説明

重装備運転室の荷重支持装置および該製作方法

【課題】 本発明は、車体フレームが閉鎖構造を成す場合にも、車体フレームを分解せずに、簡単かつ容易に締結し得るとともに、前記締結部位が外部の衝撃により破断され得る惧れをなくした重装備運転室の荷重支持装置を提供する。
【解決手段】 本発明による重装備運転室の荷重支持装置は、車体フレームの低面に締結ボスを予め備えて、前記締結ボスと螺子結合する荷重支持装置を運転室の底フレーム側から底板側に締結するよう構成された重装備運転室の荷重支持装置において、下部走行体に装着される車体フレーム、車体フレームに搭載される運転室、車体フレームと底フレームとの間に設けられる運転室を弾性的に支持する振動吸収装置及び、車体フレームと運転室との組立後にも、運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することができる荷重支持装置からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重装備運転室の荷重支持装置および該製作方法に関するものであって、さらに詳細には、一側の結合部は、車体フレーム側に着脱可能に固定され、他側の離脱防止部は、運転室の底フレームの上側に位置し、運転室の組立が完成された後にも、前記運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することができる荷重支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によるキャブ支持構造は、図1及び図2に示されたように、車体フレーム10に対して弾性的にキャブ20を支持する荷重支持装置30と、前記荷重支持装置30の延長方向に対してキャブ20に所定変位が生じた場合のみ、その変位を規制する振動吸収装置40を備えたものであり、且つ、キャブ20を車体フレーム10に対して浮いている状態に支持する。
【0003】
このために、前記車体フレーム10の上部に支持フレーム12が設けられ、前記支持フレーム12は、上壁12aと、該上壁12aの前端縁及び後端縁から垂直に延長される脚部12bとからなり、前記支持フレーム12の上壁12aに荷重支持装置30を装着するための貫通孔14、及び振動吸収装置40を装着するための貫通孔16が形成されている。
【0004】
図1に示されたように、上方開口部に外部フランジ部34が設けられ、前記支持フレーム12に装着される荷重支持装置30では、上壁12aの貫通孔14に嵌合され、前記外部フランジ部34が上壁12aの上面に結合され、その状態でボルト部材(図示せず)を介して外部フランジ34が上壁12aに締結される。
【0005】
このように、キャブ20は、底フレーム22の背面の四つの稜に荷重支持装置30を介して車体フレーム10に支持されて、車体フレーム10側からの衝撃などを緩和する。しかし、建設機械が倒れたり、又は、岩石や樹木などと衝突した場合、キャブ20に衝撃力が大きく作用することになる。そのため、かかるキャブ支持構造には、該衝撃力からキャブ20や作業者を保護するための機能を奏し得る前記振動吸収装置40を設けるようになった。
【0006】
図2に示されたように、前記振動吸収装置40は、軸部材42と、前記軸部材42が挿通され、且つ、下方に配置されるストッパ44などを備える。前記軸部材42は、軸部42aと頭部42bとからなるボルト部材から構成されて、前記軸部42aがキャブ20の底フレーム22に締結される。この際、軸部材42の頭部42bの間にストッパ44が介在されている。
【0007】
そして、キャブ20が、前記四つの荷重支持装置30により支持され、車体フレーム10から振動や衝撃が生じない通常の状態で、ストッパ44の上面と上壁12aの下面との間に隙間(S)が形成され、且つ、軸部42aの外周面と上壁12aの貫通孔16の内周面との間に隙間(S1)が形成される。
【0008】
