(IV)塩−アルコール系等のレドックス開始剤等が挙げられる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ケタール系等が挙げられる。これらの方法は、単独又は2つ以上組み合わせて使用する事ができる。
【0137】
上記重合開始剤の濃度は、重合性単量体100質量部に対して0.1乃至20質量部の範囲である場合が好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部の範囲である場合である。上記重合性開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、10時間半減温度を参考に、単独又は混合して使用される。
【0138】
上記懸濁重合法で用いられる水系媒体は、分散安定化剤を含有させる事が好ましい。上記分散安定化剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定化剤を用いる事ができる。無機系の分散安定化剤としては、例えば、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機系の分散安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。又、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の界面活性剤の利用も可能である。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0139】
上記分散安定化剤のうち、本発明においては、酸に対して可溶性のある難水溶性無機分散安定化剤を用いる事が好ましい。又、本発明においては、難水溶性無機分散安定化剤を用い、水系分散媒体を調製する場合に、これらの分散安定化剤が重合性単量体100質量部に対して0.2乃至2.0質量部の範囲となるような割合で使用する事が上記重合性単量体組成物の水系媒体中での液滴安定性の点で好ましい。又、本発明においては、重合性単量体組成物100質量部に対して300乃至3000質量部の範囲の水を用いて水系媒体を調製する事が好ましい。
【0140】
本発明において、上記難水溶性無機分散安定化剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散安定化剤をそのまま用いて分散させても良いが、細かい均一な粒度を有する分散安定化剤粒子を得るために、水中にて高速撹拌下に、上記難水溶性無機分散安定化剤を生成させて調製する事が好ましい。例えば、リン酸カルシウムを分散安定化剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸カルシウムの微粒子を形成する事で、好ましい分散安定化剤を得る事ができる。
【0141】
懸濁造粒法によりトナーを製造する場合は、例えば下記のようにしてトナーが製造される。先ず、上記高分子化合物、上記結着樹脂、着色剤、ワックス成分等を、溶剤中で混合して溶剤組成物を調製する。次に、上記溶剤組成物を水系媒体中に分散して溶剤組成物の粒子を造粒してトナー粒子懸濁液を得る。そして、得られた懸濁液を加熱、又は減圧によって溶剤を除去する事でトナー粒子を得る事ができる。
【0142】
上記工程における溶剤組成物は、着色剤を第1の溶剤に分散させた分散液を、第2の溶剤と混合して調製されたものである事が好ましい。即ち、着色剤を第1の溶剤により十分に分散させた後で、他のトナー材料と共に第2の溶剤と混合する事により、顔料がより良好な分散状態でトナー粒子中に存在できる。
【0143】
上記懸濁造粒法に用いる事ができる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等の含ハロゲン炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられる。これらを単独又は、2種類以上混合して用いる事ができる。これらのうち、上記トナー粒子懸濁液中の溶剤を容易に除去するため、沸点が低く、且つ、上記結着樹脂を十分に溶解できる溶剤を用いる事が好ましい。
【0144】
上記溶剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、50乃至5000質量部の範囲である場合が好ましく、120乃至1000質量部の範囲である場合がより好ましい。
【0145】
上記懸濁造粒法で用いられる水系媒体は、分散安定化剤を含有させる事が好ましい。該分散安定化剤としては、公知の無機系及び有機系の分散安定化剤を用いる事ができる。無機系の分散安定化剤としては、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。有機系の分散安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等カチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤が挙げられる。
【0146】
上記分散安定化剤の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.01乃至20質量部の範囲である場合が、上記溶剤組成物の水系媒体中での液滴安定性の点で好ましい。
【0147】
以下に本実施例で用いられる測定方法を示す。
【0148】
(1)組成分析
上記式(1)で表される重合性単量体及び、式(1)からなる高分子化合物の構造決定は以下の装置を用いて行った。
【0149】
H、13C NMR
