説明

重送検知装置およびシート状物取り扱い装置

【課題】従来に比べて顕著な大型化および製造コストの上昇を伴うことなく測定精度を向上させることが可能な重送検知装置を提供する。
【解決手段】重送検知装置100に、ベース10と、第一当接部21を有しベース10に回動可能に支持される第一アーム20と、第一アーム20に固定された第一磁石32と、第二当接部41を有しベース10に回動可能に支持される第二アーム40と、第二アーム40に固定された第二磁石52と、ベース10に固定され、作用する磁場に応じた電気信号を出力するホール素子62と、を具備し、第一磁石32のS極と第二磁石52のN極とを対向させ、ホール素子62を第一磁石32および第二磁石52によって挟まれる位置に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路に沿って搬送されるシート状物が複数枚重なっているか否かを検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気センサを用いて搬送経路に沿って搬送されるシート状物の厚さを測定する技術が知られている。例えば、特許文献1および特許文献2に記載の如くである。
搬送経路に沿って搬送されるシート状物の厚さを測定する技術は、測定されたシート状物の厚さに基づいてシート状物が複数枚重なっているか否かを検知する技術への応用が可能である。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載の装置はいずれも、一端部が回動可能に支持されたアームと、アームに回転可能に軸支されるとともに搬送経路に沿って搬送されるシート状物に当接するローラと、アームに固定された永久磁石と、永久磁石に対向する位置(永久磁石が発生する磁場を検知し得る位置)に配置された磁気センサと、を具備する。
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の装置の場合、搬送経路に沿って搬送されるシート状物の厚さが変化したとき、ローラがシート状物に当接した状態を保持するようにアームが回動し、アームに固定された永久磁石が磁気センサに対して相対移動する。その結果、永久磁石から磁気センサまでの距離が変化することにより磁気センサに作用する磁場(磁束密度)が変化する。
磁気センサは磁気センサに作用する磁場の強さ(磁束密度の大きさ)に応じた電圧の電気信号を出力する。
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の装置の場合、測定精度(より厳密には、シート状物の厚さの測定精度、あるいはシート状物が複数枚重なっているか否かの測定精度)を向上させる方法として、一般的には以下の(1)から(3)の方法が考えられる。
(1)「アームの回動角度当たりの永久磁石の移動距離」を大きくすることにより、永久磁石の移動距離当たりの「磁気センサに作用する磁場の変化量」を大きくする。
(2)より大きい磁場を発生させることが可能な永久磁石を選択することにより、永久磁石の移動距離当たりの「磁気センサに作用する磁場の変化量」を大きくする。
(3)より感度が高い磁気センサを選択することにより、磁場の微少な変化を検知可能とする。
【0006】
しかし、上記(1)の場合、アームの全長が長くなるため、装置が全体として大型化してしまう。
また、上記(2)の場合、例えば、ネオジム磁石のように発生する磁界(磁束密度)が強い永久磁石の価格は広く普及しているフェライト磁石よりも一般に高価であるため、装置の製造コストが上昇する。
また、上記(3)の場合、一般に感度の高い磁気センサは高価であるため、装置の製造コストが上昇する。
【0007】
また、一つの(単独の)永久磁石の周囲に形成される磁場の強さ(磁束密度の大きさ)は、永久磁石からの距離が大きくなるにつれて急激に弱くなる(磁束密度が小さくなる)ので、当該永久磁石を磁気センサのごく近傍に配置した場合しか移動距離あたりの磁束密度の変化量を大きくすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−179247号公報
【特許文献2】特開平1−263505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、従来(アーム、永久磁石および磁気センサをそれぞれ一つずつ具備する装置)に比べて顕著な大型化および製造コストの上昇を伴うことなく測定精度を向上させることが可能な重送検知装置を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下では、上記課題を解決するための手段について説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、
一対のシート面を有するとともに搬送経路に沿って予め設定された搬送方向に搬送されるシート状物が一枚のシート状物であるか、それとも複数枚のシート状物が重なったものであるか、を検知する重送検知装置であって、
前記搬送経路の中途部、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物に対向する位置である検知位置に固定されるベース部材と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第一当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第一当接部が前記搬送経路に接近する方向である第一接近方向に回動するように第一付勢力が付与され、前記第一当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第一付勢力に抗して前記第一当接部が前記搬送経路から離間する方向である第一離間方向に回動する第一アーム部材と、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第二当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第二当接部が前記搬送経路に接近する方向である第二接近方向に回動するように第二付勢力が付与され、前記第二当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第二付勢力に抗して前記第二当接部が前記搬送経路から離間する方向である第二離間方向に回動する第二アーム部材と、
前記第二アーム部材に固定された第二磁石と、
前記ベース部材に固定され、作用する磁場に応じた電気信号を出力する磁気センサと、
を具備し、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石のN極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のS極とが対向、または、前記第一アーム部材に固定された第一磁石のS極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のN極とが対向し、
前記磁気センサは前記第一磁石および前記第二磁石によって挟まれる位置に配置され、
前記第一アーム部材が前記第一離間方向に回動したときには前記第一磁石は前記第二磁石および前記磁気センサの両方から離間する方向に移動し、
前記第二アーム部材が前記第二離間方向に回動したときには前記第二磁石は前記第一磁石および前記磁気センサの両方から離間する方向に移動するものである。
【0012】
請求項2においては、
一対のシート面を有するとともに搬送経路に沿って予め設定された搬送方向に搬送されるシート状物が一枚のシート状物であるか、それとも複数枚のシート状物が重なったものであるか、を検知する重送検知装置であって、
前記搬送経路の中途部、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物に対向する位置である検知位置に固定されるベース部材と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第一当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第一当接部が前記搬送経路に接近する方向である第一接近方向に回動するように第一付勢力が付与され、前記第一当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第一付勢力に抗して前記第一当接部が前記搬送経路から離間する方向である第一離間方向に回動する第一アーム部材と、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第二当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第二当接部が前記搬送経路に接近する方向である第二接近方向に回動するように第二付勢力が付与され、前記第二当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第二付勢力に抗して前記第二当接部が前記搬送経路から離間する方向である第二離間方向に回動する第二アーム部材と、
前記第二アーム部材に固定された第二磁石と、
前記ベース部材に固定され、作用する磁場に応じた電気信号を出力する磁気センサと、
を具備し、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石のN極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のS極とが対向、または、前記第一アーム部材に固定された第一磁石のS極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のN極とが対向し、
前記磁気センサは前記第一磁石および前記第二磁石によって挟まれる位置に配置され、
前記第一アーム部材が前記第一離間方向に回動したときには前記第一磁石は前記第二磁石および前記磁気センサの両方に接近する方向に移動し、
前記第二アーム部材が前記第二離間方向に回動したときには前記第二磁石は前記第一磁石および前記磁気センサの両方に接近する方向に移動するものである。
【0013】
請求項3においては、
前記第一アーム部材が回動したときに前記第一磁石が移動する方向および前記第二アーム部材が回動したときに前記第二磁石が移動する方向は、前記第一磁石および前記第二磁石の間に発生する磁場の磁力線の方向に対して平行である。
【0014】
請求項4においては、
前記ベース部材が前記検知位置に固定されたとき、前記ベース部材に対する前記第一アーム部材の回動軸を成す第一回動軸の軸線方向および前記ベース部材に対する前記第二アーム部材の回動軸を成す第二回動軸の軸線方向はいずれも前記搬送方向に対して垂直であり、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一対のシート面に対して平行である。
【0015】
請求項5においては、
前記第二アーム部材の第二当接部は、前記搬送方向において前記第一アーム部材の第一当接部よりも下流側となる位置に配置されるものである。
【0016】
請求項6においては、
前記ベース部材に固定され、前記磁気センサに接続され、前記磁気センサが出力した電気信号の時間微分の値に応じた電気信号を出力する微分回路を更に具備するものである。
【0017】
請求項7においては、
前記第一アーム部材に前記第一付勢力を付与する第一付勢力付与部材を更に具備するものである。
【0018】
請求項8においては、
前記第二アーム部材に前記第二付勢力を付与する第二付勢力付与部材を更に具備するものである。
【0019】
請求項9においては、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の重送検知装置を具備するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、従来に比べて顕著な大型化および製造コストの上昇を伴うことなく測定精度を向上させることが可能である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を具備する複合機を示す斜視図。
【図2】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す左前上方からの斜視図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す右後下方からの斜視図。
【図3】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す分解斜視図。
【図4】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す正面図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す背面図。
【図5】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す平面図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す底面図。
【図6】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す左側面図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態を示す右側面図。
【図7】(a)図5の(b)におけるA−A矢視断面図、(b)図5の(b)におけるB−B矢視断面図。
