説明

重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法

【課題】本発明の目的は、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、アルカリ現像によって、矩形の断面形状を有するとともに、耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性など)に優れたパターンを形成可能な重合性組成物を提供することにある。
更に、本発明の目的は、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できる重合性組成物を提供することにある。
【解決手段】(A)アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物である重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方、及び(D)アルカリ可溶性バインダーを含有する重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性組成物に関し、特にソルダーレジストの形成に好適に使用しうる重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する場合、目的とする部材上に感光層を形成するに際しては、液状の感光性組成物をスピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー印刷法を用いて塗膜を形成させ乾燥させる方法、仮支持体上に感光性組成物を塗布し、乾燥することにより感光層を有する積層フィルムとし、これを真空ラミネーターやロールラミネーターを用いて部材上に感光層のみを転写する方法が用いられている。ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成されるシリコンウエハ上、配線されたシリコンウエハ上、或いは、銅張積層板等の基体上に、前記の方法で感光層を形成し、該積層体における感光層に対して露光を行い、露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後、硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法等が知られている。
【0003】
前記永久パターンの形成は、半導体チップとプリント基板の間に介装されるパッケージ基板にも適用される。前記パッケージ基板は、近年、より一層の高密度化が求められており、配線ピッチの狭幅化やソルダーレジスト層の高強度化、絶縁性の向上、薄膜化などが進んでいる。このため、繰り返しの冷熱衝撃耐性(サーマルサイクルテスト耐性、TCT耐性)がより強く求められ、また、バイアの小径化も求められており、パターン形状が矩形であることが実装性の観点から求められている。
また、このようなソルダーレジストに代表される永久パターン形成用の感光性組成物は、永久パターンを有する部材が高温・高湿下に置かれたとしても、永久パターンが変形したり、永久パターンが基材から剥離したりすることが無いことが求められている。例えば、ソルダーレジストにおいてこのような不具合が発生すると、ソルダーレジストで被覆された配線が、デンドライトを発生し、隣接した配線同士が意図せず導通するなどの問題が発生するため、ソルダーレジストは高温・高湿に対する耐久性に優れることも重要である。
【0004】
一方、携帯電話や、デジタルカメラ、デジタルビデオ、監視カメラ等に使用される固体撮像素子(イメージセンサ)は、半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子である。近年、固体撮像素子は、携帯電話、及びデジタルカメラの小型化、軽量化にともなってより一層の小型化が望まれている。
固体撮像素子の小型化の為に、貫通電極の応用、及びシリコンウエハを薄膜化する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。シリコンウエハを研磨して薄膜化することで小型化は実現できるが、シリコンウエハの薄膜化により、波長800nm以下の光の遮光性は維持されるが、波長800nm以上の光を透過し易くなってきた。固体撮像素子に使用されるフォトダイオードは、波長800nm以上1200nm以下の光にも反応してしまうために、波長800nm以上の光の透過により画質が低下してしまうという新たな問題が生じることがわかった。
【0005】
固体撮像素子の構成は、フォトダイオードの一方に隣接して、カラーフィルタ及びレンズがあり、カラーフィルタ或いはレンズ付近には赤外カットフィルタが存在して、波長800−1200nmの光を遮断しているが、カラーフィルタの反対側には、金属配線及びソルダーレジストなどが存在する。金属配線間などはソルダーレジストで埋められることが多いが、携帯電話やデジタルカメラ等の内部に入ってくる漏れ光などの赤外光を遮断できない問題があった。そこで、従来、赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側に更に赤外線遮光性の層を設け、赤外遮光性を確保する手段が講じられるが、一般的に、ソルダーレジスト上は配線などにより段差が存在するために、赤外線遮光性層材料を段差のある基板表面に均一の膜厚で塗布することが難しく、薄い部分が存在するとそこから光が透過してしまう問題があった。
【0006】
赤外線遮光性層を所望の部分のみに設けるためには、感光性を有し、露光によるパターニングが可能なフォトリソグラフィーの性能を有することが好ましい。フォトリソグラフィーを有する遮光性の感光性組成物としては、LCDカラーフィルタの形成に用いられるカーボンブラックを使用したブラックレジストが挙げられるが、カーボンブラックは、可視域の遮光性は高いものの赤外域での遮光性は低く、このようなブラックレジストをソルダーレジストとして適用しようとする場合、赤外域での必要な遮光性を確保する量のカーボンブラックを添加すると、可視域の遮光性が非常に高くなりすぎ、通常、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光を遮光してしまい、感度の低下を招いて光硬化性が十分に得られず、アルカリ現像液を用いた現像工程を経ても優れたパターンが得られないという問題がある。
また、現状では、ソルダーレジストを塗布法により形成した後に、赤外線遮光性層を別に設けるため、ソルダーレジストの形成と赤外線遮光性層の形成において、複数回の塗布、露光、現像、後加熱など工程が必要であり、工程が煩雑でありコストアップの要因ともなるため改善が望まれていた。
そこで、ソルダーレジスト自体に遮光性をもたせることが試みられ、例えば、黒色着色剤と、黒色以外の着色剤と、多官能エポキシ化合物とを含有する黒色ソルダーレジスト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この組成物は、黒色以外の着色剤と併用することで黒色着色剤の含有量を低く抑えることを特徴するものであり、遮光性、特に、赤外領域での遮光性と、パターン形成性との両立という観点からは実用上不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194396号公報
【特許文献2】特開2008−257045号公報
【特許文献3】特開2009−205029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、固体撮像素子の製造過程において半導体基板の位置を可視光センサーによって検出することを目的に、固体撮像素子における半導体基板の金属配線及びソルダーレジスト側の表面(すなわち、カラーフィルタやレンズとは反対側の表面)の所定位置には、しばしば、凸状のアライメントマークが設けられている。
赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側に更に赤外線遮光性の層を設けた上記形態の場合、赤外線遮光性の層が可視光に対しても遮光性を有する層であったとしても、赤外線遮光の目的においては、この層の厚みをさほど大きくする必要がないため(ソルダーレジスト層よりも薄い膜で、赤外線遮光の目的を達成できるため)、アライメントマークが赤外線遮光性の層で被覆されても、可視光センサーによる検出には大きな支障はなかったものと考えられる。しかしながら、特許文献2のように、特に、ソルダーレジスト自体に遮光性を持たせるために、ソルダーレジスト組成物に黒色着色剤を含有させる形態においては、アライメントマークがソルダーレジスト層で被覆されると、ソルダーレジスト層の厚みに起因してか、可視光センサーによってアライメントマークが検出されないという不具合が、より発生しやすくなる。
【0009】
以上を鑑み、高温・高湿に対する耐久性に優れ、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、アルカリ現像によって優れたパターンを形成可能な重合性組成物が求められているのが実状である。特に、パターンが設けられる基板表面の材質等に依らず、優れた矩形パターンの実現を可能とする重合性組成物が強く求められている。
【0010】
なお、特許文献3は、無機近赤外線吸収剤を含有する層を、画像表示装置用の近赤外線吸収層として使用する技術を開示しており、例えばその実施例に、重合性化合物、重合開始剤及び近赤外線吸収剤を含有する近赤外線吸収層形成用塗工液を開示しているが、この塗工液から得られる層は、露光及びアルカリ現像によってパターン形成されるものでない。実際、この層は、未露光領域であっても、アルカリ現像液に対する溶解性は不充分であり、アルカリ現像性をほとんど有しない。
【0011】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、アルカリ現像によって、矩形の断面形状を有するとともに、耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性など)に優れたパターンを形成可能な重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供することにある。
更に、本発明の目的は、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できる重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
【0013】
(1) (A)アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物である重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方、及び(D)アルカリ可溶性バインダーを含有する重合性組成物。
(2) 更に、チオキサントン系化合物、アクリドン系化合物及びクマリン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の重合性組成物。
(3)前記アルカリ可溶性バインダーが、酸基を有する上記(1)又は(2)に記載の重合性組成物。
(4)前記アルカリ可溶性バインダーが、架橋性基を有する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
(5)前記アルカリ可溶性バインダーが、(メタ)アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
(6)前記アルカリ可溶性バインダーが、ウレタン系樹脂である上記(5)に記載の重合性組成物。
(7)前記重合性組成物が前記タングステン化合物を含有し、前記タングステン化合物が、下記一般式(I)で表される上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
(8)前記Mがアルカリ金属である上記(7)に記載の重合性組成物。
(9)前記重合性組成物が前記金属ホウ化物を含有し、前記金属ホウ化物が、ホウ化ランタン、ホウ化プラセオジウム、ホウ化ネオジウム、ホウ化セリウム、ホウ化イットリウム、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン及びホウ化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項の重合性組成物。
(10)前記金属ホウ化物が、ホウ化ランタンである上記(9)に記載の重合性組成物。
(11)前記重合性化合物が、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物である上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
(12)フィラーを更に含有する、上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
(13)ソルダーレジスト用である上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の重合性組成物。
(14)固形分濃度が30質量%以上80質量%以下であり、25℃における粘度が10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にある上記(13)に記載の重合性組成物。
【0014】
(15) 上記(1)〜(14)のいずれか1項に記載の重合性組成物より形成される感光層。
(16) 上記(1)〜(14)のいずれか1項に記載の重合性組成物より形成される永久パターン。
(17) 前記永久パターンがソルダーレジスト層である上記(16)に記載の永久パターン。
(18) 前記永久パターンが赤外線遮光膜である上記(16)に記載の永久パターン。
(19) レンズと、前記レンズの周縁部に形成された上記(18)に記載の永久パターンとを有するウエハレベルレンズ。
(20) 上記(16)〜(18)のいずれか1項に記載の永久パターンを有する固体撮像素子。
(21) 一方の面に撮像素子部が形成された固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の他方の面側に設けられた赤外線遮光膜とを有する固体撮像素子であって、前記赤外線遮光膜が上記(18)に記載の永久パターンである固体撮像素子。
(22) 上記(15)に記載の感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、アルカリ現像によって、矩形の断面形状を有するとともに、耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性など)に優れたパターンを形成可能な重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供できる。
更に、本発明によれば、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できる重合性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の概略断面図である。
【図3】ウエハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。
【図4】図3に示すA−A線断面図である。
【図5】基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。
【図6】図6A〜図6Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。
【図7】図7A〜図7Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。
【図8】ウエハレベルレンズアレイの一例を示す断面図である。
【図9】図9A〜図9Cは、遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。
【図10】図10A〜図10Cは、パターン状の遮光膜を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の重合性組成物について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。また、本明細書において、粘度値は25℃における値を指す。
本発明の重合性組成物は、(A)アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物である重合開始剤、(B)重合性化合物、(C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方、及び(D)アルカリ可溶性バインダーを含有し、必要に応じ、上記化合物(C)以外の赤外線遮蔽材、分散剤、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、エラストマー、界面活性剤、その他の成分を含有してもよい。
本発明に係る重合性組成物は、例えばネガ型の組成物であり、典型的にはネガ型のレジスト組成物である。以下、この組成物の構成を説明する。
【0018】
[1](A)アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物である重合開始剤
本発明の重合性組成物に用いる重合開始剤は、アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物であり、光により重合性化合物の重合を開始する能力を有するものであるが、光重合性化合物であることが好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
【0019】
以下、本発明に好適な重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0020】
アセトフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、及び、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが挙げられる。
この中でも、α−アミノアセトフェノン系化合物が好ましく、特に2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。
α−アミノアセトフェノン系化合物の市販品としては、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)などを挙げることができる。
【0021】
アシルフォスフィンオキシド系化合物としては、具体的には、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
またアシルフォスフィンオキシド系化合物の市販品としては、IRGACURE−819、Lucirin TPO、Lucirin TPO−L、DAROCURE−TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)などを用いることができる。
【0022】
重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性組成物の全固形分質量に対する重合開始剤の含有量は、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜15質量%が特に好ましい。
【0023】
[2](B)重合性化合物
本発明の重合性組成物は、重合性化合物を含有する。ここで用いられる重合性化合物としては、酸、ラジカル、及び、熱の少なくとも1種により反応する官能基(本明細書では、このような官能基を「重合性基」と称することがある)を分子内に有する化合物であればいずれを用いてもよく、好ましくは、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物であることが好ましい。
本発明に好適に用いられる、酸、ラジカル、及び、熱の少なくともいずれかに反応する重合性の官能基を有する重合性化合物としては、不飽和エステル官能基、不飽和アミド基、ビニルエーテル基、アリル基等のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和基含有化合物;メチロール化合物、ビスマレイミド化合物、ベンゾシクロブテン化合物、ビスアリルナジイミド化合物、及びベンゾオキサジン化合物などが挙げられる。
【0024】
本発明に好ましく用いることができる重合性化合物としては、一般的なラジカル重合性化合物が挙げられ、当該産業分野においてエチレン性不飽和二重結合を有する化合物として広く知られる化合物を特に限定無く用いることができる。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル類、アミド類、及びこれらの共重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
特に、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルは、露光部において高い疎水性を発現できるので、アルカリ現像によって所望の形状を有するパターンを形成しやすく、また、耐久性の高いパターンが得られる点で好ましい(特に、ソルダーレジストで覆われる金属配線の配線密度が高い場合など、ソルダーレジストに対してより厳しい耐久性が求められる場合、上記効果は顕著である)。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
【0025】
また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0026】
不飽和カルボン酸エステルとしては、メタクリル酸エステルが好ましく、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等、及びこれらのEO変性体、PO変性体が挙げられる。
【0027】
また、不飽和カルボン酸エステルとしては、イタコン酸エステルも好ましく、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0028】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、等がある。また、これらの化合物のEO変性体、又は、PO変性体も挙げられる。
【0029】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0030】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0031】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(E)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0032】
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (E)
〔ただし、R及びRは、各々独立に、H又はCHを示す。〕
【0033】
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた重合性組成物を得ることができる。
【0034】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
【0035】
本発明において、ラジカル重合性化合物を添加する場合、硬化感度の観点から、2個以上のエチレン性不飽和結合を含有する多官能重合性化合物を用いることが好ましく、3個以上の含有することが更に好ましい。中でも(メタ)アクリル酸エステル構造を2個以上含有することが好ましく、3個以上含有することがより好ましく、4個以上含有することが最も好ましい。
また、硬化感度、及び、未露光部の現像性の観点からは、EO変性体を含有する化合物が好ましく、硬化感度、及び、露光部強度の観点からは、ウレタン結合を含む化合物も好ましく用いられる。更に、パターン形成時の現像性の観点からは、酸基を有する化合物が好ましく用いられる。
【0036】
以上の観点より、本発明における重合性化合物としては、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが好ましく挙げられ、また、市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(以上、山陽国策パルプ社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(以上、共栄社製)が好ましい。
【0037】
なかでも、ビスフェノールAジアクリレートEO変性体、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートEO変性体などが、市販品としては、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)がより好ましい。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
【0038】
その他、高耐熱性の重合性化合物として、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)、ビスアリルナジイミド(BANI)、ベンゾオキサジン、メラミン及びその類縁体などが挙げられる。
【0039】
重合性化合物の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、3質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
また、重合性化合物は2種以上を使用することが可能である。
【0040】
[3](C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方
本発明の重合性組成物は、(C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方(以下、まとめて「化合物(C)」とも言う)を含有する。
タングステン化合物及び金属ホウ化物は、赤外線(波長が約800〜1200nmの光)に対しては吸収が高く(すなわち、赤外線に対する遮光性(遮蔽性)が高く)、可視光に対しては吸収が低い赤外線遮蔽材である。よって、本発明の重合性組成物によれば、化合物(C)を含有することにより、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高いパターンを形成できる。
また、タングステン化合物及び金属ホウ化物は、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光に対しても吸収が小さい。よって、化合物(C)が、上記した特定の重合開始剤、重合性化合物及びアルカリ可溶性バインダーと組み合わされることにより、優れたパターンが得られるとともに、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できる。
【0041】
タングステン化合物としては、酸化タングステン系化合物、ホウ化タングステン系化合物、硫化タングステン系化合物などを挙げることができ、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物ことがより好ましい。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
【0042】
Mの金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられるが、アルカリ金属であることが好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
【0043】
Mはアルカリ金属であることが好ましく、Rb又はCsであることが好ましく、Csであることがより好ましい。
【0044】
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、タングステン化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
【0045】
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができ、Cs0.33WO又はRb0.33WOであることが好ましく、Cs0.33WOであることが更に好ましい。
【0046】
タングステン化合物は微粒子であることが好ましい。タングステン微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、タングステン微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、タングステン微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
【0047】
また、タングステン化合物は2種以上を使用することが可能である。
【0048】
タングステン化合物は市販品として入手可能であるが、タングステン化合物が、例えば酸化タングステン系化合物である場合、酸化タングステン系化合物は、タングステン化合物を不活性ガス雰囲気若しくは還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法により得ることができる(特許4096205号参照)。
また、酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物としても、入手可能である。
【0049】
また、金属ホウ化物としては、ホウ化ランタン(LaB)、ホウ化プラセオジウム(PrB)、ホウ化ネオジウム(NdB)、ホウ化セリウム(CeB)、ホウ化イットリウム(YB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrB、CrB)、ホウ化モリブデン(MoB、Mo、MoB)、ホウ化タングステン(W)などの1種又は2種以上を挙げることができ、ホウ化ランタン(LaB)であることがより好ましい。
【0050】
金属ホウ化物は微粒子であることが好ましい。金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、金属ホウ化物微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
【0051】
また、金属ホウ化物は2種以上を使用することが可能である。
【0052】
金属ホウ化物は市販品として入手可能であり、例えば、住友金属鉱山株式会社製のKHF−7等の金属ホウ化物微粒子の分散物としても、入手可能である。
【0053】
化合物(C)の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0054】
本発明の重合性組成物がタングステン化合物を含有する場合、タングステン化合物の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
本発明の重合性組成物が金属ホウ化物を含有する場合、金属ホウ化物の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
[4](D)アルカリ可溶性バインダー
本発明の重合性組成物は、アルカリ可溶性バインダー(アルカリ可溶性樹脂)を含有する。これにより、重合性組成物から得られる膜にパターン形成をするべく、露光を行った場合、未露光部をアルカリ現像液で除去することができ、アルカリ現像によって優れたパターンを形成できる。
【0057】
前記アルカリ可溶性バインダーとしては、アルカリ可溶性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアミド、ポリエステルなどを挙げることができ、(メタ)アクリル系樹脂、又は、ウレタン系樹脂であることが好ましい。
中でも、アルカリ可溶性バインダーは、サーマルサイクルテスト耐性(TCT耐性)を更に向上できるという観点から、ウレタン系樹脂であることがより好ましい。
アルカリ可溶性バインダーは、酸基を有することが好ましい。
前記酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、スルホンアミド基等があげられるが、原料入手の点からカルボン酸基が好ましい。
【0058】
酸基を有するアルカリ可溶性バインダーは、特に限定されないが、モノマー成分として、酸基を有する重合性化合物を用いて得られた重合体であることが好ましく、酸価の調節の観点から、酸基を有する重合性化合物と、酸基を有さない重合性化合物とを共重合することよって得られた共重合体であることがより好ましい。
【0059】
酸基を有する重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
酸基を有さない重合性化合物としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)を好適に挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルのアルキルエステル部位におけるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアリールエステル部位におけるアリール基は、炭素数6〜14のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアラルキルエステル部位におけるアラルキル基は、炭素数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアラルキル基であることがより好ましい。
【0061】
酸基を有する重合性化合物に対応するモノマーと酸基を有さない重合性化合物に対応するモノマーとのモル比は、通常、1:99〜99:1であり、30:70〜99:1であることが好ましく、50:50〜99:1であることがより好ましい。
前記酸基のアルカリ可溶性バインダーにおける含有量は、特に制限はないが、0.5meq/g〜4.0meq/gであることが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gであることがより好ましい。前記含有量が、0.5meq/g以上であることによりアルカリ現像性が十分に得られ、優れたパターンをより確実に得ることができる。前記含有量が4.0meq/g以下であることにより、永久パターンの強度が損なわれる虞れを確実に回避できる。
【0062】
アルカリ可溶性バインダーは、更に架橋性基を有することが好ましく、これにより、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができ、また、耐久性の高いパターンが得られる点で好ましい(特に、ソルダーレジストで覆われる金属配線の配線密度が高い場合など、ソルダーレジストに対してより厳しい耐久性が求められる場合、上記効果は顕著である)。ここで架橋性基とは、重合性組成物から得られた感光性層を露光又は加熱した際に感光層中で起こる重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましい。エチレン性不飽和結合基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましく、露光前の架橋性基の安定性と、永久パターンの強度との両立の観点からは、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
【0063】
アルカリ可溶性バインダーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
【0064】
アルカリ可溶性バインダー中の架橋性基の含有量は、特に制限はないが、0.5meq/g〜3.0meq/gが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gがより好ましく、1.5meq/g〜2.8meq/gが特に好ましい。前記含有量が0.5meq/g以上であることにより、硬化反応量が充分であり、高い感度が得られ、3.0meq/g以下であることにより、重合性組成物の保存安定性を高くすることができる。
ここで、前記含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
架橋性基を有するアルカリ可溶性バインダーは、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
これら架橋性基を含有するアルカリ可溶性バインダーは、酸基と架橋性基とを有するアルカリ可溶性バインダーであることが好ましく、その代表例を下記に示す。
(1)予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂。
(2)カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂。
(3)OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂。
上記のうち、特に(1)及び(2)の樹脂が好ましい。
【0065】
また、酸基と架橋性基とを有するアルカリ可溶性バインダーとしては、酸性基とエチレン性不飽和結合とを側鎖に有し、かつ、ビスフェノールA型骨格、及びビスフェノールF型骨格を有する高分子化合物や、酸性基とエチレン性不飽和結合とを有するノボラック樹脂や、レゾール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、特開平11−240930号公報段落番号〔0008〕〜〔0027〕に記載される手法により得ることができる。
【0066】
上記したように、アルカリ可溶性バインダーとしては、(メタ)アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂であることが好ましく、「(メタ)アクリル系樹脂」は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステル、など)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体を重合成分として有する共重合体であることが好ましい。「ウレタン系樹脂」は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物とヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の縮合反応により生成されるポリマーであることが好ましい。
【0067】
(メタ)アクリル系樹脂の好適な一例としては、酸基を含有する繰り返し単位を有する共重合体が挙げられる。酸基としては、上記したものを好適に挙げることができる。酸基を含有する繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位や下記一般式(I)で表されるものが好ましく用いられる。
【0068】
【化1】

