説明

金属化フィルムコンデンサ

【課題】厚みが薄いフィルムを用いると素子巻回時にしわが入り易いという課題を解決し、生産性、品質共に優れた金属化フィルムコンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】金属化フィルム1が、誘電体フィルムの幅方向の一端側に絶縁マージン2を長手方向に連続して設けると共に、この絶縁マージン2から他端側に向かって横マージン3を設けることにより複数の分割電極が形成され、かつ、誘電体フィルムの長手方向に亘って縦マージン4を設け、この縦マージン4と横マージン3の少なくとも一方が傾斜した構成により、金属化フィルム1を巻回して素子を作製する際に、金属化フィルム1に加わるテンションを横マージン3を介してフィルム走行方向の後方へ逃がすことができるため、金属蒸着電極5には複雑に分散されたテンションが加わらないようになり、厚みが薄い誘電体フィルムを用いた場合でもしわの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種電子機器、電気機器、産業機器、自動車等に使用され、特に、ハイブリッド自動車のモータ駆動用インバータ回路の平滑用、フィルタ用、スナバ用に最適な金属化フィルムコンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、あらゆる電気機器がインバータ回路で制御され、省エネルギー化、高効率化が進められている。中でも自動車業界においては、電気モータとエンジンで走行するハイブリッド車(以下、HEVと呼ぶ)が市場導入される等、地球環境に優しく、省エネルギー化、高効率化に関する技術の開発が活発化している。
【0003】
このようなHEV用の電気モータは使用電圧領域が数百ボルトと高いため、このような電気モータに関連して使用されるコンデンサとして、高耐電圧で低損失の電気特性を有する金属化フィルムコンデンサが注目されており、更に市場におけるメンテナンスフリー化の要望からも極めて寿命が長い金属化フィルムコンデンサを採用する傾向が目立っている。
【0004】
そして、このような金属化フィルムコンデンサは、一般に金属箔を電極に用いるものと、誘電体フィルム上に設けた蒸着金属を電極に用いるものとに大別される。中でも、蒸着金属を電極(以下、金属蒸着電極と呼ぶ)とする金属化フィルムコンデンサは、金属箔のものに比べて電極の占める体積が小さく小型軽量化が図れることと、金属蒸着電極特有の自己回復機能(絶縁欠陥部で短絡が生じた場合に、短絡のエネルギーで欠陥部周辺の金属蒸着電極が蒸発・飛散して絶縁化し、コンデンサの機能が回復する性能)により絶縁破壊に対する信頼性が高いことから、従来から広く用いられているものである。
【0005】
図15はこの種の従来の金属化フィルムコンデンサの構成を示した断面模式図、図16はこの金属化フィルムコンデンサに使用される第1の金属化フィルムの模式図であり、図15と図16において、41と41aは誘電体フィルム、42と42aはこの誘電体フィルム41、41aに蒸着形成した金属蒸着電極、43と43aはこのような金属蒸着電極を厚く形成して抵抗値を低くした低抵抗部、44は微小破壊発生時に後述する分割電極を分断するヒューズ部、45と45aは金属蒸着しないマージン部、46は上記ヒューズ部44で接続された分割電極を形成する電極区切り部、47は上記低抵抗部43、43aの幅、48はこの電極区切り部46によって分割電極に区切られた微小ブロック、49は第1の金属化フィルム、50は第2の金属化フィルムを示すものである。
【0006】
そして、このように構成された第1の金属化フィルム49と第2の金属化フィルム50とを、図15に示すように金属蒸着電極42、42aが誘電体フィルム41、41aを介して対向するようにして巻回することにより素子を形成し、この素子の両端面に金属溶射によってメタリコン電極(図示せず)を形成することにより金属化フィルムコンデンサが構成されているものであった。
【0007】
なお、上記第2の金属化フィルム50は、第1の金属化フィルム49と同様に、微小ブロック48やヒューズ部44を有する電極形状、あるいは微小ブロック48やヒューズ部44を有しない電極形状、のいずれであっても良いものである。
【0008】
このように構成された従来の金属化フィルムコンデンサは、分割電極による微小ブロック48をヒューズ部44で接続することにより形成された自己保安機構の動作性を向上させることができるというものであった。
【0009】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2005−85870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような金属化フィルムコンデンサをハイブリッド自動車等に代表される自動車用として使用する場合には、特に小型軽量化に対する要望が大きく、このような要望に応えるための最も有効な手段として金属化フィルムの厚みを薄くすることが考えられる。そのために、誘電体フィルム自体の厚みを薄くする技術の開発と、薄い誘電体フィルムを使いこなす技術の開発の両方が日々行われているものである。
【0011】
なお、このような誘電体フィルムとしては、現在、量産ベースで使用されているポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと呼ぶ)で、厚みが3μm程度のものが最も薄いものであるが、この厚みを更に薄くする方向で開発が進められ、今日現在では、厚みが2μm程度のPPフィルムも入手できるようになってきている。
【0012】
しかしながら、このように薄手化されたPPフィルムは、厚みが薄いが故に取り扱い性が極めて悪くなり、特に、PPフィルム上に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを巻回して素子を作製する際に、金属化フィルムにしわが発生し易いという課題があった。
【0013】