【図8】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態におけるベースを示す左前上方からの斜視図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態におけるベースを示す右後下方からの斜視図。
【図9】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態における第一アームを示す左前上方からの斜視図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態における第一アームを示す右後下方からの斜視図。
【図10】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態における第二アームを示す左前上方からの斜視図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態における第二アームを示す右後下方からの斜視図。
【図11】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態におけるセンサユニットを示す左前上方からの斜視図、(b)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態におけるセンサユニットを示す右後下方からの斜視図。
【図12】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態とこれを具備する複合機の各部との接続を示すブロック図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態とこれを具備する複合機の各部との接続を示すブロック図。
【図13】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が一枚のシート状物を検知するときの挙動を示す左側面図。
【図14】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が一枚のシート状物を検知するときの出力電圧を示す図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態が一枚のシート状物を検知するときの出力電圧を示す図。
【図15】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向においてずれることなく重なった二枚のシート状物」を検知するときの挙動を示す左側面図。
【図16】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向においてずれることなく重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態が「搬送方向においてずれることなく重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図。
【図17】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向において小さくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの挙動を示す左側面図。
【図18】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向において小さくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態が「搬送方向において小さくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図。
【図19】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向において大きくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの挙動を示す左側面図。
【図20】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「搬送方向において大きくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態が「搬送方向において大きくずれて重なった二枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図。
【図21】本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「一方のシート面に小さいラベルが貼られた一枚のシート状物」を検知するときの挙動を示す左側面図。
【図22】(a)本発明に係る重送検知装置の実施の一形態が「一方のシート面に小さいラベルが貼られた一枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図、(b)本発明に係る重送検知装置の別実施形態が「一方のシート面に小さいラベルが貼られた一枚のシート状物」を検知するときの出力電圧を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では図1および図12を用いて本発明に係る重送検知装置の実施の一形態である重送検知装置100を具備する複合機1について説明する。
る。
【0023】
複合機1は本発明に係る重送検知装置を具備するシート状物取り扱い装置の実施の一形態である。
【0024】
「シート状物」は長さ方向および幅方向に比べて厚さ方向が薄い形状の物品を指す。
シート状物を構成する材料は、金属材料、樹脂材料、繊維(天然繊維および合成繊維)その他の材料、あるいはこれらを組み合わせたものでも良い。
シート状物の具体例としては紙、布、樹脂製のフィルム、金属箔、金属板、木板、樹脂板等が挙げられる。
シート状物は一対のシート面を有する。「一対のシート面」はシート状物の外表面のうち、厚さ方向に垂直な一対の面を指す。
シート状物が印刷用紙である場合、印刷用紙の印刷面を成す一対の面(表面および裏面)が一対のシート面に相当する。
シート状物の基準となる厚さ(基準厚さ)は予め設定される。また、複数のシート状物における厚さのバラツキ(基準厚さからのずれ)は、仮に存在したとしてもそれほど大きくない(シート状物の基準厚さに比べて十分に小さい)。
【0025】
「シート状物取り扱い装置」は本実施形態の複合機1に限定されず、シート状物を搬送する機能を備える装置を広く含む。
「シート状物取り扱い装置」の例としては、原稿および「原稿の複製物を印刷するための印刷用紙」のうち少なくとも一方を搬送する機能を有する事務機器、紙幣を搬送する機能を有する現金自動預け払い装置(Automated Teller Machine;ATM)等が挙げられる。
上記事務機器の具体例としては、以下の(a)〜(d)等が挙げられる。
(a)原稿自動送り装置(Auto Document Feeder;ADF)を備えるとともに原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る情報(以下、画像情報という)を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を有するスキャナー。
(b)原稿を読み取る機能、画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能および他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を有するファクス。
(c)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る情報をプリントアウトする機能を具備するコピー機。
(d)上記スキャナー、ファクス、およびコピー機としての機能を兼ねる複合機。
【0026】
図1に示す如く、複合機1は複合機本体2、原稿圧着板3、ヒンジ4・4および重送検知装置100を具備する。
【0027】
複合機本体2は、本体ケース2a、原稿読み取り装置2b、本体側制御装置2c、印刷装置2d、紙供給装置2e、トレイ2f、搬送経路2g、表示装置2hおよび入力装置2iを具備する。
【0028】
本体ケース2aは複合機本体2を構成する他の部材を収容する。
本実施形態の本体ケース2aは大まかに分けて上部ケース、下部ケースおよびこれらを繋ぐ支柱を備える。下部ケースの上面側端部に支柱の下端部が固定され、さらに上部ケースの下面側端部に支柱の下端部が固定されることにより、下部ケースの上面から支柱の長さ分だけ上方となる位置に上部ケースが支持される。
【0029】
原稿読み取り装置2bは原稿を読み取るものであり、上部ケースの上面(複合機本体2の上面)に配置される。
【0030】
本体側制御装置2cは複合機1の動作を制御するものである。
本実施形態の本体側制御装置2cは実体的にはROM、RAMあるいはレジスタからなる記憶部、およびCPUからなる演算部等が実装された基板からなり、本体ケース2aの上部ケースに収容される。
本体側制御装置2cにはスキャナーとしての機能に係るプログラム、ファクスとしての機能に係るプログラム、コピー機としての機能に係るプログラム等が格納され、これらのプログラムに従って原稿読み取り装置2b、印刷装置2d、紙供給装置2e等の動作の制御を行う。
図12の(a)に示す如く、本体側制御装置2cは原稿読み取り装置2bに接続され、原稿読み取り装置2bの動作状況に係る情報および原稿読み取り装置2bにより読み取られた画像情報を取得する(受信する)ことが可能であるとともに、原稿読み取り装置2bに所定の動作を行わせるための信号を送信することが可能である。
本体側制御装置2cは原稿読み取り装置2bから取得した画像情報を記憶することが可能である。
本体側制御装置2cは通信回線(不図示)に接続され、本体側制御装置2cに記憶された画像情報を当該通信回線を介して他の機器に送信することが可能である。
図12の(a)に示す如く、本体側制御装置2cは印刷装置2dに接続され、印刷装置2dの動作状況に係る情報を取得する(受信)ことが可能であるとともに、印刷装置2dに所定の動作を行わせるための信号を送信することが可能である。
【0031】
印刷装置2dは本体側制御装置2cに記憶された画像情報に基づいて紙7(本発明に係るシート状物の実施の一形態、図13参照)に画像を印刷する装置である。印刷装置2dは本体ケース2aの下部ケースにおける上半部に収容される。
【0032】
紙供給装置2eは複数枚の紙7・7・・・を積層した状態で収容し、かつ複数枚の紙7・7・・・を一枚ずつ取り出す装置である。
紙供給装置2eは本体ケース2aの下部ケースにおける下半部(印刷装置2dの下方となる位置)に収容される。
図12の(a)に示す如く、紙供給装置2eは本体側制御装置2cに接続され、本体側制御装置2cから受信する指令信号に基づいて複数枚の紙7・7・・・を一枚ずつ取り出して搬送経路2gに紙を供給する。
【0033】
トレイ2fは印刷された紙7・7・・・を受け取るものである。本実施形態のトレイ2fは本体ケース2aの下部ケースの上面に形成される。
【0034】
搬送経路2gは本発明に係る搬送経路の実施の一形態である。
「搬送経路」はシート状物を予め設定された搬送方向に搬送するための経路である。
搬送経路の具体例としては、シート状物の一方のシート面に当接する搬送面およびシート状物幅方向の一対の端面(シート状物の搬送方向に対して垂直な一対の端面)に当接する一対のガイド面を有するレール状の部材、シート状物のシート面に当接しつつ回転することによりシート状物を搬送する搬送ローラが搬送方向に並んだもの、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等が挙げられる。
本実施形態の場合、搬送経路2gは紙供給装置2eから取り出された紙7を印刷装置2dに向かって(複合機1の上方に)搬送し、印刷装置2dにおいて印刷された紙7をトレイ2fに向かって(複合機1の上方に)搬送する。
【0035】
図12の(a)に示す如く、表示装置2hは本体側制御装置2cに接続され、本体側制御装置2cから取得した複合機1の動作状況に係る情報等を表示するものである。
本実施形態の表示装置2hは液晶ディスプレイからなり、本体ケース2aの上部ケースの上面に配置される。
【0036】
図12の(a)に示す如く、入力装置2iは本体側制御装置2cに接続され、作業者が複合機1に対する指示等を入力するものである。
本実施形態の入力装置2iは複数のスイッチからなり、本体ケース2aの上部ケースの上面に配置される。
本実施形態では表示装置2hと入力装置2iとが別体であるが、例えばタッチパネルを用いることにより表示装置と入力装置とを一体としても良い。
【0037】
原稿圧着板3は複合機本体2の上面に配置された原稿読み取り装置2bの上に載置された原稿を原稿読み取り装置2bに向かって押さえつける(圧着する)ことにより、原稿読み取り装置2bが原稿を読み取る際に原稿が動く(原稿と原稿読み取り装置2bとの間の相対的な位置が変化する)ことを防止するものである。
原稿圧着板3は複合機本体2の上方に配置され、ヒンジ4・4により複合機本体2に回動可能に連結される。
【0038】
原稿圧着板3は原稿自動送り装置3aを具備する。
図12の(a)に示す如く、原稿自動送り装置3aは本体側制御装置2cに接続され、本体側制御装置2cから受信した指令信号に基づいて原稿圧着板3の上面に設けられた読取前原稿収容トレイ(不図示)に積層状態で収容された複数枚の原稿を一枚ずつ順に取り出し、原稿読み取り装置2bの上に設定された読取位置に載置し、原稿読み取り装置2bによる読み取りが終了した後に当該原稿を原稿圧着板3の上面に設けられた読取後原稿収容トレイ(不図示)に搬送する。