日本電子(株)製ECA−400(400MHz)を用いて、内部標準物質としてテトラメチルシランを含む重水素化溶剤中、25℃で測定を行った。化学シフト値は内部標準物質であるテトラメチルシランを0としたppmシフト値(δ値)として示した。
【0150】
MS
Agilent Technologies社製LC/MSD TOFを用いた。尚、イオン化法はエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を用いた。
【0151】
(2)純度測定
上記式(1)で表される重合性単量体の純度測定は以下の装置を用いて行った。
装置 :HPLC LC−20A[(株)島津製作所製]
カラム :Inertsil ODS−3[GLサイエンス(株)製]
溶離液:メタノール−0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:1.0μl
【0152】
(3)分子量測定
上記式(1)からなる高分子化合物の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、ポリスチレン換算で算出される。SECによる分子量の測定は以下に示すように行った。
【0153】
サンプル濃度が1.0質量%になるようにサンプルを下記溶離液に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過したものをサンプル溶液とし、以下の条件で測定した。
装置 :高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム :Asahipak GF−510HQ、310HQの2連[昭和電工(株)製]
溶離液:DMF(20mmol/l 臭化リチウム含有)
流速:0.6ml/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.10ml
【0154】
又、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂[東ソー(株)製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500]により作成した分子量校正曲線を使用した。
【0155】
(4)酸価測定
上記一般式(1)からなる高分子化合物の酸価は以下の方法により求めた。
【0156】
基本操作はJIS K−0070に基づく。
【0157】
1)試料0.5乃至2.0gを精秤する。このときの質量をW(g)とする。
【0158】
2)50mlのビーカーに試料を入れ、テトラヒドロフラン/エタノール(2/1)の混合液25mlを加え溶解する。
【0159】
3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置を用いて滴定を行う[例えば、平沼産業(株)製自動滴定測定装置「COM−2500」等が利用できる。]。
【0160】
4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時のKOHの使用量をB(ml)とする。
【0161】
5)次式により酸価を計算する。fはKOH溶液のファクターである。
【0162】
【数1】

【実施例】
【0163】
以下、実施例、比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例に限定されるものではない。尚、以下の記載で「部」、「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
【0164】
[実施例1]
下記方法で上記式(1)で表される重合性単量体を製造した。
【0165】
<重合性単量体(8)の製造例>
下記構造で示される重合性単量体(8)を下記スキームに従い製造した。
【0166】
【化8】

【0167】
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に4−tert−ブチルカテコール2.0部、塩化チオニル565部、脱水N,N−ジメチルホルムアミド400部を加え氷冷下撹拌した。この溶液に0℃以下を保持しながらp−スチレンスルホン酸ナトリウム(18)150部を分割添加する。添加後、液温を保持しながら24時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を1500部の水中に注ぎ込み、トルエンで抽出し、有機層をイオン交換水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥後、溶媒減圧留去する事でp−スチレンスルホン酸クロライド(19)を128部(定量的)得た。
【0168】
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に5−アミノサリチル酸(20)15部、脱水N,N−ジメチルホルムアミド142部、トリエチルアミン11部を加え氷冷下撹拌した。この溶液に5℃以下を保持しながら、予め15部のクロロホルムに上記得られたp−スチレンスルホン酸クロライド(19)21部を溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、徐々に室温で液温を戻し、4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル270部を加え、有機層を1mol/l塩酸水溶液、イオン交換水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧濃縮し、n−ヘプタンで再沈した後、沈殿を濾別し減圧乾燥する事で上記重合性単量体(8)を26部(収率83%)得た。
