説明

金属ホスホン酸塩及び関連するナノコンポジット

ポリマー及び剥離した金属ホスホン酸塩を含む組成物が提供される。また、このようなポリマー組成物の製法及びこのようなポリマー組成物から形成される製品が提供される。本発明の組成物は、バリヤ性が関係するポリマー用途に、例えば、食品や飲料のプラスチック容器に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての説明
本出願は、2004年4月21日出願の米国仮出願第60/564,150号の優先権を主張し、この全ての開示内容は本願明細書に含まれるものとする。
技術分野
本発明は、ポリマー及び剥離した金属ホスホン酸塩を含むポリマー組成物に関する。本発明は、また、このようなポリマー組成物を製造する方法、及び本発明のポリマーから形成される製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル、特にポリ(エチレンテレフタレート)((PET))は、繊維、フィルム、及び三次元構造として広い適用性を享受する用途が広いポリマーである。PETの特に重要な用途は、容器、特に食品及び飲料のための容器である。この用途は、この20年にわたり巨大な成長を見ており、普及の増加を享受し続けている。この成長にもかかわらず、PETは、これらの市場においてその用途を制限する若干の基本的な制限を有する。このような第1の制限の1つは、ガス、例えば、酸素や二酸化炭素に対するその透過性に関連がある。第2の制限は、特定の化学薬品に曝露されるときに、加圧されたPET容器が壊滅的に破損する傾向(応力亀裂破損として知られる現象)に関連がある。第3の制限は、PETがPET自体と接触したとき、高い摩擦係数を有する傾向に関連がある。
多くの技術が、これらの制限を克服するために開発された。例えば、PETのバリヤ性を改善するために、2,6-ナフタレンジカルボン酸を含有するPETやPET/MXD6ブレンドのような、ポリエステルコーポリマーやブレンドが開発されている。他の開発には、有機又は無機のバリヤコーティング(例えば、エポキシ-アミン、SiOxコーティング)、バリヤポリマーを含有する多層構造(例えば、EVOHやMXD6)の使用が含まれる。PETの耐応力亀裂性を改善するために、より高分子量のPETが商業化された。PET自体の接触におけるPETの滑り性能を改善するために、シリカ、タルク、ゼオライトのような低アスペクト比の無機添加剤が使用されている。しかしながら、これらの技術の各々には欠点がある。この為、上述したバリヤ技術の全ては、PET包装のコストをかなり増す。より高分子量のPETは、処理がより困難であり、生産により費用がかかる。PETの滑り摩擦を減少させつつ、シリカ、タルク、ゼオライトのような添加剤は、また、ポリマーのヘイズを増加させる。
PETのこれらの制限の各々に対処できる可能性がある技術は、PETに高アスペクト比のナノ材料を組込みPETナノコンポジットを形成することを含む。ナノコンポジットは、少なくとも1つの寸法が1ミクロンよりかなり小さい微粒子添加剤を含有する高分子材料である。添加剤も、高アスペクト比を有するとき(アスペクト比は横方向の寸法と粒子の厚み幅の平均間の比として定義される。粒子の横方向の寸法は、粒子の長さと幅である。)、添加剤の高アスペクト比により、ガス分子がポリマーに浸透する際に進まなければならない経路のねじれが増加するので、得られたナノコンポジットは改良されたバリヤ性を呈することができる。高アスペクト比添加剤が亀裂の広がりを妨げるための機構を設けることができるので、PETナノコンポジットは、また、改善された応力亀裂破損に対する抵抗性を有することができる。PETナノコンポジットは、また、PET表面を粗くすることにより、又はPETよりも高い硬度及び/又はPETよりも低い摩擦係数の表面を設けることにより、低摩擦係数を有することができる。
【0003】
ポリエステルに加えて、多くの他のポリマーが、ガス、水又は有機分子の透過が有害となる用途において用いられる。例えば、ポリオレフィンは、天然ガス輸送パイプを製造するために、自動車のガスタンクに、また、食品包装用途に広く用いられる。ポリジエンは、空気入りタイヤのようなゴム構造物として広く用いられる。ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)のようなポリビニルは、強化されたバリヤ性能が望ましい用途において多用される。これらのいくつかの用途においてバリヤ層として使われるポリアミドは、また、高アスペクト比材料の組込みから生じる強化されたバリヤ性能という利点を得る。これらのポリマーに剥離したフィロケイ酸塩を組込むとともにフィロケイ酸塩を剥離した状態に維持することに関連する難しさにより、これらの材料の全てにおいて、高アスペクト比ナノ材料の使用は制限されるか又は実存しない。
本質的に、ポリマー中に用いられるために従来開発された高アスペクト比材料の全ては、モンモリロナイト、電荷平衡にある一価や二価のイオンや、鉄のような遷移金属イオンを微量に有する天然の層状アルミノケイ酸塩粘土を主成分とする。フィロケイ酸塩は、荷電密度が高いため、個々の層は、お互いの方向へ強く引きつけられる。高アスペクト比ナノ材料を得るために、これらの層は、切り離され、又は剥離されなければならない。
非水系環境の剥離を達成するために、金属イオンは、疎水性第四級アンモニウム塩と交換され、有機修飾されたフィロケイ酸塩を生成させる。これらの有機的に修飾されたフィロケイ酸塩は、その後、比較的極性のあるポリマー、例えば、ナイロン6、ナイロン6/6、MXD6において剥離されることができる。高アスペクト比のフィロケイ酸塩の横方向の寸法は、250ナノメートル程度である。
