説明

金型移載装置

【課題】本発明は、ローラを備えた金型ラックから搬送台車へ金型を移載する作業を、簡便でありながら確実かつ安全に実施できる金型移載装置の提供を課題とする。
【解決手段】本発明の金型移載装置(1)は、金型(M)を移載する複数のローラ(13)と該金型の移動を規制する金型ストッパ(30)とを備えた金型ラック(10)と、上下動可能なローラアーム(40)の先端に金型ラックと係合するフック(46)を備えた搬送台車(20)とからなり、前記金型ラックのローラと前記ローラアームのローラ(421)の上面高さを一致させる該ローラアームの上下動により、前記搬送台車が前記フックおよび前記金型ストッパを介して前記金型ラックと係合するとともに、前記金型ストッパの規制が解除されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を金型ラックへ搬出入する金型移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形機などの金型を搬出入する場合に、搬送台車のローラ部先端に設けられたフックを成形機に係合させることで、ローラの高さ決めと、搬送台車への金型移載時の搬送台車のズレを防止する金型移載装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この従来技術をローラを備えた金型ラックから搬送台車へ金型を移載する作業に適用する場合には、搬送台車のローラ部先端に設けられたフックが金型ラックの前面に設けられている金型ストッパと干渉することになる。このため、安全を確保するように金型ストッパを別途手順通りに外してから金型を移載しなければならず、移載作業が繁雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−112818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、ローラを備えた金型ラックから搬送台車へ金型を移載する作業を、簡便でありながら確実かつ安全に実施できる金型移載装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の金型移載装置は、金型を移載する複数のローラと該金型の移動を規制する金型ストッパとを備えた金型ラックと、上下動可能なローラアームの先端に金型ラックと係合するフックを備えた搬送台車とからなり、前記金型ラックのローラと前記ローラアームのローラの高さとを一致させる該ローラアームの上下動により、前記搬送台車が前記フックおよび前記金型ストッパを介して前記金型ラックと係合するとともに、前記金型ストッパの規制が解除されることを特徴とする。
【0007】
本発明の金型移載装置によれば、搬送台車と金型ラックとを係合連結しない限り金型ストッパは解除されない。従って、搬送台車と金型ラックとの間の金型の移載作業をより安全に実施することができる。また、搬送台車と金型ラックとの連結作業と金型ストッパの規制解除作業とを同時に行うことができるので、作業性を向上することができる。
【0008】
本発明の金型移載装置において、金型ストッパは、金型ラックに固定された固定部材と、該固定部材に対して上下に移動可能な可動部材と、該可動部材を上方に付勢するばねとを有し、また、フックは先端下垂のL字型に形成されており、ローラアームが下降することにより、フックと金型ストッパとが係合するようにするとよい。
【0009】
このように構成される金型移載装置によれば、ローラアームを下降させることにより先端下垂のL字型のフックが、金型ストッパの可動部材と係合するとともに、この可動部材を押し下げて金型ストッパの規制を解除することができる。
【0010】
また、本発明の金型移載装置において、金型ストッパは、金型ラックに固定する固定部材と、該固定部材に対して上下に移動可能な可動部材と、この可動部材を上下動するリンク機構とを有し、また、フックにはこのリンク機構と係合する上部開口の係合溝が形成されており、ローラアームを上昇させることにより、搬送台車がフックと金型ストッパとを介して金型ラックと連結されるとともに、金型ストッパの規制が解除されるようにすることも好ましい。
【0011】
このように構成される金型移載装置によれば、ローラアームを上昇させることにより上部開口の係合溝を有するフックが、金型ストッパのリンク機構と係合するとともに、このリンク機構を介して可動部材を押し下げて金型ストッパの規制を解除することができる。
【0012】
本発明の金型移載装置において、金型ラックは、金型ラックのローラの回転を規制するブレーキ機構を有し、このブレーキ機構は、金型ストッパの規制解除と同時にローラの回転規制を解除するように構成することができる。
【0013】