従って、キャブ20が車体フレーム10から遠くなる方向に変位された場合、前記振動吸収装置40は、ストッパ44の上面が上壁12aの下面に接触できるまで、その変位を許容する。また、キャブ20が車体フレーム10に近づく方向に変位した場合、前記振動吸収装置40は、キャブ20の底フレーム22の下面が上壁12aの上面に接触するまで、その変位を許容する。さらに、キャブ20が車体フレームに対して水平方向に変位された場合、軸部42aの外周面が貫通孔16の内周面などに接触する時まで、許容する。
【0009】
しかしながら、上記のような従来技術の重装備運転室の荷重支持装置およびその製作方法は、以下のような問題点を抱えている。
重装備の下部走行体(図示せず)上に装着される前述の車体フレーム10の前後方に荷重支持装置30をボルトなどの固定手段により固定する。そして、キャブ20の底フレーム22を固定手段により荷重支持装置30に固定させる。この時、前記底フレーム22を荷重支持装置30に取付ける前に、前記底フレーム22の底面に振動吸収装置40の一側を溶接などの方法により固定しなければならない。しかし、支持フレーム12が、通常、閉鎖構造になっているため、荷重支持装置40を底フレーム22の底面に設けることはよほど難しいことに違いない。
【0010】
また、支持フレーム12が、閉鎖構造になっているために、既に車体フレーム10の前後方に荷重支持装置30をボルトなどの方法により固定してから、キャブ20の底フレーム22を荷重支持装置30に装着し、組立後にも振動吸収装置40を交換したり、付け加えて設けたりする必要がある。この際、キャブ20などを再び分解せずには、前記振動吸収装置40を設けることができないという問題点がある。
【0011】
反対に、振動吸収装置40のストッパ44は、貫通孔16を貫通するように設けられ、且つ、他側Wは、底フレーム22の低部に溶接などにより結合されているため、キャブ20の組立が完成された後に、これを再び分解しようとする場合には、振動吸収装置40を底フレーム22から任意に切断したり、除去しなければならず、振動吸収装置40を再び用いることは不可能であったという問題点もある。
【0012】
さらに、前記底フレーム22の低面に溶接などの方法により、振動吸収装置40を装着する場合には、外部衝撃時、前記溶接による締結部位Wが引張力あるいは切断力により破断される惧れがあるため、振動吸収装置40により荷重を支持させにくいといった問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記問題点等に鑑みてなされたものであり、その目的は、車体フレームが閉鎖構造を有している場合にも、荷重支持装置を簡単かつ容易に着脱することができるようにした重装備運転室の荷重支持装置及び該製作方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、運転室の組立が完成された後にも、荷重支持装置を容易に交換したり、又は、付け加えて設けられる重装備運転室の荷重支持装置及び該製作方法を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、運転室を分解した後にも、荷重支持装置を再び使用し得る重装備運転室の荷重支持装置及び該製作方法を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、外部衝撃にも拘わらず、荷重支持装置の締結部位が、引張力や切断力により破断できない重装備運転室の荷重支持装置および該製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的等を達成するために、本発明は、下部走行体に装着される車体フレームと、下部に底フレームが備えられ、前記車体フレームに搭載される運転室と、前記車体フレームと前記底フレームとの間に設けられて、車体フレームに対して運転室を弾性的に支持する振動吸収装置と、一側に結合部を備え、且つ他側に離脱防止部を備える荷重支持装置とを包含し構成されて、前記荷重支持装置の結合部は、車体フレーム側に着脱自在に固定され、離脱防止部は前記底フレームを貫通し、上側に位置して、前記車体フレームと運転室との組立が完成された後にも、前記運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することが可能となる。