PETのバリヤ性を強化するために用いるフィロケイ酸塩の可能性にもかかわらず、PET/フィロケイ酸塩ポリマー組成物を得ることについて、殆ど進歩していない。このように成功していないのは、PETの化学的性質による; ナイロンとは異なり、さまざまな金属イオン及び/又はアミン含有化合物によって触媒されるPETの重合又は処理の間、多くの望ましくない副反応が発生する。例えば、PETへの一価又は二価の金属イオンの導入は比較的低いレベルであるため、PETの急速な核形成が生じてしまい、処理を難しく又は不可能にする。鉄のような遷移元素は、アセトアルデヒドと色の生成の原因となり得る。第四級アンモニア塩は溶融加工PETに要求される温度で分解し、急速な着色形成とPET中のジエチレングリコールの形成、及び分子量の減少を引き起こす。最後に、第四級アンモニウム塩の分解は、剥離したフィロケイ酸塩の再集合を引き起こし、その結果として、PET組成物における所望される特性を達成するために必要な高アスペクト比が消失する。
【0004】
フィロケイ酸塩の更に他の制限は、250のアスペクト比において、ポリマーにおける2-10質量パーセントの荷重が有意なバリヤ改善度を達成するのに必要であるということである。以上から、MXD6ナイロンのバリヤ性能を4倍に増加するためには、3.5質量パーセントの剥離したフィロケイ酸塩を必要とする。このように大きい荷重が必要であり、また、ポリマー中にフィロケイ酸塩を修飾し且つ組込むことに関連したコストが必要であることにより、ナノ材料の価格がかなり拘束される。実際、大部分のナノコンポジット研究が、天然由来の大量のモンモリロナイト粘土の修飾及び使用に集中しているのは、この理由による。
従って、フィロケイ酸塩で利用できるよりもかなり大きいアスペクト比を有する層状ナノ材料、化学的にポリエステルのようなポリマーに適するナノ材料、また、容易にポリマー中に組込み剥離できるナノ材料を開発することは、有益である。これらのナノ材料が高純度原料から容易に合成されてもよい場合には、更に有利である。ナノ材料の化学構造、官能性、及び物理的な寸法が容易に制御できる場合には、より有利でさえある。これらの特徴を満たす一部の部材を有する材料の一種は、層状金属ホスホン酸塩である。層状金属ホスホン酸塩は、全ての金属ホスホン酸塩のサブセットである。反応成分、化学量論、及び合成条件に従い、金属ホスホン酸塩は、また、一次元鎖、一次元ナノチューブ、三次元微多孔質フレームワーク、及び非多孔質三次元フレームワークを形成することができる。
層状金属ホスホン酸塩が何年も知られていたにもかかわらず、それらをポリマーに組込む試みが殆どなかった。例えば、米国特許第4,232,146号には、四価の層状金属ホスホン酸塩の調製が開示されているが、ポリマーマトリックスにおける金属ホスホン酸塩の剥離が開示されていない。フランス特許出願第8105797号には、a)熱可塑性ポリエステル、b)有機ホスホン酸、有機ホスフィン酸、及び有機亜ホスホン酸の金属塩より選ばれる核形成剤、及びc)可塑剤を含む結晶化速度が改善されたポリエステル組成物が開示されている。
しかしながら、層状金属ホスホン酸塩の使用又はポリエステルにおける金属ホスホン酸塩の剥離の教示がない。米国特許第4,759,971号には、ポリマーマトリックスにおける接着促進剤として四価の層状金属ホスホン酸塩の使用が開示されているが、四価の金属ホスホン酸塩の剥離は開示されていない。特開昭48-074550には、ポリエステルの核形成剤としてアリールホスホン酸塩の金属塩の使用が記載されている。前と同じように、層状金属ホスホン酸塩の使用又は金属ホスホン酸塩の剥離の教示がない。
従って、金属ホスホン酸塩を含む改良されたポリマー組成物並びに関連した方法及び製品が依然として求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリマー及び剥離した層状金属ホスホン酸塩(exfoliated layered metal phosphonate)を含むポリマー組成物を提供する。本発明は、また、このようなポリマー組成物を製造する方法、及び本発明のポリマーから形成される製品に関する。
本発明によるポリマー組成物を製造する方法には、層状金属ホスホン酸塩の有効量を組込む工程が含まれる。金属ホスホン酸塩は剥離可能であり及び/又はポリマーの溶融加工の間、剥離したままである。剥離した層状金属ホスホン酸塩を組込む工程は、剥離していない層状金属ホスホン酸塩と溶融ポリマーとを混合する工程、剥離した又は剥離していない層状金属ホスホン酸塩とポリマー前駆体とを混合した後に重合する工程、層状金属ホスホン酸塩の剥離分散液とポリマー溶液とを混合する工程、及び金属ホスホン酸塩前駆体とポリマー溶液、ポリマー溶融物、又はポリマー分散液とを混合する工程を含む、あらゆる適切なプロセスを含むことができる。
本発明によるポリマー組成物は、ポリマー及び剥離した層状金属ホスホン酸塩を含む。
あらゆる適切なポリマーもあらゆる適切な金属ホスホン酸塩も、本発明の組成物において使うことができる。本発明によるポリマー組成物の例示的実施態様は、ポリ(エチレンテレフタレート)及び適切な金属ホスホン酸塩を含む。
本発明による製品は、剥離した層状金属ホスホン酸塩が含まれるポリマー組成物を含む。
