説明

金型洗浄装置

【課題】 水洗から乾燥までの間に、金型表面への空気中の塵芥の付着をなくすと共に、洗浄液および水洗水が金型表面に残存させないようにする。
【解決手段】 電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型と、洗浄槽内に浸漬した電極とに電流を供給して電解洗浄を行う洗浄槽と、前記金型洗浄槽での洗浄後の金型を水洗いする水洗槽と、前記水洗槽での水洗い後に金型を乾燥する乾燥槽と、前記少なくとも水洗槽と乾燥槽を密閉するカバー部材と、前記カバー部材の内部空間に送給する不活性ガス供給手段あるいは、フィルターを通した清浄空気をカバー部材の内部空間に送給する清浄空気供給手段を備え、前記不活性ガス供給手段から供給する不活性ガス雰囲気中、あるいは前記清浄空気供給手段から供給する清浄空気雰囲気中で、金型の水洗いと乾燥を行い、乾燥後に前記カバー内部から洗浄後の金型を取り出す構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型洗浄装置に関し、詳しくは、洗浄液で洗浄し、その後、水洗いした金型表面に空気中の塵埃が付着させないようにするもので、高精度の金型で成形する必要がある導光板、プラスチックレンズ、光学部品等の成形用金型の洗浄に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
この種の金型洗浄装置として、本出願人は先に特開平7−214570号において図3および図4に示す洗浄装置を提供している。この洗浄装置は電解洗浄と超音波洗浄とを併用して金型の洗浄を短時間で効率良く行うことができる利点を有するものである。前記図中において、1は洗浄槽、2は洗浄槽内に着脱自在に挿入する金型保持カゴ、3は洗浄槽内に吊り下げるプラス側電極であり、マイナス極側となる上記金型保持カゴ2内に保持された金型5との間に電流を流すと共に、洗浄槽1の底面に取り付けた超音波振動子4により洗浄槽内の電解洗浄液を超音波振動を発生させ、よって、電解洗浄と超音波洗浄とを併用して、金型5の洗浄を行っている。
【0003】
前記金型洗浄装置は、洗浄槽内での金型の洗浄自体に関しては優れた機能を有するものであるが、洗浄槽で洗浄された金型を水洗いし、乾燥させる後工程についても、近年の精密部品成形用の金型では下記の種々の問題が発生しており、改良の余地があることが判明した。
【0004】
即ち、洗浄後に洗浄液のアルカリ成分が金型表面に残り、それを取り除くための水洗が行われるが、この水洗により水に含まれるカルシウムやシリカが金型表面に付着してウオーターマークが残り原因となる。また、水洗の際に温水を用いるとサビの発生原因となる。
さらに、水洗から乾燥までの工程で、空気中に含まれる塵埃が金型表面に付着する場合も多い。
その場合、例えば、導光板用金型では表面にミクロン単位の微細な凹凸が設けられており、溝内部に塵埃が付着していると、成形される導光板の品質が低下する。
また、プラスチックレンズや光学部品では、金型表面に残存する埃や水により鏡面仕上がりが出来ず、曇りが発生する問題がある。
【0005】
前記問題から、洗浄後の金型の表面からアルカリ成分を含む洗浄液、水洗に用いた水、空気中の塵埃を完全に除去する必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開平7−214570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、洗浄槽での洗浄後において、水洗から乾燥までの間に、金型表面への空気中の塵芥の付着をなくすと共に、洗浄液および水洗水が金型表面に残存させないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、
電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型と、洗浄槽内に浸漬した電極とに電流を供給して電解洗浄を行う洗浄槽と、
前記金型洗浄槽での洗浄後の金型を水洗いする水洗槽と、
前記水洗槽での水洗い後に金型を乾燥する乾燥槽と、
前記少なくとも水洗槽と乾燥槽を密閉するカバー部材と、