【0069】
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは単結合又はn+1価の連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
【0070】
一般式(I)におけるRで表される連結基は、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群から選択される1種以上の原子から構成されることが好ましく、Rで表される連結基を構成する原子の原子数は好ましくは1〜80である。具体的には、アルキレン基、アリーレン基などが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合や、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合、エステル結合の何れかで複数連結された構造を有していてもよい。Rとしては、単結合、アルキレン基、又は、アルキレン基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びエステル結合の少なくともいずれかによって複数連結された構造であることが好ましい。
アルキレン基の炭素数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
アリーレン基の炭素数は6〜14であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
アルキレン基及びアリーレン基は、更に、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
【0071】
の炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
は、水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
nは1〜3であることが好ましく、1又は2であることが特に好ましく、1であることが最も好ましい。
【0072】
(メタ)アクリル系樹脂の全繰り返し単位成分に占める酸基を有する繰り返し単位の割合(モル%)は、現像性の観点から、10〜90%が好ましい。現像性と、永久パターンの強度の両立を考慮すると、50〜85%がより好ましく、60〜80%が特に好ましい。
【0073】
(メタ)アクリル系樹脂は、上記したように、更に架橋性基を有することが好ましく、架橋性基の具体例、及び、その含有量は前記したものと同様である。
【0074】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系重合体は、上記酸基を有する重合単位、架橋性基を有する重合単位の他に、(メタ)アクリル酸アルキル又はアラルキルエステルの重合単位、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体の重合単位、α−ヒドロキシメチルアクリレートの重合単位、スチレン誘導体の重合単位を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜8の前述の置換基を有するアルキル基であり、メチル基がより好ましい。(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−メトキシカルボニルフェニル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、モルホリノアクリルアミド等が挙げられる。α−ヒドロキシメチルアクリレートとしては、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。スチレン誘導体としては、スチレン、4−tertブチルスチレン等が挙げられる。
【0075】
「ウレタン系樹脂」は、下記一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするウレタン系樹脂であることが好ましい。
【0076】
OCN−X−NCO (1)
HO−L−OH (2)
【0077】
一般式(1)及び(2)中、X及びLは、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
【0078】
上記一般式(2)で表されるジオール化合物の少なくとも1種は、酸基を有していることが好ましい。これにより、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、酸基が導入され、アルカリ可溶性のウレタン系樹脂を好適に製造することができる。かかる方法によれば、ウレタン系樹脂の反応生成後に所望の側鎖に酸基を置換、導入するよりも、容易に、アルカリ可溶性のウレタン系樹脂を製造することができる。
【0079】
また、上記一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物、及び、上記一般式(2)で表されるジオール化合物の少なくとも一方の化合物のうち、少なくとも1種は、架橋性基を有していることが好ましい。架橋性基としては、上記したものを挙げることができる。これにより、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、架橋性基が導入され、アルカリ可溶性のウレタン系樹脂を好適に製造することができる。かかる方法によれば、ウレタン系樹脂の反応生成後に所望の側鎖に架橋性基を置換、導入するよりも、容易に、架橋性基を有するウレタン系樹脂を製造することができる。
【0080】
(1)ジイソシアネート化合物
一般式(1)中、Xは、2価の脂肪族基、芳香族炭化水素基又はそれらを組み合わせた基であることが好ましく、炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましい。2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基は、更に、イソシアネート基と反応しない置換基を有していてもよい。
【0081】
上記一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
【0082】
一般式(1)で表されるジイソシアネート化合物が架橋性基を有する場合、そのようなジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、架橋性基(例えば、エチレン不飽和結合基)を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。トリイソシアネート化合物、架橋性基を有する単官能のアルコール、及び、単官能のアミン化合物の具体例としては、特許4401262号の段落[0034]、[0035]、[0037]〜[0040]に記載のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
架橋性基を有するジイソシアネート化合物の具体例としては、特許4401262号の段落[0042]〜[0049]に記載のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
(2)ジオール化合物
上記一般式(2)で表されるジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。ポリエーテルジオール化合物としては、下記式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
【0084】
【化2】