本発明の製品は、あらゆる適切な形状、構成、及び型も有することができる。本発明による製品の例示的な実施態様には、動物が摂取する組成物を保持するための容器、例えば、人間が消費する食品又は飲料を保持する容器が含まれる。本発明の一例示的実施態様による製品は、ポリ(エチレンテレフタレート)及び剥離した層状金属ホスホン酸塩を含むポリマー組成物から形成される飲料容器を含む。製品の他の例示的実施態様には、天然ガス、ガソリン又は石油製品のような炭化水素のための容器やいれものが含まれる。実施態様には、更に、永久ガス、例えば、酸素、窒素、ヘリウム等の損失又は侵入減少を呈する可撓性の製品が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、本発明のさまざまな例示的実施態様を記載する。この説明は、当業者が本発明を製造し使用することを可能にする役目をして、いかなる方法でも本発明又はその保護の範囲を制限するものではない。
本発明は、剥離した層状金属ホスホン酸塩を含むポリマー組成物の製造方法を提供する。本発明の方法において、金属ホスホン酸塩は、ポリマーに組込まれる。あらゆる適切な層状金属ホスホン酸塩が、本発明の方法において使うことができる。層状金属ホスホン酸塩は、高分子マトリックスにおいて剥離し及び/又は高分子マトリックスにおいて剥離されたままである望ましい能力を有しなければならず、ポリマーの特性を適切に増進できるだけの充分な横方向寸法を有しなければならない。
可溶性金属塩の範囲は、自発的に可溶性金属塩の水溶液とホスホン酸誘導体との混合物上に、水不溶性層状金属ホスホン酸塩を形成する。近年、多数のこのような金属ホスホン酸塩が調製され確認されている。吸着剤や触媒として適切な新素材を生産する意図とともに、金属ホスホン酸塩に対する取り組みの多くは、層状ホスホン酸ジルコニウムを調製することに関する。これらの材料の総説は、Progress in Inorganic Chemistry, vol.47 p.371-510(ISBN 0-471-24039-7))中に見ることができる。この化学の魅力は、ホスホン酸についてR基の種類を変えることにより、層間隔と得られた金属ホスホン酸塩の間隙率とを容易に変化させることができることである。ホスホン酸ジルコニウム誘導体のような四価の金属ホスホン酸塩の欠点は、形成される結晶の横方向寸法が数十ナノメートルだけである傾向があることから、通常、非常に劣った結晶化度を呈して、低アスペクト比を有するということである。強酸性媒体において高温で長時間老化することによって四価の金属ホスホン酸塩の結晶化度を増加させるために大胆な努力がとられるときでさえ、あまり達成されない横方向の寸法は200ナノメートルを上回る。対照的に、析出及び結晶成長の条件を変えることによって、二価の金属ホスホン酸塩の粒径は、サブミクロン粒子から1-100ミクロンの範囲の横方向寸法を有する結晶まで多様であることができる。しかしながら、全ての金属ホスホン酸塩は、通常、剥離が非常に困難であると考えられている。金属ホスホン酸塩は電気的に中性で、例えば、モンモリロナイト粘土で見られるような強い静電荷を備えていないが、層間のファンデルワールス力は、通常、せん断又は超音波処理においてさえ、剥離を妨げるのに充分大きいと考えられている。これは、特に、大きな横方向寸法を有する分子にとって真実であると考えられる。
【0007】
本発明者は、驚くべきことに、金属ホスホン酸塩が、可溶性金属塩と適切に選ばれたホスホン酸又は適切に選ばれたホスホン酸の混合物とを反応させて、得られた金属ホスホン酸塩が層間のファンデルワールス力のレベルが減少し及び/又はポリマーマトリックス親和性が増加するように、調製された場合、大きな結晶の金属ホスホン酸塩であっても、ポリマーマトリックスにおいて、容易に剥離し得ることを発見した。可溶性金属塩を長鎖アルキルホスホン酸又はホスホン酸の混合物と反応させることによって調製される金属ホスホン酸塩は、本発明において有利である。また、本発明者は、金属塩と異なっている長さのR基を有するホスホン酸の混合物とを反応させることによって調製される金属ホスホン酸塩が特に本発明で有利であるということを発見した。このように調製される金属ホスホン酸塩はR基のランダムな配置を有することができると考えられる。このようなランダムな配置において、より長いR基は層間の間隔を決定するが、より短いR基の存在は、層を緊密に保持し剥離を防止する強いファンデルワールス力の発現を防ぐ。より短いR基の存在はまた、層間の低分子量化合物のインターカレーションを容易にし、それはこれらの層状金属ホスホン酸塩の剥離を援助することができる。一般に、層間距離が大きくなるにつれ、剥離は容易となる。また、一般に、より短いR基が50モル%に近づくにつれ、剥離は容易となる。金属ホスホン酸塩層間の強いファンデルワールス力の発現を妨げるためには、実質的には、より短いR基は、より長いR基よりもあまり短くなくてもよい。
金属ホスホン酸塩におけるR基として有利に使うことができる部分の限定されない例としては、水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、アリールオキシを含み、部分にはこのような1つを超える官能性が組込まれている。例えば、適切なR基としては、水素(出発ホスホン酸は亜リン酸である)、ヒドロキシル(出発ホスホン酸はリン酸である); メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、又はより高級アルキルホスホン酸; フェニル、ベンジル、ビフェニル、及び置換アリールホスホン酸; オキシエチル、オキシプロピル、オキシブチル、オキシオクチル、ポリ(エチレンオキシ)フェニル及び置換ポリ(エチレンオキシ)フェニルホスホン酸(一般的にリン酸モノエステルとしても知られる)が挙げられる。R基は、また、追加の官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ハロ基を含むことができる。R基は、有利には、ポリマーのために要求される溶融処理温度で化学安定性と熱安定性を有する。本発明者は、水素、ヒドロキシル、アルキル、フェニルが、これらのR基を有する金属ホスホン酸塩の熱安定性と熱酸化安定性が高いことから、特に、R基として有利であると判断した。更に、これらのR基の混合物は、R基の長さにおける望ましい変化を与えることができる。