【0169】
得られたものが上記式で表される構造を有する事は、上記した各装置を用い確認した。以下に、分析結果を示す。
【0170】
[重合性単量体(8)の分析結果]
[1]H NMR(400MHz、アセトン−d、25℃)の結果(図1参照):
δ [ppm]=10.92(brs、1H)、8.81(s、1H)、7.73(d、1H)、7.70(d、2H)、7.61(d、2H)、7.35(dd、1H)、6.88(d、1H)、6.80(dd、1H)、5.96(d、1H)、5.40(d、1H)
[2]13C NMR(100MHz、アセトン−d、25℃)の結果:
δ [ppm]=172.0、160.7、142.7、139.5、136.3、132.1、129.8、128.4、127.5、125.4、118.8、117.8、113.2
[3]質量分析(ESI−TOF MS)の結果:
m/z=318.0(M−H)
[4]純度測定(HPLC)の結果:
純度=97.5面積%、保持時間18.2分
【0171】
<重合性単量体(11)の製造例>
下記構造で示される重合性単量体(11)を下記スキームに従い製造した。
【0172】
【化9】

【0173】
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に4−ビニル安息香酸(21)20部、4−tert−ブチルカテコール0.6部、クロロホルム225部を加え、15℃以下に冷却した。液温を15℃以下に保持しながら、脱水N,N−ジメチルホルムアミド2.8部を加え、次いで塩化オキサリル87.4部を滴下した。滴下後、液温を室温まで上昇させ、20時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、n−ヘプタン340部を加えた。有機層をイオン交換水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥後、溶媒減圧留去する事で4−ビニル安息香酸クロリド(22)の粗製物21.8部を得た。
【0174】
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に5−アミノサリチル酸(20)24.1部、脱水N,N−ジメチルホルムアミド60部、トリエチルアミン22.1部を加え氷冷下撹拌した。この溶液に10℃以下を保持しながら、予め35部のクロロホルムに上記得られた4−ビニル安息香酸クロリド(22)全量21.8部を溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、徐々に室温で液温を戻し、12時間反応させた。反応終了後、反応液を1mol/l塩酸水溶液500部に注ぎ込み、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿を1mol/l塩酸水溶液、イオン交換水で洗浄し、沈殿を濾別し減圧乾燥する事で上記重合性単量体(11)を32部(収率88%)得た。
【0175】
得られたものが上記式で表される構造を有する事は、上記した各装置を用い確認した。以下に、分析結果を示す。
【0176】
[重合性単量体(11)の分析結果]
[1]H NMR(400MHz、アセトン−d、25℃)の結果(図2参照):
δ [ppm]=8.34(d、1H)、7.97(d、2H)、7.88(dd、1H)、7.61(d、2H)、6.97(d、1H)、6.84(dd、1H)、5.96(dd、2H)、5.38(dd、1H)
[2]13C NMR(100MHz、重水素化アセトン中、25℃)の結果:
δ [ppm]=172.9、166.8、159.6、141.9、137.1、135.1、131.6、130.0、128.8、127.2、123.4、118.1、116.5、113.2、100.4、97.4
[3]質量分析(ESI−TOF MS)の結果:
m/z=282.1(M−H)
[4]純度測定(HPLC)の結果:
純度=98.8面積%、保持時間19.4分
【0177】
<重合性単量体(16)の製造例>
下記構造で示される重合性単量体(16)を下記スキームに従い製造した。
【0178】
【化10】

【0179】
p−スチレンスルホン酸クロライド(19)は重合性単量体(8)の製造例に記載の方法で同様に製造した。
【0180】
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に4−アミノ−1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(23)10部、脱水N,N−ジメチルホルムアミド106部、トリエチルアミン5部を加え氷冷下撹拌した。この溶液に5℃以下を保持しながら、予め15部のクロロホルムに上記得られたp−スチレンスルホン酸クロライド(19)10.3部を溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、徐々に室温で液温を戻し、4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル270部を加え、有機層を1mol/l塩酸水溶液、イオン交換水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧濃縮し、n−ヘプタンで再沈した後、沈殿を濾別し減圧乾燥する事で上記重合性単量体(16)を8部(収率46%)得た。
【0181】
得られたものが上記式で表される構造を有する事は、上記した各装置を用い確認した。以下に、分析結果を示す。
【0182】
[重合性単量体(16)の分析結果]