【0039】
以下では、図面を参照して本発明に係る重送検知装置の実施の一形態である重送検知装置100について説明する。
【0040】
図1に示す如く、重送検知装置100は搬送経路2gの中途部に設けられる。
重送検知装置100は「搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向(図1においては、上方)に搬送される紙7(図13参照)」が「一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの(図15、図17および図19参照)」であるか、を検知する装置である。
「重送」とは、複数枚のシート状物が重なった状態で搬送されること」を指す。
「搬送方向」とは、搬送経路に沿ってシート状物が搬送される方向を指す。
【0041】
以下の説明および図1を除く図面においては便宜上、紙7が搬送される方向(搬送方向)を「後方」と定義することにより「前後方向」を定義し、当該前後方向に対して垂直かつ搬送経路2gの搬送面(搬送経路2gに沿って搬送される紙7の一対のシート面に平行となる面)に対して垂直となる方向を「上下方向」と定義し、当該前後方向に対して垂直かつ搬送経路2gの搬送面に対して平行となる方向(当該前後方向および当該上下方向に対して垂直となる方向)を「左右方向」と定義し、これら定義された方向を用いて重送検知装置100の詳細を説明する。
なお、ここで定義された方向(前後方向、上下方向および左右方向)は本発明に係る重送検知装置の使用時の姿勢を限定するものではない。すなわち、本発明に係る重送検知装置の使用時の姿勢がここで定義された方向と異なる態様であっても良い。
【0042】
図2から図7(特に、図3および図7)に示す如く、重送検知装置100はベース10、第一アーム20、第一回動ピン31、第一磁石32、第一バネ33、第二アーム40、第二回動ピン51、第二磁石52、第二バネ53およびセンサユニット60を具備する。
【0043】
以下では図2、図3、図5および図8を用いてベース10の詳細について説明する。
ベース10は本発明に係るベース部材の実施の一形態である。
ベース10は重送検知装置100の主たる構造体を成す部材である。
図3に示す如く、本実施形態のベース10はベース本体11、ベースカバー12およびネジ13・13・13・13を具備する。
【0044】
図8に示す如く、ベース本体11は上面、下面、前面、後面、左側面および右側面を有する概ね直方体形状の部材である。本実施形態のベース本体11は樹脂材料を成形することにより製造される。
【0045】
ベース本体11には収容室11aが形成される。収容室11aはベース本体11の内部形成される空間である。収容室11aには重送検知装置100を構成する他の部材が収容される。
ベース本体11には開口部11b、開口部11cおよび開口部11dが形成される。開口部11bはベース本体11の上面から右側面の上半部に至る部分において収容室11aとベース本体11の外部とを連通する。開口部11cはベース本体11の下面の左半部において収容室11aとベース本体11の外部とを連通する。開口部11dはベース本体11の後面の下部から下面の後部に至る部分において収容室11aとベース本体11の外部とを連通する。
ベース本体11には第一軸支孔11eおよび第二軸支孔11fが形成される。第一軸支孔11eはベース本体11の左側面の前上部から収容室11aの内周面まで貫通する孔である。第二軸支孔11fはベース本体11の右側面の後下部から収容室11aの内周面まで貫通する孔である。
ベース本体11にはネジ穴11g・11g・11g・11gが形成される。ネジ穴11g・11g・11g・11gはそれぞれベース本体11の上面の左前部、右前部、左後部および右後部において開口する穴であり、それらの内周面には雌ネジが形成される。
【0046】
図3に示すベースカバー12は上面および下面を有するとともに平面視で概ね長方形の板状の部材であり、ベース本体11の上面を覆う部材である。本実施形態のベースカバー12は樹脂材料を成形することにより製造される。
ベースカバー12には貫通孔12a・12a・12a・12aおよび貫通孔12b・12b・12b・12bが形成される。貫通孔12a・12a・12a・12aはベースカバー12の上面の左前部、右前部、左後部および右後部においてベースカバー12の上面から下面まで貫通する。
貫通孔12b・12b・12b・12bはそれぞれベースカバー12の前端部および後端部かつ左右方向において貫通孔12a・12a・12a・12aよりも中央寄りとなる位置に配置され、ベースカバー12の上面から下面まで貫通する。
【0047】
図3に示すネジ13・13・13・13はベースカバー12をベース本体11に固定するためのネジである。
図2および図3に示す如く、ネジ13・13・13・13を貫通孔12b・12b・12b・12bに貫通させ、ネジ穴11g・11g・11g・11gにねじ込むことにより、ベースカバー12はベース本体11に固定される。
図5の(b)に示す如く、ベースカバー12がベース本体11に固定されたとき、ベースカバー12の左端部はベース本体11の左面よりも左側方に突出し、かつベースカバー12の右端部はベース本体11の左面よりも右側方に突出する。そのため、貫通孔12a・12a・12a・12aはベース本体11により閉塞されない。
【0048】
以下では図9を用いて第一アーム20の詳細について説明する。
第一アーム20は本発明に係る第一アーム部材の実施の一形態である。
図9に示す如く、第一アーム20は屈曲した棒状の部材である。より詳細には、本実施形態の第一アーム20は一端部から前上方に延びて第一屈曲部に到達し、第一屈曲部で屈曲し、第一屈曲部から上方に延びて第二屈曲部に到達し、第二屈曲部で屈曲し、第二屈曲部から後方に延びて第三屈曲部に到達し、第三屈曲部で屈曲し、第三屈曲部から右側方に延びて他端部に至る形状を有する。
本実施形態の第一アーム20は樹脂材料を成形することにより製造される。
【0049】
第一アーム20の一端部は第一当接部21を成す。第一当接部21は本発明に係る第一当接部の実施の一形態である。
第一アーム20には貫通孔22が形成される。貫通孔22は第一アーム20の第二屈曲部において第一アーム20を左右方向に貫通する。
第一アーム20には磁石固定穴23が形成される。磁石固定穴23は第一アーム20の他端部の上面に開口するとともに底面を有する。
第一アーム20にはバネ受け穴24が形成される。バネ受け穴24は第一アーム20の第三屈曲部の上面に開口するとともに底面を有する。
【0050】
以下では図2、図3、図6および図7を用いて第一回動ピン31の詳細について説明する。
第一回動ピン31は本発明に係る第一回動軸の実施の一形態であり、ベース10に対する第一アーム20の回動軸を成す部材である。
図3に示す如く、第一回動ピン31は概ね円柱形状(丸棒形状)の部材である。本実施形態の第一回動ピン31は鋼線を適当な長さで切断することにより製造される。
【0051】
図3および図6に示す如く、第一アーム20をベース本体11の収容室11aに収容し、第一回動ピン31をベース本体11の第一軸支孔11eおよび第一アーム20の貫通孔22に差し込むことにより、第一アーム20はベース本体11(ひいてはベース10)に対して第一回動ピン31を中心として回動可能に支持される。
本実施形態の場合、第一アーム20がベース本体11に対して第一回動ピン31を中心として回動可能に支持されたとき、第一回動ピン31の軸線方向(長手方向)は左右方向に平行である。
【0052】
第一回動ピン31の直径は貫通孔22よりも僅かに大きくかつ第一軸支孔11eよりも僅かに小さい。
従って、第一回動ピン31は第一アーム20に対して相対回転不能かつ第一回動ピン31の軸線方向(長手方向)に相対移動不能に固定され、かつベース本体11に対して回転可能に軸支される。
なお、第一軸支孔11eおよび貫通孔22に差し込まれた第一回動ピン31がベース本体11および第一アーム20から脱落することはない。
【0053】
図2、図6および図7の(a)に示す如く、第一アーム20が第一回動ピン31によりベース本体11に回動可能に支持されたとき、「第一アーム20のうち第一当接部21を除く部分」はベース本体11の収容室11aに収容され、第一アーム20の第一当接部21は開口部11cを通じてベース本体11の外部に突出してベース本体11の下面よりも下方となる位置に配置される。
【0054】
以下では図3、図7および図9を用いて第一磁石32の詳細について説明する。
第一磁石32は本発明に係る第一磁石の実施の一形態である。
図3に示す第一磁石32は上下一対の端面(上端面および下端面)および外周面を有するやや薄い円柱形状の永久磁石である。
「永久磁石」は、自発的に(外部から磁場あるいは電流が供給されない状態で)磁化し、周囲に磁場を発生させる(ひいては、磁力を発生させる)性質を有する物体であり、通常は強磁性体からなる。
永久磁石の具体例としては、アルニコ磁石、KS鋼、MK鋼、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等、既知の種々の磁石が挙げられる。
本実施形態の第一磁石32はフェライト磁石からなる。第一磁石32は、第一磁石32の上端部(上端面の近傍となる部分)がN極となり、かつ第一磁石32の下端部(下端面の近傍となる部分)がS極となるように着磁される。
図7の(b)および図9に示す如く、第一磁石32は第一アーム20の磁石固定穴23に押し込まれ、第一磁石32の下端面が磁石固定穴23の底面に当接する位置で磁石固定穴23から脱落不能に固定される。
【0055】
以下では図3、図7および図9を用いて第一バネ33の詳細について説明する。
第一バネ33は本発明に係る第一付勢力付与部材の実施の一形態である。
図3に示す第一バネ33は金属材料からなる巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図7の(a)に示す如く、第一バネ33はベース本体11の収容室11aに収容され、第一バネ33の一端部(上端部)はベースカバー12の下面に当接し、第一バネ33の他端部(下端部)は第一アーム20のバネ受け穴24に挿入されてバネ受け穴24の底面に当接する。
【0056】
第一バネ33がベース本体11の収容室11aに収容され、第一バネ33の一端部がベースカバー12の下面に当接し、かつ第一バネ33の他端部が第一アーム20のバネ受け穴24の底面に当接しているとき、第一バネ33は弾性変形して元の形状(第一バネ33に外力が加わっていないときの形状)よりも圧縮された状態となっており、元の形状に戻ろうとして第一アーム20の第三屈曲部を下方に押す。
その結果、第一アーム20は、第一バネ33により第一回動ピン31を中心として左側面視で時計回りに回動するように付勢される。言い換えれば、第一バネ33は第一アーム20に「第一回動ピン31を中心として左側面視で時計回りに回動する力(付勢力)」を付与する(図7の(a)参照)。
「第一バネ33が第一アーム20に付与する付勢力」は本発明に係る第一付勢力の実施の一形態である。
【0057】
以下では図10を用いて第二アーム40の詳細について説明する。
第二アーム40は本発明に係る第二アーム部材の実施の一形態である。
図10に示す如く、第二アーム40は屈曲した棒状の部材である。より詳細には、本実施形態の第二アーム40は一端部から前上方に延びて第一屈曲部に到達し、第一屈曲部で屈曲し、第一屈曲部から上方に延びて第二屈曲部に到達し、第二屈曲部で屈曲し、第二屈曲部から前方に延びて第三屈曲部に到達し、第三屈曲部で屈曲し、第三屈曲部から上方に延びて他端部に至る形状を有する。
本実施形態の第二アーム40は樹脂材料を成形することにより製造される。
【0058】
第二アーム40の一端部は第二当接部41を成す。第二当接部41は本発明に係る第二当接部の実施の一形態である。
第二アーム40には貫通孔42が形成される。貫通孔42は第二アーム40の第二屈曲部において第二アーム40を左右方向に貫通する。
第二アーム40には磁石固定・バネ受け穴45が形成される。磁石固定・バネ受け穴45は「第二アーム40の第二屈曲部から第三屈曲部までの部分」における第三屈曲部寄りの端部に配置され、磁石固定・バネ受け穴45の開口部は下方に向いている(図10の(b)参照)。磁石固定・バネ受け穴45は頂面を有する。
第二アーム40には窪み46が形成される。窪み46は第二アーム40の他端部の上面に開口するとともに底面を有する。
【0059】
以下では図2、図3、図6および図7を用いて第二回動ピン51の詳細について説明する。
第二回動ピン51は本発明に係る第二回動軸の実施の一形態であり、ベース10に対する第二アーム40の回動軸を成す部材である。
図3に示す如く、第二回動ピン51は概ね円柱形状(丸棒形状)の部材である。本実施形態の第二回動ピン51は鋼線を適当な長さで切断することにより製造される。
【0060】
図3および図6に示す如く、第二アーム40をベース本体11の収容室11aに収容し、第二回動ピン51をベース本体11の第二軸支孔11fおよび第二アーム40の貫通孔42に差し込むことにより、第二アーム40はベース本体11(ひいてはベース10)に対して第二回動ピン51を中心として回動可能に支持される。
本実施形態の場合、第二アーム40がベース本体11に対して第二回動ピン51を中心として回動可能に支持されたとき、第二回動ピン51の軸線方向(長手方向)は左右方向に平行である。
従って、第一アーム20および第二アーム40がベース本体11(ひいてはベース10)に回動可能に支持されたとき、第一回動ピン31の軸線方向および第二回動ピン51の軸線方向は互いに平行である。