【0085】
式(3)〜(7)中、R14は水素原子又はメチル基を表し、Xは、以下の基を表す。また、a、b、c、d、e、f、gはそれぞれ2以上の整数を表し、好ましくは2〜100の整数である。2つのdは同じであっても、異なっていてもよい。また、2つのXは同じであっても異なっていてもよい。
【0086】
【化3】

【0087】
上記式(3)、(4)で表されるポリエーテルジオール化合物としては具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
【0088】
上記式(5)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650、PTMG1000、PTMG2000、PTMG3000等である。
【0089】
上記式(6)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61、ニューポールPE−62、ニューポールPE−64、ニューポールPE−68、ニューポールPE−71、ニューポールPE−74、ニューポールPE−75、ニューポールPE−78、ニューポールPE−108、ニューポールPE−128、ニューポールPE−61等である。
【0090】
上記式(7)で表されるポリエーテルジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等である。
【0091】
末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
すなわち、三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等である。
【0092】
ポリエステルジオール化合物としては、式(8)、(9)で表される化合物が挙げられる。
【0093】
【化4】

【0094】
式(8)、(9)中、L、L及びLは、2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、Lは2価の脂肪族炭化水素基を表す。L、L及びLはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましくは、L〜Lは、それぞれアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表し、Lはアルキレン基を表す。またL〜L中にはイソシアネート基と反応しない他の結合や官能基、例えばエーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、シアノ基、オレフィン結合、ウレタン結合、アミド基、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n1、n2はそれぞれ2以上の整数であり、好ましくは2〜100の整数を表す。
ポリカーボネートジオール化合物としては、式(10)で表される化合物がある。
【0095】
【化5】

【0096】
式(10)中、Lはそれぞれ同一でも相違してもよく2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基を表す。またL中にはイソシアネート基と反応しない他の結合又は官能基、例えばエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、シアノ基、オレフィン結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレイド基又はハロゲン原子等が存在していてもよい。n3は2以上の整数であり、好ましくは2〜l00の整数を表す。
【0097】
上記式(8)、(9)又は(10)で表されるジオール化合物としては具体的には以下に示す(例示化合物No.1)〜(例示化合物No.18)が含まれる。具体例中のnは2以上の整数を表す。
【0098】
【化6】

【0099】
【化7】

【0100】
【化8】

【0101】
また、ウレタン系樹脂の合成には、上記ジオール化合物の他に、イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物を併用することもできる。このようなジオール化合物としては、例えば、以下に示すものが含まれる。
【0102】
HO−L−O−CO−L−CO−O−L−OH (11)
HO−L−CO−O−L−OH (12)
【0103】
式(11)、(12)中、L、Lはそれぞれ同一でも相違していてもよく、2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基を表す。必要に応じ、L、L中にイソシアネート基と反応しない他の結合又は官能基、例えば、カルボニル基、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレイド基などを有していてもよい。なおL、Lで環を形成してもよい。
2価の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は複素環基は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子などを挙げることができる。
【0104】
また、ジオール化合物の少なくとも1種は、上記イソシアネート基と反応しない置換基を有するジオール化合物として、酸基を有するジオール化合物であることが好ましい。酸基の具体例としては、前述したものを挙げることができるが、カルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するジオール化合物としては、例えば、以下の式(13)〜(15)に示すものが含まれる。
【0105】
【化9】

【0106】
式(13)〜(15)中、R15は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリーロキシ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基を表す。
アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基は、置換基を有してもよく、そのような置換基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲン原子、−CONH、−COOR16、−OR16、−NHCONHR16、−NHCOOR16、−NHCOR16、−OCONHR16(ここで、R16は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜15のアラルキル基を表す。)などを挙げることができる。
、L10、L11はそれぞれ同一でも相違していてもよく、単結合、2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数1〜20個のアルキレン基、炭素数6〜15個のアリーレン基、更に好ましくは炭素数1〜8個のアルキレン基を表す。
2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
また必要に応じ、L〜L11中にイソシアネート基と反応しない他の官能基、例えばカルボニル、エステル、ウレタン、アミド、ウレイド、エーテル基などを含む基を有していてもよい。なおR15、L、L、Lのうちの2又は3個で環を形成してもよい。Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を表す。
【0107】
上記式(13)〜(15)で表されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス
(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
【0108】
このようなカルボキシル基の存在により、ポリウレタン樹脂に水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。
カルボキシル基を0.5meq/g〜4.0meq/gで、より好ましくは1.0meq/g〜3.0meq/gで有するポリウレタン樹脂が、本発明のバインダーポリマーとして特に好ましい。
【0109】
一般式(2)で表されるジオール化合物が架橋性基を有する場合、ポリウレタン樹脂製造の原料として、不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。架橋性基を有するジオール化合物の具体例としては、特許4401262号の段落[0057]〜[0066]に記載のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
なお、上記化合物No.13〜17の化合物は、上記式(8)、(9)又は(10)で表されるジオール化合物に相当するとともに、架橋性基を有するジオール化合物でもある。
架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)を0.5meq/g以上、より好ましくは1.0〜3.0meq/gで有するポリウレタン樹脂が、本発明のバインダーポリマーとして特に好ましい。
【0110】
また、ウレタン系樹脂の合成には、上記ジオールの他に、下記の式(16)〜(18)で表されるテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させた化合物を併用することもできる。
【0111】
【化10】

【0112】
式(16)〜(18)中、L12は、単結合、置換基(例えばアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲノ、エステル、アミドの各基が好ましい。)を有していてもよい二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基、−CO−、−SO−、−SO−、−O−又はS−を表し、好ましくは単結合、炭素数1〜15個の二価の脂肪族炭化水素基、−CO−、−SO−、−O−又はS−を表す。
二価の脂肪族又は芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、例えばアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、エステル結合を含有する基(例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニル基など)、アミド基などを挙げることができる。
17、R18は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はハロゲノ基を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜8個のアルキル基、炭素数6〜15個のアリール基、炭素数1〜8個のアルコキシ基又はハロゲノ基を表す。
またL12、R17、R18のうちの2つが結合して環を形成してもよい。
【0113】
19、R20は同一でも相違していてもよく、水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基又はハロゲノ基を表し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8個のアルキル、又は炭素数6〜15個のアリール基を表す。
またL12、R19、R20のうちの2つが結合して環を形成してもよい。
13、L14は同一でも相違していてもよく、単結合、二重結合、又は二価の脂肪族炭化水素基を表し、好ましくは単結合、二重結合、又はメチレン基を表す。Aは単核又は多核の芳香環を表す。好ましくは炭素数6〜18個の芳香環を表す。
【0114】
上記式(16)、(17)又は(18)で表される化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、
【0115】
ヒドロキノンジアセテートとトリメット酸無水物の付加体、ジアセチルジアミンとトリメット酸無水物の付加体などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセシ−1,2−ジカルボン酸無水物(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンB−4400)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物などの脂環族テトラカルボン酸二無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0116】
これらのテトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環された化合物をポリウレタン樹脂中に導入する方法としては、例えば以下の方法がある。a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
【0117】
またこのとき開環反応に使用されるジオール化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
【0118】
以上、ウレタン系樹脂を説明したが、上記ジイソシアネート化合物及びジオール化合物を、非プロトン性溶媒中、それぞれの反応性に応じた活性の公知の触媒を添加し、加熱することにより合成される。合成に使用されるジイソシアネート及びジオール化合物のモル比(M:M)は、1:1〜1.2:1が好ましく、アルコール類又はアミン類等で処理することにより、分子量あるいは粘度といった所望の物性の生成物が、最終的にイソシアネート基が残存しない形で合成されることが好ましい。
【0119】
なお、ウレタン系樹脂は、ポリマー末端、主鎖に、架橋性基(例えば、不飽和基)を有するものも好適に使用される。ポリマー末端、主鎖に架橋性基を有することにより、更に、重合性化合物とウレタン系樹脂との間、又はウレタン系樹脂間で架橋反応性が向上し、永久パターンの強度が増す。ここで、不飽和基としては、架橋反応の起こり易さから、炭素−炭素二重結合を有することが特に好ましい。
【0120】
ポリマー末端に架橋性基を導入する方法としては、以下に示す方法がある。すなわち、前述のポリウレタン樹脂合成の工程での、ポリマー末端の残存イソシアネート基と、アルコール類又はアミン類等で処理する工程において、架橋性基を有するアルコール類又はアミン類等を用いればよい。このような化合物としては、具体的には、先に、架橋性基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物として挙げられた例示化合物と同様のものを挙げることができる。
なお、架橋性基は、導入量の制御が容易で導入量を増やすことができ、また、架橋反応効率が向上するといった観点から、ポリマー末端よりもポリマー側鎖に導入されることが好ましい。
【0121】
主鎖に架橋性基を導入する方法としては、主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物をポリウレタン樹脂の合成に用いる方法がある。主鎖方向に不飽和基を有するジオール化合物としては、具体的に以下の化合物を挙げることができる。すなわち、cis−2−ブテン−1,4−ジオール、trans−2−ブテン−1,4−ジオール、ポリブタジエンジオール等である。
【0122】
(メタ)アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂以外のアルカリ可溶性バインダーとしては、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーが、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0123】
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0124】
本発明の重合性組成物に使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは3、000以上であり、更に好ましくは5,000〜30万の範囲であり、最も好ましくは1万〜3万、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのアルカリ可溶性バインダーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0125】
アルカリ可溶性バインダーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0126】
アルカリ可溶性バインダーの含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、5質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。前記含有量が上記範囲において露光感度が良好で、加工時間が短時間で済み、かつ、良好なTCT耐性が得られる。
【0127】
[5](E)紫外線吸収剤
本発明の重合性組成物は、紫外線吸収剤(E)を含有しても良い。
【0128】
紫外線吸収剤(E)を、例えば、ソルダーレジスト用のレジスト組成物に含有させ、このレジスト組成物を、アライメントマークが表面に設けられた固体撮像素子用半導体基板の上に塗設することによって感光層を形成し、次いで、露光及び現像を行うことによってソルダーレジスト層を形成することにより、後述する「基板表面からの反射光に由来する問題」を解消すること、及び、可視光センサーによるアライメントマークの検出性を確保することを両立できるソルダーレジスト層をより確実に作成できる。
【0129】
感光層が設けられた基板の表面が、金属等の光反射性の高い材料からなる場合、感光層に対する露光の上記基板表面からの反射光が無視できなくなって、得られるパターンの断面形状が裾引き形状になりやすい傾向となる(すなわち、断面形状の矩形性が損なわれる傾向となる)。一方、上記反射光を低減するために、露光量を抑えると、この場合は、露光量が不充分で、断面が矩形状のパターンを形成しにくい。
【0130】
しかしながら、本発明の重合性組成物が、上記の紫外線吸収剤(E)を含有する場合、断面が矩形状のパターンを得るに必要な露光量(以下、「適正露光量」とも言う)を照射した場合においても、紫外線吸収剤(E)が上記反射光を吸収することにより、断面が矩形状のパターンを形成しやすい。
【0131】
紫外線吸収剤(E)は、上述の分光特性を満たすものであれば如何なる化合物も使用することが出来る。ただし、紫外線吸収剤(E)は、光や熱により重合性化合物の重合を開始する能力を持たない(すなわち、上記重合開始剤(A)には該当しない)ものを指す。ここで、「重合性化合物の重合を開始する能力を持たない」とは、実質的には、紫外線吸収剤(E)が、光や熱のエネルギーを受けても、重合性化合物の重合を開始するための活性種を発生しないことを意味する。
より具体的には、紫外線吸収剤(E)は、紫外線又は可視光線(より具体的には、波長300〜450nmの波長の光)に対して感光性を有さず、また、熱(より具体的には、例えば、150℃〜250℃の熱)に対する感熱性を有さないものが好ましい。ここで、「感光性」、「感熱性」とは、紫外線又は可視光線、あるいは、熱により、化学構造の変化を伴って目的の機能を発現することを意味する。
【0132】
更に、紫外線吸収剤(E)は、重合性化合物の重合を開始する能力を持たないのみならず、後述の増感剤の特性も持たないものが好ましい。ここで、増感剤の特性とは、自らが光を吸収して得たエネルギーを他の物質(重合開始剤)に渡すことで、重合を開始させる特性を言う。
【0133】
紫外線吸収剤(E)は、特に波長300nmから430nmの間に極大吸収波長を有するものが好ましく、中でも330nmから420nmの間に極大吸収波長を有するものが特に好ましい。
【0134】
紫外線吸収剤(E)は、より好ましくは、(I)波長340nm〜380nmの範囲、(II)波長380nm〜420nmの範囲、及び、(III)波長420nm〜450nmの範囲、のいずれか少なくとも1つの範囲に、極大吸収波長を有することが好ましい。
【0135】
本発明の重合性組成物により形成される感光層に対して露光及び現像を行ってパターンを形成する際に、露光の光源がi線を含有する場合、紫外線吸収剤(E)は、上記の波長範囲(I)に極大吸収波長を有することが好ましい。
露光の光源がh線を含有する場合、紫外線吸収剤(E)は、上記の波長範囲(II)に極大吸収波長を有することが好ましい。
露光の光源がg線を含有する場合、紫外線吸収剤(E)は、上記の波長範囲(III)に極大吸収波長を有することが好ましい。
【0136】
紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を使用することができる。
【0137】
サリシレート系紫外線吸収剤の例としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどが挙げられ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0138】
置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤の例としては、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。更に、トリアジン系紫外線吸収剤の例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロピルオキシフェニル)−6−(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンなどのトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物等が挙げられる。
【0139】
紫外線吸収剤は、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
【0140】
【化11】