【0018】
中空円筒状の締結ボスが、前記車体フレームの上板底部に一体にさらに備えられ、前記締結ボスの中空内部に螺子部が形成され、且つ前記結合部にも同様に螺子部が形成され、前記結合部と締結ボスとが螺子結合することが好ましい。
【0019】
前記離脱防止部は、頭部を備えたボルトからなることが好ましい。
【0020】
前記離脱防止部は、前記荷重支持装置と一体に備わるリング体のストッパプレートをさらに備えることが好ましい。
【0021】
前記車体フレームの一側に固定される結合面と、車体フレームの上板上部に延長される延長面とからなり、前記延長面には少なくとも一つ以上の直線部を備える溝が形成された回転防止プレートと、前記荷重支持装置の結合部と離脱防止部との間に一体に締結され、外周面に前記直線部に対応する回転防止部を備える円筒状の回転防止ボスとから構成される回転防止装置をさらに備えて、荷重支持装置が緩むことを防止する。
【0022】
上下に伸縮自在な円筒状のブーツを運転室の底フレームと前記離脱防止部との間に設けて、運転室内部の気密性を保持し得るシーリング装置をさらに備える。
【0023】
前記ブーツの外壁面は、上下伸縮自在に蛇腹状からなされていることが好ましい。
【0024】
前記ブーツは、弾性材からなされ、該上端は、離脱防止部の外周面に密着固定され、且つ、該下端は、運転室の底フレームの貫通孔内周面に密着固定される。
【0025】
前記離脱防止部の外周面及び底フレームの貫通孔内周面には、フロッキング処理を施すことが好ましい。
【0026】
前記離脱防止部の外周面に結合溝が形成され、且つ、前記ブーツ上端の内側面に結合突起が形成され、該結合突起が前記結合溝に挿着され、前記底フレームには、底部に環状溝が設けられた結合部材をさらに設けて、前記ブーツの下端部が前記環状溝に装着される。
【0027】
前記荷重支持装置は、前記振動吸収装置の外側に設けられることが好ましい。
【0028】
前記荷重支持装置は、運転室の荷重伝達条件に応じて、数量及び装着位置を選択的に適用し得ることがさらに好ましい。
【0029】
本発明は、内側に螺子山が設けられた中空円筒状の締結ボスを、第1貫通孔が形成された車体フレームの上部フレーム底面に溶接などの方法により一体に締結する段階と、前記車体フレームに対して運転室を弾性的に支持する振動吸収装置を締結する段階と、前記振動吸収装置の上部に第3貫通孔が形成された運転室の底フレームを締結する段階、及び、一側に螺子部を備え、他側に離脱防止部を備える荷重支持装置を前記第3貫通孔及び第1貫通孔の順に貫通し、前記螺子部を締結ボスの螺子山と螺子結合する段階を、包含し構成される。
【0030】
前記振動吸収装置を締結する段階と、運転室の底フレームを締結する段階との間で、第2貫通孔の形成された底板を締結する段階をさらに包含する。
【0031】
前記車体フレームの一側に固定される結合面と、車体フレームの上板上部につながる延長面とからなり、且つ、前記延長面には少なくとも一つ以上の直線部を備える溝が形成され、且つ、前記荷重支持装置の螺子部と離脱防止部との間に円筒状の回転防止ボスが荷重支持装置と一体に備えられ、前記回転防止ボスの外周面に前記直線部に対応する回転防止部が備えられる段階をさらに含んで構成される。
【0032】
上下に伸縮自在な円筒状ブーツを運転室の底フレームと前記離脱防止部との間に設けて、運転室内部の気密性を保持し得るシーリング装置を備える段階をさらに包含しなされる。
【0033】
前述した構成を有する本発明による重装備運転室の荷重支持装置および該製作方法によると、簡単かつ堅固に着脱できるといった利点がある。
【発明の効果】
【0034】
以上のとおり、本発明によれば、次のような効果を奏するものである.