【0061】
第二回動ピン51の直径は貫通孔42よりも僅かに大きくかつ第二軸支孔11fよりも僅かに小さい。
従って、第二回動ピン51は第二アーム40に対して相対回転不能かつ第二回動ピン51の軸線方向(長手方向)に相対移動不能に固定され、かつベース本体11に対して回転可能に軸支される。
なお、第二軸支孔11fおよび貫通孔42に差し込まれた第二回動ピン51がベース本体11および第二アーム40から脱落することはない。
【0062】
図2、図6および図7の(b)に示す如く、第二アーム40が第二回動ピン51によりベース本体11に回動可能に支持されたとき、「第二アーム40のうち第二当接部41を除く部分」はベース本体11の収容室11aに収容され、第二アーム40の第二当接部41は開口部11dを通じてベース本体11の外部に突出してベース本体11の下面よりも下方となる位置に配置される。
【0063】
図6および図7の(a)に示す如く、ベース本体11に回動可能に支持された第二アーム40の第二当接部41は、ベース本体11に回動可能に支持された第一アーム20の第一当接部21の後方、すなわち紙7の搬送方向(前方から後方に向かう方向)において第一当接部21よりも下流側となる位置に配置される。
言い換えれば、ベース本体11に回動可能に支持された第一アーム20の第一当接部21は、ベース本体11に回動可能に支持された第二アーム40の第二当接部41の前方、すなわち紙7の搬送方向において第二当接部41よりも上流側となる位置に配置される。
【0064】
以下では図3、図7および図10を用いて第二磁石52の詳細について説明する。
第二磁石52は本発明に係る第二磁石の実施の一形態である。
図3に示す第二磁石52は上下一対の端面(上端面および下端面)および外周面を有するやや薄い円柱形状の永久磁石である。
本実施形態の第二磁石52はフェライト磁石からなる。第二磁石52は、第二磁石52の上端部(上端面の近傍となる部分)がN極となり、かつ第二磁石52の下端部(下端面の近傍となる部分)がS極となるように着磁される。
図7の(b)および図10に示す如く、第二磁石52は第二アーム40の磁石固定・バネ受け穴45に押し込まれ、第二磁石52の上端面が磁石固定・バネ受け穴45の頂面に当接する位置で磁石固定・バネ受け穴45から脱落不能に固定される。
なお、図7の(b)に示す如く、第二磁石52が磁石固定・バネ受け穴45に固定されたとき、第二磁石52の下端面は磁石固定・バネ受け穴45の開口部よりも上方となる位置に配置される。
【0065】
以下では図3、図7および図10を用いて第二バネ53の詳細について説明する。
第二バネ53は本発明に係る第二付勢力付与部材の実施の一形態である。
図3に示す第二バネ53は金属材料からなる巻きバネであり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図7の(a)および(b)に示す如く、第二バネ53はベース本体11の収容室11aに収容され、第二バネ53の一端部(下端部)は収容室11aの底面に当接し、第二バネ53の他端部(上端部)は第二アーム40の磁石固定・バネ受け穴45に挿入されて第二磁石52の下端面に当接する。
【0066】
第二バネ53がベース本体11の収容室11aに収容され、第二バネ53の一端部が収容室11aの底面に当接し、かつ第二バネ53の他端部が第二磁石52の下端面に当接しているとき、第二バネ53は弾性変形して元の形状(第二バネ53に外力が加わっていないときの形状)よりも圧縮された状態となっており、元の形状に戻ろうとして第二磁石52、ひいては第二アーム40の第三屈曲部(第二磁石52の下端面)を上方に押す。
その結果、第二アーム40は、第二バネ53により第二回動ピン51を中心として左側面視で時計回りに回動するように付勢される。言い換えれば、第二バネ53は第二アーム40に「第二回動ピン51を中心として左側面視で時計回りに回動する力(付勢力)」を付与する(図7の(a)および(b)参照)。
「第二バネ53が第二アーム40に付与する付勢力」は本発明に係る第二付勢力の実施の一形態である。
【0067】
以下では図3、図7および図11を用いてセンサユニット60の詳細について説明する。
図11に示す如く、センサユニット60は基板61、ホール素子62およびコネクタ63を具備する。
【0068】
基板61は上下一対の板面および前後左右の端面を有し、平面視長方形状の板状の部材である。本実施形態の基板61は絶縁材料(例えば、フェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂、窒化珪素あるいは窒化アルミニウム等の絶縁性セラミックス)からなり、基板61の上下一対の板面には電流経路を成す回路パターンが形成される。
【0069】
ホール素子62は本発明に係る磁気センサの実施の一形態であり、自己に作用する磁場(の強さ)に応じた電気信号を出力する。
本実施形態のホール素子62は一対の膜面(上面および下面)および四つの端面(前面、後面、左側面および右側面)を有する半導体薄膜、並びに、当該半導体薄膜の互いに対向する側端面に接続された二つの入力端子および二つの出力端子からなる計四つの端子、を具備する。
ホール素子62の二つの入力端子はそれぞれホール素子62の半導体薄膜の前面および後面に接続され、ホール素子62の二つの出力端子はそれぞれホール素子62の半導体薄膜の左側面および右側面に接続される。
ホール素子62の二つの入力端子に電圧を印加しつつホール素子62の薄膜の上面および下面を貫通する磁場を作用させたとき、ホール効果により当該磁場の強さに応じてホール素子62の二つの出力端子の間には電位差(電圧)が生じる。
より詳細には、ホール素子62の二つの入力端子に印加される電圧(ひいては電流)が一定であるとき、ホール素子62の二つの出力端子の間に発生する電位差(電圧)はホール素子62に作用する磁束密度の大きさ(磁場の強さ)に概ね比例する。
ホール素子62はホール素子62の二つの出力端子の間に生じる電位差(電圧)を電気信号として出力する。
ホール素子62はホール素子62の上面が基板61の下側の板面に対向する姿勢で基板61の下側の板面における左前部に固定される。
また、ホール素子62の四つの端子ははんだ付けにより基板61に形成された回路パターンに電気的に接続される。
【0070】
コネクタ63は外部の機器等とホール素子62とを接続するものである。
本実施形態のコネクタ63は箱状部材と、複数の接続ピンと、を具備する。
コネクタ63の箱状部材は樹脂材料からなり、内部空間が形成されるとともに右側面に当該内部空間と外部とを連通する開口部(コネクタ差し込み口)が形成される。
コネクタ63の複数の接続ピンはコネクタ63の箱状部材の内部に配置され、複数の接続ピンの基端部はそれぞれコネクタ63の箱状部材に支持される。
コネクタ63は基板61の上側の板面における右後部に固定される。コネクタ63が基板61に固定されたとき、複数の接続ピンの基端部はそれぞれはんだ付けにより基板61に形成された回路パターン、ひいてはホール素子62の四つの端子に電気的に接続される(図12の(a)参照)。
【0071】
図3および図7に示す如く、センサユニット60をベース本体11の収容室11aに収容し、ベースカバー12をベース本体11に固定することにより、センサユニット60はベース10に固定される。
センサユニット60がベース10に固定されたとき、基板61の前後左右の端面および下側の板面は収容室11aの内周面に当接し、かつコネクタ63の箱状部材の上面はベースカバー12の下側の板面に当接する。
従って、ベース10に対するセンサユニット60、ひいてはホール素子62の位置および姿勢は一定に保持される(ホール素子62はベース10に対して相対移動不可かつ相対回転不能に固定される)。
【0072】
図2の(b)および図6の(b)に示す如く、センサユニット60がベース10に固定されたとき、コネクタ63の箱状部材の開口部(コネクタ差し込み口)はベース本体11の開口部11bに対応する位置に配置される。
従って、他のコネクタ(不図示)を重送検知装置100の外部から開口部11bを通してコネクタ63の箱状部材の開口部(コネクタ差し込み口)に差し込むことが可能である。
【0073】
本実施形態の場合、一端部が本体側制御装置2cに接続された配線の他端側に他のコネクタ(不図示)を設け、当該他のコネクタをコネクタ63の箱状部材の開口部に差し込むことにより、ホール素子62がコネクタ63を経て本体側制御装置2cに接続される(図12の(a)参照)。
ホール素子62は本体側制御装置2cからホール素子62の二つの入力端子を経てホール素子62を作動させるための電力の供給を受けるとともに、ホール素子62の二つの出力端子を経て本体側制御装置2cに電気信号(ホール素子62に作用する磁場の強さに応じた出力電圧)を送信する。
【0074】
図6および図7の(b)に示す如く、本実施形態では、センサユニット60がベース10に固定され、第一磁石32が固定された第一アーム20がベース10に対して回動可能に支持され、かつ第二磁石52が固定された第二アーム40がベース10に対して回動可能に支持されているとき、第一磁石32、ホール素子62および第二磁石52は上下方向に並んで配置される。
より詳細には、第一アーム20に固定された第一磁石32のS極(下端部)と第二アーム40に固定された第二磁石52のN極(上端部)とが対向し、かつ、ホール素子62は第一アーム20に固定された第一磁石32および第二アーム40に固定された第二磁石52によって上下方向に挟まれる位置に配置される。
従って、ホール素子62は磁力線の向きが第二磁石52のN極(上端部)から第一磁石32のS極(下端部)に向かう上向きの磁場(磁束)の中に配置される。
【0075】
以下では図13および図14を用いて重送検知装置100が「搬送経路2gに沿って搬送される一枚の紙7」を検知するときの挙動について説明する。
なお、図13の(a)に示す如く、本実施形態では「搬送方向における紙7の長さ」は「搬送方向における第一当接部21から第二当接部41までの距離La」よりも十分に大きい。
【0076】
図13に示す如く、本実施形態の重送検知装置100は後方に(前方から後方に向かって)紙7を搬送する搬送経路2gの中途部かつ搬送経路2gに対向する位置(本実施形態の場合、搬送経路2gの中途部かつ上方となる位置)に配置される。
「搬送経路2gの中途部かつ搬送経路2gに対向する位置」は本実施形態に係る検知位置の実施の一形態である。
当該検知位置に配置された重送検知装置100のベースカバー12の貫通孔12a・12a・12a・12aにそれぞれネジを貫通させ、これらのネジを複合機本体2の本体ケース2aに形成されたネジ穴(不図示)にねじ込むことにより、ベース10、ひいては重送検知装置100が本実施形態における「検知位置」に固定される。
【0077】
重送検知装置100が本実施形態における「検知位置」に固定されたとき、重送検知装置100の第一回動ピン31の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)および第二回動ピン51の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)はいずれも搬送方向(本実施形態の場合、前後方向)に対して垂直である。
【0078】
重送検知装置100が本実施形態における「検知位置」に固定されたとき、重送検知装置100の第一回動ピン31の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)および第二回動ピン51の軸線方向(本実施形態の場合、左右方向)はいずれも搬送経路2gの搬送面(本実施形態の場合、紙7が搬送経路2gに沿って搬送されるときに、紙7の一対のシート面のうち下側のシート面が当接する面であり、上下方向に対して垂直な面)に対して平行である。
従って、本実施形態における「検知位置」に固定された重送検知装置100の第一回動ピン31の軸線方向および第二回動ピン51の軸線方向はいずれも搬送経路2gに沿って搬送される紙7の一対のシート面に対して平行である。
【0079】
本実施形態における「検知位置」に固定された重送検知装置100の第一アーム20は、第一バネ33(図7の(a)参照)により「第一当接部21が搬送経路2gに接近する方向(左側面視で時計回り)」に回動するように付勢される。
第一アーム20が回動する方向のうち、「第一当接部21が搬送経路2gに接近する方向(左側面視で時計回り)」は本発明に係る第一接近方向の実施の一形態である。
また、第一アーム20が回動する方向のうち、「第一当接部21が搬送経路2gから離間する方向(左側面視で反時計回り)」は本発明に係る第一離間方向の実施の一形態である。
【0080】
本実施形態における「検知位置」に固定された重送検知装置100の第二アーム40は、第二バネ53(図7の(a)および(b)参照)により「第二当接部41が搬送経路2gに接近する方向(左側面視で時計回り)」に回動するように付勢される。
第二アーム40が回動する方向のうち、「第二当接部41が搬送経路2gに接近する方向(左側面視で時計回り)」は本発明に係る第二接近方向の実施の一形態である。
また、第二アーム40が回動する方向のうち、「第二当接部41が搬送経路2gから離間する方向(左側面視で反時計回り)」は本発明に係る第二離間方向の実施の一形態である。
【0081】
重送検知装置100が固定される位置(検知位置)および重送検知装置100と搬送経路2gとの相対的な位置および姿勢については図15、図17、図19および図21の場合も図13の場合と同様である。
【0082】
図13の(a)に示す如く、時刻T11の時点では、紙7の前端部は重送検知装置100の検知位置に到達していない。