[1]H NMR(400MHz、アセトン−d、25℃)の結果(図3参照):
δ [ppm]=8.35(d、1H)、8.10(d、1H)、7.69(d、2H)、7.64−7.56(m、5H)、6.78(dd、1H)、5.94(d、1H)、5.39(d、1H)
[2]13C NMR(100MHz、アセトン−d、25℃)の結果:
δ [ppm]=172.8、161.0、142.6、139.9、136.4、135.6、130.5、128.6、127.4、127.1、126.0、124.9、124.5、124.4、124.3、117.6、105.7
[3]質量分析(ESI−TOF MS)の結果:
m/z=368.1(M−H)
[4]純度測定(HPLC)の結果:
純度=97.8面積%、保持時間18.3分
【0183】
<その他の重合性単量体の製造例>
上記重合性単量体(8)、(11)及び(16)の製造例と同様の操作を行い、上記式(1)で表される重合性単量体(9)、(10)、(12)乃至(15)、(17)を製造した。下記表1に製造した重合性単量体を示す。
【0184】
[実施例2]
下記方法で高分子化合物を製造した。
【0185】
<高分子化合物(A)の製造例>
冷却管、撹拌機、温度計及び、窒素導入管を取り付けた反応容器に、スチレン100部、上記重合性単量体(8)19.6部、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート7.2部、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート290部を加え、30分間窒素バブリングを行った。反応液を窒素雰囲気下、145℃で8時間加熱し、重合反応を完結させた。反応液を室温まで冷却後、溶剤を減圧留去した。得られた固体をアセトンに溶解させ、メタノールで2回再沈殿し、沈殿を濾別後、減圧乾燥する事により高分子化合物(A)を得た。
【0186】
得られた高分子化合物(A)の上記分析法を用いた分析結果を以下に示す。尚、H NMR分析における「St」はスチレンユニットに帰属されるシグナルであり、「a」は重合性単量体(8)に帰属されるシグナルである事を示す。
【0187】
[高分子化合物(A)の分析結果]
[1]H NMR(400MHz、CDCl、25℃)の結果(図4参照):
δ [ppm]=10.5[brs、1H(a)]、7.22−7.05[brs、61.8H(St、a)]、6.58−6.47[brs、34.5H(St、a)]、2.06−1.84[br、21.2(St、a)]、1.43−1.20[br、38.5(St、a)]
[2]酸価測定の結果:27.4mgKOH/g。
[3]分子量測定(SEC)の結果:
重量平均分子量(Mw)=15300
上記の結果より、得られた高分子化合物(A)には重合性単量体(8)からなるユニットを、全単量体単位中に5mol%含有している事を確認した。
【0188】
<その他の高分子化合物の製造例>
上記重合性単量体(A)の製造例と同様の操作を行い、上記式(3)で表されるユニットを含有する高分子化合物(B)乃至(O)を製造した。下記表1に製造した高分子化合物を示す。
【0189】
[比較例1]
下記方法で比較用高分子化合物を製造した。
【0190】
<高分子化合物(P)の製造例>
上記高分子化合物(A)の製造例において、重合性単量体(8)19.6部を、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸11.1部に変更した以外は同様の操作を行って、比較用の高分子化合物(P)を製造した。下記表1に物性値を示す。
【0191】
<高分子化合物(Q)の製造例>
上記高分子化合物(A)の製造例において、重合性単量体(8)19.6部を、5−ビニルサリチル酸9.9部に変更した以外は同様の操作を行って、比較用の高分子化合物(Q)を製造した。下記表1に物性値を示す。
【0192】
【表1】

【0193】
[表中、共重合体成分Iは、高分子化合物の合成に用いた重合性単量体を示す。Aにおける数字は上記式(1)中のビニル基に対する置換位置を示す。]
[実施例3]
下記方法で本発明の現像ローラーを製造した。
【0194】
<現像ローラー(1)の製造例>
1)表面層組成物調製工程
下記組成を混合後、ボールミルで3時間分散させた。
・ウレタン塗料[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:ニッポランN5033] 100部
・高分子化合物(A) 10部
・カーボンブラック[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:トーカブラック#7360SB] 50部
・ウレタン粒子[根上工業(株)製、平均粒径15μm、商品名:アートパールC400] 6部
・メチルエチルケトン 1000部
上記得られた分散液に硬化剤として変性トリレンジイソシアネート[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL]10部を添加して表面層組成物とした。
【0195】
2)弾性層形成工程
外径8mmの芯金(ステンレススチール製)を内径16mmの円筒状金型内に同心となるように設置し、弾性層として液状導電性シリコーンゴム[東レ・ダウコーニング(株)製、AskerC硬度35度、体積抵抗率10×109Ωcm]を注入後、130℃のオーブンで20分間加熱成型した。脱型後、200℃のオーブンで4時間二次加硫を行い、弾性層(層厚4mm)を形成した。
【0196】
3)表面層形成工程