(1)荷重支持装置を運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することによって、車体フレームが閉鎖構造をなしても、荷重支持装置を容易に装着し得る。
(2)荷重支持装置を運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することによって、運転室の組立後にも、荷重支持装置を別個に設けたり、交換したりすることができる。
(3)荷重支持装置を運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結することによって、運転室を分解する場合にも、荷重支持装置を変型させたり、破壊させたりしなくても良い。
(4)車体フレームに締結ボスを設け、且つ、荷重支持装置をそこに螺子結合することによって、荷重支持装置の締結部位が外部衝撃にも拘わらず、変型されたり、破壊されたりしない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下では、前述したような構成を有する本発明の重装備運転室の荷重支持装置および該製作方法の望ましい実施形態を、添付図面を参照して詳しく説明する。
【0036】
図3には、本発明による重装備運転室の荷重支持装置及び回転防止装置の構成が断面図として示され、図4には、本発明による重装備運転室の荷重支持装置、回転防止装置及びシーリング装置の構成が断面図として示され、図5には、本発明による重装備運転室の荷重支持装置及び回転防止装置及びシーリング装置の構成が分解斜視図として示されている。また、図6は、図3のA−A’線の断面図である。
【0037】
図3に示されているように、本発明の重装備運転室の荷重支持装置は、下部走行体(図示せず)に旋回可能に装着される車体フレーム100と、前記車体フレーム100に搭載される底板110と、前記底板110の上部と結合される底フレーム120を備える運転室122と、前記車体フレーム100と底板110との間に設けられる振動吸収装置130及び、装備が転覆されるなどのような非常時に運転室が離脱されたり、浮き立つことを防止する荷重支持装置140からなる。
【0038】
前記振動吸収装置130は、走行中や作業中などの通常時、運転室122に間接的に伝達され得る衝撃を緩和して、乗り心地の向上を図るためのものである。前記振動吸収装置130は、車体フレーム100にボルトその他車体フレーム固定手段132により固定され、且つ、 前記振動吸収装置130は、再びボルトその他の底フレーム固定手段134により、前記底フレーム120及び底板110とに締め付けられる。
【0039】
従って、前記振動吸収装置130は、前記底フレーム120などを前記車体フレーム100に固定する機能を果すと共に、車体フレーム100の衝撃を緩衝する機能を奏する。本発明では、外部との衝突時、振動吸収装置130が弾性限界を超えて緩衝機能を喪失することを防ぐために、前記振動吸収装置130を前記荷重支持装置140の内側に設けることが好ましい。
【0040】
本発明による荷重支持装置140は、前記車体フレーム100と一体になされて、内側に雌ねじ山を有する締結ボス142と、前記締結ボス142に螺着される螺子部144と、放射方向に延長されてその外周縁が多角形状をなしている頭部146及び前記螺子部144と頭部146とを連結する胴体部147からなるボルト148と、前記ボルトの頭部146の下端に設けられるストッパプレート150からなる。
【0041】
前記車体フレーム100は、前述した振動吸収装置130が装着されるための装着孔104と、前記ボルト148の螺子部144が貫通するための第1貫通孔106とが形成される上板フレーム100aと、前記上板フレーム100aを車体に支持するための側板フレーム100bとからなり、前記上板フレーム100a及び側板フレーム100bは、全体的に閉鎖構造を有する。従って、本発明の締結ボス142は、前記車体フレーム100の上板フレーム100aと、下板フレーム100bとを車体に組み合わせる前に、前記上板フレーム100aの底面一側に溶接などの方法により固定せしめ、かつ設けられる。
【0042】
一方、前記底板110及び底フレーム120には、第1貫通孔106に相応する位置に第2貫通孔112及び第3貫通孔124が形成されて、前記ボルト148の螺子部144が貫通できるようにする。
【0043】
前記ストッパプレート150は円環状からなり、且つ、前記ストッパプレートの内径は、前記螺子部144の直径と同様又は大きく形成し、且つ、外径は前記第2貫通孔112及び第3貫通孔122より大きく形成して、溶接あるいは組立などの方法により前記ボルト148と一体に結合される。
【0044】
