説明

重心位置表示装置、重心位置表示方法、および車両

【課題】運転者が運転内容を決める上で参考となるような左右重心位置の表示を行うこと。
【解決手段】連結車1の左右の重心位置の偏りを推定し、この推定結果を表示する重心位置表示装置20において、過去の推定結果を記憶する履歴記憶部26と、履歴記憶部26に記憶されている過去の推定結果と最新の推定結果とを対比させて表示する表示制御部25および表示画面21と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重心位置表示装置、重心位置表示方法、および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
連結車は、牽引車が被牽引車を牽引して貨物を運搬する。このような連結車では、一般的に、被牽引車は荷主が所有する車両であり、牽引車は運送業者が所有する車両である。通常、被牽引車に対する貨物の積載は、牽引車を所有する運送業者の監視下では行われない。さらに、被牽引車は荷主によって封印が施される。このため荷主以外の第三者が被牽引車を開封することはできないようになっている。したがって、運送業者側では、目視確認によって被牽引車内の貨物の積載状況を認識することは困難である。
【0003】
一方、牽引車が被牽引車を牽引する際には、被牽引車の積荷の偏りが運転に大きく影響する。たとえば被牽引車内の積荷が進行方向に対して左右のいずれか一方に大きく偏っているような場合(以下では、単に「左右」といえば進行方向に対して「左右」であることとする。)、被牽引車の重心位置も左右のいずれか一方に大きく偏ることになる。この場合、牽引車の運転者は、被牽引車の重心位置が偏っている側への旋回については被牽引車の左右方向の傾斜角度が大きくならないように注意深く配慮しながら運転を行う必要がある。特許文献1では、被牽引車の積荷に左右の偏りが生じている場合、これを判定して運転者に警告を行ったり、牽引車の減速を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−166745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば特許文献1のように、車両の左右重心位置の偏りを推定または測定し、これを運転者に警告する装置では、車両のロール状態を絵図で表示したり、ロール角度が過度になるとその角度を赤色で表示したり、あるいは警告灯の点灯やブザーの鳴動などによって運転者に左右重心位置の偏りを警告している。
【0006】
このような警告を受け取った運転者は、重心位置が偏っている方向への旋回については細心の注意を払い、連結車を運転することになる。しかしながら、特許文献1に記載されている表示方法では、運転者は、旋回時の運転に細心の注意を払う必要性は認識できるものの実際にどのような運転内容とすることがよいのか認識することはできない。
【0007】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、運転開始に先立って、運転者が運転内容を決める上で参考となるような左右重心位置の表示を行うことができる重心位置表示装置、重心位置表示方法、および車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点は、重心位置表示装置としての観点である。すなわち、本発明の重心位置表示装置は、車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示装置において、過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶手段と、履歴記憶手段に記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示手段と、を有するものである。
【0009】
本発明の他の観点は、重心位置表示方法としての観点である。すなわち、本発明の重心位置表示方法は、車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示装置が実行する重心位置表示方法において、過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶ステップと、履歴記憶ステップの処理により記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示ステップと、を有するものである。
【0010】
本発明のさらに他の観点は、車両としての観点である。すなわち、本発明の車両は、車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示手段を有する車両において、重心位置表示手段は、過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶手段と、履歴記憶手段に記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示手段と、を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運転開始に先立って、運転者が運転内容を決める上で参考となるような左右重心位置の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の連結車の全体構成図である。
【図2】図1の重心位置表示装置のブロック構成図である。
【図3】図1の牽引車および被牽引車の要部構成を示す図である。
【図4】図2左右重心位置推定部で用いるエアベローズ圧力と第5輪荷重との対応関係を示す図である。
【図5】図2の表示画面の表示例(テキスト表示)を示す図である。
【図6】図2の表示画面の表示例(図形表示)を示す図である。