【0008】
層状金属ホスホン酸塩の調製に適切な金属イオンとしては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、バナジウム、ランタン、アルミニウム、セリウム、モリブデン、ウラン、トリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、銅、カドミウム、及び亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。これらのうちで、二価金属イオンが、三価又は四価の金属イオンから形成された金属ホスホン酸塩から形成された結晶よりも、より長い横方向寸法の結晶を形成する傾向にあり、剥離の際、より高いアスペクト比の分離層が得られることから、有利であると考えられる。二価金属イオンの中で、マグネシウム、カルシウム、及び亜鉛は、少なくとも1つには、毒性が低く、低コストで、ある範囲の層状金属ホスホン酸塩を形成する反応が容易であることから、特に有利である。層状金属ホスホン酸塩の基底領域は選ばれる金属イオンを問わず本質的に不変であるので、本発明の金属ホスホン酸塩が複数の金属イオンを含むことができることが予想される。また、1つを超える剥離した層状金属ホスホン酸塩が、異なる組成及び/又は異なる横方向寸法の異なる金属ホスホン酸塩が、異なるレベルのバリヤ改善、応力亀裂改善、及び摩擦係数改善を得ることが予期されるので、ポリマー中に組込まれ得ることも予想される。
いかなるポリマーも、存在及び/又はこれらの特徴の程度が、本発明のあらゆる態様の要求される要素でなくても、本明細書に記載されている特性を有するものであるポリマー組成物を提供することが望まれるものに用いることができる。本発明に用いられる適切なポリマーの限定されない例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリビニル、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリケトン、ポリエーテル、及びポリカーボネートが挙げられる。本発明によって企図される非ポリエステルポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン-スチレン)、ポリイソプレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)、ポリ(カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(m-キシレンジアミンアジパミド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(エチレンケトン)、ポリアセタール、及びポリ(ビスフェノールAカーボネート)が挙げられるが、これに限定されない。ホモポリマー、コポリマー、及びこれらのポリマーのブレンドも企図される。本発明の例示的実施態様においては、ポリエステルが用いられる。本発明によって企図されるポリエステルの例としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンイソフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、及びこれらのポリエステルのコポリマー及びブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
層状金属ホスホン酸塩は、ポリマー組成物を製造するプロセスの間、いかなる点でもポリマーに添加することができる。例えば、金属ホスホン酸塩は、溶融ポリマーに又はポリマー前駆体に添加することができる。また、金属ホスホン酸塩前駆体は、ポリマー溶液、ポリマー溶融物、又はポリマー分散液に添加することができる。ポリマーマトリックス内で金属ホスホン酸塩の剥離の程度を最大にすることが有利である。従って、金属ホスホン酸塩は、プロセス中の、最終製品が形成される前の充分な溶融混合と剥離が起こりうるときに有利に添加される。いくつかの用途及び/又は金属ホスホン酸塩組成物のためには、射出成形又は押出成形プロセスの直前に、金属ホスホン酸塩を粉末又は分散液として添加することが充分である。しかしながら、重合プロセスの前か間に金属ホスホン酸塩を添加することは可能である。濃縮物として、ポリマー中の金属ホスホン酸塩の分散液を調製し、その後、最終的な製品の形成前に、得られた濃縮物を塊状ポリマーと溶融混合することも可能である。ポリマーへ層状金属ホスホン酸塩を組込むための他の方法には、金属ホスホン酸塩をポリマーの溶液又は分散液に添加し、その後、溶剤又は分散剤を除去することが含まれる。