前記ボルト148の頭部146やボルト148の頭部の下部に一体に備わるストッパプレート150、或いはボルト148の頭部146と前記ストッパプレート150とが一体に結合された構成を離脱防止部と称する。
【0045】
本発明の荷重支持装置140には、一側に固定孔162を有する結合面164と、該結合面164から延長されて、一側あるいは両側に少なくとも直線部166をもつ“コ”字形状の溝が端部に形成される延長面168とから構成されて、全体的には“L”字形状をなしている回転防止プレート170と、前記回転防止プレート170が車体プレート100に結合できるよう前記固定孔162に嵌合される回転防止固定手段172と、前記ボルト148が回転しないよう前記直線部166に対応する回転防止部174を備えて、前記胴体部147の外側に結合される回転防止ボス180とを、包含し構成される回転防止装置190をさらに備える。
【0046】
前記回転防止ボス180は、前記螺子部144の長手方向に所定の位置に設けられるが、溶接などの方法により一体に固定される。前記回転防止ボス180の設置位置によって、前記ストッパプレート150の下面と底フレーム120の上面との隙間(d)が決定される。即ち、図5に示されたように、回転防止ボス180の下端部から前記ストッパプレート150の下面までの距離によって、荷重支持装置140の荷重支持限界が決定されることになる。
【0047】
本発明の荷重支持装置140は、上下に伸縮自在であり、かつ該外壁面が蛇腹状をなしている円筒形のブーツ200と、前記ブーツ200を前記底フレーム120に固定するための結合部材210とを、包含し構成されるシーリング装置220をさらに備える。
【0048】
通常時には、車体フレーム100から運転室122に伝達される衝撃を振動吸収装置130により緩和するため、荷重支持装置140は該機能を奏しないが、外部衝撃により運転室122が車体フレーム100から所定の距離ほど離脱され得る非常時のみ、荷重支持装置140が該機能を果すことになる。
【0049】
即ち、前記荷重支持装置140は、運転中あるいは作業中に、外部物体と衝突して運転室122、あるいは運転室を保護する保護構造物に外力が働いたり、車体が転覆されることにより運転室122に直接衝撃が与えられる場合に、運転室122と車体フレーム100との間の結合関係を堅固にして、運転室122が車体フレーム100から離脱されたり、変型されることを防止する。特に、運転室122が左右に回転したり、上向に浮き立つことを防止する。
【0050】
従って、通常時、車体フレーム100と運転室122とは、前記荷重支持装置140に関連して、何らかの干渉を受けないため、荷重支持装置140の離脱防止部と運転室122の底フレーム120との間の所定間隔(d)、或いは荷重支持装置140と第3貫通孔124との間の所定間隔(d’)が、常時、形成されている。
【0051】
前記間隔等(d、d’)を介して、車体フレーム100から運転室122の内部へ様々な騒音や埃などが流入され、運転者の安全運転を妨げる要因として作用することになる。そのため、前記シーリング装置220は、前述したように荷重支持装置140を車体フレーム100側に固定し、かつ離脱防止顎などを備えたストッパプレート150を運転室122の底フレーム120側に貫通できるよう設ける際、生じえる騒音や埃などを遮断する機能を奏することになる。
【0052】
前記ブーツ200の上端は、ストッパプレート150の外周面に様々な方法により締結される。例えば、ストッパプレート150の外周面に接着剤で接着したり、ブーツ200の弾性を用いて気密を保持することができる。この際、ストッパプレート150の外周面やブーツの内周面にフロッキング処理を行い、気密をさらに確実に保持することができる。しかし、本発明の実施例では、ストッパプレート150の外周面に結合溝152を形成し、ブーツ200の内周面に結合突起202を設けて、前記結合突起202を結合溝152に挿入するようにしている。
【0053】
前記結合部材210は、底面に環状溝212を備えるリング体から構成され、且つ、前記結合部材210はボルトなどの結合部材固定手段214により前記底フレーム120に固定される。従って、前記ブーツ200の下端部を前記環状溝212に組込み、かつ固定する。
【0054】
以下、前述したような構成を有する本発明の重装備運転室の荷重支持装置の製作方法を添付図面を参照として、詳しく説明する。
本発明によると、先ず、車体フレーム100の上板フレーム100a及び下板フレーム100bを組立てるか、又は、車体フレーム100を車体に装着する前に締結ボス142を前記上板フレーム100aの底面に溶接などの方法により、一体に製作する。
【0055】