なお、このような素子巻回時にしわが発生する現象は、厚みが3μmを超えるPPフィルムにおいては、製造装置を含む製造条件をコントロールすることによってしわの発生を防止することが可能なものであったが、厚みが2μmというような極めて薄いPPフィルムを用いる際には、このような従来の技術では対応できず、新たな技術の導入が必要なものである。
【0014】
また、このようなしわの発生は、誘電体フィルム自体が薄いために素子巻回時のテンションによってしわが入り易いことに加え、誘電体フィルム上に蒸着によって形成した金属蒸着電極部分は硬くなっているために伸び難く、非金属蒸着電極部分は柔らかいために伸び易い。また、金属蒸着電極面と非金属蒸着電極面とでは誘電体フィルムの反り状態が異なる等の理由に起因し、素子巻回時に金属化フィルムに加わるテンションが複雑に分散されるために発生するものと思われる。
【0015】
本発明はこのような従来の課題を解決し、厚みが薄い誘電体フィルムを用いた場合でも、素子巻回時のしわの発生を抑制することによって優れた生産性と品質を実現し、かつ、小型軽量化を図った金属化フィルムコンデンサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、金属化フィルムコンデンサを構成する金属化フィルムが、誘電体フィルムの幅方向の一端側に非金属蒸着部からなる絶縁マージンを長手方向に連続して設けると共に、この絶縁マージンから他端側に向かって非金属蒸着部からなる横マージンを設けることにより複数の分割電極が形成され、かつ、誘電体フィルムの長手方向に亘って非金属蒸着部からなる縦マージンを設け、この縦マージンと横マージンの少なくとも一方が、金属化フィルムの長手方向となる直線、あるいはこの長手方向の直線と直交する直線に対して傾斜するようにした構成のものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明による金属化フィルムコンデンサは、誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極の縦マージンと横マージンの少なくとも一方を傾斜させた構成により、この金属化フィルムを巻回して素子を作製する際に、金属化フィルムに加わるテンションの一部を横マージンあるいは縦マージンを介してフィルム走行方向の後方へ逃がすことができるようになるため、厚みが薄い誘電体フィルムを用いた場合でも、金属化フィルムに加わる複雑なテンションを低減し、しわの発生を抑制することができるため、優れた生産性と品質を実現し、かつ、小型軽量化を図った金属化フィルムコンデンサを安定して提供することができるようになるという効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、4〜6に記載の発明について説明する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態1による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図であり、図1において、1は金属化フィルムであり、この金属化フィルム1は厚みが2.0μmのポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと呼ぶ)を誘電体フィルムとして用いたものであるが、本発明は、材料、厚み共に、これらに限定されるものではない。
【0020】
2は上記誘電体フィルムの幅方向の一端側に設けられた非金属蒸着部からなる絶縁マージン、3はこの絶縁マージン2から他端側に向かって設けられた非金属蒸着部からなる横マージンであり、この横マージン3は金属化フィルム1の長手方向となる直線と直交する直線に対して傾斜するように形成されているものである。
【0021】
4は誘電体フィルムの長手方向に亘って設けられた非金属蒸着部からなる縦マージンであり、このような非金属蒸着部からなる絶縁マージン2、横マージン3、縦マージン4を除く部分にアルミニウムからなる金属蒸着電極5が蒸着によって形成されており、この金属蒸着電極5は上記横マージン3によって区切られることにより複数の分割電極を形成し、この複数の分割電極をヒューズ6によって並列接続することにより自己保安機構が構成されているものである。
【0022】
そして、このように形成された金属化フィルム1を、上記背景技術の項で図15を用いて説明した従来の金属化フィルムコンデンサと同様に、一対で重ね合わせて巻回することによって本実施の形態による金属化フィルムコンデンサが構成されているものである。
【0023】
このように構成された本実施の形態による金属化フィルムコンデンサは、この金属化フィルム1を巻回して素子を作製する際に、金属化フィルム1を図中の右方向へと走行させながら巻回するものであるが、上記誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極5の横マージン3を、金属化フィルム1の長手方向となる直線と直交する直線に対して傾斜するように形成した構成により、素子巻回時に、金属蒸着電極5を含む金属化フィルム1に加わるテンションを上記横マージン3を介してフィルム走行方向の斜め後方へ逃がすことができるようになり、金属蒸着電極5に加わるテンションを低減することができるばかりでなく、従来のように複雑に分散されたテンションが加わらないようになる。
【0024】
従って、厚みが2.0μmというような薄いPPフィルムを用いた場合でも、しわの発生を抑制して安定した品質で素子を巻回することができるようになるという格別の効果を奏するものである。
【0025】
また、図2は縦マージンを傾斜させた例を示したものであり、図2において、2は絶縁マージン、8は横マージン、9は縦マージン、10は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム7が構成されており、上記縦マージン9は金属化フィルム7の長手方向となる直線に対して傾斜し、かつ、この傾斜は走行方向と反対の方向が金属化フィルム7の幅方向の端部に接する方向に傾斜するようにしたものである。
【0026】