層状金属ホスホン酸塩は、ポリマーの溶融処理中に起こる通常の機械的せん断の結果として、ポリマー中で剥離することができ、金属ホスホン酸塩の剥離する能力を高めるために追加の添加剤(例えば、第四級アンモニウム塩)は、不要である。或いは、層状金属ホスホン酸塩は、溶剤、例えば、エチレングリコール、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、キシレン、ヘキサン、又は鉱油において剥離することができる。剥離の速度と程度は、熱、超音波、混合、又は練りを応用することによって増加することができる。
ポリマーに添加される金属ホスホン酸塩の量は、望まれる特性強化の程度及び剥離した金属ホスホン酸塩のアスペクト比に左右される。例えば、ポリエステル、例えば、アモルファスPET中で2倍のバリヤ強化が望まれ且つ金属ホスホン酸塩のアスペクト比が5,000である場合には、容積で400ppmの金属ホスホン酸塩を要求することができる。4倍のバリヤ強化が望まれる場合には、アスペクト比が5,000の容積で1,200ppmの金属ホスホン酸塩を、又はアスペクト比が15,000の容積で400ppmの金属ホスホン酸塩を用いることができる。個々の層の厚みが1.5ナノメートルでアスペクト比が15,000の金属ホスホン酸塩の場合、粒子の横方向寸法は、約22ミクロンとなる。
【0010】
本発明者は、横方向寸法が約0.25ミクロンよりも大きい金属ホスホン酸塩が、少なくとも剥離した金属ホスホン酸塩の許容しうる荷重により、適切なバリヤ強化を可能にすることから、有利であることを発見した。約0.25ミクロン未満の横方向寸法を有する金属ホスホン酸塩がまた、バリヤ強化を与えるが、著しいバリヤ強化を達成するために要求される荷重は、より大きな横方向寸法を有する粒子のために要求されるものよりかなり大きい。約5ミクロンより大きい横方向寸法を有する金属ホスホン酸塩のように、約1ミクロンより大きい横方向寸法を有する金属ホスホン酸塩はこのために特に有利であるとみなされる。本発明者は、横方向寸法が10ミクロンより大きい金属ホスホン酸塩が、許容しうる荷重とバランスの取れたバリヤ強化に関して、特に有利であることに注目する。文献の教示に反して、多くの層状金属ホスホン酸塩は、頑丈であり、ポリマー組成物に積極的なブレンドされた後でさえそれらの横方向寸法をかなり保持する。
本発明は、また、本発明のポリマー組成物から形成される製品を提供する。本発明の製品は、あらゆる適切な形状、構造、及び外形をもちうる。本発明による製品の例示的実施態様としては、動物により摂取される組成物を保持するための容器、例えば、人間が消費する飲料を保持する容器が挙げられる。本発明の一例示的実施態様による製品は、ポリ(エチレンテレフタレート)及び剥離した金属ホスホン酸塩を含むポリマー組成物から形成された飲料容器を含む。本発明において企図される他の製品としては、パイプ、チューブ、タンク、繊維、フィルム、及び膜が含まれるが、これらに限定されない。これらの製品は単層構造を備えることができ、ここで、剥離した層状金属ホスホン酸塩がポリマーマトリックスの全体にわたって分散していることが予想される。また、これらの製品は多層構造を備えることができ、ここで、剥離した層状金属ホスホン酸塩が多層構造の1つ以上の層に実質的に位置していることが予想される。
本発明による製品は、本発明によるポリマー組成物を用いて、また、あらゆる適切な整形技術を用いて形成することができる。射出成形は、本発明による製品を形成するための1つの例示的な技術である。
【実施例】
【0011】
以下の実施例は、本発明の個々の例示的実施態様を記載し、より詳細に本発明を記載するために示される。しかしながら、本発明又はその保護の範囲に関してはいかなる限定も示すものではない。
実施例1
亜鉛(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)、Zn(O3PH)0.5(O3PPh)0.5の調製:10.9グラムの酢酸亜鉛2水和物(0.05モル)を50mlの熱湯に溶解した。別に、3.95グラム(0.025モル)のフェニルホスホン酸と2グラムの亜リン酸(0.025モル)を熱湯に溶解した。2つの部分を、撹拌しながら徐々に合わせた。亜鉛(フェニルホスホン酸塩-コ-亜リン酸塩)が直ちに析出した。2時間撹拌した後、沈殿をろ過によって分離した。乾燥後、8.5グラム(収率92%)の亜鉛(フェニルホスホン酸塩-コ-亜リン酸塩)を得た。材料の顕微境試験により、結晶の凝集体からなることが示され、凝集体の平均粒度は20-50ミクロンの範囲であった。凝集結晶の小さい部分を、スパチュラで鉱油と混合した。この練った材料の試験により、個々の結晶が5-10ミクロンの範囲の横方向寸法を有することが示された。
【0012】
実施例2
亜鉛(亜リン酸塩-コ-オクチルホスホン酸塩)Zn(O3PH)0.4(O3PC8H17)0.6の調製: 11.6グラムのオクチルホスホン酸(0.06モル)と3.3グラム(0.04モル)の亜リン酸を水に溶解した。この溶液を〜50-70℃まで加熱し、次に、熱湯に溶解した21.9グラムの酢酸亜鉛2水和物(0.10モル)を撹拌しながら滴下した。添加が完了した後、混合物を更に1時間加熱し、次に、一晩室温に冷却した。生成物を重力ろ過し、風乾した。収率は、80%であった。この結晶の顕微境試験により、20〜30ミクロン程度の横方向寸法を有することが示された。
【0013】
実施例3
