説明

金属の対象物を安定させるためのデバイス及び方法

【課題】磁性材料の金属の細長いストリップを金属層でコーティングするとき、ストリップを安定させるためのデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】ストリップは、浴2から、予め定められた移送経路xに沿う移送方向16へ移送される。過剰な溶融金属を、ストリップ1から除去するためのワイピング手段4は、ストリップ1を横断する1本の線の形で空気の流れを噴射する。ここで、前記ワイピング手段4は、ストリップ1の各サイドにエア・ナイフが一つずつ配置された少なくとも1対のエア・ナイフ5,6を有している。電磁的安定化手段7は、前記予め定められた移送経路xに対するストリップ1の位置を安定させる。センサー14,15は、前記予め定められた移送経路xに対するストリップ1の位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性材料の細長い金属の対象物を、溶融金属の浴の中を通して連続的に移送することにより、対象物に金属の層をコーティングする際に、対象物を安定させるためのデバイスに係る。上記の金属の対象物は、前記装置から、予め定められた移送経路に沿う移送方向へ移送されることが意図されている。前記デバイスは、空気の流れを金属の対象物に噴射することによって、対象物から過剰な溶融金属を除去するためのワイピング手段を有している。ここで、前記ワイピング手段は、対象物の各サイドに一つずつエア・ナイフを有するエア・ナイフの少なくとも一つの第一の対を有している。前記デバイスはまた、前記予め定められた移送経路に対する対象物の位置を安定させるように構成された電磁的安定化手段を有しており、この電磁的安定化手段は、平面の各サイドに電磁的安定化要素の少なくとも一つの第一の対を有している。
【0002】
本発明はまた、溶融金属の層でコーティングされる細長い金属の対象物を安定させるための方法に係る。このコーティングは、対象物を溶融金属の浴の中を通して連続的に移送することにより行われる。
【0003】
そのようなデバイスは、金属ストリップを連続的にメッキする際に、特に好ましい。本発明は、以下において、そのような使用形態を参照しながら、説明される。しかしながら、本発明はまた、例えばワイヤ、ロッド、チューブ、または細長い要素などの、他の金属の対象物のメッキにも使用可能であることを、留意すべきである。
【背景技術】
【0004】
金属のストリップ、例えば鋼のストリップ(鋼帯)の連続メッキの間、鋼のストリップは、溶融金属、通常は亜鉛を収容する浴の中を連続的に通される。この浴の中で、ストリップは、通常、浸漬ロールの下側を通り、それから、安定化及び修正ロールを通って、上方向に移動する。ストリップは、浴から出て、一組のガス・ナイフの間を通って移送される。このガス・ナイフは、過剰な亜鉛をストリップから吹き落とし、それを浴に戻す。このようにして、コーティングの厚さがコントロールされる。ナイフを用いて噴出されるガスは、空気、窒素、蒸気、または不活性ガスなどであるが、空気及び窒素がしばしば使用される。ストリップは、その後、コーティングが冷却されて凝固するまで、支持無しで移送される。被覆された鋼のストリップは、その後、ストリップを分割されたストリップ・エレメントに切断するための装置、または、ストリップをロールに巻き取るための装置に、アッパー・ロールを介して導かれまたは送られる。通常、ストリップは、浸漬ロールから縦方向に移送され、修正及び安定化ロール及びガス・ナイフを通り、アッパー・ロールに向かう。
【0005】
鋼のストリップに均一で薄いコーティングをメッキしようとするとき、一つの共通の方法は、ストリップがアッパー・ロールを通過した後に、コーティングの量を測定することである。その測定値は、ガス・ナイフをコントロールするために、従って、コーティングの厚さをコントロールするために、使用される。ガス・ナイフは、通常、梁から吊り下げられ、その梁は、縦方向及びストリップ向かう方向に移動可能に構成されている。ガス・ナイフはまた、ストリップ上のコーティングにガスが当る角度を変化させることが可能になるように角度が付けられることもある。鋼のストリップの形状、ストリップが支持無しで走行しなければならない長さ、その速度、及びガス・ナイフによる吹き落としの効果のために、しかしながら、鋼ストリップは、その移送方向に対して実質的に垂直な方向に動く。
【0006】
例えば、修正及び安定化ロールの使用、ガス・ナイフからのガスの流れの正確なコントロール、及び、鋼ストリップの速度の調整、および/または、ストリップが支持無しで走行しなければならない距離の調整、などの何らかの対策が、これらの横方向の動きを減少させる目的のために採用される。もし、横方向の動きが減少されない場合には、これらの横方向の動きは、ガス・ナイフを用いた正確なワイピングを相当程度妨げることになり、コーティングの不均一な厚さをもたらす、
