金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの製造方法
金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ(20)の製造方法。この方法は、金属マトリックス中に実質的に連続し長手方向に配置された複数の繊維を含む金属マトリックス複合体ワイヤ(26)の外部表面(24)に延性金属クラッド(22)を付随させるものである。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的に、金属マトリックス複合体(MMC)は知られている。MMCは、通常、微粒子、ウィスカ、短繊維または長繊維のいずれかで、繊維で強化された金属マトリックスを含んでいる。金属マトリックス複合体としては、アルミニウムマトリックス複合体ワイヤ(例えば、アルミニウムマトリックスに埋め込まれた炭化ケイ素、炭素、ホウ素または多結晶アルファアルミナ繊維)、チタンマトリックス複合体テープ(例えば、チタンマトリックス中に埋め込まれた炭化ケイ素繊維)および銅マトリックス複合体テープ(例えば、銅マトリックスに埋め込まれた炭化ケイ素または炭化ホウ素繊維)が例示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
金属マトリックス複合体ワイヤの用途としては、特に、ベアオーバーヘッド電力伝送ケーブルにおける強化部材が挙げられる。ケーブルの1つの代表的なニーズは、既存の伝送基板の電力移動容量を増大するニーズにより出てきている。
【0003】
オーバーヘッド電力伝送のケーブルにとって望ましい性能要件としては、耐食性、環境耐久性(例えば、UVおよび水分)、高温での強度損失に対する抵抗性、耐クリープ性、比較的高弾性率、低密度、低熱膨張率、高導電性および高強度が挙げられる。アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルは知られているが、ある用途については、例えば、改善された破断歪み値および/またはサイズ均一性を有するアルミニウムマトリックス複合体が望まれている。
【0004】
より均一に充填されるケーブル構造を与えるには、丸い断面を有するワイヤを使用できるのが望ましい。より均一な直径のケーブル構造を提供するには、丸いワイヤの長さに沿った異なる点でより均一な直径を有する丸いワイヤの使用が望ましい。このように、丸い断面と均一な直径を有する実質的に連続した金属マトリックス複合体ワイヤ、およびかかる実質的に連続した金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、金属クラッディング(例えば、アルミニウムおよびその合金)された金属(例えば、アルミニウムおよびその合金)マトリックス複合体ワイヤの製造方法に関する。本方法は、延性金属を熱処理して、延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に付随させるものである。本発明の実施形態は、金属クラッドで被覆された外部表面を有するアルミニウムマトリックス複合体ワイヤに係る。本発明による金属クラッディング(金属被覆)された金属マトリックス複合体は、弾性率、密度、熱膨張率、導電率、強度、破断歪み、真円度および/または塑性変形に関して望ましい特性を示すワイヤとして形成される。
【0006】
一態様において、本発明は、金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させ、チャンバ内の温度を延性金属の融点より低く保ち、チャンバ内の圧力は延性金属を可塑化するのに十分なものとして、チャンバ内の金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に延性金属を付随させ、付随させた延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、延性金属を付随させた金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバから引き出すことによって、金属クラッディングされた金属マトリックスを製造する方法を提供する。
【0007】
他の態様において、本発明の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体を製造する方法は、金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に延性金属を付随させ、付随させた延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、付随させた延性金属を操作するが、その金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートル、ある実施形態においては少なくとも200メートル、少なくとも300メートル、少なくとも400メートル、少なくとも500メートル、少なくとも600メートル、少なくとも700メートル、少なくとも800メートル、更には少なくとも900メートルの長さにわたって少なくとも0.95(ある実施形態においては、少なくとも0.97、少なくとも0.98、更には少なくとも0.99)の真円度値を呈する。
【0008】
本明細書で用いる場合、特に断りのない限り、以下の用語は次のような意味である。
【0009】
「連続繊維」とは、平均繊維直径に比べて比較的無限の長さを有する繊維のことを意味する。通常、これは、繊維が少なくとも1×105(ある実施形態においては少なくとも1×106、または少なくとも1×107)のアスペクト比(すなわち、繊維の長さ対繊維の平均直径の比)を有することを意味している。通常、かかる繊維の長さは少なくとも約50メートルであるが、約数キロメートル以上の長さであってもよい。
【0010】
「長手方向に配置された」とは、ワイヤの長さと同じ方向にワイヤの長さに対して繊維が配向されていることを意味している。
【0011】
ワイヤの断面形状が円周にいかに近いかの尺度である「真円度値」は、下記の実施例に記載されたワイヤの指定長さにわたる個々の測定された真円度値の平均より定義される。
【0012】
ワイヤの指定長さにわたる測定された単一真円度値の変動係数である「真円度均一値」は、下記の実施例に記載された個々の測定された真円度値の平均で除算した個々の測定された真円度値の標準偏差の比である。
【0013】
ワイヤの指定長さにわたるワイヤの個々の測定された直径の平均の変動係数である「直径均一値」は、下記の実施例に記載された測定された個々の直径の平均で除算した測定された個々の直径の平均の標準偏差の比により定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、金属クラッディングされた複合体ワイヤおよびケーブルの製造方法である。通常、本発明の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス複合体ワイヤに延性金属クラッドを付随させることにより作成される。理論に拘束されることは望んでいないが、本発明により提供される方法は、特性が大幅に改善された金属クラッディングされた複合体ワイヤを製造するものと考えられる。本発明による少なくとも1つのワイヤは、ケーブル(例えば、電力伝送ケーブル)へと組み合わせてもよい。
【0015】
本発明の方法により作成された例証の金属クラッディングされた繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤ20の断面図を図1に示す。以降金属クラッディングされた複合体ワイヤまたはMCCWと呼ばれる金属クラッディングされた繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤ20は、金属マトリックス複合体ワイヤ26の外部表面24に付随した延性金属クラッド22を含む。金属マトリックス複合体ワイヤ26はまた、コアワイヤ26とも呼ばれる。延性金属クラッド22は厚さtの略管状である。ある実施形態において、金属マトリックス複合体ワイヤ26は、MCCW20内で長手方向に中心にある。
【0016】
本発明の方法は、金属マトリックス複合体ワイヤ26のクラッディングに関連している。金属マトリックス複合体ワイヤ26をクラッディングして、後述される図2および3に示した方法により、金属クラッディングされた複合体ワイヤ(MCCW)20を形成してもよい。
【0017】
図2を参照すると、コアワイヤ26を、延性金属フィードストック28によりクラッディングして、クラッディングマシン30(例えば、型番350、英国アシュフォードのBWE社(BWE Ltd,Ashford,England,UK)より「コンクラッド(CONKLAD)」という商品名で入手可能)を利用してMCCW20を形成してもよい。クラッディングマシン30は、押出しホイール34の上またはそれに近接したシュー32を含んでいる。シュー32は、一端で入口ガイドダイ38により、他端で出口押出しダイ40によりアクセスされるダイチャンバ36(図3)を含む。押出しホイール34は、ダイチャンバ36へ供給する少なくとも1つの周囲グルーブ42(一般的に、2つの周囲グルーブ)を含む。
【0018】
ある実施形態において、クラッディングマシン30は接線モードで操作される。図2に示した通り、接線モードにおいては、製品センターライン(すなわち、MCCW20)が、クラッディングマシン30の押出しホイール34に接線に操作される。コアワイヤ26が、ワイヤを破断するのに十分ないかなる小さな半径ベンドをも通過してはならないため、これは望ましい。一般的に、コアワイヤ26は直線経路に従う。
【0019】
コアワイヤ26は、十分な直径のスプール(図示せず)でクラッディングマシン30に供給されて、コアワイヤ26がワイヤの弾性限界を超えて曲がるのを防ぐ。ブレーキを備えたペイオフシステムを用いて、スプールでのコアワイヤ26の張力を制御する。コアワイヤ26の張力は、コアワイヤ26のスプールが解けるのを防ぐほど十分なレベルまで最小に保つ。コアワイヤ26は、一般的に、装置でスレッドする前に予熱はしない。ただし、ある実施形態においてはそれが望ましいことがある。任意で、フィードストック28について後述するのと同様のやり方を用いてクラッディングする前にコアワイヤ26をクリーニングしてもよい。
【0020】
コアワイヤ26は、押出しホイール34の上またはそれに近接させてシュー32でクラッディングマシン30を介してスレッドさせてもよい。シュー32の断面詳細は図3にある。シュー32は、入口ガイドダイ38と、ダイチャンバ36と、出口押出しダイ40とを含んでいる。コアワイヤ26は、入口ガイドダイ38を通して入ることにより直接スルーシュー32(例えば、押出しツール)を通過し、ダイチャンバ36を通過してそこでクラッディングが行われ、出口押出しダイ40で出る。出口ダイ40は、クラッド厚さtに対応するべくコアワイヤ26より大きい。MCCW26は、シュー32の遠位側で出た後、テークアップドラム(図示せず)に取り付けられる。
【0021】
クラッディングマシン30に導入される前、延性金属クラッドのフィードストック28は任意でクリーニングされて、表面汚染を除去する。ある好適な洗浄方法は、BWE社より入手可能なパロバイタル(parobital)クリーニングシステムである。これは、温和アルカリクリーニング溶液(例えば、希釈水性水酸化ナトリウム)の後、酸中和剤(例えば、水溶液中希釈酢酸またはその他有機酸)を用い、最後に水で濯ぐものである。パロバイタルシステムにおいては、クリーニング流体は熱く、ワイヤに沿って高速で流れ、流体中で攪拌される。化学クリーニングによる超音波クリーニングも好適である。
【0022】
クラッディングマシン30の操作を図2および3を参照して以下に説明する。一般的に、連続プロセスとして行われる。まず、コアワイヤ26を、上述した通りにして、クラッディングマシン30を通してスレッドする。フィードストック28を、ある実施形態においては、2本のロッドとして、回転押出しホイール34に導入し、ある実施形態においては周囲にツイングルーブ42を含んでいる。各グルーブ42は、フィードストック28のロッドを受ける。
【0023】
押出しホイール34は回転して、フィードストック28をダイチャンバ36へ押し付ける。押出しホイール34の作用により十分な圧力が与えられ、ダイチャンバ36の熱と組み合わさって、フィードストック28が可塑化される。ダイチャンバ36内のフィードストック材料の温度は、一般的に、材料の融点より低い。材料を熱処理して、変形中再結晶が起こる温度および歪み速度で塑性変形させる。フィードストック材料温度を融点より低く維持することにより、フィードストック28から形成されたクラッド22の硬さは、フィードストック28を溶融形態で適用する場合よりも大きい。例えば、約500℃の温度が、融点が約660℃のアルミニウムフィードストックについては一般的である。
【0024】
フィードストック28は、コアワイヤ26の両側のダイチャンバ36に入って、コアワイヤ26周囲のフィードストック28の圧力と流れを等しくさせる補助をする。押出しホイール34の作用により、シュー32によるフィードストック28の方向転換および変形のために、ダイチャンバ36が可塑化フィードストック28で充填される。クラッディングマシン30は、シュー32内で14〜40kg/mm2の範囲の一般的な操作圧力を有している。コアワイヤ26の正常なクラッディングのために、シュー32内側の圧力は、一般的に、操作範囲の下端に向かい、押出しホイール34の速度を調整することにより操作中に設定される。状態がダイチャンバ36に達するまで、ホイール34の速度を調整し、コアワイヤ26に損傷を与えるような圧力に達することなく、可塑化フィードストック28がコアワイヤ26周囲の出口ダイ40から押し出されるようにする。(ホイール速度が遅すぎると、フィードストックは出口ダイ40から押し出されない、または出口ダイ40から押し出されたフィードストック28は出口ダイ40を通してコアワイヤ26を引っ張らない。ホイール速度が速すぎると、コアワイヤ26は剪断切断される。)
【0025】
更に、ダイチャンバ36の温度および圧力は一般的に制御されて、クラッド材料(可塑化フィードストック28)がコアワイヤ26にボンドされ、一方、より易壊性のコアワイヤ26への損傷を防ぐべく十分に低い。可塑化フィードストック28内のコアワイヤ26を中心にするために、ダイチャンバ36に入るフィードストック28の圧力の釣り合いを取ることも有益である。ダイチャンバ36内のコアワイヤ26を中心にすることにより、可塑化フィードストック28はコアワイヤ26周囲に同心円環を形成する。
【0026】
クラッディングマシン30を出るMCCW20の線速度としては、約50m/分が挙げられる。一般的に、クラッディングマシン30を通る際それに沿って押し出されたフィードストック28がコアワイヤ26を引っ張る際に張力は必要なく、製品(すなわち、MCCW20)を集めるテークアップドラムにより供給されない。マシンを出た後、MCCW20は水のトラフ(図示せず)を通過してそれを冷却し、テークアップドラムに巻き付けられる。
【0027】
クラッド材料
金属クラッド22は、延性を示す任意の金属または金属合金で構成してよい。ある実施形態において、金属クラッド22は、コアワイヤ26の材料成分(例えば、繊維およびマトリックス材料)と著しく化学反応しない金属合金をはじめとする延性金属材料から選択される。
【0028】
金属クラッド22用の延性金属材料としては、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびそれらの合金(例えば、アルミニウムと銅の合金)が例示される。ある実施形態において、金属クラッド22はアルミニウムとその合金を含む。アルミニウムクラッド材料については、ある実施形態において、クラッド22は少なくとも99.5重量パーセントのアルミニウムを含む。ある実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000および8000シリーズのアルミニウム合金(アルミニウム協会指示(Aluminum Association designations))である。好適な金属は市販されている。例えば、アルミニウムおよびアルミニウム合金は、例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのアルコア(Alcoa、Pittsburgh,PA)より入手可能である。亜鉛および錫は、例えば、ミネソタ州セントポールのメタルサービス(Metal Services,St.Paul,MN)(「純粋亜鉛」純度99.999%および「純粋錫」純度99.95%)より入手可能である。例えば、マグネシウムは、英国マンチェスターのマグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Manchester,England)より「ピュア(PURE)」という商品名で入手可能である。マグネシウム合金(WE43A、EZ33A、AZ81AおよびZE41A)は、例えば、コロラド州デンバーのタイメット(TIMET,Denver,CO)より得られる。銅およびその合金は、ジョージア州キャロルトンのサウスワイヤ(South Wire、Carrollton、GA)より入手可能である。
【0029】
MCCW20は、1種類以上の金属(例えば、高純度(すなわち99.95%を超える)元素アルミニウムまたは銅のような他の元素との純粋なアルミニウムの合金を含むマトリックス内に封入されたセラミック(例えば、アルミナ系)強化繊維のような複数の連続した、長手方向に配置された繊維を含む少なくとも1つのトウを含むことが多いコアワイヤ26に形成してもよい。ある実施形態において、金属マトリックス複合体ワイヤ26中の繊維の数基準で少なくとも85%(ある実施形態において、少なくとも90%、または更には少なくとも95%)が連続している。本発明のMCCW20に用いるのに好適な金属マトリックス複合体ワイヤ26の繊維およびマトリックスの選択について後述する。
【0030】
繊維
本発明のMCCW20に用いるのに好適な金属マトリックス複合体物品26を作成するための連続繊維としては、金属酸化物(例えば、アルミナ)繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維およびこれらの繊維の組み合わせのようなセラミック繊維が挙げられる。一般的に、酸化セラミック繊維は結晶セラミクスおよび/または結晶セラミックおよびガラスの混合物である(すなわち、繊維は、結晶セラミックとガラス相の両方を含有していてもよい)。通常、これは、繊維が少なくとも1×105(ある実施形態においては少なくとも1×106、または少なくとも1×107)のアスペクト比(すなわち、繊維の長さ対繊維の平均直径の比)を有することを意味している。通常、かかる繊維の長さは少なくとも約50メートルであるが、約数キロメートル以上の長さであってもよい。一般的に、連続強化繊維の平均繊維直径は少なくとも5マイクロメートルから略50マイクロメートル以下である。より一般的に、平均繊維直径は25マイクロメートル以下、最も一般的には8マイクロメートル〜20マイクロメートルである。
【0031】
ある実施形態において、セラミック繊維の平均引張り強度は少なくとも1.4GPa、少なくとも1.7GPa、少なくとも2.1GPa、更には少なくとも2.8GPaである。ある実施形態において、炭素繊維の平均引張り強度は少なくとも1.4GPa、少なくとも2.1GPa、少なくとも3.5GPa、更には少なくとも5.5GPaである。ある実施形態において、セラミック繊維のモジュラスは70GPaを超え、略1000GPa以下、更には420GPa以下である。引張り強度およびモジュラスの試験方法は実施例にある。
【0032】
ある実施形態において、コアワイヤ26を作成するのに用いる連続繊維の少なくとも一部はトウ(tow)である。トウは繊維業界において周知であり、ロービング状形態で集まった複数の(個々の)繊維(一般的に少なくとも100本の繊維、より一般的には少なくとも400本の繊維)のことを指す。ある実施形態において、トウはトウ当たり少なくとも780本の繊維、場合によっては、トウ当たり少なくとも2600本の繊維を含む。セラミック繊維のトウは、300メートル、500メートル、750メートル、1000メートル、1500メートル、1750メートル以上をはじめとする様々な長さで入手可能である。繊維の断面形状は円形または楕円であってよい。
【0033】
アルミナ繊維は、例えば、米国特許第4,954,462号明細書(ウッド(Wood)ら)および第5,185,29号明細書(ウッド(Wood)ら)に記載されている。ある実施形態において、アルミナ繊維は多結晶アルファアルミナ繊維であり、アルミナ繊維の総重量を基準として理論酸化物基準で、99重量パーセントを超えるAl2O3および0.2〜0.5重量パーセントのSiO2を含む。他の態様において、ある望ましい多結晶アルファアルミナ繊維は、平均結晶サイズ1マイクロメートル未満(更には、ある実施形態においては、0.5マイクロメートル未満)のアルファアルミナを含む。他の態様のある実施形態において、多結晶アルファアルミナ繊維の平均引張強さは少なくとも1.6GPa(ある実施形態においては、少なくとも2.1GPa、更には少なくとも2.8GPa)である。アルファアルミナ繊維は、例えば、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より「ネクステル(NEXTEL)610」という商品名で市販されている。
【0034】