そして、車体フレーム固定手段132により、車体フレーム100に締結された振動吸収装置130の上部に底板110を安着する。これとは別に、結合部材固定手段214を用いて結合部材210を運転室122の底フレーム120に締結した後、前記環状溝212にブーツ200を設ける。前記ブーツ200の設けられた運転室122の底フレーム120を前記底板110の上部に安着した後、底フレーム固定手段134により締結する。
【0056】
次に、荷重支持装置140を組立てる。その際、前記ボルト148とストッパプレート150、そして前記ボルト148と回転防止ボス180を溶接などの方法により、一体に製作する。
【0057】
前記組立てられた荷重支持装置140を第2貫通孔112と第3貫通孔124を介して前記締結ボス142に締結する。ボルト148の螺子部144の雄螺子山と締結ボス142の雌螺子山とが螺子結合し、堅固に締結することになる。ブーツ200の結合突起202をストッパプレート150の結合溝152に挿入し、ブーツ200をストッパプレート150に締結する。
【0058】
最後に、回転防止装置190を設ける。回転防止プレート170の直線部166が回転防止ボス180の回転防止部174と一致するようボルト148を調節してから、回転防止固定手段172により回転防止プレート170を車体フレーム100に締結する。
【0059】
以上で述べたように、本発明は、車体フレームが閉鎖構造をなす場合にも運転室を分解せずに、簡単かつ容易に着脱することができるようにする為に、車体フレームの低面に締結ボスを予め備え、前記締結ボスと螺子結合する荷重支持装置を、運転室の底フレーム側から底板側に締結するよう構成することを技術的思想としていることが分かる。前述した如き本発明の基本的な技術的思想の範疇内で、当業界の通常の技術を有する者においては、様々な変形が可能となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来技術による重装備運転室の荷重支持装置の構成を表す断面図である。
【図2】従来技術による重装備運転室の荷重支持装置の要部構成を表す断面図である。
【図3】本発明による重装備運転室の荷重支持装置及び回転防止装置の構成を表す断面図である。
【図4】本発明による重装備運転室の荷重支持装置、回転防止装置及びシーリング装置の構成を表す断面図である。
【図5】本発明による重装備運転室の荷重支持装置及び回転防止装置及びシーリング装置の構成を表す分解斜視図である。
【図6】図3のA−A’の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
100 車体フレーム
110 底板
120 底フレーム
122 運転室
130 振動吸収装置
140 荷重支持装置
142 締結ボス
144 螺子部
146 頭部
147 胴体部
148 ボルト
150 ストッパプレート
200 ブーツ
220 シーリング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体に装着される車体フレームと、
下部に底フレームが備えられ、前記車体フレームに搭載される運転室と、
前記車体フレームと前記底フレームとの間に設けられて、車体フレームに対して運転室を弾性的に支持する振動吸収装置、及び
一側に結合部を備え、且つ、他側に離脱防止部を備える荷重支持装置を包含し構成されて、
前記荷重支持装置の結合部は車体フレーム側に着脱可能に固定され、離脱防止部は前記底フレームを貫通し、且つ上側に位置して、前記車体フレームと運転室との組立が完成された後にも、前記運転室の底フレーム側から車体フレーム側に締結し得ることを特徴とする重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項2】
中空円筒状の締結ボスが、前記車体フレームの上板底部に一体にさらに備えられ、前記締結ボスの中空内部に螺子部が形成され、且つ、前記結合部にも螺子部が形成されて、前記結合部と締結ボスとが螺子結合することを特徴とする請求項1に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項3】
前記離脱防止部は、頭部を備えたボルトであることを特徴とする請求項1に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項4】
前記離脱防止部は、前記荷重支持装置と一体に備わるリング体のストッパプレートをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項5】