このように構成される金型移載装置によれば、金型ラックへの衝撃などによる保管中の金型の不測の移動を抑制することができるとともに、金型ストッパの規制解除と同時にローラの回転規制をも解除することができ、保管中の安全をも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の金型移載装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】第1の実施形態における金型ストッパの概要を示す側面図である。
【図3】第1の実施形態における金型ストッパの概要を示す正面図である。
【図4】第1の実施形態におけるフックと金型ストッパとの係合状態を示す側面図である。
【図5】第1の実施形態におけるフックと金型ストッパとの係合状態を示す主要部正面図である。
【図6】第2の実施形態の主要部を説明する斜視図である。
【図7】第2の実施形態におけるフックと金型ストッパとの係合状態を示す主要部平面図である。
【図8】第2の実施形態におけるフックと金型ストッパとの係合状態を示す主要部側面図である。
【図9】第3の実施形態を説明する主要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態を斜視図で示したものである。本実施形態に係る金型移載装置1は、金型Mを保管する金型ラック10と、金型Mを搭載して移動可能な搬送台車20とからなる。金型ラック10は支柱11と、支柱11と一体的に水平に設けられた矩形の枠体12とからなる複数段の棚であり、各段は複数の金型Mが保管できるように適宜の領域で区画されている。各領域には金型Mの出し入れ方向に直角に延びる複数のローラ13が回転自在に設けられている。金型Mはこれら複数のローラ13上に載置されて保管されるようになっている。また、枠体12の横部材121の各領域の中央部には、金型Mの前方への移動を規制する金型ストッパ30が固設されている。
【0016】
図2、3に示されるように、金型ストッパ30は、金型ラック10の横部材121に固定される固定部材32と、この固定部材32に対して上下方向に移動可能な可動部材34とを備えている。
【0017】
固定部材32は側面視コ字状に形成されており、横部材121に固定する固定部321と、該固定部321の下端から前方へ水平に延出している基部322と、固定部321の上端から前方へ水平に延出している支持部323とを有している。支持部323と基部322には、後述する案内部材36を挿通可能な挿通孔(図示せず)が所定の間隔をもって穿設されている。
【0018】
また、可動部材34と固定部材32の基部322との間には、可動部材34を上方へ付勢するばね38が支持部323を貫通して設けられている。
【0019】
可動部材34には、2本の棒状の案内部材36が所定の間隔をもって垂下するように固定されており、この案内部材36は固定部材32の支持部323と基部322とに設けられた挿通孔を貫通している。そして、案内部材36の下端にはナット361が螺着されており、ばね38による可動部材34の上方への移動を規制するようになっている。
【0020】
可動部材34は固定部材32よりも狭幅に形成されており、横部材121との隙間Dに後述するフック46の先端部461を進入させることができる。また、可動部材34の左右の端部上面にはそれぞれ棒体341が立設固定されている。金型ストッパ30は、この棒体341の先端が金型ラック10のローラ13の上面よりも突出するように配設されているので、可動部材34を押し下げない限り、金型Mはこの棒体341によって前方への移動が規制されている。
【0021】
搬送台車20は、車輪を有するコの字状の台部22と該台部22に垂直に設けられた一対の柱部24と複数のローラ42を有するL字形状のローラアーム40とからなり、ローラアーム40は油圧などの駆動手段26により柱部24に沿って昇降可能に設けられている。また、ローラアーム40は複数のローラ421を有し金型を載置する本体部42と、ローラ441を有し金型の移動を補助する受渡部44と金型ストッパ30と係合し金型ラック10と搬送台車20とを連結するフック46とを備える。本実施形態において、ローラアーム40は、本体部42の先端側に受渡部44が設けられ、さらにその先端に下垂した先端部461を有するL字形状のフック46を搬送台車20の前進方向に突出して備えている。すなわち、受渡部44とフック46とは本体部42の先端側に搬送台車20の前進方向に沿って直列に配置されているわけである。なお、本体部42のローラ421と受渡部44のローラ441の上面高さは一致するように設けられている。
【0022】
以上の構成を有する本実施形態の金型移載装置1を用いて金型ラック10に保管されている金型Mを以下の手順で搬送台車20へ移載することができる。
【0023】
まず、搬送台車20においてローラアーム40の高さを調整して、フック46が金型ラック10の金型ストッパ30よりも高所に位置するようにする。次に、搬送台車20が金型ラック10に対向するように所定の位置(例えば図1に示す停止位置S)へ搬送台車20の車輪を位置決めする。この時、垂下しているフック46の先端461は金型ストッパ10と横部材121との隙間Dの直上に位置している。
【0024】