アルミノシリケート繊維は、例えば、米国特許第4,047,965号明細書(カルスト(Karst)ら)に記載されている。アルミノシリケート繊維は、例えば、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より「ネクステル(NEXTEL)440」、「ネクステル(NEXTEL)550」および「ネクステル(NEXTEL)720」という商品名で市販されている。
【0035】
アルミノホウケイ酸塩繊維は、例えば、米国特許第3,795,524号明細書(ソウマン(Sowman))に記載されている。例証のアルミノホウケイ酸塩繊維は、3Mカンパニー(3M Company)より「ネクステル(NEXTEL)312」という商品名で市販されている。
【0036】
例証のホウ素繊維は、例えば、マサチューセッツ州ロウエルのテキストロンスペシャルティファイバー社(Textron Specialty Fibers,Inc.,Lowell,MA)より市販されている。
【0037】
窒化ホウ素繊維は、例えば、米国特許第3,429,722号明細書(エコノミー(Economy))および第5,780,154号明細書(オカノ(Okano)ら)に記載された通りにして作成することができる。
【0038】
例証の炭化ケイ素繊維は、例えば、カリフォルニア州サンディエゴのCOIセラミクス(COI Ceramics,San Diego,CA)より500本の繊維のトウで「ニカロン(NICALON)」という商品名で、日本の宇部興産(Ube Industries,Japan)より「ティラノ(TYRANNO)」という商品名で、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング(Dow Corning,Midland,MI)より「シルラミック(SYLRAMIC)」という商品名で市販されている。
【0039】
模範的な炭素繊維は、例えば、ジョージア州アルファレッタのアモコケミカルズ(Amoco Chemicals,Alpharetta,GA)より2000本、4000本、5,000本および12,000本のトウで「ソーネルカーボン(THORNEL CARBON)」という商品名で、コネチカット州スタンフォードのヘキセルコーポレーション(Hexcel Corporation,Stamford,CT)より、カリフォルニア州サクラメントのグラフィ社(Grafil, Inc.,Sacramento,CA)(三菱レイヨン(Mitsubishi Rayon Co.)の子会社)より「パイロフィル(PYROFIL)」という商品名で、日本の東レ(Toray,Tokyo,Japan)より「トレカ(TORAYCA)」という商品名で、日本の東邦レーヨン(Toho Rayon,Japan,Ltd.)より「ベスファイト(BESFIGHT)」、ミズーリ州セントルイスのゾルテック(Zoltek Corporation,St.Louis,MO)より「パネックス(PANEX)」および「パイロン(PYRON)」という商品名で、ニュージャージー州ワイコフのインコスペシャルプロダクツ(Inco Special Products,Wyckoff,NJ)(ニッケルコート炭素繊維)より「12K20」および「12K50」という商品名で市販されている。
【0040】
例証のグラファイト繊維は、例えば、ジョージア州アルファレッタのBPアモコ(BP Amoco,Alpharetta,GA)より1000本、3000本および6000本の繊維のトウで「T−300」という商品名で市販されている。
【0041】
例証の炭化ケイ素繊維は、例えば、カリフォルニア州サンディエゴのCOIセラミクス(COI Ceramics,San Diego,CA)より500本の繊維のトウで「ニカロン(NICALON)」という商品名で、日本の宇部興産(Ube Industries,Japan)より「ティラノ(TYRANNO)」という商品名で、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング(Dow Corning,Midland,MI)より「シルラミック(SYLRAMIC)」という商品名で市販されている。
【0042】
市販の繊維は、一般的に、製造中に潤滑性を与え、取扱い中に繊維ストランドを保護するために繊維に添加された有機サイジング材料を含んでいる。サイジングは、例えば、溶解または燃焼により繊維から除去してもよい。一般的には、金属マトリックス複合体ワイヤ26を形成する前にサイジングを除去するのが望ましい。
【0043】
繊維は、例えば、繊維の濡れ性を向上し、繊維と溶融金属マトリックス材料との間の反応を減じる、または防ぐのに用いるコーティングを有していてもよい。かかるコーティングおよびかかるコーティングを与える技術は繊維および金属複合材料業界において公知である。
【0044】
マトリックス
一般的に、金属マトリックス複合体ワイヤ26の金属マトリックスは、マトリックス材料が繊維材料と著しく化学的に反応せず(すなわち、繊維材料に対して比較的化学的に不活性である)、例えば、繊維外部に保護コーティングを与える必要性を排除するように選択する。マトリックス材料に選択した金属は、クラッド22と同じ材料である必要はないが、クラッド22とは著しく化学的に反応してはならない。金属マトリックス材料としては、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、およびそれらの合金(例えば、アルミニウムと銅の合金)が例示される。ある実施形態において、マトリックス材料はアルミニウムとその合金を含むのが望ましい。
【0045】
ある実施形態において、金属マトリックスは、少なくとも98重量パーセントのアルミニウム、少なくとも99重量パーセントのアルミニウム、99.9重量パーセントを超えるアルミニウム、更に、99.95重量パーセントを超えるアルミニウムを含む。アルミニウムと銅の例証のアルミニウム合金は、少なくとも98重量パーセントのAlと2重量パーセントまでのCuを含む。ある実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000および/または8000シリーズのアルミニウム合金(アルミニウム協会指示(Aluminum Association designations))である。高い引張強さのワイヤを作成するには純度の高い金属が望ましい傾向があるが、純度の低い形態の金属も有用である。
【0046】
好適な金属は市販されている。例えば、アルミニウムは、ペンシルバニア州ピッツバーグのアルコア(Alcoa of Pittsburgh,PA)より「スーパーピュアアルミニウム(SUPER PURE ALUMINUM)、99.99%Al」という商品名で入手可能である。アルミニウム合金(Al−2重量%のCu(0.03重量%の不純物))は、例えば、ニューヨーク州ニューヨークのベルモントメタルズ(Belmont Metals,New York,NY)より入手可能である。亜鉛および錫は、例えば、ミネソタ州セントポールのメタルサービス(Metal Services,St.Paul,MN)(「純粋亜鉛」純度99.999%および「純粋錫」純度99.95%)より入手可能である。例えば、マグネシウムは、英国マンチェスターのマグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Manchester,England)より「ピュア(PURE)」という商品名で入手可能である。マグネシウム合金(WE43A、EZ33A、AZ81AおよびZE41A)は、例えば、コロラド州デンバーのタイメット(TIMET,Denver,CO)より得られる。
【0047】
本発明のMCCW20に好適な金属マトリックス複合体ワイヤ26は、繊維とマトリックス材料を組み合わせた合計体積を基準として、少なくとも15体積パーセント(ある実施形態においては、少なくとも20、25、30、35、40、45、更には50体積パーセント)の繊維を含む。一般的に、本発明の方法に用いるコアワイヤ26は、繊維とマトリックス材料を組み合わせた合計体積(クラッドとは無関係で)を基準として40〜70(ある実施形態においては、45〜65)体積パーセントの繊維を含む。
【0048】
コアワイヤ26の平均直径は、一般的に、約0.07ミリメートル(0.003インチ)から約3.3mm(0.13インチ)である。ある実施形態において、コアワイヤ26の望ましい平均直径は、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、更には約2.0mm(0.08インチ)である。
【0049】
コアワイヤの作成
一般的に、連続コアワイヤ26は、例えば、連続金属マトリックス浸透プロセスにより作成することができる。ある好適なプロセスは、例えば、米国特許第6,485,796号明細書(カーペンター(Carpenter)ら)に記載されている。
【0050】
本発明のMCCW20に用いる連続金属マトリックスワイヤ26を作成する例証の装置の概略を図4に示す。連続セラミックおよび/または炭素繊維44のトウを供給スプール46より供給し、円形束へ視準し、セラミック繊維については、管状炉48を通過させながら温水洗浄する。金属マトリックス材料の溶融物54(「溶融金属」とも呼ばれる)を含有するるつぼ52に入る前に真空チャンバ50で繊維44を排気する。繊維をケイタプラー(caterpuller)56により供給スプール46から引く。超音波プローブ58を繊維近傍の溶融物54に配置して、溶融物54のトウ44への浸透を補助する。ワイヤ26の溶融金属は、出口ダイ60を通してるつぼ52を出た後冷却および固化される。ただし、ある程度の冷却はワイヤ26が完全にるつぼ52を出る前になされる。ワイヤ26の冷却は、ワイヤ26に衝突するガスまたは液体62の流れにより促される。ワイヤ26をスプール64に集める。
【0051】
上述した通り、セラミック繊維の温水洗浄により、繊維表面に存在するある量のサイジング、吸着水、およびその他の一時的または揮発性材料を除去または減少するのを補助する。一般的に、繊維表面の炭素含量の面積分率が22%未満となるまで、セラミック繊維を温水洗浄するのが望ましい。一般的に、管状炉54の温度は、少なくとも300℃、より一般的には少なくとも1000℃で、少なくとも数秒間その温度とする。ただし、例えば、用いる特定の繊維の洗浄ニーズに応じて特定の温度および時間は異なる。
【0052】
ある実施形態において、繊維44は、溶融物54に入る前に排気する。かかる排気により、乾燥繊維のある局所領域(すなわち、マトリックスの浸透のない繊維領域)のような欠陥の形成を削減または排除する傾向があることが分かっている。一般的に、ある実施形態において、繊維44は、20トル以下、10トル以下、1トル以下、あるいは0.7トル以下でさえ、の真空で排気される。
【0053】
例証の好適な真空システム50は、繊維44の束の直径に適合するサイズの入口管である。入口管は、例えば、ステンレス鋼またはアルミナ管とすることができ、一般的には長さ少なくとも30cmである。好適な真空チャンバ50の直径は、一般的に2〜20cm、長さは5cm〜100cmである。真空ポンプの容量は、ある実施形態においては、少なくとも0.2〜0.4立方メートル/分である。排気した繊維44は、真空システム50の管を通して溶融物54に挿入され、金属浴に浸透させる(すなわち、排気した繊維44は溶融物54に導入させるとき真空下とする)。ただし、溶融物54は一般的に大気圧である。出口管の内径は、繊維束44の直径に実質的に適合している。出口管の一部は溶融金属に浸漬されている。ある実施形態において、0.5〜5cmの管が溶融金属に浸漬されている。管は、溶融金属材料中で安定するものを選択する。好適な管としては、窒化ケイ素およびアルミナ管が挙げられる。
【0054】
溶融金属54の繊維44への浸透は、一般的に、超音波により促される。例えば、振動ホーン58は、溶融金属54に配置され、繊維44近傍にあるようにする。ある実施形態において、繊維44は、ホーン先端の2.5mm内(ある実施形態においては1.5mm内)にある。ある実施形態において、ホーン先端は、ニオブ、または95wt.%Nb−5wt.%Moおよび91wt.%Nb−9wt.%Moのようなニオブの合金でできており、例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのPMTI(PMTI,Pittsburgh,PA)より入手可能である。金属マトリックス複合体物品を作成するのに超音波を用いることに関する詳細については、例えば、米国特許第4,649,060号明細書(イシカワ(Ishikawa)ら)、同第4,779,563号明細書(イシカワら(Ishikawa et al.))および同第4,877,643号明細書(イシカワ(Ishikawa)ら)、同第6,180,232号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,245,425号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,336,495号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,329,056号明細書(デーヴ(Deve)ら)、同第6,344,270号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,447,927号明細書(マックロウ(McCullough)ら)および同第6,460,597号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,485,796号明細書(カーペンター(Carpenter)ら)、同第6,544,645号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,741号明細書および2002年1月24日公開のPCT出願公開国際公開第02/06550号パンフレットを参照のこと。
【0055】
一般的に、溶融金属54は、浸透中および/または浸透前に脱気される(すなわち、溶融金属54に溶解した気体(例えば、水素)の量を減じる)。溶融金属54の脱気技術については金属処理業界では周知である。溶融物54の脱気はワイヤ中のガスポロシティを減じる傾向がある。溶融アルミニウムについては、溶融物54の水素濃度は、ある実施形態においては、0.2未満、0.15、更には0.1cm3/100グラムのアルミニウムである。
【0056】
出口ダイ60は、所望のワイヤ直径を与えるように構成されている。一般的に、その長さに沿って均一な丸いワイヤを有するのが望ましい。出口ダイ60の直径は、通常、ワイヤ26の直径より僅かに小さい。例えば、50体積パーセントのアルミナ繊維を含有するアルミニウム複合体ワイヤの窒化ケイ素出口ダイの直径は、ワイヤ26の直径より3パーセント小さい。ある実施形態において、出口ダイ60は、窒化ケイ素でできているのが望ましいが、その他の材料も有用である。業界において出口ダイとして用いられてきたその他の材料としては、従来のアルミナが挙げられる。しかしながら、出願人は、窒化ケイ素出口ダイは、従来のアルミナダイより大幅に小さいと、ワイヤ、特に非常に長いワイヤに所望の直径および形状を与えるのにより有用であることを見出した。
【0057】
一般的に、ワイヤ26を液体(例えば、水)またはガス(例えば、窒素、アルゴンまたは空気)62と接触させることにより、出口ダイ60を出た後ワイヤ26を冷却する。かかる冷却は、所望の真円度および均一特性を与え、ボイドをなくす補助となる。ワイヤ26をスプール64に集める。
【0058】
例えば、収縮または内部ガス(例えば、水素または水蒸気)ボイドの結果としての金属間相、乾燥繊維、ポロシティ等のような金属マトリックス複合体ワイヤに欠陥があると、ワイヤ20長さのような特性が減じる恐れがある。従って、かかる特徴の存在を減少または最小にするのが望ましい。
【0059】
金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ(MCCW)
本発明のクラッディング方法は、未クラッディングワイヤ26に比べて改善された特性を示す例証の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ20を製造するものである。略円形の断面形状を備えたコアワイヤ26については、得られたワイヤの断面形状は一般的に完全な円ではない。本発明のクラッディング方法は、不規則形のコアワイヤ26を補って、比較的円形の金属クラッディングされた製品(すなわち、MCCW20)を作成する。クラッド22の厚さtを変えると、コアワイヤ26の形状の不一致が補われ、この方法によりコアワイヤ26が中心となることにより、MCCW20の直径や真円度のような仕様や耐性が改善される。ある実施形態において、本発明による略円形の断面形状を備えたMCCW20の平均直径は、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、更には3.5mmである。
【0060】
MCCW20の最低と最大直径の比(真円度値試験を参照のこと。完全な円のワイヤについては値は1となる)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって、一般的には少なくとも0.9、ある実施形態においては、少なくとも0.92、少なくとも0.95、少なくとも0.97、少なくとも0.98、更には少なくとも0.99である。真円度均一性(下記の真円度均一性試験を参照)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって、一般的には0.9%以下であり、ある実施形態においては、0.5%以下、および0.3%以下である。直径均一性(下記の直径均一性試験参照)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって一般的に0.2%以下である。
【0061】
本発明の方法により作成されたMCCW20は、一次破断が張力適用の際に生じるとき、マイクロバックリングおよび通常バックリングのような二次破断モードに抵抗するものであるのが望ましい。MCCW20の金属クラッド22は、金属マトリックス複合体ワイヤ26の即時の反跳を防ぐ役割を果たし、一次破断中またはその後に二次破断を生じる圧縮衝撃波を抑える。金属クラッド22は塑性変形し、ワイヤコア26の即時の反跳を抑える。二次破断の抑制を示すためにMCCW20が望ましい場合には、圧縮衝撃波を吸収し抑制するために、金属クラッド22は、十分な厚さtを有しているのが望ましい。近似直径が0.07mm〜3.3mmのコアワイヤ26については、クラッド厚さtは、望ましくは0.2mm〜6mm、より望ましくは0.5mm〜3mmである。例えば、約0.7mmの近似壁厚さtの金属クラッド22は、公称2.1mmの直径のアルミニウム複合体ワイヤ26に好適であり、近似直径3.5mm(0.14インチ)のMCCW20が形成される。
【0062】
本発明に従って作成されたMCCW20はまた、塑性変形する能力を示すのも望ましい。従来の金属マトリックス複合体ワイヤは、弾性曲げモードを示し、塑性変形は示さず、材料破断もすることない。本発明のMCCW20は、曲げた後に離すと、ある量の曲げ(すなわち、塑性変形)を保持し有利である。塑性変形する能力は、複数のワイヤをケーブルへと撚る、または巻く用途に有用である。MCCW20を巻いて、テープや接着剤のような追加の保持手段を必要とすることなく曲げ構造を保持する。MCCW20が永久硬化(すなわち、塑性変形)を起こすのが望ましい場合には、クラッド22は、初期(未湾曲)状態までコアワイヤ26が戻る力に抵抗する十分な厚さtを有する。近似直径が0.07mm〜3.3mmのコアワイヤ26については、クラッド厚さtは、望ましくは0.5mm〜約3mmである。例えば、約0.7mmの近似壁厚さの金属クラッドは、公称2.1mmの直径のアルミニウム複合体ワイヤ26に好適であり、近似直径3.5mm(0.14インチ)のMCCW20が形成される。
【0063】
本発明の方法に従って作成したMCCW20は、少なくとも100メートル、少なくとも200メートル、少なくとも300メートル、少なくとも400メートル、少なくとも500メートル、少なくとも600メートル、少なくとも700メートル、少なくとも800メートル、更には少なくとも900メートルの長さを有している。
【0064】
金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤのケーブル
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、オーバーヘッド電力伝送ケーブルをはじめとする様々な用途に用いることができる。
【0065】
本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、図7に示すように均一(MCCW20のようなワイヤのみを含む)であっても、または図5および6のように不均一(金属ワイヤのように複数の二次ワイヤを含む)であってもよい。不均一ケーブルの一例として、ケーブルコアは、例えば、図5に示すような、複数の二次ワイヤ(例えば、アルミニウムワイヤ)を含むシェルを供えた複数の金属クラッドと金属マトリックス複合体ワイヤとを含む。
【0066】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは撚ることができる。撚ったケーブルは、一般的に、中央ワイヤと、中央ワイヤ周囲に螺旋状に撚られた第1の層のワイヤとを含む。通常、ケーブルの撚りは、ワイヤの個々の撚りが、螺旋構成で組み合わされて、最終ケーブルを製造する(米国特許第5,171,942号明細書(パワーズ(Powers))および第5,554,826号明細書(ジェントリ(Gentry))を参照のこと)。得られた螺旋撚りワイヤロープは、等価の断面積の固体ロッドで得られるよりも遥かに大きな可撓性を与える。撚ったケーブルは、取扱い、据え付けおよび使用において曲げられるとき、全体の丸い断面形状を維持するため、螺旋構成もまた有利である。螺旋に曲げたケーブルは、3本と少ない本数のストランドを含むが、より一般的な構造では50本以上のストランドを含んでいる。