従って、第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも搬送経路2gの搬送面に当接している。
図14の(a)に示す如く、図13の(a)に対応するとき(時刻T11を経て時刻T12までの間)のホール素子62の出力電圧(二つの出力端子の電位差)はV0である。
【0083】
図13の(b)に示す如く、時刻T12の時点では、紙7の前端部が第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達する。
このとき、第一当接部21は紙7の上側のシート面に当接し、第一アーム20は第一バネ33の付勢力(図7の(a)参照)に抗して左側面視で反時計回り(本実施形態における第一離間方向)に回動する。
その結果、第一アーム20に固定された第一磁石32は上方、すなわち第二磁石52およびホール素子62の両方から離間する方向に移動する。
【0084】
第一アーム20に固定された第一磁石32が上方に移動したとき、第一磁石32から第二磁石52までの距離は図13の(a)のときよりも大きくなる。
その結果、第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場(第二磁石52の上端部(N極)から第一磁石32の下端部(S極)に向かう上向きの磁場であり、第一磁石32および第二磁石52に挟まれる位置に配置されたホール素子62に作用する磁場)が図13の(a)のときよりも弱くなる。
図14の(a)に示す如く、図13の(b)に対応するとき(時刻T12から時刻T13までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1」となり、図13の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1<V0)。
【0085】
図13の(c)に示す如く、時刻T13の時点では、紙7の前端部が第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達する。
このとき、第二当接部41は紙7の上側のシート面に当接し、第二アーム40は第二バネ53の付勢力(図7の(a)および(b)参照)に抗して左側面視で反時計回り(本実施形態における第二離間方向)に回動する。
また、第一当接部21は時刻T12の時点から紙7の上側のシート面に当接した状態を保持しているため、第一アーム20の回動角度は時刻T12の時点(図13の(b)参照)において第一離間方向に回動したときの角度で保持される。
その結果、第二アーム40に固定された第二磁石52は下方、すなわち第一磁石32およびホール素子62の両方から離間する方向に移動する。
第二アーム40に固定された第二磁石52が下方に移動したとき、第一磁石32から第二磁石52までの距離は図13の(b)のときよりも更に大きくなる。
その結果、第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場が図13の(b)のときよりも更に弱くなる。
図14の(a)に示す如く、図13の(c)に対応するとき(時刻T13以降)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1−V2」となり、図13の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも更に小さい(V0−V1−V2<V0−V1)。
【0086】
以下では図15および図16を用いて重送検知装置100が「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」を検知するときの挙動について説明する。
【0087】
図15の(a)に示す如く、時刻T21の時点では、「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」の前端部は重送検知装置100の検知位置に到達していない。
従って、第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも搬送経路2gの搬送面に当接している。
図15の(a)に示す如く、「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」の前端部が重送検知装置100の検知位置に到達していないとき(時刻T21を経て時刻T22までの間)のホール素子62の出力電圧はV0である。
【0088】
図15の(b)に示す如く、時刻T22の時点では、「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」の前端部が第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達する。
このとき、第一当接部21は「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7のうち上側となる紙7の上側のシート面」に当接し、第一アーム20は第一バネ33の付勢力(図7の(a)参照)に抗して左側面視で反時計回りに回動する。
その結果、第一アーム20に固定された第一磁石32は上方、すなわち第二磁石52およびホール素子62の両方から離間する方向に移動する。
【0089】
第一アーム20に固定された第一磁石32が上方に移動したとき、第一磁石32から第二磁石52までの距離は図15の(a)のときよりも大きくなる。
その結果、第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場が図15の(a)のときよりも弱くなる。
【0090】
図15の(b)のときには第一アーム20の第一当接部21は「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7のうち上側となる紙7の上側のシート面」に当接する。
そのため、「図15の(a)のときに対する図15の(b)のときの第一当接部21の上方への移動量」は「図13の(a)のときに対する図13の(b)のときの第一当接部21の上方への移動量」の約二倍となる。
また、「図15の(a)のときに対する図15の(b)のときの第一アーム20の回動角度」は「図13の(a)のときに対する図13の(b)のときの第一アーム20の回動角度」の約二倍となる。
また、「図15の(a)のときに対する図15の(b)のときの第一磁石32の上方への移動量」は「図13の(a)のときに対する図13の(b)のときの第一磁石32の上方への移動量」の約二倍となる。
【0091】
クーロンの法則より、一般に磁場の強さ(磁束密度の大きさ)は永久磁石からの距離の二乗に反比例する。しかし、本実施形態では第一磁石32からホール素子62までの距離の変化量はそれほど大きくないので、「第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場の強さの変化量(磁束密度の減少量)」は「第一磁石32の上方への移動量」に概ね比例するものとみなすことが出来る。
従って、図16の(a)に示す如く、図15の(b)に対応するとき(時刻T22から時刻T23までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1」となり、図15の(a)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1<V0)。
【0092】
図15の(c)に示す如く、時刻T23の時点では、「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」の前端部が第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達する。
このとき、第二当接部41は「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7のうち、上側となる紙7の上側のシート面」に当接し、第二アーム40は第二バネ53の付勢力(図7の(a)および(b)参照)に抗して左側面視で反時計回りに回動する。
また、第一当接部21は時刻T22の時点から「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7のうち、上側となる紙7の上側のシート面」に当接した状態を保持しているため、第一アーム20の回動角度は時刻T22の時点(図15の(b)参照)において第一離間方向に回動したときの角度で保持される。
その結果、第二アーム40に固定された第二磁石52は下方、すなわち第一磁石32およびホール素子62の両方から離間する方向に移動する。
第二アーム40に固定された第二磁石52が下方に移動したとき、第一磁石32から第二磁石52までの距離は図15の(b)のときよりも更に大きくなる。
その結果、第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場が図15の(b)のときよりも更に弱くなる。
【0093】
図15の(c)のときには第二アーム40の第二当接部41は「搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7のうち上側となる紙7の上側のシート面」に当接する。
そのため、「図15の(a)のときに対する図15の(c)のときの第二当接部41の上方への移動量」は「図13の(a)のときに対する図13の(c)のときの第二当接部41の上方への移動量」の約二倍となる。
また、「図15の(a)のときに対する図15の(c)のときの第二アーム40の回動角度」は「図13の(a)のときに対する図13の(c)のときの第二アーム40の回動角度」の約二倍となる。
また、「図15の(a)のときに対する図15の(c)のときの第二磁石52の下方への移動量」は「図13の(a)のときに対する図13の(c)のときの第二磁石52の下方への移動量」の約二倍となる。
【0094】
クーロンの法則より、一般に磁場の強さ(磁束密度の大きさ)は永久磁石からの距離の二乗に反比例する。しかし、本実施形態では第二磁石52からホール素子62までの距離の変化量はそれほど大きくないので、「第一磁石32および第二磁石52で挟まれる空間に発生する磁場の強さの変化量(磁束密度の減少量)」は「第二磁石52の下方への移動量」に概ね比例するものとみなすことが出来る。
従って、図16の(a)に示す如く、図15の(c)に対応するとき(時刻T23以降)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1−2×V2」となり、図15の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも更に小さい(V0−2×V1−2×V2<V0−2×V1)。
【0095】
図7の(b)に示す如く、本実施形態の重送検知装置100の場合、ホール素子62が第一磁石32および第二磁石52によって挟まれる位置に配置される。また、第一磁石32のS極(下端部)と第二磁石52のN極(上端部)とが対向する。
そのため、ホール素子62は第一磁石32および第二磁石52の間には「磁力線の向きが第二磁石52のN極(上端部)から第一磁石32のS極(下端部)に向かう上向きの磁場」が形成され、ホール素子62は当該磁場の中に配置されることとなる。
その結果、本実施形態の第一磁石32および第二磁石52の間に配置されるホール素子62に作用する磁場は、「第一磁石32および第二磁石52と同等の材質からなる単独の永久磁石」を用いた従来の重送検知装置における磁気センサに作用する磁場よりも強い。
従って、重送検知装置100は、従来の重送検知装置に比べて、「搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるか、を精度良く検知することが可能である。
すなわち、一枚の紙7の場合と複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったものの場合とではホール素子62に作用する磁場の強さ(磁束密度の大きさ)が著しく異なるので、磁場の強さ(磁束密度の大きさ)の相違を確実に検知することが可能である。
【0096】
また、本実施形態の場合、アーム部材等を大型化したり、あるいはより強い磁場を発生可能な永久磁石を用いたりしなくても従来の重送検知装置よりも磁気センサに作用する磁場の強さを大きく変化させることが可能であり、装置の小型化および製造コストの削減に寄与する。
【0097】
本実施形態の場合、「V0−2×V1−2×V2」よりも大きくかつ「V0−V1−V2」よりも小さい電圧Vt(V0−2×V1−2×V2<Vt<V0−V1−V2)が閾値として設定され、Vtが図12に示す本体側制御装置2cに予め記憶される。
本体側制御装置2cには重送検知装置100が出力する電気信号(重送検知装置100の出力電圧)に基づいて「搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるかを判定するプログラム(重送判定プログラム)が格納される。
本体側制御装置2cは、当該重送判定プログラムに従い、重送検知装置100の出力電圧と閾値Vtとを比較し、重送検知装置100の出力電圧がVt未満である場合には「一枚の紙7が搬送経路2gに沿って搬送されている」と判定し、重送検知装置100の出力電圧がVt以上である場合には「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったものが搬送経路2gに沿って搬送されている」と判定する。
本体側制御装置2cは、当該重送判定プログラムによる判定結果に基づいて複合機1の各部の動作を制御する(例えば、原稿読み取り装置2b、印刷装置2d、紙供給装置2eおよび搬送経路2gの動作を中止し、表示装置2hに警告を表示する等)。