亜鉛(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)Zn(O3PH)0.5(O3PPh)0.5の調製: 43.8グラムの酢酸亜鉛4水和物(0.20モル)を、300mlの熱湯に溶解した。別に、15.8グラムのフェニルホスホン酸(0.10モル)と8.2グラムの亜リン酸(0.10モル)を、500mlの熱湯に溶解した。亜鉛溶液を、撹拌しながらホスホン酸に滴下した。添加が完了した後、得られたスラリーを更に2時間75℃に保持した。次に、生成物を重力ろ過し、フィルタケーキを熱湯ですすいだ。乾燥後、34.0グラム(収率93%)の結晶材料を得た。この結晶の顕微境試験により、個々の粒径が30-40ミクロンの範囲にあることが示された。
【0014】
実施例4
亜鉛(亜リン酸塩-コ-ベンジルホスホン酸塩)Zn(O3PH)0.5(O3PCH2Ph)0.5の調製: 24.1グラムの酢酸亜鉛2水和物(0.11モル)を250mlの熱湯に溶解した。別に、8.7グラム(0.051モル)のベンジルホスホン酸と4.2グラムの亜リン酸(0.051モル)を250mlの熱湯に溶解した。亜鉛溶液を、撹拌しながらホスホン酸溶液に滴下した。得られたスラリーを更に2時間75℃で保持した。次に、生成物を重力ろ過し、フィルタケーキを熱湯ですすいだ。乾燥後、17.1グラム(収率88%)の結晶材料を得た。この結晶の顕微境試験により、個々の粒径が20〜30ミクロンの範囲にあることが示された。
【0015】
実施例5
亜鉛(亜リン酸塩-コ-オクチルホスホン酸塩)Zn(O3PH)0.4(O3PC8H17)0.6の調製: 23.3グラムのオクチルホスホン酸(0.12モル)と6.6グラム(0.08モル)の亜リン酸を水に溶解した。この溶液を〜50-70℃に加熱し、次に、熱湯中に溶解した43.8グラムの酢酸亜鉛2水和物(0.20モル)を、撹拌しながら滴下した。添加が完了した後、混合液を更に1時間加熱し、次に、一晩室温に冷却した。生成物を重力ろ過し、風乾した。収率は84%であった。その結晶の顕微境試験により、個々の粒径が幅30〜40ミクロン、長さ200ミクロンまでであることが示された。
【0016】
実施例6
亜鉛(亜リン酸塩-コ-デシルホスホン酸塩)、Zn(O3PH)0.4(O3PC10H21)0.6の調製: 26.6グラムのデシルホスホン酸(0.12モル)と6.6グラムの亜リン酸(0.08モル)を水に溶解した。この溶液を〜50-70℃に加熱し、次に、43.8グラムの酢酸亜鉛2水和物(0.20モル)を水に溶解し、撹拌しながら滴下した。添加が完了した後、混合液を更に1時間加熱し、次に、4時間室温に冷却した。ろ過後、沈殿を蒸気浴上で乾燥した。顕微鏡検査により、個々の結晶が細長い平板状(20-30ミクロン×200ミクロン)であることを示した。
【0017】
実施例7
カルシウムビス(フェニルホスホン酸塩)、Ca(HO3PPh)2の調製: 5.9グラムの硝酸カルシウム4水和物(0.025モル)を20mlの熱湯に溶解した。別に、7.9グラムのフェニルホスホン酸(0.05モル)を20mlの熱湯に溶解した。2つの部分を撹拌しながら合わせた。次に、得られた溶液を80℃に保持した、6時間かけてカルシウムビス(フェニルホスホン酸塩)の大きな結晶が析出された。室温に冷却後、水スラリーをろ過し、フィルタケーキを熱湯ですすいだ。乾燥後、6.5グラム(収率73%)の結晶材料を得た。結晶の顕微境試験により、個々の粒径が100〜250ミクロンの範囲にあることが示された。
【0018】
実施例8
カルシウム(リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)Ca(O3POH)0.5(O3PPh)0.5: 500mlの熱湯に溶解した1.0モルの酢酸カルシウム1水和物を、500mlの熱湯に溶解した0.5モルのリン酸溶液と0.5モルのフェニルホスホン酸に滴下することにより調製した。添加が完了した後、生成物を重力ろ過し、風乾した。個々の粒径は、50-100ミクロンであった。収率は、147グラム、理論値は89%であった。
【0019】
実施例9
カルシウム(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)Ca(O3pH)0.4(O3pPPH)0.6:水中の0.135モルの酢酸カルシウム(20グラム)を、0.04モルの亜リン酸(3.3グラム)と0.06モルのフェニルホスホン酸(9.5グラム)の溶液に滴下することにより調製した。粒径は、50-100ミクロンであった。
【0020】
実施例10
カルシウム(リン酸塩-コ-ベンジルホスホン酸塩)Ca(O3POH)0.4(O3PCH2Ph)0.6:水中の0.05モルの酢酸カルシウムを、0.02モルのリン酸と0.03モルのベンジルホスホン酸の溶液に滴下することにより調製した。析出は、数分にわたって起こった。粒径は、50-100ミクロンであった。
【0021】
実施例11
カルシウム(亜リン酸塩-コ-オクチルホスホン酸塩)Ca(O3pH)0.4(O3PC8H17)0.6: 7.8グラムのオクチルホスホン酸(0.03モル)と1.6グラムの亜リン酸(0.02モル)を水に溶解した。この溶液を〜50-70℃に加熱し、次に、21.9グラムの酢酸カルシウム1水和物(0.05モル)を水に溶解し、撹拌しながら滴下した。添加が完了した後、混合液を更に1時間加熱し、次に、4時間室温に冷却した。次に、生成物をろ過し、風乾した。
【0022】
実施例12
マグネシウム(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)、Mg(O3PH)0.5(O3PPh)0.5:水中の0.10モルの酢酸マグネシウムを、0.05モルの亜リン酸と0.05モルのフェニルホスホン酸の溶液に滴下し、その後、2時間加熱還流した。析出は、数時間にわたって起こった。粒径は、50-100ミクロンであった。