上記工程1の表面層組成物を撹拌しながら、ディッピング法を用いて表面層の膜厚が20μmになるように弾性層を形成したローラーに表面層組成物を塗布した。80℃のオーブンで15分乾燥後、140℃のオーブンで4時間硬化させる事により現像ローラー1を得た。
【0197】
<現像ローラー(2)乃至(15)の製造例>
上記現像ローラー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を上記本発明の高分子化合物B乃至Oにそれぞれ変更した以外は同様の操作を行って、現像ローラー(2)乃至(15)を製造した。
【0198】
[比較例2]
下記方法で比較用現像ローラーを製造した。
【0199】
<現像ローラー(16)の製造例>
上記現像ローラー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を添加しない事以外は同様の操作を行って、比較用の現像ローラー16を製造した。
【0200】
<現像ローラー(17)の製造例>
上記現像ローラー(1)の製造例において、高分子化合物(A)をサリチル酸アルミニウム化合物[オリエント化学工業(株)製、商品名:BONTRON E−108]に変更した以外は同様の操作を行って、現像ローラー(17)を製造した。
【0201】
<現像ローラー(18)の製造例>
上記現像ローラー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を高分子化合物(P)に変更した以外は同様の操作を行って、現像ローラー(18)を製造した。
【0202】
<現像ローラー(19)の製造例>
上記現像ローラー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を高分子化合物(Q)に変更した以外は同様の操作を行って、現像ローラー(19)を製造した。
【0203】
[実施例4]
下記方法で本発明の高分子化合物及び比較用高分子化合物、サリチル酸アルミニウム化合物の帯電特性の評価を行った。
【0204】
<帯電特性評価>
測定する高分子化合物又はサリチル酸アルミニウム化合物を導電性基板上に塗布した塗膜に対して、京セラケミカル(株)製カスケード式帯電量測定装置を改造した装置により帯電量を測定する事により評価した。
【0205】
図5は本評価で用いた帯電量測定装置の模式図である。図5中、11は導電性基板、12は基板保持台、13は高分子化合物塗膜、14は基準粉体、15は基準粉体供給装置、16は基準粉体受器、17はエレクトロメーターを示す。本装置の具体的な測定方法は以下の通りである。
【0206】
1)測定化合物及びバインダー樹脂としてポリスチレン(重量平均分子量35000、シグマ アルドリッチ社製)をメチルエチルケトンに溶解させ、ワイヤーバーを用いてアルミニウム製の導電性基板11に塗布し、25℃で24時間以上乾燥させた。この時、高分子化合物とバインダー樹脂の量は1:9(質量部)の割合になるように調整した。又、塗膜の膜厚が5μmとなるように塗布液の濃度の調整及び、ワイヤーバーの種類を選択した。
【0207】
2)上記化合物を塗布した導電性基板を基板保持台12に取り付け、導電性基板1の傾斜角度が45°となるように基板保持台12を固定した。
【0208】
3)25℃、45%Rhに調整された環境下で、基準粉体14としてパウダーテック(株)製マンガンフェライトキャリア(平均粒径80μm)を用いて、粉体供給装置15より15g/minの流量で塗膜13に基準粉体14を流しかけた。尚、基準粉体14が塗膜13上を流れる流路は、流路長20mm、流路幅15mmになるように調整されている。
【0209】
4)塗膜13に接触した基準粉体14は帯電し、基準粉体受器16で全て回収される。基準粉体受器16はファラデーケージとなっており、接続されたエレクロトメーター17により基準粉体14が塗膜13から受け取った電荷量を測定する事ができる。一方、塗膜13の帯電量は基準粉体14の電荷量の逆符号として表わされる。
【0210】
高分子化合物又はサリチル酸アルミニウム化合物の帯電特性の評価は、上記帯電量測定法において、基準粉体14を50g流しかけたときの塗膜の帯電量により下記の基準で判断した。
A:非常に良好(塗膜の帯電量が−125nC未満)
B:良好(塗膜の帯電量が−125nC以上、−100nC未満)
C:実用可(塗膜の帯電量が−100nC以上、−75nC未満)
D:劣る(塗膜の帯電量が−75nC以上)
塗膜の帯電量が−100nC未満であれば、帯電特性が良好であると判断した。
【0211】
[実施例5]
本発明の現像ローラー又は比較用現像ローラーを、正帯電性現像剤を用いた評価用複写機(キヤノン(株)製、商品名:NP6035)に取り付け、32.5℃、80%Rhに調整された環境下で、所定の画像を15000枚連続的に複写した後、画像かぶり及び、画像濃度を評価した。
【0212】
<画像かぶりの評価>
画像形成した記録紙の白ベタ部分の反射率(D1)と、同一記録紙上の未使用部分の反射率(D2)を白色光度計[(有)東京電色製、商品名:TC−6DS/A]を用いてそれぞれ5点測定し、平均値を算出した。D1−D2の値を画像かぶり濃度とし、下記の基準で判断した。
A:非常に良好(カブリ濃度が1.0%未満)
B:良好(カブリ濃度が1.0%以上、1.5%未満)
C:実用可(カブリ濃度が1.5%以上、2.0%未満)
D:劣る(カブリ濃度が2.0%以上)
画像かぶり濃度が1.5%未満であれば、画像かぶり評価が良好であると判断した。
【0213】
<画像像度の評価>
画像形成した記録紙の黒ベタ部分の反射濃度[OD(Bk)]を、反射濃度計(GretagMacbeth社製、商品名:RD918)を用いて5点測定し、平均値を算出した。画像濃度の評価は下記の基準で判断した。
