説明

金属ストリップのストリップ張力を測定するための装置

本発明は、1つの平坦なテーブル(2)を備え、このテーブルを介して金属ストリップが走行可能であり、テーブルの一端(3)に、ストリップ張力の測定に適した多数の測定要素(4)が配設されており、冷却要素(5)が設けられており、これら冷却要素がテーブル(2)の下に配設され、その冷却液、特に水、を、測定要素(4)の領域に誘導可能である、金属ストリップ、特にスチールストリップ、のストリップ張力を測定するための装置(1)に関する。テーブルを簡単な方法で撓まないように保護するために、本発明によれば、冷却要素(5)が、ボックス状の冷却液容器(6)を備え、この冷却液容器が、金属ストリップの両側で、少なくとも1つのサポート要素(7)上に配設されており、テーブル(2)の下面が、ボックス状の冷却液容器(6)に間接的又は直接的に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの平坦なテーブルを備え、このテーブルを介して金属ストリップが走行可能であり、テーブルの一端に、ストリップ張力の測定に適した多数の測定要素が配設されており、冷却要素が設けられており、これら冷却要素がテーブルの下に配設され、その冷却液、特に水、を、測定要素の領域に誘導可能である、金属ストリップ、特にスチールストリップ、のストリップ張力を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、特に応力下にある圧延ストリップの平面状態の測定を可能にするために公知である。この場合、測定要素として、少なくとも1つの測定ローラが使用され、この測定ローラは、ストリップの下面に押し付けられ、ストリップが移送方向にテーブルを通過する。ストリップの表面の法線方向への測定ローラの動きを測定することに基づいて、ストリップ張力が推定される。
【0003】
この種の装置と関係して、ルーパもしくはテンションメータルーパについても考慮する。
【0004】
冒頭で述べた装置は、特許文献1〜4に記載されている。
【0005】
図1に、ストリップ張力を測定するためのこの種の装置1の公知の実施形が図示されている。そこには、装置の側面図を断面図で見ることができる。図示してない金属ストリップは、左から右に装置1を通過するが、この場合、ストリップは、テーブル2(誘導テーブル)の表面に載っている。テーブルの前縁(3)には、それぞれフレーム(12)を介して測定ピックアップ(14)上に支持される多数の測定ローラ(4)が存在する。処理もしくは測定すべきストリップの温度に基づいて、測定ローラ4は、冷却しなければならない。このため、冷却要素5、即ち水源から水を供給されるチューブライン、が設けられている。チューブラインは、水を測定ローラ4に到達させる冷却液流出口9で終了する。
【0006】
ストリップ張力を測定するためのこのような装置の公知の構成では、以下のことが欠点である。チューブライン5は、テーブル2の下で測定ローラ4に至るまで延在すること。この場合、テーブル2は、その両側面もしくは両エッジ(ストリップ走行方向で見て)にそれぞれ1つのサポート要素(サポートフレーム)上に支持される。構造上の理由から、テーブルの下に冷却水チューブと構造の別の構成要素用の場所を十分に確保するために、高さの低いテーブルが設けられている。これにより、テーブルは、十分な強度を得られず、機械的もしくは熱的負荷のために、テーブルの下に配設された、即テーローラの移動を検出するための測定装置の機能が損なわれるまで撓んでしまう。
【特許文献1】独国特許第37 21 746号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第197 04 447号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第199 18 699号明細書
【特許文献4】米国特許第4,004,459号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の根底にある課題は、前記欠点を回避するように、冒頭で述べた方式の装置を発展させることにある。即ち、ストリップ張力を測定するための装置は、テーブルを簡単な方法で撓まないように保護するように、発展させるべきである。従って、特に測定装置は、テーブルの機械的及び熱的負荷に対し、従ってその変形に対して鈍感にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明によれば、冷却要素が、曲げ剛性の高いボックス状の冷却液容器を備え、この冷却液容器が、金属ストリップの両側で、それぞれ少なくとも1つのサポート要素上に配設されており、テーブルの下面が、ボックス状の冷却液容器に間接的又は直接的に当接することによって解決される。
【0009】
単独で横を支承される代わりに、テーブルは、本発明によれば、直接又は適当なスペーサ要素によってボックス状の冷却液容器上に載せられており、その結果、テーブルの撓みに対して本質的に高い抵抗が得られる。
【0010】
これを更に改善するため、発展形によれば、ボックス状の冷却液容器は、直方体形の中空体として形成されている。ボックス状の冷却液容器は、平坦な板材から組み立てること、特にロウ付け又は溶接することができる。しかしながらまた、ボックス状の冷却液容器は、板材の端部を折り曲げることによって少なくとも1つの平坦な板材から製造することもでき、場合によっては、端部を折り曲げた複数の板材が組み立てられる(溶接、ロウ付けされる)。
【0011】
ボックス状の冷却液容器が、その下面に沿って多数の冷却液流出口を備えるのは有利である。その両側面に沿って、ボックス状の冷却液容器が、それぞれ1つの冷却液供給ラインを備えるのは好ましい。
【0012】
両冷却液供給ラインは、少なくとも1つのサポート要素上に冷却液容器を横に配設するために、冷却液容器の側面に形成することができる。
【0013】
測定要素は、特にそれ自身公知の方法では、測定ローラである。装置が圧延装置の仕上げスタンド内のルーパの構成要素であるのは特に好ましい。本発明の提案が、熱間幅広ストリップライン又はCSP圧延装置(Compact Strip Production装置)のルーパ(ループリフタ)で使用されるのは好ましい。
【0014】
本発明による形成は、テーブルの変形を小さくし、これによりセグメントフレームとテーブルへの外からの影響から測定要素の保護を良好にすることを可能にする。提案したボックス状の冷却液容器は、変形の際にバリヤとして働くので、テーブルの変形を防止することができる。
【0015】