【0141】
式中、R61及びR62は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は互いに連結して5又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。また、R61及びR62のいずれかが窒素原子の隣のメチン基と結合して、5又は6員環を形成してもよい。X61及びY61は、各々独立に、シアノ基、−COOR63、−CONR6364、−COR63、−SO63、又は−SO6364であり、R63及びR64は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。X61とY61とは互いに連結して5又は6員環を形成してもよい。また、R61、R62、X61及びY61のいずれか一つが、一般式(A)で表される他の化合物におけるR61、R62、X61及びY61のいずれか一つと結合して、二量体を形成してもよい。
【0142】
【化12】

【0143】
本発明においては、前記各種の紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の重合性組成物は、紫外線吸収剤(E)を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.3質量%以下であることがより好ましい。
【0144】
[6]タングステン化合物及び金属ホウ化物以外の赤外線遮蔽材
本発明の重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、タングステン化合物及び金属ホウ化物以外の赤外線遮蔽材(以下、「その他の赤外線遮蔽材」とも言う)を含有してもよい。その他の赤外線遮蔽材としては、波長800〜1200nmに吸収を有する化合物であり、かつ、露光に用いられる光の透過性が良好であることが好ましく、そのような観点から、その他の赤外線遮蔽材は、赤外線吸収染料、及び、赤外線吸収性無機顔料から選択されることが好ましい。
赤外線吸収染料としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、インモニウム色素、アミノウム色素、キノリウム色素、ピリリウム色素、Ni錯体色素などの金属錯体色素などが挙げられることができる。
赤外線遮蔽材として使用しうる色素は市販品としても入手可能であり、例えば、以下の市販色素が好適に挙げられる。
FEW Chemicals社製 S0345,S0389,S0450,S0253,S0322,S0585,S0402,S0337,S0391,S0094,S0325,S0260,S0229,S0447,S0378,S0306,S0484
American Dye Source, Inc.製 ADS795WS,ADS805WS,ADS819WS,ADS820WS,ADS823WS,ADS830WS,ADS850WS,ADS845MC,ADS870MC,ADS880MC,ADS890MC,ADS920MC,ADS990MC,ADS805PI,ADSW805PP,ADS810CO,ADS813MT,ADS815EI,ADS816EI,ADS818HT,ADS819MT,ADS819MT,ADS821NH,ADS822MT,ADS838MT,ADS840MT,ADS905AM,ADS956BP,ADS1040P,ADS1040T,ADS1045P,ADS1040P,ADS1050P,ADS1065A,ADS1065P,ADS1100T,ADS1120F
【0145】
山本化成株式会社製 YKR−4010,YKR−3030,YKR−3070,MIR−327,MIR−371,SIR−159,PA−1005,MIR−369,MIR−379,SIR−128,PA−1006,YKR−2080,MIR−370,YKR−3040,YKR−3081,SIR−130,MIR−362,YKR−3080,SIR−132,PA−1001
林原生物化学研究所製 NK−123,NK−124,NK−1144,NK−2204,NK−2268,NK−3027,NKX−113,NKX−1199,NK−2674,NK−3508,NKX−114,NK−2545,NK−3555,NK−3509,NK−3519
【0146】
これら色素のなかでも、耐熱性の観点から、フタロシアニン色素及び金属錯体色素が好ましい。
これらの染料は、単独で使用してもよいが、波長800〜1200nmにおける良好な遮光性を発現させる目的で、これらのうち目的に応じた2種以上を混合して使用してもよい。
【0147】
その他の赤外線遮光材として使用できる赤外線吸収性の無機顔料としては、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク等が挙げられ、更に、黒色顔料として、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物或いはそれらの混合物などを用いることができる。
黒色顔料としては、波長800〜1200nmの赤外領域での遮蔽性が良好であることから、窒化チタンを含有する黒色顔料であるチタンブラックが好ましい。
チタンブラックは、公知の手法により得ることができ、また、市販品としては、例えば、石原産業株式会社製、赤穂化成株式会社製、株式会社ジェムコ社製、三菱マテリアル株式会社製、及び、三菱マテリアル電子化成株式会社製のチタンブラックを使用してもよい。
【0148】
チタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子を指す。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子としては、分散性向上、凝集性抑制などの目的で、必要に応じ、表面を修飾した粒子を用いてもよい。
表面修飾法としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び、酸化ジルコニウムから選択される1種以上により表面を被覆する方法が挙げられ、また、特開2007−302836号公報の段落番号〔0010〕〜〔0027〕に示されるような撥水性物質により表面処理してもよい。
【0149】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを、水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
チタンブラックの粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3〜2000nmであることが好ましく、更に好ましくは10〜500nmである。
チタンブラックの比表面積は、とくに限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5〜150m/g程度、特に20〜100m/g程度であることが好ましい。
【0151】
その他の赤外線遮蔽材として用いられる無機顔料の粒径は、平均粒径が3nmから0.01mmであることが好ましく、分散性、遮光性、経時での沈降性の観点から平均粒径が10nm〜1μmであることが好ましい。
【0152】
重合性組成物は、その他の赤外線遮蔽材を含有してもしなくても良いが、含有する場合、その他の赤外線遮蔽材の含有量は、上記化合物(C)の質量に対して、5質量%以上75質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0153】
[7]分散剤
本発明において、上記化合物(C)が特に微粒子である場合(すなわち、タングステン化合物が特にタングステン微粒子である場合であり、金属ホウ化物が特に金属ホウ化物微粒子である場合)、化合物(C)の重合性組成物中での分散性、分散安定性向上を目的として、公知の分散剤により分散して用いてもよい。
分散剤としては、例えば、公知の分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
【0154】
具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004,W005,W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46,EFKA−47,EFKA−47EA,EFKAポリマー100,EFKAポリマー400,EFKAポリマー401,EFKAポリマー450(いずれもBASFジャパン社製);ソルスパース3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108,L121,P−123((株)ADEKA製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端若しくは側鎖に極性基を有するオリゴマー若しくはポリマーが挙げられる。
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
【0155】
以下に、本発明において好ましく用いられる特開2010−106268公報に記載される分散樹脂について説明する。
好ましい分散樹脂は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である。
【0156】
【化13】

【0157】
〔式(1)〜式(5)中、X、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、Y、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、水素原子又は1価の有機基を表し、共重合体中に構造の異なるRが存在していてもよい。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数を表す。j及びkはそれぞれ独立に2〜8の整数である。〕
なかでも、前記式(1)で示される、側鎖にポリエステル鎖を有する化合物が好ましい。これらの代表的なものは、特開2010−106268公報段落番号〔0046〕〜〔0078〕に記載の例示化合物1〜例示化合物71が本発明においても分散剤として好適に使用しうる。
なお、以下に、本発明に好適な分散剤として例示化合物1〜例示化合物50を記載するが、本発明はこれらに制限されない。下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値(主鎖繰り返し単位に併記される数値)は、当該構造単位の含有量〔質量%:(wt%)と記載〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、当該繰り返し部位の繰り返し数を示す。
【0158】
【化14】