【0067】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルを一例を図5に示す。ケーブル66は、複数の個々のアルミニウムまたはアルミニウム合金ワイヤ74のジャケット72に囲まれた複数の別個の金属クラッディングされた複合体金属マトリックスワイヤ70を含むケーブルコア68である。好適な数の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ70は任意の層に含まれていてもよい。更に、ワイヤタイプ(すなわち、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤおよび金属ワイヤ)は、任意の層またはケーブル内で混合してもよい。更に、所望であれば、3層以上の層を撚ったケーブル66に含めてもよい。多くの変形のうちの1つ、図6に示すようなケーブル76は、多数の個々の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ84のジャケット82に囲まれた複数の個々の金属ワイヤ80のケーブルコア78であってもよい。個々のケーブルは、撚り合わせた7本のケーブルを含むワイヤロープのようなワイヤロープ構造に組み込んでもよい。
【0068】
図7に、本発明に従って製造された撚ったケーブルの他の実施形態86を示す。本実施形態において、撚ったケーブルは均一であり、ケーブルのワイヤは全て、本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ88である。好適な数の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ88が含まれていてもよい。
【0069】
本発明に従って作成された金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、ベアケーブルとして用いることができる、またはそれは大きな直径のケーブルのケーブルコアとして用いることができる。同様に、本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、複数のワイヤ周囲の維持手段のある複数のワイヤの撚ったケーブルであってもよい。維持手段は、例えば、接着剤またはバインダーのある、またはないテープオーバーラップであってもよい。
【0070】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含む撚ったケーブルは数多くの用途において有用である。かかる撚ったケーブルは、比較的軽量で、強度があり、導電性が良好で、熱膨張率が低く、使用温度が高く、耐食性があるという組み合わせのために、オーバーヘッド電力伝送ケーブルに用いるのに特に望ましいと考えられる。
【0071】
クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤに関する更なる詳細は、例えば、2004年2月13日出願の同時係属米国特許出願第10/779438号明細書にある。本発明の利点および実施形態を以下の実施例により更に説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。特に断らない限り、部およびパーセンテージはすべて重量基準である。
【実施例】
【0072】
試験方法
ワイヤ引張り強さ
実質的にASTM E345−93に記載された通りにして、データ取得システム(マサチューセッツ州カントンのインストロンコープ(Instron Corp.,Canton,MA)より「インストロン(INSTRON)」型番8000−074という商品名で入手)により駆動されたメカニカルアラインメント固定具(インストロンコープ(Instron Corp.)より「インストロン(INSTRON)」型番8000−072という商品名で入手)を備えた引張り試験機(インストロンコープ(Instron Corp.,)より「インストロン(INSTRON)」型番8562試験機(Tester)という商品名で入手)を用いて、MCCW20の引張り特性を求めた。
【0073】
2つの異なるゲージ長さを用いて試験を実施した。試験装置により担持可能なワイヤの端部に1018軟鋼管タブを備えた1つは5cm(1.5インチ)であり、もう1つは63cm(25インチ)のゲージ長さ試料である。ワイヤ試料の実際の長さは、ウェッジグリップの据え付けに対応するために、試料ゲージ長さより20cm(8インチ)長かった。直径が2.06mm(0.081インチ)以下の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤについては、管の長さは15cm(6インチ)、OD(外径)は6.35mm(0.25インチ)およびID(内径)は2.9〜3.2mm(0.11〜0.13インチ)であった。IDおよびODはできる限り同心とすべきである。直径が3.45mm(0.14インチ)の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤについては、管の長さは15cm(6インチ)、OD(外径)は7.9mm(0.3インチ)およびID(内径)は4.7mm(0.187インチ)であった。鋼管およびワイヤ試料をアルコールで洗浄し、ワイヤ試料の各端部から10cm(4インチ)の距離で印をつけ、グリッパー管を適切に配置して、5.0cm(2インチ)または25cm(9.8インチ)の所望のゲージ長さを得た。各グリッパー管の穴に、プラスチックノズル(ミネソタ州ブルックリンセンター(Brooklyn Center,MN)のテクニカルレジンパッケージング社(Technical Resin Packaging,Inc.)より入手)を備えたシーラントガン(テクニカルレジンパッケージング社(Technical Resin Packaging,Inc.)より「セムコ(SEMCO)」型番250という商品名で入手)を用いて、エポキシ接着剤(3Mカンパニー(3M Company)より「スコッチ−ウェルド(SCOTCH−WELD)2214ハイフレックス(HI−FLEX)」、高延性接着剤、no.62−3403−2930−9という商品名で入手可能)を充填した。過剰のエポキシ樹脂を管から除去し、ワイヤをワイヤのマークまで管に挿入した。ワイヤをグリッパー管に挿入したら、ワイヤを定位置に保持しながら、追加のエポキシ樹脂を管に注入し、管が樹脂で確実に満たされるようにした。(ワイヤを定位置に維持しながら、エポキシがゲージ長さのベースでワイヤ周囲に搾り出されるまで、樹脂を管に埋め戻した。)両グリッパー管がワイヤに適正に配置されたら、エポキシ硬化サイクル中にグリッパー管とワイヤの適切な同心位置合せを維持するために試料をタブアラインメント固定具に配置した。続いて、組み立て品は、150℃に維持されたオーブンに90分間入れてエポキシを硬化させた。
【0074】
試験枠のメカニカルアラインメント装置を用いて試験枠をインストロン試験機(Instron Tester)に慎重に位置合せして、所望のアラインメントを得た。試験中、グリッパー管の外側5cm(2インチ)のみを、約14〜17MPa(2〜2.5ksi)の機械留め圧力を用いて鋸歯状Vノッチ油圧ジョーで握った。
【0075】
位置制御モードで0.01cm/cm(0.01インチ/インチ)の歪み速度を用いた。動的歪みゲージ伸び計(インストロン社(Instron Corp.)より「インストロン(INSTRON)」型番No.2620−824という商品名で入手)を用いて歪みをモニタリングした。伸び計ナイフエッジ間の距離は1.27cm(0.5インチ)であり、ゲージをゲージ長さの中心に配置して、ゴムバンドで固定した。ワイヤに沿った3点位置のマイクロメートル測定か、断面積を測定し、有効直径を計算して同じ断面積を求めることにより、ワイヤ直径を求めた。引張り試験からの出力により、試料についての破断時荷重、引張り強度、引張りモジュラス、および歪み対破断データを得た。10個の試料を試験し、平均、標準偏差および変動係数を計算した。
【0076】
繊維強度
引張り試験機(マサチューセッツ州カントンのインストロンコープ(Instron Corp.,Canton,MA)より「インストロン(INSTRON)4201」という商品名で市販)およびASTM D3379−75(高モジュラス単一フィラメント材料の引張り強度およびヤング率の標準試験方法(Standard Test Methods for Tensile Strength and Young’s Modulus for High Modulus Single−Filament Materials))に記載された試験を用いて繊維強度を測定した。試料ゲージ長さは25.4mm(1インチ)であり、歪み速度は0.02mm/mmであった。繊維トウの引張り強度を確かめるために、10本の単一繊維フィラメントを繊維のトウから不規則に選択し、各フィラメントを試験してその破断荷重を求めた。
【0077】
1000倍で、光学顕微鏡(マサチューセッツ州ローレンスのドラン−ジェンナーインダストリーズ社(Dolan−Jenner Industries, Inc.,Lawrence,MA)より「ドラン−ジェンナーメージャーライトビデオマイクロメーターシステム(DOLAN−JENNER MEASURE−RITE VIDEO MICROMETER SYSTEM)」型番M25−0002という商品名で市販)に取り付けて、繊維直径を光学的に測定した。この装置では、較正した対物マイクロメーターによる反射光観察を用いた。個々のフィラメントの破壊応力を単位面積当たりの荷重として計算した。
【0078】
熱膨張率(CTE)
1995年発行のASTM E−228に従ってCTEを測定した。(5.1cm)2インチのワイヤ長さを用いて膨張計(「ユニサーム(UNITHERM)1091」という商品名で入手)で作業を行った。固定具を用いて、6.4mm(0.25インチ)の内径の開いた外径10.7mm(0.42インチ)のアルミニウムの2つのシリンダから構成される試料を保持した。試料を留めネジで各側に留めた。試料長さを各留めネジの中心から測定した。規格および技術学会(NIST)認定溶融シリカ較正参照試料(ワシントンDCのNIST(NIST,Washington,DC)より「溶融シリカ(Fused Silica)」という商品名で入手)により、各温度範囲について少なくとも2回の較正を実施した。試料を、実験室空気雰囲気中で、5℃の加熱傾斜速度で−75℃〜500℃の温度範囲にわたって試験した。試験からの出力は、加熱中50℃毎または冷却中10℃毎に集めた寸法膨張対温度の一組のデータであった。CTEは温度による膨張の変化率であるため、CTEについての値を得るためにデータを処理する必要がある。膨張対温度データを、図表ソフトウェアパッケージ(ワシントン州レッドモンドのマイクロソフト(Microsoft,Redmond,WA)より「エクセル(EXCEL)」という商品名で入手)を用いてプロットした。二次べき関数を、曲線のための等式を得るためにソフトウェアで利用可能な標準フィッティング関数を用いて、データに合わせた。この等式の偏差を計算して、一次関数を求めた。この等式は、温度による膨張の変化率を表していた。この等式を、当該の温度範囲、すなわち、−75〜500℃にわたってプロットして、CTE対温度のグラフで示した。等式を用いて、任意の温度での瞬間のCTEも得た。
【0079】
CTEは、等式αcl=[EfαfVf+Emαm(1−Vf)]/(EfVf+Em(1−Vf))による変化を前提としている。式中、Vf=繊維体積分率、Ef=繊維引張りモジュラス、Em=マトリックス引張りモジュラス(インサイチュ)、αcl=長手方向における複合体CTE、αf=繊維CTEおよびαm=マトリックスCTE。
【0080】
直径
ワイヤに沿って4点でマイクロメートルの読取りを行うことによりワイヤの直径を測定した。一般的に、ワイヤは完全な円ではないため、長い部分と短い部分があった。ワイヤを回転させて読取りを行って、長い部分と短い部分の両方を測定した。直径を、長い部分と短い部分の平均として記録した。
【0081】
繊維体積分率
標準鋼質試験により繊維体積分率を測定した。ワイヤ断面を磨き、合衆国国立衛生研究所のリサーチサービス部門(Research Services Branch of the National Institutes of Health)により開発された公共画像処理プログラムであるNIH IMAGE(バージョン1.61)というコンピュータプログラムの助けにより密度プロファリフィング機能を用いて繊維体積分率を測定した。このソフトウェアは、ワイヤの代表的な領域の平均グレースケール強度を測定した。
【0082】
ワイヤ片を装着樹脂(イリノイ州レークブラフのビューラー(Buehler Inc.,Lake Bluff,IL)より「エポキシキュア(EPOXICURE)」という商品名で入手)に装着した。装着したワイヤを、従来のグラインダー/ポリッシャー(オハイオ州ウェストレークのストルアス(Struers,West Lake,OH)より入手)および従来のダイヤモンドスラリーを用いて研磨し、最後の研磨工程では、ストルアス(Struers)より「ダイヤモンドスプレー(DIAMOND SPRAY)という商品名で入手した1マイクロメートルのダイヤモンドスラリーを用いて、ワイヤの研磨した断面を得た。走査電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を150倍で研磨したワイヤ断面から撮った。SEM顕微鏡写真を撮るとき、画像のスレショルドレベルを調整して、全ての繊維をゼロ強度にして、二値画像を作成した。NIH IMAGEソフトウェアによりSEM顕微鏡写真を分析し、繊維体積分率を、最大強度により二値画像の平均強度を除算することにより得た。繊維体積分率を求めるこの方法の精度は+/−2%と考えられた。
【0083】
真円度値
ワイヤの断面形状がいかに円に近いかの尺度である真円度値は、指定した長さにわたる単一の真円度の平均より定義される。平均を計算するための単一真円度値は、回転レーザーマイクロメーター(ニューヨーク州マウントキスコのズムバッハエレクトロニクス社(Zumbach Electronics Corp.,Mount Kisco,NY)より「ODAC30J回転レーザーマイクロメーター(ROTATING LASER MICROMETER)」、ソフトウェア「USYS−100」、バージョンBARU13A3という商品名で入手)を用いて、マイクロメーターが180度の各回転中、100msec毎にワイヤ直径を記録するように設定して、次のようにして求めた。180度の各スイープは行うのに10秒かかった。マイクロメーターは、各180度回転からのデータの報告をプロセスデータベースへ送った。報告には、回転サイクル中に集めた100個のデータ点の最小、最大および平均が含まれていた。ワイヤ速度は1.5メートル/分(5フィート/分)であった。「単一真円度値」は、回転サイクル中に集めた100個のデータ点についての最小直径対最大直径の比であった。真円度値は、指定した長さにわたる測定された単一の真円度値の平均である。単一平均直径は、100個のデータ点の平均であった。
【0084】
真円度均一値
指定した長さにわたる測定された単一真円度値の変動係数である真円度均一性値は、測定された単一真円度値の平均で除算した測定された単一真円度値の標準偏差の比である。標準偏差は、次の等式に従って求めた。
【数1】
式中、nは母集団中の試料の数であり、(すなわち、直径均一性値を求めるための測定した単一真円度値の標準偏差を計算するため、nは指定した長さにわたって測定した単一真円度値の数である)、xは試料母集団の測定値である(すなわち、直径均一性値を求めるための測定した単一真円度値の標準偏差を計算するため、xは指定した長さにわたって測定した単一真円度値である)。平均を求めるための測定した単一真円度値を、真円度値について上述した通りにして得た。
【0085】
直径均一性値
指定した長さにわたる測定された単一平均直径の変動係数である直径均一性値は、測定された単一平均直径で除算した測定された単一平均直径の標準偏差の比により定義される。測定された単一平均直径は、真円度値について上述した通りにして得られた100個のデータ点の平均である。標準偏差は、等式(1)を用いて計算した。
【0086】
実施例1
アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを、1500デニール「ネクステル(NEXTEL)610」アルミナセラミック繊維の34トウを用いて作成した。各トウは約420本の繊維を含んでいた。繊維は、実質的に断面が丸く、直径は平均で約11〜13マイクロメートルの範囲であった。繊維の平均引張り強度(上述した通りに測定)は、2.76〜3.58GPa(400〜520ksi)であった。個々の繊維の強度は2.06〜4.82GPa(300〜700ksi)であった。繊維(多数のトウの形態にある)を、溶融物の表面を通してアルミニウムの溶融浴へ供給し、2グラファイトローラ下の水平面に通過させ、溶融物の表面を通して45度で溶融物から戻し、ダイ本体を配置して、テークアップスプール上とした(例えば、米国特許第6,336,495号明細書(マックロウ(McCullough)ら、図1に記載されている)。アルミニウム(>99.5%、ニューヨーク州ニューヨークのベルモントメタルズ(Belmont Metals,New York,NY)製アルミニウム)を、24.1cm×31.3cm×31.8cm(9.5”×12.5”×12.5”)の寸法のアルミナるつぼ(ペンシルバニア州ビーバーフォールズのベスビウスマックダニエル(Vesuvius McDaniel,Beaver Falls,Pa)より入手)で溶融した。溶融アルミニウムの温度は約720℃であった。95%ニオブと5%モリブデンの合金(ペンシルバニア州ラージのPMTI社(PMTI Inc.,Large,PA)より入手)から、長さ12.7cm(5インチ)×直径2.5cm(1インチ)のシリンダを作成した。シリンダを、20.06〜20.4kHzの振動周波数まで所望の振動に調整することにより(すなわち、長さを変えることにより調整)、超音波ホーンアクチュエータとして用いた。アクチュエータの振幅は0.002cm(0.0008インチ)より大きかった。アクチュエータの先端を、ローラ間の繊維と平行に導入し、それらの距離は<2.54mm(<0.1インチ)となるようにした。アクチュエータをチタン導波管に接続し、これを超音波トランスデューサに接続した。繊維をマトリックス材料に浸透させて、比較的均一な断面および直径のワイヤを形成した。このプロセスにより作成したワイヤの直径は2.06mm(0.081インチ)であった。
【0087】
出口側に配置されたダイ本体は、窒化ホウ素でできており、溶融表面に対して45度傾いていて、内径が0.05cm(0.08インチ)のアルミナスレッドガイドを差し込むのに好適な内径を備えた穴を含んでいた。スレッドガイドは、アルミナペーストを用いて適所に糊付けされていた。ダイから出る際、ワイヤを窒素ガスで冷却して、プロセスを通して、ワイヤおよび繊維を引っ張るゴム駆動ローラの損傷および燃焼を防いだ。フランジ木製スプールにワイヤをスプールアップした。
【0088】
繊維の体積パーセントを、断面の顕微鏡写真(200倍)から約45体積%と見積もった。
【0089】
ワイヤの引張り強度は1.03〜1.31GPa(150〜190ksi)であった。
【0090】
室温での伸びは約0.7〜0.8%であった。伸び計により引張り試験中伸びを測定した。
【0091】
アルミニウム複合体ワイヤ(ACW)を、本発明の方法に従ってクラッディングのためのコアワイヤ26(図1および2に示す通り)として供給した。スプール36インチOD、30インチID、3インチ幅に供給し、スプールをペイオフシステムに配置した。ブレーキングシステムを用いてACW26の張力を最小に保った。張力はアルミニウム複合体ワイヤのスプールが解けるのを防ぐのに十分なものであった。クラッディングされるACW26は、クラッディングマシン30を通してスレッドし、出口側でテークアップドラムに取り付ける前は、表面洗浄せず、予熱しなかった。
【0092】
クラッディングマシン(型番350、英国、アシュフォードのBWE社(BWE Ltd, Ashford, England, UK)により「コンクラッド(CONKLAD)」という商品名で市販されているもの)を接線モード(図2参照)で稼動した。押し出しホイール34に接線の製品センターライン稼動が示されている。図2を参照すると、操作中、アルミニウムフィードストック28(フランス、ペシネー(Pechiney,France))より入手可能なEC137050;直径9.5mm標準ロッド)は、2つのペイオフドラム(図示せず)を回転押し出しホイール34、ツイングルーブ標準シャフトレスホイールの周囲グルーブ42へとペイオフした。BWE社(BWE Ltd.)開発の標準パロバイタルクリーニングシステムを用いて、フィードストックアルミニウム28を表面洗浄し、使用前、表面酸化物、フィルム、油、グリースまたは粘性表面汚染物を除去した。
【0093】