このように構成された金属化フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサは、上記図1を用いて説明した金属化フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサと同様に、誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極10の縦マージン9を、金属化フィルム7の長手方向となる直線に対して傾斜するように形成した構成により、この金属化フィルムを巻回して素子を作製する際に、金属蒸着電極10を含む金属化フィルム7に加わるテンションを上記縦マージン9を介してフィルム走行方向の斜め後方へ逃がすことができるようになり、金属蒸着電極10に加わるテンションを低減することができるばかりでなく、従来のように複雑に分散されたテンションが加わらないようになるため、厚みが2.0μmというような薄いPPフィルムを用いた場合でも、しわの発生を抑制して安定した品質で素子を巻回することができるようになるという格別の効果を奏するものである。
【0027】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0028】
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1、図2を用いて説明した金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの金属蒸着電極の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
【0029】
図3は本発明の実施の形態2による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図であり、図3において、2は絶縁マージン、12は横マージン、4は縦マージン、13は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム11が構成されており、上記横マージン12は山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム11の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0030】
また、図4は他の例を示したものであり、図4において、2は絶縁マージン、15は横マージン、16は縦マージン、17は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム14が構成されており、上記横マージン15の少なくとも一部は山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム14の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0031】
また、図5は他の例を示したものであり、図5において、2は絶縁マージン、19は横マージン、20は縦マージン、21は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム18が構成されており、上記横マージン19は2つの山を有する山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム18の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0032】
また、図6は他の例を示したものであり、図6において、2は絶縁マージン、19は横マージン、20は縦マージン、23は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム22が構成されており、上記横マージン19は2つの山を有する山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム22の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0033】
また、図7は他の例を示したものであり、図7において、2は絶縁マージン、12は横マージン、9は縦マージン、25は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム24が構成されており、上記横マージン12は山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム24の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0034】
また、図8は他の例を示したものであり、図8において、2は絶縁マージン、27は横マージン、9は縦マージン、28は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム26が構成されており、上記横マージン27は山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム26の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0035】
また、図9は他の例を示したものであり、図9において、2は絶縁マージン、27は横マージン、30は縦マージン、31は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム29が構成されており、上記横マージン27は山形に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム29の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0036】