A:非常に良好(反射濃度が1.4%以上)
B:良好(反射濃度が1.3%以上、1.4%未満)
C:実用可(反射濃度が1.2%以上、1.3%未満)
D:劣る(反射濃度が1.2%未満)
反射濃度が1.3以上であれば、画像濃度評価が良好であると判断した。
【0214】
上記評価方法にて本発明の高分子化合物、比較用高分子化合物、及びサリチル酸アルミニウム化合物の帯電特性の評価と、本発明の現像ローラー及び比較用現像ローラーの画像かぶり及び、画像濃度の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0215】
【表2】

【0216】
表2より、本発明の高分子化合物が優れた帯電特性を示すと共に、現像ローラーに添加する事により、トナーに十分な帯電を付与することができ、画像かぶりが少なく、画像濃度が高い画像が得られる事が確認された。
【0217】
[実施例6]
下記方法で、本発明のトナーを製造した。
【0218】
<トナー(1)の製造例>
1)重合性単量体組成物調製工程
下記組成を混合後、ボールミルで3時間分散させた。
・スチレン 82.0部
・アクリル酸2−エチルヘキシル 18.0部
・ジビニルベンゼン 0.1部
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.5部
・極性樹脂 5.0部[飽和ポリエステル樹脂(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA、Mn=6000、酸価15mgKOH/g)]
・高分子化合物(A) 1.0部
得られた分散液を300rpmで撹拌しながら60℃に加熱後、エステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度 70℃、数平均分子量704)12.0部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3.0部を加え、溶解し、重合性単量体組成物とした。
【0219】
2)分散安定剤調製工程
高速撹拌装置T.K.ホモミクサー[プライミクス(株)製]を取り付けた2l用四つ口フラスコ中にイオン交換水710部と0.1mol/l−リン酸ナトリウム水溶液450部を添加し、12000rpmで撹拌しながら、60℃に加熱した。ここに1.0mol/l−塩化カルシウム水溶液68.0部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散安定剤としてリン酸カルシウムを含む水系分散媒体を調製した。
【0220】
3)造粒・重合工程
上記水系分散媒体中に工程1で調製した重合性単量体組成物を投入し、回転数12000rpmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を交換し、内温を60℃で重合を5時間継続させた後、内温を80℃に昇温し、更に3時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃、減圧下で残存単量体を留去した後、30℃まで冷却し、重合体微粒子分散液を得た。
【0221】
4)洗浄・乾燥工程
上記重合体微粒子分散液を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.5に調整した。分散液を2時間撹拌後、濾過器で固液分離し、重合体微粒子を得た。これをイオン交換水1.0l中に投入して撹拌し、再び分散液とした後、濾過器で固液分離した。この操作を3回行った後、最終的に固液分離した重合体微粒子を、30℃の乾燥機で十分に乾燥してトナー粒子を得た。
【0222】
5)外添工程
得られたトナー粒子100.0部に対し、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体(一次粒子の個数平均粒径7nm)1.0部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒径45nm)0.15部、ルチル型酸化チタン微粉体(一次粒子の個数平均粒径200nm)0.5部をヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製]で5分間乾式混合して、トナー(1)を得た。
【0223】
<トナー(2)乃至(15)の製造例>
上記トナー(1)の製造例における高分子化合物(A)を高分子化合物(B)乃至(O)にそれぞれ変更する事以外は同様の操作を行い、本発明のトナー(2)乃至(15)を得た。
【0224】
<トナー(16)の製造例>
1)混合工程
下記組成をボールミルで24時間分散する事により、トナー組成物混合液200部を得た。
・酢酸エチル 100.0部
・C.I.Pigment Blue 15:3 5.0部
・極性樹脂 85.0部[飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとフタル酸の重縮合物、Tg=75.9℃、Mw=11000、Mn=4200、酸価=11mgKOH/g)]
・炭化水素ワックス 9.0部(フィッシャー・トロプシュワックス、DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=80℃、Mw=750)
・高分子化合物(A) 1.0部
【0225】
2)分散懸濁工程
下記組成をボールミルで24時間分散する事により、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体を得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆) 20.0部