ACW26をシュー32の入口ダイ38でクラッディングマシン30に導入した。ACW26は、押し出しツール(シュー32)を直接通過し、出口押し出しダイ40から出た(更に、図3参照)。ダイチャンバ36はBWEタイプ32(英国アシュフォードのBWE社(BWE Ltd,Ashford,England,UK)より入手可能)であった。2本のアルミニウムフィードロッドが、コアワイヤ26の両側でダイチャンバ36に入り、圧力と金属フローを等しくした。ダイチャンバ36を加熱して、約500℃でアルミニウム温度を制御した。押し出しホイール36の動作と熱はダイチャンバ36により提供され、ダイチャンバ36を可塑化アルミニウム28で充填した。アルミニウム28は、ACW26周囲で塑性フローし、出口ダイ40を出た。出口ダイ40は、クラッド厚さに対応するべく3.45mm内径でACW26より大きかった。
【0094】
アルミニウムがACW26周囲の出口ダイ40から押し出されるまで、押し出しホイール36を調整し、チャンバの圧力はクラッド22とACW26との間に部分ボンディングを生じさせるほど十分なものであった。更に、押し出されたアルミニウム28は、出口ダイ40を通してコアワイヤ26を引っ張って、MCCW20製品を集めるテークアップドラムが張力を適用しないようにした。マシンを出る製品の線速度は、約50m/分であった。マシンを出た後、ワイヤは水のトラフを通過してそれを冷却し、テークアップドラムに巻き付けた。クラッドACWの試料は、0.7mmクラッド壁厚さで作成した(304m(1000ft)長さ)。
【0095】
MCCW20は、直径3.5(0.140インチ)のMCCW20を作成するために、アルミニウムクラッド22を備えた直径が公称2.05mm(0.081インチ)のACW26を含んでいる。ACW26の不規則形状をクラッド22で補って、極めて円形の製品を作成した。MCCW20の面積分率は33%ACW、67%アルミニウムクラッドである。ACW26中、45%繊維体積分率とすると、MCCW20は正味の繊維体積分率が約15%である。
【0096】
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、実施例1で作成したワイヤを試験した(3.8cm(1.5インチ)ゲージ長さ)。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例1のMCCW20を試験して、ワイヤの軸に沿った熱膨張率(CTE)を測定した。結果を、図8のCTE対温度のグラフに示してある。CTEは、−75℃〜+500℃の温度範囲にわたって、約14−19ppm/℃である。
【0099】
実施例1のMCCW20のワイヤ真円度、真円度均一性値および直径均一性値を測定した。平均直径=3.57mm(0.141インチ)、直径均一性値=0.12%、ワイヤ真円度=0.9926、真円度均一値=0.29%、ワイヤ長さ=130m(427ft)。
【0100】
実施例2
入口ガイドダイ38に挿入する前に、300℃(表面コア温度)までの電磁誘導加熱を用いてコアワイヤ26を加熱した以外は、実施例1に記載された通りにして実施例2を作成した。この結果、長さ304m(1000ft)およびクラッド壁厚さ0.70mm(0.03インチ)のクラッドワイヤ(MCCW20)が得られた。
【0101】
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、実施例2で作成したクラッドワイヤ(MCCW20)を試験した(63.5cm(25インチ)ゲージ長さ)。
【0102】
【表2】
【0103】
実施例2のクラッドワイヤ(MCCW20)を分析して、アルミニウムクラッドの降伏強さを求めた。実施例2のクラッドワイヤの応力−歪み挙動のグラフを図9に示す。傾斜の変化は0.04〜0.06%歪みであり、これはアルミニウムクラッドの降伏に関連している。コアワイヤ自身はかかる降伏挙動を示さない。図9に、0.042%歪みで生じる降伏開始を示す。このように、降伏強さは、降伏歪みを乗算したモジュラスである。純粋なアルミニウムに引張りモジュラスは69GPa(10Msi)である。従って、降伏応力は29.0MPa(4.2ksi)と計算される。
【0104】
比較例1
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、直径2.05mm(0.081インチ)のAMCコアワイヤ26(実施例1に記載した通り作成)の張力破断を試験した。目視検査による試験後、破断の数を記録した。380mm(15インチ)またはこれより長いゲージ長さで、ワイヤに多数の破断が観察された。破断の数は、一般的に、635mm(25インチ)までのゲージ長さについて2〜4異なった。高速ビデオカメラ(ニューヨーク州ロチェスターのコダック(Kodak,Rochester,NY)より「コダック(KODAK)」という商品名で市販(コダック(Kodak)HRC1000、500フレーム/秒、試料から61cm(2フィート)に配置))を用いて、破断機構を記録した。ビデオは、各ワイヤにおける一連の破断示す。一次(第1)破断は自然の張力であり、続く破断(すなわち、二次破断)は全て、操作機構の1つとして、通常の圧縮バックリングを示した。他の破断表面のフラクトグラフィー(SEM)によればまた、圧縮マイクロバックリングが他の二次破断機構であったことが分かった。
【0105】
実施例3
0.7mm(0.03インチ)アルミニウムクラッド22でクラッディングされた直径2.05mm(0.081インチ)のAMCコアワイヤ26(実施例1に記載した通り)の張力破断を試験した。クラッドワイヤ(MCCW20)は、635mm(25インチ)ゲージ長さを有していた。クラッドワイヤは、一次張力破断後、二次破断を示さなかった(破断時荷重は平均で4900Nであった)。二次破断がないことは、破断ワイヤ(MCCW20)の長い部分を再び担持して、張力を再び試験することにより確認された(ゲージ長さは38.1cm(15インチ)より長かった)。再試験の際、クラッドワイヤ(MCCW20)は、やや大きな破断時荷重(約5000N)を示した。この結果は、隠れ二次破断部位がクラッドワイヤになかったことを示した。荷重変位はまた、図10のグラフに示すように、一次引張り破断が生じるときのアルミニウムクラッド22の役割を明らかに示していた。荷重の急激な降下は、ACW26の一次破断に付随するものであるが、荷重はゼロまで直ぐには降下しない。荷重のいくつかは、グラフの領域に矢印90で示されているように、急激な反跳を伸張し抑えるアルミニウムクラッド22により実施される。
【0106】
曲げ保持試験
曲げ保持試験は、変形後ワイヤにより保持された曲げ量を示すものである。曲げが保持されない場合には、ワイヤは完全に弾性である。ある量の曲げが保持される場合は、ワイヤまたはワイヤの少なくとも一部は塑性変形して曲げ形状を保持していた。曲げ保持試験は、一般的に、曲げ角度で実施され、試験するワイヤの破断強度より弱く押し付けるものである。
【0107】
MCCW20の長さ(上述した通り)を手で円形ループへと巻いて、図11の図に示すように、巻いた試料92を形成する。巻いた試料92は、周囲が約20.3cm(8インチ)から134.6cm(53インチ)の特定の直径の閉じた円である。
【0108】
各巻いた試料92について、巻いた試料100の弦Lの長さを測定した。弦Lに垂直で、弦Lの中点から巻いた試料92の端部のラインセグメントyの長さを測定した。式2に従って各試料について初期曲げ半径R初期を計算した。式中、x=1/2Lである。
【数2】
【0109】
実施例4〜3のL、yおよびR初期の値を以下の表1に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
巻いた試料92の端部を離し、クラッドワイヤ(MCCW20)を最後の湾曲形態まで弛緩させた。寸法Y’およびL’をこの弛緩したワイヤで測定し、最終曲げ半径R最終を計算した。様々な実施例の結果を以下の表2に示す。
【0112】
【表4】
【0113】
弛緩半径対曲げ半径を図12にプロットする。
【0114】
2つの理論モデル、内径モデルと塑性ヒンジモデルを用いて、一組の13.0インチ(33.0cm)を保持するMCCWに必要なクラッドの厚さを予測した。以下の計算は、MCCWについての最終試験曲げ半径ρを維持するのに必要な半径rのコアワイヤ周囲のクラッドの必要な厚さを求める。これらモデルは、延性金属がいかにクラッドをもたらすか点で異なる。
【0115】
中心コアワイヤの曲げモーメントは次の通りである。
【数3】
【0116】
固体円形断面の面積のモーメントIzzwは次の通りである。
【数4】
式中、rはコアワイヤの半径、Eはコアワイヤの弾性モジュラス、ρはMCCWの曲げ半径である。
【0117】
内径モデルは、ワイヤの平衡状態が、クラッドの内側端部のクラッド材料の応力がクラッド材料の降伏強さと等しいときに生じることを予想するものである。すなわち、σx=Yであり、σxはクラッド材料における応力、Yはクラッド材料の降伏強さである。
【0118】
この状態のワイヤの曲げモーメントMLは次の通りである。
【数5】
【0119】
クラッドの円形環IzzCの面積のモーメントは次の通りに定義される。
【数6】
【0120】
第2のモデル、塑性ヒンジモデルは以下の等式を用いる。
【0121】
平衡時の曲げモーメントMpは次の通りに定義される。
【数7】
【0122】
塑性ヒンジモデルの面積モーメントIzzpは次の通りである。
【数8】
【0123】
ワイヤの弛緩最終状態は、コアワイヤの曲げモーメントがMCCWの曲げ降伏モーメントに等しい点として求められる。
【0124】
内径モデルについては、これは次のとき生じる。
【数9】
【0125】
塑性ヒンジモデルについては、これは次のとき生じる。
【数10】
【0126】
コアワイヤの半径r、クラッド材料降伏強さY、MCCWの曲げ半径、およびコアワイヤの弾性モジュラスの関数として、式7および8を解くと、クラッド厚さtを求めることができる。
【0127】
次のパラメータを以下の実施例について用いている。コアワイヤ半径r=0.040インチ、コアワイヤ弾性モジュラスE=24MSI、MCCW曲げ半径ρ=13インチ、クラッド降伏応力σx=9,000ksi。
【0128】
これらを解いて、測定された曲げ半径(13.0インチ、33.0cm)およびクラッド材料の仮定された降伏強さ(9ksi)(62MPa)により、クラッド厚さを得た。
【0129】
【表5】
【0130】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の例証の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの概略断面図である。
【図2】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを作成する接線モードで運転される例証のツイングルーブクラッド機の斜視図である。
【図3】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを作成するクラッド機の例証のツーリングダイ構成の概略断面図である。
【図4】本発明による溶融金属で繊維に浸透させるのに用いる例証の超音波装置の概略図である。
【図5】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルの1つの例証の実施形態の概略断面図である。
【図6】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルの1つの例証の実施形態の概略断面図である。
【図7】本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含む均一ケーブルの概略断面図である。
【図8】実施例1で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの熱膨張率のグラフである。
【図9】実施例2で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの応力−歪み挙動のグラフである。
【図10】実施例3で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの変位および回復を示すグラフである。
【図11】曲げ保持試験に用いる幾何形状構造の概略図である。
【図12】本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの塑性変形を示す弛緩半径対曲げ半径の例証のグラフである。
【背景技術】
【0001】
一般的に、金属マトリックス複合体(MMC)は知られている。MMCは、通常、微粒子、ウィスカ、短繊維または長繊維のいずれかで、繊維で強化された金属マトリックスを含んでいる。金属マトリックス複合体としては、アルミニウムマトリックス複合体ワイヤ(例えば、アルミニウムマトリックスに埋め込まれた炭化ケイ素、炭素、ホウ素または多結晶アルファアルミナ繊維)、チタンマトリックス複合体テープ(例えば、チタンマトリックス中に埋め込まれた炭化ケイ素繊維)および銅マトリックス複合体テープ(例えば、銅マトリックスに埋め込まれた炭化ケイ素または炭化ホウ素繊維)が例示される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
金属マトリックス複合体ワイヤの用途としては、特に、ベアオーバーヘッド電力伝送ケーブルにおける強化部材が挙げられる。ケーブルの1つの代表的なニーズは、既存の伝送基板の電力移動容量を増大するニーズにより出てきている。
【0003】
オーバーヘッド電力伝送のケーブルにとって望ましい性能要件としては、耐食性、環境耐久性(例えば、UVおよび水分)、高温での強度損失に対する抵抗性、耐クリープ性、比較的高弾性率、低密度、低熱膨張率、高導電性および高強度が挙げられる。アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルは知られているが、ある用途については、例えば、改善された破断歪み値および/またはサイズ均一性を有するアルミニウムマトリックス複合体が望まれている。
【0004】
より均一に充填されるケーブル構造を与えるには、丸い断面を有するワイヤを使用できるのが望ましい。より均一な直径のケーブル構造を提供するには、丸いワイヤの長さに沿った異なる点でより均一な直径を有する丸いワイヤの使用が望ましい。このように、丸い断面と均一な直径を有する実質的に連続した金属マトリックス複合体ワイヤ、およびかかる実質的に連続した金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、金属クラッディング(例えば、アルミニウムおよびその合金)された金属(例えば、アルミニウムおよびその合金)マトリックス複合体ワイヤの製造方法に関する。本方法は、延性金属を熱処理して、延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に付随させるものである。本発明の実施形態は、金属クラッドで被覆された外部表面を有するアルミニウムマトリックス複合体ワイヤに係る。本発明による金属クラッディング(金属被覆)された金属マトリックス複合体は、弾性率、密度、熱膨張率、導電率、強度、破断歪み、真円度および/または塑性変形に関して望ましい特性を示すワイヤとして形成される。
【0006】
一態様において、本発明は、金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させ、チャンバ内の温度を延性金属の融点より低く保ち、チャンバ内の圧力は延性金属を可塑化するのに十分なものとして、チャンバ内の金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に延性金属を付随させ、付随させた延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、延性金属を付随させた金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバから引き出すことによって、金属クラッディングされた金属マトリックスを製造する方法を提供する。
【0007】
他の態様において、本発明の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体を製造する方法は、金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面に延性金属を付随させ、付随させた延性金属を金属マトリックス複合体ワイヤの外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、付随させた延性金属を操作するが、その金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートル、ある実施形態においては少なくとも200メートル、少なくとも300メートル、少なくとも400メートル、少なくとも500メートル、少なくとも600メートル、少なくとも700メートル、少なくとも800メートル、更には少なくとも900メートルの長さにわたって少なくとも0.95(ある実施形態においては、少なくとも0.97、少なくとも0.98、更には少なくとも0.99)の真円度値を呈する。
【0008】
本明細書で用いる場合、特に断りのない限り、以下の用語は次のような意味である。
【0009】
「連続繊維」とは、平均繊維直径に比べて比較的無限の長さを有する繊維のことを意味する。通常、これは、繊維が少なくとも1×105(ある実施形態においては少なくとも1×106、または少なくとも1×107)のアスペクト比(すなわち、繊維の長さ対繊維の平均直径の比)を有することを意味している。通常、かかる繊維の長さは少なくとも約50メートルであるが、約数キロメートル以上の長さであってもよい。
【0010】
「長手方向に配置された」とは、ワイヤの長さと同じ方向にワイヤの長さに対して繊維が配向されていることを意味している。
【0011】
ワイヤの断面形状が円周にいかに近いかの尺度である「真円度値」は、下記の実施例に記載されたワイヤの指定長さにわたる個々の測定された真円度値の平均より定義される。
【0012】
ワイヤの指定長さにわたる測定された単一真円度値の変動係数である「真円度均一値」は、下記の実施例に記載された個々の測定された真円度値の平均で除算した個々の測定された真円度値の標準偏差の比である。
【0013】
ワイヤの指定長さにわたるワイヤの個々の測定された直径の平均の変動係数である「直径均一値」は、下記の実施例に記載された測定された個々の直径の平均で除算した測定された個々の直径の平均の標準偏差の比により定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、金属クラッディングされた複合体ワイヤおよびケーブルの製造方法である。通常、本発明の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、金属マトリックス複合体ワイヤに延性金属クラッドを付随させることにより作成される。理論に拘束されることは望んでいないが、本発明により提供される方法は、特性が大幅に改善された金属クラッディングされた複合体ワイヤを製造するものと考えられる。本発明による少なくとも1つのワイヤは、ケーブル(例えば、電力伝送ケーブル)へと組み合わせてもよい。
【0015】
本発明の方法により作成された例証の金属クラッディングされた繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤ20の断面図を図1に示す。以降金属クラッディングされた複合体ワイヤまたはMCCWと呼ばれる金属クラッディングされた繊維強化金属マトリックス複合体ワイヤ20は、金属マトリックス複合体ワイヤ26の外部表面24に付随した延性金属クラッド22を含む。金属マトリックス複合体ワイヤ26はまた、コアワイヤ26とも呼ばれる。延性金属クラッド22は厚さtの略管状である。ある実施形態において、金属マトリックス複合体ワイヤ26は、MCCW20内で長手方向に中心にある。
【0016】
本発明の方法は、金属マトリックス複合体ワイヤ26のクラッディングに関連している。金属マトリックス複合体ワイヤ26をクラッディングして、後述される図2および3に示した方法により、金属クラッディングされた複合体ワイヤ(MCCW)20を形成してもよい。
【0017】
図2を参照すると、コアワイヤ26を、延性金属フィードストック28によりクラッディングして、クラッディングマシン30(例えば、型番350、英国アシュフォードのBWE社(BWE Ltd,Ashford,England,UK)より「コンクラッド(CONKLAD)」という商品名で入手可能)を利用してMCCW20を形成してもよい。クラッディングマシン30は、押出しホイール34の上またはそれに近接したシュー32を含んでいる。シュー32は、一端で入口ガイドダイ38により、他端で出口押出しダイ40によりアクセスされるダイチャンバ36(図3)を含む。押出しホイール34は、ダイチャンバ36へ供給する少なくとも1つの周囲グルーブ42(一般的に、2つの周囲グルーブ)を含む。
【0018】
ある実施形態において、クラッディングマシン30は接線モードで操作される。図2に示した通り、接線モードにおいては、製品センターライン(すなわち、MCCW20)が、クラッディングマシン30の押出しホイール34に接線に操作される。コアワイヤ26が、ワイヤを破断するのに十分ないかなる小さな半径ベンドをも通過してはならないため、これは望ましい。一般的に、コアワイヤ26は直線経路に従う。
【0019】
コアワイヤ26は、十分な直径のスプール(図示せず)でクラッディングマシン30に供給されて、コアワイヤ26がワイヤの弾性限界を超えて曲がるのを防ぐ。ブレーキを備えたペイオフシステムを用いて、スプールでのコアワイヤ26の張力を制御する。コアワイヤ26の張力は、コアワイヤ26のスプールが解けるのを防ぐほど十分なレベルまで最小に保つ。コアワイヤ26は、一般的に、装置でスレッドする前に予熱はしない。ただし、ある実施形態においてはそれが望ましいことがある。任意で、フィードストック28について後述するのと同様のやり方を用いてクラッディングする前にコアワイヤ26をクリーニングしてもよい。