続いて、駆動手段26を調整してローラアーム40を降下させる。ローラアーム40を降下させると、フック46の裏面が金型ストッパ30の可動部材34に立設されている棒体341、341に当接してフック46と金型ストッパ30とが係合される。そして、この係合状態を維持したままローラアーム40をさらに下降させると、可動部材34は案内部材36とともに、ばね38の付勢力に抗して下方へ押圧される。
【0025】
可動部材34が押圧されて下降し、図5に示すように固定部材32の支持部323に当接すると、ローラアーム40の下降は停止して図4に示すようにローラアーム40の高さ決めがなされる。すなわち、搬送台車20と金型ラック10とが係合連結した状態で、金型ラック10のローラ13の上面高さとローラアーム40のローラ421、441の上面高さとが一致するわけである。
【0026】
また、金型Mの移動を規制していた金型ストッパ30の可動部材34がフック46によって押し下げられて棒体341の先端がローラ13の上面よりも下方へ押し下げられるので、ローラアーム40の高さ決めと同時に金型Mの移動の規制も解除される。これにより、金型Mの金型ラック10から搬送台車20への移載作業が可能となる。
【0027】
搬送台車20と金型ラック10とはフック46と金型ストッパ30との係合により確実に連結されているので、例えば、ウインチワイヤを金型に掛け、ウインチワイヤを巻き取るなどの従来と同様の手順に従って金型Mを搬送台車20のローラアーム40上へ移載することができる。そして、ローラアーム40へ移載した金型Mの移動を所定のストッパ(図示せず)で規制する。
【0028】
次に、ローラアーム40を上昇させてフック46と金型ストッパ30との係合を解除し、金型Mを搭載した搬送台車20を機側など所定の位置へ搬送する。
【0029】
ここで、ローラアーム40を上昇させると、金型ストッパ30の可動部材34は、ばね38の付勢力によって押し上げられ、図2に示す規制解除前の所定の位置まで復帰する。
【0030】
なお、金型Mを搬送台車20から金型ラック10へ戻す場合には、金型Mの移動が搬送台車20から金型ラック10へと変化するのみでその他の作業は同様に行えばよい。
【0031】
本実施形態の金型移載装置1によれば、搬送台車20と金型ラック10とを係合連結しない限り金型ストッパ30は解除されない。従って、金型の移載作業をより安全に実施することができる。また、搬送台車20と金型ラック10との連結作業と金型ストッパ30の規制解除作業とを同時に行うことができるので、移載作業の作業性が向上する。
(第2の実施形態)
第2の実施形態を図6〜8を参照しながら説明する。本実施形態の金型移載装置2は、前記第1の実施形態と同様に金型ラック10と、搬送台車20とからなる。ただし、本実施形態における搬送台車20は、第1の実施形態の搬送台車20と基本的な構成は変わらないが、ローラアーム60の態様のみが異なる。従って、図6〜8では第1の実施形態の搬送台車20と同様の部分は省略し、相違する主要部のみを示している。
【0032】
図6に示すように、本実施形態の金型ラック10には第1の実施形態の金型ストッパ30に変えて金型ストッパ50が固設されている。
【0033】
金型ストッパ50は、金型ラック10に固定された固定部材52と、この固定部材52に対して上下方向に移動可能な可動部材54と、該可動部材54を昇降するリンク機構56とを備える。
【0034】
固定部材52は略直方体の容器形状に形成されており、天井部には可動部材54を挿通する開口521が、また、左右の側壁部には上下方向に長い長孔522が形成されている。なお、図6において、固定部材52は、内部が理解できるように部分的に省略して示した。固定部材52の両側壁部の上端部には円柱状の第1の棒体523が該側壁部に垂直に左右に延出するように固定されている。
【0035】
可動部材54は円柱状の棒体であり、固定部材52から突出することで金型の移動を規制することができる。可動部材54の下方端部には第1の棒体523と平行する円柱状の第2の棒体561が嵌着されており、第2の棒体561は長孔522を貫通して左右に延出している。第1の棒体523と第2の棒体561とはばね58で連結されており、第2の棒体561は、ばね58によって長孔522に沿って上方へ引き上げられる方向に付勢されている。
【0036】
リンク機構56は、一対の連結板562と、該連結板562を揺動自在に枢支する枢支軸563とを備えている。連結板562の一端側には第1の長孔562aが、また、支点Pとなる枢支軸563を挟んで他端側には第2の長孔562bが形成されている。枢支軸563は軸受563aを介して固定部材52の正面壁に固定されている。
【0037】
連結板562の第1の長孔562aには第2の棒体561が挿通され、第2の長孔562bには、後述する搬送台車20のフック66と係合する円柱状の係合ロール564が第2の長孔562bに沿って移動可能に挿通されている。すなわち、リンク機構56は、一対の連結板562と枢支軸563と第2の棒体561と係合ロール564とを含む。
【0038】