前記カバー部材の内部空間に送給する不活性ガス供給手段あるいは、フィルターを通した清浄空気をカバー部材の内部空間に送給する清浄空気供給手段を備え、
前記不活性ガス供給手段から供給する不活性ガス雰囲気中、あるいは前記清浄空気供給手段から供給する清浄空気雰囲気中で、金型の水洗いと乾燥を行い、乾燥後に前記カバー内部から洗浄後の金型を取り出す構成としていることを特徴とする金型洗浄装置を提供している。
【0009】
本発明では、前記のように、水洗工程から乾燥工程までの間は不活性ガス雰囲気中あるいは清浄空気雰囲気中に金型の水洗槽、乾燥槽を配置することにより、金型を室内の塵埃を含む空気から遮断した状態で乾燥を行っている。
これにより金型の濡れた表面に空気中の塵埃が付着するのを確実に防止し、この状態で、乾燥槽で乾燥していることにより、金型表面に空気中の塵埃や、洗浄液、水洗水が残存する事を防止できる。
【0010】
前記不活性ガス供給手段により前記内部空間に挿入する不活性ガスは、アルゴン、窒素、ヘリウム、キセノン、クリプトン、炭酸ガス、あるいはこれらの混合ガスから選択することが好ましい。特に、導光板やプラスチックレンズ成形用の金型表面にニッケルメッキ層を有する金型や、ニッケル電鋳品の金型ではアルゴンガスが好適である。
これらの不活性ガスあるいは清浄空気は前記カバー部材に開口した供給管からカバー部材内部に吹き込み、水洗槽および乾燥槽の上面をエアーカーテンで囲むように噴射させていることが好ましい。
【0011】
本発明で洗浄される金型としては、樹脂成形用金型、ゴム成形用金型に最も好適に用いられ、該金型は鉄製の鏡面を有する金型、ニッケルメッキ層を表面に備えた金型、ニッケル電鋳金型からなる場合に好適に用いられる。
かつ、洗浄される金型は導光板成形用金型、プラスチックレンズ成形用金型、光学部品成形用金型等の精密成形品用の金型の場合、金型表面に微小の塵埃や水が付着しても前記のように問題が発生するため、特に好適に用いられる。
【0012】
前記洗浄槽で洗浄した金型から洗浄液を洗い流す洗浄液回収槽を前記洗浄槽に続けて並設し、該洗浄液回収槽に続いて前記水洗槽を設置、該水洗槽として、少なくとも20℃以上の温水による水洗いする一次水洗槽と、常温水により水洗いする二次水洗槽を備え、該二次水洗槽に続いて前記内部空間に挿入する前記不活性ガスあるいは清浄空気を金型に噴射する前記乾燥槽を備えていることが好ましい。
前記洗浄液回収槽では、ノズルから水を金型に向けて噴射し、金型表面に付着しているアルカリ成分を含む洗浄液を洗い落としている。この洗浄液を含む回収液は洗浄槽に循環させてもよい。
また、前記一次水洗槽では、槽内面にヒータを取り付けたり、投げ込み式ヒータを設けて、前記した20℃以上に水を加熱している。上限は60℃程度であるが、この温度は金型材料により調整している。
【0013】
前記乾燥槽は、常温水による三次水洗い手段と前記不活性ガスあるいは清浄空気噴射手段を備え、三次水洗い後に不活性ガスあるいは清浄空気を噴射して金型を乾燥させる構成としていることが好ましい。
なお、該乾燥槽は乾燥のみを行う槽としてもよいが、一次、二次、三次と3回の水洗いを行うと、確実に洗浄液を金型表面から除去することができる。
特に、乾燥槽で噴射する水を、二次洗浄槽へオーバーフローさせ、二次洗浄槽から一次洗浄槽へとオーバーフローさせると水供給機構を簡単にできる。
【0014】
前記乾燥槽に続いて洗浄後金型の取り出しと洗浄前金型の取り入れを行う金型出入部を設け、該金型出入部も前記カバーで覆い、該金型出入部のカバーは前記並設する乾燥槽、水洗槽を覆うカバー部材とは分離して、開閉可能としていることが好ましい。
例えば、カバー部材の下端を前記並設した槽の上端面に固定して前記各槽をドーム状に覆うと共に、金型出入部では他の部分と分離し、分離したカバー部材の一端を槽にヒンジ結合して、他端から回転させて開閉する構成としている。
【0015】
前記金型を載置した状態で少なくとも前記乾燥槽と前記洗浄槽の間を順次間欠的に往復移動する導電性の金型保持手段を備え、該金型保持手段は少なくとも前記洗浄槽に位置した時には電源と導通され、該金型保持手段を介して載置した前記金型が、前記洗浄槽内に浸漬される前記電極と、電解洗浄液を介して通電されて電解洗浄がなされる構成としていることが好ましい。