以上の図3〜図9に示すように構成された本実施の形態による金属化フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサは、上記実施の形態1で図1、図2を用いて説明した金属化フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサと同様に、誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極の横マージンを山形状にし、かつ、この山形状の頂部が金属化フィルムの走行方向に向かうように形成した構成により、この金属化フィルムを巻回して素子を作製する際に、金属蒸着電極を含む金属化フィルムに加わるテンションを上記横マージンを介してフィルム走行方向の斜め後方へ逃がすことができるようになり、金属蒸着電極に加わるテンションを低減することができるばかりでなく、従来のように複雑に分散されたテンションが加わらないようになるため、厚みが2.0μmというような薄いPPフィルムを用いた場合でも、しわの発生を抑制して安定した品質で素子を巻回することができるようになるという格別の効果を奏するものである。
【0037】
また、図10は上記図4を用いて説明した金属化フィルム14を、更にしわが入り難いようにした例を示したものであり、横マージン15の数が少ない側に配置された横マージン15の幅を広くして幅広の横マージン15aとした金属化フィルム32を構成したものであり、これにより、金属化フィルム32に加わるテンションを、幅を広くした横マージン15aによって斜め後方へスムーズに逃がすことができるようになるため、しわの発生をより抑制することができるようになるものである。
【0038】
また、図11は上記図5を用いて説明した金属化フィルム18を、更にしわが入り難いようにした例を示したものであり、縦マージン20がない側に配置された横マージン19の幅を広くして幅広の横マージン19aとした金属化フィルム33を構成したものであり、これにより、金属化フィルム33に加わるテンションを、幅を広くした横マージン19aによって斜め後方へスムーズに逃がすことができるようになるため、しわの発生をより抑制することができるようになるものである。
【0039】
また、図12は上記図6を用いて説明した金属化フィルム22を、更にしわが入り難いようにした例を示したものであり、フィルム幅方向の中央部に位置する横マージン19の長さaよりも、両端に位置する横マージン19の長さbが長くなるように、a<bとした金属化フィルム34を構成したものであり、これにより、金属化フィルム34に加わるテンションを、長さを長くした両端に位置する横マージン19によって斜め後方へスムーズに逃がすことができるようになるため、しわの発生をより抑制することができるようになるものである。
【0040】
なお、本実施の形態においては、誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極の横マージンを山形状に形成した例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、横マージンを円弧状に形成し、この円弧状の頂部が金属化フィルムの走行方向に向かうようにしても同様の効果が得られるものであり、また、縦マージンの形状についてもこれらに限定されるものではない。
【0041】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項2に記載の発明について説明する。
【0042】
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1、図2を用いて説明した金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの金属蒸着電極の構成が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
【0043】
図13は本発明の実施の形態3による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図であり、図13において、2は絶縁マージン、36はこの絶縁マージン2から他端側に向かって設けられると共に途中から枝分かれするように形成された非金属蒸着部からなる横マージン、37は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム35が構成されており、上記横マージン36が傾斜すると共に山形状に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム35の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0044】
また、図14は他の例を示したものであり、図14において、2は絶縁マージン、36は横マージン、39は縦マージン、40は金属蒸着電極、6はヒューズであり、これにより金属化フィルム38が構成されており、上記横マージン36が傾斜すると共に山形状に形成され、かつ、この山形の頂部が金属化フィルム38の走行方向に向かうように構成されているものである。
【0045】
このように構成された本実施の形態による金属化フィルムコンデンサは、上記実施の形態2で図3〜図12を用いて説明した金属化フィルムを用いた金属化フィルムコンデンサと同様に、誘電体フィルム上に蒸着によって形成する金属蒸着電極の横マージンを山形状にし、この山形状の頂部が金属化フィルムの走行方向に向かうように形成した構成により、この金属化フィルムを巻回して素子を作製する際に、金属蒸着電極を含む金属化フィルムに加わるテンションを上記横マージンを介してフィルム走行方向の斜め後方へ逃がすことができるようになり、金属蒸着電極に加わるテンションを低減することができるばかりでなく、従来のように複雑に分散されたテンションが加わらないようになるため、厚みが2.0μmというような薄いPPフィルムを用いた場合でも、しわの発生を抑制して安定した品質で素子を巻回することができるようになるという格別の効果を奏するものである。
【0046】