【図7】図2の表示画面の表示例(テキスト表示+図形表示)を示す図である。
【図8】図2表示制御部の表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の実施の形態の連結車1について)
(概要)
連結車1は、図1に示すように、牽引車2と被牽引車3とがカプラ4を介して連結された車両である。被牽引車3に積み込まれた荷物の状態を外部から目視確認することはできない。このため、連結車1は、重心位置表示装置20を搭載し、重心位置表示装置20は、カプラ4にかかる荷重である第5輪荷重と牽引車前輪5および牽引車後輪6の左右にかかる荷重の偏りを検出することにより被牽引車3の左右の重心位置の偏りを推定する。この推定結果は、連結車1のユーザ(運転者など)が認識できるように運転席の計器パネルなどの表示画面21上に表示される。この際、表示画面21上には、過去の推定結果と最新の推定結果とを対比させて表示する。
【0014】
(構成)
牽引車2はカプラ4、牽引車前輪5、牽引車後輪6、および牽引車シャーシ7を有して構成されている。また、被牽引車3は、被牽引車輪8,9および被牽引車シャーシ10を有して構成されている。また、牽引車2には重心位置表示装置20が搭載されている。重心位置表示装置20は、表示画面21を有する。
【0015】
牽引車2は、不図示のエンジンを搭載し、カプラ4を介して被牽引車3に連結され、牽引車後輪6を駆動輪として走行する。また、牽引車2は、重心位置表示装置20を搭載する。ここでは、前述したように、牽引車2は、一般的に運送業者が所有するものとする。
【0016】
被牽引車3は、荷物を搭載するスペースを有し、カプラ4を介して牽引車2に連結される。また、被牽引車3は、被牽引車輪8,9を有する。図1に示した被牽引車3は、2軸(2組の被牽引車輪8,9を有する。)であるが3軸のものもある。ここでは、前述したように、被牽引車3は、一般的に荷主が所有するものとする。なお、被牽引車3は、牽引車2に連結されていないときには、不図示のランディングギヤによって水平を保ち自立することができる。また、カプラ4の中心(第5輪荷重点)から被牽引車輪8,9の中心(2軸の中心)までが被牽引車3のホイールベースである。
【0017】
重心位置表示装置20は、図2に示すように、表示画面21(請求項でいう表示手段の一部)、変位センサ22R,22L、圧力センサ23R,23L、左右重心位置推定部24、表示制御部25(請求項でいう表示手段の一部)、および履歴記憶部26(請求項でいう履歴記憶手段)、により構成される。
【0018】
表示画面21は、表示制御部25の制御に応じて左右重心位置の推定結果を表示する。なお、表示画面21は、牽引車2の運転席の計器パネルなどに配設される。
【0019】
変位センサ22R,22Lは、牽引車後輪6のスタビライザ30(図3で後述)の変位を検出する。
【0020】
圧力センサ23R,23Lは、牽引車2のエアサスペンションが有するエアベローズ31,31L(図3で後述)の空気圧を検出する。
【0021】
左右重心位置推定部24は、変位センサ22R,22Lおよび圧力センサ23R,23Lの検出結果を入力として被牽引車3の左右の重心位置を推定する。
【0022】
表示制御部25は、左右重心位置推定部24および履歴記憶部26から出力される情報をユーザが視認できる形式に変換すると共に表示位置をレイアウトして表示画面21に表示する。
【0023】
履歴記憶部26は、左右重心位置推定部24が過去に推定した結果を2つ以上記憶する。
【0024】
また、牽引車2の構成として、図3に示すように、スタビライザ30、エアベローズ31R,31L、およびシャーシ支持部32R,32Lを図示する。また、被牽引車3の構成としてキングピン33を図示する。被牽引車3のキングピン33が牽引車2のカプラ4の中心部にある孔に挿入されることによって、牽引車2と被牽引車3とが連結される。また、符号40は重心位置を示すマークである。なお、このマークは説明のために図示したもので、車両そのものに付されているものではない。また、符号50は、被牽引車3が積載する荷物である。また、牽引車後輪6の進行方向に対して右側を牽引車後輪6Rとし、左側を牽引車後輪6Lとする。
【0025】
(動作)
次に、重心位置表示装置20の動作について説明する。
【0026】
左右重心位置推定部24における偏りの推定値の推定方法は以下のとおりである。すなわち、第5輪荷重をFbとし、牽引車後輪6の偏り荷重をFS1とし、牽引車前輪5の偏り荷重をFS2とし、牽引車後輪6Rと牽引車後輪6Lとの間隔(リアトレッド)をL1としたときに、左右方向の重心偏りXは、
X=[(FS1+FS2)/Fb]・L1/2
で求められる。
【0027】
このときに、左右重心位置推定部24は、第5輪荷重Fbを圧力センサ23R,23Lの検出結果から取得する。たとえば図4に示すように、エアベローズ圧力と第5輪荷重との対応関係は、予め求めることができる。したがって、左右重心位置推定部24は、図4のエアベローズ圧力と第5輪荷重との対応関係を不図示のメモリに予め記憶しておき、圧力センサ23R,23Lの各検出結果を加算して得られるエアベローズ圧力から第5輪荷重Fbを取得することができる。
【0028】
また、左右重心位置推定部24は、牽引車後輪6の偏り荷重FS1をスタビライザ30に取付けられている変位センサ22Rと変位センサ22Lの検出結果の差分に基づき取得する。さらに、左右重心位置推定部24は、牽引車前輪5の偏り荷重FS2を牽引車後輪6の偏り荷重FS1と等しいとする、あるいは牽引車前輪5の偏り荷重FS2を牽引車後輪6の偏り荷重FS1に所定の係数を乗じた値とする、などとして取得する。また、リアトレッドL1は、固定値であるので左右重心位置推定部24のメモリに予め記憶しておく。
【0029】