なお、可動部材54の出没とリンク機構56の動作とを阻害しない範囲で金型ストッパ50全体を適宜形状の容器内に収容するようにしてもよい。
【0039】
搬送台車20はローラアーム60の態様を除いては、第1の実施形態の搬送台車20と基本的に同一の構成を備える。第1の実施形態の搬送台車20のフック46は、ローラアーム本体部42の先端側に受渡部44と直列に搬送台車20の進行方向に向かって突出して設けられていた。
【0040】
しかし、本実施形態の搬送台車20では、図7および図8に示すように、フック66はローラアーム60の本体部(図示せず)の先端に進行方向に平行して設けられた2列の受渡部64a、64bの間の凹部に埋没して設けられている。すなわち、フック66は本体部の先端に受渡部64a、64bと並列して設けられている。
【0041】
これは、第1の実施形態ではローラアーム40を下降させることにより、フック46が金型ストッパ30と係合するとともに金型ストッパ30の規制を解除するように構成されていたのに対して、本実施形態ではローラアーム60を上昇させることにより、フック66が金型ストッパ50と係合するとともに、金型ストッパ50の規制を解除するように構成されているからである。従って、本実施形態におけるフック66には係合ロール564と係合するように上方に開口するU字形の係合溝661が形成されている。なお、図6ではフック66とリンク機構56との関係を理解しやすいように受渡部64の図示は省略した。
【0042】
以上の構成を有する本実施形態の金型移載装置2を用いて金型ラック10に保管されている金型Mを以下の手順で搬送台車20へ移載することができる。
【0043】
まず、搬送台車20のローラアーム60の高さを調整して、フック66が金型ラック10の金型ストッパ50よりも低所に位置するようにする。次に、搬送台車20が金型ラック10に対向するように、所定の位置(例えば図1に示す停止位置S)へ搬送台車20の車輪を位置決めする。この時、フック66の係合溝661はリンク機構56の係合ロール564の直下に位置している。
【0044】
続いて、駆動手段を調整してローラアーム60を上昇させると、フック66は係合ロール564と係合して連結板562の他端側を上昇させる。連結板562の他端側は枢支軸563を支点Pとして上方へ揺動するので、第2の棒体561を挿通している一端側は下降し、この第2の棒体561とともに可動部材54は下降する。可動部材54はばね58の付勢力に抗して下降するが、係合ロール564が第2の長孔562bの他端側に当接することで下降は停止する。この時、可動部材54は図8に示すように固定部材52の内部へ没入している。
【0045】
そして、可動部材54の下降が停止すると同時にローラアーム60の高さ決めがなされる。すなわち、金型ラック10のローラ13の上面高さとローラアーム60の受渡部64のローラ641の上面高さとが一致するわけである。
【0046】
また、金型ストッパ50の可動部材54が固定部材52の内部へ没入するので、ローラアーム60の高さ決めと同時に金型Mの移動の規制も解除される。これにより、金型Mの金型ラック10からの移載作業が可能となる。
【0047】
搬送台車20と金型ラック10とはフック66と金型ストッパ50との係合により確実に連結されているので、第1の実施形態と同様にして金型Mを搬送台車20のローラアーム60上へ移載すればよい。さらに第1の実施形態と同様にしてローラアーム60上での金型Mの移動を規制する。
【0048】
次に、ローラアーム60を下降させてフック66と金型ストッパ50との係合を解除し、金型Mを搭載した搬送台車20を機側など所定の位置へ搬送する。ここで、ローラアーム60を下降させると、金型ストッパ50の可動部材54は、ばね58の付勢力によって自動的に引き上げられて図6に示す規制解除前の所定の位置まで復帰する。
【0049】
なお、金型Mを搬送台車20から金型ラック10へ戻す場合には、金型Mの移動が搬送台車20から金型ラック10へと変化するのみでその他の作業は同様に行えばよい。
【0050】
本実施形態の金型移載装置2によれば、搬送台車20と金型ラック10とを係合連結しない限り金型ストッパ50は解除されない。従って、金型の移載作業をより安全に実施することができる。また、搬送台車20と金型ラック10とを係合する連結作業と金型ストッパ50の規制解除作業とを同時に行うことができるので、移載作業の作業性が向上する。
【0051】
なお、本実施の形態は、比較的軽量な金型を取り扱う台車、例えば、油圧を足踏み式で上昇させる搬送台車などを用いる金型移載装置に好適である。
(第3の実施形態)
本実施の形態は、前記の実施形態において、金型ラック10に金型ストッパとは別に、金型ラック10のローラ13の回転を規制するブレーキ機構70を設けたものである。ブレーキ機構70はローラ13表面にブレーキパッドを接離することでその回転を規制あるいは解除するものである。このようなブレーキ機構70を備えることで、金型ラック10への衝撃などによる保管中の金型の不測の移動を抑制することができる。
【0052】