【0020】
コアワイヤ26は、押出しホイール34の上またはそれに近接させてシュー32でクラッディングマシン30を介してスレッドさせてもよい。シュー32の断面詳細は図3にある。シュー32は、入口ガイドダイ38と、ダイチャンバ36と、出口押出しダイ40とを含んでいる。コアワイヤ26は、入口ガイドダイ38を通して入ることにより直接スルーシュー32(例えば、押出しツール)を通過し、ダイチャンバ36を通過してそこでクラッディングが行われ、出口押出しダイ40で出る。出口ダイ40は、クラッド厚さtに対応するべくコアワイヤ26より大きい。MCCW26は、シュー32の遠位側で出た後、テークアップドラム(図示せず)に取り付けられる。
【0021】
クラッディングマシン30に導入される前、延性金属クラッドのフィードストック28は任意でクリーニングされて、表面汚染を除去する。ある好適な洗浄方法は、BWE社より入手可能なパロバイタル(parobital)クリーニングシステムである。これは、温和アルカリクリーニング溶液(例えば、希釈水性水酸化ナトリウム)の後、酸中和剤(例えば、水溶液中希釈酢酸またはその他有機酸)を用い、最後に水で濯ぐものである。パロバイタルシステムにおいては、クリーニング流体は熱く、ワイヤに沿って高速で流れ、流体中で攪拌される。化学クリーニングによる超音波クリーニングも好適である。
【0022】
クラッディングマシン30の操作を図2および3を参照して以下に説明する。一般的に、連続プロセスとして行われる。まず、コアワイヤ26を、上述した通りにして、クラッディングマシン30を通してスレッドする。フィードストック28を、ある実施形態においては、2本のロッドとして、回転押出しホイール34に導入し、ある実施形態においては周囲にツイングルーブ42を含んでいる。各グルーブ42は、フィードストック28のロッドを受ける。
【0023】
押出しホイール34は回転して、フィードストック28をダイチャンバ36へ押し付ける。押出しホイール34の作用により十分な圧力が与えられ、ダイチャンバ36の熱と組み合わさって、フィードストック28が可塑化される。ダイチャンバ36内のフィードストック材料の温度は、一般的に、材料の融点より低い。材料を熱処理して、変形中再結晶が起こる温度および歪み速度で塑性変形させる。フィードストック材料温度を融点より低く維持することにより、フィードストック28から形成されたクラッド22の硬さは、フィードストック28を溶融形態で適用する場合よりも大きい。例えば、約500℃の温度が、融点が約660℃のアルミニウムフィードストックについては一般的である。
【0024】
フィードストック28は、コアワイヤ26の両側のダイチャンバ36に入って、コアワイヤ26周囲のフィードストック28の圧力と流れを等しくさせる補助をする。押出しホイール34の作用により、シュー32によるフィードストック28の方向転換および変形のために、ダイチャンバ36が可塑化フィードストック28で充填される。クラッディングマシン30は、シュー32内で14〜40kg/mm2の範囲の一般的な操作圧力を有している。コアワイヤ26の正常なクラッディングのために、シュー32内側の圧力は、一般的に、操作範囲の下端に向かい、押出しホイール34の速度を調整することにより操作中に設定される。状態がダイチャンバ36に達するまで、ホイール34の速度を調整し、コアワイヤ26に損傷を与えるような圧力に達することなく、可塑化フィードストック28がコアワイヤ26周囲の出口ダイ40から押し出されるようにする。(ホイール速度が遅すぎると、フィードストックは出口ダイ40から押し出されない、または出口ダイ40から押し出されたフィードストック28は出口ダイ40を通してコアワイヤ26を引っ張らない。ホイール速度が速すぎると、コアワイヤ26は剪断切断される。)
【0025】
更に、ダイチャンバ36の温度および圧力は一般的に制御されて、クラッド材料(可塑化フィードストック28)がコアワイヤ26にボンドされ、一方、より易壊性のコアワイヤ26への損傷を防ぐべく十分に低い。可塑化フィードストック28内のコアワイヤ26を中心にするために、ダイチャンバ36に入るフィードストック28の圧力の釣り合いを取ることも有益である。ダイチャンバ36内のコアワイヤ26を中心にすることにより、可塑化フィードストック28はコアワイヤ26周囲に同心円環を形成する。
【0026】
クラッディングマシン30を出るMCCW20の線速度としては、約50m/分が挙げられる。一般的に、クラッディングマシン30を通る際それに沿って押し出されたフィードストック28がコアワイヤ26を引っ張る際に張力は必要なく、製品(すなわち、MCCW20)を集めるテークアップドラムにより供給されない。マシンを出た後、MCCW20は水のトラフ(図示せず)を通過してそれを冷却し、テークアップドラムに巻き付けられる。
【0027】
クラッド材料
金属クラッド22は、延性を示す任意の金属または金属合金で構成してよい。ある実施形態において、金属クラッド22は、コアワイヤ26の材料成分(例えば、繊維およびマトリックス材料)と著しく化学反応しない金属合金をはじめとする延性金属材料から選択される。
【0028】
金属クラッド22用の延性金属材料としては、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびそれらの合金(例えば、アルミニウムと銅の合金)が例示される。ある実施形態において、金属クラッド22はアルミニウムとその合金を含む。アルミニウムクラッド材料については、ある実施形態において、クラッド22は少なくとも99.5重量パーセントのアルミニウムを含む。ある実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000および8000シリーズのアルミニウム合金(アルミニウム協会指示(Aluminum Association designations))である。好適な金属は市販されている。例えば、アルミニウムおよびアルミニウム合金は、例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのアルコア(Alcoa、Pittsburgh,PA)より入手可能である。亜鉛および錫は、例えば、ミネソタ州セントポールのメタルサービス(Metal Services,St.Paul,MN)(「純粋亜鉛」純度99.999%および「純粋錫」純度99.95%)より入手可能である。例えば、マグネシウムは、英国マンチェスターのマグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Manchester,England)より「ピュア(PURE)」という商品名で入手可能である。マグネシウム合金(WE43A、EZ33A、AZ81AおよびZE41A)は、例えば、コロラド州デンバーのタイメット(TIMET,Denver,CO)より得られる。銅およびその合金は、ジョージア州キャロルトンのサウスワイヤ(South Wire、Carrollton、GA)より入手可能である。
【0029】
MCCW20は、1種類以上の金属(例えば、高純度(すなわち99.95%を超える)元素アルミニウムまたは銅のような他の元素との純粋なアルミニウムの合金を含むマトリックス内に封入されたセラミック(例えば、アルミナ系)強化繊維のような複数の連続した、長手方向に配置された繊維を含む少なくとも1つのトウを含むことが多いコアワイヤ26に形成してもよい。ある実施形態において、金属マトリックス複合体ワイヤ26中の繊維の数基準で少なくとも85%(ある実施形態において、少なくとも90%、または更には少なくとも95%)が連続している。本発明のMCCW20に用いるのに好適な金属マトリックス複合体ワイヤ26の繊維およびマトリックスの選択について後述する。
【0030】
繊維
本発明のMCCW20に用いるのに好適な金属マトリックス複合体物品26を作成するための連続繊維としては、金属酸化物(例えば、アルミナ)繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維およびこれらの繊維の組み合わせのようなセラミック繊維が挙げられる。一般的に、酸化セラミック繊維は結晶セラミクスおよび/または結晶セラミックおよびガラスの混合物である(すなわち、繊維は、結晶セラミックとガラス相の両方を含有していてもよい)。通常、これは、繊維が少なくとも1×105(ある実施形態においては少なくとも1×106、または少なくとも1×107)のアスペクト比(すなわち、繊維の長さ対繊維の平均直径の比)を有することを意味している。通常、かかる繊維の長さは少なくとも約50メートルであるが、約数キロメートル以上の長さであってもよい。一般的に、連続強化繊維の平均繊維直径は少なくとも5マイクロメートルから略50マイクロメートル以下である。より一般的に、平均繊維直径は25マイクロメートル以下、最も一般的には8マイクロメートル〜20マイクロメートルである。
【0031】
ある実施形態において、セラミック繊維の平均引張り強度は少なくとも1.4GPa、少なくとも1.7GPa、少なくとも2.1GPa、更には少なくとも2.8GPaである。ある実施形態において、炭素繊維の平均引張り強度は少なくとも1.4GPa、少なくとも2.1GPa、少なくとも3.5GPa、更には少なくとも5.5GPaである。ある実施形態において、セラミック繊維のモジュラスは70GPaを超え、略1000GPa以下、更には420GPa以下である。引張り強度およびモジュラスの試験方法は実施例にある。
【0032】
ある実施形態において、コアワイヤ26を作成するのに用いる連続繊維の少なくとも一部はトウ(tow)である。トウは繊維業界において周知であり、ロービング状形態で集まった複数の(個々の)繊維(一般的に少なくとも100本の繊維、より一般的には少なくとも400本の繊維)のことを指す。ある実施形態において、トウはトウ当たり少なくとも780本の繊維、場合によっては、トウ当たり少なくとも2600本の繊維を含む。セラミック繊維のトウは、300メートル、500メートル、750メートル、1000メートル、1500メートル、1750メートル以上をはじめとする様々な長さで入手可能である。繊維の断面形状は円形または楕円であってよい。
【0033】
アルミナ繊維は、例えば、米国特許第4,954,462号明細書(ウッド(Wood)ら)および第5,185,29号明細書(ウッド(Wood)ら)に記載されている。ある実施形態において、アルミナ繊維は多結晶アルファアルミナ繊維であり、アルミナ繊維の総重量を基準として理論酸化物基準で、99重量パーセントを超えるAl2O3および0.2〜0.5重量パーセントのSiO2を含む。他の態様において、ある望ましい多結晶アルファアルミナ繊維は、平均結晶サイズ1マイクロメートル未満(更には、ある実施形態においては、0.5マイクロメートル未満)のアルファアルミナを含む。他の態様のある実施形態において、多結晶アルファアルミナ繊維の平均引張強さは少なくとも1.6GPa(ある実施形態においては、少なくとも2.1GPa、更には少なくとも2.8GPa)である。アルファアルミナ繊維は、例えば、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より「ネクステル(NEXTEL)610」という商品名で市販されている。
【0034】
アルミノシリケート繊維は、例えば、米国特許第4,047,965号明細書(カルスト(Karst)ら)に記載されている。アルミノシリケート繊維は、例えば、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company,St.Paul,MN)より「ネクステル(NEXTEL)440」、「ネクステル(NEXTEL)550」および「ネクステル(NEXTEL)720」という商品名で市販されている。
【0035】
アルミノホウケイ酸塩繊維は、例えば、米国特許第3,795,524号明細書(ソウマン(Sowman))に記載されている。例証のアルミノホウケイ酸塩繊維は、3Mカンパニー(3M Company)より「ネクステル(NEXTEL)312」という商品名で市販されている。
【0036】
例証のホウ素繊維は、例えば、マサチューセッツ州ロウエルのテキストロンスペシャルティファイバー社(Textron Specialty Fibers,Inc.,Lowell,MA)より市販されている。
【0037】
窒化ホウ素繊維は、例えば、米国特許第3,429,722号明細書(エコノミー(Economy))および第5,780,154号明細書(オカノ(Okano)ら)に記載された通りにして作成することができる。
【0038】
例証の炭化ケイ素繊維は、例えば、カリフォルニア州サンディエゴのCOIセラミクス(COI Ceramics,San Diego,CA)より500本の繊維のトウで「ニカロン(NICALON)」という商品名で、日本の宇部興産(Ube Industries,Japan)より「ティラノ(TYRANNO)」という商品名で、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング(Dow Corning,Midland,MI)より「シルラミック(SYLRAMIC)」という商品名で市販されている。
【0039】
模範的な炭素繊維は、例えば、ジョージア州アルファレッタのアモコケミカルズ(Amoco Chemicals,Alpharetta,GA)より2000本、4000本、5,000本および12,000本のトウで「ソーネルカーボン(THORNEL CARBON)」という商品名で、コネチカット州スタンフォードのヘキセルコーポレーション(Hexcel Corporation,Stamford,CT)より、カリフォルニア州サクラメントのグラフィ社(Grafil, Inc.,Sacramento,CA)(三菱レイヨン(Mitsubishi Rayon Co.)の子会社)より「パイロフィル(PYROFIL)」という商品名で、日本の東レ(Toray,Tokyo,Japan)より「トレカ(TORAYCA)」という商品名で、日本の東邦レーヨン(Toho Rayon,Japan,Ltd.)より「ベスファイト(BESFIGHT)」、ミズーリ州セントルイスのゾルテック(Zoltek Corporation,St.Louis,MO)より「パネックス(PANEX)」および「パイロン(PYRON)」という商品名で、ニュージャージー州ワイコフのインコスペシャルプロダクツ(Inco Special Products,Wyckoff,NJ)(ニッケルコート炭素繊維)より「12K20」および「12K50」という商品名で市販されている。
【0040】
例証のグラファイト繊維は、例えば、ジョージア州アルファレッタのBPアモコ(BP Amoco,Alpharetta,GA)より1000本、3000本および6000本の繊維のトウで「T−300」という商品名で市販されている。
【0041】
例証の炭化ケイ素繊維は、例えば、カリフォルニア州サンディエゴのCOIセラミクス(COI Ceramics,San Diego,CA)より500本の繊維のトウで「ニカロン(NICALON)」という商品名で、日本の宇部興産(Ube Industries,Japan)より「ティラノ(TYRANNO)」という商品名で、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング(Dow Corning,Midland,MI)より「シルラミック(SYLRAMIC)」という商品名で市販されている。
【0042】
市販の繊維は、一般的に、製造中に潤滑性を与え、取扱い中に繊維ストランドを保護するために繊維に添加された有機サイジング材料を含んでいる。サイジングは、例えば、溶解または燃焼により繊維から除去してもよい。一般的には、金属マトリックス複合体ワイヤ26を形成する前にサイジングを除去するのが望ましい。
【0043】
繊維は、例えば、繊維の濡れ性を向上し、繊維と溶融金属マトリックス材料との間の反応を減じる、または防ぐのに用いるコーティングを有していてもよい。かかるコーティングおよびかかるコーティングを与える技術は繊維および金属複合材料業界において公知である。
【0044】
マトリックス
一般的に、金属マトリックス複合体ワイヤ26の金属マトリックスは、マトリックス材料が繊維材料と著しく化学的に反応せず(すなわち、繊維材料に対して比較的化学的に不活性である)、例えば、繊維外部に保護コーティングを与える必要性を排除するように選択する。マトリックス材料に選択した金属は、クラッド22と同じ材料である必要はないが、クラッド22とは著しく化学的に反応してはならない。金属マトリックス材料としては、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、およびそれらの合金(例えば、アルミニウムと銅の合金)が例示される。ある実施形態において、マトリックス材料はアルミニウムとその合金を含むのが望ましい。
【0045】
ある実施形態において、金属マトリックスは、少なくとも98重量パーセントのアルミニウム、少なくとも99重量パーセントのアルミニウム、99.9重量パーセントを超えるアルミニウム、更に、99.95重量パーセントを超えるアルミニウムを含む。アルミニウムと銅の例証のアルミニウム合金は、少なくとも98重量パーセントのAlと2重量パーセントまでのCuを含む。ある実施形態において、有用な合金は1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000および/または8000シリーズのアルミニウム合金(アルミニウム協会指示(Aluminum Association designations))である。高い引張強さのワイヤを作成するには純度の高い金属が望ましい傾向があるが、純度の低い形態の金属も有用である。
【0046】
好適な金属は市販されている。例えば、アルミニウムは、ペンシルバニア州ピッツバーグのアルコア(Alcoa of Pittsburgh,PA)より「スーパーピュアアルミニウム(SUPER PURE ALUMINUM)、99.99%Al」という商品名で入手可能である。アルミニウム合金(Al−2重量%のCu(0.03重量%の不純物))は、例えば、ニューヨーク州ニューヨークのベルモントメタルズ(Belmont Metals,New York,NY)より入手可能である。亜鉛および錫は、例えば、ミネソタ州セントポールのメタルサービス(Metal Services,St.Paul,MN)(「純粋亜鉛」純度99.999%および「純粋錫」純度99.95%)より入手可能である。例えば、マグネシウムは、英国マンチェスターのマグネシウムエレクトロン(Magnesium Elektron,Manchester,England)より「ピュア(PURE)」という商品名で入手可能である。マグネシウム合金(WE43A、EZ33A、AZ81AおよびZE41A)は、例えば、コロラド州デンバーのタイメット(TIMET,Denver,CO)より得られる。
【0047】
本発明のMCCW20に好適な金属マトリックス複合体ワイヤ26は、繊維とマトリックス材料を組み合わせた合計体積を基準として、少なくとも15体積パーセント(ある実施形態においては、少なくとも20、25、30、35、40、45、更には50体積パーセント)の繊維を含む。一般的に、本発明の方法に用いるコアワイヤ26は、繊維とマトリックス材料を組み合わせた合計体積(クラッドとは無関係で)を基準として40〜70(ある実施形態においては、45〜65)体積パーセントの繊維を含む。
【0048】
コアワイヤ26の平均直径は、一般的に、約0.07ミリメートル(0.003インチ)から約3.3mm(0.13インチ)である。ある実施形態において、コアワイヤ26の望ましい平均直径は、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、更には約2.0mm(0.08インチ)である。
【0049】
コアワイヤの作成
一般的に、連続コアワイヤ26は、例えば、連続金属マトリックス浸透プロセスにより作成することができる。ある好適なプロセスは、例えば、米国特許第6,485,796号明細書(カーペンター(Carpenter)ら)に記載されている。
【0050】
本発明のMCCW20に用いる連続金属マトリックスワイヤ26を作成する例証の装置の概略を図4に示す。連続セラミックおよび/または炭素繊維44のトウを供給スプール46より供給し、円形束へ視準し、セラミック繊維については、管状炉48を通過させながら温水洗浄する。金属マトリックス材料の溶融物54(「溶融金属」とも呼ばれる)を含有するるつぼ52に入る前に真空チャンバ50で繊維44を排気する。繊維をケイタプラー(caterpuller)56により供給スプール46から引く。超音波プローブ58を繊維近傍の溶融物54に配置して、溶融物54のトウ44への浸透を補助する。ワイヤ26の溶融金属は、出口ダイ60を通してるつぼ52を出た後冷却および固化される。ただし、ある程度の冷却はワイヤ26が完全にるつぼ52を出る前になされる。ワイヤ26の冷却は、ワイヤ26に衝突するガスまたは液体62の流れにより促される。ワイヤ26をスプール64に集める。
【0051】
上述した通り、セラミック繊維の温水洗浄により、繊維表面に存在するある量のサイジング、吸着水、およびその他の一時的または揮発性材料を除去または減少するのを補助する。一般的に、繊維表面の炭素含量の面積分率が22%未満となるまで、セラミック繊維を温水洗浄するのが望ましい。一般的に、管状炉54の温度は、少なくとも300℃、より一般的には少なくとも1000℃で、少なくとも数秒間その温度とする。ただし、例えば、用いる特定の繊維の洗浄ニーズに応じて特定の温度および時間は異なる。