即ち、テーブルへの垂直方向の力は、ボックス状の冷却液容器(ウォータボックス)によって良く吸収され、測定要素に作用しない。
【0016】
従って、ボックス状の冷却液容器は、テンションメータもしくはそのループリフタの測定ローラへの冷却水の供給の課題や、更にはテーブルの支持の課題を引き受ける。冷却液容器の特に提案した構成は、冷却液容器の強度を高め、これにより撓み力に対する抵抗を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を基にして本発明の実施例を詳細に説明する。
【0018】
各図に、スチールストリップのストリップ張力を測定するための装置1を見ることができるが、ストリップ自身は図示されていない。ストリップは、その移送方向に、その上にストリップが当接する平坦な表面を構成するテーブル2を通過する。テーブルの前縁3に、測定ローラ4の形態の測定要素が配設されている。測定ローラは、それぞれアーム12の一端に配設されており、アーム12は、軸受箇所13で軸受けされている。アーム12の一端は、測定セル15を圧迫するので、どの程度測定ローラ4がストリップのテンションのために下方に押されるかを検出することができる。これにより、測定要素4,12,14を介してストリップ張力を測定する可能性がある。
【0019】
通過するストリップは高温であるので、測定ローラ4を十分冷却するように配慮しなければならない。このため、図示してない冷却水用の供給源から冷却液流出口に至るまで延在する冷却要素5が設けられている。
【0020】
冷却要素5は、ここでは本質的にボックス状の冷却液容器6によって構成され、この冷却液容器は、テーブル2の下に配設され、その上にテーブル2が載っている(図3参照)。
【0021】
冷却液容器6(図3で最も良く見ることができる)は、直方体形の輪郭を有し、その下面8に、冷却水を測定ローラ4に誘導する多数の冷却液流出口9を有する。側面10に配設された2つの冷却液供給ライン11から、冷却液容器6は冷却水を供給される。
【0022】
更にまた図3で最も良く見ることができるように、ボックス状の冷却液容器6は、装置1の周辺部品によって構成されたサポート要素7の横に当接する。冷却液容器6の直方体形の形成により、冷却液容器は、撓みに対して高い抵抗モーメントを有する。これは、冷却液容器6に当接するテーブル2を最適に支持し、相応の撓みと結び付くテーブルへの機械的又は熱的負荷が生じた場合でも、たわみが測定セル14にまで到達することができないようにする。むしろ、テーブル2は、冷却液容器6上にしっかりと支持されるので、負荷が高い場合でも、ストリップ張力を測定する際に測定結果を侵害する顕著な影響が生じる恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術によるストリップ張力を測定するための装置の側面図を断面図で示す。
【図2】本発明によるストリップ張力を測定するための装置の側面図を示す。
【図3】本発明によるストリップ張力を測定するための装置のボックス状の冷却液容器の下から見た斜視図を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 ストリップ張力を測定するための装置
2 テーブル
3 テーブルの前縁
4 測定ローラ
5 冷却要素
6 ボックス状の冷却液容器
7 サポート要素
8 テーブルの下面
9 冷却液流出口
10 側面
11 冷却液供給ライン
12 アーム
13 軸受箇所
14 測定セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの平坦なテーブル(2)を備え、このテーブルを介して金属ストリップが走行可能であり、テーブルの一端(3)に、ストリップ張力の測定に適した多数の測定要素(4)が配設されており、冷却要素(5)が設けられており、これら冷却要素がテーブル(2)の下に配設され、その冷却液、特に水、を、測定要素(4)の領域に誘導可能である、金属ストリップ、特にスチールストリップ、のストリップ張力を測定するための装置(1)において、
冷却要素(5)が、曲げ剛性の高いボックス状の冷却液容器(6)を備え、この冷却液容器が、金属ストリップの両側で、それぞれ少なくとも1つのサポート要素(7)上に配設されており、テーブル(2)の下面が、ボックス状の冷却液容器(6)に間接的又は直接的に当接することを特徴とする装置。
【請求項2】
ボックス状の冷却液容器(6)が、直方体形の中空体として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ボックス状の冷却液容器(6)が、平坦な板材から組み立てられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ボックス状の冷却液容器(6)が、板材の端部を折り曲げることによって少なくとも1つの平坦な板材から製造されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
ボックス状の冷却液容器(6)が、その下面(8)に沿って多数の冷却液流出口(9)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
ボックス状の冷却液容器(6)が、その両側面(10)に沿ってそれぞれ1つの冷却液供給ライン(11)を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
測定要素(4)が測定ローラであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
装置が、圧延装置の仕上げスタンド内のルーパの構成要素であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
圧延装置が、熱間幅広ストリップライン又はCSP圧延装置(Compact Strip Production装置)であることを特徴とする請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−512561(P2009−512561A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539455(P2008−539455)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007659
【国際公開番号】WO2008/046470
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】