【0159】
【化15】

【0160】
【化16】

【0161】
【化17】

【0162】
【化18】

【0163】
【化19】

【0164】
【化20】

【0165】
【化21】

【0166】
【化22】

【0167】
【化23】

【0168】
【化24】

【0169】
【化25】

【0170】
【化26】

【0171】
【化27】

【0172】
【化28】

【0173】
【化29】

【0174】
【化30】

【0175】
【化31】

【0176】
分散性、現像性、沈降性の観点から、前記側鎖にポリエステル鎖を有する樹脂が好ましく、また、分散性と解像性の観点からは、更に酸基を有する樹脂が好ましい。好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸由来の酸基が好ましい。
分散溶液への溶解性、分散性、現像性の観点から最も好ましくは、ポリエステル鎖がポリカプロラクトン側鎖であり、カルボン酸基を有する樹脂が好ましい。
【0177】
また、分散剤として、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤を用いることもできる。
【0178】
分散剤を用いる場合には、まず、化合物(C)(及び必要に応じて上記したその他の赤外線遮蔽材)と分散剤と、適切な溶剤により分散組成物を調製した後、重合性組成物に配合することが分散性向上の観点から好ましい。
重合組成物は、分散剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、分散組成物中における分散剤の含有量としては、分散組成物中の化合物(C)の全固形分質量に対して、あるいは、その他の赤外線遮蔽材を使用する場合であって、その他の赤外線遮蔽材として赤外線吸収性無機顔料を使用する場合には、化合物(C)と当該赤外線吸収性無機顔料との全固形分質量の和に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
【0179】
[8]増感剤
本発明の重合性組成物は、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、かつ波長300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
【0180】
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ波長330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族系化合物(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン系化合物(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン系化合物(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、アクリドン系化合物(例えば アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、10−n−ブチル−2−クロロアクリドン)、シアニン系化合物(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン系化合物(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン系化合物、チアジン系化合物(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン系化合物(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン系化合物(例えば、アントラキノン)、スクアリウム系化合物(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン系化合物(例えば、クマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン系化合物、フェナジン系化合物、スチリルベンゼン系化合物、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン系化合物、カルバゾール系化合物、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
中でも、増感剤は、チオキサントン系化合物、アクリドン系化合物及びクマリン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの増感剤が、前記重合開始剤と組み合わされることにより、高い感度をより確実に得ることができる。
重合性組成物は、増感剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、増感剤の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
【0181】
[9]架橋剤
本発明の重合性組成物は、永久パターンの強度を向上させる目的で、更に、架橋剤を含有していても良い。
架橋剤は、架橋性基を有する化合物であれば特に限定されず、このような化合物は、架橋性基を2個以上で有することが好ましい。架橋性基の具体例としては、オキセタン基、シアネート基、及び、アルカリ可溶性バインダーが有していてもよい架橋性基について挙げたものと同様の基を好適に挙げることができ、中でも、エポキシ基、オキセタン基又はシアネート基であることが好ましい。すなわち、架橋剤は、特にエポキシ化合物、オキセタン化合物又はシアネート化合物が好ましい。
本発明において架橋剤として好適に用いうるエポキシ化合物としては、例えば、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物などが挙げられる。
【0182】
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ化合物(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ化合物(「TEPIC;日産化学工業株式会社製」、「アラルダイトPT810;BASFジャパン社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾ−ルノボラック型エポキシ化合物、ハロゲン化エポキシ化合物(例えば低臭素化エポキシ化合物、高ハロゲン化エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物、ジフェニルジメタノール型エポキシ化合物、フェノールビフェニレン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業株式会社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ化合物(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ化合物(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
【0183】
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300,GT−400,ZEHPE3150;ダイセル化学工業株式会社製」等、)、イミド型脂環式エポキシ化合物、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、テトラフェニロールエタン型エポキシ化合物、グリシジルフタレート化合物、テトラグリシジルキシレノイルエタン化合物、ナフタレン基含有エポキシ化合物(ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、4官能ナフタレン型エポキシ化合物、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学株式会社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業株式会社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ化合物、環状含リン構造を有するエポキシ化合物、α−メチルスチルベン型液晶エポキシ化合物、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ化合物、アゾフェニル型液晶エポキシ化合物、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ化合物、ビナフチル型液晶エポキシ化合物、アジン型エポキシ化合物、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ化合物(「CP−50S,CP−50M;日本油脂株式会社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ化合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0184】
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることができ、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0185】
前記オキセタン化合物としては、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン樹脂が挙げられる。
具体的には、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する化合物など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
前記ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、などが挙げられる。
【0186】
前記シアネート化合物としては、例えば、ビスA型シアネート化合物、ビスF型シアネート化合物、クレゾールノボラック型シアネート化合物、フェノールノボラック型シアネート化合物、などが挙げられる。
【0187】
重合性組成物は、架橋剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、架橋剤の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0188】
[10]硬化促進剤
本発明の重合性組成物は、前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物等の架橋剤の熱硬化を促進することを目的に、更に、硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合性組成物は、硬化促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化促進剤の前記重合性組成物の全固形分に対する含有量は、通常0.01〜15質量%である。
【0189】
[11]フィラー
本発明の重合性組成物には、更にフィラーを含んでもよい。本発明に用い得るフィラーとしては、シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカが挙げられる。
本発明の重合性組成物がフィラーを含有することにより、耐久性の高いパターンが得られる点で好ましい(特に、ソルダーレジストで覆われる金属配線の配線密度が高い場合など、ソルダーレジストに対してより厳しい耐久性が求められる場合、上記効果は顕著である)。
シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカを用いることにより、重合性組成物のサーマルサイクルテスト耐性、保存安定性が向上し、例えば、サーマルサイクルテストの如き厳しい雰囲気を経た後も、パターン形成直後と同様な良好な形状を維持することが可能となる。
【0190】
なお、球状フィラーにおける「球状」とは、粒子形状が、針状、柱状、不定形ではなく、丸みを帯びていればよく、必ずしも「真球状」である必要はないが、代表的な「球状」の形態としては「真球状」が挙げられる。
前記フィラーが球状であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、確認することができる。
【0191】
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜3μmが好ましく、0.1μm〜1μmがより好ましい。前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径が上記範囲において、チクソトロピー性の発現による加工性の低下が抑制され、かつ、最大粒子径が大きくなることもないために、得られる硬化膜における異物の付着や塗膜の不均一に起因する欠陥の発生が抑制されることから有利である。
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
前記フィラーは前述の分散剤、バインダーを用いることにより分散することができる。前記したように、硬化性の観点から、側鎖に架橋性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーが特に好ましい。
【0192】
−表面処理−
次に、フィラーの表面処理について説明する。フィラーの表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤によりシリカを被覆する処理が好ましい。
【0193】
−シランカップリング剤−
フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「「第1官能基」とも称する。」と、(メタ)アクリロイル基、アミノ基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「第2官能基」とも称する。)が好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基がより好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基がより好ましい。前記第2官能基が(メタ)アクリロイル基であると、保存安定性やTCT耐性の点で、有利である。
【0194】
また、特公平7−68256号公報に記載される、第1官能基として、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種と、第2官能基として、イミダゾール基、アルキルイミダゾール基、及びビニルイミダゾール基から選択される少なくとも1種とを有するものも同様に好ましく用いることができる。
【0195】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、特公平7−68256号公報に記載されるα−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、4−ビニル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチルイミダゾプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの塩、分子内縮合物、分子間縮合物等が好適に挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0196】
前記シランカップリング剤による球状のシリカの表面処理は、該球状のシリカのみに対して予め行なってもよいし(この場合を以下「前処理」とも称す。)、重合性組成物に含まれる他のフィラーの一部又は全部と合わせて行ってもよい。
前処理を行う方法としては、特に制限はなく、例えば、乾式法、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。前処理を行なう温度は、特に制限はないが、常温〜200℃が好ましい。
前処理を行なう際には触媒を加えることも好ましい。この触媒としては、特に制限はなく、例えば、酸、塩基、金属化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
【0197】
前処理を行なう場合のシランカップリング剤の添加量は、特に制限はないが、球状のシリカ100質量部に対し、0.01質量部〜50質量部の範囲が好ましく、0.05質量部〜50質量部の範囲がより好ましい。前記添加量が上記範囲において、効果を発現するに十分な表面処理が行われ、かつ、処理後の球状のシリカの凝集に起因する取り扱い性の低下が抑制される。
【0198】
前記シランカップリング剤は、前記第1官能基が、基材表面、球状のシリカ表面、及びバインダーの活性基と反応し、更に前記第2官能基が、バインダーのカルボキシル基及びエチレン性不飽和基と反応するために、基材と感光層との密着性を向上させる作用がある。一方、前記シランカップリング剤は反応性が高いため、そのものを重合性組成物中に添加した場合には、拡散作用により、保存中に主に第2官能基が反応乃至失活してしまい、シェルフライフやポットライフが短くなることがある。
【0199】
しかし、上述したように前記球状のシリカをシランカップリング剤で前処理したものを用いれば、拡散作用が抑制されることにより、シェルフライフやポットライフの問題が大幅に改善され、一液型とすることも可能になる。更に、球状のシリカに対して前処理を施す場合には、攪拌条件、温度条件、及び触媒の使用といった条件が自由に選べるため、前処理を行わずに添加する場合に比べてシランカップリング剤の第1官能基と球状のシリカ中の活性基との反応率を著しく高めることができる。したがって、特に無電解金メッキ、無電解半田メッキ、耐湿負荷試験といった苛酷な要求特性において非常に良好な結果が得られる。また、前記前処理を行うことでシランカップリング剤の使用量を少なくすることができ、シェルフライフ及びポットライフを更に改善できる。
本発明で用いることができるシランカップリング剤で表面処理された球状のシリカとしては、例えば、電気化学工業:FB、SFPシリーズ、龍森:1−FX、東亜合成:HSPシリーズ、扶桑化学工業:SPシリーズなどが挙げられる。
【0200】
重合性組成物は、フィラーを含有してもしなくても良いが、含有する場合、重合性組成物の全固形分質量に対するフィラーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜60質量%が好ましい。添加量が上記範囲において、十分な線膨張係数の低下が達成され、かつ、形成された硬化膜の脆化が抑制され、永久パターンを用いて配線を形成した場合の配線の保護膜としての機能が十分に発現される。
【0201】
[12]エラストマー
本発明の重合性組成物には、更に、エラストマーを含んでいてもよい。
エラストマーを含有させることにより、重合性組成物をソルダーレジストに用いた際のプリント配線板の導体層との密着性をより向上させることができるとともに、硬化膜の耐熱性、耐熱衝撃性、柔軟性及び強靭性をより向上させることができる。
【0202】
本発明に用いうるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。これらの中でも、ポリエステル系エラストマーが、その他素材との相溶性の点で、有利である。
【0203】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、(株)ADEKA製)、エラストマーAR(アロン化成製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、JSR(株)製)、デンカSTR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ社製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業社製)等が挙げられる。
【0204】
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンとの共重合体、及び、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR等が挙げられる。更に、オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0205】
オレフィン系エラストマーの具体例としては、ミラストマ(三井石油化学社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(JSR(株)製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(JSR(株)製)、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(JSR(株)製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンの“BF−1000”(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0206】
ウレタン系エラストマーは、低分子(短鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、の構造単位からなるものである。高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−へキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましい。低分子(短鎖)ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が挙げられる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。ウレタン系エラストマーの具体例としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、大日本インキ化学工業社製)、シラクトランE790等が挙げられる。
【0207】
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものである。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香環の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。ジオール化合物の具体例として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの種類、比率、並びに分子量の違い等により様々なグレードのものがある。ポリエステル系エラストマーの具体例としては、ハイトレル(デュポン−東レ社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、エスペル(日立化成工業社製)等が挙げられる。
【0208】
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルからなるソフトセグメントと、から構成されるものであり、ポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型との2種類に大別される。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が挙げられる。ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリアミド系エラストマーとして具体的には、UBEポリアミドエラストマー(宇部興産社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)、PEBAX(東レ社製)、グリロンELY(エムスジャパン社製)、ノバミッド(三菱化学社製)、グリラックス(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0209】
アクリル系エラストマーは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるものである。アクリル系エラストマーとしては、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0210】
シリコーン系エラストマーは、オルガノポリシロキサンを主成分としたものであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。また、オルガノポリシロキサンの一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものを用いてもよい。シリコーン系エラストマーの具体例としては、KEシリーズ(信越化学社製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0211】
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるものである。
【0212】
エラストマーの中でも、せん断密着性及び耐熱衝撃性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル系エラストマーである水酸基を有するエスペル(エスペル1612、1620、日立化成工業社製)、エポキシ化ポブタジエンが好ましい。
【0213】
本発明の重合性組成物は、エラストマーを含有してもしなくてもよいが、含有する場合、重合性組成物の全固形分質量に対するエラストマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分中の0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、3質量%〜8質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、せん断接着性及び耐熱衝撃性を更に向上させることが可能となる点で、有利である。
【0214】
[13]界面活性剤
本発明の重合性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0215】
特に、本発明の重合性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する重合性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0216】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、重合性組成物中における溶解性も良好である。
【0217】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0218】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0219】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0220】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0221】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
重合性組成物は、界面活性剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、界面活性剤の含有量は、本発明の重合性組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
【0222】
[14]その他の成分
本発明の重合性組成物には、前記必須成分や前記好ましい添加剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を適宜選択して用いてもよい。
併用可能なその他の成分としては、例えば、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするソルダーレジストの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に詳細に記載されている。
前記着色剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕や特開2009−205029号公報の段落〔0038〕,〔0039〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されている。
これら公報に記載の添加剤は、いずれも本発明の重合性組成物に使用可能である。
【0223】
このようにして得られた本発明の重合性組成物は、固形分濃度は5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上80質量%以下、最も好ましくは40質量%以上60質量%である。
本発明の重合性組成物の用途は、特に限定されないが、ソルダーレジスト用、固体撮像素子におけるシリコン基板の裏面に対する遮光膜用、ウエハーレベルレンズに対する遮光膜用などを挙げることができ、ソルダーレジスト用であることが好ましい。
本発明の重合性組成物が、ソルダーレジスト用である場合、比較的厚みの大きい塗膜を形成するために、固形分濃度は30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上70質量%以下、最も好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
また、本発明の重合性組成物の粘度は、1mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10mPa・s以上2000mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、100mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲である。
本発明の重合性組成物が、ソルダーレジスト用である場合、厚膜形成性と均一塗布性の観点から、10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、500mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、700mPa・s以上1400mPa・s以下の範囲である。
【0224】
本発明は、上記した本発明の重合性組成物より形成される感光層にも関する。このような感光性層は、本発明の重合性組成物より形成されているので、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、所望の形状を有するとともに、耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性など)に優れたパターンを形成可能な感光層である。また、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できる感光層である。
更に、本発明は、上記した本発明の重合性組成物より形成される永久パターンにも関する。本発明の永久パターンは、本発明の重合性組成物より形成された感光層に対して、露光及びアルカリ現像を行うことにより得られるものであり、本発明の重合性組成物を使用していることによって、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、かつ、所望の形状を有するとともに、耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性など)に優れたパターンである。また、銅表面上において、現像残渣が抑制されたパターンである。
更に、本発明は、本発明の重合性組成物を用いて感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法にも関する。
【0225】
以下、本発明の重合性組成物を用いてパターン状のソルダーレジストを例にとって、永久パターンを形成する方法について詳述する。しかしながら、以下の塗布液調製用の溶剤の種類や使用量、塗布液の塗布方法、感光層の厚み、露光工程やその他の工程などに関する説明は、ソルダーレジスト用途に限った内容ではない。なお、ここでは、重合性組成物を用いて感光層(重合性組成物層)を形成する場合を例に挙げる。
【0226】
−感光層−
パターン状のソルダーレジスト(ソルダーレジストパターン)を形成するには、まず、前記本発明の重合性組成物により感光層を形成する。感光層は、前記重合性組成物を含んで形成される層であれば、特に制限はなく、膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。
【0227】
前記感光層の形成方法としては、支持体上に、本発明の前記重合性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させてなる塗布液を調製し、該塗布液を直接塗布し、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
【0228】
塗布液調製用の溶剤には、特に制限はなく、前記本発明の重合性組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0229】
塗布液を支持体上に塗布する方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、塗布する方法が挙げられる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0230】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
【0231】
(ソルダーレジストパターン形成方法)
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物を用いてソルダーレジスト永久パターンを形成する方法は、露光工程を少なくとも含み、更に、通常は、必要に応じて適宜条件を選択した現像工程、及び、その他の工程を含む。なお、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、i線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
【0232】
<露光工程>
露光工程では、前記重合性組成物層により形成された感光性層を、マスクを介して露光する工程であり、本工程により、光照射された領域のみが硬化される。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5mJ/cm〜3000mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましく、50mJ/cm〜1000mJ/cmが最も好ましい。
【0233】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
【0234】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残ってパターン状の遮光性を有するソルダーレジストが形成される。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常、20℃〜40℃であり、現像時間は10秒〜180秒である。
【0235】
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が、一般的には0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0236】
<硬化処理工程>