例えば、前記金型保持手段は、金型載置部となる水平板部と、該水平板部の一端から突出させた垂直板部とからなるL形状とした金属板からなる。
【0016】
また、前記金型保持手段は、自動で移動させる構成としても良いし、前記カバー部材にスリット等を設け、該スリットを通したロッドの先端に金型保持手段を連結し、該ロッドを外部から遠隔手動する構成としてもよい。
【0017】
前記カバー部材の内部に、前記洗浄槽、洗浄液回収槽、水洗槽、乾燥槽、金型出入部を並設し、該並設部に前記金型保持手段の移動ガイド部を設けている。
該ガイド部は、例えば、断面H形状のレール状とし、金型保持手段に設けたローラを前記レール部に摺動自在に嵌合し、金型保持手段が前記各槽に沿って往復移動させる構成としている。
【0018】
さらに、前記金型保持手段を昇降手段に連結して昇降可とし、該昇降手段は、前記各槽の位置では前記金型保持手段を下降されて槽中に金型を浸漬する一方、槽間の移動時には金型保持手段を上昇させる構成としていることが好ましい。
【0019】
前記洗浄槽には、内部の電解洗浄液に超音波振動を発生させる振動子を設けていることが好ましい。即ち、洗浄槽内での金型の洗浄は電解洗浄のみでも効果があるが、さらに超音波振動による洗浄を組み合わせると、洗浄力が強めることができる。
【0020】
さらに、前記温水で水洗いする一次水洗槽にも超音波を発生する振動子を設けていることが好ましい。
【0021】
前記洗浄槽に供給する前記電解洗浄液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩、グルコン酸ナトリウムのいずれかを含むアルカリ溶液からなる少なくとも水酸化ナトリウムを含むアルカリ溶液からなる。
前記EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)のアルカリ塩としては、EDTAのカルボン酸基の水素原子の全部あるいは一部がアルカリ金属原子で置換された化合物であり、具体例としては、EDTA2ナトリウム塩、EDTA4ナトリウム塩を挙げることができる。
【0022】
前記電解洗浄液に添加される水、前記洗浄液回収槽で金型に向けて噴射する水、前記水洗槽に供給する水として蒸留水を用いていることが好ましい。
即ち、洗浄槽で洗浄後の金型を水洗する際に、水に含まれている異物が金型表面に付着することを防止するため、前記のように、蒸留水を用いていることが好ましい。
なお、蒸留水に替えて精製水を用いてもよい。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、本発明の金型洗浄装置では、水洗工程から乾燥工程までの間は不活性ガス雰囲気中あるいは清浄空気雰囲気中に金型の水洗槽、乾燥槽を配置することにより、金型を室内の塵埃を含む空気から遮断した状態で乾燥を行っている。これにより金型の濡れた表面に空気中の塵埃が付着するのを確実に防止し、この状態で、乾燥槽で乾燥していることにより、金型表面に空気中の塵埃や、洗浄液、水洗水が残存する事を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
図1、図2は本発明の金型洗浄装置10の実施形態を示し、洗浄槽11を一端に配置している。該洗浄槽11に連続して、洗浄液回収槽12、一次水洗槽13、二次洗浄槽14、三次水洗を兼ねる乾燥槽14を1つの枠体50に連続して設けている。さらに、乾燥槽14に続いて金型出入台部16も前記枠体50に連続して設けている。
【0025】
前記枠体50には洗浄槽11の設置側への延在部50aを備え、該延在部50aの正面側に洗浄槽11を配置し、洗浄槽11を洗浄液回収槽12と並設している。
前記延在部50aを含めた枠体50の上面には、透明なフード状のカバー部材18を取り付けて、各槽11、12、13、14、15の上面を空間をあけて密閉するように、その両側下端を前記本体50の上面に固定している。なお、メンテナンス時には固定を解いて開くことができるようにしている。
【0026】
前記カバー部材18と連接して、前記金型取入台部16にも分離したカバー部材17を設けている。該カバー部材17は背面側の下端を枠体50にヒンジ結合し、正面側の下端から上向きに回転させて開閉可能としている。