本実施形態は、ローラ13表面へのブレーキパッドの接離を金型ストッパの動きに連動するようにしたものである。前記第2の実施形態にさらにブレーキ機構70を設けた図9に基づいて本実施形態を説明する。
【0053】
ブレーキ機構70は金型ラック10のローラ13の直下で水平に前後に延びるブレーキ支持部材72と該ブレーキ支持部材72に固設されたブレーキパッド74とからなる。
【0054】
ブレーキ支持部材72は、金型ストッパ50の第2の棒体561に交差してローラ13の直下に金型ラックの後方に向かって延出するように設けられている。そして、ブレーキ支持部材72の後端部721は紙面に垂直に延びる軸78に枢支されており、この軸78を支点として支持部材72は揺動可能とされている。ブレーキパッド74はブレーキ支持部材72においてローラ13aと13bとの間に位置するように配置され、隣り合う2本のローラ13a、13bの表面に同時に接離することができる。また、ブレーキ支持部材72の適宜に位置に該ブレーキ支持部材72を下方に付勢するばね76が設けられている。
【0055】
このように構成されるブレーキ機構70は、金型ストッパ50の動きに連動して以下のように作用する。
【0056】
例えば、金型ラック10と搬送台車20とが係合していない状態、すなわち、金型ストッパ50の可動部材54が固定部材52から突出している場合には、ブレーキパッド74はローラ13a、13bの表面に当接してローラ13aと13bとの回転を規制している。しかし、金型ラック10と搬送台車20とが係合されるとともに連結板562がU方向へ揺動されて、リンク機構56を介して第2の棒体561が下降した場合(すなわち、可動部材54が下降した場合)には、この動きに連動してブレーキ支持部材72は下方へ揺動するのでブレーキパッド74はローラ13a、13bの表面から離間して、ローラ13a、13bの回転規制を解除することができる。このとき、ばね76はブレーキ支持部材72を下方に付勢しているので、リンク機構56の揺動をスムースに行うことができる。
【0057】
以上は、第2の実施形態を例にブレーキ機構70を説明したが、第1の実施形態においてもブレーキ機構70を金型ストッパ30の可動部材34と連動して上下するように配置すれば、上記と同様の作用・効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の金型移載装置は、ローラアームを有する搬送台車を用いてローラを有する金型ラックへ金型を出し入れする金型移載装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
10:金型ラック 13:ローラ 20:搬送台車 30、50:金型ストッパ 32、52:固定部材 34、54:可動部材 36:案内部材 38、58:ばね 40、60:ローラアーム 44、64:受渡部 46、66:フック 56:リンク機構 70:ブレーキ機構 72:ブレーキ支持部材 74:ブレーキパッド D:隙間 M:金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を移載する複数のローラと該金型の移動を規制する金型ストッパとを備えた金型ラックと、
上下動可能なローラアームの先端に前記金型ストッパと係合するフックを備えた搬送台車とからなり、
前記金型ラックのローラと前記ローラアームのローラの上面高さを一致させる該ローラアームの上下動により、前記搬送台車が前記フックと前記金型ストッパとを介して前記金型ラックと連結されるとともに、前記金型ストッパの規制が解除されることを特徴とする金型移載装置。
【請求項2】
前記金型ストッパは、前記金型ラックに固定された固定部材と、該固定部材に対して上下に移動可能な可動部材と、該可動部材を上方に付勢するばねとを有し、前記フックは先端下垂のL字型に形成されており、前記ローラアームが下降することにより該フックと該金型ストッパとが係合する請求項1に記載の金型移載装置。
【請求項3】
前記金型ストッパは、前記金型ラックに固定された固定部材と、該固定部材に対して上下に移動可能な可動部材と、該可動部材を上下動するリンク機構とを有し、前記フックには該リンク機構と係合する上部開口の係合溝が形成されており、前記ローラアームが上昇することにより、該フックの係合溝と該金型ストッパの該リンク機構とが係合する請求項1に記載の金型移載装置。
【請求項4】
前記金型ラックは、該金型ラックの前記ローラの回転を規制するブレーキ機構を有し、該ブレーキ機構は、前記金型ストッパの規制解除と同時に該ローラの回転規制を解除する請求項1〜3のいずれかに記載の金型移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−280108(P2010−280108A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134621(P2009−134621)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】