【0052】
ある実施形態において、繊維44は、溶融物54に入る前に排気する。かかる排気により、乾燥繊維のある局所領域(すなわち、マトリックスの浸透のない繊維領域)のような欠陥の形成を削減または排除する傾向があることが分かっている。一般的に、ある実施形態において、繊維44は、20トル以下、10トル以下、1トル以下、あるいは0.7トル以下でさえ、の真空で排気される。
【0053】
例証の好適な真空システム50は、繊維44の束の直径に適合するサイズの入口管である。入口管は、例えば、ステンレス鋼またはアルミナ管とすることができ、一般的には長さ少なくとも30cmである。好適な真空チャンバ50の直径は、一般的に2〜20cm、長さは5cm〜100cmである。真空ポンプの容量は、ある実施形態においては、少なくとも0.2〜0.4立方メートル/分である。排気した繊維44は、真空システム50の管を通して溶融物54に挿入され、金属浴に浸透させる(すなわち、排気した繊維44は溶融物54に導入させるとき真空下とする)。ただし、溶融物54は一般的に大気圧である。出口管の内径は、繊維束44の直径に実質的に適合している。出口管の一部は溶融金属に浸漬されている。ある実施形態において、0.5〜5cmの管が溶融金属に浸漬されている。管は、溶融金属材料中で安定するものを選択する。好適な管としては、窒化ケイ素およびアルミナ管が挙げられる。
【0054】
溶融金属54の繊維44への浸透は、一般的に、超音波により促される。例えば、振動ホーン58は、溶融金属54に配置され、繊維44近傍にあるようにする。ある実施形態において、繊維44は、ホーン先端の2.5mm内(ある実施形態においては1.5mm内)にある。ある実施形態において、ホーン先端は、ニオブ、または95wt.%Nb−5wt.%Moおよび91wt.%Nb−9wt.%Moのようなニオブの合金でできており、例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのPMTI(PMTI,Pittsburgh,PA)より入手可能である。金属マトリックス複合体物品を作成するのに超音波を用いることに関する詳細については、例えば、米国特許第4,649,060号明細書(イシカワ(Ishikawa)ら)、同第4,779,563号明細書(イシカワら(Ishikawa et al.))および同第4,877,643号明細書(イシカワ(Ishikawa)ら)、同第6,180,232号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,245,425号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,336,495号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,329,056号明細書(デーヴ(Deve)ら)、同第6,344,270号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,447,927号明細書(マックロウ(McCullough)ら)および同第6,460,597号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、同第6,485,796号明細書(カーペンター(Carpenter)ら)、同第6,544,645号明細書(マックロウ(McCullough)ら)、2000年7月14日出願の米国特許出願第09/616,741号明細書および2002年1月24日公開のPCT出願公開国際公開第02/06550号パンフレットを参照のこと。
【0055】
一般的に、溶融金属54は、浸透中および/または浸透前に脱気される(すなわち、溶融金属54に溶解した気体(例えば、水素)の量を減じる)。溶融金属54の脱気技術については金属処理業界では周知である。溶融物54の脱気はワイヤ中のガスポロシティを減じる傾向がある。溶融アルミニウムについては、溶融物54の水素濃度は、ある実施形態においては、0.2未満、0.15、更には0.1cm3/100グラムのアルミニウムである。
【0056】
出口ダイ60は、所望のワイヤ直径を与えるように構成されている。一般的に、その長さに沿って均一な丸いワイヤを有するのが望ましい。出口ダイ60の直径は、通常、ワイヤ26の直径より僅かに小さい。例えば、50体積パーセントのアルミナ繊維を含有するアルミニウム複合体ワイヤの窒化ケイ素出口ダイの直径は、ワイヤ26の直径より3パーセント小さい。ある実施形態において、出口ダイ60は、窒化ケイ素でできているのが望ましいが、その他の材料も有用である。業界において出口ダイとして用いられてきたその他の材料としては、従来のアルミナが挙げられる。しかしながら、出願人は、窒化ケイ素出口ダイは、従来のアルミナダイより大幅に小さいと、ワイヤ、特に非常に長いワイヤに所望の直径および形状を与えるのにより有用であることを見出した。
【0057】
一般的に、ワイヤ26を液体(例えば、水)またはガス(例えば、窒素、アルゴンまたは空気)62と接触させることにより、出口ダイ60を出た後ワイヤ26を冷却する。かかる冷却は、所望の真円度および均一特性を与え、ボイドをなくす補助となる。ワイヤ26をスプール64に集める。
【0058】
例えば、収縮または内部ガス(例えば、水素または水蒸気)ボイドの結果としての金属間相、乾燥繊維、ポロシティ等のような金属マトリックス複合体ワイヤに欠陥があると、ワイヤ20長さのような特性が減じる恐れがある。従って、かかる特徴の存在を減少または最小にするのが望ましい。
【0059】
金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ(MCCW)
本発明のクラッディング方法は、未クラッディングワイヤ26に比べて改善された特性を示す例証の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ20を製造するものである。略円形の断面形状を備えたコアワイヤ26については、得られたワイヤの断面形状は一般的に完全な円ではない。本発明のクラッディング方法は、不規則形のコアワイヤ26を補って、比較的円形の金属クラッディングされた製品(すなわち、MCCW20)を作成する。クラッド22の厚さtを変えると、コアワイヤ26の形状の不一致が補われ、この方法によりコアワイヤ26が中心となることにより、MCCW20の直径や真円度のような仕様や耐性が改善される。ある実施形態において、本発明による略円形の断面形状を備えたMCCW20の平均直径は、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、更には3.5mmである。
【0060】
MCCW20の最低と最大直径の比(真円度値試験を参照のこと。完全な円のワイヤについては値は1となる)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって、一般的には少なくとも0.9、ある実施形態においては、少なくとも0.92、少なくとも0.95、少なくとも0.97、少なくとも0.98、更には少なくとも0.99である。真円度均一性(下記の真円度均一性試験を参照)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって、一般的には0.9%以下であり、ある実施形態においては、0.5%以下、および0.3%以下である。直径均一性(下記の直径均一性試験参照)は、少なくとも100メートルのMCCW20の長さにわたって一般的に0.2%以下である。
【0061】
本発明の方法により作成されたMCCW20は、一次破断が張力適用の際に生じるとき、マイクロバックリングおよび通常バックリングのような二次破断モードに抵抗するものであるのが望ましい。MCCW20の金属クラッド22は、金属マトリックス複合体ワイヤ26の即時の反跳を防ぐ役割を果たし、一次破断中またはその後に二次破断を生じる圧縮衝撃波を抑える。金属クラッド22は塑性変形し、ワイヤコア26の即時の反跳を抑える。二次破断の抑制を示すためにMCCW20が望ましい場合には、圧縮衝撃波を吸収し抑制するために、金属クラッド22は、十分な厚さtを有しているのが望ましい。近似直径が0.07mm〜3.3mmのコアワイヤ26については、クラッド厚さtは、望ましくは0.2mm〜6mm、より望ましくは0.5mm〜3mmである。例えば、約0.7mmの近似壁厚さtの金属クラッド22は、公称2.1mmの直径のアルミニウム複合体ワイヤ26に好適であり、近似直径3.5mm(0.14インチ)のMCCW20が形成される。
【0062】
本発明に従って作成されたMCCW20はまた、塑性変形する能力を示すのも望ましい。従来の金属マトリックス複合体ワイヤは、弾性曲げモードを示し、塑性変形は示さず、材料破断もすることない。本発明のMCCW20は、曲げた後に離すと、ある量の曲げ(すなわち、塑性変形)を保持し有利である。塑性変形する能力は、複数のワイヤをケーブルへと撚る、または巻く用途に有用である。MCCW20を巻いて、テープや接着剤のような追加の保持手段を必要とすることなく曲げ構造を保持する。MCCW20が永久硬化(すなわち、塑性変形)を起こすのが望ましい場合には、クラッド22は、初期(未湾曲)状態までコアワイヤ26が戻る力に抵抗する十分な厚さtを有する。近似直径が0.07mm〜3.3mmのコアワイヤ26については、クラッド厚さtは、望ましくは0.5mm〜約3mmである。例えば、約0.7mmの近似壁厚さの金属クラッドは、公称2.1mmの直径のアルミニウム複合体ワイヤ26に好適であり、近似直径3.5mm(0.14インチ)のMCCW20が形成される。
【0063】
本発明の方法に従って作成したMCCW20は、少なくとも100メートル、少なくとも200メートル、少なくとも300メートル、少なくとも400メートル、少なくとも500メートル、少なくとも600メートル、少なくとも700メートル、少なくとも800メートル、更には少なくとも900メートルの長さを有している。
【0064】
金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤのケーブル
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、オーバーヘッド電力伝送ケーブルをはじめとする様々な用途に用いることができる。
【0065】
本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、図7に示すように均一(MCCW20のようなワイヤのみを含む)であっても、または図5および6のように不均一(金属ワイヤのように複数の二次ワイヤを含む)であってもよい。不均一ケーブルの一例として、ケーブルコアは、例えば、図5に示すような、複数の二次ワイヤ(例えば、アルミニウムワイヤ)を含むシェルを供えた複数の金属クラッドと金属マトリックス複合体ワイヤとを含む。
【0066】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは撚ることができる。撚ったケーブルは、一般的に、中央ワイヤと、中央ワイヤ周囲に螺旋状に撚られた第1の層のワイヤとを含む。通常、ケーブルの撚りは、ワイヤの個々の撚りが、螺旋構成で組み合わされて、最終ケーブルを製造する(米国特許第5,171,942号明細書(パワーズ(Powers))および第5,554,826号明細書(ジェントリ(Gentry))を参照のこと)。得られた螺旋撚りワイヤロープは、等価の断面積の固体ロッドで得られるよりも遥かに大きな可撓性を与える。撚ったケーブルは、取扱い、据え付けおよび使用において曲げられるとき、全体の丸い断面形状を維持するため、螺旋構成もまた有利である。螺旋に曲げたケーブルは、3本と少ない本数のストランドを含むが、より一般的な構造では50本以上のストランドを含んでいる。
【0067】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルを一例を図5に示す。ケーブル66は、複数の個々のアルミニウムまたはアルミニウム合金ワイヤ74のジャケット72に囲まれた複数の別個の金属クラッディングされた複合体金属マトリックスワイヤ70を含むケーブルコア68である。好適な数の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ70は任意の層に含まれていてもよい。更に、ワイヤタイプ(すなわち、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤおよび金属ワイヤ)は、任意の層またはケーブル内で混合してもよい。更に、所望であれば、3層以上の層を撚ったケーブル66に含めてもよい。多くの変形のうちの1つ、図6に示すようなケーブル76は、多数の個々の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ84のジャケット82に囲まれた複数の個々の金属ワイヤ80のケーブルコア78であってもよい。個々のケーブルは、撚り合わせた7本のケーブルを含むワイヤロープのようなワイヤロープ構造に組み込んでもよい。
【0068】
図7に、本発明に従って製造された撚ったケーブルの他の実施形態86を示す。本実施形態において、撚ったケーブルは均一であり、ケーブルのワイヤは全て、本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ88である。好適な数の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤ88が含まれていてもよい。
【0069】
本発明に従って作成された金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、ベアケーブルとして用いることができる、またはそれは大きな直径のケーブルのケーブルコアとして用いることができる。同様に、本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むケーブルは、複数のワイヤ周囲の維持手段のある複数のワイヤの撚ったケーブルであってもよい。維持手段は、例えば、接着剤またはバインダーのある、またはないテープオーバーラップであってもよい。
【0070】
本発明に従って作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含む撚ったケーブルは数多くの用途において有用である。かかる撚ったケーブルは、比較的軽量で、強度があり、導電性が良好で、熱膨張率が低く、使用温度が高く、耐食性があるという組み合わせのために、オーバーヘッド電力伝送ケーブルに用いるのに特に望ましいと考えられる。
【0071】
クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤに関する更なる詳細は、例えば、2004年2月13日出願の同時係属米国特許出願第10/779438号明細書にある。本発明の利点および実施形態を以下の実施例により更に説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。特に断らない限り、部およびパーセンテージはすべて重量基準である。
【実施例】
【0072】
試験方法
ワイヤ引張り強さ
実質的にASTM E345−93に記載された通りにして、データ取得システム(マサチューセッツ州カントンのインストロンコープ(Instron Corp.,Canton,MA)より「インストロン(INSTRON)」型番8000−074という商品名で入手)により駆動されたメカニカルアラインメント固定具(インストロンコープ(Instron Corp.)より「インストロン(INSTRON)」型番8000−072という商品名で入手)を備えた引張り試験機(インストロンコープ(Instron Corp.,)より「インストロン(INSTRON)」型番8562試験機(Tester)という商品名で入手)を用いて、MCCW20の引張り特性を求めた。
【0073】
2つの異なるゲージ長さを用いて試験を実施した。試験装置により担持可能なワイヤの端部に1018軟鋼管タブを備えた1つは5cm(1.5インチ)であり、もう1つは63cm(25インチ)のゲージ長さ試料である。ワイヤ試料の実際の長さは、ウェッジグリップの据え付けに対応するために、試料ゲージ長さより20cm(8インチ)長かった。直径が2.06mm(0.081インチ)以下の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤについては、管の長さは15cm(6インチ)、OD(外径)は6.35mm(0.25インチ)およびID(内径)は2.9〜3.2mm(0.11〜0.13インチ)であった。IDおよびODはできる限り同心とすべきである。直径が3.45mm(0.14インチ)の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤについては、管の長さは15cm(6インチ)、OD(外径)は7.9mm(0.3インチ)およびID(内径)は4.7mm(0.187インチ)であった。鋼管およびワイヤ試料をアルコールで洗浄し、ワイヤ試料の各端部から10cm(4インチ)の距離で印をつけ、グリッパー管を適切に配置して、5.0cm(2インチ)または25cm(9.8インチ)の所望のゲージ長さを得た。各グリッパー管の穴に、プラスチックノズル(ミネソタ州ブルックリンセンター(Brooklyn Center,MN)のテクニカルレジンパッケージング社(Technical Resin Packaging,Inc.)より入手)を備えたシーラントガン(テクニカルレジンパッケージング社(Technical Resin Packaging,Inc.)より「セムコ(SEMCO)」型番250という商品名で入手)を用いて、エポキシ接着剤(3Mカンパニー(3M Company)より「スコッチ−ウェルド(SCOTCH−WELD)2214ハイフレックス(HI−FLEX)」、高延性接着剤、no.62−3403−2930−9という商品名で入手可能)を充填した。過剰のエポキシ樹脂を管から除去し、ワイヤをワイヤのマークまで管に挿入した。ワイヤをグリッパー管に挿入したら、ワイヤを定位置に保持しながら、追加のエポキシ樹脂を管に注入し、管が樹脂で確実に満たされるようにした。(ワイヤを定位置に維持しながら、エポキシがゲージ長さのベースでワイヤ周囲に搾り出されるまで、樹脂を管に埋め戻した。)両グリッパー管がワイヤに適正に配置されたら、エポキシ硬化サイクル中にグリッパー管とワイヤの適切な同心位置合せを維持するために試料をタブアラインメント固定具に配置した。続いて、組み立て品は、150℃に維持されたオーブンに90分間入れてエポキシを硬化させた。
【0074】
試験枠のメカニカルアラインメント装置を用いて試験枠をインストロン試験機(Instron Tester)に慎重に位置合せして、所望のアラインメントを得た。試験中、グリッパー管の外側5cm(2インチ)のみを、約14〜17MPa(2〜2.5ksi)の機械留め圧力を用いて鋸歯状Vノッチ油圧ジョーで握った。
【0075】
位置制御モードで0.01cm/cm(0.01インチ/インチ)の歪み速度を用いた。動的歪みゲージ伸び計(インストロン社(Instron Corp.)より「インストロン(INSTRON)」型番No.2620−824という商品名で入手)を用いて歪みをモニタリングした。伸び計ナイフエッジ間の距離は1.27cm(0.5インチ)であり、ゲージをゲージ長さの中心に配置して、ゴムバンドで固定した。ワイヤに沿った3点位置のマイクロメートル測定か、断面積を測定し、有効直径を計算して同じ断面積を求めることにより、ワイヤ直径を求めた。引張り試験からの出力により、試料についての破断時荷重、引張り強度、引張りモジュラス、および歪み対破断データを得た。10個の試料を試験し、平均、標準偏差および変動係数を計算した。
【0076】
繊維強度
引張り試験機(マサチューセッツ州カントンのインストロンコープ(Instron Corp.,Canton,MA)より「インストロン(INSTRON)4201」という商品名で市販)およびASTM D3379−75(高モジュラス単一フィラメント材料の引張り強度およびヤング率の標準試験方法(Standard Test Methods for Tensile Strength and Young’s Modulus for High Modulus Single−Filament Materials))に記載された試験を用いて繊維強度を測定した。試料ゲージ長さは25.4mm(1インチ)であり、歪み速度は0.02mm/mmであった。繊維トウの引張り強度を確かめるために、10本の単一繊維フィラメントを繊維のトウから不規則に選択し、各フィラメントを試験してその破断荷重を求めた。
【0077】
1000倍で、光学顕微鏡(マサチューセッツ州ローレンスのドラン−ジェンナーインダストリーズ社(Dolan−Jenner Industries, Inc.,Lawrence,MA)より「ドラン−ジェンナーメージャーライトビデオマイクロメーターシステム(DOLAN−JENNER MEASURE−RITE VIDEO MICROMETER SYSTEM)」型番M25−0002という商品名で市販)に取り付けて、繊維直径を光学的に測定した。この装置では、較正した対物マイクロメーターによる反射光観察を用いた。個々のフィラメントの破壊応力を単位面積当たりの荷重として計算した。
【0078】
熱膨張率(CTE)