前記車体フレームの一側に固定される結合面と、車体フレームの上板上部に延長される延長面からなり、且つ、前記延長面には少なくとも一つ以上の直線部を備える溝が形成された回転防止プレートと、前記荷重支持装置の結合部と離脱防止部との間に一体に締結され、外周面に前記直線部に対応する回転防止部を備える円筒状の回転防止ボスと、からなる回転防止装置をさらに備えて、荷重支持装置の緩みを防止することを特徴とする請求項1ないし3に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項6】
上下に伸縮自在な円筒状のブーツを運転室の底フレームと前記離脱防止部との間に設けて、運転室内部の気密性を保持するシーリング装置をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項7】
前記ブーツは、該外壁面に上下伸縮自在な蛇腹状からなされていることを特徴とする請求項6に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項8】
前記ブーツは、弾性材より製作されて、ブーツの上端は、離脱防止部の外周面に密着固定され、且つ、ブーツの下端は、運転室の底フレームの貫通孔内周面に密着固定されることを特徴とする請求項6に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項9】
前記離脱防止部の外周面および底フレームの貫通孔内周面にはフロッキング処理されることを、特徴とする請求項8に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項10】
前記離脱防止部の外周面に結合溝が備えられ、且つ、前記ブーツ上端の内側面に結合突起が形成されて、前記結合突起が前記結合溝に挿入され、かつ締結され、前記底フレームには、底部に環状溝の設けられた結合部材をさらに設けて、前記ブーツの下端部が前記環状溝に締結されることを特徴とする請求項6に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項11】
前記荷重支持装置は、前記振動吸収装置の外側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項12】
前記荷重支持装置は、運転室の荷重伝達条件によって、数量及び装着位置を選択的に適用し得ることを特徴とする請求項1に記載の重装備運転室の荷重支持装置。
【請求項13】
内側に螺子山が設けられた中空円筒状の締結ボスを、第1貫通孔が形成された車体フレームの上板フレーム底面に溶接などの方法により一体に締結する段階と、前記車体フレームに対して運転室を弾性的に支持する振動吸収装置を締結する段階と、前記振動吸収装置の上部に、第3貫通孔を有している運転室の底フレームを締結する段階及び、一側に螺子部を備え、且つ、他側に離脱防止部を備える荷重支持装置を前記第3貫通孔及び第1貫通孔の順に貫通し、前記螺子部を締結ボスの螺子山に螺子結合させる段階とを、包含し構成されることを特徴とする重装備運転室の荷重支持装置製作方法。
【請求項14】
前記振動吸収装置を締結する段階と、運転室の底フレームを締結する段階との間に、第2貫通孔の成形された底板を締結する段階をさらに包含しなされることを特徴とする請求項13に記載の重装備運転室の荷重支持装置製作方法。
【請求項15】
前記車体フレームの一側に固定される結合面と、車体フレームの上板上部に延長される延長面とからなり、且つ、前記延長面には少なくとも一つ以上の直線部を備える溝が形成され、且つ、前記荷重支持装置の螺子部と離脱防止部との間に円筒状の回転防止ボスが荷重支持装置と一体に備えられ、前記回転防止ボスの外周面に前記直線部に対応する回転防止部を備える段階をさらに含んでなされることを特徴とする請求項13又は14に記載の重装備運転室の荷重支持装置製作方法。
【請求項16】
上下に伸縮自在な円筒状のブーツを、運転室の底フレームと前記離脱防止部との間に設けて、運転室内部の気密性を保持し得るシーリング装置を備える段階をさらに包含しなされることを特徴とする請求項13又は14に記載の重装備運転室の荷重支持装置製作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−103661(P2006−103661A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117982(P2005−117982)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(502032378)ボルボ コンストラクション イクイップメント ホールディング スウェーデン アーベー (156)
【Fターム(参考)】