カバー部材18の洗浄槽11側の先端面およびカバー部材17の後端面は閉鎖面とし、カバー部材17の閉鎖時には空気の流入を遮断する密閉状態となるようにしている。
【0027】
前記カバー部材18および17の内部には、その背面側にアルゴンガス供給管20を配管し、該アルゴンガス供給管20に間隔をあけて吹出口21をあけ、洗浄液回収槽12、一次水洗槽13、二次水洗槽14、乾燥槽15の上方にはカバー部材18、17の内周面に沿ってアルゴンガスを流通させ、いわゆるアルゴンガスによるエアーカーテンを生成させるようにしている。
【0028】
また、洗浄液回収槽12の側面には水洗シャワー22を配置して、該洗浄液回収槽12内に搬入される金型に向けて水を噴射させている。
前記乾燥槽15の側面にも水洗シャワー26を配置し、該乾燥槽15内に搬入される金型に最終的に水洗するための水を噴射させている。
さらに、二次水洗槽14には水供給管27から常温水を供給し、この水を一次水洗槽13にオーバーフローさせる構成としている。該一次水洗槽13の底面にはヒータ23を配置して、水を20℃〜60℃に加熱している。該一次水洗槽13の下面には超音波振動子(図示せず)を配置している。
前記乾燥槽15の背面には、アルゴンガスを噴射するガス噴射ノズル24も取り付け、三次水洗終了後に、アルゴンガスを金型に向けて噴射して、金型表面の濡れを除去し、金型を乾燥させるようにしている。
【0029】
前記洗浄槽11は、本出願人の先行出願の特開平11−114974等と同様な構成としている。即ち、キャスター付のフレーム45上に洗浄槽11を固定しており、他側部に電源器、制御器、循環ポンプ等の所要の駆動装置、浄化タンク、電解用変換器などを搭載している。
洗浄槽11は上面開口のボックス形状で、その外周面の略全面に面状ヒータを取り付け、所要時にオンして洗浄槽11を介して内部に収容する電解洗浄液を所要温度(40℃〜60℃)に加熱するようにしている。
【0030】
洗浄槽11内に供給する電解洗浄液Qは水に水酸化ナトリウムあるいは/および水酸化カリウムにグルコン酸ナトリウム等を混合したアルカリ溶液を用いている。該電解洗浄液Qは洗浄槽11内に、被洗浄物である金型100(図2に示す)の量に応じて所要レベルまで収容しており、所要時に洗浄槽11の底壁に設けた取出口より循環管に排出し、浄化タンク内に導いて濾過した後、循環ポンプで吸い上げて、洗浄槽11の上面開口へと投入して循環させるようにしている。
【0031】
洗浄槽11はステンレス製で、その上面開口を囲む外周フランジ部の上面にジュラコンからなる絶縁ベースを取り付けている。該洗浄槽11の上方にはアーム40で支持した電極保持板41が昇降自在に配置し、該電極保持板41から複数の導電棒42を垂下させ、これら導電棒42の下端に電極板43を取り付けている。該電極板43はアーム40に接続される導電材(図示せず)を介して、プラス側電源と接続している。アーム40は、図中枠体50の背面側に配置している昇降手段(図示せず)により昇降させ、前記電極板43を下降させて洗浄槽11内に浸漬し、洗浄後は上昇させている。
また、洗浄槽11の底壁内には超音波振動子(図示せず)を埋設けている。
洗浄槽11は前記構成とすることで、電解洗浄と超音波洗浄を併用して金型を洗浄する構成としている。
【0032】
前記カバー部材18、17の内部には、枠体50の背面側壁に摺動自在に係止した金型保持台30を設けている。
該金型保持台(金型保持手段)30は、水平方向に延在し金型100を載置する載置部31と、一端を載置部31と連結したコ字状の可動枠32と、可動枠32の他端をベアリング34を介して昇降自在に保持する保持枠33とからなる。金型保持台30の保持枠33は金型洗浄装置10に洗浄槽11側から金型出入部16側にかけて直線状に設けたレール(図示せず)上に配置しており、該レール上を移動させることにより金型保持手段30の左右方向への移動を可能としている。なお、金型保持台30の昇降及び左右方向への移動は図示しないモータにより行っている。
【0033】
次に、前記金型洗浄装置10を用いた金型の洗浄方法について説明する。
先ず、カバー17を開けて、金型取入台部16に配置した金型保持台30に金型を載置し、金型保持台30を洗浄槽11まで移動させる。