1995年発行のASTM E−228に従ってCTEを測定した。(5.1cm)2インチのワイヤ長さを用いて膨張計(「ユニサーム(UNITHERM)1091」という商品名で入手)で作業を行った。固定具を用いて、6.4mm(0.25インチ)の内径の開いた外径10.7mm(0.42インチ)のアルミニウムの2つのシリンダから構成される試料を保持した。試料を留めネジで各側に留めた。試料長さを各留めネジの中心から測定した。規格および技術学会(NIST)認定溶融シリカ較正参照試料(ワシントンDCのNIST(NIST,Washington,DC)より「溶融シリカ(Fused Silica)」という商品名で入手)により、各温度範囲について少なくとも2回の較正を実施した。試料を、実験室空気雰囲気中で、5℃の加熱傾斜速度で−75℃〜500℃の温度範囲にわたって試験した。試験からの出力は、加熱中50℃毎または冷却中10℃毎に集めた寸法膨張対温度の一組のデータであった。CTEは温度による膨張の変化率であるため、CTEについての値を得るためにデータを処理する必要がある。膨張対温度データを、図表ソフトウェアパッケージ(ワシントン州レッドモンドのマイクロソフト(Microsoft,Redmond,WA)より「エクセル(EXCEL)」という商品名で入手)を用いてプロットした。二次べき関数を、曲線のための等式を得るためにソフトウェアで利用可能な標準フィッティング関数を用いて、データに合わせた。この等式の偏差を計算して、一次関数を求めた。この等式は、温度による膨張の変化率を表していた。この等式を、当該の温度範囲、すなわち、−75〜500℃にわたってプロットして、CTE対温度のグラフで示した。等式を用いて、任意の温度での瞬間のCTEも得た。
【0079】
CTEは、等式αcl=[EfαfVf+Emαm(1−Vf)]/(EfVf+Em(1−Vf))による変化を前提としている。式中、Vf=繊維体積分率、Ef=繊維引張りモジュラス、Em=マトリックス引張りモジュラス(インサイチュ)、αcl=長手方向における複合体CTE、αf=繊維CTEおよびαm=マトリックスCTE。
【0080】
直径
ワイヤに沿って4点でマイクロメートルの読取りを行うことによりワイヤの直径を測定した。一般的に、ワイヤは完全な円ではないため、長い部分と短い部分があった。ワイヤを回転させて読取りを行って、長い部分と短い部分の両方を測定した。直径を、長い部分と短い部分の平均として記録した。
【0081】
繊維体積分率
標準鋼質試験により繊維体積分率を測定した。ワイヤ断面を磨き、合衆国国立衛生研究所のリサーチサービス部門(Research Services Branch of the National Institutes of Health)により開発された公共画像処理プログラムであるNIH IMAGE(バージョン1.61)というコンピュータプログラムの助けにより密度プロファリフィング機能を用いて繊維体積分率を測定した。このソフトウェアは、ワイヤの代表的な領域の平均グレースケール強度を測定した。
【0082】
ワイヤ片を装着樹脂(イリノイ州レークブラフのビューラー(Buehler Inc.,Lake Bluff,IL)より「エポキシキュア(EPOXICURE)」という商品名で入手)に装着した。装着したワイヤを、従来のグラインダー/ポリッシャー(オハイオ州ウェストレークのストルアス(Struers,West Lake,OH)より入手)および従来のダイヤモンドスラリーを用いて研磨し、最後の研磨工程では、ストルアス(Struers)より「ダイヤモンドスプレー(DIAMOND SPRAY)という商品名で入手した1マイクロメートルのダイヤモンドスラリーを用いて、ワイヤの研磨した断面を得た。走査電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真を150倍で研磨したワイヤ断面から撮った。SEM顕微鏡写真を撮るとき、画像のスレショルドレベルを調整して、全ての繊維をゼロ強度にして、二値画像を作成した。NIH IMAGEソフトウェアによりSEM顕微鏡写真を分析し、繊維体積分率を、最大強度により二値画像の平均強度を除算することにより得た。繊維体積分率を求めるこの方法の精度は+/−2%と考えられた。
【0083】
真円度値
ワイヤの断面形状がいかに円に近いかの尺度である真円度値は、指定した長さにわたる単一の真円度の平均より定義される。平均を計算するための単一真円度値は、回転レーザーマイクロメーター(ニューヨーク州マウントキスコのズムバッハエレクトロニクス社(Zumbach Electronics Corp.,Mount Kisco,NY)より「ODAC30J回転レーザーマイクロメーター(ROTATING LASER MICROMETER)」、ソフトウェア「USYS−100」、バージョンBARU13A3という商品名で入手)を用いて、マイクロメーターが180度の各回転中、100msec毎にワイヤ直径を記録するように設定して、次のようにして求めた。180度の各スイープは行うのに10秒かかった。マイクロメーターは、各180度回転からのデータの報告をプロセスデータベースへ送った。報告には、回転サイクル中に集めた100個のデータ点の最小、最大および平均が含まれていた。ワイヤ速度は1.5メートル/分(5フィート/分)であった。「単一真円度値」は、回転サイクル中に集めた100個のデータ点についての最小直径対最大直径の比であった。真円度値は、指定した長さにわたる測定された単一の真円度値の平均である。単一平均直径は、100個のデータ点の平均であった。
【0084】
真円度均一値
指定した長さにわたる測定された単一真円度値の変動係数である真円度均一性値は、測定された単一真円度値の平均で除算した測定された単一真円度値の標準偏差の比である。標準偏差は、次の等式に従って求めた。
【数1】
式中、nは母集団中の試料の数であり、(すなわち、直径均一性値を求めるための測定した単一真円度値の標準偏差を計算するため、nは指定した長さにわたって測定した単一真円度値の数である)、xは試料母集団の測定値である(すなわち、直径均一性値を求めるための測定した単一真円度値の標準偏差を計算するため、xは指定した長さにわたって測定した単一真円度値である)。平均を求めるための測定した単一真円度値を、真円度値について上述した通りにして得た。
【0085】
直径均一性値
指定した長さにわたる測定された単一平均直径の変動係数である直径均一性値は、測定された単一平均直径で除算した測定された単一平均直径の標準偏差の比により定義される。測定された単一平均直径は、真円度値について上述した通りにして得られた100個のデータ点の平均である。標準偏差は、等式(1)を用いて計算した。
【0086】
実施例1
アルミニウムマトリックス複合体ワイヤを、1500デニール「ネクステル(NEXTEL)610」アルミナセラミック繊維の34トウを用いて作成した。各トウは約420本の繊維を含んでいた。繊維は、実質的に断面が丸く、直径は平均で約11〜13マイクロメートルの範囲であった。繊維の平均引張り強度(上述した通りに測定)は、2.76〜3.58GPa(400〜520ksi)であった。個々の繊維の強度は2.06〜4.82GPa(300〜700ksi)であった。繊維(多数のトウの形態にある)を、溶融物の表面を通してアルミニウムの溶融浴へ供給し、2グラファイトローラ下の水平面に通過させ、溶融物の表面を通して45度で溶融物から戻し、ダイ本体を配置して、テークアップスプール上とした(例えば、米国特許第6,336,495号明細書(マックロウ(McCullough)ら、図1に記載されている)。アルミニウム(>99.5%、ニューヨーク州ニューヨークのベルモントメタルズ(Belmont Metals,New York,NY)製アルミニウム)を、24.1cm×31.3cm×31.8cm(9.5”×12.5”×12.5”)の寸法のアルミナるつぼ(ペンシルバニア州ビーバーフォールズのベスビウスマックダニエル(Vesuvius McDaniel,Beaver Falls,Pa)より入手)で溶融した。溶融アルミニウムの温度は約720℃であった。95%ニオブと5%モリブデンの合金(ペンシルバニア州ラージのPMTI社(PMTI Inc.,Large,PA)より入手)から、長さ12.7cm(5インチ)×直径2.5cm(1インチ)のシリンダを作成した。シリンダを、20.06〜20.4kHzの振動周波数まで所望の振動に調整することにより(すなわち、長さを変えることにより調整)、超音波ホーンアクチュエータとして用いた。アクチュエータの振幅は0.002cm(0.0008インチ)より大きかった。アクチュエータの先端を、ローラ間の繊維と平行に導入し、それらの距離は<2.54mm(<0.1インチ)となるようにした。アクチュエータをチタン導波管に接続し、これを超音波トランスデューサに接続した。繊維をマトリックス材料に浸透させて、比較的均一な断面および直径のワイヤを形成した。このプロセスにより作成したワイヤの直径は2.06mm(0.081インチ)であった。
【0087】
出口側に配置されたダイ本体は、窒化ホウ素でできており、溶融表面に対して45度傾いていて、内径が0.05cm(0.08インチ)のアルミナスレッドガイドを差し込むのに好適な内径を備えた穴を含んでいた。スレッドガイドは、アルミナペーストを用いて適所に糊付けされていた。ダイから出る際、ワイヤを窒素ガスで冷却して、プロセスを通して、ワイヤおよび繊維を引っ張るゴム駆動ローラの損傷および燃焼を防いだ。フランジ木製スプールにワイヤをスプールアップした。
【0088】
繊維の体積パーセントを、断面の顕微鏡写真(200倍)から約45体積%と見積もった。
【0089】
ワイヤの引張り強度は1.03〜1.31GPa(150〜190ksi)であった。
【0090】
室温での伸びは約0.7〜0.8%であった。伸び計により引張り試験中伸びを測定した。
【0091】
アルミニウム複合体ワイヤ(ACW)を、本発明の方法に従ってクラッディングのためのコアワイヤ26(図1および2に示す通り)として供給した。スプール36インチOD、30インチID、3インチ幅に供給し、スプールをペイオフシステムに配置した。ブレーキングシステムを用いてACW26の張力を最小に保った。張力はアルミニウム複合体ワイヤのスプールが解けるのを防ぐのに十分なものであった。クラッディングされるACW26は、クラッディングマシン30を通してスレッドし、出口側でテークアップドラムに取り付ける前は、表面洗浄せず、予熱しなかった。
【0092】
クラッディングマシン(型番350、英国、アシュフォードのBWE社(BWE Ltd, Ashford, England, UK)により「コンクラッド(CONKLAD)」という商品名で市販されているもの)を接線モード(図2参照)で稼動した。押し出しホイール34に接線の製品センターライン稼動が示されている。図2を参照すると、操作中、アルミニウムフィードストック28(フランス、ペシネー(Pechiney,France))より入手可能なEC137050;直径9.5mm標準ロッド)は、2つのペイオフドラム(図示せず)を回転押し出しホイール34、ツイングルーブ標準シャフトレスホイールの周囲グルーブ42へとペイオフした。BWE社(BWE Ltd.)開発の標準パロバイタルクリーニングシステムを用いて、フィードストックアルミニウム28を表面洗浄し、使用前、表面酸化物、フィルム、油、グリースまたは粘性表面汚染物を除去した。
【0093】
ACW26をシュー32の入口ダイ38でクラッディングマシン30に導入した。ACW26は、押し出しツール(シュー32)を直接通過し、出口押し出しダイ40から出た(更に、図3参照)。ダイチャンバ36はBWEタイプ32(英国アシュフォードのBWE社(BWE Ltd,Ashford,England,UK)より入手可能)であった。2本のアルミニウムフィードロッドが、コアワイヤ26の両側でダイチャンバ36に入り、圧力と金属フローを等しくした。ダイチャンバ36を加熱して、約500℃でアルミニウム温度を制御した。押し出しホイール36の動作と熱はダイチャンバ36により提供され、ダイチャンバ36を可塑化アルミニウム28で充填した。アルミニウム28は、ACW26周囲で塑性フローし、出口ダイ40を出た。出口ダイ40は、クラッド厚さに対応するべく3.45mm内径でACW26より大きかった。
【0094】
アルミニウムがACW26周囲の出口ダイ40から押し出されるまで、押し出しホイール36を調整し、チャンバの圧力はクラッド22とACW26との間に部分ボンディングを生じさせるほど十分なものであった。更に、押し出されたアルミニウム28は、出口ダイ40を通してコアワイヤ26を引っ張って、MCCW20製品を集めるテークアップドラムが張力を適用しないようにした。マシンを出る製品の線速度は、約50m/分であった。マシンを出た後、ワイヤは水のトラフを通過してそれを冷却し、テークアップドラムに巻き付けた。クラッドACWの試料は、0.7mmクラッド壁厚さで作成した(304m(1000ft)長さ)。
【0095】
MCCW20は、直径3.5(0.140インチ)のMCCW20を作成するために、アルミニウムクラッド22を備えた直径が公称2.05mm(0.081インチ)のACW26を含んでいる。ACW26の不規則形状をクラッド22で補って、極めて円形の製品を作成した。MCCW20の面積分率は33%ACW、67%アルミニウムクラッドである。ACW26中、45%繊維体積分率とすると、MCCW20は正味の繊維体積分率が約15%である。
【0096】
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、実施例1で作成したワイヤを試験した(3.8cm(1.5インチ)ゲージ長さ)。
【0097】
【表1】
【0098】
実施例1のMCCW20を試験して、ワイヤの軸に沿った熱膨張率(CTE)を測定した。結果を、図8のCTE対温度のグラフに示してある。CTEは、−75℃〜+500℃の温度範囲にわたって、約14−19ppm/℃である。
【0099】
実施例1のMCCW20のワイヤ真円度、真円度均一性値および直径均一性値を測定した。平均直径=3.57mm(0.141インチ)、直径均一性値=0.12%、ワイヤ真円度=0.9926、真円度均一値=0.29%、ワイヤ長さ=130m(427ft)。
【0100】
実施例2
入口ガイドダイ38に挿入する前に、300℃(表面コア温度)までの電磁誘導加熱を用いてコアワイヤ26を加熱した以外は、実施例1に記載された通りにして実施例2を作成した。この結果、長さ304m(1000ft)およびクラッド壁厚さ0.70mm(0.03インチ)のクラッドワイヤ(MCCW20)が得られた。
【0101】
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、実施例2で作成したクラッドワイヤ(MCCW20)を試験した(63.5cm(25インチ)ゲージ長さ)。
【0102】
【表2】
【0103】
実施例2のクラッドワイヤ(MCCW20)を分析して、アルミニウムクラッドの降伏強さを求めた。実施例2のクラッドワイヤの応力−歪み挙動のグラフを図9に示す。傾斜の変化は0.04〜0.06%歪みであり、これはアルミニウムクラッドの降伏に関連している。コアワイヤ自身はかかる降伏挙動を示さない。図9に、0.042%歪みで生じる降伏開始を示す。このように、降伏強さは、降伏歪みを乗算したモジュラスである。純粋なアルミニウムに引張りモジュラスは69GPa(10Msi)である。従って、降伏応力は29.0MPa(4.2ksi)と計算される。
【0104】
比較例1
上述したワイヤ引張り強度試験を用いて、直径2.05mm(0.081インチ)のAMCコアワイヤ26(実施例1に記載した通り作成)の張力破断を試験した。目視検査による試験後、破断の数を記録した。380mm(15インチ)またはこれより長いゲージ長さで、ワイヤに多数の破断が観察された。破断の数は、一般的に、635mm(25インチ)までのゲージ長さについて2〜4異なった。高速ビデオカメラ(ニューヨーク州ロチェスターのコダック(Kodak,Rochester,NY)より「コダック(KODAK)」という商品名で市販(コダック(Kodak)HRC1000、500フレーム/秒、試料から61cm(2フィート)に配置))を用いて、破断機構を記録した。ビデオは、各ワイヤにおける一連の破断示す。一次(第1)破断は自然の張力であり、続く破断(すなわち、二次破断)は全て、操作機構の1つとして、通常の圧縮バックリングを示した。他の破断表面のフラクトグラフィー(SEM)によればまた、圧縮マイクロバックリングが他の二次破断機構であったことが分かった。
【0105】
実施例3
0.7mm(0.03インチ)アルミニウムクラッド22でクラッディングされた直径2.05mm(0.081インチ)のAMCコアワイヤ26(実施例1に記載した通り)の張力破断を試験した。クラッドワイヤ(MCCW20)は、635mm(25インチ)ゲージ長さを有していた。クラッドワイヤは、一次張力破断後、二次破断を示さなかった(破断時荷重は平均で4900Nであった)。二次破断がないことは、破断ワイヤ(MCCW20)の長い部分を再び担持して、張力を再び試験することにより確認された(ゲージ長さは38.1cm(15インチ)より長かった)。再試験の際、クラッドワイヤ(MCCW20)は、やや大きな破断時荷重(約5000N)を示した。この結果は、隠れ二次破断部位がクラッドワイヤになかったことを示した。荷重変位はまた、図10のグラフに示すように、一次引張り破断が生じるときのアルミニウムクラッド22の役割を明らかに示していた。荷重の急激な降下は、ACW26の一次破断に付随するものであるが、荷重はゼロまで直ぐには降下しない。荷重のいくつかは、グラフの領域に矢印90で示されているように、急激な反跳を伸張し抑えるアルミニウムクラッド22により実施される。
【0106】
曲げ保持試験
曲げ保持試験は、変形後ワイヤにより保持された曲げ量を示すものである。曲げが保持されない場合には、ワイヤは完全に弾性である。ある量の曲げが保持される場合は、ワイヤまたはワイヤの少なくとも一部は塑性変形して曲げ形状を保持していた。曲げ保持試験は、一般的に、曲げ角度で実施され、試験するワイヤの破断強度より弱く押し付けるものである。
【0107】
MCCW20の長さ(上述した通り)を手で円形ループへと巻いて、図11の図に示すように、巻いた試料92を形成する。巻いた試料92は、周囲が約20.3cm(8インチ)から134.6cm(53インチ)の特定の直径の閉じた円である。
【0108】
各巻いた試料92について、巻いた試料100の弦Lの長さを測定した。弦Lに垂直で、弦Lの中点から巻いた試料92の端部のラインセグメントyの長さを測定した。式2に従って各試料について初期曲げ半径R初期を計算した。式中、x=1/2Lである。
【数2】
【0109】
実施例4〜3のL、yおよびR初期の値を以下の表1に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
巻いた試料92の端部を離し、クラッドワイヤ(MCCW20)を最後の湾曲形態まで弛緩させた。寸法Y’およびL’をこの弛緩したワイヤで測定し、最終曲げ半径R最終を計算した。様々な実施例の結果を以下の表2に示す。
【0112】
【表4】
【0113】
弛緩半径対曲げ半径を図12にプロットする。
【0114】
2つの理論モデル、内径モデルと塑性ヒンジモデルを用いて、一組の13.0インチ(33.0cm)を保持するMCCWに必要なクラッドの厚さを予測した。以下の計算は、MCCWについての最終試験曲げ半径ρを維持するのに必要な半径rのコアワイヤ周囲のクラッドの必要な厚さを求める。これらモデルは、延性金属がいかにクラッドをもたらすか点で異なる。
【0115】
中心コアワイヤの曲げモーメントは次の通りである。
【数3】
【0116】
固体円形断面の面積のモーメントIzzwは次の通りである。
【数4】
式中、rはコアワイヤの半径、Eはコアワイヤの弾性モジュラス、ρはMCCWの曲げ半径である。
【0117】
内径モデルは、ワイヤの平衡状態が、クラッドの内側端部のクラッド材料の応力がクラッド材料の降伏強さと等しいときに生じることを予想するものである。すなわち、σx=Yであり、σxはクラッド材料における応力、Yはクラッド材料の降伏強さである。
【0118】
この状態のワイヤの曲げモーメントMLは次の通りである。
【数5】
【0119】
クラッドの円形環IzzCの面積のモーメントは次の通りに定義される。
【数6】
【0120】
第2のモデル、塑性ヒンジモデルは以下の等式を用いる。
【0121】
平衡時の曲げモーメントMpは次の通りに定義される。
【数7】
【0122】
塑性ヒンジモデルの面積モーメントIzzpは次の通りである。
【数8】
【0123】
ワイヤの弛緩最終状態は、コアワイヤの曲げモーメントがMCCWの曲げ降伏モーメントに等しい点として求められる。
【0124】
内径モデルについては、これは次のとき生じる。
【数9】
【0125】
塑性ヒンジモデルについては、これは次のとき生じる。
【数10】
【0126】
コアワイヤの半径r、クラッド材料降伏強さY、MCCWの曲げ半径、およびコアワイヤの弾性モジュラスの関数として、式7および8を解くと、クラッド厚さtを求めることができる。
【0127】
次のパラメータを以下の実施例について用いている。コアワイヤ半径r=0.040インチ、コアワイヤ弾性モジュラスE=24MSI、MCCW曲げ半径ρ=13インチ、クラッド降伏応力σx=9,000ksi。
【0128】
これらを解いて、測定された曲げ半径(13.0インチ、33.0cm)およびクラッド材料の仮定された降伏強さ(9ksi)(62MPa)により、クラッド厚さを得た。
【0129】
【表5】
【0130】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の例証の金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの概略断面図である。