日本の特許公開公報第JP09−202955号には、ガス・ナイフを通過した後に、ストリップを安定させ且つ張力をかけるロールの助けにより、どのようにして金属のストリップの振動を減少されるかについて、示されている。平面内でのその移送方向に対するストリップの位置が、センサーを用いて測定され、そこから、コンピュータに情報が送られ、そのコンピュータは、ストリップの速度に関する情報とともに、その得られた値及び基づいて、振動解析を実施し、ストリップの振動をコントロールするためにストリップに加える張力の最適値を計算する。
【0007】
また、日本の特許公開公報第JP3−173755号から、金属のストリップをメッキするためのデバイスに、ストリップの振動を減少させるために、安定化デバイスを配置することも知られている。これらの安定化デバイスは、エッジを所望に位置に固定するため、ストリップのそれぞれのエッジのコーナー部に配置され(且つそれに接する)ワイピング手段を有している。ストリップの振動を減少させるために、ストリップの幅に対向する領域で、電磁石が、ストリップの両側且つ各ガイド手段の間に、配置されている。安定化デバイスは、ガス・ナイフの下流に配置される。
【0008】
既知のデバイスについての一つの問題は、それらがストリップの十分な安定化をもたらさないことである。ワイピングをより効果的にして、より高い質の金属層を得るために、エア・ナイフをストリップのより近くに配置する必要がある。今日のスタビライザーを用いて、このことは可能ではない。その理由は、板の振動のために、エア・ナイフの間に間隔を設けなければならないからであり、そのことは、層の厚さが、望ましい値よりも大きくなることに帰着する。厚い金属層は、仮に金属層をもっと薄くできた場合と比較して、より高価な製品に帰着し、不均一なコーティングなどのような表面欠陥の原因ともなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−202955号公報
【特許文献2】特開平03−173755号公報
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、例えば金属のストリップのような、磁性材料の細長い金属の対象物を安定させ、その振動を減少させるためのデバイスを提供することにあり、このデバイスは、過剰な溶融金属のストリップからのエア・ワイピング(air wiping)と関係している。
【0011】
この目的は、本発明に基づいて、独立請求項1の特徴部分に記載された特徴に基づくデバイスにより、実現される。
【0012】
この目的は、更に、過剰な溶融金属をストリップから除去するためのワイピング手段を有するデバイスによって、実現される。
【0013】
上記ストリップは、溶融金属をストリップにコーティングするための装置の中を通って、例えば溶融融金属の浴の中を通って、連続的に移送される。上記ストリップは、溶融金属の浴から、予め定められた移送経路“x”に沿う移送方向へ移送されることが意図されている。
【0014】
空気の流れを、溶融金属の層を有するストリップを横断する一本の線の形で噴射することにより、過剰な溶融金属の除去が実現される。空気の流れは、ワイピング手段の中で生成され、このワイピング手段は、ストリップの各サイドに一つずつエア・ナイフを備えたエア・ナイフの少なくとも一つの第一の対を有している。
【0015】
前記デバイスは、前記エア・ナイフからの前記空気の流れがストリップに当る線に隣接する領域で、前記予め定められた移送経路“x”からのストリップの偏差を検出するように構成されたセンサーを有している。ストリップの偏差についての情報は、電磁的安定化手段をコントロールするため、その後、コントロール装置に送られる。
【0016】
この安定化デバイスは、前記予め定められた移送経路に対する対象物の位置を安定させるように構成されており、この装置は、前記エア・ナイフに隣接して配置され、且つストリップの各サイドに配置された電磁的安定化要素の少なくとも一つの第一の対を有している。移送方向に対して垂直方向の対象物の動きを減少させるために、前記エア・ナイフと前記電磁的安定化要素が互いに隣接して配置されているので、振動の最適な減衰が、前記エア・ナイフの間の領域で、実現される。
【0017】
本発明の好ましい発展形態は、以下の説明及び従属の装置クレイム2〜11から明らかになるであろう。
【0018】
好ましい実施形態によれば、板の上での前記エア・ナイフからの空気の流れにより生成される外乱の直ぐ近くで、板の位置が検出される。好ましくは、上記の外乱は、外乱から、即ち前記空気の流れが板に当る位置から、0〜500mmの範囲内で検出され、更に好ましくは、前記板の上の外乱から、0〜200mmの範囲内で検出される。前記センサーが傾いている場合においては、前記空気の流れがストリップの上の前記コーティングに当る線の中または直ぐ近くで測定を行うことが可能である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、前記デバイスは、センサーを有し、このセンサーは、前記予め定められた移送経路に対するストリップの位置に依存するパラメータの値を検知するように構成されている。ここで、前記安定化デバイスは、検出された値に応答する磁力を、ストリップに作用させるように構成され、この磁力は、前記移送方向を横切る方向、且つ、前記予め定められた移送経路を横切る方向、に向けられる。