次いで、洗浄槽11で前記のように金型を電解洗浄し、電解洗浄後にアーム40と共に金型保持台30の可動枠32を上昇させ、金型保持台30を洗浄液回収槽12に移動させる。
次いで、可動枠32を洗浄液回収槽12内に下降させ、金型に水を噴射し洗浄液を金型表面から取り除く。
再び金型保持台30の昇降、横方向への移動、下降を行い一次水洗槽13の温水で水洗する。同様にして金型を二次水洗槽14に移動させて常温水で水洗し、さらに乾燥槽15で水を噴射した後、アルゴンガスを噴射して金型表面の濡れを除去し、金型を乾燥させる。
最後に、乾燥させた金型を金型出入部16に移動させ、カバー17を開けて金型を取り出す。
【0034】
前記構成によれば、水洗工程から乾燥工程までの間は不活性ガス雰囲気中あるいは清浄空気雰囲気中に金型の水洗槽、乾燥槽を配置することにより、金型を室内の塵埃を含む空気から遮断した状態で乾燥を行っている。これにより金型の濡れた表面に空気中の塵埃が付着するのを確実に防止し、この状態で、乾燥槽で乾燥していることにより、金型表面に空気中の塵埃や、洗浄液、水洗水が残存する事を防止できる。
なお、本実施形態では水洗槽を2槽設けているが、3槽以上設けてもよい。
また、本実施形態では洗浄槽で電解洗浄と超音波洗浄を併用しているが、電解洗浄のみによる洗浄としてもよい。
【0035】
なお、本実施形態では、不活性ガス供給手段によりアルゴンガスを供給して、アルゴンガスの雰囲気内で金型の洗浄及び乾燥を行っているが、アルゴンに替えて、窒素、ヘリウム、キセノン、クリプトン、炭酸ガス、あるいはこれらの混合ガスを用いてもよい。また、不活性ガスに替えて清浄空気を供給して清浄空気雰囲気中で金型の洗浄及び乾燥を行ってもよい。清浄空気雰囲気内で金型の洗浄及び乾燥を行う場合には、乾燥槽においてもアルゴンガスに替えて清浄空気を金型に噴射させている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態の金型洗浄装置の斜視図である。
【図2】(A)は金型保持台の斜視図、(B)はA−A線断面図である。
【図3】従来例の金型洗浄装置の斜視図である。
【図4】従来例の金型洗浄装置の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 金型洗浄装置
11 洗浄槽
12 洗浄液回収槽
13 一次水洗槽
14 二次水洗槽
15 乾燥槽
16 金型出入台部
17、18 カバー
20 アルゴンガス供給管
24 ガス噴射ノズル
30 金型保持台
41 電極保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄物である金型を浸漬し、該金型と、洗浄槽内に浸漬した電極とに電流を供給して電解洗浄を行う洗浄槽と、
前記金型洗浄槽での洗浄後の金型を水洗いする水洗槽と、
前記水洗槽での水洗い後に金型を乾燥する乾燥槽と、
前記少なくとも水洗槽と乾燥槽を密閉するカバー部材と、
前記カバー部材の内部空間に送給する不活性ガス供給手段あるいは、フィルターを通した清浄空気をカバー部材の内部空間に送給する清浄空気供給手段を備え、
前記不活性ガス供給手段から供給する不活性ガス雰囲気中、あるいは前記清浄空気供給手段から供給する清浄空気雰囲気中で、金型の水洗いと乾燥を行い、乾燥後に前記カバー内部から洗浄後の金型を取り出す構成としていることを特徴とする金型洗浄装置。
【請求項2】
前記不活性ガス供給手段により前記内部空間に挿入する不活性ガスは、アルゴン、窒素、ヘリウム、キセノン、クリプトン、炭酸ガス、あるいはこれらの混合ガスから選択している請求項1に記載の金型洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄される金型は樹脂成形用金型、ゴム成形用金型からなり、該金型は鉄製の鏡面を有する金型、ニッケルメッキ層を表面に備えた金型、ニッケル電鋳金型からなる請求項1または請求項2に記載の金型洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄される金型は導光板成形用金型、プラスチックレンズ成形用金型、光学部品成形用金型からなる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄槽で洗浄した金型から洗浄液を洗い流す洗浄液回収槽を前記洗浄槽に続けて並設し、該洗浄液回収槽に続いて前記水洗槽を設置、該水洗槽として、少なくとも20℃以上の温水による水洗いする一次水洗槽と、常温水により水洗いする二次水洗槽を備え、該二次水洗槽に続いて前記内部空間に挿入する前記不活性ガスあるいは清浄空気を金型に噴射する前記乾燥槽を備えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項6】