前記硬化処理工程は、必要に応じ、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、永久パターンの機械的強度が向上する。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0237】
全面露光処理の方法としては、例えば、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。全面露光により、感光層を形成する重合性組成物中の重合成分の硬化が促進され、前記永久パターンの硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0238】
また、全面加熱処理の方法としては、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。該加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記重合性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0239】
このようにして形成されたパターン状のレジストは優れた赤外線遮蔽性を有するため、その応用範囲は広い。本発明の重合性組成物は、赤外域における遮蔽性と紫外域〜可視域における光透過性に優れるため、優れた形状を有するパターンが形成され、かつ、形成されたパターンは(硬化膜)は、優れた赤外線遮蔽性を有するために、赤外域まで感度を有するフォトダーオードを有するデバイス、特に、固体撮像素子用のソルダーレジスト形成に有用である。
【0240】
上記したように、本発明の重合性組成物は、ソルダーレジストのみならず、固体撮像素子におけるシリコン基板の裏面に対する遮光膜や、ウエハーレベルレンズに対する遮光膜の形成にも有用である。
【0241】
このように、本発明は、本発明の重合性組成物より形成される永久パターンを有する固体撮像素子にも関する。
【0242】
以下、本発明の実施形態に係る固体撮像素子を、図1及び図2を参照しながら説明するが、本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
なお、図1及び図2にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」及び「上側」は、シリコン基板10から見て遠い側を指し、「下」、「下方」及び「下側」は、はシリコン基板10に近い側を指す。
【0243】
図1は、前記一実施形態の具体例に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図1に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板100と、固体撮像素子基板100の第1の主面側上方に配置されるガラス基板30(光透過性基板)と、ガラス基板30の上方に配置される赤外線カットフィルタ42と、ガラス基板30及び赤外線カットフィルタ42の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子基板100及びガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤20、41、43、45により接着されている。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、赤外線カットフィルタ42、ガラス基板30を順次透過した後、固体撮像素子基板100の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール200は、固体撮像素子基板100の第2の主面側で、ハンダボール60(接続材料)を介して回路基板70に接続されている。
【0244】
図2は、図1中の固体撮像素子基板100を拡大した断面図である。
固体撮像素子基板100は、基体であるシリコン基板10、撮像素子12、層間絶縁膜13、ベース層14、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B、オーバーコート16、マイクロレンズ17、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダレジスト層24、内部電極26、及び素子面電極27を備えて構成されている。
但し、ソルダレジスト層24は省略されていてもよい。
【0245】
まず、固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成を中心に説明する。
図2に示すように、固体撮像素子基板100の基体であるシリコン基板10の第1の主面側に、CCDやCMOS等の撮像素子12が2次元に複数配列された撮像素子部が設けられている。
撮像素子部における撮像素子12上には層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13上にはベース層14が形成されている。更にベース層14上には、撮像素子12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)がそれぞれ配置されている。
赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15Bの境界部、及び撮像素子部の周辺には、図示しない遮光膜が設けられていてもよい。この遮光膜は、例えば、公知のブラックのカラーレジストを用いて作製できる。
カラーフィルタ15上にはオーバーコート16が形成され、オーバーコート16上には撮像素子12(カラーフィルタ15)に対応するようにマイクロレンズ17が形成されている。
【0246】
また、第1の主面側の撮像素子部の周辺は、周辺回路(不図示)及び内部電極26が設けられており、内部電極26は、周辺回路を介して撮像素子12と電気的に接続されている。
更に、内部電極26上には、層間絶縁膜13を介して素子面電極27が形成されている。内部電極26と素子面電極27間の層間絶縁膜13内には、これら電極間を電気的に接続するコンタクトプラグ(不図示)が形成されている。素子面電極27は、コンタクトプラグ、内部電極26を介して電圧の印加及び信号の読み出しなどに使用される。
素子面電極27上には、ベース層14が形成されている。ベース層14上にはオーバーコート16が形成されている。素子面電極27上に形成されたベース層14及びオーバーコート16が開口されて、パッド開口部が形成され、素子面電極27の一部が露出している。
【0247】
以上が固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成である。
固体撮像素子基板100の第1の主面側において、撮像素子部の周辺には接着剤20が設けられ、この接着剤20を介し、固体撮像素子基板100とガラス基板30とが接着される。
【0248】
また、シリコン基板10は、該シリコン基板10を貫通する貫通孔を有しており、貫通孔内には、金属電極23の一部である貫通電極が備えられている。この貫通電極により、撮像素子部と回路基板70とが電気的に接続されている。
【0249】
次に、固体撮像素子基板100の第2の主面側の構成を中心に説明する。
該第2の主面側には、第2の主面上から貫通孔の内壁にわたり絶縁膜22が形成されている。
絶縁膜22上には、シリコン基板10の第2の主面上の領域から貫通孔の内部に至るようにパターニングされた金属電極23が設けられている。金属電極23は、固体撮像素子基板100中の撮像素子部と回路基板70との接続用の電極である。
前記貫通電極は、この金属電極23のうち、貫通孔の内部に形成された部分である。貫通電極は、シリコン基板10及び層間絶縁膜の一部を貫通して内部電極26の下側に至り、該内部電極26に電気的に接続されている。
【0250】
更に、第2の主面側には、金属電極23が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部を露出する開口部を有するソルダレジスト層24(保護絶縁膜)が設けられている。
更に、第2の主面側には、ソルダレジスト層24が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部が露出する開口部を有する遮光膜18が設けられている。
この構成において、(1)遮光膜18とソルダレジスト層24とが単一層となった遮光性ソルダレジスト層が、本発明の重合性組成物から形成されてもよいし、あるいは、(2)遮光膜18とソルダレジスト層24とが別層であるとともに、遮光膜18が本発明の重合性組成物から形成されてもよい(この場合、ソルダレジスト層は公知のソルダレジスト用組成物から形成されてもよい)。
なお、図2では、遮光膜18は、金属電極23の1部を覆い、残りの部分を露出させるようにパターニングされているが、金属電極23の全部を露出させるようにパターニングされていてもよい(ソルダレジスト層24のパターニングについても同様である)。
また、ソルダレジスト層24は省略されていてもよく、金属電極23が形成された第2の主面上に、遮光膜18が直接形成されていてもよい。
【0251】
露出された金属電極23上には、接続部材としてのハンダボール60が設けられ、このハンダボール60を介し、固体撮像素子基板100の金属電極23と、回路基板70の不図示の接続用電極と、が電気的に接続される。
【0252】
以上、固体撮像素子基板100の構成について説明したが、固体撮像素子基板100のうち遮光膜18以外の各部は、特開2009−158863号公報中段落0033〜0068に記載の方法や、特開2009−99591号公報中段落0036〜0065に記載の方法など、公知の方法により形成できる。
遮光膜18の形成は、既述の本発明の遮光膜の製造方法によって形成できる。
層間絶縁膜13は、例えば、スパッタやCVD(Chemical vapor deposition)等によりSiO膜又はSiN膜として形成する。
カラーフィルタ15は、例えば、公知のカラーレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
オーバーコート16及びベース層14は、例えば、公知の有機層間膜形成用レジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
マイクロレンズ17は、例えば、スチレン系樹脂等を用い、フォトリソグラフィー等により形成する。
ソルダレジスト層24が遮光膜18と組み合わされて単一層の遮光性ソルダレジスト層を形成する場合においては、その層は、本発明の重合性組成物により形成するのが好ましい。
一方、ソルダレジスト層24が遮光膜18と別層である場合には、ソルダレジスト層24は、例えばフェノール系樹脂、あるいはポリイミド系樹脂、アミン系樹脂を含む公知のソルダレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成されることが好ましい。
ハンダボール60は、例えば、Sn−Pb(共晶)、95Pb−Sn(高鉛高融点半田)、Pbフリー半田として、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cuなどを用いて形成する。ハンダボール60は、例えば、直径100μm〜1000μm(好ましくは直径150μm〜700μm)の球状に形成する。
内部電極26及び素子面電極27は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、又はフォトリソグラフィー及びエッチングにより、Cu等の金属電極として形成する。
金属電極23は、例えば、スパッタ、フォトリソグラフィー、エッチング、及び電解めっきにより、Cu、Au、Al、Ni、W、Pt、Mo、Cu化合物、W化合物、Mo化合物等の金属電極として形成する。金属電極23は、単層構成でも2層以上からなる積層構成であってもよい。金属電極23の膜厚は、例えば、0.1μm〜20μm(好ましくは0.1μm〜10μm)とする。シリコン基板10としては特に限定されないが、基板裏面を削ることによって薄くしたシリコン基板を用いることができる。基板の厚さは限定されないが、例えば、厚み20μm〜200μm(好ましくは30〜150μm)のシリコンウエハーを用いる。
シリコン基板10の貫通孔は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)により形成する。
【0253】
以上、前記一実施形態の具体例である固体撮像素子基板100について図1及び図2を参照して説明したが、前記一実施形態は図1及び図2の形態に限られず、裏面側に金属電極及び遮光膜を有する構成であれば、その構成に特に限定はない。
【0254】
次に、本発明の重合性組成物から得られる永久パターンをウエハレベルレンズの遮光膜に適用した例を、図面を参照しながら説明する。
【0255】
図3は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図3に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板410と、該基板410に配列されたレンズ412と、を備えている。ここで、図3では、複数のレンズ412は、基板410に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
また、図4は、図3に示すA−A線断面図である。
図4に示すように、ウエハレベルレンズアレイにおいて、基板410に配列された複数のレンズ412の間には、レンズ412以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜414が設けられている。
ウエハレベルレンズは、基板410上に存在する1つのレンズ412とその周縁部に設けられた遮光膜414により構成される。本発明の重合性組成物は、この遮光膜414の形成に用いられる。
【0256】
以下、図3のように、複数のレンズ412が、基板410に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
【0257】
レンズ412は、一般的には、基板410と同じ材料から構成され、該基板410上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0258】
レンズ412を形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0259】
レンズ412を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易かつ安価に形成するのに適している。
【0260】
その場合、レンズ412の形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
このようなエネルギー硬化性の樹脂は、公知のものをいずれも使用することができるが、撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
【0261】
以下、図5〜図10を参照して、ウエハレベルレンズの形態及び作製について、ウエハレベルレンズアレイの作製方法の例にとり、具体的に説明する。
【0262】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
−レンズの形成−
まず、図5及び図6(A)〜(C)を参照して、基板410上にレンズ412を形成する方法について説明する。
ここで、図5は、基板410に、レンズ形成用の樹脂組成物である成形材料(図5中にMと記載)を供給している状態を示す図である。
また、図6(A)〜(C)は、基板410にレンズ412を型460で成形する手順を示す図である。
【0263】
図5に示すように、基板410のレンズ412を成形する部位にディスペンサ450を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ412に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0264】
基板410に成形材料Mを供給した後、基板410の成形材料Mを供給された面側に、図6(A)に示すように、レンズ412を成形するための型460を配置する。
ここで、型460には、レンズ412の形状を転写するための凹部462が、所望のレンズ412の数に応じて設けられている。
【0265】
図6(B)に示すように、型460を基板410上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部462の形状に倣って変形させる。そして、型460を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には、型460の外側から熱又は紫外線を照射して、成形材料Mを硬化させる。
【0266】
成形材料Mを硬化させた後、図6(C)に示すように、型460から基板410及びレンズ412を離型する。
【0267】
−遮光膜の形成−
次に、図7(A)〜(C)を参照して、レンズ412の周縁部に遮光膜414を形成する方法について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、レンズ412が成形された基板410に遮光膜414を設ける工程を示す概略断面図である。
【0268】
遮光膜414の形成方法は、基板410上に、本発明の重合性組成物を塗布して遮光性塗布層414Aを形成する遮光性塗布層形成工程(図7(A)参照。)と、該遮光性塗布層414Aを、マスク470を介してパターン露光する露光工程(図7(B)参照。)と、露光後の遮光性塗布層414Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜414を形成する現像工程(図7(C)参照。)と、を含む。
【0269】
なお、遮光膜414の形成は、レンズ412を作製する前でも、レンズ412を作製した後でも任意に行うことができるが、ここでは、レンズ412を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜414の形成方法における各工程について説明する。
【0270】
<遮光性塗布層形成工程>
遮光性塗布層形成工程では、図7(A)に示すように、基板410上に、重合性組成物を塗布して該重合性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層414Aを形成する。このとき、遮光性塗布層414Aは、基板410の表面、及び、レンズ412のレンズ面412aとレンズ縁部412bの表面を全て覆うように形成される。
【0271】
本工程に用いうる基板410としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及び透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板410とは、レンズ412と基板410を一体形成する態様においては、レンズ412と基板410の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板410上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは基板10表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0272】
基板410及びレンズ412上に重合性組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
重合性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のし易さの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
【0273】
基板410上に塗布された遮光性塗布層414Aの乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用い、50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0274】
重合性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0275】
<露光工程>
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層414Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図7(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
【0276】
本工程における露光においては、遮光性塗布層414Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により遮光性塗布層414Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部412bの表面とレンズ412間の基板410の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面412aを除く領域の遮光性塗布層414Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜414を形成することとなる。
【0277】
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であってもよいし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
【0278】
<現像工程>
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層414Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図7(B)に示すように露光された遮光性塗布層414Aは、現像されることにより、図7(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層414Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜414が形成される。
【0279】
現像工程で用いられる現像液(アルカリ性水溶液)に含まれるアルカリ剤としては、有機又は無機のアルカリ剤、及びそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ剤を用いることが望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物(有機アルカリ剤)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物(無機アルカリ剤)等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
【0280】
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒の範囲で行なわれる。
【0281】
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、更に、乾燥工程に付す。
【0282】
なお、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光膜(遮光パターン)を、加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0283】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理を行う。ポストベークの温度、及び時間などの条件は、基板410又はレンズ412の素材により、適宜設定することができる。例えば、基板412がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜414を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0284】
なお、以上の手順では、レンズ412の形状が凹状である場合を例に説明したが、形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板410の一方の面に複数のレンズ412が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、基板410の両方の面に複数のレンズ412が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域にパターン状の遮光膜414が形成される。
【0285】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(2)〕
図8は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。
図8に示すウエハレベルレンズは、基板410とレンズ412とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作成する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板410の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ412が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ420が複数形成されている。また、基板410のレンズ面412aを除く領域、つまり、基板410の表面及びレンズ縁部412bの表面にパターン状の遮光膜414が形成されている。遮光膜414を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
【0286】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(3)〕
次に、図9(A)〜(C)及び図10(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図9(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜414を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図10(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜414を形成した後、レンズ412を成形する工程を示す概略図である。
【0287】
図5〜図8に示すウエハレベルレンズアレイの例では、レンズ412が設けられた基板410にパターン状の遮光膜414を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板410にパターン状の遮光膜414を形成した後、基板410にレンズ412を成形する手順である。
【0288】
−遮光膜の形成−
先ず、図9(A)に示すように、基板410上に重合性組成物を塗布して遮光性塗布層414Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
【0289】
その後、基板410上に塗布された遮光性塗布層414Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行う。重合性組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0290】
次に、図9(B)に示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層414Aを、マスク470を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク470は、所定のマスクパターンを有する。
本工程における露光においては、遮光性塗布層414をパターン露光することで、遮光性塗布層414Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ412を成形した際にレンズ412のレンズ開口414aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層414Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ412のレンズ開口414aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層414Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0291】
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層414Aの未硬化領域であるレンズ412のレンズ開口414aに相当する領域の遮光性塗布層414Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。この際、図9(C)に示すように、レンズ412のレンズ開口414aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層414Aが基板410上に残存して、遮光膜414を形成する。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
【0292】
本実施形態においても、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
【0293】
本発明の重合性組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の重合性組成物に含まれる溶剤として前掲した溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0294】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の重合性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1−メトキシ−2−プロパノール)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、重合性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、重合性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0295】
−レンズの形成−
次に、遮光膜414を形成後に、レンズ412を形成する工程について説明する。
図10(A)に示すように、パターン状の遮光膜414が形成された基板410の上に、レンズ412を構成する成形材料Mがディスペンサ450により滴下される。成形材料Mは、レンズ412のレンズ開口414aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜414の端部を一部含むように供給される。
【0296】
基板410に成形材料Mを供給した後、基板410の成形材料Mを供給された面側に、図10(B)に示すように、レンズを成形するための型480を配置する。型480には、レンズ412の形状を転写するための凹部482が、所望のレンズ412の数に応じて設けられている。
【0297】
型480を基板410上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型480を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0298】
成形材料Mを硬化させた後、型480から基板410及びレンズ412を離型し、図10(C)に示すように、基板410にパターン状の遮光膜414を備えるウエハレベルレンズを得る。
【0299】
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜414は、図7に示すようにレンズ412のレンズ面412aを除く領域に設けた構成だけでなく、図10(C)に示すように、遮光膜414をレンズ412のレンズ開口414aを除く領域に設けた構成としてもよい。
【0300】
ウエハレベルレンズは、基板410の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜414によって、レンズ412のレンズ面412a又はレンズ開口414a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、固体撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
【0301】
また、遮光膜414は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0302】
なお、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図7に示すようにレンズ412のレンズ面412aを除く領域にパターニングされた遮光膜414を設けた構成とすれば、レンズ面412a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
【実施例】
【0303】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0304】
<バインダー溶液Aの調製>
1,000mL三口フラスコに1−メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート63.4g、メタクリル酸72.3g、V−601(和光純薬製)4.15gを1−メトキシ−2−プロパノール159gに添加して調製した溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。
次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(30/70mol比)の共重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液の内、120.0gを300mL三口フラスコに移し、グリシジルメタクリレート16.6g、p−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン3.0gを加え、100℃に加熱し、付加反応を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。1−メトキシ−2−プロパノール38gを加え、酸基含有量2meq/g(酸価112mgKOH/g)、架橋性基含有量2.23meq/g、重量平均分子量24,000(GPC法によりポリスチレン換算値)、固形分46質量%のバインダー溶液Aを調製した。
【0305】
<バインダー溶液Bの調製>
コンデンサー、撹拌機を備えた500mlの3つ口丸底フラスコに、下記のジイソシアネート化合物と、下記2種のジオール化合物とを、下記のモル比で、N,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した(ジイソシアネート化合物及び2種のジオール化合物のモル総量は、0.152モル)。これに、ジブチル錫ジラウリレート0.1gを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド100ml及びメチルアルコール200mlにて希釈し30分撹拌した。反応溶液を水3リットル中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることによりウレタン系樹脂P−1を得た。次いで、このウレタン系樹脂に1−メトキシ−2−プロパノールを加え、酸基含有量1.3meq/g、架橋性基含有量1.59meq/g、重量平均分子量15,000(GPC法によるポリスチレン換算値)、固形分46質量%のバインダー溶液Bを調製した。
【0306】
【化32】