【0020】
パラメータの検出された値は、信号処理装置で処理され、前記電磁的安定化手段の中のコイルに流れる電流をコントロールする。センサーは、センサーの位置がストリップの厚さに適合するように、ストリップに向かう方向に対し適切に移動可能に構成されている。このセンサーは、距離を測るための、例えば、誘導式変換器またはレーザ変換器である。レーザ変換器の一つの優位性は、誘導式変換器と比べて、ストリップからより離れた距離に、それを配置することができることである。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、各安定化要素は、少なくとも二つ安定化コイルを有し、ここで、二つの安定化コイルは、移送方向を横切る金属ストリップの範囲内で、且つ前記予め定められた移送経路内で、移動可能に構成されている。二つの安定化コイルを移動可能に構成することによって、バンド幅によらずに、最適な質のコーティングが得られる。
【0022】
本発明の更に他の実施形態によれば、各安定化要素は、少なくとも三つの安定化コイルを有し、ここで、これらのコイルの内の少なくとも二つは、好ましくは、金属ストリップの両エッジに配置されたコイルは、前記移送方向を横切る金属ストリップの範囲内で、移動可能である。コイルの内の少なくとも二つを移動可能に構成することによって、関係するバンド幅に適合された安定化が実現される。
【0023】
更に他の実施形態によれば、前記エア・ナイフは、前記エア・ナイフの位置をコントロールするために、梁に配置され、そして、前記安定化デバイスは、ストリップの可能な限り有効な安定化を実現するために、前記梁の中に配置される。前記エア・ナイフは、好ましくは、懸架手段を介して前記梁に移動可能に取り付けられ、それによって、前記エア・ナイフの角度を調整することにより、ストリップに当るエアの角度をコントロールするように構成される。
【0024】
また更なる実施形態によれば、前記安定化デバイスは、前記エア・ナイフを保持する梁の外側に固定される。このことは、スタビライザーが、ストリップに、前記エア・ナイフからの外乱がストリップ上で生ずる位置に隣接する位置に作用すると言う結果をもたらす。
【0025】
また更なる実施形態によれば、スタビライザーは、前記エア・ナイフの梁とは別の梁であって、前記エア・ナイフの梁の直ぐ近くに配置された梁に取り付けられる。スタビライザーが取り付けられた前記梁は、ストリップに向けて水平方向に、及びストリップの動きの方向に対して実質的に平行な縦の方向に、移動可能に構成される。このことは、スタビライザーの位置を、前記エア・ナイフの位置に対して独立に、調整することが可能になることを意味している。
【0026】
本発明の目的はまた、独立請求項12の特徴部分に記載された特徴に基づく方法によっても、実現される。
この方法の好ましい実施形態は、方法についての従属請求項13〜15、及び次のパラグラフの中に規定されている。
【0027】
本発明追加的な実施形態によれば、ストリップへの張力付与が、ストリップの安定化が開始される前に、行われる。ストリップの各サイドに配置された少なくとも二つ安定化要素の内の一つが、ストリップを引き付けるアクティブな磁力をストリップに作用させるように構成される。このことは、前記予め定められた移送経路内のそのオリジナルな位置から、アクティブな磁力を有する前記安定化要素により近い新しい位置に動かされたときに、ストリップにいくらかより長い距離を走行させることによって、ストリップに張力が与えられると言う結果をもたらす。このアクティブな磁力は、少なくとも二つ安定化デバイスの内の一つの中のコイル(単数または複数)への電流に、一定の電流を重ね合わせることによって、もたらされる。ストリップへの張力付与は、ストリップのより効果的な安定化をもたらす。
【0028】
本発明の一つの有利な効果は、前記安定化要素を前記エア・ナイフの直ぐ近くに配置することによって、前記エア・ナイフの正しく前方で発生し、ストリップ上のエアの影響に起因する振動が減衰されることである。振動が効果的に減衰されるので、エア・ナイフのノズルを、ストリップのより近くに配置することが可能になり、それにより、エア・ナイフの効果が増大する。より効果的なエア・ナイフとは、そのエア・ナイフを用いてより多くの金属層が剥ぎ取られることが可能であり、それにより、より薄い金属層が得られることを意味している。より薄い金属層は、表面のうねりの減少、及び、例えばいわゆる薔薇模様(roses)などのような、被覆された表面上の光学的欠陥の減少をもたらす。
【0029】