前記乾燥槽は常温水による三次水洗い手段と前記不活性ガスあるいは清浄空気噴射手段を備え、三次水洗い後に不活性ガスあるいは清浄空気を噴射して金型を乾燥させる構成としている請求項5に記載の金型洗浄装置。
【請求項7】
前記乾燥槽に続いて洗浄後金型の取り出しと洗浄前金型の取り入れを行う金型出入部を設け、該金型出入部も前記カバーで覆い、該金型出入部のカバーは前記並設する乾燥槽、水洗槽を覆うカバー部材とは分離して、開閉可能としている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項8】
前記カバー部材は、少なくとも前記乾燥槽、水洗槽を構成するフレームに下端を固定して前記各槽の上面と前記空間をあけて覆うドーム状等としている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項9】
前記金型を載置した状態で少なくとも前記乾燥槽と前記洗浄槽の間を順次間欠的に往復移動する導電性の金型保持手段を備え、該金型保持手段は少なくとも前記洗浄槽に位置した時には電源と導通され、該金型保持手段を介して載置した前記金型が、前記洗浄槽内に浸漬される前記電極と、電解洗浄液を介して通電されて電解洗浄がなされる構成としている請求項1乃至請求項8に記載の金型洗浄装置。
【請求項10】
前記金型保持手段は、自動あるいは前記カバー部材の外部から遠隔手動操作されるものである請求項9に記載の金型洗浄装置。
【請求項11】
前記カバー部材の内部に、前記洗浄槽、洗浄液回収槽、水洗槽、乾燥槽、金型出入部を並設し、該並設部に前記金型保持手段の移動ガイド部を設けている請求項9または請求項10に記載の金型洗浄装置。
【請求項12】
前記金型保持手段は昇降手段により昇降され、該昇降手段は、前記各槽の位置では前記金型保持手段を下降されて槽中に金型を浸漬する一方、槽間の移動時には金型保持手段を上昇させる構成としている請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項13】
前記洗浄槽には、内部の電解洗浄液に超音波振動を発生させる振動子を設けている請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項14】
前記温水で水洗いする一次水洗槽には超音波を発生する振動子を設けている請求項5乃至請求項13のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項15】
前記洗浄槽に供給する前記電解洗浄液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、EDTAのアルカリ塩、グルコン酸ナトリウムのいずれかを含むアルカリ溶液からなる請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。
【請求項16】
前記電解洗浄液に添加される水、前記洗浄液回収槽で金型に向けて噴射する水、前記水洗槽に供給する水として蒸留水を用いている請求項5乃至請求項15のいずれか1項に記載の金型洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−205601(P2006−205601A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22292(P2005−22292)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(593047415)ソマックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】