・カルボキシメチルセルロース 0.5部[第一工業製薬(株)製、商品名:セロゲンBS−H)
・イオン交換水 99.5部
上記水系媒体1200部を、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー[プライミクス(株)製]に入れ、回転羽根を周速度20m/secで撹拌しながら、上記トナー組成物混合液1000部を投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して懸濁液を得た。
【0226】
3)溶剤除去工程
分散懸濁工程で得られた懸濁液2200部をフルゾーン翼[(株)神鋼環境ソリューション製]により周速度45m/minで撹拌しながら、温度を40℃一定に保ち、ブロワ−を用いて上記懸濁液面上の気相を強制吸気し、溶剤除去を開始した。その際、溶剤除去開始から15分後に、イオン性物質として1%に希釈したアンモニア水75部を添加し、続いて溶剤除去開始から1時間後に上記アンモニア水25部を添加し、続いて溶剤除去開始から2時間後に上記アンモニア水25部を添加し、最後に溶剤除去開始から3時間後に上記アンモニア水25部を添加し、総添加量を150部とした。更に液温を40℃に保ったまま、溶剤除去開始から17時間保持し、懸濁粒子から溶剤(酢酸エチル)を除去したトナー分散液を得た。
【0227】
4)洗浄・脱水工程
溶剤除去工程で得られたトナー分散液300部に、10mol/l塩酸80部を加え、更に0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液により中和処理後、吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、トナーケーキを得た。得られたトナーケーキを真空乾燥機で乾燥し、目開き45μmの篩で篩分しトナー母粒子を得た。これ以降はトナー(1)の製造例と同様にしてトナー(16)を製造した。
【0228】
[比較例3]
下記方法で比較用トナーを製造した。
【0229】
<トナー(17)の製造例>
上記トナー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を添加しない事以外は同様の操作を行って、比較用のトナー(17)を製造した。
【0230】
<トナー(18)の製造例>
上記トナー(1)の製造例において、高分子化合物(A)をサリチル酸アルミニウム化合物[オリエント化学工業(株)製、商品名:BONTRON E−108]に変更した以外は同様の操作を行って、トナー(18)を製造した。
【0231】
<トナー(19)の製造例>
上記トナー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を高分子化合物(P)に変更した以外は同様の操作を行って、トナー(19)を製造した。
【0232】
<トナー(20)の製造例>
上記トナー(1)の製造例において、高分子化合物(A)を高分子化合物(Q)に変更した以外は同様の操作を行って、トナー(20)を製造した。
【0233】
[実施例7]
下記方法で本発明のトナー及び比較用トナーの粒径及び粒度分布を計測した。
【0234】
<トナーの粒度分布の測定>
コールターマルチサイザー[ベックマン・コールター(株)製]を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス[日科機バイオス(株)製]及びパーソナルコンピューターを接続した。電解液はISOTON R−II[ベックマン・コールター(株)製]を使用した。
【0235】
上記電解水溶液100乃至150mlに測定試料を2乃至20mg加えた。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行い、上記コールターマルチサイザーの100μmアパーチャーを用いて、2.0μm以上64.0μm以下のトナー粒子の体積、個数を測定する。得られたデータを16のチャンネルに振り分け、重量平均粒径D4、個数平均粒径D1及び、D4/D1を求めた。
【0236】
[実施例8]
下記方法で本発明のトナー及び比較用トナーの帯電量を測定した。
【0237】
<トナーの帯電量評価>
摩擦帯電量の測定は、トナー0.5gとキャリア9.5gを50ccのポリ容器に入れ、常温常湿環境(23℃/60%)で一昼夜放置後、1分間に200回の振とう速度で一定時間振とうさせ、図6の装置を用いて測定した。
【0238】
底に500メッシュ(目開き25μm)の導電性スクリーン23を取り付けた金属製の測定容器22に摩擦帯電量を測定しようとするトナー約0.3gを入れ金属製のフタ24をした。このときの測定容器22全体の質量をW1(g)とした。次に、吸引機21(測定容器22と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口27から吸引し風量調節弁26を調整して真空計25の圧力を−2.0kPa(ゲージ圧)とした。この状態で2分間吸引し、トナーを吸引除去した。このときの電位計29の電位をV(ボルト)とした。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とした。吸引後の測定容器全体の質量をW2(g)とした。トナーの摩擦帯電量[μC/g]は下記式に基づいて算出した。
【0239】
【数1】

【0240】
帯電量の評価は下記基準によって判断した。尚、実施例においては、負帯電極性のトナーが調製された。
【0241】
A:非常に良好(摩擦帯電量が−20.0μC/g以下)