表示画面21の表示例を図5,図6,図7に示す。図5の表示例では、最上段に、現在測定された左右重心位置の偏り(L+400mm)が表示されている。L+400mmは、重心位置が中心から左側(L)に40cm(+400mm)ズレていることを表している。その表示の下に、過去2回の推定結果M1,M2が表示されている。推定結果M1は、前回推定された左右重心位置の偏りを示し、推定結果M2は、前々回推定された左右重心位置の偏りを示している。すなわちこの例では、前回の測定時においては、重心位置が中心から右側(R)に20cm(+200mm)ズレており、また前々回の推定時においては、重心位置が中心から左(L)に30cm(+300mm)ズレていたことがわかる。
【0030】
また、図6の表示例では、表示画面21上に左右重心位置の偏りを逆三角形の図形として表示している。図6の表示例では、下向きの三角印(▼)の位置がいま測定された重心の位置を示している。この例の場合、重心位置が中心から左側に少しズレていることが示されている。またその印の下側に、表示画面21上に過去の複数回にわたる左右重心位置の偏りの範囲が、長方形の図形として表されている。すなわち、当該長方形の右端に相当する値は、過去の複数回にわたる左右重心位置の右方向への偏りの最大値であり、当該長方形の左端に相当する値は、過去の複数回にわたる左右重心位置の左方向への偏りの最大値である。図6の表示例では、過去の複数回にわかる左右重心位置の偏りの範囲よりも現在の左右重心位置の偏りの方が僅かではあるがさらに左側にズレていることがわかる。
【0031】
また、図7の表示例では、表示画面21上に左右重心位置の偏りを数値および図形の双方で表示している。すなわち、図7の表示例では、図6の表示例と同様に、表示画面21上に左右重心位置の偏りを逆三角形の図形として表示している。図7の表示例では、下向きの三角印(▼)の位置がいま測定された重心の位置を示している。この例の場合、重心位置が中心から左側に少しズレていることが示されている。また、その印の下側に、表示画面21上に過去の複数回にわたる左右重心位置の偏りの範囲が、長方形の図形として表されている。すなわち、当該長方形の右端に相当する値は、過去の複数回にわたる左右重心位置の右方向への偏りの最大値であり、当該長方形の左端に相当する値は、過去の複数回にわたる左右重心位置の左方向への偏りの最大値である。図7の表示例では、図6の表示例と同様に、過去の複数回にわかる左右重心位置の偏りの範囲よりも現在の左右重心位置の偏りの方が僅かではあるがさらに左側にズレていることがわかる。さらに、図7の表示例では、最下段に、現在測定された左右重心位置の偏り(L+400mm)が数値で表示されている。L+400mmは、重心位置が中心から左側(L)に40cm(+400mm)ズレていることを表している。
【0032】
次に、表示制御部25の表示制御処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
START:表示制御部25は、重心位置表示装置20が起動されると、ステップS1の処理へ移行する。
【0034】
ステップS1:表示制御部25は、左右重心位置推定部24による左右重心位置の推定が完了したか否かを判断する。表示制御部25は、左右重心位置推定部24による左右重心位置の推定が完了した場合(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。一方、表示制御部25は、左右重心位置推定部24による左右重心位置の推定が完了していない場合(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返し実行する。
【0035】
ステップS2:表示制御部25は、履歴記憶部26内に過去の推定結果が有るか否かを判断する。表示制御部25は、履歴記憶部26内に過去の推定結果が有る場合(ステップS2でYes)、ステップS3の処理へ移行する。一方、表示制御部25は、履歴記憶部26内に過去の推定結果が無い場合(ステップS2でNo)、ステップS4の処理へ移行する。
【0036】
ステップS3:表示制御部25は、過去の推定結果と最新の推定結果を対比して、たとえば図5から図6に示したように表示画面21に表示して処理を終了する(END)。
【0037】
ステップS4:表示制御部25は、最新の推定結果を表示画面21に表示して処理を終了する(END)。
【0038】
(効果)
以上説明したように、連結車1の左右の重心位置の偏りを推定し、この推定結果を記憶し、記憶されている過去の推定結果と最新の推定結果とを対比させて表示するので、運転開始に先立って、運転者が運転内容を決める上で参考となるような左右重心位置の表示を行うことができる。
【0039】
すなわち、運転者は、通常、過去の運転時のドライバビリティーを覚えているものなので、過去の推定結果と最新の推定結果とを対比させて表示している表示画面21の情報を見ることによって、過去の運転時のドライバビリティーを参考にして今回の運転時には、どのような運転を行ったらよいかを直感的に認識することが可能になる。たとえば、図5の例において、重心位置が中心から左(L)に30cm(+300mm)ズレ(M2)ていることを認識している状態において、右方向にカーブしたとこの車体の傾きの体感を覚えておけば、いま重心位置が中心から左(L)に30cm(+400mm)ズレているとき、完全に右方向にカーブするには、どの程度のスピードを維持すべきか感覚的に認識することができる。
【0040】
(プログラムを用いた実施の形態について)