【0098】
以下では図17および図18を用いて重送検知装置100が「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向において小さくずれて重なった二枚の紙7・7」を検知するときの挙動について説明する。
なお、「重なった二枚の紙7・7が搬送方向において小さくずれている」とは、『「搬送方向における二枚の紙7・7のずれ量Ls」が「搬送方向における第一当接部21から第二当接部41までの距離La」よりも小さいこと(Ls<La)』を指す(図17の(a)参照)。
【0099】
図17の(a)に示す如く、時刻T31の時点では、「搬送方向において小さくずれて重なった二枚の紙7・7」の前端部は重送検知装置100の検知位置に到達していない。
従って、時刻T31の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも搬送経路2gの搬送面に当接している。
図18の(a)に示す如く、図17の(a)に対応するとき(時刻T31を経て時刻T32までの間)のホール素子62の出力電圧はV0である。
【0100】
図17の(b)に示す如く、時刻T32の時点では、「搬送方向において小さくずれて重なった二枚の紙7・7のうち搬送方向における下流側(本実施形態の場合、後方側)にずれている方の紙7(以下、「前側の紙7」という。)」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達し、「搬送方向において小さくずれて重なった二枚の紙7・7のうち搬送方向における上流側(本実施形態の場合、前方側)にずれている方の紙7(以下、「後側の紙7」という。)」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T32の時点では第一アーム20の第一当接部21は前側の紙7における上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図18の(a)に示す如く、図17の(b)に対応するとき(時刻T32から時刻T33までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1」となり、図17の(a)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1<V0)。
【0101】
図17の(c)に示す如く、時刻T33の時点では、「前側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達しておらず、「後側の紙7」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達する。
従って、時刻T33の時点では第一アーム20の第一当接部21は後側の紙7における上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図18の(a)に示す如く、図17の(c)に対応するとき(時刻T33から時刻T34までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1」となり、図17の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1<V0−V1)。
【0102】
図17の(d)に示す如く、時刻T34の時点では、「前側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達し、「後側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T34の時点では第一アーム20の第一当接部21は後側の紙7における上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は前側の紙7における上側のシート面に当接している。
図18の(a)に示す如く、図17の(d)に対応するとき(時刻T34から時刻T35までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1−V2」となり、図17の(c)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1−V2<V0−2×V1)。
【0103】
図17の(e)に示す如く、時刻T35の時点では、「後側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達している。
従って、時刻T35の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも後側の紙7における上側のシート面に当接している。
図18の(a)に示す如く、図17の(e)に対応するとき(時刻T35以降)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1−2×V2」となり、図17の(d)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1−2×V2<V0−2×V1−V2)。
【0104】
以下では図19および図20を用いて重送検知装置100が「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向において大きくずれて重なった二枚の紙7・7」を検知するときの挙動について説明する。
なお、「重なった二枚の紙7・7が搬送方向において大きくずれている」とは、『「搬送方向における二枚の紙7・7のずれ量Ls」が「搬送方向における第一当接部21から第二当接部41までの距離La」よりも大きいこと(Ls>La)』を指す(図19の(a)参照)。
【0105】
図19の(a)に示す如く、時刻T41の時点では、「搬送方向において大きくずれて重なった二枚の紙7・7」の前端部は重送検知装置100の検知位置に到達していない。
従って、時刻T41の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも搬送経路2gの搬送面に当接している。
図20の(a)に示す如く、図19の(a)に対応するとき(時刻T41を経て時刻T42までの間)のホール素子62の出力電圧はV0である。
【0106】
図19の(b)に示す如く、時刻T42の時点では、「前側の紙7」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達し、「後側の紙7」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T42の時点では第一アーム20の第一当接部21は前側の紙7における上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図20の(a)に示す如く、図19の(b)に対応するとき(時刻T42から時刻T43までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1」となり、図19の(a)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1<V0)。
【0107】
図19の(c)に示す如く、時刻T43の時点では、「前側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達し、「後側の紙7」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T43の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも前側の紙7における上側のシート面に当接している。
図20の(a)に示す如く、図19の(c)に対応するとき(時刻T43から時刻T44までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1−V2」となり、図19の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1−V2<V0−V1)。
【0108】
図19の(d)に示す如く、時刻T44の時点では、「前側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達し、「後側の紙7」の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達し、「後側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T44の時点では第一アーム20の第一当接部21は後側の紙7における上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は前側の紙7における上側のシート面に当接している。
図20の(a)に示す如く、図19の(d)に対応するとき(時刻T44から時刻T45までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1−V2」となり、図19の(c)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1−V2<V0−V1−V2)。
【0109】
図19の(e)に示す如く、時刻T45の時点では、「後側の紙7」の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達している。
従って、時刻T45の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも後側の紙7における上側のシート面に当接している。
図20の(a)に示す如く、図19の(e)に対応するとき(時刻T45以降)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1−2×V2」となり、図19の(d)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1−2×V2<V0−2×V1−V2)。
【0110】
図17から図20に示す如く、重送検知装置100は、「V0−2×V1−2×V2」よりも大きくかつ「V0−V1−V2」よりも小さい電圧Vtを閾値として設定することにより、二枚の紙7・7が搬送方向においてずれている場合であっても搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるかを検知することが可能である。
【0111】
以下では図21および図22を用いて重送検知装置100が「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた紙7」を検知するときの挙動について説明する。
なお、「ラベル8が小さい」とは、『「搬送方向におけるラベル8の長さLlabel」が「搬送方向における第一当接部21から第二当接部41までの距離La」よりも小さいこと(Llabel<La)』を指す(図21の(a)参照)。
また、説明の便宜上、ラベル8の厚さは紙7の厚さと同じである。
【0112】
図21の(a)に示す如く、時刻T51の時点では、紙7の前端部およびラベル8の前端部は重送検知装置100の検知位置に到達していない。
従って、時刻T51の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも搬送経路2gの搬送面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(a)に対応するとき(時刻T51を経て時刻T52までの間)のホール素子62の出力電圧はV0である。
【0113】
図21の(b)に示す如く、時刻T52の時点では、紙7の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達し、ラベル8の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T52の時点では第一アーム20の第一当接部21は紙7の上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(b)に対応するとき(時刻T52から時刻T53までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1」となり、図21の(a)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1<V0)。
【0114】
図21の(c)に示す如く、時刻T53の時点では、ラベル8の前端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置に到達し、紙7の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T53の時点では第一アーム20の第一当接部21はラベル8の上側のラベル面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(c)に対応するとき(時刻T43から時刻T54までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−2×V1」となり、図21の(b)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−2×V1<V0−V1)。
【0115】