【0307】
<バインダー溶液Cの調製>
1,000mL三口フラスコに1−メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート138g、V−601(和光純薬製)4.15gの1−メトキシ−2−プロパノール159g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。
次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレートの重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液の内、120.0gを300mL三口フラスコに移し、グリシジルメタクリレート42.0g、p−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン3.0gを加え、100℃に加熱し、付加反応を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。1−メトキシ−2−プロパノール38gを加え、酸基含有量0meq/g(酸価0mgKOH/g)、架橋性基含有量3.8meq/g、重量平均分子量24,000(GPC法によりポリスチレン換算値)、固形分46質量%のバインダー溶液Cを調製した。
【0308】
<重合性組成物溶液の調製>
【0309】
(実施例1)
下記組成を混合し、実施例1の重合性組成物溶液を得た。この組成物の粘度は1060mPa・sであった(組成物の固形分濃度は55質量%)。
【0310】
・上記バインダー溶液A(アルカリ可溶性バインダー) 14.9質量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:KAYARAD DPHA、製造元:日本化薬(株))(重合性化合物) 7.72質量部
・Irgacure 907(BASFジャパン社製のアセトフェノン系化合物)(重合開始剤)
2.03質量部
・Kayacure DETX−S(日本化薬社製のチオキサントン系化合物)(増感剤) 0.43質量部
・下記分散液(フィラー,アルカリ可溶性バインダー) 45.09質量部
・メガファックF−780(大日本インキ株式会社製)(界面活性剤)
0.14質量部
・YMF−02(住友金属鉱山(株)製 セシウムタングステン酸化物(Cs0.33WO(平均分散粒径800nm以下)の18.5質量%分散液)
26.97質量部
【0311】
上記分散液は、シリカ(アドマテックス(株)製、SO−C1)(フィラー)30質量部と、前記バインダー溶液A48.2質量部とを予め混合した後、モーターミルM−250(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製したものを用いた。
【0312】
(実施例2)
YMF−02(住友金属鉱山(株)製 セシウムタングステン酸化物(Cs0.33WO(平均分散粒径800nm以下)の18.5質量%分散液)をKHF−7(住友金属鉱山(株)製 3.5質量%濃度のホウ化ランタン(平均粒径:0.3μm)分散液)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例2の組成物を得た。実施例2の組成物の粘度は600mPa・sであった。
【0313】
(実施例3)
0.09質量部の下記式で表される化合物(紫外線吸収剤)を更に添加した以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例3の組成物を得た。実施例3の組成物の粘度は1015mPa・sであった。
【0314】
【化33】