また、重心位置表示装置20の各部(左右重心位置推定部24、表示制御部25、履歴記憶部26の制御機能など)は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、重心位置表示装置20の各部の機能が実現される。また、その他の機能についてもソフトウェアにより実現可能な機能については汎用の情報処理装置とプログラムとによって実現することができる。なお、上述したCPUの代わりにASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)、DSP(Digital Signal Processor)などを用いてもよい。
【0041】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、重心位置表示装置20の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、重心位置表示装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、重心位置表示装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。重心位置表示装置20の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0042】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0043】
このように、汎用の情報処理装置とプログラムによって重心位置表示装置20の機能を実現することにより、大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0044】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。たとえば図5,図6,図7の表示例では、複数回の過去の左右重心位置の推定結果と現在の左右重心位置の推定結果とを対比させているが、過去の左右重心位置の推定結果が1回しかない場合には、これと現在の左右重心位置の推定結果の2つを対比させてもよい。この場合、たとえば図5の表示例では、履歴M1のみが表示されることになる。また、図6の表示例では、過去1回の推定結果が1本の縦線となって表示されることになる。このような表示形態であっても運転者は、最も運転感覚の記憶が新しい直近の過去の推定結果と現在の推定結果との差異を参考にしてこれから開始される運転業務の際の運転内容を検討できるため有用である。
【0045】
また、図5の表示例において、2回の履歴M1,M2を表示したがさらに多数の履歴M1〜Mn(nは3以上の整数)を表示するようにしてもよい。さらに、運転者が過去の特定の履歴をスイッチ操作などによって選択できるようにしてもよい。あるいは、運転者が過去において最も運転が困難であったときの履歴など、記憶に残る履歴に予めマークを付与しておき、必要に応じてマークが付与された履歴を呼び出せるようにしてもよい。
【0046】
また、左右重心位置推定部24が補正前の左右重心位置を推定する方法については、上述したようにX=[(FS1+FS2)/Fb]・L1/2によって推定する方法以外にも、たとえば特許文献1に記載されている方法などの様々な方法が適用できる。
【0047】
また、牽引車前輪5および牽引車後輪6の左右の分担荷重の測定については、変位センサ22R,22Lに代えて車高センサを用いてもよい。あるいは、変位センサ22R,22Lを省き、圧力センサ23R,23Lの圧力差によって牽引車前輪5および牽引車後輪6の左右の分担荷重の測定を行うこともできる。あるいは、圧力センサ23R,23Lがエアベローズ31R,31Lの圧力を測定するのではなく、牽引車前輪5および/または牽引車後輪6の空気圧を測定することによって、第5輪荷重および牽引車前輪5および/または牽引車後輪6の左右の分担荷重の測定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…連結車、2…牽引車、3…被牽引車、20…重心位置表示装置、21…表示画面(表示手段の一部)、24…左右重心位置推定部、25…表示制御部(表示手段の一部)、26…履歴記憶部(履歴記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示装置において、
過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶手段と、
上記履歴記憶手段に記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする重心位置表示装置。
【請求項2】
車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示装置が実行する重心位置表示方法において、
過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶ステップと、
上記履歴記憶ステップの処理により記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示ステップと、
を有する、
ことを特徴とする重心位置表示方法。
【請求項3】
車両の進行方向に対して当該車両の左右の重心位置の偏りを推定または測定し、この推定または測定結果を表示する重心位置表示手段を有する車両において、
上記重心位置表示手段は、
過去の推定または測定結果を記憶する履歴記憶手段と、
上記履歴記憶手段に記憶されている過去の推定または測定結果と最新の推定または測定結果とを対比させて表示する表示手段と、
を有する、
ことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−195054(P2011−195054A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64943(P2010−64943)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】