B:良好(摩擦帯電量が−10.0μC/g〜−19.9μC/g)
C:実用可(摩擦帯電量が−5.0μC/g〜−9.9μC/g)
D:劣る(摩擦帯電量が−4.9μC/g以上)
摩擦帯電量が−10.0μC/g以下であれば帯電特性が良好であると判断した。
【0242】
[実施例9]
下記方法で本発明のトナー及び比較用トナーの逆極性トナー量を測定した。
【0243】
<逆極性トナー量の評価>
逆極性トナー量の測定はホソカワミクロン(株)製イースパートアナライザ EST−3を用いておこない、トナー全個数に対する逆極性トナー(正極性トナー)の個数を測定した。測定はトナー0.5gとキャリア9.5gを50ccのポリ容器に入れ、常温常湿環境(23℃/60%)で一昼夜放置後、1分間に200回の振とう速度で5分間振とうしたものを測定した。
【0244】
逆極性トナー量の評価は下記基準によって判断した。
A:非常に良好(逆極性トナーが存在しない)
B:良好(逆極性トナーの割合が5%未満)
C:実用可(逆極性トナーの割合が5%以上、15%未満)
D:劣る(逆極性トナーの割合が15%以上)
逆極性トナーの割合が5%未満であれば帯電特性が良好であると判断した。
【0245】
上記評価方法にて、製造した本発明のトナー及び比較用トナーの粒度分布、帯電量評価、及び逆極性トナー量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0246】
【表3】

【0247】
表3より、本発明のトナーは帯電立ち上がり速度が速く、高い飽和帯電量を示すとともに、逆極性トナーの発生を抑制できる事が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0248】
本発明のトナーは、上記一般式(1)で表される重合性単量体を重合させて得られる高分子化合物を電荷制御剤として使用するが、本高分子化合物は吸水性高分子としての利用や、燃料電池等のプロトン伝導膜としても使用する事ができる。
【符号の説明】
【0249】
11 導電性基板
12 基板保持台
13 高分子化合物塗膜
14 基準粉体
15 基準粉体供給装置
16 基準粉体受器
17 エレクトロメーター
21 吸引機
22 測定容器
23 導電性スクリーン
24 フタ
25 真空計
26 風量調節弁
27 吸引口
28 コンデンサー
29 電位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる重合性単量体。
【化1】


[式(1)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
Aは、−CO−又は−SO−を表し、
*部において、下記式(2)のa,b,c或いはdのいずれかの部位と結合している。
【化2】


(式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所は、水素原子、又は、アルキル基、アルコキシ基及びスルホン酸基からなるグループより選ばれる置換基を有する、或いは、隣り合う部位との間で環を形成する。)]
【請求項2】
下記式(3)で表されるユニットを1ユニット以上含む高分子化合物。
【化3】


[式(3)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
Aは、−CO−基又は−SO−基を表し、
*部において、下記式(2)のa,b,c或いはdのいずれかの部位と結合している。
【化4】


(式(2)中、a,b,c,dのうち上記式(1)で表される部分と結合していない箇所は、水素原子、又は、アルキル基、アルコキシ基及びスルホン酸基からなるグループより選ばれる置換基を表す、或いは、隣り合う部位との間で環を形成する。)]]
【請求項3】
上記一般式(3)で表されるユニットと、下記一般式(4)で表されるユニットのうち少なくとも一種類のユニットとの共重合体である請求項2に記載の高分子化合物。
【化6】


[一般式(4)中、
は、水素原子又はアルキル基を表し、
は、フェニル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基又はカルボン酸アミド基を表す。]
【請求項4】
上記一般式(4)で表されるユニットがスチレン或いはスチレン誘導体に由来するユニット、又はアクリル酸エステル誘導体に由来するユニットである請求項3に記載の高分子化合物。
【請求項5】
重量平均分子量が3000乃至10万であることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の高分子化合物。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかに記載の高分子化合物を含有する事を特徴とする電荷制御剤。
【請求項7】
請求項6に記載の電荷制御剤を、表層に含有する事を特徴とする現像剤担持体。
【請求項8】
結着樹脂、着色剤及び請求項6に記載の電荷制御剤を含有するトナー粒子を有する事を特徴とするトナー。
【請求項9】
トナー粒子が懸濁重合法で製造される事を特徴とする請求項8に記載のトナー。
【請求項10】
トナー粒子が懸濁造粒法で製造される事を特徴とする請求項8に記載のトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−214797(P2012−214797A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−82681(P2012−82681)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】