更に他の有利な効果は、振動のノードが、エア・ナイフのノズルの正しく前方に形成され、このことは、ストリップが、エア・ナイフの正しく前方で静止してとどまると言う結果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、金属ストリップをコーティングするための装置、及び金属ストリップを安定させるためのデバイスを概略的に示す。
【図2】図2は、図1の安定化デバイスを示し、ここでは、安定化デバイスは、移動可能に構成されている。
【図3】図3は、センサーが代替的な位置にある図1の安定化デバイスを示す。
【図4】図4は、センサーとしてレーザ変換器を備えた図1の安定化デバイスを示す。
【図5】図5は、代替的な実施形態に基づく図1の安定化デバイスを示し、ここでは、安定化デバイスは、少なくとも部分的にエア・ナイフを取り囲んでいる。
【図6】図6は、図5の安定化デバイスの代替的な実施形態を示す。
【図7】図7は、本発明に基づく安定化デバイスにおける、コイルの配置を概略的に示す。
【図8】図8は、本発明に基づく安定化デバイスにおける、コイルの代替的な配置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明を、添付図面を参照しながら実施形態を説明することにより、更に詳細に説明する。
【0032】
図1に、金属の細長いストリップ1を、コンテナ3内の溶融金属の浴2の中を通して連続的に移送することにより、ストリップに金属層コーティングする際に、ストリップを安定させるためのデバイスを示す。
【0033】
このデバイスは、金属ストリップに空気の流れを噴射することにより、ストリップから過剰な溶融金属を除去するためのワイピング手段4を有している。このワイピング手段は、ストリップ1の各サイドに一つずつエア・ナイフを有するエア・ナイフ5,6の少なくとも一つの第一の対を有している。エア・ナイフ5,6は、懸架手段21,22を介して、梁19,20に取り付けられている。この梁が、縦方向及び水平方向に移動可能に構成されているので、ストリップ1の位置に対するエア・ナイフの位置を、調整することが可能である。
【0034】
このデバイスはまた、電磁的安定化手段7を有し、この電磁的安定化手段は、予め定められた移送経路“x”に対するストリップの位置を安定させるように構成されている。この電磁的安定化手段7は、平面“x”の各サイドに、電磁的安定化要素8,9の少なくとも一つの第一の対を有している。図1の中の安定化要素8,9は、それぞれ、鉄心10,11及び二つのコイル12a,b,13a,bを有している。それらの内で、各安定化要素8,9の一つのコイル12a,13aのみが、図1の中に示されている。各安定化要素8,9からの一つのコイルは、一対のコイル12a,13aを形成し、それらは互いに電気的に接続され、そして、ストリップを安定させるために、共にコントロールされる。
【0035】
図1の中の安定化要素8,9は、前記予め定められた移送経路“x”から特定の距離に配置されている。安定化要素8,9は、エア・ナイフがストリップに影響を与える線の近くに作用して、可能な限り効率良くストリップの安定化を実現するために、梁19,20の中に配置されている。浴の中に浸漬されたロールと、安定化デバイス7の下流側に配置されたアッパー・ロールの間に、前記予め定められた移送経路“x”が、実質的に平面“y”の中で、伸びている。
【0036】
ストリップの各サイドに、且つエア・ナイフ5,6上に、センサー14,15が配置されている。これらのセンサーは、エア・ナイフからの空気の流れ5,6が、ストリップ1上の金属層に当る線に隣接する領域において、前記予め定められた移送経路“x”に対するストリップ1の位置を検出する。この線の形の領域は、実質的にストリップの全幅に渡って伸びている。安定化要素8,9は、エア・ナイフ5,6に隣接して配置され、磁力をストリップに、検出された位置に依存して、且つストリップ1に対して垂直の方向に、作用させる。
【0037】
センサー14,15は、前記予め定められた移送経路“x”に対するストリップの位置に依存するパラメータの値を検出するように構成されている。それによって、安定化要素8,9は、検出された値に応答する力を、ストリップ1に作用させる。センサー14,15からの信号は、信号処理装置17で処理され、コンバータ18の中のコントロール・プログラムが、ストリップ1を安定させるために、安定化要素8,9に流れる電流をコントロールする。
【0038】
図2は、図1によるデバイスの変形形態を示す。その相違点は、梁19,20の中に配置された安定化要素8,9が、ストリップ1に向かう方向に移動可能に構成されていることである。センサー14,15は、エア・ナイフ5,6に取り付けられている。
【0039】
図3は、図1によるデバイスの変形形態を示す。その相違点は、センサー14,15が、安定化要素8,9の中に配置され、その安定化要素が、梁19,20の中に配置されていることである。
【0040】