【0023】
実施例13
マグネシウム(亜リン酸塩-コ-デシルホスホン酸塩)Mg(O3PH)0.5(O3PC10H21)0.5: 11.1グラムのデシルホスホン酸(0.05モル)と4.1グラムの亜リン酸(0.05モル)を熱湯中に溶解し、熱湯に溶解した21.4グラムの酢酸マグネシウム4水和物(0.10モル)を滴下した。添加が完了した後(〜40分)、生成物を更に1時間〜75℃で放置した。次に、生成物を室温に冷却し、重力ろ過した。沈殿を熱湯で2回洗浄し、生成物を蒸気浴で乾燥した。生成物の収率は、10.5グラム(収率60%)であった。光学顕微鏡により、横方向寸法が30〜70ミクロン程度の板状粒子が見られた。
【0024】
実施例14
亜鉛オクチホスホン酸塩、Zn(O3PC8H17): 250mlの水中の21.9グラム(0.1モル)の酢酸亜鉛4水和物を、500mlの水に溶解した19.4グラム(0.1モル)のオクチルホスホン酸に撹拌しながら滴下した。次に、反応生成物を4時間75℃で保持し、次に、室温に冷却し、重力ろ過した。光学顕微鏡により、横方向寸法が15〜30ミクロン程度の細長い粒子が見られた。
【0025】
実施例15
カルシウムビス(オクチルホスホン酸塩)、Ca(HO3PC6H17)2: 8.8グラム(0.05モル)の酢酸カルシウム水和物を水に溶解し、数mlの臭化水素酸を含む500mlの水に溶解した19.4グラムのオクチルホスホン酸(0.10モル)に撹拌しながら滴下した。次に、得られた生成物を75℃で4時間保持し、次に、室温に冷却し、重力ろ過した。収率は、〜21グラムの非常に大きな平坦な長斜方形結晶(40〜100ミクロン粒径)であった。大きい粒径は、臭化水素酸の存在によって促進された結晶成長のためであった。
【0026】
実施例16
実施例1の亜鉛(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)を、単軸押出機により500ppmの荷重で0.84dl/g IV PETに溶融ブレンドした。得られたアモルファスポリマーを、同様の条件で処理されたPET対照と比較したとき、色とヘイズの外観が同一であった。
【0027】
実施例17
実施例16の500ppmの亜鉛(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)を含むPETペレットを単軸押出機によって第2の押出しに供した。次に、得られたポリマーを固態重合し、IVを0.82dl/gに作り直した。亜鉛(亜リン酸塩-コ-フェニルホスホン酸塩)を含有するPETを同一条件下でPET対照に見られたものよりIV増加が約17%遅いことが見られた。固態重合反応のモデリングによって、IV構造の速度のこの減少が約1.5のバリヤ改善度(BIF)と整合していることが示された。
【0028】
実施例18
実施例16及び17からのPETは、プリフォームに射出成型し、ボトルに吹き付けた。次に、次に、ボトルについてIV、色、ヘイズ、応力-亀裂破損、摩擦係数(COF)、及び酸素バリヤテストを試験した。その試験結果を表1に示す。
【0029】
表1

【0030】
実施例16の樹脂から形成されるボトルは、IVが0.11 dl/g以上の条件と等価の応力亀裂性能を示し、実施例17の樹脂から形成されるボトルは、同じIVの対照と2倍の応力-亀裂性能を示したことが容易にわかる。また、ボトルCOFが実施例16と実施例17の樹脂から作られるボトルより低かったということもわかる。最も重要なことに、各々に存在する金属ホスホン酸塩の量が500ppmだけであった場合であっても、酸素BIFは実施例16と実施例17の樹脂から作られるボトル側壁の場合には〜1.5であった。
【0031】
実施例19
実施例14の亜鉛(オクチルホスホン酸塩)を、2軸押出機において1000ppmの荷重で、0.84dl/g IV PETに溶融混合した。同じ条件下で処理されたPET対照と比較すると、得られたアモルファスポリマーは、色とヘイズの点で外見が同一であった。次に、ポリマーを結晶化し、IVを0.82dl/gに作り直すために固態重合した。亜鉛(オクチホスホン酸塩)を含むPETは、同一条件でPET対照で見られたIV増加が約21%の遅い速度を呈することが見られた。固態重合反応のモデリングにより、IV構造の速度のこの減少が約2.0のバリヤ改善度(BIF)と整合していることが示された。
【0032】
実施例20
実施例15のビス(オクチホスホン酸カルシウム)を、1000ppmの荷重で二軸押出機において0.84dl/g IV PETに溶融混合した。得られたアモルファスポリマーは、同一条件下で処理されたPET対照と比較すると、色とヘイズの点において、外観が同一であった。次に、ポリマーを結晶化し、固態重合して、0.82dl/gにIVを作り直した。ビス(オクチホスホン酸カルシウム)を含有するPETは、同一条件下でPET対照で見られたよりも56%遅いIV増加速度を呈した。固態重合反応のモデリングにより、IV構造の速度のこの減少が約4.5のバリヤ改善度(BIF)と整合していることが示された。
【0033】
実施例21