図21の(d)に示す如く、時刻T54の時点では、ラベル8の後端部は第一アーム20の第一当接部21の下方となる位置よりも前方となる位置に到達し、紙7の前端部およびラベル8の前端部はいずれも第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T54の時点では第一アーム20の第一当接部21は紙7の上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41は搬送経路2gの搬送面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(d)に対応するとき(時刻T54から時刻T55までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1」となり、図21の(c)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも大きい(V0−V1>V0−2×V1)。
【0116】
図21の(e)に示す如く、時刻T55の時点では、紙7の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達し、ラベル8の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達していない。
従って、時刻T55の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41はいずれも紙7の上側のシート面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(e)に対応するとき(時刻T55から時刻T56までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1−V2」となり、図21の(d)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1−V2<V0−V1)。
【0117】
図21の(f)に示す如く、時刻T56の時点では、紙7の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置よりも前方となる位置に到達し、ラベル8の前端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置に到達している。
従って、時刻T56の時点では第一アーム20の第一当接部21は紙7の上側のシート面に当接し、第二アーム40の第二当接部41はラベル8の上側のラベル面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(f)に対応するとき(時刻T56から時刻T57までの間)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1−2×V2」となり、図21の(e)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも小さい(V0−V1−2×V2<V0−V1−V2)。
【0118】
図21の(g)に示す如く、時刻T57の時点では、ラベル8の後端部は第二アーム40の第二当接部41の下方となる位置よりも前方となる位置に到達している。
従って、時刻T57の時点では第一アーム20の第一当接部21および第二アーム40の第二当接部41は紙7の上側のシート面に当接している。
図22の(a)に示す如く、図21の(g)に対応するとき(時刻T57以降)のホール素子62の出力電圧は「V0−V1−V2」となり、図21の(e)に対応するときのホール素子62の出力電圧よりも大きい(V0−V1−V2>V0−V1−2×V2)。
【0119】
図21および図22に示す如く、第一当接部21および第二当接部41が紙7の搬送方向において互いにずれた位置に配置され、かつ、搬送方向におけるラベル8の長さLlabelが搬送方向における第一当接部21から第二当接部41までの距離Laよりも小さい。
従って、重送検知装置100は、「V0−2×V1−2×V2」よりも大きくかつ「V0−V1−2×V2」よりも小さい電圧Vtを閾値として設定することにより、搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた一枚の紙7、または、ラベル8が貼られていない一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるか、を検知することが可能である。
また、「V0−2×V1−2×V2」よりも大きくかつ「V0−V1−2×V2」よりも小さい電圧Vt、および「V0−V1−2×V2」よりも大きくかつ「V0−2×V1」よりも小さい電圧Vt2を二つの閾値として設定することにより、搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた一枚の紙7」であるか、「ラベル8が貼られていない一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるか、を検知することが可能である。
【0120】
本実施形態の第一当接部21および第二当接部41は「紙7の上下一対のシート面のうち、上側のシート面」に当接するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る重送検知装置の第一当接部および第二当接部は、「シート状物の一対のシート面のいずれか一方」に当接すれば良い。
【0121】
本実施形態では第一磁石32のS極(下端部)と第二磁石52のN極とが対向するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る重送検知装置においては、第一磁石のN極と第二磁石のS極とが対向しても良く、第一磁石のS極と第二磁石のN極とが対向しても良い。
言い換えれば、本発明では、第一磁石および第二磁石において互いに対向する部分間で一方から他方にまっすぐ向かう磁力線が発生すれば良い。
【0122】
本実施形態では第一アーム20が第一離間方向(左側面視で反時計回り)に回動したときには第一磁石32は第二磁石52およびホール素子62の両方から離間する方向(上方)に移動し、第二アーム40が第二離間方向(左側面視で反時計回り)に回動したときには第二磁石52は第一磁石32およびホール素子62の両方から離間する方向(下方)に移動するが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る重送検知装置においては、(A)第一アーム部材が第一離間方向に回動したときには第一磁石は第二磁石および磁気センサの両方から離間する方向に移動し、第二アーム部材が第二離間方向に回動したときには第二磁石は第一磁石および磁気センサの両方から離間する方向に移動しても良く、(B)第一アーム部材が第一離間方向に回動したときには第一磁石は第二磁石および磁気センサの両方に接近する方向に移動し、第二アーム部材が第二離間方向に回動したときには第二磁石は第一磁石および磁気センサの両方に接近する方向に移動しても良い。
このように構成することにより、第一当接部がシート状物に当接したときに磁気センサの出力電圧が変化する方向(電圧が増加するか減少するか)と、第二当接部がシート状物に当接したときに磁気センサの出力電圧が変化する方向(電圧が増加するか減少するか)と、を揃えることが可能であり、測定精度が向上する。
【0123】
本実施形態では、第一アーム20が回動したときに第一磁石32が移動する方向(上下方向)および第二アーム40が回動したときに第二磁石52が移動する方向(上下方向)は、第一磁石32および第二磁石52の間に発生する磁場の磁力線の方向(上向き)に対して平行である。
このように構成することにより「第一磁石32および第二磁石52の移動距離」に対する「第一磁石32および第二磁石52の間に発生する磁場の磁束密度の変化量」を大きくし、重送検知装置100の測定精度を向上させることが可能である。
なお、本発明において「第一アーム部材が回動したときに第一磁石が移動する方向および第二アーム部材が回動したときに第二磁石が移動する方向は、第一磁石および第二磁石の間に発生する磁場の磁力線の方向に対して平行である」とは、二つの磁石の移動方向と二つの磁石の間の磁力線の方向とが完全に平行となる(両者の成す角度がゼロである)場合のみを指すのではなく、本発明の作用効果を著しく損なわない範囲で「二つの磁石の移動方向」と「二つの磁石の間の磁力線の方向」との成す角度がゼロでない場合をも含む。
【0124】
本実施形態では、第一磁石32および第二磁石52の材質および形状(ひいては、磁力特性)を等しくし、第一当接部21および第二当接部41がいずれも紙7に当接していないときの第一磁石32からホール素子62までの距離と第二磁石52からホール素子62までの距離とを等しくし、かつ、第一当接部21および第二当接部41が同じ厚さの紙7に当接したときの第一磁石32の移動距離と第二磁石52の移動距離とを等しくすることにより、V1≒V2としている。
このように構成することにより、第一当接部21および第二当接部41に当接する紙7の枚数とホール素子62に作用する磁場の磁束密度の変化量との関係を概ね比例関係とすることが可能であり、重送検知装置100の測定精度の向上に寄与する。
【0125】
本実施形態では第一バネ33および第二バネ53をいずれも金属材料からなる巻きバネとしたが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る第一付勢力付与部材および第二付勢力付与部材は付勢力を発生するものであれば他の構成を採用しても良い。
本発明に係る第一付勢力付与部材および第二付勢力付与部材の他の構成の例としては、樹脂材料からなる巻きバネ、樹脂材料あるいは金属材料からなる板バネ、弾性変形し得る材料(例えば、ゴム等)からなる塊状の部材、スポンジ状の樹脂材料を塊状に成形したもの、等が挙げられる。
【0126】
本実施形態では第一バネ33が第一アーム20に第一付勢力を付与するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第一アーム20の重量バランスを適宜調整し、第一アーム20の自重を第一付勢力として利用することにより、第一バネ33を省略しても良い。
同様に、本実施形態では第二バネ53が第二アーム40に第二付勢力を付与するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、第二アーム40の重量バランスを適宜調整し、第二アーム40の自重を第二付勢力として利用することにより、第二バネ53を省略しても良い。
【0127】
なお、シート状物の一方のシート面に対する第一当接部および第二当接部の追従性(シート状物が検知位置を通過するときに第一当接部および第二当接部がシート状物の一方のシート面に当接した状態を保持すること)の観点からは、本実施形態の如く弾性力を発生可能な部材により第一アーム部材および第二アーム部材を付勢することが望ましい。
【0128】
本実施形態では、ベース10は複合機1の複合機本体2とは別体であり、適宜ネジ等を用いて複合機本体2の所定の位置(検知位置)に固定されるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る重送検知装置のベース部材は、当該重送検知装置を備えるシート状物取り扱い装置の構造体等に形成されても良い(シート状物取り扱い装置の構造体等と一体的に成形されても良い)。
【0129】
本発明の作用効果を著しく損なわない範囲であれば、第一回動軸の軸線方向および第二回動軸の軸線方向が互いに平行でなくても良く、第一回動軸の軸線方向および第二回動軸の軸線方向が搬送経路の搬送面に対して平行でなくても良く、あるいは第一回動軸の軸線方向および第二回動軸の軸線方向が搬送方向に対して垂直でなくても良い。
ただし、本発明に係る重送検知装置の測定精度を高く保持する(より詳細には、第一アーム部材および第二アーム部材の回動を滑らかにし、かつ第一アーム部材、第二アーム部材およびこれらを回動可能に軸支するベース部材の耐久性を向上させる)という観点からは、本実施形態の如く、第一アーム20の回動軸を成す第一回動ピン31の軸線方向(左右方向)および第二アーム40の回動軸を成す第二回動ピン51の軸線方向(左右方向)を互いに平行とし、第一回動ピン31の軸線方向および第二回動ピン51の軸線方向をいずれも搬送経路2gの搬送面(上下方向に対して垂直な面)に対して平行とし、かつ、第一回動ピン31の軸線方向および第二回動ピン51の軸線方向をいずれも搬送方向(前後方向)に対して垂直とすることが望ましい。
【0130】
本実施形態では紙7が「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた一枚の紙7」であるか、「ラベル8が貼られていない一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるか、を検知することを可能にすべく、第一当接部21および第二当接部41を紙7の搬送方向において互いにずれた位置に配置したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、紙7にラベル8が貼られていないことが明らかな用途に重送検知装置100を適用する場合には、第一当接部21および第二当接部41が搬送方向においてずれていなくても良い。なお、この場合には、第一当接部21および第二当接部41が互いに干渉(接触)することを防止するため、第一当接部21および第二当接部41を搬送方向に垂直な方向(紙7の幅方向)にずらして配置することは許容される。
【0131】