なお、上記本実施の形態1〜3においては、金属化フィルムを構成する誘電体フィルムとしてPP(ポリプロピレン)フィルムを用いたものを例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイト)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を用いることも可能であり、これらの誘電体フィルムを用いた場合でも、本発明による効果は同様に得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明による金属化フィルムコンデンサは、厚みが薄い誘電体フィルムを用いた場合でも、しわの発生を抑制し、品質の安定化を図った素子を作製することができるという効果を有し、特に小型軽量化が要求される自動車用分野等のコンデンサとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図
【図2】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図3】本発明の実施の形態2による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図
【図4】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図5】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図6】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図7】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図8】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図9】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図10】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図11】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図12】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図13】本発明の実施の形態3による金属化フィルムコンデンサに使用される金属化フィルムの構成を示した平面図
【図14】同金属化フィルムの他の例を示した平面図
【図15】従来の金属化フィルムコンデンサの構成を示した断面模式図
【図16】同金属化フィルムコンデンサに使用される第1の金属化フィルムの模式図
【符号の説明】
【0049】
1、7、11、14、18、22、24、26、29、32、33、34、35、38金属化フィルム
2 絶縁マージン
3、8、12、15、15a、19、19a、27、36 横マージン
4、9、16、20、30、39 縦マージン
5、10、13、17、21、23、25、28、31、37、40 金属蒸着電極
6 ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体フィルム上に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを一対とし、上記金属蒸着電極が誘電体フィルムを介して対向するように重ね合わせて巻回した素子と、この素子の両端面に金属溶射によって形成された一対のメタリコン電極からなる金属化フィルムコンデンサにおいて、上記金属化フィルムとして、誘電体フィルムの幅方向の一端側に非金属蒸着部からなる絶縁マージンを長手方向に連続して設けると共に、この絶縁マージンから他端側に向かって非金属蒸着部からなる横マージンを設けることにより複数の分割電極が形成され、かつ、誘電体フィルムの長手方向に亘って非金属蒸着部からなる縦マージンを設け、この縦マージンと横マージンの少なくとも一方が、金属化フィルムの長手方向となる直線、あるいはこの長手方向の直線と直交する直線に対して傾斜するようにしたものを用いた金属化フィルムコンデンサ。
【請求項2】
誘電体フィルム上に金属蒸着電極を形成した金属化フィルムを一対とし、上記金属蒸着電極が誘電体フィルムを介して対向するように重ね合わせて巻回した素子と、この素子の両端面に金属溶射によって形成された一対のメタリコン電極からなる金属化フィルムコンデンサにおいて、上記金属化フィルムとして、誘電体フィルムの幅方向の一端側に非金属蒸着部からなる絶縁マージンを長手方向に連続して設けると共に、この絶縁マージンから他端側に向かって非金属蒸着部からなる横マージンを設けることにより複数の分割電極が形成され、上記横マージンが、金属化フィルムの長手方向となる直線と直交する直線に対して傾斜するようにしたものを用いた金属化フィルムコンデンサ。
【請求項3】
金属化フィルムに設けられる横マージンを山形状または円弧状にし、この山形状または円弧状の頂部が金属化フィルムを製造する際の誘電体フィルムの走行方向に向かうようにした請求項1または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
【請求項4】
縦マージンおよび/または横マージンにヒューズ部を設けることにより、複数の分割電極を夫々並列接続した自己保安機構を設けた請求項1または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
【請求項5】
金属化フィルムを構成する誘電体フィルムとしてポリプロピレンフィルムを用いた請求項1または2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
【請求項6】
ポリプロピレンフィルムとして厚みが3μm以下のものを用いた請求項5に記載の金属化フィルムコンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−170685(P2009−170685A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7700(P2008−7700)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】