実施例19のPETポリマー(1000ppmのオクチホスホン酸亜鉛を含む)を、24グラムのプリフォーム中に射出成形した。同時に、対照(PETを二軸配合し、次に0.82dl/g IVに固態重合した)を、24グラムのプリフォームに射出成形した。両方のプリフォームのセットを、同一条件下で20オンスの一般的なボトルに吹込み成形した。各々の変数からの25のボトルを、加速された応力-亀裂試験に供し、ボトルをCO2で4.0体積に加圧され、ビンの底を0.2%の苛性溶液に4時間浸漬した。対照の破損する平均時間は、2.42時間±0.46時間であり、全ての対照ボトルは190分以内に破損した。対照的に、4.0時間後には、1000ppmのオクチルホスホン酸亜鉛を含む25のボトルはいずれも破損しなかった。対照ボトルのIVは、0.788dl/gであった。試験ボトルのIVは、本質的に0.796d1/gと同じであった。
上記の説明は、特許証のために出願される時点において、発明者が理解しているように、本発明を実施する最良の形態を含む。例示的実施態様に関連して最良の形態が記載されているが、本発明は、最良の形態又はいかなる例示的実施態様にも限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー及び少なくとも1つの剥離した層状金属ホスホン酸塩を含む組成物。
【請求項2】
ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエーテル、又はポリカーボネートである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
金属ホスホン酸塩が、少なくとも1つの四価の金属を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
金属ホスホン酸塩が、少なくとも1つの三価の金属を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
金属ホスホン酸塩が、少なくとも1つの二価の金属を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの二価の金属が、マグネシウム、カルシウム、又は亜鉛を含む、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
金属ホスホン酸塩が、第1の長さを有する第1ホスホン酸塩R基、及び第1の長さと異なる第2の長さを有する第2ホスホン酸塩R基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
ポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
第1R基が、水素、ヒドロキシル、又は炭素数1〜12の炭化水素を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
第2R基が、炭素数1〜16の炭化水素を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
請求項1記載の組成物から形成される製品。
【請求項13】
請求項l記載の組成物から形成される容器。
【請求項14】
請求項1記載の組成物から形成される飲料容器。
【請求項15】
ポリマー組成物の製造方法であって、
ポリマーを準備する工程;
少なくとも1つの層状金属ホスホン酸塩を準備する工程;
金属ホスホン酸塩をポリマーに組込んで、金属ホスホン酸塩/ポリマー混合物を形成する工程;
金属ホスホン酸塩/ポリマー混合物を混合して、金属ホスホン酸塩を剥離させる工程
を含む、前記方法。
【請求項16】
少なくとも1つの層状金属ホスホン酸塩が第1の長さを有する第1ホスホン酸塩R基、及び第1の長さとは異なる第2の長さを有する第2ホスホン酸塩R基を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
第1R基が、水素、ヒドロキシル、又は炭素数1〜12の炭化水素を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第2R基が、炭素数1〜16の炭化水素を含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
ポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)を含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
製品の製造方法であって、
ポリマー及び少なくとも1つの剥離した層状金属ホスホン酸塩を含む組成物を準備する工程; 及び
前記製品の構造にポリマー組成物を整形する工程
を含む、前記方法。
【請求項22】
整形する工程が射出成形法を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記容器が飲料容器を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
1を超える層を含む製品であって、少なくとも1つの層が請求項1記載の組成物を含む、前記製品。

【公表番号】特表2007−534801(P2007−534801A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509629(P2007−509629)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013612
【国際公開番号】WO2005/111131
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(502319534)プラスティック テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】