【0315】
(実施例4)
Kayacure DETX−Sをクマリンに置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例4の組成物を得た。実施例4の組成物の粘度は1010mPa・sであった。
【0316】
(実施例5)
Kayacure DETX−Sを10−n−ブチル−2−クロロアクリドン(黒金化成社製の商品名NBCA)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例5の組成物を得た。実施例5の組成物の粘度は980mPa・sであった。
【0317】
(実施例6)
Kayacure DETX−Sを使用しなかった以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例6の組成物を得た。実施例6の組成物の粘度は990mPa・sであった。
【0318】
(実施例7)
Irgacure 907(BASFジャパン社製)をIrgacure 369(BASFジャパン社製のアセトフェノン系化合物)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例7の組成物を得た。実施例7の組成物の粘度は880mPa・sであった。
【0319】
(実施例8)
Kayacure DETX−Sを使用しなかった以外は、実施例7と同様の組成とすることにより、実施例8の組成物を得た。実施例8の組成物の粘度は890mPa・sであった。
【0320】
(実施例9)
Irgacure 907(BASFジャパン社製)をIrgacure 819(BASFジャパン社製のアシルフォスフィンオキシド系化合物)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例9の組成物を得た。実施例9の組成物の粘度は790mPa・sであった。
【0321】
(実施例10)
Kayacure DETX−Sを使用しなかった以外は、実施例9と同様の組成とすることにより、実施例10の組成物を得た。実施例10の組成物の粘度は830mPa・sであった。
【0322】
(実施例11)
Irgacure 907(BASFジャパン社製)をLucirin TPO(BASFジャパン社製のアシルフォスフィンオキシド系化合物)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例11の組成物を得た。実施例11の組成物の粘度は880mPa・sであった。
【0323】
(実施例12)
Kayacure DETX−Sを使用しなかった以外は、実施例11と同様の組成とすることにより、実施例12の組成物を得た。実施例12の組成物の粘度は790mPa・sであった。
【0324】
(実施例13)
Irgacure 907(BASFジャパン社製)をLucirin TPO−L(BASFジャパン社製のアシルフォスフィンオキシド系化合物)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例13の組成物を得た。実施例13の組成物の粘度は830mPa・sであった。
【0325】
(実施例14)
Kayacure DETX−Sを使用しなかった以外は、実施例13と同様の組成とすることにより、実施例14の組成物を得た。実施例14の組成物の粘度は820mPa・sであった。
【0326】
(実施例15)
バインダー溶液A(分散液中のバインダー溶液Aも含む)を上記バインダー溶液Bに置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例15の組成物を得た。実施例15の組成物の粘度は690mPa・sであった。
【0327】
(実施例16)
バインダー溶液A(分散液中のバインダー溶液Aも含む)をダイセルサイテック社製のサイクロマーP ACA 230AA(53質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液)に置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、実施例16の組成物を得た。実施例16の組成物の粘度は720mPa・sであった。
【0328】
(比較例1)
YMF−02を、下記カーボンブラック分散液Aに置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、比較例1の組成物を得た。
【0329】
(カーボンブラック分散液Aの調製)
下記組成Iを二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。この際の分散物の粘度は70000mPa・sであった。
その後、この分散物に下記組成IIの混合物を添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、直径0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット,GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、カーボンブラック分散液Aを調製した。この際の混合溶液の粘度は37mPa・sであった。
【0330】
(組成I)
・平均一次粒径15nmカーボンブラック(PigmentBlack7)23質量部
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45質量%溶液 22質量部
(ベンジルメタアクリレート単位/メタアクリル酸単位=67/33(mol%),Mw:28000)
・ソルスパース5000(日本ルーブリゾール(株)製) 1.2質量部
【0331】
(組成II)
・ベンジルメタアクリレート/メタアクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45質量%溶液 22質量部
(ベンジルメタアクリレート単位/メタアクリル酸単位=67/33(mol%),Mw:28000)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200質量部
【0332】
(比較例2)
バインダー溶液A(分散液中のバインダー溶液Aも含む)を使用しない以外、実施例1と同様の組成とすることにより、比較例2の組成物を得た。比較例2の組成物の粘度は380mPa・sであった。
【0333】
(比較例3)
バインダー溶液A(分散液中のバインダー溶液Aも含む)を上記バインダー溶液Cに置き換えた以外は、実施例1と同様の組成とすることにより、比較例3の組成物を得た。比較例3の組成物の粘度は800mPa・sであった。
【0334】
<ソルダーレジスト用重合性組成物の評価>
(レジストパターン形成)
得られた実施例1〜16,比較例1〜3の重合性組成物の各々を、それぞれ、
表面に銅層(厚み:10μm)が設けられたシリコンウエハ(以下、銅基板とも言う)にスピンコート法で、膜厚が25μmになるよう塗布し、その後、ホットプレート上において120℃で2分加熱して感光性層を得た。
次いで、得られた感光性層を、i線ステッパーを用い、直径300μmのパターンを有するフォトマスクを介して露光量50〜2000mJ/cmの範囲の露光量を、50mJ/cmの刻みで変化させて照射した。
前記露光後の感光性層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い、25℃40秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行い更に純水にて水洗し、赤外線遮蔽性のソルダーレジストパターンを得た。現像工程を60秒実施した際に直径50μmの円のパターンが得られた最低露光量(感度)を測定し、パターン形成性の目安とした。数値が小さい程、感度、パターン形成性が良好であると評価する。
【0335】
(赤外線遮蔽性、可視光線透過性評価)
上記条件でガラス基板に重合性組成物をスピンコートして膜厚が25μmの感光層(重合性組成物層)塗膜を形成し、紫外可視近赤外分光光度計UV3600(島津製作所製)を用いて、塗膜の波長1200nmの透過率を測定した。数値が低いほど赤外線遮蔽性に優れると評価する。透過性が2%以下で実用上良好な赤外線遮蔽性を示すといえる。
更に、上記塗膜の波長550nmの透過率を、紫外可視近赤外分光光度計UV3600(島津製作所製)を用いて測定した。数値が高いほど可視光線透過性に優れると評価する。可視光透過性が30%以上で実用上良好な可視光線透過性を示すといえる。
【0336】
(パターン形成性評価)
上記(レジストパターン形成)に従って、最低露光量を用いた露光及び現像を行い、パターンを形成した。パターンを電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のS−4800)を用いて観察し、下記評価基準に基づき、評価した。ただし、比較例1〜3に関しては、充分な解像性が得られず、最低露光量を算出することができなかったため、800mJ/cmの露光量で露光を行った。
〔評価基準〕
◎:銅基板上に、充分な密着性を以ってパターンが形成されるとともに、パターン断面の形状も良好な矩形を示した。また、現像後の未露光部において、銅基板上に、現像残渣を殆ど確認しなかった。
○:基板である銅基板上に、充分な密着性を以ってパターンが形成されるとともに、パターン断面の形状も良好な矩形を示した。また、現像後の未露光部において、銅基板上に、現像残渣をわずかながら確認したものの、実用上、問題のないレベルであった。
×:パターン状のものは形成されたものの、銅基板に対する密着性が不充分であり、銅基板上に安定的に密着したパターンを形成することはできなかった。
××:パターンを解像することはできなかった。
【0337】
(高温・高湿耐久性評価(絶縁信頼性評価):HAST試験)
基材としてのシリコンウエハ上に、銅厚12μmの銅ライン/スペース=50μm/50μmになるよう櫛型に配線形成したものに、スピンコート法で、膜厚が銅上20μmになるように、実施例1〜16、比較例1〜3の重合性組成物の各々を塗布し、その後、ホットプレート上において100℃で2分加熱して感光性層を得た。
次いで、得られた感光性層を、高圧水銀灯を用い、上記(レジストパターン形成)の実施例及び比較例の各々に関して得た最低露光量にて照射した(ただし、比較例1〜3に関しては、上記と同様、800mJ/cmの露光量で露光を行った)。
前記露光後の感光性層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い、25℃40秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行い更に純水にて水洗し更に150℃で1時間加熱処理(ポストベーク)をしてソルダーレジストパターン(永久パターン)を、形成した。形成された永久パターンについて、HAST試験を行いデンドライトと絶縁抵抗(Ω)を評価した。HAST試験では、高加速度試験器を用い、電子部品モジュールを温度が130℃で相対湿度が85%の雰囲気中、電圧10Vを200時間印加後に、同条件下で導体バンプの絶縁抵抗(Ω)を測定
し、その後、導体バンプのデンドライト観察を行い以下のように評価した。
〔評価基準〕
◎:配線まったく変化なし
○:デンドライトは見られないが陽極配線がやや変化している。
△:デンドライトは見られないが陽極配線が見づらい。
×:デンドライト有り
【0338】
上記の評価の結果を、下記表に示す。
【0339】
【表1】

【0340】
表1の結果より、本発明の重合性組成物によれば、(1)赤外領域における遮光性が高い、(2)可視光領域における透光性が高い、及び、(3)アルカリ現像によって、所望の形状及び耐久性(高温・高湿に対する耐久性や、基板に対する密着性)に優れる、の全てを満足するパターンを形成できることが分かった。また、銅表面上のパターン形成において、現像残渣を抑制できることが分かった。
一方、比較例1〜3においては、所望の形状及び耐久性を有するパターンを得ることはできなかった。そのため、比較例1〜3については、絶縁信頼性の評価を行うこともできなかった。
【符号の説明】
【0341】
10 シリコン基板
12 撮像素子
13 層間絶縁膜
14 ベース層
15 カラーフィルタ
16 オーバーコート
17 マイクロレンズ
18 遮光膜
20 接着剤
22 絶縁膜
23 金属電極
24 ソルダレジスト層
26 内部電極
27 素子面電極
30 ガラス基板
40 撮像レンズ
41 接着剤
42 赤外線カットフィルタ
43 接着剤
44 遮光兼電磁シールド
45 接着剤
50 レンズホルダー
60 ハンダボール
70 回路基板
100 固体撮像素子基板
200 カメラモジュール
410 基板
412,420 レンズ
412a レンズ面
412b レンズ縁部
414 遮光膜
414A 遮光性塗布層
414a レンズ開口
450 ディスペンサ
460,480 型
462,482 凹部
470 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アセトフェノン系化合物又はアシルフォスフィンオキシド系化合物である重合開始剤、
(B)重合性化合物、
(C)タングステン化合物及び金属ホウ化物の少なくとも一方、及び
(D)アルカリ可溶性バインダーを含有する重合性組成物。
【請求項2】
更に、チオキサントン系化合物、アクリドン系化合物及びクマリン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記アルカリ可溶性バインダーが、酸基を有する請求項1又は2に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記アルカリ可溶性バインダーが、架橋性基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項5】
前記アルカリ可溶性バインダーが、(メタ)アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記アルカリ可溶性バインダーが、ウレタン系樹脂である請求項5に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記重合性組成物が前記タングステン化合物を含有し、前記タングステン化合物が、下記一般式(I)で表される請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
【請求項8】
前記Mがアルカリ金属である請求項7に記載の重合性組成物。
【請求項9】
前記重合性組成物が前記金属ホウ化物を含有し、前記金属ホウ化物が、ホウ化ランタン、ホウ化プラセオジウム、ホウ化ネオジウム、ホウ化セリウム、ホウ化イットリウム、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化タンタル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン及びホウ化タングステンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項の重合性組成物。
【請求項10】
前記金属ホウ化物が、ホウ化ランタンである請求項9に記載の重合性組成物。
【請求項11】
前記重合性化合物が、分子内に複数の重合性基を有する多官能重合性化合物である請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項12】
フィラーを更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項13】
ソルダーレジスト用である請求項1〜12のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項14】
固形分濃度が30質量%以上80質量%以下であり、25℃における粘度が10mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にある請求項13に記載の重合性組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の重合性組成物より形成される感光層。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の重合性組成物より形成される永久パターン。
【請求項17】
前記永久パターンがソルダーレジスト層である請求項16に記載の永久パターン。
【請求項18】
前記永久パターンが赤外線遮光膜である請求項16に記載の永久パターン。
【請求項19】
レンズと、前記レンズの周縁部に形成された請求項18に記載の永久パターンとを有するウエハレベルレンズ。
【請求項20】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の永久パターンを有する固体撮像素子。
【請求項21】
一方の面に撮像素子部が形成された固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の他方の面側に設けられた赤外線遮光膜とを有する固体撮像素子であって、前記赤外線遮光膜が請求項18に記載の永久パターンである固体撮像素子。
【請求項22】
請求項15に記載の感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−68418(P2012−68418A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212886(P2010−212886)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】