図4は、図1によるデバイスの変形形態を示す。その相違点は、センサー14,15が、安定化デバイス7及びエア・ナイフ5,6の後方に配置されていること、及び、センサー14,15が、距離測定のためのレーザ・カッターであることである。センサー14,15を、ストリップ1から離れた位置に配置することによって、センサーのメインテナンスが簡単になる。センサー14,15は、角度が付けられ、それによって、測定ポイントが、エア・ナイフ5,6からの空気がストリップ1に当る線の中またはその直ぐ近くになるようになる。
【0041】
図5に、本発明の代替的な実施形態を示す。ここでは、安定化要素の鉄心10,11が、エア・ナイフを少なくとも部分的に取り囲み、それによって、溶融金属の層から過剰な金属を除去するためのエア・ナイフにより生成されるエアのための開口が形成されることになる。センサー14,15は、鉄心10,11に取り付けられる。
【0042】
図6に、図5の安定化デバイスの代替的な実施形態を示す。ここでは、エア・ナイフは、安定化要素8,9に固定されている。センサー14,15は、安定化要素の鉄心10,11とエア・ナイフ5,6の間に配置されている。
【0043】
図7に、安定化デバイス4を示す。ここでは、安定化要素8,9は、二つのコイル13a,cを有し、それらのコイルは、移送方向16を横切るストリップ1の範囲内で移動可能である。
【0044】
図8に、図7の安定化デバイスの代替的な実施形態を示す。ここでは、各安定化要素8,9は、三つのコイル13a〜cを有し、その内で少なくとも二つコイル13a,cは、移送方向16を横切るストリップ1の範囲内で移動可能である。中央のコイル13bの両サイドの二つのコイル13a,cを移動可能に構成することによって、安定化デバイスを、ストリップの現在の幅に適合させることが可能になる。
【0045】
本発明は、以上に示された実施形態のみに限定されない。当業者であれば、クレイムにより規定される本発明の範囲内で、それらを様々なやり方で変形することが、当然に可能である。例えば、ストリップは、水平方向に移送されても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の金属の細長いストリップ(1)を、溶融金属の浴(2)の中を通して連続的に移送することにより、ストリップを金属層でコーティングする際に、ストリップ(1)を安定させるためのデバイスであって:
ストリップ(1)は、前記浴(2)から、予め定められた移送経路(x)に沿う移送方向(16)へ移送されることが意図されており、
当該デバイスは、空気の流れを、ストリップ(1)を横断する1本の線の形で噴射することによって、過剰な溶融金属をストリップ(1)から除去するためのワイピング手段(4)を有し、
このワイピング手段(4)は、ストリップ(1)の各サイドに一つずつエア・ナイフが配置された少なくとも1対のエア・ナイフ(5,6)を有し、
当該デバイスは、電磁的安定化手段(7)を有し、この電磁的安定化手段は、前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップの位置(2)を安定させるように構成され、且つ、この電磁的安定化手段は、少なくとも一つの電磁的安定化要素(8,9)をストリップ(1)の各サイドに有し、
当該デバイスは、前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップ(1)の位置を検出するように構成されたセンサー(14,15)を有する、
デバイスにおいて、
前記センサー(14,15)は、前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップの位置を、エア・ナイフからの空気の流れがストリップ(1)に当る線に隣接する領域で、検出するように構成されていること、及び、
前記電磁的安定化要素(8,9)は、前記エア・ナイフ(5,6)に隣接して配置され、且つ、前記測定された位置に依存して且つ前記予め定められた移送経路(x)に対して実質的に垂直の方向に、磁力をストリップに作用させるように構成されていること、
を特徴とするデバイス。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載のデバイス:
前記センサー(14,15)は、前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップの位置に依存するパラメータの値を、前記エア・ナイフからの空気の流れがストリップ(1)に当る線から、0mmから500mmまでの範囲、好ましくは0mmから200mmまでの範囲の距離にある領域内で、検出するように構成されている。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載のデバイス:
各電磁的安定化要素(8,9)は、二つの安定化コイル(12,13)を有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のデバイス:
各電磁的安定化要素(8,9)は、三つの安定化コイル(12,13)を有している。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項3または4に記載のデバイス:
安定化要素(8,9)の中の安定化コイルの少なくとも二つは、ストリップ(1)の幅に沿って移動可能に構成されている。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス:
センサー(14,15)は、誘導式変換器である。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項1から5のいずれか1項に記載のデバイス:
センサー(14,15)は、距離測定のためのレーザ・カッターである。
【請求項8】
下記特徴を有する請求項1から7のいずれか1項に記載のデバイス:
センサー(14,15)は、前記エア・ナイフに固定されている。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項1から7のいずれか1項に記載のデバイス:
前記エア・ナイフ(5,6)は、梁(19,20)に配置され、前記センサー(14,15)は、その梁(19,20)の中に配置されている。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1から9のいずれか1項に記載のデバイス:
前記エア・ナイフ(5,6)は、梁(19,20)に配置され、前記安定化要素(8,9)はこの梁(19,20)の中に組み込まれている。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項1から9のいずれか1項に記載のデバイス:
前記安定化要素(8,9)の鉄心(10,11)は、前記エア・ナイフ(5,6)を取り囲んでいる。
【請求項12】
磁性材料製の金属の細長いストリップ(1)を金属層でコーティングするとき、ストリップ(1)を安定させるための方法であって、
ここで、前記金属層は、ストリップを、溶融金属の浴(2)の中を通して連続的に移送することによりコーティングされ、
当該方法は、
− 前記金属ストリップ(1)を、前記浴(2)から、予め定められた移送経路(x)に沿う方向に移送するステップと;
− 空気の流れを、ストリップを横断する一本の線の形でストリップに噴射することによって、ストリップ(1)から過剰な溶融金属を除去するステップと;を有しており、
ここで、前記空気の流れは、ストリップ(1)の各サイドにエア・ナイフ(5,6)を有するワイピング手段(4)によって生成される、
方法において、
− 前記予め定められた移送経路(x)の位置に対するストリップ(1)の位置を、前記エア・ナイフ(5,6)からの空気の流れがストリップ(1)に当る線に隣接する領域内で、センサー(14,15)を用いて検出し;
− 前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップの位置に応答する安定化のための磁力をストリップに作用させることによって、前記予め定められた移送経路(x)に対するストリップ(1)の位置を安定させる。
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項12に記載の方法:
前記安定化のための磁力は、前記エア・ナイフ(5,6)からの空気の流れが前記金属層に当る線に隣接する位置で、ストリップに作用する。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項12または13に記載の方法:
前記センサー(14,15)でのストリップ(1)の位置の検出は、前記安定化のための磁力の印加及びその強度をコントロールするパラメータを生成する。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項12から14のいずれか1項に記載の方法:
ストリップ(1)への張力付与が、ストリップの安定化が開始される前に実施され、
この張力付与は、ストリップ(1)の各サイドに配置された前記安定化要素(8,9)の内の一つを、ストリップを前記アクティブな安定化要素(8,9)の方向に向けて引っ張るアクティブな磁力をストリップに作用させるように、構成することにより実施される。
【請求項16】
細長い金属のストリップを金属層でコーティングする際に、ストリップを安定させるための請求項1から11のいずれかに記載されたデバイスの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−255216(P2012−255216A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179754(P2012−179754)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【分割の表示】特願2007−521432(P2007−521432)の分割
【原出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(504127740)アーベーベー・アーベー (19)
【Fターム(参考)】