【図2】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを作成する接線モードで運転される例証のツイングルーブクラッド機の斜視図である。
【図3】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを作成するクラッド機の例証のツーリングダイ構成の概略断面図である。
【図4】本発明による溶融金属で繊維に浸透させるのに用いる例証の超音波装置の概略図である。
【図5】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルの1つの例証の実施形態の概略断面図である。
【図6】本発明による金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含むオーバーヘッド電力伝送ケーブルの1つの例証の実施形態の概略断面図である。
【図7】本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを含む均一ケーブルの概略断面図である。
【図8】実施例1で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの熱膨張率のグラフである。
【図9】実施例2で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの応力−歪み挙動のグラフである。
【図10】実施例3で作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの変位および回復を示すグラフである。
【図11】曲げ保持試験に用いる幾何形状構造の概略図である。
【図12】本発明により作成した金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤの塑性変形を示す弛緩半径対曲げ半径の例証のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに長手方向に配向され、セラミックまたは炭素の少なくとも一方を含む複数の実質的に連続した繊維を含む、少なくとも1つのトウと、
各トウが金属マトリックス中に配置された金属マトリックスと、
を具備する、外部表面を有する金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させる工程と、
前記チャンバ内の温度を延性金属の融点より低く保ち、前記チャンバ内の圧力を前記延性金属を可塑化するのに十分なものとして、前記チャンバ内の前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面に前記延性金属を付随させる工程と、
前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面を被覆する金属クラッドへと前記付随させた延性金属を成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、前記延性金属を付随させた前記金属マトリックス複合体ワイヤを前記チャンバから引き出す工程と、
を有する、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法。
【請求項2】
前記延性金属の融点は1000℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記延性金属の融点は700℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属マトリックス複合体の前記金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウムまたはそれらの合金のうち少なくとも1種類を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属マトリックス複合体の前記金属は、アルミニウムまたはその合金の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属マトリックス複合体ワイヤは、前記金属マトリックス複合体ワイヤの総体積を基準として、40〜70体積パーセントの繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも85数量%の繊維が実質的に連続している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維はセラミック酸化物繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維は多結晶、アルファアルミナ系繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶、アルファアルミナ系繊維は、前記各繊維の総金属酸化物含量を基準として、少なくとも99重量%のAl2O3を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記延性金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびこれらの合金からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記延性金属はアルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記付随した延性金属が成形されて、前記ワイヤが前記延性金属によって同心円状に囲まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記延性金属は、0.2mm〜6mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記延性金属は、0.5mm〜3.0mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって少なくとも0.95の真円度値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.5%以下の真円度均一性値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.3%以下の直径均一性値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させることは、チャンバ入口ダイからチャンバ出口ダイまで直線経路に従う、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
互いに長手方向に配向され、セラミックまたは炭素の少なくとも一方を含む複数の実質的に連続した繊維を含む、少なくとも1つのトウと、
各トウが金属マトリックス中に配置された金属マトリックスと、
を具備する、外部表面を有する金属マトリックス複合体ワイヤを提供する工程と、
前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面に延性金属を付随させる工程と、
前記付随させた延性金属を前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、前記付随させた延性金属を操作する工程であって、前記金属マトリックス複合体ワイヤが、長さ300メートルのセグメントに提供される場合、少なくとも0.95の真円度値を呈する工程と、
を有する、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法。
【請求項21】
前記延性金属の融点は1000℃以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記延性金属の融点は700℃以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記金属マトリックス複合体は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウムまたはそれらの合金のうち少なくとも1種類を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記金属マトリックス複合体は、アルミニウムまたはその合金の少なくとも一方を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記金属マトリックス複合体ワイヤは、前記ワイヤの総体積を基準として、40〜70体積パーセントの繊維を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも約85数量%の繊維が実質的に連続している、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記繊維はセラミック酸化物繊維である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維は多結晶、アルファアルミナ系繊維である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記多結晶、アルファアルミナ系繊維は、前記各繊維の総金属酸化物含量を基準として、少なくとも99重量%のAl2O3を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記延性金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびこれらの合金からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記延性金属はアルミニウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記付随した延性金属が成形されて、前記ワイヤが前記延性金属によって同心円状に囲まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記延性金属は、0.2mm〜6mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記延性金属は、0.5mm〜3.0mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは少なくとも100メートルの長さを有しており、塑性変形を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.5%以下である直径均一性値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.3%以下である直径均一性値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項38】
前記延性金属の融点より低い温度まで前記延性金属を加熱することにより、前記ワイヤの前記外部表面と協働するように前記延性金属が配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項39】
前記延性金属に加えられた圧力により、前記延性金属は、前記ワイヤの前記外部表面を可塑的にコートする、請求項38に記載の方法。
【請求項1】
互いに長手方向に配向され、セラミックまたは炭素の少なくとも一方を含む複数の実質的に連続した繊維を含む、少なくとも1つのトウと、
各トウが金属マトリックス中に配置された金属マトリックスと、
を具備する、外部表面を有する金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させる工程と、
前記チャンバ内の温度を延性金属の融点より低く保ち、前記チャンバ内の圧力を前記延性金属を可塑化するのに十分なものとして、前記チャンバ内の前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面に前記延性金属を付随させる工程と、
前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面を被覆する金属クラッドへと前記付随させた延性金属を成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、前記延性金属を付随させた前記金属マトリックス複合体ワイヤを前記チャンバから引き出す工程と、
を有する、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法。
【請求項2】
前記延性金属の融点は1000℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記延性金属の融点は700℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属マトリックス複合体の前記金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウムまたはそれらの合金のうち少なくとも1種類を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属マトリックス複合体の前記金属は、アルミニウムまたはその合金の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属マトリックス複合体ワイヤは、前記金属マトリックス複合体ワイヤの総体積を基準として、40〜70体積パーセントの繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも85数量%の繊維が実質的に連続している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維はセラミック酸化物繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維は多結晶、アルファアルミナ系繊維である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶、アルファアルミナ系繊維は、前記各繊維の総金属酸化物含量を基準として、少なくとも99重量%のAl2O3を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記延性金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびこれらの合金からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記延性金属はアルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記付随した延性金属が成形されて、前記ワイヤが前記延性金属によって同心円状に囲まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記延性金属は、0.2mm〜6mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記延性金属は、0.5mm〜3.0mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって少なくとも0.95の真円度値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.5%以下の真円度均一性値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.3%以下の直径均一性値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
金属マトリックス複合体ワイヤをチャンバに通して移動させることは、チャンバ入口ダイからチャンバ出口ダイまで直線経路に従う、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
互いに長手方向に配向され、セラミックまたは炭素の少なくとも一方を含む複数の実質的に連続した繊維を含む、少なくとも1つのトウと、
各トウが金属マトリックス中に配置された金属マトリックスと、
を具備する、外部表面を有する金属マトリックス複合体ワイヤを提供する工程と、
前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面に延性金属を付随させる工程と、
前記付随させた延性金属を前記金属マトリックス複合体ワイヤの前記外部表面を被覆する金属クラッドへと成形して金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを提供するのに有効な条件下で、前記付随させた延性金属を操作する工程であって、前記金属マトリックス複合体ワイヤが、長さ300メートルのセグメントに提供される場合、少なくとも0.95の真円度値を呈する工程と、
を有する、金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤを製造する方法。
【請求項21】
前記延性金属の融点は1000℃以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記延性金属の融点は700℃以下である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記金属マトリックス複合体は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウムまたはそれらの合金のうち少なくとも1種類を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記金属マトリックス複合体は、アルミニウムまたはその合金の少なくとも一方を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記金属マトリックス複合体ワイヤは、前記ワイヤの総体積を基準として、40〜70体積パーセントの繊維を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも約85数量%の繊維が実質的に連続している、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記繊維はセラミック酸化物繊維である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記繊維は多結晶、アルファアルミナ系繊維である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記多結晶、アルファアルミナ系繊維は、前記各繊維の総金属酸化物含量を基準として、少なくとも99重量%のAl2O3を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記延性金属は、アルミニウム、亜鉛、錫、マグネシウム、銅およびこれらの合金からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記延性金属はアルミニウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記付随した延性金属が成形されて、前記ワイヤが前記延性金属によって同心円状に囲まれる、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記延性金属は、0.2mm〜6mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記延性金属は、0.5mm〜3.0mmの厚さに前記金属マトリックス複合体ワイヤを被覆する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは少なくとも100メートルの長さを有しており、塑性変形を示す、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.5%以下である直径均一性値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記金属クラッディングされた金属マトリックス複合体ワイヤは、少なくとも100メートルの長さにわたって0.3%以下である直径均一性値を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項38】
前記延性金属の融点より低い温度まで前記延性金属を加熱することにより、前記ワイヤの前記外部表面と協働するように前記延性金属が配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項39】
前記延性金属に加えられた圧力により、前記延性金属は、前記ワイヤの前記外部表面を可塑的にコートする、請求項38に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−521968(P2007−521968A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553119(P2006−553119)
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/000102
【国際公開番号】WO2005/082556
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/000102
【国際公開番号】WO2005/082556
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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