図12の(a)に示す如く、本実施形態の重送検知装置100の場合、ホール素子62の出力電圧をそのまま電気信号として外部(本実施形態の場合、本体側制御装置2c)に出力するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図12の(b)に示す別実施形態の如く、センサユニット60(ひいては重送検知回路100)が微分回路64を更に具備しても良い。
【0132】
図12の(b)に示す別実施形態では、微分回路64は基板61、ひいてはベース10に固定される。
微分回路64はホール素子62およびコネクタ63に接続され、ホール素子62が出力した電気信号の時間微分の値に応じた電圧を電気信号として出力する。
【0133】
図12の(b)に示す別実施形態の微分回路64はオペアンプ、抵抗器およびコンデンサを具備する能動型微分回路であるが、本発明はこれに限定されない。
本発明に係る微分回路の他の実施例としてはRC(resistor−capacitor circuit)回路等の受動型の微分回路が挙げられる。
【0134】
図14の(b)に示す如く、本発明に係る重送検知装置の別実施形態を用いて「搬送経路2gに沿って搬送される一枚の紙7」を検知した場合、時刻T11のときの出力電圧(微分回路64が出力する電気信号の電圧)は「ゼロ」であり、時刻T12のときの出力電圧は「Vα」であり、時刻T13のときの出力電圧は「Vβ」であり、これらの出力電圧の和は「Vα+Vβ」である。
【0135】
図16の(b)に示す如く、本発明に係る重送検知装置の別実施形態を用いて「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向においてずれることなく重なった二枚の紙7・7」を検知した場合、時刻T21のときの出力電圧は「ゼロ」であり、時刻T22のときの出力電圧は「2×Vα」であり、時刻T23のときの出力電圧は「2×Vβ」であり、これらの出力電圧の和は「2×Vα+2×Vβ」である。
【0136】
図18の(b)に示す如く、本発明に係る重送検知装置の別実施形態を用いて「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向において小さくずれて重なった二枚の紙7・7」を検知した場合、時刻T31のときの出力電圧は「ゼロ」であり、時刻T32のときの出力電圧は「Vα」であり、時刻T33のときの出力電圧は「Vα」であり、時刻T34のときの出力電圧は「Vβ」であり、時刻T35のときの出力電圧は「Vβ」であり、これらの出力電圧の和は「2×Vα+2×Vβ」である。
【0137】
図20の(b)に示す如く、本発明に係る重送検知装置の別実施形態を用いて「搬送経路2gに沿って搬送され、搬送方向において大きくずれて重なった二枚の紙7・7」を検知した場合、時刻T41のときの出力電圧は「ゼロ」であり、時刻T42のときの出力電圧は「Vα」であり、時刻T43のときの出力電圧は「Vβ」であり、時刻T44のときの出力電圧は「Vα」であり、時刻T45のときの出力電圧は「Vβ」であり、これらの出力電圧の和は「2×Vα+2×Vβ」である。
【0138】
このように、本発明に係る重送検知装置の別実施形態では、「出力電圧の和」に基づいて、搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「一枚の紙7」であるか、それとも「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるかを検知することが可能である。
また、本発明に係る重送検知装置の別実施形態のように微分回路64を更に具備することにより、出力電圧に及ぼす温度ドリフトの影響を除外し、第一当接部21および第二当接部41の移動量(より厳密には、ホール素子62に作用する磁場の強さの変化量)を出力電圧として純粋に取り出すことが可能である。従って、本発明に係る重送検知装置の別実施形態は、使用環境の温度変化が測定精度に及ぼす影響を受けにくいという利点を有する。
【0139】
図22の(b)に示す如く、本発明に係る重送検知装置の別実施形態を用いて「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた紙7」を検知した場合、時刻T51のときの出力電圧はゼロであり、時刻T52のときの出力電圧はVαであり、時刻T53のときの出力電圧はVαであり、時刻T54のときの出力電圧は−Vαであり、時刻T55のときの出力電圧はVβであり、時刻T56のときの出力電圧はVβであり、時刻T57のときの出力電圧は−Vβであり、これらの出力電圧の和は「Vα+Vβ」である。
【0140】
このように、本発明に係る重送検知装置の別実施形態では、「出力電圧の和」および「出力電圧の中にマイナスの値が存在するか否か」に基づいて、搬送経路2gに沿って予め設定された搬送方向に搬送される紙7が「一枚の紙7」であるか、「複数枚(二枚以上)の紙7・7・・・が重なったもの」であるか、それとも「上側のシート面に小さいラベル8が貼られた紙7」であるか、を検知することが可能である。
【符号の説明】
【0141】
1 複合機(シート状物の実施の一形態)
2 複合機本体
2g 搬送経路
3 原稿圧着板
4・4 ヒンジ
7 紙(シート状物の実施の一形態)
8 ラベル
10 ベース(ベース部材)
20 第一アーム(第一アーム部材)
21 第一当接部
31 第一回動ピン(第一回動軸)
32 第一磁石
33 第一バネ(第一付勢力付与部材)
40 第二アーム(第二アーム部材)
41 第二当接部
51 第二回動ピン(第二回動軸)
52 第二磁石
53 第二バネ(第二付勢力付与部材)
60 センサユニット
61 基板
62 ホール素子(磁気センサ)
63 コネクタ
100 重送検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシート面を有するとともに搬送経路に沿って予め設定された搬送方向に搬送されるシート状物が一枚のシート状物であるか、それとも複数枚のシート状物が重なったものであるか、を検知する重送検知装置であって、
前記搬送経路の中途部、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物に対向する位置である検知位置に固定されるベース部材と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第一当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第一当接部が前記搬送経路に接近する方向である第一接近方向に回動するように第一付勢力が付与され、前記第一当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第一付勢力に抗して前記第一当接部が前記搬送経路から離間する方向である第一離間方向に回動する第一アーム部材と、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第二当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第二当接部が前記搬送経路に接近する方向である第二接近方向に回動するように第二付勢力が付与され、前記第二当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第二付勢力に抗して前記第二当接部が前記搬送経路から離間する方向である第二離間方向に回動する第二アーム部材と、
前記第二アーム部材に固定された第二磁石と、
前記ベース部材に固定され、作用する磁場に応じた電気信号を出力する磁気センサと、
を具備し、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石のN極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のS極とが対向、または、前記第一アーム部材に固定された第一磁石のS極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のN極とが対向し、
前記磁気センサは前記第一磁石および前記第二磁石によって挟まれる位置に配置され、
前記第一アーム部材が前記第一離間方向に回動したときには前記第一磁石は前記第二磁石および前記磁気センサの両方から離間する方向に移動し、
前記第二アーム部材が前記第二離間方向に回動したときには前記第二磁石は前記第一磁石および前記磁気センサの両方から離間する方向に移動する、
重送検知装置。
【請求項2】
一対のシート面を有するとともに搬送経路に沿って予め設定された搬送方向に搬送されるシート状物が一枚のシート状物であるか、それとも複数枚のシート状物が重なったものであるか、を検知する重送検知装置であって、
前記搬送経路の中途部、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物に対向する位置である検知位置に固定されるベース部材と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第一当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第一当接部が前記搬送経路に接近する方向である第一接近方向に回動するように第一付勢力が付与され、前記第一当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第一付勢力に抗して前記第一当接部が前記搬送経路から離間する方向である第一離間方向に回動する第一アーム部材と、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石と、
前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接する第二当接部を有し、前記ベース部材に回動可能に支持され、前記第二当接部が前記搬送経路に接近する方向である第二接近方向に回動するように第二付勢力が付与され、前記第二当接部が前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一方のシート面に当接することにより前記第二付勢力に抗して前記第二当接部が前記搬送経路から離間する方向である第二離間方向に回動する第二アーム部材と、
前記第二アーム部材に固定された第二磁石と、
前記ベース部材に固定され、作用する磁場に応じた電気信号を出力する磁気センサと、
を具備し、
前記第一アーム部材に固定された第一磁石のN極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のS極とが対向、または、前記第一アーム部材に固定された第一磁石のS極と前記第二アーム部材に固定された第二磁石のN極とが対向し、
前記磁気センサは前記第一磁石および前記第二磁石によって挟まれる位置に配置され、
前記第一アーム部材が前記第一離間方向に回動したときには前記第一磁石は前記第二磁石および前記磁気センサの両方に接近する方向に移動し、
前記第二アーム部材が前記第二離間方向に回動したときには前記第二磁石は前記第一磁石および前記磁気センサの両方に接近する方向に移動する、
重送検知装置。
【請求項3】
前記第一アーム部材が回動したときに前記第一磁石が移動する方向および前記第二アーム部材が回動したときに前記第二磁石が移動する方向は、前記第一磁石および前記第二磁石の間に発生する磁場の磁力線の方向に対して平行である、
請求項1または請求項2に記載の重送検知装置。
【請求項4】
前記ベース部材が前記検知位置に固定されたとき、前記ベース部材に対する前記第一アーム部材の回動軸を成す第一回動軸の軸線方向および前記ベース部材に対する前記第二アーム部材の回動軸を成す第二回動軸の軸線方向はいずれも前記搬送方向に対して垂直であり、かつ前記搬送経路に沿って搬送されるシート状物の一対のシート面に対して平行である、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の重送検知装置。
【請求項5】
前記第二アーム部材の第二当接部は、前記搬送方向において前記第一アーム部材の第一当接部よりも下流側となる位置に配置される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の重送検知装置。
【請求項6】
前記ベース部材に固定され、前記磁気センサに接続され、前記磁気センサが出力した電気信号の時間微分の値に応じた電気信号を出力する微分回路を更に具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の重送検知装置。
【請求項7】
前記第一アーム部材に前記第一付勢力を付与する第一付勢力付与部材を更に具備する、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の重送検知装置。
【請求項8】
前記第二アーム部材に前記第二付勢力を付与する第二付勢力付与部材を更に具備する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の重送検知装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の重送検知装置を具備するシート状物取り扱い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−1502(P2013−1502A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133739(P2011−133739)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】